JP2000327317A - グラファイト質ナノ繊維、その製造方法および製造装置 - Google Patents

グラファイト質ナノ繊維、その製造方法および製造装置

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JP2000327317A
JP2000327317A JP13986199A JP13986199A JP2000327317A JP 2000327317 A JP2000327317 A JP 2000327317A JP 13986199 A JP13986199 A JP 13986199A JP 13986199 A JP13986199 A JP 13986199A JP 2000327317 A JP2000327317 A JP 2000327317A
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graphite
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hydrogen gas
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弥八 ▲斉▼藤
Yahachi Saito
Masatomo Maita
正朋 舞田
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Noritake Itron Corp
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Ise Electronics Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のカーボンナノチューブの問題点を解消
できる新規物質のグラファイト質ナノ繊維、その製造方
法および製造装置を提供する。 【解決手段】 グラフェン一枚を継目のない円筒形に丸
く閉じたグラファイト筒が、複数個同芯円筒状に筒中心
部まで密に積層してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電界放出電子源材料
などに使用できる新規物質のグラファイト質ナノ繊維、
その製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】グラフェン一枚を継目のない円筒形に巻
いたチューブ形状のカーボンナノチューブが電界放出電
子源材料として知られている。従来、このカーボンナノ
チューブは、へリウムガス中で2本の炭素電極を 1〜2m
m 程度離した状態で直流アーク放電を起こしたときに、
陽極側の炭素が蒸発して陰極側の炭素電極先端に凝集し
た堆積物中に形成される。カーボンナノチューブの形状
は、単層ナノチューブや多層ナノチューブが知られてお
り、その直径は、単層ナノチューブの場合、最も直径の
細い 0.7nmから通常 1〜3nm 程度であり、多層ナノチュ
ーブの場合、単層ナノチューブが 2〜30層同芯円筒に積
層され、外径は 4〜50nm程度である。また、これらカー
ボンナノチューブの先端部分はフラーレン(C60)と同
様に五員環が入ることにより閉じている(▲斉▼藤弥八
および坂東俊治著、カーボンナノチューブの基礎、コロ
ナ社発行、1998年)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
カーボンナノチューブは、先端部分が閉じているものし
か得られておらず、電界放出電子源などに用いた場合、
電子放出のしきい値電圧が高く、また電流密度も低いと
いう問題がある。また、カーボンナノチューブは、多層
ナノチューブの場合であっても、円筒状であり、内部が
中空状態の構造のものしか得られていない。このため、
複合材料の強化材などに用いる場合、より該複合材料の
強度を増加させることができないという問題がある。さ
らに、へリウムガス中で行なうカーボンナノチューブの
製造方法は、カーボンナノチューブとともに生成する炭
素の多面体微粒子であるナノポリヘドロンが副成するた
め、純度の低いものしか得られないという問題がある。
また、不純物が多いため、その精製が困難であるという
問題がある。
【0004】本発明は、このような問題に対処するため
になされたもので、従来のカーボンナノチューブの問題
点を解消できる新規物質のグラファイト質ナノ繊維、そ
の製造方法および製造装置を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のグラファイト質
ナノ繊維は、グラフェン一枚を継目のない円筒形に丸く
閉じたグラファイト筒が、複数個同芯円筒状に筒中心部
まで密に積層してなることを特徴とする。ここで、グラ
フェンとは単分子層のグラファイトシートをいう。
【0006】また、本発明は、炭素電極からなる陽極
と、該陽極に対向配置された耐熱性導電材料からなる陰
極との間にアーク放電させる工程と、上記陰極面に生成
された堆積物を該陰極面から採取する工程とを備えたグ
ラファイト質ナノ繊維の製造方法であって、上記アーク
放電させる工程が、水素ガス中でアーク放電を行なうこ
とを特徴とする。また、水素ガス中でのアーク放電は、
6650Pa 〜39900Pa の水素ガス圧力下において行なうこ
とを特徴とする。
【0007】また、本発明は、容器内に炭素電極からな
る陽極と、耐熱性導電材料からなる陰極とを所定の間隔
で対向して配置する手段と、上記陰極および陽極間に水
素ガス中でアーク放電を起こさせる手段とを備えたグラ
ファイト質ナノ繊維の製造装置であって、上記陰極およ
び陽極の少なくとも一方が、アーク放電中に相対速度0.
7〜3.4mm/秒で移動する手段を設けたことを特徴とす
る。ここで相対速度とは、陰極と陽極との相対速度をい
う。
【0008】水素ガス雰囲気中において、炭素電極から
なる陽極と陰極との間でアーク放電を起こさせると、ヘ
リウムガス中におけるアーク放電で生じる従来のカーボ
ンナノチューブとは異なる新規物質のグラファイト質ナ
ノ繊維を生成することが見いだされた。本発明は、この
知見に基づくもので、得られるグラファイト質ナノ繊維
はグラフェン一枚を継目のない円筒形に丸く閉じたグラ
ファイト筒を複数個同芯円筒状に筒中心部まで密に積層
してなる構造を有する。また、グラファイト質ナノ繊維
は、繊維の先端部分が一部開いた構造として得られる場
合がある。上記構造を有するため、電界放出電子源材料
などに用いた場合、電子放出のしきい値電圧を低く、電
流密度を高くできる。また、複合材料の強化材などに用
いると、より該複合材料の強度を増加させることができ
る。
【0009】水素ガス雰囲気中にてアーク放電させて、
グラファイト質ナノ繊維を製造するとナノポリヘドロン
の生成が少なくなることが見いだされた。このため、グ
ラファイト質ナノ繊維の純度が高くなり、その精製が容
易となる。
【0010】グラファイト質ナノ繊維の純度が高くなる
ので、陰極および陽極の少なくとも一方をアーク放電中
に相対速度 0.5〜5mm/秒で移動させることのできる製造
装置とすることにより、グラファイト質ナノ繊維の連続
生産が容易にできる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態におけるグラ
ファイト質ナノ繊維の製造装置に関して図1により説明
する。図1はグラファイト質ナノ繊維の製造装置の構成
図である。図1に示すように、密閉容器1を備え、その
中に炭素電極からなる陽極2と耐熱性導電材料からなる
陰極3とが配置されている。耐熱性導電材料としては、
炭素、黒鉛、銅などを挙げることができる。好ましい陽
極と陰極の組み合わせは、ともに炭素電極である。
【0012】陽極2は直径 5〜20mm、好ましくは 6〜10
mmであり、長さが 50mm 以上である。また、陽極2は直
線運動を可能とする徴動機構(電極移動手段)4を備
え、陽極2と陰極3の配置方向に移動可能とされてい
る。この移動方向は、図1の紙面左右方向である。な
お、陽極2は電流導入端子2aに接続し、陰極3は電流
導入端子3aおよび摺動端子3bに接続している。そし
て、密閉容器1内には、水素ガスAが導入され、排ガス
Bが排気される。また給電設備5により電流導入端子2
a、3aにアーク放電に必要な電流が供給される。7は
圧力計である。
【0013】陰極3は陽極2の断面積より大きな断面積
を有している。例えば、直径 60〜100mm、厚さが 10mm
以上の人工黒鉛製の円板を用いることができる。陰極ま
たは陽極は、アーク放電中に相対速度 0.5mm/秒〜5mm/
秒で移動する手段を有している。移動する手段として
は、例えば、陽極2を固定しておき、この陽極2の中心
から離れた位置に、回転中心を有する円板状の陰極3を
設け、この円板状の陰極3を回転させる方法がある。回
転手段6はモータを用いるなど公知の手段を採用でき
る。相対速度 0.5mm/秒〜5mm/秒での移動をさせるため
には、陰極円板の回転角速度が毎秒 1度〜10度の範囲に
おいて、陰極円板の回転中心から 20mm 離れた位置で陽
極とアーク放電を行なうことにより達成できる。また、
陰極円板を陽極中心に対して、直線的に移動させるよう
にしてもよい。この場合、図1においては、陰極円板
が、紙面前後、上下方向に移動することになる。相対速
度 0.5mm/秒未満では、陰極堆積物での表面部分におけ
るグラファイト質ナノ繊維の収率が低下し、また、相対
速度5mm/秒を越える速度では、陰極表面に陰極堆積物が
十分にできない。
【0014】アーク放電により陰極3の表面に堆積した
陰極堆積物を採取するために、図示を省略した陰極堆積
物採取器を陰極3の表面に配置することができる。陰極
堆積物採取器としては、刃状の剥ぎ取り器が好ましい。
グラファイト質ナノ繊維を含む陰極堆積物は、箔片状の
堆積物となりやすいためである。
【0015】次に、上述の製造装置を用いたグラファイ
ト質ナノ繊維の製造方法について説明する。まず、密閉
容器1内を 10-3〜10-4Pa 程度の真空度とする。つい
で、ガス導入管より水素ガスを導入し、密閉容器1内の
真空度が 6650Pa 〜39900Pa の範囲内に調整する。水素
ガス中でアーク放電を行なうと、水素ガスは電極材料の
炭素と反応して消費されるので、新しい水素ガスを密閉
容器1内に連続的に補給しながら、炭化水素化合物とな
った廃ガスを容器1外に排気する。連続的な補給と排気
とを行なうことにより、真空度を 6650Pa 〜39900Pa の
範囲内に調整する。具体的には、内容積 8.3リットルの
密閉容器1で、真空度を 6650Pa 〜39900Pa の範囲内に
維持するには、水素ガスの流量を 10〜50cc/毎秒の範囲
とすればよい。また、同量のガスを容器1外に排気す
る。水素ガスのガス圧を 6650Pa 〜39900Pa の範囲内に
維持してアーク放電を行なうことにより、陰極堆積物に
含まれるグラファイト質ナノ繊維の含有率が高くなるの
で、グラファイト質ナノ繊維を効率よく製造することが
できる。
【0016】なお、アーク放電電流は、放電を継続させ
て陰極堆積物8を成長させることのできる電流であれば
よく、例えば、陽極の形状、種類、陰極との間隔、雰囲
気等によっても異なるが、50〜400A/cm2、好ましくは 1
20〜255A/cm2である。
【0017】グラファイト質ナノ繊維を含む陰極堆積物
の生成状態を図2に示す。図2は陰極堆積物の断面を模
式的に示す図である。炭素電極間のアーク放電により得
られる陰極堆積物8は、外周側に形成される固い殻8a
と、その固い殻8aの内部に生成する芯となる堆積物8
bと、その芯となる堆積物8b表面に成長した厚さが約
0.1mm程度の表面堆積物8cとから構成される。外側の
固い殻8aはグラファイトの多結晶体であり、グラファ
イト質ナノ繊維は、芯となる堆積物8bおよび表面堆積
物8cの中に含まれている。芯となる堆積物8b内部
は、陰極堆積物の成長方向にのびたグラファイト質ナノ
繊維と、炭素の多面体微粒子であるナノポリヘドロン
と、グラファイト微結晶等との集合体となっている。一
方、表面堆積物8cは、ナノポリヘドロンやグラファイ
ト微結晶の含有量が堆積物8bに比較して少なく、グラ
ファイト質ナノ繊維の含有率が高い。したがって、表面
堆積物8cがグラファイト質ナノ繊維を製造する上で最
も優れた品質を有している。また、表面堆積物8c内に
生成したグラファイト質ナノ繊維は、後述するように、
従来のカーボンナノチューブと比較して、優れた電界放
出性能を有している。
【0018】一方、上記したように、グラファイト質ナ
ノ繊維が高収率で得られる表面堆積物8cは、その厚さ
が約 0.1mm程度しかないため、一度の放電で得られるグ
ラファイト質ナノ繊維の絶対量は少ない。しかし、上述
した本発明に係るグラファイト質ナノ繊維の製造装置を
用いることにより、アーク放電中に相対速度 0.5mm/秒
〜5mm/秒で陰極または陽極を移動させるので、連続した
面としてグラファイト質ナノ繊維を多量に含む陰極堆積
物が得られる。
【0019】アーク放電停止後、密閉容器1内の真空度
を低下させて大気圧に開放し、陰極3先端に成長した陰
極堆積物8を採取して、その中央部分のグラファイト質
ナノ繊維を取り出す。グラファイト質ナノ繊維は、ナノ
ポリヘドロンやグラファイト微結晶の含有率が少ないの
で、空気中 700〜750℃の温度で約 15 分間加熱するこ
とにより容易に精製することができる。また、精製する
ことにより、電子放出性能もより優れる。
【0020】上述の方法で得られるグラファイト質ナノ
繊維について説明する。図3および図4は、陰極堆積物
から取り出した直後のグラファイト質ナノ繊維の長さ方
向の断面形状を表す図であり、それぞれ繊維の先端形状
が異なる例である。また、図5は、空気中 700〜750℃
の温度で約 15 分間加熱した後のグラファイト質ナノ繊
維の断面形状を表す図である。図3〜図5において、 5
nmの長さに相当する線分をそれぞれ図中に示す。図3〜
図5に示すように、グラファイト質ナノ繊維9は、その
胴体部分がグラフェン一枚を継目のない円筒形に丸く閉
じたグラファイト筒10を複数個同芯円筒状に筒中心部
まで密に積層してなる形状をしている。繊維の中心部分
にまでグラファイト筒10が積層して詰まっており、中
心空洞部分11は最小で0.5nm 程度である。
【0021】グラファイト筒10は、グラフェン一枚を
継目のない円筒形に丸く閉じた形状であれば、アームチ
ェア型チューブ、ジグザグ型チューブ、またはカイラル
型チューブ等のいずれであってもよい。単層アームチェ
ア型チューブのモデル図を図6に示す。図6において各
点10bは炭素原子を表す。このように、グラファイト
質ナノ繊維は、従来のカーボンナノチューブに比較して
繊維の中心部分にまでグラファイト筒10が詰まってい
るのが第一の特徴である。
【0022】また、従来のカーボンナノチューブの先端
が完全に閉じているのに比較して、グラファイト質ナノ
繊維は、図3にみられるように、繊維の先端部分10a
のグラフェンが破れているものがみられる。繊維の先端
部分10aのグラフェンが破れていることが、優れた電
子放出特性を示す理由の一つと考えられる。
【0023】図3および図4は、陰極堆積物から取り出
した直後であるため、表面にナノポリヘドロン12の生
成がみられる。しかし、従来のカーボンナノチューブに
比較して繊維の中心部分にまでグラファイト筒10が詰
まっているため、ナノポリヘドロン12は主に表面部分
にしか存在することができない。その結果、純度の高い
グラファイト質ナノ繊維9が得られる。また、図5に示
すように、グラファイト質ナノ繊維9は、空気中で加熱
することにより、ナノポリヘドロン12が除去され容易
に精製することができる。
【0024】グラファイト質ナノ繊維は、製造条件によ
っても変動するが、直径が 10〜100nm、長さ 1μm 以上
の繊維として得ることができる。
【0025】グラファイト質ナノ繊維は、電界放出電子
源の陰極材料として用いると、カーボンナノチューブと
比較して、電子放出のしきい値電圧を約 650V 程度に下
げることができ、また電流密度も、例えば 1000Vのとき
全電流が約 1μA と 2桁以上向上させることができる。
また、精製することにより、しきい値電圧を約 550V 程
度、電流密度を、例えば 1000Vのとき全電流が約 7μA
にさらに向上することができる。上記したように、本発
明のグラファイト質ナノ繊維は、優れた電子放出性を有
している。
【0026】また、グラファイト質ナノ繊維は、グラフ
ァイト筒が密に積層された構造を有しているので、ウィ
スカなどと同様に、樹脂やセラミックス、金属の強化材
料として使用することができ、また、熱や電気の伝導性
複合材料等として用いることができる。その他、各種電
子デバイス材料、走査トンネル顕微鏡の探針としても使
用することが可能である。
【0027】
【実施例】実施例1 図1に示す装置を用いてグラファイト質ナノ繊維を製造
した。陰極3は直径φ 60mm の黒鉛電極を用い、陽極2
は直径φ10 mm 、長さ 30cmの黒鉛電極を用い、電極間
隔は 1mmに設定した。なお、陽極2は陰極3の回転中心
から 20mm 離れた位置に配設した。内容積 8.3リットル
の密閉容器1内に水素ガスを満たした。水素ガスは、そ
の真空度を 105Pa 程度とした。また、水素ガスの流量
を約 30cc/毎秒とし、同量のガスを容器1外に排気し
た。放電電流は 100A (電流密度 127A/cm2)になるよ
うに給電設備5を設定してアーク放電を開始した。放電
開始と同時に陰極3を一定角速度で回転させて、陽極2
と陰極3との相対速度を2.0mm/秒に設定した。アーク放
電が継続され、陰極3先端に薄い円環状の陰極堆積物が
生成した。この陰極堆積物表面に形成されたグラファイ
ト質ナノ繊維を得た。
【0028】実施例2 実施例1で得られたグラファイト質ナノ繊維を空気中 7
00〜750℃の温度で約15 分間加熱して精製されたグラフ
ァイト質ナノ繊維を得た。
【0029】比較例1 水素ガスに代えてヘリウムガスを用いる以外実施例1と
同一の方法で陰極堆積物を生成させ、その陰極堆積物表
面に形成された中空形状のカーボンナノチューブを得
た。
【0030】比較例2 比較例1で得られたカーボンナノチューブを空気中 750
℃の温度で約 15 分間加熱して精製されたカーボンナノ
チューブを得た。
【0031】実施例1および実施例2で得られたグラフ
ァイト質ナノ繊維および比較例1および比較例2で得ら
れたカーボンナノチューブの電子放出特性を電界放出顕
微鏡法により測定した。測定装置の構成を図7に示す。
測定容器13内に試料部14と、測定部15とが配置さ
れている。グラファイト質ナノ繊維などの試料16は、
試料部14に固定された直径φ 0.2mmのタングステン線
先端に固着される。試料の先端は、蛍光スクリーン17
の中心に設けられた直径φ 1mmのプローブ孔18の前方
に 60mm 離して設置される。このプローブ孔18の後方
に設けられたファラディカップ19により検出されたプ
ローブ電流の電圧(ティップ電圧)依存性を測定した。
プローブ孔18の開口半角は、1.7×10-2radである。測
定容器13内の圧力は10-5〜10-6Paであり、測定温度は
室温である。測定結果を図8に示す。
【0032】精製前のグラファイト質ナノ繊維(実施例
1)とカーボンナノチューブ(比較例1)とを比較する
と、実施例1のグラファイト質ナノ繊維がはるかに電子
を放出しやすいことが分かる。また、グラファイト質ナ
ノ繊維およびカーボンナノチューブも精製することによ
り電子放出特性のしきい値電圧を下げることができる。
精製による電子放出特性を比較すると、グラファイト質
ナノ繊維が精製による効果が小さい、このことはグラフ
ァイト質ナノ繊維が製造直後においても純度が高いこと
を示している。
【0033】
【発明の効果】本発明のグラファイト質ナノ繊維は、グ
ラフェン一枚を継目のない円筒形に丸く閉じたグラファ
イト筒が、複数個同芯円筒状に筒中心部まで密に積層し
てなるので、電界放出電子源材料として電子放出のしき
い値電圧を低く、電流密度を高くできる優れた特性を示
す。また、複合材料の強化材などに用いると、グラファ
イト質ナノ繊維がウィスカ類似の構造を有するので、該
複合材料の強度を増加させることができる。
【0034】本発明のグラファイト質ナノ繊維の製造方
法は、水素ガス中でアーク放電を行なうので、純度の高
いグラファイト質ナノ繊維を得ることができる。特に、
6650Pa 〜39900Pa の水素ガス圧力下においてアーク放
電を行なうので、より純度の高いグラファイト質ナノ繊
維を得ることができる。
【0035】本発明のグラファイト質ナノ繊維の製造装
置は、容器内に炭素電極からなる陽極と、耐熱性導電材
料からなる陰極とを所定の間隔で対向して配置する手段
と、上記陰極および陽極間に水素ガス中でアーク放電を
起こさせる手段とを備え、上記陰極および陽極の少なく
とも一方が、アーク放電中に相対速度 0.5〜5mm/秒で移
動する手段を設けたので、グラファイト質ナノ繊維を連
続して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】グラファイト質ナノ繊維の製造装置の構成図で
ある。
【図2】陰極堆積物の断面を模式的に示す図である。
【図3】製造直後のグラファイト質ナノ繊維の断面形状
を表す図である。
【図4】製造直後の他のグラファイト質ナノ繊維の断面
形状を表す図である。
【図5】精製後のグラファイト質ナノ繊維の断面形状を
表す図である。
【図6】単層アームチェア型チューブのモデル図を示す
図である。
【図7】電界放出顕微鏡法による測定装置の構成を示す
図である。
【図8】電子放出特性の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 密閉容器 2 陽極 3 陰極 4 徴動機構 5 給電設備 6 回転手段 7 圧力計 8 陰極堆積物 9 グラファイト質ナノ繊維 10 グラファイト筒 11 中心空洞部分 12 ナノポリヘドロン 13 測定容器 14 試料部 15 測定部 16 試料 17 蛍光スクリーン 18 プローブ孔 19 ファラディカップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G046 CA00 CB01 CC02 CC06 4L037 AT05 CS04 FA03 FA04 FA05 PA02 PA17 PA21 UA02 UA10 UA20 5C035 BB01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラフェン一枚を継目のない円筒形に丸
    く閉じたグラファイト筒が、複数個同芯円筒状に筒中心
    部まで密に積層してなることを特徴とするグラファイト
    質ナノ繊維。
  2. 【請求項2】 炭素電極からなる陽極と、該陽極に対向
    配置された耐熱性導電材料からなる陰極との間にアーク
    放電させる工程と、前記陰極面に生成された堆積物を該
    陰極面から採取する工程とを備えたグラファイト質ナノ
    繊維の製造方法であって、 前記アーク放電させる工程は、水素ガス中でアーク放電
    を行なうことを特徴とするグラファイト質ナノ繊維の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記水素ガス中でのアーク放電は、 665
    0Pa 〜39900Pa の水素ガス圧力下において行なうことを
    特徴とする請求項2記載のグラファイト質ナノ繊維の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 容器内に炭素電極からなる陽極と、耐熱
    性導電材料からなる陰極とを所定の間隔で対向して配置
    する手段と、前記陰極および陽極間に水素ガス中でアー
    ク放電を起こさせる手段とを備えたグラファイト質ナノ
    繊維の製造装置であって、 前記陰極および前記陽極の少なくとも一方が前記アーク
    放電中に相対速度 0.5mm/秒〜5mm/秒で移動する手段を
    設けたことを特徴とするグラファイト質ナノ繊維の製造
    装置。
JP13986199A 1999-05-20 1999-05-20 グラファイト質ナノ繊維、その製造方法および製造装置 Pending JP2000327317A (ja)

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