JP2000321415A - 回折格子の製造方法 - Google Patents

回折格子の製造方法

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JP2000321415A JP35861099A JP35861099A JP2000321415A JP 2000321415 A JP2000321415 A JP 2000321415A JP 35861099 A JP35861099 A JP 35861099A JP 35861099 A JP35861099 A JP 35861099A JP 2000321415 A JP2000321415 A JP 2000321415A
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健二 金高
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準治 西井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来よりもパワー密度の低い干渉光により書
き込み可能な、回折格子の製造方法を提供する。 【解決手段】 金属アルコキシド及びβ−ジケトンを含
有するコーティング液を基板上に塗布し、コーティング
膜を熱処理してゲル膜を形成し、次いでゲル膜に干渉光
を照射することを特徴とする回折格子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明に属する技術分野】本発明は、光照射による回折
格子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】回折格子は、ナノオーダーの間隔で多数
の溝を刻んだ光学素子で、光通信用光源や受信器、さら
には分析機器などにとって不可欠なものである。高い精
度が要求される回折格子の母材には、通常無機材料、特
にガラスが用いられる。ガラス基板上での回折格子の作
製にはルーリングエンジンが用いられ、一本一本溝を刻
むことによって作製されている。かかる製造方法は長時
間を要し、製造コストも高い。
【0003】従って、回折格子の溝を光の照射によって
書き込むことができれば、大幅な時間短縮及びコストダ
ウンが可能である。このような状況において、最近、ス
パッタ法で作製したGeO2−SiO2ガラス薄膜に位相
マスクを介してエキシマレーザー光を照射し、マスクの
ピッチに応じた回折格子を書き込む方法が報告されてい
る(特許第2832337号)。位相マスクを用いる理
由は、エキシマレーザー光に十分なコヒーレンシーが無
いため、通常の2光束干渉法では干渉縞が形成できない
からである。かかる方法において、書き込みには数十m
J/cm2のパルス光を数千回照射する必要があるとい
う問題点があった。
【0004】これらの問題点を解決するためには、より
低エネルギーでコヒーレント長が長いHe−Cdレーザ
ー、アルゴンイオンレーザー等の干渉光で書き込みをす
る方法が考えられるが、スパッタ法により形成された薄
膜は光感度が低いため、低エネルギーの干渉光によって
は、回折格子の書き込みが困難である。従って、回折格
子の製造のための材料として、より高感度な光感応性材
料の開発が望まれている。同時に、回折格子の回折効率
を向上させるために、格子の形状を非対称にするいわゆ
るブレーズ化の技術の開発も望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来よりも
パワー密度の低い干渉光により書き込み可能な、回折格
子の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、金属アルコ
キシド及びβ−ジケトンを含有するコーティング液を基
板上に塗布し、熱処理によりゲル膜とし、該ゲル膜に干
渉光を照射することによって上記目的を達成できること
を見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】即ち、本発明は、下記の各項に記載された
発明に係るものである。 項1 金属アルコキシド及びβ−ジケトンを含有するコ
ーティング液を基板上に塗布し、コーティング膜を熱処
理してゲル膜を形成し、次いでゲル膜に干渉光を照射す
ることを特徴とする回折格子の製造方法。 項2 金属アルコキシドの金属が、ジルコニウム、アル
ミニウム又はチタンのいずれか1種であることを特徴と
する項1に記載の製造方法。 項3 β−ジケトンが、ベンゾイルアセトン又はアセチ
ルアセトンのいずれか1種であることを特徴とする項1
に記載の製造方法。 項4 コーティング液の溶媒が、水とアルコールの混合
溶媒であることを特徴とする項1に記載の製造方法。 項5 アルコールが、メタノール、エタノール及びイソ
プロピルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも
1種であることを特徴とする項4に記載の製造方法。 項6 コーティング液における各成分の配合比が、モル
比において、0.5≦金属アルコキシド/β−ジケトン
≦3であり、且つ、0.01≦[金属アルコキシド+
β−ジケトン]/溶媒 ≦2であることを特徴とする項
1に記載の製造方法。 項7 コーティング液が、ジルコニウムテトラブトキシ
ド(Zr(O-nBu)4)、ベンゾイルアセトン(BzAcH)、エタノ
ール(EtOH)及び水(H2O)を含有し、これらの配合比が、
モル比において、0.5≦Zr(O-nBu)4/BzAcH ≦1.
5、0.1≦H2O/EtOH≦0.2であり、且つ、0.0
1≦[Zr(O-nBu)4 + BzAcH]/[EtOH + H2O]≦0.4であ
ることを特徴とする項1に記載の製造方法。 項8 コーティング液が、アルミニウムトリ-sec-ブト
キシド(Al(O-sec-Bu)3)、ベンゾイルアセトン(BzAcH)及
びイソプロピルアルコール(i-PrOH)を含有し、これらの
配合比が、モル比において、0.5≦Al(O-sec-Bu)3/B
zAcH≦3であり、且つ、0.01≦[Al(O-sec-Bu)3+BzA
cH]/[i-PrOH]≦2であることを特徴とする項1に記載
の製造方法。 項9 コーティング液が、チタンテトラブトキシド(Ti
(O-nBu)4)、ベンゾイルアセトン(BzAcH)、メタノール(M
eOH)及び水(H2O)を含有し、これらの配合比が、モル比
において、0.5≦Ti(O-nBu)4/BzAcH ≦2.5、0.
01≦H2O/MeOH≦0.2であり、且つ、0.01≦[Ti
(O-nBu)4 + BzAcH]/[MeOH + H2O]≦1であることを特
徴とする項1に記載の製造方法。 項10 熱処理が、大気中50〜150℃において1分
〜2時間であることを特徴とする項1に記載の製造方
法。 項11 干渉光の光源がHe−Cdレーザー又はアルゴ
ンイオンレーザーのいずれかであり、干渉光の平均パワ
ー密度が0.5〜100mW/cm2であることを特徴
とする項1に記載の製造方法。 項12 干渉光の照射後に、溶媒で光照射面を洗浄する
ことを特徴とする項1に記載の製造方法。 項13 溶媒が有機溶媒であることを特徴とする項12
に記載の製造方法。 項14 有機溶媒がアルコールであることを特徴とする
項13に記載の製造方法。 項15 洗浄後、光照射面に基板から5〜80゜の角度
で圧縮ガスを吹き付けることを特徴とする項12に記載
の製造方法。 項16 圧縮ガスの吹き付け圧力が0.5〜5atmであ
ることを特徴とする項15に記載の製造方法。 項17 洗浄後、50〜500℃にて1分〜5時間の熱
処理をすることを特徴とする項12に記載の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、金属アルコ
キシド及びβ−ジケトンを含有するコーティング液を基
板上に塗布する工程(第一工程)、コーティング面を熱
処理してゲル化する工程(第二工程)、得られたゲル膜
に光を照射する工程(第三工程)を含むものである。以
下、各工程をより具体的に説明する。
【0009】第一工程 第一工程において用いるコーティング液は、金属アルコ
キシド及びβ−ジケトンを含有するものである。
【0010】金属アルコキシドの金属としては、本発明
所期の効果が達成できるようなものであれば特に限定は
されないが、例えば、ジルコニウム、アルミニウム、チ
タン、ガリウム等が挙げられる。これらの中でも、ジル
コニウム、アルミニウム及びチタンが好ましい。
【0011】金属アルコキシドのアルコキシ基として
は、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イ
ソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、te
rt−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオ
キシ基等の炭素数1〜6程度の直鎖又は分岐のアルコキ
シ基が挙げられる。
【0012】本発明で用いる金属アルコキシドとして
は、本発明所期の効果が達成できるものであれば特に限
定はされず、例えば上記したような金属及びアルコキシ
基を任意に組み合わせた金属アルコキシドから適宜選択
して用いることができる。
【0013】具体的には、ジルコニウムテトラブトキシ
ド、アルミニウムトリ-sec-ブトキシド、アルミニウム
エトキシド、アルミニウム−i−プロポキシド、チタン
テトラブトキシド等が挙げられる。
【0014】β−ジケトンとしては、例えば、アセチル
アセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等
の炭素数5〜13のβ−ジケトンが挙げられる。これら
の中でも、特に、ベンゾイルアセトン及びアセチルアセ
トンが好ましい。
【0015】本発明コーティング液における、金属アル
コキシドとβ−ジケトンの配合比については、特に限定
はされないが、通常、モル比として、0.5≦金属アル
コキシド/β−ジケトン≦3程度、特に1≦金属アルコ
キシド/β−ジケトン≦2程度が好ましい。
【0016】金属アルコキシド及びβ−ジケトンを含有
するコーティング液の溶媒は特に限定されるものではな
く、金属アルコキシドやβ−ジケトンの種類に応じて適
宜選択することができる。
【0017】好ましい溶媒としては、炭素数1〜6程度
のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−
プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、
ペンタノール、ヘキサノール)等が挙げられる。これら
の中でも、メタノール、エタノール及びイソプロピルア
ルコールが好ましい。
【0018】これら溶媒は単独で用いてもよく、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】また、アルコールを用いる場合は、ゲル化
を促進するために、水と組み合わせるのが好ましい。
【0020】アルコールと水を組み合わせた場合の配合
比(モル比)としては、特に限定はされず、金属アルコ
キシドやβ−ジケトンの種類、配合比等に基づいて適宜
設定することができるが、0≦水/アルコール≦0.5
程度、特に0≦水/アルコール≦0.2程度が好まし
い。
【0021】金属アルコキシド及びβ−ジケトンと、溶
媒との配合比(モル比)は、これらの種類及び組み合わ
せに応じて適宜設定することができるが、0.01≦
[金属アルコキシド+β−ジケトン]/溶媒≦2程度、
特に0.1≦[金属アルコキシド+β−ジケトン]/溶
媒≦0.4程度が好ましい。
【0022】本発明におけるコーティング液として、具
体的には以下のものが挙げられる。
【0023】(a)金属アルコキシド:ジルコニウムテ
トラブトキシド(Zr(O-nBu)4)、β−ジケトン:ベンゾイ
ルアセトン(BzAcH)及び溶媒:エタノール(EtOH)と水(H2
O)の混合物を含有するコーティング液。
【0024】(a')コーティング液(a)において、各成
分の配合比が、モル比において、 0.5≦Zr(O-nBu)4/BzAcH ≦1.5、 0.1≦H2O/EtOH≦0.2であり、かつ、 0.01≦[Zr(O-nBu)4 + BzAcH]/[EtOH + H2O]≦0.
4 であるコーティング液。
【0025】上記(a')のコーティング液において、H2O
/EtOH比が上記範囲内であれば、ゲル化が適度に起こり
やすく、また、溶液の白濁のおそれがないので好まし
い。
【0026】Zr(O-nBu)4/BzAcH 及び[Zr(O-nBu)4 + Bz
AcH]/[EtOH + H2O]の値が上記範囲内であれば、第二段
階において、最適な形状の回折格子を製造するための適
当なゲル化速度が得られるので好ましい。
【0027】(b) 金属アルコキシド:アルミニウムトリ
-sec-ブトキシド(Al(O-sec-Bu)3)、β−ジケトン:ベン
ゾイルアセトン(BzAcH)及び溶媒:イソプロピルアルコ
ール(i-PrOH)を含有するコーティング液。
【0028】(b') コーティング液(b)において、各成
分の配合比が、モル比において、0.5≦Al(O-sec-Bu)
3/BzAcH≦3であり、かつ、 0.01≦[Al(O-sec-Bu)3+BzAcH]/[i-PrOH]≦2 であるコーティング液。
【0029】上記(b')のコーティング液において、Al(O
-sec-Bu)3/BzAcH及び[Al(O-sec-Bu)+BzAcH]/[i-PrOH]
の値が上記範囲内の場合、最適な形状の回折格子を製造
するための適当なゲル化速度が得られるので好ましい。
【0030】(c)金属アルコキシド:チタンテトラブ
トキシド(Ti(O-nBu)4)、β−ジケトン:ベンゾイルアセ
トン(BzAcH)及び溶媒:メタノール(MeOH)と水(H2O)の混
合物を含有するコーティング液。
【0031】(c')コーティング液(c)において、各成
分の配合比が、モル比において、 0.5≦Ti(O-nBu)4/BzAcH ≦2.5、 0.01≦H2O/MeOH≦0.2であり、かつ、 0.01≦[Ti(O-nBu)4 + BzAcH]/[MeOH + H2O]≦1 であるコーティング液。
【0032】(c'')コーティング液(c)において、各
成分の配合比が、モル比において、 0.5≦Ti(O-nBu)4/BzAcH ≦2.5、 0.05≦H2O/MeOH≦0.2であり、かつ、 0.05≦[Ti(O-nBu)4 + BzAcH]/[MeOH + H2O]≦0.
4 であるコーティング液。
【0033】上記(c')のコーティング液において、H2O
/MeOH比が上記範囲内であれば、ゲル化が適度に起こり
やすく、また、溶液の白濁のおそれがないので好まし
い。
【0034】コーティング液(c')においてTi(O-nBu)4
BzAcH 及び[Ti(O-nBu)4 + BzAcH]/[MeOH + H2O]の値が
上記範囲内であれば、第二段階において、最適な形状の
回折格子を製造するための適当なゲル化速度が得られる
ので好ましい。
【0035】H2O/MeOH、Ti(O-nBu)4/BzAcH 及び[Ti(O
-nBu)4 + BzAcH]/[MeOH + H2O]の値が(c'')のコーティ
ング液における範囲内であると、上記の観点からより好
ましい。
【0036】コーティング液を塗布する基板としては、
回折格子の材料として通常用いられているものから適宜
選択して用いることができる。基板の材料としては、例
えば、シリコン基板、石英基板、サファイアガラス、ス
ライドガラス等が挙げられる。
【0037】コーティング液の塗布方法としては、公知
の塗布方法を用いることができ、例えば、ディップコー
ト、ドクターブレード等の方法により塗布することがで
きる。
【0038】コーティング液の塗布量は、回折格子の用
途等に応じて適宜設定することができるが、コーティン
グ膜の膜厚として5,000〜30,000Å程度となる
ような量が好ましい。
【0039】第二工程 コーティング液はゾル状であるため、塗布後、コーティ
ング膜をゲル化させるために熱処理を行う。熱処理の条
件としては、コーティング膜がゲル化されるようなもの
であれば特に限定されないが、得られるゲル膜の光感応
性の点から、大気中50〜150℃程度にて1分〜2時
間程度が好ましい。
【0040】第三工程 次いでゲル膜に干渉光を照射するが、干渉光の光源には
通常レーザー光源を用いる。
【0041】レーザー光源としては、コヒーレント長が
干渉縞を形成するのに十分で、かつ、その発振波長がゲ
ル膜の光感応性波長帯に位置するようなものであれば、
特に限定されず用いることができる。
【0042】このような光源としては、He-Cdレーザー
(波長325nm又は442nm)、アルゴンイオンレーザー(波
長244nm又は400〜520nm)等が挙げられるが、本発明方
法においては、He-Cdレーザー又はアルゴンイオンレー
ザーを用いることが好ましい。
【0043】干渉光の平均パワー密度は、ゲル膜の光感
応性、膜厚等に応じて適宜設定することができるが、
0.5〜100mW/cm2程度であることが好まし
い。上記範囲は、照射時間の制御、得られる回折格子の
形状及び回折効率等の点から好ましい。
【0044】干渉光は、通常、レーザー光源を用いた二
光束干渉法により得られたものを用いる。
【0045】干渉光のピッチ(干渉縞ピッチ)は、所望
の回折格子の溝の間隔等に応じて適宜設定できるが、通
常0.1〜10μm程度である。
【0046】干渉光の照射時間としては、コーティング
液の組成、光源の波長、干渉光の平均パワー密度、回折
格子の所望の形状等に応じて適宜設定することができる
が、通常10秒〜60分程度である。
【0047】干渉光の照射を行った後には、通常、光照
射面を溶媒で洗浄し、干渉縞の暗い部分、すなわち未反
応のゲルを除去する。
【0048】洗浄に用いる溶媒としては、有機溶媒、水
等を用いることができるが、有機溶媒を用いるのが好ま
しい。
【0049】有機溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセト
ン、エチルメチルケトン、ヘキサノン等のケトン類が好
ましく、これらは単独で、又は組み合わせて用いること
ができる。これら溶媒を用いると、未反応ゲル膜が溶解
しやすいので好ましい。
【0050】有機溶媒のみでは未反応ゲル膜の除去速度
が充分でない場合は、硝酸、塩酸、硫酸等の酸を添加し
てもよい。
【0051】酸の添加量としては、特に限定はされない
が、回折格子の回折効率の点から、溶媒全容量に基づい
て3vol%以下とするのが好ましい。
【0052】洗浄時間は、コーティング液の組成、洗浄
溶媒の種類等に応じて適宜設定することができるが、通
常、0.5〜60秒程度である。
【0053】本発明方法においては、有機溶媒による洗
浄後、直ちに光照射面に圧縮ガスを吹き付けることがで
きる。かかる処理を行うと、ガスの風圧によって格子を
斜めに傾斜させることができ、いわゆるブレーズ化を容
易に行うことができる。
【0054】圧縮ガスの種類は特に限定されるものでは
なく、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガ
ス、炭酸ガス等を用いることができる。圧縮ガスとして
は、空気及び空気とこれらガスの混合ガスを用いてもよ
い。
【0055】圧縮ガスの吹き付けは、干渉光を照射した
面側から行い、その角度は基板から5〜80゜程度であ
り、40〜80゜程度が特に好ましい(図1参照)。
【0056】吹き付け圧力は特に限定されず、所望のブ
レーズを得ることができるように適宜設定することがで
きるが、吹き付け圧力が高すぎると格子が破壊されるお
それがあるので、0.5〜5atm程度が好ましい。
【0057】圧縮ガスの吹き付け時間は、所望のブレー
ズを得ることができれば特に限定されるものではない
が、通常、1〜10秒程度である。
【0058】光照射面に基板から5〜80゜程度の角度
で圧縮ガスを吹き付けると、図2のモデル図に示すよう
に、ガス圧により凸部が徐々に傾いていき、点線で囲っ
た部分が徐々につぶれていき、b)の段階を経て、最終
的にc)のようなブレードを得ることができる。
【0059】溶媒での洗浄後、或いは圧縮ガスの吹き付
け後、室温にて乾燥を行うことにより、実用可能な回折
格子が得られる。乾燥時間は、特に限定されるものでは
ないが、通常1時間以上である。
【0060】得られた回折格子は、耐熱性、機械的強
度、化学的耐久性等の物性に優れているが、さらに熱処
理を施すことにより、これら物性が向上した回折格子が
得られる。
【0061】該熱処理は、大気中50〜500℃程度に
て1〜5時間程度の条件で行うのが好ましい。
【0062】かくして得られた回折格子は、光学素子と
して種々の用途に用いることができる。
【0063】
【発明の効果】本発明方法の特定のコーティング液を熱
処理して得られたゲル膜は、スパッタ法により形成され
た薄膜と比べ、より低いパワー密度の干渉光によって回
折格子を直接光書き込みすることができ、該ゲル膜を用
いれば、より容易に回折格子を製造することができる。
また、干渉光照射後の有機溶媒による洗浄や熱処理によ
って耐熱性、化学的耐久性、機械的強度等の物性に優れ
た回折格子を容易に得ることができる。
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳し
く説明する。
【0065】実施例1 等モル量のジルコニウムテトラブトキシド(Zr(O-nB
u)4)とベンゾイルアセトンとを、モル比で34倍の希
釈になるように秤量されたエタノール/水混合溶液(Et
OH:H2O=30:4、モル比)中で混合し、シリコン基
板上にコーティング厚が2500Åとなるようにディッ
プコートした。得られたコーティング膜を、大気中80
℃にて20分間熱処理した。
【0066】次いで、得られたゲル膜に、波長325n
mのHe−Cdレーザーの二光束干渉法により得られた
干渉光(干渉縞ピッチ0.5μm)を15分間照射し
た。薄膜上でのレーザーの平均パワー密度は20mW/
cm2であった。
【0067】照射終了後、光照射面を直ちにエタノール
で2秒間洗浄したところ、表面にピッチ0.5μmの回
折格子が形成された。
【0068】かくして得られた回折格子のHe−Neレ
ーザー光の1次回折光強度は、約28%であった。
【0069】その後、当該回折格子を450℃で20分
熱処理したが、回折格子の形状にはほとんど変化が見ら
れなかった。また、X線回折により、熱処理後の回折格
子がジルコニア結晶であることが確認された。
【0070】熱処理後の回折格子は、熱処理前の回折格
子と比べ、耐熱性、化学的耐久性及び機械的強度に優れ
ていた。
【0071】実施例2 等モル量のアルミニウム−sec−ブトキシド(Al(O-sec-
Bu)3)とベンゾイルアセトンとを、モル比で30倍の希
釈になるように秤量されたイソプロピルアルコール中で
混合し、シリコン基板上にコーティング厚が2000Å
となるようにディップコートした。得られたコーティン
グ膜を、大気中80℃にて20分間熱処理した。
【0072】次いで、得られたゲル膜に波長325nm
のHe−Cdレーザーの干渉光(干渉縞ピッチ0.5μ
m)を20分間照射した。薄膜上でのレーザーの平均パ
ワー密度は20mW/cm2であった。
【0073】照射終了後、光照射面を直ちに1.2vol
%の硝酸を含むアセトン溶液で10秒間洗浄したとこ
ろ、表面にピッチ0.5μmの回折格子が形成された。
かくして得られた回折格子のHe−Neレーザー光の1
次回折光強度は、約8%であった。
【0074】その後、当該回折格子を400℃で20分
熱処理した。回折格子の形状には膜厚方向にわずかな縮
小が見られたが、充分な回折効率が得られた。また、X
線回折により、熱処理後の回折格子がアルミナ結晶であ
ることが確認された。
【0075】実施例3 実施例1と同じ組成のコーティング液をシリコン基板上
にコーティングし、大気中80℃にて20分間熱処理し
てゲル膜を得た後、ゲル膜に平均パワー密度20mW/
cm2の干渉光(干渉縞ピッチ0.5μm)を15分間
照射した。光照射面をエタノールで洗浄後、直ちに、基
板から45゜の角度から1atmの空気を2秒間吹き付け
た。
【0076】得られた回折格子の一部を走査電子顕微鏡
で観察したところ、各格子が約45゜傾き、ブレーズが
形成されていた。
【0077】得られたブレーズ回折格子の+1次及び−
1次の回折格子強度を測定したところ、両者の比は2
7:9となっており、このことからもブレーズ回折格子
が形成されたことが確認できた。
【0078】実施例4〜11 表1に示す条件において、回折格子の製造及びそのブレ
ーズ化又は熱処理を行った。表1に示した以外の製造条
件は実施例1と同様とした。
【0079】得られた回折格子は、いずれも優れた回折
特性を有していた。
【0080】比較例1及び2 表1に示した以外の条件は実施例1と同様にして回折格
子の製造を行った。次いで、表1に示す条件で回折格子
の熱処理を行ったが、いずれの比較例においても格子が
基板から剥離したり、格子の形状が崩れるなどして、回
折格子が破壊された。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 圧縮ガスの吹き付け角度を示す図である。
【図2】 ブレーズ化の段階を示すモデル図である。
【符号の説明】
1. 回折格子の溝を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 峠 登 大阪府東大阪市小若江3丁目4番1号 近 畿大学理工学部内 Fターム(参考) 2H049 AA03 AA13 AA34 AA43 AA58 AA59 AA63 AA70

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属アルコキシド及びβ−ジケトンを含
    有するコーティング液を基板上に塗布し、コーティング
    膜を熱処理してゲル膜を形成し、次いでゲル膜に干渉光
    を照射することを特徴とする回折格子の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属アルコキシドの金属が、ジルコニウ
    ム、アルミニウム又はチタンのいずれか1種であること
    を特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 β−ジケトンが、ベンゾイルアセトン又
    はアセチルアセトンのいずれか1種であることを特徴と
    する請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 コーティング液の溶媒が、水とアルコー
    ルの混合溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 アルコールが、メタノール、エタノール
    及びイソプロピルアルコールからなる群より選ばれる少
    なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 コーティング液における各成分の配合比
    が、モル比において、0.5≦ 金属アルコキシド/β
    −ジケトン ≦3であり、且つ、0.01≦[金属アル
    コキシド+β−ジケトン]/溶媒 ≦2であることを特
    徴とする請求項1に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 コーティング液が、ジルコニウムテトラ
    ブトキシド(Zr(O-nBu)4)、ベンゾイルアセトン(BzAc
    H)、エタノール(EtOH)及び水(H2O)を含有し、これらの
    配合比が、モル比において、0.5≦Zr(O-nBu)4/BzAc
    H ≦1.5、0.1≦H2O/EtOH≦0.2であり、且
    つ、0.01≦[Zr(O-nBu)4 + BzAcH]/[EtOH+ H2O]≦
    0.4であることを特徴とする請求項1に記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 コーティング液が、アルミニウムトリ-s
    ec-ブトキシド(Al(O-sec-Bu)3)、ベンゾイルアセトン(B
    zAcH)及びイソプロピルアルコール(i-PrOH)を含有し、
    これらの配合比が、モル比において、0.5≦Al(O-sec
    -Bu)3/BzAcH≦3であり、且つ、0.01≦[Al(O-sec-
    Bu)3+BzAcH]/[i-PrOH]≦2であることを特徴とする請
    求項1に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 コーティング液が、チタンテトラブトキ
    シド(Ti(O-nBu)4)、ベンゾイルアセトン(BzAcH)、メタ
    ノール(MeOH)及び水(H2O)を含有し、これらの配合比
    が、モル比において、0.5≦Ti(O-nBu)4/BzAcH ≦
    2.5、0.01≦H2O/MeOH≦0.2であり、且つ、
    0.01≦[Ti(O-nBu)4 + BzAcH]/[MeOH + H 2O]≦1で
    あることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 熱処理が、大気中50〜150℃にお
    いて1分〜2時間であることを特徴とする請求項1に記
    載の製造方法。
  11. 【請求項11】 干渉光の光源がHe−Cdレーザー又
    はアルゴンイオンレーザーのいずれかであり、干渉光の
    平均パワー密度が0.5〜100mW/cm 2であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 干渉光の照射後に、溶媒で光照射面を
    洗浄することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 溶媒が有機溶媒であることを特徴とす
    る請求項12に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 有機溶媒がアルコールであることを特
    徴とする請求項13に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 洗浄後、光照射面に基板から5〜80
    ゜の角度で圧縮ガスを吹き付けることを特徴とする請求
    項12に記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 圧縮ガスの吹き付け圧力が0.5〜5
    atmであることを特徴とする請求項15に記載の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 洗浄後、50〜500℃にて1分〜5
    時間の熱処理をすることを特徴とする請求項12に記載
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002169010A (ja) * 2000-12-04 2002-06-14 Minolta Co Ltd 回折光学素子

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