JP2000321464A - 光学装置および光学装置の製造方法 - Google Patents

光学装置および光学装置の製造方法

Info

Publication number
JP2000321464A
JP2000321464A JP12684499A JP12684499A JP2000321464A JP 2000321464 A JP2000321464 A JP 2000321464A JP 12684499 A JP12684499 A JP 12684499A JP 12684499 A JP12684499 A JP 12684499A JP 2000321464 A JP2000321464 A JP 2000321464A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
adhesive
optical device
light
region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP12684499A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Takasaki
茂 高崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oki Electric Industry Co Ltd filed Critical Oki Electric Industry Co Ltd
Priority to JP12684499A priority Critical patent/JP2000321464A/ja
Publication of JP2000321464A publication Critical patent/JP2000321464A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Mounting And Adjusting Of Optical Elements (AREA)
  • Optical Couplings Of Light Guides (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 CGHの機能が十分に発揮できる光学装置お
よびCGHの形成領域に接着剤が広がることなく、所望
の接着強度で基板間を接着できる製造方法。 【解決手段】 複数の光学素子基板を積層して構成され
た積層構造体を具え、上記光学素子基板のうち、少なく
とも1つの光学素子基板の一方の面にCGHが形成され
ている光学装置であって、上記一方の面内の、CGHが
形成されている領域以外の一部の領域である第1領域1
3(17)と、上記一方の面の直上に積層される光学素
子基板の、上記一方の面と対向する面内の一部の領域で
ある第2領域15(19)とが所定の間隔で以て保持さ
れ、かつ接着剤44によって固定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、互いに異なる波
長の光が重ね合わされた多重光を用いる光多重通信の端
末局に設けられる光学装置とその製造方法に関し、特
に、光学素子として計算機ホログラムが光学素子基板に
形成されている光学装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信容量の大きな光通信を実現す
るために、光ファイバを各家庭にまで施設する、ファイ
バー・ツー・ザ・ホーム(Fiber to the Home )という
計画が進められている。これによれば、例えば1.3μ
mおよび1.55μmのそれぞれの波長帯域の光からな
る多重光が、光ファイバにより各家庭の通信端末局に伝
送される。
【0003】この通信端末局には、光学装置が設けられ
ており、この光学装置は、多重光をそれぞれの波長に分
離する波長分波素子と、この分波素子で分離された一方
の波長の光の光路を分割する光カプラとを備えている。
この光カプラによって上記一方の波長の光による双方向
通信が可能となる。
【0004】しかしながら、この光学装置の波長分波素
子および光カプラは、いわゆる光ファイバ素子から構成
されている。このため、光ファイバ素子の相互の接続に
は手間がかかる。よって、このような光学装置の製造は
容易ではなく、またコンパクト化も図りにくい。
【0005】従来、容易に製造することができ、かつコ
ンパクト化を図れる光通信端末局用の光学装置として、
文献1(アプライド オプティクス:APPLIED OPTICS,V
ol.37,No.17,10 June 1998,pp.3735-3745 )に記載され
ている装置がある。この光学装置は、光学素子として光
回折現象を利用した計算機ホログラムを具えている。計
算機ホログラムには、コリメート機能、集光機能、偏向
機能および波長依存性等の機能を持たせることができ
る。また、特に波長依存性を利用すれば、多重光を各々
の波長の光に分割する光路分割作用および波長分離作用
を担わせることができる。
【0006】上記光学装置は、例えば、図15に示すよ
うな構造を有している。
【0007】図15によれば、光学装置100はブロッ
ク状の積層構造体であり、第1のガラス基板102と第
2のガラス基板104と第3のガラス基板106とを具
えている。そして、第1のガラス基板102の一方の面
102aに、第1の入力端108と第1の出力端110
とが接続されている。また、第1のガラス基板102の
他方の面102bと第2のガラス基板104の一方の面
104aとの間には、第1の計算機ホログラム(Comput
er Generated Hologram 、以下CGH素子と称する。)
112および第2のCGH素子114が配置されてい
る。また、第2のガラス基板104の他方の面104b
と第3のガラス基板106の一方の面106aとの間に
は、波長選択フィルタ116および第3のCGH素子1
18が配置されている。さらに、第3のガラス基板10
6の他方の面106bには第4のCGH素子120およ
び第5のCGH素子122が配置されている。
【0008】第1の入力端108としての光ファイバに
は、例えば波長1.3μmの光と波長1.55μmの光
とで構成された多重光が入力する。この多重光を構成す
る光はそれぞれが異なる信号として機能する。また、第
1の出力端110としての光ファイバには、光学装置1
00内で分離される波長1.55μmの光が案内され
る。
【0009】また、第1のCGH素子112は、コリメ
ート機能を有する素子であり、第1の入力端108から
発散球面波光として入力する多重光を平行光束とする役
目を果たす。
【0010】そして、この平行光束は波長選択フィルタ
116に到達する。波長選択フィルタ116は誘電体の
多層膜で構成された誘電体フィルタである。波長選択フ
ィルタ116に多重光が入射すると、波長1.55μm
の光に対してはこのフィルタ116が反射面として作用
する。そして、波長1.3μmの光に対しては透過面と
なる。これにより、波長選択フィルタ116によって、
多重光を分離することができる。
【0011】波長選択フィルタ116によって反射され
た波長1.55μmの光は第2のCGH素子114に到
達する。そして、この光は第2のCGH素子114によ
って第1の出力端110へ集光される。第1の出力端1
10から取り出される波長1.55μmの光は、例えば
テレビのような一方向通信の端末装置に伝送される。
【0012】一方、波長選択フィルタ116を透過した
波長1.3μmの光は、光分岐機能を有する第3のCG
H素子118によって、約40%の光が0次回折光とし
て第4のCGH素子120へ向けて偏向される。また、
波長1.3μmの光のうち別の約40%の光は1次回折
光として第5のCGH素子122へ向けて偏向される。
【0013】第4のCGH素子120に案内された光
は、第4のCGH素子120の集光機能によって、第4
のCGH素子120を経た光の焦点の位置に設けられて
いるフォトディテクタ124に集光される。そして、フ
ォトディテクタ124には受信回路(図示せず)が接続
されていて、フォトディテクタ124に集光された光の
情報が取り出される。
【0014】一方、送信回路(図示せず)に接続された
半導体レーザダイオード126は、送信回路からの情報
を波長1.3μmの光に変換して、この光を第5のCG
H素子122に向けて出射する。すると、この光は第3
のCGH素子118、波長選択フィルタ116および第
1のCGH素子112を経て第1の入力端108に案内
される。これにより、上記光学装置100と多重光の発
信源との間の双方向通信が、第1の入力端108を介し
て可能となる。これにより、製造が容易で、コンパクト
化の図れる光学装置が得られる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述した光学装置を製
造するためには、積層される第1、第2および第3のガ
ラス基板(102,104,106)間を相互に固定す
る必要がある。このガラス基板同士を固定するためには
通常エポキシ樹脂等の接着剤が用いられる。このような
接着剤を、単に一方のガラス基板に塗布した後、もう一
方のガラス基板を貼り合わせることによりガラス基板同
士を固定させると、ガラス基板同士を圧着する際に、接
着剤がガラス基板間に広がってしまい、ガラス基板間に
設けられているCGH素子にまで及ぶおそれがある。C
GH素子に接着剤が入り込むと、CGH素子の光学特性
が変化して、設計通りの機能を果たせなくなる。よっ
て、製造される光学装置が設計通りの動作を行うことが
できないおそれがある。
【0016】また、ガラス基板同士を圧着しすぎてガラ
ス基板間の間隔が狭くなると、接着剤の厚さが薄くなる
ため、所望の接着強度を得られなくなるおそれがあっ
た。
【0017】また、ガラス基板の接着する面同士は、水
平に接着されていないと、光学装置内で伝送される光の
光軸がずれて所望の光通信を行うことができない。
【0018】このため、複数のガラス基板の積層構造体
を含み、ガラス基板間にCGH素子が設けられている光
学装置において、CGH素子の機能を損なわせることな
くガラス基板同士が水平に接着され、かつより高いS/
N比の光信号を伝送することのできる光学装置の出現が
望まれていた。
【0019】また、このような光学装置の製造方法にお
いて、CGH素子が形成されている領域に接着剤が広が
ることなく、かつ所望の接着強度でガラス基板間を接着
することのできる光学装置の製造方法の出現が望まれて
いた。
【0020】
【課題を解決するための手段】このため、この発明の光
学装置によれば、複数の光学素子基板を積層して構成さ
れた積層構造体を具え、上記光学素子基板のうち、少な
くとも1つの光学素子基板の一方の面に計算機ホログラ
ム(以下、CGHという。)が形成されている光学装置
であって、上記一方の面内の、CGH形成領域以外の一
部の第1領域と、上記一方の面の直上に積層される光学
素子基板の、上記一方の面と対向する面内の一部の第2
領域とが、互いに所定の間隔で以て保持され、かつこれ
ら第1および第2領域間が接着剤によって固定されてい
る構造とする。
【0021】これにより、CGH形成領域は、接着剤で
覆われることはないため、CGHの光学特性が変化する
おそれはなくなる。また、光学素子基板同士の間は、所
定の間隔、ここでは、接着剤の好適な接着強度が得られ
る間隔に保持して固定されているので、従来よりも耐久
性の高い光学装置が得られる。
【0022】また、好ましくは、光学素子基板のCGH
が形成されている一方の面内の、CGH形成領域以外の
一部の第1領域と、CGH形成領域との間に接着剤溜め
用溝が設けられていて、上記第1領域および接着剤溜め
用溝と、上記一方の面と対向する面内の一部の第2領域
とが接着剤によって固定されているのがよい。
【0023】これにより、接着剤はCGHが形成されて
いる光学素子基板の面内の第1領域および接着剤溜め用
溝に広がっており、接着剤溜め用溝からCGHの方へ広
がるおそれはないため、CGHの機能を損なわせる心配
はなくなる。
【0024】また、CGHが形成されている一方の面の
第1領域と、上記第2領域との間に所定の高さを有する
スペーサが設けられているのがよい。
【0025】スペーサの高さは、光学素子基板間の間隔
に相当する。よって、接着剤の好ましい接着強度が得ら
れる程度の高さを有していることが望ましい。また、光
学素子基板間に塗布される接着剤がCGHの形成領域に
広がらない程度の高さとする。よって、この光学装置に
おいては、光学素子基板間を固定する接着剤がCGHの
機能を妨げるおそれはない。また、光学素子基板間は、
好ましい接着強度で固定されるので、より耐久性の高い
光学装置となる。
【0026】また、スペーサは、大きさが一定である複
数の球状粒子で構成されているのがよい。これにより、
固定された光学素子基板同士の対向する面では、接着剤
で固定するための基板間隔が、面内のどの位置でも同じ
間隔となり、基板同士を水平に積層することができる。
よって、光学装置内で伝送される光の光軸がずれるおそ
れはなくなる。
【0027】また、接着剤は、光学装置で使用する波長
の光を吸収する物質を含有しているのが好ましい。
【0028】これにより、ノイズ信号の原因となる迷光
が光学装置内で発生しても、光学素子基板間を固定して
いる接着剤の部分で、この迷光を吸収することができ
る。よって、この光学装置から取り出される信号のS/
N比をより高くすることができる。
【0029】また、この発明の光学装置は、多重光を受
ける第1の入力端と、この入力端に受けた多重光から分
離される第1の波長成分の光を出力する第1の出力端
と、多重光から分離される第2の波長成分の光に関し、
第1の入力端へ向けての双方向通信を可能とする第2の
一対の入力端および出力端とを具え、第1の入力端から
の多重光を平行光束に変換する第1のCGHと、第1の
CGHを経た多重光を、この多重光を構成する各々の波
長に応じて偏向させる波長選択フィルタと、この波長選
択フィルタにより分離された第1の波長成分の光を第1
の出力端に向ける第2のCGHと、波長選択フィルタに
より分離され第2の波長成分を分岐させる第3のCGH
と、この第3のCGHにより分岐された一方の分岐路を
経る第2の波長成分の光を第2の出力端に向ける第4の
CGHと、第2の入力端からの第2の波長成分の光を他
方の分岐路、第3のCGHおよび第1のCGHを経て第
1の入力端へ向けるべく、第3のCGHへ向けて案内す
る第5のCGHとを含んでいる。
【0030】よって、この光学装置を用いて、多重光の
発信源と光学装置との間の双方向通信が可能となる。
【0031】また、光学装置として、好ましくは、光学
素子基板として第1基板、第2基板および第3基板を具
え、第1の入力端および第1の出力端は、第1基板の一
方の面に設けられ、第1および第2のCGHは、第1基
板の他方の面と接続する第2基板の一方の面に並列的に
配列され、波長選択フィルタは、第2基板の他方の面に
設けられ、第3のCGHは、第3基板の第2基板と接合
する一方の面に設けられ、第4および第5のCGHは第
3基板の他方の面に並列的に配列され、第2の出力端は
第4のCGHを経た光の集光する焦点位置に設けられ、
第2の入力端は、第2の入力端からの光が第5のCGH
に到達可能な位置に設けられているのがよい。
【0032】また、このような光学装置の製造方法にお
いて、好ましくは、光学素子基板のCGHが形成されて
いる一方の面内の、第1領域に接着剤を塗布する工程
と、上記一方の面の直上に積層する光学素子基板の一方
の面と対向する面と、上記一方の面との間隔を、接着剤
の接着強度を維持し、かつ接着剤がCGH形成領域に広
がらないような間隔に保持して、一方の面とこの面と対
向する面とを固定する工程とを含むのがよい。
【0033】これにより、CGHが形成された光学素子
基板上に他の光学素子基板を積層し、この光学素子基板
同士を固定する際に、基板間に塗布した接着剤がこの基
板間に広がってCGHの形成領域にまで及ぶのを防ぐこ
とができる。また、光学基板同士を、接着剤の接着強度
が好適な強度となる間隔に保持して固定するので、光学
素子の耐久性を向上させることができる。
【0034】また、この光学装置の製造方法において、
好ましくは、接着剤を塗布する前に、光学素子基板のC
GHが形成されている面(一方の面)内の第1領域と、
CGH形成領域との間に、接着剤溜め用溝を設ける工程
を含んでいるのがよい。
【0035】これにより、CGHが形成されている光学
素子基板の上記一方の面の直上に他の光学素子基板を積
層して固定するときに、上記第1領域に接着剤を塗布し
た後、この一方の面に積層する光学素子基板の面を近づ
けた結果、これら基板間の接着剤が広がったとしても、
接着剤を塗布した第1領域とCGH形成領域との間に
は、接着剤溜め用溝が設けられている。このため、広が
った接着剤は、接着剤溜め用溝に溜められるので、CG
Hにまで及ぶおそれはない。また、接着剤溜め用溝の底
部と積層する光学素子基板との間の間隔が、接着剤の好
適な接着強度が得られる間隔であれば良いので、光学素
子基板間の間隔をより狭くすることができる。よって、
光学素子基板同士の位置合わせの精度をより向上させる
ことができる。
【0036】なお、接着剤溜め用溝は、エッチングもし
くはダイシングによって形成するのがよい。エッチング
によって溝を形成する場合には、CGHの形成と同時に
行うことができる。
【0037】また、光学素子基板同士を固定する接着剤
は、所定の大きさを有するスペーサ粒子を複数含んでい
るのがよい。
【0038】スペーサ粒子は、光学素子基板間の間隔を
所定の間隔に保持するためのスペーサとして機能する粒
子とする。よって、スペーサ粒子の所定の大きさは、接
着剤の接着強度が好適な強度となるような基板間の間隔
でしかも接着剤が広がってもCGHの形成領域にまで及
ぶことのない基板間の間隔に相当する大きさであるのが
好ましい。また、このスペーサ粒子は、光学素子基板に
挟まれた状態で変形もしくは破損することのない、ある
程度の硬度を有する粒子である必要がある。スペーサ粒
子として、例えば球状の粒子を用いればよい。また、ス
ペーサ粒子を構成する材料としては、例えば、ガラス、
アルミナ、ジルコニア、プラスチック等の接着剤として
使用する溶液に対して不溶でかつ剛性の材料を用いるの
がよい。
【0039】また、好ましくは、接着剤には光学装置で
使用される波長の光を吸収する材料が含まれているのが
よい。
【0040】これにより、光学装置の使用時に生じる不
必要な迷光を接着剤の部分で吸収することができる。こ
れにより、光学装置から取り出す信号中にノイズ信号が
発生するのを抑制することができる。よって、光学装置
から出力される光信号のS/N比を向上させることがで
きる。
【0041】また、光学素子基板として第1基板と、一
方の面に第1および第2のCGHが形成され、かつ他方
の面に波長フィルタが設けられた第2基板と、一方の面
に第3のCGHが形成され、かつ他方の面に第4および
第5のCGHが形成された第3基板とを具える光学装置
を製造するに当たり、第2基板の一方の面内の、第1お
よび第2のCGHが形成されている領域以外の一部の領
域(第2基板の第1領域)に接着剤を塗布する工程と、
第1基板と第2基板とを位置合わせしながら、第1基板
を、接着剤が塗布された第2基板の一方の面側に、この
一方の面と、この面と対向する第1基板の面との間隔を
接着剤の接着強度を維持しかつ接着剤が第1および第2
のCGHが形成されている領域に広がらないような間隔
にして保持する工程と、第2基板の一方の面と第1基板
との間の接着剤を硬化させることにより、第1基板と第
2基板とを固定する工程と、第3基板の一方の面内の第
3のCGHが形成されている領域以外の一部の領域(第
3基板の第1領域)に接着剤を塗布する工程と、第1お
よび第2基板を、第3基板と位置合わせしながら、接着
剤が塗布された第3基板の一方の面側に、この一方の面
と、この面と対向する第2基板の他方の面との間隔を接
着剤の接着強度を維持しかつ接着剤が第3のCGHが形
成されている領域に広がらないような間隔に保持する工
程と、第3基板の一方の面と第2基板の他方の面との間
の接着剤を硬化させることにより、第1および第2基板
と第3基板とを固定する工程とを含んでいるのが好適で
ある。
【0042】これにより、第1基板と第2基板とを接着
剤によって固定しても、第2基板の一方の面内の第1お
よび第2のCGH形成領域に接着剤が及ぶおそれはな
い。また、第2基板と第3基板とを接着剤によって固定
しても、第3基板の一方の面内の第3のCGH形成領域
に接着剤は広がらない。よって、光学装置内でこれら第
1、第2および第3のCGHは、それらの機能を十分に
発揮させることができる。
【0043】また、基板に接着剤を塗布する工程の前
に、第2基板の第1領域と第1および第2のCGH形成
領域との間、および、第3基板の第1領域と第3のCG
H形成領域との間に、それぞれ接着剤溜め用溝を設けて
おくのがよい。
【0044】これにより、基板同士を接着剤によって固
定するときに、接合させる基板の面同士を近接させるこ
とにより、基板間にある接着剤が広がるが、接着剤は、
接着剤を塗布した位置とCGH形成領域との間に設けら
れた接着剤溜め用溝まで広がってこの溝に溜まるため
に、CGH形成領域にまで及ぶおそれはない。このた
め、CGHの機能を十分に発揮できる光学装置を製造す
ることができる。
【0045】また、接着剤は所定の大きさのスペーサ粒
子を複数含んでいるのがよい。
【0046】スペーサ粒子の大きさ(幅)は、接合させ
る基板同士の間隔に相当する。このため、接着剤の好ま
しい接着強度が得られるような基板間の間隔で、かつC
GH形成領域にまで接着剤が広がらないような間隔を、
スペーサ粒子の大きさとするのがよい。そして、スペー
サ粒子は複数含まれており、これらは同じ大きさのもの
とする。よって、接合する基板面に対して水平にもう一
方の基板を固定することができる。したがって、基板間
で光軸がずれるおそれはなく、光学特性の安定した光学
装置が得られる。
【0047】また、好ましくは接着剤が、光学装置で使
用される波長の光を吸収する材料を含んでいるのがよ
い。
【0048】これにより、光学装置内で発生する迷光を
接着剤の部分で吸収させることができる。よって、迷光
に起因するノイズを低減することができる。したがって
S/N比の高い光信号が得られる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、図を参照してこの発明の実
施の形態につき説明する。なお、各図は発明を理解でき
る程度に各構成成分の形状、大きさおよび配置関係を概
略的に示してあるに過ぎず、したがってこの発明を図示
例に限定するものではない。また、図において、図を分
かり易くするために断面を示すハッチング(斜線)は一
部分を除き省略してある。
【0050】図1は、この発明の光学装置の構造を概略
的に示す断面構成図である。
【0051】この発明の光学装置は、複数の光学素子基
板を積層して構成された積層構造体を具え、積層された
光学素子基板のうち、少なくとも1つの光学素子基板の
一方の面にCGHが形成されている。
【0052】図1によれば、光学装置10は、ブロック
状の積層構造体を有していて、第1基板12と第2基板
14と第3基板16とを具えている。そして、第1基板
12の一方の面12aの側に、第1の入力端18および
第1の出力端20がそれぞれ結合している。第1の入力
端18および第1の出力端20は、それぞれ光ファイバ
で構成されていて、これらの光ファイバはファイバアレ
イ22で以て固定されている。この構成例では、それぞ
れの光ファイバ18および20は、光の導波方向がこの
面12aに垂直となるように、設けられている。また、
第1基板12の他方の面12bと接合している第2基板
14の一方の面14aに、第1および第2のCGH2
4,26が形成されている。また、第2基板14の他方
の面14bには波長選択フィルタ28が設けられてお
り、さらにこの第2基板14の他方の面14bと接合し
ている第3基板16の一方の面16aには第3のCGH
30が形成されている。また、第3基板16の他方の面
16bは、第2の入力端32および第2の出力端34と
なっており、この第2の出力端34に第4のCGH36
が形成され、第2の入力端32に第5のCGH38が形
成されている。また、第4のCGH36を経た光の焦点
の位置にはフォトディテクタ40が設けられている。そ
して、第5のCGH38を経た光の焦点位置、すなわ
ち、第3基板16の他方の面16b側から光を入射させ
ることができるような位置に、半導体レーザダイオード
42が設けられている。
【0053】第2および第3基板14および16に形成
されている第1〜第5のCGH(24,26,30,3
6,38)は、それぞれ、目的とする機能の実現に必要
な光路差関数を設計して、基板に対してフォトリソグラ
フィおよびエッチング処理を行って基板に作り込むこと
ができる。
【0054】また、CGHが形成されている基板の面内
の、CGH形成領域以外の一部の領域である第1領域
と、この面の直上に積層される光学素子基板の、上記面
と対向する面内の一部の領域である第2領域とが、互い
に所定の間隔で保持され、かつ接着剤によって固定され
ている。
【0055】この実施の形態では、第1基板12と第2
基板14との間、および第2基板14と第3基板16と
の間の、それぞれの第1領域13(17)および第2領
域15(19)間に設けられた接着剤44によって固定
されている。そして、基板間の距離T1 ,T2 は所定の
距離に保たれている。このため、基板のCGH形成領域
は接着剤44で覆われるおそれはなく、CGHの光学特
性を変化させるおそれはない。
【0056】上述した光学装置10の動作は、従来とほ
ぼ同様である。
【0057】第1の入力端18に波長1.3μmおよび
波長1.55μmの光で構成された多重光を入力させ
る。この多重光は、発散球面波光として第1のCGH2
4に到達する。第1のCGH24は、この発散球面波光
を平行光束とするコリメート機能と、平行光束を波長選
択フィルタ28に向ける偏向機能とを有する。波長選択
フィルタ28は、誘電体の多層膜からなる誘電体フィル
タで、この実施の形態では、波長1.55μmの光を反
射し、かつ波長1.3μmの光を透過させる機能を有す
る。このため、波長選択フィルタ28に到達した多重光
のうち、波長1.55μmの光は反射されて第2のCG
H26に到達する。第2のCGH26は集光機能を具え
ている。このため、第2のCGH26に到達した波長
1.55μmの光は第1の出力端20に集光されて、取
り出される。一方、波長選択フィルタ28を透過した波
長1.3μmの光は、光分岐機能を有する第3のCGH
30に到達して、ほぼ40%の光が0次回折光として第
4のCGH36に到達するように偏向される。また、波
長1.3μmの光の別の40%の光は1次回折光として
第5のCGH38に到達するように偏向される。第4の
CGH36に到達した光は第4のCGH36の集光機能
によって、フォトディテクタ40に集光されたのち、フ
ォトディテクタ40からこの光の情報が取り出される。
また、半導体レーザダイオード42からは波長1.3μ
mの光が第5のCGH38に向かって出射される。そし
て、この光は、第5のCGH38の偏向機能によって第
3のCGH30に向けられて、この後、波長選択フィル
タ28および第1のCGH24を経て第1の入力端18
に案内される。
【0058】これにより、多重光の発信源(図示せ
ず。)と光学装置10との間の双方向通信を、第1の入
力端18を介して行うことができる。
【0059】なお、基板同士を固定する接着剤44とし
ては、紫外線硬化型接着剤や熱硬化型接着剤、自然硬化
型接着剤、可視光硬化型接着剤等を用いることができ
る。
【0060】また、第1、第2および第3基板(12,
14,16)は、光学装置10で使用される光、例えば
通信信号や映像信号に用いられる波長の光を透過する材
料で構成されていれば良い。このため、ガラス基板やプ
ラスチック基板を用いることができる。
【0061】
【実施例】以下、この発明の光学装置のいくつかの実施
例についてそれぞれ説明する。しかしながら、以下の説
明中で挙げる使用材料およびその量、構成成分の大き
さ、基板間隔、粒径などの数値的条件はこれら発明の範
囲内の一例にすぎないことを理解されたい。
【0062】<第1の実施例>図1〜図5を参照して、
第1の実施例の光学装置につき、説明する。図1は、光
学装置の概略的な構成図であり、断面の切り口で示して
ある。図2は、ファイバアレイの上から見た平面図であ
る。図3は、第1基板の上から見た平面図である。図4
は、第2基板の平面図であり、図4(A)は一方の面の
側から見た平面図である。図4(B)は他方の面の側か
ら見た平面図である。また、図5(A)は第3基板の一
方の面の側から見た平面図であり、図5(B)は第3基
板の他方の面側から見た平面図である。
【0063】第1実施例の光学装置は、3つの光学素子
基板を積層して構成された積層構造体で、上記の実施の
形態中で説明した図1で示される装置と同様の構造を有
している。
【0064】まず、ファイバアレイ22は、光ファイバ
からなる第1の入力端18および第1の出力端20とを
具えている。ファイバアレイ22の中心付近に、第1の
入力端18および第1の出力端20が、中心距離Lを以
て配置されている(図2)。この例では、中心距離Lを
250μmとする。
【0065】第1基板12は、この例では、5mm四方
で厚さが0.75mmのガラス基板である(図3)。
【0066】第2基板14は、一方の面14aの中心付
近に、直径250μmの円状の第1のCGH24と、第
2のCGH26とが形成されている(図4(A))。そ
して、第1および第2のCGH24,26を囲むよう
に、複数のアライメントマーク50が形成されている。
ここでは、第1および第2のCGH24,26を囲む1
mm×1mmの正方形(図中、点線で示す。)の3つの
頂点部分に、十字状のアライメントマーク50が形成さ
れている。このアライメントマーク50は、100μm
×100μmの大きさの正方形内に収まるような大きさ
および形状とする。また、第2基板14の他方の面14
bの略中央には、大きさが700μm×700μmの正
方形状の波長選択フィルタ28が設けられている。この
波長選択フィルタ28は、誘電体の多層膜で構成されて
いて、波長1.55μmの光を反射し、かつ波長1.3
μmの光を透過させる。そして、この他方の面14bに
も、波長選択フィルタ28を囲む1mm×1mmの正方
形(図中、点線で示す。)の3つの頂点部分に、それぞ
れアライメントマーク52が形成されている。このアラ
イメントマーク52は、第2基板14の一方の面14a
に形成されている十字状のマーク50と重なることによ
り、正方形が形成されるような、4つの四角形で構成さ
れたマーク52とする(図4(B))。また、第2基板
14は5mm四方の大きさで厚さは2mmのガラス基板
とする。
【0067】また、第3基板16は、一方の面16aの
中心付近に、大きさ700μm×700μmの正方形状
の第3のCGH30が形成されている。第3のCGH3
0は、上記波長選択フィルタ28と同一の大きさとする
(図5(A))。第3のCGH30は波長1.3μmの
光を分岐する機能を有している。そして、この第3のC
GH30を囲む1mm×1mmの正方形(図中、点線で
示す。)の3つの頂点部分に、十字状のアライメントマ
ーク54が形成されている。この形成位置は、第2基板
14の一方の面14aに形成されたアライメントマーク
50と同様である。また、第3基板16の他方の面16
bの中心付近に、直径250μmの円状の第4のCGH
36と第5のCGH38とが形成されている。そして、
第4および第5のCGH36,38を囲む1mm×1m
mの正方形(図中、点線で示す。)の3つの頂点部分
に、それぞれ、第2基板14の他方の面14bに設けら
れていると同様のアライメントマーク56が設けられて
いる。1つのアライメントマーク56は4つの四角形で
構成されている(図5(B))。第3基板16は、5m
m四方の大きさで厚さは4mmのガラス基板とする。
【0068】また、第4のCGH36を経た光の焦点位
置に、フォトディテクタ40が設けられている。また、
第3基板16の他方の面16b側から、第5のCGH3
8に光を入射させることができるような位置に半導体レ
ーザダイオード42が設けられている(図1参照。)。
【0069】次に、この光学装置の製造方法につき、図
6〜図10を用いて説明する。
【0070】図6はこの光学装置の製造に用いる実装装
置の構成を示している。図7(A)〜図9(C)は、光
学装置の製造工程図であり、光学装置となる構成成分の
断面の切り口で示してある。図10は、製造工程中の光
学素子基板の平面図である。
【0071】まず、第2基板14の一方の面14a内
の、第1および第2のCGH24,26が形成されてい
る領域以外の一部の領域に接着剤を塗布する。
【0072】この例では、図6で示される実装装置60
のステージ62上に搭載した第2基板14の一方の面1
4aに、紫外線硬化型接着剤をディスペンサ64で塗布
する(図7(A))。紫外線硬化型樹脂として、例え
ば、オプトダインUV3100(商品名:ダイキン工業
社製)を用いる。このとき、図10(A)で示すよう
に、第1および第2のCGH24,26形成領域以外の
領域の、アライメントマーク50の外側を囲むように、
一定間隔を開けながら複数位置44pに接着剤44xを
塗布する。ここでは、1mm間隔で15箇所に、一回の
塗布量を1×10-5mlにして塗布する(図7
(A))。
【0073】次に、第1基板12と第2基板14とを位
置合わせしながら、第1基板12を、接着剤44xが塗
布された第2基板14の一方の面14a側に、この一方
の面14aと、この面14aと対向する第1基板12の
面12bとの間隔を、接着剤44xの接着強度を維持し
かつ接着剤が第1および第2のCGH24,26が形成
されている領域に広がらないような間隔T1 にして保持
する(図7(B))。
【0074】この例では、ピックアップ66に吸着した
第1基板12を、第2基板14の一方の面14aの上側
から近づけていく。このとき、第1のカメラ68で、第
1基板12の外形と第2基板14の外形をモニターしな
がら、ステージ62のX軸、Y軸およびθ軸を調製する
ことによって位置合わせを行い、第1および第2基板1
2,14の外形を一致させる(図6および図7
(B))。また、第2のカメラ70で、第1基板12と
第2基板14との間隔をモニターしながら、この間隔が
10μmになるまで第1基板12を第2基板14に近づ
ける。これにより、第2基板14に塗布された接着剤
は、第1基板の他方の面に付着して広がる。各箇所に塗
布された接着剤44xはそれぞれ1mm2 の面積の広さ
に広がる(図10(B))。接着剤44xの塗布位置、
塗布量および広がる面積は、予め実験等により調べてあ
る。このため、第1および第2のCGH24,26の形
成領域にまで接着剤44xが広がるおそれはない。ま
た、第1基板12と第2基板14との間隔T1 を10μ
mとしてあるため、接着剤の接着強度も好適となる。
【0075】次に、第2基板14の一方の面14aと第
1基板12との間の接着剤44xを硬化させることによ
り、第1基板12と第2基板14とを固定する。
【0076】この例では、紫外線照射機72を用いて、
接着剤44xの塗布領域に紫外線を照射することによっ
て、接着剤44x(44)を硬化させる。これにより、
第1基板12と第2基板14とは貼り合わされ、固定さ
れる(図7(C))。
【0077】次に、第3基板16の一方の面16a内の
第3のCGH30が形成されている領域以外の領域に接
着剤44yを塗布する。
【0078】この例では、ステージ62上に第3基板1
6を載せ、一方の面16aに紫外線硬化型接着剤44y
をディスペンサ64を用いて塗布する。この接着剤44
yの塗布位置、塗布間隔および塗布量は第2の基板14
への接着剤44xの塗布と同様とする。よって、第3の
CGH30の周囲であってアライメントマーク54の周
囲に、1mm間隔で15箇所に、1×10-5mlの接着
剤44yを塗布する(図8(A))。
【0079】次に、第1および第2基板12,14から
なる構造体を、第3基板16と位置合わせしながら、接
着剤44yが塗布された第3基板16の一方の面16a
側に、この一方の面16aとこの面16aと対向する第
2基板14の他方の面14bとの間隔T2 を接着剤44
yの接着強度を維持しかつ接着剤44yが第3のCGH
30が形成されている領域に広がらないような間隔T2
にして保持する(図8(B))。
【0080】この例では、第1および第2基板12,1
4からなる構造体を、ピックアップ66によって吸着し
て、第3基板16の一方の面16aの上側から第2基板
14の他方の面14bを近づける。このとき、第1のカ
メラ68で第2基板14の他方の面14bのアライメン
トマーク52および第3基板16の一方の面16aのア
ライメントマーク54をモニターしながら、ステージ6
2のX軸、Y軸およびθ軸を調製して、第2基板14の
他方の面14bのアライメントマーク52と第3基板1
6の一方の面16aのアライメントマーク54とを位置
合わせする。また、第2のカメラ70で第2基板14と
第3基板16との間隔T2 をモニターしながら、この間
隔T2 が10μmとなるように第2基板14を近づけ
る。これにより、第3基板16の一方の面16aに塗布
された接着剤44yは第2基板14の他方の面14bに
付着して広がる。この場合も、塗布した位置から1mm
2 の面積にわたって接着剤44yは広がるが、第3のC
GH30の形成領域にまで広がるおそれはない(図6お
よび図8(B))。
【0081】次に、第3基板16の一方の面16aと第
2基板14の他方の面14bとの間の接着剤44yを硬
化させることにより、第1および第2基板12,14
と、第3基板16とを固定する。
【0082】ここでは、紫外線照射機72を用いて、第
2基板14と第3基板16との間の接着剤44yに対し
て紫外線を照射する。これにより、接着剤44y(4
4)が硬化して、第1および第2基板12,14と第3
基板16とが固定される。なお、第2基板14と第3基
板16との間隔T2 は10μmにして固定するので、好
ましい接着強度で固定することができる(図8
(C))。
【0083】次に、この例では、第1、第2および第3
基板12,14,16からなる構造体にファイバアレイ
22を固定する。
【0084】まず、ステージ62上にファイバアレイ2
2を載せる。そして、ファイバアレイ22の第1の入力
端18を波長1.55μmの光を出射する光源74に接
続する。また、第1の出力端20を光パワーメータ76
に接続する。
【0085】その後、ピックアップ66に上記構造体を
吸着させて、これをファイバアレイ22の接続面22a
に近づける。第2のカメラ70で第1基板12とファイ
バアレイ22との間隔T3 をモニタしながら、この間隔
3 が10μmになるまで近づける。ここで、光源74
を動作させて、波長1.55μmの光を第1の入力端1
8から出射する。出射された光は、第1基板12を透過
して、第2基板14の一方の面14aに形成されている
第1のCGH24でコリメートされて平行光となる。次
に、この平行光は波長選択フィルタ28に入射するが、
波長選択フィルタ28では波長1.55μmの光は反射
される。よって、反射された光は第2のCGH26に入
射して、第2のCGH26の集光機能によって集光され
た後、第1の出力端20に入射する。この後、光パワー
メータ76に導かれて光電力を測定される。この光電力
の数値が最大になるように、すなわち、第1の出力端2
0への入射光の入射効率が最大になるように、光軸を調
節する。この光軸の調節は、ステージ62のX軸、Y軸
およびθ軸を調整することにより行われる(図6および
図9(A))。
【0086】光軸の調整後、波長1.3μmの光および
波長1.55μmの光に対して透明で、かつ第1の入力
端18および第1の出力端20の屈折率、ならびに第1
基板12の屈折率に近い屈折率を有し、粘度の比較的低
い接着剤80xを、ディスペンサ64を用いて第1基板
12とファイバアレイ22との間の10μmの隙間から
塗布する。このような接着剤として、例えば、オプトダ
インUV1100(商品名:ダイキン工業社製)を用い
る。塗布された接着剤80xは毛管現象によって第1基
板12とファイバアレイ22との間に広がる。これによ
り、第1基板12の一方の面12aとファイバアレイ2
2の接続面22aは接着剤80xにより覆われるが、こ
れらの面12a,22aにはCGHが形成されていない
ために、光学特性が損なわれるおそれはない(図9
(B))。
【0087】その後、紫外線照射機72を用いて、塗布
した接着剤80xに紫外線を照射することによって接着
剤80x(80)が硬化して、第1、第2および第3基
板12,14,16で構成された構造体とファイバアレ
イ22とを固定することができる(図9(C))。
【0088】また、第3基板16の他方の面16bは第
2の入力端32および第2の出力端34となっている。
この第2の入力端32の部分には第5のCGH38が設
けられていて、第2の出力端34の部分には第4のCG
H36が設けられている。そして、第2の入力端32か
ら少し離間した位置に半導体レーザダイオード42が設
けられている。第2の入力端32と半導体レーザダイオ
ード42との間の距離は、半導体レーザダイオード42
から出射する光が効率よく第2の入力端32に入射でき
るような距離とする。また、第2の出力端34から所定
距離離間した位置にはフォトディテクタ40が設けられ
ている。第2の出力端34からフォトディテクタ40ま
での距離は、第4のCGH36を経た光が第4のCGH
36の集光機能によって集光される焦点距離とする。こ
の焦点の位置にフォトディテクタ40が設けられてい
る。よって、第2の出力端34から出力される光信号
を、効率よくフォトディテクタ40で検出することがで
きる(図1参照。)。
【0089】これにより、図1で示される光学装置10
が得られる。
【0090】この結果、基板同士を積層する工程におい
て、接着剤がCGH形成領域にまで広がるのを防ぐこと
ができる。このため、光学特性が損なわれる心配はな
い。また、基板同士は、接着剤の接着強度が好適となる
厚さに相当する間隔で固定されているため、積層された
構造体の強度は十分に高くなる。よって、光学装置自体
の耐久性の向上が図れる。そして、光学装置の歩留りの
向上も図れる。なお、この光学装置10の動作は、既に
実施の形態で説明した通りである。
【0091】<第2の実施例>第2の実施例として、図
11を参照して、第1の実施例の光学装置と同様な光学
装置で、光学素子基板間を工程するための接着剤を塗布
する工程の前に、基板の接着剤が塗布される側の面に接
着剤溜め用溝を設けておき、このような接着剤溜め用溝
が設けられた光学装置の例につき説明する。
【0092】以下、第1の実施例と相違する点につき説
明し、第1の実施例と同様の点についてはその詳細な説
明を省略する。
【0093】第2の実施例の全体的な構成は、図1に示
した光学装置と同様である。この実施例の光学装置にお
いては、第2基板の一方の面および第3基板の一方の面
に接着剤溜め用溝が設けられている。図11(A)は、
第2基板の一方の面を上から見た平面図である。そし
て、図11(B)は、第1基板と第2基板とを接着剤で
固定した状態を示す、概略的な断面図である。
【0094】図11(A)によれば、第2基板14の一
方の面14aの、第1および第2のCGH24,26が
形成されている領域と、接着剤44xを塗布する位置4
4pとの間に接着剤溜め用溝82が設けられている。こ
の溝82は、第1および第2のCGH24,26形成領
域を囲むように、アライメントマーク50の外側に形成
されており、幅0.5mmで深さが2μmの溝82であ
る。
【0095】この溝82は、第2基板14に第1および
第2のCGH24,26を形成するエッチング工程にお
いて、CGHの形成と同時に形成することができる。ま
たは、接着剤溜め用溝を形成するために新たにエッチン
グ工程を加えてもよいし、ダイシングによって溝を形成
してもよい。
【0096】接着剤溜め用溝82が形成された第2基板
14と、第1基板12とを固定する工程は、第1の実施
例と同様に、ステージ62上に載せた第2基板14の一
方の面14aに紫外線硬化型接着剤44xをディスペン
サ64を用いて塗布する(図6参照)。このとき、第2
基板14の一方の面14aの溝82の外側に、1mm間
隔で15箇所に接着剤44xを塗布する。また、各箇所
44pへの塗布量は、1×10-5mlとする。次に、ピ
ックアップ66によって吸着された第1基板12を、第
2基板14の一方の面14aの上側から近づける。この
とき、第1基板12の接合面12bと第2基板14の一
方の面14aとの間隔が10μmになるまで第1基板1
2を近づける。これにより、接着剤44xは、第1基板
12の接合面12bに付着して広がる。接着剤44xを
塗布した各箇所44pにおいて接着剤44xが広がる面
積は1mm2 程度である。これにより、接着剤44xは
溝82の中にも広がるが、第1および第2のCGH2
4,26が形成されている領域にまで広がるおそれはな
い(図11(A)および図11(B))。
【0097】この後、接着剤44xを塗布した部分に紫
外線を照射して、接着剤44x(44)を硬化させるこ
とによって、第1基板12と第2基板14とを接合して
固定する。
【0098】また、同様に、第3基板16の一方の面1
6aにも、上述したと同様の接着剤溜め用溝を設ける。
そして、第1基板12と第2基板14との接合工程と同
様にして、第1および第2基板12,14からなる構造
体と第3基板16との接合および固定を行う。
【0099】他の工程は第1の実施例で説明した工程と
同様にして行う。これにより、第2の実施例の光学装置
が得られる。
【0100】この結果、基板同士の接合を行う工程中
に、接着剤が接合する基板面を広がってもCGH形成領
域にまで広がるおそれを回避できる。よって、光学特性
の好適な光学装置が得られる。また、光学装置の歩留り
も向上する。
【0101】<第3の実施例>第3の実施例として、図
12を参照して、第1の実施例の光学装置と同様の構成
の光学装置で、光学素子基板の接着剤が塗布される側の
面に接着剤溜め用溝を予め設けておく例につき説明す
る。
【0102】以下、第1および第2の実施例と相違する
点について説明し、同様の点についてはその詳細な説明
を省略する。
【0103】第3の実施例の光学装置の全体的な構成
は、図1の光学装置と同様である。第3の実施例では、
第2基板14の一方の面14aおよび第3基板16の一
方の面16aに、それぞれ、接着剤溜め用溝が2重に設
けられている。図12(A)は、第2基板の一方の面を
上から見た平面図である。そして、図12(B)は、第
1基板と第2基板とを接着剤で固定した状態を示す、概
略的な断面図である。
【0104】図12(A)によれば、第2基板14の一
方の面14aの、第1および第2のCGH24,26形
成領域の外側に、アライメントマーク50を囲むように
2重に接着剤溜め用溝84,86が設けられている。こ
こで、アライメントマーク50に近い内側の溝を、接着
剤溜め用第1溝84とし、外側の溝を接着剤溜め用第2
溝86とする。第1溝84は、幅が0.5mmで深さが
2μmの溝である。第2溝86は、幅が0.8mmで深
さが2μmの溝である。
【0105】これらの溝84,86は、第2基板14に
第1および第2CGH24,26を形成するエッチング
工程で、このCGHの形成と同時に形成することができ
る。または、接着剤溜め用溝を形成するために新たにエ
ッチング工程を加えてもよいし、ダイシングによって溝
を形成してもよい。
【0106】接着剤溜め用溝84,86が形成された第
2基板14と、第1基板12とを接合および固定する工
程は、第1の実施例と同様に、ステージ62上に載せた
第2基板14の一方の面14aに、紫外線硬化型接着剤
44xをディスペンサ64を用いて塗布する。このと
き、第2溝86の底部に、1mm間隔で15箇所に接着
剤44xを塗布する。各箇所44pへの塗布量は、それ
ぞれ1×10-5mlとする。次に、ピックアップ66に
よって吸着された第1基板12を、第2基板14の一方
の面14aの上側から近づける。このとき、第1基板1
2の接合面12bと第2基板14の一方の面14aとの
間隔が8μmになるまで第1基板12を近づける。これ
により、接着剤44xは第1基板12の接合面12bに
付着して第2の溝86内とその周辺にも広がる。接着剤
44xは1箇所あたり1×10-5mlの塗布量で塗布さ
れていて、しかも隣り合う塗布箇所44pの間隔は1m
mあるため、接着剤44xは第1の溝84にまで広がっ
ても、第1および第2のCGH24,26が形成されて
いる領域にまで広がるおそれはない。
【0107】この後、接着剤44xを塗布した部分に紫
外線を照射して、接着剤44x(44)を硬化させるこ
とによって、第1基板12と第2基板14とを接合して
固定する。
【0108】また、同様に、第3基板16の一方の面1
6aにも、第2基板14と同様の接着剤溜め用溝を2重
に設ける。そして、第1基板12と第2基板14との接
合工程と同様にして、第1および第2基板12,14か
らなる構造体と第3基板16との接合および固定を行
う。
【0109】なお、光学装置を製造する他の工程は、第
1の実施例で説明した工程と同様にして行う。これによ
り、第3の実施例の光学装置が得られる。
【0110】この結果、基板同士の接合を行う工程中
に、接着剤が接合する基板面を広がってもCGH形成領
域にまで広がるおそれを回避できる。よって、光学特性
の好適な光学装置が得られる。また、光学装置の歩留り
の向上も図れる。さらに、この実施例では、基板同士を
より接近させて固定することも可能となる。これによ
り、基板同士の位置合わせ精度を向上させることができ
る。この実施例では、基板同士を1μmの間隔にまで接
近させることができる。この場合、溝84,86の底部
とこの上に積層する基板の面との間隔は3μm程度にな
るために、接着剤の接着強度が低くなる心配はない。よ
って、基板同士の間隔が接近したとしても、基板同士は
好適な強度で固定されるため、光学装置の耐久性を保持
することができる。
【0111】<第4の実施例>第4の実施例として、図
13を参照して、図1と同様の構成を有する光学装置で
あって、基板間にスペーサが設けられている例につき説
明する。
【0112】以下、第1〜第3の実施例と相違する点に
ついて説明し、同様の点についてはその詳細な説明を省
略する。
【0113】第4の実施例の全体的な構成は、図1の光
学装置と同様である。第4の実施例では、第1基板12
と第2基板14との間の、接着剤44で固定されている
部分に、スペーサ45が設けられている。また、第2基
板14と第3基板16との間の接着剤44による固定部
分にもスペーサが設けられている(図示せず。)。図1
3は、第1基板12と第2基板14とを接着剤で固定し
た状態を示す、概略的な断面図である。
【0114】この例では、第1の実施例で使用した接着
剤44x中に、スペーサ粒子45として、例えば直径1
0μmの真球ガラスを、全体の25重量%の割合で混合
させている。これを第4の実施例の接着剤44zとして
用いる。
【0115】第1基板12と第2基板14との接合およ
び固定の工程は、第1の実施例と同様に、ステージ62
上に載せた第2基板14の一方の面14aに、上記接着
剤44zをディスペンサ64を用いて塗布する。接着剤
44zの塗布箇所および塗布量は第1の実施例と同様と
する。次に、ピックアップ66によって吸着された第1
基板12を、第2基板14の一方の面14aの上側から
近づける。これにより、第1基板12の接合面12bと
第2基板14の一方の面14aとの間隔が10μm程度
になると、接着剤44zは第1基板12の接合面12b
に付着して周辺に広がる。また、接着剤44z中のスペ
ーサ粒子45は10μmの直径を有しているため、第1
基板12の接合面12bおよび第2基板14の一方の面
14aの両方に接してスペーサ45として機能する。よ
って、基板間隔の調整精度を厳密にしなくても、第1基
板12と第2基板14との間は10μmの間隔で保持す
ることができる。このため、接着剤44zは第1および
第2のCGH24,26が形成されている領域にまで広
がるおそれはない。
【0116】この後、接着剤44zを塗布した部分に紫
外線を照射して、接着剤44z(44)を硬化させるこ
とによって、第1基板12と第2基板14とを接合して
固定する。
【0117】また、第1基板12および第2基板14か
らなる構造体と、第3基板16との接合工程にも、上述
したスペーサ粒子45が混合された接着剤44zを用い
る。
【0118】なお、これ以外の光学装置の製造工程は、
第1の実施例で説明した工程と同様にして行う。これに
より、第4の実施例の光学装置が得られる。
【0119】この結果、基板同士の接合を行う工程中
に、接着剤が接合する基板面で広がってもCGH形成領
域にまで広がるおそれを回避できる。よって、光学特性
の好適な光学装置が得られる。また、光学装置の歩留り
の向上も図れる。また、接着剤44z中に含まれるスペ
ーサ粒子45の直径によって、基板同士を一定の間隔に
保持することができるので、好適な接着強度で基板同士
を固定することができる。また、接着剤中に複数含まれ
るスペーサ粒子45の形状および大きさは一定であるた
め、基板面のどの位置においても接合する基板面との間
隔を一定にすることができる。よって、光軸のずれが生
じるおそれがなく、設計通りの光学特性が得られる。
【0120】また、この例では球状のスペーサ粒子45
を用いたが、これに限るものではなく、例えば円柱状の
スペーサを用いてもよい。また、この例は、スペーサ粒
子の材料としてガラスを用いたが、これに限らず、アル
ミナ、ジルコニア、プラスチック等、接着剤に用いられ
る溶液に対して不溶でかつ剛性を有する材料であればよ
い。
【0121】<第5の実施例>第5の実施例として、図
14を参照して、第1の実施例の光学装置と同様の構成
の光学装置で、基板同士を固定する接着剤が、光学装置
で使用される波長の光を吸収する材料を含んでいる例に
つき説明する。
【0122】以下、第1〜第4の実施例と相違する点に
ついて説明し、同様の点についてはその詳細な説明を省
略する。
【0123】第5の実施例の光学装置の全体的な構成
は、図1で示した光学装置と同様である。図14は第1
基板と第2基板とを第5の実施例の接着剤を用いて固定
した状態を示す、概略的な断面図である。
【0124】この例では、光学装置で使用される波長
1.3μmの光および波長1.55μmの光を吸収する
接着剤90を用いる。ここでは、黒色の熱硬化型接着剤
である、エポテック320(商品名:エポキシテクノロ
ジー社製)を用いる。
【0125】第1基板12と第2基板14との接合工程
において、エポテック320(90)を用いること以外
は、第1の実施例と同様にする。また、エポテック32
0(90)の塗布位置および塗布量も、第1の実施例で
用いた接着剤44xの塗布位置および塗布量と同様とす
る。
【0126】第2基板14の一方の面14aに、エポテ
ック320(90)を塗布した後、第1基板12を第2
基板14の一方の面14aの上側から近づけ、基板間隔
を10μmにして接合する。この後、加熱処理を行っ
て、エポテック320(90)を硬化させることによっ
て、第1基板12と第2基板14とを固定する(図1
4)。
【0127】また、第1基板12と第2基板14からな
る構造体と、第3基板16とを接合する工程でも、上記
エポテック320(90)を接着剤として用いる。
【0128】この後の、光学装置の製造工程は、第1の
実施例と同様にして行うが、ファイバアレイ22と第
1、第2および第3基板12,14,16の積層構造体
とを接合するときには、エポテック320(90)では
なく、第1の実施例で使用した接着剤44xを用いる。
これはファイバアレイ22から第1基板12へ、第1の
入力端18からの光を透過させなければならないからで
ある。これにより、第5の実施例の光学装置が得られ
る。
【0129】この結果、第1の実施例で得られる効果と
同様の効果が得られる。また、この例では、波長1.3
μmの光および波長1.55μmの光を吸収するような
接着剤90を用いているため、光学装置内で発生する迷
光を、基板同士を接着している接着剤90の部分で吸収
することができる。このような迷光は、例えば第1の入
力端18から入射光や半導体レーザダイオード42から
の入射光が、CGHに入射したときに発生する不必要な
高次回折光や、CGHではない領域に入射した光や、C
GH以外の領域で反射した光等である。このような迷光
は、第1の出力端20やフォトディテクタ40に入射す
ると、ノイズ信号として検出されてしまう。よって、こ
の接着剤90が塗布されている部分で迷光が吸収されれ
ば、ノイズ信号の発生を防ぐことができる。したがっ
て、得られる光信号のS/N比を高くすることができ
る。
【0130】また、このような接着剤90としては、第
5の実施例の光学装置で用いられている波長の光を吸収
できる材料であればよいため、黒色の接着剤に限られる
ものではない。例えば透明や緑色の材料であってもよ
い。
【0131】また、このような接着剤90を用いて製造
される光学装置においては、第2の実施例や第3の実施
例で説明したような、第2基板の一方の面および第3基
板の一方の面に接着剤溜め用溝が形成されているような
光学装置にも適用可能である。また、第4の実施例で説
明したように、基板間にスペーサが設けられていてもよ
い。
【0132】また、上述した第1〜第5の実施例では、
第1の入力端18および第1の出力端20が予め固定さ
れているファイバアレイを用いているが、第1の入力端
となる光ファイバと、第1の出力端となる光ファイバと
を、個別に第1基板12の一方の面12aに接続させて
もよい。
【0133】また、上述した実施例では、基板同士の位
置合わせに用いるアライメントマークをエッチングによ
り形成しているが、これに限られるものではない。例え
ば、クロム等の金属を蒸着した後、この金属を所望のマ
ーク形状にパターニングしてエッチングして形成しても
よい。
【0134】
【発明の効果】上述した説明から明らかなように、この
発明の光学装置によれば、複数の光学素子基板を積層し
て構成された積層構造体を具え、上記光学素子基板のう
ち、少なくとも1つの光学素子基板の一方の面に計算機
ホログラムが形成されている光学装置であって、上記一
方の面内の、CGHが形成されている領域以外の一部の
領域である第1領域と、上記一方の面の直上に積層され
る光学素子基板の、上記一方の面と対向する面内の一部
の領域である第2領域とが、所定の間隔で以て保持さ
れ、かつ接着剤によって固定されている。これにより、
CGH形成領域は、接着剤で覆われることはないため、
CGHの光学特性が変化するおそれはなくなる。また、
光学素子基板同士の間は、所定の間隔、ここでは、接着
剤の好適な接着強度が得られる間隔に保持して固定され
ているので、従来よりも耐久性の高い光学装置が得られ
る。
【0135】また、このような光学装置の製造方法にお
いて、好ましくは、光学素子基板のCGHが形成されて
いる一方の面内の第1領域に接着剤を塗布する工程と、
上記一方の面の直上に積層する光学素子基板の一方の面
と対向する面と、上記一方の面との間隔を、接着剤の接
着強度を維持し、かつ接着剤がCGH形成領域に広がら
ないような間隔に保持して、一方の面とこの面と対向す
る面とを固定する工程とを含むのがよい。
【0136】これにより、CGHが形成された光学素子
基板上に他の光学素子基板を積層し、この光学素子基板
同士を固定する際に、基板間に塗布した接着剤がこの基
板間に広がってCGHの形成領域にまで及ぶのを防ぐこ
とができる。また、光学基板同士を、接着剤の接着強度
が好適な強度となる間隔に保持して固定するので、光学
素子の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光学装置の概略的な構成図であり、
断面の切り口で示してある。
【図2】第1の実施例の説明に供する、ファイバアレイ
の平面図である。
【図3】第1の実施例の説明に供する、第1基板の一方
の面の平面図である。
【図4】(A)は、第1の実施例の説明に供する、第2
基板の一方の面の平面図であり、(B)は、第2基板の
他方の面の平面図である。
【図5】(A)は、第1の実施例の説明に供する、第3
基板の一方の面の平面図であり、(B)は、第3基板の
他方の面の平面図である。
【図6】この発明の光学装置の製造に用いる、実装装置
の概略的な構成図である。
【図7】(A)〜(C)は、第1の実施例の光学装置の
製造工程図であり、製造中の装置の断面の切り口で示し
てある。
【図8】(A)〜(C)は、第1の実施例の光学装置
の、図7に続く製造工程図である。
【図9】(A)〜(C)は、第1の実施例の光学装置
の、図8に続く製造工程図である。
【図10】(A)および(B)は、第1の実施例の説明
に供する、光学装置の製造工程中の第2基板の平面図で
ある。
【図11】(A)は、第2の実施例の説明に供する、第
2基板の概略的な平面図であり、(B)は、第1基板お
よび第2基板からなる積層体の概略的な断面図である。
【図12】(A)は、第3の実施例の説明に供する、第
2基板の概略的な平面図であり、(B)は、第1基板お
よび第2基板からなる積層体の概略的な断面図である。
【図13】第4の実施例の説明に供する、第1基板およ
び第2基板からなる積層体の概略的な断面図である。
【図14】第5の実施例の説明に供する、第1基板およ
び第2基板からなる積層体の概略的な断面図である。
【図15】従来の光学装置の構成を示す概略的な断面図
である。
【符号の説明】
10:光学装置 12:第1基板 12a:一方の面 12b:他方の面(接合面) 13:(第2基板の)第1領域 15:(第1基板の)第2領域 17:(第3基板の)第1領域 19:(第2基板の)第2領域 14:第2基板 14a,16a:一方の面 14b,16b:他方の面 16:第3基板 18:第1の入力端 20:第1の出力端 22:ファイバアレイ 22a:接合面 24:第1のCGH 26:第2のCGH 28:波長選択フィルタ 30:第3のCGH 32:第2の入力端 34:第2の出力端 36:第4のCGH 38:第5のCGH 40:フォトディテクタ 42:半導体レーザダイオード 44,80:(硬化した)接着剤 44x,44y,44z,80x:(硬化する前の)接
着剤 44p:接着剤を塗布する位置(塗布箇所) 45:スペーサ(スペーサ粒子) 50,52,54,56:アライメントマーク 60:実装装置 62:ステージ 64:ディスペンサ 66:ピックアップ 68:第1のカメラ 70:第2のカメラ 72:紫外線照射機 74:光源 76:光パワーメータ 82:接着剤溜め用溝 84:接着剤溜め用第1溝(第1溝) 86:接着剤溜め用第2溝(第2溝) 90:接着剤(エポテック320)

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の光学素子基板を積層して構成され
    た積層構造体を具え、前記光学素子基板のうち、少なく
    とも1つの光学素子基板の一方の面に計算機ホログラム
    が形成されている光学装置において、 前記一方の面内の、前記計算機ホログラムが形成されて
    いる領域以外の一部の領域である第1領域と、 前記一方の面の直上に積層される光学素子基板の、前記
    一方の面と対向する面内の一部の領域である第2領域と
    が、所定の間隔で以て保持され、かつ接着剤によって固
    定されていることを特徴とする光学装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光学装置において、 前記第1領域と、前記計算機ホログラムが形成されてい
    る領域との間に接着剤溜め用溝が設けられていて、 前記第1領域および前記接着剤溜め用溝と、 前記第2領域とが、前記接着剤によって固定されている
    ことを特徴とする光学装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の光学装置において、 前記第1領域と、前記第2領域との間に所定の高さを有
    するスペーサが設けられていることを特徴とする光学装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の光学装置において、 前記スペーサが複数の球状粒子で構成されていて、 該球状粒子の大きさが一定であることを特徴とする光学
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の光学装置において、 前記接着剤は、前記光学装置で使用する波長の光を吸収
    する物質を含有していることを特徴とする光学装置。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の光学装置において、 多重光を受ける第1の入力端と、該入力端に受けた多重
    光から分離される第1の波長成分の光を出力する第1の
    出力端と、前記多重光から分離される第2の波長成分の
    光に関し、前記第1の入力端へ向けての双方向通信を可
    能とする第2の一対の入力端および出力端とを具える光
    学装置であって、 前記第1の入力端からの多重光を平行光束に変換する第
    1の計算機ホログラムと、該第1の計算機ホログラムを
    経た多重光を、当該多重光を構成する各々の波長に応じ
    て偏向させる波長選択フィルタと、該波長選択フィルタ
    により分離された前記第1の波長成分の光を前記第1の
    出力端に向ける第2の計算機ホログラムと、前記波長選
    択フィルタにより分離され前記第2の波長成分を分岐さ
    せる第3の計算機ホログラムと、該第3の計算機ホログ
    ラムにより分岐された一方の分岐路を経る第2の波長成
    分の光を前記第2の出力端へ向ける第4の計算機ホログ
    ラムと、前記第2の入力端からの前記第2の波長成分の
    光を他方の分岐路、前記第3の計算機ホログラムおよび
    第1の計算機ホログラムを経て前記第1の入力端へ向け
    るべく、前記第3の計算機ホログラムへ向けて案内する
    第5の計算機ホログラムとを含んでいることを特徴とす
    る光学装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の光学装置において、 前記光学素子基板として第1基板、第2基板および第3
    基板を具え、 前記第1の入力端および第1の出力端は、前記第1基板
    の一方の面側に設けられ、 前記第1および第2の計算機ホログラムは、前記第1基
    板の他方の面と接合する前記第2基板の一方の面に並列
    的に配列され、 前記波長選択フィルタは、前記第2基板の他方の面に設
    けられ、 前記第3の計算機ホログラムは、前記第3基板の前記第
    2基板と接合する一方の面に設けられ、 前記第4および第5の計算機ホログラムは前記第3基板
    の他方の面に並列的に配列され、 前記第2の出力端は、前記第4の計算機ホログラムを経
    た光の集光する焦点位置に設けられ、 前記第2の入力端は、該第2の入力端からの光が前記第
    5の計算機ホログラムに到達可能な位置に設けられてい
    ることを特徴とする光学装置。
  8. 【請求項8】 複数の光学素子基板の積層構造体を具
    え、前記光学素子基板のうち、少なくとも1つの光学素
    子基板の一方の面に計算機ホログラムが形成されている
    光学装置の製造方法において、 前記一方の面内の、前記計算機ホログラムが形成されて
    いる領域以外の一部の領域である第1領域に接着剤を塗
    布する工程と、 前記一方の面の直上に積層する光学素子基板の前記一方
    の面と対向する面と、前記一方の面との間隔を、前記接
    着剤の接着強度を維持し、かつ該接着剤が前記計算機ホ
    ログラム素子が形成されている領域に広がらないような
    間隔に保持して、前記一方の面と当該一方の面と対向す
    る面とを固定する工程とを含むことを特徴とする光学装
    置の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の光学装置の製造方法に
    おいて、 前記接着剤を塗布する工程の前に、 前記第1領域と、前記計算機ホログラムが形成されてい
    る領域との間に接着剤溜め用溝を設ける工程を含むこと
    を特徴とする光学装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の光学装置の製造方法
    において、 前記接着剤は、所定の大きさを有するスペーサ粒子を複
    数含んでいることを特徴とする光学装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項8に記載の光学装置の製造方法
    において、 前記接着剤は、前記光学装置で使用される波長の光を吸
    収する材料を含んでいることを特徴とする光学装置の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 光学素子基板として第1基板と、一方
    の面に第1および第2の計算機ホログラムが形成され、
    かつ他方の面に波長フィルタが設けられた第2基板と、
    一方の面に第3の計算機ホログラムが形成され、かつ他
    方の面に第4および第5の計算機ホログラムが形成され
    た第3基板とを具える光学装置を製造するに当たり、 前記第2基板の一方の面内の、前記第1および第2の計
    算機ホログラムが形成されている領域以外の一部の領域
    に接着剤を塗布する工程と、 前記第1基板を前記第2基板と位置合わせしながら、前
    記第1基板を、該接着剤が塗布された前記第2基板の一
    方の面側に、該一方の面と、当該面と対向する第1基板
    の面との間隔を前記接着剤の接着強度を維持しかつ該接
    着剤が前記第1および第2の計算機ホログラムが形成さ
    れている領域に広がらないような間隔にして保持する工
    程と、 前記第2基板の一方の面と前記第1基板の面との間の接
    着剤を硬化させることにより、前記第1基板と前記第2
    基板とを固定する工程と、 前記第3基板の一方の面内の第3の計算機ホログラムが
    形成されている領域以外の一部の領域に接着剤を塗布す
    る工程と、 前記第1および第2基板を前記第3基板と位置合わせし
    ながら、前記第1および第2基板を、接着剤が塗布され
    た前記第3基板の一方の面側に、該一方の面と、当該面
    と対向する前記第2基板の他方の面との間隔を前記接着
    剤の接着強度を維持しかつ該接着剤が前記第3の計算機
    ホログラムが形成されている領域に広がらないような間
    隔に保持する工程と、 前記第3基板の一方の面と前記第2基板の他方の面との
    間の接着剤を硬化させることにより、第1および第2基
    板と第3基板とを固定する工程とを含むことを特徴とす
    る光学装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の光学装置の製造方
    法において、 前記接着剤を塗布する工程の前に、 前記第2基板の一方の面内の前記一部の領域と、前記第
    1および第2の計算機ホログラムが形成されている領域
    との間、および、前記第3基板の一方の面内の前記一部
    の領域と、前記第3の計算機ホログラムが形成されてい
    る領域との間に、それぞれ接着剤溜め用溝を設ける工程
    を含むことを特徴とする光学装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項12に記載の光学装置の製造方
    法において、 前記接着剤は、所定の大きさのスペーサ粒子を複数含ん
    でいることを特徴とする光学装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項12に記載の光学装置の製造方
    法において、 前記接着剤は、前記光学装置で使用される波長の光を吸
    収する材料を含んでいることを特徴とする光学装置の製
    造方法。
JP12684499A 1999-05-07 1999-05-07 光学装置および光学装置の製造方法 Withdrawn JP2000321464A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12684499A JP2000321464A (ja) 1999-05-07 1999-05-07 光学装置および光学装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12684499A JP2000321464A (ja) 1999-05-07 1999-05-07 光学装置および光学装置の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000321464A true JP2000321464A (ja) 2000-11-24

Family

ID=14945279

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12684499A Withdrawn JP2000321464A (ja) 1999-05-07 1999-05-07 光学装置および光学装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000321464A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008286962A (ja) * 2007-05-17 2008-11-27 Hitachi Ltd 光モジュール及びその製造方法
JPWO2019172254A1 (ja) * 2018-03-08 2021-03-11 湖北工業株式会社 光ファイバモジュール及びその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008286962A (ja) * 2007-05-17 2008-11-27 Hitachi Ltd 光モジュール及びその製造方法
JPWO2019172254A1 (ja) * 2018-03-08 2021-03-11 湖北工業株式会社 光ファイバモジュール及びその製造方法
JP7041929B2 (ja) 2018-03-08 2022-03-25 湖北工業株式会社 光ファイバモジュール及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3991220B2 (ja) 光学回路素子の製造方法
KR100801519B1 (ko) 광 모듈, 광 전송 시스템, 광 모듈의 제조 방법
JP5528632B2 (ja) 波長分割多重化又は波長分割逆多重化の装置
US9541715B2 (en) Optical module, manufacturing method of optical module, and optical device
US9310530B2 (en) Lens array and optical module provided therewith
US20160231522A1 (en) Coupling device of optical waveguide chip and pd array lens
US20100209041A1 (en) Photoelectric composite wiring module and method for manufacturing the same
US20090188610A1 (en) Manufacturing method of optical waveguide
TW200540481A (en) Light transmitting and receiving module
JPH06308344A (ja) 光ファイバを電子回路に結合するためのインターフェース
US20080131050A1 (en) Manufacturing method of optical-electrical substrate and optical-electrical substrate
CN112415673A (zh) 一种光学组件
CN106896447A (zh) 具有高密度光学互连模块的波分复用的光学部件
JP2002169042A (ja) 光導波路結合構造、光導波路及びその製造方法、並びに光導波路付き光素子部品及びその製造方法
JP2022015128A (ja) 光モジュール及び光モジュールの製造方法
JP2012027141A (ja) 光半導体装置
JP2003218447A (ja) パラレル光学系接続装置用の位置決め方法
JP2004319555A (ja) 光電変換素子パッケージ、その作製方法及び光コネクタ
JP2000321464A (ja) 光学装置および光学装置の製造方法
US20080260331A1 (en) Multiplexer/Demultiplexer, Method for Fabricating the Same, and Optical Multiplexe/Demultiplexer Module
JP2003004992A (ja) 光送受信モジュールとその製造方法
JP6122380B2 (ja) 光モジュール
JP2008020720A (ja) 光導波路及び並列光送受信装置
JP7188841B2 (ja) シリコンレンズを有するマルチチャネルモードコンバータ
JP2004101847A (ja) 光モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060801