JP2000502097A - タンパク質合成の制御、および作用薬のスクリーニング法 - Google Patents

タンパク質合成の制御、および作用薬のスクリーニング法

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Abstract

(57)【要約】 キナーゼGSK3 およびPKBの活性に影響を与え得る作用薬をスクリーニングする方法が開示されている。この方法は、2つのアミノ酸上特にPKB分子上のPKBのリン酸化を評価することを含む。

Description

【発明の詳細な説明】 タンパク質合成の制御、および作用薬のスクリーニング法 本発明はグリコーゲン代謝およびタンパク質合成の制御、特にインスリンの利 用を通してのものに関する。 糖尿病患者の多くは血液中のインスリンレベルは正常であるが、そのインスリ ンが筋細胞および脂肪細胞を正常に刺激しない(タイプII糖尿病)。最近では インスリンが筋細胞および脂肪細胞にシグナルを送る機構に故障があると信じら れている。 インスリンによるグリコーゲン(Parkerら、1983)およびプロテイン(Welsh ら、1993)合成の制御、転写因子AP−1およびCREB(Nikolakiら、deGroo t ら、1993 および Fiolら、1994)の調節、キイロショウジョウバエ(Drosoph ila)の細胞運命仕様書(Siegfiedら、1992)およびツメガエル(Xenopus)胚中 の背腹のパターニング(Heら、1995)を包含する、幾つかの生理学的プロセスの 調節には、酵素グリコーゲン合成酵素キナーゼ−3(GSK3 )(Embiら、1980 )が関与している。GSK3 は、インスリンまたは成長因子(Welshら、1993、H ughesら、1994、Cross ら、1994およびSaito ら、1994)に応答するセリンリン 酸化により、およびMAPキナーゼで活性化されたプロテイン(MAPKAP) キナーゼ−1(p90rakとしても知られる)またはp70リボソームS6 キナ ーゼ(p70S6K)(Sutherlandら、1993、およびSutherlandら、1994)によりi n vitro で阻害される。 しかし本発明者らは、インスリンによるMAPKAPキナーゼ−1およびp7 0S6K両者の活性化を阻止する作用薬(agent)がGSK3 のリン酸化および阻害 を in vivo でブロックしないことを見いだした。インスリン刺激された 他の1つのプロテインキナーゼがこれらの条件下でGSK3 を不活性化し、発明 者らはこのものがプロト腫瘍遺伝子Akt(RACまたはPKBとしても公知; ここでは”PKB”と呼称する)の産物であることを実証している。 GSK3 はPKBαの活性化の場合の半期(1分)より僅かに遅い、半期(ha lf time)2分でインスリンに応答して阻害される。インスリンによるGSK3 の阻害は、結果として in vitro でのPKBαにより標的にされる同じセリン残 基(セリン21)におけるリン酸化を引き起こす。PKBαの活性化同様にイン スリンによるGSK3 の阻害は、ホスフアチジルイノシトール(PI−3)キナ ーゼ阻害剤ワートマンニン(wortmannin)により、およびLY294002によ り阻止される。GSK3 のこの阻害は、インスリンによるグリコーゲン合成(Cr oss ら、1994)の速度向上および、ある種mRNAsのインスリンによる翻訳速 度向上に寄与するらしい(Welsh ら、1994)。 PKBα(Coffer & Woodgett,1991)、PKBβ(Cheng ら、1992)、およ びPKBγ(Konishi ら、1995)と呼称するPKBの2つのイソ型(isoform) が確認され、特性付けられている。RACβおよびAkt−2とも呼称されるP KBβは、著しく多数の卵巣がん(Cheng ら、1992)および膵臓がん(Changら 、1996)中に過剰発現され、また乳がん上皮細胞ラインMCF7中に過剰発現さ れる。PKBはN末端 pleckstrin 相同(PH)領域、続いて触媒領域および短 いC末端尾部からなる。この触媒領域はサイクリックAMP依存プロテインキナ ーゼ(PKA、65%類似性)およびプロテインキナーゼC(PKC、75%類 似性)に非常に似ている。これらの発見は、いわゆるPKB(すなわちPKAと PKCとの間)およびRAC(AおよびCキナーゼに関係する)という2つの呼 称の原因になっている。 多くの成長因子は、PI 4,5−ビスホスフエート(PIP2)をその推定 第2メッセンジャーPI 3,4,5−トリホスフエート(PIP3)に転化す る酵素ホスフアチジルイノシトール(PI)3−キナーゼの活性化の引き金とな り、そしてPKBはPI 3−キナーゼの下流に在る(Frankeら、1995)。PK Bαは、細胞がPDGF(Frankeら、1995)、EGFまたは塩基性FGF(Burg ering & Coffer、1995)またはインスリン(Cross ら、1995および Kohnら、19 95)またはペルペルバナジン酸塩(Andjelkovic ら、1996)により刺激される際 に約1分の半期で不活性型から活性型へと転化される。 インスリンまたは成長因子によるPKBの活性化は、細胞がPI 3−キナー ゼ(wortmanninまたはLY294002)の阻害剤と共に前保温された場合、ま たはPI 3−キナーゼの優性ネガテイブ突然変異体の過剰発現(Burgering & Coffer、1995)により阻止される。またリン酸化に際してPI 3−キナーゼ に結合するPDGF受容体中のチロシン残基の変異もPKBα活性化を阻止する (Burgering & Coffer、1995 および Franke ら、1995)。 かくして本発明は、例えばタイプII糖尿病の治療;また卵巣がん、乳がんお よび膵臓がん等のがんの治療に際して、特にグリコーゲン代謝および/またはタ ンパク質合成が異常を示す疾病状態において、特にグリコーゲン代謝および/ま たはタンパク質合成を調節する目的でのPKB、その類似体、イソ型(isoform )、阻害剤、賦活剤(activator)および/またはそれらの機能的同等物の使用 を提供するものである。かかる作用薬を含む組成物も本発明の範囲に包含され、 またグリコーゲン代謝および/またはプロテイン合成が異常を示す疾病状態の治 療目的に対するかかる組成物の使用も本発明の範囲に包含される。 また本発明は、アミノ酸配列Arg−Xaa−Arg−Yaa−Zaa−Se r−/Thr−Hyd[ここでXaaはいずれか(任意)のアミノ酸、Yaaお よびZaaはいずれかのアミノ酸(好ましくはグリシンではなく)、およびHy dはPheもしくはLeu等の大きな疎水性残基である]を含む新規ペプチド、 またはその機能的同等物を提供する。一文字コードで表示すると、適当なペ プチドはRXRX’X’ S/TF/L[ここでX’はいずれかのアミノ酸であ りうるが、好ましくはグリシンではなく;グリシンは実際には使用可能であるが 、他のアミノ酸が好ましい]で表示される。典型的ペプチド中には、GRPRT SSFAEG、RPRAATCまたはこれらの機能的同等物が包含される。この ペプチドはPKB活性を測定するための基質である。 本発明は、PIP3 またはPI3,4 −ビスPでその相互作用を阻止することに より in vivo でPKBの活性化を阻害する物質のスクリーニング方法も提供す る。 このように本発明は、PKBの活性もしくは活性化に影響を与える物質の能力 の測定方法も提供し、この方法は、物質をPKBおよびホスフアチジルイノシト ールポリホスフエート(すなわちPIP3 、PI3,4−ビスP等)に曝露し、か つPKBとホスフアチジルイノシトールポリホスフエートとの間の相互作用を測 定することを含む。PKBとホスフアチジルイノシトールポリホスフエートとの 間の相互作用は、例えばラジオラベル32PのPIP3 (例えば)からPKBへの 移転の測定により、および/またはSDS−PAGEによるPKBの(好ましく はT308および/またはS473における)リン酸化状態の評価により便利に 測定できる。 また本発明の方法は、GSK3 の賦活剤または阻害剤を確認するためにも使用 でき、かかる方法は試験する物質をGSK3 および(任意に)リン酸化源に曝露 し、GSK3 の活性化状態を(任意にそのリン酸化状態を測定することにより) 測定することを含む。本発明のこの局面は、糖尿病、がん、またはタンパク質合 成もしくはグリコーゲン代謝の不規則性を伴う任意の疾病と闘うのに使用するた めの試験物質の適合性を決定するのに有用でありうる。 本発明は、PKBのリン酸化を触媒する酵素の阻害剤または賦活剤のスクリー ニング方法も提供し、この方法は試験する物質を次の −PKB上流の1つまたは2つ以上の酵素; −PKB;および(任意に) −ヌクレオシドトリホスフエート に曝露し、T308および/またはS473上でPKBがリン酸化されているか どうか(および任意にその程度)を測定することを含む。 本発明はまた、GSK3 の活性に影響し得る作用薬の識別方法を提供し、この 方法は次の: a. 試験物質をGSK3 の基質に曝露し; b. 上記ペプチドがリン酸化されているかどうか(および任意にその程度)を 検出する; ことを含む。 試験する物質はPKBの類似体、イソ型、阻害剤、または賦活剤であってよく 、また上記方法はPKB自体を刺激または阻害するこれら作用薬を識別するため に修飾してもよい。このように、上記方法は次の工程を含むことができる: a. 試験する物質をPKB含有試料に曝露して混合物を形成し; b. 上記定義のアミノ酸配列を含むペプチドまたはその機能的同等物に上 上記混合物を曝露し(通常はMg2+およびATPの存在下で); c. 上記ペプチドがリン酸化されているかどうか(および任意にその程 度)を検出する。 この局面において本発明の方法は、試験する物質がPKBに作用、または直接 GSK3 に作用するかどうかの決定に使用できる。これはペプチドおよびPKB のリン酸化状態を比較することにより行なうことができ;もしGSK3 のリン酸 化状態が変化しても、PKBの状態が変化しなければ、試験する物質はPKBに 作用することなくGSK3 に直接作用する。 本発明のさらなる局面では、ヒトまたは非ヒト動物身体(好ましくは哺乳類) の治療方法を提供し、この方法はPKB、その類似体、阻害剤、刺激剤またはそ の機能的同等物を上記身体に投与することからなる。上記方法は、治療した身体 中でのグリコーゲン代謝の調節に影響を与える。 本発明の治療方法は、タイプII糖尿病の治療に特に有用である(ここではP KBの作用によるGSK3 活性のダウンレギユレーションが強化されるようにP KBの賦活剤が利用されることが望ましい)。 別法として本発明の治療の方法は、卵巣がん等のがんの治療にも特に有用であ る(ここではPKBの作用によるGSK3 のダウンレギユレーションが弱められ るようにPKBの阻害剤が使用されるのが望ましい)。PKBおよび/またはG SK3 活性の不規則性に付随する膵臓がん、および乳がん等の他のがんもこの方 法により治療できる。 インスリンでPKBを刺激すると5分以内に活性が12倍も増加し、Thr− 308およびSer−473におけるリン酸化を誘発する。細胞中へ過渡的にト ランスフエクションされたPKBはインスリンに応答して20倍も活性化され、 かつIGF−1に応答して46倍も活性化されることができ、またThr−30 8およびSer−473でリン酸化されるようになった。PKBの活性化、およ びThr−308およびSer−473両方でのそのリン酸化はホスフアチジル イノシトール(P1)3−キナーゼ阻害剤 wortmannin により阻止され得る。ス レオニン308およびセリン473のリン酸化は、PKBの活性化するのに相乗 的に作用する。 Ser−473におけるMAPKAPキナーゼ−2−リン酸化PKBは invit ro で活性を7倍増加させ、効果はSer−473をAspへ変異させるとき( 5倍活性化)に類似している。Thr−308のAspへの変異もPKB活性を 5倍増加させ、引き続くMAPKAPキナーゼ−2によるSer−473のリン 酸化は活性をさらに5倍刺激し、この効果はThr−308およびSer− 473の両方をAspへ変異させるとき(18倍活性化)に類似している。As p−308/Asp−473二重突然変異体の活性は完全リン酸化酵素の活性と 類似しており、かつインスリンによってはそれ以上の活性化はできなかった。 Thr−308のAlaへの変異は、インスリンまたはIGF−1による293 細胞の刺激後は、Ser−473においてトランスフエクションされたPKBの リン酸化を阻止しなかったが、PKBの活性化を廃止した。同様に、Ser−4 73のAlaへの変異はThr−308においてトランスフェクションされたP KBのリン酸化を阻止しなかったが、トランスフエクションされたPKBの活性 化を著しく低減した。このことは、インスリンまたはIGF−1によるPKBの 活性化は結果としてThr−308およびSer−473のリン酸化から起こる こと、および両残基のリン酸化は in vitro または in vivo で高レベルのPK B活性を生じさせるのに好ましいことを実証している。また、in vivo におけ るThr−308のリン酸化はSer−473のリン酸化には依存せず、逆もま た同じであり、Thr−308およびSer−473のリン酸化は両方共にPI 3−キナーゼ活性に依存すること、およびThr−308リン酸化もSer− 473リン酸化もいずれもPKB自体により触媒されないことを暗示している。 このように本発明では、例えばインスリン、wortmannin その他のPI 3− キナーゼ阻害剤のような、アミノ酸308および/または473におけるPKB のリン酸化に影響を与える任意の作用薬の使用を組み入れることが好ましい。ア ミノ酸308および/または473においてそれ自体が変更された(例えばリン 酸化および/または突然変異により)PKBの使用も適当である。 本発明方法の変形ではPKBの剌激または阻害を、PKB自体上のアミノ酸3 08および/または473のリン酸化状態をモニターすることにより評価できる 。 PKBの異なったイソ型、例えばPKBα、βまたはγは本発明では使用可能 であり、目標にされ得る。 次に本発明を実施例および図面を参照しながらさらに詳細に説明するが、これ らの実施例は説明目的で記載したものであって、本発明の制限を意図するもので はない。実施例1:PKBはGSK3 活性に影響を及ぼす 。 図1: a、 L6 筋管を2mM 8−ブロモサイクリック−AMP(8Br− cAMP)と共に15分間、次いで0.1μM インスリンと共に(5分間)保 温(incubated)した。両GSK3 イソ型は、溶解物(lysate)から共免疫沈降 させ、PP2 A(Cross ら、1994)を用いた再活性化の前(黒バー)後(白バー )で評価した。無刺激細胞における活性との対比で結果を示すと、0.08±0 .006Umg-1(n=10)であった。b、C、インスリン(0.1μM)によ るGSK3 の阻害はラパマイシン(0.1μM)およびPD98059(50μ M)により影響されないが、LY294002(100μM)により阻止される 。 b、 LY294002との15分間の前保温を伴う場合(充填三角)と伴わな い場合(充填丸)について、L6 筋管を表示時間インスリンで刺激し、次いでa におけるようにGSK3 を測定した。GSK3 を、PP2 Aによる再活性化後に 評価した場合(Cross ら、1994)の、インスリン刺激した細胞からの実験をオー プン丸で示す。 c、 インスリンでの刺激に先立ってラパマイシン(三角)またはラパマイシン プラスPD98059(丸)と共に細胞を保温し、次いでPP2Aによる前処理 前(充填記号)および前処理後(オープン記号)に、aにおけると同様にGSK 3 活性を測定した。 d、e、 L6 筋管を8Br−cAMP(15分間)、PD98059(60分 間)もしくはLY294002(15分間)、次いでa−cにおけると同様にイ ンスリン(5分間)と共に保温した。各酵素を溶解物からの免疫沈降後に評価し 、得られた活性に関してその結果を示す。インスリンが存在し、かつ8Br−c A MPが不在の場合、それは0.04±0.005Umg-1(p42 MAPキナ ーゼ、n=6)および0.071±0.004Umg-1(MAPKAP Kin ase-1、n=6)であった。すべての結果(±s.e.m.)は少なくとも3 回の実験結果による。 L6 細胞の単層を培養し、刺激し、次いで前記(Cross ら、1994)のように溶 解した。次いでp42 MAPキナーゼ、MAPKAPキナーゼ1または(GS K3 −αプラスGSK3 −β)を溶解物から免疫沈降させ、前記(Cross ら、19 94)のように特定プロテインまたはペプチド基質を用いて評価した。プロテイン キナーゼ活性の1単位は、1分間に基質1nmolのリン酸化を触媒する量であ った。表示のように、免疫沈降物中のGSK3 はPP2 Aで再活性化された(Cr oss ら、1994)。図2 インスリン剌激された、wortmannin 感受性でPD98059/ラパマイ シン不感受性の、L6 筋管中のクロスチド(Crosstide)キナーゼとしてのPK Bの確認 a. 50μM PD98059(1時間)および0.1μM ラパマイシン( 10分間)と共に細胞を保温し、次いで0.1μM インスリンで刺激(5分間 )し、溶解(Cross ら、1994)した。この溶解物(0.3mgタンパク質)をM ono Q(5×0.16cm)上でクロマトグラフイーし、画分(0.05m l)の Crosstide キナーゼを評価した(充填丸)。別途実験ではインスリンを 省略(オープン丸)、またはインスリンの10分前に wortmannnin (0.1μ M)を添加した(充填三角)。破線はNaCl勾配を示す。6回の実験で同様の 結果が得られた。 b. aからプールした画分(10μl)31−34(レーン1)、35−38 (レーン2)、39−42(レーン3)、43−45(レーン4)、46−49 (レーン5)および50−53(レーン6)を10%SDS−ポリアクリルアミ ドゲル上で電気泳動し、C末端抗−PKBα抗体で免疫ブロッテイングした。マ ーカープロテインが示されている。画分1−30または54−80中には免疫反 応性種はなんら存在しなかった。 c. 抗−PH領域抗体を用い、前記(Lazar ら、1995)と本質的同様にして0 .1μM インスリン、および溶解物(50μgプロテイン)から免疫沈降させ たPKBを用いてL6 筋管を刺激し、次いで Crosstide キナーゼ(オープン丸 )を評価した。対照実験ではインスリン刺激の前に、0.1μMラパマイシンプ ラス50μM PD98059(オープン三角)もしくは2mM 8Br−cA MP(オープン四角)、または0.1μM wortmannin (充填丸)もしくは1 00μM LY294002(充填三角)と共に筋管を保温した。 d. MAPKAPキナーゼ−1を溶解物から免疫沈降し、かつS6 ペプチド( 充填丸)で評価した以外はcに準拠。対照実験ではインスリン剌激に先立って、 0.1μM ラパマイシンプラス50μM PD98059(充填三角)と共に または2μM 8BR−cAMP(オープン丸)と共に細胞を保温した。cおよ びdでは、誤差バーは3回の測定を示し、かつ別個3回の実験で類似の結果が得 られた。 同じく緩衝液が1mM EGTA、0.1mM オルトバナジン酸ナトリウム および0.5%(w/v)Triton x−100を含有する以外は前記(Bu rgering ら、1995)に従ってMono Qクロマトグラフイーを遂行した。2つ のPKBα抗体をウサギ中でC末端ペプチドFPQFSYSASSTAに対して 生起させ、バクテリアによってPKBαのPH領域を発現させた。このC−末端 抗体をアフイニテー精製した(Jones ら、1991)。クロスチド(Crosstide)に 対するPKBの活性はヒストンH2Bに対する活性より3倍高く、かつ以前PK B評価に用いた基質であるミエリン(myelin)塩基性タンパク質に対するその活 性よりも11倍も高い。他の実験詳細およびプロテインキナーゼ活性の単位を図 1に示す。図3 GSK3 は、インスリン刺激したL6 筋管からのPKBにより不活性化さ れる 。 a. 0.1μM インスリン、および細胞溶解物100μgから免疫沈降させ たPKBと共に細胞を5分間刺激し、前記(Sutherlandら、1993およびSutherla ndら、1994)と本質的同様にGSK3 イソ型の不活性化に用いた。黒バーはMg ATPおよびPKBと共に保温後に測定したGSK3 活性を、PKB省略の場合 の対照保温において得られた活性の百分率で示す。PKBが存在しない場合、G SK3 活性は実験を通じて安定であった。白色バーは、PP2AでGSK3 を再 活性化後に得られた活性を示す(Embiら、1980)。インスリン省略の場合、また はインスリンの10分前に wortmannin (0.1μM)を添加した場合、また は免疫沈降に先立ってペプチド免疫原(0.5mM)と共に抗−PKB抗体を保 温した場合には、GSK3 の不活性化はなんら生起しなかった。結果(±s.e .m.)は3実験(各実験は3回の繰り返し)の場合である。 b. HA−PKBαによるGSK3 −βの不活性化。 HA−PKBαをコードする相補DNAがCOS−1細胞中にトランスフエク ションされ、0.1mM ペルバナジン酸ナトリウムで15分間刺激後、標識プ ロテインキナーゼを溶解物0.3mgから免疫沈降し、GSK3 −βおよびMg ATPと共に20分間保温した。対照実験では、ペルバナジン酸塩が省略される か、またはベクター(模擬翻訳)により野生型(WT)PKBαが置換されるか 、もしくはLys179がAlaへ変異されたPKBαのキナーゼ−不活性変異 体(K179A)により野生型(WT)PKBαが置換された。3回の別個の実 験でも同様の結果が得られた。各免疫沈降物中のWTおよびK179A−PKB αの濃度は各トランスフエクションで類似していた。 aでは、GSK3 −αおよびGSK3 −βは部分精製され、評価され、PKB で不活性化され、かつ前記(Sutherlandら、1993および Sutherland ら、1994) のようにウサギ骨格筋からのPP2Aにより再活性化された。PP2Aの前にok adaic acid(2μM)を添加した対照実験ではなんらの再活性化も起こらなかっ た。図4: in vitro で、かつL6 筋管中のインスリンに応答してPKBでリン酸 化されたGSK3 中の残基の確認 。 a. PKBおよびMg−[γ−32P]ATPとの保温によりGSK3 −βを最 大限に不活性化し、SDS−PAGE後、32PラベルGSK3 −β(Mr 47K )をトリプシン11で消化し、さらにC18カラム(Sutherland ら、1993)上でク ロマトグラフィーに処した。画分(0.8ml)の32P放射能を分析(オープン 丸)した。対角線はアセトニトリル勾配を示す。 b. a(400c.p.m.)からの主要ホスホペプチドを固相配列決定(Su therlandら、1993)に処し、エドマン分解の各サイクル後に放出された32P−放 射能を示す。 c. GSK3 −αおよびGSK3 −βを32Pラベル細胞の溶解物から共−免疫 沈降させ、SDS中で変性し、SDS−PAGEに処し、ニトロセルロースへ移 転し、次いでオートラジオグラフイー(Saito ら、1994)にかけた。レーン1− 3は未刺激細胞から免疫沈降させたGSK3 イソ型;レーン4−6はインスリン 刺激した細胞から免疫沈降させたGSK3 イソ型。 d. cからのGSK3 イソ型をトリプシン消化し、生成ホスホペプチドを等電 点電気泳動(Saito ら、1994)により分離し、次いでオートラジオグラフイーに より確認した。レーン1およびレーン4は、それぞれPKBおよびMAPKAP キナーゼ−1によるGSK3 −βの in vitro でのリン酸化由来の主要ホスホペ プチドを示し;レーン2およびレーン5は未剌激細胞から免疫沈降させた、GS K3 −βおよびGSK3 −αから得られたホスホペプチドを示し;レーン3およ びレーン6は0.1μM インスリンで5分間刺激した細胞から免疫沈降させた 、GSK3 −βおよびGSK3 −αから得られたホスホペプチドを示し;矢印は リン酸化がインスリンにより増強されたペプチドを示す。2つのマーカー、すな わちパテントブルー(2.4)およびアズリン(5.7)のPI値を示す。 aでは、インスリン刺激したL6 筋管の溶解物(0.5mgプロテイン)から のC末端抗体を用いてPKBαを免疫沈降させ、GSK−β12のリン酸化に用い た。cでは、L6 筋管の径10cm皿3枚をHEPES−緩衝塩水中で4時間保 温した(Cross ら、1994)。この緩衝食塩水は、50μM PD98059、1 00nM ラパマイシン、およびインスリン(0.1μM)もしくは緩衝液で5 分間刺激した1.5mCIm1-1 32P−オルトホスフエート、および図1の溶 解物から共−免疫沈降させたGSK3 イソ型を含有する。論議 L6 筋管中のインスリンにより誘発されたGSK3 の阻害(図1a−c)は、 MAPKAPキナーゼ−1[8−ブロモ−サイクリックAMP、またはPD98 059(Alessiら、1995)、(図1d、e)]および/またはp70S6K[ラパ マイシン(Kuo ら、1992)(Cross ら、1994)の活性化を阻止した作用薬によっ ては影響されなかつた。このことはMAPKAPキナーゼ−1またはp70S6K のいずれも、このプロセスとって必須ではないことを暗示している。しかし、ホ ルボール(phorbol)エステル処理(Stambolic ら、1994)後のGSK3 −βの リン酸化と阻害はHeLa S3 細胞中でのMAPKAPキナーゼ1との共発現 により強化されるのに対して、NIH 3T3細胞ではGSK3 −αおよびGS K3−β(Saito ら、1994)のEGF誘発阻害はMAPキナーゼキナーゼ−1の 優勢ネガテイブ変異体の発現により著しく弱められる(Elgar ら、1995)。した がって古典的MAPキナーゼ経路の賦活剤としてはインスリンより遥かに強力な アゴニストによるGSK3 の阻害をMAPKAPキナーゼ−1が仲介する可能性 が ある。 ラパマイシンおよびPD98059の存在下でGSK3 を阻害する、インスリ ン刺激したプロテインキナーゼを識別するために、L6 筋管を両化合物と共に保 温し、インスリン刺激した。次いで溶解物をMono Q上でクロマトグラフイ ーにかけ、この画分をクロスチド”Crosstide”(GRPRTSFAEG)を 用いて評価した。このクロスチドはMAPKAPキナーゼ−1およびp70S6K [GSK3 −α中のSer−21(Sutherlandら、1994)およびGSK3 −β中 のSer−9(Sutherlandら、1994)]によりリン酸化されたセリン(下線)を 包囲するGSK3 中の配列に該当するペプチドである。クロスチドキナーゼ活性 の3つのピークが検出されるが、このピークはインスリン刺激を省略したり、細 胞を先ずPI 3−キナーゼ阻害剤 wortmannninで前保温した場合には存在しな い(図2a)。wortmannin(Crossら、1994、および Welshら、1994)、および構 造的にこれと無関係なPI 3−キナーゼ阻害剤LY294002(参考19) (図1b)は両方共インスリンによるGSK3 の阻害を阻止する。 プロテインキナーゼPKB−α、PKB−βおよびPKBγはSer/Thr 特異的であり、ウイルス性がん遺伝子v−aktの細胞性同族体である(coffer ら、1991、Jones ら、1991、Ahmed ら、1995 および Chengら、1992)。最近に 至りこれらの酵素は、成長因子またはインスリンに応答してNIH 3T3、R at−1またはSwiss 3T3細胞中で活性化され、この活性化は種々の方 法でPI 3−キナーゼの活性化をブロックすることにより抑制されることが判 ってきた(Frankeら、1995および Burgeringら、1995)。PKB−αのカルボキ シル末端ペプチドに対して生起した抗体を用いて免疫ブロッテイングが行われた 場合(図2b)、クロスチド(Crosstide)キナーゼ(図2a)の全ての3つの ピークは、他の細胞中に観察されているPKB特有の多重バンド(比分子質量、 Mr=58K、59Kまたは60K)を示すが、Mono Qからの他の画分に は少しもみられない。この一層緩慢な移動形は一層高度にリン酸化されたプロテ インを示し、これらの形はホスフアターゼ処理により最高速度の移動種に転化さ れる。またホスフアターゼ処理は結果として、PKBの不活性化を引き起こし( Burgering ら、1995)、したがってクロスチドキナーゼ活性の完全損失を来す( データは示さず)。Mono Qからのピーク2および3におけるクロスチドキ ナーゼ活性中の70−80%は、PKB−αのアミノ末端プレクストリン(plec kstrin)相同(PH)領域に対して生起した別個抗体により免疫沈降された。 C末端抗体も明らかにピーク2および3からのPKB活性を免疫沈降したが、そ の効果は抗−PH領域抗体よりも低かった。ピーク1はいずれの抗体によっても 殆ど免疫沈降されず、PKB−βを表し得る。免疫沈降抗-MAPKAPキナー ゼ−1抗体(Cross ら、1994)はピーク1、2または3に伴うクロスチドキナー ゼ活性を少しも低減させなかった。 L6 筋管のインスリン刺激は、PKB活性を10倍を超えて(図2c)増大さ せ、活性化は wortmannin またはLY294002によりブロックされたが、8 −ブロモ−サイクリックAMPまたはラパマイシン プラス PD98059によ っては本質的には影響されなかった(図2c)。半期(half-time)(t0.5)ま たはPKBの活性化(1分)はGSK3 の阻害の場合(2分)のそれよりも僅か に速い(Crossら、1994)。反対にMAPKAPキナーゼ−1(図2d)および p70S6K(図示せず)の活性化はこれより遅かった(t0.5>5分)。MAPK APキナーゼ−1の活性化は8−ブロモ−サイクリックAMPまたはPD980 59(図2d)により、またp70S6Kの活性化はラパマイシンにより阻止され た。Akt/RACは、GSK3 −α中のSer−21およびGSK3 −β中の Ser−9に該当するクロスチド中のSerをリン酸化する(図示せず)。イン スリンで刺激したL6 筋管からの(未刺激または wortmannin 処理細胞からので はなく)PKBは in vitro でGSK3 −αおよびGSK3 −βを不活性化し、 かつ阻害はSer/Thr−特異性プロテインホスフアターゼPP2A(Embiら 、 1980)(図3a)により逆転される。不活性化が共免疫沈降プロテインキナーゼ によってではなくPKBによって触媒されることをさらに確認するために、赤血 球凝集素標識PKB−α(HA−PKB)をCOS−1細胞中にトランスフエク ションし、この系でのPKB活性化の最強誘発剤であるペルバナジン酸塩(perv anadate)を用いて刺激して活性化した。このHA−PKBはGSK3 −βを不 活性化したが、ペルバナジン酸塩による処理を省略したり、野生型HA−PBK を”キナーゼ不活性”変異体(図3b)で置換した場合には不活性化しない。 PKBによる in vitro でのGSK3 −βの不活性化は、主要トリプン(tryp tic)ペプチド(図4a)のリン酸化を伴い、このペプチドはC18クロマトグラ フイー(Sutherlandら、1993)および等電点電気泳動の期間中に、MAPKAP キナーゼ−1によるリン酸化後に得られたペプチド(図4d)と共に共溶離した 。(ラパマイシンおよびPD98059の存在下での)インスリンによるL6 筋 管の刺激は、GSK3 −αおよびGSK3 −βの32Pラベリングを60−100 %も増強し(図4c)、かつ in vitro でラベルされた同じトリプシンペプチド の32P−ラベリングを増強した(図4d)。配列決定分析によれば、Ser−9 (GSK3 −β)またはSer−21(GSK3 −α)に相当するこれらの第3 残基は、in vitro(図4b)および in vivo (図示せず)の両方で、各ホスホ ペプチド中のリン酸化部位であった。他の(一層酸性の)トリプシンホスホペプ チドの32Pラベリングはインスリンにより増強されなかった(図4d)。これら のペプチドはA431細胞からのGSK3 中に以前から認められており、ホスホ セリンおよびホスホチロシンを含むことが判明していた(Saito ら、1994)。 PKC−δ、εおよびζはミトゲンにより活性化され、かつPKC−ζはPI 3−キナーゼ反応の生成物であるPI(3,4,5)P3を包含するいくつか のイノシトールホスホリピドにより in vitro で刺激されることが報告されてい る(Andjelkovic ら、1995)。しかし、精製PKC−ε(Palmerら、1995)、 PKC−δ、PKC−ζ(データは示さず)はいずれもGSK3 −αおよびGS K3 −βを in vitro では阻害できなかった。そのうえ、PKC−α、β1およ びγは in vitro でGSK3 −βを阻害するが(Palmerら、1995)GSK3 −α は影響されないのに反して、ホルボールエステルとの長期保温によるL6 筋管中 のそれらのダウンレギユレーションが、ホルボールエステルを用いた引き続く抗 原投与(challenge)に応答してMAPKAPキナーゼ−1の活性化を無効にする 。この際、インスリンによるGSK3 の阻害への影響はない(データは示さず) 。 総合するに、これらの結果はPKBの基質としてのGSK3 を確認するもので ある。骨格筋内のインスリンによるグリコーゲン合成の刺激には、グリコーゲン 合成におけるSer残基の脱リン酸が包含され(Parkerら、1983)、これらはin vitro でGSK3 によりリン酸化される。したがってインスリンによるGSK3 の40−50%阻害は、関連グリコーゲンシンターゼホスフアターゼの類似活 性化(Goode ら、1992)と相まって、骨格筋(Parkerら、1983)またはL6 筋管 (Goode ら、1992)中でのインスリンによるグリコーゲン合成の刺激を説明でき る。グリコーゲン合成活性化および、その結果としてのL6 筋管中でのインスリ ンによるグリコーゲン合成の刺激は wortmannin によりブロックされるが、Ak t/RACの活性化およびGSK3 の阻害と同様に、PD98059によっては ブロックされない(Dentら、1990)。しかし、GSK3 は in vivoでのPKBの 唯一の基質ではないらしく、したがって他の生理学的関連基質を確認することが 重要となろう。その理由は、多くの卵巣新生物中にPKB−βが増幅され、かつ 過剰発現されるからである(Cheng ら、1992)。実施例2: L6 筋管中のインスリンによるPKBの活性化は残基Thr−30 8およびSer−473のリン酸化を伴う 。 インスリンはL6 筋管中でPKBαの活性化およびリン酸化を誘発する。L6 筋管の3つの10cm皿を32Pラベルし、100nM wortmannin の存在下、ま たは不在下に10分間処理し、次いで100nM インスリンの存在下、または 不在下に5分間処理した。PKBαを溶解物から免疫沈降させ、アリコット(1 5%)につきPKBα活性(図5A)を評価した。未剌激細胞(10mU/mg )由来のPKBαに関する3実験の場合の活性を±SEMでプロットする。免疫 沈降したPKBαの残部85%は4−ビニルピリジンでアルキル化し、10%ポ リアクリルアミドゲル(リン酸化誘発による泳動度低下を高めるためにSDS処 理なしに調製)上で電気泳動に処し、オートラジオグラフイーにかけた。分子質 量マーカーであるグリコーゲンホスホリラーゼ(97kDa)、ウシ血清アルブ ミン(66kDa)およびオバルブミン(43kDa)の位置をマークする。 これらの条件下、インスリン刺激は結果として12倍のPKBα活性化(図5 A)を引き起こし、かつ32Pラベリング(4回実験)の1.9±0.3倍の増加 およびSDS−ポリアクリルアミドゲル(図5B)上のその移動度の劣化を伴っ た(図5B)。PKBαの活性化、その32Pラベリングの増加および電気泳動移 動の低減は、100nM wortmannin を用いた細胞の前保温によりすべて消滅し た。全タンパク質のホスホアミノ酸分析によれば、32PラベルPKBαはセリン およびスレオニン両残基でリン酸化され、インスリン刺激は両ホスホアミノ酸の 両32Pラベリングを増加させることが明瞭になった(データは開示せず)。図6.L6 筋管のインスリン剌激はPKBα中の2つのペプチドのリン酸化を誘 発する 。 図5Bからの32PラベルPKBαに該当するバンドをゲルから切り出し、4− ビニルピリジンで処理してシステイン残基をアルキル化し、トリプシンで消化し 、かつ0.1%(容量)トリフルオロ酢酸(TFA)を用いて平衡状態に置いた Vydac218TP54 C18カラム(Separations Group, Hesperia, CA )上でクロマトグラフイーにかけ、カラムはアセトニトリル直線勾配(斜線)で 展開した。流速は0.8ml/分であり、画分0.4mlを捕集した(A)未刺 激 L6 筋管からの32PラベルPKBαのトリプシン(tryptic)ペプチドマップ; (B)インスリン刺激したL6 筋管からの32PラベルPKBαのトリプシンペプ チドンマップ;(C)インスリンの前に wortmannin で処理したL6 筋管からの32 PラベルPKBαのトリプシンペプチドマップ。23.7%および28%アセ トニトリルにおいて溶離する2つの主要32Pラベルペプチドをそれぞれペプチド AおよびペプチドBと呼称する。同様の結果が4回(AおよびB)の実験および 2回(C)の実験で得られた。 未刺激L6 筋管(図6A)由来の32PラベルPKBαからは主要32Pラベルペ プチドはなんら回収されなかった。このことは、多数部位でのリン酸化がインス リン不在では低レベルであったことを示している。しかしインスリン刺激すると 、2つの主要32Pラベルペプチドが観察され[AおよびB(図6B)と呼称]、 この32Pラベリングは、筋管を wortmannin と共に先ず前保温すれば阻止された (図6C)。図7. ペプチドAおよびB中のリン酸化部位の確認 。 (A)図5B(1000cpm)からのペプチドAおよびBを6M HCl中110 ℃で90分間保温し、pH3.5で薄層セルロース上で電気泳動に処し、オルト リン酸(Pi)、ホスホセリン(pS)、ホスホスレオニン(pT)およびホス ホチロシン(pY)に分割し、オートラジオグラフイーにかけた。(B)32Pラ ベルL6 筋管の50の10cm皿から得られたペプチドA(図5B)を、0.1 %TFAの代わりに10mM 酢酸アンモニウム(pH6.5)中で平衡状態に 置いたミクロボアC18カラム上のクロマトグラフイーでさらに精製した。32P放 射能の単一ピークが21%アセトニトリルで観察され、このピークは214nm 吸光度のピークと一致する。試料(1pmol)の80%を Applied Biosystem s476 Aシークエンサーで分析してアミノ酸配列を決定し、エドマン分解の各サ イクル後に確認されたフエニルチオヒダントイン(Pth)アミノ酸をアミノ酸 用 一文字コードで表示する。括弧内残基は十分量で存在しなかったので明瞭に確認 できなかった。リン酸化部位を認識するために、次いで試料(600cpm)の残余2 0%を Sequelon アリールアミン膜と共有結合させ、Applied Biosystems 470A シークエンサーを用いて Stokoe らが記載(1992)した修飾プログラムに従って 分析した。エドマン分解の各サイクル後には32P放射能を測定した。(C)図2 B(800cpm)からのペプチドBは(B)におけるように固相配列決定した。 ペプチドAは主としてセリン上でリン酸化されたのに反して、ペプチドBはス レオニン(図7A)上でラベルされた。アミノ酸配列決定によればペプチドAは 残基465で開始することが確認された。エドマン分解の第8サイクル後に32P 放射能の単一バーストのみが観察(図7B)され、L6 筋管のインスリン刺激が 、タンパク質のC末端から9残基に位置するSer−473におけるPKBαの リン酸化を誘発したことが立証された。トリプシン消化に先立って32PラベルP KBαを4−ビニルピリジンで処理する際にのみ、ホスホペプチドBが有意量で 回収されたことは、このペプチドがシステイン残基(1または複数)を含有する ことを示し、かつ32p放射能の単一バーストがエドマン分解の第1サイクル後 に観察された(図7C)。このことはリシンまたはアルギニン残基に続くのはP KBα中のスレオニンのみであり、このものはシステイン残基(位置310)含 有のトリプシンペプチド中に位置しているから、リン酸化部位は残基308であ ったことを暗示していた。ホスホペプチドBがC18カラム(28%)から溶離す るアセトニトリル濃度およびその等電点(4.0)も、PKBαの残基308− 325を含むペプチドとしてのその帰属とは矛盾しない。pH6.5でさらに精 製するとペプチドBの回収率が悪いので、アミノ酸配列の決定が妨げられたが、 過渡的にトランスフエクションされた293細胞を用いる更なる追加実験によれ ば、このペプチドはPKBαの残基308−325に該当することが確認された 。図8:過渡的にトランスフエクションされた293細胞中でのPKBαのリン酸 化部位のマッピング 。 293細胞を、野生型PKBαを発現するDNA構築体により、またはHA− KD PKBα、HA−473A PKBαもしくはHA−308A PKBα 等の、ヒトタンパク質をコードする赤血球凝集素エピトープ・標識PKBαによ り過渡的にトランスフエクションした。100nM wortmannin の存在下、また は不在下に10分間処理後、これらの細胞を100nM インスリンまたは50 ng/ml IGF−1の存在下、または不在下に wortmannin を常時存在させ て10分間刺激した。溶解物からPKBαを免疫沈降させ、評価し、かつ活性を 各HA−PKBαの相対発現レベルについて補正した。結果を未刺激293細胞 (2.5±0.5U/mg)からの野生型HA−PKBαの比活性に関して表示 した。(B)各溶解物からのプロテイン20μgを、10%SDS−ポリアクリ ルアミドゲル上で電気泳動し、モノクロナールHA抗体を用いて免疫ブロッテイ ングした。分子マーカーは図5Bで用いたものである。図9:293細胞のIGF−1刺激はトランスフエクションされたHA−PKB α中の2つのペプチドのリン酸化を誘発する 。 野生型HA−PKBa DNA構築体を用いて過渡的にトランスフエクション された293細胞を32Pラベルし、(A、B)の不在または(C)100nMwo rtmannin の存在下に10分間、次いで(A)の不在下または(B、C)の存在 下に50ng/ml IGF−1と共に10分間処理した。32pラベルHA− PKBαを溶解物から免疫沈降させ、4−ビニルピリジンで処理、10%ポリア クリルアミドゲル上で電気泳動し、ゲルから切り出し、トリプシンで消化した。 次いでC18カラム上でのクロマトグラフイーによりC、D、E およびFと呼称 する4つの主要ホスホペプチドに分割した。同様の結果が(A)および(B)の 場合の6回の別個の実験で得られ、(C)の場合には2回の実験で得られた。 インスリンおよびIGF−1による刺激は、トランスフエクションされたPK Bαをそれぞれ20倍および46倍も活性化する結果が得られ、半期は他の細胞 で見いだされるように1分であった。インスリンまたはIGF−1によるPKB αの活性化は wortmannin (図8A)との前保温により阻止され、かつ293細 胞がベクターのみでトランスフエクションされ、次いでインスリンまたはIGF −1で刺激された場合には、なんらの活性化も生起しなかった(図示せず)。 2つの顕著な32Pラベルペプチドが未刺激293細胞中に存在した(図9A) 。1つは20−21%アセトニトリルにおいてダブレットとして溶離し(ペプチ ドCと呼称)、他は29.7%アセトニトリルにおいて溶離した(ペプチドFと 呼ばれる)。インスリンまたはIGF−1による刺激はペプチドCおよびFの32 Pラベリングには影響しない(図9AおよびB)が、D(23.4%アセトニト リル)およびE(28%アセトニトリル)と呼称する2つの新規ペプチドの32P ラベリングを誘発した。上記DおよびEはペプチドAおよびBと同じアセトニト リル濃度においてL6 筋管から溶離し(図6B)、同じ等電点を有していた(そ れぞれ7.2および4.0)。IGF−1刺激に先立って、HA−PKBα発現 293細胞を100nM wortmannin で処理すると、ペプチドDおよびEのリン 酸化は阻止されるが、ペプチドCおよびF(図9C)の32pラベリングには影 響しなかった。 ペプチドC、D、EおよびFをさらにC18カラム(pH6.5)上のクロマト グラフイーで精製し配列決定した。ぺプチドCは3つの別個の(しかし接近して 溶離する)32Pラベルペプチド(データは示さず)を生じた。アミノ酸配列決定 によれば、3つのすべてはPKBαの残基122において始まり、Ser−12 4がリン酸化部位である(図10A)ことが明瞭になった。ぺプチドDはホスホ セリンのみを含み、期待通り、Ser−473でリン酸化された残基465で始 まるPKBαトリプシンペプチドに該当した(図10B)。ぺプチドEはホスホ スレオニンのみを含み、したがってアミノ酸配列決定では、このものは残基30 8−325に該当し、そのリン酸化部位はThr−308(図10C)であるこ とを示した。ペプチドFはホスホスレオニンのみを含み、したがってThr−4 50(図10D)においてリン酸化されたPKBαの残基437で開始するペプ チドに該当した。 ホスフアチジルセリンの存在下、PKBαはサブミクロモルの親和性でPIP 3 に結合する(James ら、1996、Frech ら、1996)。ホスフアチジル4,5−ビ スホスフエートおよびホスフアチジル3,4−ビスホスフエートは一層低い親和 性でPKBαに結合し、かつPI3,5−ビスホスフエートおよびPI 3ホスフ エートはこれらの条件下では全然結合しない(James ら、1996)。PIP3 と相 互作用するPKBα領域はそのPH領域であることは確実であり、その理由は単 離PH領域はPKBα自体に対すると類似の親和性でPIP3 に結合する(Frec h ら、1996)からであり、またβ−スペクトリン(spectrin)およびホスホリパ ーゼClのPH領域等の他のいくつかのタンパク質のPH領域は他のホスホイノ シチドと特異的に相互作用することが知られているからである(Hyvonenら、199 5 および Lemmon ら、1995)。 上記実験をIGF−1に替えてインスリンを用いて繰り返した。ペプチドDお よびEの32PラベリングがIGF−1を用いて観察されたレベルの約50%であ った以外は、結果は同一であった(データは示さず)。このことは、IGF−1 との比較ではインスリンによるPKBαの活性化レベルが1/2であることと一 致する(図7A)。実施例3: MAPKAPキナーゼ−2は部分活性化を引き起こすPKBαのS er−473をリン酸化する。 PKBαのSer−473は、シグナル形質導入経路に関与する多数のプロテ インキナーゼ中に保存されていることが判明している共通配列Phe−x−x− Phe/Tyr−Ser/Thr−Phe/Thr中に在る(Pearson ら、1995 )。したがってSer−473キナーゼを識別するために、ウサギ骨格筋抽出物 をCM−Sephadex上でクロマトグラフィーにかけ、PKBαの残基46 5から478までに該当する合成ペプチドをリン酸化し得るプロテインキイナー ゼについてこの画分を評価した。これらの研究では、PKBαのSer−473 に該当する残基におけるペプチド465−478をリン酸化して0.3MNaC lにおいて溶離する酵素を確認した。このSer−473キナーゼは、ストレス およびサイトカイン活性化MAPキナーゼカスケード(Rouse ら、1994;Cuenda ら、1995)の1成分であるMAPキナーゼ−活性化プロテイン(MAPKAP) キナーゼ−2と共にCM−Sephadexから共溶離した(Stokoe etal,199 2)。このSer−473キナーゼはフエニル−セフアロース(Sepharo se)、ヘパリン−Sepharose、Mono SおよびMonoQを通し てMAPKAPキナーゼ−2と共に共分別を続け、かつ抗−MAPKAPキナー ゼ−2抗体(Gould ら、1995)により定量的に免疫沈降されたことは、MAPK APキナーゼ−2が実際のところ発明者らが精製したSer−473であったこ とを証明している。図 11 これらの構築体を発現する未刺激COS−1細胞の溶解物からHA− PKBαを免疫沈降させた。(A)緩衝液B(全量40μl)中のMAPKAP キナーゼ−2(50U/ml)、10mM 酢酸マグネシウムおよび100mM [32γP]ATPと共に、免疫沈降したHA−PKBa0.5μgを保温した。 時間をかえてアリコットをとり、PKBα活性(オープン丸)またはPKBα中 へのリン酸の取り込み(クローズド丸)のいずれかについて評価した。PKBα 活性測定に先立ち、最終濃度20mMになるようにEDTAを添加して反応を停 止し、かつ免疫沈降物を0.5M NaCl含有緩衝液B1.0mlで2回洗浄 し、次いで緩衝液B 1.0mlで2回洗浄してMAPKAPキナーゼ−2を除 去した。この結果を6回の決定の場合の±SEMとして示し(2回の別個の実験 )、かつPKBα活性を対照実験との対比で示した。ここではHA−PKBαは MAPKAPキナーゼ−2(なんら活性化を起こさず)の存在下でMgATPと 共に保温した。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、PKBαバンドに 伴う32P放射能をカウントしてリン酸化を評価した。オープン三角は、MAPK APキナーゼ−2によりリン酸化された免疫沈降HA−KD PKBαの活性を 示す。(B)MAPKAPキナーゼ−2および32P−γ−ATPを用いて(A) 同様に1時間リン酸化したHA−PKBαをトリプシントと共に消化し、次いで 図2の場合の説明同様にC18カラム上でクロマトグラフイーに処した。(C)( B)からの主要32Pラベルペプチドを図3におけるように470Aシークエンサ ーを用いて分析し、リン酸化部位を確認した。 バクテリアによって発現したMAPKAPキナーゼ−2は野生型HA−PKB αを、またはLys−179がAlaへと変異(データは示さず)した触媒的不 活性な変異体HA−PKBαを1モル/モル・プロテインに接近するレベルまで リン酸化した。野生型PKBαのリン酸化程度は活性の7倍増加に該当し、他方 触媒的に不活性な変異体のリン酸化は少しの活性化も起こさなかった(図11A )。MAPKAPキナーゼ−2またはMgATPを反応から省略した場合には野 生型HA−PKBαのリン酸化または活性化はなんら生起しなかった(データは 示さず)。MAPKAPキナーゼ−2により最大限に活性化された野生型HA− PKBαはプロテインホスフアターゼ2Aによる処理で完全に脱リン酸および不 活性化された。 MAPKAPキナーゼ−2で最大限リン酸化したHA−PKBαをトリプシン で消化したところ、C18クロマトグラフイーでは単一主要32Pラベルホスホセリ ン含有ペプチド(図11B)が現れた。このペプチドは同じアセトニトリル濃度 で溶離し(図11B)、Ser−473(図11Bおよび6Bを比較)含有32 pラベルトリプシンペプチドと同じ等電点7.2を有していた(データは示さず )。固相配列決定ではエドマン分解の第8サイクル後に32P放射能バーストを与 え(図11C)、Ser−473がリン酸化部位であったことを立証した。MA PKAPキナーゼ−2でリン酸化した触媒的に不活性なHA−KD PKBαの トリプシン消化に続いて、これと同じ32Pペプチドが得られた(データは示さず )。実施例4: Thr−308およびSer−473のリン酸化はPKBαの相乗 活性化を起こす。 上記実験は、Ser−473のリン酸化は in vitro でPKBαを活性化する が、Thr−308のリン酸化の役割は示さず、すなわちSer−473リン酸 化の活性に及ぼす効果に対してThr−308リン酸化がどのような影響を与え るかについては示さなかったこと、逆もまた同じであることを実証している。し たがって発明者らは、構築体中でSer−473またはThr−308のいずれ かがAla(リン酸化効果を遮断する)またはAsp(リン酸化効果を試し、か つ模倣する)のいずれかに変化されるような、赤血球凝集素(HA)標識PKB αDNA構築体を調製した。図12.MAPKAPキナーゼ−2による in vitro でのHA−PKBα変異体 の活性化 (A)野生型および変異体HA−PKBαプロテインをこれらの構築体を発現 する未刺激COS−1細胞の溶解物から免疫沈降させ、MAPKAPキナーゼ− 2およびMgATP(50U/ml)の不在(−、充填バー)もしくは存在下( +、ハッチングのバー)にMgATPと共に60分間保温した。このPKBαプ ロテインを各構築体中におけると類似のレベルで発現させ、MAPKAPキナー ゼ−2(0.03U/mg)の不在下に保温した野生型HA−PKBαに較べた 比活性を表示する。結果を3回実験の平均±SEMとして示す。(B)各溶解 物からのタンパク質(20μg)を10%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で 電気泳動させ、モノクロナールHA−抗体を用いて免疫ブロッテイングした。 すべての変異体は、血清枯れ(serum-starved)COS−1細胞中で類似のレ ベルで発現されており(データは示さず)、かつSer−473においてこれら のそれぞれを最高度にリン酸化することの効果を図12Aに示す。MAPKAP キナーゼ−2でリン酸化する以前のHA−473APKBαの活性は未刺激野生 型HA−PKBαの活性に類似しており、期待通り、MAPKAPキナーゼ−2 およびMgATPとの保温ではHA−473A PKBαの活性化はそれ以上起 こらなかった。反対に、HA−473D PKBαの活性は、未刺激野生型HA −PKBαプロテインの活性より5倍から6倍高く,かつSer−473でリン 酸化された野生型HA−PKBαの活性に類似していた。期待通り、HA−47 3D PKBαもMAPKAPキナーゼ−2およびMgATPとの保温によって はそれ以上は活性化されなかった。HA−308A PKBαの活性は未刺激野 生型酵素の活性の約40%であり、かつMAPKAPキナーゼ−2によりリン酸 化後はSer−473でリン酸化された野生型HA−PKBαの活性に類似のレ ベルまで活性が増強された。興味あることに、(HA−473D PK同様に) リン酸化された野生型HA−PKBαよりも活性が5倍高かったHA−308D PKBαはSer−473のリン酸化により劇的に活性化された。MAPKA Pキナーゼ−2およびMgATPとの保温後は、HA−308D PKBαの活 性はSer−473でリン酸化された野生HA−PKBαの活性よりも約5倍高 かった(図12B)。これらの結果は、Thr−308またはSer−473い ずれかにおけるリン酸化は in vitro でのPKBαの部分活性化をもたらし、そ して両残基のリン酸化は結果としてこの酵素の相乗的活性化を引き起こすことを 暗示している。このアイデアは、Thr−308とSer−473の両方がAs pに変わった場合のさらなる実験により支持された。この二重変異体がCOS− 1細胞中で発現された場合、脱リン酸したその野生型プロテインよりも18倍も 高い比活性を示すことが判った。期待通り、この変異体の活性はMAPKAPキ ナーゼ−2およびMgATPとの保温(incubation)ではそれ以上は増強されな かった(図12B)。実施例5: Thr−308およびSer−473両方のリン酸化は in vivo でのPKBαの高レベル活性化に必要である。 図9. 293細胞中のインスリンによる活性化に及ぼすPKBαの変異の影響 (A)野生型PKBα、HA−D473−PKBα、およびHA−308D/ 473D−PKBαを発現するDNA構築体を用いて293細胞を過渡的にトラ ンスフエクションした。100nM wortmannin の存在下または不在下に10分 間処理後、インスリン100nMの存在下または不在下、wortmannin の連続的 存在下で細胞を10分間刺激した。PKBαを溶解物から免疫沈降させ、評価し 、かつ活性は方法中に記載のようなHA−PKBα発現の相対レベルを修正した 。未刺激293細胞から得られた野生型A−PKBαの比活性に比べた結果を表 示する。(B)各溶解物からのプロテイン20μgを10%SDS/ポリアクリ ルアミドゲル上で電気泳動し、モノクロナールHA−抗体を用いて免疫ブロッテ イングした。 未刺激細胞由来のHA−473A PKBα活性の基本的レベルは野生型PK Bαのレベルに類似していた(図8A)。HA−473A PKBαを発現する 293細胞をインスリンまたはIGF−1で刺激すると、この変異体の活性がそ れぞれ3倍および5倍に増加した;すなわち同一条件で過渡的に発現および刺激 されている野生型HA−PKBαの活性の15%へと高められた。また未刺激細 胞におけるHA−308A PKBαの基本的活性も未刺激細胞由来の野生型H A−PKBαの活性に類似していたが、この変異体の活性化はインスリンまたは IGF−1による細胞の刺激後にはなんら生起しなかった。これらのデータは in vitro での実験と一致し、かつPKBαの最大活性化にはSer−473お よびThr−308両方のリン酸化を必要とし、かつ両残基のリン酸化が酵素の 相乗的活性化を引き起こすことを示している。これらの結果と矛盾せずに、HA −473D PKBαは未刺激細胞中で発現されると、野生型HA−PKBαよ りも5倍高い活性を示し、HA−308D/HA−473D二重変異体は40倍 も高い活性を示す。インスリン刺激後、HA−PKBαは野生型酵素で観察され た活性に類似のレベルまで活性化されるのに反し、HA−308D/HA−47 3D二重変異体はそれ以上は活性化されなかった(図13)。予想通り、インス リンによるHA−473D PKBαの活性化は wortmannin により阻止され、 かつHA−308D/HA−473D二重変異体の活性は wortmannin に抵抗し た(図13)。実施例6: Thr−308のリン酸化はSer−473のリン酸化に依存せず 、逆も同様である(293細胞において) 。 (図10)293細胞の10cm皿をHA−308A PKBαまたはHA−4 73A PKBαのいずれかでトランスフエクションし、32Pラベルし、次いで IGF−1(50ng/ml)または緩衝液のいずれかで剌激した。これらの32 PラベルPKBα変異体を溶解物から免疫沈降させ、4−ビニルピリジンで処理 し、10%ポリアクリルアミド上で電気泳動し、ゲルから切り取ってトリプシン で消化し、次いでC18カラム上でクロマトグラフイーに処した。リン酸化された 残基Ser−124、Thr−308、Thr−450、Ser−473を含む トリプシンペプチドをマークし、これらの帰属(assignment)をホスホアミノ酸 分析により確認し、リン酸化部位を識別するための配列決定を行った(データは 示さず)。Thr−308およびSer−473を含むホスホペプチドはIGF −1による刺激を省略した場合には存在しないのに反して、Ser−124およ びThr−450含有ホスホペプチドは野生型PKBαの際に観察されたものと 類似レベルで存在した(図9A)。同様の結果が別個3回の実験で得られた。 これらの実験は、IGF−1刺激がThr−308におけるHA−473AP KBαのリン酸化を誘発し、さらにSer−473におけるHA−308APK Bαのリン酸化も誘発することを実証した。同様の結果がIGF−1よりもむし ろインスリン刺激後に得られた。実施例7: IGF−1またはインスリンは、触媒的に不活性なPKBα変異体 のThr−308およびSer−473のリン酸化を誘発する。 図15. 293細胞中に発現された触媒的に不活性なPKBα変異体(HA− KD−PKBα)は、IGF−1刺激後にThr−308およびSer−473 においてリン酸化される 。 HA−KD−PKBα DNA構築体を用いて過渡的にトランスフエクション された293細胞の各10cm皿を32Pラベルし、緩衝液(A)、50ng/m lのIGF−1(B)または100nM インスリン(C)で10分間保温した 。この32PラベルHA−KD−PKBαを溶解物から免疫沈降させ、4−ビニル ピリジンで処理し、10%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動し、ゲルから切 り出し、トリプシンで消化し、次いでC18カラム上でクロマトグラフイーに処し た。リン酸化された残基Ser−124、Thr−308、Thr−450およ びSer−473を含むトリプシンペプチドがマークされる。同様の結果が(A )および(B)の場合の別途3回、(C)の場合の別途2回の実験で得られた。 Lys−179がAlaに変わった(上記)HA−KD−PKBαと呼称する この”キナーゼ(死)(kinase dead)”PKBα変異体を、293細胞中で過 渡的に発現させると、その発現レベルは同一条件下で発現した野生型HA−PK Bαのレベルよりも数倍も低いことが判った(図8B)。予期通り、HA−KD −PKBαを発現する293細胞がインスリンまたはIGF−1で刺激された場 合にはPKBα活性はなんら検出されなかった(図7A)。 HA−KD−PKBαで過渡的にトランスフエックションされている293細 胞を32Pラベルし、次いで緩衝液、インスリンまたはIGF−1で刺激し、これ らの条件下でリン酸化されたPKBα上の部位をマッピングした。未刺激293 細胞(図9)からの野生型HA−PKBαとは反対に、HA−KD−PKBαは Ser−124においてこれより著しく低レベルでリン酸化されたが、Thr− 450では同程度でリン酸化された(図15A)。IGF−1(図15B)また はインスリン(図14C)による刺激後は、HA−KD−PKBαはThr−3 08およびSer−473を含むペプチドでリン酸化されるようになり、これら 部位のリン酸化の程度は少なくとも野生型PKBα程度に高い。これらペプチド のアミノ酸配列決定によれば、これらはThr−308およびSer−473そ れぞれでリン酸化されたことを実証した。 上記実施例は、PKBはGSK3 活性に影響すること;Thr−308および Ser−473は、インスリンまたはIGF−1に応答してリン酸化されるよう になるPKBα中の主要残基であること(図2および5);また高レベルのPK Bα活性を生成するのには両残基のリン酸化が必要であることを実証した。この ようにThr−308またはSer−473いずれかのAlaへの変異は293 細胞中でインスリンまたはIGF−1によりトランスフエクションされたPKB αの活性化を顕著に低減させる(図8)。そのうえPKBαは、Thr−308 またはSer−473のいずれかがAspに変化したり、またはSer−473 が in vitro でKAPMAPキナーゼ−2によりリン酸化された場合には in vi tro で部分的に活性になり、かつPKBαのD308変異体がMAPKAPキナ ーゼ−2によりリン酸化されたり、またはThr−308およびSer−473 両方共にAspに変異(図12)した場合には、なお一層活性になる。くわえて 、D308/D473二重変異体はインスリンによる細胞の剌激ではそれ以上は 活性化され得なかった(図13)。これらの観察は、Thr−308およびSe r −473のリン酸化が相乗的に作用して高レベルのPKBα活性を生ずることを 証明している。 Thr−308、およびそれを取り巻くアミノ酸配列は、ラットPKBβおよ びPKBγ中に保存されるが、興味あることにSer−473(およびそれを取 り巻く配列)はPKBβ中にのみ保存される。ラットPKBγでは、Ser−4 73はC末端23残基が削除されるので消失する。このことは、PKBγの調節 がラットにおけるPKBαおよびPKBβの調節から著しく異なり得ることを暗 示しいている。 Thr−308は多くの他のプロテインキナーゼで見いだされる活性化性リン 酸化部位と同位置、すなわち保存Ala−Pro−Gluモチーフの9残基上流 、キナーゼ触媒領域のサブ領域VIII中に位置する。しかしSer−473は 、p70 S6 キナーゼ、PKCおよびp90rsk(Personら、1995)等の、 成長因子刺激のキナーゼカスケードに関与するいくつかのプロテインキナーゼ中 に存在する共通配列Phe−Xaa−Xaa−Phe/Tyr−Ser/Thr −Phe/Tyr中の触媒領域に向かってC末端に置かれている。しかし、通常 のプロテインキナーゼは次の理由ですべての酵素中でこのモチーフをリン酸化す るとは考え難い。先ず、p70 S6 キナーゼ中の対応部位のリン酸化は、イン スリンによるPKBαの活性化を阻止しない(Cross ら、1995)免疫抑圧薬物ラ パマイシン(Pearson ら、1995)により阻止されるか、またはSer−473に おけるリン酸化である(D.Alessi、未公開研究)。次に、プロテインキナーゼ C中の対応残基は構成的にリン酸化され、したがって成長因子による刺激によっ ては誘発されない(Tsutakawa ら、1995)。 MAPKAPキナゼ−2は、細胞がインターロイキン−1または腫瘍壊死因子 で刺激されたり,細胞性ストレスを受けた場合(Rouse ら、1994;Cuendaら、19 95)に活性化されるようになるプロテインキナーゼカスケードの1成分である。 MAPKAPキナーゼ−2はSer−473で化学量論的にPKBαをリン酸化 (図11)するが、この発見はPKBα活性の調節におけるSer−473リン 酸化の役割を確認する上で有用であった。しかし、MARKAPキナーゼ−2活 性はL6 細胞中のインスリンにより少しは刺激されるが、インスリンまたはIG F−1に応答する293細胞中ではなんらの活性化も検出できなかった。そのう え、L6 細胞または293細胞を化学的ストレス(0.5mM 亜ヒ酸ナトリウ ム)に曝露すると他の細胞で見られるように(Rouse ら、1994; Cuendaら、1995 )MARKAPキナーゼ−2を強力に活性化した(D.Alessi、未公開研究)が、 PKBαは全く活性化しなかった。 そのうえ、MARKAPキナーゼ−2の直上流に位置するプロテインキナーゼ の特異的阻害剤である薬剤SB203580(Cuendaら、1995)は亜ヒ酸塩によ るMARKAPキナーゼ−2の活性化は阻止するが、インスリンまたはIGF− 1によるPKBαの活性化には影響しない。最後に,PKBαの活性化はwortma nnin により阻止されるが(図6および9)、wortmannin はL6 または293細 胞中のMARKAPキナーゼ−2の活性化には影響を与えない。PKBα(HF PQFSY)のSer−473を取り巻く配列は、位置n−3における残基Ar gおよび位置n−5における疎水性嵩高残基(nはリン酸化残基の位置)を必要 とするMARKAPキナーゼ−2によるリン酸化の場合の最適コンセンサスには 従がわない。残基465−478を含む合成ペプチドのリン酸化に対するKm は 、標準MARKAPキナーゼ−2基質ペプチドの場合のKm より約100も倍高 い(データは示さず)。したがって、MARKAPキナーゼ−2が invivo で Ser−473のリン酸化を仲介するとは考え難い。 Thr−308およびSer−473を in vivo でリン酸化する酵素(単数 または複数)はPKBα自体ではないらしい。このように、部分活性Asp−3 08変異体のMgATPとの保温はSer−473のリン酸化を引き起こさず、 MARKAPキナーゼ−2を添加した際にのみ後者残基のリン酸化を引き起こす (図11A、図12)。同様にThr−308は、部分活性D473変異体、ま たはPKBαの部分活性Ser−473リン酸化形のいずれかをMgATPと保 温した際にはリン酸化されない。ホスフアチジルセリンおよびPIP3 を含む脂 質小胞にPKBαが結合した際もMgATPとの保温に際して活性化できず(Al essiら、1996)、かつ293細胞へのトランスフエクション後、PKBαの”ki nase dead”変異体はインスリンまたはIGF−1に応答してThr−308お よびSer−473上でリン酸化されるようになる(図14)。さらに、未刺激 またはインスリン刺激された293細胞のいずれかからのHA−PKBαはアミ ノ酸467−480を含む合成C末端ペプチドのリン酸化ができない。 未刺激L6 筋管では、この内性PKBαは多数の部位で低レベルでリン酸化さ れたが(図6A)、未剌激293細胞ではトランスフエクションされたこの酵素 はSer−124およびThr−450(図10)で著しくリン酸化された。S er−124およびThr−450の両方がプロリン残基を従えることは、”プ ロリン指向”プロテインキナーゼの関与を暗示している。Ser−124のリン 酸化は”kinase dead”PKBαが293細胞中にトランスフエクションされた 場合には著しく低減するが(図14)、C末端プロリンの存在はPKBαによる 合成ペプチドのリン酸化を放棄するので、PKBα自体によりSer−124が もしリン酸化されるとなれば驚きである(D.Alessiら、未開示研究)。トランス フエクションされたPKBαは未刺激293細胞(図12)中では不活性なので 、Ser−124およびThr−450のリン酸化はPKBαを直接活性化しな いことは明らかである。Ser−124は哺乳類PKBαイソ型のPH領域(do main)と触媒領域との間のリンカー領域(region)に位置しているが、Thr− 450とは異なり、Drosophia 同族体(homologue)中には保存されない(Andje lkovic ら、1995)。 仮説に拘泥することは好まないが上記結果は、PI 3−キナーゼを活性化す るアゴニストが次の機構の1つを経てPKBα活性を刺激するらしいことを暗示 している。先ず、PIP3またはPI3,4−ビスPは1つまたは2つ以上のプ ロテインキナーゼを活性化でき、このものは次いでThr−308およびSer −473でPKBαをリン酸化する。第2に、PIP3の形成は膜随伴プロテイ ンキナーゼ(単数または複数)により活性化される原形質膜へのPKBαの補充 (recruitment)を引き起こすことができる。Thr−308およびSer−4 73キナーゼを随伴するこの膜はそれ自体がPIP3により活性化され、かつT hr−308および/またはSer−473がPI3キナーゼにより直接リン酸 化される可能性もまた排除できない。その理由は、この酵素はそれ自体および他 のプロテインをセリン残基上でリン酸化することが知られているからである(La m ら、1994)。実施例 8: PKBの基質特異性に対する分子的基礎 PKBαはGSK3 活性に影響することは示されている。GSK3 αおよびG SK3 βは、インスリン刺激された2つの他のプロテインキナーゼ、すなわちp 70S6キナーゼおよびMAPキナーゼ活性化プロテインキナーゼ−1(MAP KAP−KI、p90 S6キナーゼとしても公知)により、Ser−21およ びSer−9でそれぞれリン酸化される。しかしこれらの酵素は、これらの活性 の特定阻害剤(ラパマイシン−p70 S6キナーゼ;PD98059−MAP KAPキナーゼ−1)が効果を有しないために、L6 筋管中のインスリンによる GSK3 の阻害に対しては速度限定的ではない(Cross ら、1995)。 グルコース輸送の刺激、脂肪酸合成およびDNA合成、アポプトシス(apopto sis)およびアクチン細胞骨格転移(rearrangements)に対する細胞の保護(Cap enterら、1996)を包含する、インスリンおよび成長因子の効果の多くに対して PI 3−キナーゼの活性化は必須である。これらの観察は、他のプロテインを リン酸化することによりPKBαがこれらの出来事のいずれかを仲介するするか 否かの疑問を提起する。本問題を解明するために、本発明者らはPKBαの基質 特異性必要条件を特徴ずけた。発明者らは、PKBαによるリン酸化に対する最 適共通配列はモチーフArg−Xaa−Arg−Yaa−Zaa−Ser/Th r−Hyd[ここでYaaおよびZaaは小さなアミノ酸(グリシン以外の)で あり、Hydは大きな疎水性残基(PheまたはLeu等の)]であることを見 いだした。発明者らはまた、PKBαがArg−Xaa−Arg−Xaa−Xa a−Ser−Hydモチーフ中に存るSer−36においてヒストンH2B(in vitro でPKBα評価にしばしば使用される基質)をリン酸化することも立証 した。これらの研究では、さらなるPKBα基質(Arg−Pro−Arg−A la−Ala−Thr−Phe)を確認したが、この基質は他のペプチドとは異 なり、p70 S6キナーゼまたはMAPKAP−K1のいずれによっても有意 な程度にはリン酸化されない。結果 プロテインキナーゼBαの調製 PKBαの基質特異性を調べるためには、他のプロテインキナーゼ活性のいず れにも汚染されていないキナーゼ製剤を得ることが先ず必要であった。したがっ て293細胞を、赤血球凝集素ラベルPKBα(Ha−PKBα)発現DNA構 築体を用いて過渡的にトランスフエクションし、IGF−1で刺激し、HA−P KBαが溶解物から免疫沈降した。IGF−1刺激によりPKBαの38倍活性 化が起こり(図16)、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による免疫沈 降物の分析結果によれば、赤血球凝集体モノクロナール抗体の重鎖および軽鎖と は別にクーマシーブルーで染色された主要プロテインは60 kDaPKBαで あったことが明らかになった(図16、レーン2および3)。少ない汚染物が空 pcMV5ベクターを用いてトタンスフエクションされた293細胞由来の対照 免疫沈降物中に存在したが、HA−PKB活性には欠けていた(図16、レーン 4)。さらに、IGF−1刺激293細胞の溶解物から免疫沈降した触媒的に不 活性な変異体HA−PKBαは、なんらのクロスチド(Crosstide)キナーゼ活 性を有さなかった(Alessiら、1996)。かくして、HA−PKB免疫沈降物中の 全ての クロスチド(Crostide)活性はPKBαにより活性化される。PKBαによりリン酸化されたヒストンH2B中の残基の識別 現在では異なった研究所で、3つの基質すなわちヒストン H2B、MBPお よび Crosstide がPKBα活性の評価に使用される。PKBαは4μMのKm および260U/mgのVmax で Crosstide をリン酸化し(表7.1A、ペプ チド1)、5μMのKm および68U/mgのVmax でヒストンHaBを、およ び5μmのKm および25U/mgのVmax でMBPをリン酸化した。このよう に、ヒストンH2BおよびMBPのVmax は Crosstide の場合のそれぞれ1/ 4および1/10である。PKBαによりリン酸化されたヒストンH2B中の残 基を識別するために、32PラベルヒストンH2Bをトリプシンで消化し(方法参 照)、生成ペプチドをpH1.9においてC18カラム上でクロマトグラフイーに 処した。19.5%アセトニトリルで溶離する唯一の主要32Pラベルペプチド( T1と呼称)が観察(図17A)された。そのペプチドはホスフォセリンを含ん でおり(データ示さず)、その配列はヒストンH2Bの残基34で始まり、およ び単一放射能バーストは、エドマン分解(図17B)の第3サイクル後に生起し ており、このことは、配列Arg−Ser−Arg−Lys−Glu−Ser− Tyr以内のSer−36においてPKBαがヒストンH2Bをリン酸化するこ とを示している。かくして、Crosstide においてリン酸化されたセリンの様に 、ヒストンH2BのSer−36はArg−Xaa−Arg−Xaa−Xaa− Ser−Hydモチーフ(ここでHydは嵩高疎水性残基−Crosstide中のPh e、H2B中のTyr)中に存在する。PKBαの基質特異性に対する分子的基礎 PKBαに対する基質特異性必要条件をさらに特性化するために、発明者はCr osstide のC末端およびN末端から引き続いて残基を除去することにより、P KBαにより効果的にリン酸化された最少配列を先ず決定した。N末端グリシン およびC末端から3残基までの除去は、PKBαによるリン酸化の反応速度には 影響しなかった(表7.1A、ペプチド1および5の比較)。しかしNまたはC 末端のいずれかをさらに切り詰めると、リン酸化は事実上廃止する(abolished) (表7.1A、ペプチド8および9)。PKBα(Arg−Pro−Arg−T hr−Ser−Ser−Phe)により効果的にリン酸化された最少ペプチドは 期待通り第2セリン残基で専らリン酸化されることが判った。この発見と一致す るように、このセリンがアラニンに変わった場合のペプチドはPKBαによりリ ン酸化されなかった(表7.1A、ペプチド7)。したがつて、さらなる全ての 研究は、表7.1A(下記参照)中のペプチド5の変異体を用いて実施した。 ペプチド5(表7.1A)の第2セリンをスレオニンにより置換した場合のペ プチドは30μMのKm および不変のVmax でリン酸化された(表7.1、ペプ チド6)。取り入れられた全ての32P放射能はホスホスレオニンとして存在し、 かつ固相配列決定によれば、このペプチドは期待通り第2スレオニン残基におい てのみリン酸化されることが明らかになった(データ示さず)。かくしてPKB αはセリン残基はもとよりスレオニンもリン酸化できるが、セリンの方を優先す る。 次に発明者らはペプチド5中の2つのアルギニンのいずれかをリシンに変えた 。これらの置換はPKBαによるリン酸化の速度を著しく低減させ(表7.1A 、ペプチド10および11)、両位置におけるアルギニン(単に任意の塩基性残 基ではなく)の必要性を実証した。 次いで発明者らは、C末端に接近して位置する残基をペプチド5中のリン酸化 セリンに変えた場合の効果を試験した(表7.1B)。このデータによれば、こ の位置における大きな疎水性残基の存在が有効なリン酸化には必須であり、漸進 的にKm が増加するにつれて、この位置におけるこの残基の疎水性が減少するこ とを明瞭に示している(表7.1B、残基1から4)。C末端残基をLysで置 換するとKm が18倍増加し、かつこの位置をGluまたはProのいずれかで 置換するとリン酸化は殆ど廃止する(表7.1B、ぺプチド5−7)。 2残基N末端に位置するThrをリン酸化セリンで置換すると、試験したアミ ノ酸のいずれもKm が増加した(表7.1C)。Alaで置換するとKm は僅か 2−3倍増加しただけであったが、他の残基で置換すると一層有害であり、As n(Thr同様のサイズで親水性の残基)で置換するとリン酸化は殆ど廃止した (表7.1C)。1残基N末端に位置するSerをリン酸化セリンで置換しても 、試験したアミノ酸のいずれに関してもKm を増加させるが、その効果は位置n −2(表7.1C)におけるよりも厳しくない。残基n−2およびn−1を両方 共Alaに変えると、生成ペプチドRPRAASFはPKBαによりリン酸化さ れるが、Km のみはRPRTSSFよりも5倍高かった。対照的にペプチドRP RGGSF、RPRAGSF、およびRPRGASFのリン酸化の効果はより低 かった(表7.1C)。PKBαの基質特異性のMAPKAPキナーゼ−1およびp70 S6キナーゼ との比較 MARKAP−K1およびp70 S6キナーゼはPKBαによりリン酸化さ れたGSK3 中の同じ残基をリン酸化し、合成ペプチドを用いた研究によれば、 MARKAP−K1およびp70 S6キナーゼも塩基性残基が位置n−3およ びn−5に存在するペプチドを優先的にリン酸化する(Leightonら、1995)こと が判明したので、発明者らはMARKAP−K1、p70 S6キナーゼおよび PKBαaの特異性を詳細に比較した。 MAPKAP キナーゼ1およびp70 S6キナーゼはそれぞれ0.2−3 .3μMという著しく低いKm 値でペプチドKKKNRTLSVAおよびKKR NRTLSVAをリン酸化する(表7.2)。しかしこれらのペプチドはPKB αにより50−900倍高いKm 値でリン酸化された(表7.2A、ペプチド1 および2)。p70 S6キナーゼに対する比較的特異的な基質であるペプチド KKRNRTLTV(Leightonら、1995)もPKBαにより著しく不十分にリン 酸化された(表7.2A、ペプチド4)。 Crosstide はPKBαと同様の効率でp70 S6キナーゼおよびMAPK AP キナーゼ−1によりリン酸化された((Leinghton ら、1995);表7.2B −ペプチド1および図18)。しかし、ペプチドRPRTSSFを生じさせるた めの Crosstide の切り詰めはMAPKAP−K1によるリン酸化にとり有害で 、p70 S6キナーゼの場合一層悪い(表7.2B−ペプチド1および2なら びに図18)。その上、RPRTSSF中のリン酸化セリンをスレオニンに変更 するとp70 S6キナーゼによるリン酸化の場合のKm をPKBαの場合より も一層増加させ、かつMAPKAP−K1によるリン酸化を殆ど廃止させた(表 7.2B−ペプチド3および図18)。このペプチドRPRAASFはPKBα の速度と本質的に同じ速度でMAPKAPによりリン酸化された;しかし、p7 0 S6によるリン酸化は事実上破棄された(表7.2B−ペプチド4および図 18)。これらの観察に基ずいて発明者らはペプチドRPRAATFを合成した 。このペプチドはPKBαにより25μmのKm およびRPRTSSFに類似の Vmat でリン酸化されたが、MAPKAP−K1またはp70 S6キナーゼの いずれによっても十分にはリン酸化されなかった(表7.2B−ペプチド5、図 18)。図18では、Crosstide の場合の評価におけるプロテインキナーゼ濃 度は0.2U/mlであり、かつ各ペプチド基質は濃度30μMで評価した。充 填バーはPKBα活性を示し、ハッチングのバーはMARKAPキナーゼ−1 活性を、グレーのバーはp70 S6キナーゼ活性を示す。各プロテインキナー ゼの活性は Crosstide(100)に対して比較したそれらの活性を示す。結果は 、それぞれ3回繰り返した2回の実験の場合の±SEMを示す。議論 発明者らは、PKBαによる有効なリン酸化に対する最少共通配列はArg− Xaa−Arg−Yaa−Zaa−Ser−Hyd[ここでXaaは任意のアミ ノ酸、YaaおよびZaaはグリシン以外の小さなアミノ酸(Ser、Thr、 Ala)であり、Hydは嵩高疎水性残基(Phe、Leu)である]であるこ とを確認した(表7.1)。最低Km 値を有するヘプタペプチドはRPRTSS Fであり、そのKm 5μMなる値は他のプロテインキナーゼの場合に確認された 最良ペプチド基質の多くに匹敵する。このペプチド(250nmole min −1 mg−1)の場合のVmax は、PKBαがこのプロテインキナーゼを過剰 発現するIGF−1刺激293細胞の抽出物から免疫沈降により得られたことか ら、過小評価の可能性もあり、またこのPKBαの重要部分がIGF−1処理に より活性化されなかった可能性もある。 位置n−3とn−5(このでnはリン酸化の部位を示す)の両アルギニン残基 の必要性は重要であり、これはいずれかの残基をリシンで置換するとリン酸化が 劇的に減少するからである。セリンとスレオニン残基の両方をAlaに変えると Km 値は約5倍と僅かに増えるだけであるが、位置n−1およびn−2ではセリ ンとスレオニンが好まれた。位置nではセリンが好まれたが、これはセリンをス レオニンに変えると6倍ほどKm 値が増えるからである。したがって、Km 25 μmおよびRPRTSSFに類似のVmax でリン酸化されたペプチドRPRAA TFは、部分精製調製物でPKBαを評価する場合のより良い基質となろう。こ れはクロスチド(Crosstide)とは異なって、1つのリン酸化可能残基のみを含 み、かつMAPKAP−K1またはp70 S6キナーゼによっては顕著にリン 酸化されないからである(表7.2、図18および下記参照)。 この研究では位置n−4のプロリンは変更しなかったが、これはこの残基がP KBαの特異性に対して臨界的ではないことが既に明瞭であったからである。残 基n−4はGSK3 βではプロリンであるが、GSK3 αではアラニンである。 両GSK3 イソ型は in vitro では等しく良好な基質であり(Cross ら、1995) 、ペプチドGRARTSSFA(GSK3 αにおける配列に該当)は10μMの Km およびVmax 230U/mgでPKBαによりリン酸化される(表7.1、 ペプチド2)。そのうえヒストンH2Bでは、PKBαリン酸化部位に対して4 アミノ酸N末端に位置する残基はセリン(図17)である。位置n−1およびn −2にGluおよびLysが存在することは、ヒストンH2BがペプチドRPR TSSFの1/4のVmax でPKBαによりリン酸化される理由を説明できる。 インスリンおよび他の成長因子であるp7 S6キナーゼおよびMAPKAP− K1により活性化される他の2つのプロテインキナーゼは、位置n−3およびn −5において塩基性残基を必要とし(Leightonら、1995)、これらもまたGSK 3 を in vitro でリン酸化し、かつ不活性化する理由も説明している(Sutherla ndら、1993)。実際のところ、PI 3−キナーゼの阻害剤により阻止されるイ ンスリンによる阻害とは異なり、EGFによるGSK3 の阻害はPI 3キナー ゼの阻害剤によって部分的に弱められるだけであるから、MAPKAP K1は EGFによるGSK3 の阻害においてある種の役割を演じている証拠がある。そ の上、NIH 3T3細胞では、EGFによるGSK3 αおよびGSK3 βの阻 害はMAPキナーゼキナーゼ−1(Elder ら、1995)の優性ネガテイブ変異体の 発現により著しく阻止される。反対に、p70 S6キナーゼはこれまでに試験 した細胞中ではGSK3 の阻害に対して速度限定的ではなく、その理由はEGF またはインスリンによるp70S6キナーゼの活性化を阻止するラパマイシンが これらのアゴニストによるGSK3 の阻害に影響しないためである(Cross ら、 1995、および Saitoら、1994)。 さらに、p70 S6キナーゼ、MAPKAP K1およびPKBα間の類似 性の中には、位置n+1のProを含むペプチドのリン酸化ができず、同位置の リシンを好まないことが包含される。このことは、in vivo でこれらのキナー ゼはMAPキナーゼ(Ser/Thr−Proモチーフをリン酸化する)または プロテインキナーゼ C(リン酸化部位よりC末端塩基性残基を好む)と同じ残 基をリン酸化する様子がないことを暗示している。しかし、この度びの研究では 、これらの酵素の特異性には著しい差異があることも明瞭になった。特にMAP KAP−K1および(より少ない程度で)p70 S6キナーゼはリシンによる 位置n−5でのArgの置換に耐え得るのに反して、PKBαは耐え得ない[表 7.1参照、表7.2および(Leightonら、1995)]。MAPKAP−K1およ びp70S6 キナーゼも位置n−3でのLysによるArgの置換にはある程 度は耐え得る。例えばペプチドKKRNKTLSVAは、ペプチドKKRNRT LSVA(表7.2参照)の場合のKm 値0.7および1.5μMに比べて、そ れぞれKm 値17および34μMでMAPKAP−K1およびp70 S6キナ ーゼによりリン酸化される。対照的にPKBαは、ぺプチドKKRNKTLSV Aを(表7.2A)、または位置n−3でArgを欠く他のいずれのぺプチドを もリン酸化しない。MAPKAP−K1ではなくてPKBαおよびp70 S6 キナーゼはSerはもとよりThrをリン酸化し(表7.1A)、かつ位置n+ 2におけるいずれかの残基を欠くぺプチドをリン酸化できる[(Leighton 、ら 、1995)および表7.2A]のに反して、p70 S6ではなくてMAPKAP −K1はペプチドRPRTSSFのn−1およびn−2両位置のAlaによる置 換に耐え得る(表7.2B)。これらの差異はぺプチドRPRAATFがPKB αに対するかなり特異的な基質であることの理由を説明している。 MAPKAP−K1およびp70 S6キナーゼ(KKRNRTLSVA)に 対する最良ぺプチド基質の1つは、位置n−3およびn−5にArgが存在する にも係わらず、PKBα(表7.2、ぺプチド2)に対しては不充分な基質であ った。位置n−1のLeuおよび位置n+1のValの存在は、PKBαが前者 位置の小さな親水性残基および後者位置の大きな疎水残基を好むので、リン酸化 に対する高いKm 値を多分説明できそうである(表7.1および7.2)。実施例 9: この実施例は、野生型または構成的に(constitutively)活性化されたPKB のいずれかと共にGSK3 が293細胞中で共発現すると、GSK3 がリン酸化 され、かつ不活性化されるようになることを示す。しかし、Ser−9がAla 残基に変異しているGSK3 変異体の共発現の場合、これらの条件下では不活性 化されない。これらの実験は、PKBα活性化が細胞性環境中でGSK3 のリン 酸化および不活性化を仲介できるので、特異的PKB阻害剤を捜す評価系として 利用できる根拠を提供する。 配列EFMPME(EE)抗体およびその(EQKLISEEDL)c−My cを認識するモノクロナール抗体は Boehringer(Lewis、UK)から購入した。発現ベクターの構築および293細胞中へのトランスフエクション HA−PKBα、HA−KD−PKBおよび308D/473D HA−PK Bαについては先の記載がある(Alessiら、1996)。 N末端にEFMPME(EE)エピトープ標識を有するヒトGSK3 Bを発現 するDNA構築体を次のように調製した:pBluescript SK+ベクター、および オリゴヌクレオチド GCGGAGATCTGCCACCATGGAGTTCATGCCCATGGAGTCAGGGCGGCCCAGAACC および [bgl II部位(下線)およびBspe I部位(二重下線)を伴う]中で ヒトGSK3 β cDNAクローンを鋳型として標準PCR反応を実施した。次 いで三法連結(three-way ligation)を開始して生成PCR産物をBg1 II −Bspe I断片としてGSK3 βのC末端BspeI−Cla I断片と共に pCMV5 ベクター(Andersonら、1985)のBg1 II−Cla I部位中に サブクローニングした。DNA配列決定によりこの構築体を確認し、メーカーの 指示に従って Quiagen プラスミド Mega キットを用いて精製した。このc−M yc GSK3、BA9構築体はSer−9がAlaに変異しているGSK3βを コードし、かつC末端にc−mycエピトープラベルを有し、かつSperberらの 記載のように調製した。次いでこのc−0Myc GSK3β A9遺伝子をpc MV5 真核発現べクターのxba I/ECOR I部位中にサブクローンした 。PKBαとGSK3 βとの共トランスフエクションおよびその評価 径10cm皿上に成育した293細胞を、Alessi ら(1996)の記載に正確に 準拠してHA−PKB、HA−KD−PKBまたはHA−308D/473D− PKBの存在または不在下にEE−GSK3、Myc−GSK3 A9を発現するD NA構築体10μgを用いてランスフエクションした。溶解に先立ちこの細胞を 血清の存在なしに16時間成育させ、次いで1.0mlの氷冷緩衝液A [50mM Tris/HCl pH 7.5、1mM EDTA、1mM EGTA、1%(容量)Triton X100、1m Mオルトペルバナジン酸塩ナトリウム、 10mM ナトリウムグリセロホスフエート、 50mM NaF、 5mM ナトリウムピロホスフエート、 1 μM Microcystin-LR 、 0.27M スクロース、 1mM ベンズアミジン、 0.2mM フエニルメチルスルホニルフルオライド、 10μg/ml leupeptin、 および 0.1%(容量)2-メルカプトエタノール]1.0ml中で溶 解した。この溶解物を13,000×gで10分間4℃で遠心分離し、上澄みの アリコット(100ugプロテイン)をEEモノクロナール抗体1ugに結合し たプロテインG−Sepharose 5μlと共に震盪台上で30分間保温し た。この懸濁物を13,000×gで1分間遠心分離し、プロテインG−Se pharose−抗体−EE−GSK3 β複合体を0.5M NaCl含有緩衝 液A1.0mlで2回洗浄し、緩衝液B[50mM Tris pH 7.5、0.1mM EGTA、0.01 %(容量) Brij-35および 0.1% (容量)2-メルカプトエタノール]で3回洗浄し、さらに前 記(Cross ら、1994)の通りPP2Aまたは microcystin 不活性化PP2Aの いずれかと保温後、この免疫沈降物のGSK3 を評価した。 結果 PKBαとのGSK3 βの293細胞中での共トランスフエクションは結果と してGSK3 のリン酸化および不活性化を起こす 野生型PKBαを発現するDNA構築体、触媒的に不活性なPKBαまたは構 成的に活性なHa−(308D/473D)−PKBαの存在または不在のいず れかで、EE−エピトープ標識GSK3 β発現DNA構築体を用いてヒト胎児腎 293細胞をトランスフエクションした。細胞を16時間血清枯れ状態に置いた 。トランスフエクション後36時間、細胞を溶解し、モノクロナールEE抗体を 用いて溶解物からGSK3βを免疫沈降させ、PP2A処理前または後でGSK3 β活性を測定した。EEGSK3 βが単独で発現された場合または触媒的に不活 性なPKBαの存在下で発現された場合、EE−GSK3 βのPP2Aによる処 理は単に活性の約12%増加という結果になった(図19A)。しかし、EE− GSK3 βを野生型PKBαまたは構成的に活性化された308D/473D− HA−PKBαのいずれかと共発現させると、これらの細胞溶解物からのEE− GSK3 のPP2Aによる処理はGSK3 活性がそれぞれ68%および85%も の増加という結果になった。HA−PKBまたは構成的に活性な308D/47 3D−HA−PKBαとのMyc−GSK3 βA9 の共発現は、PP2A(図1 9B)により再活性化されるべきその能力により判定されるように、結果として このGSK3変異体の有意な不活性化を起こさなかった。これらのデータは、細胞 性環境下でさえもPKBαは、Ser−9におけるGSK3 βのリン酸化およ びこの酵素の不活性化が可能であることを実証している。EE−GSK3 βおよ びHA−PKBαの相対的レベルを判断するために、EE−GSK3 およびHA −PKBαを等容量の細胞溶解物から免疫沈降させ、免疫沈降物をSDS−ポリ アクリルアミドゲル上に流し、ゲルをクーマシーブルーで染色した。これらの実 験は、野生型HA−PKBαおよび308D/473D−PKBαの両方がGS K3 αよりも20倍から30倍もの高いレベルで発現されるのに反して、KD− PKBαは野生型PKBαの約1/5のレベルであることを明らかにした。免疫 沈降に用いた条件下、PKBαはGSK3 βとは共免疫沈降せず、またはGSK 3βはPKBαとは共免疫沈降しなかった(データは示さず)。すべての形のP KBαとEE−GSK3 βとの共発現は、結果として細胞中単独で発現した場合 に比べてEE−GSK3 βの発現レベルが約1/2−1/3に減少する結果にな った。実施例10:PKBの活性に影響する薬剤を識別するための基本的評価 50mM Tris/HCl pH7.5、0.1mM EGTA、0.1% (容量)2−メルカプトエタノール、2.5μM PKI、プロテインキナーゼ 基質(30μM)中にプロテインキナーゼ(0.2U/ml)、および表示濃度 のRo−318220またはGC109203X(テスト阻害剤)を含む40μ l検定ミックスを調製した。氷上で10分間保温後、50mM 酢酸マグネシウ ム10μおよび0.5mM[γ32P]ATP(100−200cpm/pmol )の添加により反応を開始させた。PKCの混合イソ型評価のために、この保温 物中には20μM ジアシルグリセロール、0.5mM CaCl2および10 0μM ホスフアチジルセリンも存在させた。30℃で15分間評価し、次いで 反応を終了し、文献記戦のように分析した(Alessiら、1995)。活性の1単位は 、1分間に基質1nmolのリン酸化を触媒した酵素量であった。各評価におけ るDMSOの最終濃度は1容量%であった。このDMSO濃度は、これらの酵素 の いずれをも阻害しない。PKCの混合イソ型はヒストンH1を基質として用いて 評価し、一方、MAPKAP−K1βおよびp70 S6キナーゼはペプチドK KRNRTLSVA(Leighton ら、1995)を用いて評価した。プロテインキナ ーゼBはペプチドGRPRTSSFAEG[9]を用いて評価し、およびMAP KAP−K2はペプチドKKLNRTLSVA(Stokoeら、1993)を用いて評価 した。p42 MAPキナーゼはMBPおよびMAPKK−1を用いて評価し、 かつc−RaflはAlessi 1995 記載のように評価した。結果 成長因子、サイトカインおよび細胞性ストレスにより活性化されたプロテイン キナーゼに及ぼすRo318220およびGF109203Xの影響。 発明者らの評価(図20A)における5nMのIC50を用いて、PKCの混合 イソ型がRo318220により強力に阻害された。対照的に、成長因子(c− Raf1、MAPKK−1、p42 MAPキナーゼ)により活性化された多数 のプロテインキナーゼ、ならびに細胞性ストレスおよび前炎症性サイトカイン( MAPKAP−K2)により活性化された1つのプロテインキナーゼはinvitro ではRo318022によって顕著には阻害されなかった(図20A)。インス リンおよび成長因子に応答して活性化される酵素すなわちプロテインキナーゼB はPKAの場合のIC50同様にRo 318220(1μMのIC50、図20B )により阻害された。しかし驚いたことに、p42およびp44 MAPキナーゼの 直下流に在り、かつこの経路を刺激するすべてのアゴニストに応答して活性化さ れる酵素MAPKAP−K1Bは、混合PKCイソ型より一層強力にRo318 220により阻害された(IC50=3nm、図20B)。MAPKAP−K1B から明瞭に区別される、成長因子刺激シグナル経路上に在るp70 S6キナー ゼもまたRo318220により強力に阻害されたIC50=15nM、図20B )。 Ro318220の代わりにGF109203Xを用いても同様の結果が得ら れた。以前報告されたように(Toullec ら、1991)、GC109203Xは、プ ロテインキナーゼB(図21)もしくはc−Raf、MAPKK−1およびp42 MAPキナーゼを阻害することなくPKCの混合イソ型を阻害した(IC50=3 0nM)。しかし、MAPKAP−KIBおよびp70 S6キナーゼはIC50値 がそれぞれ50nMおよび100nMでこの化合物により強力に阻害された(図 21)。 一般材料および方法 組織培養試薬、myelin 塩基性タンパク質(MBP)、ミクロシスチン−LR 、およびIF−1は Life Technologies Inc.(Paisley,UK)から入手、イン スリンは Novo-Nordisk (Bagsvaerd,Denmark)から、無リン酸塩 Dulbecco′smi nimal essential medium(DMEM)は(ICN,0xen,UK)から、プロテインG-Sepha rose および CH-Sepharose は Pharmacia(MiltonKeynes.UK)から、アルキル 化トリプシンは romega(Southampton,UK)から、4−ビニルピリジン、wortma nnin および ヤギからのフルロイソチオシアネートラベル抗マウスIgG は Si gma-Aldrich(Poole,Dorset,UK)から入手し、ポリクロナール抗体はペプチド RPHFPQFSYSASGTA(げっ歯類PKBαの最後15残基に該当)およびMTSALATMRV DYEQIK (ヒトMARKAPキナーゼ−2の残基352から367に該当)に対 してヒツジ中で生成し、ペプチド-CH-Sepharose 上で親和精製した。モノクロナ ール HA 抗体は組織倍地 12CA5 ハイブリドーマから精製し、Protein GSeph arose 上でクロマトグラフイーにより精製した。PKBαの残基465−47 8に該当するペプチド RPRHFPQFSYSAS は Applied Biosystems 430A ペプチド シンテサイザーで合成した。ヒトMARKAPキナーゼ−2の残基46−400 をコードするcDNAはグルタチオン S−トランスフエラーゼ融合タンパク質 として E.Coli 中に発現させ、前記(Ben-Levyら、1995)に従いM r.A.Clifton (University of Dundee)により p38/RK MAP KINASE を用い て活性化した。 赤血球凝集素(HA)エピトープ配列 YPYDVPDYA を認識するモノクロナール 抗体、Protein G-Sepharose およびヒストン H2Bは Boehringer(Lewes,UK )から入手した。MARKAPキナーゼ−1(Sutherlandら、1993)およびp7 0 S6キナーゼ(Leightonら、1995)はウサギ骨格筋およびラット肝からそれ ぞれ精製した。 発現ベクターの構築 ヒトHAPKBαおよび kinase − dead(K179A)HA−KD−PKBαをコ ードするpECE構築物については既に述べた(Andjelkovicら、1996)。Se r−473(HA−473A PKBαおよびHA−473D PKBαにおけ る変異体はアミノ酸406−414をコードする5’オリゴヌクレオチドを用い 、かつアミノ酸468−480をコードする3’オリゴヌクレオチドを変異させ てPCRにより創り、生じたPCR産物はCelII-EcoRI 断片としてpECE. HA−PKBα中にサブクローンした。Thr−308変異体(HA−308A PKBαおよびHA308D PKBα)は2段階PCR技法(Noら、1989)に より創り、NotI-EcoRI 断片としてpECE.HA−PKB中にサブクローンし た。二重変異体HA−308D/473D PKBは473DをコードするCelI I-EcoRI 断片をpECE.HA−308D PKBα中にサブクローンして作 った。サイトメガロウイルス由来の発現構築体の構築は、適当なpECE構築体 からのBglII−XbaI断片をpCMV5ベクター(Andersson ら、1989) の同じ制限部位中にサブクローンした。 すべての構築体は制限分析により確認し、かつ配列決定し、さらにQuiagen Pl asmid Maxi Kit を使用しメーカーの指示に従って精製した。すべてのオリゴヌ クレオチド配列は依頼時入手できる。 L6 筋管の32PラベルおよびPKBαの免疫沈降 L6 細胞を径10cm皿上の筋管中に分化した(Hundalら、1992)。この筋管 はDMEM中に一夜放置した血清由来のもので、無リン酸塩DMEM中で3回洗 浄し、この媒体5mlを用いてさらに1時間保温した。次いでこの筋管を無リン 酸塩DMEMで2回洗浄し、無担体[32P]オルトリン酸塩(1mCi/ml) を用いて4時間保温した。100nM wortmannin の存在または不在条件で10 分間保温後、この筋管を100nMインスリンの存在または不在条件下、37℃ で5分間刺激し,氷上に置き、媒体を吸引し、筋管を氷冷DMEM緩衝液で2回 洗浄し、次いで氷冷緩衝液A(50mM Tris/HCl pH7.5、1mM EDTA 1mM EGTA、1% (容量) Triton XI00、lmM ナトリウムオルソペルバナジン酸塩、10mM ナトリウムグリセロリン酸 、 50m1NaF、 5mM ナトリウムピロホスフエート、 1 μM Microcystin-LR 、 0.27 M スクロース、 1M ベンズアミジン、 0.2mM フエニルメチルスルホニルフルオライド、 10 μg/ml ロイペプチン、 および 0.1% (容量)2-メルカプトエタノール )の1.0mlを用いて溶解した。この溶解物を13,000×gにおい て4℃で10分間遠心分離し、震盪台上で30分間、50μgの前免疫ヒツジIg Gに結合した Protein G-Sepharose 50μlと共に保温した。この懸濁液を1 3,000×gで2分間遠心分離し、上澄み液を60μgのPKBα抗体(Harl ow および Lane、1988)に共有結合した30μlのProtein G-Sepharose で6 0分間保温した。この Protein G-Sepharose- 抗体- PKBα複合体を0.5M NaClを含有する1.0mlの緩衝液Aで8回、50mM ris/HCl pH.7.5、0.1 mM EGTA および 0.1%(by vol)2-メルカプトエタノール(緩衝液B)を用いて2回洗浄 した。 免疫沈降したPKBαの評価およびタンパク質決定 各免疫沈降物(それぞれ免疫沈降した全PKBαの僅か5%を含む)の3アリ コットのそれぞれについてペプチド GRPRTSSFAEG のPKBα活性を前記のよう に評価した(Cross ら、1995)。活性の1単位は1分間に基質1nmolのリン 酸化を触媒する量であった。プロテイン濃度は Bradford 、1976の方法により決 定した。 リン酸化したPKBαの in vivo でのトリプシン消化 2質量%SDSおよび2容量%2−メルカプトエタノールの等容量中に上記免 疫沈降PKBαを添加し、100℃で5分間保温した。室温に冷却後、4−ビニ ルピリジンを最終濃度2容量%になるように添加し,混合物を震盪台上で30℃ 、1時間保温し,次いで10%アクリルアミドゲル上で電気泳動した。オートラ ジオグラフイー後、ラットPKBαに該当する60kDaバンドを切り取り、ゲ ル片を0.1%質量SDSおよび5容量%の2−メルカプトエタノールを含む2 5mM N-エチルモルホリン・HCl pH 7.7の5容量中に均一化した。この懸 濁液を震盪台上で37℃で1分間保温し、次いで13,00×gで1分間遠心分 離し、上澄み液を捕集した。ペレットを同一緩衝液5容量でさらに1時間保温し 、、13,000×gで1分間遠心分離した。2つの上澄み液(80−90%の32 P放射能を含む)を併合し、100質量%トリクロロ酢酸0.2容量を添加、 次いでこの試料を氷上で1時間保温した。この懸濁液を13,000×gで10 分間遠心分離し、上澄み液を廃棄し、ペレットを水0.2mlで5回洗浄した。 次いでペレットを1μgのアルキル化トリプシンを含む 50M Tris/HCl pH 8.0、 0.1%(by vol) Triton X100の0.3mlを用いて30℃で保温した。3時間後、 トリプシンをさらに1μg添加し,上澄み液をさらに12時間放置した。グアニ ジニウム・塩酸塩(8M)を添加して最終濃度1.0Mとして残ったSDSのい ずれも沈殿させ、氷上に10分間放置ご、懸濁液を13,000×gで5分間遠 心分離した。32P放射能の90%を含む上澄み液を図2の説明の記載に準拠して Vydac C18 上でクロマトグラフイーにかけた。 293細胞のトランスフエクションおよびHA標識PKBαの免疫沈降 ヒト胎児腎293細胞を5%CO2 雰囲気下、37℃で径10cm皿上で10 %胎児子牛血清含有DMEM中で培養した。細胞を10cm皿当たり密度2×1 06に分割し、37℃で24時間後に、媒体を吸引し、10%胎児子牛血清を含 む新規調製DMEM10mlを添加した。この細胞は改変カルシウムリン酸法( Chenおよび Okayama、1988)により1μg/mlDNA/皿でトランスフエクシ ョンされた。0.45ml滅菌水中の10μgプラスミドDNAを50μlの滅 菌2.5M CaCl2中に添加し、次いで0.5mlの50mM N,N−ビ ス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸/HCl pH6. 96、0.28M NaClおよび1.5mM Na2HPO4を添加した。生成 混合物を1分間渦巻回転に処し(vortexed)、室温に20分間放置し、次いで2 93細胞の10cm皿に滴下した。この細胞を3%C02 雰囲気下に37℃で1 6時間放置し、次いで媒体を吸引し、10%胎児子牛血清含有新鮮DMEMで置 き換えた。この細胞を5%CO2 雰囲気下、37℃で12時間保温し、さらに血 清不在下でDMEM中、12時間保温した。細胞を0.1% DMSOの存在下 、または0.1%DMSO中の100nM wortmannin の存在下に10分間前保 温し、次いで100nM インスリンまたは50ng/mlのIGF−1のいず れかで wortmarnnin の連続的存在下で10分間刺激した。氷冷DMEMで2回 洗浄後、細胞を氷冷緩衝液A1.0ml中に溶菌し、溶解物を13,000×g で10分間、4℃で遠心分離し、上澄み液のアリコット(10μgプロテイン) を2μgのHAモノクロナール抗体に結合した5μlのProtein G-Sepharoseを 用いて震盪台上で60分間保温した。この懸濁液を13,000×gで1分間遠 心分離し、 Protein−Sepharose−抗体−HA−PKBα複合 体を0.5M NaCl含有緩衝液A1.0mlで2回、緩衝液Bで2回洗浄し 、さらに上記のようにPKBα活性を評価した。 HA−PKBαでトランスフエクションされた293細胞の32Pラベリング HA−PKBa DNA構築体でトランスフエクションした293細胞を無リ ン酸塩DMEMで洗浄し、L6 筋管の場合に記載したように[32p]オルトホ スフエート(1mCi/ml)と共に保温し,次いでインスリンまたはIGF1 で刺激し、溶解し、さらに上記のようにPKBαを免疫沈降させた。この32Pラ ベルHA−PKBα免疫沈降物を洗浄し、4−ビニルピリジンでアルキル化し、 電気泳動し、ラットL6 筋管中に存在する内因性PKBαの場合に記載したよう にトリプシンで消化した。 COS−1細胞のトランスフエクションおよびHA−PKBαの免疫沈降 COS−1細胞を5%CO2雰囲気下、10%FCSで補給したDMEM中に 37℃で保持した。70−80%融合細胞をDEAEデキストラン法(Seed &Ar uffo、1987)によりトランスフエクションし、48時間後に24時間血清枯れさ せた。この細胞を、50mM Tris-HCl 、pH 7.5、120mM NaCl 1% Nonidet p-40、25m MNaF 、 40mM ナトリウム-β- グリセロホスフエート、 0.1mM ナトリウムオルソバナジン酸塩、1mM EDTA、1mM ベンズアミジン、 1mM フエニルメチルスルホニルフルオライド を含む緩衝液中で溶解し、溶解物を13,0 00×g、4℃で15分間遠心分離した。上澄み液を0.1容量の 50%Sepharos e 4B/25% Pansorbin(それぞれPharmacia および Calbiochem)を用いて4℃で 30分に1回予備清澄化し、次いでHA−PKBαを Protein A Sepharoseビー ズに結合した12CA5 を用いて抽出物Imgから免疫沈降させた。免疫沈降物 を0.5M NaCl含有溶解緩衝液で2回、溶菌緩衝液で1回洗浄した。 免疫ブロッテイングおよびPKBα発現レベルの定量 細胞抽出物を7.5%SDS−PAGEにより分解し、Immobilon 膜(Milli pore)に移した。フイルターを1xzBS、1%Triton x−100およ び0.5% Tween 20中の5%スキムミルクを含む阻止緩衝液中で30 分間ブロックし、次いで同一緩衝液中に1000倍希釈した12CA5上澄み液 を用いて2時間保温した。この第2抗体をヤギからの抗−マウスIg (Southem Biotechnology Associates,Inc)にアルカリ結合し、その緩衝液中 で1000倍希釈した。Bio−Radから入手したAP発色試薬を用いてメー カーの指示に従って検出を行った。PKBα発現レベルの定量は、ヤギからのフ ルロイソチオシアネートラベル抗−マウスIgGを第2抗体として用いた化学発 光、および Molecular Dynamics から市販の Storm 840/860 および ImageQua nt ソフトウエアを用いて遂行した。 PKBαの評価に使用するすべてのペプチドおよび TTYADFIASGRTGRRNAIHD( サイクリックAMP依存プロテインキナーゼ−PKIの特異性ペプチド阻害剤) は Applied Biosystems 431A ペプチドシンテサイザーを使用して合成した。こ れらの純度(>95%)はHPLCおよびエレクトロスプレーマススペクトロメ トリーにより確認し、かつそれらの濃度は定量アミノ酸分析により決定した。 PKBαの調製と評価 ヒト赤血球凝集をエピトープ標識野生型(HA−PKBα)のサイトメガロウ イルスベクター(pCMV5)の構築は前記のようである(Alessiら、1996)。 10cm皿上で成育した293細胞が、改変カルシウムホスフエート法(Alessi ら、1996)を用いてHA−PKBα発現DNA構築体でトランスフエクションし た。この細胞は溶解に先立って16時間血清を奪われ、PKBαの活性化のため に50ng/ml IGF−1の存在下、10分間刺激された。この細胞を1. 0ml氷冷緩衝液A(50mM Tris/HCl pH 7.5、1mM EDTA、1mM EGTA、1%(容量)Tr iton x-100 、 1mM ナトリウムオルトバナジン酸塩、 10mM ナトリウム β- グリセロホスフエート、 50mM NaF、 5mM ナトリウムピロホスフエート、 1 μM Microcystin-LR、 0.27M スクロース、 1mM ベンズアミジン、 0.2 mM フエニルメチルスルホニルフルオライド、 10μg/ml ロイペプチン (leupeptin)、 および 0.1%(容量 )2-メルカプトエタノール )中に溶解し、溶解物を13,000×gで10分間4℃で遠 心分離し、細胞(2−3mgプロテイン)の10cm皿1つから得た上澄み液を HAモノクロナール抗体10μgに結合した20μlのプロテイン G-Sep haroseと共に震盪台上で60分間保温した。この上澄み液を13,000×gで 1分間遠心分離し、この rotein G-Sepharose- 抗体-HA-PKBα複合体を0.5M NaCl含有緩衝液A1.0mlで2回、かつ緩衝液B(50mM ris/HCl pH7.5 、 0.1mM EGTA、 0.015(by vol)Brij-35 および 0.1%(容量)2-メルカプトエタノール )を用いて2回洗浄した。このPKBα免疫沈降物を Crosstide ペプチドGRPR TSSFAEG に対する活性2.0U/mlになるまで緩衝液B中で希釈し、0.1 mlアリコットを液体窒素中で急速凍結し−80℃で貯蔵した。PKBα免疫沈 降物の解凍に際し、または−80℃での3月以内貯蔵に際してもPKBα活性の 顕著な損失は生起しなかった。標準PKBαアッセイ(50μl)は次のものを 含有した:50mM Tris/HCl pH7.5 、 0.1mM EGTA、0.1%(容量)2-メルカプトエタノール、 2. 5 μMPKI、 0.2U/ml PKB α、 Crosstide(30 μM)、 10mM 酢酸マグネシウムおよび0.1mM [Y32P]ATP(100-200 cpm/pmol)。この評価を30℃で15分間行い、アッ セイ管は連続的に撹拌して免疫沈降物を懸濁状に保持し、次いで終了して文献記 載のように分析した(Alessiら、1995)。活性1単位は1分間に rosstide1n molのリン酸化を触媒する酵素の量であった。他のペプチド、ヒストンH2B およびMBPのリン酸化も同様な態様で実施した。HA−PKBα疫沈降物にお ける Crosstide活性のすべてはPKBαにより触媒され(結果参照)、免疫沈降 物中のPKBα濃度は標準としてウシ血清アルブミンを使用して、クーマシーブ ルー染色ポリアクリルアミドゲルのデンシトメータースキャニングにより推定し た。タンパク質濃度は標準としてウシ血清アルブミンを用い、Bradford法により 決定した(Bradfordら、1976)。ミカエリス定数(Km)およびVmax値は1/V 対1/Sの二重逆数プロット(ここで、Vはリン酸化の初期速度、およびSは基 質濃度を示す)から決定した。報告した全ての動的恒数に対する標準誤差は<± 20%以内であり、かつデータは3回の独立決定の場合の平均値として報告した 。図16に結果を未刺激PKBαの場合に得られた結果と対比して示す。 PKBαによりリン酸化されたヒストン2Bの典型的消化 ヒストンH2Bを0.2U/ml Ha−PKBαを用いてリン酸化した。6 0分後、0.2容量の100質量%トリクロロ酢酸を添加し、試料を氷上で1時 間保温した。この懸濁物を13,000×gで10分間遠心分離し、上澄み液を 廃棄し、ペレットを0.2mlの氷冷アセトンで5回洗浄した。このペレットを 50mM Tris/HCl pH8.0、アルキル化トリプシン2μgを含む 0.1容量% 還元Triton−X100の0.3ml中に再懸濁し、30℃ で16時間保温後、消化物を13,000Xgで5分間遠心分離した。32P放射 能の95%を含む上澄み液を、0.1容量%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液 を用いて平衡状態に置いたVydac C18カラム上でクロマトグラフイーにか けた。図17に示した結果については、このカラムは流速0.8ml/分におけ る直線的アセトニトリル濃度(斜線)を利用して展開し、フラクション0.4m lを採取した。(A)32PラベルヒストンH2Bのトリプシンペプチドマップ、 このカラムに適用した放射能の70%が19.5%アセトニトリルにおいて溶離 した主要32Pぺプチドから回収された。(B)この主要32Pぺプチド(50pm ol)の一部を Applied Biosystems 476A シークエンサーにより分析し、かつ エドマン分解の各サイクル後に識別されたフエニルチオヒダントイン(Pth) アミノ酸をアミノ酸の一文字コードを用いて示す。次いでこの主要32P−プチド (1000cpm)の一部を Sequelon アリールアミン膜に共有結合させ、Stok oe らが1992に記載した修飾プログラムを使用して Applied Biosystems 470Aシ ークエンサーで分析した。32P放射能はエドマン分解の各サイクル後に測定した 。 表 7.1 PKBαの基質特異性に対する分子的基礎 リン酸化残基は肉太活字で示し、変更された残基はアンダーラインで示す。V (100μM)はペプチド1に対する0.1mMペプチドにおけるリン酸化の相 対速度である。NDは未測定。*発明者らはプロリンで終結するペプチド合成は 困難であったので、ペプチドRPRTSSPのC末端にアラニン残基を付加した 。 次の資料を引用によって本明細書に包含する。参考文献
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1998年3月2日(1998.3.2) 【補正内容】 請求の範囲 1. グリコーゲン代謝および/またはタンパク質合成を調節する医薬を製造 するための、PKB、その類似体、イソ型、阻害剤、賦活剤、および/またはそ れらの機能的同等物の組成物の使用。 2. グリコーゲン代謝および/またはタンパク質合成が異常を示す疾病状態 と闘うための、請求項1に記載の使用。 3. 糖尿病と闘うための、請求項1または2に記載の使用。 4. PKBがPKBα、βもしくはγ、類似体、イソ型、阻害剤、賦活剤、 またはそれらの機能的同等物である、請求項1から3のいずれかに記載の使用。 5. PKB、その類似体、イソ型、または機能的同等物が、アミノ酸308 および473の一方もしは両方でリン酸化および/または突然変異により修飾さ れている、請求項1から4のいずれかに記載の使用。 6. PKBの活性に影響を与える作用薬を確認する方法であって、この方法 が a. 試験物質をPKB含有試料に曝露して混合物を形成させ; b. アミノ酸配列 Arg−Xaa−Arg−Yaa−Zaa−Ser/Th r−Hyd[ここで、Xaaはいずれかのアミノ酸、YaaおよびZaaはいず れかのアミノ酸、およびHydは大きな疎水性残基]を有する、もしくは含むペ プチドまたはかかるペプチドの機能的同等物;任意に上記アミノ酸配列[ここで 、HydはPheもしくはLeu]を有する、もしくは含むペプチドまたはその 機能的同等物;または上記アミノ酸配列[ここで、YaaもしくはZaaまたは 両方がグリシン以外のアミノ酸]を有する、もしくは含むペプチド;またはアミ ノ酸配列GRPRTSSFAEGを有するペプチドまたはそれらの機能的同等物 ; に上記混合物を曝露し、上記ペプチドがリン酸化されているかどうか(および、 任意にその程度)を検出する、ことを含む、PKBの活性に影響を与える作用薬 の確認方法。 7. 基質またはペプチドのリン酸化の程度を測定する、請求項6に記載の方 法。 8. PKB上のアミノ酸308および473の1つまたは両方のリン酸化状 態を測定することにより、PKBの活性化を測定する方法。 9. 試験物質がPKBの類似体、イソ型、阻害剤、または賦活剤である、請 求項6または7に記載の方法。 10. 工程aもしくはb(または両方)を2価カチオンおよびATPの存在 下で行う、請求項6から7のいずれか1つに記載の方法。 11. 医薬用のためのPKB、その類似体、阻害剤、刺激剤、または機能的 同等物。 12. リン酸化または突然変異によりアミノ酸308および/または473 のリン酸化を修飾することにより、PKB、そのイソ型、類似体および/または 機能的同等物の活性に影響を与え得る作用薬であって、インスリン、wortmannin 、PDGF、EGFまたはbFGFではない作用薬。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 7/06 ZNA C07K 7/06 ZNA C12Q 1/48 C12Q 1/48 (31)優先権主張番号 9615066.9 (32)優先日 平成8年7月18日(1996.7.18) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,H U,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG, MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM ,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 ダリオ、アーレッシ イギリス国ダンディー、バールドバン、テ ラス、45 (72)発明者 ダーレン、クロス イギリス国ダンディー、ピットカーロ、ロ ード、5

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. グリコーゲン代謝および/またはタンパク質合成を調節するための、P KB、その類似体、イソ型、阻害剤、賦活剤、および/またはそれらの機能的同 等物の組成物の使用。 2. グリコーゲン代謝および/またはタンパク質合成を調節するために医薬 を製造するための、PKB、その類似体、イソ型、阻害剤、賦活剤、および/ま たはそれらの機能的同等物の組成物の使用。 3. グリコーゲン代謝および/またはタンパク質合成が異常を示す疾病状態 と闘かわせるための、請求項1または2に記載の使用。 4. 糖尿病と闘かわせるための、請求項1、2または3に記載の使用。 5. がんと闘かわせるための、請求項1から3のいずれかに記載の使用。 6. がんが、乳がん、膵臓がん、または卵巣がんである、請求項5に記載の 使用。 7. PKBがPKBα、βもしくはγ、類似体、イソ型、阻害剤、賦活剤、 またはそれらの機能的同等物である、請求項1から6のいずれかに記載の使用。 8. PKB、その類似体、イソ型、または機能的同等物が、アミノ酸308 および473の一方もしは両方でリン酸化および/または突然変異により修飾さ れている、請求項1から7のいずれかに記載の使用。 9. PKB、その類似体、イソ型、阻害剤、賦活剤、および/またはそれら の機能的同等物の組成物。 10. アミノ酸配列Arg−Xaa−Arg−Yaa−Zaa−Ser/T hr−Hyd[式中、Xaaはいずれかのアミノ酸、YaaおよびZaaはいず れかのアミノ酸、ならびにHydは大きな疎水性残基である]を有するか、もし くは含むペプチド、またはかかるペプチドの機能的同等物。 11. HydがPheもしくはLeuである請求項10に記載のペプチド、 またはそれらの機能的同等物。 12. YaaもしくはZaaまたは両者がグリシン以外のアミノ酸である、 請求項10または11に記載のペプチド。 13. アミノ酸配列GRPRTSSFAEGを有する請求項10に記載のペ プチド、またはその機能的同等物。 14. GSK3 の活性に影響を与え得る作用薬の確認方法であって、上記方 法が: a. 試験する物質をGSK3 の基質に曝露し; b. 上記基質がリン酸化されているかどうかを検出する; ことを含む方法。 15. PKBの活性に影響を与える作用薬の確認方法であって、上記方法が : a. 試験する物質をPKB含有試料に曝露して混合物を形成させ; b. 上記混合物を請求項10、11、12または13に記載のペプチドに曝露 し; c. 上記ペプチドがリン酸化されているかどうか(および任意にその程度)を 検出する; ことを含む方法。 16. ペプチドのリン酸化の程度を測定する、請求項14または15に記載 の方法。 17. PKB上のアミノ酸303および473の1つまたは両方のリン酸化 状態を測定する、請求項15に記載の方法。 18. 試験する物質が、PKBのアナログ、イソ型、阻害剤、または賦活剤 である、請求項14から17のいずれか1項に記載の方法。 19. 工程aもしくはb(または両方)が2価カチオンおよびATPの存在 下で実施される、請求項14から18のいずれか1項に記載の方法。 20. ヒトまたは非ヒト動物身体の治療方法であって、この方法がPKB、 そのアナログ、阻害剤、剌激剤、またはそれらの機能的同等物を上記身体に投与 することを含む方法。 21. グリコーゲン代謝および/またはタンパク質合成が異常を示す疾病状 態と闘うための、請求項20に記載の方法。 22. 糖尿病と闘うための、請求項20または21に記載の方法。 23. がんと闘うための、請求項20または22に記載の方法。 24. がんが、乳がん、膵臓がん、卵巣がんである、請求項23に記載の方 法。 25. PKBがPKBα、βもしくはγ、アナログ、イソ型、阻害剤、賦活 剤、またはそれらの機能的同等物である、請求項20から24のいずれか1つに 記載の方法。 26. リン酸化または突然変異によりアミノ酸308および/または473 を修飾することにより、PKB、そのイソ型、アナログおよび/またはそれらの 機能的同等物の活性に影響を与え得る作用薬。 27. PKGの活性または活性化に影響を与える物質の能力を測定する方法 であって、この方法が;この物質をPKBおよびホスフアチジルイノシトールポ リホスフエートに曝露し、PKBとホスフアチジルイノシトールポリホスフエー ト間の相互作用を測定することを含む方法。 28. 糖尿病、がん、またはタンパク質合成もしくはグリコーゲン代謝の不 規則性を伴う任意の疾患と闘う物質の能力を測定する方法であって、この方法が ;この物質をPKBおよびホスフアチジルイノシトールポリホスフエートに曝露 し、PKBとホスフアチジルイノシトールポリホスフエート間の相互作用を測定 することを含む方法。 29. PKBとホスフアチジルイノシトールポリホスフエートと間の相互作 用を、PKBのリン酸化状態を評価することにより測定する、請求項27または 28に記載の方法。 30. T308および/またはS473におけるPKBのリン酸化状態を評 価する、請求項29に記載の方法。 31. 試験する物質をGSK3 に曝露し、GSK3 の活性化状態を測定する ことを含む、GSK3 の賦活剤または阻害剤の確認方法。 32. GSK3 の活性化状態を、そのリン酸化の評価により測定する、請求 項31に記載の方法。 33. 糖尿病、がん、またはタンパク質合成もしくはグリコーゲン代謝の不 規則性を伴う任意の疾患と闘うのに使用するための試験物質の適合性を決定方法 であって、この方法が;試験する物質をGSK3 に曝露し、GSK3 の活性化状 態を測定することを含む方法。 34. PKBのリン酸化を触媒する酵素の阻害剤または賦活剤をスクリーニ ングする方法であって、この方法が、試験する物質を −PKBの上流の1つまたは2つ以上の酵素 −PKB;および(任意に) −ヌクレオシドトリホスフェート に曝露し、PKBがT308および/またはS473上でリン酸化されているか どうか(および任意にその程度)を測定することを含む方法。
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