JP2000319425A - 樹脂の改質方法 - Google Patents

樹脂の改質方法

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JP2000319425A
JP2000319425A JP11132794A JP13279499A JP2000319425A JP 2000319425 A JP2000319425 A JP 2000319425A JP 11132794 A JP11132794 A JP 11132794A JP 13279499 A JP13279499 A JP 13279499A JP 2000319425 A JP2000319425 A JP 2000319425A
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JP
Japan
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resin
water
water repellency
hydrophilicity
ion beam
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JP11132794A
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English (en)
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Hiroaki Kasai
広明 葛西
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂の表面に異種材料を介在させることな
く、樹脂表面の撥水性又は、親水性を向上させる。 【解決手段】 樹脂の表面にイオンビームを照射するこ
とにより、樹脂の表面を改質する。イオンビームの照射
によって、樹脂の表面がエッチングされるため、撥水性
又は親水性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は樹脂の表面を改質す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂は金属、ガラスなどと比較して樹脂
は撥水性が高く、水との接触角は60°〜90°程度の
値となっている。また、メガネレンズやカメラレンズな
どの光学部品には透明樹脂が多く用いられるが、樹脂自
体が撥水性が高いため、これらのレンズの表面が曇り易
い問題がある。この曇りは、透明樹脂の表面に付着した
空気中の水分が、その表面の撥水性の高さから凝集を起
こし易く、樹脂の表面に水滴となって存在することによ
って光を散乱する現象である。そのため、樹脂の表面に
親水化処理を施すことによって、水分を凝集させずに一
様に広げて曇りを防止することがなされている。例え
ば、東陶機器(株)製の「ハイドロテクトフィルム」
(商品名)は、フィルム表面に酸化チタン層を形成し、
酸化チタンの光触媒作用によって表面を親水化してい
る。
【0003】これに対し、樹脂の撥水性を利用する場合
も数多く存在するが、撥水性という観点からは実使用上
が不充分となっている。このため、例えば樹脂製部品あ
るいは洗浄ヤトイ等の洗浄時などでは、洗浄液やすすぎ
液などの液残りが問題となっている。
【0004】最近ではインクジェットプリンターのヘッ
ド部分にはPI(ポリイミド)製のノズルが多く使用さ
れているが、ノズル部分の撥水性(撥インク性)が低い
と塗出量や塗出方向がばらつくため、ノズル表面の撥水
性が印字品質に大きく左右する。このため樹脂の表面の
撥水性を向上させることが望まれているが、このような
場合、例えば撥水性の必要な部分に対して、撥水性が最
も高いPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に代表
されるフッ素系樹脂を使用したり、フッ素系の撥水処理
剤を用いることがなされている。
【0005】特開平7−108552号公報には、成形
用金型の表面に低表面張力の固体微粒子を塗布し、成形
品表面に転写させる方法が開示されている。すなわち、
フッ化黒鉛等の低表面張力の固体微粒子を成形用金型の
表面にあらかじめ塗着するものであり、このような金型
で樹脂の成形を行うと、固体微粒子が樹脂成形品の表面
に転移して埋め込まれるため、撥水性を向上させること
ができる。この場合、金型の表面に凹凸を形成しておく
ことにより、固体微粒子の転写と共に凹凸形状も転写さ
れるため、表面積の増大によって撥水性の耐久性が向上
することができる。この方法によれば、ポリプロピレン
(PP)上に水との接触角が145°である撥水処理層
を形成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】「ハイドロテクトフィ
ルム」の場合、フィルムを必要な部位に貼り付ける構造
のため、接着層の存在あるいは異種材料の接合という点
で、透過率、屈折率等の光学特性の変化や吸水率、熱膨
張率の違いによる表面の変形やフイルムの剥がれが生じ
る不具合が発生する。
【0007】部品を成形するためにフッ素系樹脂を用い
る場合には、フッ素系樹脂が通常の溶融成形ができない
ため、形状が限られたり、高価となったり、さらにはフ
ッ素樹脂自体の撥水性が不充分である、といった問題が
ある。フッ素系の撥水処理剤を用いる方法では、原理的
にフッ素系樹脂以上の撥水性を確保することが困難であ
り、撥水性が不充分となっている。
【0008】特開平7−108552号公報の方法の場
合、撥水性は充分であるが、1回の成形の都度、金型の
表面に低表面張力の固体粒子を塗着させる必要がある。
このため、1回の成形ごとに、金型の冷却、金型の洗
浄、粒子の塗着、金型の再加熱の繁雑な作業を行う必要
があり、成形時間が長くなり、実用的ではない。
【0009】本発明はこのような従来の問題点を考慮し
てなされたものであり、表面に接合層などの異種材料を
存在させることなく、表面の親水性を充分に向上させる
ことができ、しかも高い撥水性を有した表面を簡便に形
成することができる樹脂の改質方法を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明は、樹脂の表面にイオンビームを照
射することにより、樹脂の表面を改質することを特徴と
する。
【0011】樹脂の表面に対してイオンビームを照射す
ると、イオン衝突時のエネルギーにより樹脂の表面がエ
ッチングされる。このイオンビームの照射の際に、イオ
ン種、加速電圧、電流密度等条件を適切に制御すること
により、樹脂の表面に微細な針状の凹凸を形成すること
ができる。一般に、物体の表面に微小な凹凸が形成され
た場合、水に対する濡れ性という観点においては、樹脂
自体が本来有する性質がより強調されるという傾向があ
る。このため、平滑な表面において撥水性(水との接触
角が90°以上)を有する材料では、より高い撥水性を
示すようになり、平滑な表面において親水性(水との接
触角が90°未満)を有する材料では、より高い親水性
を示すようになる。
【0012】例えば水との接触角が110°であるPT
FEの表面に微細な凹凸を形成すると、凹凸の凹部に空
気が入り込み、巨視的にはフッ素樹脂の表面と水滴との
間に空気層が設けられた状態となり、微視的には凹凸の
凸部の先端と水滴が接触している状態となり、その接触
面積は著しく小さなものとなっていると考えられ、結果
として撥水性が向上するものと思われる。逆に水との接
触角が約80°であるPOM(ポリアセタール)の表面
に微細な凹凸を形成すると、凹凸の凹部に水が入り込み
毛細管現象により次々に濡れ広がって、表面の親水性が
向上するものと考えられる。樹脂は高い撥水性を有する
フッ素樹脂を除くと水との接触角が90°未満であるた
め、イオンビームの照射、表面凹凸の形成によって親水
性が著しく向上する。
【0013】本発明におけるイオンビームイオン種とし
ては特に限定されないが、イオンビームとして多く用い
られているN,O,Ar等で良く、この場合には、装置
も一般的で、使い易いメリットがある。照射するイオン
のエネルギーとしては、1keV〜50keV程度が適
当であり、樹脂へのダメージ、効率の点から5keV〜
40keVの範囲が望ましい。N、Oなどの小さなイオ
ン(原子)を照射する場合は、小さなエネルギーで充分
であるが、Arなどの大きなイオン(原子)を照射する
場合は深くまで入り込みにくいため、エネルギーを大き
くするなど照射するイオンに合わせた条件を設定するこ
とが望ましい。
【0014】フッ素樹脂の場合、イオンの照射量として
は、樹脂の形状、厚さ、角度等に合わせて変更すること
ができる。例えば、平面への照射の場合は、1×10
10ions/cm〜1×1018ions/cm
程度が適当であり、効果、ダメージ等の観点からは、1
×1014ions/cm〜1×1018ions/
cmの範囲が好ましい。照射量が1018ions/
cmを越えると、フッ素樹脂の表面へのスパッタリン
グ効果が大きくなり、ダメージ、変形などが大きくなる
ため、適当ではない。
【0015】適用される樹脂の種類としては特に限定さ
れないが、耐熱性の低い樹脂を用いる場合には、エネル
ギーを低くするなど樹脂に合わせた条件を設定すること
が望ましい。
【0016】請求項2の発明は、樹脂の表面にイオンビ
ームを照射した後、平滑な表面において水との接触角が
90°以上である層を形成することを特徴とする。
【0017】上述したように、樹脂の表面に適切な条件
でイオンビームを照射し、表面に凹凸を形成することに
より、樹脂の表面の親水性が著しく向上する。このよう
な凹凸形状を有する表面に、平滑な表面において水との
接触角が90°以上である層を形成すると、撥水性が著
しく向上する。これは上述したようにPTFEに凹凸を
形成した場合と同様の作用により撥水性が向上している
ものと思われる。
【0018】平滑な表面において水との接触角が90°
以上である層とは、表面の構造がCF2−CF2あるい
はCF3が適しているが、接触角が90°以上であれば
特に限定されるものではない。このような層を形成する
手段としては、溶剤可溶型のフッ素系樹脂を塗布した
り、非移行性の離型剤を転用することにより行うことが
できるが、これらに限定されるものではない。
【0019】請求項3の発明は、平滑な表面での水との
接触角が90°以上の撥水性を有する樹脂の改質方法に
おいて、前記樹脂の表面にイオンビームを照射すること
により、樹脂の表面の撥水性を強調することを特徴とす
る。
【0020】この発明では、平滑な表面での水との接触
角が90°以上の撥水性を有する樹脂の表面に対してイ
オンビームを照射するため、上述した作用によってさら
に、樹脂表面の撥水性が大きくなる。
【0021】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)ポリアセタール
樹脂(POM)に3種類の条件でイオンビームを照射
し、水との接触角の変化を測定した。表1はイオンビー
ムの照射の条件及びその結果を示す。なお、比較例とし
てイオンビームを照射しない場合の結果も示してある。
【0022】
【表1】
【0023】比較例1にあるようにPOM本来の水との
接触角は76°である。この表面に対して、表1の条件
でイオンビームを照射すると、イオンの注入効果によっ
て表面に凹凸が形成される。この表面に水滴を滴下する
と、凹凸の凹部に水が入り込み毛細管現象により次々に
濡れ広がっていくと考えられ、表面の親水性が向上す
る。従って、イオンビームの照射により表面に異種材料
を存在させることなく、樹脂の表面の親水性を向上させ
ることができる。
【0024】(実施の形態2)実施の形態1と同様にイ
オンビームを照射した後に、樹脂の表面に対して非移行
性の離型剤をスプレーにより塗布し、100℃で15分
間硬化させた。イオンビームの照射条件及び結果を表2
に示す。比較例2としてイオンビームを照射することな
く、表面に非移行性の離型剤をスプレーし、同条件で硬
化させた結果も示す。
【0025】
【表2】
【0026】比較例2にあるように本実施の形態におい
て使用した離型剤本来の水との接触角は108°であ
る。このように微細な凹凸を形成した表面に撥水性の高
い層を形成すると、凹凸の凹部に空気が入り込み、巨視
的には樹脂の表面と水滴との間に空気層が設けられた状
態になり、微視的には凹凸の凸部の先端と水滴が接触し
ている状態となり、その接触面積が著しく小さなものと
なっていると考えられ、結果として離型剤本来の撥水性
以上に撥水性が向上する。このように樹脂の表面にイオ
ンビームを照射後、撥水性の高い層を形成することによ
って、樹脂の表面に更に高い撥水性を付与することがで
きる。
【0027】以上の説明から明らかなように、本発明は
以下の発明を包含するものである。 (1)平滑な表面での水との接触角が90°未満の親水
性を有する樹脂の改質方法において、前記樹脂の表面に
イオンビームを照射することにより、樹脂の表面の親水
性を強調することを特徴とする樹脂の改質方法。
【0028】この発明では、平滑な表面での水との接触
角が90°未満の親水性を有する樹脂の表面に対してイ
オンビームを照射するため、上述した作用によってさら
に、樹脂表面の親水性が向上する。
【0029】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、樹脂の表面に
異種材料を存在させることなく、樹脂の表面の撥水性又
は親水性を向上させるできる。
【0030】請求項2の発明によれば、樹脂の表面に高
い撥水性を簡便に付与することができる。
【0031】請求項3の発明によれば、それ自体撥水性
を有している樹脂の表面の撥水性をさらに向上させるこ
とができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂の表面にイオンビームを照射するこ
    とにより、樹脂の表面を改質することを特徴とする樹脂
    の改質方法。
  2. 【請求項2】 樹脂の表面にイオンビームを照射した
    後、平滑な表面において水との接触角が90°以上であ
    る層を形成することを特徴とする樹脂の改質方法。
  3. 【請求項3】 平滑な表面での水との接触角が90°以
    上の撥水性を有する樹脂の改質方法において、 前記樹脂の表面にイオンビームを照射することにより、
    樹脂の表面の撥水性を強調することを特徴とする樹脂の
    改質方法。
JP11132794A 1999-05-13 1999-05-13 樹脂の改質方法 Withdrawn JP2000319425A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014181778A1 (ja) * 2013-05-09 2017-02-23 旭硝子株式会社 正極材料、及びその製造方法

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Effective date: 20060801