JP2000314081A - 光触媒効果のある繊維製品 - Google Patents

光触媒効果のある繊維製品

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JP2000314081A
JP2000314081A JP11159983A JP15998399A JP2000314081A JP 2000314081 A JP2000314081 A JP 2000314081A JP 11159983 A JP11159983 A JP 11159983A JP 15998399 A JP15998399 A JP 15998399A JP 2000314081 A JP2000314081 A JP 2000314081A
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Japan
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fiber
fibers
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photocatalytic effect
effect
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JP11159983A
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Kenichi Yamanaka
堅市 山中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バインダーを使用せず、特別な方法を用いな
いで簡単かつ安価に製造できる、光触媒効果を有する繊
維の提供、およびその製造方法。 【解決手段】 特許番号2875993により製造され
たアナターゼ分散液およびペルオキソチタン酸溶液を、
単独又は配合したものを使用し、各種繊維に浸漬あるい
は吹付により繊維に塗布した後、それを自然乾燥、ある
いは温風または熱風等による強制乾燥をする事で得られ
る、光触媒効果の有る繊維および繊維製品の製造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特別な製造方法、
並びに加工工程を必要とぜずに、酸化チタンによる光触
媒効果を有する繊維の製造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来は、酸化チタン等の光触媒機能を持
つ繊維製品を製造しようとすると、繊維そのものに光触
媒機能を持つ酸化チタン等の物質およびその他の物質を
練り込む方法等で製造したり、酸化チタン等にバインダ
ーその他の物質を混合、担持させたものを印刷、溶着等
々にて繊維表面に付着させたりして製造されてきた。そ
の上、ほとんどが高温加熱処理をしなければならないも
のが多く、酸化チタンもアナターゼ型よりルチル型のも
のも多く、光触媒効果の低いものが多かった。また加
工、製造するのにも簡単な設備ではできなかったり、あ
るいは、コストのかかる10nm以下の超微粒子の酸化
チタンでないと繊維に保持させる事ができない上、銀を
担持する事で光触媒効果を得る、製造方法等があった。
【0003】ほかに、水溶液タイプのものもあるが、そ
の多くは強酸性で繊維自体を変質させてしまう光触媒以
外の物質が多く含まれている上、同じく、光触媒効果を
得るためには高温加熱を要する水溶液がほとんであり実
用的ではなかった。
【0004】又、何れの場合も、酸化チタンのみで光触
媒効果を得るものはほとんどなく、他の物質等の力を借
りる事により、その効果を引き出しているものがほとん
どであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、今まで繊維
製品で簡単に得る事ができなかった光触媒効果を、特許
番号2875993により製造された光触媒効果を持つ
アナターゼ分散液(以下『アナターゼ分散液』とい
う)、およびその製造過程において得られるペルオキソ
チタン酸溶液(以下『ペルオキソチタン酸溶液』とい
う)を、バインダーを使用せず、かつ特別な方法を用い
ないで両溶液のみで、安価で簡単に光触媒効果のある繊
維を提供する事を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するのための手段、他】まず、本発明に使
用する繊維は、染色加工するものであれば染色後、無染
色のまま使用するのであればそのままで使用し、糸で
も、織り、編み等を問わず布でもよく、どのような形
状、形態であっても良いが、付着効果およびを光触媒効
果上げるためには、繊維表面が平滑なものより凹凸があ
るもの、および繊維が細く絡み合っているものの方が、
繊維と繊維の間に物理的に酸化チタン粒子が引っかかる
事により付着量を増す事ができ、より光触媒効果を期待
できるので好ましい。但し、繊維および染色方法等によ
っては十分に付着効果を期待できるものがあるため、そ
れぞれの繊維の状態に合わせた確認、対応が必要であ
る。
【0007】本発明において、使用するのはアナターゼ
分散液とペルオキソチタン酸溶液である。その両溶液
を、加工しようとする繊維およびその用途に応じて、そ
れぞれ単独、若しくは配合した溶液をもって、常温から
繊維を劣化させない温度で染色と同様の方法、またはス
プレー等により吹付ける方法により、繊維表面に均等に
塗布、浸透させた後、それらの繊維を劣化させない程度
の50℃〜300℃程度までの温風または熱風にて70
〜90%程度にまで乾燥させた後、常温程度の冷風また
は自然乾燥にて完全乾燥させる事により付着させ、光触
媒効果のある繊維を製造するものである。
【0008】本発明において、使用する両水溶液は中性
であるので繊維に対して質の変化をほとんど与えずに使
用できるため、後加工により簡単に光触媒効果を得られ
るものである。また、両水溶液は他の酸化チタンと比較
した場合において、常温乾燥でも基材への付着力は十分
にあり、その付着力を活用して加工するものであるが、
加熱する事により、より付着力を増すため温風または熱
風にて乾燥させるものである。尚、酸化チタン以外のも
のをほとんど含んでいない事により、少量でも光触媒の
効果を得る事ができるので、その配合および濃度を変化
させる事により、あらゆる用途に応じた光触媒効果のあ
る繊維製品を製造する事ができるものである。但し、ペ
ルオキソチタン酸溶液を使用して光触媒効果を得るため
には250℃以上の温度にて長時間加熱しアナターゼに
結晶化させる必要がある。
【0009】両溶液ともその酸化チタン粒子は加熱する
事により、より付着力を増すため、できる限り長時間、
加熱する方が望ましいのであるが、
【0007】記載の通り、温風または熱風による乾燥は
70〜90%で止め、完全乾燥させずにおく事が原則で
ある。なぜなら、温風または熱風にて完全乾燥までさせ
ると、繊維および付着させる溶液濃度にもよるが、ほと
んどの場合、撥水効果がでるために繊維によってはその
製品としての機能を十分に果たす事が出来なくなる事が
あるので、生乾き状態において止めるものである。ま
た、完全乾燥に至るまで加熱する事により、繊維を劣化
させてしまう恐れもあり、それを防止するためでもあ
る。それ故に、それぞれの繊維に応じた温度管理が必要
かつ重要でもある。
【0010】一方、撥水効果も合わせて欲しい場合、ま
たは必要な場合には、完全乾燥に至るまでできる限り長
時間加熱する事により得る事ができる。
【0011】その場合において、撥水効果を持つ光触媒
繊維を製造するには、両溶液を加工しようとする繊維に
応じた、ペルオキソチタン酸溶液を単独、若しくはアナ
ターゼ分散液と配合した溶液にて、
【0007】記載の加工方法に準じ、できる限り長時間
加熱し完全乾燥させる事により、撥水効果を持つ光触媒
繊維を得る事ができるが、ペルオキソチタン酸溶液を単
独で使用する場合には250℃以上の温度で長時間加熱
しアナターゼに結晶化させる必要があるため、それに耐
えられる繊維を選択する必要がある。また、光触媒効果
が不用であれば、同じくペルオキソチタン酸溶液を単独
使用する事で得る事ができるが、アナターゼに結晶化さ
せない温度で乾燥させる必要がある。
【0012】尚、乾燥した繊維は湿った繊維より、同じ
加熱温度でも急激に質の変化を起こすので、完全乾燥さ
せる場合の温度管理は特に十分に行う事が必要である。
【0013】本発明に使用する各溶液の濃度は、両溶液
とも2重量%程度を上限とし0.15重量%程度を下限
として使用するのが好ましい。両溶液ともその濃度が2
重量%を超えるとゲル状に近い溶液となり、繊維に均一
に塗布する事が困難となるばかりか、付着した酸化チタ
ン粒子の膜厚が厚くなりすぎるため、乾燥させるとその
多くが剥離し易く、目的とする光触媒効果を持つ製品が
得られない事がある上、使用した溶液が無駄になるから
である。また、0.15重量%以下だと、酸化チタン粒
子の膜厚が薄くなりすぎて光触媒効果があまり期待でき
なくなるからである。
【0014】また、両溶液を配合する場合、その配合比
率は特にこだわる必要はなくそれぞれの用途に応じ期待
する光触媒効果が得られる比率を選択すれば良いのであ
るが、アナターゼ分散液の配合割合を40%以下にする
と洗濯等にも剥離しにくい付着効果の良い製品が得られ
る。但し、10%以下の低濃度の場合には、光触媒効果
はあまり期待できないので、それぞれの繊維および用途
に応じた配合の検討は必要である。
【0015】以上は、本発明に使用するアナターゼ分散
液およびペルオキソチタン酸溶液が、同じ製法および製
造過程で得られる溶液である事により、それぞれの相性
が良く、配合しても分離せずに溶液中に均等に分散さ
れ、かつその濃度および配合比率に応じ、それぞれの持
つ性質および特徴が素直に表れるため、繊維に塗布した
ときに、その繊維表面にその濃度に応じた粒子量が付着
しその膜が作られると共に、その配合比率に応じた均等
な分散のし方をする事により、それに応じた付着力およ
び光触媒効果を生み出すものであると思われる。
【0016】尚、本加工に使用するペルオキソチタン酸
溶液は、250℃以上の温度にて長時間加熱しないと光
触媒効果のあるアナターゼに結晶化しないのであるが、
家庭用ドライヤーレベルで長時間温風を当てて完全乾燥
させた繊維製品における光触媒効果確認のための、赤イ
ンクを塗布した繊維の分解実験において、わずかではあ
るが、その効果が見受けられた。
【0017】この事により、家庭用ドライヤーの温度で
の乾燥においても長時間乾燥させる事により、わずかで
はあるがペルオキソチタン酸溶液を使用して、付着力の
良い光触媒効果のある繊維を製造できる事が確認できる
ものである。
【0018】
【発明の効果】本発明により、今まで製造しにくかった
光触媒効果のある繊維製品を簡単に得る事ができ、特別
な設備を要せずに既存の設備でも十分製造できる事とな
り、従来の製造方法と比較して、光触媒効果のある繊維
製品を安価で供給する事ができる様になると思われる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月26日(2000.7.2
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 光触媒効果のある繊維製品
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特別な製造方法並
びに加工工程を必要とぜずに、酸化チタンによる光触媒
効果を有する繊維および繊維製品(以下、繊維等とい
う)を得る事と、その製造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来は、酸化チタン等の光触媒機能を持
つ繊維等を製造しようとすると、繊維そのものに光触媒
機能を持つ酸化チタン等の物質およびその他の物質を練
り込む方法等で製造したり、酸化チタン等にバインダー
その他の物質を混合、担持させたものを印刷、溶着等々
にて繊維表面に付着させたりして製造されてきた。その
上、それらの多くは高温加熱等その他特別な機器等を使
用した処理をしなければならないものが多いうえ、光触
媒効果の低いものも多かった。また加工、製造するのに
も簡単な設備ではできなかったり、あるいは、コストの
かかる10nm以下の超微粒子の酸化チタンでないと繊
維に保持させる事が出来ない上、電極として銀を担持さ
せる事で光触媒効果を得る製造方法等があった。
【0003】また、特開平10−016121に本発明
と同じ様な溶液を使用して繊維にコーティングする方法
が提案されているが、バインダーとしての過酸化チタン
と本発明と同じTOゾルを混合使用し、その過酸化チタ
ンには光触媒効果はなく、基体保護層および定着材とし
て使用しTOゾルが光触媒効果のあるものとしたもので
あり、また同じく過酸化チタンを同じ用途に使用し、他
のアナターゼ型の酸化チタン等を各種方法にて定着させ
た物などで提案されているが、何れも加熱処理をしない
と十分な基体への定着が出来ないとしたものであり、本
発明とは基本的に相違する。更に、本発明に使用するペ
ルオキソチタン酸溶液はアモルファス型の酸化チタンで
あるが、後述のように繊維に塗布し自然乾燥させるだけ
でもアナターゼ型の酸化チタンに変化したと思われる光
触媒効果を生じるもので、その点においても基本的に相
違するものである。
【0004】他にも本発明と同様の水溶液タイプのもの
も多くあるが、その多くは強酸性で繊維自体を変質させ
てしまう光触媒以外の物質が多く含まれている上、光触
媒効果を得ると共に不純物を除去するためには、およ
び、または基体に付着させるためには高温加熱を要する
水溶液がほとんであり実用的ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、今まで簡単
に得る事ができなかった光触媒効果のある繊維等を、特
許番号2875993により製造されたアナターゼ分散
液(以下、アナターゼ分散液という)、およびその製造
過程において得られるペルオキソチタン酸溶液(以下、
ペルオキソチタン酸溶液という)を使用し、バインダー
等を使用せず、且つ特別な方法を用いないで両溶液のみ
で安価で簡単に光触媒効果のある繊維等を提供する事を
課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するのための手段】まず、本発明に使用す
る繊維等は、染色加工するものであれば染色後、無染色
のまま使用するのであればそのままで使用し、糸でも、
織り、編み等を問わず布でもよく、どのような形状、形
態であっても良いが、付着効果およびを光触媒効果上げ
るためには、繊維表面が平滑なものより凹凸があるも
の、および繊維が細く絡み合っているものの方が、繊維
と繊維の間に物理的に酸化チタン粒子が引っかかる事に
より付着量を増す事ができ、より光触媒効果を期待でき
るので好ましい。但し、繊維等および染色方法等によっ
ては十分に付着効果を期待できないものがあるため、そ
れぞれの繊維等に合わせた確認、対応が必要である。
【0007】本発明において使用する酸化チタン水溶液
は、特許番号2875993により(株)田中転写より
製造され、それぞれ市販されているアナターゼ分散液で
あるTOゾル、およびペルオキソチタン酸溶液であるP
TAゾルを使用した。その両溶液を、加工しようとする
繊維等およびその用途に応じて、それぞれ単独、若しく
は混合した溶液を使用し、常温から繊維を劣化させない
温度で繊維等に浸漬またはスプレーにより吹付ける事に
より、繊維表面に均等に塗布浸透させた後、そのまま自
然乾燥させるか、それらの繊維を劣化させない程度の5
0℃〜300℃程度までの温風または熱風にて概ね70
〜90%程度にまで乾燥させた後、常温程度の冷風また
は自然乾燥にて完全乾燥させる事により付着させ、光触
媒効果のある繊維等を得るものである。
【0008】自然乾燥による場合には、その両溶液を、
加工しようとする繊維等に、その使途に応じて、それぞ
れ単独、若しくは混合した溶液をもって、溶液に浸漬ま
たはスプレーにより吹付ける事により繊維に出来る限り
均等に塗布浸透させた後、それを自然乾燥させる事によ
り酸化チタン粒子を付着させ、光触媒効果のある繊維等
を製造するものである。また、出来れば天日乾燥する方
が、その紫外線等によるものと思われる作用で、より付
着力を増すので好ましい。但し、繊維の種類、または同
じ種類の繊維であってもその製造方法または染料または
染色方法によっては酸化チタンが付着し難いものがある
ため、それぞれ事前の確認は必要である。尚、各溶液を
繊維に付着させる方法は、前記の方法に関わらず、溶液
を変質させず且つ繊維が変質劣化せずに出来る限り均等
に塗布浸透し付着させる事が出来ればどの様な方法でも
良い。また、浸漬による場合で厚みのある繊維または繊
維内部に空気をため込むような繊維または撥水作用に類
似した性質を持つ繊維に浸透させようとすると、その内
部にまでは浸透させにくいため、溶液中でその繊維に揉
み込む様な断続的な圧力をかけ、空気等を押し出すよう
にして内部にまで吸い込むように浸透させれば良い。こ
の様にすると繊維内部の隅々にも溶液が浸透し、酸化チ
タン粒子が繊維と繊維の間に物理的にも付着するように
なると思われるので好ましい。
【0009】次に加熱乾燥の場合において、両溶液とも
その酸化チタン粒子は加熱する事により、より付着力を
増すため、出来る限り長時間、加熱する方が望ましいの
であるが、前述の記載の通り、温風または熱風による乾
燥は70〜90%で止め、完全乾燥させずにおく事が好
ましい。それは、温風または熱風にて完全乾燥までさせ
ると、繊維等および付着させる溶液濃度にもよるが、ほ
とんどの場合その繊維に撥水効果がでるため、繊維等に
よってはその製品としての機能を十分に果たす事が出来
なくなる事があるので、少し湿った状態の生乾きと言わ
れる状態において止めるものである。また、完全乾燥に
至るまで加熱する事により、繊維を劣化させてしまう恐
れもあり、それを防止するためでもある。それ故に、そ
れぞれの繊維等に応じた温度管理が必要かつ重要でもあ
る。
【0010】本発明において、使用する両水溶液は中性
であるので繊維に対して質の変化をほとんど与えずに使
用できるため、後加工により簡単に光触媒効果のある繊
維を得られるものである。また、両水溶液は常温乾燥で
も基体への付着力は十分にあり、且つPTAゾルはより
付着力のあるもので、その付着力を活用して製造するも
のである。更に、酸化チタン以外の不純物を含んでいな
い事により、少量でも光触媒効果を得る事ができるもの
で、その濃度または混合比率を変化させる事により、各
種用途に応じた撥水効果または吸水効果を併せ持つ光触
媒効果のある繊維等を製造する事が出来るものである。
【0011】両溶液ともその酸化チタン粒子は加熱する
事でより付着力を増すが、PTAゾルを単独またはTO
ゾルとの混合液で、PTAゾルの配合比率がおおむね5
5〜60%以上のものを塗布した繊維の場合には、温風
等で加熱乾燥すると自然乾燥と比べてより強い撥水作用
が生じるもので繊維によってはその製品としての機能を
十分に果たす事が出来なくなる事があるので、それぞれ
に応じた確認、調整が必要である。また、加熱する事に
より、繊維を劣化させてしまう恐れもあり、本発明にお
いては自然乾燥のみでも十分な付着力のある光触媒効果
のある繊維が得られるため、出来ればさける方が賢明で
ある。また、前記とは逆のTOゾルの配合比率をおおむ
ね55〜60%以上にしたものを塗布し乾燥させた繊維
の場合には、より吸水効果を併せ持つ光触媒効果のある
繊維が得られるものであるが、同じくそれぞれに応じた
確認、調整が必要である。
【0012】但し、より強い撥水効果も合わせて欲しい
場合、または必要な場合には、両溶液を加工しようとす
る繊維および期待する効果にあわせ、PTAゾルを単独
あるいはPTAゾルの比率をより大きくしたTOゾルと
の混合液を使用し、繊維を劣化させない範囲の温度にて
出来る限り長時間加熱し完全乾燥させる事により、より
強い撥水効果を持つ光触媒効果のある繊維も得る事が出
来るものである。但し、その逆の場合のTOゾルを単独
あるいはTOゾルの比率をより大きくしたPTAゾルと
の混合液を使用した場合には、加熱乾燥させても目視レ
ベルでの吸水効果はわずかに大きくなったと思われる程
度である。また、乾燥した繊維は湿った繊維より、同じ
加熱温度でも急激に質の変化を起こすので、完全乾燥さ
せる場合の温度管理は特に十分に行う事が必要である。
【0013】本発明に使用するPTAゾルはアモルファ
ス型の酸化チタンであり、金属、タイル、ガラス等の基
体に塗布乾燥させた場合には、250℃以上の温度にて
長時間加熱しないと光触媒効果のあるアナターゼ型の酸
化チタンに変化しないとされているものであるが、本発
明によれば、繊維等に塗布した場合にはアナターゼ型に
変化したと思われる光触媒効果を発揮するもので、本発
明はその効果をも活用したものであり、PTAゾル単独
使用の場合においても光触媒効果の有る繊維等が製造出
来るものである。但し、TOゾルと比較した場合には、
その効果は緩慢である。
【0014】本発明に使用する各溶液の濃度は、両溶液
とも2重量%程度を上限とし0.15重量%程度を下限
として使用するのが扱い易く経済的でもあり好ましい。
両溶液ともその濃度が2重量%を超えるとその濃度に応
じたゲル状の溶液となり、繊維に均一に塗布する事が困
難となるばかりか、付着した酸化チタンの膜厚が厚くな
りすぎるため、乾燥させるとその多くが剥離し易く、目
的とする光触媒効果を持つ製品が得られない事がある
上、使用した溶液が無駄になるからである。また、0.
15重量%以下だと、酸化チタン粒子量が少なく、分散
しすぎるため膜厚が薄くなり光触媒効果があまり期待で
きなくなるからである。
【0015】また、両溶液を混合する場合、その混合比
率は特にこだわる必要はなくそれぞれの用途に応じ期待
する光触媒効果およびその他の効果が得られる比率を選
択すれば良いのであるが、TOゾルの混合比率を40%
以下にすると、すすぎ洗い程度の洗濯であれば剥離しに
くい付着力の良い製品が得られる。但し、10%以下の
低濃度の場合には、即効的な光触媒効果はあまり期待で
きないので、それぞれの繊維および用途に応じた配合の
検討は必要である。
【0016】以上は、本発明に使用するTOゾルおよび
PTAゾルが、同じ製法および製造過程で造られる溶液
である事により、それぞれの相性が良く混合しても分離
せず溶液中に均等に分散され、且つその濃度および配合
比率に応じたそれぞれの持つ性質および特徴が素直に表
れるため、繊維に塗布した場合にその濃度に応じた粒子
量が付着し、その膜が作られると共に、その配合比率に
応じた付着力および光触媒効果を生じるからであると思
われる。以下に、本発明の繊維等が簡単に製造出来る事
と、その光触媒効果等を目視レベルで確認したものを記
載する。
【0017】
【発明の実施形態】本発明において、使用する両水溶液
は中性であるので繊維に対して質の変化をほとんど与え
ずに使用出来るため、後加工により自然乾燥にても簡単
に光触媒効果のある繊維等を得られるものである。ま
た、両水溶液は他の酸化チタンと比較した場合におい
て、常温乾燥でも基材への付着力は十分にあり、その付
着力を活用して加工するものであるが、より付着力を増
すためには加熱する事で得られるため、温風または熱風
にて乾燥させるものである。尚、両水溶液は水と酸化チ
タン以外のものを含んでいない事により、少量でも光触
媒の効果を得る事ができるので、その配合および濃度を
変化させる事により、あらゆる用途に応じた光触媒効果
のある繊維等を製造する事が出来るものである。
【0018】これらの水溶液を使用し、光触媒効果のあ
る繊維等を作成するのであるが、その加工する繊維等と
して一般に市販されている繊維等であれば何れも使用で
きるが、紙製品等についてはその乾燥時の収縮が激しい
ため製造時において付着させる方が望ましい。また、実
施例においては市販の綿、絹、麻、ウール、アクリル、
ポリエステル、ナイロン、レーヨンの各布製品をその一
例として使用したものを記載した。
【0019】それらの布を製造時等の汚れを事前に落と
すために洗濯機にて良く洗濯し自然乾燥させたものを使
用した。次にそれに付着させる溶液として、TOゾルお
よびPTAゾルの濃度をそれぞれ0.85重量%に調整し
た物を、それぞれ単独およびTOゾルの配合比率を40
%にしたPTAゾルと混合液を作成し、それぞれの繊維
等をその溶液に漬け込み、繊維全体に溶液が浸透する様
に溶液の中で揉み込む事により繊維等に浸透させ、余分
付着した溶液を除去した後、自然乾燥させる事で繊維等
を得た。
【0020】これは前記以外の繊維等にも共通して行え
る方法であるが、普通の布地よりタオル地の様な物の方
が浸透させやすかったものもあり、同種の繊維でも編み
方、織り方等による繊維密度の違いにより生じるものと
思われ、それぞれの繊維に合わせた方法を検討する必要
はあると思われる。尚、TOゾルの配合比率を40%に
した混合液を使用したのは、付着効率も良く光触媒効果
も十分に有り、且つ手によるすすぎ洗い程度においては
5回以上の繰り返し使用が出来、最も効率の良い配合で
あると思われると共に、混合使用する場合の一つの基準
と出来るからである。
【0021】繊維等に浸透させる溶液の量は、繊維等と
同じ重さから2倍程度の量を目安とするが、滴り落ちな
い程度の保水量であれば良く、使途に応じその量の調整
は必要である。尚、浸透させる量をその繊維等と同重量
から2倍程度の量としたのは、乾燥させるに当たり、そ
れ以上の量が付着していると多くの繊維等で溶液が偏り
滴り落ち、その溶液が余分な量であると共に無駄であ
り、そのまま乾燥すると酸化チタン粒子が偏った状態で
付着したまま乾燥し、均一な効果が得られなくなるため
である。また、それ以下の量の場合は、繊維全体に均等
に浸透していない状態であったり、繊維等全体に浸透さ
せた場合にはその繊維等をきつく絞る様な状態にしない
と調整出来ないため、同じく均一性を欠き易い。それが
繊維等と同重量から2倍程度の量であると、多くの場合
にその繊維等が飽和状態的に保水出来る量である事が多
く、均一的に浸透させる事が出来る上、溶液より取り出
した時の余分な溶液を除く調整をする場合に、軽く挟む
程度で済み均一的に粒子を付着させた効果にムラの少な
い繊維等が得られると共に、製造基準の一つとする事が
出来るからである。これらにより本発明の繊維を得たも
のである。
【0022】本発明において化繊の場合で多く見受けら
れたものであるが、その種類または同じ種類であっても
撥水性があり、溶液をはじいてしまい付着効率の良くな
い物があるので事前の確認が必要である。その場合にお
いては、同じ浸漬方法で数回に渡り溶液にゆっくりと出
し入れするデイッピングと同様の方法で漬け込む事で、
付着させる事が出来るものである。また、同質の繊維で
あっても染色された色の違いにより同じく付着効率の良
くない物があるので、同じく事前の確認の上それぞれに
応じた調整が必要である。これらは製造方法または染料
または染色方法の違いにより起こるものと思われる。こ
の様な場合においては、それぞれの繊維または溶液を変
化、変質しない程度に適度に予熱しておくと付着し易く
なり、効率的である。本発明においては繊維等をドライ
ヤーの温風にて暖める事で予熱し付着し易くさせた。こ
れは予熱する事により繊維が柔軟になると共に付着した
溶液の水分が早く乾燥し、より溶液の粘度が増し酸化チ
タン粒子が付着し易くなるためと思われる。尚、溶液濃
度を上げる事で同様に付着効率を上げる事が出来るが、
前述の様に付着量が多く膜厚が厚くなり剥離し易くなる
ので、この方法で行う場合には濃度および付着量等の製
造管理を十分に行う必要がある。
【0023】次に、スプレーにより作成する場合には、
前述の浸漬方法の場合と同じ様にその繊維等に塗布浸透
する様に溶液を吹き付ければ良いのであるが、その繊維
等が糸または薄い布の場合はあまり問題はないが、厚み
のある布の場合にはその繊維全体に浸透させることが難
しいため、十分にその方法等の検討が必要である。その
他、付着の良くない繊維の場合等においては浸漬方法に
倣い予熱する事で対処すれば良くなるが、本方法はどち
らかというと布表面の塗布に適している方法であり、布
の片面のみに効果を期待したい場合の処理、または使い
捨て使用等の製品の製造に向いている方法である。尚、
毛羽立った繊維の場合には厚みに関わらず溶液をはじき
易いので、同じく事前の確認検討が必要である。また、
それ以外にも吹き付ける圧力、空気量、基体までの距離
によりその浸透させられる量が違うため、併せての確認
が必要である。本発明においては圧力が0.3MPaで
空気量が毎分20リットルのコンプレッサーでノズル径
が1mmのスプレーガンを使用し、適宜調整をしながら
吹き付け、本発明の繊維を得た。
【0024】
【実施例】前述の浸漬方法により作成した白色の各種繊
維製品を供試体とし、未処理の同じ繊維製品を対照とし
て、それぞれの光触媒効果の有無を目視により確認する
ため、それぞれ3枚ずつ作成し、パイロット社製のIN
K30Rの赤インクを30倍に薄めた物を、それぞれ布
の表面にスプレーにて直径5cm程度の大きさに均等に
塗布し(0.5cc)、直射日光に当てそのインクの分
解効果の目視レベルで確認した実験を行った。
【0025】その結果、各供試体ともほとんど同じ様に
分解が始まり、TOゾルを塗布した物が一番早くそれぞ
れ15〜20分程度で、PTAゾルおよび混合液のもの
はそれぞれ20〜25分程度で、それぞれわずかなイン
クかすと思われる跡を残して分解した。但し、PTAゾ
ルを単独で使用した物はその跡の色がわずかに濃いもの
であった。また、その後1時間程度放置する事で、それ
ぞれそのインクかすと思われるものもほとんど分解し見
えなくなったものである。片や対照の方は1時間経過し
ても、紫外線による分解と思われる程度のわずかに薄く
分解した程度で、2時間経過後もその半分程度が分解さ
れただけであった。これはそれぞれ3枚共ほぼ同じ結果
であった。
【0026】これらの結果から、それぞれの繊維等に光
触媒効果の有る事が分かると共に、PTAゾルの酸化チ
タンはアモルファス型からアナターゼ型に変化したと推
測出来るものである。その後、供試体および対照の各繊
維等をそれぞれ水で手もみ洗いをし、その乾燥後に同じ
実験をすると、洗濯前より分解効率が落ち少しばらつき
はあったが、供試体はそれぞれ30〜40分程度で同じ
様に分解を終えた。しかし、対照は洗濯前とほとんど変
りはなかった。尚、TOゾルもPTAゾルも同様の時間
で分解をした事により、TOゾルのみの付着力は他のゾ
ルより良くない事が推測出来るものであるが、本配合比
率における混合液およびPTAゾルのみで作成した供試
体においては、もみ洗い程度では酸化チタン粒子は十分
に付着している事も判断出来るものである。
【0027】(参考例)参考として、供試体の綿布を使
用し、繰り返し使用出来る目安としての洗濯回数の確認
実験を行ったもので、その結果は次の通りであった。初
めに確認に使用した溶液濃度、配合は、それぞれ0.8
5重量%でそれぞれ単独および両用液を均等配合したも
の、およびPTAゾルを40%および60%にしたもの
を使用し、それぞれの溶液による綿布の供試体を作成
し、手による揉み洗いおよびすすぎ洗いにてその付着力
の差の確認を前述と同じインクの分解実験により行っ
た。それぞれ洗濯前の分解時間は、TOゾルは15分程
度で、その他はほぼ同じで20〜25分程度で分解した
ものであるが、揉み洗いにおいては、TOゾルのみの場
合1回目の洗濯後においてはその分解時間は40分前後
となり、2回目には90分前後、3回目以降では120
分以上かかってもまだインクが薄く分かる程度に残って
いた。均等配合およびPTAゾルが40%の場合、1回
目の洗濯後においてはその分解時間は40分前後とな
り、2回目には60分前後、3回目においては80分前
後となり、4回目以降では90分以上かかってもまだイ
ンクが薄く分かる程度に残っていた。次に、PTAゾル
のみおよび60%の場合には、1回目の洗濯後において
は35分前後となり、2回目45分前後、3回目60分
前後、4回目75分前後、5回目95分前後、6回目で
は100分以上かかっても同じくインクが薄く分かる程
度に残っていた。
【0028】すすぎ洗いにおいては、TOゾルのみの場
合1回目の洗濯後においてはその分解時間は35分前後
となり、2回目には50分前後、3回目80分前後、4
回目以降では90分以上かかってもまだインクが薄く分
かる程度に残っていた。均等配合およびPTAゾルが4
0%の場合にはそれぞれほぼ同じ様な結果で、1回目の
洗濯後においては30分前後となり、2回目45分前
後、3回目50分前後、4回目60分前後、5回目80
分前後6回目には90分以上かかっても同じくインクが
薄く分かる程度に残っていた。
【0029】PTAゾルのみおよび60%の場合には、
1回目の洗濯後においては30分前後となり、2回目3
5分前後、3回目45分前後、4回目55分前後、5回
目70分前後、6回目85分前後、7回目で100分程
度以上かかっても同じくインクが薄く分かる程度に残っ
ていた。これらの結果によりPTAゾルとTOゾルの付
着力の違いが推測出来るものであるが、目視レベルおよ
び手洗いにての実験のため厳密なものではなく目安と出
来る程度であるが、少なくともPTAゾルの付着力の良
さと、手洗い程度の洗濯では3〜5回程度の繰り返し使
用の出来る事も分かるものである。
【0030】但し、洗濯機での5分間のすすぎ洗いで
は、手によるすすぎ洗いよりその効果はずいぶんと落
ち、PTAゾルのみおよびPTAゾルが60%の繊維の
場合は50分程度以上かかり、その他の場合には1回目
の洗濯でその分解時間は90分程度以上かかった。ま
た、洗剤を使用するとそれぞれ未処理の物よりわずかに
分解効率がよい程度の分解であり、粒子の多くが剥離し
た事が判断出来るものであった。
【0031】
【発明の効果】本発明の、特許番号2875993によ
り製造された光触媒効果を持つアナターゼ分散液、およ
びその製造過程において得られるペルオキソチタン酸溶
液を使用する事により、今まで製造しにくかった光触媒
効果のある繊維等を特別な設備を要せずに既存の設備で
も簡単に製造でき、従来の製造方法と比較して、光触媒
効果のある繊維等を安価で供給する事が出来る様にな
る。また、本発明によると250度以上の高温にて長時
間加熱しないと光触媒効果を生じないとされるアモルフ
ァス型の酸化チタンであるペルオキソチタン酸溶液も、
繊維に付着させ自然乾燥させるだけでも光触媒効果を生
じるものであり、各種用途に利用応用出来るものであ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特許番号2875993により製造され
    た光触媒効果を持つアナターゼ分散液、およびその製造
    過程において得られるペルオキソチタン酸溶液を単独ま
    たは配合したものを、後加工でバインダーを使用せず
    に、パルプを含む天然繊維および化学繊維に、常温から
    繊維を劣化させない温度にて、染加工と同様の方法、ま
    たはスプレー等により吹付ける方法により、繊維表面に
    均等に塗布、浸透させた後、それを温風または熱風、お
    よび常温程度の冷風または自然乾燥にて乾燥させて得ら
    れる、光触媒効果のある酸化チタン粒子を付着させた繊
    維、およびその製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002129469A (ja) * 2000-10-16 2002-05-09 Kenichi Yamanaka アモルファス型酸化チタンを使用した光触媒効果のある繊維製品

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002129469A (ja) * 2000-10-16 2002-05-09 Kenichi Yamanaka アモルファス型酸化チタンを使用した光触媒効果のある繊維製品

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