JP2000293893A - 情報記録媒体 - Google Patents

情報記録媒体

Info

Publication number
JP2000293893A
JP2000293893A JP11096519A JP9651999A JP2000293893A JP 2000293893 A JP2000293893 A JP 2000293893A JP 11096519 A JP11096519 A JP 11096519A JP 9651999 A JP9651999 A JP 9651999A JP 2000293893 A JP2000293893 A JP 2000293893A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
resin substrate
information recording
magnetic
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11096519A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Uchiyama
浩 内山
Susumu Haga
進 芳賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP11096519A priority Critical patent/JP2000293893A/ja
Publication of JP2000293893A publication Critical patent/JP2000293893A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂製の基板を用いた情報記録媒体におい
て、基板へのクラックの発生を効果的に抑制すると共
に、良好なCSS特性を発揮させる。 【解決手段】 樹脂基板2上に形成される積層膜6の内
部応力を0.3GPa以下にすると共に、下地膜3の平
均結晶粒径を3〜30nmの範囲内にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂製の基板上
に、少なくとも下地膜を介して情報記録膜が形成されて
なる情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータの記憶装置等として、従来
より、ハードディスクシステムが普及している。このハ
ードディスクシステムは、一般に、表面が高精度に研磨
されたアルミニウム等の金属板やガラス等よりなる基板
上に、Crを主体とする下地膜やCo−Pt−Cr合金
等の磁気記録膜、Cを主体とする保護膜等が形成されて
なる磁気ディスクを記録媒体として用いている。そし
て、ハードディスクシステムは、この磁気ディスクの信
号記録領域上に、磁気ヘッドを搭載した浮上スライダを
所定の浮上量で浮上させて、信号の書き込み及び/又は
読み出しを行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このハード
ディスクシステムにおいては、広く普及するに従って低
価格化が求められてきている。そして、この低価格化の
要求に応えるために、磁気ディスクのディスク基板とし
て、光ディスク等で一般的に用いられている樹脂製のデ
ィスク基板を適用することが検討されている。
【0004】ディスク基板の材料として樹脂材料を用い
るようにすれば、材料自体のコストが大幅に削減される
ことに加えて、射出成形によりサーボ信号等をプリフォ
ーマットすることが容易に行えるので、磁気ディスクの
製造コストを大幅に削減することが可能となる。
【0005】しかしながら、樹脂製のディスク基板を磁
気ディスクの基板として用いた場合には、以下のような
問題が生じていた。すなわち、樹脂製のディスク基板上
に、スパッタリング等によりCrを主体とする保護膜を
形成する際に、樹脂製のディスク基板にクラックが発生
してしまう場合があった。磁気ディスクは、ディスク基
板にクラックが発生すると、適切に信号の記録再生を行
うことが阻害されるばかりでなく、磁気記録膜の変質が
増長されてしまう。したがって、ディスク基板にクラッ
クが発生した磁気ディスクは、クラックが生じた箇所の
みでなく磁気ディスク全体が不良となってしまう。
【0006】また、ハードディスクシステムにおいて
は、磁気ディスクが停止しているときは、磁気ヘッドを
搭載した浮上スライダを磁気ディスクに接触させてお
き、記録再生時は、磁気ディスクを回転操作させること
により生じる空気流により浮上スライダを浮上させるよ
うにしているので、磁気ディスクに対しては、起動時又
は停止時における浮上スライダとの接触や摩擦に対する
耐久性、いわゆるCSS(Contact Start and Stop)特
性が良好であることが望まれる。
【0007】本発明は、以上のような点に鑑みて創案さ
れたものであり、樹脂製の基板を用いた情報記録媒体に
おいて、基板へのクラックの発生が効果的に抑制される
と共に、良好なCSS特性を発揮して、ハードディスク
システムの記録媒体として好適な情報記録媒体を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意検討を重ねた結果、樹脂製の基板上に形
成される積層膜の内部応力が大きいと、これに起因し
て、樹脂製の基板にクラックが発生してしまうことを見
出すに至った。
【0009】また、本発明者は、上記課題を解決すべく
鋭意検討を重ねた結果、Crを主体とする下地膜の結晶
粒径を制御することにより、CSS特性の向上を図るこ
とができることを見出すに至った。
【0010】本発明に係る情報記録媒体は、以上のよう
な知見に基づいて創案されたものであって、樹脂製の基
板上に、少なくとも情報記録膜とこの情報記録膜の下地
となるCrを主体とした下地膜とを有する積層膜が形成
されてなり、上記積層膜の内部応力が0.3GPa以下
とされていると共に、上記下地膜の平均結晶粒径が3〜
30nmの範囲内とされていることを特徴としている。
【0011】この情報記録媒体は、積層膜の内部応力が
0.3GPa以下とされていることにより、樹脂製の基
板に対するクラックの発生が効果的に抑制される。ま
た、この情報記録媒体は、Crを主体とした下地膜の平
均結晶粒径が3nm以上とされていることにより、良好
なCSS特性を発揮することができる。なお、下地膜の
平均結晶粒径が30nmを超えると、情報記録膜のS/
Nが大幅に低下するので望ましくない。
【0012】上記積層膜の内部応力を0.3GPa以下
とし、また、上記下地膜の平均結晶粒径を3〜30nm
の範囲内にするには、例えば、樹脂製の基板上に積層膜
を構成する各膜をスパッタリング等により成膜する際の
ガス圧等を調整し、最適な条件下で積層膜を構成する各
膜を成膜するようにすればよい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。なお、ここでは、本発明をハード
ディスクシステムの記録媒体として構成される磁気ディ
スク1に適用した例について説明するが、本発明に係る
情報記録媒体はこの例に限定されるものではなく、樹脂
製の基板上に下地膜と情報記録膜とを含む積層膜が形成
されてなるあらゆる情報記録媒体に対して適用可能であ
る。
【0014】本発明を適用した磁気ディスクの要部を拡
大した断面図を図1に示す。この図1に示す磁気ディス
ク1は、ハードディスクシステムの記録媒体として用い
られるものであり、樹脂材料がディスク状に成形されて
なる樹脂基板2を備え、この樹脂基板2の一主面2a上
に、磁気記録膜の下地となる下地膜3と、磁気記録膜4
と、磁気記録膜4を保護する保護膜5とが、この順で順
次積層されてなる。そして、この磁気ディスク1は、ス
ピンドルモータ等により回転操作され、当該磁気ディス
ク1上を所定の浮上量で浮上する浮上スライダに搭載さ
れた磁気ヘッドにより、磁気記録膜4に対して信号が書
き込まれ、又は磁気記録膜4に書き込まれた信号が読み
出される。
【0015】樹脂基板2は、例えば、熱可塑性樹脂等の
樹脂材料が射出成形等によりディスク状に成形されてな
る。この樹脂基板2の一主面2a上には、サーボ信号等
を示す凹凸が予め形成されていることが望ましい。この
凹凸は、樹脂基板2を射出成形する際にこの凹凸の反転
パターンを有するスタンパ或いは金型を用いることによ
り形成することができる。
【0016】下地膜3は、磁気記録膜4の磁場配向を円
周方向に揃え、磁気記録膜4の磁気特性を良好なものと
するためのものであり、例えば、Crや、Cr−X(X
=Ti、V、Mo)等のCr合金等が、スパッタリング
等により、樹脂基板2の一主面2a上に成膜されてな
る。
【0017】この下地膜3の膜厚は、30〜100nm
の範囲内とされていることが望ましい。下地膜3の膜厚
が30nmよりも薄いと、磁気記録膜4の磁気特性を良
好なものとする下地膜3本来の機能が十分に発揮されな
い。また、下地膜3の膜厚が100nmを超えると、下
地膜3の内部応力が非常に大きくなってしまい、樹脂基
板2にクラックを発生させる要因となる。
【0018】また、下地膜3は、その平均結晶粒径が3
nm以上とされていることが望ましく、5nm以上とさ
れていることがより望ましい。下地膜3の平均結晶粒径
が3nm以上とされることにより、磁気ディスク1は、
良好なCSS特性を発揮し、下地膜3の平均結晶粒径が
5nm以上とされた場合には、磁気ディスク1は更に良
好なCSS特性を発揮することができる。一方、下地膜
3の平均結晶粒径が30nmを超えると、磁気記録膜4
のS/Nを大幅に低下させてしまうので、望ましくな
い。
【0019】なお、下地膜3は、樹脂基板2の一主面2
a上に直接成膜されるのではなく、いわゆるSeed層
となるNi−P膜やTi膜、C膜等を介して、樹脂基板
2の一主面2a上に形成されるようにしてもよい。
【0020】磁気記録膜4は、例えば、CoPtCr合
金等の磁性材料が、スパッタリング等により、例えば、
25nm程度の膜厚で、下地膜3上に成膜されてなる。
【0021】また、保護膜5は、例えば、C等の材料
が、スパッタリング等により、例えば、20nm程度の
膜厚で、磁気記録膜4上に成膜されてなる。
【0022】そして、以上のように構成される磁気ディ
スク1は、樹脂基板2の一主面2a上に積層形成された
下地膜3、磁気記録膜4、保護膜5、或いはこれらの間
に付加された例えばSeed層等の他の膜を含めた全体
(以下、これら樹脂基板2の一主面2a上に積層形成さ
れた膜の全体を積層膜6という。)の内部応力が、0.
3GPa以下とされている。この磁気ディスク1は、積
層膜6の内部応力が0.3GPa以下とされていること
により、樹脂基板2にクラックが発生するといった不都
合が有効に防止され、信号の記録再生を適切に行うこと
ができる。
【0023】以上のように構成される磁気ディスク1
は、例えば、図2に示すようなインライン型のスパッタ
リング装置により、樹脂基板2の一主面2a上に、積層
膜6を構成する下地膜3、磁気記録膜4、保護膜5等が
順次成膜されることにより製造される。
【0024】この図2に示すインライン型のスパッタリ
ング装置10は、インライン(直線状)に配列された複
数のチャンバ11,12,13を備えている。これら複
数のチャンバ11,12,13には、それぞれ、排気口
14が設けられており、この排気口14を介して真空ポ
ンプ15が接続されている。そして、これら各チャンバ
11,12,13内は、真空ポンプ15により所定の真
空度に排気することができるようになされている。
【0025】また、複数のチャンバ11,12,13に
は、それぞれ、ガス導入口16が設けられており、この
ガス導入口16を介してスパッタガス供給源17が接続
されている。そして、これら各チャンバ11,12,1
3内には、Arガス等のスパッタガスが、スパッタガス
供給源17から供給されるようになされている。
【0026】また、複数のチャンバ11,12,13内
には、それぞれ、ターゲットを保持するターゲットホル
ダ18が配設されている。これらターゲットホルダ18
は、それぞれ、図示しないターゲット電極に接続されて
おり、このターゲット電極に、例えば600〜800V
のマイナス電位を印加することにより、ターゲットホル
ダ18に保持されたターゲットをスパッタリングするこ
とができるようになされている。
【0027】また、複数のチャンバ11,12,13の
いずれか一つのチャンバ内には、基板が載置されるパレ
ット19が設けられている。このパレット19は、複数
のチャンバ11,12,13間を自由に移動することが
できるようになされている。
【0028】このインライン型のスパッタリング装置1
0を用いて磁気ディスク1を製造する際は、先ず、チャ
ンバ11のターゲットホルダ18に下地膜3を構成する
材料、例えばCrのターゲットを保持させ、チャンバ1
2のターゲットホルダ18に磁気記録膜4を構成する材
料、例えばCoPtCrのターゲットを保持させ、チャ
ンバ13のターゲットホルダ18に保護膜5を構成する
材料、例えばCのターゲットを保持させる。
【0029】また、パレット19上に樹脂基板2を載置
し、このパレット19をチャンバ11内に移動させて、
樹脂基板2の一主面2aをターゲットホルダ18に保持
されたCrのターゲットに対向させる。そして、各チャ
ンバ11,12,13内を真空ポンプ15により所定の
真空度、例えば2E-5Pa程度に排気する。
【0030】その後、スパッタガス供給源17より、C
rターゲットが配設されたチャンバ11内に、例えば
2.0Pa程度のガス圧でArガス等のスパッタリング
ガスを導入し、例えば300W程度の電力にてCrター
ゲットのスパッタリングを行い、樹脂基板2の一主面2
a上に、30〜100nmの膜厚で下地膜3を成膜す
る。
【0031】次に、パレット19をチャンバ12内に移
動させて、下地膜3が成膜された樹脂基板2の一主面2
aをターゲットホルダ18に保持されたCoPtCrの
ターゲットに対向させる。そして、スパッタガス供給源
17より、CoPtCrターゲットが配設されたチャン
バ12内に、例えば1.0Paのガス圧でArガス等の
スパッタリングガスを導入し、例えば350W程度の電
力にてCoPtCrターゲットのスパッタリングを行
い、樹脂基板2の一主面2a上に形成された下地膜3上
に、25nm程度の膜厚で磁気記録膜4を成膜する。
【0032】次に、パレット19をチャンバ13内に移
動させて、下地膜3及び磁気記録膜4が成膜された樹脂
基板2の一主面2aをターゲットホルダ18に保持され
たCのターゲットに対向させる。そして、スパッタガス
供給源17より、Cターゲットが配設されたチャンバ1
3内に、例えば0.6Pa程度のガス圧でArガス等の
スパッタリングガスを導入し、例えば450W程度の電
力にてCターゲットのスパッタリングを行い、磁気記録
膜4上に、20nm程度の膜厚で保護膜5を成膜する。
【0033】以上のようにして、樹脂基板2の一主面2
a上に下地膜3と磁気記録膜4と保護膜5とを順次成膜
した後に、保護膜5上にフッ素系潤滑剤を塗布すること
により、ハードディスクシステムの記録媒体として用い
られる磁気ディスク1が完成する。
【0034】以上のように製造される磁気ディスク1
は、樹脂基板2の一主面2a上に積層形成された下地膜
3と磁気記録膜4と保護膜5とを含む積層膜6の内部応
力が0.3GPa以下とされているので、樹脂基板2に
クラックが発生するといった不都合が有効に防止され
る。また、この磁気ディスク1は、下地膜3の平均結晶
粒径が3〜30nmの範囲内とされているので、良好な
CSS特性を発揮することができると共に、磁気記録膜
4のS/Nの低下を招くことなく、適切に情報の記録再
生を行うことができる。
【0035】
【実施例】本発明の効果を確認すべく、積層膜の内部応
力とクラック発生との関係を調査すると共に、実際に磁
気ディスクを作製し、下地膜の平均結晶粒径とCSS特
性との関係を調査した。
【0036】積層膜の内部応力とクラックの発生との関
先ず、積層膜を構成する下地膜、磁気記録膜及び保護
膜の内部応力とスパッタリングガスのガス圧との関係を
確認するために、直径10mm、厚さ0.1mmの光学
的に平らな円形のガラス板上に、スパッタリングガス
(Arガス)のガス圧を変化させながら膜厚が50nm
のCr膜、膜厚が25nmのCoPtCr膜、膜厚が2
0nmのC膜をそれぞれスパッタリングにより形成し
た。そして、それぞれの膜が形成されたガラス板のニュ
ートンリングの数を測定し、このニュートンリングの数
を基にして、以下のような方法でそれぞれの膜の内部応
力を計算した。
【0037】円形のガラス板上に厚さdの薄膜を形成す
ることによりガラス板が変形し、曲率半径rが得られた
とき、このガラス板上に形成された薄膜の内部応力α
は、ガラス板のヤング率をE(7.0×1010Pa)と
し、ガラス板の厚さをb(0.1×10-3m)とし、ポ
アソン比をν(0.2)とすると、以下の式(1)で求
められる。
【0038】 α=Eb2/6(1−ν)rd ・・・(1) ここで、曲率半径rは、ガラス板の半径Rとニュートン
リングの数nから求めることができる。すなわち、図3
に示すように、変形したガラス板の変形高さをhとする
と、R・sinθ=h、r・sinθ=Rcosθと表
される。ここで、θ≒0の場合、sinθ=tanθ=
θであることから、R・θ=h、r・θ=Rとなり、r
=R2/hと表される。
【0039】ここで、今回の測定において使用した緑色
フィルタの波長は546.1nmであるので、ガラス板
の変形高さhは、546.1×n(nm)で表される。
したがって、曲率半径rは、以下の式(2)で求められ
る。
【0040】r≒R2/546・n ・・・(2) 以上の式(1)及び式(2)により、ニュートンリング
の数を基にして、上記各膜の内部応力を計算した。結果
を図4に示す。
【0041】この図4から、Cr膜の内部応力は、スパ
ッタリングガスのガス圧に大きく依存し、スパッタリン
グガスのガス圧が0.1〜1.5Paの条件下で成膜さ
れたCr膜には、大きな引っ張り応力が働いていること
が分かる。これに対して、Co−Pt−Cr膜及びC膜
の内部応力は、スパッタリングガスのガス圧にあまり依
存せず、常に所定の圧縮応力が働いていることが分か
る。
【0042】次に、スパッタリングガスのガス圧を変化
させながら樹脂基板上にCr膜を成膜し、このCr膜上
にCo−Pt−Cr膜とC膜とを成膜して積層膜を形成
し、積層膜の内部応力とスパッタリングガスのガス圧と
の関係を調べた。結果を図5に示す。
【0043】この図5から、Cr膜、Co−Pt−Cr
膜、C膜が積層されてなる積層膜には、Cr膜の引っ張
り応力が大きく作用し、全体として、Cr膜成膜時のス
パッタリングガスのガス圧に依存する引っ張り応力が働
いていることが分かる。そして、積層膜の内部応力が
0.3GPaを超えたときにのみ樹脂基板にクラックが
発生することが分かった。
【0044】以上の結果から、Cr膜成膜時のスパッタ
リングガスのガス圧を調整し、積層膜の内部応力を0.
3GPa以下とすることにより、樹脂基板に対するクラ
ックの発生を効果的に防止することができることが分か
った。
【0045】下地膜の平均結晶粒径とCSS特性との関
次に、下地膜の平均結晶粒径とCSS特性との関係を調
べるために、実際に樹脂基板を用いた磁気ディスクを製
造した。
【0046】先ず、樹脂基板を成形するためのスタンパ
を、光ディスク用のスタンパ作製方法と同様の方法で作
製した。
【0047】具体的には、先ず、表面が高精度に研磨さ
れたガラス基板上にレジストを塗布し、このレジストに
対してレーザカッティングを行った。ここでは、樹脂基
板の信号記録領域に、深さ200nm程度、凸部の幅
(トラック幅)が3.2μm程度の凹凸パターンが同心
円状に形成され、その内周部にCSS特性を測定するた
めのパターンが形成されるようにレーザ光を変調してパ
ターン露光を行い、現像工程、レジスト剥離工程を経て
レジストパターンを得た。次に、レジストパターンが形
成されたガラス基板に対してNiメッキを施し、レジス
トパターンに応じた凹凸パターンを有するNiメッキ層
を形成した。次に、このNiメッキ層をレジストパター
ンが形成されたガラス基板から剥離し、凹凸パターンが
形成された側と逆側を研磨し、所定の厚みに整えてスタ
ンパを得た。
【0048】次に、このスタンパを用いて、熱可塑性樹
脂材料を射出成形し、樹脂基板を作製した。熱可塑性樹
脂材料としては、日本ゼオン株式会社製の「ZEONE
X」(商品名)を用いた。得られた樹脂基板の表面平均
粗さRaは、AFM(AtomicForce Microscope)で測定
したところ、殆どが1nm以下であり、最も粗いもので
も2nm以下であった。また、最大突起高さは、25n
m以下であった。
【0049】次に、先に図2で示したスパッタリング装
置10を用いて、樹脂基板の一主面上にCr下地膜、C
o−Pt−Cr磁気記録膜、C保護膜を順次成膜した。
それぞれの膜の成膜速度は、Cr下地膜を2nm/se
c、Co−Pt−Cr磁気記録膜を2nm/sec、C
保護膜を0.5nm/secに設定した。そして、Cr
下地膜の膜厚を変化させると共に、Cr下地膜を成膜す
る際のスパッタリングガス(Arガス)のガス圧を変化
させ、8枚のサンプルを作製した。
【0050】以上のように作製された8枚のサンプルに
それぞれフッ素系潤滑剤を塗布し、その内周部に形成さ
れたCSS特性測定用のパターンを利用して、CSS特
性を評価した。CSS特性の評価は、磁気ヘッドを搭載
した浮上スライダを接触させた状態でサンプルとなる磁
気ディスクを回転操作させて浮上スライダを浮上させ、
その後、磁気ディスクを停止させて浮上スライダを磁気
ディスク上に接触させるまでを1cycleとし、所定
の摩擦力以下で適切に浮上スライダを浮上又は接触させ
ることができる回数を測定することにより行った。結果
を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1に示した結果から、磁気ディスクのC
SS特性は、Cr下地膜を形成する際のスパッタリング
ガスのガス圧に依存し、このガス圧が高すぎると、磁気
ディスクのCSS特性が劣化することが分かった。
【0053】また、これらサンプルとなる磁気ディスク
のCr下地膜の平均結晶粒径を調べるために、これらサ
ンプルとなる磁気ディスクをトルエンに浸して樹脂基板
を溶融し、積層膜のみを取り出した。そして、Cr下地
膜の結晶粒の平均的な大きさを走査型電子顕微鏡(SE
M)を用いて測定した。結果を表1に合わせて示す。
【0054】その結果、上述したCSS特性の評価で1
0000cycle以上の良好なCSS特性を示したサ
ンプルは、Cr下地膜の平均結晶粒径が3nm以上であ
り、上述したCSS特性の評価で50000cycle
以上の特に良好なCSS特性を示したサンプルは、Cr
下地膜の平均結晶粒径が5nm以上であることが分かっ
た。 以上の結果から、スパッタリングガスのガス圧を
調整してCr下地膜の平均結晶粒径を3nm以上、好ま
しくは、5nm以上とすることにより、磁気ディスクの
CSS特性を良好なものとすることができることが分か
った。
【0055】なお、磁気ディスクは、Cr下地膜の平均
結晶粒径が大きければ大きいほど、そのCSS特性は良
好なものとなるが、Cr下地膜の平均結晶粒径が30n
mを超えると、磁気記録膜のS/Nが低下する。したが
って、磁気ディスクは、Cr下地膜の平均結晶粒径が3
〜30nmの範囲内とされていることが望ましく、Cr
下地膜の平均結晶粒径が5〜30nmの範囲内とされて
いることがより望ましい。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る情報
記録媒体は、樹脂基板上に形成された積層膜の内部応力
が0.3GPa以下とされているので、樹脂基板にクラ
ックが発生するといった不都合を有効に防止することが
できる。
【0057】また、この情報記録媒体は、下地膜の平均
結晶粒径が3〜30nmの範囲内とされているので、良
好なCSS特性を発揮することができると共に、磁気記
録膜のS/Nの低下を招くことなく、適切に情報の記録
再生を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る情報記録媒体の要部断面図であ
る。
【図2】上記情報記録媒体の製造に用いられるスパッタ
リング装置の模式図である。
【図3】薄膜の内部応力の測定の仕方を説明するための
図である。
【図4】下地膜、情報記録膜、保護膜の成膜時のガス圧
と内部応力との関係を示す図である。
【図5】積層膜形成時のガス圧と内部応力との関係を示
す図である。
【符号の説明】
1 磁気ディスク、2 樹脂基板、3 下地膜、4 磁
気記録膜、5 保護膜、6 積層膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂製の基板上に、少なくとも情報記録
    膜とこの情報記録膜の下地となるCrを主体とした下地
    膜とを有する積層膜が形成されてなり、 上記積層膜の内部応力が0.3GPa以下とされている
    と共に、 上記下地膜の平均結晶粒径が3〜30nmの範囲内とさ
    れていることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記下地膜の膜厚が、30〜100nm
    の範囲内とされていることを特徴とする請求項1記載の
    情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記下地膜がCrよりなることを特徴と
    する請求項1記載の情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記下地膜が、Cr(100-y)−Xy(X=
    Ti、V、Moのいずれかであり、10≦y≦30であ
    る)よりなることを特徴とする請求項1記載の情報記録
    媒体。
JP11096519A 1999-04-02 1999-04-02 情報記録媒体 Withdrawn JP2000293893A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11096519A JP2000293893A (ja) 1999-04-02 1999-04-02 情報記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11096519A JP2000293893A (ja) 1999-04-02 1999-04-02 情報記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000293893A true JP2000293893A (ja) 2000-10-20

Family

ID=14167400

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11096519A Withdrawn JP2000293893A (ja) 1999-04-02 1999-04-02 情報記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000293893A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6806030B2 (en) * 2000-03-30 2004-10-19 Hitachi, Ltd. Information recording medium and method for manufacturing information recording medium
US7209031B2 (en) 2002-03-29 2007-04-24 Kabushiki Kaisha Toshiba Obstacle detecting apparatus and method

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6806030B2 (en) * 2000-03-30 2004-10-19 Hitachi, Ltd. Information recording medium and method for manufacturing information recording medium
US7209031B2 (en) 2002-03-29 2007-04-24 Kabushiki Kaisha Toshiba Obstacle detecting apparatus and method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6759183B2 (en) Master medium for magnetic transfer including metal disk with relief or recess pattern
US20020187368A1 (en) Magnetic recording medium and a method of manufacture thereof
JP2000293893A (ja) 情報記録媒体
US6509111B1 (en) Magnetic recording media and magnetic disk apparatus
CN1385836A (zh) 磁转录用主载体
US6852432B2 (en) Magnetic recording media and magnetic disk apparatus
US7663838B2 (en) Production method for magnetic recording medium
JP3680761B2 (ja) 磁気記録媒体
KR100639620B1 (ko) 자기 기록 매체 및 그 제조 방법과 자기 디스크 장치
US7083872B2 (en) Magnetic recording medium having good in-plane orientation
US20060216550A1 (en) Method of manufacturing master disk for magnetic transfer, master disk for magnetic transfer, and magnetic recording medium
US20240101463A1 (en) Glass sheet for fabricating magnetic recording media and method of fabricating magnetic recording media
JP3884139B2 (ja) 磁気デイスクの製造方法
JP2001067660A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
US20060024532A1 (en) Method of producing magnetic recording medium, magnetic recording medium and magnetic storage apparatus
JP2552016B2 (ja) 光磁気ディスク及びその製造方法
JPH07254128A (ja) 磁気記録媒体
US8345376B2 (en) Magnetic disk device, magnetic disk, and magnetic disk manufacturing method
JP2002334426A (ja) 磁気記録媒体
KR20010040843A (ko) 패턴화된 기판을 가진 자기 기록 매체
JPH1139634A (ja) 磁気ディスク及びその製造方法
JP4014189B2 (ja) 磁気転写方法
JP2001067642A (ja) 磁気記録媒体
JP2000306231A (ja) 磁気記録媒体
JPH11306533A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060606