JP2000290341A - ポリウレタンおよびそれを用いた皮革様シート状物 - Google Patents
ポリウレタンおよびそれを用いた皮革様シート状物Info
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Abstract
塗布した場合、柔軟性に優れ、かつ、また耐光性、耐加
水分解性等の耐久性に優れた皮革様シート状物用ポリウ
レタンおよび皮革様シート状物。 【解決手段】化学式1で示されるカーボネート構造を分
子鎖中に含むポリウレタンであって、化学式2で示され
るエーテル構造、化学式3で示されるエステル構造等か
ら選ばれた少なくとも1種類の構造を分子鎖中に含み、
かつ、化学式1で示される構造の含有量が、化学式2〜
6で示される構造の含有量の合計の1〜9倍である。 また、皮革様シート状物は、繊度0.3dtex以下の
極細繊維とポリウレタンを含む皮革様シート状物であ
る。
Description
ドレープ性等の感性面に優れ、かつ、また耐久性に優れ
たポリウレタンおよびそれを用いた皮革様シート状物に
関する。
を含浸および/または塗布して得られる皮革様シート状
物は天然皮革にない均一性、染色堅牢性、風合いの柔軟
性を有しており、衣料や家具、シート用途にその使用が
広がってきた。その使用される用途が広がるにつれてよ
り高い耐久性が要求されるようになっている。特に繊度
0.3dtex以下の極細繊維とポリウレタンを含む皮
革様シート状物は表面のタッチ、柔軟性は優れるもの
の、長期に使用した場合、毛足が部分的に長くなった
り、もつれたり、あるいは毛玉が発生して外観が変化す
るとか、破れたりするといった問題点があった。この原
因の1つはポリウレタンの劣化であり、そのため耐光
性、耐加水分解性に優れた高耐久性ポリウレタンの検討
が行われてきた。
ル系ジオールを用いたポリウレタン(以下ポリエーテル
系ポリウレタン)が優れているが耐光性が悪いという問
題がある。また、ポリエステルジオールを用いたポリウ
レタン(以下ポリエステル系ポリウレタン)は耐光性に
優れるが耐加水分解性が悪い。ポリカーボネートジオー
ルを用いたポリウレタン(以下ポリカーボネート系ポリ
ウレタン)は耐光性、耐加水分解性ともに優れている
が、硬いために得られる皮革様シート状物の風合いがプ
ラスチックライクになるという問題がある。また、これ
らのポリウレタンを混合および/または共重合して得ら
れたポリウレタンは個々のポリウレタン単独よりは耐光
性、耐加水分解性のバランスのとれた特性を有するもの
の、総合的な耐久性としては未だに不充分である。
リヘキサメチレンカーボネートを用いたポリウレタンが
知られているが、該ポリウレタンを用いてなる皮革様シ
ート状物は風合いがプラスチックライクな粗硬なもので
あり、適用範囲が極めて限定されているのが現状であ
る。
3−メチル−1,5−ペンタンジオールと脂肪族ジカル
ボン酸からなるポリエステルジオールを含むポリウレタ
ンが優れた耐久性を有し、それが合成皮革、人工皮革に
適用できることが開示されている。これは炭素数の比較
的大なるジオールからなるポリエステルジオールが耐加
水分解性に優れること、さらに、側鎖を有することで分
子間力が下がり、柔軟性が向上することを利用したもの
である。しかしながら、このポリウレタンも、耐久性は
従来品よりは優れるものの、結局はポリエステル系であ
るため、長期に使用した場合には、該ポリウレタンの分
解は進行し、外観変化や破れが発生する。つまり、上記
ポリウレタンにより、従来ポリエステル系ポリウレタン
の耐久性向上はある程度達成されるものの、耐久性およ
び柔軟性では、まだ不充分であり、かかるポリエステル
系ポリウレタンの限界を示すものともなっていた。
平5−43647号公報には、非晶性ポリカーボネート
ジオールを用いてなるポリウレタンが、耐久性、柔軟性
を兼ね備えていることが記載されており、かかる非晶性
ポリカーボネートジオールの例として、ポリペンタメチ
レンカーボネートとポリヘキサメチレンカーボネートと
ポリネオペンチルカーボネートのコポリカーボネートジ
オールを用いてなるポリウレタンが、耐久性と柔軟性に
優れていることが記載されている。しかしながら、これ
らのポリウレタンは、炭素数の異なる直鎖脂肪族ジオー
ルを用いてなるコポリカーボネートジオールを主たる成
分としているため、結晶性が高く、本発明のネオペンチ
ルグリコールを主体とするポリカーボネート系ポリウレ
タンと比較して柔軟性が不十分である。
立したポリウレタンは、これまでいかなる手段によって
も得られておらず、その実現が強く求められている。
技術の背景に鑑み、繊維からなるシート状物に含浸およ
び/または塗布した場合、柔軟性に優れかつ、また耐光
性、耐加水分解性等の耐久性に優れた皮革様シート状物
が得られるポリウレタンおよびそれを用いてなる皮革様
シート状物を提供せんとするものであり、また、さらに
優れた耐久性、柔軟性を併せ持つ衣料、家具、カーシー
ト、鞄、手袋等を提供せんとするものである。
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明のポリウレタンは、下記化学式1
で示されるカーボネート構造を分子鎖中に含むポリウレ
タンであって、化学式2で示されるエーテル構造、化学
式3、4、5で示されるエステル構造、化学式6で示さ
れるカーボネート構造からなる群から選ばれた少なくと
も1種類の構造を分子鎖中に含み、かつ、化学式1で示
される構造の含有量が、化学式2〜6で示される構造の
含有量の合計の1〜9倍であることを特徴とするもので
ある。
0.3dtex以下の極細繊維とポリウレタンを含む皮
革様シート状物であって、該ポリウレタンとして、少な
くとも請求項1および2のいずれかのポリウレタンを含
み、かつ、JIS L1906で規定されるマーチンデ
ール摩耗試験条件で10000回摩擦した前後の外観変
化が、JIS L1076に規定される判定基準で3号
以上であることを特徴とするものである。
維からなるシート状物に含浸および/または塗布した場
合、柔軟性に優れ、かつ、耐光性、耐加水分解性等の耐
久性に優れた皮革様シート状物が得られるポリウレタン
について、鋭意検討し、特定のカーボネート構造を分子
鎖中に含ませたポリウレタンを採用してみたところ、か
かる課題を一挙に解決することを究明したものである。
ト構造について説明する。
グリコールとジアルキルカーボネート等とを重縮合せし
めて得られるポリカーボネートである。かかる特殊な構
造を有するポリウレタンは、今までにない耐光性と耐加
水分解性および柔軟性を兼ね備えた機能を発揮するもの
である。すなわち、ネオペンチルグリコールは、主鎖と
同程度の大きさの側鎖を有しているため、分子間力が働
きにくく、分子が動きやすいために、柔軟性が発現され
るものと考えられる。また、本発明のポリウレタンは、
耐光性、耐加水分解性に優れているのみならず、それを
用いて皮革様シート状物を作成した場合、該ポリウレタ
ンがある程度分解しても、破れや外観変化がほとんど起
こらないという機能をも発揮する。かかる繊維とポリウ
レタンからなる皮革様シート状物の耐久性・柔軟性を左
右する要因としては、ポリウレタン自身の安定性以外
に、ポリウレタンと繊維の接着やポリウレタンの分布状
態等があり、これらが影響しているものと考えられる。
ジオールに由来する構造として、化学式1で示される構
造以外に下記化学式2で示されるエーテル構造、化学式
3、化学式4、化学式5で示されるエステル構造、化学
式6で示されるカーボネート構造からなる群から選ばれ
た少なくとも1種類の構造を分子鎖中に含み、かつ、化
学式1で示される構造の含有量が、化学式2〜6で示さ
れる構造の含有量の合計の1〜9倍であることを特徴と
するものである。
の含有量が多いと、柔軟性が不十分となり、また、この
範囲よりも含有量が少ないと、耐久性が不十分となるも
のである。
示される構造を導入するには、ポリウレタンを合成する
にあたり、ポリネオペンチルカーボネートジオールと、
ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジ
オール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリ
2,5−ジエチルペンチルアジペートジオール、ポリヘ
キサメチレンカーボネートジオールを合わせて用いれば
よい。また、場合によっては、ポリネオペンチルカーボ
ネートジオールからポリカーボネートジオールを形成す
るにあたり、それぞれ対応するモノマーを混合して得ら
れた共重合ポリカーボネートジオールを用いてもかまわ
ない。これらのポリマージオールの分子量は、500以
下の場合は、風合いが硬くなり、3000以上になると
耐久性が低下するため、500〜3000が好ましい。
ソシアネートとしては、特に制限はないが、一般的にポ
リウレタンの合成に用いられているものを適宜選択して
用いることができる。例えば、耐熱性を重視する場合
は、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の
芳香族ジイソシアネートを使用することができるし、N
Oxや光による黄変を抑えたい場合は、イソホロンジイ
ソシアネートや4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイ
ソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネー
ト等の脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネー
トを用いることができる。さらに目的に応じて、これら
のジイソシアネートを複数混合して用いることもでき
る。
のポリウレタンの製造に用いられる鎖伸長剤、すなわち
活性水素を2個以上有する低分子化合物を用いることが
できる。それらの例としてはエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪
族ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリ
コール等のポリアルキレングリコール、エチレンジアミ
ン、イソホロンジアミン等の脂肪族ジアミン、脂環族ジ
アミン、メチレンビスアニリン等の芳香族ジアミンを単
独あるいは混合して使用することができる。
ジフェニルメタンジイソシアネート、鎖伸長剤として、
炭素数2〜8の脂肪族ジオール、特にエチレングリコー
ルを用いた場合は、耐久性、柔軟性に際立って優れたポ
リウレタンを提供することができる。また、必要に応じ
て紫外線吸収剤や酸化防止剤等の安定剤を共重合するこ
ともできる。
ては、特に制限はなく、常法のごとく、まず、ポリマー
ジオールとジイソシアネートを反応せしめて、プレポリ
マーを形成した後、鎖伸長剤と反応させる方法を例示す
ることができる。
率は、特に制限はなく、柔軟性を重視する場合は、ポリ
マージオールを多くし、耐久性を重視する場合は、ジイ
ソシアネートを多くすればよいが、両者のモル比が好ま
しくは1:2〜1:5となるように混合するのがよい。
トを用いる場合は、それらを別々に反応させて、あらか
じめ複数のプレポリマーを作成してから混合し、鎖伸長
剤と反応させて、ブロック共重合体に近い構造としても
よいし、混合した状態でプレポリマーを作成し、鎖伸長
剤と反応せしめてランダム共重合体に近い構造としても
かまわない。また、これらの反応の触媒として有機スズ
化合物、有機チタン化合物、3級アミン等を加えること
もできる。
0.3dtex以下の極細繊維と高分子弾性体を含むも
のであって、かかる高分子弾性体として、上記したポリ
ウレタンの少なくとも1つを含み、かつ、JIS L1
906に規定されるマーチンデール摩耗試験条件で10
000回摩擦した前後の外観変化がJIS L1076
に規定される判定基準で3号以上であり、好ましくは、 (1)JIS B7753規定のサンシャインカーボン
アーク灯式耐光性試験機で100 時間光照射す
る。 (2)温度70℃、相対湿度90%の雰囲気に1週間放
置する。 という(1)、(2)の処理を順に行った後の上記のマ
ーチンデール摩耗試験前後の外観変化がJIS L10
76に規定される判定基準で3号以上であることを特徴
とするものである。
(1)、(2)の処理を単独で行った後に物性を測定す
ることはこれまで行われてきた。しかしながら、かかる
評価手段と実際に使用された場合の耐久性の間には相関
はみられず、それぞれの処理を単独に行った場合の物性
の低下は小さくても、実際に使用した場合の耐久性とし
ては不十分な場合が多々ある。本発明者らは鋭意検討し
た結果、これら(1)、(2)の処理を別々に行うので
はなく、連続して行った後の物性が実際に使用した場合
の耐久性とより対応がとれること、また、本発明のポリ
ウレタンを用い、このような強制劣化後も外観変化の小
さい皮革様シート状物であれば、実際の使用においても
優れた耐久性を示すことを見出し、本発明に至ったもの
である。
大きく分けて、ピリングと毛羽立ちの2種類があり、皮
革様シート状物の種類よって、それぞれの寄与する度合
いが異なるため、該JIS規格に規定される判定基準の
うち、ピリング、毛羽立ちのより等級の悪い方を採用す
ることにしたものである。
得るためには、本発明のポリウレタンおよび極細繊維を
用い、かつ、ポリウレタンの付着量を調節する必要があ
るが、その値は極細繊維の繊度やシート状物の密度によ
って調節する必要があるが、好ましくはポリウレタンと
極細繊維の比率は1:5〜2:1の範囲にあるのがよ
い。1:4以下の場合は、物性、耐久性が不足し、2:
1以上の場合は、風合いが硬くなってしまう。
限はないが、0.2g/cm3 以下では、耐久性が低下
する傾向があり、0.6g/cm3 以上では、柔軟性が
低下する傾向にあるので、0.2〜0.6g/cm3 で
あるのが好ましい。
dtex以下の極細繊維で構成されるが、その素材は、
特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート
等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6等のポ
リアミド等を使用することができる。また、かかる繊度
は、柔軟性、品位の点から0.3dtex以下であるこ
とが必要であるが、発色性や繊維のさばけやすさの点か
ら、ポリエステルの場合は0.3〜0.01dtexの
範囲、ポリアミドの場合は0.1〜0.001dtex
の範囲であるものが好ましい。
こともできるし、本発明の目的を損なわない範囲で0.
3dtexよりも太い繊維が混在してもかまわない。ま
た、繊維の断面形状としては、通常の丸断面でもよい
し、それ以外に三角や+字型のいわゆる異型断面のもの
を使用することもできる。
目的の極細繊維を直接得る方法と、一旦太い繊維を作成
し、その後、極細繊維を発現せしめる方法があるが、細
い繊維が得られやすい点や得られる皮革様シート状物の
柔軟性の点で、一旦太い繊維を作成し、その後、極細繊
維化する方法が好ましく採用される。
なる複数のポリマーをあわせて紡糸して、極細繊維発現
可能な繊維を得た後、少なくとも1種類のポリマーを除
去して極細繊維を形成する方法を採用することができ
る。
は、ポリマー同士が張り合わされたような状態のいわゆ
るサイドバイサイド型や、ポリマー中に別のポリマー
が、比較的均一に島状に存在する海島型、ポリマーがア
ロイ状に混合されているブレンド型を採用することがで
きる。また、除去されるポリマーの種類としては、ポリ
エチレンやポリスチレン等のポリオレフィン、ナトリウ
ムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコール等を共
重合してアルカリ溶解性を高めた共重合ポリエステル等
を用いることができる。
をシート化し、ポリウレタン付与および極細繊維発現処
理を施す。また、必要に応じて糊剤付与、プレス、バフ
ィング、コーティング、染色等の処理を行うことにより
皮革様シート状物を得ることができる。
しては、織物、編物、不織布およびそれらを複合したも
のを挙げることができる。かかる織物としては、通常の
平織りや綾織りを、また編物としては、経て編みや筒編
みを用いることができる。また、不織布としては、短繊
維不織布、長繊維不織布いずれでもかまわないが、風合
いや品位を重視する場合は、短繊維不織布が好ましく使
用される。かかる短繊維不織布を得る方法としては、カ
ードやクロスラッパー、ランダムウエバーを用いる方法
や抄紙法を採用することができる。また、これらの方法
で得られた不織布をニードルパンチやウォータージェッ
トパンチで絡合せしめたり、他の織物、編物、不織布と
一体化せしめることも可能である。また、必要に応じて
ポリビニルアルコール等の糊剤、ポリアクリルアミドや
ポリウレタン等のバインダー等を付与することもでき
る。
成分の種類によって異なるが、ポリエチレンやポリスチ
レン等のポリオレフィンであれば、トルエンやトリクロ
ロエチレン等の有機溶媒、共重合ポリエステルであれ
ば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で浸漬・窄液
を行う方法を採用することができる。
ポリウレタン溶液に含浸しさらにポリウレタンを凝固せ
しめることが必要である。かかるポリウレタンの溶媒と
しては、DMF、DMSO等を用いることができる。ま
た、ポリウレタンの溶解性を妨げない範囲で他の溶媒や
水を添加することができる。また、ポリウレタンの凝固
構造を調節する目的で高級アルコールや界面活性剤等の
凝固調節剤を添加することができる。さらには必要に応
じて顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、を添加すること
もできる。
ト状物の耐久性、柔軟性を左右する重要な要因の1つに
皮革様シート状物内のポリウレタンの凝固構造がある。
該凝固構造は大きく分けて分散・点在している構造(以
下分散構造)と、連結・一体化した構造(以下連結構
造)の2つに分類することができる。この2つを比較す
ると、分散構造は、柔軟性には有利であるが、耐久性に
は不利であり、逆に連結構造は、柔軟性には不利である
が、耐久性には有利である。本発明のポリウレタンは、
内部に微多孔が多数存在する連結構造になりやすい特徴
があり、それが優れた耐久性と柔軟性を有する皮革様シ
ート状物を提供することができる原因の1つではないか
と考えている。また、この凝固構造は、目標とする耐久
性、柔軟性のレベルに応じて調節する必要がある。その
ための1つの手段としては、凝固条件の調節によるポリ
ウレタンの凝固速度の適正化が挙げられる。その場合の
凝固条件とは、凝固浴の温度、凝固浴中に添加するDM
F、DMSO等の有機溶媒の有無(およびその濃度)等
が挙げられる。
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
の意味は以下の通りである。
る。 1.耐久性 評価すべき各皮革様シート状物でジャンバー様の着用サ
ンプルを作成した。モニターとして、主として事務作業
に従事する成人男性を選び、着用サンプルを常に着た状
態で通常の業務を行わせた。モニター間の使用状況の差
をなくすために1週間ごとに着用サンプルをモニター間
で交換・ローテーションし、さらに5週間ごとに石油系
溶剤によるクリーニングを行った。25週終了後、サン
プルの外観変化、破れの有無等を総合的に評価し、10
を最上、6以上を合格とする10段階で評価した。 2.柔軟性 3年以上繊維製品の開発の経験があるテスター5人に、
10を最上、6以上を合格とする10段階で評価させ、
その平均点で評価した。 3.マーチンデール摩耗試験 約1m×1mの大きさの皮革様シート状物からランダム
に4箇所から測定用試料をサンプリングし、JIS L
1906規定のマーチンデール摩耗試験の家具用条件で
10000回摩擦した前後の外観変化をJIS L10
76規定の判定基準で判定した。4つのサンプル間で判
定に差が出た場合は、最も号数の悪いものを採用した。 4.強制劣化処理 下記の処理を(1)、(2)の順で施した。
インカーボンアーク灯式耐光性試験機で1 0
0時間光照射 (2)温度70℃、相対湿度90%の雰囲気に1週間放
置 実施例1 NPGとジエチレンカーボネートを縮合重合させること
によって得られた数平均分子量2000のPNPCと数
平均分子量2000のPCLを80:20の割合で混合
し、MDIと50℃で5時間反応させた後、DMFで4
0%に希釈し、MBAを加えて30℃で6時間反応せし
めて、ポリウレタン溶液を得た。このようにして得られ
たポリウレタン溶液を固形分が10重量%になるように
DMFで希釈し、ポリウレタン含浸液を調製した。別
途、海島型複合糸用口金を用いて海島複合繊維を作成し
た。複合条件は以下の通りである。 海成分 :ポリスチレン 島成分 :ポリエチレンテレフタレート 海島比率:海50%、島50% 該海島複合繊維を3.0倍に延伸し、さらに捲縮を付与
した後、カットし原綿を得た。 該原綿をクロスラッパ
ーを用いてウェブとし、さらにニードルパンチを施し、
不織布を得た。該不織布を5%ポリビニルアルコール液
に含浸した後、搾液、乾燥した。その後、トリクロロエ
チレンにて海成分を抽出し、0.1dtexの極細繊維
からなる、繊維シート状物を得た。
浸液に浸漬し、絞りロールにてポリウレタン含浸液の付
き量を調節したのち、30%DMF水溶液中でポリウレ
タンを凝固せしめた。しかるのち、90℃の熱水でDM
Fとポリビニルアルコールを除去し、直ちにプレス、乾
燥したのち、該シートに起毛処理した後、分散染料にて
染色を施し皮革様シート状物を得た。
定されるマーチンデール摩耗試験条件で10000回摩
擦した前後の外観変化は、JIS L1076に規定さ
れる判定基準で4号であった。また、強制劣化後、同様
に摩耗試験したときの外観変化は4号であった。得られ
た皮革様シート状物は表1に示すとおり、耐久性、柔軟
性に優れたものであった。 比較例1 PNPCの代わりに数平均分子量2000のPHCを用
いる以外は実施例1と同様の方法でポリウレタン溶液お
よびそれを用いた皮革様シート状物を得た。
定されるマーチンデール摩耗試験条件で10000回摩
擦した前後の外観変化は、JIS L1076に規定さ
れる判定基準で4号であった。また、強制劣化後、同様
に摩耗試験したときの外観変化は4号であった。得られ
た皮革様シート状物は表1に示すとおり、耐久性には優
れるものの、柔軟性の不十分なものであった。 比較例2 ペンタメチレングリコールとヘキサメチレングリコール
の1:1混合物をジエチルカーボネートと反応させて、
数平均分子量2000のPPHCを得た。
以外は、実施例1と同様の方法でポリウレタン溶液およ
びそれを用いた皮革様シート状物を得た。
定されるマーチンデール摩耗試験条件で10000回摩
擦した前後の外観変化は、JIS L1076に規定さ
れる判定基準で4号であった。また、強制劣化後、同様
に摩耗試験したときの外観変化は3号であった。得られ
た皮革様シート状物は表1に示すとおり、耐久性、柔軟
性ともに不十分なものであった。 比較例3 PNPCの代わりに3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ールとアジピン酸を縮合重合させることによって得られ
た数平均分子量2000のPMPAを用いる以外は、実
施例1と同様の方法でポリウレタン溶液およびそれを用
いた皮革様シート状物を得た。
定されるマーチンデール摩耗試験条件で10000回摩
擦した前後の外観変化は、JIS L1076に規定さ
れる判定基準で3号であった。また、強制劣化後、同様
に摩耗試験したときの外観変化は1号であった。得られ
た皮革様シート状物は表1に示すとおり、柔軟性には優
れるものの、耐久性は不十分なものであった。 実施例2 NPGとジエチルカーボネートを縮合重合させることに
よって得られた数平均分子量2000のPNPCと数平
均分子量2500のPTMGを60:40の割合で混合
し、MBAと70℃で6時間反応させた後、DMFで4
0%に希釈し、MBAを加えて40℃で6時間反応せし
めて、ポリウレタン溶液を得た。このようにして得られ
たポリウレタン溶液を固形分が13重量%になるように
DMFで希釈しポリウレタン含浸液を調製した。
繊維を作成した。複合条件は以下の通りである。 海成分 :5−ナトリウムスルホ−イソフタル酸を15
モル%共重合したポリエチレンテ レフタレー
ト 島成分 :ナイロン6 海島比率:海55%、島45% 該海島複合繊維を3.0倍に延伸し、さらに捲縮を付与
した後、カットし原綿を得た。該原綿をクロスラッパー
を用いてウェブとし、さらにニードルパンチを施し、不
織布を得た。
浸漬し、絞りロールにてポリウレタン含浸液の付き量を
調節したのち、水中でポリウレタンを凝固せしめた。し
かるのち、85℃の熱水でDMFを除去し、直ちにプレ
ス、乾燥したのち、80℃の水酸化ナトリウム水溶液に
て海成分を抽出し、平均0.005dtexの極細繊維
からなる、繊維シート状物を得た。該シート状物に起毛
処理した後、分散染料にて染色を施し皮革様シート状物
を得た。
定されるマーチンデール摩耗試験条件で10000回摩
擦した前後の外観変化は、JIS L1076に規定さ
れる判定基準で3号であった。また、強制劣化後、同様
に摩耗試験したときの外観変化は3号であった。得られ
た皮革様シート状物は表1に示すとおり、耐久性、柔軟
性に優れたものであった。 実施例3 MBAの代わりにEGを用いる以外は実施例1と同様の
方法でポリウレタン溶液およびそれを用いた皮革様シー
ト状物を得た。
定されるマーチンデール摩耗試験条件で10000回摩
擦した前後の外観変化は、JIS L1076に規定さ
れる判定基準で4号であった。また、強制劣化後、同様
に摩耗試験したときの外観変化は4号であった。得られ
た皮革様シート状物は表1に示すとおり、耐久性、柔軟
性に優れたものであった。 比較例4 ポリウレタン含浸液の濃度を10%にした以外は実施例
3と同様の方法でポリウレタン溶液およびそれを用いた
皮革様シート状物を得た。
定されるマーチンデール摩耗試験条件で10000回摩
擦した前後の外観変化は、JIS L1076に規定さ
れる判定基準で2号であった。また、強制劣化後、同様
に摩耗試験したときの外観変化は2号であった。得られ
た皮革様シート状物は表1に示すとおり、柔軟性には優
れるものの、耐久性の不十分なものであった。 実施例4 ペンタメチレングリコールとヘキサメチレングリコール
の1:1の混合物をジエチルカーボネートと反応させ
て、数平均分子量2000のPPHCを得た。
数平均分子量2000のPNPCと上記PPHCの7
0:30の混合物を用いる以外は、実施例1と同様の方
法でポリウレタン溶液およびそれを用いた皮革様シート
状物を得た。
定されるマーチンデール摩耗試験条件で10000回摩
擦した前後の外観変化は、JIS L1076に規定さ
れる判定基準で4号であった。また、強制劣化後、同様
に摩耗試験したときの外観変化は4号であった。得られ
た皮革様シート状物は表1に示すとおり、耐久性、柔軟
性に優れたものであった。 比較例4 PNPCとPPHCの混合比を40:60にする以外は
実施例1と同様の方法でポリウレタン溶液およびそれを
用いた皮革様シート状物を得た。
定されるマーチンデール摩耗試験条件で10000回摩
擦した前後の外観変化は、JIS L1076に規定さ
れる判定基準で4号であった。また、強制劣化後、同様
に摩耗試験したときの外観変化は2号であった。得られ
た皮革様シート状物は表1に示すとおり、耐久性、柔軟
性いずれも不十分なものであった。
ものは、比較例1〜5のものに比して、いずれも耐久性
あるいは柔軟性に優れており、本発明のポリウレタンお
よび皮革様シート状物によりこれら2つの特性を満足す
るものであることがわかる。
たポリウレタン、およびそれからなる皮革様シート状物
を提供することができ、かつ、また、優れた耐久性、柔
軟性を併せ持つ衣料、家具、カーシート、鞄、手袋等を
提供することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】下記化学式1で示されるカーボネート構造
を分子鎖中に含むポリウレタンであって、化学式2で示
されるエーテル構造、化学式3、4、5で示されるエス
テル構造、化学式6で示されるカーボネート構造からな
る群から選ばれた少なくとも1種類の構造を分子鎖中に
含み、かつ、化学式1で示される構造の含有量が、化学
式2〜6で示される構造の含有量の合計の1〜9倍であ
ることを特徴とするポリウレタン。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 - 【請求項2】該ポリウレタンが、ジイソシアネート成分
として、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、
鎖伸長剤として、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを用い
て構成されているものである請求項1記載のポリウレタ
ン。 - 【請求項3】繊度0.3dtex以下の極細繊維とポリ
ウレタンを含む皮革様シート状物であって、該ポリウレ
タンとして、少なくとも請求項1および2のいずれかの
ポリウレタンを含み、かつ、JIS L1906で規定
されるマーチンデール摩耗試験条件で10000回摩擦
した前後の外観変化が、JIS L1076に規定され
る判定基準で3号以上であることを特徴とする皮革様シ
ート状物。 - 【請求項4】下記条件の強制劣化処理を行った後、JI
S L1906に規定されるマーチンデール摩耗試験条
件で10000回摩擦した前後の外観変化が、JIS
L1076に規定される判定基準で3号以上であること
を特徴とする請求項3記載の皮革様シート状物。 強制劣化処理:下記の処理を(1)、(2)の順で施
す。 (1)JIS B7753規定のサンシャインカーボン
アーク灯式耐光性試験機で 100時間光照
射 (2)温度70℃、相対湿度90%の雰囲気に1週間放
置
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JP2003268680A (ja) * | 2002-03-14 | 2003-09-25 | Asahi Kasei Corp | スエード調人工皮革 |
WO2004101640A1 (ja) * | 2003-05-16 | 2004-11-25 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | ポリウレタンおよびそれを用いた合成皮革表面皮膜 |
WO2005010068A1 (ja) * | 2003-07-24 | 2005-02-03 | Asahi Glass Company, Limited | ポリウレタン樹脂およびその製造方法 |
JPWO2015076204A1 (ja) * | 2013-11-21 | 2017-03-16 | 東レ株式会社 | シート状物 |
-
1999
- 1999-04-12 JP JP10384599A patent/JP4066556B2/ja not_active Expired - Fee Related
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EP3073010A4 (en) * | 2013-11-21 | 2017-06-28 | Toray Industries, Inc. | Sheet-like article |
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