JP2000338351A - 分散補償光ファイバおよびこれを用いた分散補償光ファイバケーブル - Google Patents

分散補償光ファイバおよびこれを用いた分散補償光ファイバケーブル

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JP2000338351A
JP2000338351A JP11147301A JP14730199A JP2000338351A JP 2000338351 A JP2000338351 A JP 2000338351A JP 11147301 A JP11147301 A JP 11147301A JP 14730199 A JP14730199 A JP 14730199A JP 2000338351 A JP2000338351 A JP 2000338351A
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dispersion
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compensating optical
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JP11147301A
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Kazuhiko Aikawa
和彦 愛川
Takashi Suzuki
孝至 鈴木
Akira Wada
朗 和田
Ryozo Yamauchi
良三 山内
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Fujikura Ltd
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Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝送用シングルモード光ファイバの波長分散
と分散スロープを補償し、かつ伝送距離に寄与しない素
子を排除できる分散補償光ファイバを提供する。 【解決手段】 中心の高屈折率のセンタコア1aと、そ
の外周上に設けられた低屈折率のサイドコア1bと、こ
のサイドコア1bの外周上に設けられた前記センタコア
1aよりも低屈折率で、かつ前記サイドコア1bよりも
高屈折率のクラッド2が設けられたW型の屈折率分布形
状を有する分散補償光ファイバにおいて、Δ2、bおよ
びb/aの値を適切に設定することにより、1.55μ
mよりも短波長側に零分散波長を有する伝送用シングル
モード光ファイバの波長分散と分散スロープを補償可能
で、かつ曲げ損失の小さい分散補償光ファイバを構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分散補償光ファイバ
に関し、特にケーブル化しても問題ないレベルまで曲げ
損失を低減したものである。
【0002】
【従来の技術】エルビウム添加光ファイバ増幅器が実用
化されたことによって、波長1.55μm帯では超長距
離無再生中継などのシステムが既に商用化されている。
また、通信容量の増大に伴い、波長多重伝送の開発が急
速に進められ、既にいくつかの伝送路では商用化されて
いる。今後は波長多重数の増加が急速に進むと考えられ
る。波長多重伝送において、伝送用のシングルモード光
ファイバは、使用する帯域でエルビウム添加光ファイバ
増幅器による利得差ができるだけ小さく、波長分散があ
る程度小さく、さらに各波長間での波長分散値の差をで
きるだけ小さくするために、分散スロープ(波長に対す
る波長分散の傾き)が小さいことが重要である。
【0003】一方、1.3μm帯シングルモード光ファ
イバ網は世界中に構築されている。この光ファイバ網に
おいて1.55μm帯の伝送を行うと、約+17ps/
nm/kmの波長分散を生じ、この波長分散の影響で伝
送特性は大きく劣化する。そこで、このような波長分散
を補償する分散補償光ファイバの開発が進められ、既に
商用化されている。分散補償光ファイバは1.55μm
帯で比較的大きな負の分散を有し、伝送用の1.3μm
帯シングルモード光ファイバと適切な長さで接続するこ
とによって、この1.3μ帯シングルモード光ファイバ
において生じた正の分散を相殺(補償)することができ
る。
【0004】しかしながら、一般的な分散補償光ファイ
バで補償できる波長幅は狭い。そのため、分散補償可能
な波長と離れている波長程、伝送特性が劣化し、波長多
重化の妨げとなる。
【0005】そこで、負の分散スロープを有する分散補
償光ファイバが開発されている。1.3μm帯シングル
モード光ファイバなどの伝送用シングルモード光ファイ
バの分散スロープは正の値を有するため、負の分散スロ
ープを有する分散補償光ファイバを用いて伝送用シング
ルモード光ファイバの分散スロープを補償することによ
って、広い波長帯における分散補償効果が得られる。
【0006】図1はこの分散補償光ファイバの屈折率分
布形状の一例を示したものである。この分散補償光ファ
イバは、コア1が、中心の高屈折率のセンタコア1a
と、このセンタコア1aの外周上に設けられた低屈折率
のサイドコア1bとからなり、このコア1(サイドコア
1b)の外周上に、前記センタコア1aよりも低屈折率
で、かつ前記サイドコア1bよりも高屈折率のクラッド
2が設けられた屈折率分布形状を有している。
【0007】Δ1は、クラッド2の屈折率を零としたと
きのクラッド2とセンタコア1aとの比屈折率差、Δ2
は、クラッド2の屈折率を零としたときのクラッド2と
サイドコア1bとの比屈折率差であって、Δ1は正の
値、Δ2は負の値となる。aはセンタコア1aの半径、
bはサイドコア1bの半径である。この分散補償光ファ
イバにおいては、aとbとの比率、Δ1およびΔ2を調
節することによって、負の分散スロープが得られる。
【0008】このような分散補償光ファイバは、例えば
既存の伝送路の受信側に、小型のモジュールとして挿入
され、波長分散と分散スロープの補償に用いられてい
る。このモジュールは、例えば適当な筺体内に、分散補
償光ファイバを巻き回した状態で収納したものである。
分散補償光ファイバのモジュールを受信側に挿入するの
は、伝送用シングルモード光ファイバの波長分散が蓄積
したところで波長分散を補償するためである。また、エ
ルビウム添加光ファイバ増幅器を挿入した通信システム
においては、増幅直後は光信号の光パワーが非常に大き
く、ここに分散補償光ファイバを挿入すると非線形効果
が発生して伝送特性が劣化しやすくなる。そこで、光パ
ワーが低下した受信側に分散補償光ファイバを挿入する
と、非線形効果を防ぐことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにモジュール化した分散補償光ファイバは、伝送距離
に殆ど寄与しない。このため、必要な伝送距離に相当す
る長さの伝送用シングルモード光ファイバを用意し、適
当な間隔毎にモジュールを挿入して波長分散、分散スロ
ープを補償するシステムが構築されている。しかし、分
散補償光ファイバを透過することによっても伝送損失が
蓄積されるため、システム全体の伝送損失が大きくなる
という問題があった。本発明は前記事情に艦みてなされ
たもので、伝送用シングルモード光ファイバの波長分散
と分散スロープを補償し、かつ伝送距離に寄与しない素
子を排除できる分散補償光ファイバを提供することを課
題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の分散補償光ファイバは、1.55μmより
も短波長側に零分散波長を有する伝送用シングルモード
光ファイバの波長分散と分散スロープを補償する分散補
償光ファイバであって、1.53〜1.60μmから選
択した使用波長帯において、波長分散が−150〜−1
0ps/nm/kmであり、かつ前記伝送用シングルモ
ード光ファイバの波長分散を零に補償できる長さで該伝
送用シングルモード光ファイバを補償したときの分散ス
ロープの補償率が80%以上であり、かつ曲げ損失が5
dB/m以下であることを特徴とする。この分散補償光
ファイバは、中心の高屈折率のセンタコアと、このセン
タコアの外周上に設けられた低屈折率のサイドコアと、
このサイドコアの外周上に設けられた、前記センタコア
よりも低屈折率で、かつ前記サイドコアよりも高屈折率
のクラッドとからなる屈折率分布形状を有すると好まし
い。また、本発明の分散補償光ファイバは、ケーブル化
して分散補償光ファイバケーブルとして用いることがで
きる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らは、分散補償光ファイ
バをケーブル化することによって、分散補償光ファイバ
自体も伝送線路として用いることができるのではないか
と考えた。すなわち、伝送用シングルモード光ファイバ
ケーブルの長さと分散補償光ファイバケーブルの長さと
の合計を所望の伝送距離に設定して伝送距離を確保する
とともに、波長分散と分散スロープを補償するシステム
を構築する。その結果、伝送距離に寄与しない素子を排
除でき、システム全体の伝送損失を小さくすることがで
きる。また、伝送用シングルモード光ファイバの使用長
さを短くすることができるため、低コストである。
【0012】しかしながら、本発明者らの検討の結果、
光ファイバにケーブル用の被覆を施すと、この被覆層に
よって光ファイバの長さ方向に不規則な歪みが生じた
り、ケーブルの敷設時や敷設後に加えられる任意の曲げ
やマイクロベンドによって伝送損失が大きくなる場合が
あり、モジュール化する場合よりも分散補償光ファイバ
の曲げ損失が小さくならなければ実用化が困難であるこ
とがわかった。そこで、本発明者らは、従来の分散補償
光ファイバの波長分散と分散スロープの補償効果を損な
わず、かつケーブル化が可能な程度に曲げ損失が小さい
分散補償光ファイバについて検討し、本発明を完成させ
た。
【0013】本発明の分散補償光ファイバの使用波長帯
は1.53〜1.60μmの範囲から選択される。例え
ば、エウビウム添加光ファイバ増幅器の増幅波長帯によ
って、1.53〜1.57μm、あるいは1.57〜
1.60μmなどが適宜選択される。本発明の分散補償
光ファイバの使用波長帯における波長分散は、−150
〜−10ps/nm/kmとされる。−10ps/nm
/kmよりも大きく、零に近い場合は、伝送用シングル
モード光ファイバの分散補償光ファイバの使用長さが必
要以上に長くなるなどの不都合がある。−150ps/
nm/kmよりも小さいものは製造が困難である。
【0014】本発明の分散補償光ファイバは、1.53
〜1.60μmから選択される使用波長帯において大き
な波長分散を有する伝送用シングルモード光ファイバの
波長分散と分散スロープを補償することを目的としてい
る。よって、本発明の分散補償光ファイバが補償対象と
する伝送用シングルモード光ファイバは、1.3μm帯
シングルモード光ファイバのみならず、1.55μmよ
りも短波長側に零分散波長を有し、その長波長側で波長
分散が大きくなる伝送用のシングルモード光ファイバが
含まれる。
【0015】本発明の分散補償光ファイバの分散スロー
プは、伝送用シングルモード光ファイバの波長分散を零
にできる長さの分散補償光ファイバを用いてこの伝送用
シングルモード光ファイバの分散スロープを補償すると
き、補償率が80%以上であると好ましい。80%未満
の場合は分散スロープが十分に補償できず、波長多重化
が困難となる。
【0016】この補償率は以下のようにして求める。使
用波長帯において、伝送用シングルモード光ファイバの
単位長さ当たりの波長分散と分散スロープの絶対値をそ
れぞれd1(ps/nm/km)、s1(ps/nm2
km)、分散補償光ファイバの単位長さ当たりの波長分
散と分散スロープの絶対値をそれぞれd2(ps/nm
/km)、s2(ps/nm2/km)とする。伝送用シ
ングルモード光ファイバの波長分散と分散スロープは正
の値、分散補償光ファイバの波長分散と分散スロープは
負の値である。
【0017】まず、単位長さの伝送用シングルモード光
ファイバを補償できる分散補償光ファイバの長さは、d
1/d2で表される。この長さにおける分散補償光ファイ
バの分散スロープはd1/d2*s2となる。 そして、
この長さの分散補償光ファイバによる単位長さの伝送用
シングルモード光ファイバの分散スロープs1の補償率
(%)は(d1/d2*s2)/s1*100となる。
【0018】このように分散スロープの補償率は、使用
波長帯における補償対象の伝送用シングルモード光ファ
イバの波長分散と分散スロープ、および分散補償光ファ
イバ自体の波長分散によって変化するため、目的とする
使用波長帯や伝送用シングルモード光ファイバにあわせ
て分散補償光ファイバの設計条件を設定する必要があ
る。例えば1.55μmにおける1.3μm帯シングル
モード光ファイバの波長分散は例えば約+17ps/n
m/km、分散スロープは約+0.058ps/nm2
/km、1.60μmにおける1.3μm帯シングルモ
ード光ファイバの波長分散は例えば約+20ps/nm
/km、分散スロープは約+0.057ps/nm2
kmである。
【0019】また、曲げ損失は、使用波長帯において、
曲げ直径(2R)が20mmの条件の値をいうものとす
る。本発明の分散補償光ファイバにおいては、使用波長
帯における曲げ損失が5dB/m以下であると好まし
い。5dB/mをこえるとケーブル化が困難となる場合
がある。
【0020】本発明の分散補償光ファイバを実現するた
めの第1の条件は、図1に示したものと同様の屈折率分
布形状を有することである。センタコア1aは、例えば
屈折率を上昇させる作用を有するゲルマニウムをドーパ
ントとして添加した石英ガラスから形成され、サイドコ
ア1bは屈折率を低下させる作用を有するフッ素を添加
した石英ガラスから形成され、クラッド2は純石英ガラ
スから形成される。ただし、本発明においては、Δ2、
bおよびb/aの値を適切に設定することによって、上
述の波長分散、分散スロープおよび曲げ損失の好ましい
値を設定することができる。
【0021】なお、Δ1は通常1.5〜3.0%とされ
る。1.5%未満の場合は波長分散の絶対値が小さく、
分散補償光ファイバの必要長が長くなってしまい、3.
0%をこえると分散補償光ファイバの母材製造時に割れ
が生じたり、伝送損失の劣化を引き起こすことがある。
また、Δ2、bおよびb/aの範囲は特に限定するもの
ではないが、通常、Δ2は−0.3〜−0.5%とされ
る。−0.3%よりも大きい場合(−0.3%<Δ2≦
0%)は分散スロープ補償率が低くなり、−0.5%よ
りも小さくなると(−0.5%>Δ2)伝送損失が劣化
する。また、通常bはb/aの値によって異なるが、
2.0〜6.0μmとされる。6.0μmをこえると分
散値の絶対値が小さくなり、2.0μm未満の場合は曲
げ損失が劣化する。また、通常b/aは2.5〜4.5
とされる。この範囲外の場合はサイドコア1bを設けた
効果が得られない。
【0022】図2〜5は、使用波長1.55μmにおい
て、それぞれΔ2を−0.30%、−0.40%、−
0.45%、−0.50%に固定した場合において、b
とb/aを変化させたときの波長分散と分散スロープお
よび曲げ損失の関係を示したグラフである。グラフ中に
示されている直線Sは、使用波長1.55μmにおい
て、この分散補償光ファイバが1.3μm帯シングルモ
ード光ファイバの波長分散を零に補償できる長さで、分
散スロープを100%補償できるときの波長分散と分散
スロープとの関係を示しており、この直線Sに近い程理
想的な補償効果が得られる。
【0023】また、グラフ中にはb/aの比率を一定と
してbの値を変化させたときの点が、b/aの比率ごと
にまとめて示されている。例えば図2中のb/a=2.
5を示す□は、bを2.4〜3.1μmの範囲で、0.
1μm間隔で変化させた際の分散スロープと波長分散の
値を示している。bの値が小さくなるにしたがって波長
分散の値の絶対値が大きくなる傾向があるため、このグ
ラフ中の□のうち、最も波長分散の絶対値が小さいもの
は、bを前記範囲の上限値付近に設定したときの値を示
し、最も波長分散の絶対値が大きいものは、bを前記範
囲の下限値付近に設定したときの値を示している。
【0024】また、曲げ損失はグラフ中に曲線、あるい
は数値で示されている。曲げ損失は、等高線状になって
おり、波長分散の絶対値が大きくなるにしたがって大き
くなる傾向がある。
【0025】本発明の分散補償光ファイバを設計するに
おいては、使用波長帯のうちの最も長い波長を使用波長
とし(長波長の方が曲げ損失が大きくなるので、より安
全サイドで計算する)、図2〜5に示したグラフを作成
し、波長分散と分散スロープとの関係から、その使用波
長帯におけるΔ2とb/aの好ましい範囲を決定すると
ともに、曲げ損失について5dB/m以下の値が得られ
る条件を決定する。
【0026】使用波長帯の波長幅が通常の波長多重伝送
で用いられる20〜40mm程度であれば、実際の設計
時には、使用波長帯の範囲内の任意の値、例えば使用波
長帯の上限値、または中心値で分散スロープが十分に補
償されていれば、使用波長帯における波長毎の波長分散
のばらつきを抑制することができる。好ましくは使用波
長帯の範囲の中心の値についてこのようなグラフを作成
し、この波長において条件を満足する設計条件を求め
る。曲げ損失に関しては使用波長帯の上限値での値も確
認する必要がある。
【0027】その結果、1.53〜1.60μmから選
択される任意の使用波長帯において、1.3μm帯シン
グルモード光ファイバのみならず、1.55μmよりも
短波長側に零分散波長を有する伝送用のシングルモード
光ファイバの波長分散と分散スロープを補償することが
でき、かつケーブル化に耐え得る曲げ損失を有する分散
補償光ファイバを得ることができる。
【0028】なお、使用波長帯や伝送用シングルモード
光ファイバの波長分散および分散スロープによって、分
散補償光ファイバに要求される波長分散と分散スロープ
の値が異なるため、本発明の分散補償光ファイバにおい
ては、一概にΔ2、bおよびb/aの好ましい数値範囲
を定めることは困難である。よって、本発明において
は、使用波長帯における波長分散、分散スロープの補償
率および曲げ損失の値を限定することによって、発明を
特定するものである。このように、波長分散と分散スロ
ープの補償効果と小さな曲げ損失を備えた特性は、従来
の屈折率分布形状を有する分散補償光ファイバでは得ら
れていないものである。
【0029】本発明の分散補償光ファイバは、公知のV
AD法などによって製造することができる。なお、実際
の分散補償光ファイバの屈折率形状はなだらかな曲線状
になり、図1に示したもののように、各構成部分の境界
がはっきりしていない。よって、図2〜5に示したよう
なグラフから、予めΔ2,b,b/aの値を設定した上
で、実際の製造時には、光学特性をモニタして微調整し
ながら製造すると好ましい。
【0030】また、本発明の分散補償光ファイバは、公
知のケーブル構造を適用して光ファイバケーブルとして
用いることができる。図6は、本発明の分散補償光ファ
イバをケーブル化した構造(光ユニット)の一例を示し
たもので、分散補償光ファイバ11の外周上に、順次、
紫外線硬化型樹脂などからなる一次被覆層12と二次被
覆層13が設けられて光ファイバ素線14が形成され、
この光ファイバ素線14の外周上に、さらに紫外線硬化
型樹脂からなる被覆層15が設けられて光ファイバ心線
16が形成されている。
【0031】そして、この光ファイバ心線16が4本集
合せしめられ、この集合体が、エチレン−酢酸ビニル共
重合体などからなる中間被覆層17にて一括被覆され、
さらにこの中間被覆層17の上にポリエチレンフォーム
などからなる最外層18が設けられてこの光ユニット
(光ファイバケーブル)が構成されている。この例にお
いて、分散補償光ファイバ11の外径は約125μm、
光ファイバ素線14の外径は約250μm、光ファイバ
心線16の外径は約500μmである。また、中間被覆
層17の外径は1.4mm最外層18の外径は2.0m
mである。ケーブルの構造、あるいは1本のケーブル内
に収める分散補償光ファイバの本数などは限定するもの
ではなく、任意の構成とすることができる。
【0032】そして、補償対象とする伝送用シングルモ
ード光ファイバケーブルに、その波長分散を零に補償で
きる長さの分散補償光ファイバケーブルを接続して光通
信システムを構築することによって、使用波長帯におけ
るシステム全体の波長分散が小さく、かつ使用波長帯に
おける波長分散にばらつきがなく、波長多重伝送に適し
た低損失の光通信システムを提供することができる。伝
送用シングルモード光ファイバケーブルの構造は、特に
限定せず、図6に示したものと同様の構成とすることも
できるし、他の公知の構造とすることもできる。このと
き、長距離通信用のシステムにおいては、好ましくはエ
ルビウム増幅器を所定の伝送距離毎に挿入する。そし
て、分散補償光ファイバは、伝送用シングルモード光フ
ァイバの受信側に接続し、上述のように非線形効果を防
ぐようにすると好ましい。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例を示して詳しく説明す
る。 (実施例1)VAD法により、中心がゲルマニウム添加
石英ガラスの微粒子からなり、外周部が純石英ガラス微
粒子からなる円柱状の多孔質体を形成した。この多孔質
体を、およそ1000℃の温度条件で、塩素系ガス含有
ヘリムガス雰囲気中にて脱水処理した。ついで、ヘリウ
ムガス雰囲気中、1150℃の温度条件で、中心のゲル
マニウム添加石英ガラス微粒子のガラス化を進行させ、
かさ密度を上昇させた。その後、1420℃の温度条件
で、ヘリウムガス 5l/minとSiF4ガス 30
0cc/minの混合雰囲気中で、外周部の純石英ガラ
ス微粒子を、フッ素添加するとともに、透明ガラス化し
てロッドを得た。
【0034】このロッドを延伸してコア母材とし、その
外周上に、VAD法により純石英ガラス微粒子を積層さ
せ、再び1000℃の温度条件で、塩素系ガス含有ヘリ
ムガス雰囲気中にて脱水処理し、さらにヘリウムガス雰
囲気中、1500℃の温度条件で透明ガラス化を進行さ
せ、プリフォームを得た。最後にこのプリフォームを線
引きして、W型の屈折率分布形状を有する外径約125
μmの分散補償光ファイバを得た。表1に、この分散補
償光ファイバの設計条件と1.55μmにおける光学特
性を示した。分散スロープの補償率は、1.55μmに
おける、1.3μm帯シングルモード光ファイバ(波長
分散 +17ps/nm/km、分散スロープ +0.
058ps/nm2/km)に対する値である。
【0035】
【表1】
【0036】この分散補償光ファイバを、実際にこの分
散補償光ファイバで波長分散が補償可能な長さの1.3
μm帯シングルモード光ファイバに接続して1.53〜
1.57μmにおける光の伝送実験を行ったところ、こ
の波長帯における波長分散は殆ど零で、全体の平均伝送
損失が波長1.55μmで0.224dB/kmであ
り、良好な伝送を行なうことができた。ついで、この分
散補償光ファイバを、図6に示したものと同様の構造の
ケーブルとし、同様にケーブル化した1.3μm帯シン
グルモード光ファイバに接続して同様の伝送実験を行っ
たところ、全体の平均伝送損失は波長1.55μmで
0.226dB/kmであった。
【0037】(比較例1)実施例1と同様にして分散補
償光ファイバを製造した。表2に、この分散補償光ファ
イバの設計条件と、実施例1と同様の測定条件による光
学特性を示した。
【0038】
【表2】
【0039】この分散補償光ファイバについて、実施例
1と同様の伝送実験を行ったところ、この波長帯におけ
る波長分散は殆ど零で、全体の平均伝送損失が波長1.
55μmで0.219dB/kmであり、良好な伝送を
行なうことができた。ついで、この光ファイバを実施例
1と同様にしてケーブル化して同様の伝送実験を行った
ところ、全体の平均伝送損失は波長1.55μmで0.
280dB/kmに劣化した。
【0040】(実施例2)実施例1と同様にして分散補
償光ファイバを製造した。表3に、この分散補償光ファ
イバの設計条件と1.60μmにおける光学特性を示し
た。分散スロープの補償率は、1.60μmにおける
1.3μm帯シングルモード光ファイバ(波長分散 +
20ps/nm/km、分散スロープ +0.057p
s/nm2/km)に対する値である。
【0041】
【表3】
【0042】この分散補償光ファイバを、実際に1.3
μm帯シングルモード光ファイバに接続して1.57〜
1.60μmにおける光の伝送実験を行ったところ、こ
の波長帯における波長分散は殆ど零で、全体の平均伝送
損失が波長1.60μmで0.236dB/kmであ
り、良好な伝送を行なうことができた。ついで、この光
ファイバを、実施例1と同様にしてケーブル化して同様
の伝送実験を行ったところ、全体の平均伝送損失は波長
1.60μmで0.240dB/kmであった。
【0043】(比較例2)実施例2と同様にして分散補
償光ファイバを製造し、表4に、この分散補償光ファイ
バの設計条件と実施例2と同様の測定条件による光学特
性を示した。
【0044】
【表4】
【0045】この分散補償光ファイバについて、実施例
2と同様の伝送実験を行ったところ、この波長帯におけ
る波長分散は殆ど零で、全体の平均伝送損失が波長1.
60μmで0.229dB/kmであり、良好な伝送を
行なうことができた。ついで、この光ファイバを実施例
2と同様にしてケーブル化して同様の伝送実験を行った
ところ、全体の平均伝送損失は波長1.60μmで0.
290dB/kmに劣化した。
【0046】実施例1〜2、比較例1〜2より、本発明
に係る実施例1〜2においては、曲げ損失が小さいた
め、ケーブル化しても伝送損失が劣化しにくいことが明
らかとなった。
【0047】(実施例3)実施例1と同様の1.3μm
帯シングルモード光ファイバのケーブルと分散補償光フ
ァイバのケーブルを用いて光通信システムを構築した。
この1.3μm帯シングルモード光ファイバのケーブル
と分散補償光ファイバのケーブルの1.55μmにおけ
る伝送損失は、それぞれ0.19dB/km、0.45
dB/kmであった。
【0048】分散補償光ファイバは、6倍の長さの伝送
用シングルモード光ファイバの波長分散を補償できるも
のであった。そのため、51.4kmの伝送用シングル
モード光ファイバケーブルの受信側に8.6kmの分散
補償光ファイバケーブルを接続したものを一組とし、同
様のものを10組接続し、かつ伝送距離60km毎にエ
ルビウム添加光ファイバ増幅器を挿入して光通信システ
ムを構築した。この光通信システムの伝送距離は1.3
μm帯シングルモード光ファイバケーブルと分散補償光
ファイバケーブルの長さの合計、すなわち600kmで
あった。このシステム全体のエルビウム添加光ファイバ
増幅器以外の伝送路の1.55μmにおける損失を測定
したところ、136.4dBであった。
【0049】(比較例3)比較例1の分散補償光ファイ
バを巻き回して180mm×200mm×30mmのサ
イズの筺体内に収めてモジュール化した。このモジュー
ルと実施例3に用いたものと同様の1.3μm帯シング
ルモード光ファイバケーブルを用いた。
【0050】また、この分散補償光ファイバは、6倍の
長さの伝送用シングルモード光ファイバの波長分散を補
償できる。そのため、60kmの伝送用シングルモード
光ファイバケーブルの受信側に10kmの分散補償光フ
ァイバを収めたモジュールを接続したものを一組とし、
同様のものを10組接続し、かつ伝送距離60km毎に
エルビウム添加光ファイバ増幅器を挿入して光通信シス
テムを構築した。
【0051】この場合分散補償光ファイバはモジュール
化され、伝送距離に寄与しないため、伝送距離は1.3
μm伝送用シングルモード光ファイバケーブルの長さの
合計、すなわち600kmであった。なお、この分散補
償光ファイバのモジュールの損失は、5.1dBであっ
た。このシステム全体のエルビウム添加光ファイバ増幅
器以外の伝送路の1.55μmにおける損失を測定した
ところ、165.0dBであった。
【0052】実施例3と比較例3の伝送距離は等しい
が、実施例3においては分散補償光ファイバケーブルが
伝送距離に寄与するため、分散補償光ファイバをモジュ
ール化した比較例3と比べて光信号が透過する光ファイ
バの長さが全体として短くなりシステム全体の伝送損失
の増加を低減することができることが確認できた。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明の分散補償光
ファイバは、使用波長帯において、伝送用シングルモー
ド光ファイバの波長分散と分散スロープを十分に補償す
ることができるため、波長多重伝送に適している。さら
に、曲げ損失が小さいため、ケーブル化することができ
る。そのため、分散補償光ファイバ自体も伝送線路とし
て用いることができ、システム全体の伝送損失を小さく
することができる。また、伝送用シングルモード光ファ
イバの使用長さを短くすることができる。その結果、伝
送用シングルモード光ファイバケーブルと本発明の分散
補償光ファイバケーブルを接続して光通信システムを構
築することによって、波長多重伝送に適し、低損失で、
かつ低コストなシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 分散補償光ファイバの屈折率分布形状の一例
を示したグラフである。
【図2】 Δ2を−0.30%に固定した場合におい
て、bとb/aを変化させたときの波長分散と分散スロ
ープと、曲げ損失の関係を示したグラフである。
【図3】 Δ2を−0.40%に固定したときの図2と
同様のグラフである。
【図4】 Δ2を−0.45%に固定したときの図2と
同様のグラフである。
【図5】 Δ2を−0.50%に固定したときの図2と
同様のグラフである。
【図6】 本発明の分散補償光ファイバを用いた光ファ
イバケーブルの構造の一例を示した断面図である。
【符号の説明】
1…コア、1a…センタコア、1b…サイドコア、2…
クラッド、Δ1…クラッドとセンタコアとの比屈折率
差、Δ2…クラッドとサイドコアとの比屈折率差、a…
センタコアの半径、b…サイドコアの半径。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 朗 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉工場内 (72)発明者 山内 良三 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉工場内 Fターム(参考) 2H050 AB04Y AB05X AB10X AC09 AC14 AC28 AC71 AD00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1.55μmよりも短波長側に零分散波
    長を有する伝送用シングルモード光ファイバの波長分散
    と分散スロープを補償する分散補償光ファイバであっ
    て、 1.53〜1.60μmから選択した使用波長帯におい
    て、波長分散が−150〜−10ps/nm/kmであ
    り、かつ前記伝送用シングルモード光ファイバの波長分
    散を零に補償できる長さで該伝送用シングルモード光フ
    ァイバを補償したときの分散スロープの補償率が80%
    以上であり、かつ曲げ損失が5dB/m以下であること
    を特徴とする分散補償光ファイバ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の分散補償光ファイバにお
    いて、中心の高屈折率のセンタコアと、このセンタコア
    の外周上に設けられた低屈折率のサイドコアと、このサ
    イドコアの外周上に設けられた、前記センタコアよりも
    低屈折率で、かつ前記サイドコアよりも高屈折率のクラ
    ッドとからなる屈折率分布形状を有することを特徴とす
    る分散補償光ファイバ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の分散補償光フ
    ァイバをケーブル化したことを特徴とする分散補償光フ
    ァイバケーブル。
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