JP2000286096A - 高周波加速空胴の制御装置及び電子ビームの制御方法 - Google Patents

高周波加速空胴の制御装置及び電子ビームの制御方法

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JP2000286096A
JP2000286096A JP11092059A JP9205999A JP2000286096A JP 2000286096 A JP2000286096 A JP 2000286096A JP 11092059 A JP11092059 A JP 11092059A JP 9205999 A JP9205999 A JP 9205999A JP 2000286096 A JP2000286096 A JP 2000286096A
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cavity
high frequency
electron beam
signal generator
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JP11092059A
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Daizo Amano
大三 天野
Hiroki Miyade
宏紀 宮出
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的な接触をすることなく速やかに高周波
加速空胴に供給する高周波の周波数を制御できる高周波
加速空胴の制御装置及び電子ビームの制御方法を提供す
る。 【解決手段】 周波数可変の信号発生装置14と、信号
発生装置14の周波数を制御する周波数制御装置12
と、信号発生装置14からの高周波を増幅する高周波増
幅器17と、信号発生装置14と高周波加速空胴30の
同調を制御する制御回路16とを具備した構成とした。
この場合、高周波加速空胴の制御装置10の実用性の観
点からは、高周波増幅器17を保護するサーキュレータ
ー18を取り付けるようにすることが望ましい。また、
電子ビームの制御方法では、入射モード時には、周波数
制御装置12により信号発生装置14の周波数を、高周
波加速空胴30の共振周波数よりも大きく設定してお
き、加速モード時には、周波数制御装置12により信号
発生装置14で発生する高周波を、高周波加速空胴30
の共振周波数に所望のペースで近づけて行くようにすれ
ばよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子ビームを閉軌
道内に所望のエネルギーで蓄積し、主としてシンクロト
ロン放射光を発生させることを目的とした小型の電子蓄
積リングに係り、特に、その電子蓄積リングに用いる高
周波加速空胴の制御装置の改良及び入射時及び加速時の
電子ビームの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子やイオン等の荷電粒子は、一様磁場
中を進行すると、進行方向に垂直なローレンツ力の作用
により円形軌道(一般には螺旋軌道)を描く。
【0003】従って、垂直方向に一様磁場を発生する偏
向電磁石で、一定の運動エネルギーを有する荷電粒子に
所望の曲率半径の円弧軌道を描かせてその進行方向を所
望の角度で曲げてやり、かつ、この偏向電磁石を複数個
適切な位置に配置することにより荷電粒子を水平面内の
閉軌道上を周回させるようにすることができる。
【0004】即ち、原理的には偏向電磁石だけで電子
を、真空に保たれたビームダクト内の閉軌道内に所望の
エネルギーで蓄積できることになるが、実際に供用され
ている電子蓄積リングでは、他の複数の装置が必要にな
る。そこで、図3を用いて、電子蓄積リングの主要構成
を簡単に説明する。
【0005】図3に電子蓄積リングの一例として、レー
ストラック型の電子蓄積リング100の平面図を示す。
このタイプの電子蓄積リング100では、図3に示すよ
うに180度偏向型の偏向電磁石90A、90Bを対向
配置して、図示しない真空ポンプにより高真空(〜1×
10-9Torr)に保たれたレーストラック型のビーム
ダクト80内の周回軌道に電子ビームを蓄積する。
【0006】図3において、20は、電子蓄積リング1
00に一定のエネルギーの電子ビームを供給するための
入射器である。相対性理論によれば、粒子の運動エネル
ギーが増大すると、それに伴って質量が増大するので、
蓄積電子が磁場中で曲がりにくくなる。そこで一定の設
計軌道に電子ビームを閉じこめるために、一般に、図3
に示すものに限らず電子蓄積リングでは、電子ビームの
エネルギーに連動して偏向電磁石の磁場強度を調節して
いる。従って、図3に示す偏向電磁石90A、90Bの
磁場強度を小さくすることにより、理論的にはいかなる
低エネルギーの電子も蓄積できるはずである。しかし、
電子のエネルギーが極端に小さいと、ビーム軌道が不安
定になり、安定して電子ビームを蓄積できなくなるとい
う問題がある。
【0007】そこで、この入射器20により電子を一定
のエネルギー、例えば図3に示すタイプのものでは、1
50MeVまで加速して電子蓄積リング100に入射させ
るようにしている。なお、図3において、22は、入射
器20から所定の角度で電子蓄積リング100に提供さ
れた電子ビームをスムーズに周回閉軌道に入射させるた
めに、電子ビームの方向を転換するためのセプタム電磁
石である。
【0008】また、図3において、70A、70Bは、
四重極電磁石で、詳細な説明は省略するが、光学上の集
光レンズが光を集光するのと同様に、電子ビームを集束
する役割を担うものである。これらの四重極電磁石70
A、70Bにより電子ビームはビームダクト80内で高
真空に保たれた閉軌道内から発散することなく、安定な
状態で電子蓄積リング100に蓄積されることになる。
【0009】一方、電子やイオン等の荷電粒子は加速作
用を受けると制動放射の形で電磁波を放出するという性
質を有している。従って、電子が偏向電磁石90A、9
0Bで曲げられると接線方向にシンクロトロン放射光
ynchrotron adiatuio:以下
簡単に「SR」という場合がある。)といわれる電磁波
を放出して、そのエネルギーが減衰してしまうので、こ
のエネルギーロスを常時補完してやらなければ、電子ビ
ームを所望のエネルギーで安定して蓄積できないという
問題がある。また、蓄積した電子ビームのエネルギーを
増大して、より高エネルギーで電子を蓄積し、多様な利
用用途に対応しなければならない場合もある。
【0010】このように、蓄積した電子ビームにエネル
ギーを供給するのが、図3に示す高周波加速空胴30で
ある。高周波加速空胴30とは、高周波電力を投入し、
電子が高周波加速空胴30の加速ギャップに差し掛かっ
た際に、丁度加速されるように高周波加速空胴30に発
生する高周波電圧の位相と電子の位置とをうまく同期さ
せて、蓄積電子にエネルギーを供給するようにした装置
である。
【0011】電子が電子蓄積リング100内の閉軌道を
1周する間に、高周波加速空胴30に供給される高周波
電圧が何回振動するか、その回数のことをハーモニック
ナンバーという。このハーモニックナンバーが整数とな
るように、閉軌道の長さと高周波加速空胴30にかける
高周波の周波数を調節することにより、電子が高周波加
速空胴30を通過する毎にエネルギーを供給できるよう
に工夫できる。これにより、電子のエネルギーのロスを
補完したり、電子を入射後、所望のエネルギーにまで電
子を加速することが可能となる。
【0012】また、図3において、50はパータベータ
ー電磁石(またはキッカー電磁石)といわれるものであ
る。蓄積電子は、電子蓄積リング100に入射された際
に既にある一定の広がりを持つので、全電子が設計され
た閉軌道上を周回するのではなく、その設計軌道を中心
に電子蓄積リング100の閉軌道を1周する間に、閉軌
道を中心として微小振動をする。この微小振動のことを
ベータトロン振動といい、電子が閉軌道を1周する間に
振動する回数のことをベータトロン振動数又はベータト
ロンチューン、或いは単にチューンという。
【0013】このベータトロン振動のために、入射後、
電子に何の工夫も施さなければ、電子ビームは閉軌道を
複数回周回した後に、入射されたセプタム電磁石22の
位置に戻り、セプタム電磁石22と衝突して、安定な設
計軌道で蓄積される前に消滅してしまう。そこで、パー
ターベーター電磁石50にパルス電流を流し、瞬間的に
励磁させて、パルスの立ち下がりを使って、入射軌道と
いわれる入射時のみ変形された軌道を形成して電子ビー
ムの入射を行う。これにより、電子は入射後もセプタム
電磁石22と衝突することなく、設計された閉軌道を安
定して周回するようになる。
【0014】以上の構成で、図3に示す電子蓄積リング
100による電子ビームの蓄積方法について総括的に説
明する。入射器20により、所望のエネルギーにまで加
速された電子ビームは、セプタム電磁石22により電子
蓄積リング100の閉軌道に対してスムーズに入射させ
られる。
【0015】その後、上述したように、パーターベータ
ー電磁石50により一時的に偏向を受けて、偏向電磁石
90A、90B及び四重極電磁石70A、70Bにより
設計された閉軌道内に安定して蓄積される。また、高周
波加速空胴30により、蓄積電子ビームのエネルギーロ
スを補充し、一定のエネルギーで蓄積したり、或いは、
加速して所望のエネルギーで蓄積するようにする。
【0016】ところで、上述したように、電子蓄積リン
グでは、偏向電磁石において電子がシンクロトロン放射
光(SR)を放出してエネルギーをロスしてしまい、こ
のことが蓄積できる電子ビームのエネルギーの上限を画
定する一つの原因になっていた。このSRによるエネル
ギーロスを小さくし、蓄積できる電子ビームのエネルギ
ーを増大させるために、偏向電磁石の曲率半径を大きく
し、巨大化した電子蓄積リングが開発されている。
【0017】一方、SRは、一定の水平面内に放出され
る極めて高輝度、高指向性の連続スペクトルの白色光で
あり、このSRを積極的に光源として利用しようとする
電子蓄積リングが開発されている。図3に示す電子蓄積
リング100は、主としてSR用光源として開発された
典型的なものである。蓄積する電子ビームの電流が大き
く、強磁場で偏向電磁石の曲率半径を小さくして、SR
の臨界波長をX線領域まで短くし、特に、X線リソグラ
フィー用の小型光源として使用されることを目的として
いる。
【0018】次に、図3乃至図5を用いて、高周波加速
空胴及び高周波加速空胴に供給される高周波の周波数を
制御する高周波加速空胴の制御装置の構成及び電子ビー
ムを入射する際の電子ビームの制御方法について補足説
明をする。
【0019】図4は、図3の電子蓄積リング100に用
いている高周波加速空胴30の高周波加速空胴の制御装
置40の概略構成を示すブロック図である。
【0020】図4に示すように、従来の高周波加速空胴
の制御装置40は、所望の周波数の高周波を発生させる
信号発生装置32とこの高周波のパワーを増幅する高周
波増幅器36、高周波増幅器36を保護するサーキュレ
ーター38を備えている。
【0021】また、高周波加速空胴30は、高周波の位
相と電子の位置とをうまく同調させて、電子にエネルギ
ーを供給する装置であることは上述したが、蓄積する電
子の電流量により高周波加速空胴30の共振周波数が微
妙に変化してしまう。従って、図4に示す制御回路34
により、信号発生装置32と高周波加速空胴30との同
調を制御するようにしている。
【0022】ところで、電子の蓄積エネルギーが数GeV
(=数1000MeV)クラスの大型電子蓄積リングで
は、通常は、電子シンクロトロンを入射器として、蓄積
エネルギーと等しいエネルギーで入射するフル・エネル
ギー入射が行われる。この場合、高周波加速空胴は主と
して電子がSRとして偏向電磁石部で失われるエネルギ
ーのロスを補充するだけのエネルギーを供給すればよ
い。
【0023】一方、図3に示すような小型の電子蓄積リ
ング100においては、入射エネルギーが150MeV
で、蓄積エネルギーが700MeVというような場合で
は、入射器20により所望の電流量になるまで電子を入
射し続け、この入射モードが終了してから、所望のエネ
ルギーになるまで加速し続ける電子ビームの制御方法が
採られている。
【0024】このような電子ビームの制御方法では、入
射モードにおいて、高周波加速空胴30の加速ギャップ
の電圧が高すぎると、高周波加速空胴30と同期してい
る同期電子を中心にして前後に電子群(バンチ)が振動
するシンクロトロン振動の振幅が大きくなり、パーター
ベーター電磁石50を励磁したときに過大なシンクロト
ロン振動が励起されて、電子が消滅してしまうという問
題が発生する。この対策として、電子の入射モードで
は、高周波加速空胴30の加速ギャップの電圧を低く調
整するようにする方法が考えられる。
【0025】しかし、図3に示す電子蓄積リング100
のような大電流蓄積型の電子蓄積リングでは、高周波加
速空胴30の共振周波数と、信号発生装置32から供給
される高周波の周波数を同調させた状態で、高周波加速
空胴30に供給するパワーを少なくして加速ギャップの
電圧を小さくすると、電子が高周波加速空胴30内に励
起する電場が相対的に大きくなり、この励起された電場
の影響により、安定した加速ができなくなり、蓄積され
た電子ビームが不安定になってしまうという問題が新た
に発生する。
【0026】この対策として、従来より、電子が高周波
加速空胴30に励起する電場の影響を相対的に小さくし
ておくために、高周波加速空胴30に供給するパワーを
下げずに、高周波加速空胴30の共振周波数を、信号発
生装置32から供給される高周波よりも小さく設定して
おく手段が採られている。
【0027】この従来の電子ビームを制御する方法につ
いて図5及び図6を用いて具体的に説明する。図5は、
高周波加速空胴30を電子ビームを蓄積するビームダク
ト80に取り付けた状態を示す縦断側面図である。ま
た、図6は、図5でAで示した部分の拡大縦断側面図で
ある。
【0028】図5に示すように、高周波加速空胴30
は、増幅された高周波が供給されるカプラー46と、高
周波加速空胴30の共振周波数を調整するチューナー4
2、このチューナー42と、図6に示すように、高周波
加速空胴30の側壁とを電気的に接続させるため、高周
波加速空胴30の側壁に取り付けられたコンタクトフィ
ンガー44を備えた構成である。なお、同図において、
41は高周波加速空胴30の側壁に設けられたチューナ
ーポート、45はカプラーポート、BLは蓄積電子のビ
ームラインで、電子ビームは高真空に保たれたビームダ
クト80内及び高周波加速空胴30内を矢印方向に進行
する。
【0029】以上の構成で、先ず、高周波加速空胴30
は、カプラー46を介して所定の周波数の高周波が供給
されてくるが、チューナー42を、コンタクトフィンガ
ー44を介して高周波加速空胴30の側壁と電気的に接
触した状態でリモートコントロールにより上下方向に移
動させる(移動距離は概ね2cm程度)。
【0030】このようにすると、高周波加速空胴30の
インダクタンスを変化させることになり、共振周波数を
わざと変えて、上述したように、電子ビームの入射モー
ドにおいては、高周波加速空胴30に供給するパワーを
下げずに、高周波加速空胴30の共振周波数を、信号発
生装置32から供給される高周波よりも小さく設定して
おき、電子が安定に蓄積できるように工夫されている。
【0031】一方、入射モードが完了し、蓄積電子の加
速モードに移行すると、今度はチューナー42を徐々に
移動させて、カプラー46から供給される高周波と高周
波加速空胴30の共振周波数とが同調するようにする
と、安定した状態で電子を所望の蓄積エネルギーまで加
速することができるようになる。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の高周波加速空胴の制御装置を用いて高周波加速空胴
の共振周波数を調整する方法では、高周波加速空胴に取
り付けたチューナーをコンタクトフィンガーを介して高
周波加速空胴の側壁と電気的に接触させながら機械的に
操作させていたために、以下のような問題があった。
【0033】(1)チューナーを動かしたときに高周波
加速空胴及びビームダクト内の真空が悪化する。 (2)高周波加速空胴の側壁に取り付けたコンタクトフ
ィンガーと電気的に接触させながらチューナーを動かす
ので、チューナー及び周辺機器が機械的な損傷を起こし
やすい。 (3)チューナーをリモートコントロールで所定距離
(〜2cm)機械的に動かすので時間がかかり、速やか
な加速モードの完了が困難である。
【0034】特に、ビームダクト内の真空が悪化する
と、ビームダクト内に発生するイオンの量が増大し、電
子ビームのビーム径が膨れ上がってビームクオリティが
悪くなったり、ビームがロスしたりしてしまう。
【0035】また、電子ビームは上述したように、設計
軌道を中心としてベータトロン振動をしている。このベ
ータトロンチューンは、通常は、ベータトロン振動の振
幅が徐々に増幅する現象、いわゆるレゾナンス(共鳴)
によるビームロスが起きない数値が選定され、その条件
下で電子蓄積リングを運転するようにされている。しか
し、真空が悪化すると、発生したイオンの影響でベータ
トロンチューンがレゾナンス条件になり、ビームをロス
してしまう場合がある。
【0036】更に、真空が悪化してしまうと、高周波加
速空胴内で放電が発生するという問題も生じてくる。ま
た、加速モードに時間がかかると、電子蓄積リングの実
使用時間が短くなってしまう。
【0037】本発明は、上記課題(問題点)を解決し、
機械的な接触をすることなく速やかに高周波加速空胴に
供給する高周波の周波数を制御できる高周波加速空胴の
制御装置及び電子ビームの制御方法を提供することを目
的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波加速空胴
の制御装置は、請求項1に記載のものでは、1又は2以
上の偏向電磁石を備え、電子(陽電子を含む)ビームを
閉軌道内に所望のエネルギーで蓄積するようにした電子
蓄積リングにおける高周波加速空胴の制御装置におい
て、周波数可変の信号発生装置と、前記信号発生装置の
周波数を制御する周波数制御装置と、前記信号発生装置
からの高周波を増幅する高周波増幅器と、前記信号発生
装置と高周波加速空胴の同調を制御する制御回路とを具
備した構成とした。このように構成すると、電気的な操
作で高周波加速空胴への供給電力や供給する周波数を制
御できるので、機械的な接触による真空の悪化や、チュ
ーナー及び周辺機器が機械的な損傷を受ける事態を防止
することができる。更に、高周波加速空胴に供給する高
周波の周波数を電気的な方法により制御できるので、電
子ビームの迅速な入射、加速が可能となり、電子蓄積リ
ングの実使用時間を長くすることができる。
【0039】また、高周波加速空胴の制御装置の実用性
の観点からは、請求項2に記載したように、高周波増幅
器を保護するサーキュレーターを取り付けるようにする
ことが望ましい。
【0040】請求項3に記載の電子ビームの制御方法で
は、請求項1又は2に記載の高周波加速空胴の制御装置
を備えた電子蓄積リングにおいて、入射器から電子を前
記電子蓄積リングに入射する入射モード時には、上記周
波数制御装置により上記信号発生装置の周波数を、前記
高周波加速空胴の共振周波数よりも大きく設定してお
き、前記高周波加速空胴により蓄積電子を加速する加速
モード時には、前記周波数制御装置により信号発生装置
で発生する高周波を、前記高周波加速空胴の共振周波数
に所望のペースで近づけて行き、加速モード終了後は前
記信号発生装置で発生する高周波と高周波加速空胴の共
振周波数とを同調させるようにした。このようにする
と、電子ビームの入射時及び加速時において、機械的な
接触による真空の悪化や、チューナー及び周辺機器が機
械的な損傷を受ける事態を防止することができると共
に、電子ビームの迅速な入射、加速が可能となり、電子
蓄積リングの実使用時間を長くすることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明の高周波加速空胴の制御装
置(以下簡単のために「制御装置」とのみいう場合があ
る。)及び電子ビームの入射時及び加速時における電子
ビームの制御方法について、図1及び図2を用い、図3
を参照して説明する。図1は、本発明の高周波加速空胴
の制御装置の構成を示すブロック図である。また、図2
は、本発明の高周波加速空胴の制御装置を用いて、電子
ビームを制御する方法を示すフローチャートである。
【0042】図1に示すように、本発明の高周波加速空
胴の制御装置10は、周波数可変の信号発生装置14
と、この信号発生装置14の周波数を制御する周波数制
御装置12と、信号発生装置14からの高周波を増幅す
る高周波増幅器17と、この高周波増幅器17を保護す
るサーキュレーター18と、信号発生装置12と高周波
加速空胴30の同調を制御する制御回路16とを具備し
た構成である。
【0043】従って、本発明の高周波加速空胴の制御装
置10は、図4に示した従来の高周波加速空胴の制御装
置40と比較して、信号発生装置14を周波数可変型に
し、また、この信号発生装置14の周波数を制御する周
波数制御装置12を付加した点に構成上の特徴がある。
【0044】以上の構成において、本発明の高周波加速
空胴の制御装置10の一実施の形態と、この制御装置1
0を用いて、図3に示す入射器20により電子蓄積リン
グ100に電子を入射する際(入射モード)における電
子ビームの制御方法及び電子入射モードが完了し、電子
蓄積リング100に蓄積した電子ビームを所望のエネル
ギーまで加速する際(加速モード)における電子ビーム
の制御方法について、図2を用い、図1及び図3を参照
して説明する。
【0045】先ず、本発明の高周波加速空胴の制御装置
10を用いている高周波加速空胴30を備えた電子蓄積
リング100に、従来通り、マイクロトロン等の入射器
により所望の入射エネルギー(例えば150MeV)まで
加速して電子ビームを入射させる入射モードを開始す
る。
【0046】一方で、本発明の制御装置10では、図2
のST1に示すように、図1の高周波加速空胴30の制
御を開始し、ST2において、周波数制御装置12が、
現在、電子ビームの入射モードであるか否かの判断を行
う。
【0047】ST2において、電子ビームの入射モード
であると判断した場合は、ST3に進んで信号発生装置
14が発生する高周波の周波数を所定の入射モードの周
波数に設定する。例えば、本発明の制御装置10を用い
る高周波加速空胴30の共振周波数を191MHzとし
た場合では、信号発生装置14が発生する高周波の周波
数の設定値は、0.1%程度高い値となるように、周波
数制御装置12で信号発生装置14を制御する。
【0048】このように、電子ビームの入射モードにお
いて、高周波加速空胴30に供給される高周波の周波数
を高周波加速空胴30の共振周波数と意図的にずらし、
電気的な操作により、高周波加速空胴30の共振周波数
が供給される高周波の周波数よりも小さい状態とするこ
とにより、従来行っていた機械的な操作をすることな
く、安定した電子ビームの入射をすることができる。
【0049】なお、図示による説明は省略するが、入射
モードにおいても、安定した電子ビームの入射を行う最
適値は、高周波増幅器17の特性、高周波加速空胴30
の特性、蓄積した電子ビームの電流量の影響を受けるた
めに変化する場合がある。この最適値を計算すること
は、周波数制御装置12に内蔵したマイクロコンピュー
タ等の計算機能(図示せず)が行い、ST4において入
射モードが終了したと判断するまで、信号発生装置14
が発生する高周波の周波数を最適値に制御している。
【0050】次に、ST2において、周波数制御装置1
2が入射モードではないと判断した場合、或いは、周波
数制御装置12がST4において入射モードが終了した
と判断した場合は、ST5に進んで、電子蓄積リング1
00に蓄積した電子ビームの加速モードであるか否かの
判断を行う。
【0051】ST5において、周波数制御装置12が、
加速モードであると判断した場合は、ST6に進んで、
信号発生装置14が発生する高周波の周波数を、所望の
ペースで、高周波加速空胴30の共振周波数に徐々に近
づけて行く(ST6)。この周波数を近づけるペース
は、電子ビームの蓄積電流量や高周波増幅器17、高周
波加速空胴30の特性によって異なるので、周波数制御
装置12に内蔵したマイクロコンピュータ等の計算機能
が記憶している特性曲線に基づいて制御する。
【0052】加速モードでは、蓄積電子は高周波加速空
胴30を通過する度にエネルギーを付与され、所望のエ
ネルギー(例えば700MeV)まで加速される。電子ビ
ームが所望のエネルギーにまで加速されることにより、
加速モードは終了するが、このときまでには、高周波加
速空胴30に供給される高周波の周波数は高周波加速空
胴30の共振周波数と概ね一致するように制御されてい
る。
【0053】ST5において、周波数制御装置12が加
速モードではないと判断した場合、或いは、ST7にお
いて、加速モードが終了したと判断した場合に、周波数
制御装置12による信号発生装置14の制御が終了し
(ST8)、また、本発明の電子ビームの入射時及び加
速時における電子ビームの制御方法が終了する。入射モ
ード、及び加速モードが完了し、電子ビームの蓄積時で
は、高周波加速空胴30に供給される高周波の周波数と
高周波加速空胴30の共振周波数の同調は主として図1
に示す制御回路16によって行われる。
【0054】以上のように、図4に示す従来の高周波加
速空胴の制御装置40のように、高周波加速空胴30に
設けたチューナー42を動かすことなく、安定した電子
ビームの入射及び加速が、本発明の高周波加速空胴の制
御装置10により制御できるようになるために、上述し
たような従来装置の課題を解決できる。
【0055】即ち、高周波加速空胴30及びビームダク
ト80内の真空が悪化しないので、ビームダクト80内
に発生するイオンの影響による、電子ビームのビーム径
が膨れ上がってビームクオリティが悪くなったり、ビー
ムがロスしたりしてしまう事態を防止できる。また、チ
ューンが発生したイオンの影響で不安定化し、ビームを
ロスしてしまう事態も防止できる。更に、真空悪化に伴
う高周波加速空胴30内の放電を防ぐことができる。
【0056】また、機械的な操作をする必要がないの
で、チューナー42及び周辺機器が機械的な損傷を起こ
すことがない。その上、加速モードの完了が速やかに行
えるので、電子蓄積リング100の実使用時間を長くす
ることができる。
【0057】本発明の高周波加速空胴の制御装置は上記
実施の形態に限定されず種々の変更が可能である。例え
ば、本発明の制御装置で制御する高周波加速空胴として
は、従来と同様にチューナーを取り付けたままのもので
説明したが、これは、電子蓄積リング100の運転状況
によってはチューナーを動かすことによる蓄積電子ビー
ムの制御の可能性を残存させることを目的としたもので
あり、チューナーを備えていない高周波加速空胴を制御
する場合でも本発明が適用されるのは勿論のことであ
る。
【0058】また、上記実施の形態では、入射エネルギ
ー、蓄積エネルギー、高周波加速空胴の共振周波数につ
いて具体的な数値を示して説明したが、本発明がこれら
の実施状況に限定するものではないことは明らかであ
る。図1に示すように、サーキュレーター18は必ずし
も本発明の構成要件ではないが、実用性の観点からは、
高周波増幅器を保護する目的で取り付けるようにするこ
とが望ましい。
【0059】
【発明の効果】(1)本発明の高周波加速空胴の制御装
置は、請求項1に記載したように構成したために、電気
的な操作で高周波加速空胴への供給電力や供給する周波
数を制御できるので、機械的な接触による真空の悪化
や、チューナー及び周辺機器が機械的な損傷を受ける事
態を防止することができる。 (2)更に、高周波加速空胴に供給する高周波の周波数
を電気的な方法により制御できるので、電子ビームの迅
速な入射、加速が可能となり、電子蓄積リングの実使用
時間を長くすることができる。
【0060】(3)また、高周波加速空胴の制御装置の
実用性の観点からは、請求項2に記載したように、高周
波増幅器を保護するサーキュレータを取り付けるように
することが望ましい。
【0061】(4)本発明の電子ビームの制御方法で
は、電子ビームの入射時及び加速時において、機械的な
接触による真空の悪化や、チューナー及び周辺機器が機
械的な損傷を受ける事態を防止することができると共
に、電子ビームの迅速な入射、加速が可能となり、電子
蓄積リングの実使用時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波加速空胴の制御装置の一実施の
形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の高周波加速空胴の制御装置の基本動作
及び電子ビームの制御方法を説明するためのフローチャ
ートである。
【図3】高周波加速空胴を取り付けた電子蓄積リングの
主要構成を示す平面図である。
【図4】従来の高周波加速空胴の制御装置の構成を示す
ブロック図である。
【図5】従来の高周波加速空胴の構造を示す縦断側面図
である。
【図6】従来の高周波加速空胴の一部縦断拡大側面図で
ある。
【符号の説明】
10:高周波加速空胴の制御装置 12:周波数制御装置 14:信号発生装置 16:制御回路 17:高周波増幅器 18:サーキュレーター 30:高周波加速空胴 90A、90B:偏向電磁石 100:電子蓄積リング

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1又は2以上の偏向電磁石を備え、電子
    (陽電子を含む)ビームを閉軌道内に所望のエネルギー
    で蓄積するようにした電子蓄積リングにおける高周波加
    速空胴の制御装置において、 周波数可変の信号発生装置と、 前記信号発生装置の周波数を制御する周波数制御装置
    と、 前記信号発生装置からの高周波を増幅する高周波増幅器
    と、 前記信号発生装置と高周波加速空胴の同調を制御する制
    御回路とを具備したことを特徴とする高周波加速空胴の
    制御装置。
  2. 【請求項2】 上記高周波加速空胴の制御装置に、上記
    高周波増幅器を保護するサーキュレーターを取り付ける
    ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の高周波加
    速空胴の制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の高周波加速空胴
    の制御装置を備えた電子蓄積リングにおいて、 入射器から電子を前記電子蓄積リングに入射する入射モ
    ード時には、上記周波数制御装置により上記信号発生装
    置の周波数を、前記高周波加速空胴の共振周波数よりも
    大きく設定しておき、 前記高周波加速空胴により蓄積電子を加速する加速モー
    ド時には、前記周波数制御装置により信号発生装置で発
    生する高周波を、前記高周波加速空胴の共振周波数に所
    望のペースで近づけて行き、 加速モード終了後は前記信号発生装置で発生する高周波
    と高周波加速空胴の共振周波数とを同調させるようにし
    たことを特徴とする電子ビームの制御方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006244879A (ja) * 2005-03-03 2006-09-14 Hiroshige Yamada 荷電粒子の加速方法及び荷電粒子周回装置
CN100419434C (zh) * 2006-03-15 2008-09-17 天津市德力电子仪器有限公司 高频调谐器上电、放电及超电流延时保护的方法

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