JP2000263789A - 画像形成方法及び装置 - Google Patents

画像形成方法及び装置

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JP2000263789A
JP2000263789A JP6481999A JP6481999A JP2000263789A JP 2000263789 A JP2000263789 A JP 2000263789A JP 6481999 A JP6481999 A JP 6481999A JP 6481999 A JP6481999 A JP 6481999A JP 2000263789 A JP2000263789 A JP 2000263789A
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ink
layer
carrier
heating
image forming
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JP6481999A
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Yoshinori Machida
義則 町田
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘度の高いインクを用いても、消費エネルギ
ーの増大がなく、微小量のインク滴を、高速に、安定し
て飛翔させる。また、種々の被記録媒体に対して滲みの
ない高画質、高精細な画像を高速に形成する。 【解決手段】 表面が平坦なインク担持体2上に、イン
ク1を均一なパターン状に保持させる。インク担持体2
の一部を画像情報に従って加熱し、インク担持体2とイ
ンク1の界面あるいは界面近傍でインク1を沸騰させ、
沸騰により発生した気泡の圧力によって、インク1をイ
ンク担持体2の表面から飛翔させる。これと同時に、電
界発生用電極部5によりインク1に静電的な吸引力を作
用させ、インク1をインク担持体2と微小間隙をもって
配される被記録媒体7に付着させて画像を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを飛翔させ
て被記録媒体に画像を形成する画像形成方法及び装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来から、電子写真方式を
はじめとする種々のノンインパクト記録方式に従った画
像形成装置が開発されている。ノンインパクト記録方式
のうちでも、低価格化、低ランニングコスト化、装置の
小型化が可能であり、静音性に優れるオンデマンド型の
インクジェット記録方式が最近特に注目されてきてお
り、種々の方式のインクジェット記録装置が開発され、
また商品化されている。
【0003】代表的なオンデマンド型のインクジェット
方式は、インクを供給する流路と、インクを吐出するた
めのノズルあるいは開口部と、インクを吐出するための
圧力を発生する機構と、を有している。
【0004】特に代表的なものは、圧力を発生する機構
として発熱体を用いたサーマル型と、圧電素子を用いた
圧電型がある。サーマル型は、インクの流路中に形成さ
れた発熱体の熱により発生する蒸気の圧力で、ノズル先
端からインク滴を吐出し、記録媒体に付着させて画像を
形成するものである。例えば、特開昭54-51837
号公報、特開昭54−59139号公報に記載されたも
のなどがある。また圧電型は、流路中に設けられた圧電
素子の変位によって流路の容積を変化させ、その圧力に
よってノズル先端からインク滴を吐出し、記録媒体に付
着させて画像を形成するものである。例えば、特公昭5
3−12138号公報、特公昭53−45698号公報
に記載されたものなどがある。
【0005】ところで、従来のノズルあるいは開口部か
らインク滴を吐出するインクジェット方式では、粘度が
1mPa・sから3mPa・sといった低い粘度のインクを使用
し、30μmから50μm程度の小径のノズルもしくは開
口部からインクを吐出している。
【0006】インクの粘度が低いため、インクの吐出に
よるノズルあるいは開口部内のインク量の減少に対し、
インク貯蔵部からのインク補充(リフィル)が高速にな
される。従って、ノズル先端あるいは開口部のメニスカ
ス(インクと空気の界面)の回復が速く、繰り返し印字
周波数が10kHzを超える高速印字を行っても安定した
インクの吐出が可能である。
【0007】しかしながら、低粘度のインクを使用して
普通紙に印字した場合、インクの浸透が速いため、用紙
の繊維に沿って滲み(フェザリング)が発生し、画質を
低下させる。また、隣接したドットが滲みによって連結
した場合、解像度がその部分だけ低下したことになり、
画質を著しく低下させるという問題があった。
【0008】また、インクの表面張力を制御するなどし
て浸透速度を抑えると、カラー画像を形成する場合、隣
接して打ち込まれた異なる色のインクと接触した際に、
混色滲み(ブリーディング)が発生し、画質を大きく低
下させるという問題があった。
【0009】上述した低粘度のインクを使用した際に発
生する問題点に対し、粘度の高いインクを使用すると、
インクの記録媒体への浸透速度が遅くなるため滲みを防
止することができ、また異色間の混合速度も抑制される
ため、混色を防止することができる。
【0010】また、インクジェット方式を用いた記録装
置は、その普及に伴って用途が急速に拡大しており、こ
れに伴って記録媒体の種類も多種多様になってきてい
る。さらに、紙ばかりでなく金属、プラスチック、ガラ
スなどの非吸水性媒体への画像形成手段としても期待さ
れており、高粘度でタック性を有するインクを使用でき
るインクジェット記録装置の実現が待たれている。
【0011】しかしながら、従来のノズルあるいは開口
部を用いたインクジェット方式では、インクの粘度を高
くすると流路抵抗が大きくなり、インクの供給速度が著
しく低下してしまう。また、流路抵抗が大きくなった
分、インクの吐出に要するエネルギーも著しく増加す
る。
【0012】例えば、市販の水性インク(粘度が1mPa・
sから3mPa・s)を使用したインクジェット装置におい
て、粘度の高いインクを使用すると、粘度が10mPa・s
を越えたあたりからインクの供給が間に合わず、メニス
カスの回復が間に合わなくなる。このような状態でイン
クの吐出を行うと、不安定なメニスカス位置からインク
吐出が行われるため、インクの吐出量および吐出方向の
ばらつきが大きくなって画質が低下する。また、インク
の粘度が20mPa・sを越えると、完全にインク供給が間
に合わなくなり、吐出抜けが発生するようになる。さら
に、インクの粘度が100mPa・sを超えると、従来のイ
ンクジェット装置の吐出圧力発生手段では吐出エネルギ
ーが不足し、仮にインク供給が間に合ったとしてもイン
ク吐出自体が不安定になったり、吐出できなくなったり
する。
【0013】これに対し、例えば特開平9-16911
1号公報では、流路抵抗を下げるためにノズル径を50
μmから70μm程度に大きくとり、粘度が10mPa・sか
ら100mPa・sの高粘度インクを用いて、高速に印字す
ることを目的としたプリンタを提案している。
【0014】しかしながら、この方法では、ノズル径を
大きくした分インクを高速に供給できるものの、ノズル
径を大きくした分吐出されるインク滴の径が相対的に増
加するため、高解像度化ができず、高画質化が図れない
という問題がある。
【0015】また、例えば特開昭62−90257号公
報では、常温固体のインクを記録時のみ加熱して5mPa・
sから10mPa・s程度に低粘度化し、通常のインクジェッ
ト方式と同様に吐出させ、被記録媒体に付着させて画像
を形成するインクジェット装置を提案している。この方
法では、インクが被記録媒体に付着した瞬間に急速に冷
却固化するため、上述した滲みや混色の問題を解決する
ことができる。
【0016】しかしながら、この方法では、常にヘッド
を加熱しなければならず、エネルギーの消費が非常に大
きくなってしまう。また、インク滴が記録媒体に付着し
た瞬間に固化してしまうため、インクの記録媒体への浸
透がほとんどなく、定着性に大きな問題がある。さら
に、インクが半球状に固化して画像の表面が粗くなるた
め、画像表面で光が散乱してしまい、画像部の光沢の低
下やOHPでの色濁りが発生するなど、多くの問題点を有
す。
【0017】また、例えば特開昭56-4467号公報
で提案されているように、ノズルあるいはスリット形状
の開口部からインクを静電的に吸引してインクを吐出さ
せる方法も考えられている。この方法では、インク滴の
径がノズル径あるいはスリット幅に依存しないため、ノ
ズル径あるいはスリット幅を大きくして流路抵抗を小さ
くしても画質を低下させることがない。従って、インク
供給に関してはインクの粘度に大きく依存しないという
利点がある。
【0018】しかしながら、インクの粘度を高くする
と、インクを吸引した際の尾引きが長くなり、微小ドッ
トの形成が難しくなる。また、尾引き部分からサテライ
ト粒子が発生し、画質が著しく低下するという問題点が
ある。さらに粘度を上げていくと、インクの内部凝集力
の方が静電的な吸引力よりも大きくなり、印字自体がで
きなくなるという問題がある。
【0019】また、商品化はされていないものの、ノズ
ルや開口部をもたないインクジェット方式が幾つか提案
されている。
【0020】例えば、特開昭51−132036号公報
で提案されている方式では、深さが300μm程度のイ
ンク液面直下に微小な電気発熱体を多数配置し、画像情
報に応じて特定位置のものを選択的に通電加熱し、これ
により形成される気泡が液面で破裂する際に放出される
インクの微小液滴によって記録を行うものである。この
方式はノズルや開口部をもたないため、インク滴の吐出
時に流路に起因する抵抗力を受けないという利点があ
る。
【0021】しかしながら、インクの粘度を高くしてい
くと、10mPa・sを越えたあたりから加熱部に微小な気
泡が発生するもののインクの吐出が行われなくなる。こ
れは、インクの粘度が高くなると気泡の成長および移動
に対する抵抗が大きくなって吐出力が低下することと、
インクの内部凝集力が大きくなってインクを引きちぎっ
て吐出させるために必要なエネルギーが増加するためで
あると考えられる。
【0022】また、この方式におけるインクの供給方法
はインクの流動性を利用したものであり、インクの粘度
を高くしていくと流動性が低下するため、インク供給が
間に合わなくなるという問題もある。
【0023】また、特開昭61-118273号公報で
提案されているものは、インクを保持するための多数の
凹部を有する保持部材にインクを保持させて印字部に搬
送し、レーザー光でインクを加熱して、インク中に発生
する気泡の圧力によってインクを吐出させるものであ
る。この方法では、保持部材そのものが回転駆動してイ
ンクを印字部に搬送するため、インクの粘度に関係なく
高速にインクを供給することができるという利点を有す
る。
【0024】しかしながら、この方法では、次のような
問題を有す。図29は従来のノズルを有さないインクジ
ェット記録方式の一例を説明するものである。図29に
示すように、凹部にインクを保持させた場合、インクは
凹部の側壁と接触しており、この部分で抵抗が生じる。
図29(A)に示す状態から凹部の底面でインクを加熱
して気泡を発生させると、図29(B)に示すように気
泡の成長とともにインクは凹部から押し出されるが、イ
ンクは破線で示した凹部の側壁から抵抗力を受けるた
め、吐出時に大きなエネルギーが必要とされる。特にイ
ンクの粘度が高くなると、この凹部の側壁から受ける抵
抗は大きくなり、多大なエネルギーが必要になる。さら
に、気泡が成長し破裂する寸前は、図29(C)に示す
ようにインクは凹部の先端部に接触した状態になるが、
この状態から気泡が破裂する際に偏りが少しでもある
と、図29(D)や図29(E)に示すようにインクの
一部が凹部の縁の一部に接触した状態となり、この付着
力によってインク滴が飛翔できなかったり、インク滴の
飛翔方向が変化してしまい、画質が劣化してしまうとい
う問題がある。このような飛翔直前のインクの付着状態
は、凹部の形状や表面状態、気泡の発生状態に依存し、
任意に制御することは不可能である。
【0025】上述したフェザリングおよびブリーディン
グの問題に対し、印字方法でなく記録媒体やインクの特
性を工夫して解決しようという提案も種々なされてい
る。
【0026】被記録媒体を工夫したものは、例えば特開
平9-207429号公報で提案されているように、合
成紙基材上に高分子多孔質層を形成し、この高分子多孔
質層にインクを瞬間的に吸収保持させることで、上述し
た問題を解決している。
【0027】また、インクの特性を工夫したものは、例
えば特開平8-281932号公報で提案されているよ
うに、性質の異なるインクを使用し、性質の異なるイン
ク間の接触により化学反応を起こさせ、インクを瞬間的
に固定することによって、上述した問題を解決しようと
している。
【0028】しかしながら、被記録媒体を工夫するもの
は、記録媒体自体のコストが高くなってしまうことや、
記録媒体が特殊専用紙に限定されてしまうという問題を
有する。また、インクの特性を工夫するものは、インク
自体のコストが高くなるし、特に性質の異なるインクを
用意するものはプロセス的にも複雑になり、装置の大型
化、高コスト化に繋がる。さらに、インクの材料が限定
されるため、記録方式として狭い用途に限定されること
になる。
【0029】以上説明してきたように、従来のインクジ
ェット方式の記録技術では、粘度の高いインクを印字エ
ネルギーの増大なく、微小量だけ、高速に、安定して噴
射することができなかったため、インクの滲み(フェザ
リング)や異色インク間の混色滲み(ブリーディング)
という問題に対して有効な解決策が見出せず、また多様
化する記録媒体への適応ができなかった。
【0030】本発明は、上述した事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、記録品質を維持向上させるこ
とにある。
【0031】本発明の他の目的は、粘度の高いインクを
消費エネルギーの増大なく、微小量だけ、高速に、かつ
安定して噴射可能な画像形成方法を提供するとともに、
さまざまな被記録媒体に対して滲みがなく、高画質、高
精細な画像を高速に形成可能な画像形成装置を実現する
ことにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成す
るために、本発明に係る画像形成方法は、表面が平坦な
インク担持体上にインクを供給するインク供給工程と、
前記インク担持体から一定間隔をおいて被記録媒体を設
ける位置決め工程と、前記インク担持体から前記被記録
媒体へインクを飛翔させて画像記録を行う工程であっ
て、画像情報に従って前記インク担持体の特定部位を加
熱し同時に当該インクに対して前記被記録媒体側への静
電吸引力を与える画像記録工程と、を含むことを特徴と
する。
【0033】上記構成によれば、加熱によるインクの飛
翔時に静電吸引力を及ぼすことができるので、両者の相
乗作用によって飛翔を促進させて、記録品質を向上可能
である。特に、粘性の高いインクを用いる場合に有利で
ある。
【0034】(2)また、上記目的を達成するために、
本発明に係る画像形成装置は、インク担持体上にインク
を供給するインク供給手段と、前記インク担持体から一
定間隔をおいて被記録媒体を設ける位置決め手段と、画
像情報に従って前記インク担持体の特定部位を加熱する
加熱手段と、前記加熱と同時に前記インクに対して前記
被記録媒体側への静電吸引力を与える電界発生手段と、
を含み、前記加熱によるインクの飛翔が前記静電吸引力
により促進されることを特徴とする。
【0035】(3)また、上記目的を達成するために、
本発明に係る画像形成装置は、インク担持体上にインク
を供給するインク供給手段と、前記インク担持体から一
定間隔をおいて中間媒体を設ける位置決め手段と、画像
情報に従って前記インク担持体の特定部位を加熱する加
熱手段と、前記加熱と同時に前記インクに対して前記中
間媒体側への静電吸引力を与える電界発生手段と、前記
中間媒体上の画像を被記録媒体へ転写する転写手段と、
を含むことを特徴とする。
【0036】(4)本発明では、インク担持体上にイン
クを保持させ、インク担持体の特定部位が画像情報に従
って加熱される。すると、インク担持体とインクの界面
あるいは界面近傍でインクが膜沸騰し、膜沸騰によって
発生した気泡の圧力によって加熱部分のインクをインク
担持体から剥離し、飛翔させることができる。このと
き、望ましくは、インク担持体の表面が平坦である。そ
のような構成によれば、インクとインク担持体との接触
部はインクの底面のみとなる。インクの飛翔時には、イ
ンクの底面が加熱によって発生する気泡によりインク担
持体と分離される。そのため、インク担持体との接触に
よる抵抗が発生せず、インクの剥離、飛翔に大きなエネ
ルギーを必要としない。また、インクの飛翔時に、イン
ク担持体と接触していないため噴射方向が安定する。特
に、それと同時に、被記録媒体方向に静電的な吸引力を
受けるため、被記録媒体の所望の位置にインクを付着さ
せることができ、高画質、高精細な画像を形成すること
ができる。望ましくは、インクの供給に当たって、イン
ク担持体上にインクを保持し、インク担持体を移動させ
てインクを連続的に印字位置まで搬送するため、インク
担持体の搬送速度を速くすれば、インクの粘度に関係な
く高速にインク供給を行うことができる。
【0037】望ましくは、インク担持体上に、相互に分
離独立したインク滴状あるいはストライプ状などの多数
の飛翔要素からなる均一なインクパターンが形成され
る。特に、飛翔要素がインク滴状の場合には、もともと
インクが分断されているため、インク担持体から飛翔す
る際に周囲のインクから受ける引っ張り力などの抵抗力
が全くなく、インク滴を垂直方向に安定して飛翔させる
ことができる。なお、インク滴がインク担持体から剥離
した段階で、気体の膨張圧力が分散するが、インク滴に
は同時に被記録媒体方向に静電的な吸引力を作用させて
いるため、インク滴を高速に安定して飛翔させることが
できる。
【0038】この方法では、インク担持体や周囲のイン
クから受ける抵抗力が全くないため、粘度の低いインク
から粘度の高いインクまで、非常に小さなエネルギーで
インクを飛翔させることができ、粘度が多少変化しても
インクの飛翔に関する影響はない。さらに、インクを飛
翔させた際の影響は周囲に全く伝播しないため、周囲の
画素に関係なく記録を進めることができ、高速に、高画
質、高精細な画像形成を行うことができる。
【0039】また、インク担持体上のインクパターンに
おける飛翔要素がストライプ状の場合でも、2方向にイ
ンクが連続するのみであり、周囲から受ける引っ張り力
などの抵抗力が小さく、またインクの所特性はほぼ均一
であるため抵抗力もほぼ均一であり、加熱領域のインク
は垂直方向に安定して飛翔させることができる。なんら
かの要因で一方向に偏った場合でも、インクには同時に
被記録媒体方向に静電的な吸引力を作用させているた
め、インク滴を高速に安定して飛翔させることができ
る。
【0040】この方法でも、周囲から受ける抵抗力が非
常に小さいため、粘度の低いインクから粘度の高いイン
クまで、非常に小さなエネルギーでインクを飛翔させる
ことができ、粘度が多少変化してもインクの飛翔に関す
る影響はほとんどない。また、周囲の画素からの影響も
画素の記録方法とタイミングを調整すればほとんど影響
を受けない。従って、高速印字が可能であり、高画質、
高精細な画像を形成することができる。さらに、このパ
ターンは、先端に凹凸を有するブレードなどの非常に簡
単な手段でインクをインク担持体上に形成塗布すること
ができるという利点を有する。
【0041】このように、インクを各パターン状にイン
ク担持体上に保持させる場合、飛翔するインク滴量は、
インクがインク担持体上にパターン状に塗布された段階
で一定量に決定されるため、非常に安定している。ま
た、インク担持体上に保持されるインクのパターンを微
細に、つまりインク滴状であればインク滴を微小に、ス
トライプ状であればストライプを細く形成しておけば、
飛翔するインク滴量を低減でき、微小なドットを再現す
ることができる。
【0042】インク担持体上に保持させるインクの状態
としては、上述したようなパターン状のほか、厚さ20
μm以下、好ましくは10μm以下の均一な薄層状にイン
クを保持させてもよい。この場合、インクが飛翔する際
には加熱領域の周囲のインクから分断するための力が必
要であるが、インクの層の厚さを20μm以下とするこ
とによって、分断のためのエネルギーを小さくすること
ができる。また分断のための力は、インクの所特性と厚
みで決まり、インクの所特性は均一であるため、厚みを
均一にすることで一定にすることができる。インクの厚
みは加熱領域が小さいためほぼ均一であり、従ってイン
クの飛翔時に周囲のインクから受ける抵抗力はほぼ一定
であるため、加熱領域のインクをほぼ垂直方向に剥離、
飛翔させることができる。なんらかの要因で抵抗力が一
方向に偏った場合でも、インクには同時に被記録媒体方
向に静電的な吸引力を作用させているため、インク滴を
垂直方向に安定して飛翔させることができる。
【0043】この方法でも、周囲から受ける抵抗力が小
さいため、粘度の低いインクから粘度の高いインクま
で、小さなエネルギーでインクを飛翔させることがで
き、粘度が多少変化してもインクの飛翔に対する影響は
小さい。また、インク層の厚さを薄くしておけば、飛翔
するインク滴量を低減でき、微小なドットを再現でき
る。さらに薄層状のインクは、ブレードやロールなどの
非常に簡単な手段で、インク担持体上に形成塗布するこ
とができるという利点を有す。
【0044】このように、インクをインク担持体上に薄
層状に保持させれば、粘度が高いインクも飛翔させるこ
とができるが、逆に粘度が数mPa・sの低粘度のインクを
用いると、インクを噴射した後、インクが抜けた部分に
周囲からインクが流れ込むことや、インクを噴射した際
に発生する液面の振動が周囲に伝播し、隣接する画素に
対応するインクを飛翔させる際に飛翔方向やインク滴量
のばらつきが発生しやすい。
【0045】そこで、より望ましくは、粘度が少なくと
も10mPa・s以上のインクを使用する。粘度の高いイン
クを使用することによって、インクの流動性を抑え、液
面の振動を減衰させることができる。従ってインクを噴
射した後、上述したような隣接する画素に対する影響が
低減され、周囲の画素に関係なく記録を進めることがで
き、高速に、高画質な画像形成を行うことができる。
【0046】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の画像形成方法の
第1の実施の形態を示す原理説明図である。図中、1は
インク、2はインク担持体、3は加熱部、4は気泡(気
体層)、5は電界発生用電極部、6は電圧印加手段(電
源)、7は被記録媒体、8は飛翔したインク滴である。
【0047】この第1の実施の形態では、図1(A) に
示すように、インク1を独立したインク滴状にインク担
持体2上に保持させ、これによってインクパターンが構
成される。ここで独立分離した各インク集合は飛翔単位
をなすものである。インク担持体2は、インク1を保持
する表面が平坦に構成されている。またインク担持体2
は、印字部において図1(B)に示すように外部からの
加熱、あるいは内部の発熱によって、インク1を保持し
た表面の特定部位が選択的に加熱されるように構成され
る。さらに、インク担持体2の加熱部3と対向した位置
に、被記録媒体7を介しつつ、微小間隙をもって電界発
生用電極部5が配置されている。被記録媒体7は、電界
発生用電極部5に沿って、インク担持体2のインク1を
保持する面と微小間隙をもって搬送される。
【0048】図1(A)に示すようにインク1がインク
担持体上に独立したインク滴状態で、図1(B)に示す
ように加熱部3を選択的に発熱させる、あるいは外部か
ら加熱すると、独立したインク滴状のインク1とインク
担持体2の接触界面、あるいは界面近傍のインク1が膜
沸騰して気化し、図1(B)に示すようにインク1とイ
ンク担持体2との間に気体層4が発生する。これによっ
てインク1とインク担持体2が剥離され、同時に、発生
した気体層4の急激な体積膨張圧力によって図1(C)
に示すようにインク滴8が飛翔する。このとき、インク
滴8は周りに接触するものがないため、周囲から受ける
抵抗力がなく、非常に小さなエネルギーで、垂直方向に
安定に飛翔する。
【0049】また、インク担持体2と被記録媒体7の間
には、被記録媒体7の裏面に配置された電界発生用電極
部5とそれに接続された電圧印加手段6によって、少な
くとも加熱時からインク滴8が被記録媒体7に付着する
までの間、電界が印加される。電界中に置かれたインク
1は、溶媒が水などの導電性インクである場合には静電
誘導によって表面に電荷が発生し、また溶媒が炭化水素
系有機溶剤などの絶縁性インクである場合には誘電分極
が生じるため、静電的な力が作用する。インク1は、イ
ンク担持体2からの飛翔時に、この電界から受ける作用
によって被記録媒体7の方向へ静電的な吸引力を受け、
飛翔速度が向上するとともに外乱による飛翔方向の乱れ
が効果的に防止される。
【0050】飛翔したインク滴8は、図1(D)に示す
ように被記録媒体7に付着し、画像が形成される。
【0051】このとき飛翔するインク滴8の液量は、図
1に示すように、インク担持体2上に形成する飛翔単位
としてのインク1の大きさに依存する。そのため、イン
ク1をインク担持体2上に保持させる段階で一定量とな
るように制御すれば、安定した量のインク滴により記録
を行うことができる。また、インク滴状のインク1の大
きさを小さくすれば、インク滴8の大きさを小さくする
ことができ、微小なドットを被記録媒体7上に再現する
ことができる。
【0052】図1に示した例では、連続した2つのイン
ク滴を同時に飛翔させているが、加熱部の面積を制御す
ることによって、1個単位で飛翔させることもできる
し、3個以上のインク滴を同時に飛翔させることもでき
る。
【0053】また、この例では、上述したようにインク
滴状のインク1の飛翔は周囲からの影響を受けず、また
周囲のインクへも影響を及ぼさないことから、任意のタ
イミングでインク滴8を飛翔させることが可能であり、
画像情報に応じて多数の画素に対する位置でインク1を
同時に飛翔させて画像を形成することができる。
【0054】さらに、上述したように加熱によって発生
する気体層4でインク1とインク担持体2が分離し、ま
た周囲のインクから受ける抵抗力もないため、インク1
として粘度の高いインクを用いた場合でも、粘度が高い
ことによって受ける抵抗力の増加はなく、非常に小さな
エネルギーでインク滴8を剥離、飛翔させることができ
る。また、インク1の粘度が多少変化しても、インク滴
8の飛翔に関する影響はない。従って、本発明の第1の
実施の形態によれば、粘度の低いインクから粘度の高い
インクまで、非常に小さなエネルギーで良好にインク滴
8を飛翔させて記録を行うことができる。
【0055】粘度の高いインク1を用いた場合、被記録
媒体7に付着したインク滴8は、被記録媒体8内への浸
透速度が遅く、これに対して乾燥速度の方が速いため、
フェザリングが発生しにくい。また、異色インク間の混
色速度も遅いため、ブリーディングも発生しにくい。従
って、鮮鋭度が高く、画像のざらつき感や色濁りの少な
い高画質な画像を形成することができる。
【0056】なお、インク1としては、例えば水に染料
あるいは顔料を分散した水性インクを使用できる。また
水性インクに限らず、例えば炭化水素系の有機溶剤や各
種アルコールなど、比較的低沸点の液体であればインク
の溶剤として使用可能であるが、蒸気の安全性や爆発の
危険性などを考慮すると、水性インクが望ましい。
【0057】以下の実施例では、インク1として水性イ
ンクを用いている。また、インク1の粘度の調整は、例
えば層状珪酸塩などの粘度鉱物や澱粉など、水溶性の高
分子をインク1に添加して行い、粘度を1mPa・sから1
00000mPa・sまで調整して用いた。
【0058】図2は、本発明の画像形成方法の第1の実
施の形態を実現する画像形成装置の一例を示す概略構成
図である。図中、9はインク供給手段、10はインク貯
蔵部、11はインク供給ローラ、12はブレード、13
は加熱手段、14は被記録媒体搬送手段である。この例
では、インク担持体2としてドラム状の部材を用いた。
ドラム状の部材の表面は平坦であり、この平坦な表面に
インク1を保持する。インク担持体2は、図示しない回
転駆動手段によって図中矢印の方向に回転駆動される。
【0059】本実施例で使用したインク供給手段9は、
インク貯蔵部10と、インク供給ローラ11と、ブレー
ド12と、で構成した。インク貯蔵部10にはインク1
が貯蔵されている。なお、インク貯蔵部10を、インク
供給手段9とは別に設け、ホース等で適宜インク供給手
段9にインク1を搬送するように構成してもよい。イン
ク供給ローラ11は、図示しない回転駆動手段によっ
て、あるいはインク担持体2の従動によって、図中矢印
の方向に回転する。インク供給ローラ11の一部はイン
ク貯蔵部10に浸漬しており、インク貯蔵部10からイ
ンク1を汲み上げる。またインク供給ローラ11は、イ
ンク担持体2と接触しており、汲み上げたインク1を多
数の独立したインク滴状のパターンでインク担持体2に
塗布する。ブレード12は、インク供給ローラ11によ
って汲み上げられた余分なインク1を掻き落として、イ
ンク担持体2との接触部に供給するインク1を調整する
もので、必要に応じて配置される。
【0060】加熱手段(加熱機構)13は、画像情報に
応じてインク担持体2の表面あるいは表面近傍を部分的
に加熱し、表面に保持されているインク1を膜沸騰させ
てインク1を剥離、飛翔させる。また同時に、加熱手段
13と対向する位置にインク担持体2と微小間隙をもっ
て配置された電界発生用電極部5で、インク担持体2と
電界発生用電極部5の間に電界を形成し、インク1を被
記録媒体7方向に静電的に吸引する。なお加熱手段13
は、それ自体が発熱してインク担持体2に熱を伝達して
もよいし、加熱手段13は発熱せず、インク担持体2を
発熱させる構成でもよい。
【0061】被記録媒体搬送手段14は、被記録媒体7
を加熱手段13と電界発生用電極部5の間(以下、印字
部と呼ぶ)に、インク担持体2と微小間隙をもって搬送
する。本実施例では図2に示したようにロール状の部材
を使用しているが、前記機能が達成されればこれに限定
されるものではなく、例えばベルト状の部材に吸着させ
て搬送するような構成でもよい。また、被記録媒体7を
静止させ、加熱手段13と電界発生用電極部5を含む他
の部分を移動させるような構成でもよいし、両者を移動
させるような構成としてもよい。
【0062】上述した構成により本実施例では、まずイ
ンク供給ローラ11の回転により、インク貯蔵部10内
のインク1が汲み上げられ、ブレード12で不要なイン
ク1が掻き落とされる。その後、インク供給ローラ11
とインク担持体2との接触部において、インク供給ロー
ラ11で汲み上げられたインク1がインク担持体2上に
転移し、インク担持体2の表面にインク1が独立したイ
ンク滴状に形成される。そしてインク担持体2の回転に
よって独立したインク滴状に塗布されたインク1が印字
部へと搬送される。一方、被記録媒体7が搬送手段14
によって印字部へと搬送される。
【0063】印字部では、加熱手段13によって画像情
報に応じてインク担持体2の一部が加熱される。また同
時に電界発生用電極部5によってインク担持体2と電界
発生用電極部5の間に電界が形成され、図1に示したよ
うにインク滴8が飛翔し、被記録媒体7へ付着して画像
を形成する。
【0064】インク供給ローラ11によるインク担持体
2へのインク1の塗布、および塗布されたインク1の印
字部への供給は、インク供給ローラ11およびインク担
持体2の回転により連続的に行われるため、画像形成が
連続的に行われる。また、これらを高速に行うことによ
って、インク1を高速に印字部へ供給することができ
る。
【0065】なお、インク担持体2上に保持したが印字
部で飛翔させなかった非画像部に対応するインク1は、
インク担持体2の回転により再びインク供給ローラ11
と接触する際に、インク供給ローラ11で汲み上げられ
たインク1と混ぜられ、過剰な分は絞られてインク貯蔵
部10に回収される。なお、インク担持体2上の飛翔さ
せなかったインク1を強制的に掻き取って回収するスク
レーパなどを必要に応じて設けてもよい。
【0066】次に図2に示した各部の具体例について説
明していく。図3ないし図5は、本発明の第1の実施の
形態におけるインク供給ローラの具体例を示す概略断面
図である。なお、各図(B)は部分拡大図である。図
中、15は凹部、16は貫通孔、17はメッシュフィル
ム、18は多孔質弾性部材である。
【0067】図3に示したインク供給ローラ11は、表
面に径が10μmから200μm、深さが1μmから50
μmの凹部15が均等な間隔で形成されている。このイ
ンク供給ローラ11としては、ゴム、樹脂、プラスチッ
ク、金属等の材料からなるロール部材を用いることがで
きる。凹部15の形成は、ロールの材質に応じて、エン
ボス加工、レーザー加工、エッチング加工等によってそ
れぞれ形成することができる。また、インク供給ローラ
11はインク担持体2と確実に接触させるために、少な
くとも表面が弾性を有するものが好ましい。また、弾性
を有することでインク担持体2との接触圧で凹部が押し
つぶされ、凹部15に保持されたインク1が確実にイン
ク担持体2と接触し、転移抜けの発生が防止できる。
【0068】図2に示したように、インク供給ローラ1
1はインク貯蔵部10に浸漬されており、インク貯蔵部
10においてインク1が凹部15に供給される。このと
き、インク供給ローラ11の凹部15以外の表面にもイ
ンク1が付着するが、この余分なインク1は、インク担
持体2との接触部で絞られ、インク貯蔵部10に回収さ
れる。
【0069】ブレード12を配置した構成では、インク
供給ローラ11でインク1を汲み上げた後、インク担持
体2にインク1を転移する前に、ブレード12によって
凹部15以外の表面に付着した余分なインク1を掻き落
とすことができる。また同時に、インク1を凹部15に
押し込む効果があるため、より確実にインク供給ローラ
11の凹部15にインク1を供給することができる。
【0070】図4に示したインク供給ローラ11の例で
は、中空の円筒状部材をインク供給ローラ11として用
い、上述した凹部15に対応する貫通孔16を設けた例
を示している。この場合、インク供給ローラ11をイン
ク貯蔵部10に浸漬すると、貫通孔16にインク1が毛
管力によって充填された状態となる。その後、インク供
給ローラ11をインク担持体2に押圧することによっ
て、貫通孔16内に充填されたインク1をインク担持体
2に転移することができる。もちろん、インク担持体2
との接触前にブレード12によって不要なインク1を除
去してもよい。
【0071】図5に示したインク供給ローラ11は、多
孔質の材料からなるロール状の弾性部材18を、上述し
た凹部15に対応する貫通孔16を有するメッシュフィ
ルム17で被覆したものである。インク供給ローラ11
をインク貯蔵部10に浸漬させることによって、弾性部
材18にインク1を含浸保持させる。この状態でインク
供給ローラ11をインク担持体2と圧接することによっ
て、弾性部材18に含浸保持されていたインク1はメッ
シュフィルム17の貫通孔16から滲み出し、インク担
持体2へ転移される。もちろん、インク担持体2との接
触前にブレード12によって表面に不要に付着したイン
ク1を除去してもよい。
【0072】これらのようにして、インク1をインク担
持体2上にインク滴状に塗布することができる。もちろ
ん、インク担持体2上に形成されるインク1のパターン
は、インク供給ローラ11の表面の凹部15および貫通
孔16のパターンに対応する。
【0073】図6は、本発明の第1の実施の形態におけ
るインク供給ローラの別の具体例を示す概略説明図であ
る。図中、19は親水性パターンである。図6に示した
インク供給ローラ11は、表面に親水性と疎水性のパタ
ーンを形成したものである。例えば、親水性のアルミニ
ウムのロール基材の表面に、シリコーン系の撥水性材料
あるいはフッ素系の撥水性材料の層を形成し、これに収
束レーザ光を照射することによって撥水性表面層を除去
し、所望の親水性パターン19を形成することができ
る。本実施例では、親水性パターン19として径が5μ
mから100μmの円状の親水性部を均等な間隔で形成し
た。
【0074】シリコーン系の撥水性材料からなる撥水性
表面層としては、シリコーン系離型剤の被膜、シリコー
ンオイルあるいは各種変性シリコーンオイルの焼付被
膜、シリコーンワニスの被膜、シリコーンゴムの被膜、
あるいはシリコーンゴムと各種金属、ゴム、プラスチッ
ク、セラミックなどの複合物からなる被膜などが使用で
きる。
【0075】また、フッ素系の撥水性材料からなる撥水
性表面層としては、フッ素樹脂の被膜、有機フッ素化合
物の被膜、フッ素オイルの焼付被膜または吸着膜、フッ
素ゴムの被膜、あるいはフッ素ゴムと各種金属、ゴム、
プラスチック、セラミックなどの複合物からなる被膜な
どが使用できる。
【0076】なお、撥水性表面は、使用するインク1と
の接触角が少なくとも90度以上、好ましくは120度
以上あることが望ましい。
【0077】図6に示したインク供給ローラ11の一部
を、図2に示したようにインク貯蔵部10に浸漬させ、
インク供給ローラ11を回転させると、インク貯蔵部1
0内のインク1がインク供給ローラ11の表面、特に親
水性部分に付着して汲み上げられる。その後、インク供
給ローラ11をインク担持体2に押圧することによっ
て、親水性パターン19上に保持されたインク1をイン
ク担持体2に転移することができる。
【0078】なお、インク1は撥水性部分に保持されに
くいが、実際には撥水性部分に不要に付着するインク1
が存在するため、インク担持体2との接触前にブレード
12によって、撥水性部分に不要に付着したインク1を
除去することが好ましい。また、ブレード12は撥水性
が高い方がインク供給ローラ11の撥水性部分に付着し
た不要なインク1を良好に除去することができるため、
本実施例ではポリウレタン製のブレードにシリコーン被
膜を形成して使用した。ブレード12の押圧力は、強す
ぎると親水性部分に付着したインク1まで掻き取ってし
まい、弱すぎると撥水性部分のインク1を十分に除去で
きない。本実施例では、ブレード12の押圧力が1g/cm
から50g/cmの範囲のとき、撥水性部分に付着したイン
ク1のみを良好に除去することができた。
【0079】なお、図6に示すインク供給ローラ11を
用いる場合、インク1の粘度が高すぎると、ブレード1
2を通過した後にインク1が親水性部分でインク滴形状
として安定するまでに時間がかかるため、比較的粘度の
低いインク(100mPa・s程度まで)に適用することが
望ましい。
【0080】ここではインク供給ローラ11に親水性と
疎水性のパターンを形成する例を示したが、インク担持
体2に親水性と疎水性のパターンを形成し、撥水性の表
面層を形成した弾性のインク供給ローラ11を用いて、
インク貯蔵部10からインク1を汲み上げ、インク担持
体2との接触部にインクを供給することによって、イン
ク担持体2の親水性部分にインク滴状のインク1のパタ
ーンを形成することも可能である。
【0081】また親水性と疎水性のパターンを形成した
インク担持体2を使用し、インク貯蔵部10内のインク
1をスリット状等の開口から押出してインク供給ローラ
11に全面塗布した後、撥水性の表面層を形成したブレ
ード12で掻き取ることによって、インク担持体2の親
水性部分にインク滴状のインク1のパターンを形成する
こともできる。これらの場合、インク担持体2は加熱手
段13によって加熱されるため、親水性と疎水性のパタ
ーンが熱によって変性しないように加工しておく必要が
ある。
【0082】図7は、本発明の画像形成方法の第1の実
施の形態を実現する画像形成装置の第1の変形例を示す
概略構成図である。図中、図2と同様の部分には同じ符
号を付して重複する説明を省略する。
【0083】この例は、インク供給ローラ11を用いず
に、インク担持体2を直接インク貯蔵部10に浸漬させ
る例を示している。この場合、インク担持体2の表面に
は、例えば図6に示したインク供給ローラ11と同様に
親水性と疎水性のパターンを形成しておく。インク担持
体2をインク貯蔵部10に浸漬させた後、付着したイン
ク1を撥水性の表面層を形成したブレード12で掻き取
ることによって、直接インク担持体2の親水性部分にイ
ンク滴状のインク1のパターンを形成することができ
る。
【0084】この場合も、インク担持体2は加熱手段1
3によって加熱されるため、親水性と疎水性のパターン
が熱によって変性しないように加工しておく必要があ
る。
【0085】次に、加熱手段13によるインク支持体2
の加熱方法の具体例を説明する。加熱手段13は、一例
として加熱ヘッドで構成することができる。肉厚の薄い
インク担持体2を用い、加熱ヘッドをインク担持体2の
裏面に接触させて配置し、画像情報に応じて加熱ヘッド
を発熱させ、インク担持体2を加熱する。
【0086】しかし、機械的強度を考慮すると、インク
担持体2の薄肉化には限界があり、また熱伝導率が高い
材料を使用したとしても、熱の拡散による加熱領域の拡
大や、これに伴う熱効率の低下が著しい。
【0087】そこで、インク担持体2の内部、特にイン
ク1を保持する表面近傍に発熱する機構を組込んでお
き、加熱手段13はインク担持体2を発熱させるエネル
ギーを供給する構成とすることが好ましい。こうするこ
とによって、インク担持体2を薄肉化する必要がなくな
り、また表面あるいは表面近傍を直接発熱させるため、
熱の拡散による加熱領域の拡大や熱効率の低下も抑える
ことができる。
【0088】図8は、本発明の第1の実施の形態におけ
るインク担持体の加熱方法の具体例の説明図である。図
中、20は絶縁性基体、21は導電性ピン(導電素
子)、22は支持体、23は発熱抵抗層、24は導電
層、25は摩擦保護層、26は記録電極、27は記録ヘ
ッド、28は発熱部である。図8に示したように、電気
絶縁性を有する絶縁性基体20に、径が10μmから2
00μmの導電性ピン21を、厚み方向に独立に埋め込
んだ異方導電性支持体22の表面に、発熱抵抗層23、
導電層24、摩擦保護層25を順次積層してインク担持
体2を構成している。
【0089】絶縁性基体20の材料としては、電気絶縁
性と耐熱性の点から、酸化珪素を主成分とする各種ガラ
スがフッ化ホウ素などの無機材料や、耐熱プラスチック
などを使用することができる。また導電性ピン21は、
導電性と耐熱性の点から、Al、Au、Ag、Pt、Cuなどの金
属電極材料が使用できる。
【0090】発熱抵抗層23の材料としては、タンタル
-SiO2の混合物、窒化タンタル、ニクロム、銀-パラジ
ウム合金、シリコン半導体、あるいはジルコニウム、チ
タン、タングステン、モリブデン、ニオブ、クロム、バ
ナジウムなどの金属の硼化物などが使用可能である。こ
れらの材料を用いて電子ビーム法、蒸着法、スパッタリ
ング法などによって発熱抵抗層23を形成することがで
きる。膜厚は単位時間当たりの発熱量が所望値となるよ
うに設計すればよく、通常は0.01μmから5μm程度
である。
【0091】導電層24の材料としては、体積固有抵抗
値が102Ω・cm以下の通常の電極材料でかつ耐熱性に
優れる材料であれば使用できる。例えばAl、Au、Ag、P
t、Cuなどの金属電極材料が使用できる。これらの材料
を蒸着法などによって、5μm以下の厚みで形成し、導
電層24を形成することができる。
【0092】摩擦保護層25の材料としては、機械的強
度および耐熱性の点から、酸化シリコン、窒化シリコ
ン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化タンタ
ル、酸化ジルコニウムなどが使用できる。摩擦保護層2
5は、これらの材料を用いて電子ビーム法、蒸着法、ス
パッタリング法などによって形成することができる。膜
厚は機械的強度および熱効率を考慮すると5μm以下、
好ましくは1μm以下である。
【0093】このようなインク担持体2を用い、このイ
ンク担持体2の異方導電性支持体22側から、加熱手段
13として所望の解像度で記録電極26を並べた記録ヘ
ッド27を接触させる。そして画像情報にしたがって記
録電極26から異方導電性支持体22の導電性ピン21
を介して発熱抵抗層23、導電層24へと電流を流すこ
とによって、発熱抵抗層23を発熱させることができ
る。発熱抵抗層23の発熱部28で発生した熱は、導電
層24、摩擦保護層25を介してインク1へと伝達され
る。
【0094】図9は、本発明の第1の実施の形態におけ
るインク担持体の加熱方法の別の具体例の説明図であ
る。図中、29は半導電性支持体でる。なお、図8と同
様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。この具
体例では、支持体として電界強度によって抵抗値が変化
する半導電性材料からなる半導電性支持体29を使用
し、その表面に発熱抵抗層23、導電層24、摩擦保護
層25を順次積層してインク担持体2を構成している。
【0095】電界強度によって抵抗値が変化する半導電
性支持体29の材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリエ
チレン、ポリイミド、テフロン(登録商標)をベースと
した材料がある。これらの材料は、電界がない状態では
抵抗率が1014Ω・cm以上あるが、105V/mから10
6V/mの電界下では抵抗率を104Ω・cm以下に変化させ
ることができる。これらの材料の中で、耐熱性を考慮す
るとポリイミド、あるいはテフロンをベースとした材料
が適当である。
【0096】このようなインク担持体2を用い、このイ
ンク担持体2の半導電性支持体29側から、加熱手段1
3として所望の解像度で記録電極26を並べた記録ヘッ
ド27を接触させる。そして画像情報に従って記録電極
26で電界を形成し、半導電性支持体29の電気抵抗を
選択的に下げ、記録電極26から半導電性支持体29の
抵抗低下部、発熱抵抗層23、導電層24へと電流を流
すことによって、発熱抵抗層23を発熱させる。このと
き発熱部28は、記録電極26によって強い電界強度を
作用させられた領域であり、この領域から離れると半導
電性支持体29中の電界強度が弱くなって抵抗が大きく
なり、電流が流れにくくなるため発熱しない。従って発
熱抵抗層23の発熱部28を選択的に発熱させることが
できる。発熱抵抗層23で発生した熱は、導電層24、
摩擦保護層25を介してインク1へと伝達される。
【0097】図10は、本発明の実施の形態におけるイ
ンク担持体の加熱方法の別の具体例の説明図である。図
中、30は光透過性支持体、31は光透過性導電層、3
2は光導電層、33はバイアス電源、34はLED光で
ある。なお、図8ないし図9と同様の部分には同じ符号
を付して説明を省略する。この具体例では、光透過性支
持体30に光透過性導電層31、光導電層32、発熱抵
抗層23、導電層24、摩擦保護層25を順次積層した
インク担持体2を使用している。ここで、光透過性導電
層31と導電層24には、バイアス電源33によって一
定のバイアス電圧が印加されている。
【0098】光透過性支持体30としては、光透過率と
耐熱性の点から、酸化珪素を主成分とする各種ガラスや
フッ化ホウ素などの無機材料や、透明性の耐熱プラスチ
ックなどが使用できる。
【0099】また、光透過性導電層31としては、酸化
インジウム、酸化すず、酸化クロム、ポリアセチレンな
どの金属材料の単層、または各種金属材料の混合層を使
用することができる。厚さは、光透過性の点から5μm
以下が好ましい。
【0100】光導電層32としては、セレン、シリコ
ン、硫黄、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの金属または
その合金類や、フタロシアン系、ペリレン系などの色材
を使用することができるが、耐熱性を考慮するとシリコ
ン系の光導電層が適当である。厚さは0.1μmから5μ
m程度が好ましい。
【0101】このようなインク担持体2を用い、加熱手
段13として光導電層32の吸収波長を発光する図示し
ない光照射手段を使用し、インク担持体2の光透過性支
持体30側から、画像情報に従って光導電層32を光照
射する。光照射手段としては、例えばLEDアレイが使
用できる。これによって、光導電層32の光照射部分が
導通状態となり、光透過性導電層31、光導電層32、
発熱抵抗層23、導電層24へと電流が流れることによ
って、発熱抵抗層23を発熱させることができる。
【0102】光照射手段としては、LEDアレイの他に
も、レーザ、液晶シャッターアレイ、スリット露光装置
などが使用できるが、特にLEDアレイは小型化が可能
であるため、インク担持体2の内部にLEDアレイヘッ
ドを配置することができ、装置の小型化に適している。
【0103】図11は、本発明の実施の形態におけるイ
ンク担持体の加熱方法のさらに別の具体例の説明図であ
る。図中、35は光吸収発熱層である。なお、図8ない
し図10と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略
する。この具体例では、光透過性支持体30に光吸収発
熱層35、導電層24、摩擦保護層25を順次積層した
インク担持体2を使用している。
【0104】光吸収発熱層35としては、使用する光照
射手段の波長を吸収する耐熱材料、あるいは使用する光
照射手段の波長を吸収する色素を分散した耐熱材料が使
用できる。例えばAlの蒸着膜や、酸化珪素を主成分とす
る各種ガラスやフッ化ホウ素などの無機材料に色素を分
散したものが使用できる。
【0105】このようなインク担持体2を用い、加熱手
段13として図示しない光照射手段を使用し、インク担
持体2の光透過性支持体30側から、画像情報に従って
光吸収発熱層35を光照射する。光照射手段としては、
例えばレーザ装置を使用することができ、レーザ光36
を光吸収発熱層35に照射することによって、光吸収発
熱層35を直接発熱させることができる。
【0106】この方式では、熱エネルギーを全て光エネ
ルギーから変換しなければならないため、高出力の光照
射手段が必要である。従ってアルゴンレーザやヘリウム
レーザ、炭酸ガスレーザ、半導体レーザなどの種々のレ
ーザが適当であるが、装置の小型化、低コスト化を考慮
すると、半導体レーザが最適である。具体的には、出力
30mW程度の半導体レーザを使用することができる。
【0107】なお、図11に示したインク担持体2の導
電層24は、電界発生用電極部5との間に電圧を印加す
るために配したものであり、加熱方法には無関係であ
る。
【0108】図12は、本発明の画像形成方法の第1の
実施の形態を実現する画像形成装置の第2の変形例を示
す概略構成図である。図中、図2と同様の部分には同じ
符号を付して重複する説明を省略する。この変形例で
は、ベルト状のインク担持体2を使用する例を示してい
る。ベルト状のインク担持体2および加熱手段13は、
図8ないし図11に示したいずれの構成を用いることも
できる。また、インク担持体2をベルト状に構成するこ
とによって、インク担持体2の厚さを薄くすることがで
き、加熱手段13として加熱ヘッドを使用し、これをイ
ンク担持体2の裏面に接触して加熱する構成を採用する
こともできる。この場合、インク担持体2として用いる
ベルトには、熱伝導率および機械強度が高いものが好ま
しく、例えばステンレスなどの金属ベルトや、ポリイミ
ドなどの耐熱性樹脂をベースとしたベルトが使用でき
る。またベルトの厚みは、熱拡散を考慮すると20μm
以下、好ましくは10μm以下が望ましい。
【0109】このようなベルト状のインク担持体2を用
いた場合、被記録媒体7とインク担持体2の表面が平行
な部分の面積が大きいため、加熱手段13を2次元的に
配置することによって、幅広の領域を同時に記録するこ
とが可能となる。また、被記録媒体7の全面を同時に記
録することも可能である。
【0110】図13は、本発明の画像形成方法の第1の
実施の形態を実現する画像形成装置の第3の変形例を示
す概略構成図である。図中、37は半導体レーザ、38
はレーザ走査手段である。なお、図12と同様の部分に
は同じ符号を付して重複する説明を省略する。図11に
示したインク担持体2および加熱手段13の構成のよう
に、レーザ光36を用いてインク担持体2を発熱させる
構成では、レーザ光を発生させる半導体レーザ37やレ
ーザ光を走査するレーザ走査手段38を含めて、ドラム
状のインク担持体2の内部に配置することは困難であ
る。そのため、図12に示した第2の変形例と同様に、
ベルト状のインク担持体2を使用することによって、ス
ペース効率を高くすることができる。この場合、ベルト
状のインク担持体2としては、図11に示したように光
吸収発熱層35を有する構成のものを用いることにな
る。
【0111】次に、電界発生用電極部5の具体例を説明
する。電界発生用電極部5は、インク担持体2と被記録
媒体7の間に電界を形成するもので、被記録媒体7の裏
面に配置し、インク担持体2の電位に対して所望の電位
に制御されるものである。インク担持体2は、図8ない
し図11に示すように内部に導電層24を有している。
従って、この導電層24と電界発生用電極部5の間に、
電圧印加手段6によって電圧を印加することによって、
被記録媒体7を介して電界を形成することができる。
【0112】図14は、本発明の第1の実施の形態にお
ける電界発生用電極部の第1の具体例の説明図である。
図中、39は電極、40は絶縁性支持体である。なお、
インク担持体2および加熱手段13は、一例として図9
で示した構成のものを使用しており、符号を付して説明
を省略する。
【0113】画像の鮮鋭度を上げるためには、インク1
を吸引するための電界が広がらない方が好ましいため、
電極39の形状は被記録媒体7の搬送方向に幅が狭い方
が望ましく、電極39の幅を1mm以下にしてある。ま
た、電極39の表面には絶縁性保護膜を設けることが望
ましく、これにより被記録媒体7への電流の流れ込みに
よる電界の広がりや、電気的なリークを防止することが
できる。
【0114】図15は、本発明の第1の実施の形態にお
ける電界発生用電極部の第2の具体例の説明図である。
図中、41は導電性ローラ、42は絶縁性保護膜であ
る。なお、インク担持体2および加熱手段13は、一例
として図9で示した構成のものを使用しており、符号を
付して説明を省略する。また、画像の鮮鋭度を上げるた
めに導電性ローラ41は小さい方が望ましく、導電性ロ
ーラ41の径を10mm以下にしてある。
【0115】この他にも電界発生用電極部5として、コ
ロトロンなどの電荷発生手段等を使用することができ
る。
【0116】さらに、より画像の鮮鋭度を上げるために
は、被記録媒体7の搬送方向に直行する方向にも電極の
幅を狭くすることが望ましい。図16は、本発明の第1
の実施の形態における電界発生用電極部の第3の具体例
の説明図である。これは、図14に示した電界発生用電
極部5の電極39を記録解像度に合わせて画素毎に独立
させたものである。電圧印加手段6により、画像情報に
応じて各画素毎の電極39に電圧を印加することによっ
て、インク1を吸引する静電的な作用力を被記録媒体7
の所望の位置に集中させることができ、より高精細な画
像を形成することができる。
【0117】また、図17は、本発明の第1の実施の形
態における電界発生用電極部の第4の具体例の説明図で
ある。図中、43は絶縁性ロール部材、44はリング状
電極である。これは、電界発生用電極部5として絶縁性
ロール部材43の表面にリング状電極44を記録解像度
に合わせて形成したものである。電圧印加手段6によ
り、画像情報に応じて各画素に対応するリング状電極4
4に電圧を印加することによって、インク1を吸引する
静電的な作用力を被記録媒体7の所望の位置に集中させ
ることができ、より高精細な画像を形成することができ
る。なお、配置構成は図15に示したものと同様であ
る。
【0118】上述したような本発明の画像形成方法の第
1の実施の形態およびそれを実現する画像形成装置を用
い、1mPa・sから100000mPa・sの粘度のインクを使
用して、インクの飛翔状態を観察した。その結果、従来
の熱を利用したインクジェット方式の印字エネルギーが
1ドット当たり数十μJであったのに対し、本発明の第
1の実施の形態は10μJ以下という非常に小さな印字
エネルギーでインクを飛翔させることができた。さら
に、インク1の粘度が高くなっても、印字エネルギーに
与える影響はほとんどなく、粘度が100000mPa・s
のインクでも十分飛翔させることができた。従って、上
述した第1の実施の形態によれば、粘度の高いインクを
使用することが可能になり、フェザリングやブリーディ
ングを減少させて高画質を得ることが可能となる。
【0119】また、インク担持体2上に微小なインク滴
状のインクのパターンを形成することにより、従来のイ
ンクジェットのドット(50μm以上)に対し、非常に
小さいドット(20μm程度までを確認)を形成すること
ができた。従って、上述した第1の実施の形態によれ
ば、高精細な画像形成が可能である。
【0120】また、インク滴状のインク1とインク担持
体2との間に気体層4が発生することが、直接的にイン
ク滴8の剥離、飛翔エネルギーになるため、応答性が高
く、少なくとも40kHz以上の応答性を持つことがわか
った。さらに、インク1はインク担持体2により連続的
に搬送供給されるため、粘度が高くなっても供給速度に
は影響がなく、インク担持体2の移動速度を高くするこ
とにより、高速にインク供給を行うことができる。実験
では1m/sec以上の搬送速度でインク1を供給できるこ
とを確認している。従って、上述した第1の実施の形態
によれば、インクの供給および噴射とも高速に行うこと
ができるので、従来のインクジェット記録方式に比べ、
より高速に記録を行うことが可能である。
【0121】図18は、本発明の画像形成方法の第2の
実施の形態を示す原理説明図である。図中の符号は図1
と同様であり、説明を省略する。この第2の実施の形態
では、インク1をストライプ状にインク担持体2上に保
持させ、インク担持体2を画像情報に従って加熱し、イ
ンク滴8を飛翔させ、これと同時に、電界発生用電極部
5によってインク1を被記録媒体7の方向に静電的に吸
引し、インク滴8を被記録媒体7に付着させて画像を形
成する例を示している。なお、図では、ストライプ状の
インク1の延在方向の断面を示している。ストライプの
幅は、上述した第1の実施の形態におけるインク滴状の
パターンの径とほぼ同じであり、ストライプに直交する
方向の断面は図1と同様である。
【0122】インク1がインク担持体2上にストライプ
状のパターンで保持される。このとき、インク1は図
(A)に示すように、ストライプの延在方向に連続して
いる。この状態で、例えば図(B)に示したようにイン
ク担持体2の加熱部3を選択的に発熱させるか、あるい
は外部からこの領域を加熱する。すると、加熱部3上の
インク1とインク担持体2との接触界面あるいは界面近
傍のインク1が膜沸騰して気化し、図(B)に示すよう
にインク担持体2とインク1の間に気体層4が発生す
る。これによって、インク1はインク担持体2から剥離
される。このとき、気体層4上のインク1は、2方向に
連続する加熱部3以外の領域のインク1と接触してい
る。従って、図(B)に破線で示す接触部において、イ
ンク1は引っ張り力を受け、飛翔に対する抵抗力が生じ
る。しかしこの抵抗力は、接触部が2方向のみで非常に
小さいため、気体層4の急激な体積膨張圧力によって容
易に接触部分が分断される。またインク1の諸特性は均
一であるため、飛翔に対する抵抗力は均一で、インク滴
8は垂直方向に安定して飛翔する。また、上述したよう
にインク滴8の飛翔に対する抵抗力が小さいため、非常
に小さいエネルギーでインク滴8を飛翔させることがで
きる。
【0123】また、インク担持体2と被記録媒体7の間
には、被記録媒体7の裏面に配置された電界発生用電極
部5と電圧印加手段6によって、少なくとも加熱時から
インク滴8が被記録媒体7に付着するまでの間、電界が
印加される。インク1は、加熱によってインク担持体2
から飛翔する時に、この電界の作用によって被記録媒体
7の方向へ静電的な吸引力を受ける。これにより、飛翔
速度を向上することができるとともに、飛翔に対する抵
抗力の偏りがあった場合や外乱が発生した場合に生じる
飛翔方向の乱れを効果的に防止することができる。飛翔
したインク滴8は、図(D)に示すように被記録媒体7
に付着し、画像が形成される。
【0124】このとき飛翔するインク滴8の液量は、ス
トライプの幅と加熱部3の大きさで決定される。ストラ
イプの幅は、インク1をインク担持体2上に保持させる
段階で一定となるように制御でき、また加熱部3の面積
(長さ)を一定にすることによって、安定した液量のイ
ンク滴8で記録を行うことができる。また、ストライプ
を細く形成しておけば、インク滴8の液滴量を低減で
き、微小なドットを被記録媒体6上に再現することがで
きる。
【0125】また上述したように、加熱によって発生す
る気体層4でインク1とインク担持体2が分離し、また
周囲のインクから受ける抵抗力が小さいため、インク1
として粘度の高いインクを用いた場合でも、粘度が高い
ことによって受ける抵抗力の増加は少なく、インク滴8
を良好に剥離、飛翔させることができる。また、インク
1の粘度が多少変化しても、インク滴8の飛翔に関する
影響はほとんどない。このように、本発明の第2の実施
の形態においても、粘度の低いインクから粘度の高いイ
ンクまで、良好にインク滴8を飛翔させて記録を行うこ
とができる。
【0126】粘度の高いインク1を用いた場合、フェザ
リングやブリーディングなどの発生を抑えることがで
き、鮮鋭度が高く画像のざらつき感や色濁りの少ない高
画質な画像を形成することができる。また、粘度の高い
インク1を用いると、その粘性によって流れや振動の伝
達が抑制されるため、インク滴8の飛翔に伴う影響が隣
接するインクへ及ばないことから、任意のタイミングで
インク滴8を飛翔させることが可能である。従って、画
像情報に応じて多数の画素に対する位置でインク1を同
時に飛翔させて画像を形成することできる。
【0127】本発明の画像形成方法の第2の実施の形態
を実現する画像形成装置の構成としては、ほぼ上述した
第1の実施の形態と同様の構成であり、例えば図2や図
7、図12や図13に示した構成を採用することができ
る。このときインク担持体2上に形成するインク1のパ
ターンが異なるのみである。
【0128】図19は、本発明の第2の実施の形態にお
けるインク供給ローラの一例を示す概略斜視図である。
図中、45は溝(凹部)、46は凸部を示す。インク供
給ローラ11は同心円状に所望の太さ、深さ、ピッチで
溝45を形成したロール部材で構成されており、インク
担持体2と接触して従動回転している。
【0129】インク供給ローラ11の一部はインク貯蔵
部10に浸隻しており、インク供給ローラ11の溝45
にインク1が供給され、インク担持体2との接触部でイ
ンク供給ローラ11の溝45に保持されたインク1がイ
ンク担持体2に転移し、インク担持体2表面にストライ
プ状のインクが形成塗布される。インク供給ローラ11
は、インク担持体2と確実に接触する必要があるため、
少なくとも表面がある程度の弾性を有するものが好まし
い。なお、溝45の幅は5μmから200μm、深さは5
μmから50μm程度とした。
【0130】インク供給ローラ11の凸部46に付着し
た余分なインク1は、インク担持体2との接触部で絞ら
れ、インク貯蔵部10に回収される。また、インク担持
体2上に供給したインク1のうち、画像形成に使用され
なかったインク1もこの接触部で絞られ、インク貯蔵部
10に回収される。
【0131】またインク供給ローラ11の回転によりイ
ンク1を汲み上げた後、インク担持体2にインク1を転
移する前に、ブレード12などを配置し、インク供給ロ
ーラ11の凸部46に付着した不要なインク1を除去し
てもよい。またこれによれば、インク1をインク供給ロ
ーラ11の溝45に押し込む効果もあり、より確実にイ
ンク1を溝46に供給することができる。
【0132】図20は、本発明の第2の実施の形態にお
けるインク供給ローラの別の例を示す概略斜視図であ
る。これは、表面に親水性と疎水性のストライプ状パタ
ーンを形成したインク供給ローラ11を使用するもので
あり、図6に示したインク供給ローラ11とパターンが
異なるのみである。このインク供給ローラ11を用いた
インク担持体2へのストライプ状インク1の供給方法
は、図2で説明した第1の実施の形態におけるインク供
給方法と同様であり、説明を省略する。
【0133】また、図20に示した親水性と疎水性のス
トライプ状パターンを、インク担持体2の表面に形成し
てもよい。このときのインク供給方法も、図2と図7で
説明した第1の実施の形態におけるインク供給方法と同
様であるため、説明を省略する。なおこの場合、インク
担持体2は加熱手段13によって加熱されるため、親水
性と疎水性のパターンが熱によって変性しないように加
工しておく必要がある。
【0134】図21は、本発明の第2の実施の形態にお
いて使用されるブレードの一例を示す概略平面図であ
る。ブレード12の先端には、ストライプに対応した
幅、深さ、ピッチで溝45が多数形成されている。ブレ
ードに形成する溝45の幅と深さは、図19に示したイ
ンク供給ローラ11に形成した溝と同様とすればよい。
【0135】インク供給ローラ11でインク貯蔵部10
のインク1を汲み上げ、インク担持体2に全面塗布した
後、図21に示したような溝45を形成したブレード1
2で、インク担持体2の表面を摺動することによって、
インク担持体2の表面にストライプ状にインク1を形成
塗布することができる。
【0136】あるいは図7に示したように、インク担持
体2を直接インク貯蔵部10に一部浸漬させ、インク担
持体2の全面にインク1を塗布した後、図21に示した
ような溝45を形成したブレード12によって、インク
担持体2の表面にストライプ状のインク1を形成しても
よい。この場合、上述した第1の実施の形態における第
3の変形例のように、インク担持体2の表面に親水性と
疎水性のパターンを設ける必要がない。
【0137】なお、インク担持体2上のインク1を加熱
する方法および静電的に吸引する方法は、第1の実施の
形態と同様であり、図8ないし図11、図14ないし図
17に示したような構成を用いることができる。
【0138】上述したような本発明の画像形成方法の第
2の実施の形態およびそれを実現する画像形成装置を用
い、1mPa・sから100000mPa・sの粘度のインクを使
用して、インクの飛翔状態を観察した。その結果、粘度
が100mPa・s程度までの比較的低粘度のインクでは、
インク滴を飛翔させるのに必要なエネルギーは10μJ
以下であり、従来の熱を利用したインクジェット方式に
比べ、非常に小さい印字エネルギーでインクを飛翔させ
ることができた。また、従来のインクジェット方式と同
程度の印字エネルギーであれば、10000mPa・s程度
の高粘度のインクも安定に吐出することができた。しか
し、100000mPa・sのインクでは、加熱部外の接触
するインクによる抵抗力が大きくなるため、インク滴の
飛翔方向が大きく乱れたり、飛翔しない場合が生じた。
【0139】また、小径ドットの形成、インク滴飛翔の
応答性、インクの供給速度に関しては、上述した第1の
実施の形態における結果と同様であった。このように、
第2の実施の形態においても、粘度が10000mPa・s
程度以下のインクを用いる場合には、上述した第1の実
施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0140】次に、本発明の画像形成方法の第3の実施
の形態について説明する。この第3の実施の形態では、
インク担持体2の表面にインク1を厚みが20μm以
下、好ましくは10μm以下の薄層状態で塗布し、イン
ク担持体2を画像情報に従って部分的に加熱し、インク
1を飛翔させ、これと同時に、電界発生用電極部5によ
ってインク1を被記録媒体7の方向に静電的に吸引し、
インク滴8を被記録媒体7に付着させて画像を形成す
る。なお、この第3の実施の形態におけるインク担持体
2上のインク1の断面は、いずれの方向も図18に示し
たようになる。以下、この第3の実施の形態における画
像形成方法の原理を図18を用いて説明する。
【0141】インク1がインク担持体2上に厚みが20
μm以下、好ましくは10μm以下の薄層状態で保持され
ている。このときインク1は、図18(A)に示すよう
に各方向とも連続している。この状態で、例えば図18
(B)に示すように加熱部3を選択的に発熱させるか、
あるいは外部からインク担持体2のこの領域を加熱す
る。すると、加熱部3上のインク1とインク担持体2と
の接触界面あるいは界面近傍のインク1が膜沸騰して気
化し、図18(B)に示すようにインク担持体2とイン
ク1との間に気体層4が発生する。これによって、イン
ク1はインク担持体2から剥離される。この状態では、
気体層4上のインク1は、加熱部3以外の領域のインク
1と接触している。従って、図18(B)に破線で示す
接触部において、インク1は引っ張り力を受け、飛翔に
対する抵抗力が生じる。しかし、インク1の薄層の厚み
が20μm以下、好ましくは10μm以下と非常に薄いた
め、この抵抗力は小さく、気体層4の急激な体積膨張圧
力によって容易に接触部分が分断される。またインク1
の諸特性は均一であるため、飛翔に対する抵抗力は均一
で、図18(C)に示すように、インク滴8は垂直方向
に安定して飛翔する。また、上述したようにインク滴8
の飛翔に対する抵抗力が小さいため、小さいエネルギー
でインク滴8を飛翔させることができる。
【0142】また、インク担持体2と被記録媒体7の間
には、被記録媒体7の裏面に配置された電界発生用電極
部5と電圧印加手段6によって、少なくとも加熱時から
インク滴8が被記録媒体7に付着するまでの間、電界が
印加される。インク1は、加熱によってインク担持体2
から飛翔する時に、この電界の作用によって被記録媒体
7の方向へ静電的な吸引力を受ける。これにより、飛翔
速度を向上することができるとともに、飛翔に対する抵
抗力の偏りがあった場合や外乱が発生した場合に生じる
飛翔方向の乱れを効果的に防止することができる。
【0143】飛翔したインク滴8は、図18(D)に示
すように被記録媒体7に付着し、画像が形成される。
【0144】このとき飛翔するインク滴8の液量は、イ
ンク1の薄層の厚みと加熱部3の大きさで決定される。
インク1の薄層の厚みは、インク1をインク担持体2上
に保持させる段階で一定となるように制御でき、また加
熱部3の面積(長さ)を一定にすることによって、安定
した液滴量により記録を行うことができる。ここで、イ
ンク1の薄層の厚みを非常に薄く形成しておけば、イン
ク滴8の液滴量を低減でき、微小なドットを被記録媒体
7上に再現することができる。
【0145】また上述したように、加熱によって発生す
る気体層4でインク1とインク担持体2が分離し、また
周囲のインクから受ける抵抗力が小さいため、インク1
として粘度の高いインクを用いた場合でも、粘度が高い
ことによって受ける抵抗力の増加は少なく、インク滴8
を良好に剥離、飛翔させることができる。また、インク
1の粘度が多少変化しても、インク滴8の飛翔に関する
影響は小さい。このように、本発明の第3の実施の形態
においても、粘度の低いインクから粘度の高いインクま
で、良好にインク滴8を飛翔させて記録を行うことがで
きる。
【0146】粘度の高いインク1を用いた場合、フェザ
リングやブリーディングなどの発生を抑えることがで
き、上述した第1および第2の実施の形態と同様に、鮮
鋭度が高く画像のざらつき感や色濁りの少ない高画質な
画像を形成することができる。
【0147】さらに、この第3の実施の形態において
は、粘度の高いインク1を用いることによって、インク
1の噴射特性を向上することができる。図22は、本発
明の第3の実施の形態におけるインク噴射後のインクの
状態を説明するものである。例えば、10mPa・s以下の
低粘度のインク1を使用すると、インク1を噴射した
後、図22(A)に示すように、インク滴8が噴射して
抜けた部分に、隣接部からインク1が流れ込む。従来提
案されているインクジェット方式では、このようなイン
ク1の流れ込みによってインク1の再供給を行っている
が、このようなインク1の流れ込みを利用する場合、イ
ンク面およびインク厚みが不安定になり、高速に印字を
行う場合にはインクの噴射が不安定になって画質が低下
する。また、インク滴が噴射すると、周囲のインク1に
振動が伝播し、やはりインクの噴射が不安定になる。
【0148】そこで、この第3の実施の形態では、特に
粘度が10mPa・s以上のインクを使用する。粘度が10m
Pa・s程度のインクを使用し、インク層を10μm以下と
薄くすることによって、図22(B)に示すようにイン
ク滴の噴射でインクが抜けた部分へ、周囲のインクが流
れ込むのを遅くすることができる。これにより、インク
面およびインク厚みが安定した状態で、隣接する他の位
置のインクを連続的に噴射することができる。また、振
動に関しても、インクの粘性により効果的に抑制され
る。従って、任意のタイミングでインク滴8を飛翔させ
ることが可能であり、高速に安定して高画質な画像を形
成することができる。
【0149】なお、粘度が100mPa・s以上のインクを
使用すると、図22(C)に示したように、インク層の
厚みが10μm以上でも、周囲のインク1の流れ込みが
抑えられ、高速に安定したインク滴の噴射が可能であ
る。
【0150】本発明の画像形成方法の第3の実施の形態
を実現する画像形成装置の構成としては、ほぼ上述した
第1の実施の形態と同様の構成、例えば図2や図7、図
12、図13に示した構成などを採用することができ
る。
【0151】インク担持体2上にインク1の均一な薄層
を形成する具体的な方法について説明する。インク供給
ローラ11を使用した薄層の形成方法としては、インク
供給ローラ11をインク担持体2と接触させる方法と、
接触させない方法の2通りがある。
【0152】接触させる構成の場合には、例えば図2に
示した構成の画像形成装置のように、インク供給ローラ
11でインク貯蔵部10のインク1を汲み上げた後、イ
ンク担持体2との接触部でインク担持体2上にインク1
を転移させ、不要なインク1は接触部において絞り落と
す。この時、インク担持体2とインク供給ローラ11の
接触圧を制御することによって、インク担持体2上に塗
布するインク1の薄層の厚みを制御することができる。
例えば、接触圧として10g/cmから100g/cmの範囲
で調整し、厚みが1μmから20μmのインク1の薄層を
形成することができた。この方法では、インク担持体2
とインク供給ローラ11が確実に接触する必要があるた
め、インク供給ローラ11は少なくとも表面が弾性を有
するものが適している。
【0153】図23は、本発明の画像形成方法の第3の
実施の形態を実現する画像形成方法の一例を示す概略構
成図である。図中、47はインク層厚規制ローラであ
る。なお、図2と同様の部分には同じ符号を付して、重
複する説明を省略する。この構成は、インク供給ローラ
11およびインク層厚規制ローラ47をインク担持体2
に接触させずにインク担持体2上にインク1の均一な薄
層を形成する例を示している。
【0154】この例では、インク供給ローラ11とイン
ク層厚規制ローラ47を使用し、それぞれインク担持体
2と微小間隙をもって配置されている。インク担持体2
の回転上流側に配置されたインク供給ローラ11は、イ
ンク担持体2のインク搬送方向と同方向に回転駆動され
ている。インク供給ローラ11は、インク貯蔵部10の
インク1を汲み上げ、インク担持体2の全面にインク1
を供給する。
【0155】また、インク担持体2の回転下流側に配置
されたインク層厚規制ローラ47は、インク担持体2の
インク搬送方向とは逆方向に回転駆動される。インク担
持体2とインク層厚規制ローラ47の対向部は、インク
供給ローラ11によってインク担持体2に塗布されたを
インク1で満たされ、両者の相対速度によって対向部の
インク内部にせん断力が発生し、これによってインク1
が分断され、インク1の薄層がインク担持体2上に形成
される。なお、インク層厚規制ローラ47は、ブレード
12によって表面に付着したインク1が常に除去され
る。また、インク層厚規制ローラ47には、インク1を
供給する機能はないため、インク貯蔵部10に浸漬させ
なくてもよい。
【0156】インク担持体2上に塗布されるインク1の
薄層の厚みは、インク担持体2とインク層厚規制ローラ
47の間隙の大きさ、および両者の回転速度で制御する
ことができる。一例としては、間隙の大きさを30μm
から200μmとし、回転速度としてインク担持体2の
表面移動速度に対するインク層厚規制ローラ47の表面
移動速度の比が0.5から5となるように制御すること
によって、1μmから20μmのインク1の薄層を形成す
ることができた。
【0157】また、インク担持体2上にインク1の均一
な薄層を形成するさらに別の方法として、インク供給ロ
ーラ11でインク貯蔵部10内のインク1を汲み上げる
か、図7で示した構成と同様にインク担持体2をインク
貯蔵部10に浸漬させ、インク担持体2にインク1を全
面塗布した後、ブレード12で余分なインク1を除去
し、インク担持体2上に均一なインク1の薄層を形成す
ることもできる。この方法では、インク1の薄層の厚み
はブレード12の接触圧で制御することができ、例えば
接触圧を1g/cmから100g/cmの範囲で調整すること
によって、厚みが1μmから20μmのインク1の薄層を
形成することができた。
【0158】またブレード12の代わりに、インク担持
体2と微小間隙をもって配置されインク担持体2のイン
ク搬送方向とは逆方向に回転するインク層厚規制ローラ
47を使用することもできる。
【0159】以上のインクの薄層形成方法において、比
較的粘度の低いインクを使用する際はインク層厚規制ロ
ーラ47による薄層形成方法を使用し、粘度の高いイン
クを使用する際はインク供給ローラ11あるいはブレー
ド12を接触させる薄層形成方法を使用すると、インク
の塗布厚みを制御しやすい。
【0160】なお、インク担持体2上のインク1を加熱
する方法および静電的に吸引する方法は、第1の実施の
形態と同様であり、図8ないし図11、図14ないし図
17に示したような構成を用いることができる。
【0161】上述したような本発明の画像形成方法の第
3の実施の形態およびそれを実現する画像形成装置を用
い、1mPa・sから100000mPa・sの粘度のインクを使
用して、インクの飛翔状態を観察した。図24は、この
結果をまとめたものである。ここでは、インク滴を噴射
するための印字エネルギーを、従来の熱を利用したイン
クジェット方式と同程度の30μJとし、加熱領域をΦ
50μmの円形とした。図中、丸印はインク滴が良好に
飛翔したことを示し、三角印はインク滴の噴射が不安定
であったことを示し、バツ印はインク滴が噴射しなかっ
たことを示している。
【0162】図24に示したように、インクの層厚が2
0μmを越えると、従来の熱を利用したインクジェット
方式と同程度の印字エネルギーでは、100mPa・sを越
える粘度の高いインクを噴射することはできなかった。
これは、加熱領域外の周囲のインクから受ける抵抗力が
大きくなるためであると考えられる。また、1mPa・sか
ら100mPa・sの低粘度のインクでは、インクは噴射す
るものの、ミスチング(微小インク滴の飛び散り)が激
しく、画質の劣化が著しかった。従ってこの第3の実施
の形態においては、インク担持体2上に塗布するインク
の層厚が20μm以下であることが前提である。
【0163】また、インクの層厚が10μm以下であれ
ば、従来の熱を利用したインクジェット方式と同程度の
印字エネルギーで、1000mPa・s程度までの高粘度の
インクを安定して噴射することが可能である。但し、粘
度が1mPa・s程度の低粘度であると、やはりミスチング
が激しく、画質の劣化が著しかった。
【0164】図24の結果から、本発明の第3の実施の
形態では、インクの層厚が10μm以下であれば10mPa
・s以上、層厚が10μmから20μmであれば100mPa・
s以上の粘度インクを使用すると、より安定して噴射す
ることができることがわかる。また本発明の第3の実施
の形態では、従来の熱を利用したインクジェット方式と
同程度の印字エネルギーで、1000mPa・s程度の高粘
度のインクを安定して噴射することができる。
【0165】被記録媒体7上に形成されるドット径に関
しては、インク担持体2上に非常に薄いインクの薄層を
形成することにより、従来のインクジェットのドットに
比べ、小さいドットを形成することができた。例えば、
インク担持体2上に層厚5μmから10μmのインクの薄
層を形成することによって、20μmから40μm程度の
ドットが形成できることを確認した。
【0166】また、インクが噴射する際の応答性、およ
びインク供給速度に関しては、上述した第1の実施の形
態と同様の結果が得られた。
【0167】以下、上述した第1ないし第3の実施の形
態における応用例あるいは共通した変形例を幾つか示
す。なお、ここでは図2に示した構成を用いて説明する
が、もちろんこれに限らず、図7、図12、図13、図
23、さらには上述した各種の変形などについても適用
可能である。
【0168】図25は、本発明の画像形成装置の第1の
応用例を示す概略構成図である。図中、48は加圧手段
である。この第1の応用例では、画像を記録した後の被
記録媒体7を加圧手段48によって加圧することを特徴
とするものである。上述した第1ないし第3の実施の形
態においては、高粘度のインク1を使用することができ
るが、例えば1000mPa・sを越えるような非常に高粘
度のインク1を使用すると、インク1の記録媒体への浸
透が遅すぎて、被記録媒体7上でそのまま乾燥してしま
い、画像の表面粗さが粗くなり、画像の光沢が低下して
しまう場合がある。そこでこの第1の応用例では、イン
ク1によって画像が形成された被記録媒体7を、加圧手
段48で画像面を加圧することによって、インクを被記
録媒体7へ押し込む、あるいは潰すことができ、被記録
媒体7上の画像の表面粗さを小さくすることができる。
【0169】加圧手段48は、被記録媒体7上に形成さ
れたインク1による画像と接触する。そのため、加圧手
段48の構成としては、擦れによる画像劣化が発生しな
いように、被記録媒体7と等速度で加圧面が移動するも
のが適当であり、例えば図25に示したようなロール状
の部材を使用することができる。ロール状の部材ついて
は、被記録媒体7と確実に接触加圧させるため、例えば
金属ロールに弾性層を形成したものを使用することがで
きる。また、ロール状の部材へインク1が付着して画像
を乱さないように、表面に撥水層を形成するとよい。撥
水層は、上述した第1の実施の形態で説明した材料を使
用することができる。なお、ロール状の部材で加圧手段
48を構成した場合、被記録媒体7への押圧力は1g/cm
から100g/cmの範囲で十分であった。
【0170】この加圧手段48によって被記録媒体7上
に形成したインクの画像を押圧することによって、粘度
の高いインクを用いて画像を形成した場合であっても、
インクを十分に被記録媒体7に押し込め、あるいは平滑
化でき、表面粗さに関する画像の光沢低下の問題を改善
することができた。
【0171】図26は、本発明の画像形成装置の第2の
応用例を示す概略構成図である。図中、49は加熱加圧
手段、50はベルト状部材、51は加熱ヘッドである。
この第2の応用例では、画像を形成した後の被記録媒体
7を、加熱加圧手段49によって加熱および加圧するこ
とを特徴としたものである。例えば、1000mPa・sを
越えるような高粘度のインク1を使用すると、インクの
乾燥が遅くなり、画像形成速度が高くなっても乾燥速度
が追いつかなくなって高速化が実現できなくなる可能性
がある。そこでこの第2の応用例では、インク1によっ
て画像が形成された被記録媒体7を、加熱加圧手段49
によって加熱および加圧し、インクの乾燥速度を速くし
て、記録速度の高速化を実現するものである。
【0172】上述した第1の応用例でも説明したよう
に、被記録媒体7を加圧する際には、被記録媒体7上に
形成されたインク1による画像と接触した際に、擦れに
よる画像劣化が発生しないようにする必要があり、加圧
面が被記録媒体7と等速度で移動することが望ましい。
例えば、加圧する部材としてベルト状部材50を用いる
ことができる。ベルト状部材50は、肉厚を薄くするこ
とができるので、加熱する際にベルト状部材50自体を
加熱するエネルギーが小さくてすみ、また電源を入れて
すぐに使用することができる。ベルト状部材50として
は、耐熱性があり機械的強度の高い無端状のフィルムが
使用でき、具体例としてはPETやポリイミドの無端状
フィルムなどを使用することができる。また、ベルト状
部材50へインク1が付着して画像を乱さないように、
表面に撥水層を形成しておくとよい。
【0173】加熱は、この例では加熱ヘッド51によっ
てベルト状部材50の裏面から行っている。加熱ヘッド
51は、50度から150度程度の範囲で加熱され、同
時にベルト状部材50を被記録媒体7へ押圧する働きを
もつ。このとき加熱ヘッド51による押圧力は、例えば
1g/cmから100g/cm程度の圧力でよい。
【0174】なお、加熱加圧手段49の構成としては、
この他にもロール内部にハロゲンランプなどの加熱手段
を配した構成や、ロールあるいはベルトの自体に発熱層
を形成した部材などを使用することができる。
【0175】この第2の応用例によれば、高粘度のイン
クを使用しても画像の乾燥を速く行うことができ、高速
な記録を実現することができる。
【0176】図27は、本発明の画像形成装置の第3の
応用例を示す概略構成図である。上述してきた各実施例
は、すべて単色の画像を形成するプロセスについて説明
してきたが、もちろん本発明はこれに限定されることは
ない。例えば図27に示したように、Yellow、Magent
a、Cyanの少なくとも3色以上、好ましくはBlackを含む
4色以上について本発明の画像を形成する機構を有し、
被記録媒体7上に各色の画像を順次形成し、カラー画像
を得るカラープロセスに適用することができる。
【0177】本発明では高粘度のインクを使用すること
ができるため、図27に示すような工程で被記録媒体7
上に順次異なる色のインクを高速に重ねて画像を形成し
ても、ブリーディングがほとんど発生せず、高画質なカ
ラー画像を高速に形成することができる。
【0178】図28は、本発明の画像形成装置の第4の
応用例を示す概略構成図である。図中、52は中間転写
媒体である。上述した第3の応用例では、被記録媒体7
に直接インクを付着させて画像を形成したが、例えば図
28に示したように、中間転写媒体52上にインクを付
着させて画像を形成し、これを所望の被記録媒体7に転
写する方式をとることも可能である。
【0179】この構成においては、表面が平滑な中間転
写媒体52を使用することによって、インク担持体2と
中間転写媒体52の距離を小さくすることができ、外乱
の影響を受けにくくすることができるため、より高精細
な画像を形成することが可能である。また、高粘度のイ
ンクを使用すれば、中間転写媒体52上でブリーディン
グが発生したり、インクが流れるなどして画像が乱れる
こともない。さらに、中間転写媒体52に形成したイン
クの画像を被記録媒体7へ転写する際に押圧するため、
上述した第1の応用例と同様の効果を得ることができ
る。
【0180】なお、以上説明してきた各実施の形態や応
用例は、本発明に係る一態様であり、本発明は上述した
各例に限定されるべきものではなく、本発明の要旨を逸
脱しない範囲での実用上のあらゆる設計変更をも包含す
るものである。
【0181】以上のように、表面が平坦なインク担持体
上にインクを均一なパターン状、特に独立したインク滴
状やストライプ状で保持させるか、あるいは厚さ20μ
m以下の均一な薄層状態で保持させ、インク担持体の一
部を画像情報に従って加熱する。これにより、インク担
持体とインクの界面あるいは界面近傍でインクが膜沸騰
し、膜沸騰により発生した気体層の圧力によってインク
を飛翔させることができる。このとき、インク担持体の
表面は平坦であるため、気体層が発生した時点で、イン
クとインク担持体とは分離されている。従って飛翔時に
は接触するものがないか、あるいは周囲のインクのみで
あり、インクの飛翔に対する抵抗が極めて小さい。従っ
て、インクの粘度に依らず、小さなエネルギーでインク
を飛翔させることができる。また同時に、インクに被記
録媒体方向への静電的な吸引力を作用させるため、イン
クを被記録媒体の所望の位置に安定して付着させること
ができる。
【0182】インクの噴射量は、インク供給手段によっ
てインク担持体上にインクを塗布する段階で一定量に決
定されるため安定している。また、インクのパターンを
微細に、あるいはインクの薄層を非常に薄く形成してお
けば、インクの噴射量を低減でき、微小なドットを再現
できる。
【0183】また、インクの供給は、インク担持体上に
インクを保持して連続的に印字位置まで搬送供給される
ため、インクの供給速度はインク担持体の搬送速度で決
定され、インクの粘度に関係なくインクの供給を行うこ
とができる。
【0184】従って、上記の画像形成方法および画像形
成装置によれば、粘度の高いインクを使用しても、消費
エネルギーの増大がなく、あるいは小さな消費エネルギ
ーで、微小量のインク滴を、高速に、かつ安定して飛翔
させることができ、様々な被記録媒体に対して滲みがな
く高画質、高精細な画像を形成することができるという
効果がある。
【0185】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
インクの粘性を高めても確実な画像記録を行え、かつ、
記録品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像形成方法の第1の実施の形態を
示す原理説明図である。
【図2】 本発明の画像形成方法の第1の実施の形態を
実現する画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態におけるインク供
給ローラの第1の具体例を示す概略断面図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態におけるインク供
給ローラの第2の具体例を示す概略断面図である。
【図5】 本発明の第1の実施の形態におけるインク供
給ローラの第3の具体例を示す概略断面図である。
【図6】 本発明の第1の実施の形態におけるインク供
給ローラの第4の具体例を示す概略説明図である。
【図7】 本発明の画像形成方法の第1の実施の形態を
実現する画像形成装置の第1の変形例を示す概略構成図
である。
【図8】 本発明の第1の実施の形態におけるインク担
持体の加熱方法の第1の具体例の説明図である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態におけるインク担
持体の加熱方法の第2の具体例の説明図である。
【図10】 本発明の第1の実施の形態におけるインク
担持体の加熱方法の第3の具体例の説明図である。
【図11】 本発明の第1の実施の形態におけるインク
担持体の加熱方法の第4の具体例の説明図である。
【図12】 本発明の画像形成方法の第1の実施の形態
を実現する画像形成装置の第2の変形例を示す概略構成
図である。
【図13】 本発明の画像形成方法の第1の実施の形態
を実現する画像形成装置の第3の変形例を示す概略構成
図である。
【図14】 本発明の第1の実施の形態における電界発
生用電極部の第1の具体例の説明図である。
【図15】 本発明の第1の実施の形態における電界発
生用電極部の第2の具体例の説明図である。
【図16】 本発明の第1の実施の形態における電界発
生用電極部の第3の具体例の説明図である。
【図17】 本発明の第1の実施の形態における電界発
生用電極部の第4の具体例の説明図である。
【図18】 本発明の画像形成方法の第2の実施の形態
を示す原理説明図である。
【図19】 本発明の第2の実施の形態におけるインク
供給ローラの一例を示す概略斜視図である。
【図20】 本発明の第2の実施の形態におけるインク
供給ローラの別の例を示す概略斜視図である。
【図21】 本発明の第2の実施の形態において使用さ
れるブレードの一例を示す概略平面図である。
【図22】 本発明の第3の実施の形態におけるインク
噴射後のインクの状態を説明する図である。
【図23】 本発明の画像形成方法の第3の実施の形態
を実現する画像形成方法の一例を示す概略構成図であ
る。
【図24】 本発明の画像形成方法の第3の実施の形態
およびそれを実現する画像形成装置を用いたインクの飛
翔状態を観察結果をまとめた図である。
【図25】 本発明の画像形成装置の第1の応用例を示
す概略構成図である。
【図26】 本発明の画像形成装置の第2の応用例を示
す概略構成図である。
【図27】 本発明の画像形成装置の第3の応用例を示
す概略構成図である。
【図28】 本発明の画像形成装置の第4の応用例を示
す概略構成図である。
【図29】 従来のノズルを有さないインクジェット記
録方式の一例を説明する図である。
【符号の説明】
1 インク、2 インク担持体、3 加熱部、4 気泡
(気体層)、5 電界発生用電極部、6 電圧印加手
段、7 被記録媒体、8 インク滴、9 インク供給手
段、10 インク貯蔵部、11 インク供給ローラ、1
2 ブレード、13 加熱手段、14 被記録媒体搬送
手段、15 凹部、16 貫通孔、17メッシュフィル
ム、18 多孔質弾性部材、19 親水性パターン、2
0 絶縁性基体、21 導電性ピン、22 支持体、2
3 発熱抵抗層、24 導電層、25 摩擦保護層、2
6 記録電極、27 記録ヘッド、28 発熱部、29
半導電性支持体、30 光透過性支持体、31 光透過
性導電層、32 光導電層、33 バイアス電源、34
LED光、35 光吸収発熱層、36 レーザ光、3
7 半導体レーザ、38 レーザ走査手段、39 電
極、40 絶縁性支持体、41 導電性ローラ、42
絶縁性保護膜、43 絶縁性ロール部材、44 リング
状電極、45 溝(凹部)、46 凸部、47 インク
層厚規制ローラ、48 加圧手段、49 加熱加圧手
段、50 ベルト状部材、51 加熱ヘッド、52 中
間転写媒体。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が平坦なインク担持体上にインクを
    供給するインク供給工程と、 前記インク担持体から一定間隔をおいて被記録媒体を設
    ける位置決め工程と、 前記インク担持体から前記被記録媒体へインクを飛翔さ
    せて画像記録を行う工程であって、画像情報に従って前
    記インク担持体の特定部位を加熱し同時に当該インクに
    対して前記被記録媒体側への静電吸引力を与える画像記
    録工程と、 を含むことを特徴とする画像形成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において、 前記インク供給工程では、前記インク担持体の平坦なイ
    ンク保持面上に、互いに分離した複数の飛翔単位からな
    るインクパターンが形成されることを特徴とする画像形
    成方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の方法において、 前記インクパターンを構成する各飛翔単位は液滴状又は
    ストライプ状の形態を有することを特徴とする画像形成
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の装置において、 前記インク供給工程では、前記インク担持体の平坦なイ
    ンク保持面上に、均一な薄膜状のインク層が形成される
    ことを特徴とする画像形成方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の装置において、 前記インク層の厚さは20μm以下に設定されることを
    特徴とする画像形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項1又は5記載の装置において、 前記インクの粘度は10mPa・S以上に設定されるこ
    とを特徴とする画像形成方法。
  7. 【請求項7】 インク担持体上にインクを供給するイン
    ク供給手段と、 前記インク担持体から一定間隔をおいて被記録媒体を設
    ける位置決め手段と、 画像情報に従って前記インク担持体の特定部位を加熱す
    る加熱手段と、 前記加熱と同時に前記インクに対して前記被記録媒体側
    への静電吸引力を与える電界発生手段と、 を含み、 前記加熱によるインクの飛翔が前記静電吸引力により促
    進されることを特徴とする画像形成装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の装置において、 前記電界発生手段は、 前記被記録媒体を介在させつつ前記インク担持体に対向
    配置された電極部と、 前記インク担持体に形成された導電性層と前記電極部と
    の間に電圧を印加する電界形成用電源と、 を含むことを特徴とする画像形成装置。
  9. 【請求項9】 請求項7記載の装置において、 前記インク供給手段は、 インク貯蔵部と、 前記インク貯蔵部から供給されるインクを用いて、前記
    インク担持体上に互いに分離した複数の飛翔単位からな
    るインクパターンを形成するインクパターン形成手段
    と、 を含むことを特徴とする画像形成装置。
  10. 【請求項10】 請求項7記載の装置において、 前記インク供給手段は、 インク貯蔵部と、 前記インク貯蔵部から供給されるインクを用いて、前記
    インク担持体上に均一な薄膜状のインク層を形成するイ
    ンク層形成手段と、 を含むことを特徴とする画像形成装置。
  11. 【請求項11】 請求項7記載の装置において、 前記インク担持体は、 発熱抵抗層と、 前記発熱抵抗層の上面側に形成された導電性層と、 前記発熱抵抗層の下面側に形成され、画素単位ごとに設
    けられた導電素子群を有する支持層と、 を含み、 前記加熱手段は前記導電素子群の中から選択された導電
    素子に対して電気的に接続される記録電極と、 前記記録電極と前記導電性層との間で電力を供給を行
    い、前記発熱抵抗層の中で前記選択された導電素子に対
    応した局所部位を発熱させる記録用電源と、 を含むことを特徴とする画像形成装置。
  12. 【請求項12】 請求項7記載の装置において、 前記インク担持体は、 発熱抵抗層と、 前記発熱抵抗層の上面側に形成された導電性層と、 前記発熱抵抗層の下面側に形成され、電界印加により抵
    抗率が低下する抵抗率可変層と、 を含み、 前記加熱手段は前記抵抗率可変層の下面の内で選択され
    た画素部位に対して電気的に接続される記録電極と、 前記記録電極と前記導電性層との間で電力供給を行う記
    録用電源と、 を含み、 前記発熱抵抗層の中で前記画素部位に対応した局所部位
    が発熱することを特徴とする画像形成装置。
  13. 【請求項13】 請求項7記載の装置において、 前記インク担持体は、 発熱抵抗層と、 前記発熱抵抗層の上面側に形成された第1導電性層と、 前記発熱抵抗層の下面側に形成され、光の照射により抵
    抗率が低下する抵抗率可変層と、 前記抵抗率可変層の下面側に形成された光学的透明性を
    有する第2導電層と、 を含み、 前記加熱手段は前記第2導電層を介して、前記抵抗率可
    変層の中で選択された画素部位に対して光を照射する手
    段と、 前記第1電極層と前記第2電極層との間で電力を供給を
    行う記録用電源と、 を含み、 前記発熱抵抗層の中で前記画素部位に対応した局所部位
    を発熱させることを特徴とする画像形成装置。
  14. 【請求項14】 請求項7記載の装置において、 前記インク担持体は、前記発熱抵抗層の下面側に形成さ
    れ、光吸収により発熱する吸収発熱層を含み、 前記加熱手段は、前記吸収発熱層の中で選択された局所
    部位に対して光を照射する光照射手段を含み、 前記光吸収層の中で前記局所部位を発熱させることを特
    徴とする画像形成装置。
  15. 【請求項15】 請求項7記載の装置において、 前記電界発生手段は、 配列された複数の分割電極と、 画像情報に従って前記複数の分割電極の中から選択され
    た分割電極に電圧を印加する電源と、 を含むことを特徴とする画像形成装置。
  16. 【請求項16】 請求項7記載の装置において、 前記画像記録後の被記録媒体を加圧する加圧手段を含む
    ことを特徴とする画像形成装置。
  17. 【請求項17】 請求項7記載の装置において、 前記画像記録後の被記録媒体を加圧しかつ加熱する加圧
    加熱手段を含むことを特徴とする画像形成装置。
  18. 【請求項18】 インク担持体上にインクを供給するイ
    ンク供給手段と、 前記インク担持体から一定間隔をおいて中間媒体を設け
    る位置決め手段と、 画像情報に従って前記インク担持体の特定部位を加熱す
    る加熱手段と、 前記加熱と同時に前記インクに対して前記中間媒体側へ
    の静電吸引力を与える電界発生手段と、 前記中間媒体上の画像を被記録媒体へ転写する転写手段
    と、 を含むことを特徴とする画像形成装置。
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