JP2000302864A - アミドエステルアルコール、ポリアミド組成物及びその製造方法 - Google Patents

アミドエステルアルコール、ポリアミド組成物及びその製造方法

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JP2000302864A
JP2000302864A JP2000043687A JP2000043687A JP2000302864A JP 2000302864 A JP2000302864 A JP 2000302864A JP 2000043687 A JP2000043687 A JP 2000043687A JP 2000043687 A JP2000043687 A JP 2000043687A JP 2000302864 A JP2000302864 A JP 2000302864A
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lactone
derived
amine compound
bond
polyamide composition
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JP2000043687A
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English (en)
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Hitoshi Shirasaka
仁 白坂
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Hokushin Industries Corp
Hokushin Industry Co Ltd
Original Assignee
Hokushin Industries Corp
Hokushin Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐油性、耐熱性、耐摩耗性、高強度などのア
ミド基特有の特性を保持したまま、ゴム弾性に優れ、し
かも、できるだけ穏やかな条件で反応で製造することが
でき、反応の仕込量で構造が決定でき、実質的に無溶媒
でも反応することができるポリアミドエステルアルコー
ル及びポリアミド組成物を提供する。 【解決手段】 活性水素を有する一級又は二級アミン化
合物にラクトンを少なくとも1モル付加して形成したア
ミド結合含有セグメントを含むものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポリアミド
エラストマーの原料となるアミドエステルアルコール及
びこれを用いたポリアミド組成物及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アミド基を含む熱可塑性エラ
ストマーとして、ナイロン6,66,11,12などを
ハードセグメントとし、ポリエーテル又はポリエステル
をソフトセグメントとしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
エラストマーは、いわゆるポリアミドをハードセグメン
トとする、熱可塑性エラストマーの代表であり、硬度が
高く、クリープが大きいという問題がある。
【0004】本発明は、このような事情に鑑み、耐油
性、耐熱性、耐摩耗性、高強度などのアミド基特有の特
性を保持したまま、ゴム弾性に優れ、しかも、できるだ
け穏やかな条件で反応で製造することができ、反応の仕
込量で構造が決定でき、実質的に無溶媒でも反応するこ
とができるポリアミドエステルアルコール及びポリアミ
ド組成物を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第1の態様は、ポリアミド組成物の原料であって、
活性水素を有する一級又は二級アミン化合物にラクトン
を少なくとも1モル付加して形成され、下記一般式
(1)又は(2)で示されることを特徴とするアミドエ
ステルアルコールにある。
【0006】
【化11】
【0007】ここで、R1、X、Yは炭素数20以下の
アミン化合物に由来し、R2は前記ラクトンに由来し、
p、qは1以上の実数である。
【0008】
【化12】
【0009】ここで、R3、Zは炭素数20以下のアミ
ン化合物に由来し、R2は前記ラクトンに由来し、rは
1以上の実数である。
【0010】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記ラクトンが3〜8モル付加したことを特徴とす
るアミドエステルアルコールにある。
【0011】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様
において、前記ラクトンを付加する際に又は付加した後
に多塩基酸からなる鎖長延長剤を添加して下記一般式
(3)で示される構造を有することを特徴とするアミド
エステルアルコールにある。
【0012】
【化13】
【0013】ここで、Q1は鎖長延長剤由来の鎖長延長
セグメントを示す。また、R1、X、Yは炭素数20以
下のアミン化合物に由来し、R2は前記ラクトンに由来
し、p、q、p´、q´は1以上の実数である。
【0014】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様において、前記ラクトンがε−カプロラクトンで
あり、前記R2が(CH25であることを特徴とするア
ミドエステルアルコールにある。
【0015】本発明の第5の態様は、活性水素を有する
一級又は二級アミン化合物にラクトンを少なくとも1モ
ル付加して形成したアミド結合含有セグメントを含むこ
とを特徴とするポリアミド組成物にある。
【0016】本発明の第6の態様は、第5の態様におい
て、前記ラクトンが3〜8モル付加したアミド結合含有
セグメントを含むことを特徴とするポリアミド組成物に
ある。
【0017】本発明の第7の態様は、第5又は6の態様
において、前記アミド結合含有セグメントが、活性水素
を有する一級又は二級アミン化合物にラクトンを少なく
とも1モル付加して形成された下記一般式(4)で表さ
れる構造を有することを特徴とするポリアミド組成物に
ある。
【0018】
【化14】
【0019】ここで、Q1は鎖長延長セグメントを示
す。また、R1、X、Yは炭素数20以下のアミン化合
物に由来し、R2は前記ラクトンに由来し、p、qは1
以上の実数である。
【0020】本発明の第8の態様は、第7の態様におい
て、前記アミン化合物セグメントが末端にあり、下記一
般式(5)で表されることを特徴とするポリアミド組成
物にある。
【0021】
【化15】
【0022】ここで、Q2は鎖長延長セグメントを示
す。また、R3、Zは炭素数20以下のアミン化合物に
由来し、R2は前記ラクトンに由来し、rは1以上の実
数である。
【0023】本発明の第9の態様は、第7又は8の態様
において、前記アミド結合含有セグメントが、前記アミ
ン化合物に前記ラクトンを3〜8モル付加して形成され
たことを特徴とするポリアミド組成物にある。
【0024】本発明の第10の態様は、第7〜9の何れ
かの態様において、前記ラクトンがε−カプロラクトン
であり、前記アミド結合含有セグメント中のR2が(C
2 5であることを特徴とするポリアミド組成物にあ
る。
【0025】本発明の第11の態様は、第5〜10の何
れかの態様のゴム状弾性体が、熱可塑性エラストマー、
熱硬化性エラストマー及び混練型エラストマーから選択
される少なくとも一種であることを特徴とするポリアミ
ド組成物にある。
【0026】本発明の第12の態様は、第7〜11の何
れかの態様において、前記一般式(3)又は(4)で表
されるQ1又はQ2のアミド結合含有セグメント側の端部
の結合は、エステル結合、カーボネート結合、及びウレ
タン結合から選択されることを特徴とするポリアミド組
成物にある。
【0027】本発明の第13の態様は、第5〜12の何
れかの態様において、無伸長状態では前記アミド結合含
有セグメントが結晶していないことを特徴とするポリア
ミド組成物にある。
【0028】本発明の第14の態様は、活性水素を有す
る一級又は二級アミン化合物にラクトンを少なくとも1
モル付加してアミド結合含有セグメントを含むアミドエ
ステルアルコールを生成する工程と、アルコール末端を
所定の結合を介して分子鎖に組み込む工程とを具備する
ことを特徴とするポリアミド組成物の製造方法にある。
【0029】本発明の第15の態様は、第14の態様に
おいて、前記アミドエステルアルコールが上記一般式
(1)で表される構造を有することを特徴とするポリア
ミド組成物の製造方法にある。
【0030】本発明の第16の態様は、第14又は15
の態様において、前記アミドエステルアルコールが上記
一般式(2)で表されることを特徴とするポリアミド組
成物の製造方法にある。
【0031】本発明の第17の態様は、第14〜16の
何れかの態様において、前記アミン化合物にラクトンが
3〜8モル付加したことを特徴とするポリアミド組成物
の製造方法にある。
【0032】本発明の第18の態様は、第14〜17の
何れかの態様において、前記アミン化合物にラクトンを
付加する際又は付加した後、多塩基酸からなる鎖長延長
剤を添加して下記一般式(3)に示すアミドエステルア
ルコールとすることを特徴とするポリアミド組成物の製
造方法にある。
【0033】本発明の第19の態様は、第14〜18の
何れかの態様において、前記ラクトンがε−カプロラク
トンであり、前記アミドエステルアルコール中のR2
(CH25であることを特徴とするポリアミド組成物の
製造方法にある。
【0034】本発明の第20の態様は、第14〜19の
何れかの態様のゴム状弾性体が、熱可塑性エラストマ
ー、熱硬化性エラストマー及び混練型エラストマーから
選択される少なくとも一種であることを特徴とするポリ
アミド組成物の製造方法にある。
【0035】本発明の第21の態様は、第14〜20の
何れかの態様において、前記一般式(4)又は(5)で
表されるアミド結合含有セグメントの端部に結合する結
合は、エステル結合、カーボネート結合、及びウレタン
結合から選択されることを特徴とするポリアミド組成物
の製造方法にある。
【0036】本発明のポリアミド組成物の原料となるア
ミドエステルアルコールは、アミン化合物にラクトンを
付加した化合物であるため、穏やかな反応で反応させる
ことができ、且つ仕込量で構造を制御することができ
る。
【0037】また、本発明のポリアミド組成物は、アミ
ン化合物にラクトンを付加したアミドアルコールを出発
原料とするため、穏やかな反応で反応させることがで
き、且つ仕込量で構造を制御することができ、耐油性、
耐熱性、耐摩耗性、高強度というアミド基特有の特性を
保持したまま、各種特性を有し、ゴム状弾性体とした場
合には、ゴム弾性に優れ、低圧縮ひずみという特性を保
持する。
【0038】なおここで、本発明のポリアミド組成物に
は、アミド基を含有する、熱可塑性エラストマー、熱硬
化性エラストマー、混練型エラストマーなどのエラスト
マーの他、ソフトセグメントなどのエラストマー前駆
体、さらには可塑剤等も含まれる。なお、ソフトセグメ
ントなどのエラストマー前駆体は、ハードセグメントで
相互に連結されることにより、又は架橋されることによ
りエラストマーとなる。
【0039】本発明でアミン化合物は、活性水素を有す
る一級又は二級のアミン化合物をいい、好ましくは、炭
素数が20以下の化合物であり、モノアミンでもジアミ
ンでも、トリアミン以上のポリアミンでもよい。具体的
には、4,4´−ジアミノジフェニルメタン(DA
M)、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタン(H
−DAM)、ヘキサメチレンジアミン(HMD)、エチ
レンジアミン(EDA)、ブチレンジアミン(BD
A)、p−フェニレンジアミン(p−PDA)、アニリ
ン、ジフェニルアミン、N,N−ジフェニレン−p−フ
ェニレンジアミンなどを挙げることができる。なお、ア
ミン化合物として一級アミン化合物を用いた場合には、
特に、エラストマーとして優れた特性を示し、二級アミ
ン化合物を用いた場合には柔軟性に優れる。これらは目
的に合わせて組み合わせて使用することができる。
【0040】一方、ラクトンとしては、アミン化合物に
開環付加するものであれば特に限定されない。具体的に
は、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バ
レロラクトン等を挙げることができ、これから一種又は
二種以上を選択して用いることができるが、特に、ε−
カプロラクトンを用いるとゴム弾性が向上してエラスト
マー用途に好適である。
【0041】以下、簡単のためにε−カプロラクトンと
一級アミン化合物を用いた場合を例にとって本発明を詳
細に説明する。
【0042】アミン化合物としてジアミンを用いた場
合、アミン化合物の両端にラクトンが付加し、下記一般
式(6)のようなジオールが形成される。なお、R1
アミン化合物由来の部位である。
【0043】
【化16】
【0044】また、アミン化合物としてモノアミンを用
いた場合には、下記一般式(7)のモノオールが形成さ
れる。なお、R3はアミン化合物由来の部位である。
【0045】
【化17】
【0046】このようなアミン化合物へのラクトンの開
環付加反応は、穏やかな条件で進み、仕込量により生成
物の構造が制御できる。すなわち、アミン化合物へのラ
クトンの付加モル数である一般式(1)及び(2)の
p、q、rは、仕込量により容易に制御できる。
【0047】また、このようなラクトンの付加の際に同
時に又は付加後、多塩基酸などの鎖長延長剤を添加する
ことにより、鎖長延長セグメントを取り込んだポリアミ
ドエステルアルコールを形成できる。
【0048】
【化18】
【0049】ここで、ラクトン連鎖部の平均付加モル数
(平均連鎖の数)は、1を越え、一般的には2以上にな
るのが好ましいが、これは、高分子鎖の特性に密に関連
する。例えば、結晶性が強いε−カプロラクトンを用い
た場合、付加モル数が大きいとその結晶性が発現し易く
なるが、それを限定された範囲に限定した場合には付加
モル数とその両端の結合の影響とによって結晶性が阻害
され、通常の状態では結晶性が発現しないが過度に変形
した状態で結晶性が発現するというような特性が生じ
る。すなわち、ラクトン連鎖の数を、3〜8に制御する
ことにより、結晶性の高いラクトンを用いても、安定な
ゴム状弾性体が得られるという利点がある。なお、連鎖
の数がこの範囲より大きくなると、多少のストレスを受
けた状態、低温下で保存された状態で結晶化しやすくな
る。また、連鎖の数が小さいと、エラストマーとしての
良好なゴム弾性が発現し難くなる。
【0050】このようなラクトン連鎖部の連鎖を所定の
数に制御する場合には、その分子量分布(Mw/Mn)
を1.0〜1.5、好ましくは、1.0〜1.3に制御
するのが好ましい。これは、ラクトン連鎖の数が所定範
囲を大きい方に外れるものの量を制限するためである。
また、これにより、低温下での結晶化が防止され、低温
特性の良いエラストマーを得ることができる。なお、低
温結晶化は、エラストマーとして要求される粘弾性的性
質や摩擦係数等の機能の維持に対して重大な欠陥の原因
となり、使用環境及び保管環境が大幅に制限されるとい
う不都合が生じる。
【0051】一般式(1)で示されるジオールそれ自体
結晶性であるが、さらに、種々の反応により複数連結す
ることにより、アモルファスな高分子鎖を形成すること
ができる。これらを連結する方法は特に限定されない
が、例えば、エステル結合、カーボネート結合、ウレタ
ン結合等により相互に連結できればよい。
【0052】例えば、一般式(6)のジオールとジイソ
シアネートとを反応させることによりウレタン結合によ
り相互に連結でき、下記一般式(9)で示されるような
ポリアミドウレタンが製造できる。ここで、p、qが2
以上の場合には、ポリアミドエステルウレタンとなり、
さらに、p、qが3〜8の場合には優れたエラストマー
としての性質を示す。なお、一般式中R4はイソシアネ
ート由来の部位である。
【0053】このようなポリウレタンを形成するための
ポリイソシアネートとしては、2,6−トルエンジイソ
シアネート(TDI)、4,4´−ジフェニルメタンジ
イソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシア
ネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネ
ート(NDI)、3,3−ジメチルジフェニル−4,4
´−ジイソシアネート(TODI)等を挙げることがで
きる。特に4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト(MDI)を含むポリイソシアネートを用いた場合、
過酸化物架橋の架橋点として作用することが知られてい
るため好適である。
【0054】
【化19】
【0055】例えば、一般式(6)の化合物はジフェニ
ルカーボネートと反応させることにより、カーボネート
結合により相互に連結され、下記一般式(10)で示す
ようなポリアミドエステルカーボネートエラストマーを
製造できる。また、アジピン酸などのジカルボン酸と反
応させることによりエステル結合で相互に連結できる。
なお、何れの結合で連結するかにより合成される高分子
鎖の特性が異なり、例えば、耐熱性の面ではカーボネー
ト結合が最も有利である。
【0056】
【化20】
【0057】また、このような反応の際に、本発明の趣
旨に反しない限り、他の化合物を高分子鎖の中に組み込
むようにしてもよい。
【0058】何れにしても、このように製造された高分
子鎖は、上述した一般式(3)又は(4)で示されるア
ミド結合含有セグメントを含むので、アミド結合に起因
する特性を有するが、これに起因する結晶化を生じるこ
となく、全体がアモルファスとすることができるという
特長を有する。
【0059】以上説明した、ポリアミド組成物は、ソフ
トセグメントとして用い、ハードセグメントで構造的に
固定してエラストマーとすることができる。すなわち、
ポリアミド組成物をハードセグメントを構成する化合
物、あるいは、3官能以上の分岐構造を構成するトリオ
ール等の化合物とさらに反応させてエラストマーとして
もよいし、上述した一般式(7)のジオールを相互に連
結する際にハードセグメントを構成する化合物と一緒に
反応させて一気にエラストマーとしてもよい。
【0060】また、ポリアミド組成物は、架橋すること
によりエラストマーとすることもできる。すなわち、ポ
リアミド組成物を合成する際に、過酸化物架橋されるか
又はイオウ架橋される部位を高分子鎖中に組み込んでお
き、これを架橋するようにする。この場合、エラストマ
ーは、例えば、混練型エラストマーとなり、通常のゴム
練り装置を用いて加工することができる。
【0061】さらに、紫外線あるいは放射線で架橋する
タイプの熱硬化性エラストマーとすることもできる。
【0062】また、上述した一般式(6)で示すモノオ
ールは、一般式(5)又はその他のジオールと共に反応
させてポリアミド組成物を合成することができる。この
場合、モノオールはターミネーターとして作用し、高分
子鎖の末端に結合される。
【0063】このようなモノオールを用いた場合、上述
した一般式(4)で示されるアミド結合含有セグメント
が高分子鎖の末端に組み込まれ、アミド基に起因する特
性を発揮する。
【0064】さらに、トリアミン以上のポリアミン化合
物にラクトンを付加したポリオールも同様に用いること
ができる。かかるポリオールを用いた場合、網状の高分
子鎖となり、主に、熱硬化型エラストマーの原料として
用いることができる。
【0065】なお、上述した一般式(1)又は(5)で
ラクトンの付加モル数が1の場合には、ハードセグメン
トとして用いることができ、ハードセグメント中にポリ
アミド結合を含むエラストマーを得ることができる。
【0066】本発明のポリアミド組成物は、アミド結合
に起因する特性を保持し、穏やかな条件で反応で製造す
ることができ、反応の仕込量で構造が決定でき、実質的
に無溶媒でも反応することができ、各種エラストマーの
原料として用いることができる。
【0067】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施形態に基づい
て説明する。
【0068】(実施例1〜6)重合開始剤として、4,
4´−ジアミノジフェニルメタン(DAM)、4,4´
−ジアミノジシクロヘキシルメタン(H−DAM)、ヘ
キサメチレンジアミン(HMD)、エチレンジアミン
(EDA)、ブチレンジアミン(BDA)、p−フェニ
レンジアミン(p−PDA)の各種アミン化合物を用
い、これとε−カプロラクトンとを反応させた。具体的
には、触媒としてオクチル酸第一錫50ppmを用い、
アミノ基1モルに対し、6モルのε−カプロラクトンを
2気流下、170℃で6時間反応させた。これによ
り、ε−カプロラクトンの平均連鎖の数が約6の各種ア
ミド基含有ポリ−ε−カプロラクトンジオールを得た。
【0069】各実施例1〜6及び比較例1としてのエチ
レングリコールについて、水酸基価、平均分子量、ε−
カプロラクトンの平均連鎖の数(計算値)分子量分布
(Mw/Mn)、融点(℃)をそれぞれ表1示す。
【0070】なお、平均分子量は、ポリオールの水酸基
価をJIS K1557の6.4に準じて測定し、次式
により求めた値である。
【0071】分子量=56.1×N×1000/水酸基
価 N:開始剤の官能基数 また、分子量分布は、以下の条件により、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。
【0072】装置 :LC−3A、島津製作所 溶媒 :テトラヒドロフラン 1ml/min 温度 :40℃ 検出器:RID−6A、島津製作所 融点はセイコーインスツルメンツ社製DSC6200を
用い、昇温速度10℃/minにより得られたサーモグ
ラムに観察される融解ピーク温度を示した。
【0073】
【表1】
【0074】(実施例7〜12)実施例1〜6のアミド
基含有ポリ−ε−カプロラクトンジオールと、水酸基に
対して0.95モル当量に相当する4,4´−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート(MDI)とを100℃で5
時間反応させ、ミラブルウレタンタイプのポリアミドエ
ステルウレタンを得た。
【0075】また、各ポリアミドエステルウレタン10
0重量部に、ジクミルパーオキサイド2.0重量部を添
加し、160℃で25分間、所定の金型で熱プレスして
ポリアミドエステルエラストマーを得た。
【0076】(比較例2)重合開始剤としてエチレング
リコールを用いた以外は実施例7〜12と同様に操作
し、ミラブルポリエステルウレタンエラストマーを得
た。
【0077】(物性測定) 各実施例7〜12および比
較例2のエラストマーの成形物を用い、JIS K62
51(ISO37に準拠)に準じて、引張強さ(MP
a)および伸び(%)、JIS K6253に準じて、
硬度(JIS Aスケール)、JIS K6255(I
SO4662に準拠)に準じて、反発弾性(%)、およ
びJIS K6262(ISO2285準拠)に準じ
て、圧縮永久ひずみ(%)、並びにガラス転移点(℃)
を測定した。これらの結果は下記表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】以上の結果より、本発明によれば、高強度
でゴム弾性に優れたアミドエラストマーが得られること
が確認された。
【0080】また、実施例6で得られたアミド含有ポリ
εカプロラクトンジオールと、実施例6のジオールをM
DIで鎖長延長させて得られた実施例12のポリアミド
エステルウレタンとについて、広角X線回折パターンを
測定した。この結果を図1に示す。この結果は、アミド
ジオール(実施例6)では結晶性を示しているが、MD
I鎖長延長物(実施例12)ではアモルファスであるこ
とを示している。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
耐油性、耐熱性、耐摩耗性、高強度などのアミド基特有
の特性を保持したまま、ゴム弾性に優れ、しかも、でき
るだけ穏やかな条件で反応で製造することができ、反応
の仕込量で構造が決定でき、実質的に無溶媒でも反応す
ることができるポリアミドエラストマー及びその製造方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例6及び12の広角X線回折パタ
ーンを示す図である。

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミド組成物の原料であって、活性水
    素を有する一級又は二級アミン化合物にラクトンを少な
    くとも1モル付加して形成され、下記一般式(1)又は
    (2)で示されることを特徴とするアミドエステルアル
    コール。 【化1】 ここで、R1、X、Yは炭素数20以下のアミン化合物
    に由来し、R2は前記ラクトンに由来し、p、qは1以
    上の実数である。 【化2】 ここで、R3、Zは炭素数20以下のアミン化合物に由
    来し、R2は前記ラクトンに由来し、rは1以上の実数
    である。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記ラクトンが3〜
    8モル付加したことを特徴とするアミドエステルアルコ
    ール。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記ラクトン
    を付加する際に又は付加した後に多塩基酸からなる鎖長
    延長剤を添加して下記一般式(3)で示される構造を有
    することを特徴とするアミドエステルアルコール。 【化3】 ここで、Q1は鎖長延長剤由来の鎖長延長セグメントを
    示す。また、R1、X、Yは炭素数20以下のアミン化
    合物に由来し、R2は前記ラクトンに由来し、p、q、
    p´、q´は1以上の実数である。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記ラ
    クトンがε−カプロラクトンであり、前記R2が(C
    25であることを特徴とするアミドエステルアルコー
    ル。
  5. 【請求項5】 活性水素を有する一級又は二級アミン化
    合物にラクトンを少なくとも1モル付加して形成したア
    ミド結合含有セグメントを含むことを特徴とするポリア
    ミド組成物。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記ラクトンが3〜
    8モル付加したアミド結合含有セグメントを含むことを
    特徴とするポリアミド組成物。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6において、前記アミド結
    合含有セグメントが、活性水素を有する一級又は二級ア
    ミン化合物にラクトンを少なくとも1モル付加して形成
    された下記一般式(4)で表される構造を有することを
    特徴とするポリアミド組成物。 【化4】 ここで、Q1は鎖長延長セグメントを示す。また、R1
    X、Yは炭素数20以下のアミン化合物に由来し、R2
    は前記ラクトンに由来し、p、qは1以上の実数であ
    る。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記アミン化合物セ
    グメントが末端にあり、下記一般式(5)で表されるこ
    とを特徴とするポリアミド組成物。 【化5】 ここで、Q2は鎖長延長セグメントを示す。また、R3
    Zは炭素数20以下のアミン化合物に由来し、R2は前
    記ラクトンに由来し、rは1以上の実数である。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8において、前記アミド結
    合含有セグメントが、前記アミン化合物に前記ラクトン
    を3〜8モル付加して形成されたことを特徴とするポリ
    アミド組成物。
  10. 【請求項10】 請求項7〜9の何れかにおいて、前記
    ラクトンがε−カプロラクトンであり、前記アミド結合
    含有セグメント中のR2が(CH25であることを特徴
    とするポリアミド組成物。
  11. 【請求項11】 請求項5〜10の何れかのゴム状弾性
    体が、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー及
    び混練型エラストマーから選択される少なくとも一種で
    あることを特徴とするポリアミド組成物。
  12. 【請求項12】 請求項7〜11の何れかにおいて、前
    記一般式(3)又は(4)で表されるQ1又はQ2のアミ
    ド結合含有セグメント側の端部の結合は、エステル結
    合、カーボネート結合、及びウレタン結合から選択され
    ることを特徴とするポリアミド組成物。
  13. 【請求項13】 請求項5〜12の何れかにおいて、無
    伸長状態では前記アミド結合含有セグメントが結晶して
    いないことを特徴とするポリアミド組成物。
  14. 【請求項14】 活性水素を有する一級又は二級アミン
    化合物にラクトンを少なくとも1モル付加してアミド結
    合含有セグメントを含むアミドエステルアルコールを生
    成する工程と、アルコール末端を所定の結合を介して分
    子鎖に組み込む工程とを具備することを特徴とするポリ
    アミド組成物の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項14において、前記アミドエス
    テルアルコールが下記一般式(1)で表される構造を有
    することを特徴とするポリアミド組成物の製造方法。 【化6】 ここで、R1、X、Yは炭素数20以下のアミン化合物
    に由来し、R2は前記ラクトンに由来し、p、qは1以
    上の実数である。
  16. 【請求項16】 請求項14又は15において、前記ア
    ミドエステルアルコールが下記一般式(2)で表される
    ことを特徴とするポリアミド組成物の製造方法。 【化7】 ここで、R3、Zは前記アミン化合物に由来し、R2は前
    記ラクトンに由来し、rは1以上の実数である。
  17. 【請求項17】 請求項14〜16の何れかにおいて、
    前記アミン化合物にラクトンが3〜8モル付加したこと
    を特徴とするポリアミド組成物の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項14〜17の何れかにおいて、
    前記アミン化合物にラクトンを付加する際又は付加した
    後、多塩基酸からなる鎖長延長剤を添加して下記一般式
    (3)に示すアミドエステルアルコールとすることを特
    徴とするポリアミド組成物の製造方法。 【化8】 ここで、Q1は鎖長延長剤由来の鎖長延長セグメントを
    示す。また、R1、X、Yは炭素数20以下のアミン化
    合物に由来し、R2は前記ラクトンに由来し、p、q、
    p´、q´は1以上の実数である。
  19. 【請求項19】 請求項14〜18の何れかにおいて、
    前記ラクトンがε−カプロラクトンであり、前記アミド
    エステルアルコール中のR2が(CH25であることを
    特徴とするポリアミド組成物の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項14〜19の何れかのゴム状弾
    性体が、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー
    及び混練型エラストマーから選択される少なくとも一種
    であることを特徴とするポリアミド組成物の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項14〜20の何れかにおいて、
    下記一般式(4)又は(5)で表されるアミド結合含有
    セグメントの端部に結合する結合は、エステル結合、カ
    ーボネート結合、及びウレタン結合から選択されること
    を特徴とするポリアミド組成物の製造方法。 【化9】 ここで、R1、X、Yは炭素数20以下のアミン化合物
    に由来し、R2は前記ラクトンに由来し、p、qは1以
    上の実数である。 【化10】 ここで、R3、Zは前記アミン化合物に由来し、R2は前
    記ラクトンに由来し、rは1以上の実数である。
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JP2007063472A (ja) * 2005-09-01 2007-03-15 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd 顔料の高分子分散剤およびカラーフィルター用着色組成物

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