JP2000335657A - 密閉体の内部圧力コントロール構造 - Google Patents

密閉体の内部圧力コントロール構造

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JP2000335657A
JP2000335657A JP11154288A JP15428899A JP2000335657A JP 2000335657 A JP2000335657 A JP 2000335657A JP 11154288 A JP11154288 A JP 11154288A JP 15428899 A JP15428899 A JP 15428899A JP 2000335657 A JP2000335657 A JP 2000335657A
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package
film
slit
internal pressure
view
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JP11154288A
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Yoshio Oyama
義夫 大山
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IROHA KK
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IROHA KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 調理パッケージのような密閉体の内部圧力が
増大したとき、その圧力を徐々に解放することができ
る、密閉体の内部圧力コントロール構造を提供するこ
と。 【解決手段】 密閉体である調理パッケージ10は、上
側シート20と下側シート30からなる。上側シート
(複合シート)20は、上層フィルム22と下層フィル
ム24がラミネート接着剤40で接着された2層構造に
なっており、上層フィルム22には上層スリット220
が、下層フィルム24には下層スリット240が形成さ
れている。加熱によってパッケージ10の内部圧力が上
昇すると、引張力によって、下層フィルム24の下層ス
リット240に開口240Hが形成され、さらに圧力が
かかると、上層フィルム22の上層スリット220にも
開口220Hが形成され、これらの開口220H,24
0Hによって外部につながる通路ができ、内部圧力が逃
がされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部に飲食品等が
封入された密閉体の内部圧力コントロール、特に、電子
レンジの加熱機能を利用して飲食品の調理をすることが
できる電子レンジ用飲食品調理パッケージの内部圧力コ
ントロールの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来から、パッケージ内部に冷凍食品や
加工食品等の飲食品を密閉保存しておき、必要に応じて
パッケージのまま電子レンジで加熱調理することができ
る、電子レンジ調理用のパッケージがある。内部に食品
を封入したパッケージを電子レンジで加熱すると、食品
に含まれた水分等が蒸発したり、パッケージ内部の空気
が膨張したりして内部圧力が次第に上昇するためパッケ
ージが膨張し、最終的には爆発することもある。そのた
め、電子レンジ調理用パッケージは、内部圧力を逃が
し、且つ、コントロールするための手段を具えていなけ
ればならない。
【0003】そこで、従来から、耐熱性プラスチック等
のシートを熱融着して袋状に形成し、この袋の少なくと
も1箇所に低融点シールを設けたパッケージがある。低
融点シール部分の融着強度は他の融着部分よりも弱いた
め、このパッケージが電子レンジで加熱されて内部圧力
が上昇すると、低融点シールが剥がれて外部と連通し、
パッケージ内の圧力を逃がすようになっている。
【0004】さらに、上記のように低融点シールを設け
る代わりに、パッケージの適当な位置に適当な大きさの
貫通孔を形成し、この貫通孔でパッケージの内部圧力を
コントロールするものがある。このパッケージの貫通孔
は、出荷・搬送時にはシールやカバーで覆われており、
調理の際にはシールやカバーを剥がしてから電子レンジ
で加熱するようになっている。
【0005】なお、従来の電子レンジ用調理パッケージ
としては、上記袋状のものの他にも、耐熱性容器に食品
を入れ、容器の開口をシートで覆ったものもある。この
場合も、容器の開口を覆うシートに低融点シールを設け
たり、貫通孔を形成したりして、内部圧力を逃がし、且
つ、コントロールするようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、低融点シール
を具えた電子レンジ用調理パッケージでは、搬送・保存
時にパッケージが積み重ねられた場合でも、自重によっ
て低融点シールが剥がれないよう、低融点シール部分に
は十分な接着強度がなければならない。そのため、パッ
ケージが加熱されて内部圧力が上昇し、低融点シールが
剥がれるときにはかなりの衝撃を伴い、場合によっては
パッケージが大きく振動して、内部の食品がこぼれるこ
とがあるという問題を有する。また、低融点シールが剥
がれる前後において、パッケージの内部圧力が大きく変
化するため、内容物が損傷する恐れもある。
【0007】一方、貫通孔が形成された電子レンジ用調
理パッケージは、シートに貫通孔を形成しなければなら
ず、加工に手間がかかるという問題を有する。また、加
工ミスによって、適切な大きさの貫通孔が適切な場所に
形成されていないものが商品として出荷されてしまう
と、加熱した際にパッケージが爆発する等の危険を伴う
ことになる。そのため、実際の孔開け加工は、製造ライ
ンを停止させた状態で慎重に行なわなくてはならず、生
産性が悪いという問題を有する。さらに、シートに貫通
孔を開けた際に、切り抜いた破片がパッケージ内部に混
入していないかチェックする必要があり、品質管理のた
めの設備費が嵩むという問題を有する。また、調理の際
にシールを剥がし忘れると、加熱によってパッケージが
爆発する恐れもある。
【0008】貫通孔が形成された電子レンジ用調理パッ
ケージでは、使用中の安全性を確保するためには貫通孔
を大きくしなければならないが、大きな貫通孔があると
調理中に内部圧力を適切に保持することが困難である。
【0009】また、従来の低融点シールを具えたパッケ
ージ、及び貫通孔が形成されたパッケージでは、搬送・
保存時に低融点シール部分や貫通孔を覆うシールやカバ
ーが損傷して、圧力コントロール機能を果たさなくなる
こともある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1に、内部
に飲食品等が封入される密閉体において、上層フィルム
と下層フィルムとが接合された複合シートからなり、前
記上層フィルムと前記下層フィルムにそれぞれスリット
が形成され、内部圧力が増大したとき前記両スリットが
開口連通することにより圧力解放機能を果たすことを特
徴とする密閉体の内部圧力コントロール構造によって、
第2に、内部に飲食品等が封入される密閉体において、
プラスチックフィルムからなるベースフィルムと、プラ
スチックフィルムからなるシールからなり、前記ベース
フィルムと前記シールにスリットが形成され、前記ベー
スフィルムのスリットを覆うように前記シールが接合さ
れ、内部圧力が増大したとき前記両スリットが開口連通
することにより圧力解放機能を果たすことを特徴とする
密閉体の内部圧力コントロール構造によって、前記の課
題を解決した。
【0011】
【作用】本発明では、上層フィルムと下層フィルム、又
はベースフィルムとシールにそれぞれスリットを形成
し、これらを接合した構成を採用したので、密閉体の内
部圧力が上昇すると、始めに下層フィルム、又はベース
フィルムのスリットが開き、次いで上層フィルム、又は
シールのスリットが開いて、密閉体の内部と外部をつな
ぐ通路ができることにより、密閉体の内部圧力がコント
ロールされる。しかも、密閉体の内外を連通させる通路
の開口面積は一定ではなく、状況に応じて変動するもの
となる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施形態に
よる密閉体である調理パッケージ10を示し、図1
(a)は平面図、図1(b)は、図1(a)のb−b線
拡大断面図であり、後述する上側シート及び下側シート
の断面図に相当する。図1に示すように、この実施形態
の調理パッケージ10は、上側シート20と下側シート
30を重ね合わせ、三方を熱融着して平袋状に形成した
ものであり、図1(a)中のHは熱融着部分を示す。ま
た、このパッケージ10を構成する上側シート20及び
下側シート30は、耐熱性プラスチック等からなる2枚
のフィルムを積層し、ラミネート接着剤40で接合させ
たものである(図1(b)参照)。
【0013】図2は、上側シート(複合シート)20を
構成する2枚のフィルム22,24を示し、図2(a)
は上層フィルム22の平面図、図2(b)は下層フィル
ム24の平面図である。また、図3は、図2の上層フィ
ルム22と下層フィルム24を積層し、ラミネート接着
して形成した上側シート20を示し、図3(a)は平面
図、図3(b)は図3(a)のb−b線断面図である。
なお、下側シート30は、上層フィルム32及び下層フ
ィルム34をラミネート接着剤40で接着したものであ
る点で、上側シートと同様の構成になっている(図1
(b)参照)。
【0014】上側シート20の上層フィルム22及び下
層フィルム24には、それぞれ直線状のスリット22
0,240が形成されており、これらのフィルム22,
24を積層してラミネート接着剤40で接着したとき、
上層スリット220と下層スリット240は、互いに平
行で、且つ、重なり合わないようになっている。また、
上層フィルム22及び下層フィルム24に形成されたス
リット220,240の位置関係、及びスリット22
0,240の長さは、両フィルム22,24の接着強度
や利用目的によって変更することができる。なお、図3
(a)では、上層スリット220を実線で、下層スリッ
ト240を破線で示した。また、図では説明の便宜上、
スリット220,240の幅を強調して描いているが、
実際のスリット220,240の幅はかなり狭く、パッ
ケージ10に内部圧力が掛かっていない状態では、スリ
ット220,240にはほとんど隙間がない。図1
(b)及び図3(b)に示す上側シート20及び下側シ
ート30の断面図では、ラミネート接着剤40の厚みは
誇張して描かれており、実際にはラミネート接着剤40
の厚みは、上層フィルム22,32と下層フィルム2
4,34の厚さに比較してかなり薄いものである。
【0015】図4は、上記構成の調理パッケージ10内
に食品50を封入したものの断面図である。この調理パ
ッケージ10において、上側シート20及び下側シート
30を構成する上層フィルム22,32としては、厚さ
0.015mmのポリエステルフィルムを、下層フィル
ム24,34としては、厚さ0.05mmのポリプロピ
レンフィルムを使用した。上側シート20の上層フィル
ム22及び下層フィルム24には、それぞれ長さ約20
mmの直線状のスリット220,240が形成されてお
り、両フィルム22,24を積層したものを正面から見
ると、上層スリット220と下層スリット240は約1
mmの間隔で隣り合い、且つ、重なり合わないようにな
っている(図1(a)、図3(a)参照)。また、上層
スリット220と下層スリット240は、上側シート2
0のほぼ中央部分に形成されている。
【0016】なお、上層フィルム22,32及び下層フ
ィルム24,34としては、互いに積層してラミネート
接着することができるものであって、且つ、ヒートシー
ル等によって、パッケージやボックス等の密封容器を形
成することができるものであれば、上記の他にもナイロ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレ
ン等の樹脂材料を使用することができる。
【0017】また、上記の上側シート20及び下側シー
ト30において、上層フィルム22,32と下層フィル
ム24,34を接合する方法には、ウエットラミネート
法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、
押出ラミネート法等、周知のラミネート方法を利用する
ことができる。さらに、上側シート20を構成する上層
フィルム22及び下層フィルム24は、熱による膨張率
や収縮率等の性質が異なるプラスチック等でそれぞれ形
成されていると好適である。例えば、下層フィルム24
としては、加熱されると伸び易くなるが、温度が100
℃を越えると収縮するようなもの、上層フィルム22と
しては、加熱によってほとんど性質が変化しないもの等
が適している。しかし、本発明の調理パッケージ10
は、内部圧力の上昇によって圧力コントロール機能を果
たすものであるため、上側シート20を構成する上層フ
ィルム22と下層フィルム24が同じ性質のものであっ
てもよいことは言うまでもない。
【0018】図4の調理パッケージ10は、上記構成の
上側シート20と下側シート30とを重ね合わせ、三方
を10mmの幅で熱融着させて形成した幅150mm、
長さ210mmの平袋内に調理済みのカレーを封入し、
残りの1辺を熱融着させて密閉したものである。
【0019】このパッケージ10を高周波出力500W
の電子レンジに入れてタイマーを1分40秒にセットし
てスイッチを入れた。加熱開始から約1分経過後から次
第にカレーの含有水分が蒸発し始めてパッケージ10の
膨張が確認され、パッケージ内の温度は100℃にな
り、加熱開始から1分20秒後にはパッケージ10内の
圧力は約1.5kg/cm2、温度110℃まで上昇
し、パッケージ10は大きく膨れ上がった。
【0020】図5乃至図7は、図4の調理パッケージ1
0において、上側シート20による圧力コントロール機
能を示すための説明図であり、図5(a),図6
(a),図7(a)は上側シート20の断面図、図5
(b),図6(b),図7(b)は上側シート20の平
面図である。なお、図5(b),図6(b),図7
(b)では、上側シート20の上層スリット220を実
線で、下層スリット240を破線で示した。
【0021】本発明の調理パッケージ10が電子レンジ
で加熱されてパッケージ10の内部圧力が上昇すると、
パッケージ10が膨張して上側シート20及び下側シー
ト30には図中の矢印方向の引張力が掛かるようになる
が、上側シート20は下層スリット240部分において
その断面形状が変化しているため、両シート20,30
に掛かる応力は、上側シート20の下層スリット240
部分に集中する(切欠効果)。また、加熱されてパッケ
ージ10の温度が上昇するにつれて、下層フィルム24
は伸びたり収縮したりするため、下層フィルム24に接
するラミネート接着剤40は次第に薄くなったり、下層
フィルム24とラミネート接着剤40とが剥離しやすく
なったりしている。その結果、上側シート20の下層フ
ィルム24は、図5に示すように下層スリット240部
分から左右方向に開いて開口240Hを生じるようにな
る。
【0022】さらに加熱が進んで引張力が大きくなり、
下層スリット240部分がさらに大きく開くと、ラミネ
ート接着剤40が引き伸ばされて亀裂が生じ、下層フィ
ルム24の開口中240Hに上層スリット220部分が
現われるようになるため(図6参照。)、上層スリット
220部分にパッケージ10の内部圧力及び引張力等の
応力が集中して、この部分において上層フィルム22が
左右方向に開いて開口220Hが形成され、パッケージ
10内部が外部と連通し(図7参照。)、パッケージ1
0内の水蒸気が外部に逃がされる。下側シート30を構
成する上層フィルム32及び下層フィルム34にはスリ
ットが形成されていないので、上側シート20のような
開口は生じない。
【0023】上記の引張力は、パッケージ10の内部圧
力に起因しているため、内部圧力がさらに上昇すると、
上側シート20の上層スリット220及び下層スリット
240の開口220H,240Hはさらに大きくなり、
より多くの水蒸気が外部に放出される。
【0024】その後、パッケージ10内は設定圧力であ
る約1.3kg/cm2、温度106℃に保たれ、約2
0秒後に調理は終了した。上記の調理進行中、上側シー
ト20には上層スリット220及び下層スリット240
によって開口220H,240Hが生じたため、パッケ
ージ10が膨張して破れることはなく、加熱開始から1
分40秒という短時間でパッケージ10内のカレーを効
率よく加熱調理することができた。
【0025】上記の調理パッケージ10では、上側シー
ト20だけでなく下側シート30も2層構造になってい
るが、下側シート30には圧力コントロールのためのス
リットを設ける必要がないので1層のシートで形成して
もよい。
【0026】また、上記構成の調理パッケージは、全体
として1枚の2層シートからなり、上部又は下部に一箇
所だけ重ね合わせ部を設けて熱融着した、いわゆる合掌
袋として形成してもよい。さらに、袋状のものだけでな
く、耐熱性の成形容器の開口部を上記構成の上側シート
で覆うようにしてもよい。
【0027】上記のパッケージ10において、上側シー
ト20の上層スリット220及び下層スリット240の
長さは、特に限定されない。例えば、図8のように、上
層スリット220及び下層スリット240を、各フィル
ムの全体に亘って形成したり、図9や図10のように、
上層スリット220又は下層スリット240の一方を長
く、他方を短くしてもよい。なお、図8及び図10にお
いても、上層スリット220は実線で、下層スリット2
40は破線で示した。これらの場合においても、上層フ
ィルム22と下層フィルム24を接合して上面から見た
とき、上層スリット220と下層スリット240は互い
に平行で、且つ、重なり合わないようになっている。こ
のような調理パッケージも、第1実施形態の調理パッケ
ージ10と同様の圧力コントロール機能を果たす。
【0028】次に、本発明の第2実施形態の調理パッケ
ージ12について説明する。この実施形態の調理パッケ
ージ12において、上側シート20の上層フィルム22
及び下層フィルム24に形成するスリット以外の構成、
及びこの調理パッケージ12の圧力コントロール機能
は、第1実施形態のものと同様であるので、説明を省略
する。
【0029】図11は、本発明の第2実施形態の調理パ
ッケージ12において、上側シート20を構成する2枚
のフィルムを示し、図11(a)は上層フィルム22の
平面図、図11(b)は下層フィルム24の平面図であ
る。また、図12は、図11の上層フィルム22と下層
フィルム24を積層し、ラミネート接着して形成した上
側シート20を示し、図12(a)は平面図、図12
(b)は図11(a)のb−b線断面図である。
【0030】図11に示すように、上側シート20の上
層フィルム22及び下層フィルム24には、中心部分に
近付くにつれて隣合う間隔が次第に狭くなるように螺旋
状のスリット222,242が入れられており、上層フ
ィルム22と下層フィルム22を接合したとき、これら
の上層スリット222と下層スリット242は重なり合
わないようになっている(図12参照)。
【0031】この調理パッケージ12の圧力コントロー
ル機能は、既に説明した第1実施形態の調理パッケージ
10と同様であるが、この実施形態のものは第1実施形
態のものと比較してスリット222,242が多いた
め、パッケージ12内部の大きな圧力変化に対応するこ
とができる。また、パッケージ12の内部圧力は、上側
シート20及び下側シート30のほぼ中央部分に最も大
きくかかるが、この実施形態では上側シート20の中央
部分にスリット222,242が集中しているため、圧
力コントロール機能が果たされやすい。
【0032】なお、螺旋状のスリット222,242と
しては、図13(a)に示すように隣合うスリット22
2a,242aを等間隔にしたり、図13(b)に示す
ように矩形状222b,242bにしてもよい。この場
合も、スリット222aと242a、222bと242
bが互いに重なり合ったり交差したりしないようになっ
ている。
【0033】以上に説明した本発明の第1実施形態及び
第2実施形態の調理パッケージ10,12においては、
上層スリット220,222と下層スリット240,2
42が互いに重なり合わないようになっているが、パッ
ケージ10,12の強度を保持することができれば、上
層スリット220,222及び下層スリット240,2
42が交差するように形成してもよい。図14は、本発
明の第3実施形態の調理パッケージ14の平面図であ
り、このものは、第1実施形態と同様の構成において、
上側シート20の上層スリットと下層スリットとを交差
させたものである。この実施形態の調理パッケージ14
は、上側シート20の上層フィルム22及び下層フィル
ム24に形成するスリット以外の構成、及び圧力コント
ロール機能は、第1実施形態のものと同様である。
【0034】図15は、上記の調理パッケージ14にお
いて、上側シート20を構成する2枚のフィルムを示
し、図15(a)は上層フィルム22の平面図、図15
(b)は下層フィルム24の平面図である。また、図1
6は、図15の上層フィルム22と下層フィルム24を
積層し、ラミネート接着して形成した上側シート20を
示し、図16(a)は平面図、図16(b)は図11
(a)のb−b線拡大断面図である。上側シート20の
上層フィルム22には、図15(a)に示すように横方
向に2本の上層スリット224,224が、下層フィル
ム24には、図15(b)に示すように縦方向に2本の
下層スリット244,244が、それぞれ平行に形成さ
れている。この実施形態の上側シート20は、上記の両
フィルム22,24を積層してラミネート接着剤40で
接着したものであり、図16(a)に示すように、正面
から見ると上層スリット224,224(図中の実線)
と下層スリット244,244(図中の破線)は、互い
に直角に交差している。
【0035】図17は、上記構成の調理パッケージ14
内に食品50を封入したものの断面図である。この調理
パッケージ14において、上側シート20の上層フィル
ム22としては、厚さ0.015mmのナイロンフィル
ムを、下層フィルム24としては、厚さ0.05mmの
ポリエチレンフィルムを使用した。なお、下側シート3
0も上側シート20と同様の構成である。上側シート2
0の上層フィルム22と下層フィルム24には、長さが
20mmの2本のスリット224,244が5mmの間
隔でそれぞれ形成され、両フィルム22,24が積層さ
れている。
【0036】この調理パッケージ14は、上記の上側シ
ート20と下側シート30とを重ね合わせ、三方を10
mmの幅で熱融着させて形成した幅150mm、長さ2
10mmの平袋内に、南瓜120gと煮汁50gを入
れ、残りの1辺を熱融着させて密閉したものである。こ
の南瓜入りパッケージ14を、高周波出力500Wの電
子レンジに入れ、タイマーを3分にセットしてスイッチ
を入れた。加熱開始から約1分40秒経過時点から、次
第に南瓜及び煮汁の水分が蒸発し始め、パッケージ14
の膨張が確認された。そして、加熱開始から約2分経過
時には、パッケージ14内の圧力は約1.5Kg/cm
2、温度は110℃まで上昇し、パッケージ14が大き
く膨れ上がった。
【0037】図18乃至図20は、上記の調理パッケー
ジ14において、上側シート20による圧力コントロー
ル機能を示すための説明図であり、既に説明した第1実
施形態のものと同様に、パッケージ14が加熱される
と、まず、下層スリット244,244に開口244
H,244Hが形成され(図18参照。)、次いで上層
スリット224,224に開口224H,224Hが形
成されてパッケージ14内部が外部と連通するようにな
り(図20参照。)、パッケージ14内部の水蒸気が外
部に逃がされる。
【0038】その後、パッケージ14内は設定圧力であ
る約1.3kg/cm2、温度106℃に保たれ、約1
分後に調理は終了した。上記の調理進行中、上側シート
20には開口224H,244Hが生じたため、パッケ
ージ14が膨張して破れることはなく、加熱開始から3
分という短時間で南瓜の煮物を効率よく加熱調理するこ
とができた。
【0039】上記実施形態のパッケージ14において、
上側シート20の上層スリット224,224及び下層
スリット244,244の長さは、特に限定されない。
例えば、図21(a),図21(b)に示すように、上
層スリット224,224(図中の実線)又は下層スリ
ット244,244(図中の破線)の一方を長く、他方
を短くしてもよい。
【0040】なお、上記の図中にスリット220,24
0の長さや間隔について示したが、これらの寸法はパッ
ケージの大きさや設定する内部圧力の大きさに応じて適
宜変更することができる。また、図14乃至図21に
は、上側シート20の上層スリット220,220及び
下層スリット240,240を2本ずつ平行に形成した
ものを示したが、これらのスリットは2本に限定される
ものではなく、1本であっても、2本以上の複数本であ
ってもよい。また、上層スリット220と下層スリット
240は、必ずしも直角に交差しなくてもよく、設定圧
力等の条件によって、適宜変更することができる。
【0041】図14乃至図21に示すように、上層スリ
ット224,224と下層スリット244,244が交
差する構成のものは、両スリット224,244が交差
する部分の強度が弱いため、出荷・搬送時等に衝撃が加
えられたり、外部から圧力が加えられたりすると、この
部分に損傷が生じる可能性がある。そこで、両スリット
224,244が交差する構成のものにおいて、上層フ
ィルム22と下層フィルム24の間に、且つ、両スリッ
ト224,244に対応する部分に樹脂等を塗布して処
理層(樹脂層)を形成し、この部分を補強しておくとよ
い。
【0042】図22は、上記の処理層60を設けた上側
シート20を示し、図22(a)は平面図、図22
(b)は図22(a)のb−b線断面図である。また、
図23は、図22に示す上側シート20の構成を説明す
る図であり、図23(a)は上層フィルム22の平面
図、図23(b)は下層フィルム24の平面図、図23
(c)は上層フィルム22と下層フィルム24を接合し
てなる上側シート20の分解断面図であり、図22
(b)に示す断面における分解図に相当する。上層フィ
ルム22の下層フィルム24に対向する面には、塗料用
樹脂等からなる処理層60が設けられて補強されてい
る。また、この処理層60は適度な厚みを有しており、
処理層60によって上層フィルム22と下層フィルム2
4の間に介在するラミネート接着剤40が押し退けられ
るため、この部分において、両フィルム22,24の接
着力が低減されている。さらに、この処理層60が介在
しているため、パッケージに内部圧力が掛かっていない
状態において、上層スリット224と下層スリット24
4とが連通せず、密封状態が保たれる。
【0043】この処理層60の材質としては、厚く盛り
上げることができる樹脂、例えば、点字印刷用の塗料樹
脂が好適であり、このように印刷機で印刷可能な材料を
使用すると、低コストで大量、且つ、迅速に処理層を形
成することができる。なお、この処理層60は、上層フ
ィルム22の下面でなく下層フィルム24の上面に施し
てもよい。
【0044】上側シート20及び下側シート30の上層
フィルム22としては、例えば、厚さ0.015mmの
ナイロンフィルムを、下層フィルム24としては、厚さ
0.05mmのポリエチレンフィルムが使用される。上
側シートの上層フィルム22と下層フィルム24には、
スリット224,244がそれぞれ1本ずつ形成され、
また、上層フィルム22のスリット224部分には処理
層60が施され、両フィルム22,24が接合されてい
る。
【0045】上記の上側シート20と下側シート30と
を重ね合わせ、三方を10mmの幅で熱融着させて形成
した幅150mm、長さ240mmの平袋内に、海老焼
売6個を入れ、残りの1辺を熱融着させて密閉した調理
パッケージを形成した(図示せず)。この海老焼売入り
パッケージを、高周波出力500Wの電子レンジに入
れ、タイマーを2分30秒にセットしてスイッチを入れ
た。加熱開始から約1分20秒経過時点から、次第に焼
売の水分が蒸発し始め、パッケージの膨張が確認され
た。そして、加熱開始から約1分35秒経過した時、パ
ッケージ内の圧力は約1.5Kg/cm2となり、温度
は110℃まで上昇し、パッケージが大きく膨れ上がっ
た。
【0046】図24及び図25は、上記の調理パッケー
ジにおいて、上側シート20による圧力コントロール機
能を示すための説明図であり、パッケージが加熱される
と、まず、下層スリット244に開口244Hが形成さ
れ(図24参照。)、次に、上層スリット224に開口
224Hが形成され、パッケージ内部が外部と連通し
(図25参照。)、パッケージ内部の水蒸気が外部に逃
がされる。なお、加熱によって処理層60が収縮、又は
膨張して変形することもある。また、この調理パッケー
ジでは、加熱によってスリットからパッケージ内の水蒸
気や空気が噴出するため、図24及び図25に示すよう
に、上層フィルムの上面においてスリット224部分が
外側に突出するように変形することもある。
【0047】加熱終了後、処理層60によってスリット
224,及び244が覆われるため、パッケージは密封
状態に戻される。
【0048】以上に説明した実施形態の調理パッケージ
では、上側シート20が上層フィルム22及び下層フィ
ルム24からなる2層構造になっており、各フィルム2
2,24にそれぞれ形成されたスリットによって、圧力
コントロール機能を果たすようになっているが、以下の
実施形態では、パッケージを形成するシートが全体とし
て1層の場合であっても、上記と同様の圧力コントロー
ル機能を果たすことができる。
【0049】図26は、本発明の第4実施形態としての
調理パッケージ16を示し、図26(a)は平面図、図
26(b)は図26(a)のb−b線断面図である。こ
の実施形態の調理パッケージ16は、第1実施形態のも
のと同様に、三方を熱融着して平袋状に形成したもので
あるが(図26(a)参照)、ベースフィルム20’及
び下側シート(フィルム)30が1層構造であり、ベー
スフィルム20’にシール70が接着剤や粘着剤等で接
合されている点で、既に説明した第1実施形態乃至第3
実施形態のものとは異なる。図27(a)は、この調理
パッケージ16を構成するベースフィルム20’の平面
図、図27(b)は図27(a)のベースフィルム2
0’表面に貼着されるシール70の平面図である。ベー
スフィルム20’及びシール70には、直線状のスリッ
ト220,720が形成されており、これらのスリット
220,720が互いに重なり合わないように、且つ、
平行になるように、ベースフィルム20’表面にシール
70が貼着されている。
【0050】図28は、上記構成の調理パッケージ16
内に食品50を封入したものの断面図である。この調理
パッケージ16において、ベースフィルム20’及び下
側シート(フィルム)30としては、厚さ0.04mm
のポリプロピレンフィルムを、シール70としては、厚
さ0.05mmのポリエステルフィルムを使用した。ま
た、ベースフィルム20’及びシール70には、長さ約
20mmの直線状のスリット220,720がそれぞれ
1本ずつ形成されており、上側スリット220及びシー
ルスリット720が重なり合わないように、且つ、平行
になるように、ベースフィルム20’表面にシール70
が貼着されている。
【0051】この調理パッケージ16は、上記のように
シール70を貼付したベースフィルム20’と下側シー
ト30とを重ね合わせ、三方を10mmの幅で熱融着さ
せて形成した幅150mm、長さ210mmの平袋内
に、乱切りのじゃが芋150gを入れ、残りの1辺を熱
融着させて密閉したものである。このじゃが芋入りパッ
ケージ16を、高周波出力500Wの電子レンジに入
れ、タイマーを3分30秒にセットしてスイッチを入れ
た。加熱開始から約1分50秒経過時点から、次第にじ
ゃが芋の含有水分が蒸発し始め、パッケージ16の膨張
が確認された。そして、加熱開始から約2分10秒経過
時には、パッケージ16内の圧力は約1.5Kg/cm
2、温度は110℃まで上昇し、パッケージ16が大き
く膨れ上がった。
【0052】図29乃至図31は、上記の調理パッケー
ジ16において、圧力コントロール機能を示すための説
明図であり、パッケージ16が加熱されると、まず、上
側スリット220に開口220Hが形成され(図29参
照。)、次いでシールスリット720に開口720Hが
形成されてパッケージ16内部が外部と連通するように
なり(図30参照。)、パッケージ16内部の水蒸気が
外部に逃がされる。
【0053】その後、パッケージ16内は設定圧力であ
る約1.3kg/cm2、温度106℃に保たれ、約1
分20秒後に調理は終了した。上記の調理進行中、ベー
スフィルム20’及びシール70には開口220H,7
20Hが生じたため、パッケージ16が膨張して破れる
ことはなく、加熱開始から3分30秒という短時間でじ
ゃが芋を効率よく加熱調理することができた。
【0054】なお、この調理パッケージ16のシール7
0は、調理過程で熱や水蒸気によって剥がれ落ちること
がない接着剤を使用してベースフィルム20’表面に貼
着される。この実施形態において、2本ずつ形成された
上側スリット220,220及びシールスリット72
0,720は、図15及び図16に示すように、それぞ
れ平行に形成されているが、パッケージの強度や設定圧
力等の条件によっては、これらのスリット220,22
0及び720,720を、必ずしも平行に形成する必要
はない。また、上側スリット220とシールスリット7
20の交差する角度は直角に限定されない。
【0055】次に、図32は、本発明の第5実施形態の
調理パッケージ18を示し、図32(a)は平面図、図
32(b)は図32(a)の下側シートの図示を省略し
たb−b線拡大断面図である。この実施形態の調理パッ
ケージ18のベースフィルム20’には、第4実施形態
のものと同様に、シール70が貼着されている。図33
(a)は、この調理パッケージ18を構成する上側シー
ト20の平面図、図33(b)は図33(a)の上側シ
ート20表面に貼着されるシール70の平面図である。
ベースフィルム20’及びシール70には、直線状の上
側スリット220、及びシールスリット720がそれぞ
れ2本ずつ形成されており、上側スリット220,22
0と、シールスリット720,720とが交差するよう
に、ベースフィルム20’表面にシール70が貼着され
ている。
【0056】図34は、上記構成の調理パッケージ18
内に食品を封入したものの断面図である。この調理パッ
ケージ18において、ベースフィルム20’及び下側シ
ート(フィルム)30は、厚さ0.015mmのナイロ
ンフィルムを上層とし、厚さ0.05mmのポリエチレ
ンフィルムを下層として両フィルムをドライラミネート
したものである。また、シール70としては、厚さ0.
05mmの円形のポリエステルフィルムを使用した。
【0057】この調理パッケージ18は、上記のように
シール70を貼付したベースフィルム20’と下側シー
ト(フィルム)30とを重ね合わせ、三方を10mmの
幅で熱融着させて形成した幅150mm、長さ300m
mの平袋内に、生の鯵(頭付き、内蔵除去済)120g
と煮汁50gを入れ、残りの1辺を熱融着させて密閉し
たものである。この鯵入りパッケージ18を、高周波出
力500Wの電子レンジに入れ、タイマーを3分にセッ
トしてスイッチを入れた。加熱開始から約1分45秒経
過時点から、次第に鯵及び煮汁の水分が蒸発し始め、パ
ッケージ18の膨張が確認された。そして、加熱開始か
ら約2分10秒経過時には、パッケージ18内の圧力は
約1.5Kg/cm2、温度は110℃まで上昇し、パ
ッケージ18が大きく膨れ上がった。
【0058】図35乃至図37は、図34の調理パッケ
ージ18において、圧力コントロール機能を示すための
説明図であり、パッケージ18が加熱されると、まず、
上側スリット220,220に開口220Hが形成され
(図35参照。)、次いでシールスリット720,72
0に開口720Hが形成されてパッケージ18内部が外
部と連通するようになり(図37参照。)、パッケージ
18内部の水蒸気が外部に逃がされる。
【0059】その後、パッケージ18内は設定圧力であ
る約1.3kg/cm2、温度106℃に保たれ、約1
分後に調理は終了した。上記の調理進行中、上側スリッ
ト220及びシールスリット720によって開口220
H,720Hが生じたため、パッケージ18が膨張して
破れることはなく、加熱開始から3分30秒という短時
間で、生の鯵を煮物として効率よく加熱調理することが
できた。
【0060】さらに、本発明の第5実施形態のように、
ベースフィルム20’とシール70に形成されたスリッ
ト220,720が交差する構成の調理パッケージにお
いて、両スリット220,720が交差する構成のもの
において、ベースフィルム20’とシール70の間に、
且つ、両スリット220,720に対応する部分に樹脂
等を塗布して処理層(樹脂層)を形成し、この部分を補
強してもよい。この処理層は、図22乃至図24におい
て既に説明したものと同様の材料及び同様の方法で形成
される。
【0061】図38は、このような処理層60を設けた
ベースフィルム20’を示し、図38(a)は平面図、
図38(b)は図38(a)のb−b線断面図である。
また、図39は、ベースフィルム20’の構成を説明す
るための図であり、図39(a)はベースフィルム2
0’に貼着されるシール70の平面図、図39(b)は
ベースフィルム20’の平面図、図39(c)はベース
フィルム20’及びシール70の分解図であり、図38
(b)の断面における分解図に相当する。シール70の
ベースフィルム20’に対向する面には、樹脂等からな
る処理層60が設けられており、この部分においてシー
ル70とベースフィルム20’の接着力が弱められ、且
つ、両スリット220,720部分が補強されている。
【0062】上記構成の調理パッケージとして、具体的
には、厚さ0.02mmのポリプロピレンフィルムと、
厚さ0.03mmのポリエチレンフィルムをドライラミ
ネートしてなるベースフィルム20’及び下側シート
(フィルム)30を使用した。また、シール70として
は、厚さ0.05mmのポリエステルフィルムに粘着剤
を塗布したものが使用された。ベースフィルム20’と
シール70にはスリット220,720がそれぞれ1本
づつ形成され、また、シール70のベースフィルム2
0’と対向するスリット部分には処理層60が設けられ
ている。
【0063】上記のベースフィルム20’と下側シート
(フィルム)30とを重ね合わせ、三方を10mmの幅
で熱融着させて形成した幅150mm、長さ240mm
の平袋内に、たれに漬け込んだ鶏腿肉100gを入れ、
残りの1辺を熱融着させて密閉した調理パッケージを形
成した(図示せず)。この鶏肉入りパッケージを、高周
波出力500Wの電子レンジに入れ、タイマーを2分2
0秒にセットしてスイッチを入れた。加熱開始から約4
0秒経過時点から、次第に鶏肉の水分が蒸発し始め、パ
ッケージの膨張が確認された。そして、加熱開始から約
1分経過時には、パッケージ内の圧力は約1.5Kg/
cm2、温度は110℃まで上昇し、パッケージが大き
く膨れ上がった。
【0064】図40及び図41は、上記の調理パッケー
ジにおいて、圧力コントロール機能を示すための説明図
であり、パッケージが加熱されると、まず、上側スリッ
ト220に開口220Hが形成され(図40参照。)、
次に、シールスリット720に開口720Hが形成され
てパッケージ内部が外部と連通し(図41参照。)、パ
ッケージ内部の水蒸気が外部に逃がされる。なお、加熱
によって処理層60が収縮、又は膨張して変形すること
もある。
【0065】その後、パッケージ内は設定圧力である約
1.3kg/cm2、温度106℃に保たれ、約1分2
0秒後に調理は終了した。上記の調理進行中、上側シー
ト20には上側スリット220及びシールスリット72
0によって開口220H,720Hが生じたため、パッ
ケージが膨張して破れることはなく、加熱開始から2分
20秒という短時間で鶏腿肉を効率よく加熱調理するこ
とができた。加熱終了後、処理層60によってスリット
220,及び720が覆われるため、パッケージは密封
状態に戻される。
【0066】以上に説明したように、本発明を適用した
密閉体の例である調理パッケージ10,12,14,1
6,18では、内部圧力の上昇とともに、上下のスリッ
トが連通してできる開口面積がゼロから徐々に増大して
十分な開口面積が確保されることにより、パッケージが
破裂する前に、内部圧力を逃がして、内部圧力をコント
ロールすることが可能になる。このため、内部の食品が
沸騰した場合でも、外に勢い良くこぼれ出したりするこ
とがない。
【0067】また、上記調理パッケージ10,12,1
4,16,18には、貫通孔等が形成されていないの
で、外気が侵入してパッケージ10,12,14,1
6,18内部に密封された食品の品質が低下する等の問
題がない。
【0068】上記調理パッケージ10,12,14,1
6,18のスリットは、孔開け加工等の必要がなく、切
り抜いた破片も生じないので、製造ラインを停止するこ
となく加工することができ、製造が容易である。なお、
上記調理パッケージ10,12,14,16,18に形
成されるスリットの形状は、直線状だけでなく、曲線状
であってもよい。
【0069】
【発明の効果】上記の構成により、本発明による密閉体
の内部圧力コントロール構造は、製造が容易で、且つ、
確実に内部圧力を解放して、圧力コントロール機能を果
たすという効果を奏する。
【0070】しかも、本発明によれば、密閉体の内部圧
力の上昇に応じてスリットがゼロから徐々に開き、内部
圧力を逃がすことができるので、加熱等の条件に柔軟に
対応することができ、密閉体そのものや内部の食品等を
損傷することがない。また、使用の前に、シールを剥が
し忘れるというようなことはあり得ない。さらに、スリ
ットを上向きにして使用するが、2つのスリットは異な
る位置に形成されているので、内部の食品が沸騰した場
合でも、外に勢いよくこぼれ出したり、泡が外部に噴出
することもない。
【0071】さらに、調理パッケージとして使用した後
には、加熱により生じた水蒸気が凝縮してパッケージ全
体がしぼみ、2つのスリットがもとの位置関係に戻るた
め、スリットの開口面積は小さくなっていく。また、ス
リットの開口がパッケージ内の水滴で覆われて、パッケ
ージは密封状態に戻り、その結果、調味料が少量であっ
ても内部の飲食品全体に行き渡り、素材に浸透しやすい
効果がある。
【0072】本発明では、孔開け加工の必要がなく、切
り抜いた破片も生じないので、製造ラインを停止するこ
となくスリットを形成することができ、製造が容易であ
る。また、スリットを具えたシート(フィルム)を予め
作製しておけば、製袋工程がより簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態による調理パッケージ
を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)
のb−b線拡大断面図。
【図2】 上側シートを構成するフィルムを示し、図2
(a)は上層フィルムの平面図、図2(b)は下層フィ
ルムの平面図。
【図3】 上側シートを示し、図3(a)は平面図、図
3(b)は図3(a)のb−b線断面図。図1の平面
図。
【図4】 図1の調理パッケージ内に食品を封入したも
のの断面図。
【図5】 図4の調理パッケージの圧力コントロール機
能を示す説明図で、内部に圧力が掛かり始めた状態を示
し、図5(a)は拡大断面図、図5(b)は平面図。
【図6】 図5において内部に大きな圧力が掛かり下層
スリットに開口が形成さた状態を示し、図6(a)は拡
大断面図、図6(b)は平面図。
【図7】 図5において内部にさらに大きな圧力が掛か
り、外部と連通する開口が形成された状態を示し、図7
(a)は拡大断面図、図7(b)は平面図。
【図8】 図1の調理パッケージにおいて、上層スリッ
トと下層スリットを長く各フィルムの全体に亘って形成
したものの平面図。
【図9】 図1の調理パッケージにおいて、下層スリッ
トを上層スリットより長く形成したものの平面図。
【図10】 図1の調理パッケージにおいて、上層スリ
ットを下層スリットより長く形成したものの平面図。
【図11】 本発明の第2実施形態による調理パッケー
ジの上側シートを示し、図11(a)は上層フィルムの
正面図、図11(b)は下層フィルムの正面図。
【図12】 図11のフィルムからなる上側シートを示
し、図12(a)は正面図、図12(b)は図12
(a)のb−b線断面図。
【図13】 図11の調理パッケージにおけるスリット
の形状を示し、図13(a)は間隔の等しい螺旋状のス
リットが形成された上側シートの正面図、図13(b)
は矩形状のスリットが形成された上側シートの正面図。
【図14】 本発明の第3実施形態による調理パッケー
ジの正面図。
【図15】 図14の調理パッケージを構成する上側シ
ートを示し、図15(a)は上層フィルムの正面図、図
15(b)は下層フィルムの正面図。
【図16】 図15のフィルムからなる上側シートを示
し、図16(a)は平面図、図16(b)は図16
(a)のb−b線拡大断面図。
【図17】 図14の調理パッケージ内に食品を封入し
たものの断面図。
【図18】 図17の調理パッケージの圧力コントロー
ル機能を示す説明図で、内部に圧力が掛かり始めた状態
を示し、図18(a)は拡大断面図、図18(b)は平
面図。
【図19】 図17において内部に大きな圧力が掛かり
下層スリットに開口が形成された状態を示し、図19
(a)は拡大断面図、図19(b)は平面図。
【図20】 図17において内部にさらに大きな圧力が
掛かり、外部と連通する開口が形成された状態を示し、
図20(a)は拡大断面図、図20(b)は平面図。
【図21】 図14の調理パッケージにおいて、各スリ
ットの長さを変更したものを示し、図21(a)は下層
スリットを上層スリットより長く形成したものの平面
図、図21(b)は上層スリットを下層スリットより長
く形成したものの平面図。
【図22】 図14の調理パッケージにおいて上側シー
トに処理層を施したものを示し、図22(a)は平面
図、図22(b)は図22(a)のb−b線断面図。
【図23】 図22の上側シートの構成を説明する図で
あり、図23(a)は上層フィルムの平面図、図23
(b)は下層フィルムの平面図、図23(c)は上層フ
ィルムと下層フィルムを積層してなる上側シートの分解
断面図。
【図24】 図22の上側シートを使用した調理パッケ
ージにおいて、パッケージに内部に圧力が掛かり始めた
状態の上側シートを示し、図24(a)は部分拡大断面
図、図24(b)は平面図。
【図25】 図24の状態からさらに圧力が掛かった状
態の上側シートを示し、図25(a)は部分拡大断面
図、図25(b)は平面図。
【図26】 本発明の第4実施形態の調理パッケージを
示し、図26(a)は平面図、図26(b)は図26
(a)のb−b線断面図。
【図27】 図26の調理パッケージの構成を示し、図
27(a)はベースフィルムの平面図、図27(b)は
ベースフィルム表面に貼着されるシールの平面図。
【図28】 図26の調理パッケージに食品を封入した
ものの断面図。
【図29】 図26の調理パッケージの圧力コントロー
ル機能を示す説明図で、内部に圧力が掛かり始めた状態
を示し、図29(a)は拡大断面図、図29(b)は平
面図。
【図30】 図26において内部に圧力が掛かり始めた
状態を示し、図30(a)は部分拡大断面図、図30
(b)は平面図。
【図31】 図26において内部にさらに大きな圧力が
かかった状態を示し、図31(a)は部分拡大断面図、
図31(b)は平面図。
【図32】 本発明の第5実施形態の調理パッケージを
示し、図32(a)は平面図、図32(b)は図32
(a)の下側シートの図示を省略したb−b線拡大断面
図。
【図33】 図32の調理パッケージの構成を示すもの
で、図33(a)はベースフィルム20’の平面図、図
33(b)はベースフィルム表面に貼着されるシールの
平面図。
【図34】 図32の調理パッケージ内に食品を封入し
たものの断面図。
【図35】 図34の調理パッケージの圧力コントロー
ル機能を示す説明図で、内部に圧力が掛かり始めた状態
を示し、図35(a)は拡大断面図、図35(b)は平
面図。
【図36】 図34において内部に圧力が掛かり始めた
状態を示し、図36(a)は部分拡大断面図、図36
(b)は平面図。
【図37】 図34において内部にさらに大きな圧力が
かかった状態を示し、図37(a)は部分拡大断面図、
図37(b)は平面図。
【図38】 図34の調理パッケージにおいてシールに
処理層を施した場合を示すもので、図38(a)は平面
図、図38(b)は図38(a)のb−b線断面図。
【図39】 図38の調理パッケージの構成を説明する
図であり、図39(a)はシールの平面図、図39
(b)はベースフィルムの平面図、図39(c)はシー
ルとベースフィルムを積層したものの分解断面図。
【図40】 図38のベースフィルムを使用した調理パ
ッケージにおいて、パッケージ内部に圧力が掛かり始め
た状態のベースフィルムを示し、図40(a)は部分拡
大断面図、図40(b)は平面図。
【図41】 図40の状態からさらに圧力が掛かった状
態のベースフィルムを示し、図41(a)は部分拡大断
面図、図41(b)は平面図。
【符号の説明】
10,12,14,16,18:飲食品調理パッケージ
(密閉体) 20:上側シート(複合シート) 20’:ベースフィルム 22:上層フィルム 220,222,224:上層スリット 24:下層フィルム 240,242,244:下層スリット 30:下側シート 40:ラミネート接着剤 50:飲食品 70:シール 720:シールのスリット 220H,240H,224H,244H,720H:
開口
フロントページの続き Fターム(参考) 4B055 AA10 BA07 BA31 CA01 CA05 CA19 CB07 CB08 CB24 CB27 CB30 FA01 FA06 FB33 FE10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に飲食品等が封入される密閉体にお
    いて、 上層フィルムと下層フィルムとが接合された複合シート
    からなり、 前記上層フィルムと前記下層フィルムにそれぞれスリッ
    トが形成され、 内部圧力が増大したとき前記両スリットが開口連通する
    ことにより圧力解放機能を果たすことを特徴とする、 密閉体の内部圧力コントロール構造。
  2. 【請求項2】 使用前に前記上層フィルムのスリットと
    下層フィルムのスリットが互いに重なり合わない、請求
    項1の密閉体の内部圧力コントロール構造。
  3. 【請求項3】 使用前に前記上層フィルムのスリットと
    下層フィルムのスリットが交差している、請求項1の密
    閉体の内部圧力コントロール構造。
  4. 【請求項4】 前記上層フィルムと下層フィルムが前記
    両スリットを含む部分において樹脂層を介して接合され
    ている、請求項1から3のいずれかの密閉体の内部圧力
    コントロール構造。
  5. 【請求項5】 前記複合シートが成形容器の上部を覆っ
    ている、請求項1から4のいずれかの密閉体の内部圧力
    コントロール構造。
  6. 【請求項6】 内部に飲食品等が封入される密閉体にお
    いて、 プラスチックフィルムからなるベースフィルムと、プラ
    スチックフィルムからなるシールからなり、 前記ベースフィルムと前記シールにスリットが形成さ
    れ、 前記ベースフィルムのスリットを覆うように前記シール
    が接合され、 内部圧力が増大したとき前記両スリットが開口連通する
    ことにより圧力解放機能を果たすことを特徴とする、 密閉体の内部圧力コントロール構造。
  7. 【請求項7】 使用前に前記ベースフィルムのスリット
    と前記シールのスリットが互いに重なり合わない、請求
    項6の密閉体の内部圧力コントロール構造。
  8. 【請求項8】 使用前に前記ベースフィルムのスリット
    と前記シールのスリットが交差している、請求項6の密
    閉体の内部圧力コントロール構造。
  9. 【請求項9】 前記ベースフィルムとシールが前記両ス
    リットを含む部分において樹脂層を介して接合されてい
    る、請求項6から8のいずれかの密閉体の内部圧力コン
    トロール構造。
  10. 【請求項10】 前記密閉体が電子レンジ用飲食品調理
    パッケージである、請求項1から9のいずれかの密閉体
    の内部圧力コントロール構造。
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