JP2000302979A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2000302979A
JP2000302979A JP11259699A JP11259699A JP2000302979A JP 2000302979 A JP2000302979 A JP 2000302979A JP 11259699 A JP11259699 A JP 11259699A JP 11259699 A JP11259699 A JP 11259699A JP 2000302979 A JP2000302979 A JP 2000302979A
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melt
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glass transition
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Toshio Ohama
俊生 大浜
Kenichi Suzuki
謙一 鈴木
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融張力が著しく増大した熱可塑性樹脂組成
物を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂([A])99.999〜
95重量%および下記(a),(b)を満足する非結晶
性の熱可塑性樹脂([B])0.001〜5重量%から
なり、下記(c)を満足する熱可塑性樹脂組成物。 (a)[B]のガラス転移温度は、[A]の融点または
ガラス転移温度よりも高い。(b)[B]の定常流剪断
粘度(以下、ηs(B)と記す)と[A]の定常流剪断
粘度(以下、ηs(A)と記す)との比、ηs(A)/
ηs(B)が0.05〜150。(c)[A]と[B]
からなる熱可塑性樹脂組成物の伸長粘度の非線形パラメ
ーター(以下、λBlendと記す)と[A]の伸長粘
度の非線形パラメーター(以下、λAと記す)との比、
λBlend/λAが1.2以上。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物に関するものである。さらに詳しくは、各種の熱可塑
性樹脂を成形加工する際に、良好な加工特性を実現する
上で必要となる融体の溶融張力が著しく増大した熱可塑
性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、熱可塑性樹脂は、その製品形態で
あるペレットや粉体に種々の成形加工を施して製品とな
り、使用される。そして、この成形加工は、特別な場合
を除いて、熱可塑性樹脂を融体、すなわち流動できる状
態にして行われる。この際、この融体がある程度の大き
さの溶融張力を有するものでないと、成形法によって
は、成形が行いにくかったり、成形できる条件幅が狭く
なったり、場合によっては成形できないことがある。そ
して、熱可塑性樹脂の成形加工は、このような溶融張力
を必要とする成形法が主流である。例えば、通常のフィ
ルム成形、すなわち、インフレーションフィルム成形、
Tダイキャストフィルム成形、あるいはダイレクトブロ
ー成形、インジェクションブロー成形、または各種の形
状に押し出される押出成形、さらにはカレンダー成形、
ロール成形、真空・圧空成形、発泡成形、紡糸などがこ
れに相当し、いずれの成形法も熱可塑性樹脂の融体に少
なからずある程度の大きさの溶融張力が必要となる。融
体の溶融張力が不足した状態で、上記の成形加工を行う
と、成形することができなかったり、成形できたとして
も種々の問題が生じ、それが製品に反映されて不良品と
なる。例えば、バブルが不安定であったり、加工時の融
体の垂れ(ドローダウン)が顕著な場合は、得られた成
形体に厚みや幅のむらが現れ、製品が不均一となる。ま
た、発泡成形では、破泡を起こしたり、大きな発泡倍率
が得られなかったり、発泡セルの大きさが不均一になっ
たりする。
【0003】一般に、これらの成形加工性を改良するに
は、成形機の改良を含めた成形加工手法に基づく方法と
樹脂の特性を改質する方法に大別される。その中で、前
者の方法については、しばしば適用されるのが融体の温
度を低くして成形加工を行う方法である。しかし、この
方法では、加工できる条件幅が制限され、さらに、融体
の剪断粘度も増加し、生産性の低下や加工機への負荷の
増大などの問題が生じる。また、成形機を改良すること
で、加工性を改良する方法もしばしば適用される。しか
し、これは使用できる樹脂が制限されたり、場合によっ
ては特定の樹脂専用になる。さらに、特別な設備が必要
になるなどの問題もあり、一般性に欠ける。
【0004】これらの方法に対し、熱可塑性樹脂を改質
する工夫も種々なされている。例えば、その一つに分子
量を増大させる方法がある。しかし、この方法では融体
の剪断粘度も増大してしまい、融体の温度を下げて成形
する場合と同様の問題が生じる。また、分子量分布を広
げることによる改質方法もある。これによって、ある程
度溶融張力は増大でき、目的が達成できる場合もある
が、分子量分布の拡大には限界があり、さらに拡大でき
る範囲内では溶融張力の増大効果はさほど大きなもので
はない。これと類似の方法で、非常に大きな分子量(超
高分子量)を有する成分を少量配合する方法も報告され
ている。しかし、この方法は超高分子量成分を製造する
こと自体が困難な場合も多く、さらにこれらを均一に分
散させることが難しく、十分に効果が発揮できなかった
り、異物となって製品の外観に悪影響を及ぼす場合もあ
る。また、溶融張力が大きな樹脂を配合する方法もよく
採用されている。例えば、ポリオレフィン系樹脂の分野
では、溶融張力の小さい高密度ポリエチレン(HDP
E)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)および
ポリプロピレン(PP)に高圧ラジカル重合法で得られ
る低密度ポリエチレン(LDPE)やエチレン酢酸ビニ
ル共重合体(EVA)を配合する方法がよく知られてい
る。ただし、この方法では、溶融張力の大きな樹脂をあ
る程度多量に配合しなければならず、改質される樹脂の
その他の特性が損なわれる場合がある。例えば、HDP
E、LLDPE、PPにLDPEやEVAを配合する場
合は、HDPE、PPの特徴である剛性が低下したり、
LLDPEの特徴である衝撃強度や引裂強度が低下して
しまう。一方、樹脂によっては、過酸化物の配合や電子
線の照射によって樹脂に架橋構造を持たせる方法も適用
されている。ただし、この方法にも問題はあり、過酸化
物の配合では過酸化物の残存が原因で用途が限られた
り、電子線照射の場合には特別な設備が必要となり、一
般性に欠ける。さらに、いずれの方法もその制御が難し
く、架橋構造が不均一となって異物が発生する場合が多
い。また、この方法では融体の剪断粘度も高くなり、融
体の温度を下げる場合や分子量を増大させる場合と同様
の問題が生じる。さらに、ポリプロピレン系樹脂のよう
に、過酸化物の配合による手法が適用できない樹脂もあ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱可塑性樹
脂を取り巻く前記のような概況に鑑みたもので、熱可塑
性樹脂を成形加工する際に良好な加工特性を実現するた
めに必要となる、融体の溶融張力が著しく増大した熱可
塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を行った結果、熱可塑性樹脂
に特別な要件を満足する非結晶性の熱可塑性樹脂を少量
配合し、その熱可塑性樹脂組成物が特別な要件を満足す
ることによって、熱可塑性樹脂組成物の融体の溶融張力
が著しく増大することがわかり、本発明を完成するに至
った。
【0007】すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂[A]
99.999〜95重量%および下記(a),(b)の
要件を満足する非結晶性の熱可塑性樹脂[B]0.00
1〜5重量%からなり、下記(c)の要件を満足する熱
可塑性樹脂組成物。
【0008】(a)[B]のガラス転移温度は、[A]
が結晶性樹脂の場合は[A]の融点よりも高く、[A]
が非結晶性樹脂の場合は[A]のガラス転移温度よりも
高い。
【0009】(b)剪断速度6.77×10-1se
-1、[B]のガラス転移温度よりも50℃以上高い温
度で測定した[B]の定常流剪断粘度(ηs(B))
と、ηs(B)と同じ条件で測定した[A]の定常流剪
断粘度(ηs(A))との比、ηs(A)/ηs(B)
が0.05〜150の範囲にある。
【0010】(c)[A]と[B]からなる熱可塑性樹
脂組成物を歪み速度0.1sec-1で測定した伸長粘度
の非線形パラメーター(λBlend)と、λBlen
dと同じ条件で測定した[A]の伸長粘度の非線形パラ
メーター(λA)との比、λBlend/λAが1.2
以上である。
【0011】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明に用いる[A]の熱可塑性樹脂は、
その種類は特に限定されない。熱可塑性樹脂であれば、
結晶性樹脂でも非結晶性樹脂でも、あるいは各種のエラ
ストマー類でも構わない。例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチル−
1−ペンテン)に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリε−カプロラクタムに代表されるポリエステル
系樹脂、ポリオキシメチレンに代表されるポリアセター
ル系樹脂、各種ナイロン類に代表されるポリアミド系樹
脂、ポリフェニレンオキシドやポリフェニレンサルファ
イドに代表されるポリフェニレン系樹脂、ポリエーテル
ケトン、ポリアリルエーテルケトンおよび各種フッ素樹
脂などの結晶性樹脂、あるいはポリスチレン、ポリカー
ボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスルフォン、
非晶ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリエ
ーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの非
結晶性樹脂などの熱可塑性樹脂ならばいずれでもよい。
さらに、上記熱可塑性樹脂を適当にブレンドしたもので
も構わない。
【0013】一方、[B]の非結晶性の熱可塑性樹脂に
ついてもその種類は特に限定されず、非結晶性の熱可塑
性樹脂ならばいずれでもよい。ただし、[B]のガラス
転移温度は、[A]が結晶性樹脂の場合はその融点より
高く、[A]が非結晶性の樹脂の場合はそのガラス転移
温度よりも高くなければならない。つまり、[B]の種
類そのものは限定されないが、[A]がある樹脂に決定
されると、[B]のガラス転移温度が[A]の融点また
はガラス転移温度よりも高い樹脂に限定されることにな
る。したがって、種々の熱可塑性樹脂[A]に対して広
く適用できるという意味において、非結晶性の熱可塑性
樹脂[B]はそのガラス転移温度の高いものが好ましい
ことになる。その一例としては、ポリカーボネート、ポ
リスルフォン、非晶ポリアリレート、ポリエーテルスル
フォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド
イミドなどが挙げられる。
【0014】これは、[A]がその融点またはガラス転
移温度よりも高温になって流動できる状態になった際
に、[B]の非結晶性の熱可塑性樹脂は流動できないガ
ラス状態にあることが、[A]と[B]からなる熱可塑
性樹脂組成物の融体の溶融張力を格段に大きくすること
につながるからである。組成物が[B]のガラス転移温
度を超えて流動できる状態になったとしても溶融張力の
増大効果は得られるが、その効果は[B]が流動できな
い状態にある場合に比べてかなり小さくなる。したがっ
て、この大きな溶融張力を発現するための条件を満足さ
せるには、[B]のガラス転移温度が[A]の融点また
はガラス転移温度よりも高くなっている必要がある。し
たがって、この大きな溶融張力増大効果を広い温度範囲
で達成するには、[A]の融点またはガラス転移温度と
[B]のガラス転移温度の間の温度差が大きいほど好ま
しいことになる。その意味では、[B]はガラス転移温
度の高い非結晶性の熱可塑性樹脂が好ましいことにな
る。ここで、[A]が非結晶性樹脂の場合には、そのガ
ラス転移温度を請求範囲のしきりにしたが、これは
[A]のガラス転移温度より高い温度になれば、原理的
には[A]は流動できるためである。ただし、非結晶性
樹脂の場合、一般的な成形加工法で加わる応力の範囲
で、かつ通常の時間範囲で流動が観察できるのは、ガラ
ス転移温度よりも50℃以上は高温の温度であるので、
[A]が非結晶性の熱可塑性樹脂の場合は、[B]のガ
ラス転移温度は実質的には[A]のガラス転移温度より
50℃以上高い温度であることが好ましくなる。
【0015】また、[B]については、より大きな溶融
張力増大効果を発現するためには、その剪断粘度に制限
が加わる。ただし、これは数値そのものが限定されるの
ではなく、同一条件で測定した時の[A]と[B]の定
常流剪断粘度の比が規定されることになる。具体的に
は、剪断速度6.77×10-1sec-1、[B]のガラ
ス転移温度より50℃以上高い温度で測定した[B]の
定常流剪断粘度(以下、ηs(B)と記す)と、ηs
(B)と同一条件で測定した[A]の定常流剪断粘度
(以下、ηs(A)と記す)との比、ηs(A)/ηs
(B)が規定され、ηs(A)/ηs(B)が0.05
〜150の範囲である。この剪断粘度の比は、[A]と
[B]からなる熱可塑性樹脂組成物を溶融混練などで作
製する際に、[A]中に分散した[B]の分散粒子の形
状に影響を及ぼす。ここで、[B]からなる分散粒子の
形状が球形に近い状態で分散している融体は溶融張力の
増大が小さく、分散粒子の形状が球形から外れる融体ほ
ど溶融張力が大きくなる。例えば、[A]と[B]から
なる組成物を一般的な1軸あるいは2軸の押出機で押し
出した後に、一定速度で引き取りながら水冷カットした
ペレットとする場合は、[B]のドメイン形状は棒状が
対象となるが、この場合の棒状粒子の長軸と短軸の長さ
の比(以下、アスペクト比と記す)が大きなものほど溶
融張力の増大効果は大きくなる。具体的には、100個
のドメインに関する数平均のアスペクト比が1.2以上
となるものが好ましい。このアスペクト比は、例えば、
上記ペレットを[B]が溶融しない温度で[A]を溶融
させて圧縮成形を行い、得られた圧縮成形シートの内部
を透過型電子顕微鏡で観察し、その観察結果を撮影した
写真などから実際に見積もることができる。ただし、ド
メインの形状は一定ではないので、アスペクト比はあく
までも平均値である。このアスペクト比が1.2より小
さなドメインでも溶融張力増大効果は得られる。ただ
し、その場合は[B]を多量に配合しなければならず、
[B]の割合を5重量%以下と規定した本特許の請求範
囲から外れる。一方、このアスペクト比の上限に関して
は、現時点では特に限定されない。これは、現時点で得
られている最も大きなアスペクト比のドメインでも、大
きな溶融張力増大効果が得られており、さらにドメイン
のアスペクト比を大きくしすぎることの弊害が現時点で
は観察されていないためである。棒状粒子の他には、扁
平粒子や円盤状粒子が分散している融体でも溶融張力の
増大効果が観察される。ここで、ηs(A)/ηs
(B)が0.05より小さい場合は、ηs(A)が小さ
く、ηs(B)が大きい場合に対応し、[A]と[B]
からなる熱可塑性樹脂組成物を溶融混練およびその融体
を引き取り後にカットしてペレットにするなどの一般的
な方法で作製する場合、[B]の分散粒子はあまり変形
を受けずに球形に近くなり、アスペクト比が1.2より
小さくなる場合が多い。一方、ηs(A)/ηs(B)
が150より大きい場合は、ηs(A)が大きく、ηs
(B)が小さい場合に対応するが、一般的な溶融混練お
よび引き取りで[A]と[B]からなる組成物を作製す
る場合、[B]の分散粒子は球形に近くなり、アスペク
ト比が1.2より小さくなる場合が多い。したがって、
溶融張力の大きな増大効果は得られない。
【0016】ここで、本発明における[A]と[B]か
らなる熱可塑性樹脂組成物は、歪み速度0.1sec-1
で測定した伸長粘度の非線形パラメーター(λBlen
d)と、それと同じ条件で測定した[A]の伸長粘度の
非線形パラメーターλAとの比、λBlend/λAが
1.2以上となる。ここで、λBlend/λAが1よ
り少しでも大きくなると、熱可塑性樹脂組成物の溶融張
力は[A]単体の溶融張力より大きくなるので、λBl
end/λAが1より大きいものならば、全て溶融張力
の増大効果を示すことになる。ここで、λBlend/
λAを1.2以上としたのは、これが実用的に意味のあ
る程度まで溶融張力が増大する範囲に対応するからであ
る。[A]と[B]からなる熱可塑性樹脂組成物では、
この比が1より大きく1.2より小さい場合も存在し、
例えば、それは、前記のように[B]の分散粒子が球形
に近く、かつその量が少ない場合に現れる。また、
[B]のガラス転移温度が[A]の融点あるいはガラス
転移温度より低い場合もこの数値になる場合が多い。一
方、λBlend/λAの上限については特に限定され
ないが、大きな溶融張力を発現しながら、溶融延伸性も
良好となることから、λBlend/λAは15以下で
あることが好ましい。
【0017】ここで、本発明における熱可塑性樹脂組成
物は、[A]の熱可塑性樹脂に[B]の非結晶性樹脂を
重量分率で[A]:[B]=99.999:0.001
〜95:5、好ましくは99.99:0.01〜97:
3となるように配合することによって得ることができ
る。基本的には、[B]がほんのわずかでも配合されて
いれば溶融張力増大効果は得られ、[A]と[B]が請
求項の(a)〜(c)の要件を満足するものならばなお
さらである。したがって、ここでの[B]の割合の下限
は実用的に意味のある効果を示す範囲を規定しているこ
とになる。一方、[B]の上限については、[B]はそ
の量が5重量%を超えても目的とする溶融張力増大効果
は得られる。しかし、この場合は剪断粘度も大きくな
り、成形加工時の生産性の低下や成形機への負荷の増大
が発生することになり、好ましくない。[B]の割合と
しては、上記の問題が顕著になることのないよう3重量
%以下となるように配合することが好ましい。ただし、
[B]の非結晶性樹脂を[A]に高充填配合したもの、
すなわち、当分野において、一般にマスターバッチと呼
ばれているものを前もって調整する場合は、最終的にこ
のマスターバッチをさらに[A]の熱可塑性樹脂に配合
することになるので、その最終組成物中の[B]の割合
が5重量%を超えない限り、マスターバッチ中の[B]
の割合は5重量%を超えても構わない。
【0018】なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
必要に応じて、副資材として、例えば、炭酸カルシウ
ム、マイカ、タルク、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カル
シウム、カオリン、クレー、パイロフェライト、ベント
ナイト、セサリナイト、ゼオライト、ネフェリンシナイ
ト、アタパルジャイト、ウオラストナイト、フェライ
ト、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイ
ト、三酸化アンチモン、酸化チタン、酸化鉄、二硫化モ
リブデン、黒鉛、石こう、ガラスビーズ、ガラスパウダ
ー、ガラスバルーン、ガラスファイバー、石英、石英ガ
ラス、カーボンブラック、ガラス繊維、チタン酸カリウ
ム繊維などの無機充填剤、有機顔料、無機顔料を配合す
ることもできる。また、結晶核剤、透明化剤、アンチブ
ロッキング剤、離型剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇
剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤など
を必要に応じて添加してもよい。
【0019】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
発明の目的を逸脱しない限りにおいて、同種あるいは異
種の樹脂を2種類以上ブレンドしたものでも構わない。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方
法としては、従来より公知の種々の方法が適用できる
が、[A]に[B]をある程度均一に、かつ微細に分散
させることが必要であり、そのために適当な混練機を用
いて溶融混練することが好ましい。具体的には、取り扱
いの容易さや均一分散化の達成を踏まえて、ロール、プ
ラストミル、1軸または2軸押出機、ニーダー、バンバ
リーミキサーなどの混練機を用いて、[A]と[B]を
[B]のガラス転移温度以上の温度で溶融混練すること
が好ましい。さらに、前記のように、[B]の分散粒子
が球形から外れるほど[A]と[B]からなる熱可塑性
樹脂組成物の溶融張力増大効果が大きくなることから、
この熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、[B]の
分散粒子にこのような形状が付与できる好ましい方法が
存在する。例えば、その一つが、一般的な1軸または2
軸の押出機で溶融混練した後に、押し出された融体をな
るべく高速で引き取りながら水冷などで冷却する方法で
ある。ペレットの中には、このような方法で製造されて
いるものもあるが、ここでの例示はペレットにする前の
融体をなるべく高速で引き取ることに対応する。押出機
から押し出された融体を高速で引き取ることにより、融
体中の[B]の分散粒子はその形状が球形から外れだ
し、それは引き取り速度が大きくなるほど顕著になる。
[A]と[B]の単体成分の定常流剪断粘度の比は、
[B]の分散粒子をそのような形状にする上で重要な因
子となり、ηs(A)/ηs(B)が0.05〜150
の範囲である[A]と[B]ならば、より高速で引き取
ることによって、得られた熱可塑性樹脂組成物のペレッ
トは溶融張力の大きなものとなる。
【0021】さらに、本発明の組成物は、[B]の非結
晶性樹脂を高充填に配合したもの、すなわち、当分野で
は一般にマスターバッチと呼ばれるものを前もって調整
し、これらを成形加工時や再混練時に配合する方法でも
目的とする溶融張力増大効果を得ることができる。
【0022】このようにして得られた熱可塑性樹脂組成
物は、周知の成形加工法、例えば、インフレーションフ
ィルム成形、Tダイキャストフィルム成形、ダイレクト
ブロー成形、インジェクションブロー成形、押出成形、
カレンダー成形、ロール成形、真空・圧空成形、発泡成
形、紡糸などの各種成形法に適用される樹脂成形用素材
またはマスターバッチとして使用される。ただし、この
組成物またはマスターバッチを各種の成形用素材として
給する場合には、前記のように[B]の分散粒子の形状
が球形から外れた状態が好ましく、[B]の分散粒子が
組成物の段階で既に球形から外れた形状にある場合は、
その形状を維持する目的で、成形加工時には加工温度を
[B]のガラス転移温度以上にしないことが有効であ
る。また、加工温度を[B]のガラス転移温度以上に設
定する場合は、なるべく高速で加工することが、成形加
工の過程で[B]の分散粒子の形状を球形から外せるこ
とになり、好ましい。
【0023】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例および比較例で用いた熱可塑
性樹脂[A]、非結晶性樹脂[B]および[A]と
[B]からなる組成物の融点、ガラス転移温度、定常流
剪断粘度、伸長粘度の非線形パラメーターは、以下の方
法で測定または見積もったものである。
【0024】融点(Tm):[A]が結晶性樹脂の場
合、そのTmは示差走査型熱量計(DSC−7、パーキ
ンエルマー(株)製)を用いて測定した。樹脂を溶融圧
縮成形した厚さ約0.2mmのシート状試料から重量約
5mgの正方形状の小片を切り出し、それをアルミニウ
ム製のDSC測定用のパンに詰めて測定用試料とした。
測定は30〜80℃/分で[A]の融点と想定される温
度よりも30℃以上高い温度にもたらし、その温度で5
分間保持した後に10℃/分で30℃まで冷却し、さら
に30℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温した。
ここでは、最後の昇温過程で得られる最も高温に位置す
る吸熱ピークのピーク温度を融点(Tm)とした。
【0025】ガラス転移温度(Tg):[B]の非結晶
性の熱可塑性樹脂、ならびに[A]が非結晶性樹脂の場
合、そのTgをTmと同様にDSCを用いて測定した。
なお、Tg測定の場合は、測定試料はTmと同じだが、
それを10〜30℃/分で昇温し、Tgを測定した。な
お、Tgの決定は常法に従った。
【0026】定常流剪断粘度(ηs):[A]、[B]
単体のηsは、コーン角2.217°、コーン径19.
98mmのコーンプレート型粘度計(レオロジ社製、商
品名MR−500)を用いて、角周波数0.677ra
d/sec-1で測定した。なお、[A]、[B]のηs
は同一の温度で測定した。その温度は、[B]のガラス
転移温度より50℃以上高い温度であり、さらに実施
例、比較例では、このηsの測定温度と[A]と[B]
の溶融混練物を作製する際の溶融温度を同じにした。し
たがって、[A]と[B]の組み合わせによって溶融混
練温度は変更したので、それに伴い[A]、[B]のη
sの測定温度も変更した。なお、測定試料は[A]、
[B]の試料を溶融圧縮成形した厚さ約0.2mmのシ
ート状の試料から切り出した。
【0027】伸長粘度(ηe)の非線形パラメーター
(λ):λは実測で得られたηeの最大値を線形領域の
伸長粘度(計算値)で除した値である。ここでは、東洋
精機製作所(株)製のMELTEN Rheomete
rを用いて、伸長歪み速度0.1sec-1でηeの時間
変化を測定した。ηeの測定試料は、東洋精機製作所
(株)製のキャピラリレオメーター(商品名キャピログ
ラフ)を用い、それにキャピラリ径が3mm、キャピラ
リ長が30mmのダイスを取り付けて、ピストン降下速
度(押出速度)を10mm/分とした条件で押し出した
棒状の融体を直ちに23℃のイソプロピルアルコール中
に沈めて作製した。なお、この際に、[A]と[B]か
らなる組成物の棒状試料を作製する場合は、キャピラリ
レオメーターのシリンダー温度を[B]のガラス転移温
度より低い温度に設定した。一方、線形領域の伸長粘度
は、別途測定した動的剪断弾性率(G’,G”)より、
尾崎の式(尾崎ら、日本レオロジー学会誌、16、p.
53(1988)を用いて計算した。ここで、G’,
G”はコーン角2.217°、コーン径19.98mm
のコーンプレート型粘度計(レオロジ社製、商品名MR
−500)を用いて測定した。測定試料は、試料を溶融
圧縮成形した厚さ約0.2mmのシート状試料から切り
出した。なお、[A]と[B]からなる組成物のシート
状試料を作製する場合は、圧縮成形機の温度を伸長粘度
測定用の棒状試料を作製する際のシリンダー温度と同じ
温度に設定した。
【0028】実施例1 [A]の熱可塑性樹脂としてエチレン・1−ブテン共重
合体[A1]を用いた。[A1]は結晶性の樹脂であ
り、融点(Tm)は132℃である。[A1]は東ソー
(株)製の高密度ポリエチレン、ニポロンハード、グレ
ード5110である。[A1]は260℃で測定した定
常流剪断粘度(ηs(A1))が4400Pa・sであ
る。また、[A1]は160℃で測定したηeとG’,
G”から見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λ
A1)が1.3である。なお、ηe測定用の棒状試料を
作製する際のシリンダー温度は160℃、G’,G”測
定用のシート状試料を作製する際の圧縮成形機の温度は
150℃とした。一方、[B]の非結晶性の熱可塑性樹
脂としては、ポリカーボネート(以下、PCと記す)
[B1]を用いた。[B1]は帝人(株)製のPC樹
脂、グレードK1300である。これはガラス転移温度
(Tg)が157℃である。また、[B1]は260℃
で測定した定常流剪断粘度(ηs(B1))が4520
Pa・sである。したがって、同一の260℃で測定し
たηs(A1)とηs(B1)の比、ηs(A1)/η
s(B1)は0.97である。ここでは、[A1]のペ
レットと[B1]のペレットを重量分率で[A1]:
[B1]=99:1となるように混ぜ合わせ、これを東
洋精機製作所(株)製のスクリュー直径20mmの単軸
押出機を用いて、シリンダー温度を260℃に設定し、
回転数50rpmで溶融混練した。この260℃はηs
(A1),ηs(B1)の測定温度と同じで、[A]の
融点および[B]のガラス転移温度よりも50℃以上高
い温度である。なお、[A]には酸化防止剤が配合され
ていることから、この溶融混練では酸化防止剤は添加し
なかった。ここでは、押し出された棒状の融体を一定速
度で引き取りながら水冷カットしてペレットとした。こ
のペレットについて、[A1]単体と同じ条件、すなわ
ち、160℃で測定したηeとG’,G”より見積もっ
た伸長粘度の非線形パラメーター(λBlend)は
3.2である。なお、ηeとG’,G”の測定温度であ
る160℃は[B1]のガラス転移温度近傍の温度であ
る。したがって、λBlend/λA1は2.5であ
る。表1には、上記ペレットについて測定した溶融張力
(MS)の値を示す。なお、MSの測定は下記の方法に
準拠した。
【0029】溶融張力(MS)の測定 MSは、東洋精機製作所(株)製のキャピラリレオメー
ター(商品名キャピログラフ)を用いて、それにキャピ
ラリ径が2.095mm、キャピラリ長が8mmのダイ
スを取り付けて測定した。測定は、ピストン降下速度を
10mm/分、押し出された融体の引き取り速度を1m
/分として行った。ここで、MSの測定温度は、λBl
end,λA1を見積もる際に測定するηeとG’,
G”の測定温度と同じである。したがって、実施例1の
場合は160℃となる。
【0030】実施例2 [A1]と[B1]の混合比率を重量分率で[A1]:
[B1]=97:3とした以外は実施例1と同じであ
る。ここで、[A1]と[B1]からなる組成物につい
て、160℃で測定したηeとG’,G”より見積もっ
た伸長粘度の非線形パラメーター(λBlend)は
5.8であった。したがって、組成物と[A1]単体の
伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBlend/λ
A1は4.5である。表1には実施例2のMSを示す
が、実施例1との比較より、[B1]の割合が増大する
ほどMSは大きくなっていることがわかる。
【0031】実施例3 [A1]と[B1]の混合比率を重量分率で[A1]:
[B1]=95:5とした以外は実施例1と同じであ
る。ここで、[A1]と[B1]からなる組成物につい
て、160℃で測定したηeとG’,G”より見積もっ
た伸長粘度の非線形パラメーター(λBlend)は
8.0であった。したがって、組成物と[A1]単体の
伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBlend/λ
A1は6.2ある。表1には実施例3のMSを示すが、
[B1]の割合の増大とともにMSが増大することがわ
かる。ただし、この実施例では、[B1]の配合量が多
いために剪断粘度の増大も大きくなり、本材料を各種成
形機で成形加工をした場合は、融体の溶融張力の増大に
よる加工面の利点は得られるものの、加工機への負荷の
増大や吐出量の低下に伴う生産性の低下が見られ、その
面でやや問題がある組成物となる。
【0032】実施例4 [A]には[A1]を用いた。一方、[B]の非結晶性
の熱可塑性樹脂としては、ポリスルフォン(以下、PS
Fと記す)[B2]を用いた。[B2]はAMOCO
(株)製のPSF樹脂、グレードP−1700である。
これはガラス転移温度(Tg)が188℃である。ま
た、[B2]は260℃で測定した定常流剪断粘度(η
s(B2))が36600Pa・sである。したがっ
て、同一の260℃で測定したηs(A1)とηs(B
2)の比、ηs(A1)/ηs(B2)は0.12であ
る。ここでは、[A1]のペレットと[B2]のペレッ
トを重量分率で[A1]:[B2]=99:1となるよ
うに混ぜ合わせ、それを実施例1と同じ単軸押出機を用
いて、シリンダー温度260℃、回転数50rpmで溶
融混練し、押し出された融体を一定速度で引き取りなが
ら水冷カットしてペレットとした。この260℃はηs
(A1),ηs(B2)の測定温度と同じで、[A]の
融点および[B]のガラス転移温度よりも50℃以上高
い温度である。なお、この溶融混練では酸化防止剤は添
加しなかった。このペレットについて、[A1]単体と
同じ方法、すなわち、160℃で測定したηeとG’,
G”より見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λ
Blend)は3.8であった。したがって、組成物と
[A1]単体の伸長粘度の非線形パラメーターの比、λ
Blend/λA1は2.9である。表1には実施例4
のMSを示すが、MSの測定温度はηeとG’,G”の
測定温度と同じ160℃である。
【0033】比較例1 実施例1〜4の比較例で、実施例1〜4で用いた[A
1]単体である。[B1]を配合しなかった以外は実施
例1と同じである。表1には比較例1のMSを示すが、
実施例1〜4に比べて、MSが小さいことがわかる。
【0034】比較例2 実施例1〜4の比較例で、[A]には[A1]を用い
た。一方、[B]の非結晶性の熱可塑性樹脂としては、
ポリスチレン(以下、PSと記す)[B3]を用いた。
[B3]は大日本インキ(株)製のPS樹脂、グレード
UX560である。これはガラス転移温度(Tg)が1
01℃である。このTgは[A]のTmより低くなり、
請求項の(a)の要件を満足しない。また、[B3]は
260℃で測定した定常流剪断粘度(ηs(B3))が
5540Pa・sである。したがって、同一の260℃
で測定したηs(A1)とηs(B3)の比、ηs(A
1)/ηs(B3)は0.79であり、この値は請求範
囲内である。ここでは、[A1]のペレットと[B3]
のペレットを重量分率で[A1]:[B3]=99:1
となるように混ぜ合わせ、それを実施例1と同じ単軸押
出機を用いて、シリンダー温度260℃、回転数50r
pmで溶融混練し、押し出された融体を一定速度で引き
取りながら水冷カットしてペレットとした。この260
℃はηs(A1),ηs(B3)の測定温度と同じで、
[A]の融点および[B]のガラス転移温度よりも50
℃以上高い温度である。なお、この溶融混練では酸化防
止剤は添加しなかった。このペレットについて、[A
1]単体と同じ方法、すなわち、160℃で測定したη
eとG’,G”より見積もった伸長粘度の非線形パラメ
ーター(λBlend)は1.4であった。したがっ
て、組成物と[A1]単体の伸長粘度の非線形パラメー
ターの比、λBlend/λA1は1.08で、この値
は請求項の(c)の請求範囲から外れる。表1には比較
例2のMSを示すが、実施例1〜2および比較例1との
比較より、請求項の(a)および(c)の要件を満足し
ない組成物では、MSの増大効果はほとんど得られない
ことがわかる。MSの測定温度はηeとG’,G”の測
定温度と同じ160℃である。
【0035】比較例3 実施例1〜4の比較例で、[A1]と[B1]の混合比
率を重量分率で[A1]:[B1]=90:10とした
以外は実施例1と同じである。ここでの[A1]と[B
1]の混合比率は、本特許の請求範囲から外れるもので
ある。ここで、[A1]と[B1]からなる組成物につ
いて、160℃で測定したηeとG’,G”より見積も
った伸長粘度の非線形パラメーター(λBlend)は
12.2であった。したがって、組成物と[A1]単体
の伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBlend/
λA1は9.4である。表1には比較例2のMSを示す
が、本比較例のMSは非常に大きくなっていることがわ
かる。ただし、この比較例では、[B1]の配合量が多
すぎるために剪断粘度の増大も非常に大きくなり、本材
料を各種成形機で成形加工をした場合は、加工機への負
荷の増大が著しく大きくなり、吐出量の低下に伴う生産
性の低下が顕著となる。さらに、当分野で一般にメルト
フラクチャーと呼ばれる押出融体の表面外観の悪化が観
察され、その影響が成形体にも反映されて、良好な成形
体が得られない。本例はMSの増大効果は得られるもの
の、その他の成形加工面での問題が顕著となる。
【0036】実施例5 [A]の熱可塑性樹脂として比較例2で[B]として用
いたポリスチレン[B3]を[A2]として用いた。し
たがって、[A2]と[B3]は同じものである。[A
2]は非結晶性の樹脂であり、前記のように(Tg)は
101℃で、260℃で測定した定常流剪断粘度(ηs
(A2))が5540Pa・sである。また、[A2]
は160℃で測定したηeとG’,G”から見積もった
伸長粘度の非線形パラメーター(λA2)が1.2であ
る。一方、[B]の非結晶性の熱可塑性樹脂としては、
実施例2で用いた[B2]を用いた。同一の260℃で
測定したηs(A2)とηs(B2)の比、ηs(A
2)/ηs(B2)は0.15である。ここでは、[A
2]のペレットと[B2]のペレットを重量分率で[A
2]:[B2]=99:1となるように混ぜ合わせ、そ
れを実施例1と同じ単軸押出機を用いて、シリンダー温
度260℃、回転数50rpmで溶融混練し、押し出さ
れた融体を一定速度で引き取りながら水冷カットしてペ
レットとした。この260℃はηs(A2),ηs(B
2)の測定温度と同じで、[A]および[B]のガラス
転移温度よりも50℃以上高い温度である。なお、この
溶融混練では酸化防止剤は添加しなかった。このペレッ
トについて、[A2]単体と同じ方法、すなわち、16
0℃で測定したηeとG’,G”より見積もった伸長粘
度の非線形パラメーター(λBlend)は3.4であ
った。したがって、組成物と[A2]単体の伸長粘度の
非線形パラメーターの比、λBlend/λA2は2.
8である。表1には実施例5のMSを示すが、MSの測
定温度はηeとG’,G”の測定温度と同じ160℃で
ある。
【0037】比較例4 実施例5の比較例で、実施例5で用いた[A2]単体で
ある。[B2]を配合しなかった以外は実施例5と同じ
である。表1には比較例4のMSを示すが、実施例5に
比べて、MSが小さいことがわかる。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】以上示したように、本発明における熱可
塑性樹脂組成物は、各種成形加工に適用する際に、良好
な成形加工特性を発現する上で重要となる溶融張力が著
しく増大したものである。したがって、本発明の熱可塑
性樹脂組成物を各種の成形加工法に適用することによっ
て、成形加工の条件幅を格段に広げることが可能とな
り、さらに適用できる成形加工法の種類が増大するな
ど、熱可塑性樹脂を製品化する上で必須の工程である成
形加工において、多くの利点が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AA011 BB031 BB121 BB171 BC031 BD121 BG061 CB001 CF061 CF071 CF162 CF191 CG001 CG002 CH071 CH091 CL001 CM041 CM042 CN011 CN031 CN032 FA040 FD010 FD090 FD100 FD130 FD160 FD200

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂(以下、[A]と記す)9
    9.999〜95重量%および下記(a),(b)の要
    件を満足する非結晶性の熱可塑性樹脂(以下、[B]と
    記す)0.001〜5重量%からなり、下記(c)の要
    件を満足する熱可塑性樹脂組成物。 (a)[B]のガラス転移温度は、[A]が結晶性樹脂
    の場合は[A]の融点よりも高く、[A]が非結晶性樹
    脂の場合は[A]のガラス転移温度よりも高い。 (b)剪断速度6.77×10-1sec-1、[B]のガ
    ラス転移温度より50℃以上高い温度で測定した[B]
    の定常流剪断粘度(以下、ηs(B)と記す)と、ηs
    (B)と同じ条件で測定した[A]の定常流剪断粘度
    (以下、ηs(A)と記す)との比、ηs(A)/ηs
    (B)が0.05〜150の範囲にある。 (c)[A]と[B]からなる熱可塑性樹脂組成物を歪
    み速度0.1sec-1で測定した伸長粘度の非線形パラ
    メーター(以下、λBlendと記す)と、λBlen
    dと同じ条件で測定した[A]の伸長粘度の非線形パラ
    メーター(以下、λAと記す)との比、λBlend/
    λAが1.2以上である。
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