JP2000288403A - 光触媒材料 - Google Patents

光触媒材料

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JP2000288403A
JP2000288403A JP11094040A JP9404099A JP2000288403A JP 2000288403 A JP2000288403 A JP 2000288403A JP 11094040 A JP11094040 A JP 11094040A JP 9404099 A JP9404099 A JP 9404099A JP 2000288403 A JP2000288403 A JP 2000288403A
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titanium oxide
crystal grains
crystal
elliptical
major axis
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JP11094040A
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English (en)
Inventor
Atsumichi Kushibe
淳道 櫛部
Takatoshi Ogawa
孝寿 小川
Toshio Saito
俊夫 斉藤
Kan Hasegawa
完 長谷川
Yoshimasa Ito
喜昌 伊藤
Fumio Kamikubo
文生 上窪
Tatsuya Yasunaga
龍哉 安永
Sadako Yamada
貞子 山田
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Kobe Steel Ltd
Takenaka Komuten Co Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Takenaka Komuten Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コーティング形状の酸化チタンでありながら
理想的な酸化チタン粉体に匹敵するような、高い光触媒
活性を得ることができる光触媒材料を提供する。 【解決手段】 基材表面に酸化チタン層が被覆されてな
る光触媒材料であって、該酸化チタン層の表面から少な
くとも厚さ10nmの表層部に存在する酸化チタンがア
ナターゼ型結晶であり、この表層部に存在する酸化チタ
ンの結晶粒のうち30%以上の結晶粒の形状が、長軸方
向の長さが短軸方向の長さの2〜20倍である楕円形又
は半楕円形であることを特徴とする。ここで、酸化チタ
ン結晶粒として、長軸が結晶表面と垂直な方向から60
°以内の角度に配向しているもの、さらに、結晶粒の長
軸がアナターゼ型酸化チタン結晶の<100>方向又は
<102>方向に配向したものを含むことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に高い光触媒
活性を有し、意匠性に優れたチタン又はチタン基含有合
金を用いた光触媒材料に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンは、特定の波長の光により光
触媒機能を発現し、その酸化作用により防臭、防黴、抗
菌機能を有することが知られている。このような機能を
利用するため、酸化チタン粉体、あるいはこれと光触媒
機能を向上させるために併用する白金、パラジウム等の
金属を混合した粉体を目的物の表面にコーティングして
用いることが一般的である。このような材料は光触媒材
料が表面に露出して初めて機能を発揮するもの出るが、
基材表面への酸化チタン粉体の固定にはバインダーが必
要であり、通常の有機樹脂バインダーでは光触媒反応に
よりで分解されるおそれがあるため、Si系の無機バイ
ンダーが汎用されている。このようなバインダーにより
固定すると、表面には酸化チタンとともにバインダーも
ともに露出するため、光触媒反応に関わる最表面の酸化
チタンの面積率が低下し、原料である酸化チタンの粉体
に較べると光触媒活性が著しく低下してしまう。
【0003】バインダーを使用せずに酸化チタンをコー
ティングする方法として、チタンアルコキシド等の有機
系チタン化合物を塗布して焼成することにより酸化チタ
ンを生成させる方法がある。この方法では酸化チタンが
焼成時に合成されるので、基材の表面形状に応じた酸化
チタン被覆層が形成され、バインダーを用いることなく
酸化チタンを密着性良く固定することができる。この方
法によれば、酸化チタン粉体をバインダーで固定する方
法に比較して、表面の全てが酸化チタンで占められるの
で高い光触媒性を得ることができる。しかしながら、こ
の方法により得られる酸化チタン層は緻密で平滑な層で
あるため、酸化チタン粉体に比較して表面積が著しく小
さく、光触媒反応による浄化などに必要な十分な表面積
を得ることができず、理想的な酸化チタン層、即ち、バ
インダー無しで酸化チタン粉体を表面に固定した層に較
べると1/10程度の光触媒性しか得られない。
【0004】形成される酸化チタンの光触媒性をさらに
向上させるため、気化させたチタンアルコキシドを担体
となる不活性ガスとともに加熱された基材表面に吹き付
ける方法により、酸化チタン活晶の配向性を制御し、特
定の結晶配向を有する酸化チタンを形成することにより
光触媒活性を向上させる技術が、例えば、特開平10−
95468、特開平10−95469、特開平10−9
5935、特開平10−152396号などの各公報で
提案されている。上記のような方法で作製した酸化チタ
ン層は酸化チタン粉体をバインダーでコーティングした
ものや、有機チタンを焼成しただけのものに較べると優
れた光触媒性を有しているが、理想的な酸化チタン粉体
と同等な特性を得ることはできない。これは、コーティ
ング形状の酸化チタンの最表面に露出する酸化チタンの
面積は粉体の表面積に較べると小さいためである。一
方、酸化チタンの光触媒材料の特性を生かして製品に利
用するには粉体のままではハンドリング性に劣り、不都
合であり、どうしても基材にコーティング等の手段によ
り固定する必要がある。従来の技術では、実製品におい
て理想的な酸化チタン粉体の性能を発現させる基材への
固定化は達成されておらず、高い効率を有する光触媒材
料が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、基材に
強固に形成されたコーティング形状の酸化チタン層を有
しており、且つ、理想的な酸化チタン粉体に匹敵するよ
うな、高い光触媒活性を得ることができるハンドリング
性の良好な光触媒材料に関するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、TEMに
よる断面観察により酸化チタン粒子の結晶粒の形状に着
目し、有機チタンを焼成しながら塗布していく工程で、
噴霧粒子のサイズや成膜速度を最適化することにより、
生成する結晶粒の形状を制御して評価した結果、光触媒
性を飛躍的に向上させる最適な結晶粒形状を特定し、本
発明を完成した。
【0007】即ち、本発明の請求項1に係る光触媒材料
は、基材表面に酸化チタン層が被覆されてなる光触媒材
料であって、該酸化チタン層の表面から少なくとも厚さ
10nmの表層部に存在する酸化チタンがアナターゼ型
結晶であり、この表層部に存在する酸化チタンの結晶粒
のうち30%以上の結晶粒の形状が、長軸方向の長さが
短軸方向の長さの2〜20倍である楕円形又は半楕円形
であることを特徴とする。
【0008】ここで、前記酸化チタンの楕円形又は半楕
円形結晶粒として、結晶粒の長軸が結晶表面と垂直な方
向から60°以内の角度に配向しているものを含有する
ことが好ましく、さらに、前記酸化チタンの楕円形又は
半楕円形結晶粒として、結晶粒の長軸がアナターゼ型酸
化チタン結晶の<100>方向又は<102>方向に配
向したものを含有することが好ましい態様である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の光触媒材料の表面に形成
された酸化チタン層は、固定するアナターゼ型酸化チタ
ンの結晶粒形状を楕円形或いは半楕円形にすることによ
り、酸化チタン粒子が緻密に集合して固定されていても
なお、理想的な酸化チタン粉末と同等の表面積を得るこ
とができ、基材表面にコーティング等により固定された
状態においても、高い光触媒活性を発現し得ることを特
徴としている。
【0010】図1は、本発明に好適に用いられる(A)
楕円形酸化チタン結晶粒及び(B)半楕円形酸化チタン
結晶粒の形状を示す模式図である。このように、本発明
における楕円形又は半楕円形結晶粒としては、投影断面
が楕円形又は半楕円形をなすものを包含する。本発明に
おける長軸/短軸は、模式図中にしめされた位置を測定
したものである。
【0011】光触媒活性は光触媒材料の表面積に依存す
ることは先に述べた通りであるが、この表面積について
考慮すれば、図2(A)に示すように、楕円形状の結晶
粒では結晶粒が密に充填された場合、その形状に起因し
て、粒子表面は楕円形状の側面で隣りの結晶粒界と接す
るように位置するが、この際、個々の結晶粒の短軸に比
較して長軸が大きいため結晶粒界表面の隣接する粒子と
接触しない領域が広く、その部分は光触媒活性に寄与す
る露出した表面(図中に斜線で示した領域)となるた
め、理想的な酸化チタン粉末と同等な表面積を得ること
ができる。図2(B)に示すように、一般的な球形の結
晶粒では、結晶粒が稠密構造に配置されると、個々の粒
子が真球状に近いほど最密充填されやすく、隣接する粒
子間の接触面積が大きくなり、結果的に露出した表面
(図中に斜線で示した領域)の面積が狭くなる状態とな
るが、これと比較すると、本発明の光触媒材料に用いら
れる酸化チタン結晶粒の形状の特性がより明確となろ
う。
【0012】本発明者らの検討によれば、このような表
面積増大効果は、全結晶粒の30%以上が長軸方向の長
さが短軸方向の長さの2〜20倍の楕円形結晶粒である
ときに著しく高くなることが明らかになった。
【0013】結晶粒の形状の特性としては、先に図1に
示した長軸と短軸との比が2以下のときは、通常の球形
の粒状晶に近くなるため、楕円形状である効果が得難
く、長軸/短軸比は効果の観点から、2以上であること
を要し、好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3以
上であるのが良い。また、長軸/短軸比が20以上のと
きは結晶粒界表面の曲率が大きくなって平板状或いは棒
状粒子に近い形状となるので、側面で隣接する結晶粒と
広い面積で密着することになり、大きな表面積を得るこ
とができなくなる。このため、長軸/短軸比は20以下
であることが必要であり、好ましくは15以下、さらに
好ましくは10以下であるのが良い。
【0014】なお、本発明において結晶粒の形状は、必
ずしも図1に示したような理想的な対象性を有する楕円
形或いは半楕円形である必要は無く、楕円形或いは半楕
円形に準じた形状ならば、例えば、図3に示すように、
非対称型であってもよく、表面がなだらかな凹凸を有す
るものであっても、また、楕円結晶粒の側面における局
率半径が大きく円錐形に近い形状を有するものなどであ
っても、長軸と短軸との比が本発明の範囲であれば、同
等な効果が得られるのでこの場合も本発明の範囲に含ま
れる。以下、本発明で楕円形状の結晶粒と称する場合、
半楕円形状やこれらの楕円形或いは半楕円形に準じた形
状の結晶粒も包含するものとする。
【0015】また、このような楕円形状の酸化チタン結
晶粒が、酸化チタン層の表面から少なくとも厚さ10n
mの表層部に存在する酸化チタン全結晶粒のうち30%
以上存在することで好ましい光触媒活性を得ることがで
きる。ここで、酸化チタン層の結晶粒の状態を評価する
のに、基材表面に形成された酸化チタン層の表面から少
なくとも厚さ10nmの表層部を評価領域としたのは、
層の最表面に露出する酸化チタン結晶粒が光触媒活性に
寄与することによるものであり、本発明の光触媒材料が
有する酸化チタン層の厚みを制限するものではない。
【0016】また、前記楕円形状の結晶粒は全結晶粒中
に数量で30%以上含まれていれば光触媒活性向上効果
が認められ、好ましくは50%以上、さらに好ましくは
70%以上である。含有量が30%未満では、ランダム
に存在する楕円形状結晶粒が隣接する結晶粒との間で作
り出す表面積向上効果が得難く、所望の光触媒活性向上
効果が得られない。この結晶粒の形状及び数量は、例え
ば、光触媒材料の断面をTEM電子顕微鏡で観察するこ
とで確認することができる。
【0017】酸化チタン結晶粒の長軸は結晶表面に垂直
な方向に配向した方がより効率良く空間に接する表面積
を増加させることができ、高い光触媒性が得られる。特
に、結晶粒の長軸方向が結晶面に垂直な方向から60°
以内に配向した結晶粒は特に高い光触媒性が得られるこ
とから、前記楕円形状の結晶粒にこのような配向したも
のが含まれていることが好ましい。軸の配向は60°以
内が好ましく、さらに45°以内、最も好ましくは30
°以内である。このような結晶粒の長軸方向が配向した
ものが、全ての酸化チタン結晶粒のうち50%以上を占
めると特に高い光触媒活性を発現し、さらに好ましくは
60%以上、最も好ましくは70%以上の結晶粒の長軸
が結晶面に垂直な方向から60°以内に配向するのが良
い。このような微細領域での結晶形状はX線の回折パタ
ーンでは確認できず、断面のTEM観察を行うことで確
認することが可能となる。
【0018】さらに、詳細に構造を検討すると楕円形結
晶粒内の結晶の向きの、長軸方向がアナターゼ型結晶の
<100>方向或いは<102>方向に配向した場合に
特に優れた光触媒性が得られることが明らかとなった。
このうち、さらに好ましいのは<102>方向に配向し
た場合である。従って、このような配向性を有する楕円
形結晶粒を含有すると光触媒材料の活性能が向上する。
この配向性を有する楕円形状結晶粒は、結晶粒全体に対
し、50%以上含有すると光触媒活性向上効果が著しい
ため好ましく、さらに好ましくは60%以上、最も好ま
しくは70%である。この原因は明らかでないが、光触
媒反応を効率良く起こす最適な紫外線入射方向とかかわ
っていると考えられる。前記のような表層での微細領域
における結晶粒の配向はX線の回折パターンでは確認で
きず、断面のTEM観察を行うことで確認することが可
能となる。
【0019】本発明の光触媒材料は、このような酸化チ
タン結晶粒を含む酸化チタン層を所定の基材上に固定
化、形成してなるものであるが、ここで用いられる基材
には特に制限はなく、酸化チタン層の形成条件に耐える
ものであれば、使用目的に応じて適宜選択することがで
きる。具体的には、例えば、ガラス、セラミックスなど
の無機材料、チタン及びその合金や鉄、鋼鉄などの金属
材料、その他公知の材料が使用しうる。
【0020】また、この基材上に酸化チタン結晶粒を固
定化し、酸化チタン層を形成する場合、形成される酸化
チタン層の厚みは、目的に応じて適宜選択できるが、一
般的には、10〜1000nm程度である。また、基材
上に酸化チタン層を形成する方法としては、有機チタ
ン、例えば、アセチルアセトチタンを含有したエタノー
ルを基材上に噴霧し、焼成しながら酸化チタン結晶粒を
基材表面に順次成長させて酸化チタン層を所定の厚みに
形成する方法、同様の有機チタンを基材上に塗布した
後、焼成する方法等が挙げられる。前記有機チタンの噴
霧、焼成方法を用いた場合、その工程において、焼成温
度、噴霧粒子のサイズ、成膜速度を制御することにより
生成する酸化チタン結晶粒の形状を変化させることがで
きる。このようにして基材上に酸化チタン層を形成する
方法によれば、通常のバインダーを用いた塗布方法に比
較して光触媒活性のみならず、材料としての耐久性も大
幅に向上するという利点を有する。
【0021】本発明の光触媒材料は、目的に応じて、日
用品や建築材料等の光触媒活性による永続的な殺菌、浄
化作用を必要とする部材、建造物、或いは装飾品などに
任意に使用することができ、その応用範囲はひろい。特
に基材にチタン及びチタン合金を用いれば、その酸化条
件を調節することにより金属光沢を有する任意の色相を
得ることができるため、意匠性の観点からも好ましい材
料である。
【0022】
【実施例】(実施例1:結晶粒形状の長軸/短軸比)チ
タン及び不可避的不純物からなる工業用級の純チタンを
50×50×1mmtに切断して基材とし、基材を加熱
しながら有機チタン(チタンアルコキシド)を噴霧し、
厚さ100〜500nm程度の酸化チタン層を塗布し
た。塗布工程で、焼成温度、噴霧粒子のサイズ、成膜速
度を制御することにより生成する酸化チタン結晶粒の形
状を変化させて下記表1に示すような種々の結晶粒を形
成した光触媒材料を得た。
【0023】図4は本発明の実施例1に用いた酸化チタ
ン層の断面TEM電子顕微鏡写真あり、最表層の断面よ
り酸化チタン結晶粒が楕円形であることが観察される。
また、図5は、有機チタンを塗布した後、焼成した場合
の球形の酸化チタン層の断面を示すTEM電子顕微鏡写
真である。種々の条件で作製した酸化チタン層の結晶粒
の形状を調べ、図1に示した長軸/短軸比を示す結晶が
全体のうちどの割合を占めるかを求め、光触媒性との関
係を調べた。
【0024】得られた酸化チタン層の光触媒活性はヨウ
化カリウム分解法によって測定した。ヨウ化カリウム水
溶液(0.1mo1/L、150g)に試験片を光触媒
活性機能を有する面が受光面(25cm2)となるよう
に浸漬し、ブラックライト(紫外線強度:2.6mW/
cm2)を30分照射した。光触媒活性によってヨウ化
カリウムが分解するときに発生するヨウ素の生成量を測
定して光触媒活性を評価する。ヨウ素生成量が多い程、
光触媒活性効果が高いことを意味する。なお、対象例と
して、本実施例に用いたのと同様の酸化チタン粉末自体
のヨウ素の生成量を同様の条件で測定したところ、結果
は100×10-5mol以上であった。
【0025】実施例1では、表1に示すように酸化チタ
ン結晶粒のうち楕円形結晶粒が50%のもの、55%以
上のもの、60%以上のものについて、それぞれの結晶
粒の長軸と短軸の比が異なるものを選択して測定した。
酸化チタン結晶粒の長軸/短軸比と楕円形状結晶粒の酸
化チタン結晶粒全体に占める割合とヨウ素生成量の関係
を下記表1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】表1中の数値はヨウ素生成量である(単位
10-5mol)。前記表1の結果より明らかなよう
に、50%以上の結晶の長軸/短軸比が2〜20の場合
にヨウ素生成量が100を超えており、理想的な酸化チ
タン粉末の光触媒性に達している。さらに、長軸/短軸
比が2.5〜15の場合はヨウ素生成量が130付近、
長軸/短軸比が3〜10の場合はヨウ素生成量が160
付近に達しており、光触媒特性を高くする最適な酸化チ
タンは長軸/短軸比が3〜10の楕円形状の結晶粒が全
体の結晶粒の50%以上を占める形状であることが明ら
かになった。
【0028】なお、具体的な製造例として、長軸/短軸
比が5の楕円形状の結晶粒が全体の結晶粒の60%以上
を占める酸化チタン層の形成条件を下に示す。有機チタ
ンとしてアセチルアセトチタンを用いた。アセチルアセ
トチタン含有(1〜100g/リットル)アルコールを噴霧
粒子サイズ1μm以下で、1g/秒程度の量を500℃
に加熱した基材に噴霧しながら、400〜600℃の焼
成温度で2時間加熱して成膜した。成膜速度は50nm
/時であった。このような基材上に酸化チタン層を形成
する最の好ましい条件を以下に挙げれば、有機チタンと
してはアセチルアセトチタンを用いることが好ましく、
噴霧、塗布を容易にするため、アセチルアセトチタンを
1〜100g/リットル程度含有したアルコール、例えばエ
タノールを用いる。噴霧法の場合の噴霧粒子サイズは
0.1〜5μmであることが好ましく、焼成温度は、4
00〜600℃の範囲が一般的である。成膜速度は10
〜1000nm/時が好ましい。
【0029】(実施例2:配向)実施例1と同様のチタ
ン基材に、有機チタンを焼成しながら厚さ100〜50
0nm程度の酸化チタン層を塗布、形成した。塗布工程
で、焼成温度、噴霧粒子のサイズ、成膜速度を制御し、
結晶粒全体の60%が長軸/短軸比5の楕円形結晶であ
り、長軸方向の配向性が表2の如く異なる酸化チタン層
を作製した。長軸の配向方向は前記した成膜方法の条件
のうち噴霧粒子サイズを制御することにより制御するこ
とができる。得られた酸化チタン層の光触媒性は実施例
1と同様にヨウ化カリウム分解法によって測定し、楕円
形結晶全体のうち、長軸が結晶表面と垂直な軸から30
°以内であるものの比率とヨウ素生成量の関係を調べ
た。結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2より、同じ楕円形結晶、長軸方向の結
晶の向きであっても、長軸が表面に垂直な方向に配向す
るほどヨウ素生成量が高くなっており、長軸方向が揃う
ことにより、効率良く結晶表面が空間に接触する面積が
増加し、光触媒性が向上することがわかる。実施例1で
配向方向を制御しなかった光触媒材料(結晶粒全体の6
0%が長軸/短軸比5の楕円形結晶の試料)の測定結果
が159×10-5molであることを考慮すれば、結晶
粒の配向を制御することによりさらに光触媒活性が向上
することがわかった。
【0032】(実施例3:結晶方位)実施例1と同様の
チタン基材に、有機チタンを焼成しながら厚さ100〜
500nm程度の酸化チタン層を塗布、形成した。塗布
工程で、焼成温度、噴霧粒子のサイズ、成膜速度を制御
し、結晶粒全体の60%が長軸/短軸比5の楕円形結晶
であり、長軸方向がアナターゼ型酸化チタン結晶の<1
02>方向である楕円形結晶粒の比率が表3の如く異な
る酸化チタン層を作製した。長軸方向の<102>方向
への配向性は前記した成膜方法の条件のうち噴霧粒子サ
イズを制御することで制御することができる。得られた
酸化チタン層の光触媒性は実施例1と同様にヨウ化カリ
ウム分解法によって測定し、楕円形結晶全体のうち、長
軸方向がアナターゼ型酸化チタン結晶の<102>方向
である楕円形結晶粒の比率とヨウ素生成量の関係を調べ
た。結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】表3によれば、同じ楕円形結晶の構成比で
あっても、長軸がアナターゼ型酸化チタン結晶の<10
2>方向に配向した結晶粒の比率が高くなるにつれてヨ
ウ素生成量が高くなっており、光触媒性が向上すること
が明らかである。実施例1で配向方向を制御しなかった
光触媒材料(結晶粒全体の60%が長軸/短軸比5の楕
円形結晶の試料)の測定結果が159×10-5molで
あることを考慮すれば、結晶粒の長軸方向の配向性を制
御することによりさらに光触媒活性が向上することがわ
かった。
【0035】
【発明の効果】本発明は、上記構成としたので、コーテ
ィング形状の酸化チタン層を有する構造でありながら理
想的な酸化チタン粉体に匹敵するような、高い光触媒活
性を発現する光触媒材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)本発明に好適に用いられる楕円形酸化
チタン結晶粒形状を示す模式図であり、(B)は同様に
半楕円形酸化チタン結晶粒の形状を示す模式図である。
【図2】 (A)楕円形状酸化チタン結晶粒が密に充填
された場合の表面状態を模式的に示す概略断面図であ
り、(B)球状酸化チタン結晶粒が密に充填された場合
の表面状態を模式的に示す概略断面図である。
【図3】 本発明で楕円形状酸化チタン結晶粒に包含さ
れる粒子形状の変形例を示す模式図である。
【図4】 酸化チタン層における薄膜中に存在する楕円
形状の酸化チタン結晶粒の粒子形状を示す断面TEM電
子顕微鏡写真ある。
【図5】 酸化チタン層における薄膜中に存在する球形
の形状の酸化チタン結晶粒の粒子形状を示す断面TEM
電子顕微鏡写真ある。
フロントページの続き (72)発明者 小川 孝寿 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 斉藤 俊夫 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 長谷川 完 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 伊藤 喜昌 東京都千代田区丸の内1−8−2 株式会 社神戸製鋼所東京本社内 (72)発明者 上窪 文生 兵庫県神戸市西区高塚台1−5−5 株式 会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 安永 龍哉 兵庫県神戸市西区高塚台1−5−5 株式 会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 山田 貞子 兵庫県神戸市西区高塚台1−5−5 株式 会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 AA12 BA04A BA04B BA18 BA48A CA01 CA10 CA11 CA17 EA07 EA08 EB14X EB14Y EB15X EB15Y EC22X EC22Y EC27 FA03 FB24 FB30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に酸化チタン層が被覆されてな
    る光触媒材料であって、 該酸化チタン層の表面から少なくとも厚さ10nmの表
    層部に存在する酸化チタンがアナターゼ型結晶であり、
    この表層部に存在する酸化チタンの結晶粒のうち30%
    以上の結晶粒の形状が、長軸方向の長さが短軸方向の長
    さの2〜20倍である楕円形又は半楕円形であることを
    特徴とする光触媒材料。
  2. 【請求項2】 前記酸化チタンの楕円形又は半楕円形結
    晶粒が、結晶粒の長軸が結晶表面と垂直な方向から60
    °以内の角度に配向しているものを含有することを特徴
    とする請求項1記載の光触媒材料。
  3. 【請求項3】 前記酸化チタンの楕円形又は半楕円形結
    晶粒が、結晶粒の長軸がアナターゼ型酸化チタン結晶の
    <100>方向又は<102>方向に配向したものを含
    有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    光触媒材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101134173B (zh) * 2006-08-31 2010-08-25 中国石油化工股份有限公司 一种具有特殊形状的载体、催化剂及其制备

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