JP2000321291A - 微小探針の作製方法、及び微小探針 - Google Patents

微小探針の作製方法、及び微小探針

Info

Publication number
JP2000321291A
JP2000321291A JP11127412A JP12741299A JP2000321291A JP 2000321291 A JP2000321291 A JP 2000321291A JP 11127412 A JP11127412 A JP 11127412A JP 12741299 A JP12741299 A JP 12741299A JP 2000321291 A JP2000321291 A JP 2000321291A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
probe
plating
substrate
microprobe
forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11127412A
Other languages
English (en)
Inventor
Takehiko Kawasaki
岳彦 川崎
Takayuki Yagi
隆行 八木
Yasuhiro Shimada
康弘 島田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP11127412A priority Critical patent/JP2000321291A/ja
Publication of JP2000321291A publication Critical patent/JP2000321291A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Microscoopes, Condenser (AREA)
  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】試料形状に限定されずに高い分解能で観察する
ことが可能な、単一の先鋭化された頂点を持つ、走査型
プローブ顕微鏡やその原理を応用した極微細加工や高密
度記録に用いられる微小探針の作製方法、及び微小探針
を提供すること。 【解決手段】微小探針の作製方法であって、基板上に凹
部を有するメッキ構造体を形成し、該メッキ構造体の凹
部を金型として該金型上に探針材料を形成し、該探針材
料を該金型から剥離し、または別の基板へ接合転写して
微小探針を形成する微小探針の作製方法、およびこの方
法により頂点を共有する凹面により囲まれた外形を有す
る微小探針を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡やその原理を応用した極微細加工や高密度記録に用
いられる、微小探針の作製方法、及び微小探針に関し、
特に、単一の先鋭化された頂点を持つ微小探針の実現を
図るものである。
【0002】
【従来の技術】最近、導体の表面原子の電子構造を直接
観察できる走査型トンネル顕微鏡(以下「STM」とい
う)が開発されて(G.Binnig et al.,
Phys.Rev.Lett,49,57(198
2))、単結晶、非晶質を問わず実空間像を高い分解能
で測定ができるようになって以来、走査型プローブ顕微
鏡(以下「SPM」という)が材料の微細構造評価の分
野でさかんに研究されるようになってきた。走査型プロ
ーブ顕微鏡は、微小探針を有するプローブを物質表面に
近接させることにより得られるトンネル電流、原子間
力、磁気力、光等を用いて表面の構造を検出するもの
で、走査型トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡
(AFM)、磁気力顕微鏡(MFM)、近接場光顕微鏡
(SNOM)等がある。またこれら複数の種類のSPM
を融合した装置も用いられるようになっている。さら
に、これらSPMは、微小探針が物質表面に原子レベル
でアクセスできるため、探針からの物理的な作用によ
り、ナノメートル、さらにはサブナノメートルオーダー
の微細な構造を被加工物表面に形成する加工を行なう事
もでき、この分野でも広範な応用が期待されている。
【0003】このようなSPMに用いる探針としては、
半導体製造プロセス技術を使い、単結晶シリコンを用い
て異方性エッチングにより形成した探針が知られている
(米国特許第5,221,415号明細書)。これは、
AFMプローブに導電性を付与して、AFMとSTMの
機能を同時に併せ持つようにしたものである。この探針
の形成方法は、図14に示すように、まず二酸化シリコ
ン510、512のマスクを被覆したシリコンウエハ5
14に異方性エッチングによりピット518を設け、二
酸化シリコン510、512を除去し、次に窒化シリコ
ン層520、521を被覆してカンチレバー(片持ち
梁)及び探針となるピラミッド状ピット522を形成
し、カンチレバー形状にパターニングした後、裏面の窒
化シリコン521を除去し、ソウカット534とCr層
532を設けたガラス板530と窒化シリコン520を
接合し、シリコンウエハ514をエッチング除去するこ
とによりマウンティングブロック540に転写された窒
化シリコンからなる探針を作製するものである。
【0004】上記製法により探針を作製した場合、理想
的には図15(a)に示すように探針の4つの稜線がひ
とつの頂点で一致する。しかし実際は、エッチング開口
部を正確に正方形に形成するのはリソグラフィーに用い
るマスクの寸法誤差やプロセス誤差が存在するため難し
く、図15(b)や図15(c)に示したように頂点が
一致せず、複数の頂点と、この複数の頂点を結ぶ稜線を
もつ形状となる場合が多い。そのため、図16(a)に
示したように、カンチレバーと試料面との角度がある一
定範囲内であれば、探針先端は試料表面に一点で接する
ためある程度の解像度は得られるが、図16(b)に示
したように試料表面にうねりや凹凸が存在するなどの理
由でカンチレバーと試料面との角度が変わり、探針先端
が試料表面に複数の頂点、あるいはこの複数の頂点を結
ぶ稜線で接することになった場合、解像度は低下してし
まう。すなわち、このような探針では、高い解像度で観
察できる試料の形状がある程度限定されてしまう。な
お、図ではAFMプローブを例に挙げて説明したが、他
のSPMの場合でも全く同様に問題となる。また、上記
製法により作製した探針は、先端形状が図15に示した
ような頂点を共有する平面により囲まれたほぼ角錐型で
あり、異方性エッチングはシリコンウエハの結晶の方位
により形状が決定されるため先鋭化にも限界があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在S
PMは応用分野の飛躍的な拡大に伴い観察を行なう試料
の形状は多岐にわたり、特に生物試料やマイクロメカニ
クスなどの3次元的なうねりや凹凸のあるものに対する
観察の需要が増している。このような試料の観察に従来
例の探針を利用した場合、高分解能で観察できる試料の
形状が限定され、観察の困難なものや、部分的にしか観
察できない場合が発生していた。
【0006】そこで、本発明は、上記従来技術の有する
課題を解決し、試料形状に限定されずに高い分解能で観
察することが可能な、単一の先鋭化された頂点を持つ、
走査型プローブ顕微鏡やその原理を応用した極微細加工
や高密度記録に用いられる微小探針の作製方法、及び微
小探針を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するために、走査型プローブ顕微鏡やその原理を応用
した極微細加工や高密度記録に用いられる微小探針の作
製方法、及び微小探針を、つぎのように構成したことを
特徴とするものである。すなわち、本発明の微小探針の
作製方法は、基板上に凹部を有するメッキ構造体を形成
し、該メッキ構造体の凹部を金型として該金型上に探針
材料を形成し、該探針材料を該金型から剥離し、または
別の基板へ接合転写して微小探針を形成することを特徴
としている。また、本発明の微小探針の作製方法は、前
記メッキ構造体の凹部が、電気メッキにより前記基板上
に等方的に成長した複数のメッキ構造体の接点部分に形
成されることを特徴としている。また、本発明の微小探
針の作製方法は、前記メッキ構造体の凹部が、複数形成
され、該メッキ構造体の凹部を金型として複数の微小探
針を形成することを特徴としている。また、本発明の微
小探針の作製方法は、 (1)導電性の第1基板上にマスク層を形成する工程 (2)前記マスク層に開口部を形成する工程 (3)前記導電性の第1基板を陰極として、電気メッキ
により開口部を通じて開口部及びマスク層上に、凹部を
有するメッキ構造体を形成する工程 (4)前記めっき構造体の凹部上に探針材料を堆積する
工程 (5)前記探針材料を剥離する工程 を少なくとも有することを特徴としている。また、本発
明の微小探針の作製方法は、前記工程(1)〜(3)に
おいて、電気メッキによりメッキ構造体を等方的に成長
させ、凹部を有するメッキ構造体を形成することを特徴
としている。また、本発明の微小探針の作製方法は、前
記工程(1)〜(3)において、前記凹部がマスク層上
に設けた3つの開口部より成長したメッキ構造体の接点
部分に形成されることを特徴としている。また、本発明
の微小探針の作製方法は、前記工程(1)〜(3)にお
いて、前記凹部が導電性の第1基板上に設けたマスク層
の外周より成長したメッキ構造体の接点部分に形成され
てなることを特徴としている。また、本発明の微小探針
の作製方法は、前記工程(3)において、メッキ時間及
びメッキ温度を制御して探針先端の形状を制御すること
を特徴としている。また、本発明の微小探針の作製方法
は、前記工程(3)において、メッキ構造体を形成した
後に、犠牲層を形成する工程を含むことを特徴としてい
る。また、本発明の微小探針の作製方法は、前記犠牲層
を形成する工程を含む工程において、前記探針材料の剥
離が前記犠牲層を除去することにより行われることを特
徴としている。また、本発明の微小探針の作製方法は、
前記犠牲層を形成する工程を含む工程において、犠牲層
膜厚または膜厚分布を制御して探針先端の形状を制御す
ることを特徴としている。また、本発明の微小探針の作
製方法は、前記工程(5)において、前記探針材料を第
2基板上に接合転写する工程を含むことを特徴としてい
る。また、本発明の微小探針の作製方法は、前記工程
(5)において、前記探針材料の剥離する工程が基板、
メッキ構造体を順次エッチング除去することにより行わ
れることを特徴としている。また、本発明の微小探針の
作製方法は、上記した本発明のいずれかの微小探針の作
製方法において、前記凹部を有するメッキ構造体が複数
形成され、それにより微小探針が複数形成されることを
特徴としている。また、本発明の微小探針は、上記した
本発明のいずれかの微小探針の作製方法により作製さ
れ、微小探針の先端部である頂点を共有する凹面により
囲まれた外形を有することを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の微小探針の作製方法は、
上記したように、基板上に凹部を有するメッキ構造体を
形成し、該メッキ構造体の凹部を金型として該金型上に
探針材料を形成し、該探針材料を該金型から剥離し、ま
たは別の基板へ接合転写して微小探針を形成するもので
ある。より具体的には、陰極上に設けたマスク層に形成
した開口部より電気メッキによりメッキ構造体を形成
し、上記メッキ構造体を有する基板を金型として探針材
料を金型上に形成し、形成した探針材料を前記金型から
剥離、あるいは別の基板へ接合転写することにより形成
するものである。
【0009】上記メッキ構造体の形成においては、マス
ク層に形成した開口部上にメッキを行うと、まず開口部
内に2次元的なメッキ層が析出し、さらにメッキを行う
と開口部及びマスク層上にメッキ層が成長する。電気メ
ッキの陽極に比べて開口部寸法が十分に小さいと、メッ
キ層は3次元に等方的に成長し、立体的なメッキ構造体
が開口部及びマスク層上に形成される。本発明は、上記
メッキ構造体の形態を利用し探針を形成するものであ
り、メッキ成長に伴い形成されるメッキ構造体の接点部
分に形成されてなる凹部を金型として利用し、凹部上に
探針材料を堆積し剥離することで微小探針を作製する。
【0010】探針の材料としては、メッキ構造体を形成
した基板上に形成でき、かつ剥離あるいは接合転写でき
るものであれば、用いるSPMにおいて必要な特性を満
たす材料を、樹脂、金属、絶縁体等から適宜選んで用い
ることができる。剥離の方法としては、機械的に金型と
探針を剥離すれば良い。しかしながら、探針先瑞は微細
であるとともに先端がメッキ構造体の凹部に深く入り込
むため剥離時に変形する場合がある為、基板、マスク
層、メッキ構造体を順次裏面よりエッチング除去する方
法を取ることが可能である。
【0011】また、剥離の方法として、基板及びメッキ
構造体上に犠牲層を設けた後に探針材料を形成し、犠牲
層を除去することによりメッキ構造体と探針材料を剥離
することも可能である。この場合、犠牲層をエッチング
するエッチャントにより探針が腐蝕されないよう犠牲層
の材料を選ぶ。犠牲層をエッチングするエッチャントに
よりメッキ構造体及び基板も腐蝕されない場合、メッキ
構造体を形成した基板を金型として、複数回使用するこ
とも可能である。また、この工程で、探針材料を任意の
第2基板上に接合転写することもできる。この際、第2
基板にはさまざまな機能性を持つものを用いることがで
きる。例を挙げると、電極、光導波路、AFMカンチレ
バー、アクチュエーター、検出回路などであり、接合転
写が可能であればどのようなものでも用いることができ
る。このため、本発明の微小探針はさまざまなSPMに
幅広く応用が可能である。
【0012】以下、本発明の微小探針の作製方法の実施
の形態について、図を用いて説明する。図1及び図2に
本発明の微小探針の作製方法の工程図を示す。なお、図
1は断面方向の概略図、図2は上面図で、両図の(a)
〜(e)はそれぞれ対応しており、以下図1を主に使用
して説明する。図1において、1は第1基板、2は電極
層、3はマスク層、4は開口部、5はメッキ層、6はメ
ッキ構造体、7は凹部、8は探針材料、9は微小探針で
ある。まず図1(a)〜(e)及び図2に示すように、
メッキ構造体を作製する。図1(a)及び図2(a)に
使用する基板の構成を示す。本発明では、この基板上に
メッキ構造体を形成し、このメッキ構造体を金型として
探針材料を金型上に形成し、探針を前記金型から接合転
写することにより微小探針を形成するものである。第1
基板1に電極層2を形成し、さらにマスク層3を形成す
る。第1基板材料としては、金属、半導体、絶縁体の何
れの材料を使用することも可能であるが、後工程で接合
転写を行なう為、うねりや表面荒さの小さい基板を使用
する。このような基板としては、平坦性の良好な金属
板、ガラス基板、シリコンウエハ等を使用することが可
能である。
【0013】電極層2としては導電性を有することが必
要であり、メッキ液にさらされる為に、使用するメッキ
液に腐蝕されない材料より選択される。また、第1基板
1金属材料など導電性のものを使用するのであれば必ず
しも電極層を形成する必要はない。また、第1基板1に
半導体を用いる場合、電気メッキが可能な程度の導電性
を有するのであれば必ずしも電極層を形成する必要はな
い。マスク層3としては絶縁性を有することが必要であ
り、電気メッキ時に電極層とメッキ液との絶縁性を保
つ。マスク層は絶縁性を有する材料であれば良く、無機
絶縁体、有機絶縁体のいずれも使用することができる。
電極層及びマスク層を第1基板上に厚く形成した場合、
形成方法により表面荒さが増す場合がある。この為、電
極層及びマスク層の形成方法としては、真空蒸着方法、
スピンコート法、ディップ方法等の薄膜形成方法を用い
る。
【0014】次に、図1(b)及び図2(b)に示すよ
うに、マスク層に開口部4を形成する。後述する工程
で、開口部4を通じてメッキ構造体を形成し、マスク層
上にもメッキ構造体が成長する。開口部形成に当たって
は、微小な開口を形成することが可能な半導体フォトリ
ソグラフィプロセスとエッチングによりマスク層に開口
部を形成する。なお、マスク層として、フォトレジスト
を用いるとエッチングの工程を省略できる。この開口部
4の形状や数、配置を適当に選ぶことで、後述するメッ
キ成長に伴い形成されるメッキ構造体の接点部分に形成
されてなる凹部の、形状や数、配置を制御することがで
きる。
【0015】続いて、このようにして作製した基板上に
メッキによりメッキ構造体を形成する。図3に、このメ
ッキ工程の概略図を示す。図3に示すように、開口部を
形成した基板をワーク16として金属イオンを含むメッ
キ液18に漬け、陽極板17との間を外部電源19と繋
げて電流を流し、開口部にメッキ層5を形成する。メッ
キ工程においては、まず、図1(c)及び図2(c)に
示すように、マスク層に形成した開口部上に2次元的な
メッキ層が析出し、さらにメッキを行うと開口部及びマ
スク層上にメッキ層が成長し始める。電気メッキの陽極
に比べて開口部寸法が十分に小さく、また金属イオンが
一様にメッキ液中に溶解していると、メッキ層は3次元
に等方的に成長し、メッキを継続することで、図1
(d)及び図2(d)に示すような半球状等の立体的な
メッキ構造体6が開口部及びマスク層上に形成される。
すなわちこのメッキ工程においては、金属イオンを含む
メッキ液中で、微小な開口部にメッキを行うことによ
り、メッキ液中の金属イオンがメッキ層に対して基板の
上面の全方向から均等に集中し、メッキの析出が成長方
向としては等方的に進行するものである。このような成
長の一例として、開口部を微小な円形とした場合、図1
(d)に示したような半球状に成長する。メッキ構造体
はメッキ浴中の金属イオンが電気化学反応により析出す
ることにより形成される。電気メッキでは、メッキ時
間、メッキ温度を制御してメッキ構造体の形状を容易に
制御することが可能である。主なメッキの金属としては
単金属では、Ni、Au、Pt、Cr、Cu、Ag、Z
n等、合金では、Cu−Zn、Sn−Co、Ni−F
e、Zn−Ni等があるが、他の電気メッキが可能な材
料であれば用いることは可能である。また、メッキ浴に
Al23、TiO2、PTFE等の分散粒子を付加する
ことによる分散メッキも利用できる。このメッキ工程に
おいて、図示したメッキ構造体6の接点部分には凹部7
が形成される。さらにメッキ成長を続けると図1(e)
及び図2(e)に示すようにメッキ構造体同士が押し付
け合うように成長し、接点部分の基板が完全に被覆され
るとともに、凹部7は急峻な谷間状の形状となる。すな
わち、このメッキ工程において、メッキ時間及びメッキ
温度を制御することで、凹部7の形状を制御することが
できる。このように凹部7の形状を制御することで、後
工程で形成される探針先端の形状を制御することができ
る。また、メッキの進行に伴い、凹部7が所望の形状が
得られた時点で陽極と陰極との間に流れる電流を停止す
ればメッキの析出を停止でき、水洗までの時間でエッチ
ングされてしまうような不測の形状誤差を回避できるた
め作製の制御性が良い。
【0016】上記工程に続いて、形成したメッキ構造体
を有する基板上に探針材料を形成し、形成した探針材料
を前記金型から剥離することにより微小探針を形成す
る。まず図1(f)に示すように、図1(e)に示した
メッキ構造体6の接点部分に形成された凹部7に探針材
料8を堆積して形成する。探針材料を形成する方法とし
ては、メッキ構造体を有する基板上に、真空蒸着法やス
パッタ法などの気相成長法、スピンコート法、ディップ
法等の薄膜形成方法を用いる。これらの中で好ましいの
は、真空蒸着法やスパッタ法などの気相成長法で、メッ
キ構造体に形成した急峻な谷間状の凹部の最底部まで探
針材料を容易に形成できる。探針材料を形成する他の方
法として、電気メッキ液を変え、他のメッキ材料をメッ
キ構造体に析出させる方法も用いられる。また、このよ
うな探針材料は必要に応じてパターニング加工し、前記
メッキ構造体に設けた凹部及びその周辺の必要箇所のみ
に形成する。探針の材料としては、メッキ構造体を形成
した基板上に形成でき、かつ剥離あるいは接合転写でき
るものであれば、用いるSPMにおいて必要な特性を満
たす材料を、樹脂、金属、半導体、絶縁体等から適宜選
んで用いることができる。次に図1(g)に示すよう
に、このようにして形成した探針材料を剥離することで
微小探針9が形成できる。剥離は機械的に行なってもよ
いが、探針先端は微細であるとともに先端がメッキ構造
体の凹部に深く入り込むため剥離時に変形する場合があ
る為、第1基板、マスク層、メッキ構造体を順次裏面よ
りエッチング除去する方法を取ることも好ましい。
【0017】以上説明した作製方法により、本発明の微
小探針を作製することが可能となる。本発明の微小探針
は、金型として用いるメッキ構造体が等方的に成長した
半球状などの形状であるため、その形状を反映する微小
探針は、頂点(微小探針先端)を共有する凹面により囲
まれた外形を有する。図13に本発明の微小探針の先端
近傍の形状の模式図を示す。図13(a)あるいは図1
3(b)に示したように、頂点20を共有する凹面21
により囲まれた外形を持つ先端を有する。なお、本発明
の微小探針形状を示す凹面とは、図13(c)に模式的
に断面図を示すように、微小探針の頂点20と外面上の
点22を結ぶ線分23に対して凹である面を示してい
る。すなわち本発明の微小探針は、従来例の微小探針の
先端形状が図15に示したような頂点を共有する平面に
より囲まれたほぼ角錐型であるのに比較して、より先端
の細い先鋭化された形状とすることができ、高い分解能
の観察が可能となる。
【0018】本発明においては、前記メッキ工程におい
て、開口部の形状や数、配置を適当に選ぶことで、メッ
キ成長に伴い形成されるメッキ構造体の接点部分に形成
されてなる凹部の形状や数、配置を制御することがで
き、これを金型として用いる探針の先端形状や数、配置
を制御することができる。凹部の形成において、好まし
いものとして、以下の2つがあげられる。 凹部が、3つの開口部より成長したメッキ構造体の接
点部分に形成されてなる。上記の場合、マスク層に3
つの開口部を等距離に配置する。このようにすると、こ
の3つの開口部より成長したメッキ構造体が3点より等
方的に成長し、成長に伴い、3つの開口部より等距離に
ある1点でメッキ構造体同士が接するため、接点部分は
一義的に1点となる。また、この場合、開口部形状も等
方性をもつことが好ましく、円形とすることが好まし
い。このようにして作製したメッキ構造体の凹部を金型
として用いることで、微小探針は頂点(微小探針先端)
を共有する3つの凹面により囲まれた外形を持つ先端を
有するものを作製できる。このような微小探針の先端の
形状の模式図の例を図13(a)に示す。 凹部が、導電性の第1基板上に設けたマスク層の外周
より成長したメッキ構造体の接点部分に形成されてな
る。上記の場合、マスク層を円形として等方性を持つ
形状にする。このようにすると、その外周部から等方的
に成長するメッキ構造物は、成長に伴い、外周から等距
離にあるマスク層中心点で1点でメッキ構造物が接する
ため、接点部分は一義的に1点となる。このようにして
作製したメッキ構造体の凹部を金型として用いること
で、微小探針は頂点(微小探針先端)を共有する略円錐
型で凹面により囲まれた外形を持つ先端を有するものを
作製できる。このような微小探針の先端の形状の模式図
の例を図13(b)に示す。このような微小探針はSP
M観察に用いる際の走査方向における断面形状がほぼ円
形となるため先端形状の対称性がよく、試料の表面形状
を走査方向によらずに再現性良く観察できる。このよう
にすることで、接点部分に形成される凹部は、それぞれ
ただ1つの底部を持つことになり、これを金型とする微
小探針は、ただひとつの頂点を持つように形成できる。
【0019】本発明の別な態様として、剥離を行う方法
として犠牲層を導入する方法がある。図4に、犠牲層を
導入した場合のプロセスを示す。まず、前記図1(a)
〜図1(e)に示した方法によりメッキ構造物、及び凹
部を作製した後、図4(a)に示したように、図1
(e)に示したメッキ構造物上に犠牲層11を形成す
る。この場合、犠牲層をエッチングするエッチャントに
より探針が腐蝕されないよう犠牲層の材料を選ぶ。犠牲
層をエッチングするエッチャントによりメッキ構造体及
び第1基板も腐蝕されない場合、メッキ構造体を形成し
た基板を金型として、複数回使用することも可能であ
る。犠牲層を形成する方法としては、真空蒸着法やスパ
ッタ法などの気相成長法、スピンコート法、ディップ法
等の薄膜形成方法を用いる。これらの中で好ましいの
は、真空蒸着法やスパッタ法などの気相成長法で、メッ
キ構造体に形成した急峻な谷間状の凹部の最底部まで探
針材料を容易に形成できる。次に、図4(b)に示した
ように、メッキ構造体6の接点部分に形成された凹部7
上に探針材料8を堆積して形成する。続いて図4(c)
に示したように、犠牲層11をエッチング除去すること
で、メッキ構造体6より探針材料8を剥離し、微小探針
9を形成できる。
【0020】また、犠牲層の形成において、真空蒸着法
などの気相成長法を用い、基板に対して犠牲層材料の蒸
着粒子が入射する方向を制御することで犠牲層膜厚及び
膜厚分布を制御し、凹部をより急峻な形状にすることも
できる。図5に犠牲層膜厚及び膜厚分布を制御して凹部
の形状を制御した例の模式図を示す。なお、図7は凹部
及びその周辺部分の拡大図である。図5において、斜め
上方から入射する犠牲層材料の粒子12を、メッキ構造
体を適宜回転させながら堆積させることで、図5に示し
たように凹部7の側壁面に選択的に堆積し、凹部7を図
に示したようなより急峻な形状にするものである。すな
わち、この堆積においては、凹部7の形状において、犠
牲層材料の粒子12が直接入射する凹部の入口13付近
は堆積速度が大きく膜厚は大きいが、凹部7の底部14
付近になるにしたがってメッキ構造体の陰になるため入
射する犠牲層材料の粒子12が遮られ堆積速度が小さく
なり膜厚は小さくなる。このように犠牲層の膜厚分布を
制御することで、金型として用いる凹部の形状を犠牲層
を用いて実効的により急峻な形状にすることができる。
また、この際、膜厚を全体に大きくすればより急峻な形
状を得ることができ、小さくすればメッキ構造体そのも
のの形状により近い形状となる。このようにして犠牲層
を形成した後、図4に示したものと同様にして探針材料
を堆積し、さらに犠牲層を除去して剥離を行ない、微小
探針を形成する。すなわち、金型として用いる凹部の形
状を犠牲層を用いて実効的により急峻な形状にすること
で、凹部上に堆積する探針材料をより先鋭化された形状
とすることができ、より先端の先鋭化された微小探針が
得られる。このような方法で凹部7の形状を制御するこ
とで、後工程で形成される探針先端の形状を制御するこ
とができる。なお、図5では犠牲層材料の粒子12の入
射方向を矢印で示しているが、実際には入射粒子は周り
込みなどにより一部は矢印以外の方向より入射し、凹部
7の底部14付近にも到達して最底部も薄く犠牲層は形
成され、犠牲層除去による剥離は問題無く行なうことが
できる。
【0021】また、本発明の別な態様として、探針材料
を第2基板に接合転写することもできる。図6に、第2
基板に接合転写した場合のプロセスを示す。図6(a)
に示すように、図1(e)に示したメッキ構造体6の接
点部分に形成された凹部7に探針材料8を堆積して形成
した後、図6(b)に示すように探針材料8を第2基板
10に圧着などの方法で接合し、図6(c)に示すよう
に、犠牲層11をエッチング除去し剥離して転写するも
のである。なお、この剥離工程は機械的に行なってもよ
い。このような方法においては、第2基板にはさまざま
な機能性を持つものを用いることができる。例を挙げる
と、電極、光導波路、AFMカンチレバー、アクチュエ
ーター、検出回路などであり、接合転写が可能であれば
どのようなものでも用いることができる。このため、本
発明の微小探針はさまざまなSPMに幅広く応用が可能
である。本発明によれば、試料形状に限定されずに高い
分解能で観察できる、単一の先鋭化された頂点を持つ、
走査型プローブ顕微鏡やその原理を応用した極微細加工
や高密度記録に用いられる微小探針の作製方法、及び微
小探針を提供することができる。
【0022】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。 [実施例1]本発明の実施例1について、図1〜図3の
作製工程図を用いて説明する。なお、図1は断面方向の
概略図、図2は上面図で、両図の(a)〜(e)はそれ
ぞれ対応しており、以下図1を主に使用して説明する。
まず図1(a)に示すように、酸化ガスを用いて熱酸化
し、両面に1μm厚の二酸化シリコン膜が形成されたシ
リコンウエハを図1に示す第1基板1として用いた。こ
のウエハに薄膜形成法の一つである電子ビーム蒸着法に
よりCrとAuを夫々10nm、200nm連続して成
膜し電極層2を形成した。次に、全芳香族ポリアミド酸
溶液をスピン塗布し、熱処理を行いポリイミド膜からな
るマスク層3を形成した。次に図1(b)に示すよう
に、フォトリソグラフィによりフォトレジストを塗布、
露光、現像し開口部を設け、酸素を用いた反応性イオン
エッチングによりフォトレジストの開口部のマスク層3
をエッチング除去し、電極層2を露出させ、開口部4を
形成した。この後、フォトレジストを剥離した。開口部
は円形をしており、その直径は50μmである。開口部
は800μm間隔で正3角形の頂点にあたる位置に配置
されている。この開口部の形状の上面図を図2(b)に
示す。
【0023】このウエハをワークとして用いて、電極層
を陰極として、硫酸ニッケルと塩化ニッケルとほう酸及
び光沢剤からなるNiメッキ浴を用いて、浴温50℃、
陰極電流密度5A/dm2でNiメッキを行った。Ni
メッキは、まず、図1(c)に示すように開口部4から
析出、成長し、マスク層上にもメッキ層が広がり、図1
(d)に示す半球状のメッキ構造体が形成された。さら
にメッキ成長を続けると図1(e)に示すようにメッキ
構造体同士が押し付け合うように成長し、接点部分の基
板が完全に被覆されるとともに、図示したメッキ構造体
6の接点部分には凹部7が形成され、凹部7は急峻な谷
間状の形状となった。このメッキ工程の概略図を図3に
示す。
【0024】このメッキ工程において、メッキ構造体6
の接点部分に凹部7が形成されてからのメッキ時間を短
くすると、凹部7は基板近傍までの深さを持つ形状とな
る。また、凹部7が形成されてからのメッキ時間を長く
するとメッキ構造体が押し付け合うように成長するため
に凹部7は基板近傍より徐々に押しつぶされるような状
態になり、浅い形状となる。また同様に、メッキ温度な
どメッキの成長速度を変えることによっても凹部7の形
状を制御できる。このように凹部7の形状を制御するこ
とで、後工程で形成される探針先端の形状を制御するこ
とができる。
【0025】次に、図1(f)に示したように、電子ビ
ーム蒸着法により、Ptを5μm堆積し探針材料8を形
成した。またこの探針材料8は、凹部7を中心にした8
0μmの円形にパターニングした。最後に図1(g)に
示したように、このようにして形成した探針材料8を剥
離することで微小探針9を形成した。剥離は機械的に行
なってもよいが、本実施例では、第1基板、マスク層、
メッキ構造体を順次裏面よりエッチング除去する方法を
取った。まず、第1基板裏面の二酸化シリコン膜をフッ
酸と弗化アンモニウムの混合水溶液により除去し、次
に、シリコンウエハをTMAH(Tetramethy
l ammonium hydroxide)水溶液に
てエッチングし除去した。この後に電極層2をArを用
いたイオンミーリングにより除去した後に、TMAH水
溶液に浸漬しポリイミド膜のマスク層を除去した。この
ようにして、第1基板と電極層とマスク層を除去したあ
とで、最後に80℃に加熱した硫酸水溶液に浸漬し、N
iメッキ構造体6をエッチング除去し、微小探針9を作
製した。このようにして作製した微小探針9は、不図示
の導電性基体上に導電性ペースト等により固定すること
で、STM探針として良好に用いることができた。ま
た、高分解能の電子顕微鏡により観察したところ、図1
3(a)に示す先端形状を持ち、単一の先鋭化された頂
点を持つことが確認された。
【0026】[実施例2]実施例2では、微小探針を第
2基板に接合転写した例について述べる。図1〜図3、
及び図6の作製工程図を用いて説明する。なお、図1は
断面方向の概略図、図2は上面図で、両図の(a)〜
(e)はそれぞれ対応しており、以下図1を主に使用し
て説明する。まず、実施例1と全く同様にして、図1
(a)〜(d)、及び図3に示した方法により、基板上
にメッキ構造物6と凹部7を形成した。これに引き続い
て、図6(a)に示したように、電子ビーム蒸着法によ
り、Ptを1μm、Auを100nm積層して堆積し、
探針材料8を形成した。またこの探針材料8は、凹部7
を中心にした20μmの円形にパターニングした。
【0027】続いて図6(b)に示したように、このよ
うにして形成した探針材料8を第2基板10に接合し
た。第2基板10としては第1基板1と同様の二酸化シ
リコン膜が形成されたシリコンウエハを用い、予め不図
示の電極層を形成してある。さらに第2基板には、予め
微小探針9が接合される位置にCrを5nm、Auを1
00nm堆積したものを用いた。このような第2基板
を、第1基板1の探針材料8が形成された位置に対向し
て位置合せし、面合せを行なった後荷重を加えて接合
(圧着)を行なった。続いて図6(c)に示したよう
に、メッキ構造体6より探針材料8を剥離することで微
小探針9を第2基板10上に転写した。剥離は機械的に
行なってもよいが、本実施例では、実施例1と同様に、
第1基板、マスク層、メッキ構造体を順次裏面よりエッ
チング除去する方法を取った。
【0028】また、本実施例では、剥離を行う方法とし
て犠牲層を導入しても構わない。その場合の工程図を図
7に示す。具体的な方法は、後述の実施例4と同様であ
る。このようにして作製した微小探針9は、STM探針
として良好に用いることができた。また、高分解能の電
子顕微鏡により観察したところ、図13(a)に示す先
端形状を持ち、単一の先鋭化された頂点を持つことが確
認された。さらに実施例1と比べ、予め電極を形成した
第2基板上に微小探針を転写したことで、導電性ペース
トでの固定などの工程が不要となり、STM装置への取
付けなど、取扱を簡便に行なうことができた。
【0029】[実施例3]実施例3では、微小探針の型
となる凹部を、導電性の第1基板上に設けたマスク層の
外周より成長したメッキ構造体の接点部分に形成した例
について述べる。図3、図8、図9の作製工程図を用い
て説明する。まず図8(a)に示すように、第1基板1
上に電極層2、及びマスク層3を形成した。第1基板
1、電極層2、及びマスク層3の材料、形成方法、厚さ
などは実施例1と全く同様にした。次に図8(b)に示
すように、フォトリソグラフィによりフォトレジストを
塗布、露光、現像し開口部を設け、酸素を用いた反応性
イオンエッチングによりフォトレジストの開口部のマス
ク層3をエッチング除去し、電極層2を露出させ、開口
部4を形成した。この後、フォトレジストを剥離した。
この開口部の形状の上面図を図9(b)に示す。本実施
例においては、開口部4はリング形をしており、その内
径は50μm、外径は80μmである。本実施例におい
ては、開口部4の内側のマスク層3の外周15より成長
したメッキ構造体の接点部分に凹部が形成される。すな
わち、開口部4の内側のマスク層の外周部15から等方
的に成長するメッキ構造物は、成長に伴い、外周から等
距離にあるマスク層の中心点で1点でメッキ構造物が接
するため、接点部分は一義的に1点となるものである。
【0030】このウエハをワークとして用いて、電極層
を陰極として、硫酸ニッケルと塩化ニッケルとほう酸及
び光沢剤からなるNiメッキ浴を用いて、浴温50℃、
陰極電流密度5A/dm2でNiメッキを行った。Ni
メッキは、まず、図1(c)に示すように開口部4の内
側のマスク層の外周部から析出、成長し、マスク層上に
もメッキ層が広がり、図1(d)に示すメッキ構造体が
形成された。さらにメッキ成長を続けると図1(e)に
示すようにメッキ構造体同士が押し付け合うように成長
し、外周から等距離にあるマスク層の中心点である接点
部分の基板が完全に被覆されるとともに、図示したメッ
キ構造体6の接点部分には凹部7が形成され、凹部7は
急峻なほぼ逆円錐型の谷間状の形状となった。このメッ
キ工程の概略図を図3に示す。このようにして作製した
凹部7に、実施例1と同様にして図8(e)に示すよう
に探針材料を堆積し、さらに図8(f)に示すように剥
離を行い、微小探針9を作製した。
【0031】このようにして作製した微小探針9は、不
図示の導電性基体上に導電性ペースト等により固定する
ことで、STM探針として良好に用いることができた。
また、高分解能の電子顕微鏡により観察したところ、図
13(b)に示す先端形状を持ち、単一の先鋭化された
頂点を持つことが確認された。また本実施例の方法で作
製した微小探針は、リング形の形状の開口部から中心方
向へ成長したメッキ構造体の中心に形成された凹部より
作製されるため、ほぼ円錐状の形状となり、全く稜線を
持たない形状になった。そのため、試料の観察等に用い
た場合でも試料表面と探針先端の頂点とが常に1点で接
し、より高解像度の観察が可能であった。
【0032】[実施例4]実施例4においては、剥離を
行う方法として犠牲層を導入し、さらに犠牲層膜厚及び
膜厚分布を制御し、凹部をより急峻な形状にして微小探
針の先端形状を制御した例について述べる。図1〜図5
の作製工程図を用いて説明する。なお、図1は断面方向
の概略図、図2は上面図で、両図の(a)〜(e)はそ
れぞれ対応しており、以下図1を主に使用して説明す
る。まず、実施例1と全く同様にして、図1(a)〜
(d)、及び図3に示した方法により、基板上にメッキ
構造物6と凹部7を形成した。次に、図4(a)に示し
たように、常圧CVD(Chemicai Vapou
r Deposition)法により、PSG(Pho
sphosilicate glass)を350℃に
て1μm成膜し犠牲層11を形成した。続いて図4
(b)に示したように、このようにして作製した凹部7
に、実施例1と同様にして探針材料8を堆積した。次
に、フッ酸と弗化アンモニウムとの混合水溶液に図4
(b)の基板を浸漬し犠牲層であるPSGをエッチング
除去して剥離を行い、図4(c)に示すような微小探針
9を作製した。また、本実施例の方法において、犠牲層
11を形成する工程で、図5に示したように斜め上方か
ら入射する犠牲層材料の粒子12を、メッキ構造体を適
宜回転させながら堆積させることで、図5に示したよう
に凹部7の側壁面に選択的に堆積し、凹部7を図に示し
たようなより急峻な形状にすることも行なった。このよ
うな方法においては、犠牲層11としてSiO2を用
い、スパッタリング法により成膜した。この際、スパッ
タリングターゲットと基板の位置を相対的に調整し、凹
部7に対して犠牲層材料の粒子12が斜め上方より入射
するようにした。このように犠牲層の膜厚分布を制御す
ることで、金型として用いる凹部の形状を犠牲層を用い
て実効的により急峻な形状にした。続いて図4(b)に
示したように、このようにして作製した凹部7に、実施
例1と同様にして探針材料8を堆積し、さらに、フッ酸
と弗化アンモニウムとの混合水溶液に図4(b)の基板
を浸漬し犠牲層であるSiO2をエッチング除去して剥
離を行い、微小探針9を作製した。
【0033】このようにして作製した微小探針9は、不
図示の導電性基体上に導電性ペースト等により固定する
ことで、STM探針として良好に用いることができた。
また、高分解能の電子顕微鏡により観察したところ、単
一の先鋭化された頂点を持つことが確認された。また、
犠牲層の膜厚分布を制御することで、金型として用いる
凹部の形状を犠牲層を用いて実効的により急峻な形状と
することができ、より鋭利な形状の微小探針を作製でき
た。
【0034】[実施例5]実施例5では、微小探針を複
数個形成し、第2基板に接合転写した例について述べ
る。図10、図11、及び図3の作製工程図を用いて説
明する。まず図10(a)に示すように、酸化ガスを用
いて熱酸化し、両面に1μm厚の二酸化シリコン膜が形
成されたシリコンウエハを図10に示す第1基板1とし
て用いた。このウエハに薄膜形成法の一つである電子ビ
ーム蒸着法によりCrとAuを夫々10nm、200n
m連続して成膜し電極層2を形成した。次に、全芳香族
ポリアミド酸溶液をスピン塗布し、熱処理を行いポリイ
ミド膜からなるマスク層3を形成した。
【0035】次に図10(b)に示すように、フォトリ
ソグラフィによりフォトレジストを塗布、露光、現像し
開口部を設け、酸素を用いた反応性イオンエッチングに
よりフォトレジストの開口部のマスク層3をエッチング
除去し、電極層2を露出させ、開口部4を形成した。こ
の後、フォトレジストを剥離した。開口部は円形をして
おり、その直径は10μmである。開口部は基板上に複
数個形成し、それぞれが全て80μm間隔で正3角形の
頂点にあたる位置に配置されている。この開口部の形状
の上面図を図12に示す。このウエハをワークとして用
いて、電極層を陰極として、硫酸ニッケルと塩化ニッケ
ルとほう酸及び光沢剤からなるNiメッキ浴を用いて、
浴温50℃、陰極電流密度5A/dm2でNiメッキを
行った。Niメッキは、まず、図10(c)に示すよう
に開口部4から析出、成長し、マスク層上にもメッキ層
が広がり、図10(d)に示す半球状のメッキ構造体が
形成された。さらにメッキ成長を続けると図10(e)
に示すようにメッキ構造体同士が押し付け合うように成
長し、接点部分の基板が完全に被覆されるとともに、図
示したメッキ構造体6の接点部分には凹部7が形成さ
れ、凹部7は急峻な谷間状の形状となった。本実施例で
は凹部7は複数個形成したとともに、後工程で探針材料
を堆積した後第2基板に接合転写する位置に対応する箇
所に形成されるようにした。このメッキ工程の概略図を
図3に示す。
【0036】これに引き続いて、図11(a)に示した
ように、電子ビーム蒸着法により、Ptを1μm、Au
を100nm積層して堆積し、探針材料8を形成した。
またこの探針材料8は、凹部7を中心にした20μmの
円形にパターニングした。なおこの際探針材料は、複数
個形成された凹部7のうち、必要なものの上部だけに形
成した。続いて図11(b)に示したように、このよう
にして形成した探針材料8を第2基板10に接合した。
第2基板10としては第1基板1と同様の二酸化シリコ
ン膜が形成されたシリコンウエハを用い、予めAFMカ
ンチレバーパターン14と、後の第2基板10を除去す
る工程で必要となるエッチングストップ層13を形成し
てある。さらに第2基板には、AFMカンチレバーパタ
ーン14の先端部で予め微小探針9が接合される位置に
Crを5nm、Auを100nm堆積したものを用い
た。このような第2基板を、第1基板1の探針材料8が
形成された位置に対向して位置合せし、面合せを行なっ
た後荷重を加えて接合(圧着)を行なった。続いて図1
1(c)に示したように、メッキ構造体6より探針材料
8を剥離することで微小探針9を第2基板10上に転写
した。剥離は機械的に行なってもよいが、本実施例で
は、実施例1と同様に、第1基板、マスク層、メッキ構
造体を順次裏面よりエッチング除去する方法を取った。
【0037】本実施例においては、最後に第2基板を裏
面よりエッチング除去し、微小探針9を持つAFMプロ
ーブ15を作製した。この工程は、第2基板裏面の不要
部分の二酸化シリコン膜をフッ酸と弗化アンモニウムの
混合水溶液により除去し、次に、シリコンウエハをTM
AH(Tetramethyl ammoniumhy
droxide)水溶液にてエッチングし除去した。こ
の後にエッチングストップ層13をArを用いたイオン
ミーリングにより除去した。このようにして作製したA
FMプローブの斜視図を図11(d)に示す。このよう
にして作製した微小探針9は、AFM探針として良好に
用いることができた。また、高分解能の電子顕微鏡によ
り観察したところ、図13(a)に示す先端形状を持
ち、単一の先鋭化された頂点を持つことが確認された。
さらに実施例1と比べ、予めカンチレバーパターンを形
成した第2基板上に微小探針を転写したことで、導電性
ペーストでの固定などの工程が不要となり、AFM装置
への取付けなど、取扱を簡便に行なうことができた。
【0038】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、単一の先鋭化された頂点を有する微小探針を作製す
ることができ、これにより試料形状に限定されずに高い
分解能で観察することが可能な走査型プローブ顕微鏡や
その原理を応用した極微細加工や高密度記録に用いられ
る微小探針の作製方法、及び微小探針を実現することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、実施例2、実施例4の微小探針の作
製工程の断面図。
【図2】実施例1、実施例2、実施例4の微小探針の作
製工程の上面図。
【図3】メッキ工程を示す図。
【図4】実施例4の微小探針の作製工程を説明する図。
【図5】実施例4の微小探針の作製工程において、犠牲
層の形成方法を説明する図。
【図6】実施例2の微小探針の作製工程を説明する図。
【図7】実施例2の微小探針の作製工程において、犠牲
層による剥離方法を説明する。
【図8】実施例3の微小探針の作製工程を説明する断面
図。
【図9】実施例3の微小探針の作製工程を説明する上面
図。
【図10】実施例5の微小探針の作製工程を説明する断
面図。
【図11】実施例5の微小探針の作製工程を説明する上
面図。
【図12】実施例5の微小探針の作製工程において、開
口部形状を説明する上面図。
【図13】本発明の微小探針先端近傍の形状の模式図。
【図14】従来例の半導体プロセスによる探針作製方
法。
【図15】従来例の作製方法によって作製される探針の
拡大図。
【図16】従来例の探針を用いたAFM観察の模式図。
【符号の説明】
1:第1基板 2:電極層 3:マスク層 4:開口部 5:メッキ層 6:メッキ構造体 7:凹部 8:探針材料 9:微小探針 10:第2基板 11:犠牲層 12:犠牲層材料の粒子 13:エッチングストップ層 14:AFMカンチレバーパターン 15:AFMプローブ 16:ワーク 17:陽極板 18:メッキ液 19:外部電源 20:頂点 21:凹面 22:外面上の点 23:線分 510、512:二酸化シリコン(マスク) 514:シリコンウエハ 518:ピット 520、521:窒化シリコン膜 522:ピラミッド状ピット 530:ガラス板 532:Cr層 534:ソウカット 540:マウンティングブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 康弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2F069 AA60 AA66 DD26 GG01 GG62 HH04 JJ00 LL03 2H052 AA07 AF10

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微小探針の作製方法であって、基板上に凹
    部を有するメッキ構造体を形成し、該メッキ構造体の凹
    部を金型として該金型上に探針材料を形成し、該探針材
    料を該金型から剥離し、または別の基板へ接合転写して
    微小探針を形成することを特徴とする微小探針の作製方
    法。
  2. 【請求項2】前記メッキ構造体の凹部が、電気メッキに
    より前記基板上に等方的に成長した複数のメッキ構造体
    の接点部分に形成されることを特徴とする請求項1に記
    載の微小探針の作製方法。
  3. 【請求項3】前記メッキ構造体の凹部が、複数形成さ
    れ、該メッキ構造体の凹部を金型として複数の微小探針
    を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の微小探針の作製方法。
  4. 【請求項4】微小探針の作製方法であって、 (1)導電性の第1基板上にマスク層を形成する工程 (2)前記マスク層に開口部を形成する工程 (3)前記導電性の第1基板を陰極として、電気メッキ
    により開口部を通じて開口部及びマスク層上に、凹部を
    有するメッキ構造体を形成する工程 (4)前記めっき構造体の凹部上に探針材料を堆積する
    工程 (5)前記探針材料を剥離する工程 を少なくとも有することを特徴とする微小探針の作製方
    法。
  5. 【請求項5】前記工程(1)〜(3)において、電気メ
    ッキによりメッキ構造体を等方的に成長させ、凹部を有
    するメッキ構造体を形成することを特徴とする請求項4
    に記載の微小探針の作製方法。
  6. 【請求項6】前記工程(1)〜(3)において、前記凹
    部がマスク層上に設けた3つの開口部より成長したメッ
    キ構造体の接点部分に形成されることを特徴とする請求
    項4または請求項5に記載の微小探針の作製方法。
  7. 【請求項7】前記工程(1)〜(3)において、前記凹
    部が導電性の第1基板上に設けたマスク層の外周より成
    長したメッキ構造体の接点部分に形成されてなることを
    特徴とする請求項4または請求項5に記載の微小探針の
    作製方法。
  8. 【請求項8】前記工程(3)において、メッキ時間及び
    メッキ温度を制御して探針先端の形状を制御することを
    特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の微小探
    針の作製方法。
  9. 【請求項9】前記工程(3)において、メッキ構造体を
    形成した後に、犠牲層を形成する工程を含むことを特徴
    とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の微小探針の
    作製方法。
  10. 【請求項10】前記犠牲層を形成する工程を含む工程に
    おいて、前記探針材料の剥離が前記犠牲層を除去するこ
    とにより行われることを特徴とする請求項9に記載の微
    小探針の作製方法。
  11. 【請求項11】前記犠牲層を形成する工程を含む工程に
    おいて、犠牲層膜厚または膜厚分布を制御して探針先端
    の形状を制御することを特徴とする請求項9に記載の微
    小探針の作製方法。
  12. 【請求項12】前記工程(5)において、前記探針材料
    を第2基板上に接合転写する工程を含むことを特徴とす
    る請求項4〜11のいずれか1項に記載の微小探針の作
    製方法。
  13. 【請求項13】前記工程(5)において、前記探針材料
    の剥離する工程が基板、メッキ構造体を順次エッチング
    除去することにより行われることを特徴とする請求項4
    〜12のいずれか1項に記載の微小探針の作製方法。
  14. 【請求項14】請求項1〜13のいずれか1項に記載の
    微小探針の作製方法において、前記凹部を有するメッキ
    構造体が複数形成され、それにより微小探針が複数形成
    されることを特徴とする微小探針の作製方法。
  15. 【請求項15】請求項1〜14のいずれか1項に記載の
    微小探針の作製方法により作製され、微小探針の先端部
    である頂点を共有する凹面により囲まれた外形を有する
    ことを特徴とする微小探針。
JP11127412A 1999-05-07 1999-05-07 微小探針の作製方法、及び微小探針 Pending JP2000321291A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11127412A JP2000321291A (ja) 1999-05-07 1999-05-07 微小探針の作製方法、及び微小探針

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11127412A JP2000321291A (ja) 1999-05-07 1999-05-07 微小探針の作製方法、及び微小探針

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000321291A true JP2000321291A (ja) 2000-11-24

Family

ID=14959340

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11127412A Pending JP2000321291A (ja) 1999-05-07 1999-05-07 微小探針の作製方法、及び微小探針

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000321291A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009002870A (ja) * 2007-06-22 2009-01-08 Aoi Electronics Co Ltd Afmピンセット、afmピンセットの製造方法および走査型プローブ顕微鏡
US7957048B2 (en) 2006-08-07 2011-06-07 Samsung Electronics Co., Ltd. Display device and method of manufacturing the same

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7957048B2 (en) 2006-08-07 2011-06-07 Samsung Electronics Co., Ltd. Display device and method of manufacturing the same
JP2009002870A (ja) * 2007-06-22 2009-01-08 Aoi Electronics Co Ltd Afmピンセット、afmピンセットの製造方法および走査型プローブ顕微鏡
JP4503633B2 (ja) * 2007-06-22 2010-07-14 アオイ電子株式会社 Afmピンセットおよび走査型プローブ顕微鏡
US8028567B2 (en) 2007-06-22 2011-10-04 Aoi Electronics Co., Ltd. AFM tweezers, method for producing AFM tweezers, and scanning probe microscope

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5923637A (en) Method of manufacturing micro-tip for detecting tunneling current or micro-force or magnetic force
JP3576655B2 (ja) 微小探針の製造方法及びその製造用雌型基板、並びにその微小探針を有するプローブの製造方法
JP3754876B2 (ja) 細孔を有する構造体の製造方法及び細孔を有する構造体
JP2833807B2 (ja) 集積方式の走査型トンネル顕微鏡
JP2002526354A (ja) Memsデバイスの機能的要素としてのカーボンナノチューブを製造するための方法
WO2003046265A2 (en) Thick porous anodic alumina films and nanowire arrays grown on a solid substrate
US5749762A (en) Field emission cold cathode and method for production thereof
US7115863B1 (en) Probe for scanning probe lithography and making method thereof
CN113504394B (zh) 镀膜探针的圆片级制备方法及镀膜探针
JP2000321291A (ja) 微小探針の作製方法、及び微小探針
JP3524326B2 (ja) 微小短針の製造に用いる雌型基板と該雌型基板の製造方法、及び該雌型基板を用いた微小短針とプローブの製造方法
US6056887A (en) Process for fabricating a feeler member for a micromechanical probe, in particular for an atomic force microscope
JP4110341B2 (ja) 構造体の作成方法
KR100197154B1 (ko) 전계방출소자 제조방법
JPH10246729A (ja) 微小ティップとこれを用いた微小電流または微小力検出用プローブ、及びこれらの製造方法
JPH04125402A (ja) 微小プローブの製造方法
JPH08248064A (ja) 微細パターン形成装置及び特性測定装置
JPH09218207A (ja) トンネル電流検出用の微小ティップとその製造方法、およびトンネル電流または微小力検出用のプローブとその製造方法
JPH04326538A (ja) 微小プローブの製造方法
US8679860B1 (en) Lateral electrodeposition of compositionally modulated metal layers
JPH09229944A (ja) 微小探針の製造方法と微小探針、プローブの製造方法とプローブ、および雌型基板の製造方法と雌型基板
CN110376845A (zh) 一种光刻胶图形的制备方法
JPH10206436A (ja) トンネル電流または微小力検出用の微小ティップの製造方法とプローブの製造方法、及びそのプローブ
JPH06102007A (ja) 針状チップを有するプローブの製造方法及びそれにより 製造されたプローブ
Yifang et al. Fabrication of nano-tips employing three different methods