JP2000310346A - 温水供給装置用の温度制限安全逃がし弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 温水供給装置の容器内部の温水が過熱され，
加熱蒸気温度と同じ１００℃を超えると，万一容器が破
壊した場合に蒸気爆発の大災害が発生する危険がある。
本発明による信頼性の高い温度制限安全逃がし弁を容器
に取り付けて，容器内温水の温度が絶えず１００℃未満
に保持され，万一容器本体が破壊しても，熱水の自己蒸
発による蒸気爆発の大災害の発生を防止しようとするも
のである。 【解決手段】 貯湯層や温水ボイラの頂部に温水供給装
置用の温度制限安全逃がし弁を取り付けて，温水の一部
でも１００℃未満の所定の一定温度まで上昇したら，逃
がし弁セット２，３，４の可溶金属３が溶解し，逃がし
弁４を内圧により確実に押し上げて，容器内の温水を大
気に開放し，容器内の温水圧力を下げるとともに，万一
貯湯槽や温水ボイラが破壊することがあっても，熱水の
自己蒸発による蒸気爆発の大災害の発生を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】温水供給装置である貯湯槽や
温水ボイラなどの容器本体の頂部に，本発明の温度制限
安全逃がし弁を取り付けて，容器内の温水温度を絶えず
大気圧における水の沸騰点の１００℃未満の所定温度以
下に制限することで，万一容器が破壊しても熱水の自己
蒸発による蒸気爆発の大災害の発生を防止する。

【０００２】

【従来の技術】従来すでに溶解栓，可溶栓は使用されて
いるが，ボイラでは炉筒や火室の頂部に取り付けておい
て，ボイラの燃焼中に水位が異常に低下した場合いわゆ
る空ガマ事故を防止する目的のものは使用されていた
が，ボイラの高性能化にともない十分な効果を期待でき
ないことや，最近の電子制御技術の進歩にともない，現
在は利用されなくなっている。また冷凍装置にも可溶栓
の発明考案事例はあるが，加圧方式の温水供給装置（貯
湯槽や温水ボイラ）については，発明考案や使用されて
いる事例は見聞していない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の温度制限安全
逃がし弁を，容器の頂部に取り付けて，容器内の水の温
度が水の大気圧における沸騰点の１００℃以上に上昇し
ないようにして，容器が破壊するようなことがあって
も，容器内の熱水の自己蒸発による蒸気爆発の大災害の
発生を防止する。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め，例えば本発明の温度制限安全逃がし弁は，逃がし弁
（４）の外側と逃がし弁保持金具（２）の内側の間に可
溶金属（３）を溶着させておいて，内部の温水が１００
℃未満で，かつ所定の温度以上に上昇した場合に，その
可溶金属が溶解し，温水の圧力で逃がし弁（４）を押し
上げて，温水を大気に開放して逃がし，温水が大気圧に
おける沸騰点以上に上昇しないようにする。

【０００５】温度制限安全逃がし弁を温水供給装置に取
り付ける位置は，容器内の温水が一番高温になる容器の
頂部とする。温度制限安全逃がし弁を取り付ける場合に
は，容器本体の頂部に残る空気を，水はり時などに外部
に放出してから組立てて，残留空気によるトラブルを防
止する。

【０００６】温度制限安全逃がし弁には，ケーシング
（１）の逃がし管取付口（６）の入口に，金属製濾過網
（１０）を取付け，図（１），図（２）のように逃がし
管（７）をねじ込むことでケーシングに固定し，逃がし
弁（４）が作動しても逃がし弁（４）が逃がし管に流れ
込まないようにする。

【０００７】

【発明の実施の形態】温度制限安全逃がし弁の組立は，
逃がし弁セット（２＋３＋４）を逃がし弁保持金具
（２）に設けた周方向４箇所の回し穴（２ａ）２個と逃
がし弁保持金具ねじ込み工具（図３）を使って，容器本
体の補強環（５）にねじ込み，次にケーシング（１）を
逃がし弁保持金具（２）にねじ込んで取り付ける。ケー
シング（１）に漏れ知らせ穴（８）が設けてある時は，
漏れ検知ボルト（９）を逃がし弁保持金具（２）のケー
シング取付けねじ部までねじ込んでおく。

【０００８】逃がし弁（４）の外径は，温水供給装置へ
の給水管の内径よりも大きくする。

【０００９】貯湯槽に温度制御安全逃がし弁を取り付け
る場合には，弁出口の逃がし管取付口（６）に温水供給
装置への給水管の内径よりも大きな内径の逃がし管
（７）を設けて，給湯タンクあるいは補給水タンクに接
続しておき，配管の途中に点検用の漏れ知らせ窓と，温
度高感知の警報器を設けて管理室で漏れを直ちに発見で
きるようにしておき，万一逃がし弁が作動した場合には
貯湯槽への加熱蒸気の供給を止める。中規模以上の温水
ボイラでは，貯湯槽に準じて配管し，異常発生の場合に
は燃焼を停止し，または電気ヒーターの電源を遮断す
る。

【００１０】小規模温水ボイラに設ける逃がし管は，そ
の先端を排水ピットに導いて，漏れなどの異常の点検を
行い易くし，逃がし弁が作動した場合に床面が水びたし
にならないように配管する。異常発生の場合はボイラを
停止する。

【００１１】逃がし管（７）の配管途中には止め弁を取
り付けてはならない。また給湯管や逃がし管の温水を利
用する配管の場合は，途中には配管用のストレーナを設
けて，可溶金属が給湯先に流出するのを防ぐ。

【００１２】温度制限安全逃がし弁を点検整備をする場
合には，組立てる場合の逆順に漏れ検知ボルト（９）を
外し，ケーシング，逃がし弁保持金具の順に分解する。

【００１３】温度制限安全逃がし弁は，可溶金属の自然
劣化による機能の劣化を考慮して，毎年１回以上はケー
シング（１）と逃がし弁セット（２＋３＋４）を開放し
て，腐蝕や漏れなどの異常の有無を点検し，特に可溶金
属（３）の変質などの異常の有無に注意する。逃がし弁
セットは，通常３年程度に１回，長くても５年に１回は
更新する。

【００１４】

【発明の効果】本発明の温水供給装置用の温度制限安全
逃がし弁を，温水供給装置に取り付けることにより，容
器内の温水を大気圧における沸騰点１００℃未満でかつ
所定の温度以下に絶えず保持することで，万一温水供給
装置の容器が破壊しても，容器内の熱水の自己蒸発によ
る蒸気爆発の大災害の発生を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】貯湯槽用の温度制限安全逃がし弁組立図

【図２】小規模温水ボイラ用の温度制限安全逃がし弁組
立図

【図３】逃がし弁保持金具ねじ込み工具

【符号の説明】

１・・・ケーシング ２・・・逃がし弁保持金具 ２ａ・・回し穴 ３・・・可溶金属 ４・・・逃がし弁 ４ａ・・押し上げられた逃がし弁 ５・・・容器本体の補強環 ６・・・逃がし管取付口 ７・・・逃がし管 ８・・・漏れ知らせ穴 ９・・・漏れ検知ボルト １０・・・金属製濾過網 １１・・・Ｏリング

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】本発明による温度制限安全逃がし弁は，温
   水供給装置の容器内の温水が絶えず１００℃以上になら
   ないように保持することで，容器の破壊により熱水の自
   己蒸発による蒸気爆発の大災害の発生を防止することを
   目的とするもので，逃がし弁（４）とその外側の逃がし
   弁保持金具（２）の間に可溶金属（３）を溶着させて組
   立てた逃がし弁セット（２＋３＋４）を組み込んだ温度
   制限安全逃がし弁を，温水供給装置の容器の頂部に取り
   付けて，内部の温水が過熱され，水の沸騰点１００℃未
   満で所定の温度を超えようとする場合に，可溶金属
   （３）が溶解して，温水の圧力で逃がし弁（４）が持ち
   上げられ，温水を大気に開放し，温水の温度を絶えず水
   の沸騰点以下に保持して熱水の自己蒸発による蒸気爆発
   の発生をを防止し，かつ温水を大気に放出することで，
   容器内の温水の圧力を下げて安全を保持する。