JP2000312706A - 蒸気加熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸気発生量の低下を防止し、加熱室の室壁の
温度低下を防止すると共に、省エネルギーを実現できる
蒸気加熱装置を提供する。 【解決手段】 室壁１に蒸気供給空間部２を備えた加熱
室３と、蒸気供給空間２へ蒸気を供給する蒸気発生器４
と、蒸気発生器４にて発生の蒸気を蒸気供給空間２へ導
く蒸気導入路と、蒸気供給空間２にて生成されたドレン
を蒸気発生器４へ還流するドレン還流路とを備えたこと
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、室壁に蒸気供給空
間部を備えた加熱室と、前記蒸気供給空間へ蒸気を供給
する蒸気発生器とを備えた蒸気滅菌装置等の蒸気加熱装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種蒸気滅菌装置においては、
蒸気発生器の蒸気は、蒸気供給空間部へ供給され、加熱
室壁の加熱に使用されて、この加熱により凝縮されてド
レンとなる。このドレンは、蒸気トラップにて受けられ
た後、装置外へ排出されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】その結果、従来装置に
おいては、高温のドレンが捨てられることとなり、エネ
ルギーの損失を招いていた。この問題を解決すべく、発
明者らは、蒸気空間部と蒸気発生器との管を単管にて接
続し、この単管を利用して蒸気の供給とドレンの戻りと
を実現しようと試みた。しかしながら、蒸気発生器から
の上昇流が大きいために、蒸気供給空間部内で発生した
ドレンが単管を通して戻らず、蒸気供給空間部内に多量
に蓄積される。その結果、ドレンの戻りが悪いことによ
り、蒸気発生量が低下すると共に、加熱室の室壁温度が
低下することが判明した。本発明は、こうした課題を解
決する、すなわち蒸気発生量の低下を防止し、加熱室の
室壁の温度低下を防止すると共に、省エネルギーを実現
できる蒸気加熱装置を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、室壁に蒸気供給空間部を備えた加熱室と、前記蒸気
供給空間部へ蒸気を供給する蒸気発生器と、前記蒸気発
生器にて発生の蒸気を前記蒸気供給空間部へ導く蒸気導
入路と、前記蒸気供給空間部にて生成されたドレンを前
記蒸気発生器へ還流するドレン還流路とを備えたことを
特徴とし、

【０００５】また、請求項２に記載の発明は、請求項１
において、前記蒸気発生器が加熱室の下方に配設され、
前記蒸気導入路及びドレン還流路が前記蒸気発生器およ
び蒸気発生器間を連通する二重管から構成されることを
特徴とする。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明は、室壁にこの室壁加熱用
の蒸気供給空間部を備えた加熱室と、前記蒸気供給空間
部へ蒸気を供給する蒸気発生器とを備えた蒸気加熱装置
において実現される。そして、前記蒸気発生器にて発生
の蒸気を前記蒸気供給空間部へ導く蒸気導入路と、蒸気
供給空間部にて生成されたドレンを蒸気発生器へ還流す
るドレン還流路とを設けることで、蒸気供給空間部にて
凝縮、生成されるドレンを多量に滞留させることなく、
蒸気発生器へ効率良く還流させる。

【０００７】以下に、この実施の形態を詳細に説明す
る。前記加熱室は、前記室壁を二重壁構造、すなわち、
内壁と外壁とで構成し、この両壁間を蒸気供給空間部と
する。この二重壁により蒸気供給空間部を形成するに際
しては、加熱室の室壁の全周に形成する必要はなく、一
部に形成することもできる。この加熱室の前面など適所
には、被加熱物を出し入れするための開口が形成され
る。前記蒸気発生器は、水を貯留する容器と前記水を直
接的または間接的に加熱して蒸気化する電気ヒータなど
の加熱手段とからなる。

【０００８】前記蒸気供給路は、前記蒸気発生器と蒸気
供給空間部とを連絡し蒸気発生器の蒸気を蒸気供給空間
部へ供給するための通路であり、例えば管部材により構
成される。前記ドレン還流路は、前記蒸気供給空間部と
蒸気発生器を連絡し、蒸気供給空間にて生成されたドレ
ンを蒸気発生器へ還流させるための通路であり、例えば
管部材にて構成される。

【０００９】以上の構成により、前記蒸気供給空間部内
で発生したドレンは、蒸気供給空間部内に多量に蓄積さ
れることなく、効率よく蒸気発生器に戻される。その結
果、ドレンの戻りが悪いことにより生ずる蒸気発生量の
低下や、加熱室の室壁温度の低下が低減される。また、
蒸気供給空間部にて生成されるドレンは、捨てられるこ
となく、蒸気発生器に戻され、再利用されるので、エネ
ルギーの節減となる。

【００１０】前記蒸気加熱装置は、蒸気滅菌装置として
実現できるが、その他類似の加熱構造を有する食品加熱
装置などとして実現できる。前記蒸気供給路とドレン還
流路とは完全に分離独立した通路として構成できるが、
後記の実施例にて説明するように、一体的に構成するこ
ともできる。前記蒸気発生器の蒸気を前記蒸気供給空間
部のみならず、加熱室内にも供給するように構成でき
る。そうした場合、蒸気供給空間にて生成されるドレン
に鉄錆を含むと、これが加熱室内に供給されることとな
り、望ましくない。この場合、蒸気供給空間部、蒸気供
給路、ドレン還流路および蒸気発生器の容器の内面にて
錆が発生しないように、少なくとも、それらの内面をス
テンレスなどの水により錆を発生しない耐食性材料にて
形成することが望ましい。この防錆対策においては、内
面だけでなく全体を耐食性材料にて作成することができ
る。また前記加熱手段としては、誘導加熱手段を用いる
こともできる。

【００１１】さらに、本発明の実施の形態として、次の
ものを含む。 (1) 前記蒸気発生器から前記蒸気供給空間部へ供給した
蒸気を前記加熱室の内壁内側へ供給する構成の蒸気加熱
装置。 (2) 前記蒸気発生器から前記加熱室の内壁内側へ直接蒸
気を供給する構成の蒸気加熱装置。

【００１２】

【実施例】本発明の実施例を以下に図に従い説明する。
図１は、同実施例の概略構成図、図２は，同実施例の要
部拡大断面図である。図に示す実施例は、蒸気滅菌装置
である。図１において、室壁１に蒸気供給空間部２を備
えた加熱室３と、蒸気供給空間部２へ蒸気を供給する蒸
気発生器４とを備えている。蒸気供給空間部２は、室壁
１を内壁５と外壁６との二重壁構造とすることで構成し
ている。この加熱室３の前面には、被加熱物としての被
滅菌物（図示省略）を出し入れするための第一開口７が
形成される。この第一開口７は、蓋（図示省略）により
開閉される。

【００１３】前記蒸気発生器４は、加熱室３の下方に配
設され、水を貯留する容器８と、この水を直接的に加熱
して蒸気化する電気ヒータ９、容器８内水位を検出する
水位検出器１０を備える。前記容器８は上下端開放の円
筒状部材（符号図示省略）とこの上下端を覆う上下蓋部
材（符号図示省略）とから構成される。

【００１４】前記加熱室３と蒸気発生器４との間には、
蒸気発生器４にて発生の蒸気を蒸気供給空間部２へ導く
蒸気導入路の機能と、蒸気供給空間部２にて生成された
ドレンを蒸気発生器に還流するドレン還流路の機能とを
なす連通路１１が形成されている。

【００１５】この連通路１１は、図２にその詳細を示す
ように、前記容器８の上面に形成の第二開口１２と前記
室壁１の下面壁である外壁６に形成した第三開口１３と
を接続する外側管路１４と、この外側管路１４内に配設
される内側管路１５とから構成される。

【００１６】前記外側管路１４は、２つの第一部材１６
と第二部材１７とから構成される。第一部材１６の上端
は、前記第三開口１３に結合、固着され、下端には第一
接続フランジ１８が設けられる。第二部材１７の下端は
前記第二開口１２に結合、固着され、上端には前記第一
フランジ１８に接合され、着脱自在に固定される第二フ
ランジ１９が設けられる。

【００１７】前記内側管路１５は、一つの管にて構成さ
れ、外側管路１４内にほぼ同心状に配置させるように、
三点支持用の上支持部材２０にて第二部材１７に固定さ
れ、同じく三点支持用の上支持部材２１にて容器８に固
定されている。以上の構成により、第一フランジ１８と
第二フランジ１９とを互いに接合し、ボルト、ナットな
どの固着手段（図示省略）により結合すると、蒸気発生
器４が連通路１１を介して加熱室３に連結固定される。
なお、内側管路１５と外側管路１４とは非同心状に配置
することができる。

【００１８】この連結状態において内側管路１５の上端
が前記外壁５とほぼ同じ高さ、より好ましくは外壁５の
上面より上方に位置するように、内側管路１５の高さを
設定する。こうすることで、内側管路１５内を流通する
蒸気により、前記外壁５から第一部材１６の内面に沿っ
てのドレンの流下を妨げず、ドレンは円滑に流下する。

【００１９】この実施例においては、前記内壁５、外壁
６、外側管路１４、内側管路１５、容器８はすべて耐食
性材料であるステンレスにて構成されている

【００２０】図１を参照して、前記蒸気発生器４への給
水手段は、給水タンク２２と、給水ポンプ２３および逆
止弁２４を備えた給水管路２５にて構成され、水位検出
器１０の検出信号を入力する制御器（図示省略）により
給水ポンプ２３を制御することで、容器８内の水位を所
定水位に保持する。

【００２１】前記加熱室３には、前記蒸気供給空間部２
の蒸気を加熱室３の内壁５の内側内へ供給する蒸気供給
路２６を備え、この蒸気供給路２６にはその蒸気供給、
停止を制御する制御弁２７を備えている。２８は、蒸気
およびドレンの排出路で、適所に制御弁(図示省略）を
備えている。

【００２２】以上の構成の実施例の動作を説明する。前
記容器８内の水は前記電気ヒータ９にて加熱され、発生
した蒸気は主として前記内側管路１５を上昇して、前記
蒸気供給空間部２へ流れ込む。流れ込んだ蒸気は、内壁
６を加熱する。その結果、凝縮してドレンとなり、外壁
５の内面を経て外側管路１４の第一部材の内面を伝わっ
て流下する。その際、内側管路１５を蒸気が流れるの
で、蒸気供給空間部２と容器８内との圧力差がほとんど
なくなる結果、ドレンの流下が円滑に行われる。尚、内
側管路１４を設けない場合は、全周吹き上げとなり、ド
レンの流下が妨げられることが実験によって確認されて
いる。

【００２３】上記実施例によれば、前記蒸気供給空間部
２内で発生したドレンは、蒸気供給空間部２内に多量に
蓄積されことなく、効率よく蒸気発生器４へ戻される結
果、ドレンの戻りが悪いことにより生ずる蒸気発生量の
低下や、加熱室１の室壁温度の低下を低減することがで
きる。また、ドレンの円滑な還流により、前記容器８内
の水位をほぼ一定に保つことができるので、蒸気の乾き
度が一定となり、蒸気供給空間部２を経て前記内壁５内
へ供給する蒸気の乾き度もほぼ一定にでき、容器８内の
水に含まれる不純物の被滅菌物への付着を防止できる。

【００２４】さらに、ドレンが蒸気発生器４に円滑に還
流して再利用されるので、ドレンをそのまま廃棄してい
た従来例と比較して、エネルギーの損失を少なくでき
る。また、前記内壁１、外壁５、外側管路１４、内側管
路１５、容器８はすべて耐食性材料であるステンレスに
て構成しているので、鉄製材料で構成しているものにお
いてドレンを再利用することにより発生する不都合を回
避できる。

【００２５】

【発明の効果】前記の如く構成される本発明によれば、
蒸気発生量の低下を防止し、加熱室の室壁の温度低下を
防止すると共に、省エネルギーを実現できる蒸気加熱装
置を提供できるなど多大なる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の一実施例の概略構成図であ
る。

【図２】図２は、同実施例の一部破断の要部拡大断面図
である。

【符号の説明】

２ 蒸気供給空間部 ３ 加熱室 ４ 蒸気発生器 １４ 外側管路（ドレン還流路） １５ 内側管路（蒸気供給路）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 室壁に蒸気供給空間部を備えた加熱室
   と、前記蒸気供給空間部へ蒸気を供給する蒸気発生器
   と、前記蒸気発生器にて発生の蒸気を前記蒸気供給空間
   部へ導く蒸気導入路と、前記蒸気供給空間部にて生成さ
   れたドレンを前記蒸気発生器へ還流するドレン還流路と
   を備えた蒸気加熱装置。
2. 【請求項２】 前記蒸気発生器が加熱室の下方に配設さ
   れ、前記蒸気導入路及びドレン還流路が前記蒸気発生器
   および蒸気発生器間部を連通する二重管から構成される
   ことを特徴とする請求項１に記載の蒸気加熱装置。