JP2000285378A - 音像移動による誘導システム - Google Patents

音像移動による誘導システム

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 聴覚を利用して人を適切に誘導できるように
する。 【構成】 誘導路にそって間隔をあけて複数の音源装置
2を配置する。複数の音源装置2から発生する音波によ
り音像を形成する。音波の発生タイミング,音量,周波
数等を制御することにより,音像を誘導路に沿って移動
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,音像の移動により聴覚によって
人に方向を示すための誘導システムに関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】建物等の施設内または屋外
において,人に特定の方向を指示するには,案内矢印や
電光掲示板,燈火の明滅など視覚に訴える方法と,案内
放送など論理的な説明による方法等がある。
【0003】しかしながらこれら従来方法のうち,視覚
による方法では,誘導対象者が方向を指示する表示等を
視認することが前提であるため,周囲の環境や誘導対象
者の意識状態により見落としが発生し易い。また当然な
がら視覚障害者に対しては有効ではなく,さらに火災発
生時の煙など視覚が機能しない環境下では全ての人に対
して有効に働かない。
【0004】また論理的な説明による方法では,放送等
で聴覚による伝達を行えば,視覚による方法の欠点を補
うことが可能であるが,誘導経路が複雑な場合や思考力
が低下する火災時などのパニック状態には有効に働かな
い。
【0005】
【発明の開示】本発明は上記した問題点に鑑みてなされ
たものであり,視覚に比して有効性が高く知覚され易い
という特長を持つ聴覚を利用し,人に認識され易くかつ
適切な誘導を行う事ができる誘導システムを提供するこ
とを目的とする。
【0006】本発明による誘導システムは,複数の音源
装置とこれを制御する制御装置とから構成される。音源
装置は誘導経路方向に沿って間隔をおいて離散的に配置
される。制御装置は,各音源装置から発する音波を制御
して音像を形成し,さらに各音源装置の音量を時系列に
順次調節することにより任意の方向に音像を移動して,
これによって被誘導者に誘導方向を指示する。
【0007】ここで,音像とは,例えばステレオ音楽再
生における楽器位置の再現のように,聴覚が空間上のあ
る地点に存在するかのように知覚する仮想の音源であ
る。また,音像の移動とは,知覚されるこの仮想的な音
源の存在位置を時間の経過と共に空間的に移動させるこ
とである。
【0008】このような構成により,被誘導者は聴覚だ
けに依存しながらも方向を明確に認識することができ,
複数の音源装置を誘導経路に適宜配置することで,任意
の地点への誘導を行うことができる。
【0009】聴覚は視覚を補完する機能として有効性が
高く,常に外界の情報に対しオープンな状態にあるた
め,人に知覚されやすいという特長を持つ。また言語以
外の音は一般に直感的に人に受容されるため,パニック
状態のように心理的に不安定で論理的思考力が低下して
いる状態でも音に含まれる情報を感覚的に掴む事ができ
る。このため本発明によれば,様々な状況下で幅広い人
々に,識別し易く理解し易い誘導システムを構築するこ
とが可能である。
【0010】また,音像を形成するために音源装置から
発する音波は,反射による方向感の消失が起き難い,例
えばウィンドチャイム,鐘などの非整数倍音からなる音
から構成することにより,より明確に方向を知覚させる
ようにできる。
【0011】人間の感覚において,周波数が次第に高く
なる音には上昇感を感じ,また低周波は太く高周波は細
いといった物理量との対応感を持つなど,人は周波数が
高くなる音の方向に方向性を感じる。そこで,この発明
の一実施形態では,制御装置は,音像を形成して移動さ
せるときに,音像の移動方向に,移動に伴なって音の周
波数が上昇するように各音源装置を制御する。これによ
り,より明確に音像の移動方向を知覚させるようにでき
る。
【0012】また,人間の感覚において,音量が次第に
小さくなる音には,音源が遠ざかって行く感覚を持つ。
そこで,この発明の一実施形態では,制御装置は,音像
を形成して移動させるときに,音像の移動方向に,移動
に伴なって音の音量が減衰するように各音源装置を制御
する。これにより,より明確に音像の移動方向を知覚さ
せるようにできる。
【0013】さらに,音には,例えばピアノの個々の打
鍵音のような非連続音と,ハープの全ての弦をかき鳴ら
すグリッサンドのような連続音がある。音像の形成と移
動のために各音源装置から発する音波は,連続音と非連
続音のどちらで構成してもよいが,連続音から構成する
方がより滑らかな音像の移動感を得ることができる。
【0014】また,制御装置は,各音源装置を制御して
音像を形成し移動させるときに,設置されている場所や
状況に応じて音像の移動周期を変化させるようにして,
被誘導者に対し緊急性や最終目的地までの距離等を伝達
するよう構成してもよい。
【0015】さらに,音像を形成して移動するために音
源装置から発する音波は人声に比べて高い周波数が好ま
しい。他方,音像による誘導は感覚的処理を行う右脳に
よる処理,人声の認識は論理的処理を行う左脳による処
理である。そこで,この発明の一実施形態では,制御装
置は,音像を形成して移動するための音波に加えて,人
声による誘導のアナウンスを上記の複数の音源装置のい
ずれか一つ,もしくは複数から,または他の音源装置か
ら発するよう構成する。こうすることにより,周波数的
にも知覚心理的にも誘導のより優れた効果を得ることが
できる。
【0016】制御装置は,誘導を行う必要がない状態で
は,音源装置を利用して環境音や環境音楽を流すことに
より空間のアメニティを高めるようにしてもよい。ま
た,音源装置に加えて,例えば,燈火による方向の指示
装置や風向による方向の指示装置など他のメディアによ
る指示手段を組み合わせて構成してもよい。
【0017】また,制御装置を音源装置ごとに設け,制
御装置にネットワークインターフェイスを設けるように
してもよい。
【0018】
【実施例】以下,図面を参照しながら本発明の実施の形
態につき詳細に説明する。
【0019】はじめに,離散的に複数配置した音源装置
を使用して,音像を形成して移動する方法を説明する。
図1は音源装置および後に説明する誘導燈の配置例であ
る。誘導路(通路1)に沿って,間隔をあけて音源装置
2および誘導燈3が配置されている(位置X1
6 )。誘導方向4に音像を移動させることにより,非
誘導者に方向を指示する。
【0020】ここで,各音源装置2の配置は必ずしも等
間隔でなくてもよい。この場合,制御装置は,音源装置
2の間隔それぞれに対応した音波の制御(タイミング,
音量,周波数の制御)を行うように構成する。また,図
1において,誘導路は通路または通路1に沿って設定さ
れているが,通路1が存在しない場所,例えば広場など
においては,音源装置2を配置することによって誘導路
を形成するようにしてもよい。
【0021】次に,図2は,連続音を用いる場合の,時
間と音源装置から発生する音の音量の変化を示してい
る。位置X1 ,X2 ,X3 ,X4 ,X5 ,X6 のそれぞ
れに合計6個の音源装置が存在し,音源装置から出力す
る音の波形はすべて同じで,音量だけが時間とともに変
化するものと仮定している。
【0022】まず,時間T1 で位置X1 の音源装置から
音量Pの音を発し,時間T2 で音量0になるようこれを
下げて行く。次いで位置X2 の音源装置では,音量0か
ら時間T2 で音量がPとなるようこれを上げて行く。こ
の操作により,時間T1 からT2 の間に,位置X1 から
位置X2 へ移動する音像を形成することができる。以降
同様に,時間T2 で音量Pとなっている位置X2 の音源
装置の発生音量を,時間T3 で音量0になるようこれを
下げて行き,次いで位置X3 の音源装置では,時間T2
で音量0の状態から時間T3 で音量がPとなるようこれ
を上げて行く,という操作を順次繰り返すことにより,
位置X1 から位置X6 まで移動して行く音像を形成する
ことができる。
【0023】さらに,非誘導者に誘導方向を随時示すた
めには,前記した位置X1 から位置X6 までの音像の移
動を,一定の間隔をおいて繰り返し行う必要がある。こ
れを図3に示す。時間T1 からT7 で音像移動の1サイ
クルが終了し,続いて時間(T8 −T7 )後に,新しい
音像移動のサイクルを時間T8 からT14で行っている。
以降これを繰り返して誘導方向を指示する。
【0024】前記した音像を形成して移動させるための
基本操作に加えて,図4に示すように,音源装置から発
する音波信号の周波数を,音像の移動と共にf1 からf
2 に上げて行くことにより,人が感じる音像の移動感覚
を強めることができる。さらに,これら操作に加えて図
5に示すように各位置における音量のピークを音像の移
動とともに当初の値Pより小さい値に減衰させて行くこ
とによっても,音像がより遠方に移動しているかのよう
な効果を与えることができて,人が感じる音像の移動感
覚を強めることができる。
【0025】同様に,図6は,非連続音を用いる場合
の,時間と各音源装置から発生する音の音量の変化を示
している。位置X1 ,X2 ,X3 ,X4 ,X5 ,X6
それぞれに合計6個の音源装置が存在し,音源装置から
出力する音の波形はすべて同じで(パルス状の音),音
波を発するタイミングだけが異なるものと仮定してい
る。
【0026】まず,位置X1 の音源装置から音量Pの音
を時間T1 からΔTの間発し,次いで位置X2 の音源装
置では,時間T2 から音量がPの音をΔTの間発する。
この操作により,時間T1 ,T2 で,位置X1 から位置
2 へ離散的に移動した音像を形成することができる。
以降同様に,位置X3 ,X4 ,X5 ,X6 の音源装置か
らそれぞれ時間T3 ,T4 ,T5 ,T6 で,音量Pの音
をΔTの間順次発することで,位置X1 から位置X6
で離散的に移動して行く音像を形成することができる。
【0027】さらに,非誘導者に誘導方向を随時示すた
めには,前記した位置X1 から位置X6 までの離散的な
音像の移動を,一定の間隔をおいて繰り返し行う必要が
ある。これを図7に示す。時間T1 からT6 +ΔTで音
像移動の1サイクルが終了し,続いて時間〔T8 −(T
6 +ΔT)〕後に,新しい音像移動のサイクルを時間T
8 からT13+ΔTで行っている。以降これを繰り返して
誘導方向を指示する。
【0028】前記した音像を形成して移動させるための
基本操作に加えて,図8に示すように,音源装置から発
する音の周波数を,音像の移動と共にf1 からf2 に上
げて行くことにより,人が感じる音像の移動感覚を強め
ることができる。さらに,これら操作に加えて図9に示
すように音量のピークを音像の移動とともに当初の値P
より小さい値に減衰させて行くことによっても,音像が
より遠方に移動しているかのような効果を与えることが
できて,人が感じる音像の移動感覚を強めることができ
る。
【0029】音源装置と音源装置の間にも音像を定位さ
せたい場合には,連続音の場合と同様に隣接する音源装
置から出力する音量を調節すればよい。
【0030】ここでは,音像を形成して移動させるため
の簡単な方法を説明したが,複数の音源装置の出力を制
御したり,DSP(Digital Signal Processor)による
サラウンド技術等を用いて,より良好な音像移動手段を
構成することも可能である。
【0031】続いて,誘導システムの具体的装置構成に
ついて説明する。
【0032】〈第1の実施形態〉図10に誘導システムの
第1の実施形態を示す。制御装置11は,MIDI I/
F17を介してMIDIサンプラー12と接続されている。
MIDIサンプラー12には6チャネルの出力があって,
各チャネルに音をそれぞれを送出するためのアンプ14お
よびスピーカ15が接続されている。スピーカ15から発す
る音波が,図2から図9を用いて説明した位置X1 から
位置X6 の音源装置から発する音波に対応する。
【0033】制御装置11は外部I/F19を介して端末装
置13と接続可能である。端末装置13において,送出する
MIDI信号の設定を行うことができるし,外部I/F
19を介して,他の外部装置から誘導開始の信号を制御装
置11に与えることができる。
【0034】制御装置11は,主に,MPU16,MIDI
I/F17,メモリ18および外部I/F19から構成され
ている。MPU16は外部I/F19を介して制御プログラ
ムと音の種類,基本周波数,基本音量,周波数の時間変
化および音量の時間変化などの設定パラメータを受信
し,メモリ18に保持する。制御プログラムは誘導を開始
すると,MIDI I/F17を介して,MIDIサンプ
ラー12に対し,Ch1からCh6の各チャネルごとに音
色(波形),音程(周波数),音量のパラメータを設定
したMIDI信号を送出して音波を発生させ,音像を移
動させる。
【0035】図4に,例示した音像の移動,すなわち連
続音を用いて位置X1 からX6 に音像を移動させ,かつ
周波数の上昇効果を加える場合の,各チャネルに送出す
るMIDI信号パラメータの制御方法について説明を行
う。各チャネルに必要なパラメータは上記のように音
色,音程,音量であるため,時間tにおける各チャネル
のパラメータベクトルを, Chn(t)=(音色,周波数,音量) で表すものとする。誘導開始後の経過時間をtとする
と,そのときの音波の周波数F(t)は, F(t)=f1 +{(f2 −f1 )÷(T7 −T1 )}
×t で表すことができる。ここで,各チャネルとも共通に音
色O(特定の音色を符号Oで表現する)を用いるものと
し,時間tにおけるチャネルnの音量をPnで表すとす
ると,時間tにおける各チャネルの送出パラメータは次
のようになる。チャネル1は, P1(t)=P−P÷(T2 −T1 )×t 但し,T1 <t<T2 P1(t)=0 但し,t≦T1 ,T2 ≦t Ch1(t)=(O,F(t),P1(t)) チャネル2から6は, m={2,3,4,5,6} Pm(t)=P÷(Tm −Tm-1 )×(t−Tm-1 ) 但し,Tm-1 <t≦Tm Pm(t)=P−P÷(Tm+1 −Tm )×(t−Tm ) 但し,Tm <t<Tm+1 Pm(t)=0 但し,t≦Tm-1 ,Tm+1 ≦t Chm(t)=(O,F(t),Pm(t))
【0036】また,端末装置13はユーザインターフェー
ス(図示略)および外部インターフェイス(図示略)を
有する,例えばパソコンにより実現され,音の種類,基
本周波数,基本音量,周波数の時間変化,音量の時間変
化などMIDI信号生成に必要な設定および制御プログ
ラムを制御装置11に送信する。
【0037】〈第2の実施形態〉図11に本発明の第2の
実施形態を示す。第2の実施形態は,第1の実施形態
に,音像の移動方向に順次点灯して誘導方向を示す誘導
燈を付加したものである。ここで,音源装置であるスピ
ーカ25および誘導燈30の配置は,図1に示す音源装置2
および誘導燈3と同様の配置となる。誘導燈30は制御装
置21からI/O31を介してON/OFFを制御され,音
像の移動する方向すなわち誘導方向と誘導燈が順次点灯
して示す方向が同じになるよう制御される(たとえば,
各音源装置の出力音量がピークを示す時点付近で対応す
る誘導燈が点灯する)。
【0038】図6に示す例を参照して,非連続音を用い
て音像を移動させる場合に,誘導燈30を点灯するタイミ
ングについて説明する。図6および図11において,位置
1からX6 はチャネルCh1からCh6に対応するも
のとする。誘導燈30は同じチャネルの音源装置が音波を
発している間点灯するようにする。すなわち,Ch1の
誘導燈は時間T1 からΔTの間点灯し,Ch2の誘導燈
は時間T2 からΔTの間点灯するという制御を,各チャ
ネルについて順次繰り返す。
【0039】〈第3の実施形態〉図12に本発明の第3の
実施形態を示す。図12において,ウィンドチャイム42は
通路51に沿って離散的に配置され,送風機50は通路方向
に送風が行えるよう配置されている。制御装置41はI/
O47を介して,自動打鍵装置45および送風機50と接続さ
れており,自動打鍵装置45は,スティック44を駆動して
ウィンドチャイム42をそれぞれ打鍵する。この装置は,
音程の異なる個々のウィンドチャイム42を順次打鍵する
ことで,音像を形成し,その音像が誘導方向52に移動し
て誘導の方向を示し,付帯的なメディアとして送風機50
により誘導方向に送風を行って方向の指示を強化するも
のである。
【0040】また,制御装置41は外部I/F49を介して
端末装置43と接続可能であり,端末装置43を接続して自
動打鍵装置45および送風機50の制御方法の設定を行う。
制御装置41はまた外部I/F49を介して,他の外部の装
置から誘導開始の信号を受け取ることができる。
【0041】制御装置41は,主に,MPU46,I/O4
7,メモリ48および外部I/F49から構成され,MPU4
6は外部I/F49を介して制御プログラムと打鍵の強さ
および打鍵の間隔などの設定パラメータを受信しメモリ
48に保持すると共に,設定パラメータにしたがって誘導
の開始,停止を行う。さらに,誘導開始後は指定した強
さで送風を行うよう送風機50に信号を送出する。
【0042】また,端末装置43はユーザインターフェー
ス(図示略)および外部インターフェイス(図示略)を
有する,例えばパソコンにより実現され,打鍵の順序と
速度など打鍵装置45の制御に必要な設定および制御プロ
グラムを制御装置41に送信する。
【0043】〈第4の実施形態〉図13に本発明の第4の
実施形態を示す。この装置は,主に,設定用端末装置6
3,ネットワーク式音源装置62およびネットワーク式誘
導燈装置61から構成される。本実施例は,個々にネット
ワークインターフェイスを持つ装置で構成された多目的
なネットワークシステムに,音像移動による誘導システ
ムを搭載したものであり,各装置間で通信を行うことに
より自律的に動作できる。また,ネットワーク式音源装
置62およびネットワーク式誘導燈61の配置は,図1に戻
って,同一系統ごとに音源装置2および誘導燈3と同様
の配置となる。
【0044】ここで,用語「ノード」をネットワークに
接続されている装置の総称とすると,本実施例を構成す
る設定用端末装置63,ネットワーク式音源装置62,ネッ
トワーク式誘導燈装置61,ネットワーク式センサ64およ
びネットワーク式空調装置66は,それぞれ固有の機能を
持つノードの一つである。それぞれのノードはネットワ
ークインターフェイスとMPUおよび記憶領域を持ち,
予め設定された手順に従った動作を行い,このとき,他
のノードの状態を参照するなどノード間の通信を行っ
て,それぞれが自律的に連携して動作する。
【0045】設定用端末装置63は,ユーザインターフェ
イス(図示略)とネットワークインターフェイス(図示
略)を持ち,例えばパーソナルコンピュータによって実
現され,各ノードの状態モニタや,各ノードへのデー
タ,制御プログラム,コマンドの送受信機能を有する。
【0046】図14にネットワーク式音源装置62の構成例
を示す。本装置62は予めプログラム記憶部83に保持して
いるプログラムに加えて,ネットワークインターフェイ
ス81を介して制御プログラムを動的にダウンロードし,
これをプログラム記憶部83に保持でき,これらプログラ
ムによりMIDI音源部87,音声合成部90を制御して任
意の楽音および音声をスピーカ91から送出する。これら
の送出に必要なMIDIデータ,音声合成パラメータ
は,プログラム記憶部83に予めダウンロードして保持し
ているものとする。さらに,波形データ記憶部84に保持
している,量子化された波形データをD/A変換部85を
経由してスピーカ91から送出することもできる。また,
MIDIデータ,音声合成パラメータおよび波形データ
は,ネットワークの通信速度がリアルタイムでの受信お
よび再生に必要十分である場合には,リアルタイムに受
信して再生してもよい。
【0047】例えば,非連続音を用いて音像を移動させ
る場合の本実施例の動作について説明する。はじめに,
設定用端末装置63を用いて,系統1からnに分けられた
ネットワーク式音源装置62およびネットワーク式誘導燈
装置61に対して,系統ごとに誘導方向を設定し,誘導に
必要なプログラムおよびパラメータをダウンロードす
る。そして,誘導が開始されると,同一系統に属するネ
ットワーク式音源装置62およびネットワーク式誘導燈装
置61は次のように動作する。
【0048】系統1において,音像をA,B,Cのよう
に移動させ,AからCの方向に誘導を行うとすると,各
ネットワーク式音源装置およびネットワーク式誘導燈の
動作は次のようになる。 (1)Aの動作 1)発音を開始。同時にネットワークを通じて,ネット
ワーク式誘導燈Aをオンにする。 2)時間ΔT後,発音を停止。同時にネットワークを通
じて,ネットワーク式誘導燈Aをオフにする。 3)ネットワークを通じて,ネットワーク式音源装置C
内の発音状況を監視し,Cの発音が開始されて停止して
からΔT’後に,上記1)以降を繰り返す。 (2)Bの動作 1)ネットワークを通じて,ネットワーク式音源装置A
内の発音状況を監視する。 2)Aの発音が開始されて停止してからΔT’後に発音
を開始。同時にネットワークを通じて,ネットワーク式
誘導燈Bをオンにする。 3)時間ΔT後,発音を停止。同時にネットワークを通
じて,ネットワーク式誘導燈Bをオフにする。 4)1)以降を繰り返す。 (3)Cの動作 1)ネットワークを通じて,ネットワーク式音源装置B
内の発音状況を監視する。 2)Bの発音が開始されて停止してからΔT’後に発音
を開始。同時にネットワークを通じて,ネットワーク式
誘導燈Cをオンにする。 3)時間ΔT後,発音を停止。同時にネットワークを通
じて,ネットワーク式誘導燈Cをオフにする。 4)1)以降を繰り返す。
【0049】ネットワーク式誘導燈装置61,ネットワー
ク式センサ64およびネットワーク式空調装置66は一般的
に使用されている装置であり,ネットワーク式誘導燈装
置61は,ネットワークインターフェイスを通じて点灯の
ON/OFF設定が可能な燈火であり,ネットワーク式
センサ64は,ネットワークインターフェイスを通じてセ
ンサ値が取得可能なセンサ,ネットワーク式空調装置66
はネットワークインターフェイスを通じてセンサ値を取
得し,これに基づいて空調制御を行う装置である。ま
た,既設であるこれら装置の情報を,ネットワークを通
じて取得することにより,例えば,火災発生位置を避け
て通るような避難誘導を行うこともできる。
【0050】以上,本発明の実施の形態4つについて具
体的に説明してきたが,本発明は上述の構成に限定され
るものではない。
【0051】続いて,本発明の具体的な応用方法につい
て例をあげて説明する。
【0052】〈第1の応用例〉この誘導システムをホテ
ルやデパート,または船舶などに適用した場合,緊急時
の避難誘導装置として効果的なだけではなく,場所や状
況に応じた楽音や環境音を流すことによって,屋内空間
のアメニティを高めることが可能である。さらに,緊急
時以外には,それぞれ異なる種類の音を用いてエレベー
タや階段,トイレなど誰もが必要とする設備への誘導を
行っていれば,視覚障害者などにも行動し易いバリアフ
リーの空間を演出でき,さらに言語による誘導と異な
り,外国人に対しても有効に機能する。
【0053】例えば,ビルのフロアにおける誘導を取り
上げて,実際の誘導方法について説明する。
【0054】図15にビル内フロア配置図101 と音像移動
による誘導システムの配置の様子を示す。図15の応用例
では音像移動による誘導システムは系統1から系統9ま
で存在し,それぞれ3つの音源装置102 から構成されて
いる。
【0055】図15のビル内フロア配置において火災が発
生した場合に,火災の発生個所を回避して避難するため
の誘導例を図16に示す。図16において矢印はそれぞれの
音像移動による誘導システムの誘導方向,すなわち音像
の移動方向である。
【0056】図16の誘導では,火災発生位置103 に隣接
する系統7は,火災発生位置103 と反対の方向,すなわ
ち音源C,B,Aの方向に音像を移動させ,その他の系
統では,至近の非常口へかつ火元から遠ざかる方向に誘
導を行う。
【0057】系統8および系統9は火災発生位置の方向
以外に非常口が存在しないため,例外的に火災発生位置
を超えたところにある非常口への誘導を行っている。
【0058】例として系統7の通路にいる人が,非常口
に到達するまでを説明すると,まず系統7の誘導によっ
て,系統6の通路に到達する。
【0059】続いて,系統6の誘導によってエレベータ
前のT字路に到達するが,系統6と系統4,系統5が非
同期に音像を移動している場合には,系統4と系統5の
どちらの誘導に従うべきか判断がつかない。
【0060】そこで,各音像移動による誘導システムを
統合して管理することによって,系統4の誘導を停止し
た状態で,系統6と系統5の誘導を順次開始して系統6
と系統5の連続性を示し,その後に系統4の誘導を行え
ば,被誘導者を系統5先の非常口に誘導することができ
る。
【0061】〈第2の応用例〉従来,視覚障害者に歩行
者信号が横断可能であることを伝達するためには,歩行
者信号が青の間,特定の楽音を送出することが行われて
いる。しかし,この従来方法では横断が可能か否かを示
すのみで方向の案内を行うことはできず,交差点など横
断方向が複数ある場合,従来の案内方法は不十分なもの
であった。そこで,本発明を交差点における歩行者の横
断方向の誘導に応用すれば,視覚障害者に適切な誘導を
提供できる他,学童などに対しても歩行者信号の状態を
より感覚的に伝達することが可能になり,その安全性を
高めることが可能である。
【0062】〈第3の応用例〉近年子供の音感教育,情
操教育が注目を集めているが,子供向けの迷路遊び等に
対して,本発明の第3の実施形態に示すような構成を応
用すると,情感豊かな心地よいウィンドチャイムの音に
耳を澄まし,体に感じる風に感覚を研ぎ澄ますことを,
遊びを通して学ぶことができるため,子供の音感教育,
情操教育に最適な遊戯施設を構築することができる。
【0063】〈第4の応用例〉一般にテーマパーク等の
遊戯施設は広大であり目的地への経路が判別し難い。そ
こで,緊急時や閉園時に,本発明を用いて入場者を出口
方向へ誘導することにより迅速な誘導が期待できる。ま
た,トイレなど誰もが必要とする設備への誘導を随時行
ったり,イベントを行う時間にその会場となる場所への
誘導を行うことで,入場者の利便性を高めた施設を構築
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】音源装置の配置例を示す。
【図2】連続音を用いて音像を移動させる方法を説明す
るための波形図である。
【図3】連続音を用いて音像を移動させこれを繰り返す
方法を説明するための波形図である。
【図4】連続音を用いて音像を移動させる方法において
周波数を上昇させる場合を説明するための波形図であ
る。
【図5】連続音を用いて音像を移動させる方法において
周波数を上昇させかつ減衰を行う場合を説明するための
波形図である。
【図6】非連続音を用いて音像を移動させる方法を説明
するための波形図である。
【図7】非連続音を用いて音像を移動させこれを繰り返
す方法を説明するための波形図である。
【図8】非連続音を用いて音像を移動させる方法におい
て周波数を上昇させる場合を説明するための波形図であ
る。
【図9】非連続音を用いて音像を移動させる方法におい
て周波数を上昇させかつ減衰を行う場合を説明するため
の波形図である。
【図10】第1の実施例における装置の構成を示すブロ
ック図である。
【図11】第2の実施例における装置の構成を示すブロ
ック図である。
【図12】第3の実施例における装置の構成図である。
【図13】第4の実施例における装置の構成図である。
【図14】第4の実施例におけるネットワーク式音源装
置の構成を示すブロック図である。
【図15】ビル内の誘導に本発明を適用した場合のビル
のフロア配置図である。
【図16】ビル内の火災発生時の誘導に本発明を適用し
た場合の説明図である。
【符号の説明】
1,51 通路 2 音源装置 4,52 誘導方向 11,21,41 制御装置 15,25,91 スピーカ 42 ウインドチャイム 50 送付機 62 ネットワーク式音源装置 81 ネットワークインターフェイス部 82 ボードコンピュータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小島 秀登 東京都千代田区一番町16番 株式会社日本 総合研究所内 Fターム(参考) 5D378 BB06 BB10 BB15 BB20 FF07 GG15 GG16 GG32 HA08 JA02 JA03 JA08 QQ22 QQ23 QQ24 QQ34 QQ38 5H180 AA22 AA23 CC11 EE08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導路に沿って間隔をあけて配置され,
    音波を発生する複数の音源装置と,これらの音源装置か
    ら発生する音波のタイミング,音量および周波数のうち
    の少なくともタイミングを制御する制御装置とから構成
    され,制御装置は,複数の音源装置から発生する音波が
    音像を形成し,この音像が誘導路に沿って移動するよう
    に音源装置の音波発生を制御するものである,音像移動
    による誘導システム。
  2. 【請求項2】 発生する音波は,非整数倍音であること
    を特徴とする請求項1記載の音像移動による誘導システ
    ム。
  3. 【請求項3】 発生する音波は,連続音であることを特
    徴とする請求項1または2に記載の音像移動による誘導
    システム。
  4. 【請求項4】 発生する音波は,非連続音であることを
    特徴とする請求項1または2に記載の音像移動による誘
    導システム。
  5. 【請求項5】 上記制御装置は,音源装置から発生する
    音波の周波数を音像の移動の方向に上昇させることを特
    徴とする,請求項1から4のいずれか一項に記載の音像
    移動による誘導システム。
  6. 【請求項6】 上記制御装置は,音源装置から発生する
    音波の音量のピークを音像の移動の方向に減衰させるこ
    とを特徴とする,請求項1から5のいずれか一項に記載
    の音像移動による誘導システム。
  7. 【請求項7】 上記制御装置は,音像の移動周期を変化
    させるように制御することを特徴とする,請求項1から
    6のいずれか一項に記載の音像移動による誘導システ
    ム。
  8. 【請求項8】 上記制御装置は,音像の形成に用いる周
    波数帯域に重ならない周波数帯域を用いて案内放送を行
    うことを特徴とする,請求項1から7のいずれか一項に
    記載の音像移動による誘導システム。
  9. 【請求項9】 上記制御装置が上記音源装置ごとに設け
    られ,上記制御装置は,ネットワークインターフェイス
    を備え,ネットワークに接続されている,請求項1から
    8のいずれか一項に記載の音像移動による誘導システ
    ム。
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