JP2000281037A - パルプモールド成形体の製造方法 - Google Patents
パルプモールド成形体の製造方法Info
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Abstract
て、製造経費を低減させ得るパルプモールド成形体の製
造方法を提供すること。 【解決手段】 パルプモールド中間体15を形成し、次
いで、成形すべきパルプモールド成形体の外形に対応し
た形状の凹部を有する加熱型の該凹部に上記パルプモー
ルド中間体15を装填して、パルプモールド中間体15
をホットプレスする第1の加熱乾燥工程と、ホットプレ
スされたパルプモールド中間体15を上記加熱型から取
り出した後に乾燥炉内において加熱乾燥させる第2の加
熱乾燥工程とを行うパルプモールド成形体の製造方法。
Description
形体の製造方法に関する。
モールド成形体の製造方法の乾燥工程における乾燥方法
としては、抄紙により得られたパルプモールド中間体を
乾燥炉内にて所定の手段により乾燥させる方法がある。
しかし、この乾燥方法では形状制御ができないため、得
られる成形体の寸法精度が悪く、また乾燥時の伝熱効率
が悪いため乾燥炉が大きなものとなってしまうという不
都合がある。更に、成形体の表面性も良好とならず、ま
たパルプ密度が低いため成形体の強度が劣ってしまう。
00号公報に記載されているように、抄紙により得られ
たパルプモールド中間体を加熱型に入れてホットプレス
する方法がある。この乾燥方法によれば、寸法精度の良
い成形体が得られ、また伝熱効率が高いため乾燥時間も
短くなる。しかし、乾燥には、蒸発に必要なエネルギー
を伝熱により供給するという物理現象が伴うため、乾燥
時間が短くなるといっても、抄紙、脱水工程と比較すれ
ば、依然として長い時間が必要である。従って、抄紙型
の数に対して多数の加熱型を用意しなければならず、そ
の分、設備費が高くなり、製造経費が高くなってしま
う。また、乾燥時間を短くするために加熱型の温度を高
くすると成形体に変色(場合によっては焦げ)が発生し
やすくなる。
従来の容器においては、貼ったラベルが剥がれないよう
にしたり、コーティングを施した表面が剥がれないよう
にする為に、ある程度の表面強度が必要であった。ま
た、パルプモールド成形体からなる容器には、プラスチ
ック製容器と同様に、柔軟性が必要とされている。
乾燥設備を小さくして、製造経費を低減させ得るパルプ
モールド成形体の製造方法を提供することを目的とす
る。また、本発明は、表面強度を一定に保ちながら密度
や柔軟性をコントロールして、成形体の用途に応じた必
要な剛度や柔軟を付与し得るパルプモールド成形体の製
造方法を提供することを目的とする。
てパルプスラリーからパルプモールド中間体を形成し、
該パルプモールド中間体の加熱乾燥工程によりパルプモ
ールド成形体を製造する方法において、上記加熱乾燥工
程が、成形すべきパルプモールド成形体の外形に対応し
た形状の凹部を有する加熱型の該凹部に上記パルプモー
ルド中間体を装填して、該パルプモールド中間体をホッ
トプレスする第1の工程と、ホットプレスされた該パル
プモールド中間体を上記加熱型から取り出した後に乾燥
炉内において加熱乾燥させる第2の工程とを含むパルプ
モールド成形体の製造方法を提供することにより上記目
的を達成したものである。
の製造方法に好ましく用いられるパルプモールド成形体
の製造装置であって、上記凹部を有する上記加熱型、該
加熱型の該凹部に収容される上記パルプモールド中間体
を該凹部へ向けて押圧する上記中子、並びに該パルプモ
ールド中間体の含水率、重量又は温度を計測する計測装
置を備えた第1の加熱乾燥手段と、上記第1の加熱乾燥
手段によって所定の含水率まで加熱乾燥された上記パル
プモールド中間体を更に加熱乾燥させる上記乾燥炉を備
えた第2の加熱乾燥手段と、上記計測装置で計測された
上記パルプモールド中間体の含水率、重量又は温度のデ
ータに基づき、上記第1の加熱乾燥手段から上記第2の
加熱乾燥手段へ上記パルプモールド中間体を搬送させる
搬送手段とを有するパルプモールド成形体の製造装置を
提供するものである。
形体の製造方法を、その好ましい実施形態に基づき図面
を参照して説明する。本発明の製造方法には、大別して
(1)抄紙工程、(2)第1の加熱乾燥工程及び(3)
第2の加熱乾燥工程が含まれる。図1にはこれらの工程
のうちの抄紙・脱水工程が示されており、具体的には
(a)は抄紙工程、(b)は中子挿入工程、(c)は加
圧・脱水工程、(d)は抄紙型を開きパルプモールド中
間体を取り出す工程である。
行う。即ち、2個で一組をなす割型11,12を突き合
わせることにより所定形状の凹部から構成されるキャビ
ティ13が形成される抄紙型10に、その上部開口部か
らパルプスラリーを注入させる。各割型11,12に
は、その外側面よりキャビティ13に連通する複数の連
通孔14がそれぞれ設けられている。また、各割型1
1,12の内面は、所定の大きさの網目を有するネット
(図示せず)によってそれぞれ被覆されている。上記凹
部としてのキャビティ13の形状に特に制限は無い。本
実施形態においては、キャビティ13の形状は、成形す
べきパルプモールド成形体の外形に対応した形状となっ
ている。
キャビティ13内を減圧し、パルプスラリー中の水分を
吸引すると共にパルプ繊維をキャビティ13の内面に堆
積させる。その結果、キャビティ13の内面には、パル
プ繊維が所定の厚みで堆積されたパルプモールド中間体
15が形成される。
なるものでもよく、或いはこれらに加えてタルクやカオ
リナイト等の無機物、ガラス繊維やカーボン繊維等の無
機繊維、ポリオレフィン等の合成樹脂の粉末又は繊維、
非木材又は植物質繊維、多糖類等の成分を含有していて
もよい。これらの成分の配合量は、上記パルプ繊維及び
該成分の合計量に対して1〜70重量%、特に5〜50
重量%であることが好ましい。パルプ繊維は、針葉樹ま
たは広葉樹等の木材パルプや竹、わら等の非木材パルプ
であるのが好ましい。また、パルプ繊維の長さと太さ
は、それぞれ0.1mm以上10mm以下、0.01m
m以上0.05mm以下であるのが好ましい。
成されたら、パルプスラリーの注入を停止し、キャビテ
ィ13内を完全に吸引・脱水する。引き続き、図1
(b)に示すように、キャビティ13内を吸引・減圧す
ると共に、拡縮自在な中子16、本実施形態においては
弾性を有し伸縮自在で且つ中空状をなす弾性体としての
中子16をキャビティ13内に挿入する。中子16は、
キャビティ13内において風船のように膨らませてパル
プモールド中間体15をキャビティ13の内面に押圧さ
せることにより、キャビティ13の内面形状を付与する
と共にパルプモールド中間体15の加圧脱水を進行させ
るのに使用される。本実施形態で用いられる中子16は
引張強度、反発弾性及び伸縮性等に優れたウレタン、フ
ッ素系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー等によ
って形成されている。
内に加圧流体を供給して中子16を膨張させ、膨張した
中子16によりパルプモールド中間体15をキャビティ
13の内面に向けて押圧させる。すると、パルプモール
ド中間体15は、膨張した中子16によってキャビティ
13の内面に押し付けられ、パルプモールド中間体15
にキャビティ13の内面形状が転写されると共に脱水が
更に進行する。このように、本製造方法においてはキャ
ビティ13の内部からパルプモールド中間体15をキャ
ビティ13の内面に押し付けることでキャビティ13の
内面の形状を転写させるので、キャビティ13の内面の
形状が複雑であっても、精度良くキャビティ13の内面
の形状がパルプモールド中間体15に転写されることに
なる。その上、従来の製造方法と異なり、貼り合わせ工
程を用いる必要が無いので、得られる成形体には貼り合
わせによるつなぎ目及び肉厚部は存在しない。その結
果、得られる成形体の強度が高まると共に外観の印象が
良好となる。中子16を膨張させるために用いられる加
圧流体としては、例えば圧縮空気(加熱空気)、油(加
熱油)、その他各種の液が使用される。また、加圧流体
を供給する圧力は、0.01〜5MPa、特に0.1〜
3MPaとなすことが好ましい。加圧流体は加熱されて
いてもよい。
3の内面の形状が十分に転写され且つパルプモールド中
間体15を所定の含水率まで脱水できたら、図1(d)
に示すように、中子16内の加圧流体を抜く。すると、
中子16が自動的に縮んで元の大きさに戻る。次いで、
縮んだ中子16をキャビティ13内より取出し、更に抄
紙型10を開いて所定の含水率を有する湿潤した状態の
パルプモールド中間体15を取り出す。
次に第1の加熱乾燥手段において第1の加熱乾燥工程に
付される。第1の加熱乾燥工程では、抄紙・脱水を行わ
ない以外は、図1に示す抄紙工程と同様の操作が行われ
る。第1の加熱乾燥手段は、一組の割型を突き合わせる
ことにより成形すべき成形体の外形に対応した形状のキ
ャビティ(凹部)が形成される加熱型、該加熱型の該キ
ャビティ(凹部)に収容されるパルプモールド中間体1
5を該キャビティへ向けて押圧する中子、並びにパルプ
モールド中間体15の含水率、重量又は温度を計測する
計測装置を備えている。
記加熱型を所定温度に加熱し、加熱された状態の該加熱
型内に湿潤した状態のパルプモールド中間体を装填す
る。
中子(拡縮可能な中子)をパルプモールド中間体内に挿
入し、該中子内に加圧流体を供給して中子を膨張させ、
膨張した中子によりパルプモールド中間体をキャビティ
の内面へ向けて押圧させる。中子の材質及び加圧流体の
供給圧力は、抄紙工程と同様とすることができる。この
状態下に、パルプモールド中間体を加熱乾燥させる。そ
の結果、パルプモールド中間体は、加熱型と弾性体とし
ての中子との間に介在されて、両者の押圧によってホッ
トプレスされ第1の加熱乾燥工程が行われ、パルプモー
ルド中間体15の加熱乾燥が進行する。
行状況は、第1の加熱乾燥手段に備えられた上記計測装
置を用いたパルプモールド中間体15の含水率、重量又
は温度の計測で監視される。
15の含水率、重量又は温度の計測データに基づき、こ
れらのデータが所定の値になった時点で第1の加熱乾燥
工程を終了する。本実施形態においてはパルプモールド
中間体15の含水率のデータに基づき第1の加熱乾燥工
程を終了する。
乾燥したら、中子内の加圧流体を抜き、中子を元の大き
さに収縮させる。そして、収縮した中子をキャビティ内
より取り出す。更に加熱型を開いて所定の含水率を有す
るパルプモールド中間体を取り出し、後述する第2の加
熱乾燥手段へパルプモールド中間体15を搬送する。パ
ルプモールド中間体15の取り出し・搬送は、上記計測
装置で計測された上記パルプモールド中間体の含水率、
重量又は温度のデータに基づき、所定の搬送手段によっ
て行われる。
出しは、上記ホットプレスによって該パルプモールド中
間体の含水率が10〜40重量%、特に20〜30重量
%となった時点で行うことが効果的である。詳細には、
パルプモールド中間体の乾燥工程において、上記範囲内
の含水率で乾燥のメカニズムが変わることが本発明者ら
の検討により判明した。即ち、含水率が約30重量%ま
では、パルプの繊維間に保有されている水分が乾燥によ
り除去されるので乾燥速度は速いが、約30重量%以下
になると繊維内の水分が除去されるようになるため乾燥
速度が低下する。よって、乾燥速度が低下する前の段階
である含水率が40重量%となる時点で第1の乾燥工程
を終了して、第2の乾燥工程に移行することが効率的と
なる。一方、パルプモールド成形体の平衡含水率は、一
般的な環境下で5〜10重量%であることから、第1の
乾燥工程から第2の乾燥工程へ移行する時点でのパルプ
モールド中間体の含水率の下限値は10重量%とするこ
とが好ましい。また、含水率をかかる範囲内とすること
で、変形、ブリスター及び変色等の発生が効果的に防止
される。
に加圧(ホットプレス)を中止した場合に、高圧力状態
となっているパルプモールド中間体の内部において、液
体状態となっている水分が蒸気となってその体積が急激
に増加し、パルプモールド中間体の内部で層間剥離が起
こり、ふくれが発生する現象である。パルプモールド中
間体の内部の水分量が所定の値まで下がった時点で、第
1の乾燥工程を終了することにより、ブリスターの発生
が抑制される。また、含水率が高すぎる状態で取出す
と、成形品自体の強度が低くハンドリングに注意が必要
となる。
とは、該パルプモールド中間体全体の平均含水率のこと
である。従って、該パルプモールド中間体に肉厚分布が
ある場合や含水率分布がある場合には、平均含水率が上
記範囲内であっても部分的に含水率が上記範囲外である
部位が存在することがある。例えば、平均含水率が上記
範囲内であっても部分的に含水率が上記範囲未満の部位
が存在するような場合には、上記ホットプレスによる第
1の加熱乾燥工程に要する時間を短めにして、上記パル
プモールド中間体に変色等が発生することを防止するこ
とが望ましい。
り出された所定含水率のパルプモールド中間体は、第2
の加熱乾燥手段において第2の加熱乾燥工程に付され
る。第2の加熱乾燥工程は図2に示すように乾燥炉20
内において行われる。乾燥炉20内にはベルトコンベア
21が配設されており、このベルトコンベア上を複数の
パルプモールド中間体15,15,・・が移動しつつ、
該パルプモールド中間体15に赤外線又は遠赤外線2
2,22,・・が照射されることで、更に好ましくはこ
れに加えて乾燥炉20上部から熱風を吹き付けることで
(図示せず)、完全乾燥、若しくは含水率5〜10重量
%まで乾燥が行われる。第2の加熱乾燥工程において
は、加熱型から取り出されたパルプモールド中間体15
を一度に複数個加熱乾燥させることができるので、第1
の加熱乾燥工程のみでパルプモールド中間体15を乾燥
させる場合に比して、加熱型を早期に次回の乾燥に用い
ることができ、製造サイクルが速くなる。また、用意す
る加熱型の数を増やさなくてもよくなるので、設備費を
低くすることができる。更に、パルプモールド中間体1
5は既に所定の含水率まで乾燥されているので、乾燥炉
20を大型化させなくても、乾燥を短時間で行うことが
できる。このように、本発明においては、第1の加熱乾
燥工程と第2の加熱乾燥工程とをバランスさせること
で、全体として製造サイクルの短縮化及び乾燥設備の小
型化が可能となり、製造経費を低くすることができる。
工程と、乾燥炉を用いた第2の加熱乾燥工程とをこの順
で行い、第1の加熱乾燥工程から第2の加熱乾燥工程へ
の切り換え時のパルプモールド中間体の含水率を適宜調
節することにより、(1)得られるパルプモールド成形
体の表面平滑性及び表面強度を保ちつつ、その密度や柔
軟性をコントロールでき、(2)中子の寿命を長くする
ことができる。例えば(1)については、密度が低く、
柔軟性に優れたパルプモールド成形体を得る場合には、
第1の加熱乾燥工程からのパルプモールド中間体の取り
出しを変形やブリスターが発生しない含水率の範囲で行
う。これにより、パルプモールド中間体の表面が平滑に
なると共に表面の強度が高まる。しかし、中子により押
圧しながら行う乾燥を所定の含水率となった時点で終了
させるため、パルプモールド中間体の密度は高くはなら
ない。次いで、取り出されたパルプモールド中間体を第
2の加熱乾燥工程に付す。その結果、表面平滑性及び表
面強度に優れ、しかも密度の低い、即ち柔軟性の高いパ
ルプモールド成形体が得られる。(2)については、中
子を用いた第1の加熱乾燥工程を、パルプモールド中間
体の温度が過度に上昇しない程度の含水率となった時点
で終了させることで、中子に過度の熱的ダメージが加わ
ることが防止され、中子の寿命が長くなる。
熱乾燥工程のみで製造する場合には、中子による押圧を
1×105 〜2×105 Pa前後の低い圧力で行わねば
ならないので、得られる成形体の表面強度が低くなって
しまう。また、押圧力が低いため、パルプモールド中間
体と加熱型との密着性が低下し、その結果、パルプモー
ルド中間体と加熱型との熱伝導性が低下するため、パル
プモールド中間体の乾燥時間が長くなってしまう。一
方、密度が低く柔軟性が高い成形体を第2の加熱乾燥工
程のみで製造する場合には、得られる成形体の表面強度
が更に低くなってしまう。
形体1は、図3に示すようにその上部に開口部2を有
し、更に胴部3及び底部4を有する中空体であり、粉状
体や粒状体等の内容物の収容に特に好適な中空容器とし
て用いられる。このパルプモールド成形体1は、底部4
の接地面と胴部3の側壁の外面とのなす角が、何れの側
壁においても略90°となっている。また高さが50m
m以上の深底となっている。更に成形体1の胴部3に
は、その全周に亘って連続した凹状部5が形成されてい
る。更に、成形体1には、貼り合わせによるつなぎ目や
肉厚部が存在していない。従来の製造方法によっては斯
かる形状の成形体1を製造することは実質的に不可能で
あり、成形体のデザインに関し種々の制約があったが、
本発明の製造方法によれば上記パルプモールド成形体1
を含む種々の形状の成形体を短い製造サイクルで且つ低
い製造経費で容易に得ることができる。
の変更が可能である。例えば上記実施形態においては、
抄紙型と加熱型とを別個に用意していたが、これに代え
て抄紙型10が加熱型を兼用するようにしてもよい。ま
た、第1の加熱乾燥工程におけるホットプレスにおいて
は、成形すべきパルプモールド成形体の形状に応じて、
雌雄一対の加熱型を用いてもよい。また、第2の加熱乾
燥工程においては、赤外線又は遠赤外線の照射に代えて
又はこれに加えて、所定周波数の高周波の照射や、好ま
しくは前述の通り所定温度の熱風の吹き付けを行っても
よい。赤外線若しくは遠赤外線又は熱風を用いた乾燥は
装置が安価で且つ効率良く水分を除去できることから好
ましい。高周波の照射による乾燥は、高速加熱ができ熱
効率が高く対象物の内部も加熱できることから厚肉成形
体の乾燥に適しているが、設備は割高となる。第2の加
熱乾燥工程においては、これら三者のうちの任意の二つ
以上の加熱手段を併用してもよい。また、第1の加熱乾
燥工程の後、防湿等の目的でパルプモールド中間体の表
面にコーティング剤を付与し、その後第2の加熱乾燥工
程を行ってもよい。これによりコーティング剤の乾燥及
びパルプモールド中間体の仕上げ乾燥を同時に行える。
また、本発明の製造方法を、開口部の開口面積が、胴部
の断面積よりも小さいボトル型の中空成形体の製造に適
用してもよい。また、本発明の製造方法を、内容物の収
容に用いられる中空容器としての用途以外に、置物等の
オブジェ等の製造に適用してもよい。
び図2に示す方法を用いてパルプモールド成形体を製造
した。実施例1及び実施例2における加熱乾燥工程は、
パルプモールド中間体をホットプレスする第1の工程
と、乾燥炉内において加熱乾燥させる第2の工程とから
成っていた。比較例1における加熱乾燥工程は、ホット
プレスを用いずに、パルプモールド中間体を乾燥炉内で
加熱乾燥させる工程のみから成っていた。実施例及び比
較例の何れにおいてもパルプモールド成形体の最終含水
率は5重量%とした。加熱乾燥工程の条件の詳細を表1
に示す。成形体は、重さ38g、高さ240mm、胴径
φ80mmで、ほぼ円柱状の中空ボトル形状となるよう
に製造した。
であった。 抄紙条件;抄紙時間15秒 脱水条件;脱水時間20秒、脱水後の含水率60重量% ホットプレス条件;加熱型温度220℃、中子による押
圧力6×105 Pa 乾燥炉条件;熱風温度170℃、遠赤外線ヒータ温度4
50℃、熱風風量2m 3 /分
パルプモールド成形体について、以下の方法で、成形体
の変形及びブリスターの発生を評価した。その結果を表
1に示す。
パルプモールド成形体の外観を目視観察し、変形の有無
を「○」(変形無し)及び「×」(変形有り)で判定し
た。これに加えて、成形体の胴部外径をレーザ測定機を
用いて測定した。成形体を倒立させ底から45〜180
mmのストレート部分の胴部外径を2mm間隔で測定
し、その平均値とばらつき(標準偏差、3σ)を求め
た。
より得られたパルプモールド成形体における内面の状態
を目視観察し、ブリスター発生の有無を「○」(ブリス
ターの発生無し)及び「×」(ブリスターの発生有り)
で判定した。
に加えて、成形体表面の剥離強度を測定した。測定は、
実施例及び比較例と同じ方法で直径17cmの円盤状の
プレートを作製し、このプレートを測定対象としてJI
S P 8129に準拠して行った。その結果、第1の
加熱乾燥工程における中子の押圧条件により剥離強度の
測定結果は7から11までの範囲で変化したが、第1の
加熱乾燥工程からパルプモールド成形体を取り出すとき
の含水率によっては測定結果は変化しないことが判っ
た。
3及び4については、成形体の形状を中空ボトル形状に
代えて図3に示す箱型形状とする以外は実施例1と同様
である。比較例2については、成形体の形状を図3に示
す箱形形状とする以外は比較例1と同様である。加熱乾
燥工程の条件の詳細を表2に示す。成形体は、重さ30
g、縦80mm、横150mm、高さ150mmとなる
ように製造した。
る。 抄紙条件;抄紙時間12秒 脱水条件;脱水時間20秒、脱水後の含水率60重量% ホットプレス条件;加熱型温度200℃、中子による押
圧4.4×105 Pa 乾燥炉条件;熱風温度170℃、遠赤外線ヒーター45
0℃、熱風風量2m3/分
パルプモールド成形体について前述と同様の方法で成形
体の変形及びブリスターの発生を評価した。但し、成形
体の変形は目視観察でのみ行った。結果を表2に示す。
に、パルプモールド中間体の加熱乾燥を、乾燥炉のみで
行った場合には、乾燥炉による乾燥時間が長くなり、大
きな乾燥炉が必要になることが判る。更に、成形体の変
形が発生することも判る。
に、実施例のパルプモールド成形体は、その平均胴部外
径が、型寸法である80mmにほぼ近い値となり、比較
例のパルプモールド成形体に比して加熱乾燥による収縮
が小さいことが判る。特に、実施例1と実施例2とで
は、第1の加熱乾燥工程からのパルプモールド中間体の
取り出し含水率が小さい実施例2の方が、平均胴部外径
が型寸法である80mmに一層近い値となり、加熱乾燥
による収縮が一層小さいことが判る。
の乾燥工程及び乾燥炉による第2の乾燥工程を行い、第
1の工程から第2の工程への切替を、パルプモールド中
間体の含水率が所定の範囲となる時点で行うことで、成
形体に変形やブリスターを発生させることなく、全乾燥
工程が短時間で完了し、乾燥設備も小さくなることが判
る。
れたパルプモールド成形体は、表面平滑性が高く、しか
も柔軟性のあるものであった。
法によれば、乾燥時間を短くし且つ乾燥設備を小さくし
て、製造経費を低減させることができる。また、本発明
のパルプモールド成形体の製造方法によれば、第1の加
熱乾燥工程から第2の加熱乾燥工程への切り替え時の含
水率を適宜調節することで、成形体の表面強度が一定に
保たれながらその密度や柔軟性がコントロールされて、
成形体にその用途に応じた必要な剛度や柔軟が付与され
る。また、本発明のパルプモールド成形体の製造方法に
よれば、成形体のデザインに関し制約を受けずに、種々
の形状の成形体を低い製造経費で容易に製造することが
できる。また、本発明のパルプモールド成形体の製造方
法によれば、貼り合わせによるつなぎ目や肉厚部が存在
しない深底の成形体を製造することができる。
実施形態における抄紙・脱水工程を示す模式図である。
実施形態における第2の加熱乾燥工程を示す模式図であ
る。
り製造されるパルプモールド成形体の一例を示す斜視図
である。
Claims (5)
- 【請求項1】 抄紙型によってパルプスラリーからパル
プモールド中間体を形成し、該パルプモールド中間体の
加熱乾燥工程によりパルプモールド成形体を製造する方
法において、 上記加熱乾燥工程が、成形すべきパルプモールド成形体
の外形に対応した形状の凹部を有する加熱型の該凹部に
上記パルプモールド中間体を装填して、該パルプモール
ド中間体をホットプレスする第1の工程と、ホットプレ
スされた該パルプモールド中間体を上記加熱型から取り
出した後に乾燥炉内において加熱乾燥させる第2の工程
とを含むパルプモールド成形体の製造方法。 - 【請求項2】 上記ホットプレスによって含水率が10
〜40重量%となった時点で上記パルプモールド中間体
を上記加熱型から取り出す請求項1記載のパルプモール
ド成形体の製造方法。 - 【請求項3】 上記抄紙型を、互いに突き合わせるこ
とにより所定形状のキャビティが形成される一組の割型
から構成し、 上記キャビティ内面に上記パルプスラリー中のパルプ繊
維を堆積させることにより上記パルプモールド中間体を
形成し、 上記パルプモールド中間体を上記加熱型と拡縮可能な中
子との間に介在させ、両者の押圧によって該パルプモー
ルド中間体をホットプレスする請求項1又は2記載のパ
ルプモールド成形体の製造方法。 - 【請求項4】 上記乾燥炉内における加熱乾燥が、熱風
の吹き付け又は赤外線若しくは遠赤外線の照射により行
われる請求項1〜3の何れかに記載のパルプモールド成
形体の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載のパルプモ
ールド成形体の製造方法に用いられるパルプモールド成
形体の製造装置であって、 上記凹部を有する上記加熱型、該加熱型の該凹部に収容
される上記パルプモールド中間体を該凹部へ向けて押圧
する上記中子、並びに該パルプモールド中間体の含水
率、重量又は温度を計測する計測装置を備えた第1の加
熱乾燥手段と、 上記第1の加熱乾燥手段によって所定の含水率まで加熱
乾燥された上記パルプモールド中間体を更に加熱乾燥さ
せる上記乾燥炉を備えた第2の加熱乾燥手段と、 上記計測装置で計測された上記パルプモールド中間体の
含水率、重量又は温度のデータに基づき、上記第1の加
熱乾燥手段から上記第2の加熱乾燥手段へ上記パルプモ
ールド中間体を搬送させる搬送手段とを有するパルプモ
ールド成形体の製造装置。
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JP11-21508 | 1999-01-29 | ||
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