JP2000277819A - 電子装置 - Google Patents

電子装置

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JP2000277819A
JP2000277819A JP11086444A JP8644499A JP2000277819A JP 2000277819 A JP2000277819 A JP 2000277819A JP 11086444 A JP11086444 A JP 11086444A JP 8644499 A JP8644499 A JP 8644499A JP 2000277819 A JP2000277819 A JP 2000277819A
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JP
Japan
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electronic device
thermal resistance
conductor
heat
wiring
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JP11086444A
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English (en)
Inventor
Takeshi Nakai
剛 仲井
Yoshinori Matsunaga
佳典 松永
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
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  • Radiation Pyrometers (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)
  • Cooling Or The Like Of Electrical Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的特性を維持しつつ信号用配線からの熱
流入を抑えることが困難で、冷却手段の能力を低下させ
ていた。 【解決手段】 真空容器11中に4〜150 Kの温度に冷却
して動作させる電子デバイス13を冷却手段12に載置して
収容するとともに、電子デバイス13と外部電気回路とを
信号用配線14で電気的に接続して成る電子装置であっ
て、信号用配線14は、真空容器11の容器壁と電子デバイ
ス13間において、導体の単位長さ当たりの熱抵抗が1.25
K/W・mm以上の高熱抵抗部15を有し、かつ導体全体
の熱抵抗が125 K/W以上であるとともに、100 MHz
以上60GHz以下の高周波信号に対する伝送損失が1d
B以下である。信号用配線14を介して流入する熱を効率
よく抑制することができ、冷却能力の小さい冷却手段12
によっても電子デバイス13を所望の温度に効率よく冷却
して動作させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空断熱を利用す
る冷却装置の内部に、例えば赤外線温度測定装置あるい
は超電導フィルタ等のような、150K以下の温度に冷
却して動作させる電子デバイスを収容して成る電子装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】真空断熱容器を利用して、その内部に収
容した電子デバイス、例えば赤外線温度測定装置におけ
る赤外線検出器あるいは超電導フィルタや超電導マイク
ロ波回路装置等を、低温の温度環境、具体的には150 K
以下の温度、例えば液体窒素温度(約77K)や液体ヘリ
ウム温度(約4K)に近いような4〜150 Kの極低温に
冷却して動作させる電子装置は、断熱効果の効率が最も
高い真空断熱を利用し、真空容器内に設置したコールド
ヘッド等の冷却手段の冷却能力を最大限に引き出すよう
にして用いられることが多い。
【0003】このような電子装置により電子デバイスを
冷却しつつ動作させる場合には、通常、供給電力や高周
波用信号の入出力等の配線を電子装置の真空容器内の電
子デバイスと真空容器外部の外部電気回路との間で接続
する必要があり、一般的にはその接続に電磁ノイズの影
響を防止したり高周波信号を伝送するために同軸ケーブ
ルが使用されている。
【0004】このとき外部電気回路側の温度が高い場合
には、外部からの熱が電子デバイスに向かって同軸ケー
ブルを通じて流入することとなる。この熱流入は冷却手
段による冷却能力を低下させることとなり、所望の温度
への冷却を妨げることともなる。また、この他にも、冷
却手段への熱の流入および発生源には、真空断熱容器か
らの放射熱と低圧ガスの対流による対流熱、そして電子
デバイスにおける発熱等がある。
【0005】一方、冷却手段としては、研究室レベルで
は液体窒素や液体ヘリウムを直接注入する冷却容器、あ
るいは大型の冷凍機が古くから用いられてきた。また、
近年は、超電導素子を利用した電子装置の実用化が考え
られるようになってきたことから、メンテナンスの手間
が少ないことや消費電力が小さくサイズ・コストの点で
も有利なため、スターリング型またはスターリングパル
ス型などの小型冷凍機が注目されている。
【0006】しかし、小型冷凍機の冷却能力は77Kに冷
却したときに5W程度であり、GM型のような大型冷凍
機ほどの冷却能力はなく、一般的な高温超電導体を安定
に動作させるための50K〜70Kの温度ではさらに冷却能
力は低下してしまうため、必要な冷却能力を確保するた
めには外部からの熱流入をできる限り抑える必要があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】超電導フィルタを収容
する従来の電子装置は、例えば図3に断面図で示すよう
な構造がとられていた。この従来の電子装置において
は、真空断熱容器1の内部に冷凍機の冷却手段であるコ
ールドヘッド2が配置され、コールドヘッド2に電子デ
バイス3が内部に実装された金属筐体4が搭載される。
電子デバイス3に電気的に接続される2つの入出力用コ
ネクタ5は、通常は筐体4の各々対向する位置に配置さ
れ、それぞれ対向する位置の真空断熱容器1の容器壁に
取着された入出力用コネクタ7に向けて信号用配線であ
る同軸ケーブル6が配設され、これを介して電子デバイ
ス3が外部電気回路(図示せず)と電気的に接続されて
いる。
【0008】このような電子装置によれば、信号用配線
として用いられる同軸ケーブル6の外導体が入出力用コ
ネクタ5と接触し、さらに入出力用コネクタ5が電子デ
バイス3を取り囲む金属筐体4と接地をとるために接触
していることから、真空断熱容器1から信号用配線6→
入出力用コネクタ5→金属筐体4→コールドヘッド2へ
と熱が流れやすい構造となっており、真空断熱容器1の
容器壁から冷却手段までは、熱抵抗が非常に小さく熱が
流れやすい構成となっていた。
【0009】そこで、真空断熱容器1の外部から同軸ケ
ーブル6を経て熱が流入するのを抑制するために、同軸
ケーブル6には熱流入が小さくなるように十分長いもの
を使用し、その許容範囲以内の曲率半径で曲げて電子デ
バイス3側の入出力用コネクタ5と真空断熱容器1の入
出力用コネクタ7との両方に接続されて用いられていた
が、同軸ケーブル6が長くなると真空断熱容器1内への
収納が困難になるという問題点があり、しかも伝送損失
も大きくなるという問題点もあった。
【0010】また、同軸ケーブル6の長さを長くするこ
となく熱流入を抑えるために、同軸ケーブル6の外導体
の肉厚を薄くすることや、外導体の材料を熱伝導の低い
ものとすることも考えられている。しかしながら、この
場合は同軸ケーブル6の強度が弱くなるために可撓性が
劣ることとなり、曲げ等の変形や入出力用コネクタ5・
7との着脱のときに負荷がかかり外導体部分の破損が生
じやすくなるという問題点があった。また、外導体の材
料として熱伝導の低いステンレスやキュプロニッケル等
の合金を用いた場合には、電気特性が悪化するなどの弊
害が生じるという問題点もあった。
【0011】一方、超電導フィルタ等の主に100 MHz
以上60GHz以下の高周波帯で使用される電子デバイス
3に対しては、信号用配線6として低損失なケーブルで
あるセミリジッド同軸ケーブルが一般に多用されてい
る。
【0012】なお、セミリジッド同軸ケーブルは、100
MHzより低い周波数帯では、他の同軸ケーブルでも損
失が十分低いこと、ならびにセミリジッド同軸ケーブル
は外導体がセミリジッドタイプであるため自由に曲げら
れないという使いづらい面があることからほとんど用い
られていない。
【0013】他方、60GHzより高い周波数帯でも、セ
ミリジッド同軸ケーブルでも高周波信号の伝送損失が大
きくなり、その一方で伝送損失による発熱の影響が出る
ことにより熱流入を増大させてしまうことからほとんど
用いられていない。
【0014】しかしながら、セミリジッド同軸ケーブル
は高周波帯での低損失特性を維持するために外導体に継
ぎ目がなく肉厚が厚い金属を用いる必要があるため、熱
伝導の良好な外導体からの熱流入が大きくなってしまう
という問題点があった。
【0015】本発明は上記のような従来技術の問題点を
解決すべく案出されたものであり、その目的は、真空断
熱容器の内部に150 K以下の温度に冷却して動作させる
電子デバイスを収容して成る電子装置において、外部か
ら信号用配線を通じて流入する熱を効率よく抑制し、冷
却手段の能力を確保して電子デバイスを所望の温度に効
率よく冷却して動作させることができる電子装置を提供
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の電子装置は、真
空容器中に4〜150 Kの温度に冷却して動作させる電子
デバイスを冷却手段に載置して収容するとともに、前記
電子デバイスと外部電気回路とを信号用配線で電気的に
接続して成る電子装置であって、前記信号用配線は、前
記真空容器の容器壁と前記電子デバイス間において、導
体の単位長さ当たりの熱抵抗が1.25K/W・mm以上の
高熱抵抗部を有し、かつ導体全体の熱抵抗が125 K/W
以上であるとともに、100 MHz以上60GHz以下の高
周波信号に対する伝送損失が1dB以下であることを特
徴とするものである。
【0017】また、本発明の電子装置は、上記構成にお
いて、前記高熱抵抗部の導体は、誘電体基板に形成され
た配線導体であることを特徴とするものである。
【0018】本発明の電子装置によれば、電子デバイス
と外部電気回路とを電気的に接続する信号用配線とし
て、真空容器の容器壁と電子デバイスとの間において、
導体の単位長さ当たりの熱抵抗が1.25K/W・mm以上
の高熱抵抗部を有し、かつ導体全体の熱抵抗が125 K/
W以上であるとともに、100 MHz以上60GHz以下の
高周波信号に対する伝送損失が1dB以下であるものと
したことから、熱抵抗が高い信号用配線自体に加えて高
熱抵抗部により外部から信号用配線を介して流入する熱
を効率よく抑制することができ、冷却能力の小さい冷却
手段によっても電子デバイスを所望の温度に効率よく冷
却して動作させることができる。また、高周波信号を減
衰させたりせずに伝送することができ、伝送損失による
発熱が電子デバイスの高周波特性に悪影響を及ぼすこと
もないので、電子デバイスを良好に機能させることがで
きる。
【0019】また、高熱抵抗部の導体を誘電体基板に形
成された配線導体とした場合には、高周波信号に対する
良好な電気的特性を確保しつつ導体材料の断面積を極め
て小さくして単位長さ当たりの熱抵抗が高い部分を容易
に設定することができ、それにより熱抵抗を高めて熱の
流入を遮断しやすいものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の電子装置では、信号用配
線の導体が高熱抵抗部を有している。すなわち、信号用
配線の導体が高熱抵抗部と低熱抵抗部とから構成されて
いる。この低熱抵抗部は、主として外部電気回路から高
熱抵抗部まで、または電子デバイスから高熱抵抗部まで
を電気的に接続しており、セミリジッド同軸ケーブルの
ような主に導体材料で形状を保持し、配線の取り回しの
ために変形し得る配線を用いることができる。
【0021】また、高熱抵抗部は、主に誘電体材料で形
状を保持して導体材料の断面積を小さくすることにより
単位長さ当たりの熱抵抗を高いものとし、主として低熱
抵抗部と電子デバイスとの間を電気的に接続する。
【0022】低熱抵抗部に用いられる同軸ケーブル、特
にセミリジッド同軸ケーブルは、導体材料により形状を
保持して強度を持つために導体の断面積を大きくする必
要があったが、高周波信号の電気伝導には導体の表面近
傍、すなわち中心導体の表面近傍と外導体の内側表面近
傍とが利用されているだけであり、その厚みも100 MH
zで6.6 μm、60GHzで0.27μm程度であった。した
がって、熱伝導の大きな部分である外導体の肉厚を薄く
しても電気的に影響を及ぼすことはなく、誘電体材料で
形状を保持して変形等の影響を小さくしたものを用いれ
ば、従来と同等の電気的特性を確保しつつ導体材料の断
面積を小さくすることができ、それにより熱抵抗を高め
て熱の流入を遮断することができる。
【0023】そして、高熱抵抗部とともに信号用配線を
構成し、高周波信号に対する電気的特性を確保しつつそ
れら導体全体の熱抵抗を125 K/W以上の大きなものと
することができる。
【0024】なお、本発明の電子装置に係る信号用配線
は、高熱抵抗部と併せて容易に変形し得る低熱抵抗部を
有するものであるため、配線接続部、例えば電子デバイ
ス側の入出力用コネクタと真空容器の入出力用コネクタ
との間で加わる応力をこの低熱抵抗部で緩和する効果も
有するものとなる。したがって、電気的特性を低下させ
ることなく高熱抵抗部により熱の流入を抑えることが可
能で、しかも強度や信頼性が低下することもない信号用
配線となる。
【0025】従来のセミリジッド同軸ケーブルとして
は、例えば外径1.65mm・長さ100 mm程度のものが使
用されることが多いが、このケーブルの熱抵抗は148 K
/W、入出力の配線が2本あるとすると1本当たり74K
/Wで小さいものである。これより細いケーブルを使用
することも可能ではあるが、その場合には高周波信号の
伝送損失が大きくなるため、その損失が許容される範囲
で目的に応じたケーブルの最適化を図る必要が出てく
る。
【0026】これに対して本発明者が検討を重ねた結
果、電子デバイスとして超電導体を使用する場合は、そ
れを安定に動作させやすい50Kから60Kに維持するのに
必要な冷却能力は3W程度であり、この冷却エネルギー
は電子デバイスにおける発熱や信号用配線からの熱流入
・放射熱・低圧ガスによる対流熱等により消費される
が、熱収支のバランスから見た場合には信号用配線から
の熱流入を2W以下に抑える必要があることを見出し
た。
【0027】また、2Wよりも大きい電力を供給する際
には、伝送損失が大きい場合にはケーブル内部での発熱
が熱流入に影響し、ケーブルによる伝送損失が1dBよ
りも大きい場合には発熱による熱流入が大きくなり、発
熱量と外部−冷却部間の温度差とによる伝熱の総熱流入
量については、2Wを達成することが困難となること、
一方、2Wよりも小さい供給電力においても、熱雑音等
のノイズの発生を低減できることからも、ケーブルの伝
送損失は1dB以下とすることが好ましいことを見出し
た。
【0028】そして、例えば室温300 Kから50Kに冷却
するときに熱流入を2W以下に抑えるには、信号用配線
の導体全体の熱抵抗を125 K/W以上にすることが好ま
しく、かつ、超電導フィルタ等が主として使用される高
周波帯である100 MHz以上60GHz以下の高周波信号
に対する信号用配線の伝送損失が1dB以下であること
が好ましいことを見出し、本発明を完成するに至ったも
のである。
【0029】さらに、前述のように信号用配線が導体の
単位長さ当たりの熱抵抗が1.25K/W・mm以上の高熱
抵抗部を有するものとすることにより、熱抵抗が高い信
号用配線自体に加えて高熱抵抗部により外部から信号用
配線を介して流入する熱を電気的特性に悪影響を与える
ことなく効率よく抑制できることも見出した。
【0030】なお、高熱抵抗部は信号用配線において少
しでも存在すれば熱流入抑制の効果があるといえるが、
熱流入2Wに対して0.5 %未満すなわち0.01W未満では
効果はほとんど見られなくなる傾向があった。
【0031】一方、真空容器の容器壁と電子デバイス間
における信号用配線に250 Kの温度差があるとき、2W
以下の熱流入に抑えるには125 K/W以上の熱抵抗が必
要となることから、高熱抵抗部の熱抵抗は、125 K/W
の0.5 %以上、すなわち0.625 K/W以上とすることが
望ましい。
【0032】また、この高熱抵抗部の導体の単位長さ当
たりの熱抵抗を1.25K/W・mm以上とするのは、次の
ような理由による。真空容器の容器壁からの熱流入に
は、信号用配線を介した熱流入の他に輻射熱と真空容器
中の低圧ガスによる対流熱によるものがある。これらの
熱は、低温部と高温部との距離に大きく依存する。この
距離が0.5 mmより大きくなると熱流入量は急激に大き
くなり、小型冷凍機による所望の温度への冷却は困難と
なる。この0.5 mmの距離を信号用配線の高熱抵抗部で
確保したとき、この高熱抵抗部により熱流入を0.01W以
上抑制するためには、高熱抵抗部の導体の単位長さ当た
りの熱抵抗が1.25K/W・mm以上であることが必要で
あることに基づくものである。
【0033】以下、本発明の電子装置について図面を参
照しつつ詳細に説明する。
【0034】図1は本発明の電子装置の実施の形態の一
例の概略構成を示す断面図である。
【0035】図1において11は真空断熱容器としての真
空容器、12は真空容器11の内部に配置される冷却手段で
あるコールドヘッド、13はコールドヘッド12上に戴置さ
れた電子デバイスである。この電子デバイス13は、コー
ルドヘッド12に接触する第1の単結晶基板13aと、この
単結晶基板13aの上面に被着形成された超電導薄膜のグ
ランドプレーン(図示せず)と、その上に位置する第2
の単結晶基板13bと、その上面に被着形成された超電導
薄膜からなる電子回路(図示せず)と、その上に位置す
る第3の単結晶基板13cと、その上面に被着形成された
超電導薄膜のグランドプレーン(図示せず)とから構成
されている。
【0036】14は信号用配線であり、高熱抵抗部15と、
低熱抵抗部である電子装置用の同軸ケーブル16とで構成
されている。また、この高熱抵抗部15は、第1の誘電体
基板15aと、その上面に被着形成された銅薄膜から成る
配線導体(図示せず)と、第2の誘電体基板15bと、そ
の上面に被着形成された銅薄膜からなるグランドプレー
ン(図示せず)とで構成されており、電子デバイス13の
電子回路と電気的に接続されている。なお、第1の誘電
体基板15aの下面にも銅薄膜から成るグランドプレーン
(図示せず)が形成されており、第1の単結晶基板13a
上に形成されるグランドプレーンと電気的に接続され
る。また、第2の誘電体基板15bの上面のグランドプレ
ーンは第3の単結晶基板13c上面のグランドプレーンと
電気的に接続されている。
【0037】また、第2の誘電体基板15bの上面には、
内部の配線導体と接続された第1の入出力用コネクタ17
を具備しているが、この入出力用コネクタ17は必ずしも
必要なものではない。
【0038】18は真空容器11の容器壁に取着された入出
力用コネクタであり、真空容器1内部の電子デバイス13
と外部の外部電気回路(図示せず)との間で電力供給や
信号の入出力等を伝送するためのものである。
【0039】第1〜第3の単結晶基板13a〜13cの材料
としては、超電導膜が被着形成しやすく、電子回路の高
周波特性に影響を及ぼす誘電損失が小さいもの、例えば
酸化マグネシウム・サファイア(α−Al2 3 )・ス
ピネル・チタン酸ストロンチウム・ランタンアルミネー
ト・シリコン・ガリウム砒素等が好適である。
【0040】高熱抵抗部15を構成する第1および第2の
誘電体基板15a・15bの材料としては、結晶構造や組成
には特に限定はないが、アルミナ基板・ガラセラ基板・
樹脂基板を用いると、熱伝導抑制の効果があり、高周波
特性も良いため有効である。
【0041】中でも、ポリイミド系樹脂・BCB(ベン
ゾシクロブテン)樹脂・オレフィン系樹脂・フッ素系樹
脂・シリコーン系樹脂等の樹脂基板等を用いると、非常
に熱伝導率が低いため熱流入抑制の効果が大きく好適で
ある。
【0042】第1および第2の誘電体基板15a・15b上
に被着形成された配線およびグランドプレーンには、高
周波特性が良好なAg・Al・Au・Cu・Mo・Mn
・Ni・Ti・W等の金属材料が好適であり、配線導体
を厚膜や薄膜等の導体厚みの薄いもので形成することが
でき、熱抵抗を高くすることができる。
【0043】この例においては、同軸ケーブル16につい
て1本の単位長さ当たりの熱抵抗を求めると約5.48K/
W・mmとなり、ここでは2本接続しているため約2.74
K/W・mmとなった。
【0044】ここで、コールドヘッド12から冷却したい
電子デバイス13までの熱の流れについては、同軸ケーブ
ル16を接続した高熱抵抗部15から、その誘電体基板15a
・15bならびに銅薄膜で形成された配線導体およびグラ
ンドプレーンを伝わり、電子デバイス13の単結晶基板13
a〜13cを経由してコールドヘッド12へと熱が流れるこ
ととなる。このとき、高熱抵抗部15における銅薄膜によ
る配線導体の単位長さ当たりの熱抵抗は、7.06K/W・
mmと大きいものであった。
【0045】このように信号用配線14に所定の高熱抵抗
部を設けることにより、単に信号用配線としての同軸ケ
ーブルの長さを長くするような場合よりも、高周波信号
に対する電気的特性を良好に維持しつつ外部から電子デ
バイス13への熱流入を効率よく抑えることができる。
【0046】次に、本発明の電子装置の実施の形態の他
の例の概略構成を図2に断面図で示す。図2において21
は真空断熱容器としての真空容器、22は真空容器21の内
部に配置される冷却手段であるコールドヘッド、23はコ
ールドヘッド22上に戴置された電子デバイスである。こ
の電子デバイス23は、コールドヘッド22に接触する第1
の単結晶基板22aと、その上面に被着形成された超電導
薄膜のグランドプレーン(図示せず)と、その上に位置
する第2の単結晶基板23bと、その上面に被着形成され
た超電導薄膜からなる電子回路(図示せず)とで構成さ
れている。
【0047】24は信号用配線であり、高熱抵抗部25と、
低熱抵抗部である電子装置用の同軸ケーブル26とで構成
されている。この高熱抵抗部25は、誘電体基板とその上
面に被着形成された銅薄膜からなるグランドプレーンと
その内部から下面にかけて被着形成された配線導体とで
構成されている。また、この高熱抵抗部25の上面には内
部の配線導体と接続された入出力用コネクタ27を具備し
ており、これは第2の単結晶基板23bの上面に被着形成
された電子回路と電気的に接続され、信号の入出力を行
なう。ただし、この入出力用コネクタ27も必ずしも必要
なものではなく、同軸ケーブル26の導体と高熱抵抗部25
の配線導体とを直接接続してもよい。
【0048】28は真空容器21の容器壁に取着された入出
力用コネクタであり、真空容器21内部の電子デバイス23
と外部の外部電気回路との間で電力供給を行なう、ある
いは入出力信号等を伝送するためのものである。
【0049】
【実施例】次に、本発明の電子装置について具体例を示
す。
【0050】〔例1〕以下のような構成ならびに条件に
より、図1に示した構成の本発明の電子装置を作製し
た。
【0051】 真空容器…内径:120 mm、高さ:150 mm、フランジ
部の有効穴径:50mm 電子デバイス側の入出力用コネクタ:SMA(2個) 容器壁側の入出力用コネクタ:SMA(2個) 電子デバイス:ストリップライン線路 単結晶基板:サファイア、30mm×30mm×1mm、熱
伝導率:900 W/m・K(80K) 配線パターン材料:Y−Ba−Cu−O系超電導体 高熱抵抗部…誘電体基板:テフロン(登録商標)、30m
m×25mm×1mm、熱伝導率:0.26W/m・K 配線導体:銅、厚み0.005 mm、熱伝導率:420 W/m
・K 同軸ケーブル:セミリジッド同軸ケーブル2本、長さ…
100 mm 外部導体…材質:キュプロニッケル、断面積:0.426 m
2 、熱伝導率:420 W/m・K 誘電体…材質:PTFE、断面積:0.629 mm2 、熱伝
導率:0.26W/m・K 内部導体…材質:銀被覆銅鋼、断面積:0.065 mm2
熱伝導率:50W/m・K セミリジッド同軸ケーブルの誘電体基板への接続位置か
ら単結晶基板までの距離 (配線導体の長さに相当):12.5mm 冷却温度:50K(外部環境温度:300 K) なお、電子回路は、熱流入抑制の効果の調査のためスト
リップライン線路とすることで、電子回路での発熱を十
分小さくなるようにした。また、電子回路の中央の上
部、すなわち単結晶基板の上面の中央部に熱電対とヒー
タを設置して、熱電対により温度を測定し、ヒータで熱
エネルギーを与えることによって、50Kの温度一定に保
つようにした。
【0052】そして無負荷(電子装置用の同軸ケーブル
と容器壁側の入出力用コネクタとを接続しない)状態に
おける50K冷却時の時のヒータの発熱量と、負荷をかけ
たときのヒータの発熱量との差から、50Kに冷却した際
の熱流入を求めたところ、1.38Wの熱流入であった。
【0053】〔例2〕〔例1〕と同様な構成において、
高熱抵抗部の誘電体基板の材質をガラスセラミックス
(熱伝導率2.5 W/m・K)に変更して冷却した。この
場合の高熱抵抗部における導体の単位長さ当たりの熱抵
抗は、3.62K/W・mmとなった。
【0054】そして、〔例1〕と同様に冷却した結果、
熱流入は1.56Wとなった。
【0055】〔例3〕〔例2〕と同様な構成において、
高熱抵抗部の誘電体基板上に形成された銅配線導体の厚
みを0.005 mmから0.010 mmに変更して、同様に冷却
した。
【0056】この高熱抵抗部における配線導体の単位長
さ当たりの熱抵抗は、2.49K/W・mmとなった。
【0057】そして、〔例1〕と同様に冷却した結果、
熱流入は1.61Wとなった。
【0058】〔例4〕以下のような構成ならびに条件に
より、図1に示した構成の本発明の電子装置を作製し
た。
【0059】 真空容器…内径:120 mm、高さ150 mm、フランジ部の有効穴径:50mm 電子デバイス側の入出力用コネクタ:SMA(2個) 容器壁側の入出力用コネクタ:SMA(2個) 電子デバイス:ストリップライン線路 単結晶基板:サファイア、30mm×30mm×1mm、 熱伝導率:900 W/K・m(80K) 配線パターン材料:Y−Ba−Cu−O系超電導体 高熱抵抗部 誘電体基板…テフロン、30mm×25mm×1mm、 熱伝導率:0.26W/K・m 配線導体…銅、厚み:0.004 mm、熱伝導率:420 W/K・m 同軸ケーブル…セミリジッド同軸ケーブル2本、長さ:100 mm 外部導体…材質:銅、断面積:1.576 mm2 、熱伝導率:420 W/K・m 誘電体…材質:PTFE、断面積:1.986 mm2 、 熱伝導率:0.26W/K・m 中心導体…材質:銀被覆銅鋼、断面積:0.204 mm2 、 熱伝導率:50W/K・m セミリジッド同軸ケーブルの誘電体基板への接続位置から単結晶基板までの距離 (高熱抵抗部の配線導体の長さ):12.5mm 冷却温度:50K(外部環境温度:300 K) この電子装置によれば、同軸ケーブルの導体の単位長さ
当たりの熱抵抗は1.48K/W・mm、熱抵抗は148 K/
Wであり、高熱抵抗部の配線導体の単位長さ当たりの熱
抵抗は11.0K/W・mm、熱抵抗は137 K/Wであっ
た。
【0060】そして、〔例1〕と同様にして50Kに冷却
した際の熱流入を求めたところ、1.76Wの熱流入であっ
た。
【0061】また、周波数2GHzにおいて電力1Wを
供給し、ネットワークアナライザにより信号用配線の透
過特性S21を測定したところ、0.3 dBとなった。2本
の配線による測定であるため2分の1にすると0.15dB
で十分低い損失であり、電気的特性においても問題なか
った。
【0062】〔例5:比較例〕図3に示す従来の電子装
置を用いて、〔例1〕と同様の冷却を行なった。
【0063】 真空容器…内径:120 mm、高さ:150 mm、 フランジ部の有効穴径:50mm 銅筐体…外形:30mm×30mm×30mm 肉厚:5mm 電子デバイス側の入出力用コネクタ:SMA(2個) 容器壁側の入出力用コネクタ:SMA(2個) 銅筐体の底面から入出力用コネクタの設置位置までの高さ:8mm 電子デバイス:ストリップライン線路 単結晶基板:サファイア、20mm×20mm×1mm 配線パターン材料:Y−Ba−Cu−O系超電導体 同軸ケーブル:セミリジッド同軸ケーブル2本、長さ:112.5 mm 外部導体…材質:キュプロニッケル、断面積:0.426 mm2 誘電体…材質:PTFE、断面積:0.629 mm2 内部導体…材質:銀被覆銅鋼、断面積:0.065 mm2 冷却温度:50K(外部環境温度:300 K) この例では、信号用配線に、本発明に係る信号用配線の
ような高熱抵抗部はない。そこで、〔例1〕〜〔例3〕
における高熱抵抗部の長さ分だけ同軸ケーブルの長さを
伸ばして冷却を試みた結果、熱流入は1.62Wとなった。
【0064】〔例1〕〜〔例3〕ではこの比較例よりも
熱流入量が少なくなっており、特に〔例1〕では比較例
に対して15%の熱流入の抑制を達成することができた。
【0065】なお、本発明は以上の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。
例えば、同軸ケーブルの本数が複数の場合であれば、高
熱抵抗部をそれぞれに独立に配置してもよい。また、高
熱抵抗部は信号用配線の途中に設けてもよく、真空容器
の容器壁側に設けてもよい。
【0066】
【発明の効果】本発明の電子装置によれば、真空容器の
容器壁と電子デバイスとの間における信号用配線とし
て、導体の単位長さ当たりの熱抵抗が1.25K/W・mm
以上の高熱抵抗部を有し、かつ導体全体の熱抵抗が125
K/W以上であるとともに、100MHz以上60GHz以
下の高周波信号に対する伝送損失が1dB以下であるも
のとしたことから、熱抵抗が高い信号用配線自体に加え
て高熱抵抗部により外部から信号用配線を介して流入す
る熱を効率よく抑制することができ、冷却能力の小さい
冷却手段によっても電子デバイスを所望の温度に効率よ
く冷却して動作させることができるとともに、高周波信
号を減衰させたりせずに伝送することができ、伝送損失
による発熱が電子デバイスの高周波特性に悪影響を及ぼ
すこともないので、電子デバイスを良好に機能させるこ
とができる。
【0067】また、高熱抵抗部の導体を誘電体基板に形
成された配線導体とした場合には、高周波信号に対する
良好な電気的特性を確保しつつ導体材料の断面積を極め
て小さくして単位長さ当たりの熱抵抗が高い部分を容易
に設定することができ、それにより熱抵抗を高めて熱の
流入を遮断しやすいものとなる。
【0068】以上のように、本発明によれば、真空断熱
容器の内部に150 K以下の温度に冷却して動作させる電
子デバイスを収容して成る電子装置において、外部から
信号用配線を通じて流入する熱を効率よく抑制し、冷却
手段の能力を確保して電子デバイスを所望の温度に効率
よく冷却して動作させることができる電子装置を提供す
ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子装置の実施の形態の一例の概略構
成を示す断面図である。
【図2】本発明の電子装置の実施の形態の他の例の概略
構成を示す断面図である。
【図3】従来の電子装置の概略構成を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
11、21・・・真空容器 12、22・・・コールドヘッド(冷却手段) 13・23・・・電子デバイス 14、24・・・信号用配線 15、25・・・高熱抵抗部 15a、15b・・・誘電体基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G066 BA11 BA32 BA41 BA51 4M113 AC25 AC44 AD36 AD37 AD42 CA34 4M114 AA02 AA17 AA25 BB05 CC09 CC11 DA02 DB09 5E322 AA11 AB11 CA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器中に4〜150Kの温度に冷却
    して動作させる電子デバイスを冷却手段に載置して収容
    するとともに、前記電子デバイスと外部電気回路とを信
    号用配線で電気的に接続して成る電子装置であって、前
    記信号用配線は、前記真空容器の容器壁と前記電子デバ
    イス間において、導体の単位長さ当たりの熱抵抗が1.
    25K/W・mm以上の高熱抵抗部を有し、かつ導体全
    体の熱抵抗が125K/W以上であるとともに、100
    MHz以上60GHz以下の高周波信号に対する伝送損
    失が1dB以下であることを特徴とする電子装置。
  2. 【請求項2】 前記高熱抵抗部の導体は、誘電体基板に
    形成された配線導体であることを特徴とする請求項1記
    載の電子装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002134800A (ja) * 2000-10-20 2002-05-10 Fujitsu Ltd 超伝導フィルタ装置
JP2007071590A (ja) * 2005-09-05 2007-03-22 Canon Inc 導波路、それを用いた装置及び検出方法
WO2023171057A1 (ja) * 2022-03-09 2023-09-14 浜松ホトニクス株式会社 エネルギー線検出システム

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