JP2000336468A - 高温硬さに優れるクロム炭化物サーメット溶射皮膜被覆部材およびその製造方法 - Google Patents
高温硬さに優れるクロム炭化物サーメット溶射皮膜被覆部材およびその製造方法Info
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Abstract
く、耐摩耗性および耐エロージョン性に問題があるクロ
ム炭化物サーメット溶射皮膜のその性質を改善する。 【解決手段】 基材表面に、クロム炭化物に対し、炭化
物形成金属(Cr, Ti, Ta, Nb, Mo, W)と金属間化合物
形成金属(Ni, Co, Al)とからなるバインダー金属を配
合したサーメット溶射材料を溶射し、溶射熱源、溶射雰
囲気、熱源中を飛行する溶射粒子の飛行速度などの条件
を調整することによって、皮膜中に含まれる酸化物量
を、酸素量に換算して0.8 wt%未満となるクロム炭化物
溶射皮膜を形成する。また、このクロム炭化物サーメッ
ト溶射皮膜を、500 ℃〜1250℃、0.3〜5h の条件の熱
処理を施すか、500 ℃以上の実用環境中で使用すること
によって、皮膜中のバインダー金属の浸炭(炭化物の生
成)反応および金属間化合物、生成と析出反応を起こさ
せて、皮膜の高温硬さを向上させる。
Description
メット溶射皮膜を被覆した部材、特に高温環境における
硬度に優れるクロム炭化物サーメット溶射皮膜を部材表
面に形成する技術に関するものである。本発明の技術を
適用して製造されるクロム炭化物サーメット溶射被膜被
覆部材は、耐熱性、耐摩耗性、耐エロージョン性が要求
される環境下でも好適に利用することができる。
どの熱源によって、金属(合金)、セラミックス、サー
メット、硝子、プラスチックスなどを、溶融状態または
半溶融状態の微粒子として、基材表面に吹付けることに
より皮膜を形成する表面処理技術の1つである。そし
て、この技術の適用によって得られる溶射皮膜は、熱源
によって溶融可能な材料であれば冶金的には融合できな
いようなものでも、溶射材料粒子として、あらかじめ焼
結法や造粒法によって複合化しておけば成膜が可能であ
る。従って、溶射法で形成される皮膜の種類は非常に多
く、またその皮膜特性も他の既存の表面処理法では得ら
れないような特性の付与さえも可能である。その一方
で、余りにも組合せの多い溶射材料の種類と、溶射条件
(熱源の種類、熱源温度と速度、溶射雰囲気など)の選
択の如何によっては、形成される溶射皮膜の性質が大き
く変化するため、この技術の完成にはなお幾多の解決す
べき課題が残されている。
ット溶射皮膜というのは、炭化物が保有する高硬度特性
を利用する皮膜であるが、現実には、炭化物自体が溶融
しないため、バインダーとして必らず金属成分が添加さ
れ、いわゆる炭化物サーメットとして使用されるのが普
通である。
(Cr3C2)サーメット溶射皮膜は、溶射したままでは、WC
サーメット溶射皮膜ほどの高さ (WC−12wt%Co皮膜でH
V:1100〜1250) はないものの、耐熱性に優れているた
め鋼板の熱処理用ロール (例えば特公昭62−27133 号公
報、特開昭62−136421号公報など)やボイラ用鋼管の耐
摩耗性向上用皮膜として利用されている。 (例えば特開
平2−61051 号公報、特開平7−305159号公報など)。
しかし、これらの高温環境下で使用されている耐摩耗性
皮膜は、一応の目的を達成してはいるものの、未だ不十
分である。とくに、近年の産業界は省人化、保守管理費
の低減などの要請がある他、溶射皮膜のさらなる長寿命
化、すなわち現状の技術で得られるクロム炭化物サーメ
ット皮膜の高硬度化技術への要請がある。
例えば特開平2−61051 号公報では、「材料の表面に、
クロム炭化物粒子とメタル粒子を混合した炭化物−メタ
ル複合粉末を溶射し、これを300 〜800 ℃の温度で熱処
理して溶射皮膜中に酸化クロムを生成さ」せたクロム炭
化物サーメット溶射皮膜を提案し、また、特開平7−30
5159号公報では、クロムカーバイト・ニクロム複合材料
をプラズマ溶射し、これを非酸化性雰囲気中で700 〜10
00℃で熱処理する方法などの技術が提案されている。
蒸気中、酸化性雰囲気中などの酸素含有中で熱処理する
ことによって、皮膜構成成分の酸化を促進して硬質の酸
化クロム (Cr2O3)粉末を生成させ、このことによって溶
射皮膜の耐摩耗性を改善する方法である。ただし、この
方法は、皮膜の酸化消耗が激しいうえ、皮膜の気孔を通
して酸素が基材面に達し、ひいては皮膜を剥離させると
いう欠点があった。また、この皮膜は気孔中に多量のCr
2O3 が生成すると体積変化を生じ、皮膜自体に微小なク
ラックが発生して、局部剥離の原因をつくるため、耐摩
耗性を長期間にわたって発揮させることはできない。一
方、後者の従来技術は、非酸化性雰囲気中で熱処理する
技術であるが、この方法によって形成した皮膜は硬度上
昇がそれほど高くない。
特開平8−74024 号公報や特開平8−74025 号公報に開
示されているような技術を提案した。この技術は、溶射
皮膜を水素ガスを含むハロゲン化クロム蒸気中で熱処理
することによって、皮膜の表面にCr23C6炭化物の生成と
皮膜気孔中へのクロム微粒子の充填などによる高硬度
化、高耐食性化を図るものである。ただ、これらの技術
は、特殊な熱処理容器を必要とするため、大型部材への
適用が困難となるという問題があり、さらなる改善が望
まれていた。
従来技術が抱えている下記のような問題点を解決するこ
とにある。 (1) クロム炭化物サーメット溶射皮膜を、大気中、水蒸
気中あるいは酸化性雰囲気中で熱処理するときに発生す
る酸化クロム(Cr2O3) に起因する弊害、即ち皮膜の消耗
と剥離、微細なクラックの発生による短寿命化を防止す
ること。 (2) クロム炭化物サーメット溶射皮膜を、非酸化性雰囲
気中で熱処理するときに見られる弊害、即ち硬度が十分
に上昇しないために使途が制限されるという問題を克服
すること。 (3) クロム炭化物サーメット溶射皮膜を高温で熱処理す
るときに見られる急激な硬度の低下と、耐エロージョン
性の消失という問題点を克服すること。
に、高硬度、とくに高温環境において高い硬度を有する
クロム炭化物サーメット溶射皮膜を形成する技術を提案
する。本発明の他の目的は、基材表面に、耐熱性、耐摩
耗性ならびに耐エロージョン性に対して優れた特性を示
すクロム炭化物サーメット溶射皮膜を形成する技術を提
案する。
記課題を解決するため次に示すような着想の下に本発明
を開発した。即ち、第1に、耐熱性金属などの基材表面
に、クロム炭化物サーメット溶射材料、とくにバインダ
ー金属として、Cr, Ta, Ti, W,MoおよびNbから選ばれ
る1種以上の炭化物形成金属と、Ni, CoおよびAlから選
ばれる2種以上の金属を含む金属間化合物形成合金を含
むクロム炭化物サーメット溶射材料を用い (残部はCr 3C
2 の如きクロム炭化物) 、溶射条件を調整することによ
って、生成する溶射皮膜中にバインダー金属の酸化に起
因した酸化物量を酸素量換算で0.8 wt%未満に抑制した
クロム炭化物サーメット溶射皮膜を形成することを着想
の基本思想とした。とくに、上記のようにして形成した
クロム炭化物サーメット溶射皮膜を、大気雰囲気中、真
空を含む減圧雰囲気中もしくは不活性ガス雰囲気中で、
500 ℃〜900 ℃、0.3 〜5h の条件で熱処理を行うこと
よって、上記バインダー金属の浸炭反応(炭化物の生
成)および金属間化合物の生成と析出反応を起こさせる
ことにより、クロム炭化物サーメット溶射皮膜全体の硬
さを向上させることにした。
サーメット溶射皮膜をアンダーコートとして形成した
後、その上にトップコートとして、Co, Ni, Cr, Al,
Y,TaおよびSiから選ばれる2種以上の金属を含む耐熱
合金を溶射して環境を遮断し、次いで大気雰囲気中、真
空を含む減圧雰囲気中、不活性ガス雰囲気中で、500 ℃
〜1250℃、0.3 〜5h の熱処理を施すか、もしくは溶射
直後の状態で500 ℃以上の実用使用環境に曝すことによ
って、クロム炭化物サーメット皮膜中に含まれているバ
インダー金属の浸炭反応および金属間化合物の生成と析
出反応を導いて、クロム炭化物サーメット溶射皮膜全体
の硬さの向上を図ることにした。
射材料の組成は、Cr3C2 で代表されるクロム炭化物40〜
90wt%、バインダー金属60〜10wt%の範囲が好適であ
り、またバインダー金属中に占める炭化物形成金属成分
は10wt%〜90wt%、金属間化合物形成金属成分は90wt%
〜10wt%が好適である。
要旨構成を採用して上記の目的の実現を図るものであ
る。 (1) 基材の表面に、Cr, Ta, Ti, W,MoおよびNbから選
ばれる1種以上の炭化物形成金属と、Ni, AlおよびCoか
ら選ばれる2種以上の金属を含む金属間化合物形成合金
とからなるバインダー金属を10〜60wt%含有すると共
に、Cr3C2 で代表されるクロム炭化物を90〜40wt%含有
するクロム炭化物サーメット溶射皮膜が形成され、かつ
該クロム炭化物サーメット溶射皮膜は、この皮膜中に、
バインダー金属が酸化することにより発生する酸化物を
酸素量換算で0.8 wt%未満含有し、そしてこの溶射皮膜
中には前記バインダー金属の少なくとも一部が前記金属
・合金の金属炭化物と金属間化合物として含まれている
ことを特徴とする高温硬さに優れるクロム炭化物サーメ
ット溶射皮膜被覆部材。 (2) 基材の表面に、Cr, Ta, Ti, W,MoおよびNbから選
ばれる1種以上の炭化物形成金属と、Ni, AlおよびCoか
ら選ばれる2種以上の金属を含む金属間化合物形成合金
とからなるバインダー金属を10〜60wt%含有すると共
に、Cr3C2 で代表されるクロム炭化物を90〜40wt%含有
するクロム炭化物サーメット溶射皮膜が形成され、かつ
該クロム炭化物サーメット溶射皮膜は、この皮膜中に、
バインダー金属が酸化することにより発生する酸化物を
酸素量換算で0.8 wt%未満含有し、そして前記バインダ
ー金属の少なくともその一部が大気雰囲気中、真空を含
む減圧雰囲気中もしくは不活性ガス雰囲気中での 500℃
〜1250℃、0.3h〜5h の熱処理によって生成、析出した
金属炭化物およびNiAl系、CoAl系などの金属間化合物と
して含まれていることを特徴とする高温硬さに優れるク
ロム炭化物サーメット溶射皮膜被覆部材。 (3) 基材の表面に、アンダーコートとして、Cr, Ta, T
i, W,MoおよびNbから選ばれる1種以上の炭化物形成
金属と、Ni, AlおよびCoから選ばれる2種以上の金属を
含む金属間化合物形成合金とからなるバインダー金属を
10〜60wt%含有すると共に、Cr3C2 で代表されるクロム
炭化物を90〜40wt%含有するクロム炭化物サーメット溶
射皮膜、ただし、この溶射皮膜中に含まれるバインダー
金属の酸化に起因した酸化物量が酸素量換算で0.8 wt%
未満である1層以上の皮膜が形成され、そのアンダーコ
ート上にはトップコートとして、Co, Ni, Cr, Al, Y,
TaおよびSiから選ばれる2種以上の金属を含む耐熱合金
の溶射皮膜が1層以上形成され、そして、前記アンダー
コート中のバインダー金属の少なくともその一部が大気
雰囲気中、真空を含む減圧雰囲気中、もしくは不活性ガ
スの雰囲気中での 0.3〜5h の熱処理によって生成、析
出した金属炭化物およびNiAl系、CoAl系などの金属間化
合物として含まれていることを特徴とする高温硬さに優
れるクロム炭化物サーメット溶射皮膜被覆部材。 (4) 基材の表面に、炭化物形成金属および金属間化合物
形成金属をバインダー金属として含むクロム炭化物サー
メット溶射材料を溶射することにより、皮膜中に、前記
バインダー金属の酸化に起因した酸化物量が酸素量換算
で0.8 wt%未満となるクロム炭化物サーメット溶射皮膜
を形成することを特徴とする高温硬さに優れるクロム炭
化物サーメット溶射皮膜被覆部材の製造方法。 (5) 基材の表面に、炭化物形成金属と金属間化合物形成
金属とをバインダー金属として含むクロム炭化物サーメ
ット溶射材料を溶射し、皮膜中に、前記バインダー金属
の酸化に起因した酸化物量が酸素量換算で0.8 wt%未満
となるクロム炭化物サーメット溶射皮膜を形成した後、
その上に耐熱合金を溶射し、これらの操作を1回以上繰
返して複数層からなる複合溶射皮膜を形成し、この複合
溶射皮膜を500 ℃以上の実用環境中で使用することによ
って、クロム炭化物サーメットの複合溶射皮膜の硬さを
上昇させることを特徴とする高温硬さに優れるクロム炭
化物サーメット溶射皮膜被覆部材の製造方法。 (6) 上記バインダー層が、Cr, Ta, Ti, W,MoおよびNb
から選ばれる1種以上の炭化物形成金属と、Ni, Alおよ
びCoから選ばれる2種以上の金属を含む金属間化合物形
成合金とからなるものである上記(4) または(5) に記載
の製造方法。 (7) クロム炭化物サーメット溶射皮膜を形成した後、大
気中、真空を含む減圧雰囲気中もしくは不活性ガス雰囲
気中で500 〜1250℃、0.3h〜5h の条件で熱処理を行う
ことにより、前記バインダー金属中の少なくとも一部を
金属炭化物およびNiAl系、CoAl系のような金属間化合物
を生成、析出させることを特徴とする上記(4) または
(5) に記載の製造方法。
メット溶射材料そのものの構成にある。すなわち、本発
明において、耐熱性金属部材を好適例とする基材に対
し、その表面を被覆するために用いられる溶射材料とし
て、次に示すようなものを用いる。 クロム炭化物: Cr3C2 が最適のものであるが、Cr7C
3 やCr23C6などを少量含有することは差支えない。そし
て、サーメット材料中に占めるこのクロム炭化物の割合
は、90〜40wt%の範囲がよく。好ましくは80〜65wt%の
範囲である。 バインダー金属: クロム炭化物粒子に添加するバイ
ンダー金属は、好ましくは下記の2種類(A群、B群)
の成分のうちA群から1種以上、B群から2種以上を選
択して使用する。 (A群)炭化物形成金属:Cr, Ta, Ti, W,MoおよびNb
などから選ばれる1種以上の金属を下記の金属間化合物
形成金属とともに添加する。このA群の金属は、高温状
態のクロム炭化物粒子と接触することによって、自らが
クロム炭化物粒子中に含まれる炭素と反応して硬質炭化
物へと変化し、炭化物サーメット皮膜の硬度上昇に貢献
する。 (B群)金属間化合物形成金属:Ni, AlおよびCoの金
属、好ましくはこれらを2種以上含む合金などがこれに
該当する。これらの金属または合金は、溶射皮膜形成前
・後で行う溶射熱源を利用する基材の予熱、後加熱ある
いは溶射皮膜を形成した部材を高温 (≧500 ℃) の実用
環境に曝して加熱した場合、これらの金属・合金が相互
に反応していずれも硬度の高い金属間化合物をバインダ
ー金属中に生成したり、微細な結晶として析出し、前記
炭化物形成金属が変化して発生した炭化物とともにクロ
ム炭化物サーメット溶射皮膜の硬度上昇と耐エロージョ
ン損傷性などの向上に大きく寄与することとなる。
成したり、析出する金属間化合物としては、Ni2Al3, Ni
Al3, Ni3AlなどのNiAl系、NiTi系、TiAl系、CoAl系など
がある。これらの金属間化合物は、すべて室温環境に比
べて700 ℃〜850 ℃のような高温環境ほど機械的性質を
向上させる特性をもっているため、クロム炭化物サーメ
ット溶射皮膜の高温硬さの維持に大きな役割りを果す。
なお、Tiは炭化物形成金属であると同時に金属間化合物
金属でもあるが、本発明ではTiをA群に所属する金属と
して分類することとした。
ダー金属として添加する場合には、Ni, Al, Coから選ば
れる2種以上の金属・合金(B群)をバインダー金属の
10〜90wt%、残りの90〜10wt%をCr, Ta, Ti, W,Moお
よびNbから選ばれる1種以上のA群の金属とすることが
好ましい。また、A群とB群からなるバインダー金属の
クロム炭化クロムサーメット溶射皮膜中に占める割合
は、10〜60wt%が好適であり、この理由は、10wt%より
少ないと皮膜として脆弱となり、一方、60wt%より多く
含まれると軟質化する傾向が顕著となるので好ましくな
いからである。
るには、前記溶射材料粒子が溶射熱源中で分解したり(C
r3C2) 、過度に酸化しないようにすることが大切であ
る。とくに、大気プラズマ溶射のような高温の熱源中で
は、Cr3C2 は分解してその硬さを喪失するとともに、バ
インダー金属も甚だしく酸化される。その結果、前記金
属表面は酸化膜に覆われることとなる。もし、このよう
なクロム炭化物サーメット溶射皮膜になると、たとえ高
温に加熱してもCr3C2 粒子とバインダー金属中の炭化物
形成金属との接触が前記酸化膜によって妨げられるた
め、浸炭反応が起こらず、皮膜の硬さは上昇しない。
ーメット溶射皮膜を得るためには、プラズマを熱源とす
る場合には、実質的に酸素を含まない減圧のAr, Heなど
の不活性ガス雰囲気で行うのがよい。また、大気中で溶
射する場合には溶射材料の分解や酸化を抑制するため、
炭化水素/酸素、炭化水素/空気、水素/酸素などの加
圧燃焼エネルギーを用いて、熱源中を飛行する溶射粒子
の速度を大きくして (≧250 m/sec)、滞留時間を極力短
くするとともに、バインダー金属の酸化を少なくするこ
とによって溶射粒子の基材表面への衝突エネルギーを大
きくして、緻密で密着力のよい皮膜を形成することが肝
要である。このような溶射条件の適用によって形成され
たクロム炭化物サーメット溶射皮膜中のバインダー金属
は、クロム炭化物粒子との接触によって新らたな金属炭
化物を生成し、皮膜の硬度上昇をもたらす。
た条件は、NiAl系、TiAl系、CoAl系などの金属間化合物
の生成にも適した条件でもある。というのは、Al, Tiは
ともに酸素との化学的親和力が強いため、溶射熱源中で
先づ最初に酸化する金属だからである。つまり、これら
AlやTiは酸化膜の主成分となって選択的に消耗されやす
い金属であるから、これらが優先的に酸化されてしまう
と金属間化合物の生成量の低減につながるので好ましく
ない。
皮膜中の主としてバインダー金属が酸化することにより
生じる酸化量について実験, 研究した。その結果による
と、バインダー金属(炭化物形成金属と金属間化合物形
成金属)の酸化量が酸素量として0.8 wt%未満であれ
ば、バインダー金属の炭化物生成反応や金属間化合物の
生成と析出反応が順調に行なわれる。この点、その酸化
物量が0.8 wt%以上では、酸化膜が反応の障壁となって
炭化物や金属間化合物の生成が不十分になるだけでな
く、金属間化合物形成金属のAlやTiが酸化物となって消
耗するので好ましくないこともわかった。
金属が酸化することによって生成する酸化物の量が酸素
量換算で0.8 wt%未満に抑制されたクロム炭化物サーメ
ット溶射皮膜というのは、溶射熱源環境でも、金属間化
合物の生成と析出反応が円滑に起こるので、Al, Co, Ti
などを含まない溶射皮膜に比較すると硬さの上昇率が高
くなる。例えば、本発明に適合する条件下にある下記溶
射材料, を下記の条件で溶射したものはそれぞれ硬
度の上昇が見られた。 50wt%Cr3C2 −13wt%Cr−6wt%Al−0.6 wt%Y−残
り部Coからなる溶射材料を、高速フレーム溶射法によっ
て、熱源温度1900〜2000℃、溶射粒子の飛行速度を毎秒
270 〜330mに調整して形成したクロム炭化物サーメット
皮膜は、溶射熱源によってバインダー金属中にCoAlの金
属間化合物が生成して硬度の上昇が観察された。 45wt%Cr3C2 −8wt%Cr−3wt%Al−0.3 wt%Y−残
り部Niからなる溶射材料を、前記と同様の条件によって
溶射皮膜を形成すると、バインダー金属中にNi−Al系の
金属間化合物を生成、析出し硬度が上昇した。
硬さがHV:900 以上を示す一方、800 ℃の高温において
もHV:650 〜750 の高硬度を示した。これに対し、バイ
ンダー金属中に金属間化合物が生成していない従来のク
ロム炭化物サーメット溶射皮膜、例えば80wt%Cr3C2 −
20wt%Niおよび金属間化合物としてNiしか含まない50wt
%Cr3C2 −40wt%Ni−10wt%溶射皮膜の硬さは、上記と
同一の条件で溶射しても、室温でHV:400 〜600 、800
℃でHV:180 〜270 程度を示すにすぎないことがわかっ
た。
処理条件についてバインダー金属の酸化を抑制して形成
するクロム炭化物サーメット溶射皮膜は、次に示すよう
な熱履歴または熱処理を与えることによって、より一層
高温硬さに優れる溶射皮膜とすることができる。 溶射に先立ち、基材温度を500 〜900 ℃に予熱する。 溶射成膜後、溶射皮膜に対し500 〜900 ℃×0.3 〜5
時間の熱処理を施すか、または溶射成膜後、溶射皮膜に
対し500 〜1250℃、0.3 〜5時間の熱処理を施す。この
ような熱処理を施すと、上記皮膜の焼結反応が促進さ
れ、安定性の高い皮膜となる。 ただし、熱処理の温度が900 ℃以上の温度になると、
Cr3C2 粒子の酸化が激しくなる。このようなときには、
トップコートとしてCo, Ni, Cr, Al, Y,TaおよびSiか
ら選ばれるいずれか2種以上の金属を含む耐熱合金を、
溶射法によって50〜500 μm 厚に施工する。このような
アンダーコート、トップコートの積層からなる複合溶射
皮膜は、3層以上に繰返し溶射した層からなるものであ
ってもよい。このような多層複合溶射皮膜の構造にすれ
ば、Cr3C2 粒子の酸化は、上記耐熱合金による環境遮断
によって容易に防止することができる。従って、耐熱合
金のトップコートを施工した複層被覆部材は、の熱処
理を行なわなくても、実用環境の温度が500 〜1250℃の
範囲であれば、その温度を利用してバインダー金属の浸
炭と金属間化合物の生成を導くことは可能である。
て、クロム炭化物サーメット溶射皮膜中に含まれている
バインダー金属の酸化物量を測定するとともに、酸素量
と熱処理前後の皮膜硬さとの関係を明らかにする。ただ
し、クロム炭化物とバインダー金属の混合物から成るサ
ーメット溶射材料は、熱源中で、クロム炭化物はCO2, C
O などの気体とCr2O3 の酸化物に変化し、バインダー金
属はそれぞれの構成金属の酸化物を生成するため、両者
の酸化量を厳格に区別することは難しい。そこで、この
実施例では形成されたサーメット溶射皮膜全体の酸化物
を酸素量として算出して評価した。 (1) 溶射材料として、50wt%Cr3C2 −30wt%Ni−10wt%
Cr−5wt%Al−4wt%Co−1.0 wt%Y (2) 溶射法として、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ
溶射法および炭化水素/酸素燃焼による高速フレーム溶
射の3種類とし、高速フレーム溶射法については、燃焼
条件や溶射距離を変化させて熱源中を飛行する溶射粒子
の速度を調整した。
この表に示すように、熱源温度の高い大気プラズマ溶射
法で形成された皮膜は、空気中の酸素の影響を強く受
け、バインダー金属中には酸素量として0.98〜1.08wt%
が含まれる一方、Cr3C2 も熱源によって酸化されたり分
解するため溶射直後はもとより熱処理後も皮膜の硬度上
昇は少ない。これに対し、減圧プラズマ溶射法で得られ
る皮膜は、実質的に酸素を含まない雰囲気に加え、プラ
ズマ熱源の温度も減圧下における断熱膨張現象によって
著しく低下するため、溶射直後および熱処理後の両方と
も高い硬度上昇が認められた。一方、大気中の高速フレ
ーム溶射法では、熱源中を飛行する溶射粒子の速度が遅
い場合(No.3) は酸化量が多くなって、熱処理を施して
も硬度の上昇は僅かであるが、粒子の飛行速度が200 〜
290m/secまたはそれ以上で形成される溶射皮膜(No.4,
5,6) では酸化量が少なくなるとともに、溶射直後で
も金属間化合物(NiAl, CoAlなど)の生成に起因する硬
度上昇が認められ、熱処理を施すことによってさらに高
い硬度の皮膜となった。
溶射法で形成した本発明のクロム炭化物サーメット皮膜
の高温硬さを調査するために行った。溶射皮膜は、幅30
mm×長さ50mm×厚さ3mmのインコネル600 耐熱合金の片
面に、下記組成の炭化物サーメット溶射皮膜を300 μm
厚に形成した後、溶射直後、熱処理し (800 ℃×3h)、
それぞれ室温での硬さを測定した。その後、Arガス雰囲
気中で600 ℃、800 ℃に加熱したときの皮膜の高温硬さ
を測定した。本発明に従って形成されるクロム炭化物サ
ーメット溶射皮膜として; (1) 70wt%Cr3C2 −24wt%Ni−3wt%Cr−3wt%Al (2) 75wt%Cr3C2 −20wt%Ni−1.25wt%Ti−1.25wt%Co
−2.5 wt%Al (3) 75wt%Cr3C2 −18wt%Ni−3.0 wt%Cr−1.0 wt%Mo
−3.0 wt%Al (4) 比較例として例示する溶射皮膜として; (4) 70wt%Cr3C2 −24wt%Ni−6wt%Cr (5) 75wt%Cr3C2 −20wt%Ni−5wt%Cr を大気プラズマ溶射法と高速フレーム溶射法で、それぞ
れ300 μm 厚に形成したものを用いた。
さの測定値を示したものであり、この表2に示す結果か
ら明らかなように、バインダー金属としてNi−Cr合金を
含む比較例の皮膜 (No. 5) でも、熱源温度の低い高速
フレーム溶射法で形成したものは、熱処理によって最高
HV 1010 に達する高硬度のものもあるが、高温環境では
極端な硬度低下を来し、800 ℃ではHV 310〜340 程度と
なり大気プラズマ溶射の皮膜(No.4) と同等の水準にま
で低下する。これに対し、本発明に適合する皮膜 (No.
1,2,3) は、熱処理による高硬度化の効果をその後
の高温環境下でも比較的よく維持し、800 ℃においても
HV 650〜710 の高い硬さを維持していることが認められ
た。
面に溶射皮膜を形成し、熱処理したもの (本発明) と、
熱処理しないものについて、実際の石炭焚きボイラの燃
焼炉内に約8カ月間、伝熱管の表面に取付けて、石炭灰
(フライアッシュ)によるエロージョン損傷の有無につ
いて調査したものである。ボイラ燃焼炉内の条件は温度
680 〜740 ℃、フライアッシュを含む燃焼ガスの流速12
〜15m/sec である。 A.供試溶射皮膜(本発明適合例) 75wt%Cr3C2 −18wt%Ni−5wt%Cr−2wt%Alを高速
フレーム溶射法によって300 μm 厚に形成した後、大気
中で820 ℃×1.5hの熱処理を行なったもの。 上記(1) の溶射皮膜上に17wt%Cr−6wt%Al−0.7 wt
%Y−残部Niの耐熱合金を高速フレーム溶射法によって
150 μm 厚に施したもので熱処理を施こしていない。 B.比較例 STBA24無処理 75wt%Cr3C2 −20wt%Ni−5wt%を大気プラズマ溶射
法で300 μm 厚に施工したもの。 上記の皮膜を大気中で820 ℃×1.5hの熱処理を施工
したもの。 上記の皮膜の上に17wt%Cr−6wt%Al−0.7 wt%Y
−残部Niの耐熱合金を高速フレーム溶射法によって150
μm 厚に施工したもので、熱処理は施していない。
溶射皮膜施工管の外観状況と皮膜の損耗深さを測定した
結果を示したものである。無処理のSTBA24鋼管 (No.
3) では、フライアッシュによるエロージョンによって
甚だしく損耗を受け、外観的にも損耗状態が明瞭に認め
られた。ただ、プラズマ溶射皮膜でも熱処理を施したり
(No. 5) 、トップコートとして耐熱合金を形成した皮
膜 (No. 6) では、幾分、エロージョン損傷が軽微であ
るが、12〜28μm 程度の損耗が認められる。これに対
し、本発明に適合する例 (No. 1,2) は、いずれも外
観上は健全な状態を維持し、損耗量は1〜4μm の範囲
にとどまり、優れた耐エロージョン性を発揮した。トッ
プコートとして耐熱合金を形成した皮膜の例 (No. 2)
は軟質なトップコートのみが局部的に剥離したが、アン
ダーコートのクロム炭化物サーメット皮膜は、健全な状
態を維持するとともにエロージョン損耗量も1〜3μm
の範囲にとどまり、優れた耐エロージョン性を示した。
この原因は、ボイラ燃焼炉内の運転条件によってクロム
炭化物サーメット皮膜中のバインダー金属が浸炭反応と
金属間化合物の生成と析出反応を起こして硬化したため
であり、軟質な耐熱合金のトップコートは、試験開始直
後のクロム炭化物サーメット皮膜(硬化不十分な状態)
を燃焼ガスおよびフライアッシュの流れから保護したも
のと考えられる。
膜を被覆したNi基合金製のタービン動翼を石油精製プラ
ントの石油分解ガス中に配設されたエネルギー回収ター
ビンに装着して約1年間運転した例の報告である。とく
に、この石油分解ガスは未燃焼カーボン粒子、微細なAl
2O3, SiO2 粒子をともにH2S を0.8 〜1.5Vol%含む600
℃の温度である。従来の技術では、大気プラズマ溶射法
によって75wt%Cr3C2 −20wt%Ni−5wt%Crを150 μm
厚に形成して使用されていたが、微細な固形粒子のエロ
ージョン作用によって溶射皮膜の一部は10カ月〜1.5 年
の間に消耗していた。これに対し、本発明の下記のクロ
ム炭化物サーメット溶射皮膜を被覆したものでは、3カ
年の連絡使用によっても該皮膜の残存が認められ、さら
に長期間にわたる使用が可能であった。即ち、本発明適
合例は、50wt%Cr3C2 −30wt%Co−12wt%Cr−7wt%Al
−1wt%Yを、高速フレーム溶射法および減圧プラズマ
溶射法でそれぞれ300 μm 厚に形成した後、大気中で70
0 ℃×2h の熱処理を施した溶射皮膜の例である。
バインダー金属として炭化物形成金属と金属間化合物形
成金属の両者を含むクロム炭化物サーメット溶射材料
を、溶射熱源、溶射雰囲気および熱源を飛行する溶射速
度などの条件を調整することにより、溶射皮膜中の酸素
含有量として0.8 wt%未満に抑制とすること、さらに
は、500 〜1250℃、0.3 〜5h の熱処理によって、バイ
ンダー金属から硬質の炭化物や金属間化合物を生成, 析
出させ、該皮膜を高硬質化、特に高温硬度に優れた溶射
皮膜とすることができる。したがって、本発明のクロム
炭化物サーメット溶射皮膜を被覆した高温被曝部材は、
優れた耐エロージョン性を発揮して、部材の長寿命化、
保守管理費の低減、生産コストの低下などに大きく貢献
することが期待される。
Claims (7)
- 【請求項1】 基材の表面に、Cr, Ta, Ti, W,Moおよ
びNbから選ばれる1種以上の炭化物形成金属と、Ni, Al
およびCoから選ばれる2種以上の金属を含む金属間化合
物形成合金とからなるバインダー金属を10〜60wt%含有
すると共に、Cr3C2 で代表されるクロム炭化物を90〜40
wt%含有するクロム炭化物サーメット溶射皮膜が形成さ
れ、かつ該クロム炭化物サーメット溶射皮膜は、この皮
膜中に、バインダー金属が酸化することにより発生する
酸化物を酸素量換算で0.8 wt%未満含有し、そしてこの
溶射皮膜中には前記バインダー金属の少なくとも一部が
前記金属・合金の金属炭化物と金属間化合物として含ま
れていることを特徴とする高温硬さに優れるクロム炭化
物サーメット溶射皮膜被覆部材。 - 【請求項2】 基材の表面に、Cr, Ta, Ti, W,Moおよ
びNbから選ばれる1種以上の炭化物形成金属と、Ni, Al
およびCoから選ばれる2種以上の金属を含む金属間化合
物形成合金とからなるバインダー金属を10〜60wt%含有
すると共に、Cr3C2 で代表されるクロム炭化物を90〜40
wt%含有するクロム炭化物サーメット溶射皮膜が形成さ
れ、かつ該クロム炭化物サーメット溶射皮膜は、この皮
膜中に、バインダー金属が酸化することにより発生する
酸化物を酸素量換算で0.8 wt%未満含有し、そして前記
バインダー金属の少なくともその一部が大気雰囲気中、
真空を含む減圧雰囲気中もしくは不活性ガス雰囲気中で
の 500℃〜1250℃、0.3〜5h の熱処理によって生成、
析出した金属炭化物およびNiAl系、CoAl系などの金属間
化合物として含まれていることを特徴とする高温硬さに
優れるクロム炭化物サーメット溶射皮膜被覆部材。 - 【請求項3】 基材の表面に、アンダーコートとして、
Cr, Ta, Ti, W,MoおよびNbから選ばれる1種以上の炭
化物形成金属と、Ni, AlおよびCoから選ばれる2種以上
の金属を含む金属間化合物形成合金とからなるバインダ
ー金属を10〜60wt%含有すると共に、Cr3C2 で代表され
るクロム炭化物を90〜40wt%含有するクロム炭化物サー
メット溶射皮膜、ただしこの溶射皮膜中に含まれるバイ
ンダー金属の酸化に起因した酸化物量が酸素量換算で0.
8 wt%未満である1層以上の皮膜が形成され、そのアン
ダーコート上にはトップコートとして、Co, Ni, Cr, A
l, Y,TaおよびSiから選ばれる2種以上の金属を含む
耐熱合金の溶射皮膜が1層以上形成され、そして、前記
アンダーコート中のバインダー金属の少なくともその一
部が大気雰囲気中、真空を含む減圧雰囲気中、もしくは
不活性ガスの雰囲気中での 0.3〜5h の熱処理によって
生成、析出した金属炭化物およびNiAl系、CoAl系などの
金属間化合物として含まれていることを特徴とする高温
硬さに優れるクロム炭化物サーメット溶射皮膜被覆部
材。 - 【請求項4】 基材の表面に、炭化物形成金属および金
属間化合物形成金属をバインダー金属として含むクロム
炭化物サーメット溶射材料を溶射することにより、皮膜
中に前記バインダー金属の酸化に起因した酸化物量が酸
素量換算で0.8 wt%未満となるクロム炭化物サーメット
溶射皮膜を形成することを特徴とする高温硬さに優れる
クロム炭化物サーメット溶射皮膜被覆部材の製造方法。 - 【請求項5】 基材の表面に、炭化物形成金属と金属間
化合物形成金属とをバインダー金属として含むクロム炭
化物サーメット溶射材料を溶射し、被膜中に前記バイン
ダー金属の酸化に起因した酸化物量が酸素量換算で0.8
wt%未満となるクロム炭化物サーメット溶射皮膜を形成
した後、その上に耐熱合金を溶射し、これらの操作を1
回以上繰返して複数層からなる複合溶射皮膜を形成し、
この複合溶射皮膜を500 ℃以上の実用環境中で使用する
ことによって、クロム炭化物サーメットの複合溶射皮膜
の硬さを上昇させることを特徴とする高温硬さに優れる
クロム炭化物サーメット溶射皮膜被覆部材の製造方法。 - 【請求項6】 上記バインダー層が、Cr, Ta, Ti, W,
MoおよびNbから選ばれる1種以上の炭化物形成金属と、
Ni, AlおよびCoから選ばれる2種以上の金属を含む金属
間化合物形成合金とからなるものである請求項4または
5に記載の製造方法。 - 【請求項7】 クロム炭化物サーメット溶射皮膜を形成
した後、大気中、真空を含む減圧雰囲気中もしくは不活
性ガス雰囲気中で500 〜1250℃、0.3 〜5hの条件で熱
処理を行うことにより、前記バインダー金属中の少なく
とも一部を金属炭化物およびNiAl系、CoAl系のような金
属間化合物を生成、析出させることを特徴とする請求項
4または5に記載の製造方法。
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WO2010123612A2 (en) * | 2009-02-03 | 2010-10-28 | Mesocoat, Inc. | Coatings, composition, and method related to non-spalling low density hardface coatings |
CN109207900A (zh) * | 2018-11-12 | 2019-01-15 | 中国兵器工业第五九研究所 | 复合涂层及其制备方法、钛合金表面处理方法和应用 |
CN113087542A (zh) * | 2021-04-12 | 2021-07-09 | 马鞍山市绿科环保科技有限公司 | 一种利用铸造废砂生产的高硬度隔音砖及其制备方法 |
CN114369799A (zh) * | 2021-12-17 | 2022-04-19 | 中国船舶重工集团公司第七一一研究所 | 发动机连杆表面用复合镀层及其制备方法、发动机连杆 |
-
1999
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WO2010123612A3 (en) * | 2009-02-03 | 2011-04-07 | Mesocoat, Inc. | Coatings, composition, and method related to non-spalling low density hardface coatings |
US8460796B2 (en) | 2009-02-03 | 2013-06-11 | Mesocoat, Inc. | Coatings, composition, and method related to non-spalling low density hardface coatings |
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