JP2000357828A - 強磁性酸化物およびこれを用いた磁気抵抗素子 - Google Patents

強磁性酸化物およびこれを用いた磁気抵抗素子

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Masayoshi Hiramoto
雅祥 平本
Eiichi Hirota
榮一 廣田
Hiroshi Sakakima
博 榊間
Nozomi Matsukawa
望 松川
Hideaki Adachi
秀明 足立
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • H10N50/85Magnetic active materials

Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的高温で高いスピン分極率を持つ酸化物
材料とこれを用いた磁気抵抗変化素子を提供する。 【解決手段】 A(B1 1-x、B2 x)O3で表されるペロ
ブスカイト構造(Aは、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、希土類、Bi、Cd、Pbから選ばれる少なくとも
1種のイオン、B1およびB2は、遷移金属イオンで、3
d、4dまたは5d軌道である最外殻d軌道に存在する
電子数をn1、n2(n1≧n2)またはn 3、n4(n3
4)とすると、電子数の組み合わせ(n1,n2
(n3、n4)が、(4,1)、(4,2)、(4,
3)、(5,1)、(5,2)、(5,3)、または
(4,5)、(4,6)、(4,7)、(4,8)、
(5,6)、(5,7)、(5,8)、xが0.3〜
0.7)を有する強磁性酸化物とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強磁性酸化物とこ
れを用いた磁気抵抗素子に関するものである。さらに詳
しくは、本発明は、ディスク、テープメディア等の磁気
記録装置の再生ヘッド、自動車等で用いられる磁気セン
サー、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)等
に広く使用される磁気抵抗薄膜材料および磁気抵抗素子
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、磁場により抵抗が変化する材料と
しては、異方性磁気抵抗効果を用いたAMR(Anisotro
py Magnetoresistance)、金属多層膜の各磁性層の磁化
相対角の変化による抵抗の変化を用いたGMR、GMR
の1形態であるスピンバルブGMR(Giant Magnetores
istance)、磁性金属を超薄絶縁膜で分離して絶縁膜を
流れるトンネル電流が各磁性金属の磁化相対角度により
変化することを利用したTMR(Tunnel Magnetoresist
ance)、絶縁材料中に磁性金属が分散しており、分散し
た磁性金属の磁化方向の外部磁場による変化、クーロン
ブロッケイドあるいは帯電効果により抵抗が変化するグ
ラニュラー材料、磁場により誘起される絶縁体−金属相
転移を用いたCMR等が知られている。特にTMRは、
絶縁体を介した2つの磁性体のスピン分極率が大きいほ
ど高い磁気抵抗変化率が得られることが理論的に予想さ
れており、分極率が大きい材料が活発に研究されてい
る。最近では、ペロブスカイト・マンガネート材料であ
る(La、M)MnO3(ここで、M=Ca、Sr;以
後、慣例に従ってM原子に応じてそれぞれ「LCM
O」、「LSMO」とする)を用いたTMRにおいて、
4.2Kの低温ではあるが、高い分極率に起因する高磁
気抵抗変化率が得られたことが報告されている(特開平
10−12945号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】磁場により抵抗が変化
する素子に要求される特性は、できるだけ大きな抵抗変
化率が室温近傍で得られることと、抵抗が変化する磁場
が望ましい磁場範囲内にあることである。例えば、セン
サー、磁気記録の際の読み取りヘッド、MRAM等とし
て用いる場合、低い磁場で高い磁気抵抗変化が得られる
ことが望まれる。
【0004】前記従来例のうち、さらなる高磁気抵抗の
期待がもたれているのは、LCMOやLSMO等高スピ
ン分極率材料を用いたTMRである。しかし、これらの
材料には、高いスピン分極を実現しうる温度が4K程度
という非常に低い温度であるという課題があった。また
従来、LCMOを薄膜化する際に、好ましいぺロブスカ
イト構造を得るために、基板上に直接LCMOを成膜す
る必要があった。このため、TMR素子として利用する
に際し、比較的抵抗の高いLCMOそのものをリードと
して用いる必要があり、結果として素子抵抗が高くなる
という課題があった。また、従来のペロブスカイト材料
を用いたTMRは、FeMn等の反強磁性金属材料と化
学的に反応を起こしやすいため、あるいは反強磁性材料
上に良好なペロブスカイト構造が形成できないために、
スピンバルブ型TMR(反強磁性層/磁性層/絶縁層/
磁性層)が得られないという課題があった。
【0005】そこで、本発明は、上記従来の課題を解決
して、比較的高温で大きな抵抗変化率が得られる高スピ
ン分極率材料とこれを用いた磁気抵抗変化素子を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】従来から、酸化物ペロブ
スカイト構造では、酸素イオンを介した超交換相互作用
により、磁性が発現することは知られている。本発明者
は、さらに、以下の観点から検討を行った。隣接した
磁性イオン間で電子の移動が行われる際に、磁性イオン
全体のスピン数が変化せず、かつ導電の際にスピンの向
きが変化しないことが重要である。ペロブスカイト構
造を得るための、イオン半径、電気的中性の条件を満た
すことが重要である。上記観点から検討した結果、以下
の強い磁性を有する酸化物により、本発明の目的が達成
された。
【0007】本発明の強い磁性を有する酸化物の一形態
は、組成式:A(B1 1-x、B2 x)O 3で表されるペロブ
スカイト結晶構造を有し、前記A(B1 1-x、B2 x)O3
において、Aは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希
土類、Bi、CdおよびPbから選ばれる少なくとも1
種の元素のイオンであり、B1およびB2は、遷移金属の
イオンであって、3d軌道、4d軌道および5d軌道か
ら選ばれるいずれかの最外殻d軌道に存在する電子数を
それぞれn1、n2(ただし、n1≧n2)とすると、前記
電子数の組み合わせ(n1,n2)が、(4,1)、
(4,2)、(4,3)、(5,1)、(5,2)およ
び(5,3)から選ばれるいずれかとなり、xが0.3
以上0.7以下であることを特徴とする。
【0008】また、本発明の強い磁性を有する酸化物の
別の形態は、組成式:D(E1 1-y、E2 y)O3で表され
るペロブスカイト結晶構造を有し、前記D(E1 1-y、E
2 y)O3において、Dは、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、希土類、Bi、CdおよびPbから選ばれる少な
くとも1種の元素のイオンであり、E1およびE2は、遷
移金属のイオンであって、3d軌道、4d軌道および5
d軌道から選ばれるいずれかの最外殻d軌道に存在する
電子数をそれぞれn3,n4 (ただし、n3≦n4)とする
と、前記電子数の組み合わせ(n3,n4)が、(4,
5)、(4,6)、(4,7)、(4,8)、(5,
6)、(5,7)および(5,8)から選ばれるいずれ
かとなり、yが0.3以上0.7以下であることを特徴
とする。
【0009】ここで、強い磁性を有する酸化物とは、フ
ェロ磁性体とともにフェリ磁性体を含む。以下、本明細
書では、単に「強磁性酸化物」という。
【0010】上記のように電子数を組み合わせたペロブ
スカイト材料により、高い電気伝導率と、伝導電子の高
いスピン分極率と、高いキュリー温度とが実現できる。
このため、比較的高温においても高いスピン分極率を得
ることができる。なお、組成式:A(B1 1-x、B2 x)O
3で表される酸化物は、主としてフェロ磁性を示し、組
成式:D(E1 1-y、E2 y)O3で表される酸化物は、主
としてフェリ磁性を示す。しかし、電子数の組み合わせ
により、上記磁性は変化する場合もある。
【0011】電子の組み合わせの中でも、特に(4,
1)、(4,2)、(4,3)の材料、および(4,
6)、(4,7)、(4,8)の材料は、例外があるも
のの電気伝導率がやや高い傾向が見られ、MRAM、磁
気抵抗変化素子等、低抵抗化が望まれるデバイスに好ま
しい。
【0012】なお、本発明では、ペロブスカイト構造が
維持されている限り、酸化物が実質的に上記組成式によ
り表示できればよく、酸素欠陥等による化学量論比から
のずれは許容される。また、ペロブスカイト構造は層状
構造であってもよく、酸化物は単結晶体に限らず多結晶
体であってもよい。
【0013】また、x,yは、ともに、0.4以上0.
6以下がさらに好ましく、実質的に0.5であることが
特に好ましい。
【0014】本発明の強磁性酸化物では、遷移金属のイ
オンが、亜族方式周期表における、4A族、5A族、6
A族、7A族、8族および1B族から選ばれる少なくと
も1種の元素(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、P
d、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Ptお
よびAu)のイオンであることが好ましい。
【0015】具体的には、B1、B2、E1、E2のイオン
は、d電子数が1の場合には、Ti 3+、V4+、Mn6+
Zr3+、Nb4+、Mo5+、Tc6+、Hf3+、Ta4+、W
5+およびRe6+が好ましい。また、d電子数が2の場合
には、Ti2+、V3+、Mn5+、Fe6+、Zr2+、N
3+、Mo4+、Tc5+、Ru6+、Hf2+、Ta3+
4+、Re5+およびOs6+が好ましい。また、d電子数
が3の場合には、V2+、Cr3+、Mn4+、Fe5+、Nb
2+、Mo3+、Tc4+、Ta2+、W3+、Re4+およびIr
6+が好ましい。また、d電子数が4の場合には、V+
Cr2+、Mn3+、Fe4+、Co5+、Nb1+、Mo2+、R
4+、Pd6+、W2+、Re3+、Os4+およびPt 6+が好
ましい。d電子数が5の場合には、Cr+、Mn2+、F
3+、Co4+、Mo+、Tc2+、Ru3+、Rh4+、W+
Re2+、Os3+およびIr4+が好ましい。また、d電子
数が6の場合には、Mn+、Fe2+、Co3+、Rh3+
Pd4+、Re+、Os2+、Ir3+およびPt4+が好まし
い。また、d電子数が7の場合には、Fe+、Co2+
Ni3+、Rh2+、Pd3+、Ir2+およびPt3+が好まし
い。また、d電子数が8の場合には、Co+、Ni2+
Cu3+、Rh+、Pd2+、Ag 3+、Ir+、Pt2+および
Au3+が好ましい。
【0016】B1、B2、E1、E2の各イオンには、複数
のイオンが含まれていてもよい。
【0017】また、上記目的を達成するために、本発明
の磁気抵抗素子の一形態は、少なくとも2つの磁性体
と、中間体とを含み、前記中間体を介して前記磁性体が
電気的に接続された磁気抵抗素子であって、前記中間体
を介して電気的に接続している前記磁性体の少なくとも
1つが、上記記載の強磁性酸化物を主体とする磁性体
(以下、単に「ペロブスカイト磁性体」ともいう)であ
ることを特徴とする。
【0018】本発明の磁気抵抗素子によれば、比較的高
温においても高いスピン分極率を得ることができる。
【0019】ここで、磁性体とは、強磁性体、フェリ磁
性体または反強磁性体を意味する。磁気抵抗素子が2つ
の磁性体を含む場合、磁性体は強磁性体またはフェリ磁
性体に限られるが、磁性体が3以上存在する場合には反
強磁性体が含まれていてもよい。ただし、中間層を介し
て互いに接続している磁性体は、強磁性体またはフェリ
磁性体である。
【0020】また、磁性体が電気的に接続している、と
は、電子が一方の磁性体から他方の磁性体へと移動でき
ることを意味し、抵抗値の高低を問わない。したがっ
て、中間体は、電子が通過できる厚さを備えていれば、
Al23、SrTiO3等の絶縁体であっても空隙であ
ってもよい。また、Au、Ru、Rh、Pd、Ir、P
t等の導電体であってもよく、絶縁体と導電体との複合
体であってもよい。また、中間体は2つの磁性体を互い
に非接触として空間的に分離する。
【0021】また、ペロブスカイト磁性体は、本発明の
強磁性酸化物を主成分としていれば、他の微量成分を含
んでいても構わない。微量成分は1%以下であることが
好ましい。
【0022】中間体が絶縁体(空隙を含む)である場
合、磁性体間を電子がトンネル効果により導電可能とな
るように、2つの磁性体の間に介在する最小厚さを10
nm以下とすることが好ましい。また、磁性体を分離す
るために、最小厚さは0.5nm以上が好ましい。この
最小厚みは、磁性体間の交換結合を実質的に弱めるため
に、1nm以上がさらに好ましい。一方、中間体が導電
体である場合、中間体の種類と欠陥にもよるが、2つの
磁性体の間に介在する最小厚さは、スピンが保存される
程度に薄いことが好ましく、具体的には100nm以下
が好ましい。
【0023】磁性体と磁性体との間にスピンが輸送され
るときに、磁性体/中間体界面での散乱、接触抵抗、熱
起電力効果等のためにスピンが保持されにくくなるとい
う問題を緩和するために、磁性体/中間体界面にバッフ
ァを設けてもよい。
【0024】バッファは、フェルミレベル、磁気モーメ
ント、結晶構造等において、磁性体と中間体との差異を
緩和する、中間的な物性値、構造を有する材料から構成
することが好ましい。また、磁性体、中間体のいずれと
も熱的、化学的に安定であることが好ましい。バッファ
材料としては、具体的には、磁性体と中間体との中間組
成を有する結晶またはアモルファスが好ましい。また、
ペロブスカイト構造を有する磁性体に対しては、結晶構
造が近い非磁性ペロブスカイト酸化物を、金属磁性体に
対しては、好ましくは同じ結晶構造を有する非磁性金属
を用いることができる。
【0025】本明細書における上記中間体にはバッファ
が含まれる。ペロブスカイト磁性体と金属強磁性体との
間に配置するバッファ層を含む「中間体」の好ましい形
態としては、ペロブスカイト絶縁体/MO/Mの多層構
成が挙げられる。この場合、組成全体の構成は、ぺロブ
スカイト磁性体/ペロブスカイト絶縁体/MO/M/金
属磁性体となる。ここで、Mは金属元素、MOはその絶
縁酸化物である。
【0026】なお、ペロブスカイト磁性体/中間体/ペ
ロブスカイト磁性体を構成の一部として含む磁気抵抗素
子では、中間体がペロブスカイト磁性体の結晶粒界また
は粒界生成物であってもよい。
【0027】また、上記磁気抵抗素子においては、強磁
性酸化物を主体とする磁性体と、Fe、CoおよびNi
から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属強磁性体
とが、中間体を介して電気的に接続していることが好ま
しい。金属強磁性体としては、例えば、Fe、Co、N
i、FeCo、NiFe、FeCoNi、FeSi、F
eSiAl等を用いることができる。特に、金属強磁性
体を外部磁界により反転容易な磁性体とし、これに中間
体を介して上記ペロブスカイト磁性体と組み合わせる
と、Fe、Co、Ni元素が有する高い飽和磁化によっ
て、高い強磁性共鳴周波数が得られる。このため、高い
磁気抵抗変化とともに、高周波動作が可能な素子を得る
ことができる。
【0028】また、上記磁気抵抗素子においては、中間
体を介して電気的に接続している磁性体の少なくとも1
つが、強磁性酸化物を主体とする磁性体と、Fe、Co
およびNiから選ばれる少なくとも1種の元素を含む金
属強磁性体とが接触した面を有することが好ましい。こ
のように、ペロブスカイト磁性体と金属強磁性体とが1
種の複合相を形成した磁性体を有する磁気抵抗素子は、
金属強磁性体内でのスピン分極率が高まって高飽和磁化
と高スピン分極率が両立できるため、素子の動作温度が
比較的高くかつ高周波特性に優れた特性を示す。
【0029】このような磁性体としては、金属強磁性体
の層とペロブスカイト磁性体の層との積層体や、金属強
磁性粒とペロブスカイト磁性粒との混合体が挙げられ
る。
【0030】また、上記磁気抵抗素子においては、強磁
性酸化物を主体とする磁性体として前記強磁性酸化物の
結晶粒を含み、前記磁性体が前記結晶粒の粒界を中間体
として互いに電気的に接続していることが好ましい。こ
の好ましい形態によれば、磁気抵抗変化率の高い素子を
得ることができる。この磁気抵抗素子は、例えば、ペロ
ブスカイト多結晶体だけからも構成することができる。
この場合、酸化物結晶粒が磁性体となり、粒界(粒界の
空隙や粒界生成物)が中間体の役割を果たす。
【0031】このように、ペロブスカイト多結晶体その
ものが素子となる場合、磁性結晶粒同士を分離する粒界
には、結晶粒を構成する元素のうち、酸化物生成自由エ
ネルギーが低い材料が粒界生成物を形成する傾向があ
る。無磁界状態では、個々の結晶粒内のスピンの向き
は、多結晶体の形状、結晶磁気異方性エネルギー、磁歪
エネルギー等により定められる磁化容易軸方向に揃って
いるために、ほぼランダムになっている。このとき、電
子は粒界を通じて伝導するが、磁化方向がランダムであ
るため、素子は高い比抵抗を示す。一方、外部磁界が印
加されて各磁性結晶粒の磁化方向が揃い始めると、伝導
電子の散乱が抑制され、トンネル電流が流れる。このた
め比抵抗が相対的に低くなり、磁気抵抗効果が得られ
る。この多結晶体は、従来からセラミックス材料を作製
するために用いられてきた通常の焼結等のプロセスによ
り量産できるため、工業上有益である。
【0032】また、上記磁気抵抗素子においては、中間
体がアモルファス酸化物を含むことが好ましい。中間体
をアモルファス酸化物とすると、磁性体との界面で格子
ミスマッチによる応力誘導磁気異方性が発生しにくくな
り、高い磁気抵抗変化が得られる。
【0033】また、上記磁気抵抗素子においては、中間
体がペロブスカイト構造を有する酸化物を含むことが好
ましい。中間体をペロブスカイト構造を有する酸化物と
すると、ペロブスカイト磁性体と中間体との間の格子定
数が近くなり、界面準位が比較的低くなって高い磁気抵
抗変化が得られる。
【0034】また、上記磁気抵抗素子においては、中間
体がトンネル障壁となることが好ましい。中間体が(絶
縁)トンネル障壁となる磁気抵抗素子では、より高い磁
気抵抗変化が得られる。
【0035】また、上記磁気抵抗素子においては、中間
体を介して電気的に接続している磁性体の一方が、前記
磁性体の他方よりも外部印加磁界に対して磁化方向が変
化し難いことが好ましい。この磁気抵抗素子では、外部
磁界の大きさが同じであっても、2つの磁性体の磁化回
転角が相違するために、互いの磁性体の磁化相対角を制
御でき、高い磁気抵抗変化が得られる。磁化方向が相対
的に変化し難い磁性体は、ペロブスカイト磁性体であっ
ても、ペロブスカイト磁性体と電気的に接続している磁
性体(例えば金属強磁性体)であっても構わない。
【0036】なお、磁化方向の変化は、磁化方向が相対
的に容易な磁性体が200Oe以下の外部磁界で変化す
ることが好ましい。磁化方向が相対的に困難な磁性体
は、磁化方向が容易な磁性体よりも、少なくとも10O
e、好ましくは500Oe以上高い外部磁界で、磁化方
向が変化することが好ましい。
【0037】この場合、磁化方向が変化し難い磁性体と
しては、外部印加磁界方向が磁化困難軸となるような形
状異方性を備えた磁性体、あるいは、高保磁力を有する
磁性体が好適である。しかし、必ずしもその磁性体自体
が磁化方向が変化し難い特性を備えていなくてもよい。
すなわち、磁性体自体としては、磁化方向が変化し易い
特性を備えていても、この磁性体に、影響を及ぼす別の
磁性体を隣接させれば、磁化方向を変化し難くすること
ができる。このような磁性体としては、形状異方性を有
する磁性体、高保磁力を有する磁性体、反強磁性体等を
挙げることができる。
【0038】ここで、形状異方性を有する磁性体として
は、少なくとも一方向における反磁界係数が0.5より
も大きいことが好ましい。また、高保磁力を有する磁性
体としては、CoPt系材料等、100Oe以上の保磁
力を有する磁性体が好ましい。このような特性を有する
別の磁性体を接して配置すると、磁性体間に働く交換相
互作用等により、磁化方向が変化しにくい磁性体とする
ことができる。
【0039】なお、この場合、反強磁性体として、α−
Fe23、NiO、CoO等のように電気抵抗の高い材
料を用いると、反強磁性体に接続している磁性体から直
接電流、電圧を引き出すリード等を設ける必要が生じる
が、導電性の高い反強磁性体を用いると、反強磁性体か
ら直接電流、電圧を引き出す素子構成を採用することが
できる。
【0040】反強磁性体としては、組成式:RQO3
表されるペロブスカイト結晶構造を有し、前記RQO3
において、Rは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希
土類、Bi、CdおよびPbから選ばれる少なくとも1
種のイオンであり、Qは、V、Cr、Mn、Fe、C
o、Ni、Cu、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、P
d、Ag、W、Re、Os、Ir、PtおよびAuから
選ばれる少なくとも1種の元素のイオンであるものを用
いることが好ましい。
【0041】ここで、Qは、具体的には、V+、C
2+、Cr+、、Mn3+、Mn2+、Mn+、Fe4+、Fe
3+、Fe2+、Fe+、Co5+、Co4+、Co3+、C
2+、Co+、Ni3+、Ni2+、Cu3+、Nb+、M
2+、Mo+、Tc2+、Ru4+、Ru3+、Rh4+、Rh
3+、Rh2+、Rh+、Pd6+、Pd4+、Pd3+、P
2+、Ag3+、W2 +、W+、Re3+、Re2+、Re+、O
4+、Os3+、Os2+、Ir4+、Ir3+、Ir2+、Ir
+、Pt6+、Pt4+、Pt3+、Pt2+およびAu3+から
選ばれる少なくとも1種が好ましい。Qは、RQO3
体として電荷中性が満たされるように選択される。
【0042】このようなペロブスカイト構造を有する反
強磁性体を用いると、隣接した磁性体の磁化方向を強く
固定できるために、外部印加磁界の変化に対して安定な
磁気抵抗変化を保つことができる。特に、反強磁性体と
隣接するフェロまたはフェリ磁性体がペロブスカイト磁
性体である場合には界面反応が起こりにくく、結晶構
造、作製温度等の点で互いに結晶成長を行いやすい等の
利点がある。また、ペロブスカイト構造を有する反強磁
性体でも、上記反強磁性体は、ネール温度が高く、比較
的高温まで反強磁性特性を失わないという特徴がある。
【0043】このような材料としては、例えば、SrF
eO3、BiCrO3、CaRuO3、Sr2NiMo
6、LaFeO3、PrFeO3、NdFeO3、SmF
eO3、EuFeO3、GdFeO3、TbFeO3、Dy
FeO3、YFeO3、HoFeO3、ErFeO3、Tm
FeO3、YbFeO3、LuFeO3、LaCrO3、P
rCrO3、NdCrO3、SmCrO3等が挙げられ
る。
【0044】なお、上記材料に代えて、BiFeO3
PbCrO3、La0.9Bi0.1CrO 3、SrFe0.5
0.53等のペロブスカイト酸化物を用いても効果があ
り、ペロブスカイト構造以外であっても、例えばブラウ
ンミレライト型構造を有するCaFeO2.5、SrFe
2.5等は、ペロブスカイトに構造が近いため、上記材
料に代えて用いても上記と同種の効果が得られる。
【0045】また、導電性を有する反強磁性体を用いる
と、磁気抵抗変化を検出する電流および電圧を反強磁性
体を通じて測定できるため、素子構成が簡便となる。導
電性を有する反強磁性体としては、前述の材料の他、F
e−Mn、Ni−Mn、Pd−Mn、Pt−Mn、Ir
−Mn、Fe−Ir、Cr−Al、Cr−Mn−Pt、
Fe−Mn−Rh、Pd−Pt−Mn、Ru−Rh−M
n、Mn−Ru、Cr−Al等が好ましい。
【0046】また、上記磁気抵抗素子においては、強磁
性酸化物を主体とする磁性体に電極が接続されており、
前記電極が、Au、Ru、Rh、Pd、IrおよびPt
から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
これらの元素は、ペロブスカイト磁性体と酸化還元反応
を起こさず、拡散しにくく、接触抵抗が低い等の利点が
ある。また、磁気抵抗素子の磁気抵抗変化のS/N比を
高くできる。なお、広義では磁性体も電極としての役割
を有するが、本明細書では、特に断らない限り、電極と
は、素子から電流、電圧を引き出す役割を有する低抵抗
の非磁性電極(非磁性金属材料からなる電極)を意味す
る。
【0047】また、上記磁気抵抗素子においては、磁性
体および中間体として、層状体を用いることが好まし
い。この形態では、少なくとも2つの層状の磁性体(磁
性層)が層状の中間体(中間層)と積層されていること
により、前記中間体を介して電気的に接続する。この磁
気抵抗素子においては、層形状による反磁界のために、
磁性体の磁化容易軸は層内の方向に制限される。このた
め、磁性体の磁化方向は、2次元的に(平面内で)制御
できることになり、磁性層間での磁化相対角が制御し易
く、磁場感度の高い磁気抵抗を得ることができる。ま
た、層状体を用いることにより、デバイスの小型化、薄
膜化が可能となる。このような層状の磁性層、層状の中
間体を含む磁性体には、(La、Ba)2CuO4のよう
な酸化物超伝導体等として知られている層状ペロブスカ
イト構造体が含まれる。
【0048】このような積層構造を有する磁気抵抗素子
において、層状の中間体は、磁性粒を含む複合体である
ことが好ましい。中間体は、磁性体を分離しながら、伝
導するスピンの向きを保持するために、ごく薄い厚さと
することが好ましい。中間体の極薄い厚さのために、デ
バイス作製時にピンホール等による磁性体同士の直接接
触が起こりやすくなる。しかし、中間体に本発明の複合
体を用いれば、デバイスを安定して作製できる。また、
伝導時におけるスピン反転を少なくすることもできて、
高い磁気抵抗変化が得られる。ここで、複合体は、磁性
粒が、上記に例示したような中間体材料により略覆われ
た形態が好ましく、例えばペロブスカイト構造を有する
結晶粒とその粒界から構成されていてもよい。また、金
属磁性結晶粒が、絶縁酸化物で略覆われた複合構造であ
ってもよい。
【0049】また、磁性粒に代えて非磁性金属粒を用い
た複合体としても、上記と同様の効果が得られる。この
場合は、例えば、少なくとも2つの層状の磁性体が、非
磁性金属粒が中間体材料で略覆われた形態の複合体から
なる中間体を介して、電気的に接続する。
【0050】本発明の磁気抵抗素子の別の一形態は、少
なくとも2つの磁性体と、中間体とを含み、前記中間体
を介して前記磁性体が電気的に接続された磁気抵抗素子
であって、前記中間体を介して電気的に接続している前
記磁性体の少なくとも1つが、上記記載の強磁性酸化物
を主体とする層と、強磁性金属層との積層体であること
を特徴とする。
【0051】上記磁気抵抗素子によれば、高スピン分極
率を有するペロブスカイト構造を備えた強磁性酸化物層
と、高い飽和磁化を有する強磁性金属層とが積層体を形
成することにより、強磁性金属層内のスピン分極率が高
まり、高飽和磁化と高スピン分極率とを両立することが
できる。このため、素子の動作温度が比較的高くかつ高
周波特性に優れた特性を示す。
【0052】本発明の磁気抵抗素子のまた別の一形態
は、非磁性基板上に、第1の磁性層、第2の磁性層、中
間層および磁化安定層を含む多層膜が形成され、前記第
1の磁性層および前記第2の磁性層から選ばれる少なく
とも1つが上記記載の強磁性酸化物を主体としており、
前記第1の磁性層および前記第2の磁性層が前記中間層
を介して電気的に接続しており、前記磁化安定層が、反
強磁性体、形状異方性を有する磁性体、および100O
e以上の保磁力を有する磁性体から選ばれるいずれかで
あることを特徴とする。
【0053】上記磁気抵抗素子によれば、通常の薄膜プ
ロセスおよびリソグラフィ技術を用いることにより、素
子を簡便かつ大量に作製できる。
【0054】ここで、非磁性基板としては、MgO、S
i、SrTiO3等の単結晶基板、Al23−TiC等
の多結晶基板、ガラス基板等を用いることもできる。ま
た、電極と兼用する場合には、導電性基板を用いてもよ
い。また、これらの基板は、素子構成によっては、電極
作製のために化学エッチング等により、その一部または
全部を取り除いて使用してもよい。
【0055】上記磁気抵抗素子においては、少なくとも
非磁性基板に接する層がペロブスカイト構造を有するこ
とが好ましい。作製温度が比較的高いペロブスカイト材
料を成膜の初期に形成するために、引き続いて形成する
層に、熱的に弱いもの選択できるからである。
【0056】上記磁気抵抗素子においては、第1の磁性
層、第2の磁性層、中間層および磁化安定層が、いずれ
もペロブスカイト構造を有することが好ましい。高い磁
気抵抗を示すだけでなく、高温熱処理プロセスにも安定
な素子を形成できるからである。
【0057】非磁性基板上への薄膜の形成の順序は、特
に制限されないが、例えば、第1の磁性層、中間層、第
2の磁性層および磁化安定層をこの順に形成してもよ
く、磁化安定層、第1の磁性層、中間層および第2の磁
性層をこの順に形成してもよい。
【0058】また、本発明の磁気抵抗素子のさらに別の
一形態は、非磁性基板上に、第1の磁性層、第1の中間
層、第2の磁性層、第2の中間層、第3の磁性層および
磁化安定層をこの順に形成した多層膜を含み、前記第1
の磁性層、前記第2の磁性層および前記第3の磁性層か
ら選ばれる少なくとも1つが上記記載の強磁性酸化物を
主体としており、前記第1の磁性層および前記第2の磁
性層が前記第1の中間層を介して電気的に接続してお
り、前記第2の磁性層および前記第3の磁性層が前記第
2の中間層を介して電気的に接続しており、前記磁化安
定層が、反強磁性体、形状異方性を有する磁性体、およ
び100Oe以上の保磁力を有する磁性体から選ばれる
いずれかであることを特徴とする。
【0059】上記磁気抵抗素子においては、例えば、磁
化安定層により固定された第3の磁性層の交換バイアス
が、第2の中間層を介して第2の磁性層に効果的に作用
するために、第2の磁性層の磁化をプロセス熱処理後も
安定して固定できる素子を得ることができる。
【0060】第1の磁性層は、上記強磁性酸化物を主体
とする材料、すなわちペロブスカイト磁性体であること
が好ましい。この場合、第2の磁性層および第3の磁性
層としては、Co、Co−Fe、Ni−Fe−Co等が
好ましく、膜厚は1nm以上とすることが好ましい。第
2および第3の磁性層の膜厚は20nm以下が好まし
い。また、第2の中間層としては、Ru、Cu、Ag等
が好ましい。第1の中間層は、上記で中間体について述
べた材料を用いることが好ましい。第1の中間層の好ま
しい厚さも上記のとおりである。第1の中間層として、
上記複合体を用いてもよい。また、第2の中間層の膜厚
は、0.3nm以上1.2nm以下が適当である。
【0061】上記磁気抵抗素子においても、上記と同様
の理由により、少なくとも、非磁性基板に接する第1の
磁性層がペロブスカイト構造を有することが好ましい。
【0062】本発明の磁気抵抗素子のまた別の一形態
は、非磁性基板上に、第1の磁性層、中間層および第2
の磁性層を含む多層膜が形成され、前記第1の磁性層お
よび前記第2の磁性層から選ばれる少なくとも1つが上
記記載の強磁性酸化物を主体としており、前記第1の磁
性層および前記第2の磁性層が前記中間層を介して電気
的に接続しており、前記強磁性酸化物を主体とする磁性
層におけるペロブスカイト結晶構造の{001}、{1
10}および{111}から選ばれる少なくとも1つの
結晶面と、前記中間層の表面とがなす角度が10度以下
であることを特徴とする。
【0063】上記磁気抵抗素子によれば、スピンの磁化
容易方向が制御しやすくなるために、高い磁気抵抗変化
を得ることができる。
【0064】上記磁気抵抗素子では、強磁性酸化物を主
体とする磁性層または中間層が、前記磁性層と前記中間
層との界面からエピタキシャル成長した薄膜であること
が好ましい。このように、ほぼ単結晶とみなせる構造と
すれば、それぞれの各磁性体内の磁化方向が制御し易く
なり、高い磁気抵抗変化を得ることができる。
【0065】非磁性基板上に多層膜を形成した形態を備
えた上記磁気抵抗素子においては、非磁性基板上に、下
地層および電極層から選ばれる少なくとも一方を介して
多層膜を形成してもよい。
【0066】この場合、非磁性基板として単結晶基板を
用い、前記単結晶基板と実質的に同一の配向面を有する
ように、前記単結晶基板上に電極層を形成することが好
ましい。電極上に形成するペロブスカイト材料を好まし
い結晶方位に成長させることができる。
【0067】具体的には、電極層を、基板温度を400
℃以上750℃以下とした真空蒸着法により形成された
層とすることが好ましい。低温領域における成膜では、
細密面配向する電極材料(Pt等fcc構造の材料では
(111)面)を基板方位に配向させることができるか
らである。
【0068】また、別の例としては、電極層を、アルゴ
ンと酸素とからなる雰囲気でのスパッタリング法により
形成することが好ましい。電極層がエピタキシャル成長
しやすくなるからである。
【0069】また、非磁性基板上に多層膜を形成した形
態を備えた上記磁気抵抗素子においては、強磁性酸化物
を主体とする磁性層および中間層から選ばれる少なくと
も1つが、基板温度を550℃以上750℃以下とした
真空蒸着法により形成した層であることが好ましい。ペ
ロブスカイト構造を有する磁性体あるいは中間体の結晶
性が高くなり、高い磁気抵抗変化を実現できる。
【0070】また、上記形態を備えた磁気抵抗素子にお
いては、中間層が、基板温度を200℃以上750℃以
下とした真空蒸着法により形成した層であり、磁性層間
においてトンネル障壁を形成することが好ましい。トン
ネル障壁の高さおよび幅のバラツキが少ない磁気抵抗素
子を作製できるからである。特に、中間体がペロブスカ
イト構造を有するときには、550℃以上の基板温度が
好ましい。
【0071】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について説明する。本発明の構造、組成の強い磁性を持
つ酸化物をバルクの単結晶として作製する場合には従来
の単結晶作成法、例えばFZ(フローティング・ゾー
ン)法等を用いて作製することができる。
【0072】また、本発明の、磁性体であるペロブスカ
イト構造を持つ酸化物が多結晶である場合、通常のセラ
ミックスプロセスを用いて作製することができる。
【0073】また本発明の構造、組成の強い磁性を持つ
酸化物を層状で用いる場合、LPE(リキッド・フェー
ズ・エピタキシー)法を用いる、あるいは低ガス圧雰囲
気で真空成膜法により形成することが最良である。真空
成膜法の中では、MBE(モレキュラー・ビーム・エピ
タキシー)法、レーザーアブレーション法や、高周波マ
グネトロンスパッタリング、直流スパッタリング、対向
ターゲットスパッタリング、イオンビームスパッタリン
グ等に代表されるスパッタリング法等が好ましい。これ
ら成膜法で作製する場合、エピタキシャル成長をさせる
ために、基板温度を少なくとも550℃以上750℃以
下とすること、あるいは、成膜後にこれらの温度近傍
で、熱処理することが望ましい。
【0074】また、これらの磁性体において、面内の一
軸方向に異方性を形成するために、基板に対して一方向
に磁界をかけながら成膜を行うこと、あるいは一方向に
磁界をかけながら、350℃以下程度で熱処理するこ
と、単結晶基板の選択により、特定方向に配向成長させ
ること等が好ましい。
【0075】以下、本発明の実施の形態について図を用
いて説明する。図1は本発明の磁気抵抗素子の一例の平
面図である。また図2はこの素子の断面図である。図の
構成は、例えばスパッタ法を用いて、基板上に第1の磁
性層(磁性体)1、中間層3,3aを形成した後、リソ
グラフィ技術とスパッタ法を用いて絶縁体5、第2の磁
性層4,4a、上部用電極6および下部用電極7を形成
することで作製できる。ここで、電極6,7に、電圧
(V)および電流(I)端子を接続することで、第1の
磁性層2と第2の磁性層4との間に、中間層3を介して
電流が流れる。このとき、第1の磁性層と第2の磁性層
の磁化相対角の差等に応じた磁気抵抗変化が生じる。
【0076】図3および図4に示した別の形態では、図
1および図2の磁気抵抗素子の電極部を素子の片側に集
めてある。このような構成にすることで、電極と反対側
の近傍に磁気記録媒体を接近させることができるため、
記録媒体の情報を読みとる再生ヘッドとして使用し易く
なる。
【0077】図2および図4において、測定する電流電
圧は、中間層3aおよび第2の磁性層4aを介すること
になる。このため、第1の磁性層2、中間層3aおよび
第2の磁性層4aにおいて生じる磁気抵抗変化と、第1
の磁性層2、中間層3および第2の磁性層4において生
じる磁気抵抗変化とを同時に測定することになる。測定
値を後者の磁気抵抗変化を主とするためには、中間層3
および第2の磁性層4の素子断面積を、中間層3aおよ
び第2の磁性層4aの素子断面積に対して十分小さく
(例えば1/100以下)すればよい。
【0078】また、これらの素子断面積の影響をなくす
ために、例えば図5のように、下部用電極7が第1の磁
性層2に直接接触する形態、図6のように、基板1とし
て導電性基板を用い、電極7が基板1を介して電流、電
圧を受ける構成としてもよい。特に図6の構成は、第1
の磁性層2の抵抗が高い場合に有効である。また図7あ
るいは図8の構成は、基板1上に下地電極8を設けた場
合で、用いる磁性体が比較的高い抵抗値を持っている、
あるいは素子に要求される素子抵抗値が低い場合に有効
である。
【0079】図9、図10、図11は、いずれも基板上
に磁化安定層9(反強磁性体、形状異方性を有する磁性
体または高保磁力を有する磁性体)を設けることで、第
1の磁性層の磁化方向を外部磁界の変化に対して固定し
たものである。このとき外部磁界に対応して磁化方向を
変化させるのは、主として第2の磁性層4となり、第1
の磁性層2、第2の磁性層4の各磁性層の磁化相対角に
対応した磁気抵抗変化が生じることになる。図9の構成
は、第1の磁性層2の抵抗値が十分低い、あるいは第1
の磁性層2と磁気安定層9との平均化した抵抗値が十分
低いときに有効であり、図10の構成は、磁化安定層9
の抵抗値が十分低いときに有効であり、図11の構成
は、基板1の抵抗値が十分低いときに有効である。
【0080】図12、図13、図14は、いずれも図9
〜図11の磁化安定層9と基板1との間に下地電極8を
設けることで、素子抵抗値の低抵抗化に有効な構成を示
している。
【0081】図15および図16は磁化安定層9が素子
上部に形成された形態を示す。図15の構成は、第1の
磁性層2が十分低抵抗の場合に有効であり、図16の構
成は、基板1が十分低抵抗の場合に有効である。
【0082】図17および図18は、図15、図16の
第1の磁性層2に接して、低抵抗の下地電極8を設けた
ものである。
【0083】なお、以上の図では、代表的な構成例のみ
を示したものであり、本発明の磁気抵抗素子は上記構成
例に限られない。例えば、各層を成長させるのに必要な
目的で用いる下地層(seed層)を基板上に接して形成し
てもよく、各磁性層に異なる特性の磁性体を複合化また
は多層化したものを用いて特性を改善してもよく、磁化
安定層に異なる特性の磁性体を複合化または多層化した
ものを用いてもよい。
【0084】
【実施例】(実施例1)本実施例では、高い磁気抵抗変
化率を示す強い磁性を有する酸化物、言い換えれば高い
スピン分極率を有する材料について検討した。本実施例
では、種々の材料を磁性層として、図8と同様の構成の
磁気抵抗素子を、マグネトロンスパッタリング法とリソ
グラフィー法とを用いて作製した。用いた材料を、膜
厚、成膜条件とともに、下記に示す。
【0085】[使用材料、膜厚、成膜温度] 基板1: LaAlO3、 第1の磁性層2:種々の酸化物材料、厚み50nm、成
膜温度550〜750℃ 中間層3: SrTiO3、厚み5nm、成膜温度
650℃ 第2の磁性層4:Fe、10nm、成膜温度室温 絶縁体5: SiO2、成膜温度室温 上部用電極6: Pt、成膜温度室温 下部用電極7: Pt、成膜温度室温 下地電極8: Pt、成膜温度600℃
【0086】また、第1の磁性層と第2の磁性層とは、
それぞれ磁場中で成膜することにより、面内に一軸異方
性を形成した。なお、第1の磁性層と第2の磁性層の磁
化容易軸方向は直交するように形成した。また、酸化物
材料を作製する場合、スパッタガスは標準条件として、
Ar:O2=9:1の条件とした。なお、酸素量が少な
いほど表面性は良くなった。また、酸素量が少ないと成
膜後酸素雰囲気中で熱処理することにより、高い表面性
と結晶性が得られることがわかった。
【0087】種々の酸化物を検討した結果、高い磁気抵
抗変化が生じ、強い磁性を有する酸化物材料は、いずれ
もABO3で表されるペロブスカイト結晶構造を有する
ことがX線回折等の分析で明らかになった。また、XP
S(光電子分光)により、それぞれのイオンの価数を調
べた結果に基づき、この物質の化学式をA226と書
き換え、さらにAサイトに入るイオンをA1、A2、Bサ
イトに入るイオンをB 1、B2とおき、それぞれのサイト
に入るイオンのうち、B1およびB2イオンのd電子数を
1、n2としたときの、d電子数の組み合わせ(n1
2)についてまとめて整理を行った結果を表1に示
す。
【0088】なお、下記酸化物材料を磁性体として用い
た素子のI−V特性を測定したところ、いずれもトンネ
ル電流特有の傾向を示した。中間層が絶縁トンネル障壁
になっているものと思われる。
【0089】ここで、A+はK+、Na+等のアルカリ金
属のイオンを、A2+はBa2+、Sr2 +、Ca2+等のアル
カリ土類金属のイオン、Cd2+またはPb2+を、A3+
La3 +等の希土類のイオンである。表1では、A1、A
2 、B1、B2イオンの電荷の合計は+12となる。
【0090】 (表1) ―――――――――――――――――――――――――――― (n1、n2) A1 2 1 2 ―――――――――――――――――――――――――――― (4,1) A2+2+ Cr2+ Mn6+ (4,1) A3+1+ Cr2+ Mn6+ (4,1) A2+2+ Cr2+ Tc6+ (4,1) A3+1+ Cr2+ Tc6+ (4,1) A3+3+ Mn3+ Ti3+ (4,1) A2+1+ Mn3+ Mn6+ (4,1) A2+1+ Mn3+ Tc6+ (4,1) A3+2+ Ru4+ Ti3+ (4,1) A1+1+ Ru4+ Mn6+ (4,1) A1+1+ Ru4+ Tc6+ (4,1) A2+1+ Pd6+ Ti3+ (4,1) A3+2+ Os4+ Ti3+ (4,1) A1+1+ Os4+ Mn6+ (4,2) A2+2+ Cr2+ Ru6+ (4,2) A3+1+ Cr2+ Ru6+ (4,2) A2+1+ Mn3+ Ru6+ (4,2) A1+1+ Ru4+ Ru6+ (4,2) A1+1+ Os4+ Ru6+ (4,2) A3+2+1+ Ru6+ (4,2) A1+1+ Fe4+ Ru6+ (4,2) A3+2+ Nb1+ Ru6+ (4,2) A2+2+ Mo2+ Ru6+ (4,2) A3+1+ Mo2+ Ru6+ (4,2) A2+2+2+ Ru6+ (4,2) A3+1+2+ Ru6+ (4,2) A2+1+ Re3+ Ru6+ (4,2) A3+3+ Cr2+ Mo4+ (4,2) A3+3+ Mn3+3+ (4,2) A3+3+ Mn3+ Nb3+ (4,2) A3+2+ Mn3+ Mo4+ (4,2) A3+2+ Ru4+3+ (4,2) A3+2+ Ru4+ Nb3+ (4,2) A2+2+ Ru4+ Mo4+ (4,2) A3+1+ Ru4+ Mo4+ (4,2) A2+1+ Pd6+3+ (4,2) A2+1+ Pd6+ Nb3+ (4,2) A1+1+ Pd6+ Mo4+ (4,2) A3+2+ Os4+3+ (4,2) A3+2+ Os4+ Nb3+ (4,2) A2+2+ Os4+ Mo4+ (4,2) A3+1+ Os4+ Mo4+ (4,3) A3+3+ Mn3+ Cr3+ (4,3) A3+2+ Ru4+ Cr3+ (4,3) A2+1+ Pd6+ Cr3+ (4,3) A3+2+ Os4+ Cr3+ (4,3) A3+2+ Fe4+ Cr3+ (4,3) A2+2+ Co5+ Cr3+ (4,3) A3+1+ Co5+ Cr3+ (4,3) A3+3+ Re3+ Cr3+ (4,3) A2+1+ Pt6+ Cr3+ (4,3) A3+3+ Cr2+ Mn4+ (4,3) A3+3+ Cr2+ Re4+ (4,3) A3+2+ Mn3+ Mn4+ (4,3) A3+3+ Mn3+ Mo3+ (4,3) A3+2+ Mn3+ Re4+ (4,3) A2+2+ Ru4+ Mn4+ (4,3) A3+1+ Ru4+ Mn4+ (4,3) A3+2+ Ru4+ Mo3+ (4,3) A2+2+ Ru4+ Re4+ (4,3) A3+1+ Ru4+ Re4+ (4,3) A1+1+ Pd6+ Mn4+ (4,3) A2+1+ Pd6+ Mo3+ (4,3) A1+1+ Pd6+ Re4+ (4,3) A2+2+ Os4+ Mn4+ (4,3) A3+1+ Os4+ Mn4+ (4,3) A3+2+ Os4+ Mo3+ (4,3) A2+2+ Os4+ Re4+ (4,3) A3+1+ Os4+ Re4+ (5,1) A2+2+ Mn2+ Mn6+ (5,1) A3+1+ Mn2+ Mn6+ (5,1) A2+2+ Mn2+ Tc6+ (5,1) A3+1+ Mn2+ Tc6+ (5,1) A3+3+ Fe3+ Ti3+ (5,1) A2+1+ Fe3+ Mn6+ (5,1) A2+1+ Fe3+ Tc6+ (5,1) A3+2+ Ir4+ Ti3+ (5,1) A1+1+ Ir4+ Mn6+ (5,1) A1+1+ Ir4+ Tc6+ (5,1) A3+3+ Mn2+4+ (5,1) A3+3+ Mn2+ Nb4+ (5,1) A3+2+ Mn2+ Mo5+ (5,1) A3+3+ Mn2+ Ta4+ (5,1) A3+2+ Mn2+5+ (5,1) A2+2+ Mn2+ Re6+ (5,1) A3+1+ Mn2+ Re6+ (5,1) A3+2+ Fe3+4+ (5,1) A3+3+ Fe3+ Zr3+ (5,1) A3+2+ Fe3+ Nb4+ (5,1) A2+2+ Fe3+ Mo5+ (5,1) A3+1+ Fe3+ Mo5+ (5,1) A3+3+ Fe3+ Hf3+ (5,1) A3+2+ Fe3+ Ta4+ (5,1) A2+2+ Fe3+5+ (5,1) A3+1+ Fe3+5+ (5,1) A2+1+ Fe3+ Re6+ (5,1) A2+2+ Ir4+4+ (5,1) A3+1+ Ir4+4+ (5,1) A3+2+ Ir4+ Zr3+ (5,1) A2+2+ Ir4+ Nb4+ (5,1) A3+1+ Ir4+ Nb4+ (5,1) A2+1+ Ir4+ Mo5+ (5,1) A3+2+ Ir4+ Hf3+ (5,1) A2+2+ Ir4+ Ta4+ (5,1) A3+1+ Ir4+ Ta4+ (5,1) A2+1+ Ir4+5+ (5,1) A1+1+ Ir4+ Re6+ (5,1) A3+3+ Ru3+ Ti3+ (5,1) A2+1+ Ru3+ Mn6+ (5,1) A2+1+ Ru3+ Tc6+ (5,1) A3+3+ Os3+ Ti3+ (5,1) A2+1+ Os3+ Mn6+ (5,1) A2+1+ Os3+ Tc6+ (5,2) A2+2+ Mn2+ Ru6+ (5,2) A3+1+ Mn2+ Ru6+ (5,2) A2+1+ Fe3+ Ru6+ (5,2) A1+1+ Ir4+ Ru6+ (5,2) A3+3+ Mn2+ Mo4+ (5,2) A3+3+ Fe3+3+ (5,2) A3+3+ Fe3+ Nb3+ (5,2) A3+2+ Fe3+ Mo4+ (5,2) A3+2+ Ir4+3+ (5,2) A3+2+ Ir4+ Nb3+ (5,2) A2+2+ Ir4+ Mo4+ (5,2) A3+1+ Ir4+ Mo4+ (5,2) A3+2+ Mn2+ Mn5+ (5,2) A2+2+ Mn2+ Fe6+ (5,2) A3+1+ Mn2+ Fe6+ (5,2) A3+2+ Mn2+ Tc5+ (5,2) A3+3+ Mn2+4+ (5,2) A3+2+ Mn2+ Re5+ (5,2) A2+2+ Mn2+ Os6+ (5,2) A3+1+ Mn2+ Os6+ (5,2) A2+2+ Fe3+ Mn5+ (5,2) A3+1+ Fe3+ Mn5+ (5,2) A2+1+ Fe3+ Fe6+ (5,2) A2+2+ Fe3+ Tc5+ (5,2) A3+1+ Fe3+ Tc5+ (5,2) A3+3+ Fe3+ Ta3+ (5,2) A3+2+ Fe3+4+ (5,2) A2+2+ Fe3+ Re5+ (5,2) A3+1+ Fe3+ Re5+ (5,2) A2+1+ Fe3+ Os6+ (5,2) A3+3+ Ir4+ Ti2+ (5,2) A2+1+ Ir4+ Mn5+ (5,2) A1+1+ Ir4+ Fe6+ (5,2) A3+3+ Ir4+ Zr2+ (5,2) A2+1+ Ir4+ Tc5+ (5,2) A3+3+ Ir4+ Hf2+ (5,2) A3+2+ Ir4+ Ta3+ (5,2) A2+2+ Ir4+4+ (5,2) A3+1+ Ir4+4+ (5,2) A2+1+ Ir4+ Re5+ (5,2) A1+1+ Ir4+ Os6+ (5,2) A2+1+ Ru3+ Ru6+ (5,2) A2+1+ Os3+ Ru6+ (5,2) A3+2+ Cr1+ Ru6+ (5,2) A1+1+ Co4+ Ru6+ (5,2) A3+2+ Mo1+ Ru6+ (5,2) A2+2+ Tc2+ Ru6+ (5,2) A3+1+ Tc2+ Ru6+ (5,2) A1+1+ Rh4+ Ru6+ (5,2) A3+2+1+ Ru6+ (5,2) A2+2+ Re2+ Ru6+ (5,2) A3+1+ Re2+ Ru6+ (5,2) A3+3+ Ru3+3+ (5,2) A3+3+ Ru3+ Nb3+ (5,2) A3+2+ Ru3+ Mo4+ (5,2) A3+3+ Os3+3+ (5,2) A3+3+ Os3+ Nb3+ (5,2) A3+2+ Os3+ Mo4+ (5,3) A3+3+ Fe3+ Cr3+ (5,3) A3+2+ Ir4+ Cr3+ (5,3) A3+3+ Mn2+ Mn4+ (5,3) A3+3+ Mn2+ Re4+ (5,3) A3+2+ Fe3+ Mn4+ (5,3) A3+3+ Fe3+ Mo3+ (5,3) A3+2+ Fe3+ Re4+ (5,3) A2+2+ Ir4+ Mn4+ (5,3) A3+1+ Ir4+ Mn4+ (5,3) A3+2+ Ir4+ Mo3+ (5,3) A2+2+ Ir4+ Re4+ (5,3) A3+1+ Ir4+ Re4+ (5,3) A3+2+ Mn2+ Fe5+ (5,3) A3+3+ Mn2+ Tc4+ (5,3) A2+2+ Mn2+ Ir6+ (5,3) A3+1+ Mn2+ Ir6+ (5,3) A2+2+ Fe3+ Fe5+ (5,3) A3+1+ Fe3+ Fe5+ (5,3) A3+2+ Fe3+ Tc4+ (5,3) A3+3+ Fe3+3+ (5,3) A2+1+ Fe3+ Ir6+ (5,3) A3+3+ Ir4+2+ (5,3) A2+1+ Ir4+ Fe5+ (5,3) A3+3+ Ir4+ Nb2+ (5,3) A2+2+ Ir4+ Tc4+ (5,3) A3+1+ Ir4+ Tc4+ (5,3) A3+3+ Ir4+ Ta2+ (5,3) A3+2+ Ir4+3+ (5,3) A1+1+ Ir4+ Ir6+ (5,3) A3+3+ Ru3+ Cr3+ (5,3) A3+3+ Os3+ Cr3+ (5,3) A3+2+ Co4+ Cr3+ (5,3) A3+2+ Rh4+ Cr3+ (5,3) A3+2+ Ru3+ Mn4+ (5,3) A3+3+ Ru3+ Mo3+ (5,3) A3+3+ Ru2+ Re4+ (5,3) A3+2+ Os3+ Mn4+ (5,3) A3+3+ Os3+ Mo3+ (5,3) A3+3+ Os2+ Re4+ ――――――――――――――――――――――――――――
【0091】上記では、A226なるペロブスカイト
構造を有する材料を、(A1 2(1-z) 2 2z)(B1 2(1-x)
2 2x)O6と表記した場合、x、zがともに0.5であ
る材料について示したが、実質的に電荷の中性が保たれ
れば、x、zは0.5に限られない。具体的には、0.
3≦x≦0.7、0≦z≦1で同様の効果が得られる。
【0092】上記材料を用いた場合の磁気抵抗変化率
は、Co50Fe50を第1の磁性体に用いた場合の磁気抵
抗変化率よりも、5%以上高くなった。なお、上記磁気
抵抗変化率は、印加磁界を1000Oeとし、室温での
測定結果である。
【0093】(実施例2)本実施例でも、引き続き、高
い磁気抵抗変化率を示す強い磁性を有する酸化物、言い
換えれば高いスピン分極率を有する材料について検討し
た。検討の方法は、実施例1と同様とした。ただし、基
板には、SrTiO3を用いた。
【0094】種々の酸化物を検討した結果、高い磁気抵
抗変化が生じ、強い磁性を有する酸化物材料は、いずれ
もDEO3で表されるペロブスカイト結晶構造を有する
ことがX線回折等の分析で明らかになった。また、XP
S(光電子分光)により、それぞれのイオンの価数を調
べた結果に基づき、この物質の化学式をD226と書
き換え、さらにDサイトに入るイオンをD1、D2、Eサ
イトに入るイオンをE 1、E2とおき、それぞれのサイト
に入るイオンのうち、E1およびE2イオンのd電子数を
3、n4としたときの、d電子数の組み合わせ(n3
4)についてまとめて整理を行った結果を表2に示
す。
【0095】なお、下記酸化物材料を磁性体として用い
た素子のI−V特性を測定したところ、いずれもトンネ
ル電流特有の傾向を示した。中間層が絶縁トンネル障壁
になっているものと思われる。
【0096】ここで、D+はK+、Na+等のアルカリ金
属のイオンを、D2+はBa2+、Sr2 +、Ca2+等のアル
カリ土類金属のイオン、Cd2+またはPb2+を、D3+
La3 +等の希土類のイオンである。表2では、D1
2、E1、E2イオンの電荷の合計は+12となる。
【0097】 (表2) ―――――――――――――――――――――――――――― (n1、n2) D1 2、 E1、 E2 ―――――――――――――――――――――――――――― (4,5) D3+3+ Cr2+ Ir4+ (4,5) D3+3+ Mn3+ Fe3+ (4,5) D3+2+ Mn3+ Ir4+ (4,5) D3+3+ Ru4+ Mn2+ (4,5) D3+2+ Ru4+ Fe3+ (4,5) D2+2+ Ru4+ Ir4+ (4,5) D3+1+ Ru4+ Ir4+ (4,5) D2+2+ Pd6+ Mn2+ (4,5) D3+1+ Pd6+ Mn2+ (4,5) D2+1+ Pd6+ Fe3+ (4,5) D1+1+ Pd6+ Ir4+ (4,5) D3+3+ Os4+ Mn2+ (4,5) D3+2+ Os4+ Fe3+ (4,5) D2+2+ Os4+ Ir4+ (4,5) D3+1+ Os4+ Ir4+ (4,5) D3+3+ Fe4+ Mn2+ (4,5) D3+2+ Fe4+ Fe3+ (4,5) D2+2+ Fe4+ Ir4+ (4,5) D3+1+ Fe4+ Ir4+ (4,5) D3+2+ Co5+ Mn2+ (4,5) D2+2+ Co5+ Fe3+ (4,5) D3+1+ Co5+ Fe3+ (4,5) D2+1+ Co5+ Ir4+ (4,5) D3+3+ Mo2+ Ir4+ (4,5) D3+3+2+ Ir4+ (4,5) D3+3+ Re3+ Fe3+ (4,5) D3+2+ Re3+ Ir4+ (4,5) D2+2+ Pt6+ Mn2+ (4,5) D3+1+ Pt6+ Mn2+ (4,5) D2+1+ Pt6+ Fe3+ (4,5) D1+1+ Pt6+ Ir4+ (4,5) D3+3+ Mn3+ Ru3+ (4,5) D3+3+ Mn3+ Os3+ (4,5) D3+2+ Ru4+ Ru3+ (4,5) D3+2+ Ru4+ Os3+ (4,5) D2+1+ Pd6+ Ru3+ (4,5) D2+1+ Pd6+ Os3+ (4,5) D3+2+ Os4+ Ru3+ (4,5) D3+2+ Os4+ Os3+ (4,6) D3+3+ Cr2+ Pt4+ (4,6) D3+3+ Mn3+ Rh3+ (4,6) D3+2+ Mn3+ Pt4+ (4,6) D3+2+ Ru4+ Rh3+ (4,6) D2+2+ Ru4+ Pt4+ (4,6) D3+1+ Ru4+ Pt4+ (4,6) D3+2+ Ru4+ Rh3+ (4,6) D1+1+ Pd6+ Pt4+ (4,6) D2+1+ Pd6+ Rh3+ (4,6) D1+1+ Pd6+ Pt4+ (4,6) D3+2+ Os4+ Rh3+ (4,6) D2+2+ Os4+ Pt4+ (4,6) D3+1+ Os4+ Pt4+ (4,6) D3+2+ Fe4+ Rh3+ (4,6) D2+2+ Fe4+ Pt4+ (4,6) D3+1+ Fe4+ Pt4+ (4,6) D2+2+ Co5+ Rh3+ (4,6) D3+1+ Co5+ Rh3+ (4,6) D2+1+ Co5+ Pt4+ (4,6) D3+3+ Mo2+ Pt4+ (4,6) D3+3+2+ Pt4+ (4,6) D3+3+ Re3+ Rh3+ (4,6) D3+2+ Re3+ Pt4+ (4,6) D2+1+ Pt6+ Rh3+ (4,6) D1+1+ Pt6+ Pt4+ (4,6) D3+3+ Cr2+ Pd4+ (4,6) D3+3+ Mn3+ Co3+ (4,6) D3+2+ Mn3+ Pd4+ (4,6) D3+3+ Mn3+ Ir3+ (4,6) D3+3+ Ru4+ Fe2+ (4,6) D3+2+ Ru4+ Co3+ (4,6) D2+2+ Ru4+ Pd4+ (4,6) D3+1+ Ru4+ Pd4+ (4,6) D3+3+ Ru4+ Os2+ (4,6) D3+2+ Ru4+ Ir3+ (4,6) D2+2+ Pd6+ Fe2+ (4,6) D3+1+ Pd6+ Fe2+ (4,6) D2+1+ Pd6+ Co3+ (4,6) D1+1+ Pd6+ Pd4+ (4,6) D3+2+ Pd6+ Re1+ (4,6) D2+2+ Pd6+ Os2+ (4,6) D3+1+ Pd6+ Os2+ (4,6) D2+1+ Pd6+ Ir3+ (4,6) D3+3+ Os4+ Fe2+ (4,6) D3+2+ Os4+ Co3+ (4,6) D2+2+ Os4+ Pd4+ (4,6) D3+1+ Os4+ Pd4+ (4,6) D3+3+ Os4+ Os2+ (4,6) D3+2+ Os4+ Ir3+ (4,7) D3+3+ Ru4+ Co2+ (4,7) D2+2+ Pd6+ Co2+ (4,7) D3+1+ Pd6+ Co2+ (4,7) D3+3+ Os4+ Co2+ (4,7) D3+3+ Fe4+ Co2+ (4,7) D3+2+ Co5+ Co2+ (4,7) D2+2+ Pt6+ Co2+ (4,7) D3+1+ Pt6+ Co2+ (4,7) D3+3+ Mn3+ Ni3+ (4,7) D3+2+ Ru4+ Ni3+ (4,7) D2+1+ Pd6+ Ni3+ (4,7) D3+2+ Os4+ Ni3+ (4,8) D3+3+ Ru4+ Ni2+ (4,8) D3+3+ Ru4+ Pd2+ (4,8) D2+2+ Pd6+ Ni2+ (4,8) D3+1+ Pd6+ Ni2+ (4,8) D2+2+ Pd6+ Pd2+ (4,8) D3+1+ Pd6+ Pd2+ (4,8) D3+3+ Os4+ Ni2+ (4,8) D3+3+ Os4+ Pd2+ (4,8) D3+3+ Fe4+ Ni2+ (4,8) D3+3+ Fe4+ Pd2+ (4,8) D3+2+ Co5+ Ni2+ (4,8) D3+2+ Co5+ Pd2+ (4,8) D2+2+ Pt6+ Ni2+ (4,8) D3+1+ Pt6+ Ni2+ (4,8) D2+2+ Pt6+ Pd2+ (4,8) D3+1+ Pt6+ Pd2+ (4,8) D3+3+ Mn3+ Au3+ (4,8) D3+3+ Ru4+ Pt2+ (4,8) D3+2+ Ru4+ Au3+ (4,8) D2+2+ Pd6+ Pt2+ (4,8) D3+1+ Pd6+ Pt2+ (4,8) D2+1+ Pd6+ Au3+ (4,8) D3+3+ Os4+ Pt2+ (4,8) D3+2+ Os4+ Au3+ (5,6) D3+3+ Mn2+ Pt4+ (5,6) D3+3+ Fe3+ Rh3+ (5,6) D3+2+ Fe3+ Pt4+ (5,6) D3+2+ Ir4+ Rh3+ (5,6) D2+2+ Ir4+ Pt4+ (5,6) D3+1+ Ir4+ Pt4+ (5,6) D3+3+ Ru3+ Ph3+ (5,6) D3+2+ Ru3+ Pt4+ (5,6) D3+3+ Os3+ Ph3+ (5,6) D3+2+ Os3+ Pt4+ (5,6) D3+2+ Co4+ Rh3+ (5,6) D2+2+ Co4+ Pt4+ (5,6) D3+1+ Co4+ Pt4+ (5,6) D3+3+ Tc2+ Pt4+ (5,6) D3+2+ Rh4+ Rh3+ (5,6) D2+2+ Rh4+ Pt4+ (5,6) D3+1+ Rh4+ Pt4+ (5,6) D3+3+ Re2+ Pt4+ (5,6) D3+3+ Mn2+ Pd4+ (5,6) D3+3+ Fe3+ Co3+ (5,6) D3+2+ Fe3+ Pd4+ (5,6) D3+3+ Fe3+ Ir3+ (5,6) D3+3+ Ir4+ Fe2+ (5,6) D3+2+ Ir4+ Co3+ (5,6) D2+2+ Ir4+ Pd4+ (5,6) D3+1+ Ir4+ Pd4+ (5,6) D3+3+ Ir4+ Os2+ (5,6) D3+2+ Ir4+ Ir3+ (5,6) D3+3+ Ru3+ Co3+ (5,6) D3+3+ Ru3+ Pd4+ (5,6) D3+3+ Ru3+ Ir3+ (5,6) D3+3+ Os3+ Co3+ (5,6) D3+3+ Os3+ Pd4+ (5,6) D3+3+ Os3+ Ir3+ (5,7) D3+3+ Ir4+ Co2+ (5,7) D3+3+ Co4+ Co2+ (5,7) D3+3+ Rh4+ Co2+ (5,7) D3+3+ Fe3+ Ni3+ (5,7) D3+2+ Ir4+ Ni3+ (5,7) D3+3+ Fe3+ Pd3+ (5,7) D3+3+ Fe3+ Pt3+ (5,7) D3+3+ Ir4+ Rh2+ (5,7) D3+2+ Ir4+ Pd3+ (5,7) D3+3+ Ir4+ Ir2+ (5,7) D3+2+ Ir4+ Pt3+ (5,7) D3+3+ Ru3+ Ni3+ (5,7) D3+3+ Os3+ Ni3+ (5,8) D3+3+ Ir4+ Ni2+ (5,8) D3+3+ Ir4+ Pd2+ (5,8) D3+3+ Co4+ Ni2+ (5,8) D3+3+ Co4+ Ni2+ (5,8) D3+3+ Rh4+ Pd2+ (5,8) D3+3+ Rh4+ Pd2+ (5,8) D3+3+ Fe3+ Au3+ (5,8) D3+3+ Ir4+ Pt2+ (5,8) D3+2+ Ir4+ Au3+ (5,8) D3+3+ Fe3+ Cu3+ (5,8) D3+3+ Fe3+ Ag3+ (5,8) D3+2+ Ir4+ Cu3+ (5,8) D3+2+ Ir4+ Ag3+ (5,8) D3+3+ Ru3+ Au3+ (5,8) D3+3+ Os3+ Au3+ ――――――――――――――――――――――――――――
【0098】上記では、D226なるペロブスカイト
構造を有する材料を、(D1 2(1-z) 2 2z)(E1 2(1-y)
2 2y)O6と表記した場合、y、zがともに0.5であ
る材料について示したが、実質的に電荷の中性が保たれ
れば、y、zは0.5に限られない。具体的には、0.
3≦y≦0.7、0≦z≦1で同様の効果が得られる。
Cd2+、Pb2+、D3+はLa3+等の希土類のイオンであ
る。
【0099】上記材料を用いた場合の磁気抵抗変化率
は、Co50Fe50を第1の磁性体に用いた場合の磁気抵
抗変化率よりも、5%以上高くなった。なお、上記磁気
抵抗変化率は、印加磁界を1000Oeとし、室温での
測定結果である。
【0100】(実施例3)実施例1および2に示した材
料組成からなる原材料紛を、通常のセラミックスプロセ
ス、即ち、原材料の粉砕、混合、乾燥、仮焼成、粉砕、
造粒、成形、焼結の一連のプロセスにより合成した。焼
結温度は1300℃〜1700℃とした。合成したセラ
ミックス材料をX線で調べたところ、いずれもペロブス
カイト構造を示した。またこれらの試料の破断面をサー
マルエッチング後にSEM観察を行ったところ、多結晶
構造を持つことが分かった。また同一材料では、焼結温
度が低いほど粒径が小さく粒界が多いことが確認でき
た。
【0101】直径2mm、厚み1mmに成形された各試
料の両極にAu電極を蒸着し、磁界中(最大印加磁界:
2T)での磁気抵抗変化を調べた。いずれのサンプルも
磁界が強くなるに従って抵抗率が低下する傾向が見られ
た。また、同一材料では、結晶粒径が小さくなるに従っ
て高い磁気抵抗変化率を示した。これは無磁界中では結
晶磁気異方性等に従いランダムに配向していた磁化が揃
うことで、粒界を通じた電子が伝導しやすくなったため
であると思われる。
【0102】なお、上記実施例1,2において、Aイオ
ンとしては、特に限定されないが、ペロブスカイト構造
を構成しやすいイオン半径を有するLa3+、Ba2+、P
2+、Sr2+、K+等が好ましい。
【0103】(実施例4)本実施例では、図14に準
じ、マグネトロンスパッタリング法とリソグラフィー法
により素子を作製した。用いた材料を、膜厚、成膜条件
とともに、下記に示す。 [使用材料、膜厚、成膜温度] 基板1: SrTiO3 (001)面 第1の磁性層2:Sr2(RuMn)O6ペロブスカイト
酸化物 厚み50nm、 成膜温度550〜750℃ 中間層3: SrTiO3、厚み5nm、成膜温度
650℃ 第2の磁性層4:第1の磁性層と同じ酸化物材料、厚み
50nm 絶縁体5: SiO2 成膜温度室温 上部用電極6: Pt、成膜温度室温 下部用電極7: Pt、成膜温度室温 下地電極8: Pt、成膜温度400〜750℃ 磁化安定層9: SrFeO3(ペロブスカイト反強磁
性)、厚み30nm
【0104】磁気抵抗変化率は、40%となった。ここ
でも、上記磁気抵抗変化率は、印加磁界を1000Oe
とし、室温での測定結果である。
【0105】(実施例5)さらに、図18に準じ、マグ
ネトロンスパッタリング法とリソグラフィ−法により素
子を作製した。用いた材料を、膜厚、成膜条件ととも
に、下記に示す。 [使用材料、膜厚、成膜温度] 基板1: SrTiO3(001)面 第1の磁性層2:Sr2(MnPt)O6ペロブスカイト
酸化物 厚み50nm、 成膜温度550〜750℃ 中間層3: SrTiO3、厚み5nm、成膜温度
650℃ 第2の磁性層4:基板側より、第1の磁性層と同じ酸化
物薄膜(厚み50nm、成膜温度550〜750℃)と
NiFe(厚み20nm、成膜温度室温)の積層構成
(交互に(2)層ずつ積層) 絶縁体5: SiO2、成膜温度室温 上部用電極6: Pt、成膜温度室温 下部用電極7: Pt、成膜温度室温 下地電極8: Pt、成膜温度400〜750℃ 磁化安定層9: FeMn、厚み45nm、成膜温度室
【0106】磁気抵抗変化率は、35%となった。ここ
でも、上記磁気抵抗変化率は、印加磁界を1000Oe
とし、室温での測定結果である。
【0107】酸化物材料を作製する場合のスパッタガス
は標準条件として、Ar:O2=9:1の条件で作製を
行った。このとき、O2が少ないほど表面性が良く、酸
素量が少ない場合には、成膜後酸素雰囲気中で熱処理
(例えば(300)〜(450)℃)することにより高
い表面性と結晶性が得られることがわかった。
【0108】また、下地電極を作製する際にも、スパッ
タガスをAr:O2=9:1の条件で作製した。このよ
うに不活性ガスに酸素を若干添加することにより、下地
電極は、基板面と同じ配向面である(001)面に配向
するとともに、エピタキシャル成長し易くなった。この
傾向は、Ptばかりでなく、Au、Ru、Rh、Pd、
Irでも同様であった。また基板温度は400℃〜75
0℃の範囲で基板面方位に配向した。
【0109】それぞれの磁性層、磁化安定層には、一軸
磁場中で成膜することにより、一軸異方性を付与した。
ここで、図14の構成(実施例4)では磁化安定層と第
1の磁性層を同一方向の磁場中で成膜し、また図18の
構成(実施例5)では磁化安定層と第2の磁性層を同一
方向の磁場中で成膜した。またさらに第1の磁性層と第
2の磁性層の磁化容易軸方向は互いに直交関係になるよ
うに磁場方向を変えて成膜した。
【0110】作製した素子のヒステリシスループより、
図14の構成に準じた素子では第1の磁性層が、また図
18の構成に準じた素子では第2の磁性層全体が、残り
の磁性層よりも外部印加磁界に対して磁化が強く固定さ
れていることがわかった。これは、それぞれの磁化安定
層の交換結合磁界によるものと思われる。同様のピン止
め効果は、磁化安定層に上記の反強磁性膜の他、CoP
tなどの高保磁力材料を用いた場合、あるいは、磁化安
定層に1T以上の高い飽和磁化を強磁性材料を用い、こ
れに形状異方性を付与した場合においても確認できた。
【0111】また上記実施例のうち、図14の構成で
は、磁化安定層に用いた、ペロブスカイト反強磁性膜と
してSrFeO3を用いたが、この他にも、BiCr
3、CaRuO3、Sr2NiMoO6、LaFeO3
PrFeO3、NdFeO3、SmFeO3、EuFe
3、GdFeO3、TbFeO3、DyFeO3、YFe
O3、HoFeO3、ErFeO3、TmFeO3、Yb
FeO3、LuFeO3、LaCrO3、PrCrO3、N
dCrO3、SmCrO3、BiFeO3、PbCrO3
La0.9Bi0.1CrO3、SrFe0.5Mo0.53等のペ
ロブスカイト構造を有する反強磁性体を、同様に、磁化
安定層として用いることができた。
【0112】また磁気抵抗素子として、反強磁性膜の伝
導性を高めるために、これらの材料に微量元素を添加す
る、酸素欠陥を生成する等して低抵抗化を行うことも可
能である。また図18の構成では、磁化安定層となるペ
ロブスカイト反強磁性膜としてFeMnを用いたが、こ
の他に、Ni−Mn、Pd−Mn、Pt−Mn、Ir−
Mn、Fe−Ir、Cr−Al、Cr−Mn−Pt、F
e−Mn−Rh、Pd−Pt−Mn、Ru−Rh−M
n、Mn−Ru、Cr−Al等でも同様の効果が得られ
る。
【0113】また、図14の構成では、上記成膜条件で
形成した、Pt下地電極、磁化安定層、第1の磁性層、
中間層、第3の磁性層は、いずれも基板面と同一方位に
エピタキシャル成長をしており、また図18の構成にお
いても、Pt下地電極、第1の磁性層、中間層、第3の
磁性層は、基板面と同一方位にエピタキシャル成長をし
ており、その結果高い磁気抵抗変化率が得られた。一
方、成膜条件を変更してこれらの層を形成し、結晶性を
低下させたところ、磁気抵抗変化率が小さくなる傾向が
見られた。上記両実施例の素子のI−V特性を測定した
ところ、いずれもトンネル電流特有の傾向を示してい
た。中間層が絶縁トンネル障壁になっているためと思わ
れる。
【0114】(実施例6)図8に準じ、マグネトロンス
パッタリング法とリソグラフィ−法により素子を作製し
た。用いた材料を、膜厚、成膜条件とともに、下記に示
す。 [使用材料、膜厚、成膜温度] 基板1: SrTiO3 第1の磁性層2:基板側より、Ba2(RuIr)O6
ロブスカイト酸化物(厚み50nm、成膜温度550〜
750℃)と、FeCo金属強磁性膜(厚み10nm、
成膜温度室温)との積層構成(交互に2層ずつ積層) 中間層3: Al膜(厚み3nm、成膜温度室温)
を50mTorrの酸素雰囲気 中でプラズ
マ酸化して得たアモルファス構造のAl23 第2の磁性層4:Fe、厚み10nm 成膜温度室温。 絶縁体5: SiO2、成膜温度室温 上部用電極6: Pt、成膜温度室温 下部用電極7: Pt、成膜温度室温 下地電極8: Pt、成膜温度600℃
【0115】磁気抵抗変化率は、45%となった。ここ
でも、上記磁気抵抗変化率は、印加磁界を1000Oe
とし、室温での測定結果である。
【0116】第1の磁性層および第2の磁性層は、それ
ぞれ磁場中で成膜することにより、面内に一軸異方性を
形成した。ここで、第1の磁性層と第2の磁性層の磁化
容易軸方向は直交するように形成している。第1の磁性
層として、FeCoを10nmのみとした磁気抵抗素子
と磁気抵抗変化率を比較したところ、本実施例の磁気抵
抗変化率は、明らかに増大していた。これは、高いスピ
ン分極率を有する本発明の酸化物から導電した電子が、
通常のFeCo内よりも高いスピン分極率を維持したた
めであると思われる。また本実施例の素子のI−V特性
を測定したところ、いずれもトンネル電流特有の傾向を
示した。これは、中間層が絶縁トンネル障壁になってい
るためと思われる。本実施例では、強い磁性を持つペロ
ブスカイト酸化物層と強磁性金属層とが積層された構造
について述べたが、同様の効果は、強い磁性を持つペロ
ブスカイト酸化物相と強磁性金属相よりなる複合相構造
を形成することにより達成できる。
【0117】(実施例7)図18に準じ、マグネトロン
スパッタリング法とリソグラフィ−法により素子を作製
した。用いた材料を、膜厚、成膜条件とともに、下記に
示す。ただし、図18の中間層を第1の中間層として、
第2の磁性層を、基板側から第2の磁性層、第2の中間
層および第3の磁性層により構成した。 [使用材料、膜厚、成膜温度] 基板1: SrTiO3(001)面 第1の磁性層2: 基板側より、La2(IrCr)
6ペロブスカイト酸化物(厚み20nm、成膜温度5
50〜750℃)と、Fe磁性膜(厚み5nm、成膜温
度室温)との積層構成(交互に2層ずつ積層) (第1の)中間層3:Al膜(厚み3nm、成膜温度室
温)を50mTorrの酸素雰 囲気中
でプラズマ酸化して得たアモルファスAl23 第2の磁性層4: 基板側より、第2の磁性層、第2
の中間層、第3の磁性層を形成、第2の磁性層はCoF
e(厚み2nm)、第2の中間層はRu(厚み0.7n
m)、第3の磁性層はCoFe(厚み2nm) 絶縁体5: SiO2、成膜温度室温 上部用電極6: Pt、成膜温度室温 下部用電極7: Pt、成膜温度室温 下地電極8: Pt、成膜温度400〜750℃ 磁化安定層9: FeMn(厚み30nm、成膜温
度室温)
【0118】磁気抵抗変化率は、40%となった。ここ
でも、上記磁気抵抗変化率は、印加磁界を1000Oe
とし、室温での測定結果である。
【0119】一軸磁場中で成膜することで第1の磁性層
と第2の磁性層の磁化容易軸方向は互いに直交関係にな
るように磁場方向を変えて成膜した。本実施例で作製し
た磁気抵抗素子の構造で、第2の中間層および第2の磁
性層を持たない素子と比較検討した。その結果、本実施
例の磁気抵抗素子では、第2の磁性層が外部磁界に対し
て、さらに磁化反転しにくいことがわかった。即ち、外
部磁界の外乱等に対して磁化回転が安定な素子となっ
た。また本実施例の素子のI−V特性を測定したとこ
ろ、いずれれもトンネル電流特有の傾向を示した。これ
は第1の中間層が絶縁トンネル障壁になっているためと
思われる。
【0120】(実施例8)図8に準じ、マグネトロンス
パッタリング法とリソグラフィ−法により構成A、構成
B、構成Cの素子を作製した。用いた材料を、膜厚、成
膜条件とともに、下記に示す。 [使用材料、膜厚、成膜温度] 構成Aとして、 基板1: SrTiO3 第1の磁性層2: 基板側より、Sr2(MnRe)
6ペロブスカイト酸化物(厚み50nm、成膜温度5
50〜750℃)と、FeCo金属強磁性膜(厚み10
nm、成膜温度室温)との積層構成(交互に3層ずつ積
層) 中間層3: Ar+O2混合ガス雰囲気で成膜
したAl−O(厚み20n m、成
膜温度室温)を熱処理し、Al23中にAl微結晶
を析出させて得た、数nm以下の非磁
性Al微結晶粒が薄 いAl23
覆われた複合体 第2の磁性層4: Fe(厚み10nm、成膜温度室
温) 絶縁体5: SiO2、成膜温度室温 上部用電極6: Pt、成膜温度室温 下部用電極7: Pt、成膜温度室温 下地電極8: Pt、成膜温度600℃
【0121】構成Bとして、構成Aにおいて、中間層3
を、Ar+O2混合ガス雰囲気で成膜したFe−Al−
O(厚み20nm、成膜温度室温)を熱処理し、FeA
lO酸化物中にFe微結晶をさせて得た、数nm以下の
非磁性Fe微結晶粒が薄いFeAlOで覆われた複合
体、とした素子を作製した。
【0122】構成Cとして、構成Aにおいて、中間層3
を、Arガス雰囲気で成膜したFe−Al膜(厚み10
nm、成膜温度室温)を酸素雰囲気下200〜750℃
の様々な温度で熱処理して得たFeAl膜表面にFeA
lO酸化膜を形成した複合膜、とした素子を作製した。
【0123】第1の磁性層と第2の磁性層はそれぞれ磁
場中で成膜することにより、面内に一軸異方性を形成し
た。ここで、第1の磁性層と第2の磁性層の磁化容易軸
方向は直交するように形成した。
【0124】本実施例で作製した構成A、構成Bおよび
構成Cの素子は、いずれも実施例6で示した構造で中間
層の構成のみを変えたものに相当する。実施例6の素子
と本実施例の素子を比較したところ、本実施例の素子は
さらに再現性よく高い磁気抵抗変化を示した。また本実
施例の素子のI−V特性を測定したところ、いずれもト
ンネル電流特有の傾向を示した。実施例6の素子および
本実施例の素子において、中間層はいずもトンネルバリ
アを形成しているものの、本実施例の素子では、ピンホ
ール等が形成されにくいために、高い再現性を実現でき
たと考えられる。
【0125】(実施例9)本実施例では、実施例1に提
示した(n1,n2)が(5,1)である材料の1つであ
るLa2(Mn、V)O6 (La2(Mn2+、V4+
6)について、さらに検討した。まず、LaO、Mn
O、V25を、LaとMnとVとの原子比が2:1:1
となるように秤量し、混合し、プレス成形してペレット
とした。この材料では酸素が過剰となるため、ペレット
を、還元雰囲気(酸素を0.01%混入した水素雰囲
気)中で焼成した。焼成温度は1200℃とした。ただ
し、原材料中に酸素が過剰でないときには大気中で焼成
してもよい。また、還元雰囲気として、グリーンガス等
を用いてもよく、Ti等の酸化物生成自由エネルギーが
低い材料と同時焼成しても構わない。焼成後、950℃
まで冷却し、酸素の還元量を制御しながらさらに室温ま
で徐冷した。
【0126】上記で得たペレットをターゲットとして、
スパッタ法により、STO(SrTiO3)(100)
面上に、厚さ700nmとなるように成膜した。スパッ
タ雰囲気は5mTorrのアルゴン雰囲気、基板温度は
650℃とした。成膜後、結晶性を高めて酸素量を最適
化するために、再び還元雰囲気(Ar雰囲気)900℃
で熱処理した。
【0127】こうして形成したLa2(Mn、V)O6
(ペロブスカイト膜)上に、Al膜を厚さ1.2nmと
なるように成膜し、これを大気中で24時間放置して自
然酸化させた。次いで、この膜上に、Ni80Fe20(パ
ーマロイ)を20nm成膜し、リソグラフィー技術を用
いて、ペロブスカイト膜とパーマロイ膜とが電極となる
ように、4端子素子を形成した。素子の断面積は100
cm2とした。
【0128】比較のために、上記ペロブスカイト膜に代
えて分極率が最大の金属磁性体であるCo50Fe50を用
いて同様の素子を作製した。なお、Co50Fe50の膜厚
も700nmとした。
【0129】磁気抵抗変化率(印加磁界:1000O
e、測定温度:室温)を測定したところ、上記ペロブス
カイト膜を用いた素子の磁気抵抗変化率は50%となっ
たのに対し、Co50Fe50膜を用いた素子の磁気抵抗変
化率は15%程度となった。さらに、実施例1、2で述
べた材料のうち、La2MnNbO6、La2MnMoO6
La2FePtO6、La2CoIrO6についても上記と
同様にして素子を作製したところ、いずれの材料につい
ても、磁気抵抗変化率は20%〜150%となった。
【0130】なお、ペロブスカイト材料はFeCoより
も高抵抗であるが、上記では、十分に厚い膜を形成し、
電極の微細加工を行っているために、いわゆる形状効果
は排除されている。
【0131】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
比較的高温で大きな抵抗変化率が得られる高スピン分極
率材料、およびこれを用いた磁気抵抗変化素子を提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の平面図
である。
【図2】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面図
である。
【図3】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の平面図
である。
【図4】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面図
である。
【図5】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面図
である。
【図6】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面図
である。
【図7】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面図
である。
【図8】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面図
である。
【図9】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面図
である。
【図10】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面
図である。
【図11】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面
図である。
【図12】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面
図である。
【図13】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面
図である。
【図14】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面
図である。
【図15】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面
図である。
【図16】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面
図である。
【図17】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面
図である。
【図18】 本発明の磁気抵抗変化素子の一形態の断面
図である。
【符号の説明】
1 基板 2 第1の磁性層(磁性体) 3、3a 中間層(中間体もしくは複合体) 4、4a 第2の磁性層 5 絶縁体 6 上部用電極 7 下部用電極 8 下地電極 9 磁化安定層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 10/26 H01F 10/26 (72)発明者 榊間 博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 松川 望 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 足立 秀明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5D034 BA04 BA15 DA07 5E049 AA01 AA04 AA07 AB03 AB09 AC00 AC05 BA12 BA16 CB02 DB04 DB14 DB20 HC01 MC01

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式:A(B1 1-x、B2 x)O3で表さ
    れるペロブスカイト構造を有し、前記A(B1 1-x
    2 x)O3において、 Aは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、B
    i、CdおよびPbから選ばれる少なくとも1種の元素
    のイオンであり、 B1およびB2は、遷移金属のイオンであって、3d軌
    道、4d軌道および5d軌道から選ばれるいずれかの最
    外殻d軌道に存在する電子数をそれぞれn1、n2(ただ
    し、n1≧n2)とすると、前記電子数の組み合わせ(n
    1,n2)が、(4,1)、(4,2)、(4,3)、
    (5,1)、(5,2)および(5,3)から選ばれる
    いずれかとなり、 xが0.3以上0.7以下であることを特徴とする強い
    磁性を有する酸化物。
  2. 【請求項2】 組成式:D(E1 1-y、E2 y)O3で表さ
    れるペロブスカイト構造を有し、前記D(E1 1-y
    2 y)O3において、 Dは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、B
    i、CdおよびPbから選ばれる少なくとも1種の元素
    のイオンであり、 E1およびE2は、遷移金属のイオンであって、3d軌
    道、4d軌道および5d軌道から選ばれるいずれかの最
    外殻d軌道に存在する電子数をそれぞれn3,n4(ただ
    し、n3≦n4)とすると、前記電子数の組み合わせ(n
    3,n4)が、(4,5)、(4,6)、(4,7)、
    (4,8)、(5,6)、(5,7)および(5,8)
    から選ばれるいずれかとなり、 yが0.3以上0.7以下であることを特徴とする強い
    磁性を有する酸化物。
  3. 【請求項3】 遷移金属のイオンが、4A族、5A族、
    6A族、7A族、8族および1B族から選ばれる少なく
    とも1種の元素のイオンである請求項1または2に記載
    の強磁性酸化物。
  4. 【請求項4】 少なくとも2つの磁性体と、中間体とを
    含み、前記中間体を介して前記磁性体が電気的に接続さ
    れた磁気抵抗素子であって、 前記中間体を介して電気的に接続している前記磁性体の
    少なくとも1つが、請求項1〜3のいずれかに記載の強
    磁性酸化物を主体とすることを特徴とする磁気抵抗素
    子。
  5. 【請求項5】 強磁性酸化物を主体とする磁性体と、F
    e、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素
    を含む金属強磁性体とが、中間体を介して電気的に接続
    している請求項4に記載の磁気抵抗素子。
  6. 【請求項6】 中間体を介して電気的に接続している磁
    性体の少なくとも1つが、強磁性酸化物を主体とする磁
    性体と、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも
    1種の元素を含む金属強磁性体とが接触した面を有する
    請求項4または5に記載の磁気抵抗素子。
  7. 【請求項7】 強磁性酸化物を主体とする磁性体として
    前記強磁性酸化物の結晶粒を含み、前記磁性体が前記結
    晶粒の粒界を中間体として互いに電気的に接続している
    請求項4に記載の磁気抵抗素子。
  8. 【請求項8】 中間体がアモルファス酸化物を含む請求
    項4〜7のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  9. 【請求項9】 中間体がペロブスカイト構造を有する酸
    化物を含む請求項4〜8のいずれかに記載の磁気抵抗素
    子。
  10. 【請求項10】 中間体がトンネル障壁となる請求項4
    〜9のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  11. 【請求項11】 中間体を介して電気的に接続している
    磁性体の一方が、前記磁性体の他方よりも外部印加磁界
    に対して磁化方向が変化し難い請求項4〜10のいずれ
    かに記載の磁気抵抗素子。
  12. 【請求項12】 磁化方向が変化し難い磁性体に、形状
    異方性を有する磁性体が隣接している請求項11に記載
    の磁気抵抗素子。
  13. 【請求項13】 磁化方向が変化し難い磁性体に、10
    0Oe以上の保磁力を有する磁性体が隣接している請求
    項11に記載の磁気抵抗素子。
  14. 【請求項14】 磁化方向が変化し難い磁性体に、反強
    磁性体が隣接している請求項11に記載の磁気抵抗素
    子。
  15. 【請求項15】 反強磁性体が、組成式:RQO3で表
    されるペロブスカイト結晶構造を有し、前記RQO3
    おいて、 Rは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、B
    i、CdおよびPbから選ばれる少なくとも1種の元素
    のイオンであり、 Qは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、N
    b、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、
    Os、Ir、PtおよびAuから選ばれる少なくとも1
    種の元素のイオンである請求項14に記載の磁気抵抗素
    子。
  16. 【請求項16】 導電性を有する反強磁性体を用いる請
    求項14または15に記載の磁気抵抗素子。
  17. 【請求項17】 強磁性酸化物を主体とする磁性体に電
    極が接続されており、前記電極が、Au、Ru、Rh、
    Pd、IrおよびPtから選ばれる少なくとも1種から
    なる請求項4〜16のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  18. 【請求項18】 少なくとも2つの層状の磁性体が層状
    の中間体を挟んで積層されていることにより、前記中間
    体を介して前記磁性体が電気的に接続している請求項4
    〜17のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  19. 【請求項19】 層状の中間体が磁性粒を含む複合体で
    ある請求項18に記載の磁気抵抗素子。
  20. 【請求項20】 層状の中間体が非磁性金属粒を含む複
    合体である請求項18に記載の磁気抵抗素子。
  21. 【請求項21】 少なくとも2つの磁性体と、中間体と
    を含み、前記中間体を介して前記磁性体が電気的に接続
    された磁気抵抗素子であって、 前記中間体を介して電気的に接続している前記磁性体の
    少なくとも1つが、請求項1〜3のいずれかに記載の強
    磁性酸化物を主体とする層と、強磁性金属層との積層体
    であることを特徴とする磁気抵抗素子。
  22. 【請求項22】 非磁性基板上に、第1の磁性層、第2
    の磁性層、中間層および磁化安定層を含む多層膜が形成
    され、 前記第1の磁性層および前記第2の磁性層から選ばれる
    少なくとも1つが請求項1〜3のいずれかに記載の強磁
    性酸化物を主体としており、 前記第1の磁性層および前記第2の磁性層が前記中間層
    を介して電気的に接続しており、 前記磁化安定層が、反強磁性体、形状異方性を有する磁
    性体、および100Oe以上の保磁力を有する磁性体か
    ら選ばれるいずれかであることを特徴とする磁気抵抗素
    子。
  23. 【請求項23】 少なくとも非磁性基板に接する層がペ
    ロブスカイト構造を有する請求項22に記載の磁気抵抗
    素子。
  24. 【請求項24】 第1の磁性層、第2の磁性層、中間層
    および磁化安定層が、いずれもペロブスカイト構造を有
    する請求項22または23に記載の磁気抵抗素子。
  25. 【請求項25】 非磁性基板上に、第1の磁性層、中間
    層、第2の磁性層および磁化安定層をこの順に形成した
    多層膜を含む請求項22〜24のいずれかに記載の磁気
    抵抗素子。
  26. 【請求項26】 非磁性基板上に、磁化安定層、第1の
    磁性層、中間層および第2の磁性層をこの順に形成した
    多層膜を含む請求項22〜24のいずれかに記載の磁気
    抵抗素子。
  27. 【請求項27】 非磁性基板上に、第1の磁性層、第1
    の中間層、第2の磁性層、第2の中間層、第3の磁性層
    および磁化安定層をこの順に形成した多層膜を含み、 前記第1の磁性層、前記第2の磁性層および前記第3の
    磁性層から選ばれる少なくとも1つが請求項1〜3のい
    ずれかに記載の強磁性酸化物を主体としており、 前記第1の磁性層および前記第2の磁性層が前記第1の
    中間層を介して電気的に接続しており、 前記第2の磁性層および前記第3の磁性層が前記第2の
    中間層を介して電気的に接続しており、 前記磁化安定層が、反強磁性体、形状異方性を有する磁
    性体、および100Oe以上の保磁力を有する磁性体か
    ら選ばれるいずれかであることを特徴とする磁気抵抗素
    子。
  28. 【請求項28】 少なくとも第1の磁性層が強磁性酸化
    物を主体とする請求項27に記載の磁気抵抗素子。
  29. 【請求項29】 非磁性基板上に、第1の磁性層、中間
    層および第2の磁性層を含む多層膜が形成され、 前記第1の磁性層および前記第2の磁性層から選ばれる
    少なくとも1つが請求項1〜3のいずれかに記載の強磁
    性酸化物を主体としており、 前記第1の磁性層および前記第2の磁性層が前記中間層
    を介して電気的に接続しており、 前記強磁性酸化物を主体とする磁性層におけるペロブス
    カイト構造の{001}、{110}および{111}
    から選ばれる少なくとも1つの結晶面と、前記中間層の
    表面とがなす角度が10度以下であることを特徴とする
    磁気抵抗素子。
  30. 【請求項30】 強磁性酸化物を主体とする磁性層また
    は中間層が、前記磁性層と前記中間層との界面からエピ
    タキシャル成長した薄膜である請求項29に記載の磁気
    抵抗素子。
  31. 【請求項31】 非磁性基板上に、下地層および電極層
    から選ばれる少なくとも一方を介して多層膜を形成した
    請求項22〜30のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  32. 【請求項32】 非磁性基板として単結晶基板を用い、
    前記単結晶基板と実質的に同一の配向面を有するよう
    に、前記単結晶基板上に電極層を形成した請求項31に
    記載の磁気抵抗素子。
  33. 【請求項33】 電極層が、基板温度を400℃以上7
    50℃以下とした真空蒸着法により形成された層である
    請求項32に記載の磁気抵抗素子。
  34. 【請求項34】 電極層が、アルゴンと酸素とからなる
    雰囲気におけるスパッタリング法により形成された層で
    ある請求項32に記載の磁気抵抗素子。
  35. 【請求項35】 強磁性酸化物を主体とする磁性層およ
    び中間層から選ばれる少なくとも1つが、基板温度を5
    50℃以上750℃以下とした真空蒸着法により形成し
    た層である請求項22〜34のいずれかに記載の磁気抵
    抗素子。
  36. 【請求項36】 中間層が、基板温度を200℃以上7
    50℃以下とした真空蒸着法により形成した層であり、
    磁性層間においてトンネル障壁を形成する請求項22〜
    34のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
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