JP2000335906A - 高純度チッ素の製造方法および発生装置 - Google Patents

高純度チッ素の製造方法および発生装置

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JP2000335906A
JP2000335906A JP11151325A JP15132599A JP2000335906A JP 2000335906 A JP2000335906 A JP 2000335906A JP 11151325 A JP11151325 A JP 11151325A JP 15132599 A JP15132599 A JP 15132599A JP 2000335906 A JP2000335906 A JP 2000335906A
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nitrogen
gas
discharge
zeolite
suboxide
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English (en)
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Gal Aakadi
ガル アーカディ
Masato Kurahashi
正人 倉橋
Masaki Kuzumoto
昌樹 葛本
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チッ素ガス中または液体チッ素中に含まれる
不純物酸素を除去し、高純度のチッ素ガスを安価に供給
する手段および装置を提供する。 【解決手段】 チッ素ガス中に含まれる不純物酸素を亜
酸化チッ素に転化し、この亜酸化チッ素を吸着除去する
ことによって、高純度チッ素を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チッ素ガス中また
は液体チッ素中に含まれる不純物酸素を除去し、高純度
のチッ素ガスを安価に供給する手段および装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高純度ガスを得る方法としては、たとえ
ば「ガス分離技術の新展開」(東レリサーチセンター調
査研究事業部編、東レリサーチセンター1990年発行、p
4)に記載されているように、表1に示す原料ガスの沸
点差で蒸留分離を行う深冷分離法がある。この方法を用
いた装置は大規模であり、ガスを圧縮冷却して液化さ
せ、沸点の違いを利用して蒸留法によってガスを分離す
るものである。
【0003】また、高純度アルゴンを得る場合、アルゴ
ンと酸素の沸点や分子径がきわめて近似しているため、
深冷分離法で高純度アルゴンを得るために複雑な装置と
過程が行われた。そのためより簡便な方法として、アル
ゴンに水素を添加し、アルゴン中の酸素を酸化触媒によ
り水とし、吸着除去する方法がTomitaら(United State
s Patent, 5,783,162, Jul.21, 1998)によって発明さ
れた。
【0004】一方、NOx、SOxを含む湿った原料空気
から、それらの不純物を除去する方法としてコロナ放電
によるNOx、SOxの酸化除去法がRzadら(米国特許第
4,650,555号)によって開示された。コロナ放電により
NOx、SOxは空気中の水と酸素により酸化され、HN
3とH2SO4を生成する。ここへNH3を注入し、NH
4NO3や(NH42SO4を生成する。これらは粒子状
の塩であるため電気集塵器により集塵し、原料空気の不
純物除去することが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】深冷分離法は、たとえ
ば「ガス分離技術の新展開」(東レリサーチセンター調
査研究事業部編、東レリサーチセンター1990年発行)p
283に記載の図11に示すように(この図は深冷分離
法、膜分離法、圧力変動吸着分離法それぞれの設備規模
(tons/day)を横軸に、高純度ガスのコストを縦軸にと
ってあらわしたものである)、小規模のプラントで高純
度ガスを必要とする時にはコストが高くなる問題点があ
った。なお、同図に示す深冷分離法が99%以上の純度
が得られるのに対し、膜分離法、圧力変動吸着分離法で
はコストは低いが、膜分離法では25〜40%の低純
度、圧力変動吸着分離法では80〜90%の中純度のも
のしか得られない。
【0006】本発明は、チッ素ガス中または液体チッ素
中に含まれる不純物酸素を除去し、高純度のチッ素ガス
を安価に供給する手段および装置を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかわる発明
は、チッ素ガス中に含まれる不純物酸素を亜酸化チッ素
に転化し、この亜酸化チッ素を吸着除去することを特徴
とする高純度チッ素の製造方法である。
【0008】請求項2にかかわる発明は、チッ素ガス中
に含まれる不純物酸素を亜酸化チッ素に転化する方法
が、1対の金属電極間に少なくとも一つの誘電体を挿入
した電極を用いて電極間に交流高電圧または方形波パル
スを印加することにより発生する放電を用い、その放電
条件を、放電場中に存在するガス分子密度n(1/cm
3)、放電空隙長d(cm)の積ndを1〜3×1017
(1/cm2)、放電場を通過するガスの滞留時間を1
-3〜10-2秒、放電電力をガス流量で除した分子1個
あたりに投入されるエネルギーを0.06〜0.15J
/Nccに設定することを特徴とする請求項1記載の高
純度チッ素の製造方法である。
【0009】請求項3にかかわる発明は、放電空間を液
体チッ素温度または液体空気温度で冷却することで、チ
ッ素ガス中の不純物酸素の亜酸化チッ素転化効率を増加
させる請求項2記載の高純度チッ素の製造方法である。
【0010】請求項4にかかわる発明は、亜酸化チッ素
を吸着除去する方法が10Å以下の分子を選択的に吸着
する合成ゼオライトであって、このゼオライトを液体チ
ッ素または液体空気で冷却することにより亜酸化チッ素
を吸着して高純度チッ素ガスを得、その後ゼオライトを
常温に戻すことにより亜酸化チッ素を脱着しゼオライト
を再生することを特徴とする請求項1または2記載の高
純度チッ素の製造方法である。
【0011】請求項5にかかわる発明は、高純度チッ素
ガスの原料が不純物酸素を含む安価な液体チッ素であっ
て、液体チッ素を貯蔵する容器内に、放電により不純物
酸素を亜酸化チッ素に転化させ、その亜酸化チッ素をゼ
オライトに吸着させて、放電により生ずる熱を液体チッ
素の気化熱として用い、容器内の液体チッ素によってゼ
オライトを冷却させることを特徴とする請求項4記載の
高純度チッ素の製造方法である。
【0012】請求項6にかかわる発明は、チッ素ガス中
に含まれる不純物酸素を亜酸化チッ素に転化する手段、
およびこの亜酸化チッ素を吸着除去する手段を有する高
純度チッ素の製造装置である。
【0013】請求項7にかかわる発明は、チッ素ガス中
に含まれる不純物酸素を亜酸化チッ素に転化する手段
が、1対の金属電極間に少なくとも一つの誘電体を挿入
した電極を用いて電極間に交流高電圧または方形波パル
スを印加することにより発生する放電であって、その放
電条件を放電場中に存在するガス分子密度n(1/cm
3)、放電空隙長d(cm)の積ndを1〜3×1017
(1/cm2)、放電場を通過するガスの滞留時間を1
-3〜10-2秒、放電電力をガス流量で除した分子1個
あたりに投入されるエネルギーを0.06〜0.15J
/Nccに設定することを特徴とする請求項6記載の高
純度チッ素の製造装置である。
【0014】請求項8にかかわる発明は、放電空間を液
体チッ素温度または液体空気温度で冷却する手段を有す
る請求項7記載の高純度チッ素の製造装置である。
【0015】請求項9にかかわる発明は、亜酸化チッ素
を吸着除去する手段が、10Å以下の分子を選択的に吸
着する合成ゼオライトであって、亜酸化チッ素を吸着し
高純度チッ素ガスを得るためにこのゼオライトを液体チ
ッ素もしくは液体空気で冷却する手段、亜酸化チッ素を
脱着するためにゼオライトを常温に戻しゼオライトを再
生する手段を有することを特徴とする請求項6または7
記載の高純度チッ素の製造装置である。
【0016】請求項10にかかわる発明は、高純度チッ
素ガスの原料が不純物酸素を含む安価な液体チッ素であ
って、液体チッ素を貯蔵する容器内に、放電により不純
物酸素を亜酸化チッ素に転化する放電部およびその亜酸
化チッ素を吸着するゼオライトを組み合わせた不純物ガ
ス処理ユニット、放電により生ずる熱を液体チッ素の気
化熱として、容器内の液体チッ素をゼオライトの冷却媒
体として用いる手段を有する請求項9記載の高純度チッ
素の製造装置である。
【0017】請求項11にかかわる発明は、高純度チッ
素ガスの原料が不純物酸素を含む安価な液体チッ素であ
って、液体チッ素を貯蔵する容器内に、放電により不純
物酸素を亜酸化チッ素に転化する放電部およびその亜酸
化チッ素を吸着するゼオライトを組み合わせた不純物ガ
ス処理ユニット、容器内に液体チッ素を出し入れするこ
とにより温度変化を付け吸脱着過程を繰り返し、この繰
り返し過程を複数個のガス処理ユニットが交互もしくは
順番に繰り返すことにより、連続的に高純度チッ素を得
る手段を有する請求項9記載の高純度チッ素の製造装置
である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の高純度チッ素製造方法お
よび製造装置は、原料ガスであるチッ素ガス中および液
化チッ素中の不純物酸素を効率良く亜酸化チッ素に変換
し、冷却した合成ゼオライトで亜酸化チッ素を吸着除去
し高純度チッ素を得ることができる。
【0019】亜酸化チッ素を吸着除去する吸着剤として
は、10Å以下の分子を選択的に吸着する合成ゼオライ
トであることが好ましい。このような合成ゼオライトと
してはタイプXがあげられる。タイプXとは、組成Na
2O・Al23・2.5SiO2・6H2Oであり、結晶
構造内に10Å以下の大きさのガス分子を入れ、吸着す
ることができる細孔をもつものである。この細孔のサイ
ズにより吸着するガスをその大きさでふるいわけするこ
とが可能である。また、ゼオライトは無極性分子を吸着
しにくく、極性分子を吸着しやすい性質がある。チッ素
や酸素は10Å以下の分子であるが、分子構造に極性が
ないために、ゼオライト内部に吸着しにくい。亜酸化チ
ッ素は極性分子であるためにゼオライトに吸着しやすい
性質がある。この点で、好ましく使用できる。
【0020】実施の形態1 図1は本発明の高純度チッ素発生装置の一例である。図
中に示す真空断熱容器内および放電処理内部の詳細図を
図2および図3に示す。図1中、1は液体チッ素貯蔵容
器、2は10ppm程度の不純物酸素を含む液体チッ
素、3は高電圧電源、4はマスフローコントローラー、
5は不純物ガス処理ユニット、6は5と同様のガス処理
ユニット、8はバルブである。5のガス処理ユニットの
詳細図を図2に示す。図中、7はフィルター、9は放電
処理ユニット、10は真空断熱容器である。また、9の
放電処理ユニットの詳細図を図3に示す。図中、11は
フィルター、12は電極押さえるための金属弾性体、1
3は絶縁板、14は金属高圧電極、15は導電層、16
は誘電体、17は放射状金属スペーサ、18は給電線、
19はゼオライト吸着剤、20はガスケットである。
【0021】低温プロセスにより製造した10ppm程
度の酸素不純物を含むチッ素は、液体チッ素保存タンク
に貯えられる。不純物酸素を含んだ液体チッ素を図1の
5に示すガス処理ユニットに供給する。次に液体チッ素
を蒸発させてN2ガスを取り出す過程で、不純物酸素を
亜酸化チッ素に転化させ、液体チッ素により冷却された
ゼオライトに吸着させて高純度チッ素を供給する。不純
物酸素除去処理中に液体チッ素の充填されていないガス
処理ユニットでは、ゼオライトの再生が行われる。この
プロセスでは液体チッ素貯蔵容器は従来のものと同様に
金属製真空容器として設計することができ、チッ素の蒸
発量は1日当たり1%に抑制することができる。
【0022】液体チッ素貯蔵タンクの液体チッ素はガス
処理ユニットに一定量になるように供給される。このガ
ス処理ユニット内には放電処理、吸着剤であるゼオライ
トからなる単位セルが複数個並べられている。単位セル
の構造を図3に示す。この単位セルは無声放電を発生さ
せる金属電極、誘電体、放射状金属スペーサおよびゼオ
ライト粒子の分散を防ぐフィルタと出口ガス用配管にゼ
オライトペレットを付着させている。さらに、ゼオライ
トは周囲の液体チッ素によって冷却される。放電処理に
より生じた熱により周囲の液体チッ素は気化され、この
熱により気化したチッ素ガスの一部はチッ素の液滴が内
部に入り込まないように、フィルタ7を通して、下方の
処理部に導かれ、マスフローコントローラーを通して高
純度チッ素ガスとして供給される。放電エネルギーは周
辺液体チッ素の気化に用いられるので、装置内の温度は
安定している。各放電ユニットでは無声放電によって不
純物酸素より転化した亜酸化チッ素が生成し、亜酸化チ
ッ素はゼオライトによって吸着除去される。また、高純
度チッ素生成用に使われる以外のガスは、図1中に示す
処理ユニット6において、ゼオライト再生用パージガス
として用いられる。また、ゼオライトのかわりに活性炭
を使用することも可能である。
【0023】本発明において最適であると考えられる電
極間を通過するガス滞留時間を説明する。
【0024】図2は、チッ素酸素中に酸素不純物が存在
する時の無声放電によるN2Oへの転化率の実験結果を
酸素不純物濃度を横軸に、転化された亜酸化チッ素濃度
を縦軸にして表したものである。無声放電において生成
した加速電子(〜1eV)が化学反応を開始する。常圧非
平衡プラズマによるチッ素ガス処理を行うために図5に
示す反応器を使用した。放射状をした金属製スペーサ
は、誘電体電極と水冷された接地電極の間に挿入されて
いる。電極間隔はスペーサの厚みを変えることにより調
整ができる。ドーナツ状導電層を持つ誘電体電極は、処
理ガスの滞留時間を減少させる(0.012秒→0.0
005秒)ために用いられる。電源周波数は10kHz
であり、放電処理後のガス分析はフーリエ変換赤外線吸
光光度計(FT−IR)を用いて測定を行った。
【0025】図5に示す反応器を用いて99.99%チ
ッ素標準ガスを放電場の圧力Pを1.3atm、流量5
NL/分、投入電力25Wの条件で処理したところN2
Oの生成が観測された。この場合の放電面積は200c
2、電極間空隙長は0.005cmとした。ここでチ
ッ素ガス中に含まれる不純物酸素が亜酸化チッ素に転化
したものと考えられる。亜酸化チッ素の酸素源がチッ素
ガス中に含まれる不純物酸素であることを確認するため
に、99.99%標準チッ素ガスに、620ppm一酸
化チッ素を含む99.999%標準チッ素ガスを混入し
て不純物酸素濃度を変化させた。放電初期段階において
は、以下に示す一連の反応によって一酸化チッ素分子は
チッ素ラジカルと作用して酸素分子に転化される。
【0026】 e + N2 → e + N + N N + NO → N2 + O O + O + M → O2 + M (eは電子、Mは第3体物質N2、O2などの気体分子や
壁面である。)不純物としての酸素量は、初期一酸化チ
ッ素濃度によって制御できる。本実験では初期一酸化チ
ッ素濃度をFT−IRによって測定した。99.99%
標準ガスボンベ中には約50ppmの酸素が含まれてい
ることを考慮すると、図4に示すように、導入した不純
物酸素源と生成した亜酸化チッ素の間には安定した比例
関係が見られた。
【0027】99.99%標準チッ素ガスを用いて、酸
素分子から亜酸化チッ素への転化率を滞留時間に関して
調べた。放電電力をガス流量で除した比エネルギー[J
/Ncc](ここでNccは0℃、1atmの標準状態
でのガスの体積を表す)は、0.15J/Ncc一定と
した。図6に示すように滞留時間の増加に伴い酸素分子
から亜酸化チッ素への転化率が増加した。滞留時間は装
置のサイズやガス流量に関係する。放電空間において放
電空隙長dと放電面積S[cm2]、そこを通過するガス
流量F[cm3/秒]を考慮し、ガス滞留時間Rt[秒]を
もとめると、 Rt = Sd/F である。dは放電条件nd=1〜3×10-7であること
から、この装置の現実的な運転は1気圧程度(n=2.
6×1019 1/cm3)で運転するため、d=4〜10
×10-3cmとなる。このためガス流量Fを増加させる
と、放電面積Sが増加する傾向にあり、例えばF=1.
6×103、Rt=1.2×10-1、d=5×10-3
するとS=40000cm2となる。この例が示すとお
り、Sが大きくなり電極材料使用量=初期コストが増加
し、装置のコンパクト化にもつながらない。またSの増
加にともない圧損も増加することがあり、圧損のためブ
ロアーなどのランニングコストも増加する。そのため、
Rtの増加と経済性の間には最適点が存在する。本発明
において電極の製造単価、dを保持するための加工精度
の観点から10-3〜10-2を現実的なRtであるとし
た。しかし、ガス流量がきわめて小さい場合、たとえば
実験室レベルにおいて本発明による高純度チッ素を0.
1NL/分発生させる場合は、0.15J/Nccの比
エネルギーで、S=40cm2必要となる。この面積で
は、電極加工精度や圧損もそれほど問題にならないた
め、Rt=1.2×10-1の条件で運転することが可能
である。
【0028】次に本発明における最適なndを説明す
る。亜酸化チッ素は以下の反応機構により生成する。
【0029】
【数1】
【0030】ここでN2(A)は励起されたチッ素分子を表
し、以下の反応により分解する。
【0031】N2(A) + N2O → N2 + N2 + O 一方で酸素原子ラジカルはは再結合して酸素分子にな
る。
【0032】O + O + M → O2 + M 亜酸化チッ素生成過程での酸素分子生成に関して、酸素
原子ラジカルの壁失活過程は、常圧付近でチッ素分子密
度n[1/cm3]と放電空隙長dの積ndが1017を満
たすような非常に電極間隔が狭い条件では支配的にな
る。このようなnd値を満たすことで、放電により解離
された酸素原子またはNOから解離された酸素原子が酸
素分子に戻ることが容易になり、亜酸化チッ素生成効率
が増加する。
【0033】3番目に液体チッ素または液化空気程度の
温度で冷却することで亜酸化チッ素転化効率が増加する
ことを説明する。三体反応の共通の特徴として、温度低
下に伴う反応速度増加があげられる。一般的には、κ∝
- nの関係があり、例として、 NO + OH + M → HNO2 + M κ=7.4×10- 31(300/T)2 (κは反応速度定
数) NO2 + OH + M → HNO3 + M κ=2.6×10- 30(300/T)2 があげられる。よって、室温での酸素分子から亜酸化チ
ッ素への転化効率が図6から10%程度であったのに対
して、100Kにおいては転化率が50%程度になる結
果が得られた。
【0034】次に放電処理によって生成した亜酸化チッ
素をチッ素ガスから分離できることを確認するために、
以下ような吸着実験を行った。最初に99.99%標準
チッ素ガスをゼオライトタイプX(組成Na2O・Al2
3・2.5SiO2・6H2O)0.2gを封入した金属
管に、ガス流量0.4NL/分で通過させた。通過後ガ
ス中の不純物酸素をガスクロマトグラフ質量分析計(G
C−MS)によって検出した。次に、金属パイプを液体
チッ素に浸漬してゼオライトを冷却してガス中の不純物
酸素量を測定したところ酸素量は同じであった。また、
常温において、ゼオライト前後での不純物酸素量は変化
しておらず、2.5%の不純物酸素を含んだ場合におい
ても同様の結果が得られた。以上の結果より吸着により
合成ゼオライトタイプXで不純物酸素を除去することは
困難であることが示された。
【0035】続いてチッ素標準ガスの変わりに亜酸化チ
ッ素100ppm含有のチッ素ガスを用いて、FT−I
R測定用容器(容積8L)に試料ガスを徐々に導入し
た。FT−IR測定用容器にガスを1気圧になるまで導
入する過程で亜酸化チッ素のFT−IRによる吸収を連
続的に測定した。図7をみてわかるように、合成ゼオラ
イトタイプXを冷却しない場合には、吸着分離による亜
酸化チッ素濃度の減少は検出されず、FT−IR測定容
器に1気圧まで封入した後の亜酸化チッ素吸光度は10
0ppmに対応している。一方、合成ゼオライトを液体
チッ素冷却したところ、50%以上の亜酸化チッ素が
0.2gの合成ゼオライトタイプXに吸着され吸光度は
減少した。
【0036】以上の結果より、チッ素中の不純物酸素
は、投入比エネルギ―0.1J/Ncc程度、滞留時間
0.01秒程度、電極間隔はndが1017程度の条件を
満たす無声放電で効率良く亜酸化チッ素分子に転化さ
れ、転化された亜酸化チッ素分子は液体チッ素冷却した
ゼオライトタイプXによって選択的に分離除去できるこ
とが実験的に示された。さらに、常温では亜酸化チッ素
分子がゼオライトに吸着しないことが見出されたことか
ら亜酸化チッ素が吸着したゼオライトタイプXに常温空
気をパージガスとして流すことにより亜酸化チッ素が脱
着し、ゼオライトの再生を容易に行うことができる。
【0037】図1に示す設備の稼働能力を確認するた
め、具体的な設備性能を評価した。
【0038】放電処理部とゼオライト吸着部からなるガ
ス処理ユニットを10セット設置した場合につき評価す
る。この1つのガス処理ユニットの放電部のガス滞留時
間は0.012秒、投入比電力は0.06J/Ncc
(処理流量83Ncc/秒、放電投入電力5W)とす
る。液体チッ素の気化熱が約200J/g、10セット
の放電投入電力が50Wであることから、毎秒200N
ccの速度でチッ素が気化すると推算できる。内83N
cc/秒は処理部へ導入され、残り117Ncc/秒は
ゼオライト再生プロセスで用いられる。低温における金
属の熱伝導率は、たとえばアルミニウム(150K)の場
合、2.48W/(cm K)であり、放電電極と液体チ
ッ素の温度差は0.1K程度と推算できる。また、前に
述べたように液体チッ素のような極低温では不純物酸素
の亜酸化チッ素への転化率が向上する。また、図7に示
した実験結果と、図4における不純物酸素から転化され
る亜酸化チッ素量の関係から、1セットのガス処理ユニ
ットでは不純物酸素の内7.5%が亜酸化チッ素に転化
されているものと思われる。よって原料となる液体チッ
素中に不純物酸素が10ppm含有されている場合、充
分なゼオライトがあれば、10セットのガス処理ユニッ
トによって不純物酸素濃度は4.6ppmまで低減され
る。通常の状態(圧力1atm、粘度17.569×1
-6Pa・S、密度1.25kg/m3)より、この放電
処理ユニットの動作条件における圧力、密度は1.3a
tm、3.7kg/m3と高くなっているが、粘度は
5.59×10-6Pa・s小さいので、処理部全体で生
じる圧力損失は1Torr以下であると見積もることが
できる。マスフローコントローラーは装置出口のガス流
量を安定に制御することが可能である(ゼオライト生成
パージ用117Ncc/秒、高純度チッ素生成用83N
cc/秒)。
【0039】チッ素ガス浄化プロセスを制御するため
に、ゼオライト再生側の放電ガス処理ユニットの出口に
FT−IRのような赤外線の全波長を測定するような赤
外線吸収光度計もしくは亜酸化チッ素の吸収帯に波長を
絞った赤外検出器を取り付けることによって亜酸化チッ
素転化量を測定し、所望の酸素濃度を含有する高純度チ
ッ素ガスを得ることができる。
【0040】実施の形態2 図8に本発明の実施の形態の一例を示す。この装置は液
体空気から高純度チッ素を製造する装置であり、容器内
に細孔の空いたトレイと、容器内部には図3に示す放電
による不純物酸素を亜酸化チッ素に転化する部分と転化
した亜酸化チッ素をゼオライトに吸着する部分からなる
ガス処理ユニットを備えたものである。この装置では、
容器底部に貯蔵した液体チッ素を放電により発生した外
部へ伝熱して行くエネルギーまたは装置に取り付けた熱
交換器による外気と内部の熱交換で気化する。気化した
空気中の低温チッ素ガスの一部はトレイと衝突し液滴化
し、さらにこの液滴が酸素ガスと衝突することにより酸
素ガスを凝縮する。このトレイを複数段通過させ、酸素
を数十ppmレベルまで除去する。この数十ppmレベ
ルの不純物酸素を含むチッ素ガスを放電部に通過させ不
純物酸素を放電処理ユニットで亜酸化チッ素に転化し、
液体空気で冷却された合成ゼオライトタイプXに吸着除
去し、高純度チッ素を製造することができる。
【0041】実施の形態3 図10に本発明の実施例の一例を示す。従来の深冷却分
離法を用いたチッ素ガス製造装置に図8に示すガス処理
ユニットを挿入することにより、従来より低運転コスト
で高純度ガスを得ることができる。
【0042】
【発明の効果】前述したとおり、本発明の請求項1およ
び6にかかわる発明によれば、チッ素中における不純物
酸素を高効率で亜酸化チッ素に転化し、吸着除去するこ
とによって、高純度チッ素を安価に高効率で得ることが
可能となる。
【0043】請求項2および7にかかわる発明によれ
ば、特定条件で放電を行うため、不純物酸素を効率よく
亜酸化チッ素に転化でき、高純度チッ素を安価に高効率
で得ることが可能となる。
【0044】請求項3〜5および請求項8〜11にかか
わる発明によれば、合成ゼオライトを冷却して使用する
ために、放電により生成した亜酸化チッ素を効率よく除
去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す装置構成の説明
図である。
【図2】 本発明の一実施の形態を示す装置構成の説明
図である。
【図3】 本発明の一実施の形態を示す装置構成の説明
図である。
【図4】 本発明の実施の形態を説明するために行った
実験結果図である。
【図5】 本発明の実施の形態を説明するために行った
実験概略図である。
【図6】 本発明の実施の形態を説明するために行った
実験結果図である。
【図7】 本発明の実施の形態を説明するために行った
実験結果図である。
【図8】 本発明の一実施の形態を示す装置構成の説明
図である。
【図9】 酸素がチッ素液滴に吸着される様子を示す説
明図である。
【図10】 本発明の一実施の形態を示す装置構成の説
明図である。
【図11】 従来の方法のコスト比較図である。
【符号の簡単な説明】
1 液体チッ素貯蔵容器、2 不純物酸素を含んだ原料
液体チッ素、3 電源、4 マスフローコントローラ
ー、5 ガス処理ユニット、6 再生ユニット、7 フ
ィルター、8 バルブ、9 放電処理ユニット、10
真空断熱容器、11 フィルター、12 金属弾性体、
13 絶縁板、14 金属電極、15導電層、16 誘
電体、17 放射状金属スペーサ、18 給電線、19
合成ゼオライト(タイプX)、20 金属パッキン、
21 圧力容器、22 ガス供給口、23 水冷式金属
電極、24 ガス排出管、25 ガス処理ユニット、2
6 細孔の空いたトレイ、27 液体空気、28 圧縮
機、29 熱交換器、30 凝縮器、31 チッ素液
滴、32 チッ素、33 酸素。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 葛本 昌樹 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 4G066 AA61A AA61B CA37 DA05 EA09 FA33 FA38 FA39 FA40 GA32

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チッ素ガス中に含まれる不純物酸素を亜
    酸化チッ素に転化し、この亜酸化チッ素を吸着除去する
    ことを特徴とする高純度チッ素の製造方法。
  2. 【請求項2】 チッ素ガス中に含まれる不純物酸素を亜
    酸化チッ素に転化する方法が、1対の金属電極間に少な
    くとも一つの誘電体を挿入した電極を用いて電極間に交
    流高電圧または方形波パルスを印加することにより発生
    する放電を用い、その放電条件を、放電場中に存在する
    ガス分子密度n(1/cm3)、放電空隙長d(cm)
    の積ndを1〜3×1017(1/cm2)、放電場を通
    過するガスの滞留時間を10-3〜10-2秒、放電電力を
    ガス流量で除した分子1個あたりに投入されるエネルギ
    ーを0.06〜0.15J/Nccに設定することを特
    徴とする請求項1記載の高純度チッ素の製造方法。
  3. 【請求項3】 放電空間を液体チッ素温度または液体空
    気温度で冷却することで、チッ素ガス中の不純物酸素の
    亜酸化チッ素転化効率を増加させる請求項2記載の高純
    度チッ素の製造方法。
  4. 【請求項4】 亜酸化チッ素を吸着除去する方法が10
    Å以下の分子を選択的に吸着する合成ゼオライトであっ
    て、このゼオライトを液体チッ素または液体空気で冷却
    することにより亜酸化チッ素を吸着して高純度チッ素ガ
    スを得、その後ゼオライトを常温に戻すことにより亜酸
    化チッ素を脱着し、ゼオライトを再生することを特徴と
    する請求項1または2記載の高純度チッ素の製造方法。
  5. 【請求項5】 高純度チッ素ガスの原料が不純物酸素を
    含む安価な液体チッ素であって、液体チッ素を貯蔵する
    容器内に放電により不純物酸素を亜酸化チッ素に転化さ
    せ、その亜酸化チッ素をゼオライトに吸着させて、放電
    により生ずる熱を液体チッ素の気化熱として用い、容器
    内の液体チッ素によってゼオライトを冷却させることを
    特徴とする請求項4記載の高純度チッ素の製造方法。
  6. 【請求項6】 チッ素ガス中に含まれる不純物酸素を亜
    酸化チッ素に転化する手段、およびこの亜酸化チッ素を
    吸着除去する手段を有する高純度チッ素の製造装置。
  7. 【請求項7】 チッ素ガス中に含まれる不純物酸素を亜
    酸化チッ素に転化する手段が、1対の金属電極間に少な
    くとも一つの誘電体を挿入した電極を用いて電極間に交
    流高電圧または方形波パルスを印加することにより発生
    する放電であって、その放電条件を放電場中に存在する
    ガス分子密度n(1/cm3)、放電空隙長d(cm)
    の積ndを1〜3×1017(1/cm2)、放電場を通
    過するガスの滞留時間を10-3〜10-2秒、放電電力を
    ガス流量で除した分子1個あたりに投入されるエネルギ
    ーを0.06〜0.15J/Nccに設定することを特
    徴とする請求項6記載の高純度チッ素の製造装置。
  8. 【請求項8】 放電空間を液体チッ素温度または液体空
    気温度で冷却する手段を有する請求項7記載の高純度チ
    ッ素の製造装置。
  9. 【請求項9】 亜酸化チッ素を吸着除去する手段が、1
    0Å以下の分子を選択的に吸着する合成ゼオライトであ
    って、亜酸化チッ素を吸着し高純度チッ素ガスを得るた
    めにこのゼオライトを液体チッ素もしくは液体空気で冷
    却する手段、亜酸化チッ素を脱着するためにゼオライト
    を常温に戻しゼオライトを再生する手段を有することを
    特徴とする請求項6または7記載の高純度チッ素の製造
    装置。
  10. 【請求項10】 高純度チッ素ガスの原料が不純物酸素
    を含む安価な液体チッ素であって、液体チッ素を貯蔵す
    る容器内に、放電により不純物酸素を亜酸化チッ素に転
    化する放電部およびその亜酸化チッ素を吸着するゼオラ
    イトを組み合わせた不純物ガス処理ユニット、放電によ
    り生ずる熱を液体チッ素の気化熱として、容器内の液体
    チッ素をゼオライトの冷却媒体として用いる手段を有す
    る請求項9記載の高純度チッ素の製造装置。
  11. 【請求項11】 高純度チッ素ガスの原料が不純物酸素
    を含む安価な液体チッ素であって、液体チッ素を貯蔵す
    る容器内に、放電により不純物酸素を亜酸化チッ素に転
    化する放電部およびその亜酸化チッ素を吸着するゼオラ
    イトを組み合わせた不純物ガス処理ユニット、容器内に
    液体チッ素を出し入れすることにより温度変化を付け吸
    脱着過程を繰り返し、この繰り返し過程を複数個のガス
    処理ユニットが交互もしくは順番に繰り返すことによ
    り、連続的に高純度チッ素を得る手段を有する請求項9
    記載の高純度チッ素の製造装置。
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