JP2000263229A - ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法 - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接時に長尺のコンジットケーブルがS字あ
るいはJ字状に曲げられて使用される場合においても、
ワイヤ送給ローラでスリップが少なく、かつコンジット
チューブ内での摩擦抵抗の少ないなど、ワイヤ送給性が
極めて良好で、スパッタの発生が極めて少ないガスシー
ルドアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法を提供する 【解決手段】 鋼素地に銅めっきされたガスシールドア
ーク溶接用鋼ワイヤの製造方法において、熱延鋼線材を
原線とし、該原線表面の脱スケール、一次伸線、非酸化
性雰囲気で焼鈍した後、塩酸濃度を2.6〜6.5%、
温度7〜40℃の酸洗液で35〜120秒間酸洗し、次
いでめっき処理、仕上げ伸線加工を施す。また、焼鈍、
酸洗およびめっき処理はワイヤをループ状にして実施す
るガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はワイヤ送給性および
溶接作業性の優れたガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤを製
造する一般的な方法は、図3のフロー図に示すように
(1)熱延鋼線材(原線)のスケールを除去する工程、
(2)2〜5mm径までローラダイスあるいは孔型ダイ
スで伸線する工程(一次伸線)、(3)焼鈍工程、
(4)酸洗工程、(5)めっき工程、(6)最終サイズ
径まで伸線する工程(仕上げ伸線)、(7)スプール巻
またはペイルパックに装填する巻取り工程によって行わ
れる。
【0003】これらの方法によって製造されたガスシー
ルドアーク溶接用鋼ワイヤ(以下、ワイヤという。)
は、溶接の自動化、溶接ロボットの普及やコンジットケ
ーブルの長尺化等に伴って、ワイヤの送給性および溶接
作業性の向上要求が一層高まっている。
【0004】そこで従来、ワイヤ送給性を改善するため
に、ワイヤには、一般に特公昭50−3256号公報に
代表されるように微量の動植物油あるいは鉱物油の単独
またはそれらの混合潤滑剤が、前述の(6)の仕上げ伸
線工程でワイヤ表面に塗布されており、この潤滑剤がワ
イヤの送給性を良好にしている。
【0005】また、長さ6〜20mの長尺のコンジット
ケーブルを使用し、かつ狭隘な現場での溶接において
は、コンジットケーブルをS字あるいはJ字状に曲げて
使用されることが多々ある。この場合、コンジットケー
ブル内のコンジットチューブと内部を通過するワイヤと
の接触摩擦部が増えて送給抵抗が増加し、また、ワイヤ
送給ローラで溶接ワイヤがスリップしてワイヤ送給性が
悪くなる。そのため、特開昭61−27198号公報の
ように、ワイヤの表面に平均粒径50〜750μmのシ
ョットを用いてショットブラスト加工を行い凹部を付与
し、その後潤滑油を塗布する方法や特公平1−1535
6号公報のように、ワイヤ表面を多孔度5〜50%の多
孔質めっき層で被覆し、このめっき層に潤滑油を含ませ
たものが開示されている。
【0006】しかし、前述の特開昭61−27198号
公報にあっては、ワイヤ表面にショットブラスト加工で
所定の凹凸形状にしながら連続加工性に問題がある。ま
た、ワイヤ表面が加工硬化しているので屈曲したコンジ
ットチューブ内で摩擦抵抗が大きくなる。一方、特公平
1−15356号公報にあっては、めっき被覆のコント
ロールが難しく製造工程も複雑となる。また、ワイヤ素
地表面が平坦な状態でめっき層を多孔質としたものであ
るから、ワイヤ送給ローラでの送給力とコンジットチュ
ーブ内での摩擦抵抗の両方のバランスによって定まる良
好なワイヤ送給性を維持することができない。さらに、
これらのワイヤでは溶接作業性、特にスパッタの低減効
果は得られない。
【0007】溶接時に長尺のコンジットケーブルがS字
あるいはJ字状に曲げられて使用される場合においても
ワイヤ送給性が優れ、かつスパッタ発生量が少ないワイ
ヤは、特開平9−141487号公報や特公平4−64
78号公報に提案してあるように、図3中に示す焼鈍工
程(3)で図1(a)に示すようにワイヤ表層部に粒界
酸化層4を形成させ、酸洗工程で図1(b)に示すよう
に外部酸化層2(図1の(a)に示されている)を剥離
して地金表面を露出された後にめっきを施し、めっき工
程(5)後の仕上げ伸線工程(6)で粒界酸化1を起点
としてめっき層に線状の亀裂を発生させ、その亀裂に液
体潤滑剤を保持させてワイヤの送給性を向上させ、ま
た、粒界酸化層4(通常1〜10μm深さ)によってワ
イヤ表面層に酸素を富化させた酸素の作用によってアー
クが安定しスパッタ発生の低減を図っている。
【0008】しかし、前述の特開平9−141487号
公報および特公平4−6478号公報に記載してある焼
鈍後の酸洗工程に使用される酸洗液では、ワイヤ表層の
鉄酸化物(FeO、Fe34)の皮膜(外部酸化層2)
のみならず図1(c)に示すように焼鈍によって生成し
た粒界酸化1が塩酸から生じた水素によって剥離され
る。したがって、めっき後の仕上げ伸線工程で図1
(d)に示すように部分的にワイヤ表面の結晶粒3がワ
イヤ表面から剥がれて平面的な凹部5が生じ、溶接時に
コンジットチューブ内で大きな抵抗となってアークを不
安定にする。また、ワイヤ表層部に富化された酸素も少
なくなることから、溶接時にスパッタ発生量も多くな
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶接時に長
尺のコンジットケーブルがS字あるいはJ字状に曲げら
れて使用される場合においても、ワイヤ送給ローラでス
リップが少なく、かつコンジットチューブ内での摩擦抵
抗の少ないなど、ワイヤ送給性が極めて良好で、スパッ
タの発生が極めて少ないガスシールドアーク溶接用鋼ワ
イヤの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸洗工程で酸
洗液の塩酸濃度、温度、酸洗時間を制御することによっ
て、粒界酸化された結晶粒をワイヤ表面から剥離するこ
となしに、ワイヤ表層部の外部酸化層のみを除去し得る
こと、および、めっき後の仕上げ伸線工程で部分的にワ
イヤ表面の結晶粒がワイヤ表面から剥がれ平面的な凹部
が生じないことを見出し、本発明を完成した。
【0011】本発明の要旨は、以下の通りである。
【0012】(1) ガスシールドアーク溶接用鋼ワイ
ヤの製造方法において、熱延鋼線材を原線とし、該原線
表面の脱スケール、一次伸線、非酸化性雰囲気で焼鈍し
た後、塩酸濃度を2.6〜6.5%、温度7〜40℃の
酸洗液で35〜120秒間酸洗し、次いでめっき処理、
仕上げ伸線加工を施す。
【0013】(2) 焼鈍、酸洗およびめっき処理はワ
イヤをループ状にして実施する(1)記載のガスシール
ドアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】図2に本発明のワイヤの製造工程
例のフロー図を示す。熱延鋼線材(原線)のスケール
をショットブラストや酸洗して除去する工程、2〜5
mm径まで孔型ダイスで伸線する工程(一次伸線)、
コイラーでループ状にする工程、非酸化性雰囲気で焼
鈍する工程、酸洗工程、めっき工程、最終サイズ
径まで伸線する工程(仕上げ伸線)、スプール巻また
はペイルパックに装填する巻取り工程によって製造され
る。
【0015】本発明においては、酸洗工程で酸洗液の
塩酸濃度および温度を低くし、酸洗時間を適度にして酸
洗するので、焼鈍によって生成した粒界酸化を剥離する
ことなく、ワイヤ表層部の外部酸化層のみを剥離する。
したがって、めっき後のめっき密着性が良好で、仕上
げ伸線工程で結晶粒が剥がれて形成される平面的な凹
部が生じることがなく、粒界酸化を起点として線状の亀
裂を均一にワイヤ表面に発生させることができ、該亀裂
部に液状潤滑剤を保持できるとともに、ワイヤ表層部に
酸素を富化した状態の製品ワイヤを製造することができ
る。本発明での平面的な凹部とは、ワイヤ表面の結晶粒
が剥がれて形成される凹部を意味する。
【0016】さらに、ワイヤをコイラー等でループ状に
した状態で焼鈍工程、酸洗およびめっき工程の処
理を施し、かつループ状で搬送することによって各処理
を高能率で行え、ワイヤの生産性を向上させることがで
きる。
【0017】なお、ワイヤの焼鈍は、ワイヤ表面に粒界
酸化層を生成させる時間を短縮するために金属炭酸塩を
塗布して行う。また、焼鈍炉内の酸素を少なくしてワイ
ヤ表面の外部酸化層を少なくするために非酸化性雰囲気
で軟化焼鈍し、ワイヤ表層部の粒界を酸化させる。非酸
化性のガスとしては、アルゴンガス、窒素ガスまたは一
酸化炭素と二酸化炭素の混合ガス等の中性または還元性
ガスを使用できるが、ランニングコスト、安全性を考慮
して窒素ガスを用いることが好ましい。なお、焼鈍炉内
の温度は650℃以上で1分以上保持すればよい。焼鈍
炉の上限温度は特に制限しないがエネルギーコストを考
えれば950℃以下が好ましい。
【0018】このようにして製造されたワイヤは、図4
に示すワイヤ送給工程によって溶接に供される。すなわ
ち、ワイヤ6はワイヤ送給装置(図示せず)にセットさ
れた状態から送給モータ(図示せず)の駆動によりワイ
ヤ送給部の平型加圧送給ローラ7およびV溝付送給ロー
ラ8によって順次送給され、コンジットケーブル9から
溶接トーチ10を通って溶接部に送給される。この時、
ワイヤ6表面は、線状の亀裂、例えば亀甲形を示す線状
の亀裂部を均一に有するので平型加圧送給ローラ7とV
溝付送給ローラ8間でグリップ力が働いてスリップが発
生しない。また、例えば長さ6〜20mのコンジットケ
ーブル9の中のコンジットチューブ(図示せず)内を通
過するが、ワイヤ表面の線状の亀裂部に液体潤滑剤を保
有しているのでワイヤ6とコンジットチューブとの摩擦
抵抗が非常に小さくなってワイヤ送給性を極めて良好に
している。さらに、ワイヤ表層部には粒界酸化層および
若干の粒内酸化層を有する、すなわちワイヤ表層部には
酸素が富化されているので、溶接アークが非常に安定し
てスパッタ発生量が極めて少ない。
【0019】酸洗工程における塩酸の濃度は、2.6〜
6.5%とする。塩酸の濃度が2.6%未満であると、
ワイヤ表面の外部酸化層を剥離することができず、製品
ワイヤでのめっきの密着性が悪くなり、溶接時にコンジ
ットチューブ内でめっきが剥離し、長時間溶接するとコ
ンジットチューブ内に蓄積されてワイヤ送給抵抗が大き
くなり、アークが不安定となる。逆に、塩酸の濃度が
6.5%を超えると、ワイヤ表面の外部酸化層のみなら
ず粒界酸化まで剥離して、めっき後の仕上げ伸線工程で
部分的にワイヤ表面の結晶粒がワイヤ表面から銅めっき
層を伴って剥がれ平面的な凹部が生じ、溶接時にコンジ
ットチューブ内で結晶粒の剥がれた平面的な凹部が大き
な抵抗となってアークを不安定にする。また、ワイヤ表
層部に富化された酸素も少なくなることから、溶接時に
スパッタの発生量も多くなる。
【0020】酸洗液の温度は7〜40℃とする。酸洗液
の温度が7℃未満であると、ワイヤ表面の外部酸化層を
剥離することができず、製品ワイヤでのめっきの密着性
が悪くなり、溶接時にコンジットチューブ内でめっきが
剥離し、長時間溶接するとコンジットチューブ内に蓄積
されてワイヤ送給抵抗が大きくなり、アークが不安定と
なる。逆に、酸洗液の温度が40℃を超えると、塩酸の
蒸発によって酸洗液濃度のコントロールが困難となると
ともに、ワイヤ表面の外部酸化層のみならず粒界酸化ま
で剥離して、めっき後の仕上げ伸線工程で部分的にワイ
ヤ表面の結晶粒がワイヤ表面から剥がれ平面的な凹部が
生じ、溶接時にコンジットチューブ内で大きな抵抗とな
ってアークを不安定にする。また、ワイヤ表層部に富化
された酸素も少なくなることから、溶接時にスパッタの
発生量も多くなる。
【0021】酸洗時間は25〜120秒間とする。酸洗
時間が25秒未満であると、ワイヤ表面の外部酸化層を
剥離することができず、製品ワイヤでのめっきの密着性
が悪くなり、溶接時にコンジットチューブ内でめっきが
剥離し、長時間溶接するとコンジットチューブ内に蓄積
されてワイヤ送給抵抗が大きくなり、アークが不安定と
なる。逆に、酸洗時間が120秒を超えると、酸洗層を
大きくするか、ループ状ワイヤの搬送速度を遅くする必
要があり、コスト高または作業能率が悪くなる。さら
に、ワイヤ表面の外部酸化層のみならず粒界酸化まで剥
離して、めっき後の仕上げ伸線工程で部分的にワイヤ表
面の結晶粒がワイヤ表面から剥がれ平面的な凹部が生
じ、溶接時にコンジットチューブ内で大きな抵抗となっ
てアークを不安定にする。また、ワイヤ表層部に富化さ
れた酸素も少なくなることから、溶接時にスパッタの発
生量も多くなる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0023】まず、ワイヤ原線はJIS Z3312
YGW11の5.5mm径を用いた。前記ワイヤ素線を
図2に示す製造工程で、まずワイヤ原線のスケール除去
工程で酸洗してスケールを除去して孔型ダイスを用い
て表1に示すワイヤ径まで一次伸線した。次いでコイ
ラーでワイヤをループ状にし、20%の炭酸カリウム
水溶液を塗布した後、窒素雰囲気中で表1に示す焼鈍条
件(保持時間および保持温度は均熱帯の条件を示す。)
で焼鈍した。焼鈍後表1に示す酸洗条件で外部酸化層
を酸洗して、銅めっきし、仕上げ伸線で表1に示
す製品径まで伸線して粒界酸化を起点として線状の亀裂
を付与した後、20kg巻のスプール巻ワイヤとした。
なお、巻き取る前に液体潤滑剤をワイヤ100g当たり
0.3〜1.0mg程度ワイヤ表面に塗布した。
【0024】
【表1】
【0025】ワイヤ送給性の調査は図4に示す装置で6
m長さのコンジットケーブル9を用い、図5に示すコン
ジットケーブル9をループ径D150mmを2回付し
て、表2に示す溶接条件でワイヤ各10kgを溶接し
た。
【0026】
【表2】
【0027】ワイヤ送給性は、ワイヤ送給モータの電機
子電流の測定により調べた。なお、電機子電流が3.5
Aを超えるとアーク長が変化してアークが不安定にな
る。
【0028】また、ワイヤ送給ローラ部でのワイヤスリ
ップは、ワイヤ送給ローラの周速(T)とワイヤ送給ロ
ーラ出口のワイヤ速度(W)を測定し、下記式でスリッ
プ率を算出して調べた。ワイヤのスリップ率は5%を超
えると、ワイヤ送り速度に緩急が生じてワイヤの送給む
らによってアークが不安定となる。
【0029】スリップ率=(T−W)/T×100
【0030】なお、スパッタ発生量は、前記ワイヤ送給
性の調査とは別に銅製の捕集箱を用いて、ワイヤ送給性
の調査と同一の溶接条件で3回溶接(1回の溶接時間
1.5min)して捕集したスパッタ量を1分間の発生
量に換算して測定した。スパッタ発生量は2g/min
以下がアークが安定して良好である。それらの結果を表
1にまとめて示す。
【0031】表1において、試験No.1〜6が本発明
例、試験No.9〜12が比較例である。
【0032】本発明例の試験No.1〜6は、酸洗液の
塩酸濃度、温度および酸洗時間が適正であったので、焼
鈍によって生成した粒界酸化を剥離することなくワイヤ
表面の外部酸化層のみを剥離することができた。したが
って、めっきの密着性が良好で、仕上げ伸線工程で結晶
粒が剥がれて平面的な凹部が生じることなく、線状の亀
裂を均一にワイヤ表面に生成することができ、亀裂部に
液状潤滑剤を保持させることができたので、長尺のコン
ジットケーブルを曲げて溶接しても、ワイヤ送給ローラ
部でのワイヤスリップ率が低く、コンジットチューブ内
での摩擦抵抗も少なくて電機子電流が低くアークが安定
しており、かつスパッタ発生量が少なく、極めて満足な
結果であった。
【0033】比較例中試験No.7は、酸洗液の塩酸濃
度が低く、試験No.9は、酸洗液の温度が低く、また
試験No.11は、酸洗時間が短いので、いずれも焼鈍
で生じたワイヤ表面の外部酸化層を剥離しきれず、めっ
き密着性が不良となった。したがって、溶接時にコンジ
ットチューブ内でめっきが剥離して、長時間溶接すると
送給抵抗が大きくなり、電機子電流が高くなってアーク
が不安定となった。
【0034】試験No.8は、酸洗液の塩酸濃度が高
く、試験No.10は、酸洗液の温度が高く、また試験
No.12は、酸洗時間が長いので、いずれも焼鈍で生
じた粒界酸化まで剥離して、仕上げ伸線時に部分的に結
晶粒が剥がれ平面的な凹部が生じた。したがって、溶接
時にコンジットチューブ内での摩擦抵抗が大きくなり、
電機子電流が高くなってアークが不安定となった。ま
た、ワイヤ表層部に富化された酸素も少なくなって、溶
接時にスパッタ発生量も多くなった。
【0035】なお、ワイヤ送給ローラ部でのスリップ率
は、いずれのワイヤもワイヤ表層部に線状の亀裂が生成
したのでスリップが少なく低値であった。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のガスシー
ルドアーク溶接用鋼ワイヤおよびその製造方法によれ
ば、溶接時に長尺のコンジットケーブルがS字あるいは
J字状に曲げられて使用される場合においても、ワイヤ
送給ローラでスリップが少なく、かつコンジットチュー
ブ内での摩擦抵抗の少ないなど、ワイヤ送給性が極めて
良好で、スパッタの発生が極めて少ないガスシールドア
ーク溶接用鋼ワイヤを高能率に生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は焼鈍後のワイヤの断面を示す模式図、
(b)は外部酸化層が酸洗で溶けた状態を示す模式図、
(c)は粒界酸化まで溶けた状態を示す模式図、(d)
は仕上げ伸線で結晶粒界が剥がれ平面的な凹部が生じた
状態を示す模式図である。
【図2】本発明のガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ製
造ラインの概要フロー図である。
【図3】従来のガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ製造
ラインの概要フロー図である。
【図4】ワイヤ送給の工程を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例に用いたコンジットケーブルの
ループ部を示す図である。
【符号の説明】
1 粒界酸化 2 外部酸化層 3 結晶粒 4 粒界酸化層 5 平面的な凹部 6 ワイヤ 7 平型加圧送給ローラ 8 V溝付き送給ローラ 9 コンジットケーブル 10 溶接トーチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 足立 忠美 山口県光市浅江四丁目2番1号 日鐵溶接 工業株式会社光工場内 (72)発明者 熊田 忠盛 山口県光市浅江四丁目2番1号 日鐵溶接 工業株式会社光工場内 Fターム(参考) 4K053 PA02 PA14 QA01 RA19 TA04 TA09 TA16 XA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤの製
    造方法において、熱延鋼線材を原線とし、該線材表面の
    脱スケール、一次伸線、非酸化性雰囲気で焼鈍した後、
    塩酸濃度を2.6〜6.5%、温度7〜40℃の酸洗液
    で35〜120秒間酸洗し、次いでめっき処理、仕上げ
    伸線加工を施すことを特徴とするガスシールドアーク溶
    接用鋼ワイヤの製造方法。
  2. 【請求項2】 焼鈍、酸洗およびめっき処理はワイヤを
    ループ状にして実施することを特徴とする請求項1記載
    のガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法。
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