JP2000304897A - 放射性ヨウ素消滅用ターゲット作成方法 - Google Patents

放射性ヨウ素消滅用ターゲット作成方法

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JP2000304897A
JP2000304897A JP11114355A JP11435599A JP2000304897A JP 2000304897 A JP2000304897 A JP 2000304897A JP 11114355 A JP11114355 A JP 11114355A JP 11435599 A JP11435599 A JP 11435599A JP 2000304897 A JP2000304897 A JP 2000304897A
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Michitaka Mikura
通孝 三倉
Masaaki Kaneko
昌章 金子
Fumio Hirayama
文夫 平山
Nobuyuki Ikenaga
信之 池永
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Toshiba Engineering Corp
Toshiba Corp
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Toshiba Engineering Corp
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】原子力施設から発生する放射性ヨウ素を含む銀
吸着材からヨウ素を揮発させることなく溶液中に回収
し、沈殿反応を利用して放射性ヨウ素消滅用ターゲット
を作成する。 【解決手段】放射性ヨウ素を多く含んでいる使用済の銀
吸着材からヨウ素で液中に回収するために銀を還元する
還元剤を添加する。還元剤添加後、固液分離を行い、ヨ
ウ素を固相から脱離させた溶液を回収し、その後、溶液
中に残存する余剰還元剤の酸化処理を行う。つぎに、ヨ
ウ素イオンと不溶性化合物を作成し易い金属イオン(C
2+,Pb2+,Bi3+等)を添加し、沈殿生成させてヨ
ウ素消滅用ターゲットとする。これによりターゲット作
成のためのヨウ素を揮発させることなく溶液中に安全に
処理できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電所、核
燃料再処理工場などの原子力施設から発生する廃棄物中
に含まれる長半減期核種のI-129 (半減期1.57×10
7 年)を回収し、これを軽水炉、高速炉、材料試験炉等
(以下原子炉)の熱中性子、熱外中性子、高速中性子を
発生させる原子炉施設において、中性子照射により消滅
させるために用いる固体状ターゲットの作成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】原子力施設から発生する廃棄物の内、現
在最終処分(埋設)が事業化されているものは、日本原
燃の六カ所低レベル放射性廃棄物埋設センターに受け入
れられる原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄
物のみである。この処分場は、処分場の深度から、浅地
中埋設処分の施設と分類される。
【0003】このうち廃棄物中のヨウ素濃度は2.78×10
5 Bq/ton 以下と制限されており、他の放射能濃度の
制限を受けている核種のうち、最も低い値が取られてい
る。放射能濃度制限値を越える濃度を持つ廃棄物は現状
最終処分ができない。このような廃棄物については、現
在事業化に向け、深度100 m以上の地層処分を前提とし
た処分方策が検討されている最中である。
【0004】I-129 を含む廃棄物を地層処分した場合、
ヨウ素の化学的性質と、I-129 の半減期から、人工バリ
ア及び天然バリアでの遅延による放射能の減衰はほとん
ど期待できない。このため、I-129 に起因する処分後の
安全性を高めるためには、処分深度を深くする必要があ
り、施設の経済的負担は大きくなると考えられる。
【0005】我国では、日本原燃の核燃料再処理工場
が、21世紀初頭に本格的な運転開始に向け現在建設中で
ある。核燃料再処理施設では、燃料被覆管中に閉じ込め
られていた核燃料物質や核燃料物質の中性子核反応によ
り生じる核分裂生成物を、燃料要素を剪断溶解すること
により開放する。この際、核分裂生成物のうち、気体状
のものは廃ガス処理系に移行する。
【0006】特に、長半減期の放射性同位体を含むヨウ
素についてはオフガス系で銀化合物を用いた吸着材(銀
シリカゲル、銀ゼオライト等)や活性炭等で除去される
処置がとられている。ここで発生する廃棄物は、現在運
転している前記放射性廃棄物の処分施設では、最大放射
能濃度の制限から受け入れられず、現在最終処分が出来
ない廃棄物となる可能性が高い。
【0007】前述のように原子力施設(特に核燃料再処
理施設)から発生するI-129 を含むヨウ素廃棄物は、最
終処分することが困難な状況にあることから、I-129 核
種そのものを核変換しその放射能を低減する必要があ
る。
【0008】この方法として原子炉等の中性子を利用
し、I-129 (n,γ)I-130 ,I-129(n,γ)I-130
m,I-129 (n,2n)I-128 に代表される中性子核反
応により、より半減期の短い核種に変換する方法が考え
られる。
【0009】しかしながら、ヨウ素は元素として化学的
反応性が強く、揮発性を有することから人体に与える影
響も大きいため、その取り扱いに多大の注意を払う必要
がある。このため、原子炉等で中性子照射する場合には
よりヨウ素を安定化させた状態で照射する必要がある。
【0010】また、今後運転開始される再処理工場やそ
の他の原子力施設から発生するI-129 を含む様々な廃棄
物に適用するためには、様々な形態の廃棄物から化学的
にヨウ素を単離できるような回収方法を創案する必要が
ある。
【0011】例えば特開平5−40198 号公報には、活性
炭に吸着したI-129 を含むヨウ素を化学的または物理的
方法によってヨウ素単体として回収し、石英またはジル
コニウム管内に封入した後、熱中性子炉で照射し消滅処
理する技術が開示されている。また、特開平10−48390
号公報には原子力施設から発生する廃棄物からのヨウ素
の回収方法についての技術が開示されている。さらに、
特開平10-62593号公報には再処理工程の中でのヨウ素の
回収方法及び希土類のヨウ化物を作成する方法等の技術
が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、I-129
を消滅させるための従来のターゲットの作成方法には、
いずれの場合も廃棄物からガスとしてI-129 を分離する
ものが多く、ターゲットを作成する際、放射性ガスを取
り扱うことになるものがほとんどで、施設安全上放射性
ガスを取扱うなどの課題がある。
【0013】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、再処理工場から発生するI-129 を選択的に吸
着している使用済みの銀吸着材から、I-129 消滅用ター
ゲットを作成する際のヨウ素脱離操作を溶液中ですべて
行い、また、ターゲットとしてヨウ素化合物であるヨウ
化銅、ヨウ化鉛等を液体または固体で作成し、さらに、
ターゲット作成のためにヨウ素を揮発させることなく溶
液中に安全に処理できる放射性ヨウ素(I-129 )消滅用
ターゲット作成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決させるための手段】請求項1に対応する発
明は、放射性ヨウ素(I-129 )を含む銀吸着材を溶液中
に浸漬してヨウ素脱離した後、固液分離して前記放射性
ヨウ素(I-129 )を含む液体を回収することを特徴とす
る。
【0015】請求項1の発明によれば、長半減期核種で
あるI-129 (半減期1.57×107 年)を軽水炉、高速炉、
材料試験炉等(以下原子炉)の熱中性子、熱外中性子、
共鳴中性子、高速中性子を発生させる施設において、こ
れらの中性子照射により半減期の短い核種に核変換させ
る際に用いる固体状ターゲットを、溶液中の操作により
作成することができる。
【0016】請求項2に対応する発明は、前記溶液はヨ
ウ化銀として、前記銀吸着材中に含むヨウ素を、還元剤
を添加することにより銀をI価から0価に還元してAg
とし、前記溶液中に前記ヨウ素をヨウ素イオンとして溶
解させる溶液からなることを特徴とする。
【0017】請求項2の発明によれば、再処理工場より
発生する廃棄物の中で最もI-129 が濃縮されている廃棄
物であるヨウ素吸着用の使用済み銀吸着材からまず溶液
中にI-129 を回収するため、還元剤を添加することによ
り使用済みの銀吸着材中にAgIとして保持されている
I-129 を、Agを還元させることでI-129 をヨウ素イオ
ンとして溶液中に脱離させることができる。
【0018】請求項3に対応する発明は、前記還元剤
は、硫化ナトリウム,チオ硫酸ナトリウム、不安定な水
素の化合物(HI,H2 Sなど)、一酸化炭素、亜硫酸
および亜硫酸塩、アルカリ金属、マグネシウム、カルシ
ウム、亜鉛、鉄のII価およびスズの塩、ギ酸、シュウ酸
などの有機物から選択される少なくとも一種からなるこ
とを特徴とする。
【0019】請求項3に記載の発明によれば、具体的な
還元剤として、硫化ナトリウム,チオ硫酸ナトリウム、
不安定な水素の化合物(HI,H2 Sなど)、一酸化炭
素、亜硫酸および亜硫酸塩、アルカリ金属、Mg、C
a、Znの金属、鉄の二価およびSnの塩並びにギ酸、
シュウ酸などの有機物のいずれかを使用することで、ヨ
ウ素の溶液中への脱離を達成することができる。
【0020】請求項4に対応する発明は、前記還元処理
を2回以上繰り返すことを特徴とする。請求項4の発明
によれば、還元処理に関し、ヨウ素の溶液への回収率を
向上させるため、還元処理を2回以上繰り返すことで、
毒性の高いI-129 を99%以上溶液中に回収することがで
きる。
【0021】請求項5に対応する発明は、放射性ヨウ素
(I-129 )を含む銀吸着材を溶液中に浸漬してヨウ素脱
離した後、固液分離して前記放射性ヨウ素(I-129 )を
含む液体を回収し、つぎに前記液体にカウンター金属イ
オンを添加してヨウ化物を沈殿生成した後、固液分離し
て前記放射性ヨウ素(I-129 )を含む固形物を固体状タ
ーゲットとして回収することを特徴とする。
【0022】請求項5の発明によれば、I-129 を吸着し
ている銀吸着材からI-129 を溶液中に回収する際に発生
する固体物質(生成した銀の沈殿物および、銀吸着材の
構成材料であるシリカゲル、アルミナ、ゼオライト等)
を除去することができる。
【0023】請求項6に対応する発明は、前記固液分離
して前記放射性ヨウ素(I-129 )を含む固形物を洗浄
し、再度固液分離して固体状ターゲットとすることを特
徴とする。請求項6の発明によれば、固液分離後の固体
に関し、水などを再度添加した後、固体を洗浄し、さら
に固液分離を行うことによりヨウ素の回収率を向上でき
る。
【0024】請求項7に対応する発明は、前記ヨウ素脱
離した後の前記放射性ヨウ素(I-129 )を含む溶液を固
液分離する際に前記溶液を中性からアルカリ性に変換す
ることを特徴とする。請求項7の発明によれば上記の操
作を行う際、I-129 の気体中への放出が懸念されるが、
使用する溶液の液性を中性からアルカリ性として操作を
行うことによりヨウ素のガス中への揮発を防止すること
ができる。
【0025】請求項8に対応する発明は、放射性ヨウ素
(I-129 )を吸着している銀吸着材を銀の還元剤を添加
した溶液中に浸漬して放射性ヨウ素(I-129 )を前記溶
液中に脱離させ、還元された銀の沈殿物を除去した後、
前記溶液中に銅、鉛、ビスマス等の硫酸塩、硝酸塩、塩
化物等を添加して前記溶液中のヨウ素イオンを沈殿させ
て固体として回収することを特徴とする。
【0026】請求項8の発明によれば、溶液中のヨウ素
イオンを沈殿させ固体として回収できる。また、照射中
の物性の変化を最小限にすることができ、熱的安定性を
秤、ヨウ素の回収効率を向上できる。
【0027】請求項9に対応する発明は、前記銀の還元
剤にH2 SまたはNa2 Sを使用する際、予め前記溶液
中の硫化物イオンを酸化剤により硫酸イオンに酸化させ
ることを特徴とする。
【0028】請求項9の発明によれば、還元剤に硫化物
イオン(S2-)を使用した場合に起きる現象、つまりヨ
ウ素を沈殿させる際に添加した金属イオンが硫化物とし
て沈殿する現象を避ける効果がある。硫化物沈殿が生じ
た場合は目的とするヨウ化物のターゲットに硫化物が混
入することになるが、これを防止できる。
【0029】請求項10に対応する発明は、前記溶液中に
残存する硫化物イオンの酸化剤として残存硫化物イオン
を酸化させることを特徴とする。請求項10の発明によれ
ば、請求項9の具体的な試薬としてオゾン、酸素ガスの
通気、過酸化水素などを使用し、金属元素を使用しない
ことにより、金属元素の廃棄物の発生量を減少させる効
果がある。
【0030】請求項11に対応する発明は、前記溶液中に
沈殿した不溶性化合物をろ過処理して固液分離すること
を特徴とする。請求項11の発明によれば、沈殿として生
成させたターゲットを回収する方法において、沈降分離
や遠心分離などに比較してろ過方法は簡便で優れる効果
がある。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明に係る放射性ヨウ素(I-12
9 )消滅用ターゲット作成方法の実施の形態の基本的な
フローを図1により説明する。図1中、符号1は廃銀吸
着材で、この廃銀吸着材1は原子力発電所、核燃料再処
理工場などの原子力施設から発生する廃棄物中に含まれ
る長半減期核種の放射性ヨウ素(I-129 )(半減期1.57
×107 年)を含み、硝酸銀がゼオライト,シリカゲル,
アルミナ等の媒体に添着されているオフガス系処理機器
に用いられる材料である。ガス(高温)の反応によりガ
ス中のヨウ素がヨウ化銀となり、媒体に吸着させる機能
を有している。
【0032】廃銀吸着材1を溶液中に浸漬してヨウ素脱
離を行う。つまり、溶液は基本的にAgIとして、廃銀
吸着材1中に含むヨウ素を、還元剤を添加することで、
銀をI価からO価に還元させ、Agとし、溶液中にI
(ヨウ素イオン)として溶解させる還元処理を行う。
【0033】つぎにヨウ素脱離2した溶液を固液分離3
して固相4と液相5に分離する。固相4にはシリカゲル
等の媒体とヨウ化銀(AgI)が、液相5にはヨウ素イ
オン(I- )が含まれる。液相5中に存在する余剰の還
元剤を酸化するために余剰還元剤酸化6を必要により行
う。
【0034】これと合わせてCu,Pb,Bi等の金属
を添加するターゲット作成のカウンターイオン添加7を
行い、ヨウ化物を沈殿生成8する。ヨウ化物の沈殿生成
8の後に再度、固液分離9し、固相4を乾燥粉体化10
し、ターゲット容器に充填11して最終的に固体状ターゲ
ット12を作成する。
【0035】ここで、図1に示すフローでは請求項1〜
4までの発明は液体状ターゲットを対象とするものであ
り、請求項5〜11までは固体状ターゲットを対象とする
ものであるが、請求項1〜4までの発明をさらに固形化
処理して固体状ターゲットに変換することもできること
は言うまでもない。
【0036】なお、放射性ヨウ素(I-129 )を消滅させ
る場合は前述したように、軽水炉、高速炉、材料試験炉
等(以下、原子炉)の熱中性子、熱外中性子、高速中性
子を発生させる原子炉施設において、中性子照射により
消滅させる。この場合使用するターゲットは、照射中の
物性変化を最小限とする必要性があり、熱的安定性が重
要となる。また、ターゲットを作成する際の化合物とし
てはヨウ素と化合する相手の元素の核的性質も重要とな
る。
【0037】上記の基準として、軽水炉を例に取れば化
合物の融点が300 ℃以上で、かつ単体(金属)の融点も
300 ℃以上であることが望ましい。また、中性子照射に
より生成する二次生成核種の有害性を低減させる基準と
して熱中性子吸収断面積が10バーン未満、生成核種の半
減期が100 日以下のものが望ましいと考えられる。
【0038】これらの基準を満足するものを、表1から
表4に示す。本発明での操作はすべて溶液中で行い、か
つ簡便な施設での操作を基準としているため、最終的に
ターゲット化合物は溶解度積が小さいもの(沈殿生成に
よりターゲット作成可能なもの)を選択する。なお、表
1から表4は適用し得るヨウ素消滅用ターゲット材の概
略特性を示している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】すなわち、Cu,Pb,Bi等のヨウ化物
をターゲットとし、これを生成させる方法である。な
お、この時、ターゲットを効率よく作成するため、溶液
中に硫化物イオンが残存する場合は、予め溶液中の硫化
物イオンをオゾンガスの吹き込み等酸化剤により硫酸イ
オンに酸化させることが重要となる。つぎに本発明に係
る放射性ヨウ素(I-129 )消滅用ターゲット作成方法の
具体的な実施例を説明する。
【0044】(実施例1)この実施例1は再処理工場か
ら発生する廃銀吸着材から銀を還元させることで、溶液
中にヨウ素を回収できることを説明するものである。
【0045】模擬廃銀吸着材1g(銀シリカゲル使用、
ヨウ素の形態は銀シリカゲル中のAgNO3 を50%Ag
Iに置換したもの)を、Na2 S濃度1000ppm(0.01g)
の溶液10mlと電解鉄粉0.1 gを含んだ溶液10mlにそれぞ
れ浸漬した。反応温度は25℃で、反応後、0.45μmフィ
ルターろ過によって固液分離を行い、液相中のヨウ素濃
度をICP発光分析で測定し、下記式を用いヨウ素脱離
率を算出した。
【0046】 ヨウ素脱離率(%)=Cl /C0 ×100 (式1) Cl (mg):浸漬後の液相総ヨウ素量 C0 (mg):初期廃銀吸着材中の総ヨウ素量(廃銀吸着材
1g中に総ヨウ素量は122.6 mg)
【0047】Na2 S(1000ppm )の場合には反応時間
によらず、ヨウ素脱離率は15%程度であった。また、電
解鉄粉の場合には1週間では、ヨウ素脱離率は3%程度
であるが、10日後ではヨウ素脱離率が17%程度に上昇し
た。
【0048】(実施例2)この実施例2はヨウ素を溶液
中に効果的に回収するため、還元剤の量を説明するため
のものである。
【0049】実施例1で使用した模擬廃銀吸着材1g
を、Na2 S濃度1000ppm の溶液10ml、100 ml、120 ml
にそれぞれ浸漬した。温度は25℃、反応時間は24時間。
反応後、0.45μmフィルターろ過によって固液分離を行
った。液相中のヨウ素濃度はICP発光分析の測定から
求め、ヨウ素脱離率は上記の(式1)から算出した。
【0050】溶液添加量に対するヨウ素の脱離率を表5
に示す。表から、溶液量が多くなるに従い、ヨウ素脱離
率が増加することが認められる。溶液添加量を10倍とし
た場合には、ヨウ素脱離率は2倍程度に増加することが
明らかである。
【0051】
【表5】
【0052】(実施例3)この実施例3はヨウ素を溶液
中に効果的に回収するため、還元剤(Na2 S)の濃度
を説明するためのものである。
【0053】実施例1で使用した模擬廃銀吸着材1g
を、Na2 S濃度を100 〜10000ppmに調製した溶液10ml
に浸漬した。温度は25℃、反応時間は1時間。反応後、
0.45μmフィルターろ過によって固液分離を行った。液
相中のヨウ素濃度はICP発光分析の測定から求め、ヨ
ウ素脱離率は上記の(式1)から算出した。
【0054】還元剤(Na2 S)濃度に対するヨウ素の
脱離率を表6に示す。表6から明らかなように還元剤の
Na2 S濃度が5000ppm までは、ヨウ素脱離率増加する
が、5000ppm 以上ではほとんど変わらないことが認めら
れる。
【0055】
【表6】
【0056】(実施例4)この実施例4はヨウ素を溶液
中に効果的に回収するため、還元剤の反応時間および温
度を説明するためのものである。
【0057】模擬廃銀吸着材として、銀吸着材にヨウ素
を飽和吸着させたものを用い、模擬廃銀吸着材1gに対
し、Na2 S濃度5000ppm の溶液10mlに浸漬した。反応
温度は25、60、80℃とした反応時間は24時間とした。な
お、80℃の場合のみ、反応時間を1時間、7時間とした
場合についても浸漬を行った。浸漬後、0.45μmフィル
ターろ過によって固液分離を行った。液相中のヨウ素濃
度はICP発光分析の測定から求め、ヨウ素脱離率は上
記項目で用いた式から算出した。
【0058】浸漬温度に対するヨウ素脱離率を表7に示
す。表7から反応温度が高くなることによって、ヨウ素
脱離率を増加できることがわかる。ただし、反応時間が
長くなってもヨウ素脱離率にほとんど変化がない。
【0059】
【表7】
【0060】(実施例5)この実施例5は銀の還元反応
を繰り返してヨウ素を溶液中に効果的に回収できること
を説明するためのものである。
【0061】実施例4で使用したものと同じ模擬廃銀吸
着材を用い、模擬廃銀吸着材1gをNa2 S濃度5000pp
m の溶液10mlに浸漬した。反応温度は80℃、反応時間は
1hrとし、反応後、0.45μmフィルターろ過によって固
液分離を行った。固液分離後得た固相をさらに新たなN
2 S濃度5000ppm の溶液10mlに浸漬した。この操作を
1〜5回繰り返し、液相中のヨウ素濃度をICP発光分
析の測定から求め、ヨウ素脱離率は上記項目で用いた式
から算出した。
【0062】浸漬回数に対するヨウ素の脱離率及び回収
溶液中のヨウ素濃度を表8に示す。表8から繰り返し回
数が3回以上で廃銀吸着材中のヨウ素が完全に脱離でき
ることが認められた。繰り返し回数が3回でヨウ素脱離
率は100 %になるが、3回目以降の回収溶液中にもヨウ
素が存在していた。
【0063】
【表8】
【0064】(実施例6)この実施例6は固体を洗浄す
ることで完全にヨウ素を溶液中に回収できることを説明
するためのものである。
【0065】実施例5で使用した3回のヨウ素脱離で得
た固体を10mlの純水で洗浄した。洗浄後得られた溶液中
のヨウ素濃度を測定し、ヨウ素の除染係数を測定した。
なお、除染係数を算出する式は DF=C0 /C1 (式2) C0 :初期廃銀吸着材中の総ヨウ素量 C1 :洗浄後の廃銀吸着材中の総ヨウ素量 を用いた。
【0066】浸漬回数に対するヨウ素の除染係数(ヨウ
素脱離3回サンプル)結果を表9に示す。表9から、洗
浄回数4回でDF1×106 以上が達成できることが認め
られる。ここで用いた模擬廃銀吸着材の基材であるシリ
カゲルが吸水性に富んでいるため、脱離したヨウ素を含
む溶液を100 %脱水することができなかったと考えられ
る。このため、ヨウ素を脱離した後の廃銀吸着材の基材
の中にヨウ素が残存している溶液が残る。これを解消す
るためヨウ素脱離後に洗浄することは回収率を高める有
効な手段であることが本実施例で示された。
【0067】
【表9】
【0068】(実施例7)この実施例7はヨウ化金属化
合物(実施例ではヨウ化銅)を作成する際に還元時に使
用した余剰の還元剤試薬の妨害防止にオゾンガスなどの
吹き込みが有効な作用を起こし、確実にターゲットの作
成を行うことができることを説明するためのものであ
る。
【0069】実施例2で得られた溶液にオゾンガスを吹
き込んだ溶液及びオゾンガスを吹き込んでいない溶液の
2種類に、硫酸銅溶液を添加した。オゾンガスの吹き込
み時の溶液温度は25℃、吹き込み時間2時間とした。吹
き込んだオゾンガスのオゾン濃度は1000ppm で、流量は
0.2 L/min とした。
【0070】オゾンガスを吹き込まない場合は褐色の沈
殿が生じた。一方、オゾンガスを吹き込んだ場合は白色
の沈殿が回収できた。この白色の沈殿のX線回折を実施
した結果を図2に示す。図2から白色の沈殿物はヨウ化
銅であることを確認できた。すなわち、図2中AはCu
IのX線パターンと一致しているものを示し、図中の2
段目のピークは測定したパターンをピーク解析した結
果、顕著に現れているピークを示し、3段目はX線回折
のライブラリーに記載されている標準的なCuIのX線
回折ピークである。
【0071】上記各実施例によれば、再処理工場から発
生する廃銀吸着材から溶液中にヨウ素を効率よく回収す
るため、本実施例で提示している方法で ・還元剤の添加による銀の還元及びヨウ素の脱離 ・ヨウ素回収率向上のための、銀の還元反応を繰り返し
及び固体の洗浄 ・銀還元時に使用した余剰の還元剤を酸化することで、
確実にターゲット材を作成することができるなどの効果
がある。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、原子力発電所、核燃料
再処理工場などの原子力施設から発生する銀吸着材廃棄
物の中に含まれる長半減期核種のI-129 (半減期1.57×
107 年)を溶液中に、I-129 を揮発させることなく回収
し、液体状または固体状ターゲットを溶液中の反応で作
成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放射性ヨウ素(I-129 )消滅用タ
ーゲット作成方法の実施の形態を説明するためのフロー
図。
【図2】本発明の実施例7におけるヨウ化銅ターゲット
のX線回折図。
【符号の説明】
1…廃銀吸着材、2…ヨウ素脱離、3…固液分離、4…
固相、5…液相、6…余剰還元剤酸化、7…ターゲット
作成のカウンターイオン添加、8…ヨウ化物沈殿生成、
9…固液分離、10…乾燥粉体化、11…ターゲット容器に
充填、12…ターゲット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G21F 9/00 B09B 3/00 304L 9/10 5/00 ZABT (72)発明者 金子 昌章 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 平山 文夫 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 池永 信之 神奈川県川崎市幸区堀川町66番2 東芝エ ンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 4D004 AA16 AA47 AB09 BA10 CA13 CA34 CA35 CA36 CA37 CA40 CA42 CC11 4D017 AA20 BA15 CA05 4D050 AA13 AB65 BA02 BA04 BA05 BA06 BA07 BA12 BA14 BC01 BD08 CA13 CA15

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射性ヨウ素を含む銀吸着材を溶液中に
    浸漬してヨウ素脱離した後、固液分離して前記放射性ヨ
    ウ素を含む液体を回収することを特徴とする放射性ヨウ
    素消滅用ターゲット作成方法。
  2. 【請求項2】 前記溶液は、ヨウ化銀として、前記銀吸
    着材中に含むヨウ素を、還元剤を添加することにより銀
    を1価から0価に還元してAgとし、前記溶液中に前記
    ヨウ素をヨウ素イオンとして溶解させる還元性溶液から
    なることを特徴とする請求項1記載の放射性ヨウ素消滅
    用ターゲット作成方法。
  3. 【請求項3】 前記還元剤は、硫化ナトリウム,チオ硫
    酸ナトリウム、不安定な水素の化合物、一酸化炭素、亜
    硫酸および亜硫酸塩、アルカリ金属、マグネシウム、カ
    ルシウム、亜鉛、鉄の2価およびスズの塩、ギ酸、シュ
    ウ酸から選択される少なくとも一種からなることを特徴
    とする請求項2記載の放射性ヨウ素消滅用ターゲット作
    成方法。
  4. 【請求項4】 前記還元処理を2回以上繰り返すことを
    特徴とする請求項2記載の放射性ヨウ素消滅用ターゲッ
    ト作成方法。
  5. 【請求項5】 放射性ヨウ素を含む銀吸着材を溶液中に
    浸漬してヨウ素脱離した後、固液分離して前記放射性ヨ
    ウ素を含む液体を回収し、つぎに前記液体にカウンター
    金属イオンを添加してヨウ化物を沈殿生成した後固液分
    離して前記放射性ヨウ素を含む固形物を固体状ターゲッ
    トとして回収することを特徴とする放射性ヨウ素消滅用
    ターゲット作成方法。
  6. 【請求項6】 前記固液分離して前記放射性ヨウ素を含
    む固形物を洗浄し、再度固液分離して固体状ターゲット
    とすることを特徴とする請求項5記載の放射性ヨウ素消
    滅用ターゲット作成方法。
  7. 【請求項7】 前記ヨウ素脱離した後の前記放射性ヨウ
    素を含む溶液を固液分離する際に、前記溶液を中性から
    アルカリ性に変換することを特徴とする請求項1ないし
    5記載の放射性ヨウ素消滅用ターゲット作成方法。
  8. 【請求項8】 放射性ヨウ素を吸着している銀吸着材を
    銀の還元剤を添加した溶液中に浸漬して放射性ヨウ素を
    前記溶液中に脱離させ、還元された銀の沈殿物を除去し
    た後、前記溶液中に塩を添加して前記溶液中のヨウ素イ
    オンを沈殿させて固体として回収することを特徴とする
    放射性ヨウ素消滅用ターゲット作成方法。
  9. 【請求項9】 前記銀の還元剤にH2 SまたはNa2
    を使用する際、予め前記溶液中の硫化物イオンを酸化剤
    により硫酸イオンに酸化させることを特徴とする請求項
    8記載の放射性ヨウ素消滅用ターゲット作成方法。
  10. 【請求項10】 前記溶液中に残存する硫化物イオンの
    酸化剤として残存硫化物イオンを酸化させることを特徴
    とする請求項9記載の放射性ヨウ素消滅用ターゲット作
    成方法。
  11. 【請求項11】 前記溶液中に沈殿した不溶性化合物を
    ろ過処理して固液分離することを特徴とする請求項8記
    載の放射性ヨウ素消滅用ターゲット作成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110462751A (zh) * 2017-04-03 2019-11-15 三菱重工业株式会社 用于核素转换反应的构造体的评价方法、评价装置、具备其的构造体的制造装置以及核素转换系统
CN110462751B (zh) * 2017-04-03 2023-01-24 三菱重工业株式会社 用于核素转换反应的构造体的评价方法、评价装置、具备其的构造体的制造装置以及核素转换系统

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