JP2000336123A - 易加工性プロピレン−環状オレフィン共重合体およびその製造方法 - Google Patents

易加工性プロピレン−環状オレフィン共重合体およびその製造方法

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JP2000336123A
JP2000336123A JP14856399A JP14856399A JP2000336123A JP 2000336123 A JP2000336123 A JP 2000336123A JP 14856399 A JP14856399 A JP 14856399A JP 14856399 A JP14856399 A JP 14856399A JP 2000336123 A JP2000336123 A JP 2000336123A
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propylene
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copolymer
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Yoshitoyo Yasuda
吉豊 安田
Jun Saito
純 斉藤
Hiroyuki Fujita
浩之 藤田
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Original Assignee
Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低い融点と高い結晶化温度、および広い結晶性
分布を持つプロピレン−環状オレフィン共重合体を提供
すること。 【解決手段】下記の特性を有するプロピレン−環状オレ
フィン共重合体: (1)融点(Tm)が100℃〜160℃であり、 ) 融点(Tm)と結晶化温度(Tc)とが下式の関
係にあり、 Tc>0.27×Tm+70 DSCによる融解曲線の形状が、中心ピーク温度の
高温側にショルダーピークを持ち、かつ、融解曲線の半
値幅において中心ピークの高温側に位置する温度(T
h)と中心ピーク温度(Tm)との差(Th−Tm)が
3℃以上あり、 Mw/Mnが3以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改良されたポリプ
ロピレンに関する。より詳しくは、融点が低いにも係わ
らず結晶化速度が速く、結晶性分布の広い、成形加工性
の改善されたプロピレン−環状オレフィン共重合体およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリプロピレンは、剛性、耐熱
性、耐薬品性に優れた熱可塑性成形材料として広く利用
されている。さらに、プロピレンを主成分とする、プロ
ピレンとエチレン等のαオレフィンとの共重合体は、そ
の透明性の良さと柔軟性とを活かして、食品包装容器、
医療用器具等に広く使用されている。しかしながら、共
重合体とすることにより、結晶性が低下し、同時に結晶
化速度も低下する。その結果、射出成形時における成形
サイクル時間が増加し、生産性が低下するという問題が
生じ、その改善が要望されている。
【0003】メタロセン触媒を用いて製造したプロピレ
ン・エチレンランダム共重合体は、チ−グラ−ナッタ
(Ziegler−Natta)系触媒を用いて製造した同等の融
点を有する共重合体と比較すれば、結晶化温度が高いと
いう特徴があるが、成形加工性を改善するには未だ不十
分である。
【0004】この問題を解決するために、該共重合体に
造核剤を添加することで、結晶化速度を上げる方法が提
案されている。しかしながら、造核剤を添加したポリプ
ロピレン組成物は、成形加工時に不快な臭気を発した
り、成形品の表面に造核剤がブルームアウトすることが
あり、特に食品容器や食品包装材の用途には使用するこ
とができず、かかる問題点のない好ましい造核剤は見い
出されていないのが現状である。
【0005】Ziegler−Natta系触媒を用いてポリプロ
ピレンを製造するに際し、該触媒を3メチル−1−ブテ
ンで予備重合処理することにより、ポリプロピレンの結
晶化速度(結晶化温度)を上げる方法が提案されている
(特開平3−103456号公報)。この方法は、予備
重合により得られたポリ−3−メチル−1−ブテンが高
分子造核剤として作用するものである。同様な効果を狙
い、メタロセン触媒を用いてポリプロピレンを製造する
に際し、該メタロセン触媒を3−メチル−1−ブテンで
予備重合処理する方法(特開平7−196718号公
報)、触媒をシクロペンテンで予備重合処理する方法
(特開平7−196716号公報)が開示されている。
しかし、これらの方法は、いずれも製造工程が長く、製
造装置も複雑となり、経済的ではない。
【0006】ポリプロピレンを製造するに際し、プロピ
レンに3−メチル−1−ブテンを共重合させることによ
り高分子造核剤を生成させることも考えられる。しか
し、Ziegler−Natta系触媒を用いた場合、得られる共
重合体は、結晶化速度を上げる効果(結晶化温度の上
昇)は認められない。また、メタロセン触媒を用いて、
シクロペンテンとプロピレンとを共重合させることが、
例えばマクロモレキュラ−レポ−ト(Macromolecular R
eports)A33,219(1996)に記載されている
が、該コモマ−に対する重合活性が非常に低いので、所
期の目的を達成するには多量の該コモノマーが必要とな
り、また、重合活性の低下も著しく、実用的でなく、ま
た、結晶化速度に関してはなんら記載がない。このた
め、従来の技術では、本重合時にはかかるコモノマーを
使用することが出来ないため、実用的には予備重合時に
3メチル−1−ブテン等から得られるポリマーを生成す
る行程を設けなくてはならなくなり、製造に要する行程
が多くなるという問題点がある。
【0007】メタロセン触媒を用いて製造されるポリプ
ロピレンは、熱変形温度が高く、透明性に優れ、溶融張
力が低く、溶媒抽出成分が少ない、という特性があり、
繊維、フィルム、食品包装容器等の用途に有用と考えら
れる。ところで、メタロセン触媒は活性点が均一である
ため、得られる(共)重合体は分子量分布および結晶性
分布が共に狭いという特徴を持っている。このような特
徴は、加工適正温度範囲が狭いことを意味する。したが
って、フィルムの延伸工程、繊維ウェブの不織布化工
程、ブロー成形工程等の広い加工適正温度範囲を持つこ
とが要求されている分野では、メタロセン触媒により得
られる(共)重合体の前記の特性を活かせないことが懸
念される。
【0008】特開平8−311119号公報には、メタ
ロセン触媒を用いてプロピレンを共重合するに際し、コ
モノマーとしてポリエン化合物を添加することにより、
立体規則性の制御が可能で、立体規則性の低い共重合体
を得ることができるという記述があるが、結晶性分布に
ついては触れられていない。
【0009】結晶性分布の広い共重合体を得るため、異
なる特性を有する複数のメタロセン錯体を担持させた触
媒を用いる方法(特開平6−179776号公報)やメ
タロセン触媒とZiegler−Natta系触媒を併用する方法
が知られている。しかし、これらの方法では、共重合条
件の変化がそれぞれのメタロセン触媒の共重合挙動に及
ぼす影響を正確に把握しなければならず、また使用に適
するメタロセン触媒を製造することにも困難がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリプロピ
レンの有する結晶化速度が遅いことによる成形サイクル
時間の増加、および結晶性分布が狭いことによる加工適
正温度幅の狭さ、という問題点の解消されたプロピレン
−環状オレフィン共重合体を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的の
達成のため鋭意研究した結果、特定の環状オレフィンを
プロピレンと共重合させることにより、得られる特定の
プロピレン−環状オレフィン共重合体が、高い結晶化速
度および所定の結晶性分布を有する共重合体であること
を見い出し、この知見に基づき本発明を完成した。
【0012】本発明は、以下の(1)〜(8)に示され
る。 (1)下記の特性を有するプロピレン−環状オレフィン
共重合体: 融点(Tm)が100℃〜160℃、 融点(Tm)と結晶化温度(Tc)とが下式の関係
にあり:Tc>0.27×Tm+70、 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との
比Mw/Mnが1.5〜3.0、 Mwが50000〜1000000である。
【0013】(2) 差動走査熱量分析計(DSC)に
よる熱分析における融解ピークの形状が、中心ピーク温
度より高温側にショルダーピークを持ち、かつ、融解ピ
ークの半値幅において高温側に位置する温度(Th)と
中心ピーク温度(Tm)との差(Th−Tm)が3℃以
上であることを特徴とする前記第1項記載のプロピレン
−環状オレフィン共重合体。
【0014】(3)プロピレンから導かれる構成単位を
90モル%以上含有し、α−オレフィンから導かれる単
位を10モル%未満含有していることを特徴とする前記
第1項項記載のプロピレン−環状オレフィン共重合体。
【0015】(4)プロピレン単独重合体もしくは環状
オレフィン以外のα−オレフィンとプロピレンとの共重
合により得られるプロピレン−α−オレフィン共重合体
の融点に対して、環状オレフィンと共重合することによ
り得られるプロピレン−環状オレフィン共重合体の融点
の低下が5℃以内であることを特徴とする前記第1項記
載のプロピレン−環状オレフィン共重合体。
【0016】(5)プロピレン−環状オレフィン共重合
体が、メタロセン触媒の存在下、プロピレンと環状オレ
フィンとを一段階の重合工程で共重合させて得られたも
のである前記第1項記載のプロピレン−環状オレフィン
共重合体。
【0017】(6)プロピレン−環状オレフィン共重合
体が、メタロセン触媒の存在下、プロピレンに対する環
状オレフィンの供給重量比率を0.001〜0.1とし
てプロピレンと環状オレフィンとを共重合させて得られ
たものである前記第1項〜第5項のいずれか1項記載の
プロピレン−環状オレフィン共重合体。
【0018】(7)下記に示した化合物(A)、
(B)、(C)および(D)からなる触媒系を用い、プ
ロピレンと環状オレフィンとを共重合させることを特徴
とするプロピレン−環状オレフィン共重合体の製造方
法:化合物(A):下記一般式(1)で表されるメタロ
セン化合物、 (式中、MはTi、ZrおよびHfよりなる群から選択
される遷移金属を表し、Xは、それぞれ独立して水素、
ハロゲン原子、炭素数1〜20のの炭化水素基、炭素数
1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ
素含有炭化水素基を表し、(C54-m1 m)および(C
54-n2 n)は、それぞれ置換シクロペンタジエニル基
を表し、mおよびnは1〜3の整数であり、R1および
2はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、
ケイ素含有炭化水素基またはR1の2つおよび/または
2の2つが一緒になってシクロペンタジエニル環上の
隣接する2個の炭素と結合して、環炭素数が4〜8の飽
和もしくは不飽和の環を形成している2価の炭化水素基
を表し、形成された環は炭化水素基でさらに置換されて
いてもよく、Qは前記2個の置換シクロペンタジエニル
基を連結し得る2価の基を表す)、 化合物(B):アルミノキサン、 化合物(C):微粒子状担体、 化合物(D):有機アルミニウム化合物。
【0019】(8)化合物(A)がジメチルシリレン
(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)
(2’,4’,5’−トリメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロライドであることを特徴とする
前記第7項記載のプロピレン−環状オレフィン共重合体
の製造方法。
【0020】(9)プロピレンと環状オレフィンとを共
重合させる際の、プロピレンに対する環状オレフィンの
供給重量比率が0.001〜0.1であることを特徴と
する前記第7項もしくは第8項のいずれか1項記載のプ
ロピレン−環状オレフィン共重合体の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明は、一段階の重合工程でプ
ロピレンと環状オレフィンとを共重合させるという簡便
な方法により、高い結晶化温度、適度な結晶性分布を有
する共重合体を得ることにある。メタロセン触媒の特長
である環状オレフィンとの高い共重合性を活かしたこと
が、従来のZiegler−Natta系触媒では不可能であった
一段階の重合工程での製造を可能にした。また、環状オ
レフィンを共重合させることにより懸念される重合活性
の低下は、環状オレフィンを極少量用いることで、低下
の程度を最小限に抑えることを可能としたものである。
【0022】本発明のプロピレン−環状オレフィン共重
合体は、融点(Tm)が100℃〜160℃、好ましく
は、110℃〜150℃、さらに好ましくは130℃〜
150℃の範囲にあるものである。融点が100℃を大
きく下回ると、結晶化速度の低下により成形サイクル時
間は短縮出来ない。
【0023】また、本発明のプロピレン−環状オレフィ
ン共重合体は、融点(Tm)と結晶化温度(Tc)とが
下記の関係にある。 Tc>0.27×Tm+70 結晶化温度(Tc)が上記の条件を満足できないほど低
いと、結晶化速度が遅くなり、成形サイクル時間が長く
なる。融点(Tm)および結晶化温度(Tc)は下記の
条件で測定したDSCによる測定結果に基づき算出され
る。
【0024】融点(Tm)は示差走査熱量分析計(パー
キン・エルマー社製:DSC7型)を用いてポリプロピ
レンを30℃/分の昇温速度で室温から230℃まで加
熱し、同温度にて10分間保持した後、20℃/分の降
温速度で−20℃まで冷却し、同温度にて10分間保持
した後、20℃/分の昇温速度で加熱して得られる融解
曲線の中心ピークを示す温度を融点(Tm)とする(単
位:℃)。さらに加熱を続けて230℃まで昇温し、同
温度にて10分間保持した後、80℃/分の降温速度で
150℃まで冷却し、次いで、150℃からは5℃/分
の降温速度で冷却して、得られる結晶化曲線の最大ピー
クを示す温度を結晶化温度(Tc)とした(単位:
℃)。融解時の発熱量に相当する融解曲線の面積から、
融解潜熱(△Hm)を求めた。(単位;J/g)
【0025】本発明のプロピレン−環状オレフィン共重
合体は、上記の条件で実施したDSCにより測定した融
解曲線が中心ピークの高温側にショルダーピークを持
ち、かつ、融解ピークの半値幅において高温側に位置す
る温度(Th)と中心ピーク温度(Tm)との差が3℃
以上である。高温側にショルダーピークが無い場合やあ
ってもこの差が3℃未満では、成形性の改善効果が小さ
い。また、ショルダーピークが低温側にある場合、成形
品表面にベタ付きが起こる。
【0026】本発明のプロピレン−環状オレフィン共重
合体は、通常のメタロセン触媒を用いて得られたプロピ
レン単独重合体に比べて、融解潜熱(△Hm)が小さい
という特徴を持っている。これは、結晶性分布が広くな
ったことを意味するものと解釈される。このように、本
発明のプロピレン−環状オレフィン共重合体は、他に例
を見ない特徴的な融解挙動を有する共重合体である。
【0027】本発明のプロピレン−環状オレフィン共重
合体は、重量平均分子量(Mw)が50,000〜1,
000,000、好ましくは100,000〜300,
000のものである。重量平均分子量(Mw)が上記の
範囲を外れると押出時の流動性の低下、二次加工時の溶
融張力の不足等の成形性に悪影響を及ぼす。本発明のプ
ロピレン−環状オレフィン共重合体は、重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)
が1.5〜3.0の範囲内にあるものである。この比が
3を越えると、透明性、ヒートシール性が悪化する。さ
らに、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)
との比(Mz/Mw)が1.5〜3.0の範囲にあるこ
とが好ましい。この比が3.0を超えると高分子量側に
分子量分布が広がったことになり、透明性、ヒ−トシ−
ル性が悪化する。
【0028】重量平均分子量(Mw)、数平均分子量
(Mn)およびZ平均分子量(Mz)は下記の条件で実
施したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)の測定結果に基づき算出する。即ち、ポリマー濃度
0.05重量%のo−ジクロロベンゼン溶液を用い、カ
ラムは混合ポリスチレンゲルカラム(例えば東ソー
(株)社製PSKgel GMH6−HT)を使用し、
135℃にて測定する。測定装置は、例えばウォーター
ズ社製GPC−150Cが用いられる。
【0029】本発明のプロピレン−環状オレフィン共重
合体に用いられる環状オレフィンとしては、特に限定さ
れないが、2−ノルボルネン、フェニル−ノルボルネ
ン、インダニル−ノルボルネン、シクロヘキセン、シク
ロペンテン、シクロブテン、ノルボルナジエン、2−エ
チル−ノルボルネン等が挙げられ、また、環状ジエンで
あるノルボルナジエン等も使用可能である。特に好まし
くは2−ノルボルネンが用いられる。これらの環状オレ
フィンは1種のみならず2種以上を用いてもよい
【0030】なお、共重合時の該環状オレフィンのプロ
ピレンに対する供給重量比率は、0.001〜0.1、
好ましくは0.002〜0.025である。0.1を超
えると、得られる共重合体の結晶化速度の増加の効果が
小さくなり、また、かかる共重合体を用いて成形したと
きの得られる成形品のべた付きの影響が無視できなくな
る。
【0031】本発明のプロピレン−環状オレフィン共重
合体は、環状オレフィンとプロピレンとを上記の供給比
率で重合系内に供給し、メタロセン触媒の存在下で1段
階の重合工程で共重合させることによって得られる。
【0032】本発明のプロピレン−環状オレフィン共重
合体は、本発明の効果を損ねない範囲において、必要に
より環状オレフィン以外の他のモノマーを共重合させて
もよい。共重合させる他のモノマーとしては、特に限定
されないが、炭素数2、4〜12のオレフィンが好まし
く用いられる。具体的には、エチレン、1−ブテン、1
−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセ
ン、4−メチル−1−ペンテン,3−メチル−1−ペン
テン等が挙げられ、特に好ましくはエチレン、1−ブテ
ン、ヘキセンが用いられる。これらのオレフィンは1種
のみならず2種以上を用いてもよいし、場合によっては
これらに加えて少量の1,5−ヘキサジエン、1,9−
デカジエン等のα,ω−ジエンを併用してもよい。
【0033】上記のように環状オレフィンをプロピレン
と共重合させると、低融点、高結晶化温度のプロピレン
−環状オレフィン共重合体が得られる。使用する用途に
よっても異なるが、一般には、環状オレフィンとの共重
合により得られる共重合体の融点は、非環状オレフィン
との共重合体の融点より5℃以内の低下が好ましい。こ
れを越えると、著しい重合活性の低下が起こってしま
い、実用的な生産性は得られなくなる。また、メルトフ
ロレ−ト(MFR)の増加も著しくなり、一般的にプロ
ピレン系共重合体で適用されている用途への適用が困難
になる。特に、環状オレフィンを添加していない時と比
較して、融点の低下が5℃以内の範囲では、その重合活
性の低下は、従来知られている予備重合により造核剤の
作用をするポリマーを混合した際の重合活性の低下とほ
ぼ同等のレベルである。
【0034】本発明のプロピレン−環状オレフィン共重
合体は上記の特定化要件を満足すれば、その製造方法に
ついては制限されるものではないが、以下に特定のメタ
ロセン触媒を用いて製造する方法について説明する。本
発明において用いられるメタロセン触媒は、前記の化合
物(A)、(B)、(C)および(D)を主成分とする
触媒系からなり、より詳しくは化合物(A)、(B)が
(C)に担持された担持型メタロセン触媒成分と、重合
時に別途反応系にスキャベンジャーとして添加される化
合物(D)を主成分として構成される。
【0035】前記の一般式(1)で表されるメタロセン
化合物において、ハロゲン原子としては、F、Cl、B
r、およびIを示すことができ:炭素数1〜20の炭化
水素基として、C1〜C20の鎖状アルキル基、シクロプ
ロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シク
ロヘプチル基など、前記鎖状アルキル基などで置換され
たC3〜C20のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチ
ル基など、前記アルキル基などで置換されたC6〜C20
のアリール基、ベンジル基など、前記アルキル基などで
置換されたC7〜C20のアラルキル基を例示でき:ま
た、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリ−ルオ
キシ基、アラルキルオキシ基などの炭素数1〜20の酸
素含有炭化水素基を、炭素数1〜20のケイ素含有炭化
水素基としては、トリアルキルシリル基、トリフェニル
シリル基、トリアルキルシリルアルキル基などを例示で
きる。
【0036】好ましいR1およびR2は炭素数1〜4の鎖
状アルキル基、フェニル基、ナフチル基、およびシクロ
ペンタジエニル環上の隣接する2個の炭素と結合したイ
ンデニル基またはフルオレニル基を形成し得る2価の基
であり、形成されたインデニル基またはフルオレニル基
はC1〜C4の鎖状アルキル基、フェニル基、ナフチル基
でさらに置換されていてもよい。
【0037】Qとしては、メチレン基、ジメチルメチレ
ン基、ジクロルメチレン基、エチレン基、テトラメチル
エチレン基、非置換もしくは置換シクロヘキシレン基、
非置換もしくは置換フェニレン基などの2価の炭化水素
基、ジメチルシリレン基、ジクロルシリレンなどのシリ
レン基、ジメチルゲルミレン基、ジクロルゲルミレン基
などの2価の含ゲルマニウム基(ゲルミレン基)、ジメ
チルスタニレンなどの2価の含スズ基(スタニレン基)
を例示でき、好ましくはジメチルシリレン基およびジメ
チルゲルミレン基である。
【0038】好ましいメタロセン化合物は、前記一般式
(1)において2個のシクロペンタジエニル環上のR1
よびR2の置換位が相互にMを含む対称面が存在しない
配置をとり、さらに好ましくはR1およびR2の少なくと
も1つがシクロペンタジエニル環のQに連結している炭
素に隣接する炭素上に存在しているキラルなメタロセン
化合物である。
【0039】前記一般式(1)で表されるメタロセン化
合物として、具体的には下記の化合物を例示できる。ジ
メチルシリレン(3−t−ブチルシクロペンタジエニ
ル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチ
ルゲルミレン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)
(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビ
ス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス
(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
レンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
【0040】ジメチルシリレンビス(インデニル)ジル
コニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデ
ニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(テトラ
ヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビ
ス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレンビス(テトラヒドロインデニル)
ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレンビス(テトラ
ヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチル
ゲルミレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、エチレンビス(2−メチル−4,5,6,
7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5,6,7
−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、
【0041】ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,
5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジク
ロリド、ジメチルゲルミレンビス(2−メチル−4,5,
6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロ
リド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニ
ルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレ
ンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(2−メチ
ル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチル
インデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルゲルミレ
ンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル
−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾイ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレ
ンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジル
コニウムジクロリド、
【0042】ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−
フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチル
シリレンビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)
ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(2
−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジク
ロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,6−
ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジ
メチルシリレンビス(2−メチル−4,6−ジイソプロ
ピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0043】ジメチルゲルミレンビス(2−メチル−
4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジク
ロリド、ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペ
ンタジエニル)(3′,5′−ジメチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレン
(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′
−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ
リド、ジメチルゲルミレン(2,4−ジメチルシクロペ
ンタジエニル)(3′,5′−ジメチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレン
(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2′,
4′,5′−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジメチル、ジメチルシリレン(2,3,5−トリメ
チルシクロペンタジエニル)(2′,4′,5′−トリメ
チルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルゲルミレン(2,3,5−トリメチルシクロペン
タジエニル)(2′,4′,5′−トリメチルシクロペン
タジエニル)ジルコニウムジクロリド等、およびこれら
の例示化合物のジルコニウムをチタニウムまたはハフニ
ウムに置き換えた化合物。
【0044】最も好ましいメタロセン化合物はジメチル
シリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニ
ル)(2′,4′,5′−トリメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリドおよびジメチルシリレンビ
ス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウ
ムジクロリドである。これらのメタロセン化合物は、d
l体100%のキラルな化合物であることが最も好まし
いが、50%以下の範囲のmeso体を含むdl体とm
eso体との混合物もそれを使用して得られるオレフィ
ン重合体の物性に大きな影響を及ぼさない限り使用する
ことができる。
【0045】化合物(B)のアルミノキサンとは、下記
の一般式(2)または(3)で表される有機アルミニウ
ム化合物である。
【0046】
【0047】ここで、R3は炭素数が1〜6、好ましく
は1〜4の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基等のアルキル基、アリル基、2−メ
チルアリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2−
メチル−1−プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル
基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基およびア
リール基等が挙げられる。これらのうち、特に好ましい
のはアルキル基であり、各R3は同一でも異なっていて
もよい。また、qは4〜30の整数であり、好ましくは
6〜30、特に好ましくは8〜30である。
【0048】上記のアルミノキサンは市販品を使用する
ことができるが、公知の様々な条件下に調製して使用す
ることが可能である。具体的には、以下の方法が例示で
きる。 1)トルエン、エーテル等の有機溶剤中において、酸ま
たはアルカリ触媒の存在下に、トリアルキルアルミニウ
ムと水とを直接反応させる方法。
【0049】2)トリアルキルアルミニウムと結晶水を
有する塩類、例えば硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水
和物、とを反応させる方法。 3) シリカゲル等に含浸させた水分とトリアルキルア
ルミニウムとを反応させる方法。
【0050】4) トルエン、エーテル等の有機溶剤中
でトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウ
ムとを混合し、次いで水と反応させる方法。 5) トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミ
ニウムを混合し、これに硫酸銅水和物、硫酸アルミニウ
ム水和物等の結晶水を有する塩類を反応させる方法。
【0051】6)水分を含浸させたシリカゲル等に、ト
リイソブチルアルミニウムを反応させた後、さらにトリ
メチルアルミニウムを反応させる方法。
【0052】化合物(C)である微粒子状担体は、前記
メタロセン化合物およびアルミノキサンもしくはそれら
の反応生成物を担持する固体微粒子であり、粒子径が1
〜500μm、好ましくは5〜300μmの顆粒状ない
しは球状の固体が使用され、無機担体あるいは有機担体
のいずれをも使用できる。
【0053】上記微粒子状無機担体としては、金属酸化
物、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO2
TiO2またはこれらの混合物を例示することができ
る。これらの中で、SiO2、Al23およびMgOか
らなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分として含
有する担体が好ましい。該無機酸化物担体は、通常10
0〜1000℃の温度で、1〜40時間焼成して用いら
れる。また、焼成する代わりに、例えば、SiCl4
クロロシラン等による化学的脱水法を用いることもでき
る。
【0054】化合物(C)である微粒子状有機担体とし
ては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテ
ン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのポリオレフ
ィンの微粒子、およびポリスチレンの微粒子を例示する
ことができる。
【0055】担持型メタロセン触媒成分は、炭化水素溶
媒に可溶のメタロセン化合物とアルミノキサンとを、脱
水された担体の上に沈着させることによって調製する。
メタロセン化合物とアルミノキサンとを担体に加える順
序は任意に変えることができる。例えば、適当な炭化水
素溶媒に溶解させたメタロセン化合物を最初に担体に加
え、その後でアルミノキサンを加えることもできる。ま
た、メタロセン化合物とアルミノキサンとを予め反応さ
せたものを担体に加えることもできる。また、アルミノ
キサンを最初に担体に加え、その後でメタロセン化合物
を加えることもできる。これらの担持反応の反応温度
は、−20〜100℃、好ましくは0〜100℃であ
り、反応時間は、0.1分間以上、好ましくは1分〜2
00分間である。
【0056】このようにして調製された担持型メタロセ
ン触媒は、本重合の前に少量のオレフィンで予備重合処
理して使用することが好ましい。予備重合処理に用いる
オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチ
ル−1−ペンテン等およびそれらの2種以上の混合物が
挙げられる。
【0057】化合物(D)の有機アルミニウム化合物と
しては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルア
ルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−
ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウ
ム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド等がおよびそれ
らの混合物が例示できる。就中、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウムが好ましく用いられ
る。
【0058】本発明のプロピレン−環状オレフィン共重
合体の製造方法としては、公知のプロピレン(共)重合
プロセスが使用可能であり、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シク
ロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等
の脂環族炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン等の芳香族炭化水素、更に、ガソリン留分や水素化ジ
ーゼル油留分等の不活性溶媒中でプロピレンを重合する
スラリー重合法、プロピレンモノマー自身を溶媒として
用いるバルク重合法、プロピレンの重合を気相中で実施
する気相重合法、さらに重合により生成するポリプロピ
レンが液状である溶液重合法、もしくはこれらのプロセ
スの2以上を組み合わせた重合法が使用可能である。
【0059】重合条件は、通常公知のチ−グラ−ナッタ
系触媒によるオレフィン(共)重合と同様な重合条件が
採用される。すなわち、プロピレンモノマ−、環状オレ
フィン、必要に応じて環状オレフィン以外のα−オレフ
ィンの所定量およびメタロセン触媒の所定量を供給しな
がら、重合温度−50〜150℃、好ましくは−10〜
100℃、特に好ましくは40〜80℃の温度にて、重
合圧力は大気圧〜7MPa、好ましくは0.2MPa〜
5MPaで、重合時間は、通常1分間〜20時間程度で
共重合させる。また、得られる共重合体の分子量の調整
は、前記の重合条件の選択の他、分子量調節剤である水
素を重合系に導入することによって達成される。プロピ
レン−環状オレフィン共重合体は重合終了後は、必要に
応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残さ除去工程、乾
燥工程等の後処理工程を経た後、本発明のプロピレン−
環状オレフィン共重合体が得られる。この共重合に際し
て、プロピレンに対する環状オレフィンの供給重量比率
は、0.001〜0.1、特に0.002〜0.025
の割合が好ましい。該比率が0.1を超えると結晶化速
度の増加の効果が小さくなり、また、成形品のべた付き
の影響が無視できなくなる。
【0060】本発明の共重合体には、通常結晶性プロピ
レン重合体に添加される各種の添加剤を本発明の目的を
損なわない範囲で添加することができる。そのような添
加剤として下記の各種のものが例示できる。すなわち、
フェノール系、チオエーテル系、リン系などの酸化防止
剤、光安定剤、重金属不活性化剤(銅害防止剤)、透明
化剤、β晶造核剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチ
ブロッキング剤、過酸化物の如きラジカル発生剤、難燃
剤、難燃助剤、顔料、ハロゲン捕捉剤、金属石ケン類な
どの分散剤若しくは中和剤、有機系や無機系の抗菌剤、
無機充填剤(たとえばタルク、マイカ、クレー、ウォラ
ストナイト、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、パ
ーライト、ケイソウ土、アスベスト、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウム、ハイドロタルサイト、塩基性アルミニウム・リ
チウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレート、二
酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸マ
グネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、
ガラス繊維、チタン酸カリウム、炭素繊維、カーボンブ
ラック、グラファイト、金属繊維など)、カップリング
剤(たとえばシラン系、チタネート系、ボロン系、アル
ミネート系、ジルコアルミネート系など)の如き表面処
理剤で表面処理された前記無機充填剤、有機充填剤(た
とえば木粉、パルプ、故紙、合成繊維、天然繊維な
ど)。
【0061】本発明のプロピレン−環状オレフィン共重
合体に上述の各種添加剤を添加する方法としては、それ
ぞれ所定量をヘンシェルミキサー(商品名)、スーパー
ミキサー、リボンブレンダー、バンバリミキサーなどの
通常の混合装置を用いて混合し、単軸押出機、2軸押出
機、ブラベンダー又はロールなどで、溶融混練温度17
0℃〜300℃、好ましくは200℃〜270℃で溶融
混練ペレタイズする方法を用いることができる。このよ
うにして得られた組成物は、射出成形法、押出成形法、
ブロー成形法などの各種成形法により目的とする成形品
の製造に供される。
【0062】また、結晶性分布をブロードに制御するこ
とで得られる、弾性率の温度依存性の小さいポリマー
は、カレンダー成形法で加工することが可能である。上
記の特性を持つプロピレン−環状オレフィン共重合体の
好ましい用途の例として、食品用薄肉容器、医療用チュ
ーブ、二軸延伸OPPフィルム、不織布用繊維等が挙げ
られる。結晶性分布が適度に広いポリマーを用いた場
合、繊維ウエブを熱エンボス加工して不織布とする際の
加工温度幅が広くなるので、目付重量の大きな繊維ウェ
ブであっても良好な溶着状態が可能となり、強度の大き
な不織布が得られる。
【0063】本発明によるプロピレン−環状オレフィン
共重合体の結晶性の分布は、どちらかと言えば低い結晶
性成分を付与したという類のものではなく、融解ピーク
の形状からは、全体として低い結晶性を持つ共重合体に
高い結晶性を持つ成分が同伴しているという様相を呈し
ており、ヒートシール性には不向きであるものの、低結
晶性共重合体の特徴を活かしながら、耐熱性に関しての
性能を向上させることが予測される。プロピレンと環状
オレフィンとの共重合に本発明で用いられるようなメタ
ロセン触媒を用いることにより、得られる共重合体は、
立体規則性は低下するものの、ベタ付きの原因となる抽
出成分は増加せず、分子量分布も広がるという傾向は見
られなかった。すなわち、従来のポリプロピレン共重合
体には無い、独特のポリマー構造バランスを持つ本発明
の共重合体は、易加工性のみならず、低融点組成物の分
野において利用価値があることが示唆される。
【0064】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例により
さらに詳細に説明する。実施例および比較例において使
用する用語の定義および測定方法は以下の通りである。
【0065】(1)MFR:JIS K7210に準拠
して、表1の条件14(21.18N荷重下、230℃
条件下)で測定した値(単位:g/10分) (2)融点(Tm)、結晶化温度(Tc)、融解潜熱
(△H):既述の方法により測定した。 (3)分子量:Mw、Mn、Mw/Mn:既述の方法に
より測定した。($)エチレン含有量(重量%):赤外
線吸収スペクトルの733cm-1のピーク面積から算出
した。
【0066】実施例1 1)担持型触媒(i)の調製 十分に乾燥し窒素置換した500mlのフラスコに、ジ
メチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタ
ジエニル)(2’,4’,5’−トリメチルシクロペン
タジエニル)ジルコニウムジクロライドを0.61g
(1.41mmol)、メチルアルミノキサンのトルエ
ン希釈品をAl原子換算で416mmol加え、10分
間反応させた。その後、800℃で8時間焼成したシリ
カ(グレース・デビソン社製)10gを添加し、100
℃で1時間攪拌しながら反応させた後、10分間をかけ
て0℃に冷却した。n−ヘキサン280mlを添加し、
10分間撹拌した後、上澄み液をデカントした。同デカ
ント洗浄操作を3回繰り返して固体触媒を得た。得られ
た固体触媒にn−ヘキサン280mlを添加し、0℃下
においてプロピレンを450ml/minの流量で50
分間連続的に加え予備重合を行った。予備重合終了後、
反応系の上澄み液をデカントし、さらに280mlのn
−ヘキサンで5回デカント洗浄を行って後、室温下で2
時間真空乾燥して36gの担持型触媒(i)を得た。組
成分析を行った結果、担持型触媒中にZrが0.36w
t%含まれていた。
【0067】2)プロピレン−環状オレフィン共重合体
の製造 容量1.5リットルのオートクレーブ中に、液体プロピ
レン800ml、2−ノルボルネン35mmol、およ
びトリエチルアルミニウム1mmolを加え、50℃ま
で昇温した。前記1)で調製した担持型重合触媒(i)
130mg(n−ヘキサン懸濁液)と液体プロピレン2
00mlとを加え、50℃で1時間重合させた。ノルボ
ルネン/プロピレンの比率は、モル比で0.0028に
調節した。反応終了後、未反応のプロピレンを大気圧ま
でパージすることで除いた。生成した粉末状の共重合体
をアセトン溶媒中で室温で1時間攪拌して残存している
未反応の2−ノルボルネンを除いた後、濾過・乾燥する
ことによってプロピレン・2−ノルボルネン共重合体1
12gを得た。 DSCによる測定の結果、融点(T
m)は148.8℃、結晶化温度(Tc)は113.2
℃、融解潜熱(△H)は、91.3(J/g)であり、
MFRは、225(g/10min)、Mw/Mnは、
2.2であった。
【0068】
【比較例1】2−ノルボルネンを添加しない以外、実施
例1に準拠して重合を行い、ポリプロピレン(ホモポリ
マー)143gを得た。DSCによる測定の結果、融点
(Tm)は154.8℃、結晶化温度(Tc)は11
2.6℃、融解潜熱(△H)は104.3(J/g)で
あり、MFRは、34(g/10min)、Mw/Mn
は2.4であった。
【0069】実施例1と比較例1を対比から明らかなよ
うに、2−ノルボルネンと共重合したことにより融点が
約6℃低下しただけで、ポリプロピレン(ホモポリマ
−)に比べて、約20%しか重合活性は低下していな
い。また、融点は約6℃低下しているが、結晶化温度に
は低下が見られないことがわかる。
【0070】実施例2 ノルボルネン/プロピレンの比率を、モル比で0.00
56に変えた以外は実施例1に準拠して、プロピレンと
2−ノルボルネンとの共重合を実施し、プロピレン・ノ
ルボルネン共重合体9gを得た。 DSCによる測定の
結果、融点(Tm)は143.7℃、結晶化温度(T
c)は111.7℃、融解潜熱(△H)は75.4(J
/g)であり、MFRは、500(g/10min)、
Mw/Mnは2.8であった。
【0071】比較例2 2−ノルボルネンに代えてエチレンをコモノマーに用い
て共重合を行った。エチレンとプロピレンの空間部ガス
組成比をモル比で0.05にする以外は、実施例1に準
拠してプロピレンとエチレンとの共重合を実施し、プロ
ピレン・エチレン共重合体115gを得た。DSCによ
る測定の結果、融点(Tm)は150.3℃、結晶化温
度(Tc)は109.3℃、融解潜熱(△H)は、9
9.0(J/g)であ、MFRは、60(g/10mi
n)、Mw/Mnは2.3であった。実施各例および比
較各例の結果を表1に一括して示した。
【0072】
【表1】
【0073】実施例1と比較例2を比較すると、融点は
同一であるが、結晶化温度はプロピレン・2−ノルボル
ネン共重合体の方が高く、本発明の効果である結晶化速
度の速いプロピレン共重合体であることが判る。また、
融解潜熱はプロピレン・2−ノルボルネン共重合体の方
が低くなっており、結晶性分布に変化が起きていること
が判る。また、実施例2で得られたプロピレン・2−ノ
ルボルネン共重合体のDSC融解曲線を図2に示す。中
心ピークより高温側にショルダーピークがある点が特徴
であり、結晶性分布が広がっていることが判る。
【0074】プロピレン・2−ノルボルネン共重合体と
プロピレン・エチレン共重合体のそれぞれの融点と結晶
化温度との関係を図3に、プロピレン・2−ノルボルネ
ン共重合体の融点とMFRの関係を図4に示す。
【0075】図4の関係により明らかなように、用いる
触媒に高分子量重合体が生成可能なメタロセン錯体を選
択することで、本発明で見出された特徴を有する(押出
成形用途、特に二軸延伸フィルムに好適に用いられる)
プロピレン−環状オレフィン共重合体が得られることが
判る。
【0076】
【発明の効果】本発明のプロピレン−環状オレフィンラ
ンダム共重合体は、低融点でありながら、高い結晶化速
度を維持出来ることから、薄肉射出成形においての成形
性が向上する。このプロピレン−環状オレフィン共重合
体は、無機あるいは有機系の造核剤を用いていないの
で、該造核剤がブリ−ドアウトすることもなく、食品包
装容器の用途に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プロピレン−環状オレフィン共重合体の製造
方法のフローシート
【図2】 プロピレン−環状オレフィン共重合体のDS
C融解曲線
【図3】 結晶化温度と融点の関係
【図4】 融点の低下とMFRの変化
フロントページの続き Fターム(参考) 4J028 AA01A AB00A AB01A AC01A AC08A AC09A AC10A AC26A AC27A AC28A BA01A BA01B BB01A BB01B BC15B BC25A BC27A CA25A CA27A CA28A CA29A CB09A DA02 DB03A EA01 EB02 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EB18 EB26 EC02 EC04 FA01 FA02 FA04 FA07 GA01 GA06 GA07 GA19 GB01 4J100 AA02R AA03P AA04R AA07R AA16R AA17R AA18R AA19R AA21R AR03Q AR04Q AR05Q AR10Q AR11Q AR16Q BC27Q BC43Q CA04 CA05 DA01 DA04 DA22 DA24 DA43 FA10 JA51 JA58

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の特性を有することを特徴とするプロ
    ピレン−環状オレフィン共重合体。 融点(Tm)が100℃〜160℃、 融点(Tm)と結晶化温度(Tc)の関係が、Tc>
    0.27×Tm+70を満足し、 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との
    比Mw/Mnが1.5〜3.0、 Mwが50000〜1000000である。
  2. 【請求項2】 差動走査熱量分析計(DSC)による熱
    分析における融解曲線の形状が中心ピーク温度の高温側
    にショルダーピークを持ち、かつ、融解ピークの半値幅
    における温度のうち高温側に位置する温度(Th)と中
    心ピークの温度(Tm)との差(Th−Tm)が3℃以
    上であることを特徴とする請求項1記載のプロピレン−
    環状オレフィン共重合体。
  3. 【請求項3】プロピレンから導かれる構成単位を90モ
    ル%以上含有し、環状オレフィン以外のα−オレフィン
    から導かれる構成単位を10モル%未満含有しているこ
    とを特徴とする請求項1記載のプロピレン−環状オレフ
    ィン共重合体。
  4. 【請求項4】プロピレン単独重合体もしくは環状オレフ
    ィン以外のα−オレフィンとプロピレンとの共重合によ
    り得られるプロピレン−α−オレフィン共重合体の融点
    に対して、環状オレフィンと共重合することにより得ら
    れるプロピレン−環状オレフィン共重合体の融点の低下
    が5℃以内であることを特徴とする請求項1記載のプロ
    ピレン−環状オレフィン共重合体。
  5. 【請求項5】プロピレン−環状オレフィン共重合体が、
    メタロセン触媒の存在下、プロピレンと環状オレフィン
    とを一段階の重合工程で共重合させて得られたものであ
    る請求項1項記載のプロピレン−環状オレフィン共重合
    体。
  6. 【請求項6】プロピレン−環状オレフィン共重合体が、
    メタロセン触媒の存在下、プロピレンに対する環状オレ
    フィンの供給重量比率を0.001〜0.1としてプロ
    ピレンと環状オレフィンとを共重合させて得られたもの
    である請求項1〜5のいずれか1項記載のプロピレン−
    環状オレフィン共重合体。
  7. 【請求項7】下記に示した化合物(A)、(B)、
    (C)および(D)からなる触媒系を用い、プロピレン
    と環状オレフィンとを共重合させることを特徴とするプ
    ロピレン−環状オレフィン共重合体の製造方法:化合物
    (A):下記一般式(1)で表されるメタロセン化合
    物、 (式中、MはTi、ZrおよびHfよりなる群から選択
    される遷移金属を表し、Xは、それぞれ独立して水素、
    ハロゲン原子、炭素数1〜20のの炭化水素基、炭素数
    1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ
    素含有炭化水素基を表し、(C54-m1 m)および(C
    54-n2 n)は、それぞれ置換シクロペンタジエニル基
    を表し、mおよびnは1〜3の整数であり、R1および
    2はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、
    ケイ素含有炭化水素基またはR1の2つおよび/または
    2の2つが一緒になってシクロペンタジエニル環上の
    隣接する2個の炭素と結合して、環炭素数が4〜8の飽
    和もしくは不飽和の環を形成している2価の炭化水素基
    を表し、形成された環は炭化水素基でさらに置換されて
    いてもよく、Qは前記2個の置換シクロペンタジエニル
    基を連結し得る2価の基を表す)、 化合物(B):アルミノキサン、 化合物(C):微粒子状担体、 化合物(D):有機アルミニウム化合物。
  8. 【請求項8】化合物(A)がジメチルシリレン(2,
    3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2’,
    4’,5’−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコ
    ニウムジクロライドであることを特徴とする請求項7記
    載のプロピレン−環状オレフィン共重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】プロピレンと環状オレフィンとを共重合さ
    せる際の、プロピレンに対する環状オレフィンの供給重
    量比率が0.001〜0.1であることを特徴とする請
    求項7もしくは請求項8のいずれか1項記載のプロピレ
    ン−環状オレフィン共重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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