JP2000300115A - 非ヒト哺乳動物のミルク - Google Patents

非ヒト哺乳動物のミルク

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JP2000300115A JP2000071355A JP2000071355A JP2000300115A JP 2000300115 A JP2000300115 A JP 2000300115A JP 2000071355 A JP2000071355 A JP 2000071355A JP 2000071355 A JP2000071355 A JP 2000071355A JP 2000300115 A JP2000300115 A JP 2000300115A
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ミード ハリー
Nils Lonberg
ロンバーグ ニルス
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 組換生産物が、慣用の組換えポリペプチド産
生技術によるよりも簡便に、かつ顕著に低いコストで製
造すること 【解決手段】 組換えポリペプチドを含有する非ヒト哺
乳動物ミルクであって、該組換えポリペプチドが該哺乳
動物によって該ミルクとともにか、またはその中に産生
される、ミルク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、哺乳動物のミルク
における組換蛋白の産生に関するものである。特に本発
明は、シグナルペプチドおよび所望の組換蛋白生産物を
コードするDNA配列に作用結合した少なくとも1種の
ミルク特異性蛋白プロモータからなる発現系に関するも
のである。この種の系を哺乳動物中にトランスジェニッ
ク的(transgenically)に組込むと、授
乳期のトランスジェニック哺乳動物のミルクに組換蛋白
が発現される。さらに本発明は、所望の組換生産物をミ
ルク中に産生するトランスジェニック哺乳動物に関する
ものである。本発明の発現系およびトランスジェニック
改変した哺乳動物により産生される組換生産物は、慣用
の組換蛋白産生技術によるよりも顕著に低いコストで製
造することができる。
【0002】
【従来の技術】組換DNA技術は、医学上および産業上
重要な蛋白およびグリコ蛋白をコードする遺伝子のクロ
ーン化および発現を可能にした。この種の生産物はたと
えばインシュリン、成長ホルモン、成長ホルモン放出因
子、ソマトスタチン、組織プラスミノーゲン賦活物質、
腫瘍壊死因子、リポコルチン、凝集因子VIIIおよび
IX、インターフェロン、コロニー刺戟因子、インター
ロイキンおよびウロキナーゼを包含する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
重要な蛋白の多くは大きく(30Kdを超える分子
量)、で分泌され、適正な折畳みを維持するにはスルフ
ヒドリル結合を必要とし、グリコシル化されておりかつ
プロテアーゼに対し感受性である。その結果、原核生物
細胞におけるこの種の生産物の組換産生は、所望の組換
えポリペプチドが不適正に処理され、適正なグリルシル
化を欠如し、或いは不適正に折畳まれるので、満足しう
るものでないことが判明している。したがって、これら
の組換蛋白は培養された真核細胞にて産生させねばなら
なかった。この技術は、細胞培養法の変動に基づき高価
となりかつしばしば信頼性がないと判明した。たとえ
ば、平均収率は培地1l当たり組換蛋白10mgであ
り、その結果コストは典型的には組換蛋白1g当たり1
000ドルを超える。したがって、これら組換えポリペ
プチドは培養された真核生物細胞にて産生させねばなら
なかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、トランスジェ
ニック改変された哺乳動物のミルクにて多量の組換えポ
リペプチド生産物を産生する効率的手段を提供すること
により、これらの問題を解決する。本発明によれば、所
望の蛋白をコードするDNA配列は、発現系においてミ
ルク特異性蛋白プロモータ或いは乳房組織にて特異的に
賦活される任意のプロモータ配列に、シグナルペプチド
をコードするDNA配列を介して作動可能に結合され、
このシグナルペプチドは乳房組織にて所望蛋白の分泌お
よび成熟を可能にする。より好ましくは、発現系は所望
の組換えポリペプチドをコードするDNA配列の下流に
3′非翻訳領域をも含む。この非翻訳領域は、発現系の
rDNA転写産物を安定化させることができる。必要に
応じ発現系は、シグナルペプチドをコードするDNA配
列の上流に5′非翻訳領域をも含む。
【0005】この発現系は標準的なトランスジェニック
(transgenic)技術により宿主ゲノム中にト
ランスジェニック的に導入される。その結果、構造物も
しくは系の1つもしくはそれ以上のコピーがトランスジ
ェニック哺乳動物のゲノムに組込まれる。発現系の存在
は、雌哺乳動物が組換えポリペプチド生産物を産生する
と共にミルク中へまたはミルクと一緒に分泌することを
可能にする。この種の方法は、所望蛋白の低コストかつ
高レベルの製造を可能にする。
【0006】本発明は、組換えポリペプチドを含有する
非ヒト哺乳動物ミルクであって、該組換えポリペプチド
が該哺乳動物によって該ミルクとともにか、またはその
中に産生される、ミルクに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本明細書に使用する組換えポリペ
プチドおよび作動可能に結合という用語は次の意味を有
する: 作動可能に結合:所望蛋白をコードするDNA配列の発
現および所望蛋白の産生を可能にすると共に制御するよ
うな、ミルク特異性プロモータまたは乳房組織で特異的
に、賦活されるプロモータの、上記DNA配列への結
合。
【0008】組換ポリペプチド:本発明に従い蛋白又は
ペプチドがそのミルク中に産生されるところの哺乳動物
の天然ゲノムに対し内生でないDNA配列によりコード
される蛋白もしくはペプチド、或いは蛋白又はペプチド
がそのミルク中に産生されるところの哺乳動物の天然ゲ
ノムに対し内生であるならば、そのミルク中での該蛋白
もしくはペプチドの産生を、本発明のトランスジェニッ
ク哺乳動物がそのミルク中にて産生するのと同じレベル
ではもたらさないところのDNA配列によりコードされ
るポリペプチド。
【0009】[発明の詳細な説明]本発明は、組換えポ
リペプチドを製造するための方法、DNA配列、組成物
およびトランスジェニック哺乳動物に関するものであ
る。より詳細には本発明は、乳房組織にて所望の組換え
ポリペプチドの分泌および成熟を可能にするようなシグ
ナルペプチドをコードするDNA配列を介し、所望の組
換えポリペプチドをコードするDNA配列に作動可能に
結合したミルク特異性蛋白プロモータ或いは乳房組織に
て特異的に賦活されるプロモータ配列を含む構造物の1
つもしくはそれ以上のコピーをトランスジェニック的に
組込むことに関する。この構造物は哺乳動物の胚中にト
ランスジェニック的に組込まれ、次いで組換えポリペプ
チド生産物を発現して授乳期のトランスジェニック哺乳
動物のミルク中にまたはミルクと共に分泌される。
【0010】本発明には、任意の哺乳動物を有効に用い
ることができる。好ましくは、多量のミルクを産生しか
つ長い授乳期間を有する哺乳動物が好適である。好適哺
乳動物は牛、羊、山羊、ネズミ、牛属動物、ラクダおよ
び豚である。勿論、これら哺乳動物のそれぞれは本発明
の所定の発現配列に関し互いに同じ効果を有するもので
ない。たとえば、特定のミルク特異性プロモータまたは
シグナル配列は、或る種の哺乳動物において他の哺乳動
物におけるよりも効果が大である。しかしながら、当業
者は本発明の教示にしたがってこの種の選択を容易に行
なうことができる。
【0011】本発明の各具体例において有用なミルク特
異性蛋白プロモータとしては、カゼインプロモータおよ
びβ−ラクトグロブリンプロモータがある。たとえばガ
ゼインプロモータはα−カゼインプロモータ、β−カゼ
インプロモータまたはκ−カゼインプロモータから選択
することができる。好ましくは、カゼインプロモータは
牛由来のものであり、かつαS−1カゼインプロモータ
である。乳房組織で特異的に賦活されかつしたがって本
発明に有用であるプロモータとしては、マウス乳房腫瘍
ウィルス(MMTV)の長い末端反復配列(LTR)プ
ロモータがある。乳房組織にて特異的に賦活されるミル
ク特異性蛋白プロモータは、cDNA配列またはゲノム
配列のいずれかから誘導することができる。好ましく
は、これらは性質上ゲノム性である。
【0012】本発明に有用なシグナルペプチドとして
は、真核および原核蛋白の分泌および成熟に有用なミル
ク特異性シグナルペプチドまたはその他のシグナルペプ
チドがある。好ましくは、シグナルペプチドはミルク特
異性シグナルペプチドまたは必要に応じ所望の組換えポ
リペプチド生産物のシグナルペプチドから選択される。
特に好ましくは、ミルク特異性シグナルペプチドは本発
明の発現系に使用されるミルク特異性プロモータに関連
する。シグナルペプチドの大きさは、本発明にとって臨
界的でない。唯一の必要とされることは、乳房組織で発
現される所望の組換えポリペプチドの分泌および成熟を
行なうのに充分な大きさをペプチドが有することであ
る。
【0013】本発明の方法により産生させうる蛋白生産
物は、たとえば凝集因子VIIIおよびIX、ヒトもし
くは動物血清アルブミン、組織プラスミノーゲン賦活物
質(TPA)、ウロキナーゼ、α−1アンチトリプシ
ン、動物成長ホルモン、ミュラー氏阻止物質(MI
S)、細胞表面蛋白、インシュリン、インターフェロ
ン、インターロイキン、ミルクリパーゼ、抗ウィルス蛋
白、ペプチドホルモン、免疫グロブリン、リポコルチ
ン、並びにその他の組換えポリペプチド生産物を包含す
る。
【0014】所望の組換えポリペプチドは、所望のまた
は天然の蛋白の他にアミノ酸を含有する融合蛋白として
産生することもできる。たとえば、本発明の所望の組換
えポリペプチドは、この所望の蛋白を安定化させ或いは
ミルクからの精製をより容易化しかつ迅速にするため大
型組換えポリペプチドの1部として産生することができ
る。次いで、融合を破壊しかつ所望の蛋白を分離する。
或いは、所望の組換えポリペプチドは天然蛋白の断片も
しくは誘導体として産生させることもでき、或いは天然
蛋白と類似したアミノ酸配列を有するよう産生させるこ
ともできる。これら代案のそれぞれは、単に適正なDN
A配列を選択することにより容易に実施される。
【0015】好ましくは、本発明の発現系はもしくは構
造物は、所望の組換えポリペプチドをコードするDNA
配列の下流に3′非翻訳領域をも含む。この領域は明ら
かに発現系のRNA転写を安定化させ、したがって発現
系からの所望蛋白の収率を増大させる。本発明の構造物
に有用な3′非翻訳領域としては、ポリAシグナルを備
える配列がある。この種の配列は、たとえばSV40小
型t抗原、カゼイン3′非翻訳領域またはその他の当業
界で周知された3′非翻訳領域配列から得ることができ
る。好ましくは、3′非翻訳領域はミルク特異性蛋白か
ら誘導される。3′非翻訳領域の長さは臨界的でない
が、そのポリA転写産物の安定化作用が発現配列のRN
Aを安定化させるのに重要であると思われる。
【0016】必要に応じ、本発明の発現制御配列はさら
にプロモータとシグナルペプチドをコードするDNA配
列との間に5′非翻訳領域をも含む。この種の非翻訳領
域は、好ましくはプロモータに関連する。しかしなが
ら、これらは他の合成、半合成および天然の供給源から
誘導することもできる。この場合も、特定長さは重要で
ないが、これらは発現レベルを向上させるのに有用であ
ると思われる。
【0017】上記発現系は、当業界で周知された方法を
用いて作成することができる。たとえば、慣用のリンカ
ー、制限部位等を用いる各種の結合技術を使用して良好
な作用をうることができる。好ましくは、本発明の発現
系は大型プラスミドの1部として作成される。この種の
作成は、当業界で周知されたように適正な構成のクロー
ン化および選択を効率的に可能にする。特に好ましく
は、本発明の発現系は、所望の哺乳動物に組込むため残
余のプラスミド配列から容易に分離しうるよう、プラス
ミド上の便利な制限部位の間に位置する。
【0018】このような分離および精製の後、本発明の
発現系もしくは構成物をトランスジェニック改変させる
べき哺乳動物の遺伝子プールに添加する。たとえば、こ
の構成物の1個もしくは数個のコピーを、標準的トラン
スジェニック技術により哺乳動物胚のゲノムに組込むこ
とができる。
【0019】哺乳動物をトランスジェニック改変させる
1つの技術は、受精した哺乳動物卵の前核中に構成物を
マイクロインジェクトして、構成物の1つもしくはそれ
以上のコピーを成長哺乳動物の細胞に保持させることで
ある。一般に、注入した卵から成長する哺乳動物の少な
くとも40%は体組織中に少なくとも1個のクローン化
構成物のコピーを含有し、これらの「トランスジェニッ
ク哺乳動物」は一般に遺伝子を生殖細胞系を介して次の
世代に伝達る。
【0020】トランスジェニック的に処理された胚の成
長体を組織のセグメントのサウザン・ブロット分析によ
り構成物の存在につき試験することができる。外生クロ
ーン化構成物の1つもしくはそれ以上のコピーがこの種
のトランスジェニック胚のゲノムに安定に一体化され続
ければ、トランスジェニック改変した構成物を有する永
久的なトランスジェニック哺乳動物ラインを確立するこ
とができる。
【0021】トランスジェニック改変した哺乳動物の同
腹子を出産後に子孫のゲノム中への構成物の組込みにつ
き分析することができる。好ましくは、この分析は、所
望組換えポリペプチド生産物をコードするDNA配列ま
たはその断片に対応するプローブを子孫からの染色体物
質にハイブリッド化させて行なわれる。ゲノム中に構成
物の少なくとも1個のコピーを含有することが判明した
哺乳動物の子孫を成熟させる。これら子孫の雌は、その
ミルク中に或いはミルクと共に所望の蛋白を産生する。
或いは、トランスジェニック哺乳動物を育種して、ミル
ク中に所望蛋白を産生させるのに有用な他のトランスジ
ェニック子孫を得ることもできる。
【0022】
【実施例】(実施例1 牛αS−1カゼイン)牛αS−
1カゼインを、コスミドベクターHC79(ベーリンガ
ー・マンハイム社から供給)にてB.ホーンおよびJ.
コリンスによりジーン、第11巻、第291〜98頁
(1980)に記載されたように牛胸腺DNAのコスミ
ド保存物とクローン化した。胸腺は屠殺所から入手し、
かつDNAを当業界で周知された標準技術[T.マニア
チス等、「モレキュラ・クローニング:ラボラトリー・
マューアル」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボ
ラトリー、第271頁(1982)]により分離した。
コスミド保存物は、標準技術[F.グロスベルト等、ジ
ーン、第13巻、第227〜31頁(1982)]を用
いて分離した。牛胸腺DNAをSau3A(ニュー・イ
ングランド・ビオ・ラブス社から入手)で部分的に切断
し、かつこれを塩濃度勾配で処理して30〜40kb断
片を増加させた。次いで、部分切断されたDNA断片を
BamH I切断されたHC79コスミドベクターと結
合させ、次いで製造業者の推奨に従いλ抽出物(アメル
シャム社)でインビトロパッケージングした。次いで、
インビトロパッケージングされた物質を用いてイー・コ
リK−12菌株HB101に感染させ、次いで50μg
/mlのアンピシリン(シグマ社)を含有するLBプレ
ートで選択した。
【0023】45塩基対オリゴヌクレオチドプローブ、
すなわちCAS−1を用いて、この保存物をスクリーニ
ングした。このCSA−1配列、すなわち5′CATG
GCTTGATCTTCAGTTGATTCACTCC
CAATATCCTTGCTCAG3′は、I.M.ウ
ィルス等によりDNA、第1巻、第375〜86頁(1
982)に記載されたようにαS−1カゼインの部分c
DNA配列から得られた。この配列は成熟牛カゼインの
アミノ酸20〜35に相当する。
【0024】このスクリーニングの結果、3種のコスミ
ド(C9、D4およびE1)が分離された。C9の部分
サブクローン化および配列決定は、このコスミドがαS
−1カゼイン遺伝子のゲノム配列の1部であることを示
した。
【0025】次いで、開示された配列[A.F.スチュ
ワート等、ヌクレイック・アシッド・リサーチ、第12
巻、第3895頁(1984);M.ナガオ等、アグリ
カルチャル・バイオロジカル・ケミストリー、第48
巻、第1663〜67頁(1984)]に基づきカゼイ
ンcDNAの領域に相当する数種のオリゴヌクレオチド
プローブを合成した。制限マッピングおよびサウザン・
ブロット分析[E.サウザン、ジャーナル・モレキュラ
・バイオロジー、第98巻、第503頁(1975)]
は、コスミドD4およびE1が構造遺伝子および上述の
9kbまたは5′フランキング配列を有することを確認
した。C9コスミドはカゼイン構造遺伝子および下流の
8kbもしくは3′配列(第1図参照)を含有した。カ
ゼイン構造配列の転写開始に相当する領域におけるコス
ミドE1およびD4を配列決定して、この配列がL.
L.ユーリー等、ヌクレイック・アシッド・リサーチ、
第14巻、第1883〜1902頁(1986)に記載
されたと同じ領域の配列に相当することを確認した。
【0026】αS−1カゼインの制御領域は転写開始部
の上流に位置すると思われる。配列決定後、40bpエ
クソンIが存在することを確認すると共に、成熟CAS
の最初の2種のアミノ酸(アルギニンおよびグルタミ
ン)をコードする配列と一緒にCASのシグナル配列が
エクソンIIに存在することも確認した。
【0027】CASプロモータプラスミドを次のように
作成した:第1図のゲノム地図は、制御領域もしくはプ
ロモータ領域がエクソンIおよびIIと一緒に9kb
Kpn I−BamH I断片としてクローン化されう
ることを示している。したがって、E1コスミドをKp
n IおよびBamH Iで切断し、次いでこれを予め
Kpn IおよびBamH Iで切断されているpUC
19(ベセスダ・リサーチ・ラブス社)に結合させた。
得られたプラスミドpCAS1134(第1図参照)
は、CASプロモータとクローニングに適するBamH
I部位を持ったシグナル配列とを含有した。
【0028】真核宿主にてゲノム構成物を機能させ、す
なわちトランスジェニック作業を行なってDNAを前核
中に注入するには、原核配列を最初に除去せねばならな
い。原核配列を除去するべく用いた1つの方法は、Sa
l I部位が真核DNAに隣接するようにpCAS11
34を改変することである。CASプロモータの上流に
位置するKpn I部位を、CAS−11リンカー5′
GGT CGA CCG TAC 3′を用いてSa
l I部位に変化させ、これをKpn Iで切断した後
にプラスミドに結合させた。得られたプラスミドpCA
S1141(第1図参照)は、CASプロモータに隣接
するSal I部位とBamH Iクローン化部位とを
含有した。
【0029】(実施例2 CAS−組換生産物の作製)
本発明の方法により産生しうる1種の組換えポリペプチ
ドは組織プラスミノーゲン賦活物質、すなわちTPAで
ある。下記するように、カゼインシグナルペプチドを用
いて、本発明による構成物を有するトランスジェニック
・マウスの乳腺からTPAの分泌を直接指令した。この
構成おいて、カゼインシグナルペプチドのヌクレオチド
配列をRNA処理(プロセッシング)により成熟TPA
の配列に融合させた。TPAの配列はD.ペニカ等によ
りネイチャー、第301巻、第214〜21頁(198
3)に記載されている。TPA遺伝子においてはCAS
遺伝子におけると同様に、成熟配列からシグナルペプチ
ドを分離するイントロンIIにBamH I部位が存在
する[R.フッシャー等、ジャーナル・バイオロジカル
・ケミストリー、第260巻、第11223〜30頁
(1985)]。TPAのcDNAは、成熟TPAのア
ミノ酸No.3にてエクソンIII中にBglII部位
を示す。
【0030】TPAのゲノムクローン[R.フィッシャ
ー等、上記]からの1.7kb断片を、BamH I−
Bgl IIを用いてサブクローン化した。この1.7
kb断片はイントロンIIの1部と3′スプライスアク
セプタ部位とBgl II部位までのエクソンIIIと
を含有した。この1.7kb断片を用いて、TPAのc
DNAクローンに見られるTPAシグナル配列を置換
し、BamH Iカセットを得た。実施例1に示したよ
うに、成熟蛋白の配列からカゼインシグナルペプチドの
ための配列を分離するイントロンIIに位置するBam
H I部位が存在する。CASプロモータプラスミドp
CAS1141をBamH Iで切断し、かつTPAを
含有するBamH Iカセットを第1図に示したように
切断プラスミドに結合させてプラスミドpCAS115
1を生ぜしめ、これはTPAのcDNA配列の上流にC
ASプロモータを有する。この構成物は、TPA構造配
列がRNA処理によりカゼインシグナル配列を受入れる
ことを可能にする。
【0031】次いで、哺乳動物をトランスジェニック改
変させるために使用するDNAを分離した。pCAS1
151DNAをSal Iで完全に切断した。1%アガ
ロースTBE[マニアチス等、上記]における電気泳動
の後、真核配列に相当する13kb断片をゲルから切除
し、かつDNAを電気溶出させた。次いで、DNAを平
衡CsCl濃度勾配にて1晩遠心分離した。DNAバン
ドを除去しかつ緩衝剤TNE(5mMトリス(pH7.
4)5mM NaClおよび0.1m EDTA(pH
8))に対し徹底的に透析した。
【0032】(実施例3 マウス中への構成物のトラン
スジェニック組込み)成長しているマウス胚中へ所望の
遺伝子情報をトランスジェニック的に組込む方法は当業
界で確立されている[B.ホーガン等、「マウス胚の処
理;ラボラトリー・マニュアル」、コールド・スプリン
グ・ハーバー・ラボラトリー(1986)]。C57B
1とCB6との間のF1世代[スローン・ケタリング)
交配を用いた[ジャクソン・ラボラトリース社]。6週
令の雌を、ゲスチル(妊娠雌マウス血清)の注射に続き
2日後のヒトコリオゴナドトロピンの注射により排卵過
多にした。処理した雌を24時間後にC57B1雄マウ
スと交配させた。移植前受精した胚を、DNAのマイク
ロインジェクションおよび疑妊娠雌への移植のため交配
してから12時間以内に取出した。
【0033】卵を包囲する卵丘細胞をヒマルロニターゼ
で先す最初に切断することにより、構成物を注入した。
構成物は、寸法が30%〜50%膨潤するまで胚の前核
中に注入した。次いで、注入した胚(262個)を疑妊
娠F1雌の卵管に移植した。注入されかつ移植された2
62個の胚のうち、23匹の子供が生まれた。これらの
テールブロットを行ない、かつニック翻訳されたpCA
S1151DNAで試験して、その5匹がCAS配列を
有することを示した。雌GO子孫のうち2匹を6週間で
雄に交配して、G1世代を得た。
【0034】pCAS1151配列につき、これら交配
体の子孫をテールブロットにより試験した。次いで、分
娩後に得られた雌を育成しかつ授乳させた。pCAS1
151DNA配列を有するこれらの雌マウスはそのミル
ク中にTPAを産生したのに対し、比較は産生しなかっ
た。
【0035】トランスジェニック雄GOマウスを比較雌
と交配させた。テールプロットによりG1子孫を試験
し、かつpCAS1152配列を有する雌を搾乳用に育
成した。G1子孫はそのミルク中に0.2〜0.5μg
/mlのTPAを産生した。次いで、これらの雌を野生
型F1と交配させた。pCAS1151DNA配列を有
する子孫は同レベルのTPAを産生したのに対し、この
配列を持たない子孫はそのミルク中にTPAを産生しな
かった。
【0036】(実施例4 大型哺乳動物中へのヒトTP
A配列のトランスジェニック組込み)少なくとも1回の
事前の発情期間の後、羊を胚ドナーとする前に排卵過多
にした。より詳細には、発情サイクルのほぼ10日目
に、各羊にプロゲスタゲンで含浸した腟内スポンジ(各
スポンジは60mgの6α−メチル−17−α−アセト
キシプロゲステロンを含有する)を移植した。このスポ
ンジを12日間にわたり移植状態に保持した。スポンジ
を取出す前の3日間および取出した翌日まで、各動物に
ゴナドトロピン処理を施し、この処理は毎日2回の筋肉
内注射により2.5mgの豚卵胞刺戟ホルモンを投与し
て行なった。発情の開始時点で、羊を受精可能なラムに
交配させるか或いは1頭当たり0.2mlの洗浄したラ
ム精子を子宮に受精させた。スポンジ除去してから72
時間以内に、1細胞受精胚および分裂胚を、麻酔された
羊の生殖管から外科的に採取し、その際各卵管のカニュ
ーレ挿入した漏斗管端部を介し子宮−卵管接合部から得
られた熱失活胎児牛血清10%を含有する約6mlのハ
ムスF−10媒体で逆行洗浄した。洗浄液を集め、かつ
胚を解剖用顕微鏡の下で剔出した。
【0037】次いで、この胎芽を10%の胎児牛血清を
含有する新鮮なハムスF−10に移し、かつマイクロマ
ニピュレータを装着した倒立顕微鏡の台に載せた。次い
で、各胚には、たとえばR.L.ブリンスター等、セ
ル、第27巻、第223〜31頁(1981)に示され
た方法により、pCAS1151のような複数の構成物
をマイクロインジェクトした。次いで、胚を10mlの
ハムスF−10と共にガラスピペット先端に吸引し、か
つ同期された受容体羊における卵管の房状端部に1〜3
cm排出された。次いで、これらの羊を適当な時間にわ
たり妊娠させ、かつその子孫をTPAをコードするDN
A配列の組込みにつき試験した。これらトランスジェニ
ック子孫の雌は、そのミルク中にTPAを産生した。
【0038】プラスミドpCAS1151を含有する本
発明の構成物は1987年6月23日付でメリーランド
州、ロックビル在、アメリカン・タイプ・カルチャー・
コレクションに寄託されかつLE392/pCAS11
51として同定された培養物により代表され、ここでp
CAS1151はイー・コリK12中に存在する。これ
は、受託番号ATCC67450が付与されている。
【0039】以上、本発明の多くの実施例につき説明し
たが、この基本的構成を変化させて本発明の方法および
構成物を用いる他の具体例も与えうることが了解されよ
う。したがって、本発明の範囲は実施例として上記に説
明した特定実施例のみに限定されないことが了解されよ
う。
【0040】(発明の要旨)本発明は、哺乳動物ミルク
中の組換えタンパク質の産生に関する。特に、本発明
は、哺乳動物中にトランスジェニック的に組み込まれた
場合に、その哺乳動物の雌性種が所望の組換えタンパク
質をそのミルク中またはそのミルクとともに産生するこ
とを可能にする発現系に関する。本発明はまた、そのミ
ルク中に所望の組換え産物を産生するトランスジェニッ
ク哺乳動物に関する。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、組換生産物が、慣用の
組換えポリペプチド産生技術によるよりも簡便に、かつ
顕著に低いコストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は本発明のプラスミド、pCAS115
1の構成を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/02 G01N 33/68 G01N 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/68 5/00 B (C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組換えポリペプチドを含有する非ヒト哺
    乳動物ミルクであって、該組換えポリペプチドが該哺乳
    動物によって該ミルクとともにか、またはその中に産生
    される、ミルク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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