JP2000335985A - 窒化ケイ素質セラミックス多孔体およびその製造方法、ならびに窒化ケイ素質セラミックスフィルタ - Google Patents

窒化ケイ素質セラミックス多孔体およびその製造方法、ならびに窒化ケイ素質セラミックスフィルタ

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JP2000335985A
JP2000335985A JP14801899A JP14801899A JP2000335985A JP 2000335985 A JP2000335985 A JP 2000335985A JP 14801899 A JP14801899 A JP 14801899A JP 14801899 A JP14801899 A JP 14801899A JP 2000335985 A JP2000335985 A JP 2000335985A
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oxide
porous body
nitride ceramic
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Chihiro Kawai
千尋 河合
Tatsutama Boku
辰珠 朴
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い気孔率を保ちつつ、細孔径を微細化でき
る窒化ケイ素質セラミックス多孔体およびその製造方
法、ならびにそれを用いたフィルタを提供する。 【解決手段】 本発明の窒化ケイ素質セラミックス多孔
体1は、窒化ケイ素粒子と酸化物系結合相とを有し、3
0%以上の気孔率を有し、平均アスペクト比が5以上の
柱状の窒化ケイ素粒子が3次元的に絡み合った構造を有
し、結合相として希土類元素の少なくとも1種を窒化ケ
イ素の成分量に対して酸化物換算で4重量%以上15重
量%以下含み、0.05μm未満の平均細孔径を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度かつ高気孔
率をもつ窒化ケイ素質セラミックス多孔体およびその製
造方法、ならびにその窒化ケイ素質セラミックス多孔体
を用いたフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の環境問題への対応から、耐熱性が
高く、高強度、高耐熱衝撃性の各種フィルタや触媒担
体、構造材に使用できる多孔質セラミックスの必要性が
高まっている。すなわち、自動車の排気ガス中のCO2
や黒煙を除去するためのフィルタや触媒担体、燃費向上
のための軽量自動車部品などへの必要性が高い。
【0003】この有力な候補材料としてSi34多孔体
があり、たとえば国際公開公報WO94/27929号
に開示されている。
【0004】図5は、そのSi34多孔体の構造を概念
的に示す図である。図5を参照して、このSi34多孔
体1では、柱状構造をもつSi34粒子2が、結合相に
よって互いに3次元的に絡み合った構造をなすように接
着されており、気孔率が30%以上と高く、かつ曲げ強
度も高い。なお、結合相は、希土類元素(Sc、Yおよ
びランタン系元素をいう)の化合物の少なくとも1種を
含んでいる。
【0005】このSi34多孔体は、Si34粉末に焼
結助剤としての希土類元素の酸化物を混合して成形した
後、窒素雰囲気下で焼結することにより得られる。希土
類元素の酸化物はSi34粉末の表面に存在するSiO
2とともに高温で共融反応によって液相を形成し、Si3
4粉末の一部を溶かして柱状Si34粒子を析出させ
る働きをする。希土類元素の酸化物のうち、Y23が最
も安価であり利用しやすい。液相は焼結後には粒界にガ
ラス相として存在し、柱状Si34粒子を強固に結合さ
せ、Si34多孔体の高強度特性の原因の一翼を担う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】Si34多孔体の細孔
径は、柱状粒子の大きさと関連し、柱状粒子を微粒化す
るほど小さくなる。しかし、現在報告されているSi3
4多孔体の平均細孔径は小さくても0.05μm程度
であり、気孔率30%以上では、それより小さな平均細
孔径を有する多孔体は得られていない。細孔径を小さく
するためには柱状Si34粒子のサイズを小さくせねば
ならない。このSi34柱状粒子の大きさは、焼結時に
おけるSi34の核生成速度と、生成した核の成長速度
に依存して決まる。
【0007】上記公報に記載の方法では、図6に示すよ
うに原料Si34粒子5の表面に存在するSiO2と希
土類酸化物(たとえばY23)とが液相6を形成し、液
相6中に原料Si34が溶解する(a)。次いで液相6
中で核2aの生成が起きる(b)。この核2aの成長に
より、Si34の柱状粒子2が生成し成長する(c)、
(d)。なお、このようなY23−SiO2系の液相6
中から生成するSi3 4の柱状粒子2はβ型である。
【0008】上記方法では、液相6中でのSi34核2
aの成分となるSiとNのうち、Siは原料であるSi
34粒子5の液相6への溶解によってのみ供給される
が、固体Si34の液相6への溶解速度は大きくない。
このため、液相6中からSi34核2aが生成するため
の過飽和度は小さく、生成する核2aの数も少ない。結
晶2は核2aを起点に成長するため、核2aの数が少な
いと、生成するSi34柱状粒子2の数は少なくなる。
これにより隣り合う柱状粒子2の間隔が大きくなり、柱
状粒子2同士が互いの成長を阻害しないために、結果と
して大きな柱状粒子2が成長する。このように柱状粒子
2が大きく成長するため、上記方法では、Si34多孔
体の細孔径を小さくすることが困難であるという問題点
があった。
【0009】それゆえ本発明の一の目的は、高い気孔率
を保ちつつ、細孔径を微細化できる窒化ケイ素質セラミ
ックス多孔体およびその製造方法を提供することであ
る。
【0010】また本発明の他の目的は、濾過能力が高
く、信頼性の高い高強度フィルタを提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、鋭意検
討した結果、柱状の窒化ケイ素粒子を微粒化するために
は液相中の核生成数を増加させればよいことに気づき、
それにより高気孔率を有するとともに細孔径の小さい窒
化ケイ素質セラミックス多孔体を製造できることを見出
した。
【0012】したがって、本発明の窒化ケイ素質セラミ
ックス多孔体は、窒化ケイ素粒子と酸化物系結合相とを
有し気孔率が30%以上の多孔体であって、平均アスペ
クト比が5以上の柱状の窒化ケイ素粒子が3次元的に絡
み合った構造を有し、酸化物系結合相として希土類元素
の少なくとも1種を窒化ケイ素の成分量に対して酸化物
換算で4重量%以上15重量%以下含み、平均細孔径が
0.05μm未満である。
【0013】本発明の窒化ケイ素質セラミックス多孔体
では、平均細孔径が0.05μm未満であるため、この
多孔体をフィルタに用いた場合、直径が0.01μm以
下の粒子を分離することができ、液体や気体の浮遊物の
分離フィルタとして有効である。
【0014】気孔率を30%以上としたのは、30%未
満では多孔体をフィルタとして用いた場合の浮遊物など
の透過量が少なくなるからである。なお、本願における
気孔率とは、100−相対密度(%)によって得られる
ものである。また、相対密度とは、重量と寸法との測定
から算出した成形体密度を、窒化ケイ素と添加物(希土
類元素の酸化物など)との加重平均である理論密度で割
った値である。
【0015】また平均アスペクト比を5以上としたの
は、5未満では通常の多孔質セラミックスと同程度の低
い強度しか得られないからである。なお、本願における
アスペクト比とは、柱状粒子の短径に対する長径の比率
のことであり、平均アスペクト比とは、所定個数の柱状
粒子のアスペクト比の平均値のことである。
【0016】また希土類元素の酸化物の添加量は、多孔
体中の窒化ケイ素の成分量に対して酸化物換算で4重量
%以上15重量%以下必要である。この添加量が4重量
%未満では、粒子が柱状に成長しなくなり(アスペクト
比が小さくなる)、かつ緻密化しやすくなる。また添加
量が15%を超えると、結合相が多すぎて多孔体の強度
が低くなり実用に耐えない。
【0017】上記の窒化ケイ素質セラミックス多孔体に
おいて好ましくは、酸化物系結合相に含まれる希土類元
素はイットリウムである。希土類元素としてイットリウ
ムが好ましいのは、希土類元素の酸化物のうちY23
最も安価でありかつ利用しやすいからである。
【0018】上記の窒化ケイ素質セラミックス多孔体に
おいて好ましくは、気孔率は60%以下である。気孔率
が60%を超える多孔体を製造することは現状では困難
だからである。
【0019】上記の窒化ケイ素質セラミックス多孔体に
おいて好ましくは、3点曲げ強度は200MPa以上で
ある。
【0020】本発明の窒化ケイ素質セラミックス多孔体
を分離フィルタとして用いると、直径が0.01μm以
下の微粒子を濾過することができる。なお、本願におい
ては、直径0.01μmの粒子を99%以上濾過できる
とき、そのフィルタの有効濾過径が0.01μmである
とする。このように本発明の窒化ケイ素質セラミックス
多孔体をフィルタとして使用することにより、精密濾過
や限外濾過あるいはガス中の微粒子濾過などの分野にお
いて信頼性の高い高強度フィルタを得ることができる。
【0021】また、本発明の窒化ケイ素質セラミックス
多孔体の窒化ケイ素粒子は主に六角柱構造を有してい
る。この場合、その細孔を形成するのは六角柱の側面で
ある。この側面は平面であるため、その表面を触媒とな
る金属(たとえば白金)で被覆する場合に、表面に均一
にその金属を付着することができ、このことからも触媒
としての性能を向上させることができる。
【0022】次に、本発明の窒化ケイ素質セラミックス
多孔体を得るための製造方法について説明する。
【0023】本発明の一の局面に従う窒化ケイ素質セラ
ミックス多孔体の製造方法は、窒化ケイ素粒子と酸化物
系結合相とを有し気孔率が30%以上の多孔体の製造方
法であって、窒化ケイ素粉末に希土類元素の少なくとも
1種を窒化ケイ素の成分量に対して酸化物換算で4重量
%以上15重量%以下添加した混合粉末を、炭素を加え
て成形する工程と、成形により得られた成形体を120
0℃以上1600℃以下の温度で保持して予備加熱する
工程と、予備加熱後に1650℃以上1900℃以下の
温度で焼結する工程とを備えている。
【0024】本発明の一の局面に従う製造方法では、成
形体に炭素が含まれているため、予備加熱時にこの炭素
により窒化ケイ素表面のSiO2が還元されてSiOガ
スが発生する。このSiOガスが焼結時に液相に溶解す
ることで、液相中から多くの窒化ケイ素の核が発生す
る。一方で、窒化ケイ素粉末が液相に溶解して生成した
化学種は、発生した核に供給される。結果として、微細
な窒化ケイ素粒子が数多く析出するため、0.05μm
未満の小さい細孔径を有する高強度・高気孔率の窒化ケ
イ素質セラミックス多孔体を得ることができる。
【0025】窒化ケイ素表面のSiO2の炭素による還
元は、1200℃以上で起こるため、予備加熱の温度は
1200℃以上であることが必要である。また、予備加
熱の温度が1600℃を超えると液相が生じてしまうた
め、予備加熱の温度は1600℃以下であることが必要
である。
【0026】この予備加熱における加熱時間は1時間以
上2時間以下であることが好ましい。加熱時間が1時間
未満だとSiOガスの発生が十分ではなく、2時間を超
えると上記効果が飽和してしまうからである。
【0027】焼結温度は1650℃以上1900℃以下
であることが必要である。焼結温度が1650℃未満で
は液相が生成しないため柱状粒子が生成せず、1900
℃を超えると柱状粒子が粗大に成長し、細孔径が大きく
なってしまうからである。
【0028】本発明の他の局面に従う窒化ケイ素質セラ
ミックス多孔体の製造方法は、窒化ケイ素粒子と酸化物
系結合相とを有し気孔率が30%以上の多孔体の製造方
法であって、窒化ケイ素粉末に希土類元素の少なくとも
1種を窒化ケイ素の成分量に対して酸化物換算で4重量
%以上15重量%以下添加した混合粉末を成形する工程
と、成形により得られた成形体をSiOを加えた雰囲気
下で1650℃以上1850℃以下の温度で焼結する工
程とを備えている。
【0029】本発明の他の局面に従う製造方法では、雰
囲気中に加えられたSiOが焼結時に液相に溶解するこ
とで、液相中から多くの窒化ケイ素の核が発生する。一
方で、窒化ケイ素粉末が液相に溶解して生成した化学種
は、発生した核に供給される。結果として、微細な窒化
ケイ素粒子が数多く析出するため、0.05μm未満の
小さい細孔径を有する高強度・高気孔率の窒化ケイ素質
セラミックス多孔体を得ることができる。
【0030】焼結温度は1650℃以上1850℃以下
であることが必要である。焼結温度が1650℃未満で
は液相が生成しないので柱状粒子が生成せず、1850
℃を超えると柱状粒子が粗大に成長し細孔径が大きくな
るからである。
【0031】上記一および他の局面に従う製造方法にお
いて好ましくは、酸化物系結合相は希土類元素の酸化物
を含み、かつその希土類元素はイットリウムである。
【0032】希土類元素としてイットリウムは比較的安
価で使いやすいからである。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図に基づいて説明する。
【0034】図5を参照して、本実施の形態の窒化ケイ
素質セラミックス多孔体1は、柱状の窒化ケイ素粒子2
が3次元的な絡み合い構造をなすように酸化物系結合相
により接着されて構成されている。窒化ケイ素粒子2
は、たとえばSi34よりなり、主に六角柱状を有して
いる。酸化物系結合相は、Sc、Yおよびランタン系元
素よりなる希土類元素の少なくとも1種の酸化物よりな
っており、たとえばY23よりなっている。
【0035】酸化物系結合相中の希土類元素は、多孔体
1中の窒化ケイ素の成分量に対して酸化物換算で4重量
%以上15重量%以下含まれている。
【0036】この多孔体1は多数の細孔を有しており、
それら細孔の平均細孔径は0.05μm未満ときわめて
小さい。また気孔率は30%以上であり、また60%以
下であることが好ましい。また各窒化ケイ素粒子2のア
スペクト比(L1/L2)の平均は5以上である。
【0037】このような構造を有する本実施の形態の窒
化ケイ素質セラミックス多孔体1は室温における3点曲
げ強度が200MPa以上である。
【0038】またこの多孔体1の平均細孔径は0.05
μm未満と極めて小さいため、有効濾過径を0.01μ
m以下とできる。よって、この多孔体1をフィルタとし
て使用すると、0.01μm以下の微粒子を99%以上
分離できるフィルタが得られる。したがって、精密濾過
や限外濾過、あるいはガス中の微粒子濾過などの分野に
おいて分離フィルタとしての濾過能力が高くかつ信頼性
の高い高強度フィルタを得ることができる。
【0039】次に本実施の形態の製造方法について説明
する。図1は、本発明の一実施の形態における窒化ケイ
素質セラミックス多孔体の第1の製造方法を示す図であ
る。
【0040】図1を参照して、まず窒化ケイ素(たとえ
ばSi34)粉末と希土類元素の酸化物(たとえばY2
3)の粉末とが混合される。この際、窒化ケイ素粉末
に、希土類元素の少なくとも1種を窒化ケイ素の成分量
に対して酸化物換算で4重量%以上15重量%以下添加
した混合粉末が準備される(ステップ11)。この混合
粉末に、たとえばバインダーなどの形態で炭素が加えら
れた後、成形が行われる(ステップ12)。これにより
得られた成形体は、1200℃以上1600℃以下の温
度で所定時間保持されて予備加熱される(ステップ1
3)。予備加熱後に、1650℃以上1900℃以下の
温度で焼結されて(ステップ14)、窒化ケイ素質セラ
ミックス多孔体が形成される。
【0041】図2は、本発明の一実施の形態における窒
化ケイ素質セラミックス多孔体の第2の製造方法を示す
図である。
【0042】図2を参照して、まず窒化ケイ素(たとえ
ばSi34)粉末と希土類元素の酸化物(たとえばY2
3)の粉末とが混合される。この際、窒化ケイ素粉末
に、希土類元素の少なくとも1種を窒化ケイ素の成分量
に対して酸化物換算で4重量%以上15重量%以下添加
した混合粉末が準備される(ステップ21)。この混合
粉末が成形されて成形体が得られる(ステップ22)。
成形体は、SiOガスが導入された炉内で1650℃以
上1850℃以下の温度まで加熱され、成形体内にSi
Oガスが充満された状態で焼結が行なわれ(ステップ2
3)、窒化ケイ素質セラミックス多孔体が形成される。
【0043】本願発明者らは、柱状Si34粒子を微粒
化させるためには液相中の核生成数を増加させればよい
ことに気づき、上記の方法を見出した。以下、そのこと
を具体的に説明する。
【0044】図3は、本発明の窒化ケイ素質セラミック
ス多孔体の製造方法における核生成の制御概念を示す図
である。
【0045】図3を参照して、まず原料であるSi34
粉末5とY23粉末との混合粉末が成形体とされる。こ
の成形体がN2中で焼結温度まで加熱される際、成形体
内にSiOガスが充満させられる。SiOガスは生成し
た液相6に溶解し(a)、液相6中には多くのβ−Si
34の核2aが発生する(b)。一方で、原料Si34
粉末5が液相6に溶解して生成した化学種は、発生した
核2aに供給され、結果として微細なβ−Si34の柱
状粒子2が数多く析出し成長する(c)、(d)。
【0046】これにより隣り合うSi34柱状粒子2の
間隔が小さくなり、柱状粒子2同士が互いの成長を阻害
し合うため、柱状粒子2の成長が抑制される。これによ
り柱状粒子2の微細化が可能となるため細孔径も小さく
なり、結果として0.05μm未満の小さい細孔径を有
する高強度・高気孔率の窒化ケイ素質セラミックス多孔
体を得ることができる。
【0047】成形体内にSiOガスを充満させる方法と
しては、たとえば以下の(1)〜(4)の方法が考えら
れる。
【0048】(1) 図4に示すように、成形体10を
収納したケース30内に、成形体10と並べて、SiO
2と炭素との混合粉末またはその成形体20が設置され
る。この状態で所定温度に加熱することにより、混合粉
末または成形体20中のSiO2が炭素で還元されてS
iOガスが発生し、成形体10内を満たす。
【0049】(2) SiO粉末またはその成形体20
が(1)と同様に成形体10の横に設置される。SiO
粉末20は1200℃くらいから揮発し始めるため、
(1)と同様の効果がある。
【0050】(3) 原料Si34粉末とY23粉末と
の混合粉末から成形体を作成する際にたとえばバインダ
ーとして炭素が使用される。この炭素バインダーがSi
34表面のSiO2と十分反応してSiOガスを発生さ
せる。このため、液相の生成温度よりも低い温度で成形
体を一定時間予備加熱することでSiOガスにより成形
体内を満たすことができる。
【0051】仮に成形体を液相が生じる温度まで一気に
加熱すると、SiOガスの発生が十分に起こらないま
ま、SiO2はY23と液相を作ってしまう。一旦、S
i−Y−O系の液相が生じると、炭素によるSiO2
還元はほとんど起こらなくなってしまう。つまり、Si
Oガスの発生が不十分となってしまう。
【0052】なお、炭素は必ずしもバインダーの形態で
成形体に含まれる必要はなく、これ以外の形態で成形体
中に含まれてもよい。
【0053】(4) ガスボンベから直接炉内にSiO
ガスを導入することで、SiOガスで成形体内を満たす
ことができる。
【0054】上記(1)、(2)および(4)は図2に
示す製造方法に対応し、上記(3)は図1に示す製造方
法に対応する。
【0055】上記公報(WO94/27929号)で
も、成形体を作成する際に炭素がバインダーとして使用
された場合には、この炭素によりSi34表面のSiO
2が還元されて、 SiO2+C→SiO+CO なる反応が生じる。その結果、SiOガスが発生し、こ
れが核生成に寄与することになる。
【0056】しかしながら、この場合、本実施例のよう
に、意図的にSiOガスを炉内に導入した場合とはその
効果に大きな差がある。このため、上記文献に記載の技
術では、柱状粒子が粗大に成長し、細孔径を小さくする
ことができない。
【0057】また、上記公報に記載の技術では、焼結前
に予備加熱が施されず、成形体は焼結温度まで一気に加
熱されるため、SiOガスの発生が不十分となり、この
点においても細孔径を小さくすることはできない。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0059】実施例1 まずSi34の多孔体を以下の(a)〜(c)に示す3
通りの方法で各々製造した。
【0060】(a) 平均粒径0.3μmのα型Si3
4粉末に平均粒径0.2μmのY23粉末を8wt
(重量)%添加した混合粉末を、直径40mm×厚さ5
mmに成形した。この成形体を、100mm×100m
m×100mmサイズのカーボン製ケースに入れ、窒素
雰囲気下で1600〜1950℃の温度で2時間焼成し
た。
【0061】(b) 平均粒径0.3μmのα型Si3
4粉末に平均粒径0.2μmのY23粉末を8wt%
添加した混合粉末を、直径40mm×厚さ5mmに成形
した。また平均粒径0.3μmのSiO2粉末と平均粒
径0.2μmの炭素粉末を重量比で1:1で混合した混
合粉末を直径40mm×厚さ5mmに成形した。これら
2つの成形体を、100mm×100mm×100mm
サイズのカーボン製ケース内に5cmの距離をおいて入
れ、窒素雰囲気下で1600〜1900℃の温度で2時
間焼成した。
【0062】(c) 平均粒径0.3μmのα型Si3
4粉末に平均粒径0.2μmのY23粉末を8wt%
添加した混合粉末を、炭素をバインダーとして直径40
mm×厚さ5mmに成形した。この成形体を、100m
m×100mm×100mmサイズのカーボン製ケース
に入れ、窒素雰囲気下で1100〜1600℃の温度で
1時間予備加熱した後、さらに温度を上げて1700℃
の温度で2時間焼成した。
【0063】これら(a)〜(c)で得られた各試料に
ついて、気孔率、細孔径、平均アスペクト比、曲げ強度
および分離性能の測定を行なった。
【0064】気孔率と細孔径とは、水銀ポロシメータに
より測定を行なった。また平均アスペクト比について
は、透過型電子顕微鏡写真より任意に選んだ50個の粒
子の平均値を計算することにより得た。また曲げ強度に
ついては、JIS1601に準拠した3点曲げ試験(室
温での曲げ強度)により測定を行なった。分離性能につ
いては、直径25mm×厚さ1mmの形状に加工したS
34多孔体をフィルタとして用いて測定を行なった。
この測定においては、純水中に直径0.005〜0.0
5μmのポリエチレンラテックス粒子を100ppmの
濃度で分散した液をフィルタで濾過させた後、透過した
液の粒子濃度を吸光光度計で測定した。
【0065】これらの結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】表1の結果より、製法(b)にて焼結温度
を1650℃以上1850℃以下とすることで、また製
法(c)にて予備加熱温度を1200℃以上1600℃
以下としかつ焼結温度を1650℃以上1900℃以下
とすることで、気孔率が30%以上、平均アスペクト比
が5以上、かつ平均細孔径が0.05μm未満のSi 3
4多孔体の得られることが判明した。また、これら本
発明例のSi34多孔体は直径0.01μm以下の微粒
子を分離できることも判明した。
【0068】実施例2 Si34の多孔体を、以下の(d)に示す方法で製造し
た。
【0069】(d) 平均粒径0.4μmのα型Si3
4粉末に平均粒径0.25μmのY 23粉末を3〜1
6wt%添加した混合粉末を直径40mm×厚さ5mm
に成形した。この成形体を、100mm×100mm×
100mmサイズのカーボン製ケースに入れ、そのケー
スにガスボンベから直接SiOを導入することで1%S
iO−N2の雰囲気として、その雰囲気下で1700℃
の温度で2時間焼成した。
【0070】この(d)および実施例1の(a)で得ら
れた各試料について、上述した実施例1と同様の方法に
より、気孔率、細孔径、平均アスペクト比、曲げ強度お
よび分離性能の測定を行なった。
【0071】その結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】表2の結果より、製法(d)にて結合相と
してのイットリウムをSi34の成分量に対して酸化物
換算で4重量%以上15重量%以下とすることで、気孔
率が30%以上、平均アスペクト比が5以上、かつ平均
細孔径が0.05μm未満のSi34多孔体が得られる
ことが判明した。また、これら本発明例のSi34多孔
体は、直径0.01μm以下の微粒子を分離できること
も判明した。
【0074】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0075】
【発明の効果】本発明の窒化ケイ素質セラミックス多孔
体をフィルタとして使用すると、0.01μm以下の微
粒子を99%以上分離することができる。このため、本
発明の窒化ケイ素質セラミックス多孔体は精密濾過や限
外濾過、あるいはガス中の微粒子濾過などの分野におい
て分離フィルタとして使用すると、信頼性の高い高強度
フィルタとして極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における窒化ケイ素質セ
ラミックス多孔体の第1の製造方法を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態における窒化ケイ素質セ
ラミックス多孔体の第2の製造方法を示す図である。
【図3】本発明における核生成の制御概念を示す図であ
る。
【図4】本発明において成形体内にSiOガスを充満さ
せる方法を説明するための図である。
【図5】窒化ケイ素質セラミックス多孔体の概念構造を
示す図である。
【図6】従来例における核生成の制御概念を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 窒化ケイ素質セラミックス多孔体 2 窒化ケイ素粒子

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ケイ素粒子と酸化物系結合相とを有
    し、気孔率が30%以上の多孔体であって、 平均アスペクト比が5以上の柱状の前記窒化ケイ素粒子
    が3次元的に絡み合った構造を有し、前記酸化物系結合
    相として希土類元素の少なくとも1種を窒化ケイ素の成
    分量に対して酸化物換算で4重量%以上15重量%以下
    含み、平均細孔径が0.05μm未満である、窒化ケイ
    素質セラミックス多孔体。
  2. 【請求項2】 前記酸化物系結合相に含まれる希土類元
    素はイットリウムである、請求項1に記載の窒化ケイ素
    質セラミックス多孔体。
  3. 【請求項3】 気孔率が60%以下である、請求項1ま
    たは2に記載の窒化ケイ素質セラミックス多孔体。
  4. 【請求項4】 3点曲げ強度が200MPa以上であ
    る、請求項1〜3のいずれかに記載の窒化ケイ素質セラ
    ミックス多孔体。
  5. 【請求項5】 有効濾過径が0.01μm以下である請
    求項1〜4のいずれかの窒化ケイ素質セラミックス多孔
    体を用いた、窒化ケイ素質セラミックスフィルタ。
  6. 【請求項6】 窒化ケイ素粒子と酸化物系結合相とを有
    し、気孔率が30%以上の多孔体の製造方法であって、 窒化ケイ素粉末に希土類元素の少なくとも1種を窒化ケ
    イ素の成分量に対して酸化物換算で4重量%以上15重
    量%以下添加した混合粉末を、炭素を加えて成形する工
    程と、 前記成形により得られた成形体を、1200℃以上16
    00℃以下の温度で保持して予備加熱する工程と、 前記予備加熱後に、1650℃以上1900℃以下の温
    度で焼結する工程とを備えた、窒化ケイ素質セラミック
    ス多孔体の製造方法。
  7. 【請求項7】 窒化ケイ素粒子と酸化物系結合相とを有
    し、気孔率が30%以上の多孔体の製造方法であって、 窒化ケイ素粉末に希土類元素の少なくとも1種を窒化ケ
    イ素の成分量に対して酸化物換算で4重量%以上15重
    量%以下添加した混合粉末を成形する工程と、 前記成形により得られた成形体を、SiOを加えた雰囲
    気下で1650℃以上1850℃以下の温度で焼結する
    工程とを備えた、窒化ケイ素質セラミックス多孔体の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記酸化物系結合相は希土類元素の酸化
    物を含み、かつ前記希土類元素はイットリウムである、
    請求項6または7に記載の窒化ケイ素質セラミックス多
    孔体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016505491A (ja) * 2012-12-05 2016-02-25 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 改良された熱安定性を有する多孔質ムライト体
WO2022224759A1 (ja) * 2021-04-21 2022-10-27 住友化学株式会社 多孔質セラミックス焼結体の製造方法および多孔質セラミックス焼結体
WO2023162879A1 (ja) * 2022-02-28 2023-08-31 日本碍子株式会社 セラミックス基材、セラミックス支持体および分離膜複合体

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