JP2000358345A - 回転子の冷却構造を備える電動機 - Google Patents

回転子の冷却構造を備える電動機

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JP2000358345A
JP2000358345A JP11166252A JP16625299A JP2000358345A JP 2000358345 A JP2000358345 A JP 2000358345A JP 11166252 A JP11166252 A JP 11166252A JP 16625299 A JP16625299 A JP 16625299A JP 2000358345 A JP2000358345 A JP 2000358345A
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refrigerant
rotor
electric motor
discharge
path
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Eiji Yamada
英治 山田
Yasumi Kawabata
康己 川端
Shigetaka Nagamatsu
茂隆 永松
Yoshinori Yamada
良則 山田
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動機の回転子を効率的に冷却する。 【解決手段】 インナロータとアウタロータとを備える
対ロータ電動機において、アウタロータ50の外周部に
油路57を設ける。冷却油はケースに固定された供給部
12からアウタロータの回転面に吐出して供給する。冷
却油は遠心力の作用によって油受部61に流れ、供給口
63から内部に流れ込む。冷却油は油路57を通過した
後、排出口73から外部に排出される。かかる冷却構造
において、供給部12は回転方向に沿った速度成分を与
える方向に冷却油を吐出する。また、排出部は油路57
よりも回転中心に近い位置に設け、冷却油の回転速度を
低減させてから排出する。こうすることにより、供給時
の摩擦力による回転抵抗の低減、冷却油とともに廃棄さ
れる運動エネルギの抑制を図ることができ、運転効率の
低下を抑制しつつ冷却を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動機の回転子の
冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、回転軸を回転させて動力を出力す
る目的で種々の電動機が使用されている。電動機には、
例えば、外周面に永久磁石を貼付したロータと、コイル
を巻回したステータからなり、コイルに電流を流すこと
によりステータに生じる磁界と永久磁石による磁界との
相互作用によって回転軸を回転させるものがある。ま
た、相対的に回転可能な2つのロータを備える対ロータ
電動機もある。永久磁石を貼付する代わりにコイルを巻
回したロータを備える電動機もある。
【0003】電動機を運転する際には、コイルに電流を
流すためコイルが発熱する。また、ロータやステータ自
身も、その内部を貫通する磁束の影響により発熱する。
同様に、例えばロータに貼付された永久磁石自身も発熱
する。これらの発熱は、電動機の内部を貫通する磁束に
影響を与え、運転効率を低下させる。運転効率を維持す
るためには、電動機を冷却する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、回転子が回転
する電動機においては、冷却用の油、つまり冷媒を発熱
部位に供給するための通路(以下、冷媒路という)をい
かに確保するかが問題となる。電動機の運転効率を向上
するために、十分な冷却を行おうとすれば、十分な冷媒
路を確保する必要が生じ、通常の構造では電動機自体の
大型化という別の問題を招くことになる。特に、対ロー
タ電動機などでは、インナロータおよびアウタロータの
双方が回転可能であるため、冷媒路を確保することがま
すます困難となる。
【0005】回転子の冷却に際しては、電動機の効率の
低下を抑制することが望ましい。冷媒による冷却では、
回転子と冷媒との間で生じる摩擦によって回転子の回転
が妨げられる場合がある。かかる回転抵抗は、電動機の
効率低下につながる。
【0006】本発明は、上記種々の課題を解決するため
になされたものであり、電動機の運転効率の低下を抑制
しつつ、回転子を冷却する冷却構造を備える電動機を提
供することを目的とする。また、かかる冷却構造を備え
つつ、小型化を図った電動機を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では
以下の構成を採用した。本発明の第1の電動機は、少な
くとも一の回転子を回転させる電動機であって、前記回
転子と共に回転しつつ、熱交換可能に冷媒を通過させる
冷媒路と、非回転部に形成され、該冷媒路に冷媒を供給
する供給部と、該冷媒路から冷媒を排出する排出部とを
備え、前記供給部は、前記冷媒路中の冷媒が有する運動
エネルギから、供給後に該冷媒路に至るまでの期間に冷
媒が有する運動エネルギの極小値を引いた差分を、前記
電動機の運転効率に基づいて定まる所定値以下に抑える
態様で前記冷媒を供給する構造であることを要旨とす
る。
【0008】かかる電動機では冷媒路に冷媒を供給する
ことにより、回転子を冷却することができる。冷媒とし
ては、例えばいわゆる機械油等、絶縁性のある種々の流
体を用いることができる。冷媒路を通過中には冷媒の粘
性は回転子の回転を妨げる作用を奏しないから、回転子
全体を冷媒に浸すようにして冷却を行う方式に比較し、
冷却時の運転効率の低下を抑制することができる。ここ
で、冷媒路は回転子とともに回転しているから、冷媒は
非回転部から回転部への供給となる。供給方法として
は、例えば、回転する冷媒路の入り口近傍に供給部から
冷媒を吐出し、回転子の遠心力を利用して冷媒を冷媒路
に送り込む方法を採ることができる。
【0009】ここで、冷媒路に供給された冷媒は、回転
子とともに回転するため、所定の運動エネルギを有す
る。この運動エネルギは、回転子と冷媒との間に作用す
る摩擦力を介して回転子から冷媒に与えられる。回転子
から冷媒に与えられる運動エネルギが増大すれば、回転
子の回転が妨げられ、電動機の運転効率が低下すること
になる。
【0010】回転子に供給される冷媒は、供給時に所定
の運動エネルギを有する。この運動エネルギは、供給態
様に応じた種々の変化を経て前記冷媒路に至る。例え
ば、冷媒を回転子の回転に沿った方向に供給した場合を
考える。供給時の冷媒の運動エネルギは最終的に冷媒路
で有する運動エネルギよりも低いものとする。かかる場
合には、冷媒の運動エネルギは上述した摩擦力の作用に
より単調増加して冷媒路での運動エネルギに至る。従っ
て、供給時から冷媒路に至るまでに冷媒が有する極小の
運動エネルギは供給時の運動エネルギとなる。
【0011】一方、回転子の回転とは逆方向に冷媒を供
給した場合を考える。供給時の冷媒の運動エネルギは最
終的に冷媒路で有する運動エネルギよりも低いものとす
る。この場合、冷媒の速度は回転子との摩擦力によって
一旦低下する。供給当初に冷媒が有していた運動エネル
ギは、この際に発生する熱として失われる。かかる場合
には、冷媒の運動エネルギは一旦極小となった後、回転
子から運動エネルギの供給を受けて単調増加して冷媒路
での運動エネルギに至る。
【0012】上述した通り、冷媒の供給態様によって供
給後に冷媒が有する運動エネルギの変化の様子が変動す
る。いずれの態様においても、冷媒路中の冷媒が有する
運動エネルギから、上述した極小の運動エネルギを引い
た差分のエネルギは回転子から冷媒に与えられる。従っ
て、この差分が大きくなれば、電動機の運転効率の低下
が激しくなる。第1の電動機は、かかる差分を所定値以
下に抑制する態様で冷媒を供給するよう供給部を構成す
るため、冷却時における電動機の運転効率の低下を抑制
することができる。
【0013】上記差分を抑制する供給部は種々の構成が
適用可能である。例えば、差分を抑制できる速度で冷媒
を供給するものとしてもよい。また、供給方向によって
冷媒の運動エネルギが変化する態様が相違するため、運
動エネルギの極小値を所定以上に保つ部位および方向で
冷媒を供給するものとしてもよい。さらに、供給時より
も冷媒の運動エネルギが低下する期間が存在すれば、そ
の低下量に応じて上記差分が大きくなるのは明らかであ
るから、かかる低下を抑制する態様で冷媒を供給するこ
とも好適である。
【0014】本発明の第2の電動機は、少なくとも一の
回転子を回転させる電動機であって、前記回転子と共に
回転しつつ、熱交換可能に冷媒を通過させる冷媒路と、
非回転部に形成され、該冷媒路に冷媒を供給する供給部
と、該冷媒路から冷媒を排出する排出部とを備え、前記
供給部は、供給された冷媒が前記回転子に接触する際の
冷媒と回転子との相対速度を、前記電動機の運転効率に
基づいて定まる所定値以下に抑える態様で前記冷媒を供
給する構造であることを要旨とする。
【0015】本発明の第1の電動機と第2の電動機と
は、冷却が困難な回転子の冷却を実現しつつ、冷却時の
運転効率の低下を抑制するという課題を解決する点で共
通する。また、運転効率の低下を抑制する第1の手段と
して、回転子と共に回転する冷媒路を採用する点で、構
成の主要部も同一である。但し、第1の電動機が冷媒の
運動エネルギの変化に着目して運転効率の低下の抑制を
図ったのに対し、第2の電動機は以下に示す通り、回転
子と冷媒との間に作用する摩擦力の低下に着目して運転
効率の低下の抑制を図っている点で相違する。
【0016】供給された冷媒が回転子に接触する際に、
冷媒と回転子との間に速度差があると、冷媒の粘性に起
因する摩擦力が回転子に作用する。この摩擦力は回転子
の回転を妨げ、運転効率を低下させる原因となる。本発
明の電動機では、上述の通り、冷媒と回転子の相対速度
を抑制することができる。従って、冷媒が回転子に及ぼ
す摩擦力を低減することができ、運転効率の低下を抑制
することができる。
【0017】冷媒と回転子との相対速度を低下させるに
は、種々の方法を採ることができる。例えば、冷媒を供
給する際の速度を変化させるものとしてもよいし、回転
子の速度が低い部分、即ち回転中心付近に冷媒を供給す
る方法を採るものとしてもよい。回転子の回転軸を中空
にし、該回転軸内に冷媒の供給路を設けるものとしても
よい。
【0018】また、前記供給部は、冷媒に前記回転子の
接線方向の速度成分を与える方向に前記冷媒を供給する
構造であるものとすることもできる。
【0019】回転子に対して冷媒を吐出して冷媒路に供
給する場合には、上述の通り、回転子の接線方向の速度
成分を与える方向に冷媒の吐出方向を設定することによ
り、冷媒と回転子との相対速度を低減することができ
る。速度成分の方向は、回転子が主として回転する方向
に合わせればよい。もちろん、回転子が正負双方向に回
転し得る場合には、回転方向に応じて吐出方向を切り替
えるものとしてもよい。なお、かかる場合には、必ずし
も回転子の回転方向の速度と、冷媒の該方向の速度とが
一致している必要はなく、両者に速度差があっても構わ
ない。許容される速度差は、電動機の目標とする運転効
率に応じて決定される。
【0020】本発明の第3の電動機は、少なくとも一の
回転子を回転させる電動機であって、前記回転子と共に
回転しつつ、熱交換可能に冷媒を通過させる冷媒路と、
非回転部に形成され、該冷媒路に冷媒を供給する供給部
と、該冷媒路から冷媒を排出する排出部とを備え、前記
排出部は、排出前に冷媒の有する運動エネルギから排出
後に冷媒の有する運動エネルギを引いた差分が、前記電
動機の運転効率に基づいて定まる所定値以上となる態様
で前記冷媒を排出する構造であることを要旨とする。
【0021】本発明の第1の電動機ないし第3の電動機
は、冷却が困難な回転子の冷却を実現しつつ、冷却時の
運転効率の低下を抑制するという課題を解決する点で共
通する。また、運転効率の低下を抑制する第1の手段と
して、回転子と共に回転する冷媒路を採用する点で、構
成の主要部も同一である。但し、第1の電動機および第
2の電動機が供給部の構造によって、回転子を冷却する
際の運転効率の低下の抑制を図ったのに対し、第3の電
動機は排出部の構造によって運転効率の低下を図る点で
相違する。
【0022】回転子とともに回転する冷媒路を通過した
冷媒は、回転子と同じ角速度の回転エネルギを有してい
る。冷却後の冷媒をそのまま排出した場合、冷媒の持つ
運動エネルギは、回転子の回転に利用されることなく廃
棄されることになる。第2の電動機は、排出前後に冷媒
の有する運動エネルギの差分が所定値以上になる構造を
排出部に有する。即ち、排出直前に冷媒が有する運動エ
ネルギの一部を回転子に残した状態で、冷媒を排出する
構成を採用する。従って、廃棄される運動エネルギを抑
制するとともに、冷媒の有する運動エネルギを回転子の
回転に有効に活用することにより、冷却時の運転効率の
低下を抑制することができる。
【0023】上述の作用を奏するために排出部は、種々
の構成を採ることができる。例えば、前記排出部は、排
出される冷媒の該排出部に対する相対速度が、前記回転
子の接線方向の速度成分と逆方向となる方向に冷媒を排
出する構造であるものとすることができる。
【0024】かかる構成の排出部によれば、冷媒を排出
する際の反作用が、回転子の回転を促進する方向に作用
する。また、回転子とは逆方向の相対速度で冷媒を排出
するため、冷媒の絶対速度は冷媒路を通過している時
点、即ち回転子と同じ角速度で回転している時点よりも
低くなる。換言すれば、排出後の冷媒の有する運動エネ
ルギは排出前の運動エネルギよりも低くなる。この運動
エネルギの差分が上記反作用により回転を促進するエネ
ルギに該当する。
【0025】また、前記排出部は、前記回転子の接線方
向の速度成分が前記冷媒路の該方向の速度成分よりも所
定以上低い部位に設けられているものとすることもでき
る。冷媒路よりも回転子の接線方向の速度成分が低い部
位とは、回転軸からの距離が冷媒路よりも近い部位と同
義である。
【0026】回転方向の速度が冷媒路よりも低い部位か
ら冷媒を排出すれば、冷媒路を通過している時点の速度
よりも排出時の速度は低くなる。換言すれば、冷媒を排
出した後の運動エネルギは、冷媒路を通過している時点
の運動エネルギよりも低くなる。従って、この差分の運
動エネルギが回転子に与えられることになり、冷却時に
おける運転効率の低下を抑制することができる。
【0027】ここで、冷媒路よりも回転方向の速度が低
い部位に排出部を設ける場合には、前記排出部は、さら
に冷媒の回転エネルギを前記回転子の回転エネルギに置
換する置換機構を備えるものとすることが望ましい。こ
うすれば、冷媒の運動エネルギを回転子の回転により有
効に活用することができ、運転効率の低下を抑制するこ
とができる。
【0028】かかる置換機構も種々の構成を採用するこ
とができ、例えば、前記置換機構は、前記排出部内にお
いて前記回転子に固定され、前記冷媒に接線方向の力を
作用させる突部であるものとすることができる。具体的
には径方向に設けられたフィン、冷媒路壁、および突起
などを適用することができる。
【0029】かかる構成では、排出部は冷媒路よりも回
転方向の速度成分が低い部位に設けられている。冷媒
は、排出部を移行するに連れて回転方向の速度成分が低
下する。上記構成によれば、径方向に備えられた突部が
速度成分を低下させる作用を奏する。逆に冷媒から突部
には、反作用による力が回転方向に働く。かかる力は回
転子の回転を促進させる。従って、上記突部によれば、
冷媒の運動エネルギを効率的に回転子の回転エネルギに
置換することができる。なお、置換機構は、かかる構成
に限定されるものではない。例えば、冷媒路から排出部
に至る流路を粘性による摩擦力が作用しやすい粗面で構
成するものとしてもよい。かかる場合にも冷媒から回転
子に効率的に力を作用させることができる。
【0030】本発明の第1の電動機ないし第3の電動機
において、冷媒路は種々の態様で構成することができる
が、前記回転子は、回転子コアと、該回転子コアの外周
を覆いつつ該回転子コアの外周面との間に少なくとも一
カ所の空隙を有する状態で、該回転子コアと相対的に回
転不能に接合されたカバーとを備え、前記冷媒路は、前
記空隙により構成されるものとすることが望ましい。
【0031】かかる電動機は、回転子コアとカバーが、
両者の間に、少なくとも一カ所の空隙を有する状態で接
合されている。回転子コアとカバーとの空隙を冷媒路と
して利用することにより、カバー自体に冷媒路を設ける
等の必要がないため、回転子コアの径を小さくすること
ができ、ひいては電動機自体の小型化を図ることができ
る。さらに、上記電動機によれば回転子コアと冷媒との
接触面積を増加させることができるため、冷却効率も向
上させることができる。
【0032】なお、上記発明によれば電動機の製造上の
利点も存在する。回転子コアとカバーは元来、別の部品
である。例えば、回転子コアまたはカバー自体に冷媒路
を設ける場合には、当該部品に冷媒路を形成する工程が
必要となるのに対し、上記電動機では、両者を接合する
工程に併せて冷媒路を形成することができるため電動機
の製造工程を短縮することもできる。
【0033】ここで「回転子コア」なる用語について定
義する。回転子は、例えば回転子コイルと該コイルが巻
回される回転子鉄心およびこれらを覆うカバー等から構
成される。上記発明における回転子コアとは本明細書に
おいて、かかる構成を有する回転子のうち、カバーを除
いた部分を意味するものと定義する。従って、回転子コ
イルが巻回された回転子鉄心の外周面に絶縁性の塗装が
されている場合や、前記冷媒が漏れるのを防止するため
のシール加工が施してある場合等はこれらの部分も含め
たものが回転子コアに相当する。なお、本明細書におい
て、回転子鉄心なる用語を用いることがあるが、電動機
についての一般的用語として用いるものであり、鉄で製
造されたものに限定することは意味しない。
【0034】また、本発明は第1の電動機ないし第3の
電動機ともに、回転子を有するものであれば、種々の型
式の電動機に適用することができる。即ち、上記電動機
は、直流電動機か交流電動機かの区別は問わず、また、
ロータとステータとからなる電動機の他、いわゆる対ロ
ータ型の電動機であっても構わない。これら種々の型式
の中で、本発明は前記回転子が、該回転子の回転軸から
径方向に所定の距離離れた位置で回転するアウタロータ
である場合に特に有効である。一般にアウタロータは回
転子が回転中心から離れた位置で回転するため、冷却が
困難であり、特に電動機の運転効率の低下を抑制しつつ
冷却することは非常に困難である。本発明を適用すれ
ば、運転効率の低下を抑制して冷却を行うことができ
る。従って、本発明は、アウタロータ型式の電動機に特
に有効性が高い。
【0035】
【発明の実施の形態】(1)装置構成:本発明の実施の
形態について、実施例に基づいて以下に説明する。図1
は本発明のモータを用いたモータ駆動装置の概略構成を
示す説明図である。ここでは、モータ10は三相交流で
回転する交流モータとして構成した。モータ電流モータ
駆動装置は、大きくは制御ユニット100、インバータ
110、バッテリ105から構成される。制御ユニット
100は、内部にCPU、RAM、ROM等を備えるマ
イクロコンピュータである。インバータ110は、トラ
ンジスタインバータであり、U,V,Wの各相ごとに主
電源のソース側およびシンク側に2つのトランジスタが
一組にして接続された回路構成をしている。インバータ
110はバッテリ105と接続されており、各トランジ
スタをスイッチングすることによって、制御ユニット1
00からの指示に応じた電流をバッテリ105からモー
タ10に流す機能を果たす。モータ10のコイルに流れ
る電流の制御を可能とするために、三相コイルにはU相
電流Iu、V相電流Ivを検出する電流センサ102、
103が設けられている。なお、U,V,W相の電流の
総和は常に値0に保たれているため、W相の電流につい
ては検出しなくても、U,V相の電流値から算出可能で
ある。
【0036】次に、モータ10の概略構成を説明する。
図2はモータ10の回転軸に沿った平面における断面図
である。図3はモータ10の回転軸に直交する平面にお
ける断面図である。モータ10は相対的に回転可能な2
つのロータを備える対ロータ電動機として構成されてい
る。モータ10は、大きくはケース11、インナロータ
20、アウタロータ50から構成される。
【0037】アウタロータは、図3に示す通り、計12
個のティース52を備える断面形状をなしている。ティ
ース52間のスロット54には、U,V,W相に対応し
たコイル53が巻回されている。一方、インナロータ2
0は、図3に示す通り、4つの突極35〜38を備える
断面形状をなしている。また、突極の間には、4つの永
久磁石31〜34が貼付されている。永久磁石は、隣接
する磁石の極性が相違するように貼付されている。即
ち、図3に示す通り、永久磁石31、33は外周側がN
極となり、永久磁石32,34は外周側がS極になるよ
う貼付されている。
【0038】インナロータ20およびアウタロータ50
は、それぞれ軸受16〜19を介してケース11に組み
付けられている。アウタロータ50のコイル53には、
スリップリング15を介して電流が流れる。コイル53
に通電することにより生じる磁界と、永久磁石31〜3
4によって生じる磁界との相互作用により、モータ10
はインナロータ20、アウタロータ50を相対的に回転
させる。
【0039】制御ユニット100は、インバータ110
のスイッチングを制御することによってモータ10の運
転を制御する。制御ユニット100は外部からのトルク
指令値および電流センサ102,103で検出された電
流値に応じて、U,V,Wの各相に流すべき電圧を設定
する。いわゆるPWM制御によって設定された電圧が印
加されるよう、電圧制御信号Vu,Vv,Vwをインバ
ータ110に出力する。なお、電圧はインナロータ20
とアウタロータ50との電気的な位置関係、即ち電気角
に応じて印加する必要がある。図1に示したモータ駆動
装置では、電流センサ102,103で検出された電流
値に基づいて電気角を算出するものとした。これに対
し、電気角を検出するためのセンサを別途備えるものと
してもよい。
【0040】こうして設定された制御信号に応じてイン
バータ110の各トランジスタがスイッチングされる
と、バッテリ105からモータ10のコイル53に三相
交流が流れ、アウタロータ50は回転磁界を生じる。こ
うして生じた回転磁界と、インナロータ20の永久磁石
31〜34により形成された磁界との相互作用によって
モータ10が回転する。本実施例のモータ10は、以上
で説明した装置構成により、種々の装置の駆動に適用す
ることができる。
【0041】コイル53に電流を流すため、アウタロー
タ50は発熱する。モータ10はアウタロータ50を冷
却するための機構を備えている。本実施例では、アウタ
ロータ50に冷却用の油(以下、冷却油という)を供給
することにより、冷却を行う。ケース11には、冷却油
を供給するための供給部12が備えられている。供給さ
れた冷却油は、アウタロータ50に備えられた油路57
を通過することにより、アウタロータ50を冷却する。
冷却後の冷却油はケース11に設けられた排油口13か
ら排出され、オイルパン14に蓄えられる。オイルパン
14の冷却油は再び供給部12から供給されるが、この
部分の構成については図示を省略した。
【0042】アウタロータ50の詳細な構成および油路
57の形成について説明する。図4はアウタロータ50
の断面図である。図3と同じ断面を示すものであるが、
構成を更に詳細に示した。アウタロータ50は、無方向
性電磁鋼板の薄板を打ち抜いて形成された板状部材を回
転軸51a,51b方向(図2参照)に積層して形成さ
れている。板状部材は、内周部にティース52を備え、
外周部はティース52の位置および各ティース52の中
間において凹状になっている断面形状を有している。
【0043】上述の板状部材の表面には、絶縁相および
接着相が形成されている。板状部材は、複数積層された
後、加熱され、接着層を溶融して固定される。この状態
をアウタロータコアと呼ぶものとする。こうして形成さ
れたアウタロータコアを、その外周を隙間無く覆うこと
ができるアウタロータケース55に挿入する。アウタロ
ータケース55は、上記アウタロータコアの最大径と等
しい内径を有する筒を鉄の薄板等で形成した後、いわゆ
るグローブ転造により径方向に凹凸を付けることで成形
される。本実施例では、厚さ2ミリ程度の鉄の薄板を使
用した。
【0044】なお、アウタロータケース55を形成した
後、アウタロータコアを挿入するものとしてもよいし、
形成前の筒状のケースにアウタロータコアを挿入した
後、アウタロータケース55を図4に示した断面形状に
変形させるものとしてもよい。こうすれば、アウタロー
タコアとアウタロータケース55との一体性をより強固
にすることができる。かかる加工法としては例えば、爆
発成形等が挙げられる。
【0045】こうしてアウタロータコアとアウタロータ
ケース55とを組み付けた後、各ティース52にコイル
53を巻回する。コイルの巻回方法は、周知であるため
省略する。アウタロータケース55に挿入されコイルが
巻回されたアウタロータは、さらに円筒状のアウタロー
タカバー56に挿入される。アウタロータカバー56と
アウタロータケース55とは、両者の接面で溶接されて
固定される。もちろん、アウタロータカバー56とアウ
タロータケース55を溶接した後、アウタロータコアを
挿入するものとしてもよい。このように構成されたアウ
タロータ50では、アウタロータケース55とアウタロ
ータカバー56との間に空隙が形成される。この空隙が
油路57となる。
【0046】図5は回転軸を含む断面における油路を示
す説明図である。ここでは、一点鎖線で示した回転中心
に対し、上半分の構成のみを示した。上述の工程で形成
されたアウタロータは、さらに回転軸51aを備えるフ
タ60と、回転軸51bを備えるフタ70とを、両側か
ら被せられ、全体をボルトで締結して固定される。な
お、図5では、ボルトの図示を省略した。
【0047】フタ60、70には、それぞれ油路の一部
が形成されている。フタ60には外部から冷却油を供給
するための供給口63が形成されている。図6はフタ6
0側からアウタロータ50を見た状態を示す説明図であ
る。図示する通り、供給口63は円周上に等間隔で12
箇所設けられている。供給口63の外部には、輪管状の
油受部61が備えられている。各供給口63からは、油
路57まで冷却油を導く供給路62が形成されている。
【0048】図5に示す通り、ケース11からは、供給
部12を通じて冷却油が供給される。冷却油は供給部1
2から油受部61の回転軸側に吐出される。この際、冷
却油はフタ60に直角に吐出されるのではなく、図6に
示す通り、アウタロータ50の回転方向に沿った速度成
分Vtを有する方向に吐出される。供給部12はかかる
方向に吐出できるよう、先端をVt方向に曲げて形成さ
れている。
【0049】供給部12から吐出された冷却油は、アウ
タロータ50の遠心力によって、外周方向に流され、図
5に示す通り、油受部61の内周側にたまる。油受部6
1にたまった冷却油は徐々に供給口63から供給路62
に入る。供給路62では、遠心力の作用により、冷却油
は外周に位置する油路57に運ばれる。このように供給
部12から供給された冷却油は遠心力の作用により、油
路57に運ばれ、また油路57内を図5に示す方向に通
過する。
【0050】一方、フタ70には油路57を通過してき
た冷却油をアウタロータ50の外部に排出するための排
出機構が設けてある。図示する通り、フタ70には、冷
却油を外部に排出するための排出口73が設けられてい
る。図7はフタ70側からアウタロータ50を見た状態
を示す説明図である。図示する通り、排出口73は円周
上に等間隔で12箇所設けられている。排出口73の外
部には、輪管状の油受部71が備えられている。フタ7
0の内部には、油路57から各排出口73に冷却油を導
く排出路72が形成されている。
【0051】アウタロータ50が回転しているとき、排
出路72内部の冷却油には遠心力が作用する。遠心力は
冷却油の排出を妨げる方向に働く。しかしながら、アウ
タロータ50は、冷却油の供給路62の方が、排出路7
2よりも体積が大きくなるように形成されている。ま
た、供給路62の方が排出路72よりも外周側に位置す
るように形成されている。この結果、供給路62内の冷
却油に働く遠心力の方が排出路72内の冷却油に働く遠
心力よりも大きくなる。従って、油路57には、フタ6
0側が高くフタ70側が低い圧力勾配が生じる。冷却油
は排出路72内で受ける遠心力に抗じ得る圧力で排出口
73に運搬され、排出口73から排出される。なお、フ
タ70に設けられた油受部71は、排出口73から排出
された冷却油が遠心力によって激しく飛散するのを緩和
するために設けられたものであり、冷却油を排出するた
めに必須の構造ではない。
【0052】フタ70に形成された排出機構の作用につ
いて更に説明する。油路57はアウタロータ50の回転
とともに回転する空隙である。従って、油路57を通過
する冷却油はアウタロータ50の回転に伴って回転して
いることになり、回転の運動エネルギを有していること
になる。冷却油の単位質力当たりの運動エネルギE1
は、油路57の接線方向の速度をV1(図7参照)、ア
ウタロータ50の回転の角速度をω、回転中心から油路
57までの半径をr1とすれば、次式(1)で与えられ
る。 E1 = 0.5 × V12 = 0.5 × (r1×ω)2 … (1)
【0053】一方、排出口73は油路57よりも回転中
心に近い位置にある。排出口73から排出される冷却油
は、排出口73の回転と同等の速度で回転している状態
で排出される。従って、排出される冷却油の運動エネル
ギE2は、排出口73の接線方向の速度をV2(図7参
照)、回転中心から排出口73までの半径をr2とすれ
ば、次式(2)で与えられる。なお、排出口73の角速
度は油路57の角速度ωと等しい。 E2 = 0.5 × V22 = 0.5 × (r2×ω)2 … (2)
【0054】r1>r2だから、運動エネルギE1>E
2である。従って、本実施例の排出口73は油路57よ
りも回転中心に近い位置に設けることにより、油路57
を通過してきた冷却油の有する運動エネルギの一部を減
じて排出する作用を奏することになる。減じられた運動
エネルギは以下に示す通り、アウタロータ50の回転エ
ネルギに置換される。
【0055】冷却油が油路57から運動エネルギを吸収
されることなく排出口73に向かったとすれば、冷却油
の接線方向の速度は、図7中に破線で示す通り、常にV
1である。しかし、実際には排出口73の速度V2まで
冷却油の接線方向の速度成分は低下する。かかる速度の
低下は、図7に示す通り、排出路72の側壁から冷却油
に対して回転方向の逆方向に力Fが作用することにより
生じる。かかる力Fが作用した場合、冷却油から側壁に
は逆向きの力、即ちアウタロータ50の回転方向の力が
働く。この力は、アウタロータ50の回転を促進させ
る。このように冷却油の有する運動エネルギは、冷却油
が排出路72を排出口73の方向に運搬されるにつれて
アウタロータ50の回転エネルギに置換される。
【0056】以上で説明した本実施例のモータ10は、
以下の作用によってアウタロータ50を効率的に冷却す
ることができる。第1に供給部12からアウタロータ5
0の回転方向の速度成分Vtを有する状態で冷却油を供
給する。この結果、供給時における冷却油とアウタロー
タ50との相対速度は、冷却油をアウタロータ50に直
角に吐出する場合に比して小さくなる。相対速度が小さ
くなれば、冷却油からアウタロータ50に作用する摩擦
力が小さくなる。従って、冷却油の供給時にアウタロー
タ50の回転を妨げる力が働くことを抑制できる。
【0057】また、アウタロータ50の回転方向の速度
成分Vtを有する状態で冷却油を供給するのは、次の利
点もある。油路57を通過する冷却油はアウタロータ5
0の回転に応じた運動エネルギE1を有している。換言
すれば、アウタロータ50に供給された冷却油には、油
路57に運搬されるまでの間に上述の運動エネルギE1
に相当するエネルギが与えられることになる。かかるエ
ネルギは、摩擦力や供給路62から働く力を通じて、ア
ウタロータ50から与えられることになる。従って、供
給された冷却油の回転エネルギと油路57で冷媒が有す
る回転エネルギE1とのエネルギ偏差が大きい場合に
は、それだけアウタロータ50の運転効率が低下するこ
とになる。本実施例のモータ10によれば、接線方向の
速度成分Vtを有する状態で冷却油を供給することによ
り、上述のエネルギ偏差を抑制することができる。
【0058】本実施例のモータ10は、第2に冷却油の
有する運動エネルギを有効に活用することにより運転効
率の低下を抑制することができる。即ち、先に図7を用
いて説明した通り、本実施例のモータ10は、油路57
を通過した冷却油が有する運動エネルギの一部をアウタ
ロータ50の回転エネルギに置換しつつ、冷却油を排出
することができる。以上の作用により、本実施例のモー
タ10は、運転効率の低下を抑制してアウタロータ50
の冷却を行うことができる。
【0059】なお、上述した運転効率の低下を抑制する
作用の程度は、供給部12や排出路72,排出口73の
構成によって変動する。例えば、供給部12において、
冷却油が有する接線方向の速度成分Vtを大きくし、冷
却油が吐出される部位におけるアウタロータ50の接線
方向の速度成分Vに近づける程、運転効率の低下を抑制
する効果は大きくなる。また、冷却油の吐出速度が一定
であっても、冷却油を吐出する部位を回転中心に近づけ
ることにより、アウタロータ50と冷却油との相対速度
を低減することができ、運転効率の低下を抑制する効果
は大きくなる。排出側では、排出口73の部位を、回転
中心に近づける程、冷却油の運動エネルギからアウタロ
ータ50の回転エネルギに置換される部分を増大するこ
とができる。
【0060】供給側および排出側の構成は、それぞれモ
ータ10で達成すべき目標の運転効率に基づいて設定す
ることができる。但し、運転効率が高くなる構成を実現
するためには、供給側、排出側ともにモータ10の構成
の複雑化、構造の脆弱化、冷却油の供給圧力の向上など
の弊害を招く可能性もあるため、これら全体を考慮して
妥当な範囲をモータごとに設定する必要がある。
【0061】本実施例のモータ10では、アウタロータ
50の断面形状を利用して油路57が形成されている。
油路57をこのように形成することにより、アウタロー
タカバ57自体に冷媒路を設ける等の必要がなくなり、
アウタロータ50の径を小さくすることができる。この
結果、本実施例のモータ10は、モータ全体の小型化を
図ることができる。さらに、上記電動機によれば回転子
コアと冷媒との接触面積を増加させることができるた
め、冷却効率も向上させることができる。さらに、油路
57を通過している冷却油はアウタロータ50の回転を
何ら妨げることはないから、アウタロータ50全体を冷
却油に浸した状態で回転させる場合等に比較して運転効
率を低下させることなく冷却することができる。
【0062】本実施例のモータ10は、種々の変形例を
構成することができる。図8は第1の変形例の排出路7
2aを示す説明図である。この変形例では、フタ70の
内部構造が実施例と相違する。図8は図7と同様、フタ
70側の構造を示している。
【0063】図示する通り、変形例では、排出口73に
変えて、排出溝73aを設ける。即ち、冷却油は輪状に
設けられた排出溝73aのいずれの部分からも排出可能
である。また、油路57から排出溝73aに至る輪状の
平面全体が排出路72aとなる。変形例では、図7に示
す複雑な排出路72を形成する必要がない利点がある。
【0064】かかる状態でも冷却油を排出することは可
能であるが、冷却油の運動エネルギからアウタロータ5
0の回転エネルギへの置換を効率的に行うため、変形例
では、排出路72aに放射状にフィン72bを設ける。
フィン72bは排出路72内でアウタロータ50に固定
された回転軸方向に所定の高さを有する薄板である。こ
れらのフィン72bは、実施例における排出路72の側
壁と同様の作用、即ち冷却油に速度を低減させる力を働
かせる作用を奏する。従って、変形例によってもモータ
の運転効率の低下を抑制して冷却を行うことができる。
【0065】排出側で、冷却油の有する運動エネルギを
アウタロータ50の運動エネルギに置換する構成は、更
に種々の変形例を採用することができる。例えば、図8
に示した変形例においてフィン72bを設ける代わり
に、排出路72aを粗面で形成するものとしてもよい。
粗面とは、冷却油の摩擦力が大きく働く表面をいいう。
排出路72aを粗面で構成すれば、冷却油との間で働く
摩擦力により、冷却油の有する運動エネルギをアウタロ
ータ50の回転エネルギに効率的に置換することができ
る。また、排出路72aの構成を簡易にすることができ
る利点もある。
【0066】(2)第2実施例:次に第2実施例のモー
タ10aについて説明する。図9は第2実施例のモータ
10aについて、回転軸に沿った平面における断面図で
ある。第2実施例のモータ10aは、冷却油を排出する
排出部(図9中の領域Aで示した部分)の構造が第1実
施例と相違する。その他の構成は第1実施例と同様であ
る。図9では、第1実施例と共通の部分については、符
号の図示を省略した。
【0067】図10は第2実施例のモータ10aについ
て、回転軸を含む断面における油路を示す説明図であ
る。ここでは、アウタロータ50aにつき、回転軸に対
して上半分の構造を図示した。図示する通り、冷却油を
供給する側の構造は第1実施例と同様である。排出する
側は、フタ70aで構成されている。第1実施例では、
油路57よりも回転中心に近い部位から冷却油を排出し
た。これに対し、第2実施例では、油路57と半径方向
に同じ位置に排出路72aを設ける点で相違する。
【0068】図11は第2実施例のモータ10aについ
て、フタ70a側から見た状態を示す説明図である。図
示する通り、フタ70aの外部には、油路57に対応す
る位置にそれぞれ排出路72aを構成するカバーが設け
られている。このカバーは、アウタロータ50の回転方
向と逆方向の一端が開口しており、冷却油の排出口73
aを構成している。
【0069】油路57を通過してきた冷媒は、上述の排
出路72aおよび排出口73aを通って排出されるた
め、図11に示す通り、アウタロータ50の回転方向と
逆方向の相対速度で排出される。但し、アウタロータ5
0が回転している速度を考慮すれば、回転と逆方向の相
対速度を有して排出されることは、冷却油の絶対速度が
油路57の回転速度よりも低くなることを意味する。即
ち、冷却油は油路57で有していた運動エネルギよりも
低いエネルギ状態で排出されることになる。冷却油の運
動エネルギの低減は、排出路72aが油路57を通過し
てきた冷却油が有する速度成分を抑制することによって
生じる。排出路72aが冷却油にかかる作用を施す場
合、逆に冷媒から排出路72aには反作用により逆方向
の力、即ちアウタロータ50の回転を促進する方向の力
が働く。この結果、第2実施例のモータ10aによれ
ば、排出部において、冷却油の有する運動エネルギをア
ウタロータ50の回転エネルギに置換して冷却油を排出
することができ、モータ10aの運転効率の低下を抑制
して冷却を行うことができる。
【0070】なお、第2実施例では、排出口73aの径
方向の位置を油路57と同じ部位とした。これに対し、
第1実施例と同様、油路57よりも回転中心に近い部位
に排出口73aを設けるものとすることもできる。
【0071】(3)第3実施例:次に第3実施例として
のモータ10bについて説明する。図12は第2実施例
のモータ10aについて、回転軸に沿った平面における
断面図である。第3第3実施例におけるモータ10bは
冷却油の供給側の構成が第1実施例と相違する。その他
の構成は第1実施例と同様である。図12では、第1実
施例と共通の部位については原則として符号の図示を省
略した。
【0072】図示する通り、第3実施例では、アウタロ
ータ50の回転軸51cを介して冷却油を供給する。即
ち、回転軸51c内部を中空にし、軸中心部に供給部1
2aから冷却油を供給する。フタ60aの内部には、供
給された冷却油を油路57まで搬送する供給路62aを
構成する。
【0073】第3実施例のモータ10によれば、軸中心
部に冷却油を供給するため、供給時の冷媒とアウタロー
タ50との相対速度を抑制することができる。従って、
供給時に冷却油からアウタロータ50に作用する摩擦力
を抑制することができる。この結果、モータ10cの運
転効率の低下を抑制して冷却を行うことができる。
【0074】なお、第3実施例のモータ10cでは、次
の利点もある。相対速度の低い回転軸51cを介して冷
却油を供給するため、比較的容易に非可動の供給部12
aと回転軸51cとの間の液密性を確保することができ
る。従って、比較的高い圧力で冷却油を供給することが
できる。第1実施例では、冷却油はアウタロータ50の
遠心力によって生じる圧力勾配を利用して搬送してい
た。このため、第1実施例では、供給路62の体積が排
出路72の体積よりも大きくなることが必要であった。
かかる制約はモータの設計の自由度を抑制する可能性も
ある。また、遠心力を利用した搬送では、アウタロータ
50の回転数が低い場合には、十分に冷却を行うことが
できない可能性もある。
【0075】これに対し、第3実施例のモータ10cで
は、高い圧力で冷却油を供給することを実現できるた
め、上述の設計上の自由度を向上することができる。例
えば、排出側につき、冷却油の運動エネルギからアウタ
ロータ50の回転エネルギへの置換をより効率的に行う
ことができるように、排出口73の部位や排出路72の
形状を供給側の構成とは独立に設計することが可能とな
る。また、アウタロータ50の回転数が低い場合でも、
冷却油の搬送を確実に行うことができる。
【0076】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、更に種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
例えば、以上の実施例等ではアウタロータ50の冷却を
行う場合を例示した。本発明はインナロータ20の冷却
に適用することも可能である。コイルを巻回した電機子
の冷却に限定されるものでもない。対ロータ電動機の冷
却に限定されるものでもない。また、以上で示した実施
例および変形例は種々の組み合わせで適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモータを用いたモータ駆動装置の概略
構成を示す説明図である。
【図2】モータ10の回転軸に沿った平面における断面
図である。
【図3】モータ10の回転軸に直交する平面における断
面図である。
【図4】アウタロータ50の断面図である。
【図5】回転軸を含む断面における油路を示す説明図で
ある。
【図6】フタ60側からアウタロータ50を見た状態を
示す説明図である。
【図7】フタ70側からアウタロータ50を見た状態を
示す説明図である。
【図8】第1の変形例の排出路72aを示す説明図であ
る。
【図9】第2実施例のモータ10aについて、回転軸に
沿った平面における断面図である。
【図10】第2実施例のモータ10aについて、回転軸
を含む断面における油路を示す説明図である。
【図11】第2実施例のモータ10aについて、フタ7
0a側から見た状態を示す説明図である。
【図12】第2実施例のモータ10aについて、回転軸
に沿った平面における断面図である。
【符号の説明】
10,10a,10b,10c…モータ 11…ケース 12,12a…供給部 13…排油口 14…オイルパン 15…スリップリング 16…軸受 20…インナロータ 31〜34…永久磁石 35〜38…突極 50,50a…アウタロータ 51a、51b、51c…回転軸 52…ティース 53…コイル 54…スロット 55…アウタロータケース 56…アウタロータカバー 57…油路 60,60a…フタ 61…油受部 62,62a…供給路 63…供給口 70,70a…フタ 71…油受部 72,72a…排出路 72b…フィン 73,73a…排出口 100…制御ユニット 102,103…電流センサ 105…バッテリ 110…インバータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永松 茂隆 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 山田 良則 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 5H609 BB03 BB12 BB19 PP02 PP07 QQ05 QQ12 QQ13 QQ16 QQ18 RR06 RR27 RR36 RR37 RR40 RR42 RR43 RR46 RR70 RR73

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一の回転子を回転させる電動
    機であって、 前記回転子と共に回転しつつ、熱交換可能に冷媒を通過
    させる冷媒路と、 非回転部に形成され、該冷媒路に冷媒を供給する供給部
    と、 該冷媒路から冷媒を排出する排出部とを備え、 前記供給部は、前記冷媒路中の冷媒が有する運動エネル
    ギから、供給後に該冷媒路に至るまでの期間に冷媒が有
    する運動エネルギの極小値を引いた差分を、前記電動機
    の運転効率に基づいて定まる所定値以下に抑える態様で
    前記冷媒を供給する構造である電動機。
  2. 【請求項2】 少なくとも一の回転子を回転させる電動
    機であって、 前記回転子と共に回転しつつ、熱交換可能に冷媒を通過
    させる冷媒路と、 非回転部に形成され、該冷媒路に冷媒を供給する供給部
    と、 該冷媒路から冷媒を排出する排出部とを備え、 前記供給部は、供給された冷媒が前記回転子に接触する
    際の冷媒と回転子との相対速度を、前記電動機の運転効
    率に基づいて定まる所定値以下に抑える態様で前記冷媒
    を供給する構造である電動機。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の電動機であって、 前記供給部は、冷媒に前記回転子の接線方向の速度成分
    を与える方向に前記冷媒を供給する構造である電動機。
  4. 【請求項4】 少なくとも一の回転子を回転させる電動
    機であって、 前記回転子と共に回転しつつ、熱交換可能に冷媒を通過
    させる冷媒路と、 非回転部に形成され、該冷媒路に冷媒を供給する供給部
    と、 該冷媒路から冷媒を排出する排出部とを備え、 前記排出部は、排出前に冷媒の有する運動エネルギから
    排出後に冷媒の有する運動エネルギを引いた差分が、前
    記電動機の運転効率に基づいて定まる所定値以上となる
    態様で前記冷媒を排出する構造である電動機。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の電動機であって、 前記排出部は、排出される冷媒の該排出部に対する相対
    速度が、前記回転子の接線方向の速度成分と逆方向とな
    る方向に冷媒を排出する構造である電動機。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の電動機であって、 前記排出部は、前記回転子の接線方向の速度成分が前記
    冷媒路の該方向の速度成分よりも所定以上低い部位に設
    けられている電動機。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の電動機であって、 前記排出部は、さらに冷媒の回転エネルギを前記回転子
    の回転エネルギに置換する置換機構を備える電動機。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の電動機であって、 前記置換機構は、前記排出部内において前記回転子に固
    定され、前記冷媒に接線方向の力を作用させる突部であ
    る電動機。
  9. 【請求項9】 請求項1、請求項2または請求項4いず
    れか記載の電動機であって、 前記回転子は、回転子コアと、該回転子コアの外周を覆
    いつつ該回転子コアの外周面との間に少なくとも一カ所
    の空隙を有する状態で、該回転子コアと相対的に回転不
    能に接合されたカバーとを備え、 前記冷媒路は、前記空隙により構成される電動機。
  10. 【請求項10】 請求項1、請求項2または請求項4い
    ずれか記載の電動機であって、 前記回転子は、該回転子の回転軸から径方向に所定の距
    離離れた位置で回転するアウタロータである電動機。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009072372A1 (ja) * 2007-12-06 2009-06-11 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 車両駆動装置
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