JP2000341779A - スピーカーボックス - Google Patents

スピーカーボックス

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JP2000341779A
JP2000341779A JP11148653A JP14865399A JP2000341779A JP 2000341779 A JP2000341779 A JP 2000341779A JP 11148653 A JP11148653 A JP 11148653A JP 14865399 A JP14865399 A JP 14865399A JP 2000341779 A JP2000341779 A JP 2000341779A
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speaker box
resin
wood
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space
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JP11148653A
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Sadao Nishibori
貞夫 西堀
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AIN KOSAN KK
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AIN KOSAN KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂とセルロース系破砕物との合成物を原料
と成し、必要な剛性を備えると共に音質も良好であり、
さらに木質感を有するスピーカーボックスを得る。 【解決手段】 木粉等セルロース系破砕物、樹脂及び分
散促進剤を配合して、該分散促進剤を介して前記セルロ
ース系破砕物と樹脂が架橋して成る木質合成材組成物を
形成する。この木質合成剤組成物を射出成形又は押し出
し成形により成形し、中空空間12の形成された木質合
成板10を得る。そして、この木質合成板10により、
板厚内に複数の中空空間12が形成され、かつ前記中空
空間12が内部空間と連通したスピーカーボックス1を
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、木粉、紙などセ
ルロース系破砕物を含む木質合成材組成物により製造さ
れたスピーカーボックスに関するものであり、特に、木
質感を有すると共に優れた音質を有するスピーカーボッ
クスに関する。
【0002】なお、本明細書においてスピーカーボック
スとは、スピーカーを除く箱体を指す。
【0003】
【従来の技術】スピーカーボックスは、スピーカーやそ
の他の部品を保護・収納する箱体であると共に、音響機
器でもあり、さらに室内に配置されたときには家具ない
しは調度品と見ることもできることから、箱体としての
剛性、音響機器としての優れた音質を備えると共に、家
具ないしは調度品としての美しい外観を有することが好
ましい。
【0004】このうち、音響機器として要求される特性
としては、残響時間を短くするため、音の減衰を早くす
る、すなわち、大きな内部損失(もしくは損失係数)を
有していること、スピーカーの背面より発生した音が、
スピーカーの前面より生じた音と干渉しないようにする
ために、低音域に対してはスピーカーボックスの密閉
度、高音域に対してはスピーカーボックス材料の密度
(もしくは比重)が大きいこと、さらに、スピーカーボ
ックスの内容積が狭いとスピーカーの裏面から出た音波
が干渉し、周波数によっては、内外の気圧差でスピーカ
ーのコーンの移動が抑制されて低音の出が悪くなるこ
と、また、スピーカーボックス内の容積を大きくするこ
とにより低域を共鳴させることができ低音増強効果が得
られること等から、特に小型のスピーカーボックスにあ
っては、内容積(有効内容積)が大きいこと、が要求さ
れる。
【0005】このような特性が要求されるスピーカーボ
ックス製作用の材料として、従来より使用されているも
のとしては、例えばパーティクルボードや合板等の木材
系材料、PP(ポリプロピレン),PS(ポリスチレ
ン),PC(ポリカーボネート)、ポリメタクリレー
ト、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体、これら樹脂に無機質充填材を配合したもの、又はこ
れらの樹脂の発泡体等の樹脂系の材料が使用されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来より用いられてい
るパーティクルボードや合板等の木材系の材料により製
作されたスピーカーボックスは、音響機器として必要と
される密度及び損失係数を有すると共に、箱体として必
要とされる剛性をも備えており、さらに、その木質感か
ら重厚感、高級感、暖かみ等を感じることができ、室内
に配置した際に違和感なく他の家具等と調和して家具な
いしは調度品としての鑑賞にも耐え得るものである。
【0007】しかし、このような木質材料は天然素材を
原料としているために、材質的なばらつきや湿度等によ
る経時的な変化を受け易い。
【0008】また、前述の木質系の材料により複雑な形
状のスピーカーボックスを制作することが極めて困難で
あり、例えばカーステレオ用のスピーカーボックスのよ
うに設置する空間が限られていてそれに適合した形状の
スピーカーボックスを製作しなければならない場合、こ
のような木質系の材料は不適切である。
【0009】これに対して、樹脂系の材料による場合に
は、スピーカーボックスを所望の形状に成型することが
比較的容易であり、木質系材料の使用が困難な分野にも
広く使用されている。また、樹脂系の材料は一般に軽量
であるため、例えばカーステレオ等の一部として車輌に
搭載されるスピーカーボックスの製作等に適している。
【0010】しかし、前述の樹脂系の材料は、比較的高
価てであると共に単独では箱体としての剛性が不足し、
また、剛性の不足を補うためにマイカ(雲母)、タル
ク、炭酸カルシウム等の無機質充填材を添加すると、内
部損失が低下して、音質の低下につながる。
【0011】さらに、樹脂系材料よりなるスピーカーボ
ックスにあっては、木材系の材料が有するような木質感
がなく、そのため重厚感、高級感、暖かみといった風合
いに欠け、無味乾燥した雰囲気を有する。
【0012】これに対して、特開昭56−165487
号公報に記載のスピーカーボックスにあっては、熱可塑
性樹脂にシラスおよび木くずを充填することにより、充
填された木材系材料により木材系スピーカーボックスに
近い音質を得ることができるようなっている。しかし、
特開昭56−165487号公報に記載のスピーカーボ
ックスにあっては、木くずの充填にかかわらず木質感は
醸しだされていない。
【0013】また、特開平2−1539444号公報に
記載されているスピーカーボックスにあっては、熱可塑
性樹脂に無機質充填材を混合し、さらに化学発泡剤を添
加することで、損失係数及び剛性の向上と、軽量化を得
ている。しかし、前記特開昭56−165487号公報
に記載のスピーカーボックスと同様、前記特開平2−1
539444号公報に掲載のスピーカーボックスにあっ
ても木質感を有せず、無味乾燥した雰囲気を有するもの
となっている。
【0014】なお、木質感を出すために単純に木粉等の
セルロース系破砕物の混入量を増やすと、給水率及び線
膨張係数が高くなり、経時的な変化に伴う品質のばらつ
きが生ずると共に、所望の強度が得られない等、スピー
カーボックスとしての使用に耐え得ない。
【0015】また、スピーカーボックスの剛性を向上さ
せる目的等でスピーカーボックスの板厚を厚くすると、
スピーカーボックス内の容積が小さくなり、特に小型の
スピーカーボックスにあっては低音の出力が抑制された
り、共鳴による低音の増強が行われないことから、低音
の出が悪く迫力に欠けた音となる。
【0016】そこで、本発明の目的は、上記従来技術に
おける欠点を解消するためになされたものであり、材質
的なばらつきや経時的な変化が生じ難く、木材系のスピ
ーカーボックスと同等以上の音質を有すると共に、木質
感を有し、さらに小型のスピーカーボックスにあっても
必要な剛性を有しつつ十分な有効内容積を確保し得るス
ピーカーボックスを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のスピーカーボックスは、含有水分量を0.
3wt%以内とし平均粒径50〜330メッシュ(約30
0〜50μm )の木粉等セルロース系破砕物50〜60
wt%と、樹脂40〜50wt%を配合し、且つ、前記木粉
及び樹脂に対して0.3〜1.0%の分散促進剤を配合
し、該分散促進剤を介して前記セルロース系破砕物と樹
脂が架橋して成る木質合成材組成物を原料とする木質合
成板で形成したスピーカーボックスで、前記木質合成板
の板内に、前記スピーカーボックス1内に形成された空
間と例えば連通溝14(図1、図4参照)、開口14’
(図5参照)等を介して連通する複数の中空空間12を
備えることを特徴とする(請求項1)。
【0018】前記スピーカーボックス1は、中空空間1
2を有する木質合成板10により形成し、この木質合成
板10は、前記木質合成材組成物を押出し成形にて一体
に形成されて成り、前記中空空間12をスピーカーボッ
クス1内に形成された空間と連通させる連通溝14、開
口14’等の開口を、スピーカーボックス1の内壁を成
す側面に備える構成とすることができる(請求項2:図
1)。
【0019】また、前記木質合成板10は、前記木質合
成材組成物を押出し成形又は射出成形により形成され
た、一側面に凸条の形成された二の板状体11a,11
bを組合せて形成することもでき、前記二の板状体11
a,11bを凸条15,16の形成された面を重ね合わ
せて接合して板厚内に凸条15,16及び板状体11
a,11bに囲まれた中空空間12が形成されて成り、
前記中空空間12をスピーカーボックス1内に形成され
た空間と連通させる連通溝14、開口14’等の開口が
スピーカーボックス1の内壁を成す前記いずれかの板状
体11aに形成されて成る構成とすることもできる〔請
求項3:図6(A),図6(B),図7)〕。
【0020】さらに、本発明のスピーカーボツクス1の
別の構成としては、前記木質合成材組成物を射出成形し
て形成された、内面に凸条16を備える外枠18と外面
に凸条を備える内枠を組合せてスピーカーボックス1を
形成することもでき、前記外枠18内に前記内枠17を
嵌合して接合して板厚内に、凸条15,16、内枠17
及び外枠18に囲まれた中空空間12が形成されて成
り、前記内枠17内面に、前記中空空間12とスピーカ
ーボックス内に形成された空間を連通する連通溝14、
開口14’等の開口を形成した構成とすることもできる
(請求項4:図8,図9)。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を以下
説明する。
【0022】本発明のスピーカーボックスは、木粉、紙
等のセルロース系破砕物を主たる成形素材とした木質合
成材組成物により製造されたもので、前記セルロース系
の破砕物と樹脂から成るペレットを射出あるいは押出し
成形に際して押出機で混練して成形ダイより所定の肉厚
ないしは任意形状に形成された木質合成板等により製造
されたスピーカーボックスである。
【0023】前記セルロース系の破砕物および樹脂は、
いずれもバージンのものを使用することもできるが、い
ずれか一方又は双方が、建築廃材、回収された故紙等よ
り得られたセルロース系破砕物、あるいは、自動車、家
庭電気製品を始め、生活の多様化に伴い、日用品など広
範な用途に向けて多種類、かつ多量に用いられ、多量に
廃棄されている各種熱可塑性合成樹脂製品の廃材等を再
利用し、これを本発明のスピーカーボックス製造用の原
料として再利用することもできる。
【0024】熱可塑性樹脂の例としては、PVC(ポリ
塩化ビニル)、PET(ポリエステル)、PP(ポリプ
ロピレン)、PC(ポリカーボネート)、ナイロン等の
樹脂の一種又はこれらの数種を混合したものを用いるこ
とができ、例えばこの熱可塑性樹脂40〜50wt%に、
含有水分量を0.3wt%以内、平均粒径50〜330メ
ッシュのセルロース系破砕物50〜60wt%を配合し、
更に前記セルロース系破砕物と樹脂の混合材料に対して
0.3〜1.0%の分散促進剤を配合する。
【0025】前記セルロース系破砕物において、0.3
wt%以上の含水率があると、押出しあるいは射出成形に
あたって、成形が極めて困難となるほか、木粉と樹脂の
なじみが悪くなり、混練が不十分となる。
【0026】樹脂がPPの場合を始め木粉との混合比
は、木粉が原材料の全体量の50wt%以下になると樹脂
がミキサー内でやや大きな塊となることがあるので、木
粉の量は50wt%より多い方が好ましい。また、木粉が
50wt%より少ないときは、上記配合の樹脂、分散促進
材、そして酸化チタンの木粉への吸着及び融合固定が困
難となり、また、機械的特性、特に曲げ強度が低くなり
好ましくない結果をもたらす。 また、木粉が60wt%
までは原材料のゲル化が可能であり、木粉が60wt%よ
り多くなると、成形時、木粉が焼け、成形が困難となる
と共に、仮に成形できたとしても強度が落ちることがま
ま見られる。
【0027】さらに、粒径が50メッシュ以上では、水
分の蒸発が円滑に行われず、また、混練に際して分散が
均一に行われない。
【0028】330メッシュ以下では、ボールミルなど
を用いた特殊な粉砕が必要となり、効率も悪くまた、木
粉繊維中の導管などの組織を破壊してしまい樹脂との架
橋が行われ難く不適当である。
【0029】さらに、分散促進剤を1.0%以上添加す
ると、成形が困難となり、一定以上の厚みを有する板体
を成形した場合、曲げ強度が低下するなど好ましくない
結果をもたらすことがある。0.3%以下では、特性の
改善効果が現れない。
【0030】また、酸化チタンを木粉に対して25%以
下で配合すれば、着色と木粉の焼けを防ぐことができ
る。酸化チタンが26wt%以上では、セルロース系破砕
物への吸着がやや困難となり、適切でない。
【0031】なお、前記配合物には、さらに酸化チタン
を木粉に対して25%迄混入することができ、酸化チタ
ンの混入は剪断力をも高めるために好ましい。
【0032】また、前記酸化チタンは、流動性、溶液中
における分散性が良好であり、本発明の木質合成板に対
して圧縮弾性率を高めることに寄与する。
【0033】一例として、本発明のスピーカーボックス
に使用する木質合成板の製造例を示せば以下の通りであ
る。
【0034】本例では、原材料の55wt%は100メッ
シュ(約200μm)通過の粒径で、嵩比重が0.2の
木粉を25kg(このとき木粉は水分を約8wt%含む)
45wt%は樹脂のPP(ポリプロピレン)を20.45
kg、分散促進材として木粉およびPPに対して相溶化
剤0.5%、約228gである。
【0035】なお、前記木粉の平均粒系とは、当該木粉
の累積重量のパーセント分布の50重量パーセントの粒
子径を意味する。
【0036】なお、前記木粉および酸化チタンを約2.
5kg(木粉に対する割合は10%である)に前記45wt
%のPP(ポリプロピレン)、分散促進材として木粉、
PP及び酸化チタンに対して相溶化材0.5%、約24
0gを配合してもよい。
【0037】前記木粉あるいは、前記木粉及び酸化チタ
ンを同時に投入し、ミキサー内で高速回転する撹拌衝撃
翼による剪断力による摩擦熱により温度180℃で、水
分含有量0.3wt%以下、好ましくは0.1wt%以下と
する。この工程で、酸化チタンを木粉と同時に投入した
場合は、微小木粉の周囲あるいは、水分が蒸発し、空洞
化した一部の導管又は仮導管内にも一部の酸化チタンを
付着、侵入固定させる。
【0038】ここで、樹脂のPP(ポリプロピレン)及
び相溶化剤をミキサー内に投入する。
【0039】なお、樹脂の形態は、本実施形態にあって
は直径3mm程度の大きさの粒状から成るペレットを使用
している。又、相溶化剤は、反応性ポリオレフィン系オ
リゴマー(溶融粘度約7000CPS:BL型粘度計、軟化点
約145℃:JIS-K2531 )のものを用いた。具体的に
は、三洋化成工業株式会社ユーメックス1010であ
る。
【0040】この工程で、原材料内の木粉によりPPは
大きな塊とはならず、混合分散に際しても凝集したりせ
ず粘土状に凝固直前迄ゲル化し、次いで、直径約10か
ら100mmの塊状の「混練材料」となった。つまり、こ
の塊とは、個々の木粉がその木粉単体の表面全体及びこ
れら微小木粉の水分が蒸発し、空洞化した一部の導管又
は仮導管内にも一部の樹脂を侵入固化させ付着し、相溶
化剤を介して隣接するこれら木粉に融合した樹脂相互間
において再結晶し、あるいは、樹脂相互を再結晶させて
隣接微細粒子相互を固結する架橋状態に形成されるが、
これら塊全体そのものの結合は脆いものである。したが
って、この工程により形成された混練材料は、後工程の
押出機で一層効率良く混練され得る良好な材料であり、
押出し成形時において特に木粉の摩擦抵抗を減じる良好
な材料である。
【0041】上記工程をさらに詳述すると、木粉の水分
含有量は、0.3wt%以下となっているため、相溶化剤
の持つ分散性をよくする性能がさらに助長され、樹脂と
木粉との界面をなくし、木粉からみて、樹脂中へ均一な
密度で分散され、樹脂からみて、木粉へ含浸しやすくな
ると共に完全に木粉外周を包囲するかたちで、混練溶融
される。
【0042】前述したミキサーで形成された混練材料は
撹拌しながら冷却され、直径25mm以下に造粒され、さ
らにカッタミルを使用して粒径10mm以下に整粒し、ペ
レット状の「木質合成組成物」を形成する。
【0043】上記組成物を用いて単軸押出し機で、中空
木質合成板を製造した。この中空木質合成板は、幅:6
00mm、厚さ:18mm内に、長さ方向を長さ方向とし
て、本実施形態にあっては直径5mmの断面円形、又は1
0×10mmの断面矩形状の中空空間が形成されている。
この木質合成板10は、木粉等のセルロース系破砕物を
多量に含むために木質感を醸しだしており、さらに表面
をサンディング(サンドブラスト等)して木粉等のセル
ロース系破砕物を表面に露出させることで木質感の一層
の向上を図ることができる。
【0044】この木質合成板10をシャーリングにより
所定の長さに切断すると共に、図2(A)に示すように
スピーカーボックスの各面の大きさ毎に底部において9
0℃の角度を成すV字条の切り込み30が入れられ、こ
の切れ込み30部分を図2(B)に示すように折り曲げ
て、外寸において幅:250mm、高さ:400mm、奥行
き250mmのスピーカーボックス1を形成している。
【0045】なお、前記木質合成板10内に形成された
中空空間12は、前述のように断面形状において円形、
又は矩形である必要はなく、三角形、その他の多角形、
楕円形その他各種の形状とすることができる。
【0046】また、本発明のスピーカーボックス1は、
前述の例に代えて、図3に示すようにスピーカーボック
ス1の各面毎に分割された木質合成板10a,10b,
10c,10d,10eを組み立てて形成しても良く、
この場合には各木質合成板10a,10b,10c,1
0d,10eが90℃の角度で接合されるよう各木質合
成板10a,10b,10c,10d,10eの端部を
斜めに切り落としておけば好適である。
【0047】また、例えばスピーカーボックス1の隣接
する二面を、図2(A)に示すように連続する1の木質
合成板10により形成し、各面の境界に切り込み30を
入れて折り曲げ可能な状態とした2枚の木質合成板10
を組み合わせて1つのスピーカーボックス1とすること
もでき、各種の組合せにおいてスピーカーボックス1を
形成することができる。
【0048】前記スピーカーボックス1の内面を成す木
質合成板10の一側面には、木質合成板10内に形成さ
れた中空空間12に達する深さの連通溝14が設けられ
ており、この連通溝14がスピーカーボックス内の空間
と、前記スピーカーボックスの板厚内に形成された中空
空間12とを連通する開口となっている(図1及び図3
参照)。
【0049】図1において、スピーカーボックス1の内
壁にはV字状の連通溝14が形成されており、この連通
溝14を介してスピーカーボックス1の板厚内に形成さ
れた中空空間12がスピーカーボックス1内に形成され
た空間と連通し得るよう構成されている。本実施形態に
あっては、立方体状に形成されたスピーカーボックス1
の内壁であって、5面全てに前記中空空間12の長さ方
向と直交する方向を長さ方向とするV字状の連通溝14
を設け、該連通溝14によりスピーカーボックス1を形
成する木質合成板10中に形成されたいずれの中空空間
12もが、スピーカーボックス1の内部空間と連通する
よう構成されている。
【0050】もっとも、前記連通溝14は必ずしもV字
状である必要はなく、スピーカーボックス1内の空間が
前記中空空間12と連通し得る形状であれば良く、矩形
状、その他の形状の連通溝とすることもできる。
【0051】また、スピーカーボックス1の内部空間と
中空空間12との連通は、前記連通溝による場合に限定
されず、中空空間12の形成位置に対応する位置のスピ
ーカーボックス1の内壁に所定大の開口14’を形成
し、前記中空空間12をスピーカーボックス1の内部空
間と連通させることもできる(図5参照)。
【0052】このように、スビーカーボックス1の板厚
内に形成された中空空間12をスピーカーボックス1内
の空間と連通することにより、スピーカーボックス1の
外形をコンパクトとしつつ、スピーカーボックス1内に
形成される有効内容積広くとることができ、特に小型の
スピーカーボックスに発生し易い低音の出力不良、出力
不足を好適に解消することができる。
【0053】次に、本発明の別の実施形態につき説明す
る。前述の実施形態では、押出し成形により前記中空空
間12を一体的に形成した例について説明したが、本実
施形態にあっては、押出し成形又は射出成形により形成
された2枚の板状体を組み合わせることにより、内部に
中空空間の形成された木質合成板を形成する例について
説明する。
【0054】図6(A)及び図6(B)に示すように、
例えば射出成形等により本発明のスピーカーボックス1
を成す、中空空間12を備えた木質合成板10を形成す
る場合、この木質合成板10は、2枚の板状体11a,
11bを重合して形成されている。
【0055】この木質合成板10を成す各板状体11
a,11bには、例えば図6(A)に示すように凸条1
5,16が形成されており、この凸条15,16の形成
された面を対峙して2枚の板状体11a,11bを重合
し、板状体11aの凸条15,15間に形成された溝1
3aと、板状第11bに形成された凸条16,16間に
形成された溝13bが対向配置されて空間を画成して中
空空間12が形成されるよう構成されている。
【0056】このようにして重合された2枚の板状体1
1a,11bは、前述のようにして重合された状態で接
着、溶着してもよく、例えばいずれか一方の板状体11
a(又は11b)に係合突起を形成し、他方の板状体1
1b(又は11a)に前記係合突起を受入れ可能な係合
凹部を設け、両者間の嵌合で固定されるよう構成しても
良く、2枚の板状体11a,11bが固定されて一の木
質合成板10が形成し得るよう構成されている。
【0057】なお、本実施形態において、重合される板
状体11a,11bは図6(A)、図6(B)に示すよ
うに略対称の形状に形成された2枚の板状体11a,1
1bである場合に限定されず、例えば図7に示すように
一側面に凸条15が形成された板状体11aと、この凸
条15を挟持する位置に配置された1組の凸条16,1
6が形成された板状体11bを対向配置して重合し、両
板状体11a,11bを固着して、1の木質合成板10
を形成することもできる。
【0058】さらに、本発明の別の実施形態を図8及び
図9に基づいて説明する。
【0059】図8に示すスピーカーボックスは、例えば
射出成形により一体的に成形された外枠18内に、同様
に射出成形により一体成形された内枠17を嵌合して板
厚内に中空空間12の形成されたスピーカーボックス1
を形成した例である。
【0060】前記内枠17及び外枠18は、例えば図9
に示すように内枠17の外面及び外枠18の内面のそれ
ぞれに凸条15,16が形成されており、外枠18内に
内枠17が嵌合されたときに内枠17の外面に形成され
た凸条15と、外枠18の内面に形成された凸条16が
接合されて、凸条15,15間に形成された溝13a
と、凸条16,16間に形成された溝13bにより画成
された空間が中空空間12となる。
【0061】なお、前記内枠17及び外枠18は、必ず
しも射出成形により一体成形する必要はなく、例えば2
分割、3分割等複数に分割された内枠17及び外枠18
を射出成形により形成し、これを接着、溶着、嵌め込み
等により組み立てて内枠17及び外枠18を形成しても
良く、また内枠17及び外枠18のいずれかを一体形成
し、他方を前述のように複数に分割された構成としても
良く、前記各方法との各種組合せが可能である。
【0062】以上のように構成されたスピーカーボック
ス1は、箱体として使用するに十分な剛性を備えると共
に、板厚内に形成され、スピーカーボックス1の内部空
間と連通された中空空間12の存在により、外形をコン
パクトに維持しながら有効内容積を広くとることがで
き、低音の出力特性が優れたものとなると共に、中空空
間12と中空空間12との間に形成されたリブ状の部分
が補強材の役目をしてスピーカーボックス1の剛性向上
に貢献している。
【0063】さらに、原料中に損失係数の大きいセルロ
ース形破砕物を多量に含んでいることから、損失係数が
大きく、残響時間の短いスピーカーボックス1を得るこ
とができる。
【0064】〔試験例〕以上のように構成された本発明
のスピーカーボックス1のヤング率、及び損失係数を測
定した結果を以下に示す。
【0065】なお、下記試験例において使用したスピー
カーボックス1の製造条件は、それぞれ下記の通りであ
る。
【0066】(本発明例)中空木質合成板によるスピー
カーボックス 熱可塑性樹脂:PP 成形方法:押出し成形 サイズ(幅250mm×高さ400 mm×奥行き250 mm,板厚18m
m)各比較例も同一 (比較例1)MDFによるスピーカーボックス (比較例2)パーティクルボードによるスピーカーボッ
クス (比較例3)アトピン合板によるスピーカーボックス (比較例4)PP+炭カルによるスピーカーボックス 以上の各試料を比較対象とし、各スピーカーボックスの
ヤング率及び損失係数を測定した結果を下表に示す。
【0067】
【表1】
【0068】以上の試験例より明らかなように、本発明
のスピーカーポックスは比較例1〜比較例3に示す木材
系の材料により製造されたスピーカーボックスに比較し
ていずれも高いヤング率を示しており、従来の木材系の
スピーカーボックスに比較して高い剛性を備えているこ
とが判る。
【0069】また、損失係数についても、比較例1〜3
に示す木材系の材料により製造されて成るスピーカーボ
ックスに比較して2.25倍から3倍の数値を示してお
り、木材系の材料により製造されたスピーカーボックス
に比較して残響時間を短くできることが明らかである。
【0070】よって、本発明のスピーカーボックスは、
従来の木材系の材料により製造されたスピーカーボック
スに比較して高剛性かつ音質の優れたスピーカーボック
スを得られたことが明らかである。
【0071】
【発明の効果】以上説明した本発明の構成により、本発
明のスピーカーボックスは、以下に示す顕著な効果を有
する。
【0072】熱可塑性樹脂とセルロース系破砕物及び分
散促進剤の合成材料より成るので、所望の形状に加工し
易く、また、セルロース系破砕物の混入量が多く、木質
感が良好に醸し出されるため、美しい外観を得ることが
でき、家具、調度品等としての鑑賞に耐え得るスピーカ
ーボックスを得ることができた。
【0073】また、損失係数の大きいセルロース形破砕
物を多量に含むことは、スピーカーポックス自体の損失
係数の向上にもつながり、残響時間の短いスピーカーボ
ックスを得ることができた。
【0074】木粉、紙等のセルロース系破砕物は、熱可
塑性樹脂に比較して安価であるために、熱可塑性樹脂の
使用量を減らすことでスピーカーボックスの製造コスト
を低減させることができた。
【0075】スピーカーボックスの内部空間と連通する
中空空間が板厚内に形成されているため、スピーカーボ
ックスの有効内容積を大きくとることができ、良好な低
音出力を得ることができると共に、中空空間と中空空間
の間に形成されたリブ状の部分が補強材としても作用し
て所望の剛性を備えたスピーカーボックスを得ることが
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のスピーカーボックスの一実施形態を
示す斜視図。
【図2】 スピーカーボックス角部の構成例を示し、
(A)は組立て前の状態、(B)は組立て時の状態を示
す。
【図3】 スピーカーボックスの別の組立て例を示す分
解図。
【図4】 図1のIV−IV線断面図。
【図5】 図4に示す実施形態に代わる変更例を示す断
面図。
【図6】 二の板状体より成る木質合成板の断面図であ
り、(A)は断面円形の中空空間が形成されたもの、
(B)は断面矩形状の中空空間が形成されたもの。
【図7】 二の板状体より成る木質合成板の別の構成例
を示す断面図。
【図8】 本発明のスピーカーボックスの別の構成例を
示す斜視図。
【図9】 図8のIX−IX線断面図。
【符号の説明】
1 スピーカーボックス 10,10a,10b,10c,10d 木質合成板 11a,11b 板状体 12 中空空間 13a,13b 溝 14 連通溝 14’ 開口 15,16 凸条 17 内枠 18 外枠 20 バッフル板 30 切り込み

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含有水分量を0.3wt%以内とし平均粒
    径50〜330メッシュの木粉等セルロース系破砕物5
    0〜60wt%と、樹脂40〜50wt%を配合し、且つ、
    前記木粉及び樹脂に対して0.3〜1.0%の分散促進
    剤を配合し、該分散促進剤を介して前記セルロース系破
    砕物と樹脂が架橋して成る木質合成材組成物から成る木
    質合成板から成るスピーカーボックスであって、 前記木質合成板内に前記スピーカーボックス内の空間に
    連通する複数の中空空間を備えることを特徴とするスピ
    ーカーボックス。
  2. 【請求項2】 前記木質合成板は、前記木質合成材組成
    物を押出し成形にて一体に形成されて成り、前記中空空
    間をスピーカーボックス内に形成された空間と連通させ
    る開口を、スピーカーボックスの内壁を成す側面に備え
    ることを特徴とする請求項1記載のスピーカーボック
    ス。
  3. 【請求項3】 前記木質合成板は、前記木質合成材組成
    物の押出し成形又は射出成形により一側面に凸条の形成
    された二の板状体を組合せて形成され、前記二の板状体
    を凸条の形成された面を重ね合わせて接合して凸条及び
    板状体に囲まれた中空空間を形成して成り、前記中空空
    間をスピーカーボックス内の空間と連通させる開口がス
    ピーカーボックスの内壁を成す前記いずれかの板状体に
    形成されて成ることを特徴とする請求項1記載のスピー
    カーボックス。
  4. 【請求項4】 前記スピーカーボックスは、前記木質合
    成材組成物を射出成形して形成された、内面に凸条を備
    える外枠と外面に凸条を備える内枠を組合せて形成され
    て成り、 前記外枠内に前記内枠を嵌合して接合して板厚内に、凸
    条、内枠及び外枠に囲まれた中空空間が形成されて成
    り、前記内枠内面に、前記中空空間とスピーカーボック
    ス内に形成された空間を連通する開口を形成したことを
    特徴とする請求項1記載のスピーカーボックス。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003217251A (ja) * 2002-01-21 2003-07-31 Asahi Kasei Corp 光ディスク用トレー成形品
JP2006323864A (ja) * 2000-04-28 2006-11-30 Mebix Kk 臨床試験実施管理システム

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