【発明の詳細な説明】
抗-T-BAM(CD40-L)モノクローナル抗体5c8の治療適用
本出願は、米国出願第08/567,391号(1995年12月1日出願)、および米国出願
第08/566,258号(1995年12月1日出願)、および米国出願第08/637,323号(1996
年4月22日出願)の優先権を請求する。これらの内容は、本出願中で参考として
援用される。
本明細書中に開示される発明は、米国保健社会福祉省からの米国国立衛生研究
所助成金K08-AR-01904、R01-CA55713、R01-AI-28367、R0I-AI-14969、HL21006、
HL42833、HL50629、およびR01-AI-14969の下での米国政府の支援を得てなされた
。
従って、米国政府は、本発明に特定の権利を有する。
本出願を通じて、種々の参考文献が、括弧内に参照される。これらの出版物の
開示は、その全体が、本出願中に、本発明に関連する技術水準をより充分に記載
するために、本明細書中で参考として援用される。これらの参考文献の充分な目
録的引用は、テキスト中または本出願の終わりに(配列表および請求項の前に)
見出され得る。発明の背景
CD40は、B細胞およびいくつかの上皮ガン腫で発現されると当初記載された50k
Daの細胞表面分子である(1、2)。CD40は、活性化されたCD4+T細胞で一過的
に発現される30 kDaの細胞表面分子であるCD40L(T-BAM、gp39、TRAP)と相互作
用する(3〜8)。CD40L-CD40相互作用は、T細胞-B細胞相互作用の状況におい
て広く研究されてきた。CD40の連結反応は、B細胞活性化、分裂増殖、分化、Ig
産物、およびアポトーシス性シグナルからの救出において重要な役割を果たす(
9〜11)。B細胞分化におけるCD40の連結の重大なインビボでの役割は、ハイパ
ー-IgM症候群(CD40Lをコードする遺伝子における変異による体液性免疫不全)
によって強調される(12〜16)。マウスCD40(17)またはCD40L(18) 「ノッ
クアウト」は、ハイパー-IgM症候群の患者と同様の表現型を有する。
興味深いことに、近年の研究は、CD40の発現は、初めに記載されたよりも幅広
い細胞分布を有することを示している。CD40は、単球(19)、樹状細胞(22)、
上皮(23、21)、好塩基性細胞(24)、およびホジキン腫瘍細胞(25)において
発現されることが示されている。その上、種々のサイトカインは、非B細胞にお
けるCD40の発現を調節し得る。胸腺上皮細胞におけるCD40の発現は、IL-1α、TN
F-α、またはINF-γによってアップレギュレートされる(21)。INF-γは、IL-3
またはGM-CSFに加えて、同様に、単球におけるCD40の発現をアップレギュレート
する(19)。INF-γおよびIL-1αの存在下でCD40の連結は、胸腺上皮細胞による
GM-CSF産生を刺激する(21)。さらに、CD40L発現トランスフェクト体は、単球
による殺腫瘍性活性を引き起こし、そしてINF-γ、GM-CSF、またはIL-3の存在
下で、TNF-α、IL-6、またはIL-8を分泌するために単球を刺激する(19)。
CD40はまた、慢性関節リウマチ(RA)で苦しむ患者の滑膜(SM)中に見出され
る細胞において発現される。RA SMにおいて発現される細胞表面分子の免疫組織
学調査は、CD40が線維芽細胞様形態学を伴う細胞を含む種々の細胞型で発現され
ることを見出した(26)。この報告には、CD40が、RA、非RA炎症性関節炎(IA)
、または骨関節炎(OA)を有する患者から単離された培養された滑膜(SM)の線
維芽細胞で発現されることが、FACS分析によって示されている。さらに、正常ド
ナーから単離された皮膚線維芽細胞はまた、CD40を発現する。その上、CD4OL+細
胞によるCD40の連結は、線維芽細胞の活性化および増殖を誘導する。
内皮細胞は、白血球との接着相互作用を仲介する表面分子(例えば、CD54(IC
AM-1)、CD62E(E-selectin)、およびCD106(VCAM-1))を発現する(27〜35)
。内皮細胞表面接着分子の発現は、白血球の炎症部位への補充を調節し、そして
それゆえ厳しい調節に供される(27、28)。休止内皮細胞は、低レベルのCD54を
発現し、最小限のCD62EまたはCD106発現するかまたは全く発現しない。IL-1、TN
Fα、またはLPSとの活性化に続いて、内皮細胞は、迅速にCD54、CD62E、およびC
D106の発現をアップレギュレートする(27、28)。CD4+T細胞は、内皮細胞また
は他の標的細胞に、IL-1またはTNFαの分泌を誘導することによって、内皮細胞
表面接着分子のアップレギュレーションに貢献し得る(36)。しかし、内皮細胞
活性化を誘導するCD4+T細胞−内皮細胞相互作用に関連する分子的詳細は、完全
に描写されていない。
通常のヒト内皮細胞がまた、インサイチュでCD40を発現し、そしてCD40L−CD4
0相互作用は、インビトロでの内皮細胞活性化を誘導することが現在報告され得
る。通常の膵臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺または請帯由来の凍結切片は、
免疫組織化学によってCD40の発現が研究されていた。研究された全ての組織由来
の内皮細胞は、インサイチュでCD40を発現する。さらに、ヒト臍静脈内皮細胞(
HUVEC)は、インビトロでCD40を発現し、そしてrIFN-γは、HUVEC CD40アップレ
ギュレーションを誘導する。HUVECにおけるCD40の発現は、機能的に重要である
。なぜなら、CD40L+ジャーカットT細胞は、抗-CD40L mAb 5C8によって阻害され
る様式において、HUVEC CD54(ICAM-l)、CD62E(E-selectin)、およびCD106(
VCAM-1)のインビトロ発現をアップレギュレートするからである。さらに、293
腎臓細胞トランスフェクト体を発現するが、コントロールトランスフェクト体を
発現しないCD40Lはまた、HUVECにおけるCD54、CD62E、およびCD106の発現をアッ
プレギュレートする。これらの結果は、CD40L−CD40相互作用が、インビトロで
内皮細胞活性化を誘導することを例示している。T細胞表面において発現される
CD40Lは、CD40+内皮細胞の活性化を誘導すること、およびこの活性化が、抗-CD4
0Lモノクローナル抗体によって阻害されることが初めて示される。さらに、これ
らの結果は、内皮細胞表面接着分子の発現をアップレギュレートすることによっ
て、活性化されたCD4+T細胞がインビボで炎症応答を増大させるメカニズムを例
示する。発明の要旨
本発明は、細胞表面上でのCD40を保有する細胞のCD40リガンドによる活性化を
阻害する方法を提供し、この方法は、細胞の活性化を阻害するために有効な量に
おいて、CD40リガンドと細胞の間の相互作用を阻害し得る因子と細胞を接触させ
る工程を包含する。
本発明は、被験体において、細胞表面上でのCD40を保有する細胞のCD40リガン
ドによる活性化を阻害する方法を提供し、この方法は、被験体における細胞の活
性化を阻害するために有効な量において、CD40リガンドと細胞の間の相互作用の
阻害し得る因子を被験体に投与する工程を包含する。図面の説明
図1.SM線維芽細胞におけるCD40の発現。示されるように、インビトロでの最
初の継代に続く代表的なRAまたはOASM粘着性細胞でのCD40、CDl4、CD45、または
MHCクラスIIの発現のFACS分析を示している。X軸は平均蛍光強度(MFI)を表し
、そしてY軸は細胞数を表す。RA細胞について、CD40の発現またはイソタイプの
コントロールmAbのMFIは、それぞれ21および9であった。OA細胞について、CD40
の発現またはイソタイプのコントロールmAbのMFIは、それぞれ33および9であっ
た。
図2.休止またはrINF-γで刺激された皮膚線維芽細胞におけるCD40の発現。
示されるように、3つの皮膚線維芽細胞株での、CD40、CD54、またはコントロー
ルmAb染色のFACS分析を示している。細胞は、rINF-γ(1000 U/ml)の存在下ま
たは非存在下で24時間培養された。SK.1およびSK.2は、培養中の2回目の継代に
続いて研究され、そしてCCD 965 SKは、培養中の3回目の継代の後に研究された
。X軸は、平均蛍光強度(MFI)を表し、そしてY軸は細胞数を表す。各グラフ
の右上隅の数字は、CD40 MFIを示している(バックグランドは引いた)。
図3.SM線維芽細胞CD40の発現のサイトカイン調節。示されるように、rINF-
γ(1000 U/ml)、rIL-1α(10 pg/ml)、rTNF-α(200 U/ml)、またはサイト
カインの組み合わせとの同時培養の後の、SM線維芽細胞株(0A.3)のCD40の平均
蛍光強度(MFI)を表す棒グラフを示している。CD40の発現は、FACS分析によっ
て決定され、そして、コントロールmAbのバックグランド染色は、各値から引か
れている。示されている実験は、行われた3つの同様の実験の代表例である。
図4.SM線維芽細胞CD54(ICAM-1)の発現に対するCD40L-CD40相互作用の効果
。培地、rINF-γ(1000 U/ml)、CD40L-ジャーカットB2.7細胞、またはCD40L+ジ
ャーカットD1.1細胞で、抗-CD40L mAb 5C8またはコントロールmAb P1.17の存在
または非存在下で24時間培養したIA.1 SM線維芽細胞でのCD13発現(X軸)また
はCD54発現(Y軸)を例証する2色の輪郭グラフ(contour graph)を示している
。各グラフの右上隅の数字は、CD54の平均蛍光強度(MFI)を表す。イソタイプ
コ
ントロールmAbのバックグランドMFIは、各値から引かれている。示されている実
験は、行われた3つの同様の実験の代表例である。
図5. CD40Lのトランスフェクションは、SM線維芽細胞CD54(ICAM-1)および
CD106(VCAM-1)の発現をアップレギュレートする能力を与える。培地、CD40L+D
1.1細胞、CD40L-B2.7細胞、またはCD40L+B2.7トランスフェクト体で24時間培養
した後の、SM線維芽細胞におけるCD54またはCD106のMFIを示す棒グラフを示して
いる。CD54およびCD106の発現は、図4のように2色FACS分析によって決定され
た。イソタイプコントロールmAbのバックグランドMFIは、各値から引かれている
。示されている実験は、行われた2つの同様の実験の代表例である。
図6A.線維芽細胞のIL-6分泌に対するCD40L−CD40相互作用の効果。培地単独
、抗-CD40L mAb 5C8もしくはコントロールmAb P1.17の存在もしくは非存在下のC
D4OL+D1.1細胞、CD40L-B2.7細胞、またはCD40L+B2.7トランスフェクト体で培養
されたSM線維芽細胞由来の上清(最終希釈、1:60)の添加に続く、IL-6指示細
胞株B9による3H-チミジンの取り込みを示す棒グラフを示している。D1.1細胞、B
2.7細胞、またはCD40L+B2.7トランスフェクト体由来のコントロール上清で培養
されたB9細胞の増殖応答は、1136 cpm(±113)、2398 cpm(±263)、および11
31 cpm(±56)であった。同様の結果が、3つのさらなるSM線維芽細胞株で得ら
れた。
図6B.rIL-6に応答したB9の増殖。図6Aに示される実験の平行実験において、B
9細胞は、rIL-6の変化する濃度で培養された。
図7.SM線維芽細胞増殖に対するCD40の連結の効果。マイトマイシンCで処理
されたCD40L-ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェ
クト体との1%FM中での48時間の同時培養の後の、SM線維芽細胞3H-チミジンの
取り込みを例証する2つの分離した実験に由来する棒グラフを示している。示さ
れる場合、CD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体は、線維芽細胞への添加
の前に、抗-CD40L mAb 5C8(5μg/ml)またはP1.17コントロールmAb(5μg/ml
)で前処理された。RA.5の増殖を研究する実験において、CD40L-ジャーカットB2
.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体の増殖は、それぞれ51
±7cpmおよび39±3cpmであった。OA.6の増殖を研究するための実験において、
CD40L-ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体
の増殖は、それぞれ243±5cpmおよび453±95 cpmであった。バックグランド増
殖は、同時培養実験において引かれている。また、1%FMまたは10%FM中での培
養の後の線維芽細胞の増殖応答を示している。同様の結果が、3つのさらなる実
験で得られた。エラーバーは、観察された誤差を示す。
図8.CD40L媒介SM線維芽細胞増殖に対するrINF-γの効果。マイトマイシンC
で処理されたCD40L-ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トラン
スフェクト体との、1%FM中での48時間の同時培養後の、SM線維芽細胞3H-チミ
ジンの取り込みを例証する棒グラフを示している。示される場合、SM線維芽細胞
は、マイトマイシンCで処理されたCD40L-B2.7またはCD40L+B2.7トランスフェク
ト体の添加の前に、rINF-γ(1000U/ml)で18時間前処理される。SM線維芽細胞
の増殖は、最初の一連の実験について、材料および方法中に概説されたように決
定された。CD40L-ジャーカットB2.7細胞およびCD40L+ジャーカットB2.7トランス
フェクト体のバックグランド増殖は、それぞれ185±66 cpmおよび65±5cpmであ
った。バックグランド増殖は、同時培養実験中に引かれている。1%FMまたは10
%FM中の培養に続く線維芽細胞の増殖応答もまた示されている。同様の結果が、
2つのさらなる実験で得られた。エラーバーは、観察された誤差を示す。
図9A〜D.皮膚中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を
例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(a)CD40、皮膚(倍率40
×)、(b)CD34、皮膚(倍率40×)、(c)CD21,皮膚(倍率40×)、および(
d)コントロールマウス IgG、皮膚(倍率40×)。
図10A〜D.筋肉中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を
例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している: (a)CD40、筋肉(倍率4
0×)、(b)CD34、筋肉(倍率40×)、(c)CD21、筋肉(倍率40×)、および
(d)コントロールマウス IgG、筋肉(倍率40×)。
図11.膵臓中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証
する凍結断片の免疫組織学的研究を示している:(a)CD40、膵臓(倍率10×)
および(b)コントロールマウス IgG、膵臓(倍率10×)。
図12.インビトロでのHUVEC細胞におけるCD40の発現。CD14、CD40、CD45、ま
たはイソタイプコントロールの1回目の継代に続く、HUVECにおける発現の重複
するFACS分析を示している。CD14、CD40、CD45、またはイソタイプコントロール
発現の平均蛍光強度は、それぞれ7、24、5、および9であった。15個の臍帯か
ら単離されたHUVECにおける、CD40発現の代表例を示している。
図13.HUVEC CD54(ICAM-1)発現に対するCD40L−CD40相互作用の効果。培地
、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、またはCD40L-ジャーカットB2.7細胞で6時間
培養したHUVEC CD54発現に対する効果を例示する2色の輪郭グラフを示している
。示される場合、CD40L+D1.1細胞は、抗-CD40L mAb 5C8またはイソタイプコント
ロールmAb P1.17で前処理された。X軸はCD13の発現を示し、ならびにY軸はCD5
4の発現を示す。各グラフの右上隅の数は、CD54を発現するCD13+のパーセンテー
ジを示している(コントロールmAbのバックグランド染色は、各値から引かれる
)。異なるHUVEC株を用いた、3つの同様の実験の代表例を示している。
図14. HUVEC CD54(ICAM-1)、CD62E(E-selectin)、およびCD106(VCAM-1)
の発現に対するCD40L−CD40相互作用の効果。培地、rIL-1α、CD40L+ジャーカッ
トD1.1細胞、またはCD40L-ジャーカットB2.7細胞とともに6時間培養した後の、
CD54、CD62E、またはCD106を発現するHUVECのパーセンテージを表す棒グラフを
示している。示される場合は、CD40L+D1.1細胞は、抗-CD40L mAb 5C8、またはイ
ソタイプコントロールmAB P1.17で前処理された。HUVEC CD54、CD62E、およびCD
106の発現は、図3に示されるように2色FACS分析によって決定された。コント
ロールmAbのバックグランド染色は、各値から引かれている。異なるHUVEC株を用
いた、3つの同様の実験の代表例を示している。
図15.HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現に対するCD40L発現293腎臓細胞
トランスフェクト体の効果。培地、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD8+ 293腎臓
細胞トランスフェクト体またはCD40L+ 293腎臓細胞トランスフェクト体で、6時
間培養した後の、HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現に対する効果を示す、
2色の輪郭グラフを示している。X軸はUEA-1の発現を示し、そしてY軸はCD54
(左パネル)、CD106(中央パネル)、またはCD62E(右パネル)を示す。各グラ
フの右上隅の数字は、示されるようにCD54、CD106、またはCD62Eを発現するUEA-
1+細胞のパーセンテージを示す。(コントロールmAbのバックグラウンド染色は
、
各値から引かれている)。3つの同様の実験の代表例を示している。
図16A.CD40L誘導HUVEC CD54、CD62E、およびCD106アップレギュレーションの
速度論的分析。CD40L+ジャーカットD1.1細胞で6時間または24時間培養した後の
、CD54、CD62E、またはCD106を発現するHUVECのパーセンテージを示している。C
D54、CD62E、またはCD106を発現するHUVECのパーセンテージは、2色FACS分析に
よって決定した(コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から引かれ
る)。異なるHUVEC株を用いた3つの同様の実験の代表例を示している。
図16B.HUVECがCD40L-ジャーカットB2.7細胞で培養されことを除き、図16Aと
同様。
図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメン
トの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番
号1)詳細な説明
本発明は、細胞の活性化を阻害するために有効量で、CD40リガンドと細胞との
間の相互作用を阻害し得る因子と細胞を接触させることを含む、細胞表面にCD40
保有細胞のCD40リガンドによる活性化を阻害する方法を提供する。一つの実施態
様において、細胞表面にCD40保有細胞は、B細胞以外の細胞である。別の実施態
様において、これらは、分化したプラスマ細胞(例えば、ミエローマ細胞)を含
む、プラスマ細胞である。
本方法は、インビボまたはエクスビボのいずれかにおいてCD40保有細胞の活性
化を阻害するために使用され得る。「CD40リガンドとその細胞上のCD40との間の
相互作用」は、一つ以上の局面において、機能的または構造的な、CD40-CD40リ
ガンドの相互関係をいう。従って、一つの実施態様において、相互作用を阻害す
る因子は、CD40リガンドと細胞性CD40の結合をブロックするかまたは減少させる
ような方法でCD40リガンドと競合的に結合し得る。別の実施態様において、相互
作用を阻害する因子は、CD40リガンドと細胞性CD40の結合を阻害しないが、CD40
連結への細胞の応答に影響するような様式(例えば、CD40とCD40リガンドの結合
動態を変化させることにより、またはCD40結合に対する応答における細胞の活性
化の速度または程度を変化させることにより、細胞性CD40またはCD40-因子複合
体のターンオーバー速度を変化させる)でCD40またはCD40リガンドと会合し得る
。
本発明の特定の実施態様において、非B細胞、CD40保有細胞は、線維芽細胞、
内皮細胞、上皮細胞、T細胞、好塩基球、マクロファージ、リードースターンバ
ーグ細胞、または樹状細胞である。本発明のより特定の実施態様において、内皮
細胞は、ケラチン生成細胞である。別の実施態様において、マクロファージは、
泡沫細胞(脂質荷マクロファージ)である。泡沫細胞は、自己免疫疾患(例えば
、慢性関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化症)において役割を担う。
本発明の一つの実施態様において、因子は、CD40リガンドの細胞上のCD40への
結合を阻害する。
本発明の一つの実施態様において、因子はタンパク質である。より特定の実施
態様において、タンパク質は、抗体またはその一部(例えば、Fab、F(ab')2、相
補性決定部(CDR)軽鎖および/または重鎖、抗体可変部軽鎖および/または重鎖
、またはCD40リガンドもしくはCD40リガンド細胞表面レセプターに特異的に結合
し得るそれらの部分)を含む。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナル抗
体であり得る。本発明の実施態様において、モノクローナル抗体は、キメラ抗体
、ヒト化抗体、または霊長類化抗体である。別の実施態様において、抗体の一部
は、単鎖抗体を含む。単鎖抗体は、一つのタンパク質鎖においてタンパク質スペ
ーサーによって結合された可変部からなる。
上記の方法の一つの実施態様において、因子は、モノクローナル抗体5c8が特
異的に結合する抗原に特異的に結合する。特定の実施態様において、因子は、モ
ノクローナル抗体5c8である。
モノクローナル抗体5c8は、ハイブリドーマ細胞(特許手続上の微生物の寄託
の国際的承認に関するブタペスト条約の規定の下、1991年11月14日にAmerican T
ype Culture Collection(ATCC)12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland208
52,U.S.A.に寄託された)によって産生される。ハイブリドーマは、ATCCアクセ
ス番号HB 10916を与えられた。
別の実施態様において、抗体はCD40に特異的に結合する。抗CD40抗体の一つの
例は、Genzyme Customer Service(製品80-3702-01,Cambridg,MA)から入手可
能なモノクローナルマウス抗ヒトCD40である。別の実施態様において、モノクロ
ーナル抗体は、キメラ抗体、霊長類化抗体、ヒト化抗体または第1のヒト由来の
CDR領域および第2のヒト由来の抗体骨格(scaffold)を含む抗体である。
本発明の一つの実施態様において、タンパク質は、CD40-Lの細胞外領域の全て
または一部からなる可溶性の、モノマーCD40-Lタンパク質またはその改変体であ
る。CD40-Lの細胞外領域は、CD40に結合するドメインを含む。従って、可溶性CD
40-Lは、CD40LとCD40保有細胞との間の相互作用を阻害し得る。本発明は、sCD40
-LがCD40-Lの細胞外領域の全て、またはフラグメントもしくはCD40に結合するド
メインを含む誘導体を構成し得ることを意図する。
「キメラ」、「霊長類化」および「ヒト化」抗体の意味およびそれらを産生す
る方法は、当業者に周知である。例えば、1990年7月26日に出願されたPCT国際
公開番号第WO 90/07861号(Queenら);およびQueenら、Proc,Nat'l Acad,Sci.-
USA(1989)86: 10029を参照のこと。霊長類化抗体を作製する方法は、例えば、
PCT国際公開番号第WO /02108号(国際出願番号第PCT/US92/06194号(Idec Pharma
ceuticals)に対応する);およびNewmanら、Biotechnology(1992)10:1455-146
0(これらは本出願の本明細書中に参照として援用される)に開示されている。
一般に、ヒト化抗体は、ヒトフレームワーク領域部分と機能的に結合した非ヒ
ト抗体の一つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む抗体である。必要に応じて、非
ヒト抗体に会合したさらなる領域が存在し得る。代表的には、少なくとも一つの
重鎖または少なくとも一つの軽鎖が、非ヒトCDRを含む。代表的には、非ヒトCDR
はマウスCDRである。一般に、霊長類化抗体は、非ヒト霊長類のフレームワーク
領域セグメントに機能的に会合した非ヒト霊長類以外の種の抗体の一つ以上の相
補性決定領域(CDR)を含む。必要に応じて、CDRが由来する種に会合したさらなる
残基が存在し得る。代表的には、少なくとも一つの重鎖または少なくとも一つの
軽鎖は、非ヒト霊長類でない種のCDRを含む。代表的には、CDRはヒトCDRである
。一般に、キメラ抗体は、その軽鎖および/または重鎖が異なる種由来の領域を
含む抗体である。例えば、一つの種の一つ以上の可変(V)領域セグメントは別の
種の一つ以上の定常(C)領域セグメントに結合され得る。代表的には、キメラ抗
体は、ヒト定常領域セグメントに結合したマウスの可変領域セグメントを含むが
、
他の哺乳動物種も使用され得る。
本発明の別の実施態様において、タンパク質は、CD40またはその一部、または
その改変体の細胞外領域を含む可溶性のCD40タンパク質(sCD40)である。sCD40は
、CD40LとCD40保有細胞との間の相互作用を阻害する。sCD40は、モノマーまたは
オリゴマー形態であり得る。
改変体は、アミノ酸配列においてもしくは配列を含まない方法において、また
は両方において天然に存在するCD40またはCD40リガンドと異なり得る。アミノ酸
配列における改変体は、天然に存在するCD40またはCD40リガンドにおける一つ以
上のアミノ酸が異なる天然のアミノ酸、アミノ酸誘導体または非天然のアミノ酸
で置換されたときに産生される。特に好ましい改変体は、天然に存在するCD40ま
たはCD40リガンド、または天然に存在するCD40またはCD40リガンドの生物学的に
活性なフラグメントを含み、その配列は一つ以上の保存性アミノ酸置換によりそ
の配列が野生型配列と異なり、代表的には、タンパク質またはペプチドの2次構
造および疎水的性質に最少の影響を有する。改変体はまた、CD40またはCD40リガ
ンドの生物学的活性を破壊しない一つ以上のアミノ酸非保存的置換、欠失または
挿入によって異なる配列を有し得る。保存的置換(置換物)は代表的には、一つ
のアミノ酸の類似した性質の別のアミノ酸への置換(例えば、以下の群の内の置
換:バリン、グリシン;グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン;アスパラ
ギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジ
ン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン)を含む。非極性(疎水性
)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニ
ルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンを含む。極性中性のアミノ酸は、
グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグ
ルタミンを含む。正電荷(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リジンおよびヒス
チジンを含む。負電荷(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸
を含む。
他の保存的置換は、表4から得られ得、そしてさらに他はDayhoffによってAtl
as of Protein Sequence and Stracture(1988)に記載される。 本発明の範囲内の他の改変体は、ペプチド安定性を増大させる改変を有する改
変体である。そのような改変体は、例えば、ペプチド配列における一つ以上の非
ペプチド結合(ペプチド結合を置換する)を含み得る。さらに含まれるのは:天
然に生じるL-アミノ酸以外の残基(例えば、D-アミノ酸または天然に生じない
アミノ酸もしくはβまたはγアミノ酸のような合成アミノ酸)を含む改変体およ
び環状改変体である。ポリペプチドへのL-アミノ酸のかわりにD-アミノ酸の組
み込みは、プロテアーゼへのその耐性を増大し得る。米国特許第5,219,990号を
参照のこと。
本発明のペプチドはまた、挿入、欠失および保存的かまたは非保存的のいずれ
かの置換のような種々の変更(このような変更は、それらの使用において特定の
利点を提供し得る)によって修飾され得る。
他の実施態様において、より保存的でないアミノ酸置換を有する改変体はまた
、例えば、電荷、構成および他の生物学的性質における変化を生じることによっ
て所望される誘導体を生じ得る。そのような置換は、例えば、親水性の残基の疎
水性の残基との置換(システインまたはプロリンの別の残基との置換)、小さい
側鎖を有する残基の巨大な側鎖を有する残基との置換、または正味の正電荷を有
する残基の正味の負電荷を有する残基との置換を含む。所定の置換の結果が確実
性を持って予測し得ない場合、誘導体は、所望の特徴の存在または不在を決定す
る本明細書中に開示の方法に従って容易にアッセイされ得る。
本発明の範囲内の改変体は、CD40の細胞外領域またはCD40リガンドの細胞外領
域と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質およびペ
プチドを含む。より好ましくは、配列相同性は、少なくとも90%、または少なく
とも95%である。
骨格(scaffold)の置換物を置き換えることが可能であるように、骨格を修飾
する官能基を類似の特徴により特徴付けられる基と置換することもまた可能であ
る。これらの置換は、最初は保存的である、すなわち、置換基は、もとの基とお
よそ同じ大きさ、形、疎水性および電荷を有する。非配列改変は、例えば、天然
に存在するCD40またはCD40リガンドの一部のインビボまたはインビトロの化学的
誘導体、ならびにアセチル化、メチル化、リン酸化、炭素化またはグリコシル化
における変化を含む。
さらなる実施態様において、CD40リガンドおよびCD40の細胞外領域を含むタン
パク質は、その活性が保存される化学的改変によって改変させる。例えば、タン
パク質は、アミド化、硫酸化、単一または複数のハロゲン化、アルキル化、カル
ボキシル化、またはリン酸化され得る。タンパク質はまた(例えば、飽和、モノ
不飽和またはポリ不飽和のアセチル基、ファルネシル部分、または脂肪酸で)単
一または複数アシル化され得る。脂肪酸はまた、単一または複数フッ素化され得
る。本発明はまた、タンパク質のメチオニンアナログ(例えば、メチオニンスル
ホンおよびメチオニンスルホキシドアナログ)を含む。本発明はまた、タンパク
質の塩(例えば、アンモニウム塩(アルキルまたはアリールアンモニウム塩)、
硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸化水素塩、リン酸化2水素、チオ硫酸塩
、炭酸塩、重炭酸塩、安息香酸塩、スルホン酸塩、チオスルホン酸塩、メシレー
ト、エチルスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩)を含む。
可溶性の、モノマー性CD40-Lタンパク質は、CD40-Lの細胞外領域の全てまたは
一部を含み得る。CD40-Lの細胞外領域は、CD40に結合するドメインを含む。従っ
て、可溶性のCD40-Lは、CD40LとCD40保有細胞との間の相互作用を阻害し得る。
本発明は、sCD40-Lが、CD40-Lの細胞外領域の全てもしくはフラグメントまたはC
D40に結合するドメインを含む誘導体を構成し得ることを意図する。
本発明の別の実施態様において、CD40の可溶性の細胞外領域またはその一部を
含むタンパク質は、CD40の細胞外領域またはその一部に融合したFc領域をさらに
含む。特定の実施態様において、Fc領域は、プロテインAまたはプロテインGに
結合し得る。別の実施態様において、Fc領域はIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、I
gA、IgA1、 IgA2、IgM、IgDまたはIgEを含む。
本発明の別の実施態様において、sCD40は、CD40/Fc融合タンパク質を含む。融
合タンパク質は、所望の配列由来のフラグメントを酵素的切断および連結の従来
技術を用いて調製され得る。融合タンパク質のために適切なFc領域は、プロテイ
ンAまたはプロテインGに結合し得るFc領域であるかまたは、Fc領域を含む融合
タンパク質の精製または検出において使用され得る抗体によって認識され得るFc
領域である。例えば、Fc領域はヒトIgG1またはマウスIgG1のFc領域を含み得る。
本発明はまた、CD40/Fc融合タンパク質をコードする核酸分子を提供する。
組換え手段により膜通過および細胞質ドメインをコードする配列が欠失される
可溶性形態の膜分子を作成する方法は、周知である。一般的には、Hammondsら、
米国特許第5,057,417号を参照のこと。さらに、sCD40およびCD40/Fcの融合タン
パク質を調製する方法も周知である。例えば、PCT国際公開番号第WO 93/08207;
Fanslowら、 「Soluble Forms of CD40 Inhibit Biologic Responses of Human
BCells.」J .Immunol.,149巻、655-60頁(1992年7月)を参照のこと。
本発明の実施態様において、因子は低分子である。本明細書中に使用されるよ
うに、低分子は、20Daと1×106Daの間、好ましくは50Da〜2kDaの分子量を有す
る化合物である。
本発明の実施態様において、因子は、スクリーニング方法により選択される。
特定の実施態様において、低分子または他の因子は、以下の工程を包含するス
クリーニング法によって選択される:細胞サンプル(例えば、動物由来の生物学
的液体(例えば、血液))を単離する工程;それに含まれるCD40保有細胞の活性
化を許容する条件下でサンプルを培養する工程;CD40保有細胞を活性化するため
に有効な、ATCCアクセス番号HB 10916を有するハイブリドーマによって産生され
たモノクローナル抗体5c8により特異的に認識されるタンパク質を発現している
細胞、またはATCCアクセス番号HB 10916を有するハイブリドーマによって産生さ
れたモノクローナル抗体5c8により特異的に認識されるタンパク質とサンプルと
を接触させる工程;低分子がCD40保有細胞の活性化を阻害し得る場合、CD40保有
細胞の活性化を阻害するのに有効な一定量の低分子(すなわち他の薬学的化合物
または因子)とサンプルを接触させる工程;およびATCCアクセス番号HB 10916を
有するハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体5c8により特異的
に認識されるタンパク質を発現する細胞またはATCCアクセス番号HB 10916を有す
るハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体5c8により特異的に認
識されるタンパク質を有する細胞が、低分子(すなわち他の薬学的化合物または
因子)の存在下でCD40保有細胞を活性するかどうかを決定する工程。細胞サンプ
ルは、培養における細胞株または動物から単離された細胞(例えば、固形組織か
ら分散させた細胞、骨髄生検由来の細胞、または体液(例えば血液もしくはリン
パ液)から単離された細胞)を含む種々の組織から単離され得る。
別の特定の実施態様において、細胞上でのCD40リガンドとCD40との間の相互作
用を阻害し得る因子(分子)は、CD40リガンドの可溶性細胞外領域またはその一
部の3次元構造に基づいて選択される。因子は、既知の因子のライブラリーから
選択され、既知の因子から3次元構造に基づいて改変されるか、または3次元構
造に基づいて新たに設計されそして合成され得る。特定の実施態様において、因
子(分子)は、CD40リガンドの可溶性細胞外領域またはその一部とリード阻害因
子との複合体の3次元構造に基づく、リード阻害因子の構造最適化により、設計
される。リード阻害因子は、同定されている分子であり、CD40リガンドまたはそ
の一部に接触したときに、CD40リガンドの可溶性細胞外領域、CD40、またはその
一部と結合しそして複合体化し、それにより複合体化したまたは結合したCD40リ
ガンドまたはCD40リガンドの一部の、CD40保有細胞を活性化する能力を減少させ
る、分子である。別の実施態様において、リード阻害因子は、CD40リガンドの細
胞外領域、CD40、またはCD40リガンドの一部およびCD40の両方との第3の複合体
のいずれかと相互作用することにより作用し得、複合体化したCD40リガンド-CD4
0の、CD40保有細胞を活性化する能力を減少させる。本発明の方法において、CD4
0リガンドは、可溶性であり得るかまたは細胞(例えば、活性化T細胞)に結合
しているかのいずれかであり得、そして全長の天然CD40リガンドまたはその一部
のいずれかであり得る。CD40保有細胞を活性化する能力の減少は、異なる方法で
測定され得る。一つの方法では、CD40リガンドが、阻害剤の存在下で、同様の条
件下で、阻害剤なしで同様の量のCD40リガンドでの細胞の処置と比較して、CD40
保有細胞の活性化を引き起こす程度がより低いことを示すことにより測定され得
る。CD40保有細胞を活性化する能力の減少はまた、結合していないCD40リガンド
と比較して、同様の条件下でCD40を保有する細胞と同程度の活性化を生じるため
にはより高い濃度の阻害剤-CD40リガンド複合体が必要とされることにより示さ
れ得る。極端には、阻害剤に接触したCD40リガンドは、結合していないCD40リガ
ンドまたはその一定の一部によりこれらの細胞を活性化し得る濃度および条件下
では、CD40保有細胞を活性化し得ない。
因子(低分子)は、残基Gly116-Leu261(sCD40L(116-261))を含むヒトCD40Lの
細胞外ドメインの可溶性フラグメントの結晶構造を用いて、コンピュータースク
リーニング方法により選択され得る。
スクリーニング方法で使用されるべき結晶構造は、分子置換方法により、2Å
の解像度で決定され得る。簡潔に述べると、アミノ酸残基Gly116からC末端残基
Leu261を含むヒトCD40リガンドの細胞外ドメインの可溶性フラグメントは、まず
可溶性形態に生成され、次いで精製されそして結晶化される。結晶は、ElliotGX
-13発生機のX線光線で、回析能力について試験され得る。分子置換および洗練
は、XPLORプログラムパッケージおよびQUANTA(Molecular Simulations,Inc.)
ソフトウェアを用いて行われ得る。詳細には、ヒトsCD40L3次元モデルは、マウ
スCD40Lモデルを用いて、QUANTAタンパク質相同性モデリングソフトウェアを用
いて構築され得る。このモデルは、次いで、XPLORを用いて、分子置換計算のた
めのプローブとして使用され得、そして洗練され得る。sCD40Lの結晶構造を決定
するこの方法は、Karpusasら、「ヒトCD40リガンドの細胞外フラグメントの2Å
結晶構造」、Structure(1995年10月)3(10):1031-1039によってさらに詳細に記
載されている。sCD40L(116-261)の原子座標は、図17A〜Yに提供される。因子
を選択するためのスクリーニング方法は、以下に記載するように、コンピュータ
ー因子設計および反復的構造最適化を含む。
因子は、コンピューター因子設計を用いて選択された低分子阻害剤であり得る
。本方法を使用して、sCD40L結晶構造座標は、CD40に結合することが予測される
低分子構造のリストを出力するコンピュータープログラム(例えば、DOCKのよう
な)のための入力として使用される。そのようなコンピュータープログラムの使
用は、周知である。例えば、Kuntz、「薬物の設計および発見のための構造に基
づくストラテジー」、Science、257巻、1078頁(1992)を参照のこと。次いで、低
分子構造のリストは、CD40結合について生化学的アッセイによりスクリーニング
され得る。周知の、競合型生化学アッセイが使用され得る。例えば、Bajorathら
、「レセプター-リガンド相互作用に必須の、CD40の残基およびそのリガンドの
同定」Biochemistry,34,1833頁(1995)を参照のこと。次いで、CD40Lに結合す
ることが見出されている構造は、本発明のための因子として使用され得る。因子
はまた、構造最適化の相互作用サイクルによって決定された、改変された低分子
であり得る。このアプローチを用いて、上記のコンピューターアプローチまたは
他のアプローチを用いて見出されたCD40Lの低分子阻害剤は、sCD40Lおよび分子
置換によって解明された複合体の結晶構造と同時結晶化され得る。この情報は、
この分子がCD40Lとどのように相互作用しているかを明らかにすることにより、
分子置換を、低分子阻害剤の構造を最適化するために使用し得ることを示した。
低分子は、CD40Lに対する特異性および親和性を含む、その生理化学的特性を向
上するために改変され得る。
本発明の実施態様において、因子は、細胞表面上のCD40に特異的に結合する。
特定の実施態様において、因子はタンパク質(例えば、抗体またはCD40リガンド
の細胞外領域)である。抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体
であり得る。モノクローナル抗体は、キメラ化またはヒト化されていることが好
ましい。モノクローナル抗体はまた、霊長類化(primatized)され得る。インビボ使用
本発明は、被験体において、細胞表面にCD40を保有する細胞のCD40リガンドに
より活性化を阻害する方法を提供する。本方法は、CD40リガンドと細胞の間の相
互作用を阻害し得る因子を、被験体中での活性化を阻害するに有効な量で、被験
体に投与する工程を包含する。1つの実施態様において、細胞表面にCD40を保有
する細胞は、B細胞以外の細胞である。別の実施態様において、これらは、ミエ
ローマ細胞のような分化したプラスマ細胞を含む、プラスマ細胞である。
本発明の特定の実施態様において、B細胞ではないCD40保有細胞は、線維芽細
胞、内皮細胞、上皮細胞、T細胞、好塩基球、マクロファージ、リードースター
ンバーグ細胞、または樹状細胞である。本発明のより特定の実施態様において、
内皮細胞は、ケラチン生成細胞である。別の実施態様において、マクロファージ
は、泡沫細胞(脂質積載(lipid-laden)マクロファージ)である。泡沫細胞は、
自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化症)にお
いて役割を担う。
本発明の1つの実施態様において、因子はタンパク質である。より特定の実施
態様において、タンパク質は、抗体またはその一部(例えば、Fab、F(ab')2、相
補性決定部(CDR)軽鎖および/または重鎖、抗体可変領域軽鎖および/または重
鎖、またはCD40リガンドもしくはCD40リガンド細胞表面レセプター、あるいはCD
40に特異的に結合し得るその一部)を含む。抗CD40抗体の1つの例は、モノクロ
ーナルマウス抗ヒトCD40、Genzyme Customer Serviceから入手可能(製品80-370
2-01,Cambridge,MA)である。抗体は、モノクローナル抗体またはポリクロー
ナル抗体であり得る。本発明の実施態様において、モノクローナル抗体は、キメ
ラ抗体、ヒト化抗体、または霊長類化抗体である。別の実施態様において、抗体
の一部は、単鎖抗体を含む。単鎖抗体は、一つのタンパク質鎖においてタンパク
質スペーサーによって結合された可変領域からなる。
上記の方法の1つの実施態様において、因子は、モノクローナル抗体5c8(ATC
Cアクセス番号HB 10916)が特異的に結合する抗原に特異的に結合する。特定の
実施態様において、因子は、モノクローナル抗体5c8(ATCCアクセス番号HB 1091
6)である。
本発明の化合物は、医療的に受容可能な任意の様式で投与され得る。これは、
腸管外経路(例えば、静脈内、血管内、動脈内、皮下、筋肉内、腫瘍内、腹腔内
、心(脳)(intraepidual)室内、硬膜内など)による注射、ならびに経口、経鼻
、経眼、直腸、局所、または吸入を含み得る。例えば、手術中に直接適用される
腐食可能な移植物の蓄積注射のような手段による徐放投与もまた、特異的には、
本発明に含まれる。
化合物は、医療的に受容可能な体重当たり任意の用量および任意の投薬頻度で
投与される。例えば、本発明の化合物について(特に、本発明の抗体または抗体
部分について)受容可能な用量は、0.01mg/kgと200mg/kg被験体体重の間の範囲
を含む。用量範囲は、約0.1mg/kgと50mg/kgの間である。なおより特定の実施態
様において、用量は、約1mg/kgと30mg/kgの間である。投薬は、毎日から一月お
きの範囲の間隔で繰り返される。1つの用量のレジメは、本発明の化合物を処置
の最初の3日間は毎日投与し、その後に、化合物は3週間ごとに投与され、各投
与は静脈内で5または10mg/kg体重である。
別のレジメは、本発明の化合物を静脈内に5mg/kg体重で、処置の最初の3日間
毎日投与し、その後化合物を、皮下または筋肉内に被験体当たり10mgで毎週投与
することである。別のレジメは、一用量の本発明の化合物を非経口で20mg/kg体
重で投与し、続いて化合物を、皮下または筋肉内に被験体当たり10mgで毎週投与
することである。
本発明の化合物は、特定の適応症(例えば、被験体が短時間曝された抗原(例
えば、処置の一日に投与された外来性抗原)に対する免疫応答を阻害する)のた
めに単回投薬として投与され得る。そのような抗原の例は、遺伝子治療ベクター
または抗原性因子もしくは血液製剤のような治療剤と本発明の化合物との同時投
与を含む。抗原が慢性的に存在する適応症(例えば、移植組織または長期的に投
与される抗原性因子に対する免疫反応の制御において)において、本発明の化合
物は、医療的に適応される時間の間、数日または数週間から、被験体の一生まで
の範囲の間隔で投与される。
本発明は、被験体における炎症反応を阻害する方法を提供する。本方法は、被
験体におけるCD40リガンドによる細胞表面にCD40を保有するB細胞以外の細胞(
例えば線維芽細胞、内皮細胞、ケラチン生成細胞)の活性化を阻害する上記の方
法を包含する。炎症反応は、浮腫および食作用性白血球の遊走を伴う毛細血管膨
張の結果としての発赤、腫張、発熱および疼痛によって特徴付けられる。炎症は
、Gallin(26章、Fundamental Immunology,第2版、Raven Press,New York,198
9,721-733頁)によってさらに定義され、これは本明細書中に参照として援用され
る。
本方法は、任意の線維芽細胞の活性化の阻害において効果的である。特定の実
施態様において、線維芽細胞は、滑膜線維芽細胞、皮膚線維芽細胞、肺線維芽細
胞、または肝線維芽細胞である。特定の実施態様において、線維芽細胞のCD40リ
ガンド誘導性活性化に依存する症状は、関節炎、強皮症および線維症(例えば、
肝臓および肺の線維性疾患)からなる群から選択される。本発明の実施態様にお
いて、肺の線維性疾患は、慢性関節リウマチまたは強皮症から生じる。
本発明の1つの実施態様において、関節炎は、慢性関節リウマチ、非リウマチ
炎症関節炎、ライム病に伴う関節炎、または骨関節炎である。別の特定の実施態
様において、線維症は、肺線維症、過敏性肺線維症、または塵肺症である。別の
特定の実施態様において、肝臓の線維性疾患は、C型肝炎、B型肝炎、非B非C
肝炎、肝硬変、あるいは中毒性発作(toxic insult)、薬物、ウイルス感染、また
は自己免疫疾患に続発する肝硬変である。アルコール消費は、肝硬変を生じ得る
中毒性発作の一つの例である。肝硬変を生じ得る一つの薬の例は、ブレオマイシ
ンである。他は当該分野に公知である。
肝臓の線維性疾患を生じ得るウイルス感染の例としては、当該分野に公知であ
るものの中でとりわけ、C型肝炎、B型肝炎、非B非C肝炎が挙げられる。肝臓
の線維性疾患を生じ得る自己免疫疾患の例としては、当該分野に公知であるもの
の中でとりわけ、原発性胆汁性胆硬変、およびルポイド肝炎(自己免疫性肝炎)
が挙げられる。特定の実施態様において、肺線維症は、成人呼吸促進症候群(ARD
S)に続発する肺線維症、因子誘導性肺線維症、特発性肺線維症、または過敏性肺
炎である;塵肺症は、石綿症、珪肺症、または農夫肺、ならびに他の本発明が関
係する当該分野に公知の塵肺症である。
本発明は、被験体における内皮細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存した症
状を処置する方法を提供し、本方法は、被験体においてCD40リガンドによる内皮
細胞の活性化を阻害する上記の方法を包含する。
本発明の実施態様において、被験体における内皮細胞のCD40リガンド誘導性活
性化に依存した症状は、アテローム性動脈硬化症、再潅流障害、同種移植片拒絶
反応、臓器拒絶反応、および慢性炎症性自己免疫疾患からなる群から選択される
。
特定の実施態様において、アテローム性動脈硬化症は、臓器移植に伴い加速し
たアテローム性動脈硬化症である。臓器移植拒絶反応に伴い加速したアテローム
性動脈硬化症におけるインサイチュでのCD40およびCD40Lの発現が、研究されて
いる。アテローム性動脈硬化症の加速のために再移植が必要な4人の心移植患者
由来の冠動脈の凍結切片が、抗CD40 mAb G28.5、抗CD40L mAb 5C8、またはコン
トロールmAbを用いて日常的な免疫組織化学により分析された。日常的なH&E
染色により、疾患に伴う典型的な内膜過形成、平滑筋細胞増殖、および炎症細胞
浸潤が示された。CD40は、病変において広範に発現した:内皮細胞、泡沫細胞お
よび浸潤性炎症細胞の全てがCD40を発現する。CD40L免疫活性は、浸潤している
単核細胞(おそらくはCD+T細胞である)の、不連続な、ぼんやりした染色とし
て観察された。共に、これらの研究は、CD40L+単核細胞およびCD40+内皮細胞、
泡沫細胞、および炎症性細胞の、移植に伴い加速したアテローム性動脈硬化症の
病変における、インサイチュの存在を実証する。
別の特定の実施態様において、慢性炎症自己免疫疾患は、脈管炎、慢性関節リ
ウマチ、強皮症、または多発性硬化症である。
本発明は、被験体におけるケラチン生成細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依
存した症状を処置する方法を提供する。本方法は、被験体におけるCD40リガンド
によるケラチン生成細胞の活性化を阻害する、上記の方法を包含する。
特定の実施態様において、ケラチン生成細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依
存した症状は、乾癬である。
本発明は、被験体におけるマクロファージのCD40リガンド誘導性活性化に依存
した症状を処置する方法を提供する。本方法は、被験体におけるCD40リガンドに
よるマクロファージの活性化を阻害する、上記の方法を包含する。特定の実施態
様において、マクロファージのCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状は、ア
テローム性動脈硬化症または慢性関節リウマチである。
上記の方法により処置され得る被験体は、動物である。好ましくは、動物は哺
乳動物である。処置され得る哺乳動物の例としては、ヒト;齧歯類(例えば、ネ
ズミ科動物のラットおよびマウス)、ならびにウサギ、およびモルモット;ウシ
;ウマ;ヒツジ;ヤギ;ブタ;イヌ、およびネコが挙げられるが、これらに限定
されない。
本発明はまた、被験体におけるプラスマ細胞(悪性プラスマ細胞を含む)のCD
40リガンド誘導性活性化に依存した症状を処置する方法を提供する。本方法は、
被験体に、CD40リガンドと細胞との相互作用を阻害し得る因子を、被験体におけ
る細胞の活性化を阻害する有効量で投与する工程を包含する。プラスマ細胞は、
分化したT細胞である。特定の実施態様において、症状は多発性骨髄腫である。
本発明は、細胞上にCD40保有細胞の増殖を促進する方法を提供する。本方法は
、細胞の増殖を促進するに有効な量のCD40リガンドと細胞とを接触させる工程を
包含する。1つの実施態様において、細胞は、B細胞以外の、細胞表面にCD40を
有する細胞である。特定の実施態様において、細胞表面にCD40を有する非B細胞
は、内皮細胞、線維芽細胞、上皮細胞、T細胞、または好塩基性球である。別の
実施態様において、細胞は、骨髄腫細胞のような分化したプラスマ細胞を含む、
プラスマ細胞である。
本発明はさらに、本明細書中に記載された、CD40リガンドと細胞表面にCD40を
保有する細胞との相互作用を阻害し得る治療有効量の因子、および薬学的に受容
可能なキャリアを含む、薬学的組成物を提供する。
本発明は、以下の「実験の詳細」からよりよく理解される。しかし、当業者は
、以下の請求の範囲により十分に記載されるように、議論された特定の方法およ
び結果は本発明の単なる例示であることを容易に認識する。実験の説明
第1の一連の実験材料および方法
研究患者
研究したRA患者の全ては、RAについてのAmerican College of Rheumatology c
rlteriaに適合した(19)。OAの診断法は、臨床的基準および放射線写真法基準
を利用して、患者の治療医によって確立された。原因不明の慢性炎症性関節炎(
IA)患者の一人もまた、研究された。
モノクローナル抗体およびT細胞株
IgG2aマウス抗CD40L mAb(5C8)を、予め作製した(3)。ハイブリドーマ抗MH
CクラスI(W6/32)、抗MHCクラスII(L243)、抗CD14(3C10)、抗CD40(G28.5
)、および抗CD45(GAP 8.3)を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(A
TCC) (Rockville,MD)から購入した。ハイブリドーマ腹水を、プロテインGカ
ラム(Pharmacia,Piscataway,NJ)で精製した。抗CD13および抗CD54 mAbを、B
iosource International (Camarillo,CA)から購入した。抗CD106 mAbは、Bio
gen(Cambridge,MA)の好意によって提供され、そして前記のようにビオチン化
した(20)。FACS分析に利用されるイソタイプコントロールmAbは、Becton-Dick
inson(San Jose,CA)またはCaltag(South San Francisco,CA)から購入した
。P1.17は、Biogenから入手したコントロールIgG2aマウス mAbであり、機能研究
用に利用する。
D1.1は、CD40Lを構成的に発現する、ジャーカットT細胞サブクローンである(
3、21)。B2.7は、CD40L-ジャーカットサブクローンである(3、21)。全長のCD
40Lタンパク質を発現する、CD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体を、前
記報告のように作製した(20)。
線維芽細胞の単離
滑膜を、関節置換手術を受けた6人のRA患者または8人のOA患者から得た。1
人のIA患者からのSMを、関節鏡で採取した。SMを小片に刻み、100mm組織物培養
ペトリ皿(Corning,Corning,NY)、または25 cm2フラスコ(Costar,Cambridg
e,MA)中で、10% FCS(SummitBiotechnology,Ft.Collins,CO)および1%ペ
ニシリン-ストレプトマイシン(Sigma,St.Louis,MO)(10%FM)を補充した、
イソコブ(Isocove)の改変ダルベッコ培地(Gibco,Grand Island,NY)で培養
した。滑膜細胞(synoviocyte)を数日間接着させ、その時点で組織デブリおよ
び非接着細胞を除去した。滑膜細胞をコンフルーエンスまで増殖させ、1%トリ
プシン-EDTA(Sigma)で処理して継代した。滑膜細胞を、インビトロで、1−6
継代の間研究した。2回目の継代後に凍結された正常の皮膚線維芽細胞株(CCD9
65SK)を、ATCCから入手した。皮膚線維芽細胞株を、2〜4継代間研究した。
線維芽細胞CD40発現に対するサイトカインの効果の研究
線維芽細胞CD40発現に対するサイトカインの影響を研究するために、細胞を6
ウエルプレート(Nunc,Denmark)中で培養し、そしてほぼコンフルーエンスま
で増殖させた。培地を吸引し、次いで線維芽細胞を、指示濃度のrINF-γ(Bioge
n)、rIL-1α(R&D,Minneapolis.MN)、rTNF-α(Upstate Biotechnology,L
ake Placid,NY)、rIL-4(Biosource International)、rGM-CSF(Immunex,Se
attle,WA)、またはサイトカインの組み合わせと共に、3mlの10% FM中で培養
した。指示時間で、その培地を吸引し、細胞を生理食塩水で洗浄し、そして1ml
の1%トリプシン-EDTAをウエルに添加した。7分後に、冷却10%FMをウエルに
添加し、そして細胞をFACS分析用に回収した。
線維芽細胞CD40連結の機能的重要性の研究
線維芽細胞表面分子の発現に対するCD40連結の効果を測定するために、線維芽
細胞を上記のように6ウエルプレート中で培養した。線維芽細胞がほぼコンフル
ーエンスのときに、1×106CD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD40LジャーカットB2
.7細胞、またはCD40L+ジャーカットB2.7のトランスフェクト体を、培養物に添加
した。指示されている場合、D1.1細胞を、線維芽細胞への添加の前に、抗CD40L
mAb 5C8(10μg/ml)またはイソタイプコントロール mAb P1.17(10μg/ml)で
前処理した。24時間後に、細胞をトリプシン処理によって回収し、そして二色FA
CS分析を実施した。
線維芽細胞増殖に対するCD40連結の効果を測定する研究のために、約5×103
細胞を、平底96ウエルプレート(Nunc)の10% FM中に添加した。18時間後に、
培地を1%FMに替え、そしてrINF-γ 1000 U/mlを指示の細胞に添加した。さら
に18時間後に、1% FM中の、1×105のマイトマイシン-C(Sigma)処理したCD4
OL+ジャーカットB2.7トランスフェクト体またはCD40LジャーカットB2.7細胞を、
線維芽細胞に添加した。抗CD40L mAb 5C8(5μg/ml)またはコントロールmAb P1
.17(5μg/ml)もまた、指示されているようにいくつかのウェルに添加した。10
%FMを、SM線維芽細胞増殖誘導のために、コントロールとしていくつかの細胞に
添加した。培養をさらに48時間維持し、そして実験の最後の18時間、1μCi3Hチ
ミジンを適用した。トリプシン処理後に、3Hチミジン取り込みを、ガラスファ
イバーフイルター紙(Cambridge Technologles,Watertown,MA)に回収し、そ
してシンチレーション計数(BetaCounter,Pharmacia)して測定した。
IL-6産生に対するCD40連結の効果を測定するために、IL-6応答性マウスB細胞
株B9を使用するバイオアッセイを実施した(22)。10%FM中の同数の線維芽細胞
を、上記のように、96ウエルプレートに播種した。一晩接着させた後に、1×105
のマイトマイシン-C処理したCD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD40Lジャーカット
B2.7細胞、またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体を、線維芽細胞に
添加した。指示されている場合、D1.1細胞を、抗CD40L mAb 5C8(10μg/ml)ま
たはコントロールmAb P1.17(10μg/ml)で前処理した。ジャーカット細胞から
なるコントロールウエルを単独で培養した。48時間後に、線維芽細胞、またはコ
ントロール上清、またはrIL-6の段階希釈液を、96ウエルプレート中の7.5×103B
9細胞に添加した。B9細胞を、96時間培養で維持し、最後の18時間、1μCi3Hチミ
ジンを適用し、上記のように回収した。
サイトフルオログラフィー分析
サイトフルオログラフィー分析を利用する方法は、以前に記載されている(21
)。全実験で、細胞をまず、凝集ヒト免疫グロブリン(Enzyme International,F
allbrook,CA)で処理して、非特異IgG結合をブロックした。一色FACS分析につ
いては、細胞を、飽和濃度の一次抗体で、4℃にて30〜60分間染色した。洗浄後
に、FITC結合F(ab)2ヤギ抗マウスIgG(Cappel,Cochranville,PA)を、4℃にて
30〜60分間添加した。細胞を洗浄して、そしてFACS分析前に、1%ホルムアルデ
ヒドで固定した。二色FACS分析については、細胞を、指示のFITCまたはPE結合mA
bで、4℃にて30〜60分間、同時に染色した。蛍光強度を、Consort-30ソフトウ
エア(Becton-Dickinson,Mountainview,CA)によって、FACScanサイトフルオ
ログラフで測定した。平均蛍光強度(MFI)は、Becton-Dickinson C30ソフトウ
ェアによって計算されたように、logスケールに標準化された値のことである。結果
培養SMまたは皮膚線維芽細胞でのCD40の発現
SM線維芽細胞がCD40を発現するかどうかを決定するために、6人のRA、1人の
IA、または8人のOA患者由来のSMをまず細かく刻み、培養に置いて、その後に非
接着細胞を排棄した。予測されるように、接着細胞の初代培養物は、形態学およ
び表現型に関して多型的(pleiomorphic)であった。少数の細胞は、マクロファ
ージの放射状形態または円形の外観特性であると見なされた。しかし、初代培養
物中の細胞の大多数は、線維芽細胞様形態および表現型(すなわち、CD45-CD14-
クラス11-を有していた(図1)。実質的に全細胞が、インビトロでの2〜3継
代後に、線維芽細胞様形態および表現型を有していた。
5つのRA線維芽細胞株を、インビトロでの1回目または2回目継代後のCD40発
現について研究し、そしてそれらは、FACS分析ではCD40+であった(図1)。IA
線維芽細胞株は、同様にCD40を発現した(表1)。1つのRA線維芽細胞株は、分
析前に2ケ月培養し、それはCD40-であった(データは示さず)。8つのOA線維
芽細胞株を、インビトロで1回目または2回目継代後にCD40発現について研究し
、そしてそれらは全てCD40+であった(図1)。線維芽細胞CD40発現が、SM線維
芽細胞に限られるかどうかを決定するために、正常皮膚線維芽細胞を、2〜4継
代後に、CD40発現についてインビトロで分析した。変化し得る程度で、研究した
3つの皮膚線維芽細胞株全てもまた、細胞表面CD40分子を発現する(図2)。し
かし、滑膜または皮膚線維芽細胞でのCD40発現は、培養時間が増すにつれて減少
し、いくつかの線維芽細胞株は、3〜4継代後にCD40-になった(データは示さ
ず)。これらの研究は、種々の関節炎患者から単離された、皮膚線維芽細胞また
はSM線維芽細胞が、インビトロでCD40を発現し得ることを、実証する。
線維芽細胞CD40発現に対するサイトカインの効果
インターフェロン-γ(INF-γ)は、B細胞(23)、マクロファージ(12)、お
よび胸腺上皮細胞(15)上で、CD40発現をアップレギュレートすることが知られ
ている。さらに、IL-1αまたはTNF-αは、胸腺上皮細胞でのCD40発現をアップレ
ギュレートする(15)。従って、次に、rINF-γ、rIL-1α、またはrTNF-αが、培
養SM線維芽細胞でのCD40の発現を調節するかどうかが問われた。細胞を、指示の
サイトカインとともに培養し、そしてCD40発現をFACS分析によって測定した。
これらのサイトカインの、SM線維芽細胞表面分子の発現に対する効果のコントロ
ールとして、CD54(ICAM-1)発現もまた測定した(24)。rINF-γは、SM線維芽
細胞CD40発現をアップレギュレートする(表1および図3)。対照的に、rIL-1
αおよびrTNF-αは、SM線維芽細胞CD40発現に対する効果は最少限である(表1
および図3)。しかし、rIL-1αまたはrTNF-αのいずれかは、SM線維芽細胞CD40
発現に対してrINF-γの効果を増大する(図3)。rINF-γもまた、培養時の連続
継代中にCD40発現を消失したSM線維芽細胞での、CD40発現を誘導する(データは
示さず)。さらに、rINF-γは、皮膚線維芽細胞上でのCD40発現をアップレギュ
レートする(図2)。rIL-4またはrGM-CSFは、B細胞(25)または単球(12)そ
れぞれでのCD40発現をアップレギュレートする。しかし、rIL-4またはrGM-CSFは
、SM線維芽細胞CD40発現に対して効果を有さない(データは示さず)。まとめと
して、これらの研究は、rINF-γが、線維芽細胞CD40発現を誘導しそしてアップ
レギュレートし、そしてrIL-1αまたはrTNF-αの添加がこの効果を増大すること
を実証する。
SM線維芽細胞CD54(ICAM-1)およびCD106(VCAM-1)発現に対するCD40L-CD40相互作
用の効果
CD40誘導は、B細胞上の種々の細胞表面分子(接着分子を含む)をアップレギ
ュレートすることが知られているので(26)、CD40連結が、SM線維芽細胞でのCD
54またはCD106発現をアップレギュレートするかどうかを、決定した。SM線維芽
細胞を、抗CD40L mAb 5C8またはコントロールmAbの存在下または非存在下で、CD
40L+ジャーカットD1.1細胞とともに培養した。SM線維芽細胞もまた、CD40L-ジャ
ーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体とともに培
養した。指示の培養時間後に、SM線維芽細胞CD54またはCD106発現を二色FACS分
析によって決定した。CD13発現を、ジャーカットT細胞とSM線維芽細胞とを識別
するために利用した(27)。CD40L+D1.1細胞は、mAb 5C8によって特異的に阻害
されるがコントロールmAbによっては阻害されない様式で、SM線維芽細胞CD54発
現(図4および5)の2〜4倍増大を誘導するが、コントロールCD40L-B2.7細胞
は誘導しなかった(図4)。さらに、CD40L+D1.1およびCD40L+ジャーカットB
2.7トランスフェクト体は、SM線維芽細胞CD106発現を同様にアップレギュレート
したが、コントロールCD40L-B2.7細胞はしなかった(図5)。まとめて、これら
の結果は、CD40L-CD40相互作用が、SM線維芽細胞CD54およびCD106発現をアップ
レギュレートすることを実証する。
SM線維芽細胞IL-6分泌に対するCD40連結の効果
CD40の連結は、B細胞(28)および単球(12)のIL-6産生を誘導する。興味深
いことに、SM線維芽細胞は、インビボ(29,30)およびインビトロ(31)でIL-6
を産生する。次の一連の実験では、CD40L-CD40相互作用が、SM線維芽細胞による
IL-6分泌をもたらすかどうかを確かめた。従って、SM線維芽細胞を、抗CD40L mA
b 5C8またはコントロールmAbの存在下または非存在下で、マイトマイシン-C処理
CD40L+ジャーカットD1.1細胞とともに培養した。さらに、SM線維芽細胞を、CD40
L-ジャ−カットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体とと
もに培養した。単独で培養されたジャーカット細胞由来の線維芽細胞上清または
コントロール上清を48時間後に回収し、希釈液をIL-6応答性マウスB細胞株B9に
添加した。D1.1細胞およびCD40L+ B2.7トランスフェクト体は、SM線維芽細胞IL-
6分泌を増大するが、CD40L B2.7細胞は増大しない(図6)。さらに、抗CD40L m
Ab 5C8は、D1.1細胞のこの効果を阻害するが、コントロールmAbは阻害しない。
単独で培養されたジャーカット細胞から回収されたコントロール上清は、B9増殖
を誘導しなかった(図6の説明を参照のこと)。これらの研究は、SM線維芽細胞
上でのCD40連結が、IL-6分泌を増大することを示す。
SM線維芽細胞増殖に対するCD40L-CD40相互作用の効果
CD40連結はB細胞増殖を誘導するので(5,21)、次に、CD40L+細胞が、SM線維
芽細胞の増殖を誘導するかどうかが問われた。従って、SM線維芽細胞を、以前に
記載されたように(32)増殖を阻止するために1% FM中で一晩培養し、他に示
されていなければ、1% FM中でさらに細胞の添加を実施した。次いで、マイト
マイシン-C処理CD40L+B2.7トランスフェクト体またはCD40L-B2.7細胞を、そのSM
線維芽細胞に添加した。指示されている場合、共培養実験はまた、抗CD40L mAb
5C8またはイソタイプコントロールmAb P1.17を包含していた。いくつかの実験
で、CD40L+B2.7トランスフェクト体を添加する前に、SM線維芽細胞を、rINF-γ
で一晩前処理した。線維芽細胞は、10% FCS((32))を含有する培地の存在下で
、増殖することが知られているので、各実験には、10% FM中で培養されたコン
トロール線維芽細胞を含めた。3Hチミジン取り込みは、48時間後に測定した。CD
40L-B2.7親細胞とは対照的に、CD40L+ B2.7トランスフェクト体は、SM線維芽細
胞増殖を誘導する(図7)。さらに、抗CD40L mAb 5C8は、CD40L+ B2.7トランス
フェクト体の線維芽細胞増殖を誘導する能力を特異的に阻害する(図7)。さら
に、SM線維芽細胞のrINF-γでの前処理により、CD40L+ B2.7トランスフェクト体
のSM線維芽増殖を誘導する能力が増大される(図8)。まとめて、これらのデー
ターは、CD40L媒介シグナルが、インビトロでSM線維芽細胞増殖を誘導し、この
効果はrINF-γによって増強されることを実証する。考察
この研究により、以下の(1)から(5)を特に実証することによって、CD40の発現
および機能の現在の知識を拡大される:(1)培養SMまたは皮膚線維芽細胞は、FAC
S分析によって決定されるように、細胞表面CD40分子を発現する;(2)rINF-γは
、線維芽細胞CD40発現をアップレギュレートし、そしてこの効果はrIL-1αまた
はrTNF-αによって増大される;(3)CD40L-CD40相互作用は、SM線維芽細胞CD54お
よびCD106発現をアップレギュレートする;(4)CD40の連結は、SM線維芽細胞のIL
-6産生を増大し、そして、(5)SM線維芽細胞増殖を誘導する。まとめて、これら
のデータは、CD40L-CD40相互作用がインビトロで線維芽細胞を機能的に活性化す
ることを実証する。
いくつかの一連の証拠から、T細胞がインビボで線維芽細胞機能を調節するこ
とが示唆される。このことは、線維芽細胞が、細胞外マトリックスタンパク質を
産生することにより組織損傷後に修復の役割を果たすので重要である。さらに、
リンパ球、マクロファージ、および線維芽細胞は、ある種の感染症に特徴的な肉
芽腫性炎症反応で優勢な細胞型である。さらに、T細胞は、強皮症または慢性移
植片対宿主病のような疾患で見られる線維芽細胞活性化およびコラーゲン沈着を
、
直接または間接に媒介する(33-35)。
動物モデルは、T細胞が、組織損傷に対する宿主応答中に、線維芽細胞の機能
を調節することを実証する。これに関しては、創傷治癒の研究により、創傷強度
およびヒドロキシプロリン含有量が、シクロスポリンA(36)またはT細胞涸渇抗
Thy 1.2 mAb(37)でマウスを処置することによって有意に減少することが示さ
れる。T細胞もまた、線維症の種々の動物モデルでの結果を調節する。例えば、
ブレオマイシン誘導性肺線維症は、胸腺機能が正常な(euthymic)コントロールマ
ウスに比較して、無胸腺マウスで有意に緩和される(38)。さらに、関節または
肝臓の炎症反応およびコラーゲン沈着もまた、連鎖球菌細胞壁抽出物の腹腔内注
入後に、無胸腺ラットで有意に減少される(39,40)。
ある研究により、ヒト線維芽細胞がインビボでCD40を発現し得ることが示唆さ
れる。Potocnikおよび共同研究者は、CD40を含む種々の細胞表面分子の、RA PBL
、SF、およびSMでの発現および分布を研究した(18)。免疫組織化学によって、
彼らは、線維芽細胞であることを示す紡錘形の形態を有する細胞を含む、RA SM
の種々の細胞でのCD40発現を示した。SM線維芽細胞は、リウマチ性パンヌスに優
勢な細胞成分である。コラゲナーゼ、PGE2、IL-6、およびその他のメディエータ
ーを産生することによって、滑膜線維芽細胞は、RAに特徴的である関節破壊に非
常に寄与していると考えられる(30,41-43)。一方、電子顕微鏡的研究により、
リウマチ滑膜中のT-線維芽細胞直接接触が実証され(44)、ほとんどの研究によ
り、IL-1またはTNF-αのようなマクロファージ由来のサイトカインが、線維芽細
胞を活性化することが示唆された(30)。これらの研究は、CD40L-CD40相互作用に
媒介される直接接触もまた、SM線維芽細胞に対する活性化および増殖シグナルを
提供することを示唆する。
CD40L媒介シグナルがSM線維芽細胞増殖を増大する機構は、現在不明である。
恐らく、CD40L-CD40相互作用が、IL-1,GM-CSF、およびFGFのようなサイトカイ
ンの分泌を誘導し、これによりオートクリンまたはパラクリン様式でSM線維芽細
胞増殖が刺激されるのかもしれない(31)。CD40連結もまた、細胞増殖に関連する
ガン原遺伝子であるc-mycを発現するようにB細胞を誘導する(45)。免疫組織
学的研究は、RA SM線維芽細胞様滑膜細胞が、インサイチュでc-mycを発現する
ことを実証する(46)。従って、CD40連結もまた、SM線維芽細胞でのc-myc発現
を誘導するかどうかを特異的に決定することは、興味深いことである。
B細胞でのCD40連結と同様に(26)、CD40L-CD40相互作用は、線維芽細胞CD54
発現の発現を増大する。さらに、CD40L-CD40相互作用は、線維芽細胞CD106発現
をアップレギュレートする。CD54およびCD106は、白血球上で発現されるCD11a/C
D18(LFA-1)またはCD49d(LA-4)とそれぞれ相互作用することによって、免疫
細胞を炎症部位に補充する、重要な役割を果たす(24)。これらのリガンド-対
リガンド相互作用は、T細胞に対する増殖シグナルを増強する証拠もまた存在す
る(47)。CD54およびCD106はインビボでRA線維芽細胞様滑膜細胞で発現される
ことが知られており((48-50))、そして種々のサイトカインがインビトロで滑
膜線維芽細胞CD54およびCD106発現をアップレギュレートする(49,51,52)。さ
らに、インビトロでのT細胞のSM線維芽細胞への接着は、CD11a/CD18-CD54相互作
用(53)およびCD49d-CD106相互作用(49)によって一部媒介される。従って、C
D40L+T細胞によるSM線維芽細胞でのCD54およびCD106のアップレギュレーション
は、SMに対するサイトカインが媒介する炎症性細胞補充/維持を増大する機構を
示し得る。さらに、CD40L媒介SM線維芽細胞CD54およびCD106アップレギュレーシ
ョンは、それらの対レセプター相互作用を介して、T細胞への直接的なシグナリ
ングの役割を果たし得る。
ハムスター抗マウスCD40L mAb(MRI)のインビボ投与により、RAマウスモデル
でコラーゲン誘導性関節炎の誘導が阻止されることは興味深い(54)。MR1が抗
コラーゲン自己抗体の産生をブロックするという事実は、T細胞依存性体液性免
疫応答でのCD40L-CD40相互作用の既知の役割に関連するようである(9-11)。さ
らに、MR1は、コラーゲン誘導性関節炎に特徴的である、滑膜内膜細胞厚化およ
びSM炎症細胞浸潤の進行を阻害する(54)。これらの研究は、T細胞-線維芽細胞
CD40L-CD40相互作用が、コラーゲン誘導性関節炎で認められる炎症反応を媒介す
る役割を果たし、またT細胞依存線維芽細胞活性化に一部媒介される、RAまたは
強皮症のようなヒト線維性疾患での免疫病理学的役割も果たすことを示唆する。
さらに、この研究は、CD4+T細胞誘導性線維芽細胞活性化に媒介されるヒト疾患
に対する治療法としての、CD40L-CD40相互作用をブロックのための、新たな理論
的根拠を提供する。
表1の説明:SM線維芽細胞CD40発現のサイトカイン調節。
培地、rINF-γ(1000 U/ml)、rIL-1α(10 pg/ml)、またはrTNF-α(200 U/ml
)と共培養後に、指示されているSM線維芽細胞株においてFACSV分析によって測
定された、CD40発現(平均蛍光強度)が示されている。コントロールmAbのバッ
クグラウンド染色(MFI)が、各値について差し引かれている。
第2の一連の実験材料および方法
モノクローナル抗体、レクチンおよびT細胞株
IgG2aマウス抗CDD40L mAb(5C8)は、以前に誘起された(20)。ハイブリドー
マW6/32(抗MHCクラスI)、L243(抗MHCクラスII)、3C10(抗CD14)、THB.5(
抗CD21)、G28.5(抗CD40)、およびGAP 8.3(抗CD45)を、アメリカンタイプカ
ルチャーコレクション(ATCC)(Rockville,MD)から入手した。ハイブリドー
マ腹水を、プロテインGカラム(Pharmacia,Piscataway,NJ)で精製した。FIT
C結合体抗CD13、FITC結合体抗CD19、およびPE結合体抗CD54 mAbを、BiosourceIn
ternational (Camarillo,CA)から入手し、そして、抗CD34 mAbをBiogenex(S
anRamon,CA)から得た。さらなる抗CD54 mAb、ならびに、抗CD62Eおよび抗CD10
6 mABは、Biogen(Cambridge,MA)の好意によって得た。Biogenによって提供さ
れたL243およびmAbを、以前に記載のようにビオチン化した(37)。PE結合
体抗CD80、およびビオチン化抗CD86 mAbは、Becton Dickinson(San Jose,CA)
およびPharMingen(San Diego,CA)から、それぞれ入手した。FACS分析に使用
されるイソタイプコントロールmAbは、Becton DickinsonまたはCaltag Laborato
ries(South San Francisco,CA)から入手した。P1.17は、機能研究に使用され
る、関連性のないコントロールIgG2aマウスmAb(Biogen)である。FITC結合体UE
A-1は、Sigma(St.Louis,MO)から得た。
D1.1は、構成的にCD40Lを発現する、ジャーカットT細胞サブクローンである
(20,42)。B2.7は、CD40L-ジャーカットT細胞サブクローンである(20,42)。
安定にトランスフェクトされたCD40L+293腎細胞またはCD8+293腎細胞を、以前に
報告されたように産生した(37)。Ramos 2G6 B細胞は、CD40L媒介シグナルに
応答し(38,39)、それはATCCから入手した。
内皮細胞培養物
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、以前に報告されたように単離した(40,41)
。HUVECを、25% FCS(Summit Blotechnology,St.Collins,CO)、5%ヒト血清
(Gemini,Calabasas,CA)、ヘパリン90μg/ml (Sigma)、内皮細胞増殖因子1
5μg/ml (Collaborative Research,Bedford,MA)、および1%ペニシリン-スト
レプトマイシン(Sigma)を補充した、M199培地(Gibco,Grand Island,NY)(
M199完全培地)中で培養した。HUVECを、1%トリプシン-EDTA(Sigma)で3分間
処置して継代した。全HUVEC実験は、1〜3回の継代後に、M199完全培地中で実
施した。
HUVEC CD40発現に対するサイトカインの効果についての研究
CD40発現に対するサイトカインの影響を研究するために、HUVECを6ウェルプ
レート(Nunc,Denmark)中で培養し、そしてコンフルーエンス近くまで増殖し
た。培地を吸引し、次に、HUVECを、rIFN-γ 1000U/ml (Biogen)、rIL-1α 10
pg/ml(R&D, Minneapolis,MN)、またはrTNF-α 200 U/ml(Upstate Biotechno
logy,LakePlacid,NY)とともに、3ml M199完全培地中でインキュベートした
。指示されている時間に、培地を吸引し、細胞を生理食塩水で1回洗浄し、そ
して、l mlの1%トリプシン−EDTAをウェルに加えた。10% FCS(Summit)を含有
する、冷却したイソコブ改変ダルベッコ培地(Isocove's Modified Dulbecco's
Media)(Gibco)を、3分後にウェルに加え、その細胞を、FACS分析用に回収
した。
HUVEC CD40連結の機能的結果についての研究
HUVEC細胞表面分子の発現に対するCD40連結の効果を研究するために、細胞を
、上記のように、6ウェルプレート中で培養した。HUVECがコンフルーエンス近
くになったときに、1×106 CD40+ジャーカットD1.1細胞、CD40L-ジャーカットB
2.7細胞、CD40L+293腎細胞トランスフェクト体、またはCD8腎細胞トランスフェ
クト体を、培養物に添加した。指示されているところで、CD40L+細胞を、HUVEC
への添加前に、抗CD40L mAb 5C8(10μg/ml)またはイソタイプコントロールmAb
P1.17(10μg/ml)で前処理した。培養中での指示された時間の後に、細胞をト
リプシン処理によって回収し、二色FACS分析を実施した。
Ramos 2G6細胞でのCD40連結の機能研究
Ramos 2G6細胞でのCD40連結のコントロール実験は、2×105 Ramos 2G6細胞を
、1×105 D1.1細胞またはコントロール細胞とともに、10%FCS(Summit)および
1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma)を含有する、200μlのイソコブ改変
ダルベッコ培地(Gibco)を入れた96ウェルプレート中で、24時間培養して、実施
した。
サイトフルオログラフィー分析
サイトフルオログラフィー分析に使用される方法は、以前に記載された(20,4
2)。全実験において、細胞をまず、凝集ヒト免疫グロブリン(Enzyme Internat
ional,Fallbrook,CA)で処理して、非特異Ig結合を阻害した。一色FACS分析に
ついては、細胞を、一次抗体の飽和濃度で、4℃にて30〜60分間染色した。洗浄
後に、FITC結合F(ab)2ヤギ抗マウスIgG(Jackson Immunoresearch Laboratories
,West Grove,PA)を、4℃にて30〜60分間加えた。細胞を洗浄し、FACS分析の前
に1%ホルムアルデヒドで固定した。二色FACS分析については、細胞を、まず指
示されたビオチン化mAbで染色した。洗浄後に、次いで細胞を、ストレプトアビ
ジン−PE(Calbiochem,LaJolla,CA)、およびFITC結合抗CD13 mAbまたはFITC
結合体UEA-1で、指示されているように染色した。HUVECを、抗CD13 mAbまたは内
皮細胞に選択的に結合するレクチンであるUEA-1でポジティブ染色することによ
って、二色FACS分析でジャーカット細胞と区別した(43)。蛍光強度は、Consor
t-30ソフトウェア(Becton-Dickinson,Moutainview,CA)を用いて、FACScanサ
イトフルオログラフによって測定した。平均蛍光強度(MFI)は、Consort 30ソ
フトウェアによって計算されたように、logスケールに標準化された値のことで
ある。
インサイチュでの内皮細胞CD40発現の特徴づけ
正常脾臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺、または臍帯の凍結切片を、以前に
記載されたように(38)、CD40発現について研究した。免疫組織化学分析は、指
示されているmAbを用いて実施し、反応性は、Vector ABC Eliteキットおよび3
−アミノ−9−エチルカルバゾル(AEC) (Vector Laboratories,Burlingame
,CA)を使用し、製造者の使用説明書に従って実施した。コントロール凍結切片
を、マウスIgG(Sigma)の適切な濃度で染色した。結果
内皮細胞CD40発現のインサイチュおよびインビトロでの特徴づけ
第一の一連の実験を、正常内皮細胞が、インサイチュでCD40を発現するかどう
かを決定するために行った。従って、正常脾臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺
、または臍帯から得た凍結切片を、抗CD40 mAbまたはコントロールマウスIgGで
染色し、そして内皮細胞反応性を記録した。さらなるコントロールは、抗CD34 m
Ab(造血幹細胞および内皮細胞と反応する(44))、または抗CD21 mAb(B細胞お
よび上皮細胞と反応する(17))での染色を包含する。研究された全組織からの内
皮細胞は、インサイチュにてCD40を発現する。図9〜11は、正常皮膚(図9)、
筋肉(図10)、および脾臓(図11)で、内皮細胞の典型的なCD40染色を示す。内
皮反応性パターンは、抗CD34 mAbで認められたものと同様であった(図9および
1
0)。対照的に、内皮細胞は、抗CD21 mAb(図9および10)またはマウスIgG(図
9〜11)とは反応しなかった。
インビトロでの内皮細胞CD40発現および機能をさらに研究するために、培養ヒ
ト臍静脈内皮細胞(HUVEC)もまたCD40を発現するかどうかを、次に確かめた。H
UVECを単離し、コンフル一エンスに増殖し、CD40発現を、トリプシン処理後に、
FACS分析で測定した。細胞は、形態学的に内皮細胞に類似し、表現型分析は、細
胞がCD13+であり、選択的に内皮細胞に結合するレクチンであるUEA-1と反応する
ことを実証した(43)。さらに、細胞は、FACS分析によれば、CD14-CD45-MHCク
ラスII-であった。従って、これらの培養物は、有意数の混入する内皮細胞以外
の細胞を含有しなかった。HUVECは、インビトロにおいて、CD40を構成的に発現
する(図12)。同様の結果が、15人の個体から単離されたHUVECから得られた。
前炎症性サイトカインが、内皮細胞CD40発現を調節するかどうかを決定するた
めに、B細胞(45)、単球(14)、胸腺上皮細胞(18)、および線維芽細胞(19
)について示されたように、HUVECを、rIFN-γ、rIL-1α、またはrTNF-αと、48
時間培養した。rIL-1αまたはrTNF-αとは対照的に、rINF-γは、HUVEC CD40発
現の2〜3倍増加を誘導する(表2)。まとめて、これらの研究は、正常組織由
来の内皮細胞が、インサイチュおよびインビトロにおいてCD40を発現し、rIFN-
γが、インビトロにおいて内皮細胞CD40発現をアップレギュレートすることを実
証する。
HUVEC CD54、CD62E、およびCD106発現に対するCD40L-CD40相互作用の効果
活性内皮細胞は、細胞間接着相互作用の媒介において、重要な役割を果たすCD
54、CD62E、およびCD106のような、細胞表面分子を発現する(1,2)。興味深
いことに、B細胞(46)または線維芽細胞(19)でのCD40の連結は、接着分子の
アップレギュレーションを誘導する。従って、次に問われたのは、CD40L-CD40相
互作用が、二色FACS分析で測定されるように、インビトロで、HUVECでのCD54、C
D62E、またはCD106の発現に影響するどうかであった。HUVECを、CD40L+ジャーカ
ットD1.1細胞またはCD40L-ジャーカットB2.7細胞とともに培養した。指示されて
いるところは、ジャーカットD1.1細胞を、HUVECへの添加の前に、抗CD40L mAb 5
C8またはコントロールmAbで前処理した。ポジティブコントロールとして、HUVEC
もまたrIL-1αとともに培養した。CD40L-ジャーカットB2.7細胞ではなく、CD40L+
ジャーカットD1.1細胞が、HUVECでのCD54、CD62E、およびCD106アップレギュレ
ーションを誘導する(図13および14)。D1.1細胞のこの影響は、イソタイプコン
トロールmAbによってではなく、抗CD40L mAb 5C8によって阻害される(図13およ
び14)。これらの研究は、CD40L-CD40相互作用が、HUVECでのCD54、CD62E、およ
びCD106発現をアップレギュレートをすることを強く示唆する。
HUVEC CD54、CD62E、およびCD106発現に対するCD40L+293腎細胞トランスフェク
ト体の効果
CD40L媒介シグナルが、さらなるリンパ球特異的相互作用の非存在下で、内皮
細胞接着分子をアップレギュレートするのに十分であるかどうかを決定するため
に、HUVECを、安定にトランスフェクトされたCD40L+293腎細胞またはコントロー
ルCD8+293トランスフェクト体とともに培養した。ポジティブコントロールとし
て、HUVECをまた、CD40L+D1.1細胞とともに培養した。CD40L+ D1.1細胞と同様に
、CD40L+293腎細胞トランスフェクト体は、HUVECでのCD54、CD62E、およびCD106
の発現をアップレギュレートする(図15)。コントロール293 CD8トランスフェ
クト体は、HUVECでのCD54、CD62E、またはCD106発現に対する効果を有さない。
まとめて、これらの研究は、CD40L-CD40相互作用が、インビトロで、HUVECでこ
れらの接着分子をアップレギュレートするのに十分であることを実証する。
CD40L媒介HUVEC CD54、CD62E、およびCD106アップレギュレーションの動力学分
析
rIL-1αまたはrTNF-αによる、CD54、CD62E、またはCD106のインビトロでのア
ップレギュレーションの動力学は、十分に確立されてきた(1,2)。CD54およ
びCD106は、24時間を超えて活性化および発現が持続する後に、6時間アップレ
ギュレートされる。対照的に、CD62E発現は、活性化後6時間でピークに達し、2
4時間までにベースライン(発現なし)に戻る。次の一連の実験では、CD40L誘導
HUVEC CD54、CD62E、またはCD106のアップレギュレーションの動力学が測定され
た。HUVECを、CD40L+D1.1細胞またはCD40L B2.7細胞と培養し、そしてCD54、CD6
2E、またはCD106発現について、種々の時点で分析した。CD40L+D1.1細胞との培
養後に、HUVEC CD54またはCD106発現は、6時間までにアップレギュレートされ
、24時間を超えて発現が持続された(図16)。対照的に、CD40L誘導CD62E発現は
、6時間までにピークに達し、そして24時間までにベースラインに戻った(図16
)。従って、HUVEC CD54、CD62E、またはCD106のCD40L、rTNF-α、またはrIL-1
α媒介アップレギュレーションの動力学は類似している。
CD40L-CD40相互作用が、HUVECでのCD80、CD86、またはMHCクラスII発現をアップ
レギュレートするかどうかの決定
活性内皮細胞は、MHCクラスII分子を発現する能力を有し、T細胞へ共刺激シ
グナルを送達する(10,47-49)。B細胞または樹状細胞でのCD40連結は、MHCク
ラスII発現、ならびに共刺激分子CD80およびCD86の発現をアップレギュレートす
る(36,37,50〜52)。従って、次の一連の実験は、CD40L-CD40相互作用が、HUVE
CでのMHCクラスII,CD80、またはCD86発現を、同様にアップレギュレートするか
どうかを、測定した。HUVECを、CD40L+D1.1細胞またはCD40L-B2.7細胞と、24時
間または48時間培養し、CD80、CD86、およびMHCクラスII発現を、二色FACS分析
によって測定した。HUVEC CD40連結の効果に対するポジティブコントロールとし
て、CD54発現もまた測定した。さらに、MHCクラスIIアップレギュレーションに
対するコントロールとして、HUVECもまたrIFN-γと培養した。CD40L媒介CD80、C
D86、およびMHCクラスIIアップレギュレーションのポジティブコントロールとし
て、D1.1細胞を、Ramos 2G6 B細胞と培養した(38〜39)。B細胞または樹状細
胞に対するCD40連結の効果とは対照的に、CD40L-CD40相互作用は、HUVECでのMHC
クラスII,CD80、またはCD86発現をアップレギュレートしない(表3)。考察
CD40は、B細胞(12,13)、単球(14)、樹状細胞(15)、上皮細胞(17,18)
、好塩基球(16)、および線維芽細胞(19)を含む、種々の細胞で構成的に発現
される、細胞表面分子である。CD40の対レセプターは、30〜33kDaの活性化誘導
さ
れ、一過的に発現されるCD+T細胞表面分子である、CD40Lである(20-25)。脾
臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺、または臍帯の上皮細胞は、インサイチュで
CD40を発現することが示される。この所見は、慢性関節リウマチ滑膜の内皮細胞
が、CD40を発現するという以前の報告に一致する(11)。さらに、ヒト臍静脈内
皮細胞(HUVEC)は、インビトロでCD40を発現する。最も重要なことに、内皮細
胞でのCD40発現は、コントロール細胞ではなく、CD40L+ジャーカットT細胞また
はCD40L+293腎細胞トランスフェクト体が、HUVECでの細胞内接着分子CD54(ICAM
-1)、CD62E(E-セレクチン)、およびCD106(VCAM-1)の発現をアップレギュ
レートするので機能的に重要である。本明細書に開示されている結果は、内皮細
胞がCD40を発現し、そして、インビトロで、CD40L-CD40相互作用が内皮細胞活性
化を誘導することを実証する。
内皮細胞は、CD54、CD62E、およびCD106を発現することによって、部分的に炎
症応答に重要な役割を果たす(1,2)。これらの接着分子は、白血球上の特異
細胞表面レセプターと相互作用し、内皮細胞バリアを横切る炎症細胞の貫通移動
を促進する。これらの特定内皮細胞表面分子の発現は、しっかりと調節される(
1,2)。休止内皮細胞は、低レベルのCD54、および最少限のCD62EもしくはCD1
06を発現するか、または全く発現しない。しかし、内皮細胞は、IL-1またはTNF
での活性化後に、CD54、CD62E、およびCD106発現をアップレギュレートする。こ
れらの所見は、活性CD4+T細胞が、直接的細胞−細胞接触によって、内皮細胞接
着分子をアップレギュレートする手段を実証する。
CD40L発現もまたしっかりと調節されるので、CD40L-CD40相互作用は、Ag操作
免疫応答中に生じるようである。これに関し、インビトロでの研究は、休止CD4+
T細胞が、検出可能なCD40Lを発現しないことを実証する(20〜22,25,53)。し
かし、CD40Lは、インビトロにおいて、活性CD4+T細胞で一過的に発現され;ピ
ーク発現は、活性化後6時間に認められ、24〜48時間までに、レベルはベースラ
イン(発現なし)まで戻る(20,21,53)。CD40Lはまた、レセプター媒介エンド
サイトーシスに少なくとも一部起因するプロセスで、CD40を発現する細胞によっ
て、迅速にダウンレギュレートされる(54)。インビボでは、CD40L発現は、通
常、MHC制限Ag特異T−B相互作用部位である、二次リンパ組織(38)のCD4+T
細胞に制限される。しかし、慢性関節リウマチ滑膜または乾癬斑の免疫組織学的
研究は、CD40L+CD4+T細胞の存在を実証する。これらの研究は、炎症部位のAPC
が、CD4+T細胞の浸潤を誘導して、CD40Lを発現することを示唆する。次いで、C
D40L+CD4+T細胞は、CD40+内皮細胞と相互作用することによって、炎症プロセス
を促進する役割を果たす。この相互作用の機能的結果が、炎症部位での免疫細胞
のさらなる接着および貫通移動を可能にする。
CD40連結が、内皮細胞表面接着分子の発現を調節する事実は、種々の細胞での
接着分子の発現および/または機能の調節における、CD40シグナル伝達の一般的
な役割と一致する。この点に関して、CD40L媒介シグナルが、滑膜から培養され
た線維芽細胞で、CD54およびCD106のアップレギュレーションを誘導することが
示された(19)。CD40連結もまた、B細胞でのCD54発現をアップレギュレートし
(46)、B細胞のCD54依存性ホモ凝集(homoaggregation)を誘導する(55)。興
味深いことに、B細胞の抗CD40 mAbでの前処理は、インビトロでのB細胞の活性
内皮細胞とのヘテロ型相互作用を、CD49d(VLA-4)/CD106相互作用に依存する様式
で促進する(56)。CD40連結は、B細胞CD49d発現をアップレギュレートしなかっ
たので、CD40媒介シグナルが、CD49d活性化を誘導することが仮説された。
B細胞または樹状細胞でのCD40連結もまた、MHCクラスIIならびに共刺激分子C
D80およびCD86の発現をアップレギュレートする(36,37,50-52)。興味深いことに
、rIFN-γで刺激された内皮細胞は、インビトロでのMHCクラスIIを発現する能力
があり(57)、炎症組織内でインサイチュでの内皮細胞は、MHCクラスIIを発現し
得る(10,58-60)。さらに、内皮細胞は、インビトロでT細胞へAgを提供する能力
があり、IL-2産生および増殖が要求されるT細胞へ、適切な共剌激シグナルを送
達する(10,47-49)。
しかし、CD40L-CD40相互作用が、インビトロで、HUVECでのMHCクラスII、CD80
、またはCD86発現を、アップレギュレートしないことが本明細書で示される。こ
の所見は、ヒト内皮細胞が、CD80を発現しないことを示唆する以前の研究に一致
する(47,61)。内皮細胞で発現される共刺激分子は、正確には知られていない
。Poberおよび共同研究者らによる研究は、CD2-CD54(LFA-3)相互作用をブロック
することが、内皮細胞のアロジェニックT細胞増殖を誘導する能力を阻害するこ
と
を実証する(47,48)。しかし、CD2-CD58相互作用が、細胞間接着を促進、およ
び/またはT細胞への共刺激シグナルを送達するかどうかは不明である。CD40L
媒介シグナルが、内皮細胞のT細胞を活性化する能力を調節するかどうかを決定
することは興味深い。
最終的に、内皮細胞は、CD4+T細胞に媒介される種々の疾患で、活性化される
。
例えば、内皮細胞表面接着分子は、慢性関節リウマチ(62)、鞏皮症(63)、お
よび移植組織拒否(64)においてアップレギュレートされる。さらに、CD4+T細
胞は、アテローム性動脈硬化症(65)および移植に伴う加速アテローム性動脈硬
化症で役割を担う(60)。これらの疾患における、内皮細胞とのCD40L媒介相互
作用の精密な機械的役割は、未知である。しかし、CD40L、MR1に対する抗体は、
CD4+T細胞および/または炎症細胞浸潤に媒介される疾患のマウスモデルを阻害
する。例えば、MR1は、コラーゲン誘導関節炎(慢性関節リウマチのマウスモデ
ル)に伴う、滑膜内膜細胞肥大および細胞浸潤を防止する(66)。さらに、MR1
は、多発性硬化症(EAE)のマウスモデルを阻害し、そして、同種移植拒絶を阻
害する(67)。内皮細胞および/または線維芽細胞とのCD40L依存相互作用のブ
ロッキングは、一部、これらのMR1の効果を媒介する。本明細書に開示されてい
る結果は、内皮細胞表面のCD40L-CD40相互作用が、炎症性疾患において免疫病理
学的役割を担うことを示唆する。
表2の説明:HUVEC CD40発現に対するサイトカインの効果。
rIFN-γ(1000U/ml)、rIL-1α(10pg/ml)、またはrTNF-α(200 U/ml)の
存在または非存在下で48時間培養されたHUVECでの、CD40またはCD54発現の平均
蛍光強度(MFI)が示されている。CD40またはCD54 MFIは、FACS分析によって測
定され、コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から差し引かれてい
る。同様の結果が、異なるHUVEC株を用いたさらなる2つの実験において得られ
た。
表3の説明:HUVEC MHCクラスII、CD80、およびCD86発現に対するCD40L-CD40相
互作用の効果。培地、rIFN-γ(1000 U/ml)、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、ま
たはCD40L B2.7細胞との48時間培養後の、HUVEC CD54、CD80、CD86、またはMHC
クラスII発現の平均蛍光強度が示されている。平行実験で、CD40L応答Ramos 2G6
B細胞株(38〜39)を、培地、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、またはCD40L B2.7
細胞と24時間培養した。HUVECまたはRamos 2G6 MHCクラスII,CD54、CD80、およ
びCD86発現を、二色FACS分析によって測定した。コントロールmAbのバックグラ
ウンド染色は、各値から差し引かれている。異なるHUVEC株を用いた3つの同様
な実験の代表例が示されている。ND = 実験せず。
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─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 43/00 A61K 31/00 643B
A61K 39/00 39/00 H
39/395 39/395 D
N
45/00 45/00
C12N 5/10 C12P 21/08
C12P 21/08 C12Q 1/02
C12Q 1/02 G01N 33/15 Z
G01N 33/15 33/566
33/566 C12N 5/00 B
(31)優先権主張番号 08/637,323
(32)優先日 平成8年4月22日(1996.4.22)
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),AU,CA,JP,M
X
(72)発明者 イェリン,マイケル ジェイ.
アメリカ合衆国 ニューヨーク 10463,
リバーデール,インディペンデンス アベ
ニュー 2736
(72)発明者 レダーマン,セス
アメリカ合衆国 ニューヨーク 10128,
ニューヨーク,イースト 95ティーエイチ
ストリート 143
(72)発明者 チェス,レオナルド
アメリカ合衆国 ニューヨーク 10538,
スカースデール,グリーン エイカーズ
アベニュー 81
(72)発明者 カープサス,ミハイル エヌ.
アメリカ合衆国 マサチューセッツ
02131,ロスリンデール,ポプラー スト
リート ナンバー2 175
(72)発明者 トーマス,デイビッド ダブリュー.
アメリカ合衆国 マサチューセッツ
02181,ウェルズリー,アップランド ロ
ード 9