JP2000327971A - 静電式インクジェット用油性インク - Google Patents

静電式インクジェット用油性インク

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JP2000327971A
JP2000327971A JP14361599A JP14361599A JP2000327971A JP 2000327971 A JP2000327971 A JP 2000327971A JP 14361599 A JP14361599 A JP 14361599A JP 14361599 A JP14361599 A JP 14361599A JP 2000327971 A JP2000327971 A JP 2000327971A
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oil
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Eiichi Kato
栄一 加藤
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクの吐出安定性、鮮明な画像形成性及び
画像強度に優れ、鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷可能
とする印刷版を形成し得る静電式インクジェット油性イ
ンクを得る。 【解決手段】 電気抵抗109Ω・cm以上かつ誘電率3.5以
下の非水担体液中に、非水溶媒に可溶であって重合する
ことにより不溶となる一官能性単量体(A)及びフッ素原
子及び/又はケイ素原子含有の置換基を有する、単量体
(A)と共重合可能な一官能性単量体(B)並びに分散媒に可
溶性となる成分を含有する分散安定用樹脂(P)を含有す
る溶液を重合造粒することによって得られる共重合体樹
脂粒子を少なくとも分散して成る静電式インクジェット
用油性インクを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電式(静電誘引
式又は静電吸引式)インクジェット記録方式で画像を形
成するために用いられる静電式インクジェット用油性イ
ンクに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、低騒音で高速印
字が可能な記録方法であり、最近急速に普及しつつある
記録方法である。インクジェット記録は、流動性の高い
液体インクを微細なノズルから噴射し、記録紙に記録す
る方式であり、オンディマンド(随意噴射)とコンティ
ニアス(連続噴射)の方式がある。更に連続型では静電
方式(Sweet 型、Hertx 型)、オンディマンド型ではピ
エゾ圧電方式、サーマルインクジェット方式、静電加速
型と呼ばれる記録方式が知られている。
【0003】静電力を用いるオンディマンド型のインク
ジェット方式として一之瀬進、大庭有二、電子通信学会
論文誌vol.J66-C (No.1), p47 (1983)、大野忠義、水口
衛、画像電子学会誌vol.10, (No.3), p157 (1981) 等に
記載の静電加圧型インクジェットあるいはスリットジェ
ットと呼ばれる方式が知られており、具体的態様が、例
えば特開昭56−170号、同56−4467号、同5
7−151374号等に開示されている。これは、イン
クタンクからスリット状のインク保持部内面に多数の電
極を配置してなるスリット状インク室にインクを供給す
ると共に、これらの電極に選択的に高電圧を印加するこ
とにより、スリットと近接対向する記録紙に電極近傍の
インクを噴出させて記録するものである。
【0004】また、スリット状の記録ヘッドを用いない
他の方式として、特開昭61−211048号公報に
は、複数の微小孔を有するフィルム状インク支持体の穴
にインクを充填し、多針電極により選択的に電圧を印加
して孔内のインクを記録紙に移動させる手段が開示され
ている。
【0005】これらのインクの飛翔原理は、配置された
電極に印加された高電圧により、電極に接するインクに
電荷が注入されて電極近傍のインクが電荷を帯びるた
め、静電的力が生じてインクが吐出されるものと解釈さ
れている。したがって、インクは、通常は帯電しておら
ず電圧を印加したときのみ、電極近傍のインクを通電に
より帯電させて吐出力を得ている。これらの方式で用い
られるインクは、106 から108 オーム・cm程度の電
気抵抗を有するものが用いられている。水では電気抵抗
が低いため、一般的には、油性溶媒に染料からなる着色
剤を界面活性剤などの分散助剤により分散して電気抵抗
を調整したものが用いられる。
【0006】更に、用いる油性インクとして、その粘度
および比抵抗を制御する方法(特公昭52−13127
号)、インクに用いる分散媒の比誘電率とインクの比抵
抗を制御する方法(特開昭53−29808号)、油性
インクの分散媒の種類を変える、あるいはインク組成物
として特定の化合物を含有させる方法(特開平3−79
677号、特開平3−64377号、特開平4−202
386号、特開平7−109431号)等が提案されて
いる。しかし、これらの従来技術は、油性インクの保存
安定性、繰り返し使用時の記録画像の再現性、被転写体
上でのインクの耐滲み性あるいはノズルおよびインク供
給経路での耐目詰まり性やインク吐出の安定性等が未だ
充分満足できるものではなく、より一層の性能向上が望
まれている。
【0007】一方、別の静電吸引式インクジェット技術
が、WO93/11866号公報に開示されている。こ
の方法は、絶縁性液体中に、荷電粒子もしくは電界印加
下で荷電性を示す粒子を分散させたインクをインク吐出
装置に供給し、電界印加下において、インクを吐出さ
せるための吐出電極先端でインクメニスカスを形成す
る、インクメニスカス中の粒子濃度を電気泳動させて
濃縮する、記録媒体が載置される対向電極と吐出電極
との間で電界を形成して、凝集した粒子を飛翔させると
いう一連の工程を有している。
【0008】従来の方式と異なり、インクノズル構造が
不要なこの方法の特徴として、顔料等の分散粒子を含む
インクを数μm程度の微小液滴のサイズで吐出できるこ
と、吐出する液滴は粒子が濃縮して高濃度の状態にでき
ること、更に、吐出信号の制御で液滴サイズを変えて画
像のドットサイズを変えることができる等がある。従っ
て、耐光及び耐水性顔料をベースとした画像の描画及び
連続網点階調画像を高解像度・高密度で鮮明な画像形成
が可能となる。
【0009】用いる油性インクとしては、電気抵抗値1
9 Ω・ cm以上の絶縁性液体中に不溶性で帯電可能な粒
子と荷電剤を含有する内容のものがWO95/1404
号、WO96/10058号に開示されている。更には
帯電した粒子の荷電量または粒子の平均粒径を特定化し
たもの(特開平9−193389号、同8−29126
7号)あるいはインク組成物の乾固物の熱物性を特定化
したもの(特開平9−137094号)等が提案されて
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の油性インクを用いてインクジェット記録を行なった
所、インク吐出の不安定性あるいはインク中の顔料粒子
の濃縮不充分が生じ、形成された画像の欠落、画像の滲
みとなるあるいは画像濃度の不足(特にベタ画像部)と
なる。あるいは保存経時したインクを用いるとフレッシ
ュなインク使用の場合と吐出する条件(印加電圧、等)
が変動したり、濃縮して吐出される割合が著しく変化
し、得られる画像がインクの保存状態で変化してしまう
等の問題が生じた。
【0011】他方、最近の事務機器の発達とOA化の進
展に伴い、軽印刷分野において、耐水性支持体上に画像
受理層を有する平版印刷原版に種々の方法で製版、即ち
画像形成を行ない印刷版を作成するオフセット平版印刷
方式が普及し、その製版方法の1つとして、インクジェ
ット方式で製版することも行われている。従来の油性イ
ンクを用いて、鮮明な画像が形成された印刷版を実際に
印刷したところ、画像部が欠落することなく鮮明な印刷
物が得られる印刷枚数はせいぜい数百枚程度が限度であ
り、不充分であった。即ちオフセット印刷には、インク
粒子からなる画像の定着強度が不足するという問題があ
った。
【0012】従って、本発明の目的は、インクの吐出安
定性、鮮明な画像形成性及び画像強度に優れた静電式イ
ンクジェット油性インクを提供することである。本発明
の他の目的は、鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷可能と
する印刷版を形成し得る静電式インクジェット用油性イ
ンクを提供することである。本発明の他の目的は、分散
粒子の再分散性、保存安定性に優れ、インク供給経路で
目詰まりせず、インクの吐出が安定する静電式インクジ
ェット用油性インクを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の構成
により達成されることが見出された。 (1)電気抵抗109 Ω・cm以上かつ誘電率3.5以
下の非水担体液中に、少なくとも荷電性樹脂粒子を分散
して成る静電式インクジェット用油性インクにおいて、
前記分散された樹脂粒子が、非水溶媒に可溶であって、
重合することにより不溶となる一官能性単量体(A)の
少なくとも一種、及びフッ素原子及び/又はケイ素原子
含有の置換基を有する、単量体(A)と共重合可能な一
官能性単量体(B)の少なくとも一種、並びに下記一般
式(PI)で示される成分を少なくとも含有する分散安
定用樹脂(P)の少なくとも一種を含有する溶液を重合
造粒することによって得られる共重合体樹脂粒子である
ことを特徴とする静電式インクジェット用油性インク。
【0014】
【化5】
【0015】一般式(PI)中、A1は−COO−、−
OCO−、−(CH2)aCOO−、−(CH2)aOCO
−、−O−、又は
【0016】
【化6】
【0017】(ここでEは直接結合、−O−、−OCO
−又は−COO−を表す)を表す。aは1〜12の整数
を表す。Lは、炭素数8〜32のアルキル基または炭素
数8〜32のアルケニル基を表す。p1 およびp2 は互
いに同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、ハロ
ゲン原子、シアノ基、炭素数1〜7の炭化水素基、−C
OO−D1 、または炭化水素基を介した−COO−D1
を表す(ここでD1 は水素原子または炭素数1〜22の
炭化水素基を示す)。
【0018】(2)分散された樹脂粒子が、一官能性単
量体(A)及び一官能性単量体(B)とともに、下記一
般式(II)で表されるアミノ基を有する、単量体(A)
と共重合可能な一官能性単量体(C)の少なくとも一種
を共存させて、重合造粒することによって得られる共重
合体樹脂粒子であることを特徴とする上記(1)記載の
静電式インクジェット用油性インク。
【0019】
【化7】
【0020】一般式(II)中、R1及びR2は各々同じで
も異なってもよく、水素原子又は炭素数1〜22の炭化
水素基を表すか、R1とR2が結合して窒素原子と共に環
を形成してもよい。
【0021】(3)分散された樹脂粒子が、一官能性単
量体(A)、一官能性単量体(B)及び一官能性単量体
(C)とともに、−PO3 2 基、−SO3H基及び−
SO2H基から選ばれる酸性基を少なくとも一種含有す
る、単量体(A)と共重合可能な一官能性単量体(D)
の少なくとも一種を共存させて、重合造粒することによ
って得られる共重合体樹脂粒子であることを特徴とする
上記(2)記載の静電式インクジェット用油性インク。
【0022】(4)前記分散安定用樹脂(P)が、その
重合体主鎖の片末端もしくは重合体共重合成分の置換基
中に、下記一般式(PII)で示される重合性二重結合基
を結合して成ることを特徴とする上記(1)〜(3)の
いずれかに記載の静電式インクジェット用油性インク。
【0023】
【化8】
【0024】一般式(PII)中、A2は−COO−、−
OCO−、−(CH2)bCOO−、−(CH2)bOCO
−、−O−、−SO2−、−CONHCOO−、−CO
NHCONH−、−CON(E1)−、−SO2
(E1)−またはフェニレン基を表す(ここでE1は水素
原子または炭素数1〜22の炭化水素基を示し、bは1
〜4の整数を示す)。q1 およびq2 は、互いに同じで
も異なっていてもよく、式(PI)中のp1、p2 と同
一の内容を表す。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明の静電式インクジェ
ット用油性インクについて説明する。本発明に用いる電
気抵抗109 Ω・ cm以上かつ誘電率3.5以下の非水担
体液としては、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、および
これらの炭化水素のハロゲン置換体、シリコーン液体ま
たはシリコーンオイルが挙げられる。
【0026】例えば、炭化水素系溶媒としては、ペンタ
ン、イソへプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、
イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカ
ン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパ
ーE、アイソパーG、アイソパーH,アイソパーL(ア
イソパー;エクソン社の商品名)、シェルゾール70、
シェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル社の商
品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムス
コ;スピリッツ社の商品名)等がある。
【0027】ハロゲン置換の炭化水素系溶媒としてフル
オロカーボン系溶媒があり、例えばC716、C818
どのCn2n2で表されるパーフルオロアルカン類(住
友3M社製「フロリナートPF5080」、「フローリ
ナートPF5070」(商品名)等)、フッ素系不活性
液体(住友3M社製「フロリナートFCシリーズ」(商
品名)等)、フルオロカーボン類(デュポンジャパンリ
ミテッド社製「クライトックスGPLシリーズ」(商品
名)等)、フロン類(ダイキン工業株式会社製「HCF
C−141b 」(商品名)等)、[F(CF2)4CH2
2I]、[F(CF2)6I]等のヨウ素化フルオロカー
ボン類(ダイキンファインケミカル研究所製「I−14
20」、「I−1600」(商品名)等)等がある。
【0028】シリコーン液体、シリコーンオイルのシリ
コン溶媒としては、ジアルキルポリシロキサン(例え
ば、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルジシロキ
サン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルトリ
シロキサン、ヘプタメチルトリシロキサン、デカメチル
テトラシロキサン、トリフロロプロピルヘプタメチルト
リシロキサン、ジエチルテトラメチルジシロキサン
等)、環状ジアルキルポリシロキサン(例えば、ヘキサ
メチルシクロトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリ
シロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テ
トラメチルシクロテトラシロキサン、テトラ(トリフロ
ロプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、
等)、メチルフェニルシリコンオイル(例えば、KF5
6、KF58(信越シリコン(株)製商品名)等)等が
挙げられる。
【0029】本発明では、これらの溶媒を単独または混
合して用いる。なお、このような非水担体液の電気抵抗
の上限値は1016Ωcm程度であり、誘電率の下限値は
1.80程度であることが好ましい。
【0030】本発明の油性インクにおける最も重要な構
成部分である非水系分散樹脂粒子(以下、ラテックス粒
子と称することもある)は、非水溶媒において、特定の
成分(式(PI))を含有する分散安定用樹脂(P)の
存在下に、一官能性単量体(A)の少なくとも一種及び
フッ素原子及び/又はケイ素原子を一官能性単量体
(B)の少なくとも一種、好ましくは更に一般式(II)
で示されるアミノ基を含有する単量体(C)の少なくと
も一種及び−PO3 2 基、−SO3H基及び−SO2
基から選ばれる酸性基を含有する一官能性単量体(D)
の少なくとも一種、を重合することによって重合造粒し
たものである。
【0031】ここで、非水溶媒としては、基本的には、
前記油性インクの非水担体液に混和するものであれば使
用可能である。
【0032】すなわち、分散樹脂粒子を製造するに際し
て用いる溶媒としては、前記担体液に混和するものであ
ればよく、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭
化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素およびこれら
のハロゲン置換体等が挙げられる。例えばオクタン、イ
ソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、
ドデカン、イソドデカン、アイソパーE、アイソパー
G、アイソパーH、アイソパーL、シェルゾール70、
シェルゾール71、アムスコOMS、アムスコ460溶
剤等を単独あるいは混合して用いる。
【0033】これらの有機溶媒と共に、混合して使用で
きる溶媒としては、アルコール類(例えば、エチルアル
コール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、フッ化アルコール
等)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、アセト
フェノン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル
類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、
酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート
等)、エーテル類(例えば、ジプロピルエーテル、エチ
レングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、
クロロホルム、ジクロロエタン、メチルクロロホルム
等)等が挙げられる。
【0034】これらの混合して使用する有機溶媒は、重
合造粒後、加熱あるいは減圧下で留去することが望まし
いが、ラテックス粒子分散物として、油性インクに持ち
込まれても、インクの抵抗が109 Ωcm以上、誘電率が
3.5以下という条件を満足できる範囲であれば問題と
ならない。
【0035】通常、樹脂分散物製造の段階で担体液と同
様の溶媒を用いることが好ましく、前述のごとく、直鎖
状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、
芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素などが挙げられ
る。
【0036】本発明における一官能性単量体(A)は、
非水溶媒には可溶であるが重合することによって不溶化
する一官能性単量体であればいずれでもよい。具体的に
は、例えば下記一般式(I)で表される単量体が挙げら
れる。
【0037】
【化9】
【0038】一般式(I)中、V1は−COO−、−O
CO−、−CH2 OCO−、−CH2COO−、−O
−、−CONHCOO−、−CONHOCO−、−SO
2−、−CON(Q1)−、−SO2N(Q1)−、またはフ
ェニレン基(以下、フェニレン基を「−Ph−」と記載
することもある。なお、フェニレン基は1,2−、1,
3−および1,4−フエニレン基を包含する。)を表
す。ここでQ1は、水素原子または炭素数1〜8の置換
されていてもよい脂肪族基(たとえば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2
−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキ
シエチル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メチルベ
ンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、3−フ
ェニルプロピル基、ジメチルベンジル基、フロロベンジ
ル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基
等)を表す。
【0039】Tは水素原子または炭素数1〜6の置換さ
れてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジ
クロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、2
−ブロモエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒド
ロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、
2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−シアノエ
チル基、3−シアノプロピル基、2−ニトロエチル基、
2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル
基、2−エトキシエチル基、トリメトキシシリルプロピ
ル基、3−ブロモプロピル基、4−ヒドロキシブチル
基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、
2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、
4−カルボキシブチル基、2−カルボキシアミドエチル
基、2−N−メチルカルボキシアミドエチル基、シクロ
ペンチル基、クロロシクロヘキシル基、ジクロロヘキシ
ル基等)を表す。
【0040】a1およびa2は互いに同じでも異なってい
てもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例え
ば、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3
のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基
等)、−COO−Q2または−CH2−COO−Q2〔こ
こでQ2は水素原子、または置換されてもよい炭素数1
0以下の炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル
基、アラルキル基、アリール基等を表す〕を表す。
【0041】具体的な一官能性単量体(A)としては、
例えば炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸(酢酸、プロピ
オン酸、酪酸、モノクロロ酢酸、トリフロロプロピオン
酸等)のビニルエステル類あるいはアリルエステル類;
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、
マレイン酸等の不飽和カルボン酸の炭素数1〜4の置換
されてもよいアルキルエステル類またはアミド類(アル
キル基として例えばメチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、
2−フロロエチル基、トリフロロエチル基、2−ヒドロ
キシエチル基、2−シアノエチル基、2−ニトロエチル
基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチ
ル基、2−ベンゼンスルホニルエチル基、2−カルボキ
シエチル基、4−カルボキシブチル基、3−クロロプロ
ピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−
フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−カル
ボキシアミドエチル基等);
【0042】スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニ
ルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、
クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、
ビニルベンゼンカルボン酸、クロロメチルスチレン、ヒ
ドロキシメチルスチレン、メトキシメチルスチレン、ビ
ニルベンゼンカルボキシアミド、ビニルベンゼンスルホ
アミド等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;マレイ
ン酸、イタコン酸の環状酸無水物;アクリロニトリル;
メタクリロニトリル;重合性二重結合基含有のヘテロ環
化合物(具体的には、例えば高分子学会編「高分子デー
タハンドブック−基礎編−」、p175〜184、培風
舘(1986年刊)に記載の化合物、例えば、N−ビニ
ルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロ
リドン、ビニルチオフェン、ビニルテトラヒドロフラ
ン、ビニルオキサゾリン、ビニルチアゾール、N−ビニ
ルモルホリン等)等が挙げられる。単量体(A)は2種
以上を併用してもよい。
【0043】次に、本発明に用いられる単量体(A)と
共重合可能な一官能性単量体(B)について説明する。
単量体(B)は、重合性二重結合基の側鎖置換基中に、
フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する一官能性単
量体である。
【0044】フッ素原子を含有する置換基としては、例
えば下記の1価又は2価の有機残基等が挙げられる。−
n(F)2n+1(nは1〜22の整数)、−CFH2
−CFHCl、−CFCl2 、−CF2Cl、−(C
2)mCF2H(mは0、又は1〜17の整数)、−CF
2−、−CFH−、−CFCl−
【0045】これらのフッ素原子含有の有機残基は組み
合わせて構成されていてもよく、その場合には、直接結
合してもよいし、他の連結基を介して組み合わされても
よい。連結する基としては、具体的には2価の有機残基
が挙げられ、−O−、−S−、−N(g1)−、−CO
−、−SO−、−SO2 −、−COO−、−OCO−、
−CONHCO−、−NHCONH−、−CON(g1)
−、−SO2 N(g1)−等から選ばれた結合基を介在さ
せてもよい、2価の脂肪族基もしくは2価の芳香族基、
又はこれらの2価の残基の組み合わせにより構成された
有機残基が挙げられる。ここで、g1 は炭素数1〜3の
アルキル基を表す。
【0046】ケイ素原子を含有する置換基としては、下
記のシロキサン構造(あるいはシリルオキシ構造)又は
シリル基を含有するものが好ましい。
【0047】
【化10】
【0048】上記構造において、R11及びR12並びにR
13、R14及びR15は互いに同じでも異なってもよく、各
々脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。R11〜R15
は各々、好ましくは置換されてもよい炭素数1〜18の
直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデ
シル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシ
ル基、2−フロロエチル基、トリフロロメチル基、2−
クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチ
ル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシ
エチル基、3−ブロモプロピル基、2−メチルカルボニ
ルエチル基、2,3−ジメトキシプロピル基、フッ化ア
ルキル基〔例えば−(CH2)hi2i+1基(但しhは1
〜6の整数、iは1〜12の整数を表す)基、−(CH
2)h−(CF2)j−R16基(但しjは0又は1〜12の整
数、R16基は炭素数1〜12のアルキル基、−CF
2H、−CFH2、−CF3を表す)、−CH(C
3)2 、−CF2Cl、−CFCl2 、−CFClH、
−CF(CF3)OCi2i+1、−OCi2i+1、−C(C
3)2OCi 2i+1等〕、
【0049】炭素数4〜18の置換されてもよいアルケ
ニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−
ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペン
テニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−
ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニ
ル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル
基、オクタデセニル基、リノレル基等)、炭素数7〜1
2の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチル
メチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、
ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル
基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメト
キシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい
脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチル
エチル基、ポリフロロヘキシル基、メチルシクロヘキシ
ル基、メトキシシクロヘキシル基等)、炭素数6〜12
の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナ
フチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル
基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシル
フェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル
基、ブトキシフェニル基、フロロフェニル基、クロロフ
ェニル基、ジフロロフェニル基、ブロモフェニル基、シ
アノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボ
ニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブト
キシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、
プロピオアミドフェニル基、トリフロロメチルフェニル
基等)、又は窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選ば
れる少なくとも1種の原子を含有する縮環してもよいヘ
テロ環基(例えばヘテロ環としては、ピラン環、フラン
環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール環、チアゾ
ール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペリジン環、
ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンツオキサゾー
ル環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等)等が挙げ
られる。
【0050】特に好ましくは、R11及びR12のいずれか
の置換基、そしてR13、R14及びR 15の中の2つ以上の
置換基が、各々、アルキル基またはアルケニル基から成
ることである。これらフッ素原子含有置換基、シロキサ
ン(あるいはシリルオキシ)構造含有置換基は、単量体
(B)中の分子中に複数個含有されてもよい。
【0051】以下に、単量体(B)の具体例を示すが、
本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0052】
【化11】
【0053】
【化12】
【0054】
【化13】
【0055】次に、一官能単量体(A)と共重合可能
な、前記一般式(II)で示されるアミノ基を含有する単
量体(C)について説明する。一官能性単量体(C)
は、単量体(A)と共重合可能で且つ重合性二重結合基
とアミノ基が直接結合していない単量体である。
【0056】式(II)中、R1 、R2 は、各々同じでも
異なってもよく、好ましくは水素原子又は炭素数1〜2
2の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オク
タデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基、2−クロ
ロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル
基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエ
チル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の
置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−
1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル
基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル
基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル
−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリ
デセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リ
ノレル基等)、
【0057】炭素数7〜12の置換されてもよいアラル
キル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェ
ニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチ
ル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベ
ンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジ
メチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数
5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘ
キシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペ
ンチルエチル基等)または炭素数6〜12の置換されて
もよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ト
リル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェ
ニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メ
トキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェ
ニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、
ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニ
ル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニ
ル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボ
ニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオア
ミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が
挙げられる。
【0058】また、R1とR2は結合して窒素原子と共に
感を形成する有機残基を表す。この有機残基は更にヘテ
ロ原子(例えば酸素原子、窒素原子、イオウ原子等)を
含有してもよい。形成される環状基としては、例えばモ
ルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジニル基、イミダゾリ
ル基、キノリニル基、等が挙げられる。アミノ基は、単
量体(C)の分子中に複数個含有されていてもよい。
【0059】以下に、単量体(C)の具体例を示すが、
本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
【化14】
【0061】次に、本発明に好ましく用いられる単量体
(A)と共重合可能な一官能性単量体(D)について説
明する。一官能性単量体(D)は、−PO32基、−S
3H基及び−SO2H基から選ばれる酸性基を少なくと
も1種を含有する、単量体(A)と共重合可能な単量体
である。単量体(D)を共存させることにより、本発明
の効果が更に有効に発揮される。
【0062】以下に、単量体(D)の具体例を示す。本
発明の範囲はこれらに限定されるものではない。但し、
0 は−PO32、−OPO32、−SO3H又は−S
2Hを表し、Y1 は−PO32、−SO3H又は−SO
2Hを表す。
【0063】
【化15】
【0064】
【化16】
【0065】本発明に供される単量体(A)及び単量体
(B)、更に必要に応じて単量体(C)及び単量体
(D)は、重合反応で共重合し、非水溶媒に不溶の樹脂
となる。単量体(B)は全単量体の総量に対して、好ま
しくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%
で用いる。単量体(C)を用いる場合の使用割合は全単
量体総量に対して1〜20重量%、好ましくは2〜15
重量%である。単量体(D)を用いる場合の使用割合
は、単量体(C)/単量体(D)で好ましくは0.2〜
2.5モル比、より好ましくは0.5〜2.0モル比の
範囲である。
【0066】また、本発明の非水溶媒に不溶性の樹脂
は、ガラス転移点0〜80℃または軟化点40〜100
℃の範囲が好ましく、更にガラス転移点10〜70℃ま
たは軟化点45〜80℃の範囲がより好ましい。これら
の熱的性質を示す共重合体となる様に単量体(A)及び
単量体(B)、必要に応じて単量体(C)更に必要に応
じて単量体(D)の組合せを選択することができる。上
記した所定の範囲内において、分散樹脂粒子の粒子径の
分布均一性、分散安定性、荷電安定性、画像の定着性、
吐出電極への粒子付着防止に特に優れた効果を示す。
【0067】本発明において、非水溶媒中で、単量体を
重合して生成した該溶媒不溶の重合体を安定な樹脂分散
物とするために用いられる分散安定用樹脂(P)は、前
記一般式(PI)で示される繰り返し単位を少なくとも
1種含有する重合体である。一般式(PI)で示される
成分は、油性インクに用いられる分散媒に可溶性となる
成分である。
【0068】式(PI)中、A1は、好ましくは−CO
O−、−OCO−、−CH2COO−、−CH2OCO−
又は−O−を表し、より好ましくは−COO−、−OC
O−、−CH2COO−を表す。
【0069】Lは好ましくは炭素数8〜32の置換され
てもよい、アルキル基又はアルケニル基を表す。置換基
としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素原子、
塩素原子、臭素原子等)、−O−D2、−COO−D2
−OCO−D2(ここで、D2は炭素数6〜22のアルキ
ル基を表し、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等で
ある)等が挙げられる。より好ましくは、Lは炭素数1
0〜22のアルキル基またはアルケニル基を表す。例え
ば、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシ
ル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコサニル
基、エイコサニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリ
デセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘ
キサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル
基、ドコセニル基等が挙げられる。
【0070】p1およびp2は、互いに同じであっても異
なってもよく、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子
(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シア
ノ基、炭素数1〜3のアルキル基、−COO−D3また
は−CH2COO−D3(ここで、D3は炭素数1〜22の
脂肪族基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデ
シル基、オクタデシル基、ドコサニル基、ペンテニル
基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセ
ニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセ
ニル基、オクタデセニル基等が挙げられ、これら脂肪族
基は前記Lで表したと同様の置換基を有していてもよ
い)を表す。より好ましくは、p1およびp2は、各々、
水素原子、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基等)、−COO−D4または
−CH2COO−D4(ここで、D4は炭素数1〜12のア
ルキル基またはアルケニル基を表し、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オ
クチル基、デシル基、ドデシル基、ペンテニル基、ヘキ
セニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、
等が挙げられ、これらアルキル基、アルケニル墓は前記
Lで表したと同様の置換基を有していてもよい)を表
す。
【0071】本発明の分散安定用樹脂(P)は、好まし
くは、上記一般式(PI)で示される繰返し単位に相当
する単量体と、該単量体と共重合し得る他の単量体とを
共重合して得られる共重合体成分を含有する共重合体で
ある。
【0072】共重合し得る他の単量体としては、重合性
二重結合基を含有すればいずれでもよく、例えば、アク
リル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不
飽和カルボン酸;炭素数6以下の不飽和カルボン酸のエ
ステル誘導体もしくはアミド誘導体;カルボン酸類のビ
ニルエステル類もしくはアリルエステル類;スチレン
類;メタクリロニトリル;アクリロニトリル;重合性二
重結合基含有の複素環化合物等が挙げられる。より具体
的には、前記した不溶化する単量体(A)と同一の内容
の化合物等が挙げられる。
【0073】分散安定用樹脂(P)における重合体成分
中、一般式(PI)で示される繰返し単位の成分は、重
合体全成分中、少なくとも50重量%以上であり、好ま
しくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以
上である。また、分散安定用樹脂(P)において、油性
インクに用いる分散媒に可溶性となる一般式(PI)で
示される共重合成分と共重合し得る他の単量体(例えば
該分散媒に不溶性となる単量体(A)に相当する重合成
分)とは、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれで
あってもよい。好ましくはブロック共重合である。
【0074】更に本発明の分散安定用樹脂(P)の好ま
しい態様としては、重合体主鎖の片末端もしくは重合体
共重合成分の置換基中に、前記一般式(PII)で示され
る重合性二重結合基を結合してなるもので(分散安定用
樹脂(PG)と称することもある)、該重合性二重結合
性基は、分散樹脂粒子を構成する単量体(A)と共重合
するいずれの官能基でもよい。
【0075】式(PII)中、A2は−COO−、−OC
O−、−(CH2)bCOO−、−(CH2)bOCO−、−
O−、−SO2−、−CONHCOO−、−CONHC
ONH−、−CONE1−、−SO2 NE1−またはフェ
ニレン基を表す(ここでE1は水素原子または炭素数1
〜22のアルキル基を示し、bは1〜4の整数を示
す)。また、フェニレン基の具体的態様は、式(PI)
中のA1におけるフェニレン基と同一の内容を表す。
【0076】q1およびq2は、互いに同じでも異なって
いてもよく、式(PI)中のp1またはp2と同義であ
り、同一の内容を表す。q1およびq2のいずれか一方が
水素原子であることがより好ましい。
【0077】また、A2において、−CON(E1)−、
−SO2 N(E1)−の連結基におけるE1は、水素原子
又はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基等のアルキル基を表す。
【0078】重合体主鎖の一方の片末端に結合した樹脂
(PG)の態様としては、例えば下記一般式(Pa)が
挙げられる。
【0079】
【化17】
【0080】一般式(Pa)中、G以外は、式(PI)
および(PII)中の各記号と同一の内容を表す。Gは重
合体主鎖の片末端に直接連結する結合、または任意の連
結基を介した結合基を表す。
【0081】結合基としては炭素−炭素結合(一重結合
あるいは二重結合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原
子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、
ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団
の任意の組合せで構成されるものである。例えば、
【0082】
【化18】
【0083】z1、z2は各々、水素原子、ハロゲン原子
(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シア
ノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基等)等を示す。z3、z4は各
々、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル
基、トリル基等)または−Oz5(z5は、z3における炭
化水素基と同一の内容を示す)を表す)等が挙げられ
る。
【0084】以上の如き重合体主鎖の片末端のみに結合
する一般式(PII)で示される重合性二重結合基につい
て、以下に具体的に示す。ただし、以下の具体例におい
て、Aは−H、−CH3 または−CH2 COOCH3
表し、Bは−Hまたは−CH 3 を表す。また、nは2〜
10の整数を表し、mは2または3を表し、tは1、2
または3を表し、pは1〜4の整数を表し、qは1また
は2を表す。
【0085】
【化19】
【0086】
【化20】
【0087】
【化21】
【0088】
【化22】
【0089】重合体主鎖の片末端にのみ重合性二重結合
基を結合してなる本発明の分散安定用樹脂(PG)は、
従来公知のラジカル重合(例えばiniferter 法等)、ア
ニオン重合あるいはカチオン重合によって得られるリビ
ングポリマーの末端に種々の二重結合基を含有する試薬
を反応させるか、あるいはこのリビングポリマーの末端
に「特定の反応性基」(例えば−OH、−COOH、−
SO3H、−NH2、−SH、−PO32、−NCO、−
NCS、
【0090】
【化23】
【0091】−COCl、−SO2Cl等)を含有した
試薬を反応させた後、高分子反応により重合性二重結合
基を導入する方法(イオン重合法による方法)、または
分子中に上記「特定の反応性基」を含有する重合開始剤
および/または連鎖移動剤を用いてラジカル重合させた
後、重合体主鎖の片末端にのみ結合した「特定の反応性
基」を利用して高分子反応を行うことにより重合性二重
結合基を導入する方法等の合成法によって容易に製造す
ることができる。
【0092】具体的には、大津隆行、高分子、33 (No.
3) 、222 (1984)、P.Dreyfuss & R.P.Quirk, Encycl. P
olym. Sci. Eng., 7 , 551 (1987)、中條善樹、山下雄
也「染料と薬品」、30, 232 (1985)、上田明、永井進
「化学と工業」、60、57 (1986)、P.F.Rempp & E.Frant
a, Advances in Polymer Science 、58、1 (1984)、伊
藤浩一「高分子加工」、35、262(1986) 、V.Percec, Ap
plied Polymer Science 、285 、97 (1984) 等の総説お
よびそれに引用の文献等に記載の方法に従って重合性二
重結合基を導入することができる。
【0093】さらに、具体的には、i)一般式(PI)で
示される繰り返し単位に相当する単量体の少なくとも1
種、および分子中に上記「特定の反応性基」を含有する
連鎖移動剤の混合物を重合開始剤(例えばアゾビス系化
合物、過酸化物等)により重合する方法、ii) 上記連鎖
移動剤を用いずに、分子中に上記「特定の反応性基」を
含有する重合開始剤を用いて重合する方法、あるいはii
i)連鎖移動剤および重合開始剤のいずれにも分子中に上
記「特定の反応性基」を含有する化合物を用いる方法、
等により架橋構造を有し、且つ重合体主鎖の片末端にの
み「特定の反応性基」を結合した重合体を合成し、次に
この「特定の反応性基」を利用して、高分子反応を行う
ことにより重合性二重結合を導入する方法が挙げられ
る。
【0094】用いる連鎖移動剤としては、例えば該「特
定の反応性基」または該「特定の反応性基」に誘導しう
る置換基を含有するメルカプト化合物{例えば、チオグ
リコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メル
カプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3
−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニ
ル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−[N−
(2−メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン
酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)アミノ]プロ
ピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニ
ン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプト
プロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン
酸、2−メルカプトエタノール、1−メルカプト−2−
プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メル
カプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−
メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジ
ノール等}、あるいは該「特定の反応性基」または該
「特定の反応性基」に誘導しうる置換基を含有するヨー
ド化アルキル化合物(例えばヨード酢酸、ヨードプロピ
オン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスル
ホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等)が挙げられ
る。好ましくはメルカプト化合物が挙げられる。
【0095】また、「特定の反応性基」または「特定の
反応性基」に誘導しうる置換基を含有する重合開始剤と
しては、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草
酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロライ
ド)、2,2’−アゾビス(2−シアノプロパノー
ル)、2,2’−アゾビス(2−シアノペンタノー
ル)、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−
3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)
プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−
[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシ
エチル]プロピオアミド}、2,2’−アゾビス{2−
メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチ
ル]プロピオアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチ
ル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオアミ
ド]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、
ベンジルN−メチル−N−ヒドロキシエチルジチオカル
バメート、2−カルボキシエチルN,N−ジエチルジチ
オカルバメート、3−ヒドロキシプロピルN,N−ジメ
チルジチオカルバメート等が挙げられる。
【0096】これらの連鎖移動剤または重合開始剤の使
用量は、各々全単量体100重量部に対して0.05〜
10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部であ
る。
【0097】また、重合体中の共重合成分の置換基中に
該重合性二重結合基を含有した樹脂(PG)の具体的態
様としては、例えば下記一般式(Pb)が挙げられる。
【0098】
【化24】
【0099】式(Pb)中、p1、p2、A1、L、q1
2は上記と同義である。x成分とy成分は、樹脂
(P)中に2種以上含有してもよい。t1、t2は前記p
1、p2と同義である。A3およびA4は、各々、式(PI
I)中のA2と同一の内容を表す。G0 は、結合基A3
結合基A4とを連結するヘテロ原子を介してもよい炭素
−炭素結合基(但し、ヘテロ原子としては、酸素原子、
イオウ原子、ケイ素原子または窒素原子である)を表
す。
【0100】結合基としては炭素−炭素結合(一重結合
または二重結合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子
としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケ
イ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団、
ヘテロ環基等の任意の組合わせで構成されるものであ
る。例えば、上記原子団としては、
【0101】
【化25】
【0102】〔r1 〜r4 は各々、水素原子、ハロゲン
原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、
シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。r5 〜r7
は各々、水素原子、アルキル基(例えばメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基等)等を示す。r8 〜r9
は各々、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基(例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェ
ニル基、トリル基等)または−Or10(r10は、r8
おける炭化水素基と同一の内容を示す)を表す〕等が挙
げられる。
【0103】また、ヘテロ環基としては、酸素原子、イ
オウ原子、窒素原子等のヘテロ原子含有の複素環(例え
ばチオフェン環、ピリジン環、ピラン環、イミダゾール
環、ベンゾイミダゾール環、フラン環、ピペリジン環、
ピラジン環、ピロール環、ピペラジン環等)等が挙げら
れる。
【0104】一般式(Pb)中のy成分において、結合
基:〔−V4−Z−V3−〕で構成される連結主鎖は、原
子数の総和が8以上から構成されるものが好ましい。こ
こで、連結主鎖の原子数とは、例えば、V4が−COO
−、−CONH−を表す場合、オキソ基(=O基)や水
素原子はその原子数として含まれず、連結主鎖を構成す
る炭素原子、エーテル型酸素原子、窒素原子はその原子
数として含まれる。従って、−COO−や−CONH−
は原子数2として数えられる。
【0105】以下に、重合性結合基を含む繰り返し単位
(y成分)についての具体例を示すが、本発明は、これ
らに限定されるものではない。下記式中、各記号は以下
の内容を表す。
【0106】
【化26】
【0107】
【化27】
【0108】
【化28】
【0109】本発明の分散安定用樹脂(P)は、従来公
知の合成方法によって容易に合成することができる。す
なわち、樹脂中に、重合性二重結合基を含有した共重合
成分(y成分)を導入する方法としては、予め「特定の
反応性基」(例えば−OH、−COOH、−SO3H、
−NH2 、−SH、−PO32、−NCO、−NCS、
−COCl、−SO2Cl、エポキシ基等)を含有した
単量体を一般式(Pb)におけるx成分に相当する単量
体とともに重合反応させた後に、重合性二重結合基を含
有する反応性試薬を反応させた後、高分子反応により重
合性反応性基を導入する方法が挙げられる。
【0110】具体的には、前記した重合体主鎖片末端に
重合性二重結合基含有の樹脂(P)で例示した総説およ
びそれに引用の文献等に記載の方法に従って重合性二重
結合基を導入することができる。
【0111】また他の方法としては、ラジカル重合反応
における共重合反応性が異なる二官能性単量体を用い
て、x成分に相当する単量体とともに重合反応させて、
ゲル化反応を生じることなく一般式(Pb)で示される
共重合体を合成する特開昭60−185962号記載の
方法等が挙げられる。
【0112】一般式(Pb)で示される樹脂において、
x成分とy成分の存在割合は、90/10〜99/1重
量比であり、好ましくは92/8〜98/2重量比であ
る。この範囲内において、重合造粒反応時において、反
応混合物のゲル化あるいは生成する樹脂粒子の粗大粒径
化を生じることなく且つ得られた粒子の分散安定性・再
分散安定性が良好となる。
【0113】また、本発明に供される分散安定用樹脂
(PG)は、一般式(Pa)又は(Pb)で示される各
繰り返し単位とともに、他の繰り返し単位を共重合成分
として含有してもよい。他の共重合成分としては、一般
式(Pa)又は(Pb)の各々の繰り返し単位に相当す
る単量体と共重合可能な単量体よりなるものであればい
ずれの化合物でもよい。しかし、多くても全重合体成分
100重量部中の20重量部を超えない範囲で用いられ
ることが好ましい。20重量部以下において、分散樹脂
粒子の良好な分分散安定性が得られる。
【0114】本発明の分散安定用樹脂(P)の重量平均
分子量(Mw)は、2×104 〜10×106 が好まし
く、より好ましくは3×104 〜2×105 である。
【0115】本発明で用いられる分散樹脂粒子を製造す
るには、一般に、前述のような分散安定用樹脂(P)、
単量体(A)及び単量体(B)(必要に応じて単量体
(C)、更に必要に応じて単量体(D))を非水溶媒中
で過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、ブ
チルリチウム等の重合開始剤の存在下に加熱重合させれ
ばよい。具体的には、分散安定用樹脂(P)、単量体
(A)及び単量体(B)の混合溶液中に重合開始剤を添
加する方法、分散安定用樹脂(P)を溶解した溶液中
に各単量体(A)及び単量体(B)を重合開始剤ととも
に滴下していく方法、または、分散安定用樹脂(P)
を溶解した溶液中に、単量体(A)の半量と単量体
(B)の混合物及び単量体(A)の半量、必要に応じて
単量体(C)、更に必要に応じて単量体(D)及び重合
開始剤の混合物を別々に同時に滴下していく方法等があ
り、いずれの方法を用いても製造することができる。
【0116】単量体(A)及び単量体(B)の総量は、
非水溶媒100重量部に対して、好ましくは10〜10
0重量部程度であり、より好ましくは10〜80重量部
である。分散安定用樹脂(P)は上記で用いられる全単
量体100重量部に対して、好ましくは3〜25重量部
であり、より好ましくは5〜20重量部である。重合開
始剤の量は全単量体の0.1〜10重量%が適切であ
る。また、重合温度は40〜180℃程度が好ましく、
より好ましくは50〜120℃である。反応時間は3〜
15時間が好ましい。
【0117】反応に用いた非水溶媒中に、前記したアル
コール類、ケトン類、エーテル類、エステル類等の極性
溶媒を併用した場合あるいは、重合造粒化される単量体
(A)の未反応物が残存する場合、該溶媒あるいは単量
体の沸点以上に加温して留去するかあるいは、減圧留去
することによって除くことが好ましい。
【0118】以上の如くして本発明により製造された非
水系分散樹脂粒子は、微細でかつ粒度分布が均一な粒子
として存在する。その平均粒径は、好ましくは0.15
〜5μm、より好ましくは0.2〜1.5μmである。
この粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品
名)により求めることができる。
【0119】また、本発明の分散樹脂の平均重量分子量
(Mw)は好ましくは5×103 〜1×106 であり、
より好ましくは8×103 〜5×105 である。また本
発明の分散樹脂は、その熱物性として、ガラス転移点が
15℃〜80℃または軟化点35℃〜120℃が好まし
く、より好ましくはガラス転移点20℃〜60℃または
軟化点38℃〜90℃である。
【0120】本発明の油性インクは分散樹脂粒子の分散
安定性、再分散安定性、保存安定性に優れ、且つ、画像
形成後の迅速な定着性が良好で、印刷時にも充分な強度
が保たれ高刷性を示す。即ち、非常に安定な分散性を示
し、特に記録装置内において、長く繰り返し使用をして
も分散性がよく、且つ再分散も容易であり、装置の各部
に付着し汚れを生じることが全く認められない。
【0121】さらには、インク画像形成後の、加熱等で
迅速処理で定着すると、容易に平版印刷版用原版の表面
に強固な被膜が形成され、良好な定着性を示した。その
ことにより、オフセット印刷においても、多数枚の印刷
(高耐刷性)が可能となる。以上のような効果をもたら
す本発明の油性インクは、本発明によって供される不溶
性ラテックスによって可能となる。
【0122】更に好ましくは、一般式(PI)で示され
る可溶性成分と不溶性成分のブロック共重合体から成る
分散安定用樹脂(P)を用いることであり、その場合に
は、不溶性樹脂粒子に分散安定用樹脂(P)の不溶性成
分のブロック部が充分に吸着する。あるいは、重合性二
重結合性基を含有する分散安定用樹脂(PG)を用いる
ことであり、その場合には、樹脂(PG)が不溶性樹脂
粒子と化学結合する。これにより、分散樹脂粒子に充分
に吸着もしくは化学結合した分散安定用樹脂(P)の可
溶性成分の分散媒への親和性向上により、いわゆる立体
反発効果をもたらすものと考えられる。
【0123】本発明に供される油性インク中の前記分散
樹脂粒子は荷電調整剤(CD)を共存させることによ
り、正荷電性に荷電される。これら粒子に検電性を付与
するには、湿式静電写真用現像剤の技術を適宜利用する
ことで達成可能である。具体的には、「最近の電子写真
現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148
頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497
〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写
真」16(N0.2)、44頁(1977年)等に記載の検電材料お
よび他の添加剤を用いることで行なわれる。
【0124】例えば、金属セッケン類として、炭素数6
〜24の脂肪酸(例えば2−エチルヘキシン酸、2−エ
チルカプロン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、エライジ
ン酸、リノレイン酸、リシノール酸、オレイン酸、ステ
アリン酸、エナント酸、ナフテン酸、エチレンジアミン
四酢酸等)、樹脂酸、ジアルキルコハク酸、アルキルフ
タル酸、アルキルサリチル酸等の金属塩(金属イオンの
金属としてNa、K、Li、B、Al、Ti、Ca、P
b、Mn、Co、Zn、Mg、Cl、Ag、Cd、Z
r、Cu、Fe、Ba、等)が挙げられる。具体例は米
国特許3, 411, 936号、同3, 900, 412
号、特公昭49−27707号、特開昭51−3765
1号、同52−38937号、同52−107837
号、同53−123138号等に記載されている。
【0125】有機リン酸またはその塩類として炭素数3
〜18のアルキル基から成るモノ、ジあるいはトリアル
キルリン酸あるいはジアルキルジチオリン酸等が英国特
許1, 411, 739号、同1,276,363号等に
例示される。有機スルホン酸あるいはその塩類として、
長鎖脂肪族スルホン酸、長鎖アルキルベンゼンスルホン
酸、ジアルキルスルホコハク酸等あるいはその金属塩等
が特公昭47−37128号、特開昭53−12313
8号、同51−47437号、同50−79640号、
同53−30340号等に挙げられる。
【0126】両性界面活性化合物として、レシチン、セ
ハリン等のリン脂質(例えば特公昭51−47046号
等)、炭素数8以上のアルキル基含有のβ−アラニン類
(特開昭50−17642号,同49−17741号
等)等、β−ジケトン類の金属錯体(特公昭49−27
707号等)、マレイン酸半アミド成分を含有する共重
合体(例えば特公平6−19596号、同6−1959
5号、同6−23865号等)等が挙げられる。
【0127】これらの荷電調整剤(CD)は単独または
2種以上を組み合わせて用いることができる。上述のよ
うな荷電調節剤は、担体液体である分散媒1000重量
部に対して0.001〜1.0重量部用いることが好ま
しい。
【0128】本発明の油性インクは、少なくともフッ素
原子及び/又はケイ素原子を含有する単量体(B)を含
有する分散樹脂粒子と上記の様な荷電調整剤(CD)と
からなる正荷電性粒子を分散してなるものである。
【0129】本発明の油性インクを前記WO93/11
866号公報開示の静電式インクジェット記録方式で画
像形成を行なう方法に用いると、微少ドットの吐出及び
高速印字速度においても印字されるインクドットの欠落
やドットの形状の変形を生じることなく高精細な画像が
形成され且つ印字されたドットの画像の膜厚も1μm以
上が充分に保持される。このことは、油性インク中の正
荷電樹脂粒子が、吐出電極表面部に形成されたインクメ
ニスカス中で、静電界印加により速みやかに電気泳動し
て粒子が濃縮され、画像信号に伴なうパルス電圧印加に
完全に対応して吐出されるためと考えられる。
【0130】上記の静電式インクジェット記録方式にお
いては、画像形成時における電界強度は、低すぎると良
好な吐出性が得られないことがあるので、約1×105
V/cm以上が適当である。他方、あまりに高すぎる
と、ドット分裂やサテライトの発生が生じ、画質が低下
する傾向があるため、約1×108V/cm以下が好ま
しい。より好ましくは2×105から5×107V/cm
の範囲である。
【0131】またこの方式で使用される油性インクは、
インク中での分散粒子の荷電量の割合(粒子の荷電分
率)が高いことが好ましい。粒子の荷電分率が低いと、
粒子の濃縮が起こり難く、必要な画質の厚みが得られ
ず、従って、印刷版としての耐刷性が劣る。具体的に
波、粒子の荷電分率は約10%以上が適当で、好ましく
は30%以上、より好ましくは40%以上である。粒子
の荷電分率及びその算出法については後で述べる。
【0132】本発明の油性インクの表面張力は、低すぎ
るとヘッドからインクがこぼれ出し易くなり安定性が劣
化する傾向があるので、約15dyn/cmから30d
yn/cmの範囲である。また、油性インクの粘度は、
低すぎるとヘッドからインクがこぼれ出し易くなり安定
性が劣化する傾向にあるので、約0.4cP以上が適当
である。他方あまりに高すぎると吐出性が低下するの
で、約15cP以下が好ましい。より好ましくは0.5
cPから10cPの範囲である。
【0133】更には、本発明の油性インクは長期間保存
後、あるいは高温・高湿(例えば40℃/80RH%)
下に保存後に、インクジェット記録を行なってもインク
製造直後のフレッシュ品と全く変わらない性能を示す。
これは本発明の油性インクの荷電特性、特に正荷電粒子
の荷電性が安定に維持されていることによると考えられ
る。
【0134】本発明の油性インクには更に所望により各
種添加剤を加えてもよく、それら添加物の総量は、油性
インクの電気抵抗によってその上限が規制される。即
ち、分散粒子を除去した状態のインクの電気低抗が10
9 Ωcmより低くなると良質の連続階調像が得られ難く
なるので、各添加物の添加量を、この限度内でコントロ
ールすることが必要である。
【0135】本発明に供される油性インク中には、前記
の分散樹脂粒子とともに、製版後の版を検版する等のた
めに着色成分として色材を含有させることが好ましい。
【0136】色材としては、従来から油性インク組成物
または静電写真用液体現像剤に用いられている顔料およ
び染料であればいずれも使用可能である。
【0137】顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わ
ず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用
することができる。具体的には、例えば、カーボンブラ
ック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイ
エロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化ク
ロム、ピリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリン
ブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔
料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソ
インドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔
料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系
顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公
知の顔料を特に限定することなく用いることができる。
【0138】染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、
ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、
カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染
料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロ
ソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロ
シアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染
料が好ましい。
【0139】これらの顔料および染料は、単独で用いて
もよいし、適宜組み合わせて使用することも可能である
が、インク全体に対して0.05〜5重量%の範囲で含
有されることが望ましい。
【0140】これらの色材は、分散樹脂粒子とは別に色
材自身を分散粒子として非水溶媒中に分散させてもよい
し、分散樹脂粒子中に含有させてもよい。含有させる場
合の方法の1つとしては、特開昭57−48738号な
どに記載されている如く、分散樹脂物を、好ましい染料
で染色する方法がある。あるいは、他の方法として、特
開昭53−54029号などに開示されている如く、分
散樹脂物と染料を化学的に結合させる方法があり、ある
いは、また、特公昭44−22955号等に記載されて
いる如く、重合造粒法で製造する際に、予め色素を含有
した単量体を用い、色素含有の共重合体とする方法があ
る。
【0141】次に、本発明の油性インクを用いた静電式
インクジェット方法による被転写材への画像形成方法に
ついて説明する。ここでは被転写材として印刷用原版を
用いて画像形成(製版)し、印刷版とする方法を例にし
て説明する。
【0142】印刷用原版は、平版印刷可能な親水性表面
を有する原版と、疎水性表面から成る原版の2つに大別
されるが、いずれのものも用いることができる。前者は
支持体自体が親水性表面を有するものと支持体上に親水
性表面を有する画像受理層を持つものである。
【0143】平版印刷可能な親水性表面を有する耐水性
支持体は、平版印刷に適した親水性表面を提供するもの
であればよく、従来オフセット印刷版に供される支持体
をそのまま用いることができる。具体的には、アルミニ
ウム板、亜鉛板、銅−アルミニウム板、銅−ステンレス
板、クロム−銅板、等のバイメタル板、クロム−銅−ア
ルミニウム板、クロム−鉛−鉄板、クロム−銅−ステン
レス板等のトライメタル板等の親水性表面を有する基板
が用いられる。また、これら金属板とプラスチックシー
トや紙との積層体も用いられる。その厚さは0.1〜3
mm、特に0.1〜1mmが好ましい。
【0144】アルミニウムの表面を有する支持体の場合
には、砂目立て処理、ケイ酸ナトリウム、フッ化ジルコ
ニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、又
は陽極酸化処理等の表面処理がなされていることが好ま
しい。また、米国特許2,714,066号に記載され
ている如く、砂目立てしたのちにケイ酸ナトリウム水溶
液に浸漬処理されたアルミニウム板、特公昭47−51
25号に記載されているように、アルミニウム板を陽極
酸化処理したのち、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸
漬処理したものも好適に使用される。
【0145】上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロ
ム酸、硫酸、ほう酸等の無機酸、もしくはシュウ酸、ス
ルファミン酸等の有機酸又はこれらの塩の水溶液又は非
水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でア
ルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施さ
れる。また、米国特許3,658,662号に記載され
ているようなシリケート電着も有効である。西独特許公
開1,621,478号に記載のポリビニルスルホン酸
による処理も適当である。
【0146】本発明のインク及び記録方法の組み合せに
よれば、金属表面への画像形成においても、インク中の
粒子が充分濃縮した状態で印字されることで印字された
表面上で、インクが滲み、画像滲みを生じることがな
い。
【0147】これらの親水化処理は、支持体の表面を親
水性とするために施される他に、その上に設けられるト
ナー画像との密着性向上のために施されるものである。
また、支持体とインク画像との間との密着性を調節する
ために、支持体表面に表面層を設けてもよい。
【0148】プラスチックシート又は紙を支持体とする
場合には、インク画像部以外が親水性でなければならな
いことから、親水性を有する表面層(画像受理層)を設
けたものが供される。具体的には、公知の直描型平版印
刷用原版又はかかる原版の画像受理層と同様の層を有す
る版材を用いることができる。
【0149】例えば、画像受理層としては、水溶性バイ
ンダー、無機顔料及び耐水化剤を主成分として構成され
る。バインダーとしてはPVA、カルボキシPVAのよ
うな変性PVA、澱粉及びその誘導体、CMC、ヒドロ
キシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリビニ
ルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチ
レン−マレイン酸共重合体等の水溶性樹脂が使用され
る。
【0150】耐水化剤としてはグリオキザール、メラミ
ンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等
のアミノブラストの初期縮合物、メチロール化ポリアミ
ド樹脂のような変性ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリ
アミン・エピクロルヒドリン付加物、ポリアミドエピク
ロルヒドリン樹脂、変性ポリアミドポリイミド樹脂等が
挙げられる。無機顔料としてはカオリン、クレー、炭酸
カルシウム、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリ
ウム、アルミナ等が挙げられるが、中でシリカが好まし
い。
【0151】その他、画像受理層中には塩化アンモニウ
ム、シランカップリング剤等の架橋剤を併用できる。
【0152】他方、疎水性表面から成る画像受理層を有
する印刷用原版は、画像形成した後、非画像部を不感脂
化処理により不感脂化(即ち、印刷インク反発性の親水
性の表面に変換する)を行ない印刷版とする。
【0153】これらの原版としては、画像受理層が、酸
化亜鉛と結着樹脂とを少なくとも含有する画像受理層を
有する印刷用原版、不感脂化処理(処理液、光照射、加
熱処理等)で疎水性結着樹脂が化学反応して親水性結着
樹脂に変換する結着樹脂を少なくとも含有する画像受理
層を有する印刷用原版(例えば、特開平1−22639
4号、特公平7−94191号等記載)等が挙げられ
る。
【0154】酸化亜鉛および結着樹脂を少なくとも含有
する画像受理層を有する平版印刷用原版について説明す
る。
【0155】用いられる酸化亜鉛は、例えば日本顔料技
術協会編「新版顔料便覧」319頁、(株)誠文堂、
(1968年刊)に記載のように、酸化亜鉛、亜鉛華、
湿式亜鉛華あるいは活性亜鉛華として市販されているも
ののいずれでもよい。即ち、酸化亜鉛は、出発原料およ
び製造方法により、乾式法としてフランス法(間接
法)、アメリカ法(直接法)および湿式法と呼ばれるも
のがあり、例えば、正同化学(株)、堺化学(株)、白
水化学(株)、本荘ケミカル(株)、東邦亜鉛(株)、
三井金属工業(株)等の各社から市販されているものが
挙げられる。
【0156】画像受理層の酸化亜鉛量が少なくなると不
感脂化処理による画像受理層表面の親水化が不充分とな
り、あまり多くなると必要な結着樹脂量が確保できなく
なって好ましくない。酸化亜鉛の画像受理層における含
有量は10〜25wt%、さらには12〜22wt%で
あることが好ましい。
【0157】本発明の画像受理層に供される結着樹脂
は、前記したように、酸化亜鉛とともに画像受理層を構
成し、その表面の接触角が前記の所定の範囲となるよう
な疎水性樹脂であり、その樹脂の分子量は、重量平均分
子量Mwで、好ましくは103〜105 、より好ましく
は5×103 〜5×105 である。また、この樹脂のガ
ラス転移点は好ましくは0℃〜120℃、より好ましく
は10〜90℃である。
【0158】具体的には、スチレン共重合体、メタクリ
レート共重合体、アクリレート共重合体、酢酸ビニル共
重合体、ポリビニルブチラール、アルキド樹脂、エポキ
シ樹脂、エポキシエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リウレタン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で
用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0159】画像受理層には、上記した成分とともに、
他の構成成分を含有させてもよい。含有されていてもよ
い他の成分は、酸化亜鉛の他の無機顔料があり、このよ
うな無機顔料としては、例えば、カオリン、クレー、炭
酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、シリカ、アル
ミナ等が挙げられる。これらの他の無機顔料を併用する
場合は、酸化亜鉛に対して、20重量部をこえない範囲
で用いることができる。
【0160】更には、画像受理層の不感脂化向上のため
に、特開平4−201387号、同4−223196
号、同4−319491号、同5−58071号、同4
−353495号、同5−119545号各公報等に記
載の特定の官能基を含有するアクリル酸樹脂粒子等の樹
脂粒子を含有させてもよい。これらの樹脂粒子は通常球
状であり、その平均粒径は0.1〜2μmであることが
好ましい。樹脂粒子の含有量は画像受理層の20重量%
以下が好ましい。
【0161】これらの他の無機顔料または樹脂粒子が用
いられることで不感脂化処理による非画像部の不感脂化
(親水性)が充分になされ、印刷物の地汚れが抑制さ
れ、また画像部が画像受理層と充分に密着し、印刷枚数
が多くなっても画像の欠損を生じることなく充分な耐刷
性を得ることができる。
【0162】その他、画像受理層には、膜強度をより向
上させるために架橋剤を添加してもよい。
【0163】結着樹脂は、画像受理層組成物を塗布した
後、光および/または熱硬化されることが好ましい。熱
硬化を行なうためには、例えば、乾燥条件を従来の画像
受理層作製時の乾燥条件より厳しくする。例えば、乾燥
条件を高温度および/または長時間とするか、あるいは
塗布溶剤の乾燥後、更に加熱処理することが好ましい。
例えば60℃〜150℃で5〜120分間処理する。反
応促進剤を併用すると、より穏やかな条件で処理するこ
とができる。
【0164】また、樹脂中の特定の官能基を光硬化して
もよく、光照射で硬化する方法としては、化学的活性光
線で光照射する工程を入れるようにすればよい。化学的
活性光線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子
線、X線、γ線、α線などいずれでもよいが、好ましく
は紫外線、より好ましくは波長310nmから波長500
nmの範囲の光線である。一般には低圧、高圧あるいは超
高圧の水銀ランプ、ハロゲンランプなどが用いられる。
光照射の処理は通常5cm〜50cmの距離から10秒〜1
0分間の照射で充分に行なうことができる。
【0165】画像受理層の厚さは、原版1m2 当りの画
像受理層組成物の塗布量(乾燥後)で示して3〜30g
程度とすることが好ましい。また、この画像受理層は通
常3〜50vol %、好ましくは10〜40vol %程度の
空孔率を有するものがよい。
【0166】画像受理層は耐水性支持体上に設けられ
る。耐水性支持体としては、耐水化処理を施した紙、プ
ラスチックフィルムあるいは金属箔をラミネートした紙
またはプラスチックフィルム等を用いることができる。
【0167】支持体は、画像受理層に隣接する側の表面
の平滑性が、ベック平滑度で300(秒/10cc)以
上、好ましくは900〜3000(秒/10cc)に調整
されていることが好ましく、より好ましくは1000〜
3000(秒/10cc)であることが好ましい。
【0168】支持体の画像受理層に隣接する側の表面の
平滑性をベック平滑度で300(秒/10cc)以上に規
制することによって、画像再現性および耐刷性をさらに
向上させることができる。このような向上効果は、画像
受理層自体の表面の平滑性が同じであっても得られるも
のであり、支持体表面の平滑性が増すことで画像部と画
像受理層との密着性が向上したためと考えられる。
【0169】このような耐水性支持体の高平滑な表面と
は、画像受理層が直接塗布される面のことをいい、例え
ば支持体上に後述するアンダー層、オーバーコート層を
設ける場合には、そのアンダー層、オーバーコート層の
表面のことをいう。これにより支持体の表面の凹凸を受
けることなく上記のように表面状態が調整された画像受
理層が充分に保持され、より一層の画質向上が可能とな
る。
【0170】上記平滑度の範囲に設定する方法として
は、種々従来公知の方法を用いることができる。具体的
には、基体表面を樹脂により、溶融接着する方法、高平
滑の熱ローラーによるカレンダー強化法等の方法によ
り、支持体の表面のベック平滑度を調整する方法等を挙
げることができる。
【0171】上記樹脂を溶融接着する方法として、押出
ラミネート法によって被覆されることが好ましい。この
押出ラミネート法によって被覆することにより、所望の
平滑度に調整した支持体を作ることができる。押出ラミ
ネート法とは樹脂を溶融し、これをフィルムにしてから
直ちに原紙に圧着後、冷却してラミネートする方法であ
り、種々の装置が知られている。このようにしてラミネ
ートされる樹脂層の厚さは製造安定性の点から10μm
以上である。好ましくは10μm〜30μmである。
【0172】また、上記のように支持体と画像受理層と
の間に耐水性および層間接着性を向上する目的でアンダ
ー層を、また画像受理層とは反対の支持体面にカール防
止を目的としてバックコート層(裏面層)を設けること
ができるが、バックコート層は、その平滑度が150〜
700(秒/10cc)の範囲であることが好ましい。こ
れにより、印刷版をオフセット印刷機に給版する場合
に、ズレやスベリを生じることなく印刷版が正確に印刷
機にセットされる。
【0173】このような支持体のアンダー層とバックコ
ート層の平滑度をそれぞれに調整する場合には、例えば
アンダー層形成後に一旦カレンダー処理を行ない、バッ
クコート層形成後再度カレンダー処理をするというよう
に、カレンダー処理の工程を複数回実施したり、また、
後述するようなアンダー層およびバックコート層の例え
ば顔料の割合・粒度等の組成上の調整とカレンダー処理
条件の調整との組合わせにより平滑度をコントロールす
ることが望ましい。
【0174】原版に供せられる基体としては例えば木材
パルプ紙、合成パルプ紙、木材パルプと合成パルプの混
抄紙、不織布、プラスチックフィルム、布、金属シー
ト、これらの複合シート状物等の基体をそのまま用いる
ことができる。また、特定の平滑度を得るために、およ
び耐水性、その他特性を調整するために、上記基体上に
後述のアンダー層やバックコート層に使用される疎水性
樹脂、水分散性または水溶性樹脂や顔料等からなる塗料
が含浸処理されていてもよい。
【0175】平版印刷用原版に要求される例えば記録特
性、耐水性、耐久性等の印刷適性を満たすとともに、前
記のように所望の平滑度に調整すべく前記基体上にアン
ダー層およびバックコート層を設けた支持体を用いるこ
とが好ましい。このようなアンダー層およびバックコー
ト層は、樹脂、顔料等を含有する塗液を支持体上に塗布
・乾燥したり、ラミネートすることにより形成される。
ここで使用される樹脂としては、各種の樹脂が適宜選択
して用いられる。具体的には、疎水性樹脂としては、例
えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹
脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、酢酸ビニ
ル系樹脂等が挙げられ、親水性樹脂としては例えばポリ
ビニルアルコール系樹脂、セルロール系誘導体、でんぷ
んおよびその誘導体、ポリアクリルアミド系樹脂、スチ
レン無水マレイン酸系共重合体等が挙げられる。
【0176】また、顔料としてはクレー、カオリン、タ
ルク、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、雲母類等が挙げ
られる。これら顔料は所望の平滑度を達成するために、
その粒度を適宜選択して用いることが好ましく、例えば
アンダー層においては比較的高度の平滑性が要求される
ことから、小粒径のものや大粒子をカットして具体的に
は8μm以下、好ましくは0.5〜5μm程度の粒度の
顔料が好ましく用いられる。また、バックコート層にお
いてはアンダー層と比べて低めの平滑度が要求されるこ
とから、粒度の大きめのもの、具体的には0.5〜10
μm程度の粒度の顔料が好ましく用いられる。上記のよ
うな顔料は、樹脂100重量部に対して、アンダー層に
おいては80〜150重量部、バックコート層において
は80〜200重量部の割合で使用されるのが好まし
い。なお、アンダー層およびバックコート層は優れた耐
水性を得るために、例えばメラミン系樹脂、ポリアミド
エピクロルヒドリン系樹脂等の耐水化剤を含有すること
が効果的である。なお、上記の粒径は走査型電子顕微鏡
(SEM)写真により測定することができる。また、粒
子が球状でないときは投影面積を円に換算して求めた直
径である。
【0177】平版印刷用原版を作るには一般に、支持体
の一方の面に、必要あればアンダー層成分を含む溶液を
塗布乾燥してアンダー層を形成し、さらに必要あれば他
方の面にバックコート層成分を含む溶液を塗布乾燥して
バックコート層を形成した後、画像受理層成分を含む塗
布液を塗布乾燥して画像受理層を形成すればよい。な
お、画像受理層、アンダー層、バックコート層の塗布量
は、それぞれ1〜30g/m2 、特に6〜20g/m2
が適当である。さらに好ましくは、アンダー層もしくは
バックコート層を設けた耐水性支持体の膜厚としては、
90〜130μmの範囲、好ましくは100〜120μ
mの範囲である。
【0178】次に、前記した平板印刷原版(以下「マス
ター」とも称する)上に画像を形成する方法を説明す
る、このような方法を実施する装置系としては例えば図
1に示すものがある。図1に示す装置系は、油性インク
を使用するインクジェット記録装置1を有するものであ
る。
【0179】図1のように、まず、マスター2に形成す
べき画像(図形や文章)のパターン情報を、コンピュー
タ3のような情報供給源から、バス4のような伝達手段
を通し、油性インクを使用するインクジェット記録装置
1に供給する。記録装置1のインクジェット記録用ヘッ
ド10は、その内部に油性インクを貯え、記録装置1内
にマスター2が通過すると、前記情報に従い、インクの
微小な液滴をマスター2に吹き付ける。これにより、マ
スター2に前記パターンでインクが付着する。こうして
マスター2に画像を形成し終え、製版マスター(製版印
刷原版)を得る。
【0180】図1の装置系におけるようなインクジェッ
ト記録装置の構成例を図2および図3に示す。図2はこ
のようなインクジェット記録装置のヘッドの一部を示す
図であり、図3はさらにその構造を詳述するための図で
ある。
【0181】インクジェット記録装置に備えられている
ヘッド10は、図2に示すようにプラスチックやセラミ
ック等の絶縁性材料から作成されたヘッド本体14とメ
ニスカス規制板15、16からなる。図中、17は吐出
を行うために電圧印加を行う吐出電極である。さらにヘ
ッドから規制板15、16を取り除いた図3によりヘッ
ド本体について詳述する。
【0182】ヘッド本体14にはヘッド本体のエッジに
垂直に、インクを循環させるためのインク溝3が複数設
けてあり、その内部には吐出電極17を設けている。隣
り合う2つのインク溝は1つのセルを形成し、その中心
にある隔壁19の先端部には吐出部20、20′を設け
ている。吐出部20、20′では隔壁は他の隔壁部分1
9に比べ薄くなっており、尖鋭化されている。吐出部は
20′のように先端をわずかに面取りされていてもよ
い。図中には2つのセルのみを示しているが、セルの間
は隔壁21で仕切られ、その先端部22は吐出部20、
20′よりも引っ込むように面取りされている。
【0183】このヘッドに対し、図示されないインク供
給手段によりI方向からインク溝を通してインクを流
し、吐出部にインクを供給する。さらに図示されないイ
ンク回収手段により余剰なインクはO方向に回収され、
その結果、吐出部には常時、新鮮なインクが供給され
る。この状態で、吐出部に対抗する形で設けられ、その
表面にマスター2を保持した図示されない対抗電極に対
して吐出電極に電圧を印加することにより、吐出部から
インクが吐出されマスター2上に画像が形成される。
【0184】以上のようにして、平板印刷用原版上に、
油性インクを使用したインクジェット方式で画像形成し
製版マスターを得る。用いた平版印刷版が親水性表面層
からなる場合には、このまま印刷版としてオフセット印
刷に供せられる。
【0185】他方、不感脂化を伴なう平版印刷原版の場
合には、不感脂化処理液で表面処理して非画像部を不感
脂化して印刷版が作成される。酸化亜鉛の不感脂化は、
従来よりこの種の不感脂化処理液として、フェロシアン
塩、フェリシアン塩を主成分とするシアン化合物含有処
理液、アンミンコバルト錯体、フィチン酸およびその誘
導体、グアニジン誘導体を主成分としたシアンフリー処
理液、亜鉛イオンとキレートを形成する無機酸あるいは
有機酸を主成分とした処理液、あるいは水溶性ポリマー
を含有した処理液等が知られている。
【0186】例えば、シアン化合物含有処理液として、
特公平44−9045号、同46−39403号、特開
昭52−76101号、同57−107889号、同5
4−117201号等に記載のものが挙げられる。フィ
チン酸系化合物含有処理液としては、特開昭53−83
807号、同53−83805号、同53−10210
2号、同53−109701号、同53−127003
号、同54−2803号、同54−44901号等に記
載のものが挙げられる。
【0187】コバルト錯体等の金属錯体系化合物含有処
理液としては、特開昭53−104301号、同53−
140103号、同54−18304号、特公平43−
28404号に記載のものが挙げられる。無機または有
機酸含有処理液としては、特公昭39−13702号、
同40−10308号、同43−28408号、同40
−26124号、特開昭51−118501号等に記載
のものが挙げられる。
【0188】グアニジン化合物含有処理液としては、特
開昭56−111695号等に記載のものが挙げられ
る。水溶性ポリマー含有の処理液としては、特開昭52
−126302号、同52−134501号、同53−
49506号、同53−59502号、同53−104
302号、特公昭38−9665号、同39−2226
3号、同40−763号、同40−2202号、特開昭
49−36402号等に記載のものが挙げられる。
【0189】以上のいずれの不感脂化処理においても、
表面層中の酸化亜鉛がイオン化して亜鉛イオンとなり、
このイオンが不感脂化処理液中のキレートを形成する化
合物とキレート化反応を生じ、亜鉛キレート化物を形成
し、これが表面層中に沈着して親水化されるものと考え
られている。
【0190】不感脂化処理は通常室温(15℃〜35℃
程度)で2〜60秒程度行なう。この印刷版を用いて湿
し水を使用してオフセツト印刷が5000枚程度可能で
ある。
【0191】
【実施例】以下に本発明に用いられる樹脂粒子の製造例
および実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0192】樹脂粒子(L)の製造例1:樹脂粒子(L
−1) 下記構造の分散安定用樹脂(P−1)14g、酢酸ビニ
ル98g、下記構造の単量体(B−1)2g及びアイソ
パーH 286gの混合物を窒素気流下攪拌しながら温
度75℃に加温した。これに2,2′−アゾビス(イソ
バレロニトリル)(略称:A.I.V.N.)2gを加
えて3時間攪拌した。次にA.I.V.N.、1.2g
を加えて2時間攪拌した後、更に、2,2′−アゾビス
イソブチロニトリル(略称:A.I.B.N.)0.8
gを加えて温度80℃に加温して3時間攪拌した。次い
で温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg下で2
時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後200
メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重
合率93%で平均粒径0.38μmのラテックスであっ
た。粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で
測定した。上記白色分散物の一部を遠心分離機(回転数
1×104 r.p.m.、回転時間1時間)にかけ、沈
降した樹脂粒子分を捕集、乾燥し、該樹脂粒子分の重量
平均分子量(Mw)とガラス転移点(Tg)を測定した
ところ、Mwは、9×10 4 (G.P.C.によるポリ
スチレン換算値。以下同様)、Tgは38℃であった。
【0193】
【化29】
【0194】樹脂粒子(L)の製造例2〜9:樹脂粒子
(L−2〜L−9) 樹脂粒子(L)の製造例1において、単量体(B−1)
2gの代わりに下記表−Aの各単量体(B)2gを用い
た他は、製造例1と同様にして各粒子を製造した。得ら
れた各粒子の平均粒径は0.35〜0.45μmの範囲
のラテックスであった。樹脂粒子分のMwは8×104
〜1×105 、Tgは35〜45℃の範囲であった。
【0195】
【表1】
【0196】樹脂粒子(L)の製造例10:樹脂粒子
(L−10) 下記構造の分散安定用樹脂(P−2)15g及びアイソ
パーG 280gの混合物を窒素気流下攪拌しながら温
度70℃に加温した。これにメチルメタクリレート30
g、メチルアクリレート60g、下記単量体(B−1
0)4g、アクリル酸6g及びA.I.V.N.、1.
5gの混合物を1時間で滴下し、そのまま2時間攪拌し
た。次にA.I.V.N.を1.0g加えて温度75℃
に加温して3時間攪拌し、更に、A.I.B.N.を
0.8g加えて温度80℃に加温して3時間攪拌した。
次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg下
で2時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後2
00メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物
は重合率99%で平均粒径0.40μmのラテックスで
あった。樹脂粒子分のMwは2×105 、Tgは42℃
であった。
【0197】
【化30】
【0198】樹脂粒子の製造例11〜16:樹脂粒子
(L−11〜L−16) 樹脂粒子の製造例10において、分散安定用樹脂(P−
2)15g及び単量体(B−10)4gの代わりに、下
記構造の分散安定用樹脂(P−3)15g及び下記表−
Bの各単量体(B)を各々下記使用量で用いた他は製造
例10と同様にして各分散物を製造した。各分散物の重
合率は98〜99%で、各粒子の平均粒径は、0.38
〜0.45μmの範囲内であった。
【0199】
【化31】
【0200】
【表2】
【0201】樹脂粒子(L)の製造例17:樹脂粒子
(L−17) 下記構造の分散安定用樹脂(P−4)15g及びアイソ
パーG 280gの混合物を窒素気流下攪拌しながら温
度70℃に加温した。これにメチルメタクリレート30
g、メチルアクリレート53g、下記単量体(B−1
7)5g、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタ
クリレート7g及びA.I.V.N.、1.5gの混合
物を1時間で滴下し、そのまま2時間攪拌した。次に
A.I.V.N.を1.0g加えて温度75℃に加温し
て3時間攪拌し、更に、A.I.B.N.を0.8g加
えて温度80℃に加温して3時間攪拌した。次いで温度
を100℃に上げ、減圧度200mmHg下で2時間攪
拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後200メッシ
ュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率9
9%で平均粒径0.40μmのラテックスであった。樹
脂粒子分のMwは2×105 、Tgは42℃であった。
【0202】
【化32】
【0203】樹脂粒子(L)の製造例18〜25:樹脂
粒子(L−18)〜(L−25) 樹脂粒子(L)の製造例17において、分散安定用樹脂
(P−4)15g及び2−(N,N−ジメチルアミノ)
エチルメタクリレート7gの代わりに、下記分散安定用
樹脂(P−5)15g及び下記表−Cの塩基性モノマー
(C)7gを用いた他は上記製造例17と同様にして各
粒子を製造した。得られた各分散物の重合率は99%で
各粒子の平均粒径は、0.40〜0.45μmの範囲内
であった。
【0204】
【化33】
【0205】
【表3】
【0206】樹脂粒子(L)の製造例26:樹脂粒子
(L−26) 下記構造の分散安定用樹脂(P−6)20g及びアイソ
パーG 280gの混合物を窒素気流下攪拌しながら温
度75℃に加温した。これに、メチルメタクリレート1
5g、メチルアクリレート26g、下記単量体(B−1
8)2g、4−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタ
クリレート8g及びA.I.B.N.、1.5gの混合
物及びメチルメタクリレート15g、メチルアクリレー
ト28g及び2−ホスホノエチルメタクリレート5g及
びエタノール10gの混合物を、各々、同時に1時間で
滴下し、そのまま2時間攪拌した。次にA.I.B.
N.を1.0g加えて3時間攪拌し、更に、A.I.
B.N.を0.8g加えて温度80℃に加温して3時間
攪拌した。次に、温度を100℃に上げ、減圧度200
mmHg下で2時間攪拌しエタノール及び未反応のモノ
マーを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を
通し、得られた白色分散物は重合率99%で平均粒径
0.45μmのラテックスであった。樹脂粒子分のMw
は1×105 、Tgは40℃であった。
【0207】
【化34】 単量体(B-18)
【0208】樹脂粒子(L)の製造例27〜32:樹脂
粒子(L−27)〜(L−32) 樹脂粒子(L)の製造例26において、分散安定用樹脂
(P−6)20g及び2−ホスホノエチルメタクリレー
ト5gの代わりに、下記構造の分散安定用樹脂(P−
7)20g及び下記表−Dの各酸性基含有の単量体
(D)を0.034モル(単量体(C)/単量体(D)
=1.5モル比)用いた他は、上記製造例26と同様に
して各粒子を製造した。得られた各粒子の平均粒径は
0.40〜0.50μmの範囲のラテックスであった。
樹脂粒子分のMwは9×104 〜2×10 5 、Tgは4
0〜48℃の各範囲であった。
【0209】
【化35】
【0210】
【表4】
【0211】比較用樹脂粒子の製造例1:樹脂粒子(L
L−1) 樹脂粒子(L)の製造例1において、単量体(B−1)
2gを除いた他は該製造例1と同様にして分散物を製造
した。得られた白色分散物の重合率は94%で平均粒径
0.36μmのラテックスであった。樹脂粒子分のMw
は3×105 、Tgは38℃であった。
【0212】比較用樹脂粒子の製造例1:樹脂粒子(L
L−2) 樹脂粒子(L)の製造例17において、単量体(B−1
7)5gを除いた他は、該製造例17と同様にして分散
物を製造した。得られた白色分散物の重合率は99%で
平均粒径0.41μmのラテックスであった。樹脂粒分
のMwは2×105 、Tgは41℃であった。
【0213】実施例1及び比較例A <平版印刷用原版の作成>下記内容の組成物を、ガラス
ビーズとともに、ペイントシェーカー(東洋精機(株)
製)に入れ、60分間分散した後、ガラスビーズを濾別
し、分散物を得た。
【0214】 ・ゼラチン 7g ・アルコキシシラン変性ポリビニルアルコールR1130 4g (クラレ(株)製) ・シリカ:サイリシア310(富士シリシア化学(株)製) 8g ・コロイダルシリカ20%溶液:スノーテックCR503 38g (日産化学工業(株)製) ・フッ化アルキルエステルFC430(3M社製) 0.8g ・硬膜性化合物 CH2=CHSO2CH2CONH(CH2)3NHCOCH2SO2CH=CH2 0.24g ・水 54g
【0215】軽印刷用電子写真式平版印刷原版として用
いられているELP−1型マスター(富士写真フイルム
(株)製、商品名)の支持体を用い、この上に上記組成
物をワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で10分間
乾燥して、塗布量8g/m2の画像受理層を形成し、平
版印刷用原版を得た。得られた画像受理層の表面平滑性
は、ベック平滑度試験機(熊谷理工(株)製)を用い、
空気容量10ccの条件にて、その平滑度(sec/1
0cc)を測定し、250(sec/10cc)であっ
た。また、その表面の水との接触角は、0度であった。
但し、表面接触角は、原版の表面に、蒸留水2μlを乗
せ、30秒後の表面接触角(度)を、表面接触計CA−
D(商品名、協和界面科学(株)製)を用いて測定し
た。
【0216】<油性インク(IK−1)の作成>ポリド
デシルメタクリレートを10g、アルカリブルー10g
およびアイソパーG 30gをガラスビーズとともにペ
イントシェーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間
分散し、ガラスビーズを濾別して微小な青色分散物を得
た。上記樹脂粒子(L)の製造例1で製造した樹脂粒子
(L−1)50g(固体分量として)、上記アルカリブ
ルー分散物を3g(固形分量として)、およびドデセン
−半マレイン酸テトラデシルアミド共重合体0.08g
をアイソパーEで、全量1リットルになる様に希釈する
ことにより青色油性インクを作成した。
【0217】(比較例A)実施例1において、油性イン
ク(IK−1)の代わりに、下記内容の油性インク(I
KR−1)を用いた他は、実施例1と同様に行なった。 <比較用油性インク(IKR−1)の作成>油性インク
(IK−1)の作成において、樹脂粒子(LA−1)の
代わりに比較用樹脂粒子(LL−1)50g(固形分量
として)を用いた他は、インク(IK−1)と同様にし
て作成した。
【0218】これらの油性インクの吐出安定性、画像再
現性、ランニング安定性等を調べ、その結果を表−Eに
示した。
【0219】
【表5】
【0220】注1)吐出性 吐出実験装置として、図4に示す様な注射針を吐出ヘッ
ドに用いた装置で測定した。注射針はステンレス型で内
径360μm、外径615μm、先端部の切断角度19
度、曲率半径13μmであり、針内部からポンプにて先
端部までインクを定常供給し、余剰インクは針表面に自
然に伝わせて回収した。この時のインク流量は0.75
cc/分とした。この注射針を対抗電極上に取り付けた
上記版材表面から300μm離して配置し、バイアス電
圧700Vに吐出電圧として800V、100μsec幅
のパルス電圧を2.5kHzの周波数で重畳印可して印
字した。吐出率は、印可パルス数に対して実際に印字さ
れたドット数から算出した(%)。更に、サンプルI及
びIIは、インク製造後の経時状態を変えたものを示し、
I(フレッシュ品:条件I)とは、全組成分を調合して
得られたインクを1週間自然経時(常温、常湿)させた
ものであり、一方、II( 経時品:条件II)は、サンプル
Iを高温、高湿(40℃、85%RH)の条件下に2週
間保存し、強制経時させたものである。
【0221】注2)印字ドットの形状 強制経時したインクサンプルを用いて以下の評価を行な
った。 ・膜厚 上記吐出性評価項目において、吐出実験を行なった。試
料の印字ドットの膜厚を、走査型電子顕微鏡(SEM)
写真より測定した。膜厚が厚く印字される程、インク中
の粒子が濃縮して吐出されたことを表す。 ・形状 同様に、上記試料を用いて光学顕微鏡及びSEMの写真
観察により、ドットの滲み、歪み等の有無を調べた。
【0222】注3)描画性(A) 上記の様にして作成した平版印刷用原版を用いて、パソ
コン出力を描画できるグラフテック社製サーボ、プロタ
ーDA8400を改造し、ベン・プロッター部に図2に
示したインク吐出ヘッドを装着し、500μmの間隔を
おいた対向電極上に設置された平版印刷用原版に上記内
容の油性インク(IK−1)を用いて印字を行ない製版
した。この際の印字は、バイアス電圧650Vに吐出電
圧700V、100μSec幅のパルス電圧を2.0k
Hzの周波数という条件で行なった。続けて、RICOH FU
SER モデル592 (リコー(株)製)を用いて、インク画
像面の表面温度が95℃となる様に調整して20秒間加
熱し、画像部を充分に定着した。得られた製版物(即ち
印刷版)の複写画像を光学顕微鏡により、200倍の倍
率で目視観察した。
【0223】注4)ランニング性 吐出性評価で用いる吐出実験装置に強制経時のインク
(II)を入れてインク噴射試験も行ない、吐出率が10
0%を保持する連続噴射時間を測定した。又、吐出の乱
れが観察され時の吐出電極のヘッド部への粒子の付着状
態を観察した。
【0224】注5)耐刷性 注3)の方法に従って得られた印刷版を用い、浸し水と
して、SLM−OD(三菱製紙(株)製)を水で30倍
に希釈した溶液を用い、印刷機として、オリバー94型
((株)桜井製作所製)を用い、オフセット印刷用墨イ
ンクで印刷した。地汚れがなく、細線・文字等の欠落の
ない鮮明な画像の印刷物の得られた枚数を耐刷性として
表す。
【0225】表−Eに示す様に、実施例1は、吐出安定
性、印字されたドットの形状及び描画性において、経時
した試料においても良好な結果を示した。一方、比較例
Aは、フレッシュ品では実施例1とほぼ同等の性能を示
したが、経時したサンプルは、吐出異常により吐出しな
いあるいは吐出したドットもドット膜厚が薄くなる、滲
みを生じる等の問題を生じた。また、インクのランニン
グ性を調べた所、実施例1は長時間問題なく印字され且
つ電極部の異常も認められなかった。しかし、比較例A
は、数時間で吐出し難くなり、そのヘッド部を観察する
と粒子の凝集物の付着を生じていた。更にこの印刷版を
用いて印刷した所、実施例1のみが耐刷性3千枚以上と
なった。比較例Aは、刷り出しから画像部に欠落があ
り、実用に供しえないが、形成された画像部も耐刷性が
多くても1千枚程で、画像の消失が生じた。以上の結果
から、本発明のインクは良好な吐出性とドットの膜厚を
形成し印刷版として印刷しても鮮明な画像の印刷物を多
数枚得ることができる。更には長期間に渡って使用して
も、電極部に付着することなく、安定した性能を示す。
【0226】実施例2〜9 実施例1において、油性インク(IK−1)中の樹脂粒
子(L−1)50gの代わりに下記表−Fの各樹脂粒子
50g(固形分量として)を用いた他は、油性インク
(IK−1)と同様にして各油性インクを調製し、実施
例1と同様にして評価を行った。
【0227】
【表6】
【0228】各油性インク(IK−2)〜(IK−9)
はいずれも油性インク(IK−1)と同等の性能を示し
た。吐出性、ドット形状、描画性、ランニング性及び耐
刷性ともに、実施例1と同等の結果を得た。
【0229】実施例10 <平版印刷用原版の作成>下記内容の組成物を、ガラス
ビーズとともに、ペイントシェーカーに入れ、80分間
分散した後、ガラスビーズを濾別し、分散物を得た。
【0230】 ・シリカ:サイリシア445(富士シリシア化学(株)製) 40g ・シリカゲルシリカ20%溶液:スノーテックC (日産化学工業(株)製) 200g ・クレー50%分散液 40g ・ポリビニルアルコール:PVA−117、10%溶液 (クラレ(株)製) 120g ・メラミン樹脂 2.0g ・塩化アンモニウム 0.2g ・水 50g
【0231】軽印刷用電子写真式平版印刷原版として用
いられているELP−2型マスター(富士写真フイルム
(株)製、商品名)の支持体を用い、この上に上記組成
物をワイヤーバーを用いて塗布し、110℃で10分間
加熱して、塗布量6g/m2の画像受理層を形成し、平
版印刷用原版を得た。得られた画像受理層の表面平滑性
は、ベック平滑度で300(sec/10cc)、その
表面の水との接触角は、0度であった。この印刷原版
を、実施例1と同様にして製版し、印刷版としてオフセ
ット印刷を行った。但し、実施例1で用いた油性インク
(IK−1)の代わりに、下記内容の油性インク(IK
−10)を用いた。
【0232】<油性インク(IK−10)の作成>前記
樹脂粒子(L)の製造例10で得られた樹脂粒子(L−
10)100g(固形分量として)及びビクトリアブル
ーB、5gの混合物を、温度100℃に加温し、3時間
加熱攪拌した。室温に冷却後200メッシュのナイロン
布を通し、残存した染料を除去することで、平均粒径
0.45μmの青色の樹脂分散物を得た。上記青色の樹
脂分散物60g(固形分量として)、荷電調節剤として
ナフテン酸ジルコニウム塩0.20gをヘキサメチルジ
シクロキサン/アイソパーG(3/2)重量比の混合溶
液に希釈して全量を1リットルとすることで青色油性イ
ンクを作成した。
【0233】得られたインクの物性を、実施例1と同様
にして測定した。吐出性は条件I、IIともに100%、
印字ドットの形状は、1.8μmの球状のもので良好で
あった。実際の描画画像も良好で、経時したインクのサ
ンプルも同等で問題なかった。この版を用いて印刷した
所、条件I、IIともに、画像欠落のない鮮明な印刷物が
1万枚得られた。更にランニング性も、実施例1と同等
の性能を示した。
【0234】実施例11〜26 実施例10において、油性インク(IK−10)中の樹
脂粒子(L−10)100g(固形分量として)の代わ
りに、下記表−Gの各粒子100g(固形分量として)
を用いた他は、油性インク(IK−10)と同様にして
各油性インクを作成した。
【0235】
【表7】
【0236】各油性インクを用いて、実施例1と同様に
各性能を評価した所、各インクとも実施例1と同等の良
好な性能を示した。
【0237】実施例17及び比較例B <油性インク(IK−17)の作成>前記分散安定用樹
脂(P−3)10g、Microlith-Blue 4GT(チバガイギ
ー社製)10及びアイソパーG 80gをガラスビーズ
とともにペイントシェーカーに入れ、3時間分散しガラ
スビーズを濾別して微小な青色分散物を得た。樹脂粒子
(L)の製造例17で製造した樹脂粒子(L−17)6
0g(固形分量として)、上記青色分散物3g(固形分
量として)、及びデセン−半マレイン酸テトラサデシル
アミド共重合体0.08gをアイソパーGを用いて1リ
ットルになる様に希釈して、青色油性インクを作成し
た。
【0238】<比較例B>実施例17において、油性イ
ンク(IK−17)の代わりに、下記内容の油性インク
(IKR−2)を用いた他は、実施例17と同様に行な
った。 <比較用油性インク(IKR−2)の作成>油性インク
(IK−17)の作成において、樹脂粒子(L−17)
の代わりに比較用樹脂粒子(LL−2)50g(固形分
量として)を用いた他は、インク(IK−17)と同様
にして作成した。
【0239】これらの油性インクについて、実施例1と
同様にして画像再現性、ランニング安定性等を調べ、そ
の結果を表−Hに示した。
【0240】
【表8】
【0241】注6)吐出性(B) 実施例1の吐出性評価方法(A)において、ドット印字
のパルス電圧を2.5kHzから5.0kHzの周波数
に上げて測定した他は、吐出性(A)と同様にして行な
った(即ち、印字スピードを2倍にして測定)。
【0242】注7)描画性(B) 実施例1の描画方法(A)において、ドット印字のパル
ス電圧を2.0kHzから5.0kHzの周波数に上げ
て描画し評価した。
【0243】表−Hに示す様に、実施例17は、吐出性
及び描画性を印字スピードを2倍に速めて行なってもフ
レッシュ品及び経時品の何れもが良好な性能を示した。
印字されたドットも膜厚が2μm以上で滲みのない球状
のドットであった。一方、比較例Bはフレッシュ品では
実施例17と同等の性能を示したが、経時品では吐出
性、描画性とも著しく劣化し、印字ドットもその膜厚に
バラツキが大きく、形状に乱れが生じた。更に、ランニ
ング性及び印刷時の耐刷性は、実施例17は経時品でも
変化なく良好であった。比較例Bの経時品ランニング性
は、1時間程で異常を生じ、その時の電極部に凝集物と
思われる粗大物が付着した。耐刷性は、実施例17は1
万枚以上と良好であったが、比較例Bは刷り出しから画
像の欠落したものであった。以上のことから、本発明の
油性インクは、経時、ランニングに対して耐刷性の優れ
た性能を示す。
【0244】実施例18〜31 実施例17において、油性インク(IK−17)の代わ
りに、下記表−Iの油性インクを用いた他は、実施例1
7と同様にして製版・印刷を行なった。尚、用いた油性
インクは、実施例17における油性インク(IK−1
7)において用いた樹脂粒子(L−17)の代わりに下
記表−Iに示す樹脂粒子を50g(固形分量として)用
いるほかは同様にして作成したものである。
【0245】
【表9】
【0246】実施例17と同様にして評価した所、実施
例17と全く同等の性能を示し良好であった。更に、印
刷版として印刷した所、いずれの版も耐刷性1万枚以上
を示した。また、実施例17と同様に経時したインクに
ついても、実施例17と同様にフレッシュ品と同等の描
画性及び耐刷性を示した。
【0247】実施例32 <耐水性支持体の作成>基体として秤量100g/m2
の上質紙を用い、基体の一方の面に下記組成のアンダー
層用塗料をワイヤーバーを用いて塗布して、乾燥塗布量
10g/m2 のアンダー層を設けた。アンダー層表面の
平滑度は150秒/10ccであり、カレンダー処理に
より平滑度を1500(秒/10cc)に調製した。
【0248】 <アンダー層用塗料> ・シリカゲル 10重量部 ・SBRラテックス(50重量%水分散液、Tg25℃) 92重量部 ・クレー(45重量%水分散液) 110重量部 ・メラミン(80重量%水溶液) 5重量部 ・水 191重量部
【0249】更に、基体の他方の面に不記の組成のバッ
クコート層用塗料をワイヤーバーを用いて塗布して、乾
燥塗布量12g/m2 のバックコート層を設けた後、バ
ックコート層の平滑度が50(秒/10cc)程度にな
るようにカレンダー条件を設定してカレンダー処理を行
なった。
【0250】 <バックコート層用塗料> ・カオリン(50%水分散液) 200部 ・ポリビニルアルコール水溶液(10%) 60部 ・SBRラテックス(固形分49%、Tg0℃) 100部 ・メラミン樹脂初期縮合物 5部 (固形分80%、スミレッツレジンSR−613)
【0251】<平版印刷用原版の作成>酸化亜鉛100
g、下記構造の結着樹脂(B−1)16g、結着樹脂
(B−2)2g、安息香酸0.15gおよびトルエン1
55gの混合物を湿式分散機ホモジナイザー(日本精機
(株)製)を用いて回転数6×103 rpmで8分間分
散した。
【0252】
【化36】
【0253】この分散物を、上記の耐水性支持体上にワ
イヤーバーを用いて塗布量10g/m2 となるように、
塗布・乾燥して、表面平滑度は250(秒/10cc)
の平版印刷用原版を作成した。表面の水との接触角は1
02度であった。
【0254】<油性インク(IK−32)の作成>分散
安定性用樹脂(P−1)10g、黒色顔料:Microlith
Black CT(チバガイギー社製)10g及びアイソパー
E、113gをガラスビーズとともにペイントシェーカ
ーに入れ6時間分散し、ガラスビーズを濾別して黒色分
散物を得た。上記樹脂粒子(L)の製造例29で製造し
た樹脂粒子(L−29)40g(固形分量として)、上
記黒色分散物66g及びオクタデシルビニルエーテル/
半マレイン酸デシルアミド共重合体0.03gをヘキサ
メチルジシクロキサンで全量が1リットルになる様に希
釈して黒色油性インク(IK−18)を作成した。
【0255】上記印刷用原版及び油性インク(IK−3
2)を用いた他は実施例1と同様にして製版した所、細
線・文字等の欠落のない鮮明な画像の製版物を得た。ド
ットの厚みは2.0μm、滲み、歪みのない円形のもの
で良好であった。
【0256】次に、上記のように製版した後、不感脂化
処理液(ELP−E2:富士写真フイルム(株)製商品
名)を全自動印刷機(AM−2850、エーエム社
(株)製商品名)のエッチャー部に入れ、湿し水とし
て、不感脂化処理液(ELP−E2)を蒸留水で4倍に
希釈した溶液を、湿し水受皿部に入れ、オフセット印刷
用墨インキを用い、印刷機に製版物を通して印刷を行な
った。その結果、地汚れの発生しない鮮明な画像の印刷
物が3千枚以上得られた。
【0257】
【発明の効果】本発明の油性インクを用いることによ
り、静電式インクジェット記録方式において、インクの
吐出安定性、鮮明な画像形成性及び画像強度に優れた画
像を形成できるとともに、鮮明な画像の印刷物を多数枚
印刷することができる印刷版を提供できる。また、本発
明の静電式インクジェット用油性インクによれば、分散
粒子の再分散性、保存安定性に優れ、インク供給経路で
目詰まりせず、インクの吐出が安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる装置系の一例を示す概略構成図
である。
【図2】本発明に用いるインクジェット記録装置のヘッ
ドの一部を示す図である。
【図3】図2に示すヘッドから規制板11、12を取り
除いた図である。
【図4】実施例で用いた吐出実験装置を示す図である。 1 インクジェット記録装置 2 マスター 3 コンピューター 4 バス 10 インクジェット記録用ヘッド 13 インクジェット記録用ヘッド 14 ヘッド本体 15、16 メニスカス規制板 17 吐出電極 18 インク溝 19、21 隔壁 20、20′吐出部 22 先端部 31 ドラム状対抗電極 32 被記録媒体 33 電源 34 記録ヘッド 35 送液ポンプ 36 インクタンク 37 廃液タンク

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気抵抗109 Ω・cm以上かつ誘電率
    3.5以下の非水担体液中に、少なくとも荷電性樹脂粒
    子を分散して成る静電式インクジェット用油性インクに
    おいて、前記分散された樹脂粒子が、非水溶媒に可溶で
    あって、重合することにより不溶となる一官能性単量体
    (A)の少なくとも一種、及びフッ素原子及び/又はケ
    イ素原子含有の置換基を有する、単量体(A)と共重合
    可能な一官能性単量体(B)の少なくとも一種、並びに
    下記一般式(PI)で示される成分を少なくとも含有す
    る分散安定用樹脂(P)の少なくとも一種を含有する溶
    液を重合造粒することによって得られる共重合体樹脂粒
    子であることを特徴とする静電式インクジェット用油性
    インク。 【化1】 一般式(PI)中、A1は−COO−、−OCO−、−
    (CH2)aCOO−、−(CH2)aOCO−、−O−、又
    は 【化2】 (ここでEは直接結合、−O−、−OCO−又は−CO
    O−を表す)を表す。aは1〜12の整数を表す。L
    は、炭素数8〜32のアルキル基または炭素数8〜32
    のアルケニル基を表す。p1 およびp2 は互いに同じで
    も異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子、
    シアノ基、炭素数1〜7の炭化水素基、−COO−
    1 、または炭化水素基を介した−COO−D1 を表す
    (ここでD1 は水素原子または炭素数1〜22の炭化水
    素基を示す)。
  2. 【請求項2】 分散された樹脂粒子が、一官能性単量体
    (A)及び一官能性単量体(B)とともに、下記一般式
    (II)で表されるアミノ基を有する、単量体(A)と共
    重合可能な一官能性単量体(C)の少なくとも一種を共
    存させて、重合造粒することによって得られる共重合体
    樹脂粒子であることを特徴とする請求項1記載の静電式
    インクジェット用油性インク。 【化3】 一般式(II)中、R1及びR2は各々同じでも異なっても
    よく、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表す
    か、R1とR2が結合して窒素原子と共に環を形成しても
    よい。
  3. 【請求項3】 分散された樹脂粒子が、一官能性単量体
    (A)、一官能性単量体(B)及び一官能性単量体
    (C)とともに、−PO3 2 基、−SO3H基及び−
    SO2H基から選ばれる酸性基を少なくとも一種含有す
    る、単量体(A)と共重合可能な一官能性単量体(D)
    の少なくとも一種を共存させて、重合造粒することによ
    って得られる共重合体樹脂粒子であることを特徴とする
    請求項2記載の静電式インクジェット用油性インク。
  4. 【請求項4】 前記分散安定用樹脂(P)が、その重合
    体主鎖の片末端もしくは重合体共重合成分の置換基中
    に、下記一般式(PII)で示される重合性二重結合基を
    結合して成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の静電式インクジェット用油性インク。 【化4】 一般式(PII)中、A2は−COO−、−OCO−、−
    (CH2)bCOO−、−(CH2)bOCO−、−O−、−
    SO2−、−CONHCOO−、−CONHCONH
    −、−CON(E1)−、−SO2N(E1)−またはフ
    ェニレン基を表す(ここでE1は水素原子または炭素数
    1〜22の炭化水素基を示し、bは1〜4の整数を示
    す)。q1 およびq2 は、互いに同じでも異なっていて
    もよく、式(PI)中のp1、p2 と同一の内容を表
    す。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1510559A1 (en) * 2003-08-25 2005-03-02 Fuji Photo Film Co., Ltd. Ink composition and ink jet recording method
JPWO2017002847A1 (ja) * 2015-06-30 2017-12-07 富士フイルム株式会社 含フッ素共重合体、組成物、光学フィルム、ハードコートフィルム、偏光板、及びタッチパネルディスプレイ、並びに含フッ素共重合体の製造方法

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