JP2000330551A - 弦鳴楽器の共鳴箱構造 - Google Patents
弦鳴楽器の共鳴箱構造Info
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- JP2000330551A JP2000330551A JP11143699A JP14369999A JP2000330551A JP 2000330551 A JP2000330551 A JP 2000330551A JP 11143699 A JP11143699 A JP 11143699A JP 14369999 A JP14369999 A JP 14369999A JP 2000330551 A JP2000330551 A JP 2000330551A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 概略半円形状のラウンド型共鳴箱部を有する
弦鳴楽器において、演奏時に音色が微妙にこもったりあ
るいはくもったりすることなく、明るく張りのある音色
を発現することができる新規な共鳴箱の構造を提案す
る。 【解決手段】 概略半円形状のラウンド型共鳴箱部20
を有する弦鳴楽器10において、前記ラウンド型共鳴箱
部の後部底面25に箱内方に凹む凹部30を形成した。
弦鳴楽器において、演奏時に音色が微妙にこもったりあ
るいはくもったりすることなく、明るく張りのある音色
を発現することができる新規な共鳴箱の構造を提案す
る。 【解決手段】 概略半円形状のラウンド型共鳴箱部20
を有する弦鳴楽器10において、前記ラウンド型共鳴箱
部の後部底面25に箱内方に凹む凹部30を形成した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は弦鳴楽器に関し、
特に弦鳴楽器の共鳴箱構造に関する。
特に弦鳴楽器の共鳴箱構造に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば図6に示すように、マンドリンや
リュートに代表される弦鳴楽器Mは、胴部に概略半円形
状のラウンド型共鳴箱部40を有するもので、弦Sを響
かせることにより該箱部内41の空気が箱部表面側の響
板42との間で反響して、反響する音を響孔43から外
部に伝えるものである。図において符号44は弦留め
部、46は振動板、47は駒である。
リュートに代表される弦鳴楽器Mは、胴部に概略半円形
状のラウンド型共鳴箱部40を有するもので、弦Sを響
かせることにより該箱部内41の空気が箱部表面側の響
板42との間で反響して、反響する音を響孔43から外
部に伝えるものである。図において符号44は弦留め
部、46は振動板、47は駒である。
【0003】この種弦鳴楽器Mは、前記ラウンド型共鳴
箱部40の形状によりそれぞれ音色の変化が生じ、共鳴
効果を高めるには一般に箱部内41の空気量を増やせば
よいとされる。そこで、図からも解るように、前記共鳴
箱部40の底部45を丸く深くすることがあるが、この
場合には演奏時にややもすると音色が暗くこもりがちに
なる傾向がある。
箱部40の形状によりそれぞれ音色の変化が生じ、共鳴
効果を高めるには一般に箱部内41の空気量を増やせば
よいとされる。そこで、図からも解るように、前記共鳴
箱部40の底部45を丸く深くすることがあるが、この
場合には演奏時にややもすると音色が暗くこもりがちに
なる傾向がある。
【0004】この原因について考えてみるに、演奏時に
は弦Sの張力の圧力と振動によって弦留め部44にヘッ
ド方向への応力mがかかり、これによって共鳴箱部40
の後部底面45には該弦留め部44が設けられている共
鳴箱部40の後部上面中央方向へ集中する応力nが加わ
る。すると、共鳴箱部40の後部底面45は、図7の鎖
線45Aとして誇張的に示したように、応力nによって
その後部底面45が後方へせり出して膨らみ、共鳴箱部
40全体としては図5の(5B)図のような両側がやせ
た細長形状40Aとなり、その結果音色をこもらせたり
あるいはくもらせたりすると考えられる。
は弦Sの張力の圧力と振動によって弦留め部44にヘッ
ド方向への応力mがかかり、これによって共鳴箱部40
の後部底面45には該弦留め部44が設けられている共
鳴箱部40の後部上面中央方向へ集中する応力nが加わ
る。すると、共鳴箱部40の後部底面45は、図7の鎖
線45Aとして誇張的に示したように、応力nによって
その後部底面45が後方へせり出して膨らみ、共鳴箱部
40全体としては図5の(5B)図のような両側がやせ
た細長形状40Aとなり、その結果音色をこもらせたり
あるいはくもらせたりすると考えられる。
【0005】このように、共鳴箱部40の後部底面45
の変形は音色の発現に大きな影響を与えることに鑑み、
発明者は種々試作研究を重ねた結果、力学上この後部底
面に凹部を持たせる構造とすれば、演奏時におけるこも
り音の発現を避けることができることを見いだした。
の変形は音色の発現に大きな影響を与えることに鑑み、
発明者は種々試作研究を重ねた結果、力学上この後部底
面に凹部を持たせる構造とすれば、演奏時におけるこも
り音の発現を避けることができることを見いだした。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、この発明の課
題は、概略半円形状のラウンド型共鳴箱部を有する弦鳴
楽器において、演奏時に音色が微妙にこもったりあるい
はくもったりすることなく、明るく張りのある音色を発
現することができる新規な共鳴箱の構造を提案すること
である。
題は、概略半円形状のラウンド型共鳴箱部を有する弦鳴
楽器において、演奏時に音色が微妙にこもったりあるい
はくもったりすることなく、明るく張りのある音色を発
現することができる新規な共鳴箱の構造を提案すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1の発
明は、概略半円形状のラウンド型共鳴箱部を有する弦鳴
楽器において、前記ラウンド型共鳴箱部の後部底面に箱
内方に凹む凹部を形成したことを特徴とする弦鳴楽器の
共鳴箱構造に係る。
明は、概略半円形状のラウンド型共鳴箱部を有する弦鳴
楽器において、前記ラウンド型共鳴箱部の後部底面に箱
内方に凹む凹部を形成したことを特徴とする弦鳴楽器の
共鳴箱構造に係る。
【0008】また、請求項2の発明は、請求項1におい
て、前記凹部が共鳴箱部を構成する板材によって断面V
字状に形成されている弦鳴楽器の共鳴箱構造に係る。
て、前記凹部が共鳴箱部を構成する板材によって断面V
字状に形成されている弦鳴楽器の共鳴箱構造に係る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下添付の図面に従ってこの発明
を詳細に説明する。図1はこの発明の一実施例に係るマ
ンドリンの斜視図、図2はマンドリンの後部底面を示す
斜視図、図3は同じくマンドリンの後部底面を示す断面
図、図4はマンドリンの側面図、図5はマンドリンの後
部底面における変形を従来構造と対比して誇張的に示し
た概念図である。
を詳細に説明する。図1はこの発明の一実施例に係るマ
ンドリンの斜視図、図2はマンドリンの後部底面を示す
斜視図、図3は同じくマンドリンの後部底面を示す断面
図、図4はマンドリンの側面図、図5はマンドリンの後
部底面における変形を従来構造と対比して誇張的に示し
た概念図である。
【0010】図1に示すマンドリン10は、概略半円形
状のラウンド型共鳴箱部を有する弦鳴楽器の一例として
挙げるもので、従来技術の項で説明したものと略同様の
外観を有する。マンドリン10はネック部11とヘッド
部12と共鳴箱部20及び弦Sからなる。この種弦鳴楽
器(10)は、弦Sを鳴らすことによって、響板13に
覆われた共鳴箱部20内で音を反響させ、表面側の響孔
14から箱内で反響する弦音を外へ伝える。図におい
て、符号15は弦留め、16は振動板、17は駒、18
は弦巻、19はそのつまみである。
状のラウンド型共鳴箱部を有する弦鳴楽器の一例として
挙げるもので、従来技術の項で説明したものと略同様の
外観を有する。マンドリン10はネック部11とヘッド
部12と共鳴箱部20及び弦Sからなる。この種弦鳴楽
器(10)は、弦Sを鳴らすことによって、響板13に
覆われた共鳴箱部20内で音を反響させ、表面側の響孔
14から箱内で反響する弦音を外へ伝える。図におい
て、符号15は弦留め、16は振動板、17は駒、18
は弦巻、19はそのつまみである。
【0011】共鳴箱部20は、紫檀や紅葉材等の細長い
板片を複数枚貼り合わせて略半円球状に形成された胴2
1と、該胴21の表面側を覆う響板13によって形成さ
れてなる。そして、この発明の弦鳴楽器(マンドリン)
10にあっては、図2および図3に示したように、前記
ラウンド型共鳴箱部20の後部底面25に箱内方に凹む
凹部30を形成したことを特徴とするものである。
板片を複数枚貼り合わせて略半円球状に形成された胴2
1と、該胴21の表面側を覆う響板13によって形成さ
れてなる。そして、この発明の弦鳴楽器(マンドリン)
10にあっては、図2および図3に示したように、前記
ラウンド型共鳴箱部20の後部底面25に箱内方に凹む
凹部30を形成したことを特徴とするものである。
【0012】前記構造の一例としては、請求項2に規定
したように、前記凹部30が共鳴箱部20の後部底面2
5を構成する板材によって断面V字状に形成されている
ものが挙げられる。この実施例における凹部30の形状
は、特に共鳴箱部20の底部を構成する中央部分の2枚
の板材26,27を、その継ぎ目部Jで凹んだ凹部30
となるよう、それぞれ外向きに貼り合わせて形成したも
のである。
したように、前記凹部30が共鳴箱部20の後部底面2
5を構成する板材によって断面V字状に形成されている
ものが挙げられる。この実施例における凹部30の形状
は、特に共鳴箱部20の底部を構成する中央部分の2枚
の板材26,27を、その継ぎ目部Jで凹んだ凹部30
となるよう、それぞれ外向きに貼り合わせて形成したも
のである。
【0013】このように構成した凹部30を有する共鳴
箱部20にあっては、演奏の際に弦Sが引張されるとそ
の圧力および振動によって、前記のように共鳴箱部20
の後部上面中央部の弦留め部15に矢印aの引張応力が
かかる。そして、この応力aは箱部20の後部全体に後
部上面中央の該弦留め部15方向へ集中する応力bとし
て作用する。すると、この発明構造にあっては、共鳴箱
部20の後部底面25が凹部30として構成されている
ものであるから、この応力bはこの凹部30を外方へ引
張る力cとして働く。
箱部20にあっては、演奏の際に弦Sが引張されるとそ
の圧力および振動によって、前記のように共鳴箱部20
の後部上面中央部の弦留め部15に矢印aの引張応力が
かかる。そして、この応力aは箱部20の後部全体に後
部上面中央の該弦留め部15方向へ集中する応力bとし
て作用する。すると、この発明構造にあっては、共鳴箱
部20の後部底面25が凹部30として構成されている
ものであるから、この応力bはこの凹部30を外方へ引
張る力cとして働く。
【0014】すなわち、図4の側面図及び図5の(5
A)図に誇張的に示したように、凹部30が外方へ引張
されると(図示の鎖線30A参照)、共鳴箱部20の側
部が外方へ広がり共鳴箱部20全体としては大きく広が
りをもった形状20Aとなる。図5の下部に(5B)と
して従来の凹部を持たない共鳴箱部40を示したが、こ
の場合における両側がやせた細長形状40Aとは大きな
形状の差が生ずる。両形状20Aと40Aの対比からも
理解されるように、この発明形状20Aでは大きく広が
った形状となることより明るく張りのある音色を発する
ことができる一方、従来の両側がやせた細長形状40A
ではこもった暗い音色となるのである。なお、この発明
構造は実施例のようなマンドリンに限定されるものでは
なく、ギターやバイオリンなど、他の弦鳴楽器にも用い
ることができる。
A)図に誇張的に示したように、凹部30が外方へ引張
されると(図示の鎖線30A参照)、共鳴箱部20の側
部が外方へ広がり共鳴箱部20全体としては大きく広が
りをもった形状20Aとなる。図5の下部に(5B)と
して従来の凹部を持たない共鳴箱部40を示したが、こ
の場合における両側がやせた細長形状40Aとは大きな
形状の差が生ずる。両形状20Aと40Aの対比からも
理解されるように、この発明形状20Aでは大きく広が
った形状となることより明るく張りのある音色を発する
ことができる一方、従来の両側がやせた細長形状40A
ではこもった暗い音色となるのである。なお、この発明
構造は実施例のようなマンドリンに限定されるものでは
なく、ギターやバイオリンなど、他の弦鳴楽器にも用い
ることができる。
【0015】
【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
弦鳴楽器の共鳴箱構造によれば、概略半円形状のラウン
ド型共鳴箱部を有する弦鳴楽器において、力学上共鳴箱
部の後部底面に箱内方に凹む凹部を形成することによっ
て、演奏時に音色が微妙にこもったりあるいはくもった
りすることなく、明るく張りのある音色を発現すること
ができる。
弦鳴楽器の共鳴箱構造によれば、概略半円形状のラウン
ド型共鳴箱部を有する弦鳴楽器において、力学上共鳴箱
部の後部底面に箱内方に凹む凹部を形成することによっ
て、演奏時に音色が微妙にこもったりあるいはくもった
りすることなく、明るく張りのある音色を発現すること
ができる。
【図1】この発明の一実施例に係るマンドリンの斜視図
である。
である。
【図2】マンドリンの後部底面を示す斜視図である。
【図3】同じくマンドリンの後部底面を示す断面図であ
る。
る。
【図4】同じくマンドリンの側面図である。
【図5】マンドリンの後部底面における変形を従来構造
と対比して誇張的に示した概念図である。
と対比して誇張的に示した概念図である。
【図6】従来のマンドリンの後部底面の一例を示す図で
ある。
ある。
【図7】図6のマンドリンの側面図である。
10 マンドリン(弦鳴楽器) 11 ネック部 12 ヘッド部 13 響板 20 ラウンド型共鳴箱部 25 後部底面 30 凹部
Claims (2)
- 【請求項1】 概略半円形状のラウンド型共鳴箱部を有
する弦鳴楽器において、前記ラウンド型共鳴箱部の後部
底面に箱内方に凹む凹部を形成したことを特徴とする弦
鳴楽器の共鳴箱構造。 - 【請求項2】 請求項1において、前記凹部が共鳴箱部
を構成する板材によって断面V字状に形成されている弦
鳴楽器の共鳴箱構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14369999A JP3587729B2 (ja) | 1999-05-24 | 1999-05-24 | 弦鳴楽器の共鳴箱構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14369999A JP3587729B2 (ja) | 1999-05-24 | 1999-05-24 | 弦鳴楽器の共鳴箱構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000330551A true JP2000330551A (ja) | 2000-11-30 |
JP3587729B2 JP3587729B2 (ja) | 2004-11-10 |
Family
ID=15344918
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14369999A Expired - Fee Related JP3587729B2 (ja) | 1999-05-24 | 1999-05-24 | 弦鳴楽器の共鳴箱構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3587729B2 (ja) |
-
1999
- 1999-05-24 JP JP14369999A patent/JP3587729B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3587729B2 (ja) | 2004-11-10 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040210 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040406 |
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TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
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