JP2000285179A - 表計算システムを用いた会計処理支援方法 - Google Patents

表計算システムを用いた会計処理支援方法

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JP2000285179A
JP2000285179A JP11090306A JP9030699A JP2000285179A JP 2000285179 A JP2000285179 A JP 2000285179A JP 11090306 A JP11090306 A JP 11090306A JP 9030699 A JP9030699 A JP 9030699A JP 2000285179 A JP2000285179 A JP 2000285179A
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勝朗 平野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】企業会計のデータや情報がシステムでどのよう
に関係づけられるかを明らかにするためにパーソナル・
コンピュータ等をより効果的に利用する。 【解決手段】表計算システムを用いた会計処理の支援方
法は、スプレッドシート上で複式簿記の原理に基づく会
計上の少なくとも仕訳、試算表、及び勘定科目の各シー
トを作成し、そのうちの勘定科目シート中に勘定科目を
追加入力可能な勘定科目一覧表を作成する前処理と、仕
訳シート中の入力欄に所定の取引データを借方および貸
方のそれぞれの勘定科目およびその金額に分けて仕訳入
力し、前記借方および貸方の少なくとも一方の勘定科目
をその仕訳金額とは分離して勘定科目一覧表中から検索
し、これにより検索された勘定科目を試算表シート中の
勘定科目欄に表示し、この勘定科目欄に表示された勘定
科目についてその仕訳金額を仕訳シート中から検索し、
これにより検索された仕訳金額を用いてその勘定科目ご
とに試算表シート中の試算表合計金額欄に借方および貸
方のそれぞれの合計を計算して表示する会計処理とを備
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、表計算システム
を用いた会計処理支援方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パーソナル・コンピュータを用いた会計
処理や財務分析には、ExcelやLotus1−2−
3といった表計算ソフトウェアが、広く、便利に利用さ
れるようになっている。このほか、パーソナル・コンピ
ュータのための会計システム専用のソフトウェアも数多
く市販され、企業の会計実践の場でも比較的容易にコン
ピュータ・システムが導入できるようになった。
【0003】こうした市販の会計ソフトウェアを使え
ば、大規模なシステムでないかぎり、大型のハードウェ
アによるまでもなく、パーソナル・コンピュータのシス
テムで、迅速で合理的な会計処理が十分に可能となって
いる。近年のパーソナル・コンピュータの急速な普及も
あって、企業の会計実務へのコンピュータの導入となら
んで、教育の分野でも、企業会計を学ぶため、あるいは
企業会計ついての理解を深めるために、コンピュータを
利用する必要性がますます高まっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】会計の技術を習得する
ためには、既製の会計用ソフトウェアを導入しただけ
で、そのまま成果があがるとはかぎらない。コンピュー
タ・システムの利用法やシステム化にあたっては、実務
を目的としてつくられたソフトウェアとは視点をかえた
検討をする必要があると考えられる。
【0005】この発明は、会計上のワークシートとして
の試算表を表計算ソフトウェア上で作成することによっ
て、企業会計のデータや情報がシステムでどのように関
係づけられるかを明らかにするためにパーソナル・コン
ピュータ等のコンピュータ・システムをより効果的に利
用することを、目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者は以下のような検討を行った。
【0007】[システム作成の目的]1995年の調査
によれば、わが国の大学では、すでに商学部の57%、
経営学部の48%で会計教育の手段としてコンピュータ
が利用されており、商学部の42%、経営学部の34%
では、情報処理教育の一環としてよりも(商21%、経
営17%)、むしろ会計教育の一環としてコンピュータ
の使用が多いことが報告されている。
【0008】さらに、会計教育のために使われているソ
フトウェアとして、Lotus 1−2−3やMicr
osoft Excelといった表計算ソフトウェアを
はじめ、市販の会計用ソフトウェア、Visual B
asic(米国マイクロソフト社の登録商標)、COB
OL、C言語といったプログラミング言語、SPSSを
はじめとする統計解析用のソフトウェア、さらに会計用
のCAI(computer−assisted in
struction)システムなどがあげられている。
【0009】これとは別に、商学部の22%、経営学部
の17%では、コンピュータ室あるいはパソコン教室に
かぎらず、会計教育のために、会計・経理OA実習室、
簿記教室などの名称で、特別な施設・設備を正課授業で
使用していることが報告されている。これらの数値から
は、情報処理技術が進展するにつれて、会計教育のなか
でのコンピュータの利用の度合いがさらに高まっていく
ことが想像できる。表計算以外のソフトウェアには、シ
ステムの規模や性能、コストの負担からみて、特別な施
設・設備を必要とすると考えられるので、こうした環境
でコンピュータを利用した会計教育をおこなっているの
はごく限られたケースと思われる。
【0010】これとは反対に、コンピュータ施設を利用
する場合も含めて、会計教育にコンピュータが利用され
るときには、パーソナル・コンピュータと表計算ソフト
ウェアを組み合わせて利用することが多く、今後ともこ
の傾向はつづくものと予想することができる。
【0011】一方、ここ数年のあいだにインターネット
を中心としたネットワークへの関心が高まり、パーソナ
ル・コンピュータの急速な普及に拍車がかかった。Mi
crosoft WindowsやMacintosh
などによって、操作が格段にやさしくなったほか、処理
能力の向上、価格の引き下げ、アプリケーション・ソフ
トウェアの充実などが、急速な普及の背景となってい
る。
【0012】Microsoft Windowsのよ
うなOSと、ワード・プロセッサや、Lotus 1−
2−3やMicrosoft Excelのような表計
算ソフトウェアなどのアプリケーション・ソフトウェア
は、可否はともかく、パーソナル・コンピュータの購入
時からインストールされていることが多い。その結果、
パーソナル・コンピュータを使いこなす知識としてのコ
ンピュータ・リテラシーは、アプリケーション・ソフト
ウェアを使いこなすというかたちで、以前にくらべて格
段に向上した。
【0013】アプリケーションのなかでも表計算ソフト
ウェアは、会計上の計算処理に適合しているといわれて
おり、これとパーソナル・コンピュータの組み合わせて
活用をはかっていけば、普及の度合いからみて、CAI
のような特別な設備でラボ方式による授業方法をとるま
でもなく、会計教育にコンピュータの幅広い導入をはか
ることできると考えられる。
【0014】あえて、表計算ソフトウェアの利用を考え
る理由は、その互換性と汎用性にある。アプリケーショ
ンの互換性が守られているかぎり、ネットワークからフ
ロッピー(登録商標)・ディスクにいたるさまざまなメ
ディアを通じてシステムの共有化ができ、職場、学校、
家庭のどこでもシステムが利用できる。会計教育の裾野
の部分での表計算ソフトウェアの利用にたいして、会計
領域でも処理の難しい統計的処理や数学的な解決方法の
適用(CCT、 computer as a com
putation tool)をおこなうためにこそ、
高度化されたシステムをもつ充実した設備の利用が必要
であろう。
【0015】最近の文献(伊藤博稿 「コンピュータに
支援された会計学教育─表計算ソフトによる原価計算の
事例─」関東学院大学経済学会『経済系』第189集
1996年 p.105−106参照)によれば、表計
算ソフトウェアを導入して、コンピュータに支援された
会計教育をみずからおこなった実例について、その必要
性と成果が紹介されている。そのうち、企業会計のうち
管理会計とくに原価計算が中心とした教育にコンピュー
タを導入するにいたったいくつかの理由は、つぎのよう
に要約できよう。
【0016】(1)原価計算は管理会計の基礎として不
可欠な問題領域を構成しており、原価計算の手続を明ら
かにするために、コンピュータに支援された授業展開を
試みることが適切である。 (2)原価計算表が、原価計算の手続上の技術的特徴を
集約的に表現しており、原価計算表を理解することで、
原価計算の基礎的理解の相当部分が入手できる。さらに
原価計算表が、表計算ソフトウェアと非常に相性がよ
い。 (3)近年、表計算ソフトウェアが進化し、使いやす
く、豊富な機能をそなえるようになった。
【0017】コンピュータの導入によって、原価計算の
クラスが講義形式による一方通行的な授業方法から脱却
できたほかに、この文献ではいくつかの好ましい成果が
得られたことが指摘されている。なかでも、最も示唆に
富んでいるのは、このような授業方法では、学生が、表
計算ソフトに関する理解にもまして、原価計算固有の概
念および手続について妥協の許されない徹底的な理解が
要求されることになったという指摘である。
【0018】一般に、表計算ソフトウェアでは、特定の
モデルを表計算上に構築したうえで、データを入力する
と、計算処理はシステムがおこなったうえで、計算結果
を容易に得ることができる。専用のソフトウェアではな
く、表計算ソフトウェアを使うときの利点は、さまざま
なモデルに適用できる幅広い利用可能性をもった表計算
ソフトウェアに習熟できるとともに、表計算を適用した
モデルへのデータのインプットと、そのモデルからのア
ウトプットの関係を的確に理解できるようになることに
ある。
【0019】管理会計・原価計算への適用とおなじよう
に、さらに対象を企業会計全般に広げて、技術的な特徴
を集約的に表現している手続を、表計算ソフトウェアに
とり入れる方法についての試みが検討されてもよいであ
ろう。
【0020】[作成するシステムの特徴]以下で試みる
システムでは、つぎのようなことを基本的な目的とし
た。
【0021】まず、表計算ソフトウェアを利用すること
によって、企業会計固有の概念や手続、あるいは企業会
計の計算構造を理解するのに役立つこと。
【0022】つぎには、表計算ソフトウェアの汎用性か
らみてさまざまな用途が考えられるが、適用方法のひと
つとして会計処理への利用が考えられること。
【0023】会計処理への適用をとおして、表計算ソフ
トウェアのアルゴリズムについての理解が進められるこ
と。その結果として、コンピュータ・リテラシーの向上
を図ることができること。
【0024】そして最終的には、表計算ソフトウェアを
会計処理に適用したシステムを利用することが、企業会
計についての技術の習得にあたって、端的にいえば、便
利であること。いいかえれば、企業会計に関する知識や
技術の習得にあたって、手計算を繰り返しおこなってき
た作業からいくらかでも解放されて、企業会計の本質を
理解することに努力を振り向けることができるようにな
ることをが重要と考えられる。これらを達成するために
は、表計算ソフトウェア上での作成方法だけに重点を置
くだけでなく、システムが会計処理に便利に利用できる
という側面も兼ね備えていなければならないと考えられ
る。
【0025】以上は、会計実践の分野でのコンピュータ
・システムに対する要請とは異なっている。教育の分野
でとくに重要なことは、企業会計に関しても、コンピュ
ータ・システムに関しても、利用者の理解の度合いが、
次第に進んでいくことである。そこで、システムに要求
される条件のひとつとして、企業会計やコンピュータ・
システムについて、理解が導入期の段階であっても理解
しやすいうえに利用しやすく、理解が進んでも不便なく
利用できるような拡張性のあることが望ましいと考えら
れる。このような拡張性は、会計実務を目的としたシス
テムでは要求されないはずである。
【0026】そこで、利用者と企業会計およびコンピュ
ータ・システムとの関係で、つぎのようなことに留意し
た。まず、企業会計上、つぎのような前提を設けてお
く。
【0027】(1)企業会計に関する、最も基本的な知
識と技術を理解していれば、このシステムを利用するこ
とができるようにする。システムへのデータの入力は、
基本的に仕訳のみとし、その書式は企業会計や簿記のテ
キストに紹介されている一般的な方法によるものとし、
できるかぎり、コンピュータ・システム固有の書式や記
入上の約束は設けない。 (2)会計上のワークシートとしての試算表は、データ
の出力のみに利用し、データ入力は直接おこなわない。
これらのワークシートの形式でも、企業会計・簿記のテ
キストで利用されている、一般的な形式を採用する。 (3)システムは、利用目的に応じて拡張性、発展性を
もたせるようにする。利用者の工夫しだいで、この拡張
性は、ワークシートのサイズや勘定科目数の増加で対応
できるようにする。また、互換性のあるソフトウェアの
あいだでは共通にしようできるのが望ましいが、少なく
とも、ソフトウェアのバージョンの違いには対応できる
ようにしたい。
【0028】さらに、コンピュータ・システムについ
て、以下の前提を設けておく。
【0029】(1)パーソナル・コンピュータを利用す
ることを前提とし、ハードウェアやコンピュータ・シス
テムに関する知識については、とくに高度で専門的なも
のは必要としない。 (2)ソフトウェアについては、オペレーティング・シ
ステム(OS)と表計算ソフトを利用する。実際に利用
するOSはMicrosoft Windows 95
とし、表計算ソフトウェアにはMicrosoft E
xcelを利用する。 (3)会計処理は、表計算ソフトウェアのもっているメ
ニュー、関数といった計算機能をできるかぎり利用しな
がらシステム化を図ることとし、マクロ・プログラムに
よって計算処理の自動化をおこなう。近年の表計算ソフ
トウェアでは、マクロの機能が充実し、Excelで
も、マクロ記録機能を利用すれば、マクロを容易に利用
できるようになっている。
【0030】以上はどれも、企業会計やコンピュータ・
システムの知識の習得にあたって、初歩的な段階から、
システムを作成することにとどまらず、システムの利用
面の重視を意図したものである。
【0031】しかしながら、これまでに紹介されている
ものの多くは、表計算ソフトウェア上に、会計上のワー
クシートを作成することを主眼としたものが多く、その
システムを別の計算に応用しようとしても、利用範囲が
限定され、拡張性に欠けることが多い。
【0032】そこで、システムの拡張性をさまたげ、利
用面で不便と思われることのうち、つぎの2点の解消を
検討した。
【0033】まず、取引の多様化にたいする方策であ
る。会計や簿記の学習の内容が先に進んでより高度にな
ると、それにつれて取引の処理件数がしだいに増加する
というわけでなく、取引の内容が多様化し、複雑化す
る。またそれに加えて、処理法も多岐にわたるようにな
るので、会計や簿記に関する理解の度合いが深まるにつ
れて、必要となる勘定科目数または勘定科目の種類は増
えつづける。
【0034】卑近な例をあげれば、商品の仕入と販売の
処理について、3分法と損益分記法では、異なる勘定科
目が使われる。簿記の初歩では分記法で処理していて
も、先に進めばすぐに3分法の処理が必要になる。3分
法を習得したあと、分記法のための勘定科目は不要にな
るわけではなく、どちらの処理法にも対応しなければな
らない。どちらにも対応しようとすると、ワークシート
には仕入、売上、繰越商品、商品売買益、商品のすべて
がならんでしまう。
【0035】3分法の処理を前提にすれば、商品売買益
と商品については集計の必要がなくなり、ワークシート
の金額欄が空欄となる。多くの勘定科目に対応しようと
すればするほど、ワークシートには空欄が目立つように
なり、非常に使いにくいものができあがる。
【0036】このようなとき、一般的な対処法として
は、ワークシートをいくつか作り、適用する処理法に応
じていくつかのワークシートを使い分ける方法がとられ
る。しかし、このようにしてワークシートを使い分ける
のは、けして便利な方法ではない。実務であれば、3分
法、損益分記法のどちらで処理するかをあらかじめ決め
ておけばよいわけで、個々の企業の取引内容に応じて必
要な勘定科目の範囲は限定されるため、このような不便
は生じにくい。
【0037】ここでは、単一のシステムで、勘定科目数
の増加に対応できるようにするため、あとで指摘するよ
うに、勘定科目の一覧表を独立したワークシートとして
作成し、勘定科目数の科目数が増加しても必要な科目だ
けが表示できるような対応策を検討する。
【0038】またもうひとつは、データ入力・出力の簡
略化である。ここでは、企業会計において最小限必要な
形式で簡略化することをはかり、テキストにみられる一
般的な形式を原則として用いることにする。表計算ソフ
トウェアの適用例や、既製の会計用ソフトウェアでは、
企業会計上の約束と異なっていても、システム固有の様
式や書式にもとづいて、データの入力・出力をおこなわ
なければならないことがある。この場合には、会計上の
約束をコンピュータの操作のために翻訳してからデータ
を入力しなければならない。
【0039】様式、書式といった形式のもつ意味は、仕
訳も勘定記入も仕訳帳や元帳という帳簿という会計固有
の形式を採用している点では、会計上もおなじように重
要である。しかし、勘定科目名、借方要素・貸方要素、
金額が示してあれば、仕訳には、仕訳帳という帳簿の形
式が必ず必要というわけではないし、元帳の形式にした
がわなくても、勘定口座には略式のT字勘定を使うこと
もできる。
【0040】また、たとえば表計算上は、ワークシート
上のリストの最も左側に勘定科目欄を用意することが多
いが、これは、表計算ソフトウェアでデータを処理する
ための制約で、必ずしも会計上の慣習と一致するとはか
ぎらない。このような場合には、企業会計で慣習となっ
ている形式・様式を優先させることにし、さらに簡略化
をはかるため帳簿形式は厳密なかたちで採用しないこと
とする。
【0041】とくに仕訳には、仕訳をするためのスペー
スとして仕訳欄を用意し、企業会計のテキストで使われ
ているような取引の3要素が表されているだけの簡略な
形式を使ってキー入力するだけで、あとの計算処理がで
きるようにする。
【0042】この発明は、以上の検討を踏まえて完成さ
れたものである。
【0043】すなわち、請求項1記載の発明に係る表計
算システムを用いた会計処理支援方法は、コンピュータ
上で動作する表計算システムを用いた会計処理の支援方
法であって、前記表計算システムで定義されるスプレッ
ドシート上で複式簿記の原理に基づく会計上の少なくと
も仕訳、試算表、及び勘定科目の各シートを作成し、そ
のうちの勘定科目シート中に勘定科目を追加入力可能な
勘定科目一覧表を作成する前処理と、前記仕訳シート中
の入力欄に所定の取引データを借方および貸方のそれぞ
れの勘定科目およびその金額に分けて仕訳入力し、前記
借方および貸方の少なくとも一方の勘定科目をその仕訳
金額とは分離して前記勘定科目一覧表中から検索し、こ
れにより検索された勘定科目を前記試算表シート中の勘
定科目欄に表示し、この勘定科目欄に表示された勘定科
目についてその仕訳金額を前記仕訳シート中から検索
し、これにより検索された仕訳金額を用いてその勘定科
目ごとに前記試算表シート中の試算表合計金額欄に借方
および貸方のそれぞれの合計を計算して表示する会計処
理と、を備えたことを特徴とする。
【0044】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
発明において、前記試算表合計金額欄に表示された借方
および貸方のそれぞれの合計が賃借一致しない場合、そ
の不一致の原因がシステム上に起因するものか、それと
も複式簿記上の誤りに起因するものか、あるいはそれ以
外に起因するものか、のいずれかを特定し、その原因に
応じて訂正する訂正処理を、さらに備えたことを特徴と
する。
【0045】請求項3記載の発明に係る記録媒体は、コ
ンピュータ上で動作する表計算システムを用いた会計処
理を支援するプログラムを読み取り可能に記録するもの
であって、前記表計算システムで定義されるスプレッド
シート上で複式簿記の原理に基づく会計上の少なくとも
仕訳、試算表、及び勘定科目の各シートを作成し、その
うちの勘定科目シート中に勘定科目を追加入力可能な勘
定科目一覧表を作成する前処理手段と、前記仕訳シート
中の入力欄に所定の取引データを借方および貸方のそれ
ぞれの勘定科目およびその金額に分けて仕訳入力し、前
記借方および貸方の少なくとも一方の勘定科目をその仕
訳金額とは分離して前記勘定科目一覧表中から検索し、
これにより検索された勘定科目を前記試算表シート中の
勘定科目欄に表示し、この勘定科目欄に表示された勘定
科目についてその仕訳金額を前記仕訳シート中から検索
し、これにより検索された仕訳金額を用いてその勘定科
目ごとに前記試算表シート中の試算表合計金額欄に借方
および貸方のそれぞれの合計を計算して表示する会計処
理手段と、を実行するプログラムを記録したことを特徴
とする。
【0046】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明において、前記試算表合計金額欄に表示された借方お
よび貸方のそれぞれの合計が賃借一致しない場合、その
不一致の原因がシステム上に起因するものか、それとも
複式簿記上の誤りに起因するものか、あるいはそれ以外
に起因するものか、のいずれかを特定し、その原因に応
じて訂正する訂正処理手段を、さらに実行するプログラ
ムを記録したことを特徴とする。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る表計算シス
テムを用いた会計処理支援方法の実施の形態を図1〜図
8に基づいて説明する。
【0048】[ワークシートの準備]以下では、表計算
ソフトウェアとしてMicrosoft Excelを
利用し、ワークシートに仕訳として入力したデータを合
計残高試算表に集計するシステムを作成する。このシス
テムを実際に作成するにあたっては、Excel 7.
0 (Excel 95)を利用したが、Excel
5.0または、Excel 8.0 (Excel 9
7)でも問題なく動作する。
【0049】システム化のまえに、まず複式簿記のメカ
ニズムをみておこう。複式簿記の基本的なモデルでは、
手続はつぎのプロセスで構成されている。
【0050】 (仕訳)→(勘定口座への転記)→(決算) 仕訳は、会計システムでは認識された取引をデータ化す
るプロセスを意味している。これに対して、測定された
データは勘定口座への転記を経て、決算によって財務諸
表に表示される。決算では、決算予備手続のなかで試算
表や精算表といった会計上のワークシートが作成され
る。
【0051】そこで、これをExcelにおきかえて、
仕訳をデータ入力のために使い、決算手続のなかからデ
ータ出力ための様式として試算表を使うと、会計データ
の入力、計算処理、出力の関係は、Excelでの計算
処理を媒介して、つぎのようにあらわすことができる。
【0052】 (仕訳)→(Excelによる計算処理)→(試算表) 以上のように、Excelのワークシート上でシステム
化をするにあたっては、本来の会計処理とのあいだで重
要な変更をおこなった。まず、ひとつは勘定記録の問題
である。会計実務用のコンピュータ・システムで最も重
要な役割を果たしているのは勘定口座のデータで、これ
はマスター・ファイルに記憶されるが、ここでは、勘定
口座への転記は、Excelによる計算処理に置き換え
てられてしまっている。たしかに、会計上の記録の機能
からみれば、勘定口座の作成を省略することは望ましい
ことではないが、システムの単純化をはかるため、仕訳
からの転記、勘定口座のデータの集計の過程は、Exc
elに直接委ねることとして、ワークシート上に勘定口
座を作成しないこととした。
【0053】いまひとつ重要なこととして、すべてのデ
ータ入力は仕訳にかぎるとし、試算表は、データ入力を
直接せずに、計算処理の結果としてのデータの出力だけ
に用いることとしたことである。これは、繰越記入のよ
うな勘定口座への直接記入などを簡便法をのぞいて、会
計上のすべての取引は仕訳をとおすという原則にもとづ
いている。
【0054】つぎに、上記の処理に必要な書式を、Ex
cel上にワークシートとして準備する。Excelで
は、ファイルは"ブック"の形式をとっており、ひとつの
ファイルは複数のシートから構成されている。この形式
を利用して、上記のプロセスをつぎのように個々のシー
トに割りあてて、シート「仕訳」、シート「試算表」および
シート「勘定科目」の3つを用意する。
【0055】(1)シート仕訳 このシートには、仕訳欄として、ワークシートの"列"
に、取引の日付(または取引番号)、借方科目、借方金
額および貸方科目、貸方金額を入力するための5つの欄
を用意する。仕訳欄への入力は、文字またはデータの形
式を原則とし、数式や関数での入力はおこなわない。仕
訳欄はワークシートの行方向へいつでも拡張することが
できるので、とりあえず必要な行数だけ用意すればよい
(ここでは70行)。仕訳欄に仕訳をおこなうには、指
定の列にあわせて、日付、勘定科目、金額をひとつひと
つのセルに入力する。個々の仕訳については、借方・貸
方の勘定科目数が異なるときや、つぎの仕訳とのあいだ
に空のセルがあってもあとの処理に支障のないようにし
ておきたい。また、仕訳欄のデータを直接操作しないよ
うにして、行数の増減をはじめ、仕訳欄への記入が比較
的自由にできるようにしておく。
【0056】シート仕訳は、図1のような形式とした。
仕訳欄の最下行の仕訳金額合計欄には関数SUMの入力
をしておく。
【0057】(2)シート試算表 シート試算表には合計残高試算表の様式を利用した。仕
訳で入力されたデータの集計結果が出力表示されるよう
に、試算表の各セルへの入力には数式および関数の形式
でおこない、データや文字で直接入力することはしな
い。
【0058】シート試算表は、図2のような形式とし
た。あらかじめ、試算表の最下行には、仕訳欄にならっ
て、合計金額を求めるために関数SUMを入力をしてお
く。
【0059】以上のExcel上のふたつのワークシー
トに作成された仕訳も試算表も、データの入力と出力の
要領は、通常の"手書き"の計算の場合とかわりなく、こ
の形式のまま印刷することができる。
【0060】(3)シート勘定科目 さらに仕訳、試算表とは別に、シート勘定科目を追加し
て、システムで使用する勘定科目の一覧表を作成する。
データ・ベースとしてこの一覧表を利用し、検索や並べ
替えの操作をして、試算表には集計の必要な科目だけを
表示するようにすると、試算表の途中には不要な空欄が
生じない。
【0061】つぎに、それぞれの勘定科目には、1、0
00の位に資産、負債、資本、収益、費用の区分を示す
1〜5の数値を割りあてる。以下100の位に、資産、
負債については流動性配列、費用、収益については営業
損益、営業外損益、特別損益の区分にもとづいて、それ
ぞれの区分を示す1〜3の数値を、下2桁に勘定科目固
有のコードを割りあてて、4桁のコード番号とする。こ
のコード番号にはJISの分類は用いず、このシステム
独自のものとした。独自のコードとしたのは、勘定科目
を追加するときの便利のためで、JISコードでもかま
わない。
【0062】シート勘定科目は、図3のような形式とし
た。このシートは、このシステムで最も重要なはたらき
をしているので、詳しくはつぎでとりあげる。
【0063】[ワークシートへの入力]ワーク・シート
のはたらきは、基本的に勘定科目一覧表での勘定科目の
並べ替えと、試算表での仕訳金額の集計のふたつから構
成されている。まず、シート勘定科目からみていくこと
にする。
【0064】(1)シート勘定科目の数式入力 シート勘定科目の役割は、試算表に表示する勘定科目
を、シート仕訳から検索し、仕訳に使われた勘定科目だ
けを、コード番号順に上から並べ替えることである。
【0065】シート仕訳につくった仕訳欄を、Exce
l上のリストとみてデータ・ベースとして利用すれば、
仕訳のデータについて検索や抽出の操作によって、勘定
科目ごとに試算表に集計することができるので、必ずし
も勘定科目一覧表を別のシートとして用意する必要はな
い。しかし、Excel上のデータ・ベースには制約が
ある。たとえば、リストは左端の見出しを先頭にして行
単位でつくられ、空の行や列をリストの途中に入れるこ
とはできない。
【0066】また、空のセルも処理が難しい。これに対
して、仕訳では、勘定科目は借方と貸方で同数とはかぎ
らないうえに、貸借同じ行の相手科目どうしで仕訳金額
も等しいとはかぎらない。また、勘定科目と金額をセル
のひとつひとつに対応させて入力していくと、相手側の
仕訳欄には空のセルができることもある。
【0067】仕訳データのうち、同じ行のレコードとし
て結び付けて扱うことができるのは、ひとつひとつの勘
定科目名とその仕訳金額までで、相手科目とはたとえお
なじ行の上であっても対応していない。むしろ重要なこ
とは、仕訳の途中に空欄があっても、仕訳に必要な行数
が何行にわたろうとも、仕訳が取引ごとにデータとして
関係づけられ、他の取引のデータと区別できることであ
る。
【0068】したがって、ひとつの取引の仕訳が複数の
行にわたるとき、仕訳欄をExcelのような表計算で
データ・ベースとして利用することには限界があり、勘
定科目と金額とを結びつけたままデータの操作をしよう
とすることには、無理があるように思われる。
【0069】そこで、仕訳欄の勘定科目だけを分離して
利用して、別のシートに用意した勘定科目の一覧表を一
種のデータ・ベースとして操作して、勘定科目名の並べ
替えによって、試算表に表示する勘定科目を選び出すと
いう方法を採用することにした。この方法であれば、上
述のような制約を受けることはなく、さらに仕訳が追加
されても、新しく仕訳をしなおしても、勘定科目一覧表
で並べ替えの操作をするたびに、試算表は自動的に修正
され、必要な科目と金額についてのみ集計がおこなわれ
るようになる。
【0070】以下では、このような処理に必要な入力を
具体的にみることにしたい。
【0071】シート勘定科目で一覧表のなかから、仕訳
に使われている勘定科目を検索するためには、VLOO
KUP関数を利用して、適当な列(ここではI列とJ
列)に、つぎのような数式を入力する(図4参照)。
【0072】I列には、シート仕訳の借方仕訳を検索す
るために、検索範囲を"仕訳"!$B$11:$C$70
として、数式のような入力をおこなう。
【0073】
【数1】
【0074】J列には、貸方仕訳を検索するため、式
の検索範囲を"仕訳"!$E$11:$F$70と修正の
うえ入力する。
【0075】この入力によって、図4のように、B列の
勘定科目名"現金"の行のI列、J列のどちらか一方また
は両方に"1"が返されて表示されているときには、仕訳
欄で"現金"の仕訳が見つかったことを示している。ま
た"#N/A"が表示されたときには、"現金"が仕訳欄で
は発見されなかったことを示している。ただし、関数V
LOOKUPは検索対象が見つからないときには、"#
N/A"優先して返すので、例示では、数式で設定し
たとおりの" "(空欄)を返してはいない。そのうえ、
I列、J列の列幅を狭めたために、#N/Aの先頭の"
#"のみが表示されている。しかし、このどちらもこの
つぎの処理には支障がないので、そのまま使うことにし
た。
【0076】つぎにD列には、上記のI列、J列を利用
して、つぎの数式を入力する。
【0077】
【数2】
【0078】D列には、式によって、借方・貸方の少
なくともどちらか一方で仕訳に使われた勘定科目だけ
に、A列のコード番号が示される。
【0079】ここまできたら、勘定科目一覧表を、D列
をキーとして昇順(空欄を後位におく)で並べ替えれ
ば、仕訳された勘定科目だけが、上からコード番号にし
たがって並べ替えられて表示される。その下に不要な科
目がその後におかれる。コード番号の与え方は、この操
作で重要な意味をもっていて、試算表の勘定科目の配列
は番号の大小によって決まることになる。
【0080】したがって、コード番号の設定には、流動
性配列や、営業損益、営業外損益、特別損益などの会計
上の慣習や会計制度を反映した順位を守っておく必要が
ある。ただ、コードの数値自体をあまり厳密に考える必
要はなく、配列を決めるために、企業会計上の慣習や基
準にしたがって、流動性配列のように大小関係について
の法則性があれば、独自のコードでかまわない(図4参
照)。
【0081】(2)シート試算表の入力 このシートでは、まず、試算表の勘定科目欄に、仕訳に
使われた勘定科目だけを表示するために、D列につぎの
数式を入力する(図5参照)。
【0082】
【数3】
【0083】たとえば仕訳欄に"現金"の仕訳があったと
き、シート勘定科目の一覧表D列には、式によってコ
ード番号が表示されている。つぎにこのD列のコードが
式によってデータとしてカウントされたとき、勘定科
目一覧表B列の科目名"現金"は、集計の必要な勘定科目
として、シート試算表の合計残高試算表D列の勘定科目
欄に表示される。
【0084】以上のからまでの数式をそれぞれ入力
していけば、仕訳に使われた勘定科目だけが、試算表に
表示されることになるはずである。ただし、ここでの数
式入力はすべて、合計残高試算表の形式を整えるための
入力にすぎない。つぎには、仕訳データを金額として合
計残高試算表に集計するための入力をおこなわなければ
ならない。
【0085】合計残高試算表の金額欄、たとえばセルC
11には、つぎの数式のように入力する。
【0086】
【数4】
【0087】数式の関数SUMIFのはたらきは、合
計残高試算表の勘定科目欄(たとえばセルD11)が、
式にしたがって勘定科目一覧表のセルB11が"現金"
となっているとき、この"現金"を仕訳欄で検索し、"現
金"といして仕訳された借方金額を合計したうえで、試
算表の金額欄セルC11に返すことにある。この関数S
UMIFの機能は、会計処理でいえば、仕訳から勘定口
座への転記と同時に、勘定口座の合計額を合計試算表へ
集計するプロセスに相当する。このSUMIFによっ
て、ワークシート上、勘定口座は省略できることにな
る。
【0088】これとおなじ方法を貸方仕訳にあてはめ
て、合計残高試算表E列貸方合計欄(たとえばセルE1
1)には、式の検索範囲をつぎの数式ように修正の
うえ入力する。
【0089】
【数5】
【0090】さらに、試算表の残高欄の、たとえばセル
B11には、数式を入力する。この式は、会計処理
上、勘定口座の借方合計額と貸方合計額を比較したうえ
で、その差額を計算して残高とすることと等しい。数式
に関数IFの条件をつけたのは、「残高」が、合計額を
貸借で比較して、借方が大きければ「借方残高」、その逆
ならば「貸方残高」とすると定義されているからである。
もしIFの条件をつけなかったときには、C列とE列の
大小によって、本来の残高とは反対側にマイナスの金額
が表示されてしまう。IFでくくることによって、C1
1−E11がゼロ以下になれば、残高欄の金額のマイナ
ス表示はなくなる。数式とあわせて、F列(F11)
への入力を数式とすれば、つぎのような入力になる。
【0091】
【数6】
【0092】計算処理に必要な数式入力は以上のとおり
となり、図5のようになる。
【0093】このあと、仕訳欄に仕訳をおこなったの
ち、Excelのメニューからデータ、並べ替えを選ん
で、勘定科目一覧をD列のコード番号をキーとして、昇
順に並べ替えをおこなえば、自動的に合計残高試算表が
作成される。
【0094】ここまでの入力によって、このシステムの
基本的な処理は完了しているので、いつでも実行ができ
る。実際に、シート仕訳の仕訳欄に仕訳をおこない、シ
ート勘定科目の一覧表の並べ替えをマニュアル操作でお
こなえば、会計データの入出力を繰り返しおこなうこと
ができる。
【0095】[マクロ・プログラムによる自動処理]こ
のシステムのもうひとつの機能として、マクロを利用し
た自動集計のプログラムを追加していくことにした。会
計処理のうち、定型的な処理手続の繰り返しという側面
をもっているものには、できるかぎり自動的な処理方法
をとる方がすぐれていることは明らかである。そこで、
つぎの処理を、マクロ記録で作成された記述に若干の修
正・編集を加えて、マクロ・プログラムを作成した。
【0096】(1)勘定科目一覧表の並べ替え。 (2)数式入力によって計算結果を得た直後の値として
の貼り付け、セル入力を数式入力から文字またはデータ
入力への変換。
【0097】このふたつを主要なマクロとし、作業の簡
便化や、入力の訂正のために、つぎのような処理のマク
ロ化を追加することにした。
【0098】(3)仕訳欄の日付、仕訳のクリア (4)仕訳の誤りの発見 まずはじめに、このシステムの中心的な処理として、合
計残高試算表合計欄の数式入力の関数SUMIFと、上
記(1)の勘定科目一覧表の仕訳科目の並べ替えに、マ
クロを利用したいところである。取引のデータが仕訳と
して新しく入力され、集計結果を試算表に表示しなおす
には、そのたびに勘定科目の並べ替えの処理を繰り返し
おこなう必要がある。計算処理のつどExcelのマニ
ュアル操作をおこなっていくと、操作が煩雑になるとい
う不便が生じる。さらに、煩雑なマニュアル操作を繰り
返すうちに、Excelの操作にミスを犯して正確な計
算ができなくなることもある。そして、最大の不便は計
算・処理の迅速性に欠けることである。並べ替えの操作
に付随するこうした不便を避けるため、(1)、(2)
の操作を自動化することにする。
【0099】このほかに、マクロ・プログラムによる自
動処理を考慮した理由は、もうひとつある。前述の、
からの数式をセルに入力をしたあと、実際に仕訳欄に
仕訳を入力してみると、並べ替えの操作をするまえに、
Excelとコンピュータ本体の演算速度という思わぬ
障害にいきあたった。
【0100】Excelには、V5.0以降、最新のV
8.0まで互換性があるというので、実際にこのシステ
ムをそれぞれのバージョンで使ってみた。その結果、計
算速度はバージョンによってかなり異なった。また、ハ
ードウェアの処理能力もCPUの処理速度やメモリのサ
イズの影響を受ける。Excelのバージョン・アップ
にあわせて、ハードウェアも更新できるケースに恵まれ
ればともかく、Excel 5.0を利用したときや、
現時点で最新のExcel 8.0のハードウェア環境
で利用するときなどには、処理速度につぎのような問題
が起きかねない。
【0101】速度の問題は、はじめ、Excel 5.
0をWindows 95初期にあたるハード・ウェア
・モデルで使用したときにおこった。仕訳欄のセルのひ
とつに仕訳データを入力したあと、それを確定しようと
すると、そのつど自動再計算がはじまり、再計算が終わ
るまで、つぎの入力をしばらく待たねばならないという
事態が生じた。試算表の勘定科目欄・金額欄(B列〜F
列)や勘定科目一覧表のD列、I、J列に数式入力をし
たまま、ワークシートの行数を多くしていくと、この現
象はますます顕著となった。
【0102】シート試算表もシート勘定科目も、勘定科
目数すなわちワークシートの行数が増加すれば、当然、
数式入力のセルも増加する。数式での入力が増えるにつ
れて、処理の時間を要するようになる。そのうえ、Ex
celでは、初期値として自動再計算モードが設定され
ているので、数式入力のセルの増加にこの自動再計算モ
ードが重なったときには、もはや重大な欠陥といえるく
らい速度が遅くなる。自動再計算モードだけなら、手動
再計算モードに切り替えて対処する方法もある。しかし
この方法の難点は、初期値を変更してしまうために、フ
ァイルの保存時に(同時に開いているファイルがあれば
そのすべてについて)、モードを自動再計算に戻したか
どうか、いつも確認していなければならないことであ
る。この確認を怠ったまま、次回にファイルを開いて利
用したとき、手動再計算モードのまま保存されていたこ
とに気づかずにいると、Excelが正しく動作しない
と思い違えるおそれがある。
【0103】そこで、一定の処理速度を維持するため
に、ワークシートの各行すべてに数式入力をしておくこ
とをあきらめた。そのかわりに、ワークシートの欄外
(ここでは第1行を利用した)に数式を入力しておき、
計算のつど、マクロの自動処理によって必要なセルにい
ったん数式として貼り付け、計算終了後、各セルの数式
をそのままおなじセルに、こんどは値として貼り付けな
おしておくという方法をとった。
【0104】この場合でも、欄外のセルだけには、必要
な数式は入力されたまま残すことができる。マクロ・プ
ログラム上でおこなわれているかぎり、この処理が煩雑
な操作になることはない。したがってマクロ起動時以外
には、ほとんどのセルに入力されているのはいつも文字
またはデータでの入力となり、自動再計算モードのまま
使用しても、バージョンや動作環境によって生じる処理
速度の低下を避けることができる。(このシステムに使
ったとき、意外なことに、最も速いExcelは、おな
じハードウェアであれば、最新のV8.0ではなく、V
7.0であった。)以上の(1)、(2)をあわせてマ
クロ名「試算表作成」としてひとつのマクロ・プログラム
に統合したものをVisual Basicで記述すれ
ば、図7のようになる。
【0105】図7に示すマクロ・プログラムは、ひと目
でわかるように、ほとんどコピー、貼り付けと並べ替え
で構成されていて、プログラムのなかに、入力されるべ
き数式の記述はみあたらない。上述のように、数式は、
ワークシート外の所定のセルに入力しておいて、マクロ
によって計算の必要なセルに数式をコピー、貼り付けを
するという方法をとっているからである。
【0106】参考のため、プログラムのどの行でどの数
式が入力されたかを示すために、一連の数式を示すか
らをプログラム右側に対応させてある。おなじよう
に、(1)は勘定科目一覧表での勘定科目の検索・並び
替えの処理開始の行を、(2)は試算表の数式入力のた
めのコピー、数式で貼り付け、値で貼り付けしなおす処
理の開始の行を示している。
【0107】[ワークシートの操作] (1)基本的な操作 このシステムでは、保存してあったファイルをExce
lの画面上に開いたあと、まず仕訳欄に仕訳があればク
リアーしたうえで、仕訳欄に新しく仕訳をキー入力して
いき、マクロを起動すれば、試算表に集計結果が出力さ
れる。マクロ・プログラムには、マクロ起動用のオブジ
ェクトとしてボタンを作成しておくと、手早く操作がで
きる。ここでは上記の試算表作成マクロを"GO"ボタン
にリンクさせてあるので、仕訳をおこなったつど、この
ボタンを押せば、その時点での集計結果が、随時、すぐ
に得られる。仕訳と試算表への集計結果の適否は、通常
の簿記の手続と同じように、試算表の貸借の合計欄の金
額が一致しているかどうか、合計試算表の合計欄と仕訳
合計欄の金額が一致しているかどうかによって確認する
ことができる。
【0108】(2)仕訳入力と試算表への出力 試算表への集計にさきだって、勘定科目の検索、並べ替
えを済ませてあるので、試算表には、勘定科目のうち、
仕訳に使われているため集計の必要なものだけが、上か
らコード番号順に表示される。勘定科目一覧表にリスト
アップされていても、試算表で不要な勘定科目は表示さ
れないため、試算表の余白の欄は、勘定科目欄も金額欄
も含めて、行ごと空白となる。試算表を印刷するときに
は、不要となった行を一括して削除してしまってもかま
わない。
【0109】ところで、ひとつの取引につき借方、貸方
の仕訳科目が複数になったとき、簿記では、先頭の行に
「諸口」と記入することがある。たとえ仕訳欄にこの諸口
の記入があっても、これが勘定科目一覧表にみつからな
いかぎり、試算表の集計には影響はなく、表示もされな
い。たとえ、仕訳欄に摘要小書の文章を書き込んだとし
ても、おなじように試算表での集計では無視されてしま
う。これは、このシステムに採用した方法の副次的効果
で、仕訳欄を仕訳日記帳として利用しようとするときに
便利である。
【0110】(3)マクロ機能の利用 定型的な作業を迅速におこなうためには、マクロを利用
した。上述のように、マクロ・プログラムは、勘定科目
の並べ換えに適用しただけでなく、数式入力をいったん
ワークシートのなかのセルに貼り付けたあと、計算後、
同じセルに値として貼り付けなおす操作にも適用した。
その結果、データ入力時の処理速度の低下によって生じ
る操作上の不便が回避できた。この方法によってマクロ
が起動している時間だけを比較すれば、あらかじめセル
に直接数式入力をしておいたときに比べて長くなる。そ
れでも、CPUが80486、クロックが75MHzと
いう環境でExcel95(7.0)を利用して、仕訳
の行数を1、000行まで拡大したうえでマクロを起動
したときの動作時間は、実測で20〜25秒であった。
数10行の仕訳であれば、長くても数秒で終わる。これ
くらいの動作時間であれば、仕訳のデータ入力のたびに
再計算の時間を要するより、マクロを使った方がすぐれ
ていると考えられる。
【0111】また、マクロ・プログラムの作成にあたっ
ては、Excelのマクロ記録機能を利用し、Exce
lによって記述されたVisual Basicのプロ
グラムに、若干の修正箇所について編集するという方法
をとった。こうして作成されたプログラムの記述をみる
と、ほとんどがExcel上での、コピーと数式または
値による貼り付け、並べ替えからできあがっている。
【0112】マクロ・プログラムに数式入力を記述しな
かった理由は、ふたつある。
【0113】まず、このシステムでは、マクロによる自
動計算とマニュアル操作のどちらも利用できることを試
みたかったからである。そのために、会計上の約束や計
算方法は、すべてワークシートに数式として残されてお
り、計算処理自体の適否は、マクロを利用しなくてもマ
ニュアル操作で確認できるようになっている。こうして
おけば、システムのメインテナンスや機能の追加・改良
を容易におこなうことができる。
【0114】もうひとつの理由は、Excelにおける
マクロの記録機能の利用することを意図したからであ
る。Excelでは記録機能を用いてマクロを記述する
かぎりは、マクロ記録を起動しておいて、計算の手順に
したがって1回だけ正確にマニュアル操作をすれば、マ
クロ・プログラムが記述される。マクロを記録している
最中に数式を直接書き込んでいくのは難しくても、あら
かじめそれぞれのセルに入力しておいた数式を、コピー
・貼り付けの手続としてマクロ記録の機能によって自動
的に記述できるならば操作は容易である。このときに問
題になるのは、むしろ、マクロ記録の起動時に、会計処
理の手順を想定したうえで、マニュアル操作と同じ操作
ができるかどうかである。
【0115】ここからも副次的な効果が生まれた。合計
残高試算表自体の入力は、文字またはデータとなってい
るので、試算表の勘定科目や金額を別にいくら書き換え
ても、もう一度マクロを起動すれば、いつでも仕訳入力
どおりの集計結果に戻すことができる。試算表を文字ど
おり試算のために利用して、金額の適否を検討するのに
は都合がよい。
【0116】(4)勘定科目一覧の並べ替えと勘定科目
の追加 このシステムの中心は、シート勘定科目における勘定科
目一覧のD列をキーとした並べ替えにあることは、すで
に指摘した。もうひとつ、重要な並べ替えの操作は、A
列をキーとして、利用できる勘定科目のすべてについ
て、コード番号順に配列しなおすことである、会計処理
を重ねていくうち、勘定科目が不足し、追加する必要が
出てくる。
【0117】勘定科目の追加には、勘定科目一覧表をA
列で並べ替えたうえ、適切なコード番号をつけて追加し
て一覧表を拡大する必要がある。作成当初には、70程
度であった勘定科目数が、手もとのシステムでは、仕訳
を繰り返し、勘定科目が追加されるうちに、現在約27
0にまで増加して、対応できる取引はかなりの種類にの
ぼり、使いやすくなっている。
【0118】(5)ワークシートの拡張 ワークシートの大きさは、行数の増減方向で変えること
ができる。勘定科目数、取引件数の増減に応じて、行削
除または行挿入を利用してサイズを変えればよい。ワー
クシートのサイズは、Excelのバージョンに応じ
て、許された最大限の行数まで拡げることができる。
【0119】ただし、ワークシートの行数を変更したと
きには、それに応じて、マクロ・プログラムのコピー、
貼り付けの範囲を書き換えておく必要がある。このよう
な編集の作業を行うときだけは、Visual Bas
icの記述を読み、解釈できる知識が少しだけ要求され
る。
【0120】また、ここでの処理方法を拡張すれば、決
算手続を集計・概観するための精算表をおなじ方法で作
成することができる。この作成方法については、ここで
は省略する。
【0121】(6)マクロの追加 上記のマクロ以外に、小規模なマクロを追加しておくと
便利である。たとえば、勘定科目一覧のコード別の並べ
替えや、仕訳欄のクリアなどはその例である。一例とし
て、あらかじめマクロを作成しておいて仕訳の適否をチ
ェックするようにした。これには、仕訳欄の勘定科目か
ら、勘定科目一覧表に一致する科目名があるかどうかを
VLOOKUP関数を使って検索させるという方法をと
った。
【0122】検索のための"CHECK"ボタンを押す
と、勘定科目が一覧表にあって、試算表に集計が順調に
おこなわれたときには仕訳の横にチェック・マークが、
仕訳金額が集計しきれなかったときには"#N/A"が表
示される。計算処理の正確を期すためには、どこに入力
ミス、操作ミスがあるのか確認をする必要があるので、
この"CHECK"に類する機能を、会計上の法則にした
がってできるかぎり多くの種類、作成しておくとよいと
考えられる。
【0123】これらのチェックには、他の検索と同様
に、つぎの数式入力をシート仕訳上でおこなうことによ
って、実行することができる。
【0124】
【数7】
【0125】また、マクロ・プログラムも基本的には図
7と同様の方法によるのでここでは省略する。
【0126】(実施例)以下、この発明に係る表計算シ
ステムを用いた会計処理支援方法の実施例の手順を図8
に基づいて説明する。この会計処理支援方法は、前処
理、会計処理、及び訂正処理の各処理で構成されてい
る。
【0127】[1.前処理]ステップS11 :Excel上に、シート仕訳、シート
試算表、シート勘定科目を作成する(図1、図2、図3
参照)。
【0128】ステップS12:会計処理をおこなうまえ
に、勘定科目一覧表を作成する。
【0129】ステップS13:勘定科目とコード番号を
設定する(図3参照)。
【0130】[2.会計処理]ステップS21 :企業活動から取引を認識し、取引デー
タとして測定した上で、シート仕訳欄の所定のセルに入
力する。
【0131】ステップS22:仕訳欄のデータ入力の適
否について、複式簿記の貸借平均の原理にもとづいて、
仕訳の借方合計金額と貸方合計額が一致することを確認
する。もし一致しないときには、仕訳データの入力を訂
正する必要があるので、上記ステップS21にもどっ
て、仕訳入力の訂正をおこなう(図8中の矢印参
照)。
【0132】ステップS23:勘定科目一覧表の勘定科
目のひとつひとつにつき、仕訳欄で検索をおこなう。こ
のとき、仕訳欄で仕訳してある勘定科目を、仕訳金額と
は分離して検索する。
【0133】ステップS24:上記ステップS23の検
索結果によって、仕訳欄の借方、貸方の少なくともどち
らか一方に勘定科目を検索の結果、発見したときには、
一覧表の勘定科目と一致するテキストデータが仕訳欄に
存在することを示すシグナルを、データとして返す。
【0134】ステップS25:上記ステップS24のデ
ータにもとづいて、勘定科目一覧表のひとつひとつの勘
定科目につき、コード番号を同じ行の別のセル(Exc
elの例では例えばD列)に入力する(コピーすること
も可)。
【0135】ステップS26:勘定科目一覧表の勘定科
目について、仕訳欄で検索の結果、発見された勘定科目
だけについて、コード番号の昇順に、空欄を後位におく
ように、並べ替えをおこなって、修正後勘定科目一覧表
を作成する。この一覧表では、上記ステップS25のコ
ード番号にもとづく並べ替えをおこなっているので、仕
訳をした勘定科目がはじめに、その後位に不要な勘定科
目が並べ替えられている。
【0136】ステップS27:以下の手順で、修正後勘
定科目一覧表と、仕訳欄の仕訳データを合流させる。ま
ず、勘定科目一覧表の上記ステップS24またはS25
で仕訳欄から検索、発見された勘定科目のみにかぎっ
て、試算表の勘定科目欄に表示する。
【0137】ステップS28:合計残高試算表の勘定科
目欄に表示された勘定科目について、仕訳欄の金額を検
索して、ひとつひとつの勘定科目につき、試算表合計金
額欄に、借方合計、貸方合計を求めて入力する。このと
き、合計欄末尾の合計金額が、貸借一致しなかったとき
には、計算処理に誤りがある(図8中の矢印参照)。
【0138】ステップS29:上記ステップS28の結
果求められた勘定科目ごとの借方および貸方合計額にも
とづき、ひとつひとつの勘定科目につき残高を求めて入
力する。このとき、残高欄末尾の合計金額が、貸借一致
しなかったときには、計算処理に誤りがある(図8中の
矢印参照)。
【0139】[3.訂正処理ステップ]ステップS31 :上記ステップS28およS29で発見
された誤りについて、システムに起因するものと、複式
簿記上の誤りに起因するものを区別するために、仕訳欄
の勘定科目から、勘定科目一覧表の勘定科目を検索し、
上記ステップS24またはS25の結果にデータがかえ
されていなければ、システムに勘定科目が準備されてい
ないための計算処理上の誤りと判定できる。
【0140】この検索の方法は、上記ステップS23か
らS26で用いられた、勘定科目一覧表から仕訳欄へと
いう検索の方向を、逆に仕訳欄から勘定科目一覧表へと
することで可能となり、おなじ検索方法を採用できる。
【0141】ステップS32:上記ステップS31の処
理により上記ステップS28およS29で発見された誤
りが、システム上の誤りでなく、複式簿記の貸借平均の
原理によって発見される誤りの場合には、上記ステップ
S22の誤りと同様に仕訳入力のデータ入力を訂正し
て、上記ステップS21から計算処理を繰り返す。
【0142】ステップS33:上記ステップS31の処
理で発見された誤りが、システム上の誤りのときには、
勘定科目一覧表のなかの勘定科目が前処理で準備されて
いなかったことを意味しているので、勘定科目一覧表に
必要な勘定科目を追加入力する(図8中の矢印参
照)。
【0143】ステップS34:上記ステップS32およ
びS33以外の誤りのときは、表計算システム上の数式
入力をはじめとするシステム上の誤りを検討する必要が
ある。
【0144】
【発明の効果】[システム作成の意図と基本の構想]会
計処理の手順は、つぎの〜で構成されている。:
取引を認識する、:取引を適切に説明できる勘定科目
を、勘定システムまたはひとの記憶のなかからさがしだ
す、:勘定科目にもとづいて取引金額を測定する、
認識された取引を仕訳として表現する、:仕訳のデー
タを集計し、集計結果を最終的には決算によって財務諸
表に表示する。
【0145】コンピュータ・システムによらず、もとも
と、ひとが手計算によって会計処理をおこなおうとする
ときには、手順のとのあいだには重要な境界があっ
て、で取引を適切に説明できる勘定科目が存在しない
とき、の取引金額の測定の手続に進むことができな
い。このからに進むあいだには、会計上の重要な判
断が介在している。会計システムを、情報の測定と伝達
のシステムと位置づけると、の手続はの決算財務諸
表をはじめとする情報としてどのような内容を伝達すべ
きかを判定するための、システムのなかに組み込まれた
フィルターとしての重要な役割を果たしている。
【0146】Excelをはじめとする表計算ソフトウ
ェアで処理をする場合、データが入力されてから、集計
結果が出力されるまでに、データ処理手続の順序が、デ
ータの流れと同じ方向で入力側から出力側に進んでいく
ような操作が一般的である。その結果、集計計算に重点
をおいて、表計算ソフトウェアの機能に依存した計算処
理を進めていくために、上記の会計処理の手続のうち、
、、の手続の区別が曖昧となり、かえって、集計
計算に不要な処理を必要とするようになる。
【0147】便利のため、あるいは処理が可能だからと
して、、、の手続の区別を曖昧にしたまま、の
仕訳データを集計処理しようとすると、そのあとにつづ
く集計処理では、仕訳データを所与とした手続を進めな
ければならない。
【0148】この方法はコンピュータ・システムの処理
能力や、ソフトウェアの機能に大きく依存したシステム
が作成される結果を招いてしまい、さらに重要なことと
して、会計報告によって伝達されるべきかどうかの判断
をしないまま、集計処理が進められる心配がある。この
方法を採用すると、個別のケースについての計算処理は
可能でも、ケースをかえたときに、同一の計算処理を繰
り返しおこなうことのできるようなシステムをつくるこ
とが困難であった。
【0149】ここでは、コンピュータ・システムを利用
したときにも、ひとが手計算をおこなうときと同じ手続
として、システムの出力情報という観点から、システム
への入力段階で勘定科目を選択するためのフィルターを
用意するという、一種のフィードバック・システムを導
入し、その後で、仕訳データを集計することを構想し
た。この方法は、ひとの手計算では、ごく一般的なこと
であるにもかかわらず、表計算システムを中心としたコ
ンピュータ・システムの会計処理への適用例にはこれま
で見いだせなかったことである。
【0150】[従来例と比べた場合の優れた利点]この
発明では、上記のような方法を採用したため、従来例と
比べて以下のような優れた長所が得られる。
【0151】(1)システムで処理に必要な勘定科目を
選択する手順を、データ処理のうち必要な箇所に適宜挿
入することで、コンピュータ・システムをひとの手計算
と近いかたちでつくることができる。
【0152】(2)基本的には、実用的なシステムとす
ることができ、システムの利用範囲が大規模なシステム
から、簿記学習の初歩の段階での会計処理まで、広い範
囲の適用可能性をもつ。
【0153】(3)小規模な企業であれば、このシステ
ムでそのまま会計実務に十分利用できる。
【0154】(4)会計事務所での計算処理のような、
単一のシステムを利用して、異なる企業について別の会
計上の計算をしようとしたときに便利である。
【0155】(5)最も便利な利用法のひとつは、解決
すべき個別の問題に必要な勘定科目が大きく異なる、会
計処理の学習に利用することである。
【0156】(6)データの出力には、(決算書、財務
諸表(貸借対照表、損益計算書、資金計算書))、ワー
クシート(試算表、精算表、原価計算表、勘定口座)な
ど、広い範囲で適用できる。
【0157】(7)簿記一巡の手続の基礎が理解できれ
ばだれでも利用できる。また、その手続の理解をすすめ
るのに役立つ。ことに、会計処理システムのなかで、取
引のデータ入力に、仕訳という方法を採用していること
をはじめ、簿記一巡の手続に忠実なシステムをつくるこ
とが容易になる。
【0158】(8)データの入力のために、コンピュー
タ・システム上、または表計算システム上要求される書
式上の制約が、最小限で済み、むしろ会計処理上の形式
を優先できる。
【0159】(9)まったく同一の原理を利用すること
によって、集計結果の正確性の確認が可能となる。こと
に、出力データから、処理上の誤りを発見するためのフ
ィードバックシステムを用意することが容易である。日
常の会計処理の場面でのデータの入力の誤りか、勘定科
目の準備の不備なのか、また、システムの計算構造の誤
りかの判定が容易になる。
【0160】(10)システムの拡張性が高く、勘定科
目の不備による勘定科目の追加が容易で、勘定科目数は
ソフトウェアの制約内でシステム上は無限定に増やすこ
とができる。また、対応できる勘定科目数を追加するだ
けでは、計算処理上の負担は増加しない。計算処理上の
負担は仕訳入力した取引データに比例して増減する。
【0161】(11)表計算ソフトウェアを利用して、
システムをつくると、ソフトウェアの一適用形態として
会計処理システムがつくられるので、汎用性の高いソフ
トウェアを利用して、別のシステム利用者とのあいだ
で、システムの共有性が高まる。
【0162】(12)システムのサイズが目的に応じて
必要最小限とすることができるので、ハードウェアの負
担が少ない。
【0163】(13)システムのサイズがコンパクトで
あり、他のシステムとの互換性を高めることができる。
また、システムの互換性だけでなく、データの入力方法
に制約が少ないため、別のシステムとのあいだでも、入
力データだけを送ることでコミュニケーションが可能
で、ワークステーション・システムではデータの送受信
が容易になる。
【0164】(14)表計算ソフトウェアの操作に関し
て基本的な知識があれば、だれでもシステムが作成で
き、利用することができる。
【0165】(15)このシステムでの方法は、マクロ
・プログラムによる計算処理の自動化が容易で、合理的
で、確実、迅速な計算処理が容易にできるようになる。
また、手動のシステムとしても利用可能であり、目的に
応じて使い分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕訳シートの概要を示す表示画面図。
【図2】試算表シートの概要を示す表示画面図。
【図3】勘定科目シートの概要を示す表示画面図。
【図4】勘定科目シートの設定例を示す表示画面図。
【図5】試算表シートの設定例を示す表示画面図。
【図6】仕訳シートの設定例を示す表示画面図。
【図7】マクロ・プログラムの説明図。
【図8】実施例を説明する概略フローチャート。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンピュータ上で動作する表計算システ
    ムを用いた会計処理の支援方法であって、 前記表計算システムで定義されるスプレッドシート上で
    複式簿記の原理に基づく会計上の少なくとも仕訳、試算
    表、及び勘定科目の各シートを作成し、そのうちの勘定
    科目シート中に勘定科目を追加入力可能な勘定科目一覧
    表を作成する前処理と、 前記仕訳シート中の入力欄に所定の取引データを借方お
    よび貸方のそれぞれの勘定科目およびその金額に分けて
    仕訳入力し、前記借方および貸方の少なくとも一方の勘
    定科目をその仕訳金額とは分離して前記勘定科目一覧表
    中から検索し、これにより検索された勘定科目を前記試
    算表シート中の勘定科目欄に表示し、この勘定科目欄に
    表示された勘定科目についてその仕訳金額を前記仕訳シ
    ート中から検索し、これにより検索された仕訳金額を用
    いてその勘定科目ごとに前記試算表シート中の試算表合
    計金額欄に借方および貸方のそれぞれの合計を計算して
    表示する会計処理と、を備えたことを特徴とする表計算
    システムを用いた会計処理支援方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明において、 前記試算表合計金額欄に表示された借方および貸方のそ
    れぞれの合計が賃借一致しない場合、その不一致の原因
    がシステム上に起因するものか、それとも複式簿記上の
    誤りに起因するものか、あるいはそれ以外に起因するも
    のか、のいずれかを特定し、その原因に応じて訂正する
    訂正処理を、さらに備えたことを特徴とする表計算シス
    テムを用いた会計処理支援方法。
  3. 【請求項3】 コンピュータ上で動作する表計算システ
    ムを用いた会計処理を支援するプログラムを読み取り可
    能に記録する記録媒体であって、 前記表計算システムで定義されるスプレッドシート上で
    複式簿記の原理に基づく会計上の少なくとも仕訳、試算
    表、及び勘定科目の各シートを作成し、そのうちの勘定
    科目シート中に勘定科目を追加入力可能な勘定科目一覧
    表を作成する前処理手段と、 前記仕訳シート中の入力欄に所定の取引データを借方お
    よび貸方のそれぞれの勘定科目およびその金額に分けて
    仕訳入力し、前記借方および貸方の少なくとも一方の勘
    定科目をその仕訳金額とは分離して前記勘定科目一覧表
    中から検索し、これにより検索された勘定科目を前記試
    算表シート中の勘定科目欄に表示し、この勘定科目欄に
    表示された勘定科目についてその仕訳金額を前記仕訳シ
    ート中から検索し、これにより検索された仕訳金額を用
    いてその勘定科目ごとに前記試算表シート中の試算表合
    計金額欄に借方および貸方のそれぞれの合計を計算して
    表示する会計処理手段と、を実行するプログラムを記録
    したことを特徴とする記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の発明において、 前記試算表合計金額欄に表示された借方および貸方のそ
    れぞれの合計が賃借一致しない場合、その不一致の原因
    がシステム上に起因するものか、それとも複式簿記上の
    誤りに起因するものか、あるいはそれ以外に起因するも
    のか、のいずれかを特定し、その原因に応じて訂正する
    訂正処理手段を、さらに実行するプログラムを記録した
    ことを特徴とする記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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