JP2000309834A - 車載用電気接点材料及びそれを用いた車載用リレー又はスイッチ - Google Patents

車載用電気接点材料及びそれを用いた車載用リレー又はスイッチ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ソレノイド負荷に対して小型化して使用する
場合でも耐消耗性が高く、且つ、ランプ負荷に対して使
用する際の耐溶着性を実用レベルで維持でき、次世代の
自動車制御におけるDC48V(DC42V)の直流負
荷にも十分に対応できる車載用電気接点材料を提供する
ことを目的としている。 【解決手段】 5〜10重量%のZnと、0.01〜
3.00重量%のCuと、残部Agとからなる合金を内
部酸化処理したもの、及び5〜10重量%のZnと、
0.01〜3.00重量%のCuと、さらに、0.01
〜0.50重量%のNiとを含有し、残部がAgとから
なる合金を内部酸化処理する車載用電気接点材料とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直流負荷に対応す
る電気接点材料に関するものであり、特に自動車搭載用
の誘導負荷に対して非常に優れた耐消耗性を有する開閉
接点及びそれを用いたリレー又はスイッチに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】電気回路を機械的に開閉する電気接触子
は、一般に電気接点と呼ばれる。この電気接点は、金属
と金属とが接触することで、接点に流れる電流・信号を
支障なく伝えることや、切り離した際に支障なく開離で
きるものでなければならない。
【0003】電気接点は、構造的に簡単なものではある
が、その接点表面では、物理的或いは化学的な種々の現
象を生じることが知られている。例えば、吸着、酸化、
硫化、有機化合物の合成、さらには、放電を伴う溶融、
蒸発、消耗、転移等が挙げられ、その現象は非常に複雑
なものであり、学問的にも未解明な部分が多いものであ
る。
【0004】これらの現象が発生すると、電気接点の接
触機能が阻害され、場合によっては接触機能が停止(例
えば、溶着)してしまい、電気接点を組み込んだ電気製
品等の性能や寿命を決定する。これは、電気接点が電気
製品等の寿命や性能を決定する重要な部品の一つである
ことを意味するものである。
【0005】近年、電子・電気工学の著しい発展に伴
い、電気接点の使用範囲は、電信電話や各種電子機器な
どの弱電分野から、大電流を遮断する電気機器などの強
電分野に至るまで広い範囲にわたっている。そのため、
要求される機能も千差万別で、使用目的にあわせた特性
を有する電気接点の開発が進められ、非常に多くの種類
のものが市場に供給されている。
【0006】このような電気接点のうち、本発明に関連
する自動車搭載用のリレーやスイッチについての従来技
術は下記に示す如きである。リレーやスイッチに組み込
まれる電気接触子は、いわゆる開閉接点と呼ばれ、この
開閉接点に用いられる電気接点材料には、特に、安定し
た開閉機構を維持するための耐消耗性や耐転移性、安定
した接触状態を維持するための低接触抵抗性が要求され
る。
【0007】これらの特性をバランスよく満足したもの
として、内部酸化処理をしたAg−CdO系の電気接点
材料が知られている。しかしながら、Cdは人体に有毒
な元素であり、昨今の環境問題等も影響して、その使用
は好まれていない。
【0008】自動車搭載用のリレー等に用いられている
ものであって、Cdを使用していないものは、Ag−C
u系(1〜15重量%のCuと残部Agとからなる合
金)、Ag−SnO系(5〜15重量%のSnO
残部Agとからなる合金)、Ag−SnO−In
系などの内部酸化処理した電気接点材料が知られてい
る。
【0009】これらの電気接点材料は、単独でそのまま
用いられることもあるが、下地層としてのCu又はCu
合金の上に積層した、二層乃至は三層張りのクラッドリ
ベット接点や、或いは、下地層としてのCu又はCu合
金の上に積層した、二層乃至は五層張りのクラッドクロ
スバー接点などに加工して使用されることが多い。この
クラッドリベット接点やクラッドクロスバー接点は、直
流、交流、インパルスなどの形で加えた電気信号により
コイル磁束を発生させ、その磁気力で可動鉄片を吸引す
ることで、可動鉄片の動きに応じて電気接点が開閉する
継電器、つまり、リレーに組み込まれて使用されてい
る。
【0010】このCdを使用しない従来の電気接点材料
は、自動車における直流負荷に対して、耐消耗性、耐転
移性、低接触抵抗性を実用的なレベルで満足したもので
あるが、次のような新たな問題が指摘されている。ま
ず、これらの電気接点材料が、小型化要求に対応した材
料ではないという点である。自動車の高機能・高性能化
に伴い、搭載する電気部品量が増加し、部品自体の小型
化が進行している。そのため、コスト的な面も考慮され
て、リレーやスイッチ自体の小型化が要望されているも
のの、従来の電気接点材料では、その小型化に対応しき
れないのである。
【0011】具体的には、自動車のヘッドライト負荷
(120W)に使用されるリレーでは、通常20万回以
上の開閉における耐久性を満たすようなリレー寿命が要
求される。しかし、従来の電気接点材料である、Ag−
Cu系のもの、Ag−SnO系のものを用いて、小型
化したリレーを構成すると(従来の大きさよりも電気接
点材料体積比で約1/2)、20万回より少ない開閉で
故障が生じるのである。
【0012】即ち、リレーの小型化を図るために、電気
接点材料の体積を小さくすると、導通・遮断時における
仕事量が材料単位体積で大きく増加してしまう結果、従
来のものでは材料自体の溶着現象が早期に発生するので
ある。
【0013】また、近年の自動車搭載用のリレーやスイ
ッチでは、小型化のほかにも、汎用化、長寿命化などの
改善要求もある。汎用化に関しては、突入電流の流れる
ランプ負荷(ヘッドライトランプ負荷やディスチャージ
ドランプ負荷)、抵抗負荷(リアデフォッガー負荷)、
さらに、アーク継続時間が長くなるソレノイド負荷(マ
グネットクラッチ負荷)など、多種類の負荷に対応し
て、汎用的に使用できる電気接点材料が求められてい
る。
【0014】そして、長寿命化に関しては、例えば、自
動車用エアコンの使用形態変化を代表例として考えられ
るが、従来にない電気製品の使用形態変化によって要望
されている。過去における自動車用エアコンは夏季のみ
の使用が普通であったが、現在はオートエアコンとなり
一年を通じて使用されることが殆どである。そのため、
リレーやスイッチの使用頻度は当然に増加するととも
に、使用期間も長期化し、それに対応できる開閉接点の
電気接点材料が求められている。
【0015】現在、一般的に使用されている自動車搭載
用リレーは、ISO(IternationalStandardization Or
ganization)リレー、ミニISOリレー、マイクロIS
Oリレーなどがあり、Ag−SnO系のもの、Ag−
SnO−In系のものを使用することで、かな
りの小型化を図ることは実現されている。しかしなが
ら、これらの電気接点材料でも、アーク継続時間が長く
なるソレノイド負荷(マグネットクラッチ)に使用する
と、耐消耗性に劣る傾向があり、汎用化、長寿命化とい
う点では満足できるものとはいえないのが現状である。
【0016】さらに、次世代自動車では、その制御にD
C48V(或いはDC42V)が想定されており、この
ような電圧値の高い直流負荷に対しても、実用的レベル
で使用可能な電気接点材料の開発が待ち望まれている状
況でもある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】以上のような事情を背
景として本発明はなされたものであり、本発明は、小型
化に対応でき、汎用的で且つ長寿命化が図れる車載用電
気接点材料を提供せんとするものである。より具体的に
は、小型にした場合であっても、ソレノイド負荷に対し
て耐消耗性が高く、且つ、ランプ負荷に対して使用する
際の耐溶着性を実用レベルで維持でき、さらには、次世
代の自動車制御に使用されるDC48V(DC42V)
の直流負荷にも対応可能となるような車載用電気接点材
料及びそれを用いた車載用リレー又はスイッチを提供す
ることを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者らは鋭意研究を重ね、次のような車載用電
気接点材料を見出すに至った。それは、まず、請求項1
に記載するように、5〜10重量%のZnと、0.01
〜3.00重量%のCuと、残部AgとからなるAg−
Zn−Cu合金を内部酸化した車載用電気接点材料であ
る。本発明では、Zn及びCuが所定量含有されたAg
系合金であって、それを内部酸化処理して得られたこと
に特徴がある。
【0019】請求項1に記載する車載用電気接点材料で
は、内部酸化処理によってZnOがAg中に微細分散す
るものであるが、Cuが添加されていることによって、
自動車搭載用の開閉接点として要求される特性を十分に
満足できるものとなるのである。
【0020】ZnOは、直流負荷における転移現象を防
止する働きを担うもので、ZnOの量が増加するほどに
転移現象の抑制効果は向上するものである。しかし、こ
のZnOは低接触抵抗性に対してマイナス的な要素とな
る性質も有している。本発明者らの研究によると、Zn
のみを含有することで内部酸化したAg−ZnO合金で
は、直流負荷での開閉動作を繰り返すと、接点表面にZ
nOが被膜として堆積する現象を確認している。その接
点表面を詳しく観察すると、アークによって損傷を受け
た接点表面部にZnOが層状となって存在しているのが
認められ、これが接触抵抗の増大を引き起こし、電気接
触子としての信頼性を著しく低下させることを突き止め
ている。
【0021】ところが、請求項1に記載する車載用電気
接点材料のようにCuが添加されていると、ZnOによ
る接触抵抗の増加現象を効果的に防止できることを見出
したのである。これは、添加されているCuがZnOに
固溶していることに起因すると推測している。Ag中
に、Zn及びCuを所定量含有して、内部酸化処理を行
うと、ZnOによる転移現象の防止機能は維持され、C
uの添加によって接触抵抗の増加につながる接点表面に
おけるZnOの被膜形成が抑制されるのである。
【0022】このような特徴を有する請求項1に記載の
車載用電気接点材料は、小型のリレーを構成するため
に、材料自体の体積を小さくしても、要求されるリレー
寿命を実用的なレベルで十分に満足できるのである。つ
まり、この請求項1に記載の車載用電気接点材料は、材
料単位体積あたりの仕事量が増加しても、十分な耐溶着
性を有しているのである。さらに、ランプ負荷及びアー
ク継続時間の長いソレノイド負荷(マグネットクラッチ
負荷)のどちらに対しても、実用的なレベルの性能を有
していることも判明したのである。
【0023】この請求項1に記載する電気接点材料にお
いて、Znは5〜10重量%、Cuは0.01〜3.0
0重量%の範囲で、Agに含有させた合金を内部酸化処
理がすることが好ましい。より好ましくは、Znが7〜
9重量%で、Cuが0.20〜0.50重量%の範囲で
あることが、ZnOとそれに固溶するCuとの相互の作
用が最も良好なものとなるからである。
【0024】Znが5重量%未満であると実用的なレベ
ルの耐転移性を維持することが難しくなり、10重量%
を越えると接触抵抗の増加現象が顕著となり、材料の加
工性が悪くなる。また、Cuが0.01重量%未満であ
ると、接点表面におけるZnOの堆積を抑制する効果が
なくなり、3.00重量%を越えるとCuOが接点表面
に堆積する傾向となり、逆に接触抵抗を増加させる。
【0025】この請求項1に記載の車載用電気接点材料
を用いる場合には、溶解鋳造したAg−Zn−Cu合金
を小片化して内部酸化処理した後、内部酸化された小片
を集め圧縮成形してビレットを形成し、そのビレットに
圧縮加工及び焼結処理を施し、そのビレットを押出加工
することによって、Ag中にZnOを均一に微細分散さ
せたものを用いることが好ましい。
【0026】本発明者らの研究により、溶解鋳造したA
g−Zn−Cu合金を小片化して内部酸化処理した後、
内部酸化された小片を集め圧縮成形してビレットを形成
し、そのビレットに圧縮加工及び焼結処理を施し、その
ビレットを押出加工すると、Ag中のZnOが、非常に
均一且つ微細に分散することを解明したためである。こ
のように均一且つ微細に、ZnOがAg中に分散してい
ると、自動車搭載用の開閉接点に用いる場合の車載用電
気接点材料としての特性が極めて優れたものになるから
である。
【0027】次に、請求項3に記載する本発明の車載用
電気接点材料は、5〜10重量%のZnと、0.01〜
3.00重量%のCuと、さらに、0.01〜0.50
重量%のNiとを含有し、残部がAgとからなる合金を
内部酸化したものである。
【0028】この請求項3の車載用電気接点材料は、請
求項1の組成へ、さらに、Ni、を含有させたものであ
り、請求項1の車載用電気接点材料と同様な特性を有す
るうえ、さらに、耐消耗性を向上されたものとなる。
【0029】Niは、一般的に、Ag−ZnO合金にお
いて内部酸化処理する際、ZnOを微細析出させるため
に、微量添加することは知られている。しかしながら、
本発明者らの研究によると、Zn及びCuを所定量含有
したAg合金に、Niを微量に添加して内部酸化処理を
行っても、ZnOが微細析出する現象は認められなかっ
た。
【0030】ところが、この請求項3の車載用電気接点
材料では、マグネットクラッチ負荷に対して使用する
と、耐消耗性が向上していることが判明したのである。
この特性は、Niの添加によるZnOの微細析出による
ものではなく、NiもCuとともにZnO中に固溶する
ために生じた効果と推測している。Fe、Coについて
も、Niと同様な効果を示し、これらを単独或いは混合
して添加しても、同様な効果が得られる。
【0031】この請求項3の車載用電気接点材料におい
ては、Znが5〜10重量%、Cuが0.01〜3.0
0重量%、Niが0.01〜0.50重量%、残部がA
gである組成のAg−Zn−Cu−Ni合金を内部酸化
処理することが好ましい。より好ましくは、Znが7〜
9重量%、Cuが0.20〜0.50重量%、Niが
0.05〜0.20重量%の範囲であることが、Zn
O、Cu及びNiとの複合的な作用が最もバランスのと
れた状態となる。
【0032】Niが0.01重量%未満であると耐消耗
性の効果が得られず、0.50重量%を越えると、Ni
が内部酸化処理前にAg合金中に偏析し、内部酸化後に
は粗大なNiO粒子となって析出し、接触抵抗の増加等
を引き起こすのである。Zn及びCuの含有範囲につい
ては、請求項1に記載の車載用電気接点材料で説明した
理由と同様の理由のため省略する。
【0033】この請求項3に記載の車載用電気接点材料
を用いる場合にも、溶解鋳造したAg−Zn−Cu−N
i合金を小片化して内部酸化処理した後、内部酸化され
た小片を集め圧縮成形してビレットを形成し、そのビレ
ットに圧縮加工及び焼結処理を施し、そのビレットを押
出加工することによって、Ag中にZnOを均一に微細
分散させたものを用いることが好ましい。 この場合に
おいても、ZnOが均一且つ微細に、Ag中へ分散する
ことになるため、自動車搭載用の開閉接点に用いる場合
の車載用電気接点材料としての特性が極めて優れたもの
になるからである。
【0034】請求項1から請求項4に記載する本発明の
車載用電気接点材料は上記する特性を有するため、これ
を電気接触子として使用して、車載用リレー又はスイッ
チを構成すると、リレー、スイッチ自体の小型化が可能
となり、様々な負荷条件に対応でき、且つ、長寿命なリ
レー又はスイッチとなるものである。さらには、次世代
の自動車制御に使用されるDC48V(DC42V)の
直流負荷にも対応可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態について、以
下に記載する実施例1〜9により説明する。実施例1〜
9は表1に示す組成の電気接点材料であり、表1中に記
載する従来例1〜2、比較例1〜2は、実施例との比較
のための電気接点材料を示している。
【0036】
【表1】
【0037】実施例1〜7及び比較例1〜2の電気接点
材料は、通常の高周波溶解炉を用い、各組成のAg合金
を溶製後インゴットに鋳造して、熱間押し出し加工によ
り、φ6mmの線材とした。続いて、その線材を700
℃で焼鈍しながらφ2mmまで引き延ばし加工を行い、
長さ2mmで切断することで、φ2mm×2mmLのチ
ップを作成した。そして、このチップを酸素圧5気圧、
温度800℃で48時間、内部酸化処理を行い、内部酸
化処理後のチップを集め、圧縮成型して、φ50mmの
円柱ビレットを形成した。
【0038】そして、この円柱ビレットを、円筒容器に
納め、円柱長手方向から圧力を加えることで、円柱ビレ
ットを圧縮加工した。この圧縮加工では、円柱ビレット
の側面が円筒容器によって拘束されているため、円柱長
手方向における変形は可能とされているが、それと垂直
方向になる円柱側面方向への変形はできないようにされ
ている。この圧縮加工に続いて、750℃、4時間の焼
結処理を行った。この圧縮加工及び焼結処理は、4回繰
り返して行った。
【0039】この圧縮加工及び焼結処理を施したビレッ
トは、熱間押し出し加工により、φ7mmの線材に形成
した(押出面積比約51:1)。続いて、線引き加工に
て直径2.3mmの線材とし、ヘッダーマシンによっ
て、頭径3.5mm、頭厚1mmのリベット接点を作成
した。
【0040】従来例1〜2の電気接点材料は、いわゆる
従来の内部酸化法によって製造したものであり、従来例
1は特開昭54−110124号公報に記載されるAg
−Sn系電気接点材料の製造方法に従って得られたもの
であり、従来例2は特開平9−134632号公報に記
載される電気接点材料の製造方法に従って得られたもの
である。これら従来例の電気接点材料も、上記実施例と
同形状のリベット接点に加工した。
【0041】本実施形態でのリベット接点の大きさは、
従来のリベット接点に比べ、 頭厚が小さく、体積的に
は従来の1/2程度のものである。これにより、材料の
単位体積あたりの、導通、遮断に対する仕事量は、従来
のリベット接点よりも大きくなり、小型化に対応した電
気接点材料であるかの判断が行えるものである。
【0042】以上で説明したリベット接点は、それぞれ
リレーに組み込まれ、表2に示す条件により耐久試験を
行った。この耐久試験は、実負荷の4倍に相当する加速
試験であり、最低でも4台以上のリレ-を使用して行
い、リレ-の故障が生じる耐久寿命開閉回数を測定し
た。表1に示す耐久試験結果は、各実施例、比較例、従
来例毎に耐久試験を行った結果を、ワイブル確率紙にプ
ロットし、ワイブル確立紙から読みとられる、累積故障
率5%における開閉回数を示したものである。このワイ
ブル確立紙から得られる累積故障率5%の開閉回数と
は、母集団がワイブル分布をなすと仮定したとき、全体
の5%が故障するまでの期待される開閉回数をいう。つ
まり、20台のリレーを試験した際、最初の1台目が故
障するであろう開閉回数ともいえ、この累積故障率5%
の開閉回数値が大きいほど、寿命を保証する上で良好な
ものと判断されるのである。
【0043】
【表2】
【0044】表1に示す耐久試験結果から本実施例の各
組成の電気接点材料は次のような特性を有することが判
明した。実施例1〜7における本実施例の電気接点材料
は、すべて20万回以上の耐久寿命を示すことが確認さ
れた。一方、従来例又は比較例のものでは、20万回未
満の開閉回数で故障し、小型化すると実用的なレベルの
特性を有しないことが確認された。さらに、このような
体積あたりの仕事量が増加した負荷状態においても、本
実施例は実用的な性能レベルを維持している結果、将来
的に使用が予定されているDC48V(或いはDC42
V)にも対応できるものと考えられる。
【0045】
【発明の効果】本発明に係る直流負荷用電気接点材料
は、接触抵抗が低く、特に自動車搭載用のマグネットク
ラッチ負荷での耐消耗性に優れ、電気接点としての寿命
を大幅に引き延ばすことが可能となる。また、耐消耗性
に優れるため絶縁劣化も引き起こしにくく、自動車搭載
に使用する直流負荷用電気接点材料として好適なもので
ある。さらに、直流負荷による種々のリレー又はスイッ
チに対応できる汎用性の高いものであり、次世代自動車
の制御に使用されるDC48V(或いはDC42V)に
も対応できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 草森 裕之 神奈川県平塚市新町2番73号 田中貴金属 工業株式会社技術開発センター内 (72)発明者 松沢 修 神奈川県平塚市新町2番73号 田中貴金属 工業株式会社技術開発センター内 (72)発明者 高橋 昌宏 神奈川県平塚市新町2番73号 田中貴金属 工業株式会社技術開発センター内 (72)発明者 山本 俊哉 神奈川県平塚市新町2番73号 田中貴金属 工業株式会社技術開発センター内 Fターム(参考) 5G050 AA01 AA13 AA29 AA30 AA53 BA05 BA12 CA01 DA01 EA01 EA02 EA03 EA13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5〜10重量%のZnと、0.01〜
    3.00重量%のCuと、残部AgとからなるAg−Z
    n−Cu合金を内部酸化した車載用電気接点材料。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載する車載用電気接点材料
    であって、溶解鋳造したAg−Zn−Cu合金を小片化
    して内部酸化処理した後、内部酸化された小片を集め圧
    縮成形してビレットを形成し、そのビレットに圧縮加工
    及び焼結処理を施し、そのビレットを押出加工すること
    によって、Ag中にZnOを均一に微細分散させたもの
    である車載用電気接点材料。
  3. 【請求項3】 5〜10重量%のZnと、0.01〜
    3.00重量%のCuと、0.01〜0.50重量%の
    Niとを含有し、残部がAgとからなるAg−Zn−C
    u−Ni合金を内部酸化した車載用電気接点材料。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載する車載用電気接点材料
    であって、溶解鋳造したAg−Zn−Cu−Ni合金を
    小片化して内部酸化処理した後、内部酸化された小片を
    集め圧縮成形してビレットを形成し、そのビレットに圧
    縮加工及び焼結処理を施し、そのビレットを押出加工す
    ることによって、Ag中にZnOを均一に微細分散させ
    たものである車載用電気接点材料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4に記載の車載用電気接点材
    料を電気接触子として使用するものである車載用リレー
    又はスイッチ。
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CN1300813C (zh) * 2003-10-10 2007-02-14 田中贵金属工业株式会社 高电压负荷用开关装置
CN102876912A (zh) * 2012-09-07 2013-01-16 重庆川仪自动化股份有限公司 原位生成弥散强化化合物的银基滑动电接触材料
WO2021049469A1 (ja) * 2019-09-13 2021-03-18 田中貴金属工業株式会社 直流高電圧リレー及び直流高電圧リレー用の接点材料
CN114737079A (zh) * 2022-04-20 2022-07-12 浙江国菱合金科技有限公司 一种银铜镍合金石粉制备触头材料及小型断路器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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