JP2000269825A - ビタビ復号装置及びビタビ復号方法 - Google Patents

ビタビ復号装置及びビタビ復号方法

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JP2000269825A
JP2000269825A JP11067328A JP6732899A JP2000269825A JP 2000269825 A JP2000269825 A JP 2000269825A JP 11067328 A JP11067328 A JP 11067328A JP 6732899 A JP6732899 A JP 6732899A JP 2000269825 A JP2000269825 A JP 2000269825A
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viterbi decoding
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soft
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JP11067328A
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Yoshito Miyazaki
良人 宮崎
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Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝送路の状態が悪い場合の復号化利得の向上
と、伝送路の状態が良好な場合の待ち受け時間の延長を
共に図る。 【解決手段】 伝送路の状態が悪い場合は軟判定ビタビ
復号を行う一方、伝送路の状態が良好な場合は硬判定ビ
タビ復号を行うようにする。軟判定ビタビ復号により、
伝送路の状態が悪い場合の復号化利得向上を図りつつ、
硬判定ビタビ復号により、伝送路の状態が良好な場合の
待ち受け時間の延長を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビタビ復号装置及
びビタビ復号方法に関し、例えば、符号分割多元接続方
式を用いた通信システムなどに適用するビタビ復号装置
及びビタビ復号方法に関する。
【0002】
【従来の技術】<CDMA方式>共通の中継器あるいは
中継基地を、多数のユーザで効率よく共用する通信回線
の構成法を多元接続方式と言い、符号分割多元接続(C
ode Division Multiple Acce
ss:CDMA)方式はその一つである。
【0003】CDMA方式では、各ユーザに特定の符
号、すなわち特定のPN(Pseudo Noise:
疑似雑音)系列や特定の周波数ホッピングパターンが割
り当てられ、自己の符号と照合することによってチャネ
ルを分離する。各ユーザの信号は同一の帯域を共有し、
時間的にも分離できない。CDMA方式では多元接続が
スペクトル拡散通信(Spread Spectrum
Communication:SS)で行われるため、
スペクトル拡散多元接続(Spread Spectr
um Multiple Access:SSMA)とも
呼ばれる。
【0004】CDMA方式ではFDMA(周波数分割多
元接続)方式やTDMA(時分割多元接続)方式などの
他の多元接続法式と異なり、同時通話ユーザ数が設計値
以上になっても、S/Nが劣化し通話品質が下がるだけ
で通話拒絶が起きず、過負荷通信が可能であるうえ、交
換機なしの直接通話が可能で、しかも符号を知らなけれ
ば復調できないため盗聴を防いでプライバシーを確保で
きるなど、様々な魅力を持っており、衛星通信システム
や移動体通信システムなど幅広い分野で利用されてい
る。
【0005】図27は、CDMA方式を用いた通信シス
テムの構成図であり、図では簡単化のために、ランダム
誤り訂正のための符号化及び復号化ブロック、バースト
誤り訂正のためのインターリーブブロック、多元接続の
ための拡散変調及び逆拡散ブロックのみを示している。
【0006】図において、51は不図示の情報源で作ら
れた信号系列52のkビットごとにnビット(n>k)
の畳込み符号(Convolutional Cod
e)を発生してその信号系列53を出力する畳込み符号
器、54は信号系列53の配列を所定のインターリーブ
規則に従って入れ換えるインターリーバ、55はインタ
ーリーブされた信号系列56を特定のPN符号で拡散変
調する拡散器、57は拡散変調された信号系列58に、
ある確率で発生するランダム誤りやバースト誤り系列を
加えて伝送する伝送路、59は伝送路57を介して伝え
られた信号系列60を同一のPN符号で逆拡散復調する
逆拡散器、61は逆拡散された信号系列62の配列を元
に戻すデ・インターリーバ、63はデ・インターリーバ
61から出力された信号系列64をビタビ復号(Vit
erbi Decoding)法を用いて復号(誤り訂
正)し、再生された信号系列65として出力するビタビ
復号器である。
【0007】<畳込み符号>図28は、畳込み符号器5
1の構成図であり、ここでは、図示の簡単化のために、
k=1、n=2とし、信号系列52の1ビットごとに2
ビットの畳込み符号の信号系列53を発生するものを例
示する。すなわち、この場合の畳込み符号器51の符号
化率R=k/nは、R=1/2である。
【0008】図28において、51a及び51bはD−
FFなどの遅延素子、51c、51d及び51eはmo
d2の加算素子である。mod2の加算とは、「0+0
=0」、「1+0=1」、「0+1=1」及び「1+1
=0」の計算規則を持つ加算のことである。1+1が0
になる点で通常の加算と異なっており、この計算規則
は、半導体論理素子のイクスクルーシブオア(exO
R)の論理演算に相当する。
【0009】入力信号系列52をDtで表し、出力信号
系列53を(W1t W2t)で表すことにする。添え字
のtは時刻である。例えば、時刻0でD0が入ると(W1
0 W20)が出る。
【0010】W1tは、現在のDtとその2時刻前のDt
(すなわちDt-2)のmod2加算結果で与えられる。
また、W2tは、Dtとその1時刻前のDt(すなわちD
t-1)のmod2加算結果と、Dt-2のmod2加算結果
で与えられる。
【0011】例えば、畳込み符号器51を初期状態(遅
延素子51a、51bの状態を0)にした後、Dtを0
にすると、W1t=0、W1t=0となり、Dt+1を1に
すると、W1t+1=1、W1t+1=1となり、Dt+2を1
にすると、W1t+2=1、W2t+ 2=0となり、Dt+3
1にすると、W1t+3=0、W2t+3=1となる。
【0012】<樹枝状符号表現とトレリス表現>各時刻
の遅延素子51a、51bの状態(記憶内容)は「0」
か「1」であり、その記憶内容の組合わせ(ステート:
Stateと言う)は、「00」、「10」、「01」
及び「11」の4通りになる。これらのステートをそれ
ぞれS00、S01、S10、S11で表すことにすると、図2
9に示す“樹枝状符号表現”(Tree Code Re
presentation)と呼ばれる図表を用いて畳
込み符号器の動作遷移を説明できる。
【0013】図29において、ツリー状に左から右へと
分岐する各枝(ブランチ)に書かれた2桁の数値は、ス
テートごとの出力信号系列53(W1t W2t)であ
る。各枝の分岐点から上に延びる枝は、入力信号系列5
2の論理0に対応し、下に延びる枝は論理1に対応す
る。畳込み符号の任意の符号系列はこの枝の連なりで表
すことができ、入力信号系列52に対応した枝の連なり
のことを“パス”と言う。例えば、入力信号系列52を
(0110・・・・)とした場合、それに対応する出力信号
系列53は(00 11 10 10 ・・・・)となり、
図39の太線で示したパスになる。
【0014】図29の樹枝状符号表現において、破線で
囲まれた部分に注目すると、上から順にS00、S01、S
10、S11のステートが並んでおり、この周期性は当該破
線部分の右側以降のツリー部分においても変わらない。
この点に着目して樹枝状符号表現を整理したものが、図
30に示す“トレリス表現”(Trellis Rep
resentation)と呼ばれるものである。
【0015】図30において、黒丸はステートであり、
横軸は時刻である。任意の畳込み符号をこのトレリス表
現で書くことができる。R=k/nの畳込み符号器は、
その符号器内にk〔ビット〕ずつ情報が入力されるの
で、各ステートごとに2k本に枝分かれするトレリス表
現になり、また、符号器の遅延素子の数をMとすれば、
ステートは2M個となる。
【0016】図中の実線は樹枝状符号表現における上に
延びる枝(論理0)に対応し、破線は同表現における下
に延びる枝(論理1)に対応する。
【0017】ここで、太線は、例えば、符号系列(00
11 10 10 ・・・・)のパスを示しているが、こ
のパス上の各ステートの分岐方向(実線方向:論理0、
破線方向:論理1)を判定することにより、符号化前の
信号系列(0110・・・・)を再現できる。この原理を応
用して畳込み符号の復号を行うのがビタビ復号器63で
ある。
【0018】<ビタビ復号>ビタビ復号器63は、詳細
は後述するが、要するに、畳込み符号の信号系列をn
〔ビット〕ずつ入力しながらトレリス表現のブランチを
順次に伸ばしていき、同一のステートに集まる各ブラン
チの符号(図30の実線又は破線上の二桁の数値)と、
入力されたn〔ビット〕の信号系列との間の“ハミング
距離”を比較し、小さい方を生き残りのブランチとしな
がら最終的に生き残った1本のパスを用いて畳込み符号
の復号を行う。
【0019】ここで、ハミング距離(Hamming
Distance)とは、二つの符号列の対応する位置
のビットが異なっている箇所の数のことである。例え
ば、(00)と(00)のハミング距離は0、(00)
と(01)及び(00)と(10)のハミング距離は
1、(00)と(11)のハミング距離は2である。
【0020】<硬判定と軟判定>ハミング距離を用いた
ビタビ復号のことを“硬判定ビタビ復号”と言うことが
ある。ハミング距離は、0と1の二値しか持たない情報
同士の比較結果であり、そのような二値情報のことを硬
判定情報と言うからである。これに対して、受信信号系
列の“確からしさ”の情報(軟判定情報と言う)を加味
してビタビ復号を行う復号法のことを軟判定ビタビ復号
法と言う。
【0021】軟判定情報の一例は、受信信号系列のシン
ボル(ある時間幅の中で信号がとる離散的な状態すなわ
ち幾つかの有限個のレベルに量子化された信号の個々の
レベルのこと)を三値以上の多値にし、極性で情報
(+:論理1、−:論理0)を表すと共に、値の大小で
情報の確からしさ(尤度:ゆうど)を表したものであ
る。値の大小は伝送路の状態を検出(推定)して決定す
る。例えば、m値の軟判定情報は+1〜+mで論理1
を、−1〜−mで論理0を表すことができ、且つ、±m
に近いほどその情報の確かさ(伝送路の状態が良好でラ
ンダム誤りが発生しない)を表すことができる。
【0022】軟判定ビタビ復号では、硬判定ビタビ復号
に比べて約2dBの復号化利得の向上を図ることがで
き、特に、移動体通信のように伝送路の状態が変動しや
すい(したがって、ランダム誤りが発生しやすい)環境
で用いられるシステムに適用して好ましい復号法であ
る。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
軟判定ビタビ復号装置にあっては、伝送路の状態にかか
わらず常に軟判定情報に基づくビタビ復号を行っている
ため、例えば、伝送路の状態が良好な場合であっても、
軟判定情報の確からしさの判定(尤度の判定)など、不
必要な処理動作を継続して行っており、それだけ電力を
無駄に消費して、特に、携帯型の移動体通信装置のバッ
テリ寿命を損ない、同装置の待ち受け時間を短くすると
いう問題点があった。
【0024】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、伝送路の状態が悪い場合の復号化利得の向上と、
伝送路の状態が良好な場合の待ち受け時間の延長を共に
図ることにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、伝送路の状態
が悪い場合は軟判定ビタビ復号を行う一方、伝送路の状
態が良好な場合は硬判定ビタビ復号を行うようにした。
【0026】具体的には、請求項1記載の発明は、入力
された畳込み符号系列をビタビ復号法により復号するビ
タビ復号器を備えたビタビ復号装置において、前記畳込
み符号系列を伝送する伝送路の状態を検出する検出手段
と、前記畳込み符号系列と前記検出手段の検出結果とを
用いて前記畳込み符号系列に対応した軟判定符号系列を
生成する生成手段と、前記検出手段の検出結果に従って
前記ビタビ復号器の動作を、前記畳込み符号系列を入力
とする硬判定ビタビ復号動作と前記軟判定符号系列を入
力とする軟判定ビタビ復号動作とに択一的に切替える切
替え手段と、を備えたことを特徴とする。請求項2記載
の発明は、請求項1記載の発明において、前記切替え手
段は、前記検出手段の検出結果とヒステリシス特性を持
つ複数のしきい値とを比較して切替え動作を行うことを
特徴とする。請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記検出手段は、直接拡散−スペクトル拡
散方式の受信信号の同期捕捉を行う同期捕捉手段であっ
て、同期の捕捉状態を示す相関値を出力することを特徴
とする。請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明に
おいて、前記検出手段は、前記ビタビ復号器から出力さ
れたビタビ復号後の符号系列とビタビ復号前の符号系列
との符号相関をとり、その相関値を出力することを特徴
とする。請求項5記載の発明は、入力された畳込み符号
系列をビタビ復号法により復号するビタビ復号器を備え
たビタビ復号装置において、前記畳込み符号系列を伝送
する伝送路の状態を検出する検出手段と、前記畳込み符
号系列と前記検出手段の検出結果とを用いて前記畳込み
符号系列に対応した軟判定符号系列を生成する生成手段
と、前記検出手段の検出結果に従って前記軟判定符号系
列の分割数(m)を変更する変更手段と、前記畳込み符
号系列の代わりに前記軟判定符号系列を前記ビタビ復号
器に入力する入力手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、
前記変更手段は、前記検出手段の検出結果とヒステリシ
ス特性を持つ複数のしきい値とを比較して分割数の変更
動作を行うことを特徴とする。請求項7記載の発明は、
請求項5記載の発明において、前記軟判定符号系列の分
割数(m)は1を含むことを特徴とする。請求項8記載
の発明は、入力された畳込み符号系列をビタビ復号器に
より復号するビタビ復号方法において、前記畳込み符号
系列を伝送する伝送路の状態を検出する第1ステップ
と、前記畳込み符号系列と前記第1ステップの検出結果
とを用いて前記畳込み符号系列に対応した軟判定符号系
列を生成する第2ステップと、前記第1ステップの検出
結果に従って前記ビタビ復号器の動作を、前記畳込み符
号系列を入力とする硬判定ビタビ復号動作と前記軟判定
符号系列を入力とする軟判定ビタビ復号動作とに択一的
に切替える第3ステップと、を含むことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、
前記第3ステップは、前記第1ステップの検出結果とヒ
ステリシス特性を持つ複数のしきい値とを比較して切替
え動作を行うことを特徴とする。請求項10記載の発明
は、請求項8記載の発明において、前記第1ステップ
は、直接拡散−スペクトル拡散方式の受信信号の同期捕
捉を行う際に、同期の捕捉状態を示す相関値を出力する
ことを特徴とする。請求項11記載の発明は、請求項8
記載の発明において、前記第1ステップは、前記ビタビ
復号器から出力されたビタビ復号後の符号系列とビタビ
復号前の符号系列との符号相関をとり、その相関値を出
力することを特徴とする。請求項12記載の発明は、入
力された畳込み符号系列をビタビ復号器により復号する
ビタビ復号方法において、前記畳込み符号系列を伝送す
る伝送路の状態を検出する第1ステップと、前記畳込み
符号系列と前記第1ステップの検出結果とを用いて前記
畳込み符号系列に対応した軟判定符号系列を生成する第
2ステップと、前記第1ステップの検出結果に従って前
記軟判定符号系列の分割数(m)を変更する第3ステッ
プと、前記畳込み符号系列の代わりに前記軟判定符号系
列を前記ビタビ復号器に入力する第4ステップと、を含
むことを特徴とする。請求項13記載の発明は、請求項
12記載の発明において、前記第3ステップは、前記第
1ステップの検出結果とヒステリシス特性を持つ複数の
しきい値とを比較して分割数の変更動作を行うことを特
徴とする。請求項14記載の発明は、請求項12記載の
発明において、前記軟判定符号系列の分割数(m)は1
を含むことを特徴とする。
【0027】
【発明の第1実施形態】以下、本発明の第1実施形態
を、DS−SSMA(直接拡散−スペクトル拡散多元接
続)方式の通信装置を例にして、図面を参照しながら説
明する。
【0028】図1は、通信装置の受信系の要部ブロック
図であり、10はA/D、11はスライディング相関器
(検出手段)、12はタイミング発生器、13はDL
L、141は第1フィンガ部、・・・・、14mは第mフィン
ガ部、15はRAKE合成部、16はデ・インターリー
バ、17はビタビ復号器(生成手段、変更手段)、18
は復号動作判定部(切替え手段、入力手段)である。
【0029】なお、図示を省略しているが、通信装置の
受信系には、その受信ヘッド部分に、送信系で通常のベ
ースバンド変調(2相若しくは2相以上のASK変調や
KSK変調又はPSK変調などによる変調;1次変調と
言う)と特定のPN符号による拡散変調(2次変調と言
う)とが施された高周波のキャリア(搬送波)信号を受
信する高周波受信部と、高周波受信部で受信されたキャ
リア信号を内部処理に適した中間周波数信号にダウンコ
ンバートする周波数変換部とが設けられている。
【0030】各部の機能を説明する。 <A/D>A/D10は、不図示の周波数変換部から出
力された中間周波数信号19をディジタルの信号系列2
0に変換する。この段階の信号系列20は、特定のPN
符号で2次変調された拡散符号系列を保っている。
【0031】<スライディング相関器>スライディング
相関器11は、逆拡散に必要なPN符号を特定(同期捕
捉:Acquisition)すると共に、特定したP
N符号の位相を保つ(同期保持:Tracking)た
めのものである。
【0032】ここに、DS−SS(直接拡散−スペクト
ル拡散)の最も簡単な変調方式は2相PSK変調である
から、この方式を例にして同期捕捉と同期保持を概説す
る。2相PSK変調の受信信号r(t)は、 r(t)=√A・d(t)・c(t)・cos(ωCt+φ) +n(t) ・・・・(1) 但し、A=2P で表される。Pは信号電力、d(t)は情報データで±
1の値をとる。c(t)は拡散符号であり、d(t)よ
りも高速に変化する符号であり、±1の値をとる周期信
号である。ωC(=2πfC)は搬送波角周波数、φは搬
送波の位相、n(t)は雑音である。
【0033】同期捕捉・保持の目的は、c(t)と同位
相の信号を発生し、その信号をr(t)に乗積して
(1)式中のc(t)を取り除き、拡散された信号を挟
帯域(ベースバンド)の2相PSK信号に戻す(逆拡
散)ことにある。すなわち、逆拡散出力z(t)は、 z(t)=r(t)・c(t) =√A・d(t)・{c(t)}2・cos(ωCt+φ) +n(t) ・・・・(2) となり、c(t)は乱数であるが、そのとり得る値は±
1に限定されているので、{c(t)}2は常に1であ
る。したがって、(2)式は、 z(t)=√A・d(t)・cos(ωCt+φ)+n(t) ・・・・(3) となり、(1)式中のc(t)、すなわち受信信号中の
PN符号を取り除くことができる。
【0034】こうした目的を達成するための同期捕捉・
保持回路は、図示のスライディング相関をはじめ、遅延
線整合フィルタによるもの、逐次推定法(Sequen
tial Estimation Method)による
もの、最尤推定法によるものなど様々存在する。同期捕
捉の速さや同期保持の性能などを勘案してシステムに適
したものが用いられる。
【0035】スライディング相関法は、受信信号(図で
はA/D10から出力された符号系列20)に含まれる
PN符号の位相を、いわば総当たり方式で順次に調べて
ゆく。すなわち、まず適当な位相のPN符号を作って受
信信号と乗積し、それをPN符号の1周期にわたって積
分する。その積分値があらかじめ定めてあるスレッショ
ルドレベルよりも大きければそこを同期ポイントとして
終了するが、スレッショルドを下回っていればPN符号
の位相を少しだけ動かし、再び受信信号との乗積・積分
を繰り返す。
【0036】上記積分値は、システムが同期状態にある
場合に大きな値を示し、同期が外れると小さな値を示
す。このような変化を示す積分値は、受信信号中のPN
符号(c(t))の“確からしさ”を表す情報であると
言うことができ、受信信号中のPN符号の確からしさ
は、同一の受信信号中の情報データ(d(t))の確か
らしさも意味するから、換言すれば、上記積分値は、伝
送路の状態を表す情報であると言うこともできる。
【0037】以下、上記積分値若しくはそれに相当する
値のことを“相関値”(図示の相関値21参照)と言う
ことにすると、この相関値21が高い場合は受信信号に
含まれるPN符号(c(t))や情報データ(d
(t))の誤りが少なく、したがって、伝送路の状態が
良く、一方、相関値が低い場合は受信信号に含まれるP
N符号(c(t))や情報データ(d(t))の誤りが
多く、したがって、伝送路の状態が悪いことを示す。
【0038】<タイミング発生器>タイミング発生器1
2は、スライディング相関器11の相関結果に従って、
符号系列20に含まれるPN符合の捕捉と保持に必要な
各種タイミング信号22を発生する。
【0039】<DLL>DLL13は、遅延同期ループ
(Delay Locked Loop)を用いて同期保
持に必要な各種タイミング信号23を発生する。
【0040】<フィンガ部>第1〜第mフィンガ部14
1〜14mは、伝送路の遅延分散(マルチパス伝送路の経
路長差による分散;マルチパスの個数が多いほど遅延分
散は大きい)により分散した信号のパワーを拾い集める
ためのものである。mは想定するマルチパスの個数であ
る。次のRAKE合成部と共に最大比合成ダイバーシチ
ー回路を構成する。
【0041】<RAKE合成部>RAKE合成部15
(RAKEとは英語で“くま手”のこと)は、第1〜第
mフィンガ部141〜14mで拾い集められた信号パワー
を一つにまとめて合成する。遅延分散の広がりをTD
すると、RAKE出力の広がりは2TDとなり、メイン
ピークは2TDの真ん中に現れる。このピークは第1〜
第mフィンガ部141〜14mの出力に現れるすべてのマ
ルチパスの和に比例し、サイドピークは和の個数(m)
がメインピークを外れるほどに少なくなる。すなわち、
メインピークで最大比合成ダイバーシチー効果(パスダ
イバーシチー効果とも言う)が最大になる。RAKE合
成部15から出力される符号系列24は、上記メインピ
ークに相当する符号系列である。
【0042】<デ・インターリーバ>デ・インターリー
バ16は、送信側で行われたインターリーブの逆処理を
行う。インターリーブは、所定のインターリーブ規則に
従って符号の配列を入れ換える処理であり、これは、伝
送路上で発生するブロック誤りに対する対策である。し
たがって、デ・インターリーバ16から出力される符号
系列25は、送信側におけるインターリーブ処理前の符
号系列、すなわち、畳込み符号化された符号系列(図2
7の符号系列53参照)に対応する。但し、符号系列2
5と図27の符号系列53は正確に一致しない。符号系
列25には、伝送路上である確率で発生するランダム誤
りの誤り系列が加算(mod2加算)されているからで
ある。
【0043】<ビタビ復号器>ビタビ復号器17は、伝
送路の状態に応じて硬判定ビタビ復号と軟判定ビタビ復
号を選択的に実行し、符号系列25から誤り系列を取り
除いて元の畳込み符号に戻すと共に、さらに、畳込み符
号を行う前の符号系列(図27の符号系列52参照)を
再生して、その再生符号系列27を出力する。
【0044】ここで、詳細な動作説明は後述するが、硬
判定ビタビ復号動作は、デ・インターリーバ16からの
符号系列25に基づく復号動作であり、軟判定ビタビ復
号動作は、デ・インターリーバ16からの符号系列25
とスライディング相関器11からの相関値21に基づく
復号動作である。
【0045】<復号動作判定部>復号動作判定部18
は、スライディング相関器11からの相関値21に従っ
てビタビ復号器17の復号動作を選択する選択信号26
を出力する。具体的には、相関値21が高い場合は、伝
送路の状態が良好であるとみなして硬判定ビタビ復号動
作を選択させる一方、相関値21が低い場合は、伝送路
の状態が悪いとみなして軟判定ビタビ復号動作を選択さ
せるように選択信号26の状態を操作する。
【0046】以下、ビタビ復号器17は、選択信号26
がアクティブのときに硬判定ビタビ復号動作を実行する
ものとし、インアクティブのときに軟判定ビタビ復号動
作を実行するものとする。
【0047】<硬判定及び軟判定信号系列>図2は、硬
判定と軟判定の信号系列の模式図である。図において、
±1の値のみからなる信号系列(001000・・・・)は
硬判定信号系列であり、0〜±7の値からなる信号系列
(−3−2+5−3−6−6・・・・)は軟判定信号系列で
ある。
【0048】いずれの信号系列も正極性(+)で論理1
を表し、負極性(−)で論理0を表すものとする。軟判
定信号系列の値は信号の“確からしさ”(尤度)を示
し、値が±7に近いほどその値の確かさが増す。例え
ば、「+7」は誤りを含まない確かな情報(論理1)で
あり、「−2」は誤りを含む不確かな情報(論理0)で
あり、さらに、「0」は明らかな誤りを含む情報(論理
の特定は不可能)である。
【0049】デ・インターリーバから出力された符号系
列25は、±1の値を持つ信号系列であるから、そのま
ま上記の硬判定信号系列として取り扱うことができる。
一方、スライディング相関器11から出力される相関値
21は、伝送路の状態を表す情報を含むので、この相関
値21とデ・インターリーバから出力された符号系列2
5とを組み合わせることにより、上述の軟判定信号系列
に相当する信号系列を生成することができる。
【0050】すなわち、図2(a)に示す硬判定信号系
列の各信号の大きさ(Magnitude)を、相関値
21の大きさに対応させて変化させることにより、図2
(b)に示す軟判定信号系列と同等の信号系列を得るこ
とができる。
【0051】以下、本第1実施形態のビタビ復号器17
は、硬判定ビタビ復号動作を行うときは図2(a)の硬
判定信号系列(001011・・・・)を用いて復号動作を
行う一方、軟判定ビタビ復号動作を行うときは図2
(b)の軟判定信号系列(−3−2+5−3−6−6・・
・・)を用いて復号動作を行うものとする。
【0052】因みに、これら二つの信号系列は、情報の
並び(論理の並び)で見た場合、同一である。すなわ
ち、何れも(論理0、論理0、論理1、論理0、論理
1、論理1、・・・・、論理1)の並びになる。この並び
を、畳込み符号器の出力ビット数(n=2)で区切る
と、(00 10 00 10 00 11 11)と
なり、この並びに含まれる誤り系列を(00 01 1
0 00 00 10 00)とすると、元の畳込み符
号系列は(00 11 10 10 00 01 1
1)となる。そして、冒頭のトレリス表現の説明より、
畳込み符号化を行う前の情報系列は(0110100)
となる。
【0053】以下、これらの信号系列を例にして、硬判
定ビタビ復号動作と軟判定ビタビ復号動作の流れを詳細
に説明する。
【0054】<硬判定ビタビ復号動作>図3〜図10
は、硬判定ビタビ復号動作の状態遷移図である。これら
の各図において、図面上方のスケールは時刻を表し、そ
の下の丸印は各ステート(S00、S10、S01、S11
を、ステート間の実線又は破線はブランチを表す。丸印
の中の数値は1本に連なる各ブランチのハミング距離の
合計(初期状態では0)である。
【0055】なお、実線のブランチは畳込み符号器の入
力論理0に相当し、破線のブランチは同論理1に相当す
るとともに、各ブランチ上の二桁の数値はその上の時刻
で出力される畳込み符号器のn〔ビット〕出力を表して
いる。
【0056】先にも説明したとおり、硬判定ビタビ復号
動作の入力符号系列は“硬判定信号系列”(図2(a)
参照)である。
【0057】まず、図3において、時刻t1で硬判定信
号系列の先頭ブロックのn〔ビット〕をビタビ復号器1
7に取りむ。ここに、n=2であるから、先頭ブロック
の「00」(白抜き矢印参照)を取り込み、「00」は
ステートS00に相当するので、ステートS00から右隣の
ステートS00とステートS10にそれぞれブランチを引
く。S00とS00の間は実線のブランチ(論理0)、S00
とS10の間は破線のブランチ(論理1)である。次に、
各ブランチのハミング距離を計算し、時刻t1の各ステ
ートS00、S10の丸印の中に記録する(実際はメモリに
記憶するが、ここでは単に記録と言うことにする;以下
同様)。
【0058】ハミング距離の計算は、各ブランチに記載
された二桁の数値と入力信号系列との同一ビット位置を
比較し、異なるビットを数えることによって行う。すな
わち、実線のブランチについては「00」と「00」を
比較し、破線のブランチについては「11」と「00」
を比較する。いずれも後者が時刻t1における入力信号
系列である。
【0059】そして、「00」と「00」のハミング距
離は0、「00」と「11」のハミング距離は2である
ので、(4)式に従ってハミング距離の合計ΣHを計算
し、時刻t1のステートS00の丸印にΣH=0+0=0
を記録し、時刻t1のステートS10の丸印にΣH=2+
0=2を記録する。
【0060】ΣH=H+ΣHt-1 ・・・・(4) 但し、ΣHt-1:1時刻前のハミング距離の合計 H:現在時刻におけるブランチのハミング距離 次に、図4において、時刻t2で硬判定信号系列の次ブ
ロックの「10」(白抜き矢印参照)を取り込み、時刻
1の各ステートS00、S10から右隣のS00〜S11にそ
れぞれブランチを引く。S00とS00の間及びS10とS01
の間は実線のブランチ(論理0)、S00とS10の間及び
10とS11の間は破線のブランチ(論理1)である。次
いで、(4)式に従って各ブランチのハミング距離の合
計ΣHを計算し、時刻t2の各ステートS00〜S11の丸
印に記録する。すなわち、S00の丸印にΣH=1+0=
1を記録し、S10の丸印にΣH=1+0=1を記録し、
01の丸印にΣH=2+2=4を記録し、S11の丸印に
ΣH=0+2=2を記録する。
【0061】次に、図5において、時刻t3で硬判定信
号系列の次ブロックの「00」(白抜き矢印参照)を取
り込み、時刻t2の各ステートS00〜S11から右隣のス
テートS00〜S11にそれぞれブランチを引く。S00とS
00の間、S10とS01の間、S 01とS00の間及びS11とS
01の間は実線のブランチ(論理0)、S00とS10の間、
10とS11の間、S01とS10の間及びS11とS11の間は
破線のブランチ(論理1)である。次いで、(4)式に
従って各ブランチのハミング距離の合計ΣHを計算し、
時刻t3の各ステートS00〜S11の丸印に記録するが、
時刻t3の各ステートS00〜S11にはそれぞれ2本のブ
ランチが集まっているため、ハミング距離の小さい方を
記録すると共に、そのブランチを生き残りのブランチと
する(図中の×印は生き残らないブランチを示す;以下
同様)。
【0062】すなわち、各ステートに集まる2本のブラ
ンチのうち上側のブランチのハミング距離の合計値をΣ
Uとし、下側のブランチのハミング距離の合計値をΣ
Lとすると、S00ではΣHU=0+1=1、ΣHL=2
+4=6となるから、S00の丸印にΣHU=1を記録
し、S10ではΣHU=2+1=3、ΣHL=0+4=4と
なるから、S10の丸印にΣHU=3を記録し、S01では
ΣHU=1+1=2、ΣHL=1+2=3となるから、S
01の丸印にΣHU=2を記録し、S11ではΣHU=1+1
=2、ΣHL=1+2=3となるから、S11の丸印にΣ
U=2を記録する。
【0063】次に、図6において、時刻t4で硬判定信
号系列の次ブロックの「10」(白抜き矢印参照)を取
り込み、時刻t3の各ステートS00〜S11から右隣のス
テートS00〜S11にそれぞれブランチを引く。図5と同
様に、S00とS00の間、S10とS01の間、S01とS00
間及びS11とS01の間は実線のブランチ(論理0)、S
00とS10の間、S10とS11の間、S01とS10の間及びS
11とS11の間は破線のブランチ(論理1)である。次い
で、(4)式に従って各ブランチのハミング距離の合計
ΣHを計算し、時刻t4の各ステートS00〜S11の丸印
に記録するが、図5と同様に、時刻t4の各ステートS
00〜S11にはそれぞれ2本のブランチが集まっているた
め、ハミング距離の小さい方を記録すると共に、そのブ
ランチを生き残りのブランチとする。
【0064】すなわち、S00ではΣHU=1+1=2、
ΣHL=1+2=3となるから、S00の丸印にΣHU=2
を記録し、S10ではΣHU=1+1=2、ΣHL=1+2
=3となるから、S10の丸印にΣHU=2を記録し、S
01ではΣHU=2+3=5、ΣHL=0+2=2となるか
ら、S01の丸印にΣHL=2を記録し、S11ではΣHU
0+3=3、ΣHL=2+2=4となるから、S11の丸
印にΣHU=3を記録する。
【0065】次に、図7において、時刻t5で硬判定信
号系列の次ブロックの「00」(白抜き矢印参照)を取
り込み、時刻t4の各ステートS00〜S11から右隣のス
テートS00〜S11にそれぞれブランチを引く。図5と同
様に、S00とS00の間、S10とS01の間、S01とS00
間及びS11とS01の間は実線のブランチ(論理0)、S
00とS10の間、S10とS11の間、S01とS10の間及びS
11とS11の間は破線のブランチ(論理1)である。次い
で、(4)式に従って各ブランチのハミング距離の合計
ΣHを計算し、時刻t5の各ステートS00〜S11の丸印
に記録するが、図5と同様に、時刻t5の各ステートS
00〜S11にはそれぞれ2本のブランチが集まっているた
め、ハミング距離の小さい方を記録すると共に、そのブ
ランチを生き残りのブランチとする。
【0066】すなわち、S00ではΣHU=0+2=2、
ΣHL=2+2=4となるから、S00の丸印にΣHU=2
を記録し、S10ではΣHU=2+2=4、ΣHL=0+2
=2となるから、S10の丸印にΣHL=2を記録し、S
01ではΣHU=1+2=3、ΣHL=1+3=4となるか
ら、S01の丸印にΣHU=3を記録し、S11ではΣHU
1+2=3、ΣHL=1+3=4となるから、S11の丸
印にΣHU=3を記録する。
【0067】次に、図8において、時刻t6で硬判定信
号系列の次ブロックの「11」(白抜き矢印参照)を取
り込み、時刻t5の各ステートS00〜S11から右隣のス
テートS00、S01にそれぞれブランチを引く。S00とS
00の間、S10とS01の間、S 01とS00の間及びS11とS
01の間は実線のブランチ(論理0)である。なお、この
段階では破線のブランチ(論理1)は引かれない。情報
系列の最終2ビットが論理0の終結(Terminat
ion)ビットになっているからである。次いで、
(4)式に従って各ブランチのハミング距離の合計ΣH
を計算し、時刻t6の各ステートS00、S01の丸印に記
録するが、時刻t6の各ステートS00、S01にはそれぞ
れ2本のブランチが集まっているため、ハミング距離の
小さい方を記録すると共に、そのブランチを生き残りの
ブランチとする。
【0068】すなわち、S00ではΣHU=2+2=4、
ΣHL=0+3=3となるから、S00の丸印にΣHL=3
を記録し、S01ではΣHU=1+2=3、ΣHL=1+3
=4となるから、S01の丸印にΣHU=3を記録する。
【0069】次に、図9において、時刻t7で硬判定信
号系列の最終ブロックの「11」(白抜き矢印参照)を
取り込み、時刻t6の各ステートS00、S01から右隣の
ステートS00にそれぞれブランチを引く。S00とS00
間及びS01とS00の間は実線のブランチ(論理0)であ
る。なお、この段階でも破線のブランチ(論理1)は引
かれない。図8と同様に情報系列の最終2ビットが論理
0の終結(Termination)ビットになってい
るからである。次いで、(4)式に従って各ブランチの
ハミング距離の合計ΣHを計算し、時刻t7のステート
00の丸印に記録するが、時刻t7のステートS00には
2本のブランチが集まっているため、ハミング距離の小
さい方を記録すると共に、そのブランチを生き残りのブ
ランチとする。
【0070】すなわち、ΣHU=2+3=5、ΣHL=0
+3=3を演算し、そのうちの小さい方(ΣHL=3)
をS00の丸印に記録する。
【0071】図10は、以上の硬判定ビタビ復号処理を
行った結果、最終的に生き残ったパスを示す図である。
このパスは、時刻t0からt7の間で「S00」→「S00
→「S10」→「S11」→「S01」→「S10」→「S01
→「S00」の各ステートを通る7本のブランチを連ねた
ものであり、先にも述べたとおり、実線のブランチは論
理0に対応し、また、破線のブランチは論理1に対応す
るから、パスを構成する各ブランチの論理を順番に並べ
ることにより、畳込み符号を行う前の情報系列を再生す
ることができ、例えば、図示の場合には(011010
0)の情報系列を再生することができる。
【0072】<軟判定ビタビ復号動作>図11〜図18
は、軟判定ビタビ復号動作の状態遷移図である。これら
の各図において、図面上方のスケールは時刻を表し、そ
の下の丸印は各ステート(S00、S10、S01、S11
を、ステート間の実線又は破線はブランチを表す。丸印
の中の数値は1本に連なる各ブランチの“尤度値”の合
計(初期状態では0)である。
【0073】なお、実線のブランチは畳込み符号器の入
力論理0に相当し、破線のブランチは同論理1に相当す
るとともに、各ブランチ上の二桁の数値はその上の時刻
で出力される畳込み符号器のn〔ビット〕出力を表して
いる。
【0074】先にも説明したとおり、軟判定ビタビ復号
動作の入力符号系列は“軟判定信号系列”(図2(b)
参照)である。
【0075】まず、図11において、時刻t1で軟判定
信号系列の先頭ブロックのn〔個〕の情報をビタビ復号
器17に取りむ。ここに、n=2であるから、先頭ブロ
ックの「−3−2」(白抜き矢印参照)を取り込み、
「−3−2」はその極性より「論理0,論理0」であ
り、これはステートS00に相当するので、ステートS00
から右隣のステートS00とステートS10にそれぞれブラ
ンチを引く。S00とS00の間は実線のブランチ(論理
0)、S00とS10の間は破線のブランチ(論理1)であ
る。次に、各ブランチの尤度を計算し、時刻t1の各ス
テートS00、S10の丸印の中に記録する(実際はメモリ
に記憶するが、ここでは単に記録と言うことにする;以
下同様)。
【0076】尤度の計算は、各ブランチに記載された二
桁の数値と入力信号系列とを比較する点で硬判定ビタビ
復号におけるハミング距離の計算と類似するが、入力信
号系列が3値以上のm値の信号である点、該m値の信号
の極性で論理0と論理1を表す点、及び、その論理と各
ブランチに記載された二桁の数値の論理とを比較して、
異なる論理をもつm値の信号の値(の絶対値)を当該ブ
ランチの尤度とする点で相違する。
【0077】すなわち、実線のブランチについては、そ
のブランチ上に記載された「00」と、入力信号系列
(−3−2)の論理(−3と−2は何れも負極性である
から00)とを比較し、破線のブランチについては、そ
のブランチ上に記載された「11」と、入力信号系列
(−3−2)の論理(00)とを比較する。そして、前
者については、異なる論理がないため尤度を0とし、一
方、後者については、「11」と「00」で二つとも論
理が異なるため、入力信号系列(−3−2)の値の絶対
値を加算してその加算結果である5を尤度とする。
【0078】ここで、ブランチ上に記載された二桁の数
値を(X12)、入力信号系列を(Y12)、(Y
12)の論理値を(Z12)、X1とZ1のmod2加算
結果をM 1、X2とZ2のmod2加算結果をM2とする
と、尤度Uは、(5)式で表すことができる。
【0079】 U=(M1・|Y1|)+(M2・|Y2|) ・・・・(5) 次に、図12において、時刻t2で軟判定信号系列の次
ブロックの「+5−3」(白抜き矢印参照)を取り込
み、時刻t1の各ステートS00、S10から右隣のS00
11にそれぞれブランチを引く。S00とS00の間及びS
10とS01の間は実線のブランチ(論理0)、S00とS10
の間及びS10とS11の間は破線のブランチ(論理1)で
ある。次いで、(6)式に従って各ブランチの尤度の合
計ΣUを計算し、時刻t2の各ステートS00〜S11の丸
印に記録する。すなわち、S00の丸印にΣU=5+0=
5を記録し、S10の丸印にΣU=3+0=3を記録し、
01の丸印にΣU=8+5=13を記録し、S11の丸印
にΣU=0+5=5を記録する。
【0080】ΣU=U+ΣUt-1 ・・・・(6) 但し、ΣUt-1:1時刻前の尤度の合計 U:現在時刻における尤度((5)式参照) 次に、図13において、時刻t3で軟判定信号系列の次
ブロックの「−6−6」(白抜き矢印参照)を取り込
み、時刻t2の各ステートS00〜S11から右隣のステー
トS00〜S11にそれぞれブランチを引く。S00とS00
間、S10とS01の間、S01とS00の間及びS11とS01
間は実線のブランチ(論理0)、S00とS 10の間、S10
とS11の間、S01とS10の間及びS11とS11の間は破線
のブランチ(論理1)である。次いで、(6)式に従っ
て各ブランチの尤度の合計ΣUを計算し、時刻t3の各
ステートS00〜S11の丸印に記録するが、時刻t3の各
ステートS00〜S11にはそれぞれ2本のブランチが集ま
っているため、尤度の小さい方を記録すると共に、その
ブランチを生き残りのブランチとする(図中の×印は生
き残らないブランチを示す;以下同様)。
【0081】すなわち、各ステートに集まる2本のブラ
ンチのうち上側のブランチの尤度の合計値をΣUU
し、下側のブランチの尤度の合計値をΣULとすると、
00ではΣUU=0+5=5、ΣUL=12+13=25
となるから、S00の丸印にΣUU=5を記録し、S10
はΣUU=12+5=17、ΣUL=0+13=13とな
るから、S10の丸印にΣUL=13を記録し、S01では
ΣUU=6+3=9、ΣUL=6+5=11となるから、
01の丸印にΣUU=9を記録し、S11ではΣUU=6+
3=9、ΣUL=6+5=11となるから、S11の丸印
にΣUU=9を記録する。
【0082】次に、図14において、時刻t4で軟判定
信号系列の次ブロックの「+7 0」(白抜き矢印参
照)を取り込み、時刻t3の各ステートS00〜S11から
右隣のステートS00〜S11にそれぞれブランチを引く。
図13と同様に、S00とS00の間、S10とS01の間、S
01とS00の間及びS11とS01の間は実線のブランチ(論
理0)、S00とS10の間、S10とS11の間、S01とS10
の間及びS11とS11の間は破線のブランチ(論理1)で
ある。次いで、(6)式に従って各ブランチの尤度の合
計ΣUを計算し、時刻t4の各ステートS00〜S11の丸
印に記録するが、図13と同様に、時刻t4の各ステー
トS00〜S11にはそれぞれ2本のブランチが集まってい
るため、尤度の小さい方を記録すると共に、そのブラン
チを生き残りのブランチとする。
【0083】すなわち、S00ではΣUU=7+5=1
2、ΣUL=0+9=9となるから、S 00の丸印にΣUL
=9を記録し、S10ではΣUU=0+5=5、ΣUL=7
+9=16となるから、S10の丸印にΣUU=5を記録
し、S01ではΣUU=7+13=20、ΣUL=0+9=
9となるから、S01の丸印にΣUL=9を記録し、S11
ではΣUU=0+13=13、ΣUL=7+9=16とな
るから、S11の丸印にΣU U=13を記録する。
【0084】次に、図15において、時刻t5で軟判定
信号系列の次ブロックの「−5−4」(白抜き矢印参
照)を取り込み、時刻t4の各ステートS00〜S11から
右隣のステートS00〜S11にそれぞれブランチを引く。
図13と同様に、S00とS00の間、S10とS01の間、S
01とS00の間及びS11とS01の間は実線のブランチ(論
理0)、S00とS10の間、S10とS11の間、S01とS10
の間及びS11とS11の間は破線のブランチ(論理1)で
ある。次いで、(6)式に従って各ブランチの尤度の合
計ΣUを計算し、時刻t5の各ステートS00〜S11の丸
印に記録するが、図13と同様に、時刻t5の各ステー
トS00〜S11にはそれぞれ2本のブランチが集まってい
るため、尤度の小さい方を記録すると共に、そのブラン
チを生き残りのブランチとする。
【0085】すなわち、S00ではΣUU=0+9=9、
ΣUL=9+9=18となるから、S 00の丸印にΣUU
9を記録し、S10ではΣUU=9+9=18、ΣUL=0
+9=9となるから、S10の丸印にΣUL=9を記録
し、S01ではΣUU=4+5=9、ΣUL=5+13=1
8となるから、S01の丸印にΣUU=9を記録し、S11
ではΣUU=5+5=10、ΣUL=4+13=17とな
るから、S11の丸印にΣU U=10を記録する。
【0086】次に、図16において、時刻t6で軟判定
信号系列の次ブロックの「+5+6」(白抜き矢印参
照)を取り込み、時刻t5の各ステートS00〜S11から
右隣のステートS00、S01にそれぞれブランチを引く。
00とS00の間、S10とS01の間、S01とS00の間及び
11とS01の間は実線のブランチ(論理0)である。な
お、この段階では破線のブランチ(論理1)は引かれな
い。情報系列の最終2ビットが論理0の終結(Term
ination)ビットになっているからである。次い
で、(6)式に従って各ブランチの尤度の合計ΣUを計
算し、時刻t6の各ステートS00、S01の丸印に記録す
るが、時刻t6の各ステートS00、S01にはそれぞれ2
本のブランチが集まっているため、尤度の小さい方を記
録すると共に、そのブランチを生き残りのブランチとす
る。
【0087】すなわち、S00ではΣUU=11+9=2
0、ΣUL=0+9=9となるから、S00の丸印にΣUL
=9を記録し、S01ではΣUU=5+9=14、ΣUL
6+10=16となるから、S01の丸印にΣUU=14
を記録する。
【0088】次に、図17において、時刻t7で軟判定
信号系列の最終ブロックの「+7+4」(白抜き矢印参
照)を取り込み、時刻t6の各ステートS00、S01から
右隣のステートS00にそれぞれブランチを引く。S00
00の間及びS01とS00の間は実線のブランチ(論理
0)である。なお、この段階でも破線のブランチ(論理
1)は引かれない。図16と同様に情報系列の最終2ビ
ットが論理0の終結(Termination)ビット
になっているからである。次いで、(6)式に従って各
ブランチの尤度の合計ΣUを計算し、時刻t7のステー
トS00の丸印に記録するが、時刻t7のステートS00
は2本のブランチが集まっているため、尤度の小さい方
を記録すると共に、そのブランチを生き残りのブランチ
とする。
【0089】すなわち、ΣUU=11+9=20、ΣUL
=0+14=14を演算し、そのうちの小さい方(ΣU
L=14)をS00の丸印に記録する。
【0090】図18は、以上の軟判定ビタビ復号処理を
行った結果、最終的に生き残ったパスを示す図である。
このパスは、時刻t0からt7の間で「S00」→「S00
→「S10」→「S11」→「S01」→「S10」→「S01
→「S00」の各ステートを通る7本のブランチを連ねた
ものであり、先にも述べたとおり、実線のブランチは論
理0に対応し、また、破線のブランチは論理1に対応す
るから、パスを構成する各ブランチの論理を順番に並べ
ることにより、畳込み符号を行う前の情報系列を再生す
ることができ、例えば、図示の場合には(011010
0)の情報系列を再生することができる。
【0091】<硬判定ビタビ復号と軟判定ビタビ復号の
対比>以上のとおり、同じ情報系列(0110100)
を例にして、硬判定ビタビ復号と軟判定ビタビ復号の動
作を説明したところ、いずれも同一のパスが生き残った
(図10及び図18参照)。これは、伝送路の状態を比
較的良好なものとして考えたからである。もし、伝送路
の状態が悪ければある確率で異なるパスが生き残るはず
であり、この場合、軟判定ビタビ復号法の生き残りパス
の方が信頼性が高いはずである。軟判定ビタビ復号法の
復号化利得は硬判定ビタビ復号法のそれに比べて約2d
B高いからである。
【0092】しかしながら、伝送路の状態が比較的良好
な場合に軟判定ビタビ復号を行うことは無駄である。軟
判定ビタビ復号では、尤度の計算((5)式及び(6)
式参照)など、硬判定ビタビ復号に比べて複雑な処理を
強いられるからで、それだけ処理の負担が増えるからで
ある。
【0093】このことは、特に、携帯型の移動体通信シ
ステムに適用した場合に、そのバッテリ寿命を損ない、
待ち受け時間を短くするから是非とも解決しなければな
らない技術課題である。
【0094】そこで、本第1実施形態では、復号動作判
定部18でスライディング相関器11からの相関値21
をモニタし、この相関値21が所定のしきい値以上に大
きい場合は伝送路の状態が良好であるとみなして、硬判
定ビタビ復号動作を行わせる一方、相関値21が所定の
しきい値以下に小さい場合は伝送路の状態が悪いとみな
して、軟判定ビタビ復号動作を行わせるようにした。
【0095】これによれば、伝送路の状態が良好な場合
は、処理量の少ない硬判定ビタビ復号動作に切替えてバ
ッテリ寿命の延命化を図り、待ち受け時間を長くするこ
とができると共に、伝送路の状態が悪い場合は、復号化
利得の高い軟判定ビタビ復号動作に切替えて誤り訂正能
力の向上を図ることができるという従来技術にない格別
な効果を奏することができる。
【0096】<復号動作切替え判定のためのしきい値の
工夫>図19は、復号動作判定部18に適用して好まし
いしきい値図である。この図において、縦軸はスライデ
ィング相関器11からの相関値21である。相関値21
は上に行くほど値が大きくなり、下に行くほど値が小さ
くなる。最大値Cmaxで伝送路の最良状態を表し、最小
値Cminで伝送路の最悪状態を表す。
【0097】図中のSL1及びSL2はそれぞれしきい値
であり、SL1>SL2の大小関係を持つ。復号動作判定
部18は、これらのしきい値SL1、SL2と相関値21
を比較してビタビ復号器17の動作(硬判定動作か軟判
定動作か)を決定するが、相関値21の増減方向によっ
て使用されるしきい値が決まっている。すなわち、相関
値21が増加方向30に変化する場合はSL1と相関値
21を比較し、その逆に相関値21が減少方向31に変
化する場合はSL2と相関値21を比較するようになっ
ている。
【0098】そして、相関値21が増加方向30に変化
してSL1<相関値21となった場合に硬判定ビタビ復
号動作に切替える一方、相関値21が減少方向31に変
化してSL2>相関値21となった場合に軟判定ビタビ
復号動作に切替えるようにしている。
【0099】これによれば、硬判定ビタビ復号動作から
軟判定ビタビ復号動作への切替えタイミングと、軟判定
ビタビ復号動作から硬判定ビタビ復号動作への切替えタ
イミングとの間に、SL1とSL2の差に相当する“ヒス
テリシス”を持たせることができ、しきい値付近のチャ
ッタリング(頻繁な切り替わり)現象を回避して動作の
安定性を向上できる。
【0100】<復号動作切替え判定の時期>復号動作切
替え判定の時期は、畳込み符号特有の周期性を利用して
一定の間隔で行うことが望ましい。すなわち、ビタビ復
号法では最初のブロック符号が入力する前に内部状態を
初期化(トレリス表現のすべてのステートにゼロを格
納)しておく必要があり、このため、畳込み符号の一定
周期ごとにオールゼロのビット部分を設けている。例え
ば、図20に示すように、1フレームを4ビットのコン
トロールビット、168ビットのインフォメーションビ
ット部、12ビットのエラー訂正コード(CRCコー
ド)部、8ビットのエンコーダテールビット部に分け、
最後のエンコーダテールビット部にオールゼロをセット
している。
【0101】図21は、エンコーダテールビット部に同
期させて復号動作切替え判定を行った場合のタイムチャ
ートである。図21において、搬送波レベルの変動は伝
送路の状態を表し、レベルが高くなると良好な状態を示
し、レベルが低くなると悪い状態を示す。相関値は、ス
ライディング相関器11から出力された相関値21であ
り、この相関値21は搬送波レベルと類似の振る舞いを
示す。すなわち、完全には一致しないものの、搬送波の
レベルが高くなると(伝送路の状態が良好になると)同
様に相関値21も大きくなり、搬送波のレベルが低くな
ると(伝送路の状態が悪くなると)同様に相関値21も
小さくなる。
【0102】したがって、しきい値SL1、SL2との比
較をフレームの周期で行えば、図20の最下段に示すよ
うに、フレームF0〜F2で硬判定ビタビ復号を行い、フ
レームF3〜F7で軟判定ビタビ復号を行い、フレームF
8〜F11で硬判定ビタビ復号を行い、フレームF12・・・・
で硬判定ビタビ復号を行うことができ、フレーム途中の
切替えをなくして動作安定性の向上を図ることができ
る。
【0103】<第2実施形態>なお、上記の第1実施形
態では、スライディング相関器11からの相関値21を
用いてビタビ復号器17の切替え動作の判定と、軟判定
信号系列の生成を行っていたが、これに限定されるもの
ではない。相関値21に求められる要件は、伝送路の状
態を表す適切な情報を持っていることであるから、かか
る要件を満たす限り、他の情報を用いても構わない。
【0104】例えば、図22に示すように、ビタビ復号
器17で復号された再生符号系列27若しくは再生符号
系列27に相当する符号系列28を畳込み符号器30で
再び畳込み符号に戻し、その畳込み符号31とデ・イン
ターリーバ16から出力された符号系列25との相関を
シンボル相関部32でとり、その相関値33を上記第1
実施形態の相関値21の代わりに用いても良い。
【0105】ビタビ復号器17の復号結果に対応する畳
込み符号31は、デ・インターリーバ16から出力され
た符号系列25より誤り符号系列を取り除いた(不完全
でも良い)ものに相当し、両者の相関性が高い場合は誤
り符号系列が少なく、逆に相関性が低い場合は誤り符号
系列が多いことを意味する。したがって、誤り符号系列
の多少は、伝送路の状態を間接的に表すから、この相関
値33を用いることによっても、上述の第1実施形態と
同様の作用効果を得ることができる。
【0106】<第3実施形態>図23は、第3実施形態
を説明するためのしきい値図である。このしきい値は、
図1又は図22の復号動作判定部18に適用する点で、
上述の第1実施形態又は上記第2実施形態と共通する
が、本第3実施形態における復号動作判定部は、しきい
値判定の結果、軟判定信号系列の分割数(m)を段階的
に変化させる点で相違する。
【0107】図23において、縦軸はスライディング相
関器11からの相関値21(又は第2実施形態の場合は
シンボル相関部32からの相関値32;以下、相関値2
1で代表する)である。相関値21は上に行くほど値が
大きくなり、下に行くほど値が小さくなる。最大値Cma
xで伝送路の最良状態を表し、最小値Cminで伝送路の最
悪状態を表す。
【0108】図中のSL3、SL4、SL5、及びSL6
それぞれしきい値であり、SL3>SL4>SL5>SL6
の大小関係を持つ。本第3実施形態の復号動作判定部
は、これらのしきい値SL3〜SL6と相関値21を比較
して、軟判定信号系列(図2(b)参照)の分割数
(m)を、m=8、m=4及びm=2のいずれかに変更
する(図24参照)。
【0109】すなわち、相関値21が増加方向32に変
化する場合はSL3と相関値21を比較してSL3<相関
値21となったときにm=2に変更し、相関値21が減
少方向34に変化する場合はSL4と相関値21を比較
してSL4>相関値21となったときにm=4に変更
し、相関値21が減少方向35に変化する場合はSL6
と相関値21を比較してSL6>相関値21となったと
きにm=8に変更し、相関値21が増加方向33に変化
する場合はSL5と相関値21を比較してSL5<相関値
21となったときにm=4に変更する。
【0110】これによれば、伝送路の状態が良好な場合
(相関値21が大きい場合)に軟判定信号系列の分割数
mを最小(m=2)にでき、伝送路の状態がやや良好な
場合(相関値21の大きさが中程度の場合)に軟判定信
号系列の分割数mを中間(m=4)にでき、伝送路の状
態が悪い場合(相関値21が小さい場合)に軟判定信号
系列の分割数mを最大(m=8)にできる。
【0111】したがって、軟判定符号系列の分割数m
は、軟判定情報の“確からしさ”の分解能であるから、
伝送路の状態に応じて適応的に分解能を設定することが
でき、特に、伝送路の状態が良好な場合及びやや良好な
場合の軟判定ビタビ復号動作の処理量を少なくして無駄
な電力消費の抑制を図ることができるうえ、さらに、軟
判定信号系列の分割数mの切替えタイミングに、SL3
とSL4の差及びSL5とSL6の差に相当する“ヒステ
リシス”を持たせることができ、しきい値付近のチャッ
タリング(頻繁な切り替わり)現象を回避して動作の安
定性を向上できる。
【0112】<分割数切替え判定の時期>本第3実施形
態における分割数mの切替え判定の時期は、上述の第1
実施形態と同様に、畳込み符号特有の周期性を利用して
一定の間隔で行うことが望ましい。
【0113】図25は、フレームの特定ビット部分(図
20のエンコーダテールビット部参照)に同期させて分
割数mの切替え判定を行った場合のタイムチャートであ
る。図25において、搬送波レベルの変動は伝送路の状
態を表し、レベルが高くなると良好な状態を示し、レベ
ルが低くなると悪い状態を示す。
【0114】相関値は、図1のスライディング相関器1
1から出力された相関値21又は図22のシンボル相関
部32から出力された相関値33(以下、相関値21で
代表する)であり、この相関値21は搬送波レベルと類
似の振る舞いを示す。すなわち、完全には一致しないも
のの、搬送波のレベルが高くなると(伝送路の状態が良
好になると)同様に相関値21も大きくなり、搬送波の
レベルが低くなると(伝送路の状態が悪くなると)同様
に相関値21も小さくなる。
【0115】したがって、しきい値SL3〜SL6との比
較をフレームの周期で行えば、図25の最下段に示すよ
うに、フレームF0でm=2、フレームF1〜F3でm=
4、フレームF4とF5でm=8、フレームF6〜F8でm
=4、フレームF9でm=2、フレームF10・・・・でm=
4に切替えることができ、フレーム途中の切替えをなく
して動作安定性の向上を図ることができる。
【0116】なお、本第3の実施形態における軟判定符
号系列の分割数mの切替えは、軟判定ビタビ復号動作の
実行時に合わせて行ってもよいが、分割数mを1にする
ことにより、軟判定ビタビ復号動作中のビタビ復号器1
7を、実質的な硬判定ビタビ復号動作とすることが可能
である。
【0117】図26は、m=1を含む軟判定符号系列の
分割概念図である。分割数mを1にするということは、
軟判定符号系列に±1の値だけを与えることを意味し、
これは、冒頭の図2(a)の信号系列(すなわち硬判定
信号系列)に相当するからであり、伝送路の状態が良好
な場合に分割数mを1にすることによって、軟判定ビタ
ビ復号動作中のビタビ復号器17を、実質的な硬判定ビ
タビ復号動作とすることができるからである。
【0118】
【発明の効果】本発明によれば、伝送路の状態が悪い場
合は軟判定ビタビ復号を行う一方、伝送路の状態が良好
な場合は硬判定ビタビ復号を行うようにしたので、軟判
定ビタビ復号により、伝送路の状態が悪い場合の復号化
利得向上を図りつつ、硬判定ビタビ復号により、伝送路
の状態が良好な場合の待ち受け時間の延長を図ることが
できる。
【0119】したがって、伝送路の状態が悪い場合の復
号化利得の向上と、伝送路の状態が良好な場合の待ち受
け時間の延長を共に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の全体構成図である。
【図2】硬判定信号系列と軟判定信号系列の一例図であ
る。
【図3】硬判定ビタビ復号動作の状態遷移図(1/8)
である。
【図4】硬判定ビタビ復号動作の状態遷移図(2/8)
である。
【図5】硬判定ビタビ復号動作の状態遷移図(3/8)
である。
【図6】硬判定ビタビ復号動作の状態遷移図(4/8)
である。
【図7】硬判定ビタビ復号動作の状態遷移図(5/8)
である。
【図8】硬判定ビタビ復号動作の状態遷移図(6/8)
である。
【図9】硬判定ビタビ復号動作の状態遷移図(7/8)
である。
【図10】硬判定ビタビ復号動作の状態遷移図(8/
8)である。
【図11】軟判定ビタビ復号動作の状態遷移図(1/
8)である。
【図12】軟判定ビタビ復号動作の状態遷移図(2/
8)である。
【図13】軟判定ビタビ復号動作の状態遷移図(3/
8)である。
【図14】軟判定ビタビ復号動作の状態遷移図(4/
8)である。
【図15】軟判定ビタビ復号動作の状態遷移図(5/
8)である。
【図16】軟判定ビタビ復号動作の状態遷移図(6/
8)である。
【図17】軟判定ビタビ復号動作の状態遷移図(7/
8)である。
【図18】軟判定ビタビ復号動作の状態遷移図(8/
8)である。
【図19】復号動作判定部に適用して好ましいしきい値
図である。
【図20】エンコーダテールビット部を含むフレーム構
成図である。
【図21】復号動作切替え判定のタイムチャートであ
る。
【図22】第2実施形態の全体構成図である。
【図23】第3実施形態を説明するためのしきい値図で
ある。
【図24】軟判定符号系列の分割概念図である。
【図25】軟判定符号系列の分割数切替え判定のタイム
チャートである。
【図26】m=1を含む軟判定符号系列の分割概念図で
ある。
【図27】CDMA方式を用いた通信システムの構成図
である。
【図28】畳込み符号器の構成図である。
【図29】樹枝状符号表現の説明図である。
【図30】トレリス表現の説明図である。
【符号の説明】
11 スライディング相関器(検出手段) 17 ビタビ復号器(生成手段、変更手段) 18 復号動作判定部(切替え手段、入力手段)

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力された畳込み符号系列をビタビ復号
    法により復号するビタビ復号器を備えたビタビ復号装置
    において、 前記畳込み符号系列を伝送する伝送路の状態を検出する
    検出手段と、 前記畳込み符号系列と前記検出手段の検出結果とを用い
    て前記畳込み符号系列に対応した軟判定符号系列を生成
    する生成手段と、 前記検出手段の検出結果に従って前記ビタビ復号器の動
    作を、前記畳込み符号系列を入力とする硬判定ビタビ復
    号動作と前記軟判定符号系列を入力とする軟判定ビタビ
    復号動作とに択一的に切替える切替え手段と、 を備えたことを特徴とするビタビ復号装置。
  2. 【請求項2】 前記切替え手段は、前記検出手段の検出
    結果とヒステリシス特性を持つ複数のしきい値とを比較
    して切替え動作を行うことを特徴とする請求項1記載の
    ビタビ復号装置。
  3. 【請求項3】 前記検出手段は、直接拡散−スペクトル
    拡散方式の受信信号の同期捕捉を行う同期捕捉手段であ
    って、同期の捕捉状態を示す相関値を出力することを特
    徴とする請求項1記載のビタビ復号装置。
  4. 【請求項4】 前記検出手段は、前記ビタビ復号器から
    出力されたビタビ復号後の符号系列とビタビ復号前の符
    号系列との符号相関をとり、その相関値を出力すること
    を特徴とする請求項1記載のビタビ復号装置。
  5. 【請求項5】 入力された畳込み符号系列をビタビ復号
    法により復号するビタビ復号器を備えたビタビ復号装置
    において、 前記畳込み符号系列を伝送する伝送路の状態を検出する
    検出手段と、 前記畳込み符号系列と前記検出手段の検出結果とを用い
    て前記畳込み符号系列に対応した軟判定符号系列を生成
    する生成手段と、 前記検出手段の検出結果に従って前記軟判定符号系列の
    分割数(m)を変更する変更手段と、 前記畳込み符号系列の代わりに前記軟判定符号系列を前
    記ビタビ復号器に入力する入力手段と、 を備えたことを特徴とするビタビ復号装置。
  6. 【請求項6】 前記変更手段は、前記検出手段の検出結
    果とヒステリシス特性を持つ複数のしきい値とを比較し
    て分割数の変更動作を行うことを特徴とする請求項5記
    載のビタビ復号装置。
  7. 【請求項7】 前記軟判定符号系列の分割数(m)は1
    を含むことを特徴とする請求項5記載のビタビ復号装
    置。
  8. 【請求項8】 入力された畳込み符号系列をビタビ復号
    器により復号するビタビ復号方法において、 前記畳込み符号系列を伝送する伝送路の状態を検出する
    第1ステップと、 前記畳込み符号系列と前記第1ステップの検出結果とを
    用いて前記畳込み符号系列に対応した軟判定符号系列を
    生成する第2ステップと、 前記第1ステップの検出結果に従って前記ビタビ復号器
    の動作を、前記畳込み符号系列を入力とする硬判定ビタ
    ビ復号動作と前記軟判定符号系列を入力とする軟判定ビ
    タビ復号動作とに択一的に切替える第3ステップと、 を含むことを特徴とするビタビ復号方法。
  9. 【請求項9】 前記第3ステップは、前記第1ステップ
    の検出結果とヒステリシス特性を持つ複数のしきい値と
    を比較して切替え動作を行うことを特徴とする請求項8
    記載のビタビ復号方法。
  10. 【請求項10】 前記第1ステップは、直接拡散−スペ
    クトル拡散方式の受信信号の同期捕捉を行う際に、同期
    の捕捉状態を示す相関値を出力することを特徴とする請
    求項8記載のビタビ復号方法。
  11. 【請求項11】 前記第1ステップは、前記ビタビ復号
    器から出力されたビタビ復号後の符号系列とビタビ復号
    前の符号系列との符号相関をとり、その相関値を出力す
    ることを特徴とする請求項8記載のビタビ復号方法。
  12. 【請求項12】 入力された畳込み符号系列をビタビ復
    号器により復号するビタビ復号方法において、 前記畳込み符号系列を伝送する伝送路の状態を検出する
    第1ステップと、 前記畳込み符号系列と前記第1ステップの検出結果とを
    用いて前記畳込み符号系列に対応した軟判定符号系列を
    生成する第2ステップと、 前記第1ステップの検出結果に従って前記軟判定符号系
    列の分割数(m)を変更する第3ステップと、 前記畳込み符号系列の代わりに前記軟判定符号系列を前
    記ビタビ復号器に入力する第4ステップと、 を含むことを特徴とするビタビ復号方法。
  13. 【請求項13】 前記第3ステップは、前記第1ステッ
    プの検出結果とヒステリシス特性を持つ複数のしきい値
    とを比較して分割数の変更動作を行うことを特徴とする
    請求項12記載のビタビ復号方法。
  14. 【請求項14】 前記軟判定符号系列の分割数(m)は
    1を含むことを特徴とする請求項12記載のビタビ復号
    方法。
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