JP2000342263A - ハイグロマイシン耐性遺伝子及び形質転換されたCandida属酵母 - Google Patents

ハイグロマイシン耐性遺伝子及び形質転換されたCandida属酵母

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JP2000342263A
JP2000342263A JP11154480A JP15448099A JP2000342263A JP 2000342263 A JP2000342263 A JP 2000342263A JP 11154480 A JP11154480 A JP 11154480A JP 15448099 A JP15448099 A JP 15448099A JP 2000342263 A JP2000342263 A JP 2000342263A
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hygromycin
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ctg
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渥夫 田中
Atsumi Ueda
充美 植田
Akihiro Hara
明浩 原
Satoru Misawa
悟 三沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Candida属酵母で選択マーカーとして利用で
きるハイグロマイシン耐性遺伝子及びハイグロマイシン
耐性を利用することにより選抜可能なCandida属酵母の
提供。 【解決手段】 CTGコドンをCTG以外のロイシンコドンに
改変したハイグロマイシン耐性遺伝子及び前記ハイグロ
マイシン耐性遺伝子を用いて形質転換されたCandida
酵母。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外来遺伝子を導入
して形質転換する際に利用される選択マーカーの一つで
あるハイグロマイシン耐性遺伝子、及び当該遺伝子を用
いて形質転換されたCandida属酵母に関する。
【0002】
【従来の技術】ある種のCandida属酵母、例えば、Candi
da tropicalisは、アルカンを炭素源として培養する
と、その細胞内には、多数のペルオキシソームが形成さ
れ、同時にβ酸化系の諸酵素が顕著に誘導される(Osum
i, M., Miwa, N., Teranishi, Y.,Tanaka, A. and Fuku
i, S. 1974. Arch.Microbiol., 99, 181-201.、Osumi,
M., Fukuzumi, F., Teranishi, Y., Tanaka, A. and Fu
kui, S. 1975. Arch. Microbiol., 103, 1-11.)。この
ため、Candida tropicalisは、β酸化系の酵素の発現や
輸送、ペルオキシソームの形成等の基礎研究材料として
用いられてきた。
【0003】一方、Candida属酵母は、工業的にも有用
な酵母で、突然変異処理により改良されたCandida trop
icalisの菌株が、アルカンを資化してジカルボン酸を生
産するために用いられている(植村、発酵と工業、43
436〜441頁、1985年発行)。このジカルボン酸は、香料
の合成原料として利用されているが、なかでも炭素数13
のブラシル酸は、ムスク系香料であるエチレンブラシレ
ートの原料として需要が多い。
【0004】かかるCandida属酵母の突然変異処理によ
る菌の改良は、現在ではほぼ限界に達しており、今後は
遺伝子組換え法を用いて改良することが期待されてい
る。
【0005】Candida tropicalisの形質転換システムと
しては、ウラシル要求性等の栄養要求性を形質転換体の
選抜マーカーとして用いる方法が知られている(特表平
4ー505557号公報)。しかしながら、この方法は、これら
の菌体が2倍体であるため、栄養要求性株を作出するの
が難しく、DCA生産菌等の実用酵母を形質転換できない
といった問題点があった。
【0006】一方、Saccharomyces属に属するパン酵母
をはじめとするいくつかの酵母では、抗生物質耐性を選
抜マーカーに利用した形質転換が知られている(Gritz,
L. andDavies, J. 1983. Gene., 25, 179-188.、Otero,
R C. and Gaillardin, C. 1996. Appl Microbiol Biot
echnol., 46, 143-148.)。この抗生物質耐性をマーカー
として利用する形質転換方法は、宿主を制限されないと
いった利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、タンパ
ク質合成を阻害する抗生物質で、動植物細胞の形質転換
で広く用いられているハイグロマイシン耐性遺伝子を選
択マーカーとして利用することを検討したが、Candida
tropicalisCandida albicans等のCandida属酵母で
は、ハイグロマイシン耐性遺伝子を発現させることはで
きなかった。
【0008】本発明者は、上記課題を解決するために、
鋭意研究を進めた結果、これらCandida属酵母では、導
入したハイグロマイシン耐性遺伝子中の9カ所にあるCT
Gコドンが、本来ならばロイシンに翻訳されるべきとこ
ろセリンに翻訳され、当該遺伝子により発現された酵素
はハイグロマイシン耐性を示すアミノ酸配列となってい
ないことが推測されたため、このCTGコドンを、CTG以外
のロイシンコドンに改変したところ、ハイグロマイシン
耐性を発現できることを見出し、本発明に至った。
【0009】本発明はかかる知見に基づきなされたもの
で、本発明の目的はCandida属酵母で選択マーカーとし
て利用できるハイグロマイシン耐性遺伝子及びハイグロ
マイシン耐性を利用することにより選抜可能なCandida
属酵母を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
の手段としての本発明は、CTGコドンをCTG以外のロイシ
ンコドンに改変したハイグロマイシン耐性遺伝子及び前
記ハイグロマイシン耐性遺伝子を用いて形質転換された
Candida属酵母からなるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明にいうハイグロマイシン耐
性遺伝子とは、ハイグロマイシンをリン酸化して無毒化
するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(Hygr
omycin Phosphotransferase)酵素をコードしている遺
伝子であり、大腸菌、Streptomyces hygroscopicusPh
eudomonas pseudomallei等の細菌由来のものがあるが、
特には、大腸菌由来のものが好適である。大腸菌由来の
塩基配列を、配列番号1に示した。この塩基配列には、9
カ所にCTGコドンが存在しており、本発明の遺伝子は、
このCTGコドンを他のロイシンコドン、すなわち、TTA、
TTG、CTT、CTC、CTAのいずれかで改変したものである。
これらのコドンは、いずれを用いても全く支障はない
が、改変の容易性及び発現の安定性から、CTCコドンが
特に好ましい。
【0012】上記ハイグロマイシン耐性遺伝子は、ベクタ
ーのプロモーターとターミネーターとの間に挿入してCa
ndida属酵母に導入して形質転換される。
【0013】この場合のベクターとしては、通常用いられ
ているベクターであれば特に支障なく用いることができ
る。これらの例として、市販されているpUC19、pBR322
等を挙げることができる。特には、酵母細胞内で複製可
能なパン酵母用のpRS416、Ca ndida酵母用のpUCARS等の
プラスミドを改変して用いると良い。
【0014】次に、本発明によるコドンを改変することに
より、Candida属酵母で発現するようになったハイグロ
マイシン耐性遺伝子とそのハイグロマイシン耐性遺伝子
を利用したCandida属酵母の形質転換方法の実施態様を
説明する。
【0015】site directed mutagenesisによるハイグロ
マイシン耐性遺伝子の改変:ハイグロマイシン耐性遺伝
子の中のCTGコドン改変は、site directed mutagenesis
法により行うことができる。現在いろいろな原理の各種
のキットが市販されているのでこれを用いると簡便に行
うことができる。
【0016】また、場合によっては、PCRや突然変異処理
等の他の方法によってもコドンの改変を行うことができ
る。
【0017】このコドンの改変がうまく行われたかどうか
は、シークエンスを行って確認するとよい。
【0018】ベクター作製Candida属酵母へ遺伝子を導
入するためのベクターは、次のように作製する。ハイグ
ロマイシン耐性遺伝子は、酵母以外の細菌由来の遺伝子
であり、そのままでは酵母細胞で発現しないことが多
い。このためCandida属酵母由来の遺伝子のプロモータ
ーとターミネーターを利用することが好ましい。ここで
利用するプロモーターには、できるだけ遺伝子を強く発
現させることができるものを用いることが望ましい。ま
た、形質転換体は、通常グルコースを含むプレートで選
抜されるので、グルコースで発現が抑制されるプロモー
ターの利用は、さけるべきである。すなわち、構成的に
発現するかグルコースで発現が誘導されるプロモーター
等を選択することが望ましい。
【0019】PGK遺伝子は、グルコースで強く誘導される
プロモーターであることが知られている。 PGK遺伝子
は、パン酵母やCandida maltosaで既にクローニングさ
れているので、これらの配列をもとにPCR法でクローニ
ングすることができる(Masuda, Y., Park, S M., Ohkum
a, M., Ohta, A. and Takagi, M. 1994. Curr Genet.,2
5, 412-417.)。
【0020】PCR法で増幅された遺伝子は、ベクターにサ
ブクローニング後、シークエンスし、PGK遺伝子かどう
か確認する。次に得られたPGK遺伝子の構造遺伝子をPCR
法や制限酵素等を用いて削除する。このとき、ハイグロ
マイシン耐性遺伝子を導入するための制限酵素サイト
を、 プロモーターとターミネーターの間に導入する。
その制限酵素サイトへハイグロマイシン耐性遺伝子の断
片を挿入し、Candida属酵母用の選択マーカー遺伝子を
作製することができる。
【0021】このようにして作製したハイグロマイシン耐
性遺伝子を、Candida属酵母用のベクターに導入する。
作製したベクターは、大腸菌に導入後、大量調製して、
Candida属酵母の形質転換に用いる。
【0022】ハイグロマイシン耐性遺伝子の発現確認:最
初に、作製したハイグロマイシン耐性遺伝子がCandida
属酵母で発現するか調べるため、ベクターを用いてCand
ida属酵母を形質転換する。このとき、ウラシル要求性
を選択マーカーとして、形質転換体を確実に選抜するこ
とができる。次に得られた形質転換体をハイグロマイシ
ンプレートに引き延ばし、ハイグロマイシン耐性の発現
を確認する。
【0023】ハイグロマイシンを用いた形質転換体の選
Candida属酵母の形質転換法として、一般に用いら
れているリチウム法、スフェロプラスト法、エレクトロ
ポレーション法等を本発明でも用いることができる。こ
れらの方法は、形質転換効率や操作の煩雑さ等に若干の
違いがあるが、いずれの方法でも効率よく形質転換でき
る。また、ハイグロマイシンによる選抜は、酵母の培養
で用いられるSDプレートやYPDプレートを用いて行うこ
とができる。
【0024】また、得られたコロニーは、PCR法やサザン
法を用いて形質転換体かどうかの確認ができる。サザン
法の場合、本来Candida属酵母のゲノム中にないハイグ
ロマイシン耐性遺伝子やベクターの配列をプローブに用
いて、確認する。
【0025】
【実施例】次に、本発明を具体化した実施例を示すが、
本発明の実施例に限定して解釈されるべきではない。
【0026】(実施例1) (1)マーカーとしての利用可能性の検討 YPD液体培地で一晩培養したCandida tropicalis 1098株
(野生株)の培養液を滅菌水でOD600=0.005まで希釈後、
その50μlを、ハイグロマイシンを含むYPDプレートにま
いた。30℃で3日間培養後、観察したところ、ハイグロ
マイシンが入ってないプレートには、約1,700個のコロ
ニーが出現した。また、100mg/lの濃度でハイグロマイ
シンを含むプレートには、約1,000個のコロニーが出現
した。それに対し、500mg/lのハイグロマイシンを含む
プレートでは、コロニーは観察されず、完全にコロニー
形成が抑制された。これにより、ハイグロマイシンがCa
ndida tropicalisの生育を抑制し、Candida属酵母の形
質転換の選択マーカーとして利用できる可能性が明らか
となった。
【0027】(2)ハイグロマイシン耐性遺伝子の改変 pREP4プラスミド(Invirogen Co.製)から、HF-1、HR-1
プライマーを用いて、ハイグロマイシン耐性遺伝子の構
造遺伝子をPCR法で増幅した。PCRには、Taq polymerase
(宝酒造製)を用い、94℃ 1分間、55℃ 2分間、72℃ 3分
間の反応を30サイクル実施した。このとき、ハイグロマ
イシン耐性遺伝子の末端には、 HF-1プライマーによりX
baIサイトが導入され、 HR-1プライマーによりHindIII
サイトが導入される。増幅されたハイグロマイシン耐性
遺伝子を制限酵素XbaIとHindIIIで処理後、プラスミドp
UC18のXbaIとHindIIIサイトの間に導入した。このと
き、ライゲーションには、DNA Ligation kit ver.1(宝
酒造製)を用い、16℃で30分間反応後、大腸菌JM109株に
形質転換した。得られた形質転換体をLB液体培地100ml
に植え付け、プラスミドをアルカリ法により、大量調製
した。得られたプラスミドは、TEバッファーに1mg/mlの
濃度で溶解し、以後の実験に用いた。このハイグロマイ
シン耐性遺伝子の中に9個あるCTGコドンを、表1に示すH
1-H9プライマーを使って、site directed mutagenesis
法で、CTCコドンに置換した(図1、表1)。site directed
mutagenesisは、Transformer Site-Directed Mutagene
sis Kit (CLONTECH Laboratories, Inc.製)を用いた。
改変は、シークエンスを行って確認した。
【0028】
【表1】
【0029】HF-F1、HR-1プライマーは、ハイグロマイシ
ン耐性遺伝子の構造遺伝子をPCR法で増幅し、pUC18へサ
ブクローニングするのに用いた。
【0030】H1-H9プライマーは、ハイグロマイシン耐性
遺伝子のsite directed mutagenesisによるコドン改変
で使用した。
【0031】P1-P4プライマーは、PGK遺伝子のクローニン
グとベクター作製で使用した。
【0032】(3)酵母からのゲノムDNAの調製 YPD液体培地10mlにプレートから酵母を植えつけ、30℃
で一晩培養した。培養液を遠心(3,000rpm, 10min)し、
上清を捨てた。菌体を滅菌水0.5mlに懸濁し、エッペン
ドルフチューブにうつした。遠心(12,000rpm, 1min)
し、上清を捨て、菌体を0.2mlのTSSTEに懸濁した。0.2m
lのphenol-chloroform-isoamylalcohol (25:24:1)と0.3
・のガラスビーズ(φ0.45〜0.52・)を加え、4分間vorte
xで撹拌し、菌体を破砕した。さらに0.2mlのTEバッファ
ーを加え、遠心(12,000rpm, 5min)し、上層を新しいエ
ッペンドルフチューブに回収した。次に1mlの-20℃エタ
ノールを加え、遠心(12,000rpm, 10min)した。上清を捨
て、0.4mlの滅菌水と3μlのRNase A (10mg/ml)に沈澱を
溶解し、37℃で30分間インキュベートし、RNAを分解し
た。その後、エタノール沈澱を行い、50μlのTEバッフ
ァーに溶解し、ゲノムDNAとして以後の実験に用いた。
【0033】(4)ベクター作製 PGK遺伝子を、Candida tropicalis 1098株(野生株)のゲ
ノムDNAからP1、P2プライマーを用いて、PCRで増幅した
(表1)。これらのプライマーは、Candida maltosaのPGK
遺伝子の配列をもとに設計した。このとき、PCRは、Taq
polymerase(宝酒造製)を用い、94℃ 1分間、55℃ 2分
間、72℃ 3分間の反応を45サイクル実施した。増幅され
た2.3kbのフラグメントは、エタノール沈澱後、TEバッ
ファー20μlに溶解した。そのうちの10μlをpT7 Blue
(R)ベクター(Novagen製)と16℃、30分間ライゲーション
し、大腸菌JM109株に形質転換した。得られた形質転換
体のうち、16コロニーをLB液体培地1.6mlに植え付け、
ベクターを調製し、目的の2.3kbのフラグメントを含む
コロニーを判別した。その後、LB液体培地100mlに植え
付け、ベクターを大量調製し、シークエンスにより、PG
K遺伝子であることを確認した。次にPGK遺伝子の構造遺
伝子を削除し、Bgl llサイトを作るために、2回目のPCR
をP3とP4プライマーを用いて行った。このとき、これら
のPCRには、Taqpolymerase (宝酒造製)を用い、94℃ 1
分間、55℃ 2分間、72℃ 3分間の反応を25サイクル実施
した。また、ハイグロマイシン耐性遺伝子は、制限酵素
XbaIとHindIIIで処理することにより、pUC18から切り出
し、PGK promoterとterminatorの間のBgl llサイトに導
入した。このとき、制限酵素サイトは、DNA Blunting k
it(宝酒造製)で処理し、平滑化後、ライゲーションし
た。そのようにして作製した遺伝子は、パン酵母用のpR
S416プラスミド (Stratagene製)とCandida tropicalis
用のpUCARSプラスミド (特願平10-265686)のマルチクロ
ーニングサイトにそれぞれ導入し(図1)、以後の形質転
換実験に用いた。また、このとき識別のため、コドン改
変したハイグロマイシン耐性遺伝子をHGM#と命名した。
【0034】(5)スフェロプラスト法による酵母の形質
転換 酵母の形質転換は、スフェロプラスト法を用いた。10ml
のYPD培地にCandida tropicalis 1098E13株を(ura3ー
株)植菌し、30℃で一晩培養した(前培養)。その培養
液を滅菌水で10倍に希釈し、100mlのYPD培地が入った坂
口フラスコ3本に、それぞれ0.05, 0.1, 0.2ml植えつけ
た。30℃で一晩培養し、OD600=1まで菌が生育したフ
ラスコを選び、以後の形質転換に用いた(本培養)。選
んだ培養液を試験管2本に移し、3,000rpmで5分間遠心分
離した。得られた沈澱を20mlの滅菌水に懸濁し、さらに
3,000rpmで5分間遠心分離した。再度、沈澱を20mlの1M
グルシトールに懸濁し、3,000rpmで5分間遠心分離し
た。次に、沈澱を20mlのSPEM(1Mグルシトール, 0.01M K
PB pH7.2, 0.01M EDTA, 30mM 2-mercaptoethanol, 10mg
/ml Zymolyase 20T)に懸濁し、30℃で30分間、30streak
s/minの振盪を与えながらインキュベートした。次に1,2
00rpmで5分間遠心分離した。得られた沈澱を20mlの1M
グルシトールに懸濁し、1,200rpmで5分間遠心分離し
た。沈澱を20mlのSTC(10mM Tris-HCl pH7.5, 10mM CaCl
, 1M グルシトール)に懸濁し、1,200rpmで5分間遠心
分離した。上清を捨て、沈澱を1mlのSTCに静かに懸濁
し、スフェロプラスト液とした。
【0035】次にスフェロプラスト液を底の丸い遠心管に
0.1mlずつ移し、10μlのDNA溶液(5μg)を加え、室温に1
0分間放置した。1mlのPEG solution (10mM Tris-HCl pH
7.5, 20% PEG6,000, 10mM CaCl)を静かに加え、室温
に10分間静置した。その後、1,200rpmで3分間遠心分離
した。沈澱を0.15mlのSOS solution (10mM CaCl,30%
YPD, 1M グルシトール)に懸濁し、30℃で30分間インキ
ュベートした。電子レンジで溶かし、50〜53℃に保った
5mlのTop Agar (0.67% yeast nitrogen basew/o amino
acid, 2% Bacto-agar, 2% グルコース, 1M グルシトー
ル)を加え、Plate agar(0.67% yeast nitrogen base w/
o amino acid, 2% Bacto-agar, 2% グルコース, 1M グ
ルシトール)に広げた。そのプレートを30℃で5日間培養
した。
【0036】(6)ハイグロマイシン耐性遺伝子の発現確認 スフェロプラスト法でプラスミドpUCARS-HGM#を形質転
換したCandida tropicalis 1098E13株(ura3ー株)をSDプ
レートにまいて、ウラシル要求性で形質転換体を選抜し
た。得られた形質転換体をさらにハイグロマイシンを含
むプレート(500mg/ml)に引き延ばし、30℃で5日間培養
した。その結果、pUCARS-HGM#を導入した形質転換体で
は、増殖が見られた(図2)。このことから、コドン改変
したハイグロマイシン耐性遺伝子の発現が確認された。
この形質転換体の菌株は、寄託者が付した識別のための
表示Candida tropicalis 1098E13 pUCARS-HGM#で、工業
技術院生命工学工業技術研究所に寄託され、受託番号FE
RM P-17398が付された。
【0037】(7)ハイグロマイシンを用いた形質転換体
の選抜 スフェロプラスト法でpUCARS-HGM#を形質転換した細胞
を、ハイグロマイシンを含むプレート(500mg/ml)に直接
まいた。その結果、ハイグロマイシンプレート上に、2
コロニーが生育した。これらのコロニーが、形質転換し
たプラスミドを保持すれば、そのプラスミド上のURA3遺
伝子により、栄養要求性が消失する。そこで、これらの
コロニーをSDプレート上に植え付け、30℃で生育を調べ
た。その結果、SDプレート上で生育し、形質転換体であ
ることが確認された。
【0038】(8)サザン法による形質転換体の解析 酵母Candida tropicalisの形質転換体から抽出したDNA
は、それぞれのレーンに等量アプライし、1%アガロース
ゲルで電気泳動し、ナイロンメンブレンにトランスファ
ーした。サザン法は、プローブをジゴキシゲニン(DIG)
で標識するDIGシステム(ベーリンガーマンハイム製)を
用い、添付のプロトコールに従って、実施した。DIGラ
ベルしたpUC19をプローブとしたサザン法の結果、形質
転換体の細胞内にモノマーのプラスミドとポリマーのプ
ラスミドが存在することが判明した(図3)。このとき、
コントロールの酵母Candida tropicalis 1098E13株(ura
3ー株)の細胞中には、プラスミドは見いだされなかっ
た。これにより、ハイグロマイシン耐性コロニーが、最
終的に形質転換体であることが確認された。
【0039】(比較例1)比較のために、上記実施例の
(4)において、コドン改変していないハイグロマイシ
ン耐性遺伝子を含むpUCARS-HGMベクター(図1)も、Candi
da tropicalis 1098E13株(ura3ー株)に形質転換し、ウラ
シル要求性で選抜した。得られた形質転換体をハイグロ
マイシンプレート(500mg/ml)に引き延ばし、ハイグロマ
イシン耐性の発現を確認した。その結果、コドンを改変
しなかったハイグロマイシン耐性遺伝子を導入した形質
転換体では、増殖が見られず、ハイグロマイシン耐性は
発現しなかった(図2)。このことから、コドン改変がハ
イグロマイシン耐性の発現に必須であることが確認され
た。
【0040】(比較例2)比較のために、上記(4)にお
いて、パン酵母用のシャトルベクターpRS416にも作製し
た遺伝子を導入した(図1)。これらのベクターをパン酵
母YPH499株 (ura3-株、Stratagene製)に導入し、ウラシ
ル要求性をマーカーに形質転換体を選抜した。その結
果、コドン改変しない遺伝子を形質転換した場合でも、
コドン改変した遺伝子を形質転換した場合でも、ハイグ
ロマイシン耐性が発現された(図2)。これは、パン酵母
では、CTGコドンもCTCコドンもロイシンに翻訳されるた
め、改変にかかわらず、正しい酵素ができるためと考え
られる。
【0041】
【発明の効果】本発明のコドン改変したハイグロマイシ
ン耐性遺伝子を用いることにより、栄養要求性株だけで
なく、自由にCandida属酵母の野生株やDCA生産株等の実
用酵母を形質転換することができるという格別の効果を
奏する。
【0042】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Japan Energy Corporation <120> Hygromycin resistance gene and transformed yeast Candida <130> FJ1105 A1 <140> <141> <160> 1 <170> <210> 1 <211> 1026 <212> DNA <213> Escherichia coli <400> 1 atg aaa aag cct gaa ctc acc gcg acg tct gtc gag aag ttt ctg atc gaa aag ttc gac M K K P E L T A T S V E K F L I E K F D 1 5 10 15 20 agc gtc tcc gac ctg atg cag ctc tcg gag ggc gaa gaa tct cgt gct ttc agc ttc gat S V S D L M Q L S E G E E S R A F S F D 25 30 35 40 gta gga ggg cgt gga tat gtc ctg cgg gta aat agc tgc gcc gat ggt ttc tac aaa gat V G G R G Y V L R V N S C A D G F Y K D 45 50 55 60 cgt tat gtt tat cgg cac ttt gca tcg gcc gcg ctc ccg att ccg gaa gtg ctt gac att R Y V Y R H F A S A A L P I P E V L D I 65 70 75 80 ggg gaa ttc agc gag agc ctg acc tat tgc atc tcc cgc cgt gca cag ggt gtc acg ttg G E F S E S L T Y C I S R R A Q G V T L 85 90 95 100 caa gac ctg cct gaa acc gaa ctg ccc gct gtt ctg cag ccg gtc gcg gag gcc atg gat Q D L P E T E L P A V L Q P V A E A M D 105 110 115 120 gcg atc gct gcg gcc gat ctt agc cag acg agc ggg ttc ggc cca ttc gga ccg caa gga A I A A A D L S Q T S G F G P F G P Q G 125 130 135 140 atc ggt caa tac act aca tgg cgt gat ttc ata tgc gcg att gct gat ccc cat gtg tat I G Q Y T T W R D F I C A I A D P H V Y 145 150 155 160 cac tgg caa act gtg atg gac gac acc gtc agt gcg tcc gtc gcg cag gct ctc gat gag H W Q T V M D D T V S A S V A Q A L D E 165 170 175 180 ctg atg ctt tgg gcc gag gac tgc ccc gaa gtc cgg cac ctc gtg cac gcg gat ttc ggc L M L W A E D C P E V R H L V H A D F G 185 190 195 200 tcc aac aat gtc ctg acg gac aat ggc cgc ata aca gcg gtc att gac tgg agc gag gcg S N N V L T D N G R I T A V I D W S E A 205 210 215 220 atg ttc ggg gat tcc caa tac gag gtc gcc aac atc ttc ttc tgg agg ccg tgg ttg gct M F G D S Q Y E V A N I F F W R P W L A 225 230 235 240 tgt atg gag cag cag acg cgc tac ttc gag cgg agg cat ccg gag ctt gca gga tcg ccg C M E Q Q T R Y F E R R H P E L A G S P 245 250 255 260 cgg ctc cgg gcg tat atg ctc cgc att ggt ctt gac caa ctc tat cag agc ttg gtt gac R L R A Y M L R I G L D Q L Y Q S L V D 265 270 275 280 ggc aat ttc gat gat gca gct tgg gcg cag ggt cga tgc gac gca atc gtc cga tcc gga G N F D D A A W A Q G R C D A I V R S G 285 290 295 300 gcc ggg act gtc ggg cgt aca caa atc gcc cgc aga agc gcg gcc gtc tgg acc gat ggc A G T V G R T Q I A R R S A A V W T D G 305 310 315 320 tgt gta gaa gta ctc gcc gat agt gga aac cga cgc ccc agc act cgt ccg agg gca aag C V E V L A D S G N R R P S T R P R A K 325 330 335 340 gaa tag E *
【図面の簡単な説明】
【図1】ベクターの制限酵素地図 H: Hind III S: Sal I CT: Candida tropicalis SC: Saccharomyces cerevisiae pro: promoter ter: terminater HGM: hygromycin resistance gene HGM#: mutated HGM PGK: phosphoglycerate kinase ARS: autonomously replicating sequence
【図2】Saccharomyces cerevisiae (A)及びCandida tro
picalis (B)でのハイグロマイシン耐性遺伝子の発現 a: pRS416を形質転換した株 b: pRS-HGMを形質転換した株 c: pRS-HGM#を形質転換した株 d: pUCARSを形質転換した株 e: pUCARS-HGMを形質転換した株 f: pUCARS-HGM#を形質転換した株
【図3】サザン法による形質転換体の解析 Lanes 1: Candida tropicalis 1098E13 Lanes 2-3: hygromycin resistant colonies
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三沢 悟 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジ−内 Fターム(参考) 4B024 AA03 AA20 BA10 BA80 DA12 EA04 FA01 GA11 HA01 4B065 AA73X AA73Y AB01 AC10 BA02 CA29 CA60

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CTGコドンをCTG以外のロイシンコドンに
    改変したハイグロマイシン耐性遺伝子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のハイグロマイシン耐性
    遺伝子を用いて形質転換されたCandida属酵母。
JP11154480A 1999-06-02 1999-06-02 ハイグロマイシン耐性遺伝子及び形質転換されたCandida属酵母 Pending JP2000342263A (ja)

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JPH08173170A (ja) * 1994-05-25 1996-07-09 Kirin Brewery Co Ltd キャンディダ・ユティリス酵母の形質転換系、およびそれによる異種遺伝子の発現

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