JP2000310143A - 内燃機関の吸入空気量制御装置 - Google Patents

内燃機関の吸入空気量制御装置

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JP2000310143A
JP2000310143A JP11987099A JP11987099A JP2000310143A JP 2000310143 A JP2000310143 A JP 2000310143A JP 11987099 A JP11987099 A JP 11987099A JP 11987099 A JP11987099 A JP 11987099A JP 2000310143 A JP2000310143 A JP 2000310143A
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learning
air
engine
fuel ratio
intake air
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JP11987099A
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Atsushi Takahashi
淳 高橋
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Toyota Motor Corp
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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】所定の機関運転状態にあって空燃比のフィード
バック制御が行われる場合であれ、上記基準スロットル
開度のずれ量についての学習をより的確ならしめ、それ
に基づくより精度の高い吸入空気量制御を可能とする内
燃機関の吸入空気量制御装置を提供する。 【解決手段】均質ストイキ燃焼を維持するために空燃比
のフィードバック制御が行われるエンジン11のアイド
ル運転時に、スロットルバルブ23の開度について、基
準スロットル開度Tbに対する実際のスロットル開度T
rのずれ量をスロットル学習値ΔTgとして学習する。
このスロットル学習値ΔTgの学習の際、空燃比フィー
ドバックの制御ゲイン(積分量及びスキップ量)は非学
習時に比べて小さな値とされる。そして、このスロット
ル学習値ΔTgに基づきスロットルバルブ23の開度が
補正され、吸入空気量の制御が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の吸入空
気量制御装置に関するものであり、特に運転状態に応じ
て燃焼方式を適宜切り換える内燃機関にあってその吸入
空気量を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用エンジン等の車載内燃
機関では、吸気通路を介して燃焼室内に吸入される空気
と、燃料噴射弁から噴射される燃料とを混合して混合気
を形成し、その混合気を燃焼室内で燃焼させることで駆
動力を得ている。こうした内燃機関の吸気通路には、燃
焼室に吸入される空気の量を調整するためのスロットル
バルブが設けられている。このスロットルバルブは、自
動車のアクセルペダルの踏込量に応じて開度調節され
る。そして、アクセルペダルの踏込量に応じてスロット
ルバルブの開度が調節され、燃焼室へ吸入される空気の
量が調整されることにより、燃焼室へ充填される混合気
の量が変化し、内燃機関の出力が調整されるようにな
る。
【0003】また、近年、自動車用の内燃機関において
は、燃費を向上させること及び十分な機関出力を得るこ
との両立を図るために、機関運転状態に応じて燃焼方式
を切り換えるタイプの内燃機関が提案され、実用化され
ている。
【0004】こうしたタイプの内燃機関は、低回転低負
荷になるほど、例えば「均質ストイキ燃焼」→「均質リ
ーン燃焼」→「弱成層燃焼」→「成層燃焼」のように、
順次リーン側の空燃比にて燃焼可能な燃焼方式へと切り
換えられる。これは、高出力が要求される高回転高負荷
になるほどリッチ側の空燃比にて燃焼可能な燃焼方式を
実行して十分な出力を得るとともに、あまり高出力が要
求されない低回転低負荷になるほどリーン側の空燃比に
て燃焼可能な燃焼方式を実行して燃費向上を図るためで
ある。
【0005】ここで、「均質ストイキ燃焼」において
は、例えば内燃機関の吸気圧及び機関回転数に基づき燃
料噴射量が算出され、同噴射量に対応した量の燃料が噴
射供給されることで、内燃機関の吸入空気量に対応した
燃料噴射が行われるようになる。こうして吸入空気量に
対応した量の燃料噴射が行われることにより、燃焼室内
の混合気が理論空燃比に維持される状態(ストイキ)で
燃焼が行われるようになる。
【0006】また、上記「均質リーン燃焼」、「弱成層
燃焼」、及び「成層燃焼」など、理論空燃比よりもリー
ン側の空燃比での混合気の燃焼(希薄燃焼)において
は、アクセルペダル踏込量に対するスロットルバルブの
開度が上記「均質ストイキ燃焼」に比べて開き側の値に
設定される。さらに、これら希薄燃焼においては、アク
セルペダル踏込量及び機関回転数に基づき燃料噴射量が
算出され、同噴射量に対応した量の燃料が噴射供給され
る。こうしたスロットル開度制御及び燃料噴射制御が行
われることにより、燃焼室内に形成される混合気の空燃
比は理論空燃比よりもリーン側の値になる。
【0007】ところで、上記「均質ストイキ燃焼」時に
おいては、空燃比を理論空燃比に維持するために、いわ
ゆる空燃比のフィードバック制御が行われる。この空燃
比フィードバック制御は、排気の酸素濃度に基づき燃料
噴射量の補正係数を算出し、この補正係数に基づく燃料
噴射量のフィードバック補正により上記混合気の空燃比
を理論空燃比に維持するものである。こうして空燃比を
理論空燃比へとフィードバック制御することで、混合気
の燃焼後に生じる排気の触媒による浄化効率を高めてい
る。
【0008】次に、上記「均質ストイキ燃焼」時の空燃
比フィードバック制御について、図10〜図12を参照
して説明する。なお、このフィードバック制御は、内燃
機関の運転状態を制御する電子制御ユニットの指令に基
づき行われる。
【0009】図10は、空燃比フィードバック制御の手
順を概略的に示すフローチャートである。また、図11
は、内燃機関の排気通路に設けられて排気中の酸素濃度
を検出する酸素センサからの出力信号、及び後述するフ
ィードバック補正係数FAFの時間経過に対する推移を
示すタイムチャートである。また、図12は、フィード
バック補正係数FAFの算出に用いられる制御ゲインで
ある積分量(KiL,KiR)及びスキップ量(RsL,
RsR)についてその概念を示すタイムチャートであ
る。なお、上記酸素センサは理論空燃比の前後でその出
力(電圧)が急変する特性を有している。
【0010】この空燃比フィードバック制御の実行に際
し、電子制御ユニットはまず、図10に示されるステッ
プS301において、内燃機関の吸入空気圧PMを検出
する吸気圧センサ及び同機関の回転数NEを検出するた
めの回転数センサからの信号を読み込み、予め作成され
たこれら吸入空気圧PM及び回転数NEと基本燃料噴射
量Qbseとの関係を示すマップから基本燃料噴射量Qbse
を求める。なお、このマップは、例えば電子制御ユニッ
ト内に設けられた適宜のメモリに記憶されている。
【0011】続くステップS302において、電子制御
ユニットは、上記基本燃料噴射量Qbseを補正するフィ
ードバック補正係数FAFを算出する。以下、このフィ
ードバック補正係数FAFについて図11を参照して説
明する。
【0012】このフィードバック補正係数FAFは、空
燃比を理論空燃比へと近づけるフィードバック補正に用
いられ、図11(a)及び(b)に示されるように、上
記酸素センサからの出力信号の推移に対応して「1.
0」を基準に変化する。ちなみに、酸素センサからの出
力信号は、図11(a)に示されるように、混合気の空
燃比が理論空燃比よりもリッチ側であったときには同理
論空燃比に対応した基準値Kよりも大きい値になり、逆
に同混合気の空燃比が理論空燃比よりもリーン側であっ
たときにはこの基準値Kよりも小さい値になる。そして
ここでは、この空燃比に応じて変化する酸素センサの出
力信号に対応して、上記制御ゲインである積分量(Ki
L,KiR)及びスキップ量(Rs L,RsR)のもとに
フィードバック補正係数FAFの算出が行われる。
【0013】こうしてフィードバック補正係数FAFを
算出した電子制御ユニットは次に、続くステップS30
3において、上記基本燃料噴射量Qbse 及び上記フィー
ドバック補正係数FAFや他の補正値α等に基づき下記
の式(1)によって最終燃料噴射量Qfin を算出する。 Qfin =Qbse *FAF*α …(1) 上記内燃機関に対しては、このようにして算出された最
終燃料噴射量Qfin に対応する量の燃料が噴射供給され
るようになる。
【0014】ここで電子制御ユニットによる上記フィー
ドバック補正係数FAFの算出態様を、同フィードバッ
ク補正係数FAFが反映される酸素センサの出力信号の
変化との対応のもとに説明する。
【0015】1.酸素センサの出力信号が基準値Kより
も大きい状態が続き、空燃比が継続して理論空燃比より
もリッチであるとき このときには図12に示されるように、フィードバック
補正係数FAFから積分量KiLが減算される。すなわ
ち、フィードバック補正係数FAFが例えば同図12の
P1点に位置する状態にあるときにこうした上記積分量
KiL分の減算が行われると、同補正係数FAFはP2
点に位置する状態へと変化する。こうした積分量KiL
の減算が所定周期毎に継続して実行されるいわゆる積分
制御が行われることで、フィードバック補正係数FAF
は徐々に小さくなる。この積分制御が行われるときのフ
ィードバック補正係数FAFの減少傾向は、積分量Ki
Lが大きくなるほど急なものになり、同積分量KiLが
小さくなるほど緩やかになる。
【0016】こうしてフィードバック補正係数FAFを
徐々に小さくすると、いずれは空燃比が理論空燃比に対
してリッチ側からリーン側へと変化し、これに伴って酸
素センサからの出力信号が基準値Kに対し大きい値から
小さい値へと反転する。
【0017】2.酸素センサからの出力信号が基準値K
に対し大きい値から小さい値へと反転したとき こうした酸素センサの出力信号の変化が生じると、上記
フィードバック補正係数FAFにスキップ量RsRを加
算し、同フィードバック補正係数FAFを所定量だけ大
きくする、いわゆるスキップ制御が行われる。すなわ
ち、フィードバック補正係数FAFが図12のP3点に
位置する状態にあるときにこうしたスキップ量RsR分
の加算が行われると、同補正係数FAFはP4点に位置
する状態へと変化する。このフィードバック補正係数F
AFの増加量は上記スキップ量RsRが大きくなるほど
大きいものとなるが、同スキップ量RsRは、フィード
バック補正係数FAFに加算されるときに空燃比が理論
空燃比に対しリーン側からリッチ側へと一気に反転しな
い値に設定されている。従って、フィードバック補正係
数FAFにスキップ量RsRが加算された後において
も、空燃比が理論空燃比よりもリーンであって、酸素セ
ンサの出力信号が基準値Kよりも小さい状態が続くこと
になる。
【0018】3.酸素センサの出力信号が基準値Kより
も小さい状態が続き、空燃比が継続して理論空燃比より
もリーンであるとき この状態にあっては、フィードバック補正係数FAFに
積分量KiRが加算される。すなわち、フィードバック
補正係数FAFが図12のP4点に位置する状態にある
ときのこうした積分量KiR分の加算が行われると、同
補正係数FAFはP5点に位置する状態へと変化する。
こうした積量Ki Rの加算を所定周期毎に継続して実行
する積分制御が行われることで、フィードバック補正係
数FAFは徐々に大きくなる。この積分制御が行われる
ときのフィードバック補正係数FAFの増加傾向は、積
分量KiRが大きくなるほど急なものになり、同積分量
KiRが小さくなるほど緩やかになる。
【0019】こうしてフィードバック補正係数FAFを
大きくすると、いずれは空燃比が理論空燃比に対してリ
ーン側からリッチ側へと変化し、これに伴って酸素セン
サからの出力信号が基準値Kに対し小さい値から大きい
値へと反転する。
【0020】4.酸素センサからの出力信号が基準値K
に対し小さい値から大きい値へと反転したとき こうした酸素センサの出力信号の変化が生じると、上記
フィードバック補正係数FAFからスキップ量RsLを
減算して同フィードバック補正係数FAFを所定量だけ
小さくするスキップ制御が行われる。すなわち、フィー
ドバック補正係数FAFが図12のP6点に位置する状
態にあるときにこうしたスキップ量RsL分の減算が行
われると、同補正係数FAFはP7点に位置する状態へ
と変化する。このフィードバック補正係数FAFの減少
量は上記スキップ量RsLが大きくなるほど大きいもの
となるが、同スキップ量RsLは先のスキップ量RsRと
同様、フィードバック補正係数FAFから減算されると
きに空燃比が理論空燃比に対しリッチ側からリーン側へ
と一気に反転しない値に設定されている。従って、フィ
ードバック補正係数FAFからスキップ量RsLが減算
された後においても、空燃比が理論空燃比よりもリッチ
であって、酸素センサの出力信号が基準値Kよりも大き
い状態が続くことになる。この状態にあっては、フィー
ドバック補正係数FAFは積分制御により上記積分量K
iLに応じて徐々に小さくなる。そして、図11に示さ
れるように、こうしたフィードバック補正係数FAFの
算出処理が酸素センサの出力信号の推移に応じて繰り返
し実行される。
【0021】このように、「均質ストイキ燃焼」時にお
ける空燃比フィードバック制御にあっては、酸素センサ
からの出力信号に応じてフィードバック補正係数FAF
を変化させ、さらにこのフィードバック補正係数FAF
によって最終燃料噴射量Qfinを変化させることによ
り、内燃機関の空燃比を理論空燃比に維持するようにし
ている。
【0022】一方、上述した機関運転状態に応じて燃焼
方式を切り換えるタイプの内燃機関においては、「均質
リーン燃焼」や「弱成層燃焼」、「成層燃焼」等の希薄
燃焼実行時においても適切な燃焼状態を得るべく、その
都度の機関運転状態に応じてスロットル開度を制御し、
吸入空気量を調節している。そして、これら希薄燃焼実
行時には実際の吸入空気量を計量していないこともあっ
て、上記スロットル開度をある目標スロットル開度に制
御したとしても、例えば吸気通路に付着した異物の影響
やスロットルバルブの固体差の影響で吸入空気量が要求
される値からずれることがある。このように実際の吸入
空気量がその要求値からずれる場合には、燃焼状態の悪
化を招くことともなる。そこで、こうした吸入空気量の
適正値からのずれをなくすためにスロットル開度を補正
する装置が従来より提案されている(例えば特開平9−
268935号公報参照)。
【0023】この装置では、所定の機関運転状態のもと
で、そのときの吸入空気量に対応する基準スロットル開
度を求め、この基準スロットル開度とそのときの実際の
スロットル開度とのずれ量を学習値として学習する。そ
してこの開度のずれ量の学習値に基づいて、機関運転状
態に応じて設定される目標スロットル開度を補正するこ
とで、様々な機関運転状態での実際の吸入空気量と要求
吸入空気量とのずれを補償している。
【0024】なお、上記基準スロットル開度は、詳しく
は吸気圧(吸入空気量)とエンジン回転数とに基づき決
定されるもので、一般には、図13に示すように、基準
スロットル開度Tbが吸気圧PM(吸入空気量)とエン
ジン回転数NEとの関係に基づいて一義的に決定される
マップが用いられる。このマップは上記電子制御ユニッ
ト内の適宜のメモリに予め記憶されている。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】ところで通常、このよ
うな装置にあって、上記開度のずれ量が学習される所定
の機関運転状態としては、運転状態が安定している「均
質ストイキ燃焼」実行下でのアイドル運転時が選ばれ
る。しかし上述したように、この「均質ストイキ燃焼」
実行下においては空燃比のフィードバック制御が行われ
るため、この空燃比フィードバック制御により、機関回
転数にうねりが生じ、またそれに伴ない上記吸入空気量
にもうねりが生じるようになる。そのため、これら機関
回転数及び吸入空気量に基づき決定される上記基準スロ
ットル開度Tbが変動し、ひいては上記学習値にもばら
つきが生じるようになる。そしてその結果、学習精度が
悪化し、ひいては吸入空気量の制御自体、その精度の維
持が難しくなる。
【0026】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、所定の機関運転状態にあっ
て空燃比のフィードバック制御が行われる場合であれ、
上記基準スロットル開度のずれ量についての学習をより
的確ならしめ、それに基づくより精度の高い吸入空気量
制御を可能とする内燃機関の吸入空気量制御装置を提供
することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項1記載の発明では、機関運転状態に応じて希薄燃焼と
均質ストイキ燃焼とを切換え、同均質ストイキ燃焼の実
行時には機関空燃比を理論空燃比にフィードバック制御
する内燃機関に適用され、該機関の吸気通路に設けられ
たスロットルバルブを機関運転状態に応じて定められる
目標スロットル開度に制御することで同機関の吸入空気
量を調整する内燃機関の吸入空気量制御装置において、
前記均質ストイキ燃焼実行下での所定運転状態にあると
き、吸入空気量に基づき算出される基準スロットル開度
と実際のスロットル開度とのずれ量を学習値として学習
する学習手段と、前記学習値に基づき前記目標スロット
ル開度を補正する補正手段と、前記フィードバック制御
の制御ゲインを前記学習の実行時には同学習の非実行時
に比べて小さな値に変更する変更手段とを備えることを
その要旨とする。
【0028】同構成によれば、空燃比フィードバック制
御の制御ゲインが前記学習の実行時には同学習の非実行
時に比べて小さな値に変更される。そのため、学習の実
行時において、空燃比フィードバック制御に起因する吸
入空気量のうねり、ひいては基準スロットル開度の変動
が抑制され、そのずれ量についての学習値のばらつきも
低減される。このため、学習精度が向上され、ひいては
上記補正手段を介してのスロットル開度の補正、すなわ
ち吸入空気量制御もより精度の高いものとなる。また、
こうして吸入空気量の制御が機関運転状態に拘わらず適
切に実行されることで、燃焼の悪化等が回避され、エミ
ッション、特にNOx(窒素酸化物)のばらつきも低減
されるようになる。また、排気還流(EGR)制御を併
せて行う内燃機関にあっては、希薄燃焼、特に成層燃焼
中においてEGR量を増大させるようにしているため、
スロットル開度が小さい領域では、スロットル開度が少
しずれただけでEGR量が大幅に変動してしまうことが
ある。この点、スロットル開度についての学習が的確に
行われる同構成によれば、こうしたEGR量の変動も好
適に抑制されるようになる。
【0029】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
内燃機関の吸入空気量制御装置において、前記変更手段
は、前記学習実行時の前記フィードバック制御の制御ゲ
インを自動変速機がN(ニュートラル)レンジにあると
きにはD(ドライブ)レンジにあるときに比べて小さな
値とする手段を更に備えることをその要旨とする。
【0030】通常、自動変速機のD(ドライブ)レンジ
にあっては、空燃比のフィードバック制御により発生す
るトルク変動が好適に吸収され、それに伴って機関回転
数の変動も小さくなる。すなわち、D(ドライブ)レン
ジにあっては、空燃比フィードバック制御が前記スロッ
トル開度の学習に及ぼす影響は小さい。一方、自動変速
機のN(ニュートラル)レンジにあっては、空燃比のフ
ィードバック制御に伴う機関回転数の変動が無視できな
い。すなわち、これらN(ニュートラル)レンジとD
(ドライブ)レンジとでは、空燃比フィードバック制御
にかかる制御ゲインの要求値が本来異なったものとなっ
ている。この点、上記学習実行時における空燃比フィー
ドバック制御の制御ゲインを、自動変速機がN(ニュー
トラル)レンジにあるときにはD(ドライブ)レンジに
あるときに比べて小さな値とする同構成によれば、エミ
ッション及び振動の低減とスロットル開度学習の精度向
上との両立を図ることができるようになる。
【0031】請求項3記載の発明では、機関運転状態に
応じて希薄燃焼と均質ストイキ燃焼とを切換え、同均質
ストイキ燃焼の実行時には機関空燃比を理論空燃比にフ
ィードバック制御する内燃機関に適用され、該機関の吸
気通路に設けられたスロットルバルブを機関運転状態に
応じて定められる目標スロットル開度に制御することで
同機関の吸入空気量を調整する内燃機関の吸入空気量制
御装置において、前記均質ストイキ燃焼実行下での所定
運転状態にあるとき、吸入空気量に基づき算出される基
準スロットル開度と実際のスロットル開度とのずれ量を
学習値として学習する学習手段と、前記学習値に基づき
前記目標スロットル開度を補正する補正手段と、前記学
習実行時の前記フィードバック制御の制御ゲインを自動
変速機がN(ニュートラル)レンジにあるときにはD
(ドライブ)レンジにあるときに比べて小さな値とする
変更手段とを備えることをその要旨とする。
【0032】上述のように、自動変速機のN(ニュート
ラル)レンジとD(ドライブ)レンジとでは、空燃比フ
ィードバック制御にかかる制御ゲインの要求値が本来異
なったものとなっている。このため同構成のように、上
記学習実行時における空燃比フィードバック制御の制御
ゲインを、自動変速機がN(ニュートラル)レンジにあ
るときにはD(ドライブ)レンジにあるときに比べて小
さな値とすることで、自動変速機のレンジに拘わらず、
上記スロットル開度についての学習精度を高めることが
できるようになる。そしてこの場合も、エミッション及
び振動の低減とスロットル開度学習の精度向上との両立
を図ることができるようになる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内燃機関の吸入空
気量制御装置を直列4気筒の自動車用筒内噴射式ガソリ
ンエンジンの吸入空気量制御装置に適用した一実施の形
態を図1〜図7に従って説明する。
【0034】図1に示すように、エンジン11は、その
シリンダブロック11a内に往復移動可能に設けられた
合計四つのピストン12(図1には一つのみ図示)を備
えている。これらピストン12の頭部には、前記成層燃
焼を実行するのに必要な窪み12aが形成されている。
また、これらピストン12は、コンロッド13を介して
出力軸であるクランクシャフト14に連結されている。
そして、ピストン12の往復移動は、上記コンロッド1
3によってクランクシャフト14の回転へと変換される
ようになっている。
【0035】クランクシャフト14にはシグナルロータ
14aが取り付けられている。このシグナルロータ14
aの外周部には、複数の突起14bがクランクシャフト
14の軸線を中心とする等角度毎に設けられている。ま
た、シグナルロータ14aの側方には、クランクポジシ
ョンセンサ14cが設けられている。そして、クランク
シャフト14が回転して、シグナルロータ14aの各突
起14bが順次クランクポジションセンサ14cの側方
を通過することにより、同センサ14cからはそれら各
突起14bの通過に対応したパルス状の検出信号が出力
されるようになる。
【0036】また、シリンダブロック11aの上端に
は、シリンダヘッド15が設けられ、シリンダヘッド1
5とピストン12との間には燃焼室16が設けられてい
る。この燃焼室16には、シリンダヘッド15に設けら
れた吸気ポート17と排気ポート18とが連通してい
る。こうした吸気ポート17及び排気ポート18には、
それぞれ吸気バルブ19及び排気バルブ20が設けられ
ている。
【0037】一方、シリンダヘッド15には、上記吸気
バルブ19及び排気バルブ20を開閉駆動するための吸
気カムシャフト21及び排気カムシャフト22が回転可
能に支持されている。これら吸気及び排気カムシャフト
21,22は、タイミングベルト及びギヤ(共に図示せ
ず)等を介してクランクシャフト14に連結され、同ベ
ルト及びギヤ等によりクランクシャフト14の回転が伝
達されるようになる。そして、吸気カムシャフト21が
回転すると、吸気バルブ19が開閉駆動されて、吸気ポ
ート17と燃焼室16とが連通・遮断される。また、排
気カムシャフト22が回転すると、排気バルブ20が開
閉駆動されて、排気ポート18と燃焼室16とが連通・
遮断される。
【0038】また、シリンダヘッド15において、吸気
カムシャフト21の側方には、同シャフト21の外周面
に設けられた突起21aを検出して検出信号を出力する
カムポジションセンサ21bが設けられている。そし
て、吸気カムシャフト21が回転すると、同シャフト2
1の突起21aがカムポジションセンサ21bの側方を
通過する。この状態にあっては、カムポジションセンサ
21bから上記突起21aの通過に対応して所定間隔毎
に検出信号が出力されるようになる。
【0039】吸気ポート17及び排気ポート18には、
それぞれ吸気管30及び排気管31が接続されている。
そしてこのエンジン11において、吸気管30内及び吸
気ポート17内は吸気通路32となっており、排気管3
1内及び排気ポート18内は排気通路33となってい
る。吸気通路32の上流部分にはスロットルバルブ23
が設けられている。このスロットルバルブ23は、例え
ば直流(DC)モータからなるスロットル用モータ24
の駆動により回動されて開度調節がなされる。そして、
スロットルバルブ23の開度は、スロットルポジション
センサ44によって検出される。
【0040】また、上記スロットル用モータ24の駆動
は、自動車の室内に設けられたアクセルペダル25の踏
込量(アクセル踏込量)に基づき制御される。すなわ
ち、自動車の運転者がアクセルペダル25を踏込操作す
ると、アクセル踏込量がアクセルポジションセンサ26
によって検出され、同センサ26の検出信号に基づきス
ロットル用モータ24が駆動制御される。このスロット
ル用モータ24の駆動制御に基づくスロットルバルブ2
3の開度調節により、吸気通路32の空気流通面積が変
化して燃焼室16へ吸入される空気の量が調整されるよ
うになる。
【0041】吸気通路32においてスロットルバルブ2
3の下流側に位置する部分には、同通路32内の圧力
(吸気圧)PMを検出するバキュームセンサ36が設け
られている。そして、バキュームセンサ36は検出した
吸気通路32内の圧力PMに対応した検出信号を出力す
る。
【0042】また、シリンダヘッド15には、燃焼室1
6内に燃料を噴射供給する燃料噴射弁40と、燃焼室1
6内に充填される燃料と空気とからなる混合気に対して
点火を行う点火プラグ41とが設けられている。この点
火プラグ41による上記混合気への点火時期は、点火プ
ラグ41の上方に設けられたイグナイタ41aによって
調整される。
【0043】そして、燃料噴射弁40から燃焼室16内
へ燃料が噴射されると、同燃料が吸気通路32を介して
燃焼室16に吸入された空気と混合されて混合気が形成
される。さらに、燃焼室16内の混合気は点火プラグ4
1によって点火がなされて燃焼し、燃焼後の混合気は排
気として排気通路33に送り出される。
【0044】一方、排気通路33には酸素センサ37が
設けられており、後述する空燃比フィードバック制御に
際しては、上記排気の酸素濃度がこの酸素センサ37に
よって検出される。なお、空燃比フィードバック制御は
前述のように、エンジン11の「均質ストイキ燃焼」
時、排気通路33に設けられた触媒33aによる排気浄
化効率を高めるための制御である。
【0045】その他、エンジン11のシリンダブロック
11aにおいて、そのウォータジャケットには水温セン
サ38が設けられており、この水温センサ38によって
その都度の機関温度が検出される。
【0046】次に、本実施の形態における吸入空気量制
御装置の電気的構成を図2に基づいて説明する。この吸
入空気量制御装置は、燃料噴射量制御、燃料噴射時期制
御、点火時期制御、空燃比フィードバック制御、及びス
ロットル開度制御など、エンジン11の運転状態を制御
するための電子制御ユニット(以下「ECU」という)
92を備えている。このECU92は、ROM93、C
PU94、RAM95及びバックアップRAM96等を
備える算術論理演算回路として構成されている。
【0047】ここで、ROM93は各種制御プログラム
や、それら各種制御プログラムを実行する際に参照され
るマップ等が記憶されたメモリであり、CPU94はR
OM93に記憶された各種制御プログラムやマップに基
づいて演算処理を実行する。また、RAM95はCPU
94での演算結果や各センサから入力されたデータ等を
一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM9
6はエンジン11の停止時にもその記憶したデータ等が
保存される不揮発性のメモリである。そして、ROM9
3、CPU94、RAM95及びバックアップRAM9
6は、バス97を介して互いに接続されるとともに、外
部入力回路98及び外部出力回路99と接続されてい
る。
【0048】外部入力回路98には、クランクポジショ
ンセンサ14c、カムポジションセンサ21b、アクセ
ルポジションセンサ26、バキュームセンサ36、酸素
センサ37、水温センサ38、及びスロットルポジショ
ンセンサ44等が接続されている。一方、外部出力回路
99には、スロットル用モータ24、燃料噴射弁40、
及びイグナイタ41a等が接続されている。
【0049】このように構成されたECU92は、クラ
ンクポジションセンサ14cからの検出信号に基づきエ
ンジン回転数NEを求める。さらに、アクセルポジショ
ンセンサ26又はバキュームセンサ36からの検出信号
と、上記エンジン回転数NEとに基づきエンジン11の
負荷に対応する前述した基本燃料噴射量Qbse を求め
る。
【0050】一方、ECU92は、図3に示すように、
例えば上記ROM93にあって、均質ストイキ燃焼領域
A、均質リーン燃焼領域B、弱成層燃焼領域C、及び成
層燃焼領域Dが割り振られたマップを参照し、上記エン
ジン回転数NE及び基本燃料噴射量Qbse からエンジン
11の燃焼方式を決定する。すなわち、ECU92は、
エンジン回転数NE及び基本燃料噴射量Qbse が上記領
域A〜Dのいずれの領域に位置する状態かにより、エン
ジン11の燃焼方式を前記「均質ストイキ燃焼」、「均
質リーン燃焼」、「弱成層燃焼」、及び「成層燃焼」に
決定する。
【0051】図3に示すマップから明らかなように、エ
ンジン11の運転状態が低回転低負荷から高回転高負荷
へと移行するに従い、エンジン11の燃焼方式は「成層
燃焼」→「弱成層燃焼」→「均質リーン燃焼」→「均質
ストイキ燃焼」へと順次変化することとなる。このよう
に燃焼方式を変化させるのは、高出力が要求される高回
転高負荷時には「均質ストイキ燃焼」として混合気の空
燃比を小さくすることによりエンジン出力を高め、あま
り高出力を必要としない低回転低負荷時には「成層燃
焼」として空燃比を大きくすることにより燃費の向上を
図るためである。
【0052】ここで、本実施の形態において各燃焼方式
が実行されるときにECU92を通じて実行される燃焼
制御態様について、これら「均質ストイキ燃焼」、「均
質リーン燃焼」、「弱成層燃焼」、及び「成層燃焼」の
各燃焼方式毎にそれぞれ更に詳しく説明する。
【0053】・「均質ストイキ燃焼」 エンジン11の燃焼方式が「均質ストイキ燃焼」に決定
されると、ECU92は、バキュームセンサ36からの
検出信号に基づき求められる吸気圧PMとエンジン回転
数NEとに基づき基本燃料噴射量Qbse を算出する。こ
うして算出された基本燃料噴射量Qbse は、エンジン回
転数NEが高く、かつ吸気圧PMが高くなるほど大きい
値になる。ECU92は、燃料噴射弁40を駆動制御す
ることにより、上記基本燃料噴射量Qbse に基づき求め
られる前記最終燃料噴射量Qfinに対応した量の燃料
を、エンジン11の吸気行程中に燃料噴射弁40から噴
射させる。また、ECU92は、前述した空燃比フィー
ドバック制御を行って混合気の空燃比を理論空燃比へと
制御する。
【0054】また、ECU92は、アクセルポジション
センサ26からの検出信号に基づきアクセル踏込量AC
CPを求める。そして、ECU92は、スロットルポジ
ションセンサ44からの検出信号に基づき求められる実
際のスロットル開度Trが、アクセル踏込量ACCPに
基づき算出される目標スロットル開度TRTに近づくよ
うスロットル用モータ24を駆動制御する。
【0055】さらに、ECU92は、吸気圧PMとエン
ジン回転数NEとに基づき目標点火時期を算出し、同目
標点火時期に応じてイグナイタ41aを駆動制御する。
こうした制御を通じて燃料噴射量、スロットル開度、及
び点火時期が「均質ストイキ燃焼」に適したものにな
る。
【0056】・「均質リーン燃焼」 エンジン11の燃焼方式が「均質リーン燃焼」に決定さ
れると、ECU92は、アクセル踏込量ACCPとエン
ジン回転数NEとに基づき基本燃料噴射量Qbse 算出す
る。こうして算出された基本燃料噴射量Qbse は、エン
ジン回転数NEが高く、かつアクセル踏込量ACCPが
大きくなるほど大きい値になる。ECU92は、燃料噴
射弁40を駆動制御することにより、上記基本燃料噴射
量Qbseに基づき求められる最終燃料噴射量Qfin 対応
した量の燃料をエンジン11の吸気行程中に燃料噴射弁
40から噴射させる。こうした燃料噴射により燃焼室1
6内に形成される混合気においては、空燃比が理論空燃
比よりも大きい値(例えば15〜23)とされる。なお
この場合、空燃比のフィードバック制御は行われないた
め、最終燃料噴射量Qfinの算出に際し、前記式(1)
でのフィードバック補正係数FAFの値は「1」に固定
される。
【0057】また、ECU92は、実際のスロットル開
度Trが基本燃料噴射量Qbse に基づき算出される目標
スロットル開度TRTに近づくようスロットル用モータ
24を駆動制御する。さらに、ECU92は、基本燃料
噴射量Qbse とエンジン回転数NEとに基づき目標点火
時期を算出し、同目標点火時期に応じてイグナイタ41
aを駆動制御する。こうした制御を通じて燃料噴射量、
スロットル開度、及び点火時期が「均質リーン燃焼」に
適したものとされる。
【0058】・「弱成層燃焼」 エンジン11の燃焼方式が「弱成層燃焼」に決定される
と、ECU92は、上記と同様にアクセル踏込量ACC
P及びエンジン回転数NEから基本燃料噴射量Qbse を
算出する。ECU92は、燃料噴射弁40を駆動制御す
ることにより、上記基本燃料噴射量Qbse に基づき算出
される最終燃料噴射量Qfin に対応した量の燃料をエン
ジン11の吸気行程と圧縮行程とに噴射させる。こうし
た燃料噴射により燃焼室16内に形成される混合気にお
いては、空燃比が「均質リーン燃焼」時の空燃比よりも
リーン側の値(例えば20〜23)とされる。なおこの
場合も、空燃比のフィードバック制御は行われないた
め、最終燃料噴射量Qfinの算出に際し、前記式(1)
でのフィードバック補正係数FAFの値は「1」に固定
される。
【0059】また、ECU92は、上記と同様に実際の
スロットル開度Trが基本燃料噴射量Qbse とエンジン
回転数NEとに基づき算出される目標スロットル開度T
RTに近づくようスロットル用モータ24を駆動制御す
る。さらに、ECU92は、上記と同様に基本燃料噴射
量Qbse とエンジン回転数NEとに基づき目標点火時期
を算出し、同目標点火時期に応じてイグナイタ41aを
駆動制御する。こうした制御を通じて燃料噴射量、スロ
ットル開度、及び点火時期が「弱成層燃焼」に適したも
のとされる。
【0060】なお、こうした「弱成層燃焼」時におい
て、吸気行程のときに噴射供給された燃料は空気に対し
て均等に分散され、圧縮行程のときに噴射供給された燃
料はピストン12の頭部に設けられた窪み12aによっ
て点火プラグ41の周りに集められる。すなわちこの
「弱成層燃焼」時には、上記のように吸気行程と圧縮行
程との二回に分けて燃料噴射を行うことで、上記「均質
リーン燃焼」と後述する「成層燃焼」との中間の燃焼方
式(弱成層燃焼)で混合気の燃焼が行われ、その「弱成
層燃焼」によって「均質リーン燃焼」と「成層燃焼」と
の切り換え時のトルクショックが抑えられる。
【0061】・「成層燃焼」 エンジン11の燃焼方式が「成層燃焼」に決定される
と、ECU92は、上記と同様にアクセル踏込量ACC
P及びエンジン回転数NEから基本燃料噴射量Qbse を
算出する。ECU92は、上記基本燃料噴射量Qbse に
基づき算出される最終燃料噴射量Qfin に対応した量の
燃料をエンジン11の圧縮行程中に噴射させる。こうし
た燃料噴射により燃焼室16内に形成される混合気にお
いては、空燃比が「弱成層燃焼」時の空燃比よりもリー
ン側の値(例えば25〜50)とされる。そしてこの場
合も、空燃比のフィードバック制御は行われないため、
最終燃料噴射量Qfinの算出に際し、前記式(1)での
フィードバック補正係数FAFの値は「1」に固定され
る。
【0062】また、ECU92は、上記と同様に実際の
スロットル開度Trが基本燃料噴射量Qbse とエンジン
回転数NEとに基づき算出される目標スロットル開度T
RTに近づくようスロットル用モータ24を駆動制御す
る。さらに、ECU92は、上記と同様に基本燃料噴射
量Qbse とエンジン回転数NEとに基づき目標点火時期
を算出し、同目標点火時期に応じてイグナイタ41aを
駆動制御する。こうした制御を通じて燃料噴射量、スロ
ットル開度、及び点火時期が「成層燃焼」に適したもの
とされる。
【0063】なお、こうした「成層燃焼」時において、
エンジン11の圧縮行程中に燃料噴射弁40から噴射さ
れた燃料は、ピストン12の頭部に設けられた窪み12
a内に入り込み、そのピストン12の移動により上記燃
料が点火プラグ41の周りに集められる。このように点
火プラグ41の周りに燃料を集めることによって、燃焼
室16内の混合気全体の平均空燃比を「弱成層燃焼」時
より大きくしても、同プラグ41周りの混合気の空燃比
が着火に適したものとされて良好な混合気への着火が行
われる。
【0064】ところで、上述した「均質リーン燃焼」、
「弱成層燃焼」、及び「成層燃焼」など、理論空燃比よ
りもリーン側の空燃比にて混合気の燃焼が行われる、い
わゆる希薄燃焼では、混合気の平均空燃比を理論空燃比
よりも大きくすべくスロットルバルブ23が「均質スト
イキ燃焼」の場合に比べて開き側に制御される。そのた
め、希薄燃焼では、燃料噴射量が少なくなるとともにポ
ンピングロスが低減され、エンジン11の燃費が向上す
るようになる。
【0065】他方、上記エンジン11においては前述の
ように、こうした希薄燃焼時には実際の吸入空気量(吸
気圧PM)を計測していないこともあって、スロットル
バルブ23をある目標スロットル開度に制御したとして
も、スロットルバルブ23の個体差や吸気通路32への
異物の付着などにより、エンジン11の吸入空気量がそ
の要求値からずれる場合がある。
【0066】そこで、本実施の形態においては第1に、
こうした吸入空気量の適正値からのずれをなくすために
スロットル開度を補正する。このスロットル開度の補正
に際しては、「均質ストイキ燃焼」実行下でのアイドル
運転時において、吸入空気量に対応する基準スロットル
開度を求め、この基準スロットル開度とそのときの実際
のスロットル開度とのずれ量を学習値として学習する。
そして、この開度のずれ量の学習値に基づいてエンジン
11の各種運転状態に応じて設定される目標スロットル
開度を補正することで、それら運転状態での実際の吸入
空気量と要求吸入空気量とのずれを補償する。
【0067】また、上記スロットル開度のずれ量の学習
を行う「均質ストイキ燃焼」実行下においては空燃比の
フィードバック制御が行われるため、この空燃比フィー
ドバック制御により、エンジン回転数にうねりが生じ、
またそれに伴ない上記吸入空気量にもうねりが生じて学
習の精度が悪化するようになることも前述した。
【0068】そこで、本実施の形態においては第2に、
上記「均質ストイキ燃焼」実行下でのアイドル運転時に
あって空燃比のフィードバック制御が行われる場合であ
れ、上記スロットル開度の学習をより的確ならしめるべ
く、同フィードバック制御にかかる制御ゲインの変更制
御を実行する。
【0069】以下、本実施の形態において実行される
「スロットル学習処理」、「空燃比フィードバック制御
の制御ゲイン変更処理」、及び「目標スロットル開度算
出、補正処理」の各処理手順を図4〜図7に示すフロー
チャートを参照して説明する。なお、図4及び図5は
「スロットル学習処理」の処理手順を示すフローチャー
トであり、図6は「制御ゲイン変更処理」の処理手順を
示すフローチャートである。また、図7は「目標スロッ
トル開度算出、補正処理」の処理手順を示すフローチャ
ートである。なおこれらの処理は、ECU92を通じて
例えば各々所定の時間毎の時間割り込みにて実行され
る。
【0070】最初に「スロットル学習処理」の手順につ
いて図4及び図5を参照して説明する。この「スロット
ル学習処理」は、大きくは図4に示す「前処理」と図5
に示す「実行ルーチン」とからなる。
【0071】まず、図4に示す「前処理」において、E
CU92は、ステップS101の処理として「均質スト
イキ燃焼」時であって上記空燃比フィードバック制御が
行われているか否かを判断し、続くステップS102の
処理として、現在、スロットルバルブ23のアイドルス
ピードコントロール(ISC制御)によるエンジン回転
数NEのフィードバック制御が行われているか否かを判
断する。
【0072】また、ECU92は、ステップS103の
処理として、現在上記ISCフィードバック制御が開始
されてから所定時間が経過したか否かを判断する。この
判断を行うのは、本スロットル学習をISCフィードバ
ック制御が安定した状態で行う必要があるからである。
【0073】続いてECU92は、ステップS104の
処理として、暖機運転が終了したか否かを判断する。こ
れは前記水温センサ38の検出信号に基づき判断する。
また、ステップS105の処理としてECU92は、現
在パージ制御が停止中であるか否かを判断する。これは
エバポパージ用バルブ(図示略)の全閉信号等に基づき
判断される。
【0074】次にECU92は、ステップS106の処
理として、上記ISCフィードバック制御によりエンジ
ン回転数NEが所定範囲内にあるか否かを判断する。続
いてステップS107の処理としてECU92は、吸気
圧PMすなわちエンジン負荷が所定範囲内にあるか否か
を判断する。この判断を行うのは、本スロットル学習を
実行するにあたって、アイドル時にエアコン等の高負荷
がかかった状態を避けるためである。
【0075】そして、これら前処理の最後に、ECU9
2は、ステップS108の処理として、現在大気圧が所
定値以上あるか否かを判断する。この判断を行うのは、
本スロットル学習が高地等大気圧が低い所で行われるの
を避けるためである。
【0076】そして、ECU92は、上記ステップS1
01〜S108の処理において、全て肯定判断(YES
と判断)される場合にのみステップS120の「スロッ
トル学習実行」処理に進み、いずれか一つの処理でも否
定判断(NOと判断)されると当該スロットル学習ルー
チンを一旦終了する。
【0077】一方、ステップS120の「スロットル学
習実行」の処理に進んだ場合、ECU92は、図5に示
す手順にて、同スロットル学習を実行する。すなわち、
このスロットル学習ルーチンにおいてECU92は、ス
テップS121の処理として、下式(2)に示すよう
に、実際のスロットル開度Trから基準スロットル開度
(以下、学習用基準開度という)Tbを減算してスロッ
トル学習値ΔTgを算出する。 ΔTg= Tr − Tb (2) ここで、学習用基準開度Tbは、このとき(アイドル
時)に要求される吸入空気量に対応した正常状態でのス
ロットル開度である。なお、上記要求される吸入空気量
は、ISCフィードバック制御中であることから現在の
吸入空気量(吸気圧PM)と同じ値になる。そして、上
記学習用基準開度(基準スロットル開度)Tbは、先に
示した図13に示すマップを参照してエンジン回転数N
E及び吸気圧PMに基づき決定される。こうして決定さ
れる学習用基準開度Tbは、同図13から明らかなよう
に、エンジン回転数NE及び吸気圧PMが高くなるほど
開き側の値になる。
【0078】そしてこのとき、スロットルバルブ23に
上述した異物の付着等による経時変化や個体差等がなけ
れば、前記スロットルポジションセンサ44にて検出さ
れる実際のスロットル開度Trも学習用基準開度Tbと
同じになるため、上記スロットル学習値ΔTgは「0」
になる。これに対し、例えば吸気通路32に異物の付着
等が生じた場合には、要求される吸入空気量を得るため
にISCフィードバック制御により実際のスロットル開
度Trが学習用基準開度Tbよりも大きい値(開き側の
値)になる。そのため、この場合には上記スロットル学
習値ΔTgが「0」よりも大きくなる。また、例えばス
ロットルバルブ23の個体差や、同スロットルバルブ2
3と吸気通路32との摺接、摩耗の繰り返し等により燃
焼室16に多めの空気が吸入されることもあるが、この
場合には要求される吸入空気量を得るために上記ISC
フィードバック制御により実際のスロットル開度Trが
学習用基準開度Tbよりも小さい値(閉じ側の値)にな
る。そのため、この場合には上記スロットル学習値ΔT
gが「0」よりも小さい値になる。
【0079】ECU92は、続くステップS122にお
いて、上記ステップS121において算出したスロット
ル学習値ΔTgを更新する。すなわち、前記バックアッ
プRAM96の所定領域に格納されている同学習値ΔT
gについてその上書きを行い、「スロットル学習処理」
を終了する。
【0080】また一方、本実施の形態においては、この
「スロットル学習処理]と並行して、上記空燃比フィー
ドバック制御の制御ゲイン(積分量及びスキップ量)を
変更する「制御ゲイン変更処理」が実行されている。次
に、この「制御ゲイン変更処理]について、図6に示す
フローチャートを参照して説明する。
【0081】ECU92は、同図6に示すステップS1
31の処理として、現在スロットル学習が実行中である
か否かを判断する。ここで否定判断(NOと判断)され
るとステップS132の処理に進む。一方、肯定判断
(YESと判断)される場合はステップS133の処理
に進む。
【0082】ECU92は、上記ステップS132の処
理として、空燃比フィードバック制御の制御ゲイン、す
なわち前記積分量(KiL,KiR)及びスキップ量(R
sL,RsR)の値を、例えば通常の制御ゲインに対応し
た「第1ゲイン」として設定する。
【0083】一方、ECU92は、上記ステップS13
3の処理として、同空燃比フィードバック制御の制御ゲ
インの値を、上記第1ゲインよりも小さい「第2ゲイ
ン」とし、すなわち 「第2ゲイン」 < 「第1ゲイン」 といった関係に設定する。このように、本実施の形態に
おいては、上記「スロットル学習」の実行時、空燃比フ
ィードバック制御の制御ゲインの値を同学習の非実行時
の値に比べて小さな値に変更する。
【0084】ちなみに本実施の形態において、「スロッ
トル学習」の実行時に上記制御ゲインを減少させるの
は、同制御ゲインを減少させることによって、エンジン
回転数NEのうねり及びこの回転数NEのうねりに伴な
い発生する吸入空気量(吸気圧PM)のうねりを抑制し
て、先に示した図13のマップから決定される上記学習
用基準開度Tbの値の精度を向上させるためである。そ
してこの学習用基準開度Tbの値の精度の向上に伴い、
前記式(2)から求められるスロットル学習値ΔTgの
精度も向上するようになる。
【0085】なお、この制御ゲインの変更において、上
記「第2ゲイン」についてはその値を、例えば「スロッ
トル学習」非実行時の値の二分の一とするものであって
もよいし、あるいは四分の一とするものであってもよ
い。要は、同「第2ゲイン」としての制御ゲインの値
は、空燃比フィードバック制御により上記「均質ストイ
キ燃焼」が補償される値であって「スロットル学習」へ
の影響を抑制し得る値とされればよい。その好適な値
は、事前に実験等により決定される。
【0086】最後に、前記「目標スロットル開度算出、
補正処理」について図7を参照して説明する。同処理に
おいて、まずECU92は、ステップS201の処理と
して、現在「均質ストイキ燃焼」中であるか否かを判断
する。そして、「均質ストイキ燃焼」中であれば、ステ
ップS202の処理としてアクセル踏込量ACCP及び
エンジン回転数NEに基づき基本スロットル開度TRT
Bを算出する。また、「均質ストイキ燃焼」中でなけれ
ば、すなわち、例えば「成層燃焼」中等においては、ス
テップS203の処理として基本燃料噴射量Qbse 及び
エンジン回転数NEに基づき基本スロットル開度TRT
Bを算出する。なお、この基本燃料噴射量Qbseがアク
セル踏込量ACCP及びエンジン回転数NEに基づき求
められる値であることは前述した。
【0087】ECU92は、続いてステップS204の
処理として、基本スロットル開度TRTBにスロットル
補正量、すなわちスロットル学習値ΔTgを加算補正す
ることで目標スロットル開度TRTを算出する。この算
出される目標スロットル開度TRTは、同補正によっ
て、上述した吸気通路32への異物の付着やスロットル
バルブ23の個体差等による吸入空気量の適正値からの
ずれが抑制された同スロットルバルブ23の目標開度と
なる。こうして目標スロットル開度TRTを算出した
後、ECU92は、この「目標スロットル開度算出、補
正処理」を一旦終了する。
【0088】以上詳述した処理が行われる本実施の形態
によれば、以下に示す効果が得られるようになる。 (1)スロットル学習中は、空燃比フィードバック制御
の制御ゲイン、すなわち前記積分量(KiL,KiR)及
びスキップ量(RsL,RsR)の値を、前記「スロット
ル学習」の非実行時の値(第1ゲイン)に比べて小さな
値(第2ゲイン)に変更する。そのため、空燃比フィー
ドバック制御に起因する同学習中におけるエンジン回転
数NEのうねり及び同回転数NEのうねりに伴ない発生
する吸入空気量PMのうねりが抑制され、ひいては学習
用基準開度Tbの値の変動が抑制されて、スロットル学
習値ΔTgのばらつきも低減される。このため、学習精
度が向上され、ひいては吸入空気量制御もより精度の高
いものとなる。
【0089】(2)また、こうして吸入空気量の制御が
エンジン11の運転状態に拘わらず適切に実行されるこ
とで、希薄燃焼実行時であれ、燃焼の悪化等が回避さ
れ、エミッション、特にNOx(窒素酸化物)のばらつ
きも低減されるようになる。
【0090】(3)スロットル学習を、アイドル運転時
に行うようにしたことで、安定した所定の機関運転状態
の再現が容易となり、ひいてはスロットル開度の学習及
び同学習条件の判断を容易かつ安定したものとすること
ができる。
【0091】なお、上記実施の形態は、例えば以下のよ
うに変更することもできる。 ・上記実施の形態では、空燃比フィードバック制御の制
御ゲイン、積分量(KiL,KiR)及びスキップ量(R
sL,RsR)の値を、「スロットル学習」の非実行時の
値に比べて小さな値に変更するようにしたが、積分量あ
るいはスキップ量のみを小さな値に変更するようにして
もよい。要は、これら制御ゲインのうち少なくとも一方
を同学習の非実行時の値に比べて小さな値に変更するも
のであればよい。このように、学習時に小さな値に変更
される制御ゲインとして、スキップ量及び積分量の少な
くとも一方を適宜選択することで、スロットル学習に対
する空燃比フィードバック制御の影響を好適に低減させ
ることはできる。
【0092】・空燃比フィードバック制御の制御ゲイン
の変更態様は、図6に示した「制御ゲイン変更処理]に
代えて、図8に示す「制御ゲイン変更処理]の手順によ
って実行されるものであってもよい。以下にその手順を
説明する。
【0093】ECU92は、同図8に示すステップS1
41の処理として、現在、スロットル学習が実行中であ
るか否かを判断する。ここで否定判断(NOと判断)さ
れるとステップS142の処理に進み、空燃比フィード
バック制御の制御ゲイン(スキップ量及び積分量)の値
を、前述の通り「第1ゲイン」として設定する。一方、
肯定判断(YESと判断)される場合には更にステップ
S143の処理に進む。
【0094】ECU92は、このステップS143の処
理として、現在、自動変速機がN(ニュートラル)レン
ジにあるか否かを判断する。ここで否定判断(NOと判
断)されると、ECU92は、自動変速機が現在D(ド
ライブ)レンジにあると判断してステップS144の処
理に進み、上記制御ゲインの値を「第3ゲイン」として
設定する。一方、同ステップS143において肯定判断
(YESと判断)される場合はステップS145の処理
に進む。
【0095】ECU92は、このステップS145の処
理として、同空燃比フィードバック制御の制御ゲインの
値を、前記第3ゲインよりも小さい「第4ゲイン」とし
て、すなわち 「第4ゲイン」 < 「第3ゲイン」 といった関係に設定する。
【0096】通常、自動変速機のD(ドライブ)レンジ
にあっては、空燃比のフィードバック制御により発生す
るトルク変動が好適に吸収され、それに伴ってエンジン
回転数NEの変動も小さくなる。すなわち、D(ドライ
ブ)レンジにあっては、空燃比フィードバック制御が前
記スロットル開度の学習に及ぼす影響は小さい。一方、
自動変速機のN(ニュートラル)レンジにあっては、空
燃比のフィードバック制御に伴うエンジン回転数の変動
が無視できない。すなわち、これらN(ニュートラル)
レンジとD(ドライブ)レンジとでは、空燃比フィード
バック制御にかかる制御ゲイン(積分量及びスキップ
量)の要求値が本来異なったものとなっている。この
点、上記学習実行時における同制御ゲインを、自動変速
機がN(ニュートラル)レンジにあるときにはD(ドラ
イブ)レンジにあるときに比べて小さな値とする同構成
によれば、エミッション及び振動の低減とスロットル開
度学習の精度向上との両立を図ることができるようにな
る。
【0097】なお、上記「第3ゲイン」及び「第4ゲイ
ン」と先の「第1ゲイン」及び「第2ゲイン」とは、そ
れぞれ上述の関係が満たされる範囲において任意である
が、D(ドライブ)レンジでの上記実情に鑑みれば、
「第3ゲイン」は例えば通常の制御ゲインに対応した
「第1ゲイン」と同等のゲインでよい。また、「第4ゲ
イン」は、この「第3ゲイン」よりも小さなゲインであ
ればよいが、N(ニュートラル)レンジでの上記実情に
鑑みれば、これは先の「第2ゲイン」と同等のゲインで
あってよい。
【0098】また、この図8に示した「制御ゲイン変更
処理」にあっても、制御ゲインである積分量及びスキッ
プ量のうち少なくとも一方について変更するものであっ
てもよい。
【0099】また、上記制御ゲインのうち、特に積分量
Kiについては、その値(ゲイン)を吸入空気量に応じ
て可変とするシステムが従来より知られている。このよ
うなシステムにこうした実施の形態の構成を適用する場
合には、図9に示すように、それらN(ニュートラル)
レンジ、D(ドライブ)レンジに応じてその変更特性の
傾きをも変えることが、空燃比フィードバック制御と上
記学習精度の向上とを両立させる上で望ましい。
【0100】・さらにこの「制御ゲイン変更処理」とし
ては、単に上記「スロットル学習」の実行時にあること
を条件に、自動変速機がN(ニュートラル)レンジにあ
れば、同自動変速機がD(ドライブ)レンジにあるとき
に比べて上記空燃比フィードバック制御の制御ゲインを
小さなゲインとするものであってもよい。
【0101】上述のように、自動変速機のN(ニュート
ラル)レンジとD(ドライブ)レンジとでは、空燃比フ
ィードバック制御にかかる制御ゲインの要求値が本来異
なったものとなっている。このため同構成のように、上
記学習実行時における空燃比フィードバック制御の制御
ゲインを、単に自動変速機がN(ニュートラル)レンジ
にあるときにはD(ドライブ)レンジにあるときに比べ
て小さな値とすることで、自動変速機のレンジに拘わら
ず、上記スロットル開度についての学習精度を高めるこ
とができるようになる。そしてこの場合も、エミッショ
ン及び振動の低減とスロットル開度学習の精度向上との
両立を図ることができるようになる。
【0102】・「スロットル学習処理」の「前処理」
は、先の図4のステップS101〜S108に示した処
理に限らない。例えば、排気還流(EGR)制御を併せ
て行う場合にあっては、同「前処理」として、現在EG
Rバルブが全閉中であるか否かを判断する処理を追加す
る構成としてもよい。あるいは、例えば同図4のステッ
プS108に示した大気圧の判断処理を割愛する構成と
してもよい。
【0103】なお、上記EGR制御を行う場合にあって
は、希薄燃焼、特に成層燃焼中においてEGR量を増大
させるようにしているため、スロットル開度が小さい領
域では、スロットル開度が少しずれただけでEGR量が
大幅に変動してしまうことがある。この点、スロットル
開度についての学習が的確に行われる上記実施の形態に
よれば、こうしたEGR量の変動も好適に制御されるよ
うになる。
【0104】・上記実施の形態では、希薄燃焼として
「成層燃焼」、「弱成層燃焼」、及び「均質リーン燃
焼」を行うエンジン11に本発明を適用したが、例えば
上記「弱成層燃焼」や「均質リーン燃焼」を行わないエ
ンジン11に本発明を適用してもよい。
【0105】・上記実施の形態では、上記「スロットル
学習処理」がエンジンがアイドル運転時に行われる例を
示したが、同学習処理の実行時期はこれに限られない。
要は、同学習処理が均質ストイキ燃焼実行下での安定し
た所定運転状態にあるときに行われるものであればよ
い。
【0106】最後に、上述した実施の形態から把握でき
る請求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効
果とともに記載する。 (1)前記学習が実行される所定運転状態はアイドル運
転時である請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の
吸入空気量制御装置。同構成においては、アイドル運転
時にあっては安定した所定の機関運転状態の再現が容易
であり、それはスロットル開度学習及び学習条件の判断
においても有利となる。
【0107】(2)前記変更する空燃比フィードバック
制御の制御ゲインは、内燃機関の空燃比が理論空燃比に
対してリッチとリーンとの間で反転したときに加算ある
いは減算されるスキップ量、及び同機関の空燃比が理論
空燃比に対してリッチあるいはリーンに維持されている
間に継続して加算あるいは減算される積分量の少なくと
も一方である請求項1〜3のいずれか、または前記
(1)に記載の内燃機関の吸入空気量制御装置。同構成
によれば、前記学習時に小さな値に変更される制御ゲイ
ンとしてスキップ量及び積分量の少なくとも一方を適宜
選択することにより、スロットル開度学習に対する空燃
比フィードバック制御の影響を好適に低減させることが
できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる吸入空気量制御装置の一実施
の形態についてその構成を示す断面図。
【図2】同吸入空気量制御装置の電気的構成を示すブロ
ック図。
【図3】燃焼方式を切り換える際に参照されるマップの
構造を示すグラフ。
【図4】スロットル学習処理の処理手順を示すフローチ
ャート。
【図5】スロットル学習処理の処理手順を示すフローチ
ャート。
【図6】空燃比フィードバック制御の制御ゲイン変更手
順を示すフローチャート。
【図7】目標スロットル開度の算出、補正手順を示すフ
ローチャート。
【図8】空燃比フィードバック制御の制御ゲイン変更手
順の他の例を示すフローチャート。
【図9】自動変速機の各レンジに応じた積分量可変態様
を示すグラフ。
【図10】空燃比フィードバック制御の制御手順を示す
フローチャート。
【図11】酸素センサの出力信号及びフィードバック補
正係数FAFの時間経過に伴う推移を示すタイムチャー
ト。
【図12】フィードバック補正係数FAFの算出に用い
られる積分量KiL,KiR及びスキップ量RsL,RsR
の概念を示すタイムチャート。
【図13】基準スロットル開度を算出する際に参照され
るマップの構造を示すグラフ。
【符号の説明】
11…エンジン、14c…クランクポジションセンサ、
16…燃焼室、23…スロットルバルブ、24…スロッ
トル用モータ、25…アクセルペダル、26…アクセル
ポジションセンサ、36…バキュームセンサ、37…酸
素センサ、38…水温センサ、40…燃料噴射弁、44
…スロットルポジションセンサ、92…電子制御ユニッ
ト(ECU)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 45/00 314 F02D 45/00 314M 340 340D Fターム(参考) 3G065 CA12 CA13 DA05 EA02 EA03 EA08 EA09 EA11 EA12 FA11 FA13 GA01 GA07 GA10 GA14 GA31 GA41 GA46 KA36 3G084 AA04 BA05 BA09 BA13 BA15 BA17 BA20 BA27 CA02 CA03 CA04 CA08 CA09 DA02 DA04 DA10 DA11 EA11 EB08 EB14 EB15 EB18 EB19 EC02 EC03 FA06 FA10 FA11 FA18 FA20 FA29 FA33 FA37 FA38 3G301 HA13 HA14 HA16 JA02 JA04 JA25 KA05 KA07 KA08 KA09 KA24 KA25 KB05 LA00 LA03 LC03 MA01 MA11 MA19 MA26 NA03 NA04 NA08 NC02 ND05 ND22 ND24 ND33 ND36 NE14 NE15 NE23 PA07Z PA11A PA11Z PA17Z PB09Z PD03A PD15Z PE01Z PE03Z PE04Z PE08Z PF03Z PF07Z PF10Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機関運転状態に応じて希薄燃焼と均質スト
    イキ燃焼とを切換え、同均質ストイキ燃焼の実行時には
    機関空燃比を理論空燃比にフィードバック制御する内燃
    機関に適用され、該機関の吸気通路に設けられたスロッ
    トルバルブを機関運転状態に応じて定められる目標スロ
    ットル開度に制御することで同機関の吸入空気量を調整
    する内燃機関の吸入空気量制御装置において、 前記均質ストイキ燃焼実行下での所定運転状態にあると
    き、吸入空気量に基づき算出される基準スロットル開度
    と実際のスロットル開度とのずれ量を学習値として学習
    する学習手段と、 前記学習値に基づき前記目標スロットル開度を補正する
    補正手段と、 前記フィードバック制御の制御ゲインを前記学習の実行
    時には同学習の非実行時に比べて小さな値に変更する変
    更手段とを備えることを特徴とする内燃機関の吸入空気
    量制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の内燃機関の吸入空気量制御
    装置において、 前記変更手段は、前記学習実行時の前記フィードバック
    制御の制御ゲインを自動変速機がN(ニュートラル)レ
    ンジにあるときにはD(ドライブ)レンジにあるときに
    比べて小さな値とする手段を更に備えることを特徴とす
    る内燃機関の吸入空気量制御装置。
  3. 【請求項3】機関運転状態に応じて希薄燃焼と均質スト
    イキ燃焼とを切換え、同均質ストイキ燃焼の実行時には
    機関空燃比を理論空燃比にフィードバック制御する内燃
    機関に適用され、該機関の吸気通路に設けられたスロッ
    トルバルブを機関運転状態に応じて定められる目標スロ
    ットル開度に制御することで同機関の吸入空気量を調整
    する内燃機関の吸入空気量制御装置において、 前記均質ストイキ燃焼実行下での所定運転状態にあると
    き、吸入空気量に基づき算出される基準スロットル開度
    と実際のスロットル開度とのずれ量を学習値として学習
    する学習手段と、 前記学習値に基づき前記目標スロットル開度を補正する
    補正手段と、 前記学習実行時の前記フィードバック制御の制御ゲイン
    を自動変速機がN(ニュートラル)レンジにあるときに
    はD(ドライブ)レンジにあるときに比べて小さな値と
    する変更手段とを備えることを特徴とする内燃機関の吸
    入空気量制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009250089A (ja) * 2008-04-03 2009-10-29 Toyota Motor Corp 車載内燃機関の吸気系故障診断装置
JP2015090138A (ja) * 2013-11-07 2015-05-11 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
WO2019039107A1 (ja) * 2017-08-24 2019-02-28 日立オートモティブシステムズ株式会社 内燃機関制御装置

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