JP2000272132A - インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置

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JP2000272132A
JP2000272132A JP8246599A JP8246599A JP2000272132A JP 2000272132 A JP2000272132 A JP 2000272132A JP 8246599 A JP8246599 A JP 8246599A JP 8246599 A JP8246599 A JP 8246599A JP 2000272132 A JP2000272132 A JP 2000272132A
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ink
ink jet
electric field
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JP8246599A
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English (en)
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Yasushi Suwabe
恭史 諏訪部
Yasushi Oki
靖 大木
Susumu Hirakata
進 平潟
Hiroaki Sato
博昭 佐藤
Yuji Suemitsu
裕治 末光
Megumi Hasebe
恵 長谷部
Satoru Mori
哲 毛利
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2成分インクを用いたインクジェット方式に
おいて、インク供給不良の発生しないインクジェット記
録ヘッド、インクジェット記録方法及びインクジェット
記録装置を提供する。 【解決手段】 画像記録材料110に色材粒子102a
を吐出する吐出口106と、絶縁性液102b中に色材
粒子102aを分散させてなるインク102を収容する
インク収容部104と、インク収容部104と吐出口1
06とを連通するインク流路112と、画像信号に応じ
てインク102中の色材粒子102aを吐出させるため
の電界を形成する吐出手段108,116,122と、
からなるインクジェット記録ヘッド100において、イ
ンク流路112に、吐出口106への気泡118の流入
を防止する電界の勾配を形成する電界勾配形成手段11
4a,114b,120を有するインクジェット記録ヘ
ッド、これを用いたインクジェット記録方法及びインク
ジェット記録装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被印字面にインク
ドロップ等の液滴を吐出して印字を行うインクジェット
記録装置におけるインクジェット記録ヘッド、これを用
いたインクジェット記録方法、およびインクジェット記
録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置においては、記
録紙上でインクが滲むことによる画質劣化が問題となっ
ている。滲みに対する画質向上の対策としては、例えば
記録材料としての記録紙にコーティング層を設けて滲ま
ないようにしたり、速乾性のインクを用い滲む前に乾燥
させてしまう等の対応が知られているが、前者は利用す
る記録材料が限定される点、後者はノズルでのインクの
目詰まりが促進されてしまう点で、最適な方法とは言え
ない。
【0003】これに対して、色材粒子を含むインク(2
成分インク)を用い、インクの色材濃度を高めて記録材
料に飛翔させ、記録材料上のドット滲みを少なくする方
法が提案されている。例えば、特開平9−187966
号公報には、絶縁性のキャリア液体に色材粒子を分散し
た2成分インクを先細の導電性ノズルに供給し、導電性
ノズルと記録材料との間に電界を印加して、主として色
材粒子を記録材料へ飛翔させて、結果として画像形成の
ための色材濃度を高めて画像を記録する方法が述べられ
ている。
【0004】一方、特開平10−76664号公報に
は、複数の電極を有する流路に2成分インクを供給し
て、この複数の電極に同じ電圧を印加して、主として色
材粒子を記録材料へ飛翔させて、結果として画像形成の
ための色材濃度を高めて画像を記録する方法が述べられ
ている。
【0005】しかし、いずれの方法においても、インク
中の色材粒子濃度を高めて記録材料に飛翔させいるた
め、記録中はノズルにインクを供給しつづけなければな
らず、インクタンクからインクをインクジェット記録ヘ
ッド(以下、単に「記録ヘッド」という場合がある。)
やノズルに供給するための供給路を有しており、気泡に
よるインク供給不良の問題が発生する可能性がある。
【0006】記録ヘッド内のインク中には、周囲環境の
大気が、気体のインクに対する溶解度に依存して溶解
し、溶存気体として存在している。従って、周囲環境の
温度変化や圧力変化により、この溶存気体が過飽和状態
になると記録ヘッド内で気泡化する。気泡の発生は、イ
ンクジェット記録ヘッドの印字性能に関し様々な悪影響
を及ぼす。例えば、気泡がインク流路に滞留し、気泡の
サイズが、インクジェット記録ヘッド内に設けられたイ
ンク流路のサイズと同程度以上になると、インク供給が
不十分となり、最悪の場合印字不能に陥る。
【0007】インクジェット記録ヘッド内のインク中に
存在する気泡に起因する問題点を解消する手段として、
特開昭62−113556号、同63−295265号
公報等で提案されている所謂バキューム吸引方式があ
る。これは、インクジェット記録ヘッド本体の各ノズル
(吐出口)面のインクが露出する端面全域をキャップで
覆い、キャップ内部を負圧状態として、インクジェット
記録ヘッド内の気泡をインクごと吸引除去するものであ
る。バキューム吸引方式には以下に示す課題がある。
【0008】 キャップ内部を負圧状態にするための
ポンプ機構が必要になるため、装置の小型化の障害とな
り、また高コスト化につながる。 停止状態、特に長時間(数日以上)停止状態にあっ
たプリンタを起動して記録動作をさせる場合、気泡除去
のための上記一連の工程が複雑で時間を要するので、1
枚目のプリントを得るまでの待機時間が長くなるという
問題がある。
【0009】一方、上記2成分インクを用いたインクジ
ェット記録方式では、記録には主として色材粒子が用い
られるため、記録直後におけるノズル先端付近のインク
中の色材粒子濃度が低下している。従って、次の記録ま
での間に新たな色材粒子を含むインクをノズル先端付近
に供給しなければならない。
【0010】この色材粒子の供給を色材粒子自身の拡散
のみに頼っていたのでは、記録速度の低下や画像濃度不
足をもたらす。一方、常にフレッシュな状態のインクを
ノズル先端付近に供給しつづける循環機構を設けること
も考えられるが、当該機構を設けることによる装置の複
雑化といった問題や、記録速度が前記インクの循環速度
に律速されてしまうといった問題があった。また、イン
ク流量が増加することにより、前記気泡の問題が一層顕
著になるといった問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであり、
その目的は、2成分インクを用いたインクジェット方式
において、気泡によるインク供給不良の発生しないイン
クジェット記録ヘッド、これを用いたインクジェット記
録方法、およびインクジェット記録装置を提供すること
にある。
【0012】また、本発明の他の目的は、2成分インク
を用いたインクジェット方式において、インク中の色材
粒子をノズル先端付近に簡便に供給し得るインクジェッ
ト記録ヘッド、これを用いたインクジェット記録方法、
およびインクジェット記録装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成される。即ち、第1の本発明は、画像記録
材料に色材粒子を吐出する吐出口と、絶縁性液中に色材
粒子を分散させてなるインクを収容するインク収容部
と、インク収容部と吐出口とを連通するインク流路と、
画像信号に応じてインク中の色材粒子を吐出させるため
の電界を形成する吐出手段と、からなるインクジェット
記録ヘッドにおいて、インク流路に、吐出口への気泡の
流入を防止する電界の勾配を形成する電界勾配形成手段
を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドで
ある。
【0014】第1の本発明のインクジェット記録ヘッド
によれば、インク中に存在する気泡は、その表面に誘電
分極による電荷の偏りが生じ、電界勾配形成手段により
形成された電界の勾配の影響を受け、強電界から弱電界
へと引き寄せられ、気泡の吐出口付近への侵入が防止さ
れる。
【0015】第2の本発明は、第1の本発明のインクジ
ェット記録ヘッドであって、さらに、電界勾配形成手段
により形成される電界の勾配が、吐出口に近づくにした
がい電界強度が大きくなるような電界の勾配であること
を特徴とする。
【0016】第2の本発明のインクジェット記録ヘッド
によれば、電界勾配形成手段によりインク流路に形成さ
れる電界の勾配が、吐出口に近づくにしたがい電界強度
が大きくなっているため、インク中に存在する気泡は、
その表面に誘電分極による電荷の偏りが生じ、電界によ
る斥力を受け強電界から弱電界へ、すなわちインクの流
れ方向に抗う方向に引き寄せられ、インクの流れ方向へ
の進行が妨げられる。従って、吐出口付近への気泡の侵
入が有効に防止される。
【0017】第3の本発明は、第2の本発明のインクジ
ェット記録ヘッドであって、さらにインク中における色
材粒子の比誘電率が、同絶縁性液の比誘電率より大きい
ことを特徴とする。
【0018】第3の本発明のインクジェット記録ヘッド
によれば、絶縁性液に対して比誘電率の大きなインク中
の色材粒子は、その表面に生ずる誘電分極による電荷の
偏りが、比誘電率の小さな気泡とは正負逆となり、電界
勾配形成手段によりインク流路に形成される電界の勾配
による引力の作用を受け弱電界から強電界へ、言い換え
れば吐出口方向に引き寄せられる。すなわち、吐出口近
傍に侵入させたくない気泡は、電界の勾配による斥力の
作用を受け有効にその進行が妨げられ、一方、吐出口に
供給したい色材粒子は、電界の勾配による引力の作用を
受け有効に吐出口に向かって進行する。従って、第1や
第2の本発明同様インク中に存在する気泡の吐出口付近
への侵入が防止される同時に、インク中の色材粒子をノ
ズル先端付近に簡便に搬送、供給することができ、画像
濃度の十分な画像を連続的に、高速度で形成することが
できる。
【0019】第4の本発明は、第2または第3の本発明
のインクジェット記録ヘッドであって、さらに電界勾配
形成手段が、インク流路側壁に、対向して配設された少
なくとも一対の電極からなることを特徴とする。
【0020】第4の本発明のインクジェット記録ヘッド
によれば、一対の電極間に電圧を印加することにより、
インク中に存在する気泡の吐出口付近への侵入を防止す
る、あるいはさらに、インク中の色材粒子をノズル先端
付近に簡便に搬送、供給するための電界勾配をインク流
路に、簡単に生じさせることができる。
【0021】第5の本発明は、第4の本発明のインクジ
ェット記録ヘッドであって、さらにインク流路における
一対の電極が配設される区間の形状が、吐出口に近づく
にしたがい、インク流路の開口面積が連続的に減少する
ような形状であることを特徴とする。
【0022】第5の本発明のインクジェット記録ヘッド
によれば、インクの流れ方向に進むにしたがいインク流
路の開口面積が連続的に減少するような形状のインク流
路側壁に一対の電極が配設されているため、両電極の間
隙がインクの流れ方向に進むにしたがい狭まり、両電極
間に電圧を印加したときに生ずる電界が、インクの流れ
方向上流側程弱電界となる電界勾配が形成される。すな
わち、両電極間に単に電圧を印加するのみで、インク中
に存在する気泡の吐出口付近への侵入を防止する、ある
いはさらに、インク中の色材粒子をノズル先端付近に簡
便に搬送、供給するための電界勾配をインク流路に、簡
単に生じさせることができる。
【0023】第6の本発明は、第4または5の本発明の
インクジェット記録ヘッドであって、さらに前記電界勾
配形成手段における一対の電極のうち一方が、吐出手段
の電極を兼ねる構成であることを特徴とする。電界勾配
形成手段における電極の一方と、吐出手段の電極と、を
兼ねる構成とすることにより、上記第4または第5の本
発明のインクジェット記録ヘッドについて、さらなる小
型化、簡略化が達成できる。
【0024】第7の本発明は、第1ないし第6のいずれ
か1のインクジェット記録ヘッドを用い、該インクジェ
ット記録ヘッドのインク収容部およびインク流路に、絶
縁性液中に色材粒子を分散させてなるインクを供給し、
吐出手段により画像信号に応じて色材粒子を吐出させる
ための電界を形成し、インク吐出口からインクを吐出さ
せて記録を行うインクジェット記録方法であって、前記
インクジェット記録ヘッド内の電界勾配形成手段によ
り、インク流路に電界を生じさせることを特徴とするイ
ンクジェット記録方法である。
【0025】第7の本発明のインクジェット記録方法に
よれば、インク中に存在する気泡は、その表面に誘電分
極による電荷の偏りが生じ、電界勾配形成手段により形
成された電界の勾配の影響を受け、強電界から弱電界へ
と引き寄せられ、気泡の吐出口付近への侵入が防止され
る。さらに絶縁性液に対して比誘電率の大きなインク中
の色材粒子を用いた場合には、インク中の色材粒子をノ
ズル先端付近に簡便に搬送、供給することができ、画像
濃度の十分な画像を連続的に、高速度で形成することが
できる。
【0026】第8の本発明は、画像記録材料を搬送する
搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記画像記
録材料に対し、絶縁性液中に色材粒子を分散させてなる
インク中の色材粒子を吐出して画像を記録するインクジ
ェット記録ヘッドと、前記インクジェット記録ヘッドに
画像信号を入力する画像信号入力手段と、を備えるイン
クジェット記録装置において、前記インクジェット記録
ヘッドが第1ないし第6のいずれか1のインクジェット
記録ヘッドであることを特徴とする。
【0027】第8の本発明のインクジェット記録装置に
よれば、インク中に存在する気泡は、その表面に誘電分
極による電荷の偏りが生じ、電界勾配形成手段により形
成された電界の勾配の影響を受け、強電界から弱電界へ
と引き寄せられ、気泡の吐出口付近への侵入が防止され
る。さらに絶縁性液に対して比誘電率の大きなインク中
の色材粒子を用いた場合には、インク中の色材粒子をノ
ズル先端付近に簡便に搬送、供給することができ、画像
濃度の十分な画像を連続的に、高速度で形成することが
できる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明を実施の形態を挙げて詳細
に説明する。図1は、本発明のインクジェット記録ヘッ
ドの一例として、第1の実施の形態の記録ヘッド100
の動作状態を表す拡大断面図である。図1において、1
06は画像記録材料110に色材粒子102aを吐出す
る吐出口、104は絶縁性液102b中に色材粒子10
2aを分散させてなるインク(2成分インク)102を
収容するインク収容部、112はインク収容部104と
吐出口106とを連通するインク流路である。なお、イ
ンク流路112の開口(インクの進行方向と垂直な断
面)の形状は、円形、矩形、六角形等任意の形状とする
ことができる。
【0029】記録ヘッド100のインク収容部104に
は、例えば毛管力や圧力差によって生じる作用により、
記録ヘッド100外部のインクタンク(不図示)からイ
ンク102が供給されている。
【0030】また、画像信号に応じてインク102中の
色材粒子102aを吐出させるための電界を形成する吐
出手段として、インク流路112の吐出口106近傍
(ノズル先端付近)に吐出電極108が、および、画像
記録材料110を介し吐出電極108に対向する部位に
対向電極116が配され、さらに吐出電極108と対向
電極116との間には、制御電源122により画像信号
に応じて電圧が印加され、インク102中の色材粒子1
02aを吐出させるための電界が形成される。該電界に
より、吐出口106近辺には色材粒子102aが引き寄
せられ、結果として色材粒子102a濃度が高められ、
さらに色材粒子102aは画像記録材料110に飛翔
し、画像が形成される。
【0031】吐出電極108には、金属材料、あるいは
樹脂等の支持体に金属からなる導電層を設けた複合材料
を用いる。インク102による腐食を防ぐために吐出電
極108の表面に樹脂などの保護層を設けてもよい。吐
出電極108は、記録ヘッド100のインク流路112
の吐出口106近傍に配置される。吐出電極108で、
吐出口106近傍のインク流路112内壁や該内壁の一
部を構成してもよい。
【0032】対向電極116は、画像記録材料110の
背面に配置する背面電極を用いる。背面電極としての対
向電極116は、記録時の画像記録材料110の位置を
保持するプラテンの機能を有してもよく、画像記録材料
110を保持したまま移動する構成、例えば記録紙搬送
ドラムの構成を兼ねても良い。
【0033】本実施の形態においては、対向電極116
を背面電極とする構成としたが、画像記録材料110自
身に導電性を持たせて構成してもよい。画像記録材料1
10自身が導電性を有する場合は、制御電源122はこ
の画像記録材料110に接続され、対向電極としての画
像記録材料110と、吐出電極108との間に画像信号
に応じて電圧が印加され、インク102中の色材粒子1
02aを吐出させるための電界が形成される。なお、本
発明において、画像記録材料自身に導電性を持たせ、対
向電極としての機能を併せ持たせた場合にも、画像記録
材料を「対向電極」と呼ぶこととする。
【0034】制御電源122は、吐出電極108と対向
電極116(または画像記録材料110)との間に電圧
を印加して、吐出口106におけるインク102の画像
記録材料110に近接した部分(すなわちインクメニス
カス)の色材粒子102aの濃度を高め、この色材粒子
102aを画像記録材料110に飛翔させる。制御電源
122が印加する電圧は、画像信号に応じて印加する。
バイアス状に一定の値に電圧を印加して吐出口106の
色材粒子102a濃度を高めておき、画像信号に応じて
電圧がさらに大きくなるように印加してこの色材粒子1
02aを画像記録材料110に飛翔させてもよい。この
場合は、吐出口106先端の色材粒子102a濃度を常
に高い状態に保っているので、記録周波数を大きくして
も記録濃度が落ちないという利点がある。記録する画像
に応じて、印加する電圧や、電圧の印加時間を調整し、
記録されるインクのドットの濃度あるいは径を変調し、
高画質な記録画像を得ることも可能である。
【0035】本実施の形態において、記録ヘッド100
には、吐出口106への気泡118の流入を防止する電
界の勾配を形成する電界勾配形成手段として、インク流
路112側壁に、対向して配設された一対の電極114
a,114bが配され、さらに両電極114a,114b
間には、制御電源120により電圧が印加され、インク
流路112に電界勾配が形成され、吐出口106への気
泡118の流入を防止している。
【0036】ここで電界勾配による気泡118流入防止
の作用について、インク流路の電極114a,114b
周辺の模式拡大図である図2を用いて説明する。図2で
は、上方の電極114bを正電極とするケースを模式的
に示しており、説明の簡略化のため色材粒子102aは
省略してある。電極114a,114b間に印加された
電圧により形成された電界の影響を受けて、インク流路
に流入した気泡118の表面には、誘電分極による電荷
の偏りが生じ、気泡118表面の正電極側(電極114
b側)には正電荷が、負電極側(電極114a側)には
負電荷が分布する。これは気泡118を取り囲む絶縁性
液102bの誘電率が気泡118の誘電率より大きいこ
とに起因する。その結果、気泡は両方の電極114a,
114bから斥力を受け、合力として強電界側から弱電
界側へ向かう力(誘電泳動力と呼ばれる)を受ける。し
たがって、電界勾配は、気泡118に対し常に強電界側
から弱電界側に向かう作用力を発生するものであり、本
実施の形態においては、インクの流れ方向Aに抗う方向
に気泡118が排除され、吐出口への気泡118の侵入
が防止される。
【0037】図1において、吐出口106へのの侵入が
防止され、インク収容部104側に押し戻された気泡1
18を捕獲して、完全に気泡118による問題を解消す
べく、インク流路112の地面に対向する側面(重力方
向に対向し、気泡118を有効に捕獲し得る面)であっ
て、インク収容部104近傍に凹部を設け、これを気泡
溜りとすることも好ましい(不図示)。さらに該凹部に
は、捕獲された気泡118がある程度の量溜まってきた
場合に、これを抜気すべく、バルブ手段を介して前記凹
部に連通する抜気管を設けることも好ましい態様である
(不図示)。所定のタイミングで自動的に、あるいは手
動でバルブ手段を開口することにより前記凹部に溜まっ
た気泡118を抜気することができ、長期間の使用によ
り前記凹部に溜まった気泡118が溢れ出るといった、
不具合を防止することができる。従って、前記凹部に連
通する抜気管を設ければ、半永久的に、気泡による不具
合の生じないインクジェット記録ヘッドとすることがで
きる。
【0038】吐出口への気泡の流入を防止する電界勾配
を生じさせるには、図1に示す電極114a,114b
の構成には、限られない。図3に、かかる電界勾配を生
じ得る他の電極の構成例を示す。図3(a)は曲面に電
極314a,314bを形成した例であり、電極314
a,314bの間隔が一方向に拡大しており、両電極の
間隔の広い側が弱電界、狭い側が強電界となる電界強度
の勾配が形成される。即ち、電極314a,314bが
曲面状に形成されていることを除けば、両電極の間隔を
不均一にして、強電界と弱電界を強制的に形成させてい
る点で、図1に示す電極114a,114bの構成と同
様である。
【0039】図3(b)は一方をアース電極332aと
し、他方の電極332bをその材料として所定の電気抵
抗を有する材料を用いた例である。電源手段を電極33
2bの両端に接続すると、電極材料の体積抵抗率及び電
極の断面積で決まる電気抵抗の効果で電極上に電位勾配
ができる。この構成では電極を平行になるように配して
も、電極332a,332b間に電界強度の勾配を形成
できるので、構成が簡易であるという利点がある。ま
た、両電極をこのような構成とすることで、電極332
aは、吐出電極108と兼用することが容易である(当
該兼用の具体的構成については、後述する)。
【0040】図3(c)は一方をアース電極334aと
し、他方の電極334bを複数の電極334b−1,3
34b−2,334b−3,334b−4および334
b−5に分割し、それぞれ個別の電源手段V1,V2,
V3,V4およびV5を接続した例である。この場合、
電源手段V1,V2,V3,V4およびV5による各電
圧の大きさが、V1>V2>V3>V4>V5となるよ
うに電圧を印加することにより、電極334a,334
b間に電界強度の勾配が形成される。また、電極をこの
ような構成とすることで、電極334aは、吐出電極1
08と兼用することが容易である(当該兼用の具体的構
成については、後述する)。
【0041】以上、図3で示した構成の各電極は、図1
におけるインク流路112側壁に配設され、吐出口への
気泡の流入を防止する電界勾配を生じさせる。なお、本
発明に適用可能な電極の構成は、以上で説明した例に限
定されるものではない。
【0042】電極114a,114b,332a,33
2b,334a,334b(以下、単に「電極114
a,114b等」という。)は、金属材料、あるいは樹
脂等の支持体に金属からなる導電層を設けた複合材料を
用いる。インク102による腐食を防ぐために電極11
4a,114b等の表面に樹脂などの保護層を設けても
よい。
【0043】インク102中にイオン化した成分が存在
する場合や帯電した成分(色材粒子102aを含む)が
存在する場合、それら成分は電界の向きに沿ってクーロ
ン力を受けることになり、正に荷電している成分は負極
側に、負に荷電している成分は正極側に泳動する(この
現象は「電気泳動」と呼ばれる)。その結果、電極11
4a,114b等表面あるいは電極114a,114b
を覆う保護層表面に不要の堆積物を生じることとなり、
同時にインク成分を変化させる結果となる。従って、イ
ンク流路112に形成される電界勾配としては、正負が
交互に反転する交流電界とすることにより、上記電気泳
動が生じないようにすることが望ましく、電極114
a,114b等に印加する電圧は、交流電圧であること
が望ましい。
【0044】交流電圧(電界)の周波数は、数Hzから
数MHzの範囲で適用可能である。しかし、周波数が低
すぎると上記電気泳動現象による問題が回避できず、周
波数が高すぎると電源が高価になり、それぞれ好ましく
ない。従って、好ましい周波数範囲としては10Hz〜
1MHzであり、より好ましくは50Hz〜500kH
zである。交流電圧(電界)の波形は、特に限定され
ず、三角波、sin波、矩形波、鋸波等あらゆる波形が
選択され得る。
【0045】交流電圧(電界)の振幅は、気泡のサイ
ズ、インクの粘度、インクの比誘電率、インクの流速、
インク流路のサイズ、電極形状等を勘案して決定され
る。気泡に作用する斥力(および、後述の色材粒子に作
用する引力)は、電界強度の2乗の変化率(grad
(E2))が大きいほど大きくなる。印加電圧の振幅が
大きい方が、(grad(E2))を大きくするヘッド
設計、および、パラメータ設計が容易になるので、振幅
としては、0Vを基準として10V以上が好ましく、よ
り好ましくは50V以上である。一方、あまり高電圧を
印加すると消費電力が増大し、吐出手段を制御する信号
への悪影響が生ずる可能性もあるため、振幅としては、
0Vを基準として1000V以下、より好ましくは30
0V以下である。
【0046】次に、インク102について説明する。イ
ンク102は、絶縁性のキャリア液体(絶縁性液102
b)中に、一様な電荷を保持することが可能な色材粒子
102aを分散した2成分インクである。インク102
には、色材粒子102aの帯電性を安定化させるために
帯電制御剤を含有させてもよく、分散安定化のため、あ
るいは表面張力調整のために界面活性剤を含有させても
よい。2成分インクとして公知なものには、例えば、電
子写真や静電記録に用いられる液体現像剤がある。
【0047】絶縁性液102bとしては、108Ω・c
m以上、好ましくは1011Ω・cm以上の電気抵抗率を
有し、気泡118より比誘電率の高い液体が利用可能で
ある。一般に絶縁性液の比誘電率は、印加する電圧の周
波数によって異なるものの通常真空の誘電率の数倍〜8
0倍であるのに対し、記録ヘッド100中に発生する気
泡118の成分は、空気、酸素、水素、窒素等であり、
いずれの場合も比誘電率は真空の比誘電率とほぼ等しく
なり、既述の電界勾配が有効に作用する。従って、10
8Ω・cm以上の電気抵抗率を有する液体であれば、そ
のほとんどを利用することができる。具体的には例え
ば、イソパラフィン系溶媒、ノルマルパラフィン系溶
媒、ヘキサン、ペンタン、オクタン等の炭化水素系有機
溶媒や、シリコーンオイル、フッ素オイルなどの無機オ
イル、リノール酸、オレイン酸などの高級脂肪酸、デカ
ノール、ジブチルブタノールなどの非水溶性アルコー
ル、マレイン酸ジブチル、フタル酸ジブチルなどの可塑
剤等が利用可能である。
【0048】色材粒子102aは、顔料粒子、あるいは
顔料や染料を結着樹脂に分散した粒子を用いる。色材粒
子102aとしては、個数平均粒子径として0.01〜
5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度の絶縁性粒
子が利用可能である。画像記録材料110上に加熱定着
するには、結着樹脂が熱可塑性樹脂からなるものが好ま
しく、例えば、ポリエステル系樹脂、エチレン−メタク
リル酸系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂などが挙げられる。これらの結着樹脂成分に、染料や
顔料を含有させて粒子状にして色材粒子102aとす
る。色材粒子102aには、帯電性を制御するために公
知の帯電制御剤を含有してもよい。
【0049】一般に2成分インクは、主に色材粒子が記
録に使用される。キャリア液体も色材粒子と共に飛翔す
る場合があるが、吐出口近傍のインクは記録に使用され
ると色材粒子の濃度が低下し、そのまま使用し続けると
記録濃度低下あるいは記録速度の低下が発生する。
【0050】記録濃度低下を防ぐためには、例えば吐出
口106近傍にフレッシュなインク102を供給する。
このときフレッシュなインク102を供給し続けると、
吐出口106およびその近傍からからインク102が溢
れるためこれを排出する構成が必要となる。排出したイ
ンク102を回収したり、回収したインク102に色材
粒子102aを再供給してインク102を循環・再利用
する手段を設けることも可能である。
【0051】本実施の形態においては、色材粒子102
aおよび絶縁性液102bの材料の組み合わせを選択し
て、吐出口106近傍に色材粒子102aを搬送・供給
し、色材粒子102aの濃度低下を防止し、ひいては連
続印字時の記録濃度低下あるいは記録速度の低下を防止
することができる。
【0052】すなわち色材粒子102aの比誘電率を、
絶縁性液102bの比誘電率より高くすると、前述の気
泡問題の防止と併せて、誘電泳動力の作用により色材粒
子102aを吐出口106近傍へ供給することができ
る。つまり、絶縁性液102bに対して比誘電率の大き
な色材粒子102aは、その表面に生ずる誘電分極によ
る電荷の偏りが、比誘電率の小さな気泡118とは正負
逆となり、電界勾配形成手段によりインク流路112に
形成される電界の勾配による引力の作用を受け弱電界か
ら強電界へ、言い換えれば吐出口106方向に引き寄せ
られる。吐出口106近傍に侵入させたくない気泡11
8は、電界の勾配による斥力の作用を受け有効にその進
行が妨げられ、一方、吐出口106に供給したい色材粒
子102aは、電界の勾配による引力の作用を受け有効
に吐出口106に向かって進行する。よって、気泡問題
の解決と同時に、連続印字時の記録濃度低下を防ぐこと
ができる。
【0053】なお、本発明において「比誘電率」とは、
対象となる物体の誘電率εと真空の誘電率ε0との比で
表したものであり、以下の式で表すことができる。 比誘電率εr=ε/ε0
【0054】このように電界勾配形成手段に色材粒子1
02aの供給機能を担わせるには、図1に示す本実施の
形態のように、電界勾配形成手段により形成される電界
の勾配が、吐出口106に近づくにしたがい電界強度が
大きくなるような電界の勾配であることが必要となる。
【0055】多量にインク102を収容するインク収容
部104から吐出口106の近傍までの間にわたって電
界勾配を形成することとすれば、上記インク102を排
出する手段を完全に省略することができ、インクを回収
および循環するための手段を必要とせず、装置の小型化
・簡略化を達成することができる。吐出口106近傍か
らインク102を排出することとした場合にも、インク
102の排出量を大幅に少なくすることができ、インク
を回収および循環するための負荷を軽減でき、装置の小
型化・簡略化を達成することができる。吐出口106の
近傍まで電界勾配を形成しようとする場合には、電極1
14aは吐出電極108を兼用することが好ましい(当
該兼用の具体的構成については、後述する)。
【0056】電界勾配形成手段に色材粒子102aの供
給機能を担わせる場合の色材粒子102aの結着樹脂と
絶縁性液102bの材料との組み合わせとしては、イン
ク102中における色材粒子102aの比誘電率が、同
絶縁性液102bの比誘電率より大きくなるような組み
合わせであれば、如何なる組み合わせをも選択すること
ができる。該組み合わせ(絶縁性液102b/色材粒子
102aの結着樹脂)としては、例えばイソパラフィン
系溶媒/ポリエステル樹脂、イソパラフィン系溶媒/エ
チレン−メタクリル樹脂、ノルマルパラフィン系溶媒/
ポリエチレン樹脂、ノルマルパラフィン系溶媒/エチレ
ン−メタクリル樹脂等が挙げられる。
【0057】下記表1に各種材料の比誘電率を示す。た
だし、特に樹脂の比誘電率は、重合度等により多少変化
するため、下記表1に示された数値は、一応の目安であ
る。
【0058】
【表1】
【0059】上記表1の中から、色材粒子の比誘電率
が、絶縁性液の比誘電率より大きくなるような組み合わ
せを選択して、適用することができるが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。
【0060】色材粒子の吐出口近傍への供給には、色材
粒子の比誘電率が、絶縁性液の比誘電率より少しでも大
きければ、その目的を達し得るが、色材粒子の比誘電率
と、絶縁性液の比誘電率との差が大きい方がより有効で
あり、具体的には、その差が0.5以上であることが好
ましく、より好ましくは1.0以上である。
【0061】以上、本実施の形態において1つの吐出口
106のみの場合について示したが、吐出口106は記
録ヘッドに複数設けられていてもよい。なお、図1にお
いては、便宜上、吐出口106が横方向に配置された図
を示しているが、インク吐出方向、即ち、記録ヘッド1
00の配置方向は所望により適宜選択することができ、
一般的にはインク滴は重力方向(下方)に向けて吐出さ
れる。
【0062】また、本実施の形態において電界の勾配
は、インクの流れ方向に平行に形成される形態で説明し
たが、本発明では、吐出口への気泡の流入を防止し得る
電界勾配であれば、インクの流れ方向に対し一定の角度
を持って形成されるものであってもよい。すなわち、電
界の勾配は、気泡を誘電泳動力により除去する方向を適
宜最適な方向に設定して設ける。例えば、気泡を進入さ
せたくない部分の上流に配置し、上流側を弱電界、下流
側を強電界になるように電界勾配を形成するように設定
し、この電界勾配により上流側からの気泡の進入を防ぐ
(第1の実施の形態の構成)。あるいは、気泡を滞留さ
せたくない部分に配置し、気泡を移動させたい向き(例
えば気泡溜や気泡抜きが配置される部分へ向かう向き)
に強電界から弱電界になるように電界勾配を形成するよ
うに設定し、この部分に気泡が滞留するのを防ぐ。
【0063】図4は、本発明のインクジェット記録ヘッ
ドの一例として、第2の実施の形態の記録ヘッド400
の動作状態を表す拡大断面図である。図4に示す本実施
の形態の如く、インク流路412側壁に凹部(気泡溜)
422が設けられ、インク流路412から凹部422に
向けて電界強度が低下する電界を生じ得る一対の電極4
14a,414bが、凹部422内側面に配されてなる
構成とすれば、制御電源420により一対の電極414
a,414bに電圧を印加することで生ずる電界勾配に
よりインク402中の気泡418が凹部422に捕獲さ
れ、吐出口406への気泡418の流入を防止し得る。
【0064】また凹部422には、凹部422に捕獲さ
れた気泡418がある程度の量溜まってきた場合に、こ
れを抜気すべく、バルブ手段を介して凹部に連通する抜
気管(気泡抜き)を設けることも好ましい態様である
(不図示)。所定のタイミングで自動的に、あるいは手
動でバルブ手段を開口することにより凹部422に溜ま
った気泡418を抜気することができ、長期間の使用に
より凹部422に溜まった気泡418が溢れ出るといっ
た、不具合を防止することができる。従って、凹部42
2に連通する抜気管を設ければ、半永久的に、気泡によ
る不具合の生じないインクジェット記録ヘッドとするこ
とができる。
【0065】本実施の形態におけるその他の構成は、第
1の実施の形態と同様であり、作用および効果も同様で
あるため、その説明は省略する。ただし、本実施の形態
の構成では、電界勾配形成手段に色材粒子402aの供
給機能を担わせることはできない。
【0066】図5は、本発明のインクジェット記録ヘッ
ドの一例として、第3の実施の形態の記録ヘッド500
の動作状態を表す拡大断面図である。図5に示す記録ヘ
ッド500は、電界勾配形成手段としての電極514
a,514bのうちの一方の電極514aが吐出電極5
08をも兼ねる構成である。本実施の形態では、構成が
簡単になり装置の小型化を達成することができる。さら
に吐出電極508と、電界勾配形成手段としての電極の
片側514aを一度の工程で形成し兼用電極508,5
14aとすれば、製造工程を省け、装置を安価なものに
することができる。兼用電極508,514aとするに
は、兼用電極508,514aを接地電位(0V)にし
て共用したり、電位勾配を形成するための制御電源52
0からの電圧に、吐出用の制御電源522からの電圧を
重畳させたり(あるいは逆に重畳させたり)、印字(記
録)中は電界勾配を形成するための制御電源520から
の電圧を印加せず、印字(記録)休止中にのみ電圧を印
加する等の構成が挙げられる。このうち、兼用電極50
8,514aを接地電位にして共用するのが、特別な制
御や手段を必要としない点で好ましい。
【0067】本実施の形態におけるその他の構成は、第
1の実施の形態と同様であり、作用および効果も同様で
あるため、その説明は省略する。
【0068】以上、本発明を実施の形態を挙げて説明し
てきたが、本発明は上記実施の形態に挙げたものに限定
されるものではなく、例えば電極の形状や配置する位
置、電圧の印加方法等は上記実施の形態で挙げられたも
の以外のものも適用しうる。
【0069】また、上記実施の形態においては、すべて
吐出口、およびインクの吐出方向が左向きであるが、下
向き、上向き、右向き、あるいはこれら相互の中間等、
如何なる方向に本発明のインクジェット記録ヘッドが向
いていても構わない。
【0070】以上の如き構成の本発明のインクジェット
記録ヘッドは、従来からあるいわゆるインクジェット記
録装置、即ち、画像記録媒体を搬送する搬送手段と、前
記搬送手段により搬送される前記画像記録媒体に対しイ
ンクを吐出して画像を記録するインクジェット記録ヘッ
ドと、前記インクジェット記録ヘッドに画像信号を入力
する画像信号入力手段と、を備えるインクジェット記録
装置において、好適に用いられる。本発明のインクジェ
ット記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置は、イ
ンクジェット記録ヘッドの吐出口近傍への気泡の侵入が
防止され、気泡によるインク吐出不良等の不具合が生じ
にくく、さらに絶縁性液に対して比誘電率の大きなイン
ク中の色材粒子を用いた場合には、インク中の色材粒子
をノズル先端付近に簡便に搬送、供給することができ、
画像濃度の十分な画像を連続的に、高速度で形成するこ
とができる。
【0071】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
するが、本発明は、これに限定されるものではない。 (実施例)図6に、実施例に用いたインクジェット記録
装置の模式断面図を示す。図6は、図1に示す第1の実
施の形態の記録ヘッド100の動作状態を表す拡大断面
図と、基本的な構成は同様である。
【0072】実施例に用いたインク602(2成分イン
ク)は、色材粒子602aとして個数平均粒径1μmの
エチレン−メタクリル酸樹脂系のトナー樹脂(比誘電率
3.0)、絶縁性液(キャリア液体)602bとしてイ
ソパラフィン系溶媒のアイソパー(比誘電率2.0)を
用いた。
【0073】吐出口606は、シリコン基板624(厚
さ40mm)にレーザー加工で直径100μmの穴を6
4個空けて形成した。このシリコン基板をインク流路6
12に合わせて接着した。
【0074】インク流路612は、吐出口606に共通
のインク供給部であるインク収容部604から個々の吐
出口606へインク602を供給する流路であり、イン
クの流れ方向に対して垂直の断面形状が長方形となって
いる。シリコン基板(厚さ0.3mm)に、吐出口60
6側の流路の幅150μm、インク収容部604側流路
の幅250μm、インク流路612の長さ500μmと
なるようなパターンにフォトレジストの保護膜を形成
し、異方エッチング処理で深さ150μmの溝を(すな
わち長方形断面溝)を形成した後、フォトレジスト保護
膜を除去し、電界勾配形成用の電極614a,614b
(材質:白金、大きさ約150×500μm)を所定の
位置(溝の側面)に形成し、セラミックス製の板(厚さ
0.2mm)と貼り合わせてインク流路612を形成し
た。
【0075】吐出電界の印加手段は、インク流路612
の吐出口606近傍(シリコン基板624に形成された
吐出口606の穴のエッジ部)に配置された吐出電極6
08、画像記録材料610を介して吐出口606に対向
する対向電極(背面電極)616、および制御電源62
2からなる。
【0076】吐出電極608は、吐出口606の穴のエ
ッジ部に、ニッケル製の電極をスパッタ法で形成したも
のであり、吐出口606端部で吐出口606の穴のエッ
ジ部全周に配置され、制御電源622に接続されてい
る。
【0077】対向電極(背面電極)616はアルミニウ
ム製で、画像記録材料610の搬送方向の厚さが2mm
で、画像記録材料610の背面に画像記録材料610と
接触して配置され制御電源622に接続されている。
【0078】電界勾配形成用の電極614a,614b
は、インク流路612を形成後、インク流路612壁面
に一様に白金膜をスパッタで作製した後、レーザーで所
定の形状(大きさ約150×500μm)に切断し、不
要部を除去して作製した。なお、吐出口606側では吐
出電極608と接触しないように、電極614a,61
4bと吐出電極608との間に0.1mm距離を設けて
ある。
【0079】本実施例では、インク流路612に、対向
する一対の電極614a,614bが配設されている。
電極614a,614bが配設される区間のインク流路
612の形状は、矢印Y方向へ進むにしたがいインク流
路612の開口面積が連続的に減少するような形状とな
っており、かかる形状のインク流路612側壁に電極6
14a,614bが配設されている。従って、電極61
4a,614b間の間隙は、矢印Y方向へ進むにしたが
い狭まっている。
【0080】本実施例の記録ヘッド600を用いてイン
クジェット記録を行う際、電極614a,614b間に
接続された制御電源620により、周波数400Hz、
0Vを基準として振幅200Vのsin波交流電圧を印
加され、その結果インク流路612中に電界勾配が形成
される。本実施例における電界勾配は、インクの流れ方
向(図中矢印Y方向)に対して、インク流路612の下
流側(吐出口606側)の電界が強く、上流側(インク
収容部604側)が弱くなるような状態に形成される。
【0081】本実施例に使用した画像記録材料610
は、電子写真用の普通紙で、図示しない搬送手段によっ
て記録ヘッド600と対向電極(背面電極)616との
間を、対向電極(背面電極)616に接触しつつ、搬送
方向を示す矢印方向に搬送される。画像記録材料610
の表面と記録ヘッド600の吐出口606との距離は
0.5mmに設定されている。
【0082】吐出用の制御電源622は、画像信号に応
じた電圧を1kHzの記録周波数で印加する。記録濃度
の設定に応じてピーク電圧を150Vから600Vの間
で調整する。
【0083】インク収容部604には、記録ヘッド60
0外部のインクタンク(不図示)が接続され、吐出口6
06の毛管力とインクタンク内のインク圧力によりイン
ク収容部604にインク602が供給される。インク収
容部604には常にインク602が満たされており、吐
出口606へ供給すべき色材粒子602aが十分に存在
している。
【0084】以上の実施例のインクジェット記録装置を
用いて、以下に示す印字テストを行った。まず、室温2
2℃の環境で印字状態に異常が無いことを確認した後、
環境温度を40℃に上げて溶存気体が析出しやすい状態
とした後、その状態で一晩放置し、環境条件を戻さずに
画像印字を実施し、印字状態を確認した。このとき、装
置の電源投入と同時に電界勾配形成用の電極614a,
614bに前記交流電圧を印加し、インク流路612内
部の気泡618が排出される状態とした後に画像印字を
行った。その結果、気泡618が原因として起こるイン
ク602の供給不良による印字不良は発生しなかった。
また、印字中に電極614a,614bに前記交流電圧
を印加し続け、その状態で連続的に印字を続けたとこ
ろ、画像濃度が低下することがなく、均一な画像が記録
された。
【0085】(比較例)電極614a、614bおよび
制御電源620を有しない以外は、上記実施例と同様の
インクジェット記録ヘッドを作製し、実施例と同様に印
字テストを行ったところ、初期においては問題ない印字
状態であったが、前記状態で一晩放置した後の印字テス
トでは、気泡が原因として起こるインクの供給不良によ
る印字不良が発生した。さらに、バキューム吸引方式に
よりインク流路中の気泡をインクごと除去した後、再び
連続的に印字テストを行ったところ、ごく初期において
は十分な画像濃度の画像が得られたが、すぐに色材粒子
不足によると思われる画像濃度の低下が見られた。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、気泡がインク流路に滞
留する、あるいはインク流路に気泡が進入するのを、気
泡の誘電泳動力によって防止することができるので、気
泡に起因するインク供給不良が発生しない。また、気泡
によるインク供給不良を回復するためのバキュームなど
の回復手段を設ける必要がなく、装置が複雑になり高価
になるのを防げる。また、供給不良の回復動作に起因す
る印字待ち時間を省略でき、トータルの印字時間を短縮
できる。
【0087】さらに本発明によれば、色材粒子の比誘電
率を絶縁性液の比誘電率より高くすると、吐出口付近に
おいて不足しがちな色材粒子を簡易に供給することがで
き、連続印字時の記録濃度低下を防ぐことができる。記
録装置にインク循環手段を有する場合は、インク供給量
やインク循環手段の負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態のインクジェット記録ヘッ
ドの動作状態を表す拡大断面図である。
【図2】 電界勾配による気泡流入防止の作用について
説明するための、図1のインクジェット記録ヘッドの電
極周辺の模式拡大図である
【図3】 電界勾配を生じ得る電極の構成例を示す模式
断面図である。
【図4】 第2の実施の形態のインクジェット記録ヘッ
ドの動作状態を表す拡大断面図である。
【図5】 第3の実施の形態のインクジェット記録ヘッ
ドの動作状態を表す拡大断面図である。
【図6】 実施例に用いたインクジェット記録装置の模
式断面図である。
【符号の説明】
100、400、500、600 記録ヘッド 102、402、602 インク 102a、402a、602a 色材粒子 102b、402b、602b 絶縁性液 104、604 インク収容部 106、406、606 吐出口 108、508、608 吐出電極 110、610 画像記録材料 112、412、612 インク流路 114a、114b、314a、314b、332a、
332b、334a、334b、414a、414b、
514a、514b、614a、614b 電極 116、616 対向電極(背面電極) 118、418、618 気泡 120、420、520、620 制御電源(電界勾配
形成用) 122、522、622 制御電源(吐出用) 422 凹部 624 シリコン基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平潟 進 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 佐藤 博昭 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 末光 裕治 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 長谷部 恵 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 毛利 哲 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF05 AF78 AH07 BD05 BD17

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像記録材料に色材粒子を吐出する吐出
    口と、絶縁性液中に色材粒子を分散させてなるインクを
    収容するインク収容部と、インク収容部と吐出口とを連
    通するインク流路と、画像信号に応じてインク中の色材
    粒子を吐出させるための電界を形成する吐出手段と、か
    らなるインクジェット記録ヘッドにおいて、 インク流路に、吐出口への気泡の流入を防止する電界の
    勾配を形成する電界勾配形成手段を有することを特徴と
    するインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 電界勾配形成手段により形成される電界
    の勾配が、吐出口に近づくにしたがい電界強度が大きく
    なるような電界の勾配であることを特徴とする請求項1
    に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 インク中における色材粒子の比誘電率
    が、同絶縁性液の比誘電率より大きいことを特徴とする
    請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 電界勾配形成手段が、インク流路側壁
    に、対向して配設された少なくとも一対の電極からなる
    ことを特徴とする請求項2または3に記載のインクジェ
    ット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 インク流路における一対の電極が配設さ
    れる区間の形状が、吐出口に近づくにしたがい、インク
    流路の開口面積が連続的に減少するような形状であるこ
    とを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録ヘ
    ッド。
  6. 【請求項6】 前記電界勾配形成手段における一対の電
    極のうち一方が、吐出手段の電極を兼ねる構成であるこ
    とを特徴とする請求項4または5に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれか1に
    記載のインクジェット記録ヘッドを用い、該インクジェ
    ット記録ヘッドのインク収容部およびインク流路に、絶
    縁性液中に色材粒子を分散させてなるインクを供給し、
    吐出手段により画像信号に応じて色材粒子を吐出させる
    ための電界を形成し、インク吐出口からインクを吐出さ
    せて記録を行うインクジェット記録方法であって、前記
    インクジェット記録ヘッド内の電界勾配形成手段によ
    り、インク流路に電界を生じさせることを特徴とするイ
    ンクジェット記録方法。
  8. 【請求項8】 画像記録材料を搬送する搬送手段と、前
    記搬送手段により搬送される前記画像記録材料に対し、
    絶縁性液中に色材粒子を分散させてなるインク中の色材
    粒子を吐出して画像を記録するインクジェット記録ヘッ
    ドと、前記インクジェット記録ヘッドに画像信号を入力
    する画像信号入力手段と、を備えるインクジェット記録
    装置において、前記インクジェット記録ヘッドが請求項
    1ないし6のいずれか1に記載のインクジェット記録ヘ
    ッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004059295A1 (ja) * 2002-12-25 2004-07-15 Cluster Technology Co., Ltd. 液体試料吐出方法およびその装置
KR100627705B1 (ko) 2004-09-07 2006-09-26 학교법인 성균관대학 정전기장을 이용한 잉크분사방법과 잉크분사장치

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