JP2000261092A - 周波数安定化光源 - Google Patents
周波数安定化光源Info
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Abstract
な周波数安定化光源を提供する。 【解決手段】変調信号fによって変調されたレーザ光源
1からのレーザ光は、第1の分光手段11aによって光
吸収セル5に導かれて線形吸収分光され、その後に第1
の光検出器12aで光電変換されるとともに、第2の分
光手段11bによっても光吸収セル5に導かれて飽和吸
収分光され、その後に第2の光検出器12bで光電変換
される。第1及び第2の光検出器12a、12bからの
出力は、それぞれ第1及び第2の増幅器30a、30b
で増幅されて差動アンプ31へ入力される。その出力の
差信号は、第1の制御手段4aで変調信号の3倍波で同
期検波されるとともに、制御手段4bでも変調信号の1
倍波で同期検波される。同期検波出力の一方は、第1及
び第2の増幅器30a、30bのどちらかに帰還されて
ゲインを制御し、他方はレーザ制御器3に帰還されてレ
ーザ光源1の注入電流を制御する。
Description
特性を有するガスの吸収線を基準とした周波数安定化光
源に関し、特に、光周波数安定度が短期および長期に亘
って高安定な周波数安定化光源に関する。
を安定化させるには、特定波長の光吸収ピークを持つ原
子または分子を封入した光吸収セルを波長基準に用いる
方法、ファブリペロー共振器の光共振透過特性を波長基
準に用いる方法、原子をプラズマ状態にして励起準位間
遷移による光吸収ピークを波長基準とする方法等があ
る。これらの方式のうち、原子または分子を封入した光
吸収セルによる安定化方式が最も波長安定度が高く、シ
ステム化も容易である。
形吸収分光を用いるものと、飽和吸収分光を用いるもの
とがあるが、まず線形吸収分光法について、図4を用い
て説明する。レーザ光源1から出射されたレーザ光の光
路をビームスプリッタ42で分岐し、光吸収ピークを持
つ原子または分子の試料を封入した光吸収セル5にレー
ザ光を入射し、光吸収セル5の透過光を光検出器14で
受光するような分光系を構築する。光検出器14の出力
は、増幅器33を介してレコーダ50の縦軸(図中Y)
へ入力する。レーザ制御器3は、レーザ光源1への注入
電流の制御を行う。レーザ制御器3にて注入電流を変化
させることによってレーザ光の出力波長をスイープし、
そのスイープ信号をレコーダ50の横軸(図中X)へ入
力すると、図5に示すような線形吸収スペクトルが観測
される。例として、光吸収セルに封入する試料とレーザ
の出力波長の関係を挙げると、ルビジウムでは780n
m付近、セシウムでは852nm付近、アセチレンでは
1530nm付近でこの現象が確認できる。
光吸収ピークにレーザ光源1の出力波長を安定化させる
には、レーザ光の波長もしくはガスの吸収スペクトルに
変調信号を加え、光吸収セル5を透過したレーザ光に含
まれるこの変調信号のレベルを検出する。そして、光吸
収ピークにおける変調信号のレベルを基準にしてレーザ
光の波長が光吸収ピークからずれたときのレベルを検出
し、それを誤差信号として位相同期ループにより出力波
長を制御する。変調を行う方法として、レーザ光源1へ
の注入電流に変調信号を重畳し、レーザ光の出力波長を
変調する方法を図6に、音響光学変調器22によりレー
ザ光源1から出射されたレーザ光自体に変調を行う方法
を図7に、試料が磁気双極子を有する場合には磁場発生
装置21によって光吸収セル5に変調磁場を加えて吸収
スペクトル自体に変調をかけるゼーマン変調方法を図8
にそれぞれ示す。図9は、レーザ光に変調信号が重畳さ
れている場合に吸収スペクトルから得られる誤差信号を
示す。レーザ光の出力波長が光吸収ピークと一致してい
る場合の誤差信号は、主に変調信号の2倍の周波数成分
となり、ほぼゼロである。
差信号に電気的な帰還を行うには、誤差信号に含まれる
変調信号の1次成分を同期検波する方式(以下、1次微
分方式と記す。)と、3次成分を同期検波する方式(以
下、3次微分方式と記す。)がある。この2つの方式の
相違を明確に説明するため、図10に示すような吸収ス
ペクトルについてシミュレーションを行った。条件とし
て、吸収スペクトルのプロファイルはローレンツ形と
し、その吸収スペクトル幅は5MHz、レーザ光の発振
線幅は0.1(図10中a)、8(同図b)、10(同
図c)、12(同図d)MHzとした。さらに、吸収ス
ペクトルに傾斜を持たせ(以下、この吸収スペクトルの
傾斜をバックグランドと記す。)、その傾斜量を1/3
00[1/MHz]とした。1次微分方式により、この
吸収スペクトルで得られる微分カーブを図11に示す。
図11の中心部分を拡大したのが図12である。図12
中aの場合は、0.2MHz付近で同期検波出力がゼロ
となるが、図12中cの場合では0.5MHz付近で同
期検波出力がゼロとなってしまう。このことから、レー
ザ光の発振線幅が変わると、その安定化すべきレーザ光
の出力波長がずれてしまう。さらに、バックグランド傾
斜が変化した場合には、レーザ光の発振線幅が一定でも
誤差信号のゼロ点が変化してしまう。図12中a’はレ
ーザ光の発振線幅が同じでバックグランドの傾斜量を1
/100[1/MHz]とした場合を示す。次に、3次
微分方式により、吸収スペクトルから得られる微分カー
ブを図13に示す。図13の中心部分を拡大したのが図
14である。図14中の全ての場合から明らかなよう
に、レーザ光の発振線幅が違っても光波長が0MHzで
得られる誤差信号はゼロ点に一致し、レーザ光の出力波
長が高安定化できる。さらに、バックグランド傾斜が変
化した際にも、誤差信号のゼロ点は変化しない。
の周波数安定化光源を図15に示す。分光系に関しては
図4と同じである。レーザ光源1からの出力波長を1次
微分方式で安定化させたい場合は、変調信号発生器2か
ら出力された変調信号fをレーザ光源1に加わる注入電
流に加算器38を介して重畳し、同じく変調信号fを制
御手段34に入力する。制御手段34は、増幅器33か
らの出力信号に含まれた変調信号fの1次成分を変調信
号fで同期検波し、その同期検波出力がゼロとなるよう
レーザ制御器3へ帰還を行う。このことにより、レーザ
光源1から出力されるレーザ光の出力波長を安定化でき
る。しかし、前述のシミュレーションで示したように、
レーザ光の発振線幅またはバックグランドが変化した場
合は、レーザ光源1からの出力波長は変化してしまう。
3次微分方式で安定化させたい場合は、変調信号発生器
2から出力された変調信号fをレーザ光源1に加わる注
入電流に加算器38を介して重畳し、変調信号発生器2
から出力された変調信号fの3倍波を制御手段34へ入
力する。制御手段34は、増幅器33からの出力信号に
含まれた変調信号fの3次成分を変調信号fの3倍波3
fで同期検波し、その同期検波出力がゼロとなるようレ
ーザ制御器3へ帰還を行う。しかし、3次微分方式では
出力信号に含まれた変調信号fの3次成分は、1次微分
方式における出力信号に含まれた変調信号fの1次成分
と比較し、その信号強度が極端に小さいために安定化時
におけるS/Nも小さくなり、したがって短期安定度は
1次微分方式より劣ってしまう。
とを併用した先行技術として、注入電流変調方式による
レーザの波長安定化がなされた実開平6−38271
“周波数安定化半導体レーザ光源”が出願されている。
図16を用いて概略を説明すると、レーザ光源1から出
力された光を光分岐手段46により、安定化出力光、光
吸収セル5への入射光および光検出器15への入射光の
3つに分岐する。光吸収セル5を透過した光は光検出器
14で受光し、光電変換される。光検出器14、15の
出力はそれぞれ増幅器33、32で増幅されるが、増幅
器32は外部からの制御信号により、その利得が可変で
ある。2つの増幅器から出力されたそれぞれの信号は減
算器39へ入力されて減算される。そして、その出力は
変調信号発生器2からの変調信号の1倍波および3倍波
で同期検波するために、同期検波回路36、37へ入力
される。ここで、一方の同期検波回路36からの出力
は、レーザ光源1の注入電流を制御している制御回路3
5aへ入力される。その結果、1次微分方式によって、
同期検波回路36の出力がゼロ点へ一致するように帰還
制御され、レーザ光源1の出力周波数が安定化される。
また、他方の同期検波回路37からの出力は、増幅器3
2の利得を制御している制御回路35bへ入力される。
そして、3次微分方式によって、同期検波回路37の出
力がゼロ点へ一致するように帰還制御される。これらの
構成において、レーザ光源1の波長を変調するため注入
電流に変調を行った時に生じる振幅変調成分により、1
次微分方式による同期検波出力がゼロとなる波長と本来
の吸収スペクトル中心波長との間で生じたずれを、3次
微分方式で補正することができる。
吸収分光法について、図17を用いて説明する。この方
式は、前述の線形吸収分光法による出力波長の短期安定
度をさらに向上させるものである。レーザ光源1から出
射されたレーザ光の光路をビームスプリッタ42で分岐
し、一方の分岐光は光吸収セル5を透過し光検出器14
に入射される。もう一方の分岐光はビームスプリッタ4
3、ミラー45、ビームスプリッタ44を介して光吸収
セル5へ入射される。この入射光とビームスプリッタ4
2で分岐された前記一方の分岐光とは、光吸収セル5の
中において、進行方向は互いに反対向きで、かつ、ほぼ
重なり合うようにする。この場合、上記入射光および分
岐光のどちらか一方のレーザ光で分子の吸収が飽和状態
となると、他方のレーザ光(この場合プローブ光とな
る)による光の吸収量が減少する。このプローブ光にも
たらされる飽和吸収特性を光検出器14で光電変換によ
り検出し、その出力を増幅器33を介してレコーダ50
の縦軸へ入力する。レーザ制御器3にてレーザ光源1の
注入電流を変化させることによってレーザ光の出力波長
をスイープして、そのスイープ信号をレコーダ50の横
軸へ入力すると、図18に示すように線形吸収成分を含
んだ飽和吸収スペクトルが観測される。例えば試料がセ
シウムの場合は、6本の飽和吸収スペクトルが観測で
き、一つの飽和吸収スペクトルの半値全幅は線形吸収ス
ペクトルの半値全幅の約1/100である。このため
に、レーザ光の出力波長を制御する際、飽和吸収スペク
トルを用いるとS/Nが向上し安定度が大幅に改善され
る。しかし、飽和吸収スペクトルが線形吸収スペクトル
のバックグランドに掛かっているため、系の不安定性な
どによるこのバックグランドの変化により、レーザ光の
出力波長を飽和吸収スペクトルの一つに安定化する際に
は、長期的な安定性に欠ける。
なレーザ光の出力波長を得るために、飽和吸収スペクト
ルから線形吸収成分を取り除くことでバックグランドを
減らし、飽和吸収スペクトルのみを抜き出す方法が一般
的に知られている。図19において、レーザ光源1から
出射され、ビームスプリッタ41および光吸収セル5で
構成される分光系を経由して光検出器12aで受光され
るレーザ光は、図4で説明したように線形吸収スペクト
ルとして検出される。また、同時に、ビームスプリッタ
41、光吸収セル5、ビームスプリッタ43、ミラー4
5およびビームスプリッタ44で構成される分光系を経
由して光検出器12bで受光されるレーザ光は、図17
で説明したように線形吸収成分を含んだ飽和吸収スペク
トルとして検出される。線形吸収スペクトルを内包する
レーザ光を光検出器12aで受光し増幅器30aで増幅
した出力と、線形吸収成分を含んだ飽和吸収スペクトル
を内包するレーザ光を光検出器12bで受光し増幅器3
0bで増幅した出力とを差動アンプ31に入力し、差動
アンプ31からの出力をレコーダ50の縦軸に入力す
る。そこで、レーザ制御器3にてレーザ光源1の注入電
流を変化させることによってレーザ光の出力波長をスイ
ープすると、図20に示すような線形吸収成分を取り除
いた飽和吸収スペクトルが観測される。実際には、でき
るだけ飽和吸収スペクトルのバックグランドを小さくす
るために線形吸収スペクトルと、線形吸収成分を含んだ
飽和吸収スペクトルとのどちらか一方の増幅器のゲイン
を調整している。図19では例として増幅器30aのゲ
インをゲイン調整ボリューム40で調整している。
レーザ光の出力波長をガスの光吸収スペクトルの中心に
安定化できることは一般的に知られているが、3次微分
方式では出力信号に含まれた変調信号fの3次成分が、
1次微分方式における出力信号に含まれた変調信号fの
1次成分と比較して、その信号が極端に小さいために安
定化時のS/Nが劣化する。図21は、アラン分散を安
定度尺度に用いたレーザ光の周波数安定度を示す。測定
には、図19の分光系を用いて、それぞれ違う飽和吸収
スペクトルに安定化した2つのレーザ光のビート信号を
カウンタで測定した。図21のL1は1次微分方式によ
る安定化を行った場合の周波数安定度、同図L3は3次
微分方式による安定化を行った場合の周波数安定度であ
る。1次微分方式で安定化を行った方がS/Nが大きい
ため短期安定度が優れているが、光吸収セルを含めた分
光系の経時変化による吸収スペクトルのバックグランド
の変化、レーザ光の発振線幅の変動等により、長期安定
度が劣化してしまう。また3次微分方式では、長期的な
安定度は優れているがS/Nが小さいため、短期安定度
は劣化する。
源は、位相同期ループを用いて光吸収セルの飽和吸収ピ
ークへ出力波長を安定化させる際に、光吸収セルの線形
吸収スペクトルと線形吸収成分が含まれた飽和吸収スペ
クトルとをそれぞれ光検出器で検出し、両者を差動アン
プにて差し引くことにより、ほぼ飽和吸収のみによるス
ペクトルを抜き出す。その飽和吸収スペクトルから得ら
れる誤差信号に含まれたS/Nの良い1次成分を同期検
波し、その出力をもとにレーザ光の出力波長をスペクト
ル中の特定の飽和吸収ピークの波長へ安定化する。さら
に、上記スペクトルから得られる誤差信号に含まれた3
次成分を同期検波し、その出力値をもとに線形吸収スペ
クトルと線形吸収成分が含まれた飽和吸収スペクトルと
を差し引く際の増幅器のゲインバランスを制御し、レー
ザ光の出力波長を1次のみならず3次の同期検波出力に
対しても安定化する。
S/Nの良い1次微分方式で安定化されているため短期
安定性に優れ、3次微分方式によるゆっくりした系の経
時変化の補正も可能となるため、短期および長期に亘っ
て周波数安定度が優れた周波数安定化光源を提供でき
る。また、従来必要であったゲインバランスの調整箇所
に3次微分方式による電気的帰還を行うため構成が複雑
化することがない。また、その際3次微分の値により、
線形吸収スペクトルと線形吸収成分が含まれた飽和吸収
スペクトルとで差し引きを行い、その差でゲインバラン
スの制御を行うが、相似性のある形状同士を差し引いて
いるため、帰還の際のループゲインが少なくてすみ、帰
還回路の不安定性によりレーザ光の出力波長の安定性を
悪くする恐れがない。さらに、図6、図7または図8で
示すような、いろいろな変調方式が採用でき、構成に柔
軟性がある。
図1を用いて説明する。図1は本発明の周波数安定化光
源の構成図である。光源装置10内のレーザ光源1はそ
の出力波長を、レーザ制御器3から供給される注入電流
によって制御されている。また、実線矢印で示すように
レーザ光源1への注入電流に変調信号を重畳するため
に、光源装置10内の変調信号発生器2より変調信号f
が加わっている。なお、破線矢印は、変調信号fを音響
光学変調器22に供給して、レーザ光に変調をかける構
成を示しているが、これについては後述する。光源装置
10から出力されたレーザ光は、第1の分光手段11a
によって光吸収セル5に導かれて線形吸収分光される。
光吸収セル5にはレーザ光を吸収する試料が封入されて
いる。この線形吸収分光されたレーザ光は、第1の光検
出器12aで受領され電気信号に変換される。また、光
源装置10から出力されたレーザ光は、第2の分光手段
11bによっても光吸収セル5に導かれて飽和吸収分光
される。この飽和吸収分光されたレーザ光は第2の光検
出器12bで受領され電気信号に変換される。なお、第
1の分光手段11aは、前述の線形吸収分光法の説明に
おける図4のビームスプリッタ42で構成される光路に
相当するものである。また、第2の分光手段11bは、
前述の飽和吸収分光法の説明における図17のビームス
プリッタ42、43、44およびミラー45で構成され
る光路に相当するものである。
出器12a、12bで光電変換されて出力された電気信
号は、それぞれ第1の増幅器30a、第2の増幅器30
bで増幅された後に差動アンプ31へ入力され、線形吸
収スペクトルを有する電気信号と線形吸収成分が含まれ
た飽和吸収スペクトルを有する電気信号との差し引きが
行われ、その差の信号が出力される。なお、第1の増幅
器30a、第2の増幅器30bのうち少なくともどちら
か一方は、外部制御信号によりそのゲインが変えられ
る。差動アンプ31の出力信号は、第1の制御手段4a
および第2の制御手段4bに入力される。また、第1の
制御手段4aには変調信号発生器2から出力された変調
信号fの3倍波が入力され、第2の制御手段4bには変
調信号発生器2から出力された変調信号fの1倍波が入
力されている。第1の制御手段4aは、差動アンプ31
の出力信号の3次成分を変調信号fの3倍波で同期検波
して、その出力値がゼロとなるように第1の増幅器30
aおよび第2の増幅器30bのうち少なくともどちらか
一方へ帰還し、そのゲインを変えて制御する。第2の制
御手段4bは、差動アンプ31の出力信号の1次成分を
変調信号fの1倍波で同期検波して、その出力値が一定
になるようにレーザ制御器3に帰還し、レーザ光源1へ
の注入電流を可変することにより、レーザ光の出力波長
を制御する。また、第1の制御手段4aによる帰還ルー
プの時定数を、第2の制御手段4bによる帰還ループの
S/Nを低下させない程度に長く調整することにより、
1次微分方式および3次微分方式による周波数安定化の
最良点が決定できる。
分方式と同時に、長期的な経時変化の影響による変化が
小さい3次微分方式によりレーザ光源1の出力波長を安
定化できることから、短期および長期に亘って周波数安
定性が向上する。また、1次微分方式および3次微分方
式の帰還ループがそれぞれ独立して別個に構成されるた
め、帰還ループの時定数およびループゲインもそれぞれ
別々に調整可能である。さらに、3次微分方式の帰還
は、前述の図19に示したように、もともと必要であっ
た増幅器のゲイン調整箇所と同一であるため、新たに調
整箇所を設ける必要が無く、構成が簡素である。
ために、変調信号発生器2から出力された変調信号fを
レーザ光源1に供給される注入電流に重畳するようにし
たが、レーザ光源1から出力された後のレーザ光自体に
変調をかけるようにしてもよい。この場合、図1の光源
装置10内の破線矢印に示すように、変調信号発生器2
から出力された変調信号fを音響光学変調器22に加え
ることにより実現される。また図示していないが、光出
力を無変調にしたい場合の構成としては、音響光学変調
器22を第1の分光手段11aおよび第2の分光手段1
1b内に配置し、光吸収セル5へ入射するレーザ光に変
調をかけるようにすればよい。
いて説明する。光吸収セル5に封入する試料が磁気双極
子を有している場合には、光吸収セル5に磁場をかけ
て、その磁場発生のための励磁電流に変調信号を重畳
し、吸収スペクトル自体に変調を行うゼーマン変調が可
能である。なお、図2において、変調信号発生器2から
出力された変調信号fを用いて、光吸収セル5を透過す
るレーザ光に変調をかけるための手段を除いては、第1
の実施形態と同じである。すなわち、ゼーマン変調装置
20内の変調信号発生器2から出力された変調信号fは
磁場発生装置21に加わっている。磁場発生装置21は
光吸収セル5に対して、変調信号fが重畳した変調磁場
を与えている。これらの構成により、レーザ光源1から
出力されたレーザ光は無変調であるが、第1の分光手段
11aと光吸収セル5、および第2の分光手段11bと
光吸収セル5をそれぞれ透過して、第1の光検出器12
aおよび第2の光検出器12bでそれぞれ受光したレー
ザ光は、変調信号fが重畳されているため、同期検波が
可能である。
(a)を用いて説明する。図3(a)において、光吸収
セル5と第1の光検出器12aとの間、および第2の分
光手段11bと第2の光検出器12bとの間のうち、少
なくともどちらか一方に光量調整手段13を配置する。
光量調整手段13は、例えば光減衰器で構成されてお
り、外部制御信号により透過する光の強度を調整可能と
している。第1の制御手段4aは、差動アンプ31の出
力信号の3次成分を変調信号fの3倍波で同期検波し
て、その出力値がゼロとなるよう光量調整手段13へ制
御信号を出力し、この制御信号に基づき光量調整手段1
3は透過光量調整を行う。第1の実施形態との違いを明
確に表すと、第1の実施形態では光を電気信号に変換し
た後で3次成分による補正を行っているが、第3の実施
形態では光を電気信号に変換する前で3次成分による補
正を行い、第1の実施形態と同様の効果を得ることがで
きる。図3(b)は、第3の実施形態を図2で説明した
第2の実施形態のゼーマン変調方式に適用した場合を示
している。
短期および長期に亘って周波数安定度が優れた光出力を
得ることができる。図21のL13は、本発明の実施例
による周波数安定化光源の安定度特性を示す。1次微分
方式によって安定化した場合に得られる安定度L1と、
3次微分方式によって安定化した場合に得られるL3に
比べて、全平均化時間領域において安定な特性が得られ
た。また、3次微分方式による補正は、相似性のある線
形吸収スペクトルと線形吸収成分が含まれている飽和吸
収スペクトルとで差し引きを行い、その差でゲインバラ
ンスの制御を行っているため、帰還の際のループゲイン
が少なくてすみ、帰還回路の不安定性によりレーザ光の
出力波長の安定性を悪くする恐れがない。また、1次微
分方式および3次微分方式の帰還ループがそれぞれ独立
して別個に構成されるため、帰還ループの時定数とルー
プゲインとを別個に設定でき、それぞれについて最適調
整が可能である。さらに、同期検波を行うための変調信
号は、レーザ光源に供給される注入電流、レーザ光源か
ら出力された後のレーザ光あるいは光吸収セルへの磁場
のうち、いずれかに重畳するようにすればよいことか
ら、構成に柔軟性がある。
あり、(a)は本発明の第3の実施形態を示す構成図、
(b)はゼーマン変調方式に適用した実施形態を示す構
成図である。
る。
ある。
である。
行った結果を示す図である。
る。
の拡大図である。
る。
の拡大図である。
波数安定化光源の構成図である。
る。
示す図である。
ら線形吸収スペクトルを差し引くための構成図である。
定度を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 レーザ光源(1)および該レーザ光源か
らのレーザ光を変調する変調信号を出力する変調信号発
生器(2)を含み変調されたレーザ光を出力する光源装
置(10)と、前記レーザ光源から出力されるレーザ光
の波長を制御するレーザ制御器(3)と、特定の光波長
で光吸収特性を示すガスを封入した光吸収セル(5)
と、前記変調されたレーザ光を前記光吸収セル中に導い
て線形吸収を生じさせる第1の分光手段(11a)と、
前記変調されたレーザ光を前記光吸収セル中に導いて飽
和吸収を生じさせる第2の分光手段(11b)と、前記
線形吸収を受けた光を受領して電気信号に変換する第1
の光検出器(12a)と、前記飽和吸収を受けた光を受
領して電気信号に変換する第2の光検出器(12b)
と、前記第1の光検出器の信号を増幅する第1の増幅器
(30a)と、前記第2の光検出器の信号を増幅する第
2の増幅器(30b)と、前記第1の増幅器と前記第2
の増幅器からの出力を受ける差動アンプ(31)と、前
記差動アンプの出力の3次成分を前記変調信号発生器か
ら出力された前記変調信号の3倍波で同期検波してその
値を前記第1の増幅器および前記第2の増幅器のうち少
なくとも一方のゲインを制御するために帰還する第1の
制御手段(4a)と、前記差動アンプの出力の1次成分
を前記変調信号発生器から出力された前記変調信号の1
倍波で同期検波してその値を前記レーザ制御器に帰還す
る第2の制御手段(4b)とを含む周波数安定化光源。 - 【請求項2】 レーザ光源(1)と、前記レーザ光源か
ら出力されるレーザ光の波長を制御するレーザ制御器
(3)と、特定の光波長で光吸収特性を示すガスを封入
した光吸収セル(5)と、該光吸収セルに磁場を与える
ための磁場発生装置(21)および該磁場発生装置に変
調信号を出力する変調信号発生器(2)を含み前記光吸
収セルに変調された磁場を与えてゼーマン変調を生じさ
せるゼーマン変調装置(20)と、前記レーザ光を前記
光吸収セル中に導いて線形吸収を生じさせる第1の分光
手段(11a)と、前記レーザ光を前記光吸収セル中に
導いて飽和吸収を生じさせる第2の分光手段(11b)
と、前記線形吸収を受けた光を受領して電気信号に変換
する第1の光検出器(12a)と、前記飽和吸収を受け
た光を受領して電気信号に変換する第2の光検出器(1
2b)と、前記第1の光検出器の信号を増幅する第1の
増幅器(30a)と、前記第2の光検出器の信号を増幅
する第2の増幅器(30b)と、前記第1の増幅器と前
記第2の増幅器からの出力を受ける差動アンプ(31)
と、前記差動アンプの出力の3次成分を前記変調信号発
生器から出力された前記変調信号の3倍波で同期検波し
てその値を前記第1の増幅器および前記第2の増幅器の
うち少なくとも一方のゲインを制御するために帰還する
第1の制御手段(4a)と、前記差動アンプの出力の1
次成分を前記変調信号発生器から出力された前記変調信
号の1倍波で同期検波してその値を前記レーザ制御器に
帰還する第2の制御手段(4b)とを含む周波数安定化
光源。 - 【請求項3】 前記第1の分光手段と前記第1の光検出
器との間および前記第2の分光手段と前記第2の光検出
器との間のうち少なくともどちらか一方に配置されてい
て、光の強度を制御するための光量調整手段(13)を
含み、該光量調整手段へ前記第1の制御手段の出力を帰
還して光の強度を制御する請求項1または請求項2記載
の周波数安定化光源。
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