JP2000501924A - 神経膠細胞系由来神経栄養因子のレセプター類 - Google Patents

神経膠細胞系由来神経栄養因子のレセプター類

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Abstract

(57)【要約】 神経膠細胞系由来の神経栄養因子(GDNF)のレセプター類、これらの細胞発現、単離及び生化学的特性化が開示される。GDNFの一つのレセプターとしてc−RETが開示され、さらなる新規なレセプター類も開示される。GDNFに対するモノクーナル抗体の調製も開示される。

Description

【発明の詳細な説明】 神経膠細胞系由来神経栄養因子のレセプター類 35 U.S.C.§119(e)に従って、本出願は、全てそのまま引用す ることにより本明細書に組み込まれる1995年11月13日に出願された仮出 願第60/006,619号、1996年4月16日に出願された第60/01 5,767号、1996年6月27日に出願された第60/021,965号、 1996年6月27日に出願された第60/020,638号及び1996年6 月27日に出願された第20/020,639号の優先権の利益を請求する。 発明の分野 本発明は、GDNFのレセプター類及び機能の同定、並びにこれらのレセプタ ーを発現する細胞系に関する。 発明の背景 神経膠細胞系由来神経成長因子(GDNF)は、栄養ポリペプチドである。1 34アミノ酸の長さの2個のグリコシル化ポリペプチドがジスルフィド架橋で結 合したホモダイマーであり、各モノマーは約25−30kDの分子量を有する。 1993年のGDNFの分子クローニングの前に、研究者等は、パーキンソン病 に関連したニューロンの損失、特に前中脳のドーパミン作動性ニューロンの損失 を軽減する栄養ポリペプチドを探していた。このニューロンの亜集団の生存は、 神経膠細胞系の調節培地中に存在する可溶性因子によりしばらくの間促進される ことが知られている。胚の前中脳ニューロンから調製された初代培養物において ドーパミンの取り込みを促進する能力に基づいてGDNFタンパク質が最初に単 離されたのは、これらの細胞系の一つからであった(Lin等、 260 Science 1120、1993)。続いて、パーキンソン症候群 に似た薬理学的処置及び損傷の後に、GDNFがインビボで成体の黒質ニューロ ンの生存を促進することが示された(Bech等、377 Nature 33 9、1995;Tomac等、373 Nature 335、1995)。G DNFは、最初、ドーパミン作動性ニューロンに非常に特異的であると報告され たけれども、顔及び脊髄の運動ニューロン(Henderson等、266 cience 30 1062、1994;Oppenheim等、373 ature 344、1995;Yan等、373 Nature 341、1 995)、青班のノルアドレナリン作動性ニューロン(Arenas等、Neu ron 、印刷中、1995)、小脳プルキンエ細胞(Mount等、92 PN AS 9092、1995)、抹消神経節の交感及び感覚ニューロン(Trup p等、130 J.Cell Biol.137、1995)及び標的由来でパ ラクリン形態の作用を有する抹消ニューロン群(Trapp、M.等、J.Ce ll Biol .、130、137−148(1995);Pitchel、J .、Sariola、H.、Hoffer、B.& Westphal、H.( 未発表の報告);Buj−Bello、A.、Buchman、V.L.Hor ton、A.、Rosenthal、A.& Davies、A.M.Neur on 、15、821−828(1995))の生存及び表現型反応を初めとする 、この分子の他のいくつかの重要な活性が続いて示されている。これらのニュー ロンの多くは神経変性疾患(neurodegenerative disea ses)において冒されているので、GDNFは、有効な治療用途を有する可能 性がある。特に、外部から投与したG DNFは、齧歯類で実験的に誘導したパーキンソン病において黒質のドーパミン 作動性ニューロンを維持し(Beck等、(1995)Nature、373、 339−341;Tomac等、(1995)Nature、373、335− 339)、パーキンソン病のアカゲザルにおいて機能的回復をもたらす(Gas h等、(1996)Nature、380、252−255)。また、GDNF 処置は、実験的に軸索を切断したネズミの運動ニューロンの約半分を救済し(O ppenheim等、(1995)Nature、373、344−346;L i等、(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、9 2、9771−9775)、これらは、運動ニューロン疾患の治療にGDNFを 使用できることを示唆している。しかしながら、正常及び発病状態におけるGD NFの作用機構の研究は、そのレセプターが知られていなかったので基本的に妨 げられていた。 構造の類似性(主として、7個の保存されたシステインアミノ酸残基)に基づ くと、GDNFは、TGF−β類、アクチビン類、骨形成タンパク質類(BMP 類)並びに成長及び分化因子類(GDF類)を含む、多機能サイトカインのトラ ンスフォーミング増殖因子−β(TGF−13)スーパーファミリーの遠縁のメ ンバーであると思われる(Roberts等、327 Philos.Tran s.R.Soc.Land .145、1990)。TGF−β及び関連リガンド は、上皮及び免疫細胞で増殖を抑えること、初期発生においてモルフォゲンとし て機能すること、骨格組織の異所発現を誘導すること、及びニューロンの存続及 び分化を促進することが知られている。TGF−βスーパーファミリータンパク 質は、反応性細胞の表面の多数のレセプターサブユニットと相互作 用する(Attisano等、1222 Mol.Cell Res.71、1 994;Derynck、19 Trends Biochem.Sci.54 8、1994)。異なるレセプター型が、親和性標識複合体の分子量に基づいて 記述されている。これらの中にはI型、II型及びIII型のレセプターがあり、こ れらは、それぞれ、55kD、70kD及び300kDの結合タンパク質である 。III型レセプターは、短い細胞質末端を有する約300kDの多量に発現され るトランスメンブレンプロテオグリカンであり、オリゴマーのレセプター複合体 へのリガンドの召集において機能すると考えられている(Lopez−Casi llas等、67 Cell 785、1991)。実際、III型レセプターは 、シグナル伝達レセプターへのTGF−β2結合のためにいくつか細胞系で必要 とされる。I型及びII型のレセプターは、細胞内のセリン−トレオニンキナーゼ ドメインを有するトランスメンブレンタンパク質であり、それ故、リガンド結合 の際にシグナルをさらに先に伝達することができる(Attisano等、75 Cell 671、1993;Derynek、1994 上記)。II型レセ プターは構成的活性化キナーゼであり、リガンドが結合すると、シグナル伝達複 合体にI型レセプターを召集する。この複合体において、I型レセプターは、セ リン残基に富んだ膜近傍ドメインでII型レセプターによりリン酸化され、このリ ン酸化は、I型レセプターのセリン−トレオニンキナーゼ活性の活性化及びその 後のシグナル伝達をもたらすと考えられている(Wrana等、370 Nat ure 341、1994)。このモデルによると、ある場合には、II型レセプ ターへの効率よい結合のためにI型レセプターが必要であるけれども、TGF− βスーパーファミリータンパク質は、 II型レセプターの非存在下ではI型レセプターに結合できない(Letsou等 、80 Cell 899、1995)。7種の哺乳類I型レセプター、4種の II型レセプター及び1種のIII型ベータグリカンレセプターを初めとする、TG F−β類、アクチビン類及びBMP類のI、II及びIII型レセプターの多数のc DNAクローンが、発現または相同クローニングのいずれかにより単離されてい る。このファミリーの異なるメンバーに結合するさらなる膜タンパク質は、グリ コシルホスファチジルイノシトール(GPS)に結合した未知の構造及び機能の 150kD及び18OkDタンパク質(MacKay及びDanielpour 、266 J.Biol.Chem.9907、1991)、並びにTGF−β 1に結合するがTGF−β2には結合しない180kDのジスルフィド結合ダイ マーであるエンドグリンを含む。 GDNFレセプターの単離及び特性化は、GDNFの生物学的作用の全範囲及 び反応性細胞にGDNFが結合した際に起こるシグナル伝達事象を理解するため の前提条件である。現在まで、GDNFに反応する細胞系、すなわち、GDNF レセプターを含んでなる細胞系の欠如により、この分野の進歩は妨げられていた 。 発明の要約 本明細書において、GDNFのレセプター類、並びにそれらを発現する細胞系 が開示される。これらのレセプターを同定し、単離する方法も開示される。 一つの態様として、本発明は、GDNFに結合する単離されたレセプターに関 する。 別の態様として、本発明は、GDNFレセプターに結合する化合物ま たは組成物の測定方法に関する。 なお別の態様として、本発明は、チロシンリン酸化、c−fos mRNAの 増加、及び細胞の生存の増加のような類似した生物学的作用を有する化合物また は組成物を選別することによる、GDNFの相同体(homologs)を同定 する方法に関する。 さらに別の態様として、本発明は、上に挙げたようなGDNFの生物学的作用 を相殺する化合物または組成物を選別することによる、GDNFの類似体(an alogs)を同定するための方法に関する。 図面の簡単な説明 図1.125I−GDNFのヒヨコ交感ニューロンのレセプターへの結合。(a )125I−GDNFのE10胚のヒヨコ交感ニューロンへの飽和定常状態結合。 データは、3重の測定の平均±SDとして表される。(b)(a)に示されたデ ータのスキャッチャード変換。(c)(a)に示されたデータのヒル変換。nH :ヒル係数。 図2.ヒヨコ交感ニューロンのGDNFレセプターの親和性標識。125I−G DNFをE10胚のヒヨコ交感ニューロンに架橋させ、レセプター複合体をSD S/PAGEで分離し、ゲルオートラジオグラフィーで視覚化した(真ん中のレ ーン)。100kDでのダブレット及び300kDの複合体を矢印で示す。過剰 のコールドGDNFは、125I−GDNFの架橋を妨げた(右のレーン)。比較 のために、125I−TGF−βのミンク肺上皮細胞MuILuへの架橋も示す( 左のレーン)。分子量マーカーをkD単位で示す。 図3.細胞系のレセプターの親和性標識。架橋剤としてDSSまたはEDACの いずれかを用いて、C6神経膠腫、RN33B縫合神経核(r aphe nucleus)、L6筋芽細胞及びMN−1運動ニューロン細胞系 に125I−GDNFを架橋させた。レセプター複合体をSDS/PAGEで分離 し、ゲルオートラジオグラフィーで視覚化した。過剰のコールドGDNFは、12 5 I−GDNFの架橋を妨げた(コールド)。分子量マーカーをkD単位で示す 。 図4.RN33B及びMN−1細胞のGDNFレセプターサブユニットの個々の 成分の親和性。(a)FDACまたはDSSを用いた架橋後のRN33B及びM N−1細胞の異なるGDNFレセプター複合体の大きさ。(b)及び(c)増加 する濃度のコールドのGDNFの存在下で125I−GDNFをRN33B(b) またはMN−1(c)細胞に架橋させた。示したレセプターサブユニットへの12 5 I−GDNF結合の割合を結合中に用いたコールドGDNFの濃度の関数とし て示す。 図5.GDNFレセプターを発現する細胞系におけるGDNF mRNAの発現 。(a)示した細胞系からの同量の全RNAを用いたRNase保護アッセイの オートラジオグラム。出生後1日の腎臓及びイーストtRNAをそれぞれ陽性及 び陰性コントロールとして用いた。(b)P1腎臓のレベルに対する異なる細胞 系のGDNF mRNAレベルの定量化、undiff RN33B、未分化の RN33B細胞;diffRN33B、分化したRN33B細胞;diff R N33B+GDNF、GDNFの存在下で分化させたRN33B細胞。 図6.異なる細胞系におけるc−retのmRNAの発現。 図7.RN33B及びMN−1細胞におけるERK類のチロシンリン酸化のGD NF剌激。RN33B(a)またはMN−1(b)細胞単層を50ng/mlの GDNFに示した期間(分単位)さらし、細胞ライセ ートをSDS/PAGEで分離し、ウェスタンブロットを抗−ホスホチロシン抗 体(αP−Tyr)で検出した。これらのブロットをはがし、p42erk12及 びp44erk1の両方を認識する抗ERK2抗体(α−ERK2)で再検出した( 右側の矢印)。分子量マーカーをkD単位で示す。 図8.RN33B及びMN−1細胞におけるc−fos mRNA発現のGDN F剌激。RN33B(a)またはMN−1(b)細胞単層を50ng/mlのG DNFに示した期間(分単位)さらし、全RNAを抽出し、アガロースゲルで分 離し、ノーザンブロットを32Pで標識したラットc−fosプローブで検出した 。示したものは、高いストリンジェンシーで洗浄したフィルターのx線オートラ ジオグラムである。 図9.GDNFは、RN46A細胞の生存を増加した。RN46A細胞を培地± 0−50ng/ml GDNF中で8日間分化させた。データは、独立した3実 験の平均±SEMを表す(条件当たり1,500−3,000の細胞が数えられ た)。ANOVAは、培地のみに比べてGDNFが全ての濃度で生存に著しい作 用を有することを示した(全体的ANOVA:df=6,203;F=11.3 9、p,0.001;異なるN LSD事後試験、p.0.001)。 図10a−c.GDNFに対するMN−1の生物学的及び生化学的反応。(a) GDNFは、血清を欠いたMN−1細胞の生存を剌激する。(b)GDNFは、 MN−1細胞のいくつかのタンパク質(星印)の迅速で一時的なチロシンリン酸 化を剌激する。GDNF処理の時間(分単位)及び分子量マーカーを示す。(c )MN−1細胞においてGDNFにより剌激された迅速で持続するERKI及び ERK2のチロシンリン酸化。 図11a−c.c−RETは、GDNFのシグナル変換レセプターである。(a )MN−1細胞におけるGDNF−レセプター複合体の免疫沈降分析。GDNF で標識された結合タンパク質をレクチンセファロースビーズ、またはGDNF、 ホスホ−チロシン(P−Tyr)及びc−RETに対する抗体で沈降することが できた。コントロールの免疫前の抗体は、GDNFレセプター複合体を免疫沈降 しなかった。(b)GDNFは、MN−1細胞でc−RETのチロシンリン酸化 を誘導する。c−RETのチロシンリン酸化は、GDNFの添加5分後にすでに 検出された(上のパネル)。30ng/mlのGDNFで飽和が見られた(下の パネル)。 図12a−c.c−retの発現は、繊維芽細胞においてGDNFに対する結合 及び生物学的反応を媒介するために十分である。(a)MEN2a−retまた は野生型c−ret発現プラスミドで安定にトランスフェクトした3T3細胞に ヨウ素化したGDNFを架橋することができた。トランスフェクトしなかった3 T3細胞(3T3)は、GDNFを結合しなかった。結合の特異性は、50X過 剰のコールドGDNFを用いた標識の置換により示された。(b)GDNFは、 c−ret発現プラスミドで安定にトランスフェクトした3T3繊維芽細胞の生 存及び増殖反応を促進する。トランスフェクトしなかった細胞は、GDNFに反 応しなかった。 図13a−c.成体の脳及び発生中の黒質におけるc−ret mRNAの発現 。(a)成体ラットの脳の異なる領域におけるc−ret mRNA発現のリボ ヌクレアーゼ保護分析(RPA)。(b)ラット前中脳(黒質)の発生中のc− ret mRNA発現及び発生中の線条体に おけるGDNF mRNA発現のRPA。(c)新生動物のそれぞれの領域の発 現レベルに100が相当する、任意の単位のmRNA発現を示す。 図14a−h.c−RETは、GDNF反応性黒質ドーパミン作動性ニューロン で発現される。(a)成体の黒質においてインサイチューハイブリダイゼーショ ンにより分析されたc−ret mRNA発現の暗視野オートラジオグラム。縮 尺棒、40μm。(b)c−ret mRNAを含有する黒質ニューロンを示す 明視野オートラジオグラム。縮尺棒、7.5μm。(c)成体の黒質におけるc −RETタンパク質発現の免疫組織化学分析。縮尺棒、27μm。(d)6−O HDAでの一側性損傷後の成体ラットの脳におけるc−ret mRNAのイン サイチューハイブリダイゼーションを示すオートラジオグラム。この有毒なドー パミン類似体の中前脳束への注入は、ドーパミンを活発に取り込み逆行して運ぶ 細胞のみを傷つけることを保証する。損傷の1日及び5日後に損傷を受けた黒質 (矢じり)においてc−ret mRNAに対する標識が消失していることに注 目せよ。(e)6−OHDAで損傷を与え、モック(mock)をトランスフェ クトした繊維芽細胞(コントロール移植片)を移植した後の成体の黒質における c−RETタンパク質発現の免疫組織化学分析。損傷により引き起こされるc− RET−L1のほとんど完全な消失に注目せよ。縮尺棒、20pm。(f)GD NFを発現する繊維芽細胞の移植は、c−RET−L1を救済する。GDNFを 生産する移植片(矢印)を取り囲み、侵入するc−RET陽性の繊維に注目せよ 。(e)と同じ倍率。(g)6−OHDAで損傷を与え、モックをトランスフェ クトした繊維芽細胞(コントロール移植片)を移植した後 の成体の青班におけるcRETタンパク質発現の免疫組織化学分析。縮尺棒、2 3μm。(h)6−OHDA損傷を受けた青班においてc−RET−L1を発現 する細胞体のGDNFによる救済。(e)と同じ倍率。移植片は、(e)及び( f)では右側、(g)及び(h)では上側にある。 図15a−c.PC12及びNB2/a細胞は、GDNFに反応し、GDNFに 結合する。(a)GDNFは、血清を欠いたPC12細胞の生存を促進する。( b)GDNFは、NB2/a細胞の数を増加する。(c)125I−GDNFは、 50倍の非標識GDNFの非存在下(開いた柱)または存在下(閉じた柱)でP C12及びNB2/a細胞に結合する。 図16.125I−GDNFの細胞系への親和性架橋。PC12細胞(レーン1) 、SY5Y細胞(レーン2)、E20ラット腎臓細胞(レーン3)及びNB2/ a細胞(レーン4)に125I−GDNFを架橋させ、得られた複合体を抗−GD NF抗体(Santa Cruz)で溶剤ライセートから沈降させた。 図17a−b.GDNFは、c−RETに特異的に結合する。(a)100倍過 剰の非標識GDNF(Pepro Tech EC Ltd.)の存在下(+) または非存在下(−)で、125I−GDNFをNB2/a細胞に架橋させ、得ら れた複合体をcRETの細胞外及び細胞内ドメインをそれぞれ認識するモノクロ ーナル及びポリクローナル(Santa Cruz)の抗−c−RET抗体の混 合物で溶剤ライセートから沈降させた。また、ライセートは、モノクローナル抗 −神経フィラメント抗体13AA8(レーン3)、プロテインA−セファロース (Protein A−Sepharose)(レーン4)及びWGA−アガロ ー ス(WGA−Agarose)(レーン5)でも沈降させた。(b)125I−G DNFは、c−RETを一時的に発現するCOS細胞に結合するが、モック(p BK−CNVプラスミド)でトランスフェクトしたCOS細胞には結合しない。 開いた柱は50倍過剰の非標識GDNFの非存在下での結合を表し、閉じた柱は 存在下でのものを表す。 図18.GDNFは、トランスフェクトしたCOS細胞においてc−RETのチ ロシンリン酸化を増加する。c−ret cDNAでトランスフェクトしたGD NF処理(+)(レーン1)または未処理(−)(レーン2)のCOS細胞また はpBK−CMVプラスミドでモックトランスフェクトしたCOS細胞(レーン 3)の溶剤ライセートからc−RETを免疫沈降させた。(a)抗−c−RET 抗体(Santa Cruz)で検出した免疫ブロット。(b)抗−ホスホチロ シン抗体で再検出した同じフィルター。 図19a−h.GDNFは、c−ret陽性の発生中腸ニューロンにインサイチ ューで結合する。(a、b)E15ラットの腸からのパラフィン切片へのGDN FアンチセンスcRNAハイブリダイゼーションの暗視野(a)及び対応する明 視野(b)顕微鏡写真。(c、d)125I−GDNFのE15ラット腸外植片へ のインサイチュー結合の暗視野(c)及び対応する明視野(d)顕微鏡写真。( e)E15ラットの腸からの凍結切片に対するc−retアンチセンスcRNA ハイブリダイゼーション。(f)E15ラットの腸凍結切片の抗−ペリフェリン 抗体での免疫染色。(g)E15ラットの腸切片に対するGDNFセンスcRN Aハイブリダイゼーション。(h)250倍過剰の非標識GDNFの存在下での125 I−GDNFのE15ラット腸外植片へのインサイチュー結合。 m、筋肉層;n、腸神経叢。棒、100μm。 図20a−b.GDNF反応性細胞系及びc−retをトランスフェクトした細 胞から、架橋されたGDNF−c−RET複合体が得られる。(a)PC12細 胞、NB2/a細胞、解離したE20ラットの腎臓細胞、及びCOS細胞にED ACを用いて125I−GDNFを架橋させ、得られた複合体を抗−GDNF抗体 で沈降させた。(b)500倍過剰の非標識GDNFまたはTGF−β1の存在 下(+)または非存在下(−)で、PC12細胞、c−retで安定にトランス フェクトした(Ret.−3T3)またはモックでトランスフェクトした(mo ck−3T3)3T3細胞の抽出物、並びに解離したE15腎臓細胞から、ED ACで架橋された125I−GDNF−c−RET複合体を抗−c−RET抗体を 用いて免疫沈降させた。全てのゲルの〜50Kバンドは、GDNFの架橋された ダイマーである。 図21a−b.GDNFは、安定にトランスフェクトした3T3細胞系でc−R ETの自己リン酸化を増加する。(a)GDNFは、c−retでトランスフェ クトした(ret−3T3)細胞でc−RETの160kDアイソフォームのチ ロシンリン酸化を投与量に依存して増加するが、モックでトランスフェクトした (モック)細胞では増加しない。(b)GDNFは、c−retでトランスフェ クトした3T3細胞でc−RETの160kDアイソフォームのチロシンリン酸 化を時間に依存して増加する。上のパネル(Ret−PTyr)は、抗−ホスホ チロシン抗体で染色した免疫ブロットであり、下のパネル(Ret)は、対応す るフィルターの抗−c−RET抗体での再検出を示す。 図22.GDNFは、c−RETを一時的に発現するtrkC−3T3 繊維芽細胞の数を増加するが(開いた丸)、モックでトランスフェクトした細胞 では増加しない(閉じた丸)。5つ並行して、c−ret及びモックでトランス フェクトした細胞を示した濃度のラットGDNFまたはNT−3で5日間処理し た。AbacusTM(商標)セル プロリファレーション キット(Cell Proliferation Kit)(Clontech)を用いて定量した 細胞数を成長因子を含まないコントロール細胞のパーセントとして表す。モック でトランスフェクトした細胞に比較して、*、p<0.001。 図23a−b.L6筋芽細胞からのレセプターの精製。(a)L6細胞ライセー トの陰イオン交換クロマトグラフィーから得られた画分のプラズモン共鳴分析。 画分の全タンパク質も示す。(b)(a)から得られた1M画分の疎水性相互作 用クロマトグラフィーによるさらなる精製。 図24.成体ラットの脳(レーン2)及び肝臓(レーン3)からのタンパク質を 用いたリガンドブロット125I−GDNFのオートラジオグラフィーフィルム。 50倍過剰の非標識GDNF(レーン1)は、この結合を顕著に減少する。 発明の詳細な説明 GDNFの作用の全範囲及び機構を理解するための前提条件は、GDNFレセ プター類及びそれらのシグナル伝達経路を特性化することである。TGF−βス ーパーファミリーの他のメンバーのレセプターは十分に特性化されているけれど も、GDNFレセプターは本開示まで特定されないままであった。本明細書に開 示されるものは、GDNFレセプターの生化学的特性化並びに交感ニューロン及 び反応性細胞系におけるそれらの後の反応である。親和性標識を用いて、GDN Fの胚交感ニュー ロンへの協同結合を媒介する多数のGDNF結合サブユニットを同定する。30 細胞系にわたるスクリーニングでは、最初、縫合神経核からの条件的に不死化し たニューロン前駆物質において55kD、70kD、135kD及び300kD のGDNF結合タンパク質の多量の発現が示された。データが示すように、GD NFレセプターは、これらの細胞のニューロン分化後に多量に誘導され、同時に これらの細胞は、GDNFの生存促進作用に感受性になった。これらのサブユニ ットの異なる組み合わせは、神経膠腫、筋芽細胞及びセルトリ細胞においても見 られた。異なるレセプター型が、運動ニューロンハイブリッド細胞系において見 いだされ、その主要な成分は、155kDのCPI固定化(CPI−ancho red)タンパク質であった。 他のTGF−βスーパーファミリーのメンバーのレセプター型との著しい類似 性にもかかわらず、免疫沈降実験により、55kD、70kD、135kD及び 300kDのGDNFレセプターサブユニットは新規なタンパク質であることが 示された。155kDサブユニットは、続いて、排泄及び神経系の部分の発生の ために重要なレセプターチロシンキナーゼであるc−ret癌原遺伝子産物、c −RETであると決定された。GDNFは、縫合神経核及び運動ニューロン細胞 系において異なる時間経過でERKチロシンリン酸化及びc−fos mRNA 発現を剌激し、これらは、GDNFレセプターサブユニットの異なる補体が異な るシグナル伝達複合体を形成する可能性があることを示唆する。 同時に、別の細胞系においてc−RETがGDNFのレセプターとして同定さ れた。GDNFは、パーキンソン病の損傷モデルにおいてc−RET陽性のドー パミン作動性及びノルアドレナリン作動性ニューロン を救済し、これは、成体の脳においてcRETがGDNFの抗パーキンソン病作 用を媒介している可能性を示唆する。 c−ret癌原遺伝子(Takahashi等、(1985) Ce11、4 2、581−588)は、レセプターチロシンキナーゼ(Takahashi等 、(1988) Oncogene、3、571−578)に構造的に関連した タンパク質をコードしている。その細胞外部分は、稀なカドヘリン様ドメイン及 びシステインに富んだドメインも含有し、これらの生物学的役割は理解されてい ない。選択スプライシングによるc−ret mRNAのいくつかのアイソフォ ームが記述されている(Tahira等、(1990) Oncogene、5 、97−102;Myers等、(1995) Oncogene、11、20 39−2045;Lorenzo等、(1995) Oncogene、10、 1377−1383)が、これらの生物学的意味は、現在、理解されていない。 いくつかの細胞系において、c−retがコードする160kD及び140kD の分子量を有するタンパク質が記述されており、これらは、120kDのコアタ ンパク質のそれぞれ完全及び部分的にグリコシル化されたアイソフォームである (Takahashi等、1988)。他のレセプターチロシンキナーゼでのよ うに、c−RETは、ホモダイマー化及びそれに続くそのチロシン残基のリン酸 化により活性化される。 排泄系では、c−retは、腎管、尿管芽及び集合管の成長端で発現されてい る(Pachnis等、(1993)、上記)。c−ret遺伝子のヌル突然変 異に関してホモであるマウスは、腎臓がないかまたは未発達のいずれかであり、 腸の神経系に重度の欠陥を示し、誕生後すぐ に死亡する(Schuchardt等、Nature 367、380−3(1 994))。この事実に基づき、同種のc−retリガンドが、形態形成及び神 経発生のための重要な成長因子である可能性があることが提案されていた。 ネズミの胚形成中に、c−ret mRNAは、主に神経及び排泄系で発現さ れる。c−ret mRNAは、後根、交感、腸及び脳神経節(Pachnis 等、Development 119、1005−17(1993))、並びに 移動後の神経冠細胞、並びに褐色細胞腫、甲状腺髄様癌及び神経芽細胞腫を初め とする神経冠起源の様々な腫瘍(Ikeda、I等、Oncogene 5、1 291−6(1990);Santoro、M.等、Oncogene 5、1 595−1598(1990))で見いだされている。発生中の中枢神経系にお いて、c−retの発現部位は、神経管の腹側部分、網膜、並びに脊髄及び後脳 の運動ニューロンを含む(Pachnis等、(1993)、上記)。しかしな がら、成体の神経系におけるc−retの発現様式はこれまで報告されていない 。 c−RETの既知のリガンドの欠如のために、c−RETが媒介する可能性が ある細胞内経路の研究が基本的に妨げられていた。繊維芽細胞または造血細胞で 発現させた上皮成長因子レセプター/c−RETキメラの成長促進活性の比較分 析は、上皮成長因子レセプターのものと明らかに区別できる生物学的表現型を示 した(Santoro等、(1994) Mol.Cell.Biol.14、 663−675)。本発明者等は、NGF及びGDNFの両方がPC12細胞の 生存を促進し、一方、NGFのみがその分化を誘導することを本明細書に開示し 、c−R ET及びNGFのレセプターであるtrkAのシグナル伝達経路の一部だけの重 複を示唆する。アダプタータンパク質Grb2のc−RETの癌遺伝子型への結 合は示されている(Borrello等、(1994)Oncogene、9、 1661−1668)。しかしながら、これらの経路の詳細は、完全には知られ ていない。ここでは、GDNFをリガンドとして用いて、GDNFが結合した際 のc−RETの細胞内シグナル伝達を述べることが可能である。 c−RETのように、GDNFは、消化管の筋肉層及び腎臓の凝縮(cond ensing)間葉で多量に発現されている(Suvanto等、(1996) Eur.J.Neurosci.、8、816−822)。さらに、本明細書 に開示されるように、GDNFは発生中の腸のc−RET陽性細胞に特異的に結 合し、いくつかの細胞系及び発生中の腎臓のc−RETにGDNFを架橋するこ とができ、GDNFはc−RETのチロシンリン酸化を特異的に誘導し、3T3 細胞でのc−RETの異所発現はGDNFに対するこれらの細胞の生物学的反応 を与える。従って、c−RETは、GDNFにより活性化され、その機能を媒介 する。 c−ret癌原遺伝子の産物は、ヒトの疾患において重要な役割を果たしてい る。c−ret遺伝子の再配列及び突然変異は、いくつかの腫瘍、例えば、家族 性甲状腺髄様癌、多発性内分泌腫瘍2型等、並びに後腸の腸ニューロンの欠如を 特徴とし、乳児及び成人において便秘症及び巨大結腸をもたらす疾患であるヒル シュスプルング病にも関係している(Mak、Y.F.及びPonder、B. A.J.(1996)Curr.Op.Genet.Dev.、6、82−86 に概説される)。c−RETのリガンドとしてGDNFを同定したことにより、 これらの 疾患の分子的基礎の分析がさらに可能となる。特に、c−ret遺伝子座が突然 変異していない場合のヒルシュスプルング病の可能な原因としてGDNF遺伝子 の突然変異を研究できる。 本明細書で使用する「GDNFレセプター」及び「GDNFのレセプター」と いう語句は各々、GDNFに結合する単一のサブユニット並びにGDNFに結合 するレセプターサブユニットの組み合わせをいう。 本明細書で使用する「作用」という用語は、改変または変化を意味する。作用 は、ある物質の増加を生じるような陽性、またはアンタゴニストまたは阻害のよ うな陰性であることができる。 本明細書で使用する「相同体」という用語は、本明細書に開示されるような、 GDNFと類似した生物学的作用を有する化合物または組成物をいう。 本明細書で使用する「類似体」という用語は、GDNFの生物学的作用に対す るアンタゴニスト作用を有する化合物または組成物をいう。 GDNFレセプターに関連して本明細書で使用する「単離された」という用語 は、その本来の環境、または組換え体として発現される場合、その発現環境から 分離された化合物を意味する。 化合物と関連して本明細書で使用する「実質的に純粋な」という語句は、本来 付随する他の成分から分離された単離化合物を意味する。典型的には、例えば、 容量、湿量もしくは乾量、またはモルパーセントもしくはモル比で測定した時に 、化合物が全物質の少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、最も 好ましくは99%である場合に実質的に純粋である。 本明細書で使用する「非許容培養条件」という語句は、インビトロで 培養する細胞の生存を通常維持しない条件、例えば、温度、培地成分等をいう。 競合アッセイにおける標識したGDNFの添加に関連して使用する「過剰の」 という語句は、競合化合物の検出を促進するために十分な標識したGDNFの量 −例えば、試験する化合物の量の2倍である標識したGDNFの量をいう。 本明細書で使用する「結合」という用語は、GDNFリガンド及びそのレセプ ター間の相互作用をいい、この結合は十分に強く、かつ十分な時間の間であるの で、本明細書に開示されるアッセイの条件下で該結合を検出することができる。 数値に関連して「約」という用語は、その数値の±10%、より好ましくは± 5%、最も好ましくは±2%を意味する。 以下に示す特定の実施例は、 1)GDNFレセプターが、多数の神経及び非神経細胞型に存在する、 2)GDNFレセプターが、協同して高い親和性結合を得る多数のサブユニット からなる、 3)ERK/MAPキナーゼファミリーのメンバーが、GDNFのシグナル伝達 機構の成分である、そして、 4)c−RETが、GDNFの機能的レセプターである、 ことを例示する。 1.多数の神経及び非神経細胞型における新規なGDNFレセプターの発現 これまで同定されていなかったレセプターが、本明細書においてGDNFレセ プターとして同定される。これらの新規なGDNFレセプター は、神経細胞で最も多量であるようであるが、異なる起源の細胞系でも見いださ れた。好ましくは、これらの細胞系は、RN33B、RN46A及びC6(表I 参照)からなる群から選択され、RN33Bが最も好ましい。多数のこれらの細 胞型におけるGDNFレセプターの同定は、インビボでGDNFに反応する新規 な細胞集団を示唆する。GDNFは、ニューロンの異なる亜集団、特にドーパミ ン作動性及びノルアドレナリン作動性中枢ニューロン、並びに脊髄及び顔の運動 ニューロンの生存及び表現型を促進することが示されている。様々なモノアミン 作動性ニューロンにおけるGDNFの活性を考慮すると、骨髄縫合由来の細胞系 におけるGDNFレセプターの発見は、セロトニン作動性ニューロンもインビボ でGDNFに反応する可能性があることを示す。これらの細胞によるGDNFの 内因的発現は、この因子が縫合神経核内でパラクリン/オートクリン様式で作用 する可能性があることを示唆する。セルトリTM4細胞におけるGDNFレセプ ターの発現は、発生中の精巣におけるGDNFの非神経的役割を示唆する。イン ビボで、精巣におけるGDNF mRNAの一時的な発現はセルトリ細胞集団の 増大と相関関係があり(Trupp等、上記)、これは、TM4細胞系における GDNFレセプターの発見と共に、セルトリ細胞の成熟中のGDNFのオートク リン作用を示唆する。同様に、ラット筋芽細胞L6細胞におけるGDNFレセプ ターの存在は、インビボで発生中の筋肉における発現と共に(Henderso n等、上記;Trupp等、上記)、筋肉形成中のGDNFのパラクリンの役割 の可能性を示す。胚の交感ニューロンにおけるGDNFのレセプター及び生物学 的活性の存在にもかかわらず、NGFで交感様ニューロンに分化させたPC12 細胞は、最初の実験条件下で GDNFレセプターを発現しなかった。しかしながら、以下に説明するように、 最終的にPC12細胞上にGDNFレセプターを同定した。 GDNFレセプターは、脳橋ノルアドレナリン作動性細胞系CATH.a.に は存在しない。成体の青班からの中枢ノルアドレナリン作動性ニューロンに対す るGDNFの強力な作用を考慮すると、CATH.a.のGDNFレセプターの 欠如は興味深い。しかしながら、最近、Gong等は、GDNFが6−OH−ド ーパミン処理により誘導されるCATH.a.細胞の変性を防ぐことを報告して おり(Gong等、21 AbsSoc.Neurosci.、1789、1 995)、これは、6−OH−ドーパミン損傷後にこれらの細胞でGDNFレセ プターが誘導される可能性があることを示唆している。実際、インビボでの研究 は、GDNFが、損傷を受けていない青班でよりも6−OH−ドーパミン注入後 に、ノルアドレナリン作動性ニューロンの表現型の強い誘導を引き起こすことを 示している。さらに、Treanor等は、最近、中前脳束処理後の黒質の切片 におけるGDNF結合のアップレギュレーションを報告しており(Treano r等、21 Abs.Soc.Neurosci.1301、1995)、これ は、レセプターのアップレギュレーションが中枢神経系におけるGDNF応答の 制御の一般的な機構である可能性を示唆している。 GDNFレセプターのアップレギュレーションは、縫合神経核細胞のインビト ロでの分化中にも見られた。これらの系は、最近、成体の脳への移植後に局所的 微環境シグナルに応答する能力を保持し、移植部位の内因性ニューロンのものと 一致する方向に分化することが示されている(Shihabuddin等、15 J.Neurosci.6666、 1995)。しかしながら、インビトロで、非許容温度へ移行すると、これらは デフォールト(default)経路に沿ってそれぞれグルタメート作動性(R N33B)またはセロトニン作動性(RN46A)表現型に分化する。培養にお ける分化は、ニューロトロフィンレセプター類p75LNGFR及びtrkBを初め とする、これらの細胞の他の栄養因子に対するレセプターの発現を増加すること も示されている(Whittemore及びWhite、615 Britis h Res .27、1993)。移植の部位により異なるニューロン型を生じる ことができるけれども、RN33B細胞は神経膠成分を生じることはできず、こ れは、これらの細胞がニューロンとして限られた多分化能前駆物質であることを 示唆している(Shihabuddin等、上記)。この点で、2種の多分化ニ ューロン幹細胞型においてGDNFレセプターが欠如すること(Renfran z等、66 Cell 713、1991;Snyder等、30 68 Ce ll 33、1992)に注目することは興味深く、これらの細胞が縫合神経核 細胞系よりも制限が少ないことを示唆している。合わせると、これらの結果は、 GDNFレセプターの発現が、最初、新たに分化した有糸分裂後のニューロンに 生じ、そしてニューロンの成熟中に漸次増加する可能性があることを示唆する。 2.多数のGDNFレセプターサブユニット データは、新規なGDNFレセプターが、協同して高い親和性結合を達成する 多数のサブユニットからなることを示している。従って、GDNFの胚の交感ニ ューロンへの協同結合は、レセプター集合の多段階機構を示す可能性がある。結 合アッセイは4℃で実施されるので、結合の協同性は、トランスメンブレンレセ プタータンパク質の実質的な横方向 の流動性から生じたとは思われず、GDNF結合が、膜上で部分的に実施される レセプター複合体の構造的変化を導くことを示唆している。また、架橋により得 られた異なるGDNFレセプターサブユニットのほぼ同一の親和性も、部分的に 前もって集まったレセプター複合体へのGDNFの協同結合の概念を支持する。 GDNF及びTGF−βスーパーファミリーのメンバー間の構造的類似性は、 GDNFのレセプターが、TGF−βファミリーのメンバーのレセプターに対し て記述された原型のいくつかに一致するかもしれないことを示唆する。実際、本 明細書に記述されたGDNF結合タンパク質の型は、I型、II型及びIII型のT GF−βレセプターと非常に類似している。 GDNF及びTGF−βスーパーファミリーのレセプター間の全体的な類似性 にもかかわらず、ミンク肺上皮細胞系MuILuを初めとする、各種TGF−β 及びアクチビンレセプターサブユニットを発現することが知られているいくつか の細胞系でGDNFレセプターを検出することはできなかった。この結果と一致 して、最近単離されたBMP類のII型レセプター(Rosenweig等、92 PNAS USA 7632、1995)及び新規な脳特異的I型レセプター (Ryden等、21 Abs.Soc.Neurosci 1754、199 5)を初めとする、既知のI型及びII型のTGF−βスーパーファミリーレセプ ターの異なる組み合わせでトランスフェクトしたCOS細胞においてGDNFの 結合は検出されていない(Ibanez、C.未発表;P.ten Dijke 、私信)。さらに、クローン化したTGF−βスーパーファミリーレセプターの いずれに対する抗ペプチド抗血清での免疫沈降 後も、GDNFレセプター複合体を回収することができず、これは、GDNFレ セプター成分が新規なタンパク質であることを示している。 3.c−RETはGDNFのレセプターである。 GDNFレセプターは、運動ニューロン−神経芽細胞腫ハイブリッド細胞に見 いだされたが、同じ神経芽細胞腫とのハイブリッドである基底前脳細胞には見い だされず、これは、MN−1細胞で検出されるレセプターが、生理学的に関係し た運動ニューロンのGDNFレセプターであることを示唆している。縫合神経核 細胞と対照的に、運動ニューロン細胞系でGDNF発現を検出することができず 、これは、インビボでの筋肉由来のGDNFの標的由来の作用形態と一致する( Henderson等、266 Science 1062、1994;Tru pp等、上記)。GDNFは、c−retの産物として同定されたこれらのレセ プターに結合し、そのチロシンリン酸化を引き起こす。c−retは、未処理の (naive)繊維芽細胞へのトランスフェクションの際に、GDNFの結合及 びGDNFに対する生存/生育反応を媒介することもできる。さらに、成体の黒 質のドーパミン作動性ニューロンが高いレベルのc−ret mRNAを発現す ることが見いだされ、CNSのc−RETを発現しているドーパミン作動性及び ノルアドレナリン作動性ニューロンは、インビボで外因性のGDNFの保護作用 に反応した。合わせると、これらの結果は、ドーパミン作動性、ノルアドレナリ ン作動性及び運動ニューロンに対するGDNFの神経栄養作用を媒介することが できるこの因子の機能的レセプターをc−ret癌原遺伝子の産物がコードする ことを示す。 本明細書に開示された結果は、c−RETレセプターチロシンキナー ゼが、GDNFのシグナル変換レセプターであることを示す。これまで特徴づけ られたTGF−βスーパーファミリーのメンバーの全てのレセプターがレセプタ ーセリンートレオニンキナーゼであること(Derynck、R.Trends Biochem Sci 19、548−553(1994);Attisa no等、J.Bba−Mol Cell Res、222、71−80(199 4))を考慮すると、この発見は意外である。実際、GDNFは、TGF−βス ーパーファミリーの非常に分岐したメンバーであり、主として、アミノ酸配列中 の保存されたシステイン残基間の間隔を共有している。レセプターチロシンキナ ーゼと相互作用する能力は、TGF−βスーパーファミリーの他のメンバーから さらに機能的に分岐していることを示す。逆に、これらの発見は、他のTGF− βスーパーファミリーのメンバーが、レセプターチロシンキナーゼも利用する可 能性があることを示唆できるかもしれない。 本明細書に開示される以下の結果も、GDNFの機能的レセプターとしてc− ret癌原遺伝子産物を関係づける。 i)GDNFは、c−ret癌原遺伝子を異所的に発現するCOS細胞に結合 する、 ii)COS細胞で異所的に発現したc−ret癌原遺伝子の産物にGDNFを 化学的に架橋することができる、 または、 NB2/a及びPC12細胞から、 iii)COS細胞及びNB2/a細胞で異所的に発現したc−ret癌原遺伝 子産物は、GDNFが結合した際にチロシン残基において迅速にリン酸化される 、 iv)GDNFは、生物学的作用、すなわち、c−ret癌原遺伝子産物を発現 する細胞の有糸分裂促進または栄養作用を促進する。 GDNFは、RETを発現する腸ニューロン及び発生中の腎臓の尿管芽の先端 に特異的に結合する(図19c、d、h)。これらの組織は、c−ret欠失マ ウスで存在しないかまたは非常に小さくなっていた(Schuchardt等、 (1994)Nature、367、380−383;Durbec等、(19 96)Development、122、349−358)。本明細書に開示さ れたデータは、さらに、GDNF反応性細胞及びc−retをトランスフェクト した細胞、並びに胚の腎臓細胞からのGDNF−c−RET複合体を示す。最後 に、GDNFは、時間及び投与量に依存してc−RETを活性化し、そしてGD NFに反応しない細胞へのc−retの導入は、GDNF反応性をもたらす。 4.GDNFレセプターにより活性化される先のシグナル伝達経路 縫合神経核及び運動ニューロン細胞系におけるGDNFシグナル変換機構の研 究を実施した。これらの細胞においてGDNFにより引き起こされる先の反応は 、本明細書で同定されたGDNF結合タンパク質が機能的GDNFレセプターで あることを示す。GDNFシグナル変換経路の最初の生化学的特性化により、G DNFシグナル伝達機構の成分としてERK/MAPキナーゼファミリーのメン バーが同定された。リン酸化によるERK/MAPキナーゼの活性化は、TGF −β(Yan等、269 J.Biol.Chem.13231、1994;H artsough及びMulder、270 J.Biol.Chem.711 7、1995)及び神経成長因子(Thomas等、68 Cell 1031、1992;Wood等、68 Cell 10 II、1992)を初 めとする、各種成長因子によるRas経路の活性化後に始動するキナーゼカスケ ードの最終工程である。より最近では、Rasを活性化することは知られていな い、インターフェロン類及びインターロイキン類のようないくつかのサイトカイ ン類により活性化されるシグナル変換経路の一部をERK2が形成することも示 されている(David等、269 Science 1721、1995)。 Rasの活性化がGDNFのシグナル変換機構の工程の一つであるかどうかは、 さらに興味深い分野である。 縫合神経核RN33B細胞及び運動ニューロンMN−1細胞の間でGDNFで 誘導されるERKのリン酸化のパターンに興味深い相違が見られた。RN33B 細胞では、GDNF処理は非常に迅速で(5分で最大)一時的な(60分後に検 出できない)ERK1及びERK2のチロシンリン酸化を刺激したが、MN−1 細胞では、比較的ゆっくりで(15分で最大)より持続した(120分後になお 検出できる)ERK2のリン酸化を剌激したが、ERK1のリン酸化は剌激しな かった。これらの相違が機能的意義を有する可能性があることが、異なった成長 因子で処理されたPC12細胞で最近得られた結果から示唆されている。PC1 2細胞をNGFまたは繊維芽細胞成長因子(FGF)にさらすと、ニューロンの 分化、並びにRas活性及びERKチロシンリン酸化の持続した上昇をもたらす (Qiu及びGreen、7 Neuron 977、1991)。対照的に、 DNA合成及びPC12細胞の増殖を刺激する上皮成長因子での処理は、Ras 及びERK類の一時的な(<1時間)活性化のみをもたらす(Qui及びGre en、1991)。従って、 ERK活性化の異なる時間経過は、PC12細胞において異なる生物学的反応を 生じる。合わせると、RN33B及びMN−1細胞におけるGDNFレセプター 及びGDNFが誘導するERKリン酸化の異なるパターンは、異なる細胞型では 異なるGDNFレセプターサブユニットが協同して異なるシグナル伝達複合体を 作ることができることを示唆する。異なるGDNFシグナル変換経路がGDNF の異なる生物学的作用を引き起こすかどうかは、さらに興味深い分野である。 活性化されると、ERK類は核へ移動し、そこでリン酸化し、それにより転写 因子の活性を調節し、次にこれらの転写因子は遺伝子発現を制御する。p67SR F 及びp62TCF転写因子のリン酸化は、これらをc−fos遺伝子プロモーター の血清反応成分(SRE)に集め、c−fos遺伝子の転写を剌激する(Gil le等、358 Nature 414、1992)。c−fosの転写は、P C12細胞をNGF(Millbrandt、83 PNAS USA 478 9、1986)、または骨芽細胞をTGF−β(Machwate等、9 Mo l.Endocrin .187、1995)にさらすことを初めとする、各種剌 激の後に迅速かつ一時的に誘導される。 c−fosは、AP−1転写因子複合体の一部を形成し、この複合体は、成長 因子、神経ペプチド及び神経伝達物質の合成酵素遺伝子を初めとする、多数の遺 伝子の調節に関与すると考えられている(Gizang−Ginsberg及び Ziff、4 Genes Dev.477、1990;Hengerer等、 87 PNAS USA 3899、199O;Jalava及びMai、9 Oncogene 2369、1994)。GDNFによるc−fos転写の剌 激は、GDNFが誘導 する遺伝子発現におけるAP−1複合体の役割を示す。従って、c−fosは、 中枢ノルアドレナリン作動性ニューロンのGDNF処理の際に見られるチロシン ヒドロキシラーゼ(TH)発現の増加、または上頚部神経節からの培養交感ニュ ーロンにおけるGDNFが誘導する血管作動性腸ペプチド(VIP)及びプレプ ロタキキニン−A(PPTA)のmRNAのアップレギュレーションを媒介する 可能性がある(Trupp等、130 J.Cell Biol.137、19 95)。 分化したセロトニン作動性縫合神経核細胞の生存に対するGDNFの作用は、 これらの細胞で同定されたGDNFレセプターが、関連する生物学的反応を引き 起こすことができることを示している。増殖の停止、分化、及びGDNF反応性 がこれらの細胞の増加したGDNFレセプター発現に付随することは、GDNF がインビボで発生中のセロトニン作動性縫合神経核ニューロンの生存因子である 可能性があることを示唆する。本特許開示のデータは、GDNFが媒介するニュ ーロンの生存におけるERK類及びc−fosの役割を示唆する。これは、優性 欠陥(negatives)またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて直 接立証することができる。 本明細書に開示されるGDNFレセプターサブユニット及び複合体は、幅広い 用途を有する。GDNFレセプターの同定及び単離は、例えば、神経疾患、特に 神経細胞死が関与するものの治療に有用な薬剤の合理的な薬剤設計を促進する。 先に説明したように、パーキンソン症候群に似た薬理学的処置及損傷の後に、G DNFがインビボで成体の黒質ニューロンの生存、並びに他のニューロン細胞系 の生存反応を促進することが示されている。GDNFレセプターへの結合親和性 、及び以下に開示し たGDNFのその後の作用--すなわち、ERK2及びERK1のリン酸化、に対 する影響に関して薬剤を試験することができる。GDNFレセプターは悪性細胞 系でも同定されているので、癌の治療における使用のための薬剤の設計も明らか である。さらに、BMPとの構造的類似性を考慮すると、骨に関係した疾患、す なわち、骨粗鬆症の治療に用いられる薬剤、及び骨折の治癒を促す薬剤の開発も 考えられる とりわけ、GDNFの類似体及び相同体である化合物または組成物を選別する ために本発明の単離されたレセプターを使用することができる。まず、単離され たレセプターまたはレセプターを発現する細胞系--すなわち、NB2/a細胞-- のいずれか及び125Iで標識したGDNFを用いる競合結合アッセイにおいて、 類似体及び相同体の可能性のあるものを選別することができる。実施例13に開 示されたもののような方法を用いることができる。次に、例えば、RET癌原遺 伝子のチロシンリン酸化のそれぞれ減少または増加に作用するこれらの化合物及 び組成物をさらに同定することにより、類似体または相同体の活性を確かめるこ とができる。実施例17に開示されたもののような方法を用いることができる。 また、上に引用した方法またはそれらの変形を用いて、他のレセプターを選別し 、同定するためにGDNFを用いることができる。 また、GDNFレセプターの単離は、レセプターに対するポリクローナル及び モノクローナルの両方の抗体の開発を促進する。レセプター自体を精製し、GD NFレセプターを発現する他の細胞を同定し、それにより他の治療用途を促し、 他のI型相互作用レセプターを同定するためにこれらの抗体を用いることができ 、並びに薬剤自体として用いることができる。まず、本明細書に開示されるリガ ンド/レセプター複合体を 免疫原として用いることにより、これらの抗体を作ることができる。リガンドで の吸着により、リガンドに特異的な抗体をポリクローナル血清から取り除くこと ができる。リガンドの結合に基づいて、モノクローナルの生産のためのハイブリ ドーマを選択することができ、レセプターと複合体を形成していないリガンドに は結合しないクローンのみを増やす。当業者によく知られた方法により、抗体を 調製することができる。 また、GDNFレセプター及びGDNFタンパク質に対するモノクローナル及 びポリクローナル抗体をGDNFレセプター分子クローンの特性化及び/または 単離ために使用することができる。さらに、相同体の選別、またはGDNFに似 た抗−イディオタイプ抗体の生産に抗−GDNF抗体をおそらく使用することが できる。 また、GDNFレセプターの単離は、診断及び治療用途のための、インビトロ 及びインビボの両方の、組換え体GDNFレセプターの発現のための核酸の単離 及び/または生産も促進する。本明細書に用いる「核酸」という用語は、例えば 、ゲノムDNA、mRNA及びcDNAを含む。GDNFレセプターの少なくと も一部をシークエンスすると、GDNFレセプターのゲノムDNA及びレセプタ ーのmRNAを単離するためのオリゴヌクレオチドプライマーを開発することが できる。 単離されたmRNAからcDNAを調製することができる。核酸の単離及び生 成は、引用することにより本明細書に組み込まれる、Maniatis等、Mo lecular Cloning:A Laboratory Manual 、 Cold Spring Harbor Laboratory、Cold S pring Harbor、New York、1982に記述されるような標 準的な分子生物学技術を用 いた当業者によく知られている方法を利用して達成することができる。組換え体 として生産されたレセプターを合理的薬剤設計のための結晶学研究に用いること ができる。組換え体の細胞外ドメインを作り、リガンドを除去する用途の薬剤と して、例えば、アンタゴニスト特性を有するリガンドに使用することができる。 上記の核酸を、インビボ及びエクスビボ技術の両方を用いて、遺伝子治療に利 用することができる。また、例えば、低いストリンジェンシーのスクリーニング 及び逆転写酵素PCRを用いて他の関連したレセプターをクローン化するため、 そして例えばパンニングによる他のリガンドのスクリーニング、並びにレセプタ ーアゴニスト、アンタゴニストまたは部分的なアゴニスト及びアンタゴニストと して働く他の物質のスクリーニングのためのレセプターを過剰発現する細胞を作 るためにこれらの核酸を使用することができる。また、組換え体として作られた レセプター自体をスクリーニングアッセイに用いることができる。さらに、シグ ナル経路を解明するために、他のTGF−βレセプターファミリーのメンバーを 用いてキメラのレセプターを発現する細胞を作ることができる。例えば、酵母の 2−ハイブリッド系(Chen等、377 Nature 548、1995、 引用することにより本明細書に組み込まれる)を用いて、GDNFレセプターの 細胞内の標的を同定することができる。 また、トランスジェニック及び/または遺伝子標的動物を開発するために、上 記の核酸を用いることもできる。例えば、GDNFレセプターの過剰発現の作用 を試験するためのトランスジェニック動物を開発することができる。両方とも引 用することにより本明細書に組み込まれる、Hogan等、Manipulat ing the Mouse Em blyo:A Laboratory Manual 、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbo r、New York、1986及びCapecchi、M.R.、Trend s Genet 、5:70−76、1989に記述されるような方法を利用する ことができる。 また、GDNFによるシグナル伝達を阻止した影響を確かめるために、GDN Fレセプターを発現することができない細胞系及びトランスジェニック動物を調 製することができる。引用することにより本明細書に組み込まれる、Wurst 等、Gene Targeting 第126巻、A.L.Joyner編集、 IRL Press、OxfordUniversity Press、Oxf ord、England、pp33−61、1993に記述されるような方法を 利用することができる。 他の応用及び修正は、本明細書に開示される本発明の 意図及び範囲内であり、当業者に容易に明らかである。 実施例 以下の実施例は、本発明を明らかにするためであり、開示または請求の範囲を 限定するためではない。 別に示さないかぎり、結合及び生化学的研究は、バキュロウイルス発現系を用 いてSf21昆虫細胞で生産された組換え体ラットGDNFを用いて実施された 。タンパク質は、以前に記述されたように(Trupp等、上記、引用すること により本明細書に組み込まれる)生産され、精製された。SDS/PAGEゲル の銀染色後に、GDNFと類似した分子量のタンパク質の市販されている試料で 得られた標準曲線を用いてGDNFタンパク質を定量した。精製されたヒトTG F−β1は、Ju n−ichi Koumegawa、Kirin Brewery、Tokyo 、Japanから提供された。クロラミン−T法によりタンパク質をNa−125 Iで約1 x 108cpm/μgの非活性に標識した。 別に示さないかぎり、結合アッセイを以下のように実施した。ミリポア ハイ ドロフィリック デュラポア(Millipore Hydrophilic Durapore)96ウェル濾過プレート上でダルベッコのリン酸緩衝食塩水 及び2mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)中で、細胞をヨウ素化したGD NFとインキュベートした。4℃で2時間強く振盪した後、真空下でよく冷えた 結合バッファーで細胞を2回洗浄した。乾燥したフィルターをはずし、結合した125 I−GDNFをガンマカウンターで定量した。500倍過剰のコールドリガ ンドを結合混合物に添加することにより、非特異的結合を測定した。 親和性標識のために、ヨウ素化したタンパク質を初期ニューロンまたは細胞系 の単層培養物に結合させた。結合前に、解離させたヒヨコ交感ニューロンをポリ オルニチン/ラミニン被覆皿でNGFの存在下で48時間培養した。培養した細 胞を上記の結合バッファー中で10ng/mlの125I−GDNFと4℃でイン キュベートした。ジスクシンイミジルスベレート(DSS)または1−エチル− 3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDAC)(P ierce Chemical、Rockland、IL)のいずれかを用いて 、室温で30分間、リガンド/レセプター複合体を化学的に架橋させた。架橋反 応をクエンチした後、10mM Tris/Hcl緩衝食塩水、2mMEDTA 、10%グリセロール、1% NP−40、1% Tritonx−100、1 0μg/mlロイペプチン、10μg/mlアンチパ イン、50μg/mlアプロチニン、100pg/mlベンズアミジン塩酸塩、 10μg/mlペプスタチン及び1mM PMSF(Sigma製のプロテイナ ーゼインヒビター)で細胞を2回洗浄した。澄んだライセートをSDS/β−メ ルカプトエタノールバッファー中で5分間沸騰させ、4−20%濃度勾配の電気 泳動ゲルでSDS/PAGEにより分離し、オートラジオグラフィーで視覚化し た。示した分子量は、SDS−PAGEで視覚化した架橋複合体の見積もった分 子量からGDNFリガンドモノマーの量、例えば25−30kD、より好ましく は23kDを引くことにより得られた。架橋複合体の親和性測定では、増加する 量の非標識GDNFの存在下で上記のようにプレート上で細胞をインキュベート した。これらの試料を濃度勾配SDS−PAGEにより分離し、次にゲルを乾燥 し、オートラジオグラムから決定された分子量に従って特定のバンドを切り出し 、ガンマカウンターで数えた。親和性標識したレセプター複合体の免疫沈降では 、ヨウ素化したリガンドの結合及び架橋の後に、細胞ライセートを清澄にし、異 なるI、II及びIII型のTGF−βスーパーファミリーレセプターに対する5− 10μlの抗ペプチドウサギ抗血清(ten Dijke等、264 Scie nce 101、1994)(Peter ten Dijke)Ludwig Institute for Cancer Research、Uppsa la、Swedenから提供された)と4℃で一晩インキュベートした。免疫複 合体をプロテインA−セファロース(Pharmacia、Sweden)を用 いて集め、溶菌バッファー中で洗浄し、5分間沸騰させ、その後、上記のように SDS−PAGE及びオートラジトグラフィーを実施した。 実施例1 胚の交感ニューロンのGDNFレセプター GDNFは、神経成長因子(NGF)と同様な効力及び投与量反応曲線で培養 したニワトリ胚交感ニューロンの生存を促進する(Trupp等、上記)。先に 記述されたように(Trupp等、上記)ニワトリ交感ニューロンを単離し、調 製した。トリプシンの存在下で物理的に解離させた10日胚(E10)のヒヨコ 脊椎傍交感神経節から単離したニューロンにヨウ素化したGDNFを用いた飽和 結合を実施した。ニューロンを増やし、レセプターを再発現させるために、この 調製物を未処理の組織培養プラスチック上で2時間前もって培養した。飽和結合 データのプロットは、S字形曲線を生じ、これから400pMのKdが概算でき た(図1a)。この曲線のS字形特性と一致して、このデータのスキャッチャー ド変換は、協同結合を示す逆U字形曲線を生じた(図1b)。1.63のプラス の勾配を生じるヒル変換から結合の協同性の大きさを確認することができ、これ は、リガンドまたはレセプターサブユニットのいずれかのオリゴマー化を示唆し ている。 交感ニューロンの膜上のGDNF結合成分を同定するために、125I−GDN Fのこれらの細胞への化学的架橋を用い、続いて、得られた複合体をSDS−P AGEで視覚化した。濃度勾配ゲル電気泳動は、70及び300kD(以下に報 告するGDNFレセプターサブユニットの分子量は、SDS−PAGEで視覚化 された架橋複合体の見積もった分子量からGDNFリガンドモノマーの量、例え ば23kDを引くことにより求められた)の結合タンパク質を分離し、MuIL uミンク肺上皮細胞へのTGF−β1の架橋後に得られたものに類似したバンド のパター ンを生じた(図2)。この結果は、TGF−βレセプターのように、GDNF結 合タンパク質もオリゴマーのレセプター系を形成している可能性があることを示 唆した。大過剰のコールドリガンドは、レセプター複合体からヨウ素化したGD NFを置換し、標識の特異性を示した。 実施例2 細胞系のGDNFレセプター ヨウ素化したGDNFでの親和性標識を用いて、30にわたる細胞系をGDN Fレセプターの発現に関して選別した(表I、下記)。別に記述しないかぎり、 この試験に用いた全ての細胞系は、AmericanType Culture Collection、Rockville、MDから入手でき、ATCCに より記述されている。A875ヒト神経芽細胞腫は、Mart Saarma、 Universityof Helsinki、Finlandから提供された 。チロシンヒドロキシラーゼプロモーターの転写制御下でSV40T抗原を発現 するトランスジェニックマウスの脳橋の腫瘍から単離されたノルアドレナリン作 動性細胞系、CATH.A(Suri等、1993)は、Dona Chika raishi、Tufts University School of Me dicine、Boston、MAにより作製され、提供された。ラット神経幹 細胞系C17−2(Snyder等、68 Cell 33、1992)は、E van Snyder、Harvard Medical School、Bo ston、MAにより作製され、提供された。LAN5ヒト神経芽細胞腫は、S ven Pahlman、Uppsala University、 Swed enから提供された。David Hammond、University of Chicagoは、マウス基底前脳コリン作動性ニューロン及びマウス神 経芽細胞腫N18TG2のハイブリッドであるSN6細胞を作製し、提供した( Hammond等、1986)。ヒト神経芽細胞腫SY5Yは、David K aplan、ABL−Basic Research Program、NCI −Frederick Cancer Research and Devel opment Center、Frederick、MDから提供された。ST 15Aラット神経幹細胞系は、Ron McKay、National Ins tituted of Health、MDから提供された。縫合神経核細胞系 RN33B及びRN46Aの生成及び特性化は、他に記述されている(Whit temore及びWhite、1993)。RN33B及びRN46A細胞は、 マイアミ大学のScott Whittermore博士から入手した。運動ニ ューロンハイブリッド細胞系2FI.10.14(本明細書ではMN−1という )は、以前に記述されている(Salazar−Grueso等、2 Neur oreport 505、1991)。 多数のGDNFレセプターサブユニットが、各種の神経膠、神経及び非神経細 胞で検出された(表I)。ジスクシミジルスベレート(DSS)での架橋後、い くつかの細胞系において300kDの高分子量バンドが最も主要な種類であるよ うであり、これは、全ての他のレセプターの非存在下でリガンドに結合すると思 われる唯一のレセプターであった(表I)。類似したパターンが、ラットC6神 経膠腫、マウスセルトリTM4細胞、並びにグルタメート(RN33B)及びセ ロトニン(RN46A)の合成酵素を初めとする多数のニューロンマーカーを発 現すること が以前に示されている(Whittemore及びWhite、615 Bra in Res .27、1993;White等、14 J.Neuro.、19 94;Eaton等、170 Dev.Biol.169、1995)ラット縫 合神経核の胚ニューロン前駆物質由来の2種の細胞系において見られた。DSS での架橋後のこれらの細胞における一致したパターンは、300kDの高分子量 バンド、並びにそれぞれ50−55kD及び65−70kDの分子量を有する2 個の他のレセプターサブユニットからなった(図3及び表I)。50−55kD の成分は、しばしば、ダブレットまたはトリプレットとして泳動した。高分子量 成分により示されるスミアーの出現及び大きさの不均一な範囲は、翻訳後の修飾 、おそらくグリコシル化を示唆し、これは、III型ベータグリカンTGF−βレ セプターに関して以前に記述されたものと類似しているようである。この種類は 、縫合神経核由来の細胞では幾分小さく、異なるコアタンパク質または異なった レベルのグリコシル化のいずれかを示すことができた。 NGFが誘導する交感ニューロン様表現型への分化の後でさえ、4℃の現在の アッセイ条件下で褐色細胞腫PC12細胞においてGDNFレセプターを検出で きなかった(表I、データは示さない)。各種神経芽細胞腫及び2種の多分化ニ ューロン幹細胞では、GDNFレセプターの発現は、全くみられないか、非常に 少量であった(表I)。 示した細胞系における特定のGDNFレセプター複合体の存在(+) または欠如(−) 架橋剤エチル−ジメチル−アミノプロピルカルボジイミド(EDAC)を用い た親和性標識は、DSS架橋複合体でゲルの非常に長い露出の後にのみ見られる 120−135kDのさらなるGDNFレセプター成分の存在を明らかにした( 図3)。DSSのように、EDACもGDNFを50−55kD及び65−70 kDのレセプターに架橋したが、しかしながら、300kDの高分子量サブユニ ットは、EDACではあまり効率よく架橋されなかった(図3)。 縫合神経核細胞系は、条件的にのみ不死化され、トランスフォーメーションの 兆候を示さない。非許容温度で、そして特定の培地中で、これらは増殖を停止し 、有糸分裂後のニューロンに分化する(Whittemore及びWhite、 1993)。GDNFの結合は、分化後のRN33B及びRN46A細胞で大き く増した(示さない)。全体的なパターン及びGDNFレセプター成分の相対的 な量は、分化後に変化しなかった。 ラット筋芽細胞系L6のGDNF結合タンパク質の分析は、50−55kD及 び65−70kDレセプターが明らかに存在しないことを特徴とする異なるレセ プターサブユニットのパターンを示した。DSSでの架橋後に200−400k Dの高分子量成分のみを見ることができた(図3)。しかしながら、EDACで の架橋は、C6、TM4及び縫合神経核細胞系で以前に見られた120−135 kDサブユニットを容易に標識した(図3)。これらの他の細胞系でのように、 この成分は、L6筋芽細胞においてもダブレットとして泳動する。 異なるレセプター複合体を胚マウス脊髄運動ニューロンハイブリッド細胞で見 いだした(図3)。この系は、E14マウス脊髄運動ニューロン及びN18TG 2マウス神経芽細胞腫の融合、及びそれに続く、高レベルのコリンアセチルトラ ンスフェラーゼ活性を発現しているクローンの選択により得られた(Salaz ar−Grueso等、2 Neuroreport 505、1991)。重 要なことには、胚マウス基底前脳コリン作動性ニューロン及び同じN18TG2 神経芽細胞腫のハイブリッド細胞系であるSN6(Hammond等、234 Science 1237、1986)がGDNFレセプターを全く示さず(表 I)、これは、運動ニューロン細胞(以下、MN−1と称する)で見られたGD NF結合タンパク質が、脊髄の運動ニューロンに存在するGDNFレセプター成 分であると思われることを示す。L6筋芽細胞でのように、MN−1細胞で顕著 なレセプターは、これらの細胞では155kDのより大きいタンパク質であった けれども、EDACで優先的に架橋された(図3)。続いて、これは、c−RE Tレセプターであると同定された(以下の実施例9を参照)。MN−1細胞は、 65−70kDの結合タンパク質及び少量の300kDレセプターも発現した( 図3及び表I)。 GDNFレセプターサブユニットの個々の成分の親和性を分析するために置換 結合アッセイを実施し、架橋及びSDS−PAGEをこれに続。レセプター−リ ガンド複合体をオートラジオグラフィーで視覚化し、ゲルから切り出し、ガンマ カウンターで数えた。得られた置換曲線は、RN33B及びNM−1細胞の全て の成分に対して約0.2nMのKdを示した(図4a−c)。これらのデータは 、現在のところ、全て のGDNFレセプターサブユニットが同じような結合親和性を示すかどうか、ま たは高い親和性のレセプター複合体を組み立てるためにこれらが全て必要とされ るかどうかをはっきりとは立証していない。 実施例3 GDNFレセプターの生化学的特性化 GDNF及びTGF−β間のレセプターのパターンの全体的な類似性から、T GF−βスーパーファミリーのメンバーの以前に同定されたレセプターのいずれ かがGDNFレセプター複合体の一部であるかどうかの試験が促された。I型レ セプター(ALK−1ないしALK−6)、II型レセプターのTBRII、Act RII及びBMPRII、III型レセプターのベータグリカン及びエンドグリンを初 めとするあらゆるクローン化されたTGF−f3スーパーファミリーレセプター に特異的な異なる抗−ペプチド抗血清を用いた免疫沈降に、分化したRN33B 細胞からの架橋125I−GDNF−レセプター複合体を供した。並行したコント ロール実験では、125I−TGF−β1をミンク肺上皮細胞系MvILuのI型 、II型及びIII型レセプターに架橋し、続いて、それぞれTBRI(ALK−5 )、TBRII及びベータグリカンに対する抗血清で免疫沈降した。コントロール 実験ではI型、II型及びIII型のTGF−βレセプターが回収されたけれども、 分化したRN33B細胞のGDNFレセプター成分のいずれも、あらゆる試験し た抗血清で免疫沈降することができなかった(示さない)。これらのデータから 、これらの細胞で発現されるGDNFレセプターサブユニットが新規なタンパク 質であることが確かめられた。 実施例4 GDNFレセプターを発現する細胞系における内因性GDNFの発現 神経栄養因子の作用の伝統的なモデルは、特定のニューロン亜集団の生存及び 分化を促進する標的由来のポリペプチドとしてこれらを記述している。より最近 では、神経栄養因子がパラクリン及びオートクリン形態さえの作用も有する可能 性があることが明らかになっている(Ernfors及びPersson、3 Eur.J.Neurosci .953、1991;Acheson等、374 Nature 450、1995)。GDNFレセプターを発現する細胞系に おけるGDNFmRNAの発現を調べた。細胞をグアニジンイソチオシアネート (GITC)及びβ−メルカプトエタノール中でホモジナイズした。RNA抽出 及びGDNF RNase保護アッセイは、以前に記述されている(Trupp 等、上記)。 意外にも、運動ニューロン系のMN−1を除いた全ての細胞系が、RNase 保護分析によりアッセイされた場合にかなりのレベルのGDNF mRNAを発 現した(図5)。最も多量のGDNF mRNA発現は、縫合神経核からの細胞 で見られ、これは発生中のラットのGDNF mRNAの最も豊富な供給源の一 つである出生後1日(P1)の腎臓(Trupp等、上記)のものより5倍まで 多量の発現を示した。興味深いことには、RN33B細胞が分化すると、GDN F mRNAの発現は、未分化の細胞のレベルの約30%まで減少した(図5) 。分化したRN33B細胞のGDNF処理は、GDNF mRNA(図5)また はGDNFレセプター(示されない)の発現を変えなかった。 RNase保護アッセイを用いて、c−ret mRNAの発現をRN33B 、L6及びMN−1細胞で調べた。マウスc−ret mRN Aのキナーゼドメインからのコーディング配列の400ヌクレオチドに相補的な リボプローブを用いて、示した細胞系からの10μgの全RNAを分析した。M N−1細胞では多量の発現が見られたけれども、RN33BまたはL6細胞のい ずれにおいてもc−ret mRNAは検出されなかった(図6)。これらの結 果は、c−RET以外のGDNFのシグナル伝達レセプターがこれらの細胞に存 在するにちがいないことを示している。 実施例5 GDNF反応性細胞系のERKシグナル変換経路の活性化 細胞系において特性化されたGDNF結合タンパク質がリガンドに依存したシ グナル伝達複合体を形成できるかどうかも調べた。10cmプレート中の細胞単 層を50ng/mlのGDNFの存在下で37℃で示した期間インキュベートし 、すぐに1mMオルトバナジン酸ナトリウムを添加したよく冷えた(上記のよう な)溶菌バッファー1mlで溶菌させた。全細胞ライセートをSDS−PAGE (10%ポリアクリルアミド)で分離し、ニトロセルロースフィルターにブロッ トした。ウェスタンブロットを抗−ホスホチロシン抗血清(UBI、Lake Placed、NY)、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗−マウス IgGで検出し、ECL ウェスタン ディテクション システム(Weste rn Detection System)(Amersham、UK)を用い て染色した。再検出のために、まず、62.5mM Tris−HCI pH6 .7、100mMβ−メルカプトエタノール、2%ドデシル硫酸ナトリウム中、 50℃で30分のインキュベーションによりブロットをはがした。抗体の除去後 、ERK1及びERK2の両方 を認識する、組み換え体ラットERK2に対して作製されたウサギポリクローナ ル抗血清(Teri Boulton、RegeneronPharmaceu ticals Inc.、Tarrytown、NYの贈与)を用いて検出し、 西洋わさびぺルオキシダーゼ結合ヤギ抗−ウサギ二次抗体を用いて上記のように 染色した。 GDNFレセプターサブユニットのパターンが異なるため、まず、縫合神経核 細胞系RN33B及び運動ニューロン細胞系MN−1において細胞内シグナル伝 達反応を特性化した。RN33BまたはMN−1細胞のGDNF処理により引き 起こされるチロシン−リン酸化タンパク質のパターンの変化を調べた。チロシン リン酸化は、多数のサイトカイン及び成長因子により剌激される細胞内シグナル 伝達タンパク質の調節の一般的な機構である。RN33B及びMN−1単層を飽 和濃度のGDNF(5ng/ml)に異なる期間さらし、SDS/PAGE及び 抗−ホスホチロシンモノクローナル抗体を用いたウェスタンブロッティングによ り全細胞ライセートをチロシンリン酸化に関して分析した。RN33B細胞のG DNF処置の5分以内に、それぞれ42kD及び44kDに相当する移動度を有 する2つのタンパク質がチロシンでリン酸化された(図7A)。GDNFにさら した分化したRN33B細胞で同様の結果が得られた(示さない)。 成長因子が誘導するタンパク質チロシンリン酸化の他の記述(Qiu及びGr een、9 Neuron 705、1992)との大きさの比較に基づくと、 42kD及び44kDの種類は、それぞれ、細胞外シグナル調節キナーゼ(ER K、微小管結合タンパク質キナーゼとも呼ばれる)ファミリー(Boulton 等、65 Cell 663、19 91)のタンパク質セリン−トレオニンキナーゼの2つのメンバーであるp42 ,k2及びp44,kIであると思われる。これらのタンパク質がそれぞれER K2及びERK1と同一であることを確認するために、抗−ホスホチロシン抗体 と反応させたタンパク質ブロットをはがし、タンパク質ブロットでERK1及び ERK2の両方を認識する、組換え体ERK2に対して作製されたERKウサギ ポリクローナル抗体を用いて再検出した。抗−ホスホチロシン抗体及び抗−ER K2抗体で検出したブロットのオートラジオグラムの比較により、p42及びp 44タンパク質をそれぞれERK2及びERK1と同定した(図7a)。MN− 1細胞のGDNF処理は、ERK2のリン酸化のみを剌激するようであるけれど も、ERK1及びERK2の両方がMN−1細胞ライセートに存在した(図7b )。このように、GDNF処理は、RN33B細胞では迅速で一時的なERK1 及びERK2のチロシンリン酸化を剌激するが、MN−1細胞では比較的遅い、 より持続したERK2のリン酸化を剌激した。 ERK経路の活性化が、c−fos癌原遺伝子を初めとする即時型初期遺伝子 の転写の迅速で一時的な増加を誘導することが以前に示されている(Gille 等、358 Nature 414、1992)。それ故、分化した縫合神経核 RN33B細胞及び運動ニューロンMN−1細胞におけるc−fos mRNA を誘導するGDNFの能力を調べた。細胞系におけるc−fos mRNAの分 析では、細胞単層への100ng/ml GDNFの添加の90分前に培養培地 を変えた。示した時間間隔で培地を除去し、グアジニンイソチオシアナート及び β−メルカプトエタノールで細胞を可溶化し、RNAを以前に記述されたように (T rupp等、上記)抽出した。20μgの全RNAを0.7%ホルムアルデヒド を含有する1%アガロースゲルで分離し、ハイボンド−C(Hybond−C) 膜(Amersham、UK)に移した。ノーザンブロットをα−32P−dCT Pで標識したラットc−fos遺伝子フラグメント(Curran等、2 On cogene 79、1987)でハイブリダイズし、高いストリンジェンシー で洗浄し、x−線フィルムでオートラジログラフィーにより視覚化した。 細胞単層を飽和濃度のGDNFに異なる期間さらし、続いてc−fos mR NAのレベルを全RNAのノーザンブロットで分析した(図8)。この分析は、 RN33B細胞をGDNFに露出した15分後のc−fos mRNAの一時的 なアップレギュレーション、処理の45分後の基礎レベルへの回復を示した(図 8a)。c−fos mRNAは、MN−1細胞でもアップレギュレートされた が、これはGDNF処置後30分たってからであった(図8b)。上昇したc− fos mRNAレベルは約1時間持続し、そして処理の開始後120分で基礎 レベルに戻った(図8b)。従って、ERK類のチロシンリン酸化のように、G DNF処置により誘導されるc−fos mRNAのアップレギュレーションは 、RN33B細胞では非常に迅速で一時的であったが、MN−1細胞では幾分ゆ っくりであった。 実施例6 分化した縫合神経核細胞においてGDNFにより促進される生存反応 GDNFが分化した縫合神経核ニューロンの生存因子であるかどうかを調べる ために、縫合神経核セトロニン作動性細胞系RN46Aの条件的な不死化特性を 利用した。以前に記述されたように(Eaton等、 1995、上記)生存アッセイを実施した。簡潔に言えば、105のRN細胞を コラーゲン/ファイブロネクチンを被覆した8ウェルガラススライドに接種し、 75−90%の融合まで33℃(生育許容温度)でインキュベートした。次に、 これらのスライドを39℃(非許容温度)に移し、0−50ng/ml rhG DNF(Promega、Madison、WI)を加えてまたは加えずに1% BSA、1μg/mlトランスフェリン、5μg/mlインシュリン、100m Mプトレシン及びnMプロゲステロンを含有するB16限定培地(Brewer 及びCotman、494 Brain Res.65、1989)に血清を含 有する培地を置き換えた。培地及びGDNFを2日ごとに8日間置き換え、その 後、細胞を4%パラホルムアルデヒド/2%グルタルアルデヒド中で固定し、す すぎ、そして生存できる神経核を染色するために1mMビスベズアミド(ヘキス ト色素33342)を含有するグリセロール顕鏡用培地で被覆した。Zeiss Axiophot顕微鏡で細胞の視野を40xに拡大し、蛍光を放つ神経核を 調べ(355nMで励起、465nMの放射)、これらの像をビデオで捕らえ、 Imade ITM(商標)ソフトウェアで細胞を数えた。各条件に対して3回の 独立した実験の各々から10視野の細胞を数えた。 増加する濃度のGDNFの存在下で限定培地中でRN46A細胞を非許容温度 で培養した。接種の9日後に、生存細胞を数え、GDNFの非存在下で樹立され た培養物と比較した。GDNFの存在下で生育した培養物で、生存細胞の数の3 倍の増加が見られた(図9)。分化したRN46A細胞の生存に対するGDNF の作用は投与量に依存し、5ng/mlのEC50を有した。 実施例7 抗−GDNFモノクローナル抗体の作製、クローニング及び特性化 免疫法 5匹の若いメスのマウスを完全フロインドアジュバント(FA)で乳化した昆 虫細胞由来の組換え体GDNF35μgで免疫した。不完全FA中で最初の免疫 の2及び4週後に2次及び3次免疫を実施した。全ての注射を腹腔内(i.p. )に与えた。最後の免疫の2週後に、標準的な方法を用いたELISA及びウェ スタンブロット分析により血清中の抗体力価を調べた。最も高い力価(1:20 00より高い)を有するマウスに不完全FA中の3μgのGDNFをi.p.で 追加投与して免疫を高め、3日後に細胞融合を実施した。 細胞融合 いくつか修正して、引用することにより本明細書に組み込まれる、Kohle r及びMilstein(1975)の方法に従って、細胞融合を実施した。 a)融合の前日: Sp2/0ネズミ細胞系からの生存できる細胞を完全DMEM(10%ウシ胎 仔血清、1% L−グルタミン、100U/mlペニシリン及び100μg/ス トレプトマイシン硫酸塩)を用いて2x105細胞/mlに調整した。 0.34Mショ糖溶液の注入により、腹腔から非免疫マウスからの細胞を得た 。これらの細胞をヒポキサンチン100μM、アミノプテリン0.4M及びチミ ジン16μMを含有する完全DMEM(HAT培地)中で1x105細胞/ml に懸濁した。細胞懸濁液の100μlを96 ウェルプレートの内側の60ウェルに添加し、空気中5%CO2の大気中で37 ℃で一晩インキュベートした。これらの細胞は、成長因子の供給源であった。 b)融合 滅菌フード中で表面の脂肪及び他の付着している組織を除いた後、最も高い血 清力価(上記参照)を示すマウスからの脾臓細胞を10mlのDMEM中でホモ ジナイズした。 融解したPEG(3000−3700、Hybri−Max、Sigma)の 溶液中で、4.2x107のSp2/0細胞を8.4x107の牌臓細胞と融合さ せた。次に、これらの細胞を空気中5%CO2の大気中で37℃でHAT培地中 で生育させた。1週間の培養後、ウェルを調べた。ハイブリッド細胞がウェルの 表面積の10ないし50%を被覆した場合、ELISAによりそれらの培養上清 の抗体をアッセイした。 ELISAでは、マイクロプレート(Costar、EIA/RIAプレート 高結合)のウェルを炭酸塩/重炭酸塩バッファー、pH9.6に希釈した2μg /mlのGDNF100μlで被覆した。4℃で一晩インキュベーションした後 、0.05% Tweenを含有する0.05Mリン酸緩衝食塩水、pH7.2 (PBS−T)でウェルをすすいだ。3%無脂乳及び1%ヤギ正常血清を含有す るPBS−Tで非特異的な結合をブロックした。上清の試料を室温で4時間イン キュベートした。ペルオキシダーゼヤギ抗−マウス抗体を用い、基質はo−フェ ニレンジアミン二塩酸塩(OPD)であった。ELISA読み取り装置で492 nmでプレートを読み取った。陰性コントロールは、完全培地及び正常マウス血 清を含んだ。 ハイブリッドを融合後2週までHAT培地で生育させた。続いて、限界希釈法 を用いて、2回のクローニング手続きが完了するまで細胞をHT培地で生育させ た。(細胞が10ないし50%融合に達する)各工程の後に、ELISAにより 上清中の特異的な抗体のアッセイを実施した。再クローニングの際に、5個の陽 性ハイブリドーマクローンを選択し、これらの細胞を完全DMEM中で30日間 保持した。 モノクローナル抗体のアイソタイプの決定 マウスモノクローナル抗体のアイソタイプ決定のためのDAKOパネルを用い てELISAによりモノクローナル抗体のクラス及びサブクラスを決定した。5 個のモノクローナル抗体は全てIgG1として特性化された。 モノクローナル抗体の精製 培養上清からのモノクローナル抗体をプロテインG セファロース ファスト フロー(Protein G Sepharose fastflow)(P harmacia、Biotech)により製造業者の説明書に従って精製した 。すなわち、培養上清を濃縮し、0.45μm膜(Schleicheer a nd Schull、Germany)を通して濾過し、次に、20mMリン酸 ナトリウム、pH 7.0で前もって平衡化したカラムに一晩通した。Igを0 .05Mグリシンバッファーで溶出させた。 実施例8 GDNFに対する生物学的及び生化学的反応を示す運動ニューロン細胞系 MN−1細胞単層を血清を含まない培地中で増加する濃度のGDNF にさらし、3日後に酸性ホスファターゼ活性の測定(Clontech)により 細胞の生存及び生育に関してアッセイした。以前に記述されたように(Trup p等、上記)バキュロウイルスが感染した昆虫細胞からGDNFを生産し、精製 した。血清を欠いたMN−1単層のGDNF処理は、投与量に依存して細胞数を 増加した(図10a)。MN−1細胞の生物学的反応は、GDNF処理に対する 生化学的及び転写反応と相関した。MN−1単層を50ng/mlのGDNFに 増加する期間さらし、細胞ライセートをSDS/PAGEで分離し、ウェスタン ブロットを抗−ホスホチロシン抗体(UBI)を用いて検出した。 MNI細胞のGDNF処理後に、42Kの電気泳動の移動度を有するタンパク 質を初めとするいくつかのタンパク質が増加したチロシンリン酸化を有するのが 見られた(図10b)。成長因子が誘導するタンパク質チロシンリン酸化の他の 記述(Boulton、T.G.等、Cell 65、663−75(1991 ))との大きさの比較に基づくと、42Kの種類は、細胞外シグナル調節キナー ゼ(ERK)ファミリーのセリン−トレオニンキナーゼのメンバーのp42erk2 であると思われる。抗ERK2ポリクローナル抗血清を用いた免疫沈降及びそれ に続くチロシンリン酸化の分析後に、このタンパク質がERK2と同一であると 確かめられた(図10c)。GDNFで剌激したMN−1細胞のライセートをE RK1も認識する抗−ERK2抗血清(Santa Cruz)で免疫沈降させ 、続いて抗ホスホチロシンウェスタンブロッティングを実施した。この分析は、 MN−1細胞のGDNF処置後にERKファミリーの別のメンバーであるp44 erk1もチロシンでリン酸化されることをさらに明らかにした(図10c)。 ERK経路の活性化は、c− fos癌原遺伝子を初めとする即時型初期遺伝子の転写の迅速かつ一時的な増加 を誘導することが以前に示されでいる(Gille等、Nature 358、 414−7(1992))。 実施例9 GDNFのシグナル変換レセプターとしてのc−ret癌原遺伝子の産物 抗−GDNF抗体を用いた免疫沈降またはレクチン−セファロースビーズへの 結合により、MN−1細胞からのGDNFレセプター複合体を回収することがで きた(図11a)。意外にも、抗−ホスホチロシン抗体での免疫沈降により、1 80kDのレセプター複合体(すなわち、c−RET;180kD−23kD= 157kD、これは、c−RETとして同定された155kDレセプターとほぼ 等しい−−実施例2、以下を参照)も回収することができ(図11a)、これは 、この複合体のGDNF結合タンパク質がレセプターチロシンキナーゼの可能性 があることを示している。 c−ret癌原遺伝子の産物は、初期運動ニューロンで多量に発現されており (Pachnis等、上記、及びTsuzuki、T.等、Oncogene 10、191−8(1995))、MN−1細胞で検出された主要なGDNFレ セプター成分(Takahashi、M.等、Oncogene 3、571− 578(1988))と類似した分子量のものである。抗−c−RET抗体を用 いた免疫沈降により、この種がc−RET−GDNF架橋複合体であるかどうか を調べた。 EDACを用いて125I−GDNFをMN−1細胞に架橋し、GDNFに対す る抗体(Trupp等、上記)、レクチンセファロースビーズ (Formica)、抗−ホスホチロシン抗体(UBI)、抗−c−RET抗体 (Santa Cruz)及び非免疫ウサギからのコントロール抗体を用いて、 レセプター複合体を沈降させた。抗ペプチドc−RETウサギ抗血清は、MN− 1細胞の主要な180kDのリガンドーレセプター複合体を容易に免疫沈降し( 図11a)、一方、コントロールとして用いた多数の無関係なモノクローナル及 びポリクローナル抗体はこの複合体を免疫沈降することができなかった(図11 a及びデータは示さない)。 c−ret遺伝子の産物はレセプターチロシンキナーゼであるので、GDNF がMN−1細胞においてc−RETタンパク質のチロシンリン酸化を剌激するこ とができるかどうかを調べた。異なる濃度で、または異なる期間GDNFにMN −1細胞単層をさらし、細胞ライセートを抗−c−RET抗体で免疫沈降させ、 SDS/PAGE及び上に開示した抗ホスホチロシン抗体を用いたウェスタンブ ロッティングにより分析した。GDNF処置は、MN−1細胞における迅速なc −RETチロシンリン酸化を剌激した(図11b)。GDNF処理の5分後に最 大のリン酸化が達成され、少なくとも60分間持続した。MN−1細胞における GDNFが誘導するc−RETリン酸化の投与量反応分析は、30ng/mlの GDNFで最大のリン酸化を示し(図11b)、これは、血清を欠いたMN−1 細胞(図10a)及び胚交感ニューロン(Trupp等、上記)の両方のGDN Fに対する反応に類似している。合わせると、これらのデータは、c−RETレ セプターがGDNFのシグナル変換機構の重要な成分である可能性があることを 示している。 実施例10 c−retのトランスフェクションは、GDNFの結合及びGDNFに対する生 物学的活性を再構成する。 GDNFレセプターを欠いた細胞にGDNFを結合させるためにc−ret遺 伝子産物の発現が十分であるかどうかを決定するための実験を実施した。この目 的のために、未処理の3T3繊維芽細胞、及び野生型のc−retまたはMEN 2a患者で見いだされたこの遺伝子の癌遺伝子型(Mulligan等、上記) のいずれかを安定にトランスフェクトした3T3細胞で、GDNF結合及び架橋 の実験を実施した。トランスフェクトした細胞でのc−ret発現のために、ヒ ト野生型c−ret及びMEN2a−retのcDNAをpcDNA3(Inv itrogen)にサブクローン化した。コールドGDNFを50xモル過剰で 使用した。生存/生育アッセイでは、示した濃度のGDNFを補充した血清を含 まない培地中で6日間細胞を培養し、培地及びGDNFを2日ごとに置き換えた 。酸性ホスファターゼ活性の測定により(Clontech)、細胞数を定量化 した。 c−RET抗体で免疫沈降した後、MEN2a−ret及びc−retでトラ ンスフェクトした3T3繊維芽細胞の両方でGDNFで標識された約180Kの レセプター複合体が検出されたが、トランスフェクトしなかった細胞では検出さ れなかった(図12a)。過剰のコールドGDNFで標識を置換することができ 、これは、特異的なGDNF結合であることを示している(図12a)。 また、反応しない細胞にトランスフェクションした際に、c−retがGDN Fに対する生物学的反応を媒介することができるかどうかを決定するために実験 を実施した。血清を含まない培地中で培養したトラン スフェクトしなかった3T3繊維芽細胞及びc−retでトランスフェクトした 3T3繊維芽細胞において、GDNFに対する生存及び生育反応を調べた。GD NFは、c−retでトランスフェクトした3T3細胞で投与量に依存した細胞 数の増加を引き起こしたが、トランスフェクトしなかった3T3細胞ではこれを 引き起こさず(図12b)、これらは血清を欠いたMN−1細胞で以前に観察さ れたものに類似していた。未処理の3T3細胞は、トランスフェクション前にい かなる識別可能な量のGDNFレセプターも発現しなかったので(図12a)、 c−retの発現が、これらの細胞においてGDNFに対する生物学的反応を媒 介するために十分であると結論づけられた。 実施例11 成体の脳及び黒質のドーパミン作動性ニューロンにおけるc−retの発現 ラットの中枢神経系の異なる領域におけるc−retの発現を調べることによ り、c−ret産物が脳においてGDNFの神経栄養作用を媒介することが可能 であるかどうかを決定するための実験を実施した。配列U22513及びU22 514(ジーンバンク登録番号)に基づくプライマーを用いたPCRにより得ら れたcDNAフラグメントを鋳型として用いて、ラットc−retリボプローブ を作成した。MN−1細胞及びラット脊髄で高いレベルのc−ret mRNA が見られた(データは示されない)。高いc−ret mRNA発現は、成体の 脳橋、髄、青班及び視床下部(図13a)、並びに視床及び小脳(データは示さ ない)でも見られた。c−ret mRNAは、線条体、海馬及び大脳皮質では わずかに検出できるレベルで発現されていた(図13a)。GD NF応答性ドーパミン作動性ニューロンの細胞体を含んでいる腹側中脳では、c −ret mRNAレベルは、生後の発生中に漸次増加した(図13b)。発現 のピークは、生後6日(P6)及びP8の間で検出され、その時、黒質のドーパ ミン作動性ニューロンのアキソンは線条体の神経分布を開始し、この標的領域に おけるGDNF mRNA発現の増加と同時に起こる(図13b)。mRNAの 定量化のために、グリセルアルデヒド−3−Pデヒドロゲナーゼ(GAPDH) リボプローブをRPA中に含み、ゲルのオートラジオグラムをデンシトメーター で走査した後に得られた相対的なmRNA発現の値を各RNA試料のGAPDH シグナルを用いて正規化した。GDNF mRNAのRPAは、以前に記述され ている(Trupp等、上記)。 インサイチューハイブリダイゼーション及び免疫組織化学を以前に記述された ように実施した(Arenas、E.& Persson)H.Nature 367、368−371(1994);Neveu、I & Arenas、E .J.Cell Biol.印刷中(1996))。ラットc−RETも認識す るハムスターモノクローナル抗−マウスc−RET抗体(Lo、上記)、続いて フルオレセインを結合したウサギ抗−ハムスター二次抗体(Southern Biotechnologies)を用いて、c−RETタンパク質を検出した 。成体の黒質からの切片に対するインサイチューハイブリダイゼーションでは、 この構造中のニューロンにわたって強く標識化された(図14a−b)。さらに 、c−RET様免疫反応性に陽性の細胞(c−RET−L1)が、細胞体にわた って強く標識化されて成体の黒質中に見られた(図14c)。 成体の黒質におけるc−retの発現がドーパミン作動性ニューロン に限定されることを確認するために、6−ヒドロキシドーパミン(6−OHDA )を片側だけに注入することで選択的にこれらの細胞に損傷を与え、続いてイン サイチューハイブリダイゼーションによりc−retmRNA発現に関してこれ らの細胞を分析した。8匹のブタに以下の位置、すなわち、両耳間線にわたって 5mmの切開線(incisor bar)で、ブレグマの後ろ1.6mm、正 中線の横1.3mm、硬膜面の下8.4mmで、中前脳束に6−OHDAを定位 固定注入することにより黒質のドーパミン作動性ニューロンに損傷を与えた。6 −OHDA注入の30分前に25mg/kgのデシプラミン(i.p.)で動物 を前処理した。3μlの培地中のGDNF発現繊維芽細胞0.75x 106を 以下の位置、すなわち、−3.3mmでの切開線で、両耳間線から3.1mm、 正中線の横2mm、硬膜面の下7mmで、黒質上に(supranigrall y)注入した。青班における損傷及び移植は、以前に記述されたとおりであった (Arenas等、Neuron 15、1465−1473(1995))。 GDNFを発現する繊維芽細胞の作製及び特性化は、以前に記述されている(A renas等、上記)。 損傷の5時間後では、損傷と同じ側及び反対側の間でc−ret mRNA発 現に相違は見られなかった(図14d)。しかしながら、6−OHDA処理の1 日後ですでにc−ret mRNA発現の顕著な減少が損傷を受けた黒質で見ら れ、損傷の5日後にはほとんど存在しなかった(図14d)。しかしながら、損 傷の反対側のc−ret mRNA発現は影響を受けなかった(図14d)。こ の結果から、成体の黒質では、c−ret mRNAの発現がドーパミン作動性 ニューロンに限定 されていることが示された。 実施例12 GDNFは、c−RET陽性ドーパミン作動性及びノルアドレナリン作動性ニュ ーロンを救済する。 成人の黒質及び青班のc−RET発現ニューロンがGDNFに反応するかどう かを決定するための実験を実施した。このために、黒質のドーパミン作動性ニュ ーロンに6−OHDAで損傷を与え、次にGDNFを発現する繊維芽細胞の移植 片がc−RET免疫反応性ニューロンに対する反応を誘導するかどうかを決定す るためにこれらを調べた。コントロールの繊維芽細胞の移植を受けた損傷動物で は、c−RET−L1を検出することはできず、これは、成体の黒質のドーパミ ン作動性ニューロンの選択的損傷によるc−ret発現細胞の枯渇を示している (図14e)。しかしながら、GDNFを発現する移植片によりc−ret−L 1を救済することができ、c−RET免疫陽性の繊維が移植片を取り囲み、そし てこれに侵入しているのを見ることができた(図14f)。同様な結果が青班で も得られ、6−OHDAでの損傷は、c−RET−免疫反応性細胞体を枯渇させ (図14g)、GDNFの外因的投与によりこれらを救済することができた(図 14h)。両方の脳の領域において、GDNFを発現する繊維芽細胞を移植した 動物におけるc−RET−L1陽性細胞の救済及び出現は、チロシンヒドロキシ ラーゼ免疫反応性と一致し(データは示さない)、これらは、c−RETを発現 する成体のドーパミン作動性及びノルアドレナリン作動性ニューロンがGDNF に反応することを示している。 実施例13 GDNF c−RETレセプターの同定 50ng/mlのGDNF(Peprotech EC Ltd.)の存在下 または非存在下で、被覆しない(NB/2a細胞)またはコラーゲンを被覆した (PC12細胞)皿で培養した(皿当たり5000−6000細胞)PC12細 胞及びNB/2a細胞を、それぞれ、血清を含まないRPMI−1640または DMEMで3回洗浄し、48時間後に細胞数を顕微鏡で数えた。PC12及びN B/2a細胞を集め(100,000細胞、5つ並行して)、50倍の非標識G DNFの存在下または非存在下で10ng/mlの(クロラミンT法によりヨウ 素化した、100μCi/μg)ヒト125I−GDNFと氷上で120−150 分間インキュベートし、30%ショ糖クッション中での遠心分離により非結合因 子を除き、細胞に結合した放射能を1271 RIAGAMMAカウンター(L KB Wallac)で数えた。 組換え体ヒトGDNFは、50ng/mlの濃度で、血清を欠いたラット褐色 細胞腫PC12細胞の約20%の生存を促進した(図15a)。血清を欠いたP C12細胞は、神経成長因子(NGF)によっても維持される。また、(NGF )で処理すると、PC12細胞は分裂を停止し、長い神経突起を有する交感ニュ ーロン様細胞に分化する。このように、GDNFは、NGFより効力が低いが、 PC12細胞の生存促進因子である。しかし、おそらく、NGF活性化trkA レセプター及びGDNFレセプターのシグナル変換の違いのために、GDNFは 調べた濃度でPC12細胞の分化を誘導しない。 50ng/mlのGDNFの存在下または非存在下で、ヒト神経芽細胞腫NB /2a細胞を血清を含まない培地中で培養し、48時間培養し た後、細胞数を数えた。GDNFは、NB/2a細胞の数を顕著に増加した(図 15b)。サルCOS細胞、ヒトSY5Y細胞及びマウスNIH3T3細胞は、 GDNFに対する分裂促進及び生存反応のいずれも示さなかった(データは示さ ない)。従って、GDNFは、ラットPC12細胞及びヒトNB/2a細胞に対 して生物学的作用を及ぼし、これは、両細胞系が機能的なGDNFレセプターを 発現することを示している。 GDNFが反応性細胞に結合するかどうかを決定するために、図15の説明文 に示したようにPC12細胞及びNB/2a細胞を125Iで標識したヒトGDN Fと40℃でインキュベートした。図15cに示されるように、PC12及びN B/2a細胞系の両方とも、GDNFを効率よく結合する。より重要なことには 、50倍過剰の非標識GDNFで125Iで標識したGDNFの結合を競合するこ とができた(図15c)。従って、PC12及びNB/2a細胞のレセプターに 対するGDNFの結合は、特異的であると思われる。 実施例14 GDNF c−RET結合成分の同定 PC12細胞、SY5Y神経芽細胞腫及びNB/2a細胞をEDCを用いて12 5 I−GDNFに化学的に架橋させた。3−5 x 106細胞または2個のE2 0ラット腎臓からの物理的に解離させた細胞を10ng/mlの125I−GDN Fと氷上で1時間インキュベートし、30mMEDAC(Pierce)を用い て氷上で30分間架橋させた。溶剤ライセートを免疫沈降させ、沈降物をプロテ インA−セファロースで集め、7%SDS−PAGEで分離し、Phophor imager SI(Molecular Dynamics)で視覚化した。 得られた複合体をGDNFに対するウサギ抗体で免疫沈降し、SDS−PAG Eで分析し、オートラジオグラフィーで視覚化した。胚の腎臓細胞も推定される GDNFレセプターの供給源として調べた(Suvanto、P.等、Eur. J.Neurosci .、8、101−107(1996);Sainio、K .等、Nature、(1996)投稿中)。PC12細胞、SY5Y細胞及び NB/2a細胞の抽出物からは、170及び190kDの架橋複合体が得られ、 胚の腎臓抽出物からは190kDの複合体が得られた(図16)。 架橋されたタンパク質の分子量から実質的に約25−30kDのGDNFを引 くと、正確でないにしても、稀な(orphan)レセプターチロシンキナーゼ であるc−RET癌原遺伝子の分子量に相当する(Takahashi、M.、 Ritz、J.&Cooper、G.M.Cell、42、581−588、1 985;Takahashi、M.等、Oncogene、3、571−578 (1988))(c−RETの異なったグリコシル化形である、140kD及び 160kD、Tsuzuki、T.、Takahashi、M.、Asai、N .、Iwashita、T.、Matsuyama、M.& Asai、J. ncogene 、10、191−198(1995))。 実施例15 c−RETに対するGDNFの親和性架橋 c−RETレセプターの細胞外及び細胞内部分を認識する抗体の混合物を用い て、架橋された複合体をNB/2a細胞から免疫沈降させた。図17a(レーン 1)に示されるように、170kD及び190kDの複合体が抗−c−RET抗 体により沈降し、従って、これらは架橋され たGDNFc−RET複合体に相当する。125I−GDNFのc−RETタンパ ク質への結合は、500倍過剰の非標識GDNFで完全に消失した(レーン2) 。モノクローナル抗−神経フィラメント抗体(レーン3)またはプロテインA− セファロースのみ(レーン4)ではタンパク質は沈降しなかった。COS細胞か らは架橋複合体は得られなかった(示さない)。c−ret癌原遺伝子は糖タン パク質であるので、125Iで標識されたNB2/a細胞抽出物はコムギ胚アグル チニンでも免疫沈降した。ここでも、170及び190kDのタンパク質が得ら れた(レーン5)。 GDNFがc−RETに特異的に結合することをさらに立証するために、マウ スc−ret cDNAを噛乳類の発現ベクタ−pBK−CMVにクローン化し 、サルCOS細胞で一時的に発現させた。pbluescript SK’(S tratagene)中のマウスc−retcDNA(Pachnis、V.、 Mankoo、B.& Costantini、F.Development、 119、1005−1017(1993))をSacII及びEcoRVで切断し 、pBK−CMVベクター(Strategene)のSacII及びSamI部 位にクローン化した。同時にトランスフェクトしたPEF−BOSベクター中の レッド シフト グリーン フルオレセント プロテイン(Red Shift Green Fluorescent Protein)の蛍光により30% の効率で、エレクトロポレーション(Bio Rad)により、c−ret c DNAまたは空のプラスミドでCOS細胞を一時的にトランスフェクトした。4 8時間後、10x 10’のトランスフェクトしたCOS細胞または3−5 x 106の親のCOS細胞もし くはNB/2a細胞を125I−GDNFで処理し、架橋させ、図15及び図16 の説明文に特定したように分析した。 まず、c−RETタンパク質の発現をウェスタンブロッティングにより調べた 。c−retをトランスフェクトしたCOS細胞(図18a)及びNB2/a細 胞(示さない)は、検出できる量のc−RETタンパク質を発現し、一方、モッ ク(pBK−CMVプラスミド)でトランスフェクトしたCOS細胞ではc−R ETタンパク質は検出されなかった(図18a)。NB/2a細胞またはc−r etをトランスフェクトしたCOS細胞よりかなり低いレベルであるが、PC1 2細胞もc−RETタンパク質を発現する(示さない)。マウスc−ret癌原 遺伝子を一時的に発現するCOS細胞を125I−GDNFとインキュベートした 。図17bに示されるように、これらの細胞はGDNFに結合し、過剰の非標識 GDNFで125I−GDNFの結合を競合することができる。対照的に、モック でトランスフェクトしたCOS細胞ではGDNFの顕著な結合は見られなかった 。 実施例16 チロシン残基のリン酸化 (トランスフェクションの48時間後に)10 x 106のトランスフェク トしたCOS細胞を血清を含まないDMEM中で50ng/mlのGDNF(P reprotech EC Ltd.)で5分間処理し、または処理せず、次に 同じ培地ですばやく洗浄した。NB2/a細胞を同様に処理した(結果は示さな い)。モノクローナル(Lo、L.&Anderson、D.J.Neuron 、15、527−539(1995))及びポリクローナル(Santa Cr uz)の抗−c−r et抗体の混合物でc−RETタンパク質を溶剤抽出物から免疫沈降させ、7% SDS−PAGEで分離し、ニトロセルロースに移し、抗−c−ret抗体( Santa Cruz)で検出し、これをはがし、抗−ホスホチロシン抗体(S igma)で再検出した。 この処理は、190kDc RET癌原遺伝子のチロシンリン酸化の顕著な増 加をもたらし、170kD型は、より少なくリン酸化された(図18b)。両方 の細胞系で、おそらくこれらの細胞により分泌される内因性GDNF及び/また はリガンドに非依存的はレセプターのダイマー化により、GDNFの非存在下で も比較的多いc−RETのリン酸化が検出された(図18)。 実施例17125 I−GDNFはc−ret陽性の腸ニューロンに結合する。125 I−GDNFは、発生中のラット組織の外植片にインサイチューで結合した 。クロラミンT法によりヨウ素化したヒト125I−GDNF(PeproTec h.EC Ltd.)のインサイチューでの結合を本質的に記述されたように( Partanen及びThesleff、1987)実施した。簡潔に言えば、 ヌクレポア(Nuclepore)フィルター(Costar)上でイーグルの 最小必須培地中でE15ラット腸の外植片を10ng/mlの125I−GDNF と室温で90分間インキュベートした。外植片を制御するための競合物として2 50倍過剰の非標識GDNFを添加した。注意深く洗浄した後、これらの外植片 をPBS中3.5%のパラホルムアルデヒドで固定し、切片にし、NTB−2エ マルジョン(Kodak)にさらした。 消化管はGDNF mRNAを強く発現し(Suvanto等、19 96)(図19a及びb)、c−retを欠失したマウスの消化管にはc−RE T陽性のニューロンが存在しない(Schuchart等、1994;Durb ec等、1996)ので、これを選択した。125I−GDNFは、胚(E)15 日のラットの腸の筋肉層の中の一群の細胞に結合する(図19c及びd)。この 結合は、250倍過剰の非標識GDNFと完全に競合したので、特異的であった (図19h)。GDNFに結合するこれらの細胞は、ペリフェリン免疫反応性に より示されるように(図19f)、筋層間神経叢の腸ニューロンであった。さら に、インサイチューハイブリダイゼーションにより示されるように、これらのニ ューロンはc−ret mRNAも発現した(図19e)。 GDNF cDNAのクローニング及びGDNFプローブでのインサイチュー ハイブリダイゼーションを全く記述されたように(Suvanto等、1996 )実施した。c−retの短い方の型(Takahashi等、1998)の3 ’領域に及ぶマウスc−ret cDNA(Pachnis等、1993)の6 46bpの長さのフラグメントをpBSK+ベクター(Stratagene) のNotI−XhoI部位にクローン化した。アンチセンス及びセンスの方向の cRNAをジゴキシゲニン−UTP(Boehringer−Mannheim )で標識し、E15ラットの腸からの凍結切片にハイブリダイズさせ、製造業者 の説明書に従ってアルカリホスファターゼを結合した抗−ジゴキシゲニン抗体を 用いて視覚化した。両方の場合で、センス方向の対応するプローブのハイブリダ イゼーションで、バックグランドの標識化のみが得られた(図19g)。ポリク ローナル抗−ペリフェリン抗体(Bio−Rad)を1:100の希釈でE15 ラットの腸の凍結切片に1時間添加し、F ITCを結合した二次抗体(Jackson)で視覚化した。このように、GD NFは、発生中のラットのc−RETを発現する腸ニューロンに特異的に結合す る。 実施例18 c−RETに対するGDNFの親和性架橋 50ng/mlのGDNF(PeproTech EC Ltd.)の存在下 または非存在下で、被覆しない(NB2/a細胞)またはコーラゲンを被覆した (PC12細胞)皿で培養した(3重で、皿当たり5000−6000細胞)P C12細胞及びNB2/a細胞を、それぞれ、血清を含まないRPMI−164 0またはDMEMで3回洗浄し、48時間後に細胞数を顕微鏡で数えた。 トランスフェクトした細胞におけるc−RET発現のために、ヒト野生型c− ret cDNAの短い方の型(Takahashi等、1988)をpcDN A3(Invitrogen)にサブクローン化した。c−ret発現プラスミ ドまたは空のベクター(モック)で3T3繊維芽細胞を安定にトランスフェクト し、陽性の細胞系をG418で選択した。 pcDNA3ベクター中のヒトc−ret cDNAまたは空のベクターでの trkC 3T3繊維芽細胞(Ip等、(1993)Neuron、10、13 7−149)の一時的なトランスフェクションをリポフェクチン法(Gibco −BRI)により実施した。c−ret及びモックでトランスフェクトした細胞 (ウェル当たり10,000−15,000細胞)を5つ並行して示した濃度の ラットGDNF(Trupp等、(1995)J.Cell Biol.130 、137−148) で5日間処理した。陽性コントロールとしてNT−3を30ng/mlで用いた 。AbacusTM(商標)セル プロリファレーション キット(Cell P roliferation Kit)(Clontech)を用いた酸性ホスフ ァターゼ活性の測定により、細胞数を定量化した。 3−5x106のPC12細胞、NB2/a細胞、COS細胞またはc−re t−3T3、並びにモック−3T3細胞、または2個のF20もしくは17個の E15ラット腎臓から物理的に解離させた細胞を、クロラミンT法でヨウ素化し た10ng/mlの125I−GDNF(PeproTech EC Ltd.製 のヒトGDNFまたはC.F.IbanezからのラットGDNF)(Trup p等、1995)と氷上で1時間インキュベートした。試料を制御するために、 250倍過剰の非標識GDNF(PeproTech EC)または(M.La iho博士から提供された)TGF−β1を添加した。次に、30mMのエチル −ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDAC)(Pierce)を用い て125I−GDNFをこれらの細胞に氷上で30分間架橋させた。ポリクローナ ル抗−GDNF抗体(Santa Cruz)、またはモノクローナル(D.A nderson博士から提供された、Lo及びAnderson、1995)及 びポリクローナル(Santa Cruz)の抗−c−RET抗体でこれらの細 胞の溶剤ライセートを免疫沈降させ、神経フィラメントタンパク質に対する抗体 (I.Virtanen博士の贈与)をコントロール抗体として用いた。沈降物 をプロテインA−セファロース(Pharmacia)またはWGA−アガロー ス(O.Renkonen博士からの贈与)で集め、7% SDS−PAGE で分離し、Phosphorimager SI(MolecularDyna nLics)で視覚化した。 まず、エチル−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDAC)を用いて125 I−GDNFをPC12細胞、NB2/a細胞及びCOS細胞に架橋し、複 合体を抗−GDNF抗体で沈降させた。図20aに示されるように、190kD 及び170kDの分子量を有する複合体がPC12及びNB2/a細胞から得ら れたが、COS細胞からは得られなかった。(〜25KのGDNF単量体を引い た)架橋されたタンパク質の分子量は、c−RETのものに相当する(c−RE Tのそれぞれ部分的及び完全にグリコシル化されたアイソフォームである140 kD及び160kD)(Takahashi等、1988)。 次に、EDACにより125I−GDNFをPC12及びNB2/a細胞に架橋 し、形成された複合体を抗−c−RET抗体で免疫沈降させた。190kDの分 子量を有するバンドが両方の細胞系から得られた(図20a及びb)。これらの 複合体の形成は、500倍過剰の非標識GDNFで消失した。c−RETの完全 及び部分的にグリコシル化された型の両方が抗−GDNF抗体で沈降するが、抗 −c−RET抗体では大きい方のアイソフォームだけが沈降する理由は、はっき りしない。同じ複合体が、より弱くではあるが、ジチオビス(スクシンイミジル プロピオネート)を架橋剤として用いた場合にも得られた(データは示さない) 。 また、成長する尿管分岐の先端でc−ret mRNAが強く発現されるE1 5胚の腎臓細胞からGDNF−c−RET複合体を示すためにEDAC架橋法を 用いた。抗−GDNF及び抗−c−RET抗体の両方で、190kDのバンドが 得られ(図20a及びb)、これは過剰な非 標識GDNFと競合した。従って、胚の腎臓細胞ではc−RETの完全にグリコ シル化された型のみが発現される。 c−retを異所的に発現する細胞からも架橋された125I−GDNF−c− RET複合体が示された。3T3細胞をc−ret cDNAまたは空のプラス ミドでトランスフェクトし、安定なトランスフェクト細胞系(c−ret−3T 3細胞またはモック−3T3細胞)を樹立した。これらの細胞への125I−GD NFの架橋及びそれに続く抗−RET沈降は、190kDのバンドを示し、これ は250倍過剰の非標識GDNFで消失した(図20b)。GDNFはTGF− βファミリーの遠縁のメンバーであるので、250倍過剰のTGF−β1も競合 物として用いた。TGF−β1では競合は見られなかった(図20b)。合わせ ると、これらのデータは、GDNFがc−RETに直接的かつ特異的に結合する ことが示す。 実施例19 GDNFは、c−RETのチロシンリン酸化を特異的に増加する。 c−ret−3T3細胞及びモック−3T3細胞をGDNFで処理し、これら の細胞からのタンパク質を抗−c−RET抗体で免疫沈降させた。次に、沈降し たタンパク質を抗−ホスホチロシン抗体を用いたウェスタンブロッティングによ り分析した。1mM Na3VO4を含有する、血清を含まないダルベッコの修正 イーグル培地中で、10 x 106のc−ret−3T3細胞を異なる投与量 のGDNF(PeproTech LC Ltd.またはC.F.Ibanez から)(Trupp等、1995)で5分間、または50ng/mlのGDNF で示した時間処理し、次に同じ培地ですばやく洗浄した。モノクローナル(Lo 、L. 及びAnderson、D.J.(1995)Neuron、15527−53 9)及びポリクローナル(Santa Cruz)の抗−c−RET抗体の混合 物で1mM Na3VO4を含有する溶剤ライセートからc−RETタンパク質を 免疫沈降させ、7% SDS−PAGEで分離し、ニトロセルロースに移し、こ れを抗−ホスホチロシン抗体PY20(Transduction Labor atories)で検出し、次にこれをはがし、抗−c−RET抗体(Sant a Cruz)で再検出した。 図21aに示されるように、c−ret−3T3細胞のGDNFでの短い処理 は、160kDのc−RETアイソフォームのチロシンリン酸化を投与量に依存 して(25ng/mlで始まる)増加し、一方、140kDのアイソフォームの リン酸化は変わらないままであった。c−RETのリン酸化の増加は、25ng /ml以上のGDNFで明らかであった。モック−3T3細胞ではc−RETタ ンパク質は検出されなかった。また、c−ret−3T3細胞をGDNF(50 ng/ml)で異なる期間処理した。c−RETチロシンリン酸化の増加は、処 理の5分後で明らかであり、少なくとも1時間続いた(図21b)。長い露出で は、小さい方のc−RETアイソフォームのリン酸化の増加も明らかになった。 おそらく、レセプターのリガンド非依存的なダイマー化によるc−RETリン酸 化の基礎レベルが、GDNFの非存在下で検出された。これらの実験におけるc −RETタンパク質の量を明らかにするために、フィルターを抗体からはがし、 抗−c−RET抗体で再検出した。c−ret−3T3細胞では、c−RETタ ンパク質のレベルはGDNF処置により変化しなかった(図21a及びb、下の パネル)。GDNFが c−RETを特異的に活性化するという発見は、c−RETがGDNFのシグナ ル伝達レセプターであることを示す。 実施例20 c−RETの発現は、3T3細胞にGDNF反応性を与える。 trkCを発現するマウス3T3繊維芽細胞系(trkC−3T3)(Ip等 、1993)をc−ret発現プラスミドで一時的に形質転換した。trkC− 3T3細胞は、trkCリガンドのニューロトロフィン−3(NT−3)の非存 在下では血清を含まない培地中で2−3日以内に死に(Ip等、1993)、検 出できる量のc−retを発現しない。GDNFは、c−retをトランスフェ クトしたtrkC−3T3細胞の数を投与量に依存して増加するが、モックをト ランスフェクトしたものは増加せず(図22)、これは、NT−3により引き起 こされる反応に類似した。データからは、これが増殖反応または生存促進反応の いずれであるかを区別することはできなかった。このように、GDNFに応答し ない細胞へのc−RETの導入は、GDNFに対する生物学的反応を生じるため に十分である。 実施例21 GDNFレセプターの単離 L6筋芽細胞を1%NP40で溶菌し、細胞ライセートをQ−セファロース( Q−Sepharose)カラムで陰イオン交換により分離した。異なるイオン 強度で溶出された画分を透析し、Biacore装置(Pharmacia)の チップに固定したGDNFへの結合に関してアッセイした。L6細胞ライセート のある画分ではっきり識別できる結合成分を検出した(図23a)。この図で、 黒い棒は(280nmでの 吸光度として)全タンパク質を示し、斜線の棒は(共鳴単位の)GDNF結合を 示す。この画分は、タンパク質が特に豊富ではなく、全タンパク質混合物に対す る実質的な精製を示す。COS細胞ライセートの同等画分は、同じ条件下で結合 を示さなかった(データは示さない)。 疎水性相互作用クロマトグラフィー後に、最初のIM塩画分のGDNF結合活 性のさらなる精製が得られた(図23b)。このデータは、(共鳴単位の)GD NF結合及びタンパク質濃度(280nmのOD)間の比を表す。硫酸アンモニ ウムの段階的勾配で画分を溶出した。 また、トレーサー量の放射性標識したリガンドの存在下で細胞にGDNFを架 橋することにより精製を行ってもよく、リガンド/レセプター複合体をイオン交 換クロマトグラフィー及びそれに続く疎水性相互作用クロマトグラフィー及びS DS/PAGEにより分離することができる。GDNF−レセプター複合体の分 子量に相当するバンドを切り出し、解離させ、次に回収率により、質量分析法ま たはエドマン分解によりシークエンスした。 実施例22 脳の新規なGDNF結合タンパク質 リガンドブロッティングにより、全脳抽出物から別のGDNF結合タンパク質 を同定した。脳及び肝臓の全抽出物からのタンパク質を保有するフィルターに12 5 I−GDNFを結合させた(リガンドブロットアッセイ)。約50kDのMW を有する主要なバンドが脳抽出物から得られたが、肝臓からは得られなかった( 図24)。125I−GDNFは全ライセートからの他のタンパク質には結合せず 、肝臓ライセート(またはいくつかの他の組織)には見つからず、過剰の非標識 GDNFで競合す ることができるので、この結合は特異的である。 このリガンドブロットでは、125I−GDNFのc−RETへの結合は示され なかった。この理由は、全脳抽出物におけるc−RETの非常に低い割合の可能 性がある。また、GDNFの他のレセプターと同様に、GDNFはc−RETに 直接結合しないかもしれず、まず別の非シグナル伝達レセプターに結合し、それ がその後シグナル伝達レセプターであるc−RETへリガントを提示するのかも しれない。50kDのGDNF結合タンパク質は、推定される提示レセプターの 申し分のない候補である。 実施例23 GDNFの新規なシグナル伝達レセプターを単離するためのプロトコル 細胞表面に適当なレセプターが発現されている場合、血清の非存在下で、3T 3繊維芽細胞を定められた外因性成長因子に依存的にすることができる。RN3 3B cDNAを用いて発現ライブラリーを作ることができ、これを次に、当該 技術分野でよく知られている方法(Maniatis等、上記)により3T3繊 維芽細胞にトランスフェクトすることができる。GDNFを補足した血清を含ま ない培地中で安定なトランスフェクタントを選択することができる。シグナル伝 達GDNFレセプターを発現する繊維芽細胞クローンを血清をふくまない培地中 でGDNFの存在下で選択的に増殖させることができる。この選択工程は、他と 異なった増殖優位性のために非常に稀なクローンでさえ検出できる可能性がある 。GDNFを含むまたは含まない培地中で回収されたクローンをさらに分析する ことは、クローンのGDNFに依存的な生存をGDNFに非依存的なものと区別 することに役立つ。 本明細書に引用された全ての参考文献は、そのまま引用することにより本明細 書に組み込まれる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1998年1月22日(1998.1.22) 【補正内容】 GDNFは、ニューロンの異なる亜集団、特にドーパミン作動性及びノルアドレ ナリン作動性中枢ニューロン、並びに脊髄及び顔の運動ニューロンの生存及び表 現型を促進することが示されている。様々なモノアミン作動性ニューロンにおけ るGDNFの活性を考慮すると、骨髄縫合由来の細胞系におけるGDNFレセプ ターの発見は、セロトニン作動性ニューロンもィンビボでGDNFに反応する可 能性があることを示す。これらの細胞によるGDNFの内因的発現は、この因子 が縫合神経核内でパラクリン/オートクリン様式で作用する可能性があることを 示唆する。セルトリTM4細胞におけるGDNFレセプターの発現は、発生中の 精巣におけるGDNFの非神経的役割を示唆する。インビボで、精巣におけるG DNF mRNAの一時的な発現はセルトリ細胞集団の増大と相関関係があり( Trupp等、上記)、これは、TM4細胞系におけるGDNFレセプターの発 見と共に、セルトリ細胞の成熟中のGDNFのオートクリン作用を示唆する。同 様に、ラット筋芽細胞L6細胞におけるGDNFレセプターの存在は、インビボ で発生中の筋肉における発現と共に(Henderson等、上記;Trupp 等、上記)、筋肉形成中のGDNFのパラクリンの役割の可能性を示す。胚の交 感ニューロンにおけるGDNFのレセプター及び生物学的活性の存在にもかかわ らず、NGFで交感様ニューロンに分化させたPC12細胞は、最初の実験条件 下でGDNFレセプターを発現しなかった。しかしながら、以下に説明するよう に、最終的にPC細胞上にGDNFレセプターを同定した。 GDNFレセプターは、脳橋ノルアドレナリン作動性細胞系CATH.a.に は存在しない。成体の青班からの中枢ノルアドレナリン作動性ニュ ーロンに対するGDNFの強力な作用を考慮すると、CATH.a.のGDNF レセプターの欠如は興味深い。しかしながら、最近、Gong等は、GDNFが 6−OH−ドーパミン処理により誘導されるCATH.a.細胞の変性を防ぐこ とを報告しており(Gong等、21 AbsSoc.Neurosci.、 1789、1995)、これは、6−OH−ドーパミン損傷後にこれらの細胞で GDNFレセプターが誘導される可能性があることを示唆している。実際、イン ビボでの研究は、GDNFが、損傷を受けていない青班でよりも6−OH−ドー パミン注入後に、ノルアドレナリン作動性ニューロンの表現型の強い誘導を引き 起こすことを示している。さらに、Treanor等は、最近、中前脳束処理後 の黒質の切片におけるGDNF結合のアップレギュレーションを報告しており( Treanor等、21 Abs.Soc.Neurosci.1301、19 95)、これは、レセプターのアップレギュレーションが中枢神経系におけるG DNF応答の制御の一般的な機構である可能性を示唆している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/15 G01N 33/15 Z 33/566 33/566 // C12P 21/02 C12P 21/02 C 21/08 21/08 (C12P 21/02 C12R 1:91) (31)優先権主張番号 60/020,638 (32)優先日 平成8年6月27日(1996.6.27) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/020,639 (32)優先日 平成8年6月27日(1996.6.27) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/021,965 (32)優先日 平成8年6月27日(1996.6.27) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 イバネズ,カルロス スウエーデン・エス−ストツクホルム (72)発明者 アルマエ,ウルマス フインランド・エフアイエヌ−ヘルシンキ (72)発明者 サリオラ,ハンヌ フインランド・エフアイエヌ−ヘルシンキ (72)発明者 スバント,ペトロ フインランド・エフアイエヌ−ヘルシンキ (72)発明者 トルツプ,ミレス スウエーデン・エス−ストツクホルム (72)発明者 サールマ,マルト フインランド・エフアイエヌ−ヘルシンキ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.神経膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)に結合する単離されたレセプ ターであって、4−20%の濃度勾配ゲルでのSDS−PAGEにより測定され る約55kD、70kD、135kD及び300kDの分子量のポリペプチドか らなる群から選択される分子量を有する少なくとも1つのポリペプチドを含んで なレセプター。 2.GDNFレセプターに結合する化合物を同定するための競合アッセイであ って、 a)過剰の標識したGDNFの存在下でc−RETレセプターを発現する 細胞と該化合物をインキュベートし、 b)該細胞に結合した標識したGDNFの量を測定し、そして、 c)該細胞に結合した標識したGDNFの量を該化合物とインキュベート しなかったコントロールのものと比較する、 ことを含んでなるアッセイ。 3.細胞が、NB2/a、MN−1及びPC12細胞からなる群から選択され る、請求の範囲2の方法。 4.標識したGDNFが125I−GDNFである、請求の範囲2の方法。 5.単離されたGDNFレセプターに結合する化合物を同定するための競合ア ッセイであって、 a)過剰の標識したGDNFの存在下で該化合物を単離されたc−RET レセプターとインキュベートし、 b)該レセプターに結合した標識したGDNFの量を測定し、そして、 c)該レセプターに結合した標識したGDNFの量を該化合物とインキュ ベートしなかったコントロールのものと比較する、 ことを含んでなるアッセイ。 6.レセプターが、約55kD、70kD、135kD、155kD及び30 0kDの分子量のポリペプチドからなる群から選択されるGDNFに結合するポ リペプチドである、請求の範囲5の方法。 7.ポリペプチドが約155kDの分子量である、請求の範囲6の方法。 8.単離されたレセプターがc−RETである、請求の範囲5の方法。 9.標識したGDNFが125I−GDNFである、請求の範囲5の方法。 10.GDNF相同体である化合物を同定するための方法であって、 a)c−RETレセプターを発現する細胞と該化合物をインキュベートし 、そして、 b)該化合物がチロシンリン酸化をもたらすかどうかを測定する、ことを 含んでなる方法。 11.該細胞が、PC12、MN−1及びNB2/aからなる群から選択され る、請求の範囲10の方法。 12.GDNF相同体である化合物を同定するための方法であって、 a)c−RETレセプターを発現する細胞と該化合物をインキュベートし 、そして、 b)該化合物がc−fos mRNAレベルの増加をもたらすかどうかを 測定する、 ことを含んでなる方法。 13.該細胞が、PC12、MN−1及びNB2/aからなる群から選択され る、請求の範囲12の方法。 14.GDNF相同体である化合物を同定するための方法であって、 a)c−RETレセプターを発現する細胞と該化合物を該細胞の非許容条 件下でインキュベートし、そして、 b)該化合物とインキュベートしなかったコントロールと比較した生存細 胞数を測定する、 ことを含んでなる方法。 15.該細胞が、PC12、MN−1及びNB2/aからなる群から選択され る、請求の範囲14の方法。 16.GDNF類似体である化合物を同定するための方法であって、 a)チロシンをリン酸化するために有効なGDNFの濃度の存在下で、c −RETレセプターを発現する細胞と該化合物をインキュベートし、そして、 b)該化合物とインキュベートしなかったコントロールと比較して、該化 合物がチロシンリン酸化の減少をもたらすかどうかを測定する、ことを含んでな る方法。 17.該細胞が、PC12、MN−1及びNB2/aからなる群から選択され る、請求の範囲16の方法。 18.GDNF類似体である化合物を同定するための方法であって、 a)c−fosm RNAレベルを増加するために有効なGDNFの濃度 の存在下で、c−RETレセプターを発現する細胞と該化合物をインキュベート し、そして、 b)該化合物とインキュベートしなかったコントロールと比較し て、該化合物がc−fos mRNAレベルの減少をもたらすかどうかを測定す る、 ことを含んでなる方法。 19.該細胞が、PC12、MN−1及びNB2/aからなる群から選択され る、請求の範囲18の方法。 20.GDNF類似体である化合物を同定するための方法であって、 a)細胞の生存のために有効なGDNFの量の存在下で、c−RETレセ プターを発現する細胞と該化合物を該細胞の非許容条件下でインキュベートし、 そして、 b)該化合物とインキュベートしなかったコントロールと比較した生存細 胞数を測定する、 ことを含んでなる方法。 21.該細胞が、PC12、MN−1及びNB2/aからなる群から選択され る、請求の範囲20の方法。
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