JP2000325098A - Dnaによる獣毛種の同定方法 - Google Patents

Dnaによる獣毛種の同定方法

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JP2000325098A
JP2000325098A JP11135993A JP13599399A JP2000325098A JP 2000325098 A JP2000325098 A JP 2000325098A JP 11135993 A JP11135993 A JP 11135993A JP 13599399 A JP13599399 A JP 13599399A JP 2000325098 A JP2000325098 A JP 2000325098A
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animal
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Sanki Kato
三貴 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 獣毛繊維から抽出したDNAによる獣毛繊維
および獣毛繊維製品を高精度に同定する方法を提供す
る。 【解決手段】 獣毛繊維が由来する動物種におけるミト
コンドリアDNAのチトクロムb領域での共通した塩基
配列及び該配列と相補的に結合する塩基配列より設計し
た共通プライマーによって獣毛繊維から抽出したDNA
を増幅させ、増幅産生物を選択した制限酵素で断片化し
て、増幅産生物の分画数及びその分子量により動物種を
特定し、獣毛種を同定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は獣毛繊維および獣毛
繊維を用いた繊維製品から獣毛繊維の種類若しくは如何
なる動物種由来の獣毛繊維であるかを同定することに関
し、特にそれら獣毛種が複数種におよぶとき、それら混
合された獣毛繊維および獣毛繊維製品を高精度に同定す
る新規な方法に関する。より詳しくは獣毛繊維製品から
抽出したDNAによる獣毛繊維の由来種の同定方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】獣毛繊維の同定、定量方法の現状では熟
練した専門家による光学顕微鏡または電子顕微鏡を用い
た獣毛繊維の形態学的観察(繊維の直径、繊維表面のキ
ューティクルの形状とその間隔、髄の有無や構造の観
察)による同定、定量が行われている。しかし、獣毛繊
維において同定の手がかりである形態学的特徴が極めて
よく似ている場合やそれらが損傷を受けている場合、お
よび延伸、キューティクルの減少・除去などの特殊な加
工が施された場合などは、同定、定量作業を困難にする
ことがある。従ってこれら形態学的な手がかりが少ない
状況においても従来の光学および電子顕微鏡下の形態観
察による同定方法を補完する同定方法が望まれている。
今まで、化学分析的手法(アミノ酸分析や脂質の分析な
ど)による同定方法や形態学的特徴をコンピューターに
より画像解析する手法が検討されてきたが、特定の条件
下でのみ同定が可能であったり、同定が困難な場合が報
告されている。
【0003】近年、獣毛の毛根部分以外にもDNAが存
在し、DNAが抽出可能であること、様々な繊維製品の
加工(精錬、染色など)によりDNAが損傷を受け、D
NAが次第に断片化していくこと、ミトコンドリアDN
AをPCR法により増幅を行うことによって分析精度を
高めることなどか、Paul F Hamlynらによ
って報告されている(Paul F Hamlyn e
t.al,Molecular speciation
of animal fibres,JSDS,Vo
l.114,78−80,1998)。しかし、この文
献においては、実験の概要や簡単な結果が開示されてい
るのみである。特に重要なプライマーの設計部分につい
ては情報が一切開示されていない。開示されている方法
は各々の種に特異的なプライマーを設計し、そのプライ
マーを用いて対象とする獣毛繊維から抽出されたDNA
を鋳型として増幅し、各々の分子量の大きさにより同定
を行う法である。従って、本発明の同定方法は記載され
ていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、高級獣毛はそれ
自身の持つ繊維直径が細く、柔軟で、光沢があるなどの
特徴により、需要が拡大している。特に全世界的にヤギ
種由来のカシミヤ、モヘヤ、らくだ種由来のキャメル等
を用いた製品の需要が拡大している。これらは一般的に
用いられるウールと比較して高価であるため、生産者や
中間の取引業者のいずれかの段階で、高価な高級獣毛に
安価なウールやヤクなどを混入させる場合がある。従っ
て、各々の取引段階での取引内容物の証明や消費者保護
の立場から、適正な品質表示が為されているか確認する
必要がある。また、日本国内においても平成9年10月
に家庭用品品質表示法が改正され、従来獣毛繊維はすべ
て「毛」と表記されていたが、従来の「毛」を「羊
毛」、「アンゴラ」、「カシミヤ」、「モヘヤ」、「ら
くだ」、「アルパカ」と獣毛種を表示できるようになっ
た。
【0005】しかし、獣毛繊維の同定、定量方法の現状
では、熟練した専門家による光学顕微鏡または電子顕微
鏡を用いた獣毛繊維の形態学的観察(繊維の直径、繊維
表面のキューティクルの形状とその間隔、髄の有無や構
造の観察)による同定、定量が行われている。しかし、
獣毛繊維において同定の手がかりである形態学的特徴が
極めてよく似ている場合やそれらが損傷を受けている場
合、および延伸、キューティクルの減少・除去等の特殊
な加工が施された場合などは、同定作業を困難にする。
この様な場合でも獣毛種を正確に同定する方法が望まれ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、獣毛繊維から
ウシ種、らくだ種、ヤギ種およびヒツジ種から選ばれた
少なくとも1種の獣毛繊維を同定するに際し、これら4
種の獣毛繊維が由来する動物種におけるミトコンドリア
DNAのチトクロムb領域での共通した塩基配列部分及
び該配列部分と相補的に結合する塩基配列より設計した
下記の配列番号1、配列番号2で表される共通プライマ
ー(S)と下記の配列番号3、配列番号4で表される共
通プライマー(A)との混合物によってこれらの獣毛繊
維から抽出したDNAを増幅させ、得た増幅産生物を選
択した制限酵素で断片化し、次いで断片化した増幅産生
物の分画数及びその分子量により動物種を特定し、獣毛
種を同定することを特徴とする獣毛繊維から抽出したD
NAによる獣毛種の同定方法を提供する。 配列番号1 5’−−−ACAgggCTATTCCTAgCAAT
−−−3’ 配列番号2 5’−−−ACAggCCTATTCCTAgCAAT
−−−3’ 配列番号3 5’−−−AATgATATTTgTCCTCATg−
−−3’ 配列番号4 5’−−−AATgATATCTgTCCTCATg−
−−3’
【0007】本発明では制限酵素として例えばウシ種由
来のDNAを鋳型とした増幅産生物に作用するAlu
I、らくだ種由来のDNAを鋳型とした増幅産生物に作
用するAlu I及びMbo II、ヤギ種由来のDN
Aを鋳型とした増幅産生物に作用するEae I、そし
てヒツジ種由来のDNAを鋳型とした増幅産生物に作用
するStu Iが選択し得る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の詳細を説明す
る。本明細書中、獣毛繊維とは動物より採取される毛を
意味し、DNA分析が容易な毛根部分を含んだ毛および
毛根部分の無いカットされた毛の両方を含む。また獣毛
繊維とは、刈り取られたままの毛(原毛)、刈り取られ
た毛から夾雑物を取り除いたり油脂分、分泌物などを除
去した洗毛、精錬、漂白、染色などが完了した毛糸を含
む。また、特に断りの無い限り獣毛繊維を用いたすべて
の獣毛繊維製品も包含する。なお、獣毛繊維製品とは獣
毛繊維を用いたすべての製品を意味し、糸状、織物、編
み物、フェルトなどとそれらを組み合わせた製品も包含
する。
【0009】動物種とは、ウシ種、らくだ種、ヤギ種お
よびヒツジ種などの動物の種類を指し、獣毛種とは、ヤ
ク、キャメル、カシミヤ、モヘヤ、ウールなどの獣毛繊
維の種類を指す。なお、ウシ種由来の獣毛種はヤク、ら
くだ種由来の獣毛種はキャメル、ビキューナ、グアナコ
などがあり、ヤギ種由来の獣毛種はカシミヤ、モヘヤな
どがあり、ヒツジ種由来の獣毛種は、ウールがある。商
業的には動物種よりも獣毛種の同定が重要である。
【0010】塩基配列は慣例の通りアデニンをA、グア
ニンをg、シトシンをC、チミンをTと表記する。共通
プライマーはそれぞれの種の標的DNAの上流(5’
側)でセンス鎖(S)を、下流(3’側)でアンチセン
ス鎖(A)が選ばれる。
【0011】種特異的な塩基配列部分を認識部位とする
制限酵素とは、共通プライマーにより獣毛繊維より抽出
されたDNAを鋳型とした増幅を行うとき、増幅開始の
位置は共通プライマーによって決定されるので塩基配列
の差異は生じないが、共通プライマーで挟み込まれた塩
基配列部分に動物種に特有の塩基配列部分が存在するよ
うに共通プライマーを設計した。またその動物種により
特有の塩基配列部分を認識部位とし、そこに作用する制
限酵素を選択した。これらの制限酵素は一般に入手可能
なものである。
【0012】ヤクまたはキャメルすなわちウシ種または
らくだ種から抽出されたDNAの増幅産生物に対して特
異的に作用する制限酵素として、Alu Iを選択し
た。このAlu Iが特異的に作用する認識部位は、表
1に示す。次に、キャメルすなわちらくだ種から抽出し
たDNAから得られた増幅産生物に対し特異的に作用す
る制限酵素Mbo IIの作用する認識部位は、表2に示
す。カシミヤおよびモヘヤすなわちヤギ種から抽出され
たDNAの増幅産生物に特異的に作用する制限酵素Ea
e Iの作用する認識部位は表3に示す。最後にヒツジ
種由来の獣毛から抽出されたDNAの増幅産生物に特異
的に作用する制限酵素Stu Iが作用する認識部位
は、表4に示す。なお、太線部分より断片化される。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】
【表4】
【0017】獣毛繊維からDNAを抽出する場合、一般
的に用いられている生体組織からのDNAの抽出法と若
干異なった課程を経る必要がある。最初の前処理とし
て、獣毛繊維の洗浄課程がそれである。洗浄を行わない
と、獣毛繊維の表面に残っている様々な物質が、後の課
程で障害になる可能性がある。それ以外の部分に関して
は一般的によく知られているDNAの抽出方法に則り行
うことが出来る。洗浄作業としては、ドデシル硫酸ナト
リウムを用いた界面活性剤などの水溶液に浸漬、振とう
する。その後泡や水分を出来るだけ除去する。洗浄後に
おける獣毛繊維からのDNA抽出は、幾つかの方法があ
る。例えばタンパク質分解酵素プロテナーゼKの水溶液
を用いる方法や尿素水溶液を用いる方法、DEXPAD
などのDNA抽出溶液を用いる方法、苛性ソーダを用い
る方法などがある。しかし、DNAへの損傷具合を考慮
してプロテナーゼKを用いる方法が好ましい。
【0018】従って、好ましい抽出液の構成は、Tri
s−HCl(pH8.0)、EDTA、SDS、NaC
l、プロテナーゼ Kより成る。獣毛繊維をこの抽出液
によく浸潤させ、60℃で2時間以上インキュベーショ
ンを行う。次に溶け残った獣毛繊維をよく揉みほぐし、
獣毛繊維に含まれる抽出液を搾り取り、獣毛繊維を取り
除く。その抽出液を遠心分離し、抽出液に残っている獣
毛繊維を分離する。この抽出液の上清をイソプロピルと
酢酸ナトリウムを加え、低温で一定時間冷却し、再び遠
心分離しDNAを沈殿させる。そこで得られたDNAを
グラスファイバー膜チューブを用いて精製し、それを鋳
型として共通プライマーを用いて増幅を行う。なお、D
NAの精製方法はグラスファイバー膜チューブを用いる
方法以外にも、セロファンを用いる方法やフェノール・
クロロホルムを用いる方法、シリカゲル樹脂膜を用いる
方法などがある。しかし、作業効率などの点から、目開
き0.22μm程度のグラスファイバー膜チューブを用
いる方法が好ましい。
【0019】核酸物質の増幅技術として広く用いられて
いる方法としてポリメラーゼチェインリアクション法
(PCR法)がある。この基本技術は、ロッシュ社等の
特許公報、例えば特公平3−31434号、特公平4−
67960号、特公平4−67957号、特許2502
041号、特許2546576号、特許2622327
号などと生化学分野の専門書に詳細に記載されている。
一般的には、鋳型となる核酸物質に、20塩基対ほどの
相補的に結合するオリゴヌクレオチド(プライマー)を
用意し、耐熱性ポリメラーゼを用いた核酸物質鎖の伸張
反応を行って、目的とする核酸を増幅する技術である。
PCR反応装置としては、幾つかの会社から市販されて
いる。本発明において用いているPCR反応液の組成
は、緩衝液10×ExTaqBuffer、dNTP
MIX、請求項1における共通プライマーのセット、耐
熱性ポリメラーゼTaKaRa ExTaq、同定対象
の獣毛繊維から抽出されたDNA、および滅菌水であ
る。PCR反応条件は、94℃で15秒間保持し、次に
60℃で30秒間保持し、次に72℃で30秒間保持す
るサイクルを30サイクル行った。
【0020】PCR法により増幅された増幅産生物を分
析するとき、その増幅産生物に蛍光色素を標識としてつ
けた後、アガロース電気泳動を行い、増幅が行われてい
るか確認することが出来る。次にその増幅産生物がそれ
ぞれの動物種に由来していることを確認するために、そ
れぞれの動物種に特異的に作用する制限酵素により、処
理を行い、断片化した増幅産生物の分子量と分画化され
た増幅産生物の数により、同定を行った。
【0021】なお、増幅産生物が確実に動物由来による
ものであるかは、増幅産生物に対しダイレクトシーケシ
ングを行い、既に報告されているそれぞれの動物種のミ
トコンドリアDNAのチトクロムb領域における塩基配
列と照会し、確認を行っている。また陽性コントロール
用の試料として、ウシ種由来のDNAとして市販されて
いる牛肉よりDNAを調整し、らくだ種由来のDNAと
して動物園で飼育されているらくだより直接引き抜いた
毛根付きの毛より調整した。次に、ヤギ種由来のDNA
として動物園で飼育されているヤクシマヤギより直接引
き抜いた毛根付きの毛より調整した。最後にヒツジ種由
来のDNAとして市販されているヒツジ肉よりDNAを
調整した。ちなみにこれら陽性コントロール用のサンプ
ルから調整されたDNAについてもダイレクトシーケシ
ングにより塩基配列を特定し、既に報告されている塩基
配列と獣毛繊維から抽出されたDNAから得られた塩基
配列とも照会し同一種の塩基配列であることを確認して
いる。
【0022】
【実施例】〔実施例1〕同定対象種の肉片等由来の学術
的にも既に確立したDNA抽出物と本発明による繊維製
品から抽出されたDNA抽出物との両方に対し、すなわ
ち由来の異なるDNA抽出物に対し設計したプライマー
の増幅能を確認し、それと同時に同定対象種におけるミ
トコンドリアDNAのチトクロムb領域において共通塩
基配列部分に相補的に結合する共通プライマーにより、
増幅した増幅産生物を制限酵素Alu I、Mbo I
I、Eae I、Stu Iを用いて増幅産生物を断片
化した増幅産生物の分画数とその分子量により同定が可
能であることを確認した。換言すれば、同定対象種のD
NA抽出物が設計した共通プライマーにより増幅が可能
であるかの確認と、その確認が出来たとき増幅産生物を
制限酵素により設計通りの認識部位を確実に認識し、増
幅産生物を断片化出来たかの確認を由来の異なるDNA
抽出物に対して行った。
【0023】試料として確実に陽性反応を示すポジティ
ブコントロールとして、ウシ種のDNAサンプルとし
て、市販の牛肉からDNAを抽出し調整を行った。らく
だ種のDNAサンプルとして、動物園(鹿児島県平川動
物公園)で飼育されているらくだから直接抜き取ったら
くだの原毛からDNAを抽出し調整を行った。ヤギ種の
DNAサンプルとして動物園(大宮市小動物公園)で飼
育されているヤクシマヤギより直接抜き取った毛根付き
の原毛からDNAを抽出し調整を行った。ヒツジ種のD
NAサンプルは、市販されているヒツジ肉より抽出し、
調整を行った。肉よりDNAを調整する方法は、一般の
実験書にも記載されている公知の方法なのでここでは割
愛する。原毛からのDNAの調整方法について下記に記
載する。
【0024】試料約40mgを15mlのコニカルチュ
ーブに計り取り、1%濃度のSDS、2mlを加え、よ
く振とうし繊維表面に付着した汚れを洗浄する。洗浄す
る理由の一つとして、増幅課程(この場合はPCR法)
で、増幅課程を阻害する物質の混入を防ぐ意味がある。
次に、洗浄を終了した試料を別の容器に写し、細胞膜を
除去する作業を行う。この方法としてプロテナーゼKを
選択した。それ以外の方法を用いることも可能である
が、DNAへの損傷を加味して、プロテナーゼKによる
方法が好ましい。なお、DNA抽出液は、20mM T
ris−HCl(pH8.3)、30mM EDTA、
0.5% SDS、50mM NaCl、0.4mg/
mlのプロテナーゼ Kによって構成されている。この
DNA抽出液5mlに洗浄を行った繊維試料を浸潤さ
せ、60℃で2時間以上インキュベーションを行った。
このインキュベーション時間は、繊維試料の重量の大小
などにより多少増減させ、より効率的に抽出できるよう
に適宜調整する。次に溶け残った繊維試料を取り除き、
残った液を5000rpm、4℃、5分間遠心分離を行
った。その後、上清より15ml採取し、等量のイソプ
ロピルアルコールと、1/20量の2M酢酸ナトリウム
を加え、混和し−80℃で20分間静置した。この場合
も状況により、静置する時間を適宜調整する。TEバッ
ファー(10mM Tris−HCl(pH8.3)、
1mM EDTAの構成比)100μlに懸濁し、グラ
スファイバー膜チューブを使用し精製を行った。
【0025】共通プライマーの設計同定対象の動物種の
範囲は、ウシ種、らくだ種、ヤギ種およびヒツジ種なの
で、この範囲におけるミトコンドリアDNAのチトクロ
ムb領域に共通した塩基配列部分に相補的に結合するプ
ライマーを設計した。なお、共通プライマーとして
(a)、(b)を用いうる。
【0026】(a)共通プライマー(S) 5’−−−ACAgggCTATTCCTAgCAAT
−−−3’ 5’−−−ACAggCCTATTCCTAgCAAT
−−−3’ (b)共通プライマー(A) 5’−−−AATgATATTTgTCCTCATg−
−−3’ 5’−−−AATgATATCTgTCCTCATg−
−−3’
【0027】PCR反応の条件は、94℃で15秒間→
60℃で30秒間→72℃を1サイクルとして、30サ
イクル行った(TaKaRa Thermal Cyc
ler MPを使用)。このPCR反応条件は、獣毛よ
り抽出したミトコンドリアDNAを増幅する条件の一つ
である。また、獣毛からの抽出量が少ないときには、同
定に用いるDNAの増幅産生物の収量を調整するためそ
の条件を適宜調整する必要がある。
【0028】増幅産生物の確認 増幅産生物は、はじめにアガロースゲル上を電気泳動さ
せ、分子量マーカーと比較することによって行う。次
に、ダイレクトシーケシングにより確認を行った。な
お、肉片等由来のDNAと繊維製品由来のDNAについ
て同一の結果であることが判明した。電気泳動による確
認は、短いフラグメント用アガロースである3%NuS
ieve Agarose Gelにより泳動を行っ
た。なお、分子量マーカーとして100bpラダーを用
いた。結果を以下の表5に示す。
【0029】
【表5】
【0030】ウシ種由来のDNA増幅産生物に、制限酵
素Alu I、Mbo II、EaeI、Stu Iを各
々加えて電気泳動を行った。その結果、ウシ種由来の増
幅産生物に対し加えられたAlu Iが選択的に反応
し、その泳動結果より同定が可能であることが判明し
た。
【0031】らくだ種由来の増幅産生物に対し制限酵素
Alu I、Mbo II、EaeI、Stu Iを各々
加えて電気泳動を行った。その結果、らくだ種由来の増
幅産生物に対し加えられたAlu I、MboIIが選択
的に反応し、その泳動結果より同定が可能であることが
判明した。
【0032】ヤギ種由来の増幅産生物に対し制限酵素A
lu I、Mbo II、Eae I、Stu Iを各々
加えて電気泳動を行った。その結果、ヤギ種由来の増幅
産生物に対し加えられたEae Iが選択的に反応し、
その泳動結果より同定が可能であることが判明した。
【0033】ヒツジ種由来の増幅産生物に対し制限酵素
Alu I、Mbo II、EaeI、Stu Iを各々
加えて電気泳動を行った。その結果、ヒツジ種由来の増
幅産生物に対し加えられたStu Iが選択的に反応
し、その泳動結果より同定が可能であることが判明し
た。
【0034】
【発明の効果】本発明を用いれば、従来の光学顕微鏡ま
たは電子顕微鏡を用いて目視による同定が困難である場
合に、その問題を解決し、しかも生化学的根拠が明快な
同定方法なので、高精度に同定を行うことが出来る。従
って各々の取引段階による取引証明および検査や消費者
保護の観点に立脚した証明および検査を行うことが出来
る。
【0035】
【配列表】 SEQUENCE LISTING 〈110 〉Japan Synthetic Textile Inspection Institute Foundation 〈120 〉Method for Identification of Animal Fiber with DNA 〈130 〉M3466 〈160 〉4 〈210 〉1 〈211 〉20 〈212 〉DNA 〈213 〉Bovine, Camel, Goat, Sheep 〈400 〉1 acagggctat tcctagcaat 〈210 〉2 〈211 〉20 〈212 〉DNA 〈213 〉Bovine, Camel, Goat, Sheep 〈400 〉2 acaggcctat tcctagcaat 〈210 〉3 〈211 〉19 〈212 〉DNA 〈213 〉Bovine, Camel, Goat, Sheep 〈400 〉3 aatgatattt gtcctcatg 〈210 〉4 〈211 〉19 〈212 〉DNA 〈213 〉Bovine, Camel, Goat, Sheep 〈400 〉4 aatgatatct gtcctcatg

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 獣毛繊維からウシ種、らくだ種、ヤギ種
    およびヒツジ種から選ばれた少なくとも1種の獣毛繊維
    を同定するに際し、これら4種の獣毛繊維が由来する動
    物種におけるミトコンドリアDNAのチトクロムb領域
    での共通した塩基配列部分及び該配列部分と相補的に結
    合する塩基配列より設計した下記の配列番号1、配列番
    号2で表される共通プライマー(S)と下記の配列番号
    3、配列番号4で表される共通プライマー(A)との混
    合物によってこれらの獣毛繊維から抽出したDNAを増
    幅させ、得た増幅産生物を選択した制限酵素で断片化
    し、次いで断片化した増幅産生物の分画数及びその分子
    量により動物種を特定し、獣毛種を同定することを特徴
    とする獣毛繊維から抽出したDNAによる獣毛種の同定
    方法。 配列番号1 ACAgggCTATTCCTAgCAAT 配列番号2 ACAggCCTATTCCTAgCAAT 配列番号3 AATgATATTTgTCCTCATg 配列番号4 AATgATATCTgTCCTCATg
  2. 【請求項2】 制限酵素がウシ種由来のDNAを鋳型と
    した増幅産生物に作用するAlu Iであり、らくだ種
    由来のDNAを鋳型とした増幅産生物に作用するAlu
    I及びMbo IIであり、ヤギ種由来のDNAを鋳
    型とした増幅産生物に作用するEae Iであり、そし
    てヒツジ種由来のDNAを鋳型とした増幅産生物に作用
    するStu Iである請求項1記載の同定方法。
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