JP2000263455A - ラチェットスパナ - Google Patents

ラチェットスパナ

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JP2000263455A
JP2000263455A JP11071105A JP7110599A JP2000263455A JP 2000263455 A JP2000263455 A JP 2000263455A JP 11071105 A JP11071105 A JP 11071105A JP 7110599 A JP7110599 A JP 7110599A JP 2000263455 A JP2000263455 A JP 2000263455A
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Japan
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movable jaw
nut
mouth
tip
head
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JP11071105A
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Koji Hamaguchi
孝司 濱口
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TSUKASA BUHIN KK
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TSUKASA BUHIN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ナットの締結や弛緩作業の際にナットを変形
させることを防止でき、構造が簡単で小型化も可能なラ
チェットスパナを提供する。 【解決手段】 固定顎と、頭部の口に対し固定顎と逆側
に形設された可動顎支持部と、固定顎の口の内面側の基
底部に平面状に形成された挟持面と、固定顎の口の内面
側の基底部から開口端にかけて挟持面に対し120度の
角度で連接する平面状に形成された拘止面と、可動顎支
持部に挟持面との距離が口の開口端側に向かって広くな
る角度で直線状に形成された誘導面と、誘導面上に摺動
自在に装着された可動顎と、可動顎の口の内面側に挟持
面と平行な平面状に形成された作用面と、可動顎の先端
の口の内面側に作用面と120度の角度で連接し拘止面
と平行な平面状に形成された押圧面と、可動顎を押圧面
が挟持面に近づく方向に付勢する可動顎付勢手段とを備
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ナットや六角ボル
トの締結時又は弛緩時にナット等を締結方向又は弛緩方
向に回転させた後、ナット等から脱外することなく締結
方向と逆方向に戻動させナット等の締結作業又は弛緩作
業を行うことの可能なラチェット機構を有するラチェッ
トスパナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ナットや六角ボルトの締結・
弛緩作業を行う工具として、スパナやモンキレンチ、め
がねレンチ、ソケットレンチ等の工具が広く使用されて
いる。自動車の整備等の作業において、めがねレンチや
ソケットレンチが使用できないような狭い空間内でナッ
トの締結・弛緩作業を行う場合、専らスパナが使用され
る。しかしながら、スパナを使用して作業を行う場合、
ナットにスパナの口を外嵌した後、スパナを1回回転さ
せる毎に、その都度スパナをナットから脱外し、再び角
度を変えてナットにスパナの口を外嵌させるといった工
程を繰り返し、ナットの締結・弛緩作業を行う必要があ
る。従って、スパナを1回締め付ける又は緩める毎にス
パナをナットから脱外するため、ナットの締結・弛緩作
業の作業能率が悪く、ナットの締結・弛緩作業に要する
時間が長くなるという課題を有していた。
【0003】このような課題を解決するものとして、ナ
ットの締結又は弛緩時にナットを締結方向又は弛緩方向
に回転させた後、ナットから脱外することなく締結方向
又は弛緩方向と逆方向に戻動させナットの締結・弛緩作
業を行うことの可能なラチェット機構を有するラチェッ
トスパナが知られている。従来のラチェットスパナとし
ては、特開平9−19872号公報(以下イ号公報と呼
ぶ)に「上突出部内及び下突出部内の水平面に、それぞ
れV字形溝を形成し、前記V字形溝の開口部には背面に
スプリングが取り付けられた可動板が設けられたことを
特徴とするラチェットスパナ」が開示されている。ま
た、特開平10−249744号公報(以下ロ号公報と
呼ぶ)には「六角頭の一辺に係合すべき第1爪と、対辺
に係合すべき第2爪とを回動自在に連結し、両爪の間に
両爪の間を閉じる方向に動作するカム手段を設け、その
カム手段に揺動レバーを一体的に取り付けると共に、前
記第1爪と第2爪との間には、両爪の最小間隔を規制す
るストッパと、そのストッパ方向に付勢する押しバネと
を設けてなる自在スパナ」が開示されている。
【0004】また、特開平9−94767号公報(以下
ハ号公報と呼ぶ)には「本体部1の先端に上顎部2と下
顎部3とを有し、ナット4を側方から嵌める込むべく開
口部5を有する開口スパナにおいて、前記上顎部2と下
顎部3との距離を前記ナット4の最大径Dよりやや大き
く設定し、前記上顎部2を、該上顎部2の下端部で前記
本体部1に回動軸6で軸支して回動自在としたブロック
2とし、前記ナット4の中心部Oを中心として、前記回
動ブロック2の下端部で前記ナット4に回転力を与える
作用点Aと前記回動軸6とでなす位相θが、時計回り方
向において、前記回動軸6が前記作用点Aより後れる位
置関係で成り立つものとして成る開口スパナ」が開示さ
れている。
【0005】また、特開平10−6232号公報(以下
ニ号公報と呼ぶ)には「対向するV字状のナット銜部
4、5を有する固定顎2と可動顎3とを本体1にそれぞ
れ枢着したラチェットレンチにおいて、本体1の先端に
バネ7により可動顎3側に付勢される固定顎2を枢着
し、また可動顎3の後端を本体中央の長孔部8にガイド
ピン9により枢着して丸ナット11を螺合させた調節ネ
ジ10により無段階に進退可能とするとともに、可動顎
3を固定顎2側に付勢するバネ12を調節ネジ10と可
動顎3との間に設け、かつナット銜部4、5の頂角部4
a、4bを、可動顎3の進退方向と平行な軸線上に配置
したことを特徴とするラチェットレンチ」が開示されて
いる。
【0006】また、実開昭60−157175号公報
(以下ホ号公報と呼ぶ)には「(イ)六角ボルトの三辺
にそった鉤型の金具1をくの字状のハンドル2にピン4
で取り付ける。(ロ)1と2の間にスプリング3を張
架、以上の如く構成された自在スパナ」が開示されてい
る。
【0007】また、実開平2−36700号公報(以下
ヘ号公報と呼ぶ)には「ナット受け部13,14をそれ
ぞれ備えた上顎部材5と下顎部材3とをハンドル1の先
端部2にピン4,7により枢着したラチェットレンチで
あって、前記上顎部材5に設けた透孔6にピン7の偏心
部8を嵌合するとともに、ピン7には偏心部8の回転を
係止する複数個のノッチ9を刻設した円板10を取付
け、上顎部材5と下顎部材3の間隔を調節可能としたこ
とを特徴とするラチェットレンチ」が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
のラチェットスパナでは、以下のような課題を有してい
た。 (1)イ号公報に開示のラチェットスパナでは、ナット
を締結又は弛緩する際に、上突出部内の水平面のV字溝
縁部と下突出部内の水平面のV字溝縁部とに大きな力が
加わるが、各々V字溝縁部であるために、大きな応力に
対して変形しやすく、ナットを強く締結又は強く締結さ
れたナットを弛緩した場合に変形により破壊し易いとい
う課題を有していた。更に、イ号公報に開示のラチェッ
トスパナは、ナット締結又は弛緩の際、上突出部内の水
平面のV字溝縁部と下突出部内の水平面のV字溝縁部と
の2点に当接するナットの2頂点に力を加えて回すこと
になるが、一般のスパナがナットの3頂点に力を加える
のに対し、ナットの頂点に大きな力が加わり、ナットの
変形を生じ易いという課題を有していた。 (2)ロ号公報に開示の自在スパナでは、第1爪と第2
爪とは回動自在に連結されており、ナットを締結又は弛
緩する際に、第1爪と第2爪を連結する回動軸に大きな
力が加わる。これにより、回動軸が破損したり歪んだり
し易く、信頼性に欠けるという課題を有していた。 (3)ハ号公報に開示の開口スパナでは、ナットの締結
時又は弛緩時において、回動軸6に大きな力が加わるた
め、強くナットを締結又は強く締結されたナットを弛緩
したときに回動軸6が破損したり歪んだりし易く、信頼
性に欠けるという課題を有していた。 (4)ニ号公報に開示のラチェットレンチでは、固定顎
2と可動顎3とが本体1に枢着されており、この固定顎
2と可動顎3とを本体に枢着するピンに、ナットの締結
時又は弛緩時において大きな力が加わり、強くナットを
締結又は強く締結されたナットを弛緩したときに回動軸
6が破損したり歪んだりし易く、信頼性に欠けるという
課題を有していた。また、構造が複雑であり、多くの部
品の組み合わせからなるため壊れやすく、強度を維持し
つつ小型化することが難しく、特に狭い空間におけるナ
ットの締結作業又は弛緩作業には使用できないという課
題を有していた。 (5)ホ号公報に開示の自在スパナでは、鉤型の金具1
を取り付けるピン4に対し、ナットの締結時又は弛緩時
において大きな力が加わり、強くナットを締結又は強く
締結されたナットを弛緩したときに回動軸6が破損した
り歪んだりし易く、信頼性に欠けるという課題を有して
いた。 (6)ヘ号公報に開示のラチェットレンチでは、上顎部
材5と下顎部材3とをハンドル1の先端部に枢着するピ
ン4,7に対して、ナットの締結時又は弛緩時において
大きな力が加わり、強くナットを締結又は強く締結され
たナットを弛緩したときに回動軸6が破損したり歪んだ
りし易く、信頼性に欠けるという課題を有していた。
【0009】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、強くナットを締結又は強く締結されたナットを弛緩
する際にも破壊しにくく、ナットの締結や弛緩作業の際
にナットを変形させることを防止することができ、構造
が簡単で小型化も可能なラチェットスパナを提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のラチェットスパナは、柄と、柄の先端に形設
された頭部と、頭部先端側に開口するナット等を受け入
れる口と、頭部の口の一側方に形設された固定顎と、固
定顎の口の内面側の基底部に平面状に形成された挟持面
と、固定顎の口の内面側の基底部から開口端にかけて挟
持面に対し120度の角度で連設され平面状に形成され
た拘止面と、頭部に挟持面との距離が口の開口端側に向
かって広くなる角度で直線状に拘止面に対向して形成さ
れた誘導面と、誘導面上を摺動自在に頭部に装着された
可動顎と、可動顎の口の内面側に挟持面と平行な平面状
に形成された作用面と、可動顎の先端の口の内面側に作
用面と120度の角度で連設され拘止面と平行な平面状
に形成された押圧面と、可動顎を押圧面が挟持面に近づ
く方向に付勢する可動顎付勢手段と、を備えた構成より
成る。この構成により、強くナットを締結又は強く締結
されたナットを弛緩する際にも破壊しにくく、ナットの
締結や弛緩作業の際にナットを変形させることを防止す
ることができ、構造が簡単で小型化も可能なラチェット
スパナを提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】この目的を達成するために本発明
の請求項1に記載のラチェットスパナは、柄と、柄の先
端に形設された頭部と、頭部先端側に開口するナット等
を受け入れる口と、頭部の口の一側方に形設された固定
顎と、固定顎の口の内面側の基底部に平面状に形成され
た挟持面と、固定顎の口の内面側の基底部から開口端に
かけて挟持面に対し120度の角度で連設され平面状に
形成された拘止面と、頭部に挟持面との距離が口の開口
端側に向かって広くなる角度で直線状に拘止面に対向し
て形成された誘導面と、誘導面上を摺動自在に頭部に装
着された可動顎と、可動顎の口の内面側に挟持面と平行
な平面状に形成された作用面と、可動顎の先端の口の内
面側に作用面と120度の角度で連設され拘止面と平行
な平面状に形成された押圧面と、可動顎を押圧面が挟持
面に近づく方向に付勢する可動顎付勢手段と、を備えた
構成としたものである。この構成により、以下のような
作用が得られる。 (1)ナットの締結又は弛緩作業を行うとき、可動顎を
誘導面の開口端側に押し上げ、挟持面と拘止面と押圧面
と作用面とで包囲された空間にナットを挿入し、可動顎
を放して付勢手段に付勢された押圧面により挟持面と押
圧面の間にナットを挟む。このとき、ナットの側面は、
挟持面と拘止面と押圧面と作用面とに当接した状態とな
り、ナットの6つの頂点(以下、隣接する順に、頂点
A,B,C,D,E,Fと呼ぶ。)は、頂点Aが挟持面
と拘止面との連設部に位置し、頂点Bが挟持面に当接
し、頂点Dが押圧面と作用面との連設部に位置する状態
となる。この状態で、ナットを中心として頭部に可動顎
支持部が形設された側の側面の方向に柄を回転させた場
合、作用面に当接するナットの頂点Dから作用面に対し
て押圧力が働く。これにより、可動顎は誘導面に強い力
で押しつけられるため、誘導面と可動顎との当接する面
間に強い摩擦力が働き、可動顎は誘導面上を摺動せず、
ナットはラチェットスパナの回転と共に回転し締結又は
弛緩される。 (2)逆に、上記状態において、ナットを中心として頭
部に固定顎が形設された側の側面の方向に柄を回転させ
た場合、押圧面に当接するナットの頂点Dから押圧面に
対して押圧力が働く。この場合、可動顎は誘導面上を摺
動し、ラチェットスパナの頭部の口の先端方向に押し出
される。これに伴い、挟持面に当接するナットの頂点A
は挟持面上を摺動する。また、可動顎がラチェットスパ
ナの頭部の口の先端方向に押し出されることにより、ラ
チェットスパナからナットにはナットを回転させるだけ
の大きさの力が加わらず、ナットは回転せず、ラチェッ
トスパナのみが回転する。このとき、可動顎には付勢手
段により、ナットにより押し出される方向とは反対方向
に引き戻す力が加えられており、ナットは口の内側面に
当接した状態に保たれる。更に柄を回転させると、ナッ
トの頂点Cは可動顎の作用面の位置まで移動する。これ
に伴い、ナットによりラチェットスパナの頭部の口の先
端方向に押し出されていた可動顎は、付勢手段の復元力
により引き戻され、作用面と押圧面との連設点がナット
の頂点Cの位置にくる状態まで移動する。このとき、頂
点Fが挟持面と拘止面との連設部に位置し、頂点Aが挟
持面に当接し、頂点Cが押圧面と作用面との連設部に位
置する状態となり、ラチェットスパナはナットを把持し
た状態でナットを固定したままラチェットスパナのみを
60度だけナットを中心として頭部に固定顎が形設され
た側の側面の方向に回転されたこととなる。この状態
で、再び、ナットを中心として頭部に可動顎が装着され
た側の側面の方向に柄を回転させることにより、ナット
を締結又は弛緩することができる。 (3)ナットとラチェットスパナの口との間には若干の
遊びがあるため、ナットの6つの頂点のうちの3つが拘
止面、挟持面、作用面に当接した状態で、上記各頂点に
各々の当接面から締結方向又は弛緩方向にナットを回転
させる力が加わることになる。従って、一般のスパナと
同様に、ナットには3点から力が加わるため、ナットの
各頂点に加わる力は分散され、ナットの頂点の変形が防
止される。 (4)ナットからラチェットスパナには作用面を通して
可動顎を誘導面に押しつける方向に力が加わるが、この
力は誘導面の面全体に分散されて加わるため、可動顎や
頭部の口の内側面が変形したり破壊したりすることはな
い。 (5)作用面は拘止面に対して平行移動し誘導面は拘止
面に対して平行でないため、可動顎が誘導面上を平行移
動することで二面幅が変化する。従って、インチサイズ
のナットとミリサイズのナットの両方に対して使用する
ことができる。
【0012】ここで、可動顎付勢手段としては、コイル
バネ、トーションスプリング(ねじりコイルバネ)、ト
ーションバー、板バネ等のバネが使用される。誘導面
は、頭部の口の内面側に基底部から開口端にかけて形成
してもよく、又、頭部の表面及び/又は裏面に突出状ま
たは溝状に形成してもよい。更に、頭部の口の内面側に
可動顎が摺動自在に挿嵌する溝を形成し、その溝の摺動
面を誘導面としてもよい。また、誘導面は平面に限るも
のではなく、曲面状や折面状であっても、その軸方向に
可動顎が摺動自在であればかまわない。また、可動顎が
可動顎支持部から抜脱しないように、誘導面と平行に可
動顎支持部の表裏両面に可動顎が摺動自在に嵌合するス
ライド溝を形設するか、誘導面に可動顎の抜脱防止用の
レール又は溝を形成する。この抜脱防止用の溝の内面
は、誘導面を兼ねてもよい。また、拘止面はナットの一
辺の長さの1/4〜3/4倍程度、作用面はナットの一
辺の長さの1/4〜3/4倍程度、押圧面はナットの一
辺の長さの1/4〜3/4倍程度の長さに形成するのが
好適である。ナットを中心として頭部に固定顎が形設さ
れた側の側面の方向に柄を回転させたときに、ナットが
口の各内面に引っかかることなくスムーズに回ることが
できるからである。
【0013】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1に記載のラチェットスパナであって、可動顎の口の内
面側の側面の基底部側に作用面に対して滑らかに連設さ
れた曲面状に形成された摺動面と、固定顎の先端に口の
内面側の側面が拘止面と滑らかに連設された曲面状に形
成された先端部と、を備えた構成としたものである。こ
の構成により、以下のような作用が得られる。付勢手段
に付勢された押圧面により挟持面と押圧面との間にナッ
トを挟み、ナットの側面が、挟持面と拘止面と押圧面と
作用面とに当接した状態において、このときの、ナット
の6つの頂点を、隣接する順に、頂点A,B,C,D,
E,Fと呼び、挟持面と拘止面との連設部に位置する頂
点を頂点A、挟持面に当接する頂点を頂点B、押圧面と
作用面との連設部に位置する頂点を頂点Dとする。この
状態において、ナットを中心として頭部に固定顎が形設
された側の側面の方向に柄を回転させた場合、押圧面に
当接するナットの頂点から押圧面に対して押圧力が働
き、可動顎は誘導面上を摺動し、ラチェットスパナの頭
部の口の先端方向に押し出される。これに伴い、頂点A
は挟持面上を摺動し、ナットの辺DCは摺動面上を摺動
し、ナットの辺FAは先端部の内側面上を摺動する。こ
れにより、可動顎がスムーズにラチェットスパナの頭部
の口の先端方向に押し出され、ラチェットスパナからナ
ットには余分な力が加わらず、ラチェット機構を滑らか
に動作させることができる。
【0014】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
1又は2に記載のラチェットスパナであって、誘導面
は、頭部の固定顎部に対向する口の内面側の基底部から
開口端にかけて挟持面との距離が口の開口端側に向かっ
て広くなる角度で直線状に形成された構成としたもので
ある。この構成により、以下のような作用が得られる。 (1)可動顎は、可動顎支持部の口の内面側の誘導面に
沿って摺動する。 (2)口の開口端側が広がるように、可動顎支持部の口
の内面側に誘導面を形成し、可動顎をその誘導面状に装
着することにより構成され、構成が極めて簡単であり、
組み立ても容易で安価に制作が可能である。
【0015】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
1又は2に記載のラチェットスパナであって、頭部の先
端側面に形成された頭部端面と、頭部内に直線状に穿設
された可動顎基部収納穴と、可動顎基部収納穴から頭部
端面に開口する可動顎取付口と、を備え、誘導面は可動
顎基部収納穴の拘止面に対向する側面に形成され、可動
顎基部収納穴内には誘導面上を摺動自在に可動顎基部が
挿嵌され、可動顎は可動顎基部の一側部に突設され先端
が可動顎取付口から口の内側へ突出し、作用面は可動顎
先端の側面に拘止面と平行に形成され、押圧面は可動顎
先端側面に挟持面に対して平行に作用面と120度の角
度で連設され形成されており、可動顎付勢手段は、可動
顎基部収納穴内に配設され可動顎基部を可動顎の押圧面
が挟持面に近づく方向に付勢するバネからなるを備えた
構成としたものである。この構成により、以下のような
作用が得られる。 (1)可動顎基部が可動顎基部収納穴の側面である誘導
面を摺動することにより、可動顎は誘導面に沿って平行
移動する。 (2)可動顎付勢手段や可動顎基部が頭部内に内設され
ているため、壊れにくく耐久性に優れる。
【0016】以下に本発明の一実施の形態について、図
面を参照しながら説明する。 (実施の形態1)図1(a)は本発明の実施の形態1に
おけるラチェットスパナの平面図であり、図1(b)は
実施の形態1におけるラチェットスパナの可動顎支持部
の側から見た側面図であり、図1(c)は実施の形態1
におけるラチェットスパナの可動顎の上端側から見た側
面図である。図1において、1はラチェットスパナ、2
aはラチェットスパナ1の頭部、2bはラチェットスパ
ナ1の柄、2cは頭部2aの先端に形成され頭部2aの
先端に向かって開口したラチェットスパナ1の口、3は
頭部2aの先端の口2cの一側方に形設された固定顎、
3aは口2cの基底部をなす固定顎3の内側面(口2c
側の側面)であり平面状に形成された挟持面、3bは固
定顎3の内側面の先端部付近を構成し挟持面3aに対し
120度の角度で連設され平面状に形成された拘止面、
3cは拘止面3b側の側面が拘止面3bと滑らかに連設
された曲面状に形成された固定顎3の先端部、4は頭部
2aの先端の固定顎3と逆側の口2cの側方に形設され
た可動顎支持部、4aは口2cの基底部をなす可動顎支
持部4の内側面であり挟持面3aに対し120度より大
きい角度で連設され平面状に形成されたストッパ面、4
bは可動顎支持部4の内側面の先端部付近を形成しスト
ッパ面4aに連設された平面状の誘導面、5,5は可動
顎支持部4の表裏両面に誘導面4bに平行に直線上に形
成されたスライド溝である。拘止面3bと誘導面4bと
は対向しており、拘止面3bと誘導面4bとは平行では
なく10〜20度の角度を持って拡開形成されており、
その間隔は固定顎3及び可動顎支持部4の先端になるほ
ど広くなるように形成されている。6はスライド溝5に
摺動自在に嵌合された可動顎、6aは可動顎6の内側面
の中央部をなし拘止面3bと平行に形成された平面状の
作用面、6bは可動顎6の内側面の先端部付近を形成し
作用面6aに対して120度の角度で連設された平面状
の押圧面、6cは押圧面6b側が押圧面6bと滑らかに
連設された曲面状に形成された可動顎6の可動顎先端
部、6dは可動顎6の内側面の基底部を構成し平面状に
形成された基底面、6eは作用面6aと基底面6dとの
間の可動顎6の内側面形成され作用面6aに対しては滑
らかに連設された曲面状に形成された摺動面、6f,6
fは可動顎6の表裏両面に穿設されたバネ係止孔、6g
は可動顎6の底部の外側面に溝状に穿設され可動顎支持
部4の誘導面4bに摺動自在に嵌合する嵌合溝、6hは
基底面6dと平行な平面状に形成された嵌合溝6gの溝
底面、6i,6iは突起状に形成され溝底面6hと平行
に嵌合溝6gの全長に渡り溝内両側壁に対向して突設さ
れスライド溝5に摺動自在に嵌合する直状突起部であ
る。作用面6aと拘止面3bとは平行であり、この2つ
の面の間隔が二面幅Lとなる。挟持面3aは、ナットの
一辺の長さxよりも少し長めに形成される。また、拘止
面3bはナットの一辺の長さxの1/4〜3/4倍程度
に形成される。また、作用面6aはナットの一辺の長さ
xの1/4〜3/4倍程度、押圧面6bはナットの一辺
の長さxの1/4〜3/4倍程度の長さに形成される。
拘止面3b及び作用面6aをナットの一辺の長さxの3
/4倍よりも短くするのは、ラチェットスパナを締結方
向(作用方向)から返してラチェット機構を働かせる際
に、先端部3cがナットの辺上を滑らせるようにするた
めである。また、拘止面3b及び作用面6aをナットの
一辺の長さxの1/4倍よりも長くするのは、ナットを
締結方向(作用方向)に締める際に、ナットの頂点が拘
止面3b及び作用面6aに当接しナットに力が加わる
が、この際、拘止面3b及び作用面6aが短すぎると、
ナットが滑り抜けるおそれが大きくなるからである。ま
た、可動顎6の直状突起部6i,6iはスライド溝5に
摺動自在に嵌合しているため、可動顎6はスライド溝
5,5に沿った方向にのみ平行移動が可能である。更
に、スライド溝5,5は拘止面3bに対しては平行では
なく、頭部2aの先端部に向かうほど拘止面3bとスラ
イド溝5との間隔が広がるように形成されているため、
二面幅Lは可動顎6が可動顎支持部4の先端方向へ移動
するほど大きくなる。但し、このとき、可動顎6は直線
上を平行移動するため、作用面6aと拘止面3bとは常
に平行な状態を保つ。7は鋼板をコの字型に折り曲げて
形成されており柄2bの固定顎3の側(以下、固定顎側
と呼ぶ。)から柄2bに摺動自在に挿嵌された把持部、
7aは把持部7の表裏面が頭部2a側に突出して形成さ
れた把持部7の先端部、7bは把持部7の先端部7aと
逆側の端に表裏面が固定顎側の端から柄2bの表裏面の
中央付近まで延出して形成された把持部7の外套部、7
cは把持部7の先端部7aと外套部7bとの間に位置し
表裏面の先端が柄2bの可動顎支持部4の側(以下、可
動顎側と呼ぶ。)を嵌装して形成された中央部、7d,
7dは柄2bの可動顎側の端において柄2bを嵌装する
中央部7cの表裏面の先端を柄2bの可動顎側の側面に
沿って折り曲げて形成された折返部、7e,7eは折返
部7d,7dの先端に向かって細くなるように傾斜して
形成された折返部7d,7dの先端側の端部、7fは中
央部7cの固定顎3側に突出形成されたバネ係止部、8
はラチェットスパナ1の表裏両面の把持部7の先端部7
aに固定されたダブルトーションコイル、8a,8aは
先端部7aの先端部に固定されたダブルトーションコイ
ル8のコイル部、8bはコの字型に屈曲形成され把持部
7の表面と裏面との先端部7aに固定されたコイル部8
a,8aを連設し屈曲部8cがバネ係止部7fに固定さ
れたダブルトーションコイル8の連設腕部、8d,8d
はコイル部8a,8aの巻き方向と反対向きにくの字状
に屈曲形成され更に端部が垂直に屈曲しバネ係止孔6f
に挿嵌固定されたダブルトーションコイル8の引張腕部
である。ダブルトーションコイル8は引張りコイルバネ
であり、可動顎6はダブルトーションコイル8によりス
ライド溝5,5に沿って柄2bの方向に付勢されてい
る。
【0017】以上のように構成された本実施の形態のラ
チェットスパナについて、以下その動作を説明する。
尚、ナットをボルト等に締結する場合の動作と、ボルト
等に締結されたナットを弛緩する場合の動作とは、ナッ
ト対してラチェットスパナ1を表裏逆向きに当てて同様
な動作を行えばよいため、ここでは代表として、ナット
を締結する場合の動作についてのみ説明する。図2及び
図3は実施の形態1のラチェットスパナの動作を示す説
明図である。図2又は図3において、1はラチェットス
パナ、2aは頭部、2bは柄、2cは口、3は固定顎、
3aは挟持面、3bは拘止面、3cは先端部、4は可動
顎支持部、4aはストッパ面、4bは誘導面、5はスラ
イド溝、6は可動顎、6aは作用面、6bは押圧面、6
cは可動顎先端部、6dは基底面、6eは摺動面、6f
はバネ係止孔、7は把持部、7aは先端部、7fはバネ
係止部、8はダブルトーションコイル、8aはコイル
部、8bは連設腕部、8cは屈曲部、8dは引張腕部で
あり、これらは図1と同様のものである。10はラチェ
ットスパナ1の口2cに把持されたナット、A,B,
C,D,E,Fはナット10の各頂点、A0は固定顎3
の内側面の挟持面3aと拘止面3bとが連設された連設
点、Gは挟持面3aとストッパ面4aとが連設された連
設点である。図2(a)はラチェットスパナ1によりナ
ットの締結時においてナットをラチェットスパナ1の口
2cに把持した状態を示しす図である。図2(a)にお
いて、ナット10の頂点Aは連設点A0に位置し、頂点
Bは挟持面3a上に当接し、頂点Dは作用面6aと押圧
面6bとが連設点に位置する。この状態において、柄2
bをD1の方向に回転させたとき、ナット10の頂点D
から可動顎6に対して図2(a)のF1で示した方向
(ナット10の頂点Dが作用面6aを可動顎支持部4に
押しつける方向)に力が加わる。このとき、可動顎6は
誘導面4bに強い力で押しつけられるため、誘導面4b
と溝底面6hとの間に強い摩擦力が働き、可動顎6は誘
導面4b上を摺動せず、ナット10はラチェットスパナ
1により回転され締結される。尚、この際、ナットとラ
チェットスパナ1の口2cの間には若干の遊びがあるた
め、ナットの頂点Aは拘止面3bに当接し、ナットの頂
点Bは挟持面3aに当接し、ナットの頂点Dは作用面6
aに当接した状態で、上記各頂点に各々の当接面から締
結方向にナットを回転させる力が加わることになる。従
って、一般のスパナと同様に、ナットには3点から力が
加わるため、ナットの各頂点に加わる力は分散され、ナ
ットの頂点の変形が防止される。また、ナットからラチ
ェットスパナ1には作用面6aを通して可動顎6を誘導
面4bに押しつける方向に力が加わるが、この力は誘導
面4bの面全体に分散されて加わるため、可動顎6や可
動顎支持部4が変形したり破壊したりすることはない。
逆に、図2(a)の状態において、柄2bをD2の方向
に回転させたとき、ナット10の頂点Dから可動顎6に
対して図2(a)のF2で示した方向(ナット10の頂
点Dが押圧面6bを口2cの外方向に押し出す方向)に
力が加わる。この場合、可動顎6はスライド溝5内を摺
動し、図2(a)のD3の方向に押し出される。これに
伴い、頂点Aは挟持面3a上を連設点Gの方向に摺動
し、ナット10の辺DCは摺動面6e上を摺動し、ナッ
ト10の辺FAは先端部3cの内側面上を摺動する(図
2(b)参照)。可動顎6がD3の方向に押し出される
ことにより、ラチェットスパナ1からナット10にはナ
ット10を回転させるだけの大きさの力が加わらず、ナ
ット10は回転せず、ラチェットスパナ1のみがD2
方向に回転する。このとき、可動顎6にはダブルトーシ
ョンコイル8により、D3と反対方向に引き戻す力が加
えられており、摺動面6eはナット10の辺DCに常に
当接した状態に保たれる。更に柄2bをD2方向に回転
させると、可動顎6は更にD3の方向に押し出されると
ともに、頂点Aは挟持面3a上を更に連設点Gの方向に
摺動し、頂点Fは拘止面3b上を連設点A0の方向に摺
動し、頂点Cは摺動面6e上を摺動する(図3(a)参
照)。このときも、可動顎6にはダブルトーションコイ
ル8により、D3と反対方向に引き戻す力が加えられて
いるので、摺動面6eはナット10の頂点Cに常に当接
した状態に保たれる。更に柄2bをD2方向に回転させ
ると、ナット10の頂点Cは可動顎6の作用面6aの位
置まで移動する。これに伴い、頂点CによりD3の方向
に押し出されていた可動顎6は、支持がなくなるため、
ダブルトーションコイル8の復元力により引き戻され、
作用面6aと押圧面6bとの連設点が頂点Cの位置に来
る状態まで移動する。また、このとき、頂点Fは連設点
0まで移動し、再び図2(a)と同様にナットの締結
が可能な状態となる(図3(b)参照)。以上の操作が
終了した時点では、ラチェットスパナ1はナットを把持
した状態でナットを固定したままラチェットスパナ1の
みを60度だけD2の方向に回転されたこととなる。こ
の状態で、再び柄2bを図3(b)の方向D1に回転さ
せることにより、ナットを締結することができる。
【0018】図4は実施の形態1のラチェットスパナの
口内におけるナットの回転の軌跡を表す図である。図4
において、太線で示したナットの位置A,B,C,D,
E,Fは図2(a)に示したナットの各頂点に対応し、
図2(a)から図3(b)の状態に移行するに従い、頂
点Fは図4の頂点A位置に向かうの方向に直線上を移動
し、頂点Aは図4の頂点Bの位置に向かう方向に直線上
を移動する。これに伴って、頂点Bは曲線L1に沿って
図4の頂点Bの位置から図4の頂点Cの位置へ向かう方
向へ移動し、頂点Cは曲線L2に沿って図4の頂点Cの
位置から図4の頂点Dの位置へ向かう方向へ移動し、頂
点Dは曲線L3に沿って図4の頂点Dの位置から図4の
頂点Eの位置へ向かう方向へ移動し、頂点Eは曲線L4
に沿って図4の頂点Eの位置から図4の頂点Fの位置へ
向かう方向へ移動する。従って、ストッパ面4a及び基
底面6dは、この軌跡L1,L2を遮ることのないように
形成する必要がある。そのためには、拘止面3bの長さ
はナットの一辺の長さよりも短い長さに形成し、挟持面
3aとストッパ面4aとの成す角度は120度よりも若
干大きめに構成するのがよい。尚、挟持面3a及びスト
ッパ面4aの構成の仕方としては、上記のものに限られ
たものではなく、図4の軌跡をL1,L2を遮らないもの
であればよく、例えば、挟持面3aを軌跡L1に沿った
曲面状に形成してもよい。
【0019】以上のように、本実施の形態のラチェット
スパナでは、強くナットを締結又は強く締結されたナッ
トを弛緩する際にも、ナットからラチェットスパナ1に
加わる力は誘導面4bの面全体に分散されて柄2bに固
定された可動顎支持部4に加わるため破壊しにくく、ま
た、ナットには3点から力が加わるため、ナットの各頂
点に加わる力は分散され、ナットの締結や弛緩作業の際
にナットを変形させることを防止することができる。更
に、構造が簡単で小型化も可能である。
【0020】(実施の形態2)図5は本発明の実施の形
態2のラチェットスパナの平面図である。図5におい
て、1はラチェットスパナ、2aは頭部、2bは柄、2
cは口、3は固定顎、3aは挟持面、3bは拘止面、3
cは先端部、4は可動顎支持部、4aはストッパ面、4
bは誘導面、5はスライド溝、6は可動顎、6aは作用
面、6bは押圧面、6cは可動顎先端部、6dは基底
面、6eは摺動面、Lは二面幅であり、これらは図1と
同様のものであるので、同一の符号を付して説明を省略
する。11は柄2bの軸に平行に軸方向に移動自在に配
設され先端部11aが可動顎6の表側面に固定された直
線棒状の復元力伝達桿、11bは復元力伝達桿11の基
端部に直角に折り曲げて形成された操作取手、12は柄
2bの可動顎側の側面に突設され支持部12を軸方向に
移動自在に支持する支持部、13は復元力伝達桿11の
支持部12と操作取手11bとの間に環装され復元力伝
達桿11を頭部2aから柄2bに向かう方向に付勢する
圧縮コイルバネである。以上のような構成により、実施
の形態1と同様の、ナットの締結又は弛緩時にナットを
締結方向又は弛緩方向に回転させた後、ナットから脱外
することなく締結方向又は弛緩方向と逆方向に戻動させ
ナットの締結作業を行うことの可能なラチェット機構が
構成される。
【0021】(実施の形態3)図6は本発明の実施の形
態3のラチェットスパナの平面図であり、図7は図6の
ラチェットスパナのA−A線矢視断面端面図である。図
6及び図7において、1はラチェットスパナ、2aは頭
部、2bは柄、2cは口、3は固定顎、3aは挟持面、
3bは拘止面、3cは先端部、4は可動顎支持部、4a
はストッパ面、4bは誘導面、6は可動顎、6aは作用
面、6bは押圧面、6cは可動顎先端部、6eは摺動
面、Lは二面幅であり、これらは図1と同様のものであ
る。6j,6jは可動顎6の表裏両面側から柄2b側に
突設された引戻桿、6k,6kは表面に凹凸状の滑り止
めが形成された引戻桿6j,6jの端部、6l,6lは
引戻桿6j,6jに穿設されたスプリング取付孔、5’
は頭部2aの表裏両面に形設され誘導面4bが摺動自在
に嵌合されたスライド溝、15はラチェットスパナ1の
柄2bと頭部2aとの連設された部分の可動顎側の表裏
両面に貫設されたスプリング取付孔、16,16はラチ
ェットスパナ1の表裏両面に配設され両端がスプリング
取付孔15とスプリング取付孔6l,6lとに固定され
引戻桿6j,6jを頭部2aから柄2bに向かう方向に
付勢するトーションバーである。以上のような構成によ
り、実施の形態1と同様の、ナットの締結又は弛緩時に
ナットを締結方向又は弛緩方向に回転させた後、ナット
から脱外することなく締結方向又は弛緩方向と逆方向に
戻動させナットの締結作業を行うことの可能なラチェッ
ト機構が構成される。
【0022】(実施の形態4)図8は本発明の実施の形
態3のラチェットスパナの要部破断面図である。図8に
おいて、1はラチェットスパナ、2aは頭部、2bは
柄、2cは口、Lは二面幅であり、これらは図1と同様
のものである。19は頭部2aの端部に平面状に形成さ
れた頭部端面、20は頭部端面19aの一側部に倒U字
型に突設された固定顎である。頭部端面19と固定顎2
0の内面とで囲まれた空間がラチェットスパナ1の口2
cとなっている。20aは固定顎20の口2c側の内側
面の一部を構成し頭部端面19に連設された平面からな
るストッパ面、20bは固定顎20の口2c側の内側面
の一部を構成しストッパ面20aに連設された平面から
なる挟持面、20cは固定顎20の口2c側の内側面の
一部を構成し挟持面20bに連設された平面からなる拘
止面、20dは拘止面20c側の側面が拘止面20cと
滑らかに連設された曲面状に形成された固定顎20の先
端部である。ストッパ面20aと挟持面20bとは12
0度よりも大きい角度をもって形成されており、挟持面
20bと拘止面20cとは120度の角度をもって形成
されている。21は頭部端面19と平行に頭部2a内に
穿設され固定顎20の形設された頭部2aの一端側(以
下、固定顎側と呼ぶ。)の側面に開口する可動顎基部収
納穴、21aは可動顎基部収納穴の拘止面に対向する側
面に形成された誘導面、22は可動顎基部収納穴21か
ら口2cの内面側に開口する可動顎取付口、23は先端
部23aが頭部2aの固定顎側の側面に突出し可動顎基
部収納穴21に誘導面21a上を摺動自在に挿嵌された
棒状体からなる可動顎基部、24は可動顎基部23の一
側部に突設され先端が可動顎取付口22から口2cの内
面側へ突出する可動顎、24aは可動顎24の先端の口
2cの内面側に拘止面20cと平行に形成された作用
面、24bは可動顎24の先端部中央付近に突設された
ナット挟持用突起部、24cはナット挟持用突起部24
bの固定顎側の側面であり作用面24aと120度の角
度で連設された挟持面、25は可動顎基部収納穴21内
に配設され可動顎基部23の基端部23bは挿入されて
おり可動顎基部23を固定顎側に押圧付勢する圧縮コイ
ルバネである。本実施の形態において、可動顎基部収納
穴21の軸と拘止面20cとは平行からずれて形成され
ており、可動顎基部収納穴21の軸と拘止面20cとの
距離は口2cの開口端側に向かうほど広がるように形成
されている。また、拘止面20cと固定顎20とは平行
に形成されており、拘止面20cと固定顎20との距離
が二面幅となる。可動顎24は可動顎基部収納穴21の
軸に沿って平行に移動するため、作用面24aは拘止面
20cと常に平行を保った状態で移動する。以上のよう
な構成により、実施の形態1と同様の、ナットの締結又
は弛緩時にナットを締結方向又は弛緩方向に回転させた
後、ナットから脱外することなく締結方向又は弛緩方向
と逆方向に戻動させナットの締結作業を行うことの可能
なラチェット機構が構成される。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明のラチェットスパ
ナによれば以下のような有利な効果を得ることができ
る。請求項1に記載の発明によれば、 (1)ナットには3点から力が加わり、ナットの各頂点
に加わる力が分散されるため、ナットの頂点が変形する
ことが防止されたラチェットスパナを提供することがで
きる。 (2)ナットからラチェットスパナには作用面を通して
可動顎を誘導面に押しつける方向に力が加わるが、この
力は誘導面の面全体に分散されて加わるため、可動顎や
可動顎支持部が変形したり破壊したりすることがなく、
信頼性の高いラチェットスパナを提供することができ
る。 (3)構成が簡単であるため、小型化が容易なラチェッ
トスパナを提供することができる。
【0024】請求項2に記載の発明によれば、ナットに
は余分な力が加わらず、ラチェット機構を滑らかに動作
させることが可能なラチェットスパナを提供することが
できる。
【0025】構成が極めて簡単であり、組み立ても容易
で安価に制作が可能であるため、生産性・経済性に優れ
たラチェットスパナを提供することができる。
【0026】可動顎付勢手段や可動顎基部が頭部内に内
設されているため、壊れにくく耐久性に優れたラチェッ
トスパナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態1におけるラチェッ
トスパナの平面図 (b)実施の形態1におけるラチェットスパナの可動顎
支持部の側から見た側面図 (c)実施の形態1におけるラチェットスパナの可動顎
の上端側から見た側面図
【図2】実施の形態1のラチェットスパナの動作を示す
説明図
【図3】実施の形態1のラチェットスパナの動作を示す
説明図
【図4】実施の形態1のラチェットスパナの口内におけ
るナットの回転の軌跡を表す図
【図5】本発明の実施の形態2のラチェットスパナの平
面図
【図6】本発明の実施の形態3のラチェットスパナの平
面図
【図7】図6のラチェットスパナのA−A線矢視断面端
面図
【図8】本発明の実施の形態3のラチェットスパナの要
部破断面図
【符号の説明】
1 ラチェットスパナ 2a 頭部 2b 柄 2c 口 3 固定顎 3a 挟持面 3b 拘止面 3c 先端部 4 可動顎支持部 4a ストッパ面 4b 誘導面 5,5’ スライド溝 6 可動顎 6a 作用面 6b 押圧面 6c 可動顎先端部 6d 基底面 6e 摺動面 6f バネ係止孔 6g 嵌合溝 6h 溝底面 6i 直状突起部 6j 引戻桿 6k 端部 6l スプリング取付孔 7 把持部 7a 先端部 7b 外套部 7c 中央部 7d 折返部 7e 端部 7f バネ係止部 8 ダブルトーションコイル 8a コイル部 8b 連設腕部 8c 屈曲部 8d 引張腕部 10 ナット 11 復元力伝達桿 11a 先端部 11b 操作取手 12 支持部 13 圧縮コイルバネ 15 スプリング取付孔 16 トーションバー 19 頭部端面 20 固定顎 20a ストッパ面 20b 挟持面 20c 拘止面 20d 先端部 21 可動顎基部収納穴 21a 誘導面 22 可動顎取付口 23 可動顎基部 24 可動顎 24a 作用面 24b ナット挟持用突起部 24c 挟持面 25 圧縮コイルバネ A,B,C,D,E,F 頂点 L 二面幅

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】柄と、前記柄の先端に形設された頭部と、
    前記頭部先端側に開口するナット等を受け入れる口と、
    前記頭部の前記口の一側方に形設された固定顎と、前記
    固定顎の前記口の内面側の基底部に平面状に形成された
    挟持面と、前記固定顎の前記口の内面側の基底部から開
    口端にかけて前記挟持面に対し120度の角度で連設さ
    れ平面状に形成された拘止面と、前記頭部に前記挟持面
    との距離が前記口の開口端側に向かって広くなる角度で
    直線状に前記拘止面に対向して形成された誘導面と、前
    記誘導面上を摺動自在に前記頭部に装着された可動顎
    と、前記可動顎の前記口の内面側に前記挟持面と平行な
    平面状に形成された作用面と、前記可動顎の先端の前記
    口の内面側に前記作用面と120度の角度で連設され前
    記拘止面と平行な平面状に形成された押圧面と、前記可
    動顎を前記押圧面が前記挟持面に近づく方向に付勢する
    可動顎付勢手段と、を備えたことを特徴とするラチェッ
    トスパナ。
  2. 【請求項2】前記可動顎の前記口の内面側の側面の基底
    部側に前記作用面に対して滑らかに連設された曲面状に
    形成された摺動面と、前記固定顎の先端に前記口の内面
    側の側面が前記拘止面と滑らかに連設された曲面状に形
    成された先端部と、を備えたことを特徴とする請求項1
    に記載のラチェットスパナ。
  3. 【請求項3】前記誘導面は、前記頭部の前記固定顎部に
    対向する前記口の内面側の基底部から開口端にかけて前
    記挟持面との距離が前記口の開口端側に向かって広くな
    る角度で直線状に形成されたことを特徴とする請求項1
    又は2に記載のラチェットスパナ。
  4. 【請求項4】前記頭部の先端側面に形成された頭部端面
    と、前記頭部内に直線状に穿設された可動顎基部収納穴
    と、可動顎基部収納穴から前記頭部端面に開口する可動
    顎取付口と、を備え、前記誘導面は可動顎基部収納穴の
    前記拘止面に対向する側面に形成され、前記可動顎基部
    収納穴内には前記誘導面上を摺動自在に可動顎基部が挿
    嵌され、前記可動顎は可動顎基部の一側部に突設され先
    端が可動顎取付口から前記口の内側へ突出し、前記作用
    面は前記可動顎先端の側面に前記拘止面と平行に形成さ
    れ、前記押圧面は前記可動顎先端側面に前記挟持面に対
    して平行に前記作用面と120度の角度で連設され形成
    されており、前記可動顎付勢手段は、前記可動顎基部収
    納穴内に配設され前記可動顎基部を前記可動顎の前記押
    圧面が前記挟持面に近づく方向に付勢するバネからなる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のラチェットス
    パナ。
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