JP2000352254A - 吊り戸の振れ止め装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 戸を閉めると同時に自動的に戸を係止し、戸
を開ける操作をすると同時に自動的に戸の係止を解除で
きる吊り戸の振れ止め装置を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 吊り戸の下端に掘り込み乃至面付けにて
取り付けられるケース内にスプリングの復元力にて先端
部が水平方向に常時突出するトリガーボルトを嵌挿し、
該トリガーボルトの後退に直動して垂直方向に下降する
昇降部材を設け、同昇降部材の下端には弾性圧縮して床
面との間で摩擦抵抗を生じさせるブレーキ部材を設けた
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主として間仕切り
に使用される吊り折り戸や引戸等の吊り戸の振れ止め装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に，広い部屋を仕切って小部屋に区
画するときに使用される間仕切り用の折り戸や引戸は、
床面に敷設されるレールを必要としない吊り下げ式のも
のが便利であって、普段は大広間として使用し、必要に
応じて小部屋に区画して使用する場合等には床面にレー
ルがないので，体裁も良く、施工費用も安価であるとの
理由で広く使用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】床面にレールのある吊
り下げ式の折り戸や引戸の場合は、戸板下端にもこのレ
ールを走行する戸車やランナーがあって、この戸車やラ
ンナーとレールとの係合によって戸板に戸板の移動方向
と直角の力即ち側圧が掛かっても、戸の閉鎖状態におい
て戸板が横振れすることはないが、床面にレールのない
吊り下げ式の折り戸や引戸の場合は、戸板下端はフリー
であり、風圧や物体の衝突によって戸板は戸板を吊り下
げる鴨居や天井側の枠体に取り付けられたレールを走行
するランナーを支点として横振れして不測の事態を招く
虞があるという問題点がある。

【０００４】そこで従来は、戸の閉鎖状態において戸板
に設けられた錠杆を床面に形成された孔または床面に埋
設された受金具の嵌合孔に手動で落とし込んで戸板の横
振れを防止していた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記の所謂フランス落
としによる係止手段では、戸を閉める都度手動で錠杆を
受金具の嵌合孔に落とし込む操作を必要とするだけでな
く、戸を開ける際にも手動で錠杆を引き上げる操作を必
要として不便であり、また、錠杆を操作することを忘れ
たりすると横振れして不測の事態を招く等の問題点があ
った。

【０００６】また、上記の所謂フランス落としによる係
止手段では、錠杆を係止するための床面に形成される孔
または床面に埋設される受金具を設ける必要があり、作
業工程も多く、且つ、体裁も悪いという問題点もあっ
た。

【０００７】

【発明の目的】本発明は、上記問題点を解決するため
に、戸を閉めると同時に自動的に戸を係止し、戸を開け
る操作をすると同時に自動的に戸の係止を解除できる吊
り戸の振れ止め装置を提供することを目的とするもので
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係る吊り戸の振
れ止め装置は、吊り戸の下端に掘り込み乃至面付けにて
取り付けられるケース内にスプリングの復元力にて先端
部が水平方向に常時突出するトリガーボルトを嵌挿し、
該トリガーボルトの後退に直動して垂直方向に下降する
昇降部材を設け、同昇降部材の下端には弾性圧縮して床
面との間で摩擦抵抗を生じさせるブレーキ部材を設けた
ことを特徴とするものである。

【０００９】

【発明の作用】戸を閉めるとき、トリガーボルトが戸当
たりに当接して後退し、トリガーボルトの後退により昇
降部材が下降し、昇降部材の下端のブレーキ部材が床面
に圧接してその摩擦抵抗により戸の横振れを防止し、戸
を開けるときにはトリガーボルトが突出して昇降部材が
上昇し、ブレーキ部材と床面との接触が解除される。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明に係る吊り戸の振れ止め装
置の実施の形態を図面について具体的に説明する。

【００１１】図１は、本発明装置の正面図、図２は、図
１のＡ−Ａ線における横断平面図、図３は、図１のＢ−
Ｂ線における縦断側面図、図４は、トリガーボルトが後
退した状態の図１のＢ−Ｂ線における縦断側面図、図５
は、本発明装置を吊り折り戸に取り付けた状態の概略平
面図、図６は、同要部を透視した一部縦断側面図、図７
は、本発明装置を吊り引戸に取り付けた状態の概略平面
図、図８は、同要部を透視した一部縦断側面図、図９
は、本発明装置の他の実施例を表わす縦断側面図であ
る。

【００１２】１は、本発明装置を構成する、戸板Ｄの下
端隅角部に取り付けられるケースであって、面付け型で
あってもよいが、体裁上掘り込み型の方が好ましい。

【００１３】２は、同ケース１内にスプリング２１を介
してケース前板１１から突出、後退できるように嵌挿さ
れるトリガーボルトであって、側面から貫通されるピン
２２の両端突出部がケース１の両側板１２ａ、１２ｂに
形成された横長孔１３ａ、１３ｂに案内されて水平方向
のみ移動できるようになっている。

【００１４】３は、前記トリガーボルト２が内部を貫通
できるように中空となった昇降部材で、下端には円筒状
のロッド３１が一体成形されており、該ロッド３１の中
空部にスプリング３１ａによって常時下方に付勢される
ピストンロッド３１ｂが嵌挿されており、該ピストンロ
ッド３１ｂの下端には昇降部材３が下降したときにスプ
リング３１ａによる弾性圧縮によって床面との間で摩擦
抵抗を生じさせるゴムやウレタンから成るブレーキ部材
４が接着剤等により一体固着されている。

【００１５】昇降部材３の両側板３２、３２には前板１
１に向かって下がる傾斜長孔３３、３３が形成され、前
記ピン２２がこの傾斜長孔３３、３３を通ってケース内
１内に納められ、上下方向のみ移動できるようになって
いる。

【００１６】ケース１は、前板１１、側板１２ａや前記
トリガーボルト２、スプリング２１、昇降部材３等の部
品が嵌め込み式に納められる凹部を形成した合成樹脂に
よる一体成形のケース本体と、各部品を所定の凹部に収
納した後に取り付ける側板１２ｂとから構成され、昇降
部材３の中空部にトリガーボルト２を挿通し、昇降部材
３の一方の側板３２の傾斜長孔３３からピン２２を挿通
してトリガーボルト２の側面に形成した丸孔を貫通さ
せ、他方の側板３２の傾斜長孔３３から出てくるピン２
２の端部をケース本体の側板１２ａに形成された横長孔
１３ａに嵌合させるようにして前記トリガーボルト２及
びスプリング２１と昇降部材３を所定の凹部に嵌め込
み、ピン２２の挿通側の端部が後から取り付ける側板１
２ｂに形成された横長孔１３ｂに嵌合するようにして側
板１２ｂをネジ等によりケース本体に取り付けて本発明
装置が完成する。

【００１７】次に、本発明装置の具体的用法を図５並び
に図６に示す吊り折り戸に取り付けた場合について説明
する。

【００１８】図５並びに図６における吊り折り戸は、二
枚の戸板Ｄ、Ｄ同士をヒンジＨで連結し、一方の戸板Ｄ
の端部の上下をピボットＰで床側と天井側を枢支し，戸
板Ｄ、Ｄの上端を鴨居や天井側の枠体に取り付けられた
レールを走行するランナーに吊り下げられた吊り折り戸
であって、本発明装置は、ピボットと反対側の戸板Ｄの
自由端の下端に形成された掘り込み孔にケース１を嵌合
して挿通孔１４に挿通されるネジにて戸板Ｄに取り付け
られている。

【００１９】折り戸が鎖線のように閉鎖していない状態
のときは、ケース１内のトリガーボルト２は、図３のよ
うにスプリング２１の復元力によりケース１の前板１１
から突出しており、昇降部材３は上昇位置を保持してい
る。

【００２０】折り戸を実線のように閉鎖させると、トリ
ガーボルト２の先端が戸当たり柱ａに当接してトリガー
ボルト２がスプリング２１の復元力に抗して図４のよう
にケース１内に押し込まれると、トリガーボルト２と一
体で、昇降部材３の傾斜長孔３３、３３に嵌合している
ピン２２の水平方向の移動により昇降部材３の傾斜長孔
３３、３３の縁部が下方向に押されて昇降部材３が下降
する。

【００２１】昇降部材３が下降し、ロッド３１にスプリ
ング３１ａを介して嵌挿されるピストンロッド３１ｂと
一体のブレーキ部材４が弾性的に床面Ｆに押し付けられ
る。

【００２２】折り戸の閉鎖状態においては、トリガーボ
ルト２がスプリング２１の復元力で突出しようとして
も、戸板Ｄ、Ｄが一直線になって突っ張った状態になっ
ているので、戸板Ｄから手を離してもこの状態が保持さ
れる。

【００２３】この状態にあっては、ブレーキ部材４が床
面Ｆに押し付けられてブレーキ部材４と床面との間に大
きな摩擦抵抗が生じているので、戸板Ｄに側圧が掛かっ
ても横振れすることがない。

【００２４】この折り戸の閉鎖状態において、戸板Ｄの
開放端を戸板Ｄが折れる方向に引くと、トリガーボルト
２はスプリング２１の復元力によって図５の鎖線状態つ
まり図３のように突出して昇降部材３が上昇し、ブレー
キ部材４が床面Ｆから離れるので、戸板Ｄを開ける方向
に押すことにより折り戸は開放する。

【００２５】図示する実施例では二枚の戸板をヒンジで
蝶着連結した一枚折り戸について説明したが、二組の一
枚折り戸を開口部中央で突き合わせる二枚折り戸の場合
は両方の折り戸の開放端にそれぞれ本発明装置を取り付
け、トリガーボルト２、２同士が突き合わされるように
しておけばよいもので、トリガーボルト２、２同士が突
き合わされる部分では、一方のトリガーボルト２の先端
は断面半円形状の突出端とし、他方のトリガーボルト２
の先端は一方のトリガーボルト２の突出端が嵌合する凹
部となるような形状にしておけばよいものである。

【００２６】尚、本実施例図にあっては、戸板下端と床
面との隙間が大きい場合について記載してあるが、隙間
が小さい場合は昇降部材３の移動距離を小さくするため
に傾斜長孔３３、３３の傾斜角度を小さくしておけばよ
いものであり、また、ブレーキ部材４を床面に弾性を保
持して圧接させる他の手段として、図９のように円柱ま
たは角柱のロッド３１の下端にブレーキ部材４を合成樹
脂から成るバネ材３１ｃを介在させる方法を採用しても
よいもので、バネ材３１ｃ及びブレーキ部材４をロッド
３１と一体に成形してもよいこと勿論である。

【００２７】また、本発明装置を図７並びに図８に示す
吊り引戸（間仕切り壁）に取り付けた場合について説明
する。

【００２８】図７並びに図８における吊り引戸は、数枚
の戸板Ｄ…Ｄを端部同士突き合わせて間仕切り壁として
使用するもので、戸板Ｄ…Ｄの上端は折り戸の場合と同
じく鴨居や天井側の枠体に取り付けられたレールを走行
するランナーに吊り下げられている。

【００２９】また、本発明装置は、折り戸の場合と同じ
ように各戸板Ｄの両端の下端に形成された掘り込み孔に
ケース１を嵌合して挿通孔１４に挿通されるネジにて戸
板Ｄに取り付けられている。

【００３０】本発明装置のトリガーボルト２、２同士が
突き合わされる部分では、一方のトリガーボルト２の先
端は折り戸の場合と同じく断面半円形状の突出端として
あるが、他方のトリガーボルト２の先端は一方のトリガ
ーボルト２の突出端が嵌合する凹部となるような形状に
してあり、戸板Ｄ、Ｄを突き合わせたときに凹凸が噛み
合って両トリガーボルト２、２が共に後退するように構
成してある。

【００３１】ランナーに吊られた一枚目の戸板Ｄを戸当
たり柱ａ方向に移動させ、戸当たり柱ａに押し付ける
と、折り戸の場合と同じくトリガーボルト２が後退して
昇降部材３が下降し、ブレーキ部材４が床面Ｆと接触す
るが、手を離すとトリガーボルト２がスプリング２１の
復元力で突出し、戸当たり柱ａと一枚目の戸板Ｄとの間
に隙間が空くと同時に昇降部材３が上昇してブレーキ部
材４と床面Ｆとの接触が解除される。

【００３２】このように戸当たり柱ａと一枚目の戸板Ｄ
との間に隙間が空いた状態で、必要枚数の戸板Ｄ…Ｄを
順次吊り下げ、最後の戸板を吊り下げた状態で全戸板を
戸当たり柱ａ方向に押してやると、一枚目の戸板Ｄは前
記の通り戸当たり柱ａによるトリガーボルト２の後退に
よってブレーキ部材４が床面に接触し、二枚目以降の戸
板はトリガーボルト２、２同士の押し合いにより全ての
トリガーボルト２…２が後退して全てのブレーキ部材４
が床面に接触する。

【００３３】この状態で手を離すと、前述の如くトリガ
ーボルト２…２が突出して接触が解除されることになる
から、最後の戸板Ｄを押し付けた後、この戸板の移動を
既存のフランス落とし等の手段により阻止してやればブ
レーキ部材４…４と床面との接触状態が維持され、戸板
の横振れが防止される。

【００３４】

【発明の効果】以上述べた如く、本発明に係る吊り戸の
振れ止め装置によれば、吊り戸の下端に掘り込み乃至面
付けにて取り付けられるケース内にスプリングの復元力
にて先端部が水平方向に常時突出するトリガーボルトを
嵌挿し、該トリガーボルトの後退に直動して垂直方向に
下降する昇降部材を設け、同昇降部材の下端には弾性圧
縮して床面との間で摩擦抵抗を生じさせるブレーキ部材
を設けたものであるから、従来の所謂フランス落としに
よる係止手段のように、戸を閉める都度一々錠杆を受金
具の嵌合孔に落とし込む操作を必要とせず、戸を開ける
際にも一々錠杆を引き上げる操作を必要としなくて便利
であり、また、錠杆を操作することを忘れたりして不測
の事態を招くようなことが全くなく、極めて安全性の高
く、また、フランス落としのように床面に孔や受金具を
設ける必要がなく、戸板下端に本発明装置を取り付ける
だけでよいので、作業工程が少なくて施工も簡単であ
り、体裁もよいものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の正面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線における横断平面図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線における縦断側面図である。

【図４】トリガーボルトが後退した状態の図１のＢ−Ｂ
線における縦断側面図である。

【図５】本発明装置を吊り折り戸に取り付けた状態の概
略平面図である。

【図６】同要部を透視した一部縦断側面図である。

【図７】本発明装置を吊り引戸に取り付けた状態の概略
平面図である。

【図８】同要部を透視した一部縦断側面図である。

【図９】本発明装置の他の実施例を表わす縦断側面図で
ある。

【符号の説明】

１…ケース ２…トリガーボルト ３…昇降部材 ３１
…ロッド ４…ブレーキ部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吊り戸の下端に掘り込み乃至面付けにて
   取り付けられるケース内にスプリングの復元力にて先端
   部が水平方向に常時突出するトリガーボルトを嵌挿し、
   該トリガーボルトの後退に直動して垂直方向に下降する
   昇降部材を設け、同昇降部材の下端には弾性圧縮して床
   面との間で摩擦抵抗を生じさせるブレーキ部材を設けた
   ことを特徴とする吊り戸の振れ止め装置。