JPH11306533A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH11306533A
JPH11306533A JP11381398A JP11381398A JPH11306533A JP H11306533 A JPH11306533 A JP H11306533A JP 11381398 A JP11381398 A JP 11381398A JP 11381398 A JP11381398 A JP 11381398A JP H11306533 A JPH11306533 A JP H11306533A
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JP
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magnetic
magnetic layer
layer
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recording medium
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JP11381398A
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English (en)
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Hiroshi Uchiyama
浩 内山
Susumu Haga
進 芳賀
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 更なる高記録密度化が実現されノイズが低減
される磁気記録媒体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 磁気ディスク1は、基板2上に形成され
Crを含む非磁性層3と、非磁性層3上に形成されCo
PtCr合金を含む磁性層4とを備え、中心線平均粗さ
Raが2nm〜3nmである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスクド
ライブ等に用いる磁気記録媒体に関し、詳しくは、基板
上に形成される非磁性層及び磁性層の構成の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】磁気記録分野においては、年々高記録密
度化が要求されており、加えて信号形態もアナログ信号
からデジタル信号に変わる傾向にあるため、高記録密度
化とともに信号形態に合わせた磁気記録媒体の設計が必
要となってくる。
【0003】従来の磁気記録方式としては、磁気記録媒
体とリング形ヘッドとを組み合わせた方式が主流であっ
た。しかし、この磁気記録方式では、磁気記録媒体のト
ラック密度を上げた場合に、リング形ヘッドからの出力
が極端に少なくなり、必要とするS/Nを得ることがで
きないため、結果的に磁気記録媒体の高記録密度化に限
界があった。
【0004】そこで、近年、磁気記録分野における再生
専用ヘッドとして、磁気抵抗効果を用いたいわゆる磁気
抵抗効果型磁気ヘッド(以下、MRヘッドと称する。)
の開発が進められており、実際に、ハードディスクにお
いて実用化されている。このMRヘッドは、単位長さに
入る磁束量変化によって出力が決まるため、基本的に
は、トラック密度をいくら高めても出力の減少は生じな
い。よって、このような再生専用のMRヘッドを用いる
ことにより、磁気記録媒体のトラック密度を大幅に増大
することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、磁気記録媒体
の記録密度を向上させるには、線記録密度と、トラック
密度を上げる2つの方法がある。
【0006】MRヘッドを用いて磁気記録媒体の記録密
度を飛躍的に増大させることは、磁気記録媒体のトラッ
ク密度についてであり、線記録密度を大幅に増大させる
ものではない。そのため、MRヘッドを用いた磁気記録
媒体の高記録密度化は、磁気記録媒体のトラックの高密
度化しか実現できないため、おのずと限界がある。
【0007】しかも、このMRヘッドを用いて磁気記録
媒体の記録密度を飛躍的に増大させると、この磁気記録
媒体から得られる出力に対するノイズ量が問題となる。
具体的には、MRヘッドに配されるアンプのノイズが小
さいことから、磁気記録媒体自体からのノイズが特に目
立ってしまい、信号とノイズの比を表すS/Nが小さく
なる。
【0008】このため、磁気記録媒体からのノイズを下
げるために、アルミニウム製基板やガラス製基板におい
ては、高温下で磁性層をスパッタリングにより形成する
ことによって、磁性層の組成を制御している。
【0009】ところが、ガラス転移温度130℃程度で
あるプラスチックを用いた基板においては、100℃以
上の高温下で用いることは不可能である。このことか
ら、プラスチック製基板を用いた磁気記録媒体を作製す
る際には、高温下で磁性層を成膜するという方法を用い
ることはできない。
【0010】また、磁性層中にSiO2、CoO等の酸
化物を混入したり、或いは磁性層形成中の雰囲気内に酸
素を導入することにより、磁気記録媒体からのノイズを
低減する方法も提案されている。
【0011】ところが、このような磁気記録媒体におい
ては、酸化物に起因する錆びの進行が他の媒体に比べて
早くなる欠点がある。
【0012】そこで、本発明は、かかる従来の実情に鑑
みて提案されたものであり、更なる高記録密度化が実現
されノイズが低減される磁気記録媒体及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の課題
を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、磁気記録媒体
の中心線平均粗さRaが磁気記録媒体のS/Nに密接に
関連することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明に係る磁気記録媒体は、
基板上に形成されCrを含む非磁性層と、非磁性層上に
形成されCoPtCr合金を含む磁性層とを備え、中心
線平均粗さRaが2nm〜3nmであることを特徴とす
るものである。
【0015】このように、本発明に係る磁気記録媒体
は、中心線平均粗さRaが規定されているため、表面性
が磁気特性及び電磁変換特性に対して最適化され、高い
保磁力が確保されるとともにS/Nが向上する。
【0016】また、本発明に係る磁気記録媒体の製造方
法は、圧力が1.5Pa〜5.0Paの雰囲気条件下で
Crを含む材料を用いて基板上に非磁性層を成膜する工
程と、上記非磁性層上にCoPtCr合金を含む材料を
用いて磁性層を成膜する工程とを備えることを特徴とす
る。
【0017】このように、本発明に係る磁気記録媒体の
製造方法は、非磁性層の成膜条件が規定されることによ
り、高い保磁力が確保されるとともにS/Nが向上され
た磁気記録媒体が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。図1は、本発明を適用
した磁気ディスク1の要部断面図である。
【0019】本発明を適用した磁気ディスク1は、基板
2上に、非磁性層3、磁性層4、保護層5がこの順で積
層形成されている。
【0020】基板2は、一主面2a上に、記録トラック
に沿って所定の凹凸パターンが形成されている。これら
凹凸パターンは、ガードバンドやサーボ信号や読み出し
専用信号等に対応して形成されている。この基板2とし
ては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリメチル
メタクリレート(PMMA)等よりなるプラスチック製
基板や、ガラス製基板や、Al等よりなる金属製基板等
が挙げられる。そして、基板2は、例えば、射出成形法
やフォトポリマー法(2P法)等によって成形される。
この基板2は、一主面2aにおいて、中心線平均粗さR
aが2nm以下であることが好ましく、より好ましくは
1nmである。
【0021】なお、本発明は、プラスチック製基板を用
いた磁気ディスクに適用すると非常に有効である。これ
は、従来、プラスチック製基板においては、保磁力を向
上させるための加熱処理を施すことができなかったた
め、保磁力等の磁気特性の制御が困難であったからであ
る。本発明では、加熱処理を経ずに磁気特性を向上させ
ることができるので、特に、プラスチック製基板を有す
る磁気ディスクに有効であるといえる。
【0022】非磁性層3は、基板2上に、スパッタリン
グ等の従来公知の薄膜形成法により形成されている。特
に、本発明における非磁性層3は、Crを含有する。そ
して、この非磁性層3は、膜厚が10nm〜75nmで
あることが好ましい。
【0023】磁性層4は、非磁性層3上に、スパッタリ
ング等の従来公知の薄膜形成法により形成されている。
特に、本発明における磁性層4は、CoPtCr合金を
含む材料からなる。そして、磁性層4は、厚さが5nm
〜50nmであることが好ましい。
【0024】保護層5は、磁性層4上に、例えば、Cを
原料として用いてスパッタリング等の従来公知の薄膜形
成法により形成したり、又は、紫外線硬化樹脂をスピン
コート法により塗布形成したものである。この保護層6
は、厚さが10nm程度が好ましい。
【0025】以上のように構成される本発明を適用した
磁気ディスク1は、その表面の中心線平均粗さRaが2
nm〜3nmである。このように、本発明を適用した磁
気ディスク1は、中心線平均粗さRaが規定されている
ため、表面性が磁気特性及び電磁変換特性に対して最適
化され、高い保磁力が確保されるとともにS/Nが向上
し、更なる高記録密度化にも十分対応可能な優れた記録
媒体となる。
【0026】また、この磁気ディスク1は、適正なMR
ヘッドと組み合わせることにより、1.5×106bi
t/mm2以上の高密度記録領域においても、1×10
-7以下のシンボルエラーレートを得ることができ、高密
度磁気記録システムを構築することが可能になる。
【0027】なお、本発明を適用した磁気ディスクで
は、基板2上にNi,P,Ti,C等からなる下地層を
形成し、当該下地層上に非磁性層3、磁性層4、保護層
5が積層形成されているものでも良い。
【0028】また、本発明を適用した磁気ディスクとし
ては、磁性層が2層構造となされているものでも良い。
図2に、磁性層を2層構造とした磁気ディスク20を示
す。この磁気ディスク20は、基板2上に、非磁性層
3、第1の磁性層21、Crからなる非磁性層22、第
2の磁性層23、保護層5が順次積層形成されているも
のである。
【0029】また、本発明を適用した磁気ディスクとし
ては、非磁性層と磁性層との間に非磁性の中間層が形成
されていても良い。図3に、中間層が形成された磁気デ
ィスク30を示す。この磁気ディスク30は、基板2上
に、非磁性層3、非磁性のCr或いはCr合金からなる
中間層31、磁性層4、保護層5が順次積層形成されて
いるものである。ここで、上記中間層の厚さは、3nm
以下であることが好ましい。
【0030】つぎに、以上のように構成される磁気ディ
スク1の製造方法について、以下に詳細を説明する。
【0031】先ず、基板2は、次のようにして射出成形
される。以下、基板2として、プラスチック基板を用い
た場合を取り挙げて製造方法を説明するが、勿論これに
限らない。始めに、射出成形用金型の母材としてガラス
ディスクを用意し、このガラスディスクの基準面となる
表面にレジストを塗布する。そして、このレジスト上に
カッティングデータに基づいて所定の凹凸パターンの露
光を行い、その後、現像を行って、ガラスディスクの表
面にレジストパターンを形成する。そして、レジストパ
ターンが形成されたガラスディスク上にNiメッキを施
し、このNiメッキの裏面を研磨して所望の厚みに整え
ることにより、スタンパが得られる。最終的に、このス
タンパを配した射出成形装置を用いて、プラスチック製
の基板2を射出成形法により作製する。
【0032】このとき、基板2の表面は、中心線平均粗
さRaが2nm以下、好ましくは1nm以下となされ、
最大高さRmaxが25nm以下となされるように調整
される。詳しくは、この基板2の表面粗さは、上記レジ
スト表面の表面粗さにほぼ匹敵する。このことから、上
記基板2の表面粗さは、レジスト表面の表面粗さを予め
調整することによって得られる。ここで、これら表面粗
さは、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy)に
より測定される。
【0033】なお、基板2は、上記のような所定の凹凸
パターンが形成されているものではなく、一主面2aが
平滑な面となされているものでも勿論良い。このような
凹凸パターンがない基板2を作製する場合には、ガラス
ディスク上にレジスト塗布のみを行ってパターンに沿っ
たカッティングは行わず、そのレジスト上にNiメッキ
を施して、このNiメッキの裏面を研磨して所望の厚み
に整えることによりスタンパを作製し、このスタンパを
用いて射出成形により作製する。
【0034】次に、このようにして得られた基板2上
に、図4に示すインライン型スパッタリング装置10を
用いて、スパッタリング法により非磁性層3、磁性層4
及び保護層5を順次成形する。
【0035】インライン型スパッタリング装置10は、
排気系11a〜11dによって高真空になされるチャン
バー12a〜12dを備える。そして、このインライン
型スパッタリング装置10は、チャンバー12a〜12
c内のそれぞれの略中央部において配された円盤状のカ
ソード13a〜13cと、チャンバー12d内の略中央
部にカソード13a〜13cの底面と並列して配された
パレット14とを有する。
【0036】パレット14は、その表面にアノード14
aが設けられている。そして、このアノード14a上に
は、被成膜物である基板2が配される。また、パレット
4は、これらチャンバー12a〜12d間を図示しない
駆動源によりカソード13a〜13cと平行な方向であ
る図中A方向に自在に移動することができ、所望のチャ
ンバー内のカソードと対向するように配される。
【0037】一方、カソード13a〜13cは、各表面
に所望の材料からなるターゲットが配される。具体的に
は、本発明の磁気ディスク1を作製する際には、カソー
ド13a上に配されるターゲットとしてCrを用い、カ
ソード13b上に配されるターゲットとしてCoPtC
rを用い、カソード13c上に配されるターゲットとし
てCを用いる。上記ターゲット組成の表示には、各原子
の組成比を省略する。
【0038】このような構成のインライン型スパッタリ
ング装置10においては、次のようにして、上述のよう
に作製された基板2上に非磁性層3、磁性層4、保護層
5が順次形成されて、本発明の磁気ディスク1が製造さ
れる。
【0039】先ず、インライン型スパッタリング装置1
0において、排気系11a〜11dによりチャンバー1
2a〜12d内が高真空とされる。
【0040】その後、基板2が設置されたパレット14
を移動させてチャンバー12a内に配する。このとき、
パレット14上のアノード14aをチャンバー12a内
に設けられたカソード13aと対向するように配する。
【0041】そして、チャンバー12aに接続されたア
ルゴン導入口15aよりチャンバー12a内にアルゴン
を所定量導入することにより、チャンバー12a内を
1.5Pa〜5.0Paの低圧力に設定する。
【0042】その後、圧力が1.3Paに設定されたア
ルゴンガスに対して、アノード14aとカソード13a
との間に電圧を印加して、プラズマ状態にしたイオンを
Crからなるターゲットに叩きつけ、このターゲットか
ら飛び出した分子や原子を基板2上に成膜させて、非磁
性層3を形成する。
【0043】以上述べたように、本発明を適用した磁気
ディスク1の製造方法においては、圧力が1.5Pa〜
5.0Paのチャンバー内で、Crを含む材料を用いて
基板2上に非磁性層3を成膜する。このように、この磁
気ディスクの製造方法は、非磁性層3の成膜条件が規定
されることにより、高い保磁力が確保されるとともにS
/Nが向上された磁気ディスク1が得られる。
【0044】次に、非磁性層3の形成された基板2が配
されたパレット14をチャンバー12b内に移動させ
て、CoPtCrからなるターゲットを用いて、上記の
工程と同様にしてチャンバー12b内にてスパッタリン
グを行い、非磁性層3上に磁性層4を形成する。
【0045】次に、非磁性層3及び磁性層4が順次形成
された基板2が配されたパレット14をチャンバー12
c内に移動させて、Cからなるターゲットを用いて、上
記の工程と同様にしてチャンバー12c内にてスパッタ
リングを行い、磁性層4上に保護層5を形成して、最終
的に、磁気ディスク1を得る。
【0046】なお、図2に示す磁気ディスク20を作製
する際には、先ず、磁気ディスク1を作製する際と同様
にして、基板2上に非磁性層3を形成する。次に、この
非磁性層3上に第1の磁性層21を形成する。そして、
この第1の磁性層21上に非磁性のCr等からなる非磁
性層22を形成する。その後、この非磁性層22上に第
2の磁性層23を形成する。そして、この第2の磁性層
23上に保護層5を形成して、最終的に磁気ディスク2
0を得る。
【0047】また、図3に示す磁気ディスク30を作製
する際には、先ず、磁気ディスク1を作製する際と同様
にして、基板2上に非磁性層3を形成する。次に、この
非磁性層3上に非磁性のCr合金からなる中間層31を
形成する。その後、この中間層31上に磁性層4を形成
する。そして、この磁性層4上に保護層5を形成して、
最終的に磁気ディスク30を得る。
【0048】
【実施例】以下、本発明を適用した実施例について実験
結果に基づいて説明する。なお、以下では、下地層と磁
性層との間に形成される非磁性層の厚さ及び組成が磁気
ディスクの特性に及ぼす影響を評価するため、以下のよ
うに磁気ディスクを作製した。
【0049】実施例1 先ず、日本ゼオン社製のZEONEX(商品名)を用い
て、射出成形法により所定の凹凸パターンが形成された
直径3.5インチのプラスチック製基板を成形した。こ
のとき、得られる基板の表面粗さとしては、中心線平均
粗さRaを2nm以下とし、最大高さRmaxを25n
m以下に調整した。
【0050】そして、この基板上に、上記のインライン
型スパッタリング装置を使用して、Crからなる非磁性
層、CoPtCrからなる磁性層、Cからなる保護層を
順次形成し、その後にこの保護層上にフッ素系潤滑剤を
塗布して、最終的に磁気ディスクを得た。
【0051】なお、ここで、インライン型スパッタリン
グ装置における成膜条件を以下のように設定した。
【0052】インライン型スパッタリング装置に用いら
れるターゲットとしては、非磁性層形成用のターゲット
としてCrを用い、磁性層形成用のターゲットとしてC
64Pt20Cr16及びCo75Pt12Cr13の2種を用い、
保護層形成用のターゲットとしてCを用いた。
【0053】また、このインライン型スパッタリング装
置では、基板とターゲットの距離を60mmとし、上記
ターゲットとして直径が152.4mmのものを用い
た。
【0054】そして、このインライン型スパッタリング
装置における成膜速度としては、Crからなる非磁性層
の成膜速度を2nm/s,CoPtCrからなる磁性層
の成膜速度を2nm/s,Cからなる保護層の成膜速度
を0.5nm/sとした。
【0055】また、インライン型スパッタリング装置内
の圧力としては、スパッタリング前のチャンバー12a
〜12d内の圧力を2×10-6Paとし、スパッタリン
グ時のチャンバー12a〜12d内の圧力を約1.3P
aとした。
【0056】このインライン型スパッタリング装置に
は、スパッタリング時にカソード13a〜13dの電位
が約−600V〜−800Vとなるように、アノード1
4aとカソード13a〜13dとの間に電圧を印加し
た。
【0057】<磁気特性及び電磁変換特性の評価>次
に、非磁性層の厚み及び非磁性層形成用のチャンバー1
2a内のアルゴン圧力をそれぞれ変化させて非磁性層を
形成した以外は、実施例1と同様にして磁気ディスクを
複数作製し、これら磁気ディスクについて、磁気特性と
して保磁力Hcを測定し、電磁変換特性としてS/Nを
測定した。さらに、これらの磁気ディスクの中心線平均
粗さRaを原子間力顕微鏡を用いて測定した。
【0058】以上の測定結果として、保磁力の測定結果
を図5に示し、S/Nの測定結果を図6に示し、磁気デ
ィスクの中心線平均粗さRaの測定結果を図7に示し
た。ここで、図5〜図7では、縦軸に非磁性層の厚さを
とり、横軸に非磁性層成膜時のアルゴン圧力をとった。
【0059】そして、図5〜図7中では、磁気ディスク
面にクラックが発生したものについて、その磁気ディス
クの非磁性層の厚さ及び非磁性層成膜時のアルゴン圧力
に相当する領域をクラック発生域として示した。このよ
うなクラック発生域に属する非磁性層の厚さ及び非磁性
層成膜時のアルゴン圧力の条件にて、非磁性層が形成さ
れた磁気ディスクは、クラックが発生してしまい、好ま
しくない記録媒体といえる。
【0060】なお、上記全ての磁気ディスクについて、
保磁力以外の磁気特性、例えば、磁性層の残留磁化(M
r)と磁性層の厚み(t)との積である残留磁化厚み
(Mrt)を0.9memu/cm2とした。また、上
記全ての磁気ディスクについて、保磁力角形比を約0.
8〜0.85程度に揃えた。
【0061】通常、磁気特性の他の測定結果が同じであ
れば保磁力Hcが増えるに従って、分解能が高まり、磁
化反転の遷移幅が小さくなり、S/Nは大きくなると考
えられる。しかし、磁気特性の保磁力Hcを示す図5と
S/Nを示す図6との相関はなく、保磁力Hcが大きく
てもS/Nが小さくなる場合がある。
【0062】そこで、中心線平均粗さRaを基準とした
ときのS/Nを表したものが図8である。この図8の結
果から、得られた磁気ディスクの中心線平均粗さRaが
2〜3nm程度であるとき、S/Nが最も大きくなって
いることがわかった。
【0063】実施例2 次に、磁性層として2層構造の磁性層を形成する以外
は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製した。こ
こで、磁性層を2層構造となるように形成した具体的な
方法は、以下の通りである。先ず、基板上に非磁性層を
形成し、その後、非磁性層上に所望の膜厚の半分の磁性
層を膜形成した後、非磁性のCrを厚さ約3nmとなる
ように形成し、続いて残りの磁性膜を形成し、最後に保
護層を形成した。これにより、磁気特性は、保磁力角形
比が0.75〜0.8程度に変化した。
【0064】<磁気特性及び電磁変換特性の評価>そし
て、非磁性層の厚さ及び非磁性層形成用のチャンバー1
2a内のアルゴン圧力をそれぞれ変化させて非磁性層を
形成した以外は、実施例2と同様にして磁気ディスクを
複数作製し、これら磁気ディスクについて、S/N及び
磁気ディスクの中心線平均粗さRaを測定した。以上の
測定結果を図8と同様に示したのが図9である。
【0065】図9の結果から明らかなように、図8の結
果と同様に、磁気ディスクの中心線表面粗さRaが2〜
3nm程度のとき、S/Nが最も大きくなることがわか
った。
【0066】実施例3 次に、非磁性層と磁性層との間に非磁性のCr合金から
なる中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして磁
気ディスクを作製した。ここで、上記中間層を形成した
具体的な方法は、以下の通りである。先ず、基板上に形
成された非磁性層上にCr80Ti20とCo65Cr35のタ
ーゲットを用いてスパッタリングにより中間層を形成
し、その後、実施例1と同様にして磁性層、保護層を順
次積層形成した。
【0067】<磁気特性及び電磁変換特性の評価>そし
て、非磁性層の厚さ及び非磁性層形成用のチャンバー1
2a内のアルゴン圧力をそれぞれ変化させて非磁性層を
形成した以外は、実施例3と同様にして磁気ディスクを
複数作製し、これら磁気ディスクについて、S/N及び
磁気ディスクの中心線平均粗さRaを測定した。以上の
測定結果を図8と同様に示したのが図10である。
【0068】図10の結果から明らかなように、図8の
結果と同様に、磁気ディスクの中心線表面粗さRaが2
〜3nm程度のとき、S/Nが最も大きくなることがわ
かった。
【0069】以上の図8、図9及び図10の結果から明
らかなように、磁気ディスクの電磁変換特性であるS/
Nは、磁気ディスクにおいて、基板上に形成される非磁
性層や磁性層等の構成を変化させても、得られた磁気デ
ィスクの表面性に依存していることが判明した。なお、
図8、図9及び図10に示すS/Nの絶対値がそれぞれ
若干異なるのは、磁性層における磁性粒子間の相互作用
が膜構成により異なるため磁化反転の単位長さ当たりの
ノイズ量が違うためであると考えられる。
【0070】実施例4 磁気記録媒体の表面性がS/Nに影響を及ぼすことを再
確認するために、プラスチック製基板の表面性を変えた
磁気ディスクを作製した。ここで、プラスチック製基板
の表面性は、次のようにして制御した。一般に、プラス
チック製基板の表面製はその成形に用いるNiスタンパ
の表面性に依存し、このNiスタンパの表面製は、レジ
ストの表面性で決定される。そこで、レジストを塗布す
るガラス原板を研磨し、SiO2粒子でブラスト処理を
行い必要な表面性を得た後に、直接このガラス原板上に
Niメッキを施して所望の表面性の得られたNiスタン
パを作製した。そして、このNiスタンパを用いて射出
成形を行い、プラスチック製基板を得た。
【0071】<基板の表面性とS/Nとの関係評価>こ
のように、基板の表面性を変えて作製した磁気ディスク
のS/Nを測定した。その結果を図11に示す。
【0072】図11の結果から、基板の中心線平均粗さ
Ra’が2〜5nm程度で若干S/Nが大きくなってい
ることが確認されたが、磁気記録媒体の表面性による依
存性程大きな差は得られず、誤差の範囲程度であるとい
える。よって、S/Nが依存するのは、基板の表面性で
はなく、磁気記録媒体自体の表面性であることが判明し
た。
【0073】つぎに、非磁性層の成膜条件を検討するた
めに、図6に示された結果に基づいて、非磁性層成膜時
の雰囲気におけるチャンバー内のガス圧とS/Nとの関
係を図12に示した。
【0074】図12の結果に示されるように、S/Nが
30dBといった高レベルを示すには、非磁性層成膜時
の雰囲気におけるチャンバー内のガス圧が1.5Pa〜
5.0Paであることが好ましいことがわかった。
【0075】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る磁気記録媒体は、中心線平均粗さRaが規定されてい
るため、表面性が磁気特性及び電磁変換特性に対して最
適化され、高い保磁力が確保されるとともにS/Nが向
上して、更なる高記録密度化に十分対応可能な記録媒体
となる。
【0076】また、本発明に係る磁気記録媒体の製造方
法は、非磁性層の成膜条件が上述したように規定される
ことにより、高い保磁力が確保されるとともにS/Nが
向上され、更なる高密度記録化に十分対応可能な磁気記
録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体の一例を示す要
部断面図である。
【図2】本発明を適用した磁気記録媒体の他の例を示す
要部断面図である。
【図3】本発明を適用した磁気記録媒体の他の例を示す
要部断面図である。
【図4】インライン型スパッタリング装置の概略を示す
模式図である。
【図5】実施例1における保磁力の測定結果を示す図で
ある。
【図6】実施例1におけるS/Nの測定結果を示す図で
ある。
【図7】実施例1における中心線平均粗さRaの測定結
果を示す図である。
【図8】実施例1における中心線平均粗さRaとS/N
との関係を示す図である。
【図9】実施例2における中心線平均粗さRaとS/N
との関係を示す図である。
【図10】実施例3における中心線平均粗さRaとS/
Nとの関係を示す図である。
【図11】実施例4における基板の中心線平均粗さR
a’とS/Nとの関係を示す図である。
【図12】実施例1における非磁性層成膜時の雰囲気圧
力とS/Nとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 磁気ディスク、 2 基板、 3 下地層、 4
磁性層、 5 保護層、 10 インライン型スパッタ
リング装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成されCrを含む非磁性層
    と、 上記非磁性層上に形成されCoPtCr合金を含む磁性
    層とを備え、 中心線平均粗さRaが2nm〜3nmであることを特徴
    とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記基板は、プラスチック製であること
    を特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 圧力が1.5Pa〜5.0Paの雰囲気
    条件下で、Crを含む材料を用いて基板上に非磁性層を
    成膜する工程と、 上記非磁性層上にCoPtCr合金を含む材料を用いて
    磁性層を成膜する工程とを備えることを特徴とする磁気
    記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 磁気記録媒体の中心線平均粗さRaが2
    nm〜3nmとなるように、上記非磁性層を成膜する工
    程と上記磁性層を成膜する工程とを行うことを特徴とす
    る請求項3記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記基板として、プラスチック製の基板
    を用いることを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体
    の製造方法。
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