JP2000258252A - 赤外線撮像装置 - Google Patents

赤外線撮像装置

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JP2000258252A
JP2000258252A JP11064759A JP6475999A JP2000258252A JP 2000258252 A JP2000258252 A JP 2000258252A JP 11064759 A JP11064759 A JP 11064759A JP 6475999 A JP6475999 A JP 6475999A JP 2000258252 A JP2000258252 A JP 2000258252A
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澄広 内田
Tsutomu Maruyama
努 丸山
Akira Tarukawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水平スキャナの大きさと質量を縮減し、赤外
線画像の表示信頼度が向上する赤外線撮像装置を提供す
る。 【解決手段】 赤外線画像の視野の範囲に赤外線検知素
子の幅を加えた領域を有効走査領域とし、該有効走査領
域の外側を無効走査領域として、該有効走査領域と該無
効走査領域の境界に、該温度基準熱源が放射する赤外線
を反射させる反射ミラーの有効走査領域に対して内側の
縁を設置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線撮像装置に
係り、特に、光学系中のアフォーカル第一結像面におけ
る赤外線検知素子の投影像の温度変動による大きさの変
動、光学系内に設けられる水平走査ミラーを走査する水
平スキャナの温度変動を考慮した走査角の縮減、及び、
測定対象物体が放射する赤外線の取り込みを行なわない
無効走査領域の縮減によって水平スキャナを小型化し、
又、基準温度熱源が放射する赤外線を光学系に導入する
反射ミラーの調整機構を簡易化し、温度基準熱源を小型
化することによって実現される小型の赤外線撮像装置に
関する。
【0002】赤外線撮像装置は、物体がその温度と一義
的な関係を持って放射する赤外線を検知して、検知した
赤外線の強度に応じた輝度表示又は色表示を行なう。つ
まり、上記輝度表示又は色表示によって当該物体の表面
の温度分布を測定する装置である。そして、最大の特徴
は測定対象の物体に直接触れずに温度を測定できるとい
う点にある。
【0003】この非接触で温度測定できるという特徴を
生かして、ビル管理システム等において火災検知装置と
して適用されることも多く、又、化学プラントや原子炉
のように人が近づくことが困難か、入ること自体が危険
な箇所の温度測定には不可欠となっており、その用途は
拡大の一途を辿っている。
【0004】広がりつつある用途の中で、特に医療分野
のように人体の疾患を発見したり、スポーツ医学分野の
ように身体の生理的或いは物理的な変化を検出するため
に使われる場合には、非常に高い精度と確度での温度測
定が要求される。
【0005】かくの如く、近年、赤外線撮像装置には高
精細化の要求が強くなっている。
【0006】又、セキュリティ管理や警備、防衛のため
に使われる場合にも、非常に高い精度が要求されると同
時に誤認がないことが極めて重要であり、加えて、セキ
ュリティ管理や警備、防衛のためのアクションを短時間
で確実に行なうことができる必要がある。
【0007】このため、視野角の拡大及び表示の高速化
に対する要求も強くなっており、同時に装置の小型化も
急務となっている。
【0008】特に、視野角を拡大するには水平スキャナ
の走査角を広げることが必要になるが、走査角の増加の
ためには水平スキャナの駆動力を増加する必要があるた
めに、視野角の拡大と装置の小型化は相矛盾する要求で
ある。又、視野角を拡大した上で表示を高速化するため
には水平スキャナの走査を高速化する必要があるが、走
査の高速化のためにも水平スキャナの駆動力を増加する
必要があるために、走査の高速化と装置の小型化も相矛
盾する要求である。
【0009】本発明は、このように相矛盾する厳しい要
請に応える小型の赤外線撮像装置に関するものである。
【0010】
【従来の技術】図11は、従来の赤外線撮像装置の構成
で、従来の赤外線撮像装置の機能を示す目的で主要な構
成要素を、機構的な物は模式的に、電気的な物はブロッ
ク図で図示したものである。
【0011】図11において、1は赤外線検知器、2a
はイメージ・レンズ系、3aは水平スキャナ、4b及び
4cは温度基準熱源、5aはアフォーカル・レンズ系、
6aは熱源導入光学系、7は画像処理系、8は熱源温度
制御系である。
【0012】該赤外線検知器1は、主として、水銀・カ
ドミウム・テルル(HgCdTe)によって代表される
赤外線検知素子11、循環冷却器やジュール・トムソン
冷却器などの冷却器12、真空容器13、該真空容器1
3に設けられたゲルマニウム(Ge)などによる赤外線
を透過する窓14によって構成される。
【0013】尚、赤外線検知素子11を冷却器12を備
えた真空容器13中に設置して80K(Kは絶対零度を
基準とする温度の単位で、英国のケルビン卿に因んで
“ケルビン”と呼ばれる。温度の単位であるが、“°”
は付けずに標記する。)程度の極低温で赤外線検知素子
を動作させるが、これは、赤外線が照射されていない状
態で赤外線検知素子が生成する電気信号(これを暗電流
と呼ぶ。)を抑圧して、赤外線検知素子が赤外線を受け
て生成する電気信号の信号対雑音比を向上させるためで
ある。
【0014】該イメージ・レンズ系2aについては、イ
メージ・レンズ系第三レンズ26のみを図示している。
【0015】該水平スキャナ3については、水平走査ミ
ラー31、水平スキャナ制御用角度検出器32及び光学
式角度検出器34aを図示している。
【0016】該温度基準熱源4b及び4cは、主とし
て、ペルチエ素子によるサーモ・モジュール41、該サ
ーモ・モジュール41によって温度を制御される温度基
準板42、該サーモ・モジュール41が吸熱する熱量と
発熱する熱量の和の熱量の放熱効率を高めるために設け
られる放熱フィン43、該放熱フィン43から効率よく
放熱させるために設けられるファン44によって構成さ
れる。
【0017】該アフォーカル・レンズ系5aについて
は、対物レンズ・ユニット51とリレー・レンズ系第二
レンズ522のみを図示している。
【0018】該熱源導入光学系6aについては、熱源導
入レンズ系61と反射ミラー62を図示している。
【0019】該画像処理系7aは、該赤外線検知器1が
検出した赤外線強度に応じて出力する電気信号を増幅す
る増幅器71、該増幅器71の出力を受けて該水平スキ
ャナ制御用角度検出器32及び該光学式角度検出器34
の出力を参照して信号処理する信号処理回路72a、該
信号処理回路が出力する画像信号に対して表示のための
処理を加える画像処理回路73及び画像を表示する陰極
線管や液晶ディスプレイなどによるモニタ74によって
構成される。
【0020】該熱源温度制御系8は、高温側の温度基準
板の温度を算出して対応する電圧を出力する高温側指令
電圧生成回路81、低温側の温度基準板の温度を算出し
て対応する電圧を出力する低温側指令電圧生成回路81
a、該信号処理回路72で検出した高温側温度基準板の
温度を対応する電圧に変換する高温側検出電圧生成回路
82、該信号処理回路72aで検出した低温側温度基準
板の温度を対応する電圧に変換する低温側検出電圧生成
回路82a、該高温側指令電圧生成回路81の出力から
該高温側検出電圧生成回路82の出力を減算する加算回
路83、該低温側指令電圧生成回路81aの出力から該
低温側検出電圧生成回路82aの出力を減算する加算回
路83a、該加算回路83の出力を電力増幅する電力増
幅器84、該加算回路83aの出力を電力増幅する電力
増幅器84aによって構成される。 図11の構成は、
概ね下記のように動作して測定対象物体が放射する赤外
線を画像化して表示する。
【0021】まず、被測定物体が放射する赤外線は対物
レンズ・ユニット51を経由してアフォーカル・レンズ
系5aに導かれてアフォーカル第一結像面aに結像され
る。この、被測定物体が放射する赤外線がアフォーカル
第一結像面aに結像される範囲が有効走査領域b(これ
については、後で図14乃至図16によって詳細に説明
する。)である。
【0022】アフォーカル第一結像面a上に結像された
赤外線は、リレー・レンズ・ユニット第二レンズ522
を経由して水平走査ミラー31に導かれて反射され、イ
メージ・レンズ系2aを経由して赤外線検知器1に導か
れ、赤外線検知素子11上に結像される。
【0023】赤外線検知素子11によって生成された電
気信号は増幅器71を経由して信号処理回路72aに導
かれ、赤外線検知素子毎のばらつきを補正された後画像
処理回路73において水平走査ミラー31での走査によ
って形成された2次元画像からモニタ74での走査方式
に合致する2次元画像に変換され、最後に該モニタ74
において表示される。
【0024】一方、温度基準板42が放射する赤外線は
熱源導入光学系6aを経由してアフォーカル第一結像面
上aの無効走査領域c(これについては、後で図14乃
至図16によって詳細に説明する。)からアフォーカル
・レンズ系5aに導入され、水平走査ミラー31によっ
て反射されてイメージ・レンズ系2aに導かれて、被測
定物が放射する赤外線を計測していない時に赤外線検知
器1の赤外線検知素子11上に結像される。
【0025】赤外線検知素子11によって生成された電
気信号は増幅器71に導かれて増幅され、信号処理回路
72aにおいて赤外線検知素子毎のばらつきを補正さ
れ、以降は測定対象物体が放射する赤外線画像と同様に
処理されてモニタ74に表示される。
【0026】さて、測定対象の物体が放射する赤外線量
に対応する電気信号から、信号処理回路72はシーン温
度平均値を算出し、該シーン温度平均値を基準に2つの
温度基準板に設定する温度を算出する。
【0027】こうして算出された高温側の温度基準板の
温度と低温側の温度基準板の温度情報は、それぞれ、高
温側指令電圧生成回路81と低温側指令電圧生成回路8
1aに供給され、温度基準板に設定する温度に対応する
電圧が生成される。
【0028】又、該信号処理回路72aは、温度基準板
が放射する赤外線強度によって温度基準板の温度を無効
走査領域において計測する。こうして計測された高温側
の温度基準板の温度と低温側の温度基準板の温度は、そ
れぞれ、高温側検出電圧生成回路82と低温側検出電圧
生成回路82aに供給され、検出温度に対応する電圧が
生成される。
【0029】該高温側指令電圧生成回路81の出力電圧
と該高温側検出電圧生成回路82の出力電圧の差を該加
算回路83によって求めて、電力増幅器84を介して高
温側の温度基準板の温度を制御するサーモ・モジュール
に温度制御信号として供給する。同様に、該高温側指令
電圧生成回路81aの出力電圧と該高温側検出電圧生成
回路82aの出力電圧の差を該加算回路83aによって
求めて、電力増幅器84aを介して低温側の温度基準板
の温度を制御するサーモ・モジュールに温度制御信号と
して供給する。即ち、該熱源温度制御系8は負帰還によ
って温度基準板の温度を制御している。
【0030】又、水平スキャナ制御用角度検出器32及
び光学式角度検出器34aが走査角を検出して出力する
パルスを信号処理回路72に供給して、画像処理及び表
示の基準信号とする。
【0031】ここまでにおいて従来の赤外線撮像装置の
構成と大まかな動作を説明した。以下においては、図1
1に示した従来の赤外線撮像装置の構成の主要構成要素
について詳細に説明する。
【0032】図12は、1次元赤外線検知素子の代表的
な素子配列を示す図である。
【0033】図12に示しているものが図11における
赤外線検知素子11であり、基板111の上に複数の単
位赤外線検知素子112が水平走査方向に対して垂直に
整列配置されている。そして、図12においては、奇数
番目の単位赤外線検知素子(図では奇数領域と標記して
いる。)と偶数番目の単位赤外線検知素子(図では偶数
領域と標記している。)が異なる位置に整列している例
を示している。尚、図12においては基板111上の配
線パターン及び赤外線検知素子から外部に引き出す配線
などは図示を省略している。
【0034】さて、赤外線検知素子はシリコン(Si)
のような単結晶半導体ではなく、水銀(Hg)、カドミ
ウム(Cd)及びテルル(Te)の混合融液から析出し
て形成されるHgCdTe合金の平板から切り出して得
る素子である。従って、HgCdTe合金の平板の組成
は、析出したHgCdTe合金の平板と混合融液との接
触界面における水銀、カドミウム及びテルルの組成によ
って決まるが、混合融液内の接触界面における水銀、カ
ドミウム及びテルルの組成は析出が進むにつれて水銀、
カドミウム及びテルルの組成が変化するのに加えて、接
触界面内の位置によっても水銀、カドミウム及びテルル
の組成が異なるのが実情である。
【0035】従って、混合融液から析出したHgCdT
e合金の平板の組成はミクロには一定ではない。このた
めに、混合融液から析出したHgCdTe合金の平板か
ら切り出された単位赤外線検知素子の間には特性のばら
つきがあり、各々の単位赤外線検知素子が同じ強度の赤
外線を検出しても出力の電気信号にはばらつきが生ず
る。
【0036】図13は、赤外線検知素子の出力のばらつ
きで、2つの赤外線検知素子間(図では、素子No.
1、素子No.2と標記している。)の出力のばらつき
を説明するものである。
【0037】図13において、横軸はシーン温度、縦軸
は赤外線検知素子の電気出力(図では、素子出力と標記
している。)である。
【0038】赤外線検知素子は、図13に示す如く、シ
ーン温度に対して非直線な特性を持っている。そして、
赤外線検知素子毎に同一温度における電気出力の絶対値
のばらつき(これがオフセットである。)と、同一温度
における非直線カーブの傾き(これが感度である。)の
ばらつきがある。
【0039】この感度のばらつきとオフセットを放置し
て温度測定をすると、当然測定結果には誤差が含まれ、
赤外線撮像装置の測定確度の低下の原因になる。
【0040】この誤差を抑圧するために、温度測定開始
前又は温度測定中に機械的に均一な赤外線放射面を有す
る異なる温度の2つの温度基準板から放射される赤外線
を入射光路中に短時間挿入し、各々の赤外線検知素子の
電気出力を計測して赤外線検知素子毎の定常偏差を補正
する。これが2点補正である。
【0041】即ち、温度をシーン平均温度の上下(図で
は、Δt1 、Δt2 と標記されている温度幅である。)
に追従制御された2つの温度基準板が出力する赤外線を
赤外線検知器に導入して全ての単位赤外線検知素子に同
一温度の物体が放射する赤外線を検知させ、赤外線検知
素子毎の感度と赤外線検知素子間のオフセットを補正す
る。
【0042】そして、2つの温度基準板の設定温度差が
大きいとその内側で誤差が大きくなり、2点の温度差が
小さいとその外側で誤差が大きくなる。高精度の赤外線
撮像装置においては、通常上記Δt1 、Δt2 を数℃に
設定する。
【0043】又、測定対象物体によってシーン平均温度
が大幅に変動すると、赤外線検知素子の非直線特性によ
ってオフセットと感度の定常偏差が変動する。この変動
を抑圧するために、シーン平均温度の変化を含めて温度
基準板の温度を制御するようにしている訳である。
【0044】ところで、2点補正を温度測定前に行なう
方式と、温度測定中に行なう方式がある旨記載したが、
温度測定中に赤外線撮像装置を構成する回路の特性や温
度基準板の温度等にドリフトが生ずると測定誤差の原因
になるので、高精度な赤外線撮像装置においては温度測
定中に機械的に均一な赤外線放射面を有する異なる温度
の2つの温度基準板から放射される赤外線を入射光路中
に短時間挿入し、各々の赤外線検知素子の電気出力を計
測して赤外線検知素子毎の定常偏差を温度変動の影響も
含めて補正する無効走査領域方式が採用されることが多
い。これで、ほぼリアル・タイムで赤外線検知素子毎の
感度の偏差とオフセットを補正することができるので、
温度測定の精度と確度を高く保つことができるからであ
る。
【0045】さて、図12の如き1次元赤外線検知素子
の視野を、水平スキャナによって水平走査ミラーを1次
元赤外線検知素子が整列している方向と垂直な方向に一
定速度で走査することによって2次元画像を得る。
【0046】図14は、2次元画像を得るための水平ス
キャナの走査波形である。
【0047】1回の走査では一定方向に一定速度で走査
するが、必要な視野角の範囲で走査を繰り返すためにフ
ライ・バックさせる必要があるので、走査波形は図14
に示す如く鋸歯状波様になる。
【0048】このうち、2次元画像の生成を行なう有効
走査領域(図11でbと標記している領域である。)は
右上がりの傾斜の中で一定速度で走査している直線部に
対応する。
【0049】一方、全走査領域の中で有効走査領域の外
側の領域が無効走査領域(図11でcと標記している領
域である。)である。
【0050】上記の、温度測定中に機械的に均一な赤外
線放射面を有する異なる温度の2つの温度基準板から放
射される赤外線を入射光路中に短時間挿入し、各々の赤
外線検知素子の電気出力を計測して赤外線検知素子ごと
の定常偏差を補正する無効走査領域方式とは、この無効
走査領域において異なる温度の2つの温度基準板から放
射される赤外線を入射光路中に挿入する方式である。
【0051】そして、無効走査領域方式によって2点補
正が正確に行なわれるためには、無効走査領域において
温度基準板42が出力する基準の赤外線を計測している
時には赤外線検知素子11は有効走査領域を通る測定対
象の赤外線を受けてはならない。一方、有効走査領域を
通る測定対象が放射する赤外線を計測している時には赤
外線検知素子11は温度基準板42が放射する赤外線を
受けてはならない。即ち、無効走査領域と有効走査領域
とが干渉しないことが絶対的に必要である。
【0052】図15は、従来の水平走査範囲と反射ミラ
ーの位置を示す図である。
【0053】図15(イ)は、赤外線検知素子の大きさ
を無視できる場合の有効走査領域である。
【0054】赤外線検知素子の大きさを無視することが
できるとしているから、有効走査領域は視野角の範囲に
等しくなる。
【0055】図15(ロ)は、赤外線検知素子の大きさ
を考慮した場合の有効走査領域である。尚、図15
(ロ)以降の、長方形をたがいちがいにつないだ形状の
ものは図12に示した赤外線検知素子を表し、各々の長
方形が図12に示した赤外線検知素子における奇数領域
の赤外線検知素子と偶数領域の赤外線検知素子の列を表
しており、上に出ている方が奇数領域の赤外線検知素
子、下に出ている方が偶数領域の赤外線検知素子であ
る。
【0056】まず、奇数領域の赤外線検知素子と偶数領
域の赤外線検知素子の境界が図15(イ)の視野角のと
ころまで走査された状態(正確に表現すると、アフォー
カル第一結像面上の赤外線検知素子の投影像が図15
(ロ)の破線で示された位置まで走査された状態)を考
えると、奇数領域の赤外線検知素子はまだ視野角の全て
の画像の取り込みを完了していないのに対して、偶数領
域の赤外線検知素子は既に視野角全ての画像の取り込み
を完了している。
【0057】従って、視野角から奇数領域の赤外線検知
素子の大きさNだけ外側まで走査して初めて視野角全て
の画像の取り込みが完了する。
【0058】即ち、赤外線検知素子の大きさを考慮した
場合の有効走査領域は、図15(ロ)に示す如く、視野
角に奇数領域の赤外線検知素子の大きさNを加えた領域
になる。
【0059】図15(ハ)は、反射ミラーの設置可能位
置である。
【0060】従来は、赤外線検知素子が有効走査領域の
外側に更に赤外線検知素子の大きさNだけとった領域ま
で走査されていると考えて、そこから温度変動も含んだ
水平スキャナの走査角の誤差Zと温度変動も含んだ反射
ミラーの寸法誤差Sを見込んで反射ミラーの設置位置と
していた。
【0061】図15(ニ)は、温度基準熱源データ取り
込み開始位置である。
【0062】図15(ニ)に示す如く、赤外線検知素子
の投影像が反射ミラーの領域内に、温度変動も含んだ反
射ミラーの寸法誤差Sだけ入ったところから温度基準熱
源のデータの取り込みを開始する。
【0063】図15(ホ)は、温度基準熱源データ取り
込み終了位置である。
【0064】図15(ホ)に示す如く、所要角度Hだけ
走査して所要サンプル数のデータを取得して温度基準熱
源データの取り込みを終了する。
【0065】従って、水平スキャナは有効走査領域に加
えて、 N+Z+2S+SD+H で決まる無効走査領域を走査することになる。
【0066】図16は、従来の水平走査ミラーの所要振
角で、上記のことを再度表現しなおしたものである。
【0067】即ち、従来の水平走査ミラーの振角は 有効走査領域+N+Z+2S+SD+H である。
【0068】しかも、赤外線検知素子の投影像の大きさ
自体も温度変動するので、図15及び図16における赤
外線検知素子の大きさにはそれも考慮する必要がある。
【0069】図17は、赤外線検知素子の投影像の大き
さの変動を説明する図で、図17(イ)は、アフォーカ
ル第一結像面での光束の断面図、図17(ロ)は、アフ
ォーカル第一結像面での投影像の大きさである。
【0070】図17(イ)において、実線は常温時の光
束の断面図、破線は温度変動時の光束の断面図である。
このように、アフォーカル第一結像面での光束の直径が
温度によって変動するのは、アフォーカル・レンズ系を
構成するレンズの焦点距離が温度変動したり、アフォー
カル・レンズ系自体の光路長が温度変動するためであ
る。
【0071】ここで、アフォーカル第一結像面での投影
像の大きさとは、図17(イ)においてdで示した方向
から見た投影像の大きさのことであり、図17(ロ)
は、常温時の光束がアフォーカル第一結像面上で大きさ
Wの像を結ぶのに対して、温度変動時の光束はアフォー
カル第一結像面上で大きさW’の像を結ぶことを示して
いる。
【0072】かくの如く、赤外線検知素子のアフォーカ
ル第一結像面での投影像の大きさは温度変動するので、
これを考慮して無効走査領域を設定する必要がある。
【0073】次に、図18は、図11において符号34
aを付して示した従来の光学式角度検出器の構成で、水
平走査ミラー31及び該水平走査ミラー31上に設けら
れる水平スキャナ制御用角度検出器32も併せて、概略
を図示してある。尚、図18は従来の光学式角度検出器
を、該光学式角度検出器の光軸中心を含む水平な面で切
った時の断面図である。
【0074】図18において、340は該光学式角度検
出器34の筐体、341は発光ダイオード(通常LED
と呼ばれる物である。)、342は該発光ダイオード3
41の出力光を平行光にするコリメータ・レンズ、34
3は該コリメータ・レンズ342の出力光を折り返すた
めに反射させる反射ミラー、344はフォト・ダイオー
ド、345は該水平走査ミラー31の角度が該反射ミラ
ー343の反射光の光軸に対して45°の時に反射光を
該フォト・ダイオードの受光面に集光する集光レンズ、
346aは該発光ダイオード341と該フォト・ダイオ
ード344にバイアスを供給すると共に、該水平走査ミ
ラーが45°の時に反射する光を受けて該フォト・ダイ
オード344が出力するパルスを図11の信号処理回路
72に供給する制御基板である。又、該水平スキャナ制
御用角度検出器32の出力も図11の信号処理回路72
aに供給される。即ち、図示されていない水平スキャナ
が有効走査領域と無効走査領域の境界を走査する時刻に
出力されるパルスが信号処理回路72に供給される。
【0075】尚、該筐体340への該発光ダイオード3
41、該コリメータ・レンズ342、該反射ミラー34
3、該フォト・ダイオード344、該集光レンズ345
の固定手段及び該制御基板346の実装手段の説明は必
要がないので省略する。
【0076】又、水平走査ミラー31及び水平スキャナ
制御用角度検出器32についても、装着手段の説明は必
要ないので省略する。
【0077】図19は、従来の画像データ取り込み信号
と温度基準熱源データ取り込み信号を示す図である。
【0078】図19(イ)は、水平スキャナの走査波形
を水平スキャナ制御用角度検出器で検出した電気信号の
波形である。実際には鋸歯状波様の波形の最高及び最低
付近では丸みを帯びた波形になる(図14参照)が、図
示を簡単にするために、丸みを取り除いて完全な鋸歯状
波で図示している。
【0079】図19(イ)において、実線で示した波形
が常温での水平スキャナ制御用角度検出器で検出した電
気信号の波形で、2点鎖線で示した波形が環境温度変動
の影響を受けた水平スキャナ制御用角度検出器で検出し
た電気信号の波形である。
【0080】図19(ロ)は、光学式角度検出器34の
出力で、図18におけるフォト・ダイオード344が水
平走査ミラーの走査角度が45°であることを検出して
出力するパルスである。
【0081】図19(ハ)は、水平スキャナ制御用角度
検出器32の出力で、水平スキャナ制御用角度検出器3
2が水平スキャナが有効走査領域と無効走査領域の境界
を走査していることを検出して出力するパルスである。
【0082】上記2つの角度検出器が出力する図19
(ロ)と図19(ハ)のパルスを基準信号として画像デ
ータの取り込みと温度基準熱源データの取り込みを行な
う。
【0083】即ち、光学式角度検出器が水平スキャナの
角度が光軸に対して45°であることを検出して出力す
るパルスのうち、走査角度が増加中に出力されるパルス
Cを基準に、所定の時間TCを経過した時刻に画像デー
タの取り込みを開始する。この時刻は、水平スキャナが
無効走査領域における走査から有効走査領域における走
査に入る時刻で、走査速度は設計上判っているので時間
TCの設定は可能である。
【0084】尚、フライ・バック中にも水平スキャナの
角度が光軸に対して45°になり、光学式角度検出器3
4はこの時刻でもパルスDを出力するが、走査角が減少
していることを検出する比較器の出力によってこのパル
スDをマスクすることは容易にできるので、画像データ
取り込みタイミングを誤ることはない。
【0085】一方、水平スキャナ制御用角度検出器32
が出力するパルスを使って温度基準熱源データの取り込
みを制御する。温度基準熱源は高温側と低温側の2個あ
るので、温度基準熱源データの取り込みタイミングは2
つ必要である。これは、有効走査領域から無効走査領域
に移行するタイミングで生成されるパルスを第一の温度
基準熱源のデータの取り込みパルスとし(図では、符号
Eを付している。)、有効走査領域から無効走査領域に
移行するタイミングで生成されるパルスを第二の温度基
準熱源のデータの取り込みパルスとすれば(図では、符
号Fを付している。)よい。
【0086】尚、水平スキャナ制御用角度検出器32は
上記E及びFのパルス以外に、有効走査領域と無効走査
領域間を移行するタイミングにパルスを出力するが、上
記と同様な原理でマスクすることができるので、温度基
準熱源データの取り込みタイミングを誤ることはない。
【0087】図20は、温度基準熱源と温度基準熱源導
入光学系及び反射ミラーの構成を模式的に示す図で、図
20(イ)は温度基準熱源と温度基準熱源導入光学系及
び反射ミラーの構造を示す。尚、図20(イ)は、温度
基準熱源導入光学系の光軸中心を含む水平な平面で温度
基準熱源導入光学系及び温度基準熱源を切った断面図で
ある。又、図20(ロ)は図20(イ)においてeの方
向から見た反射ミラー及び反射ミラー固定台のe矢視
図、更に、図20(ハ)は図20(ロ)においてfの方
向から見た反射ミラー及び反射ミラー固定台のf矢視図
である。
【0088】図20において、41はサーモ・モジュー
ル、42は温度基準板、43は放熱フィン、44はファ
ンで、温度基準熱源を構成する。
【0089】ここで、該サーモ・モジュール41はペル
チエ素子でできており、電流を印加することによって2
面あるセラミック面の一方の面から吸熱し、もう一方の
面から放熱する。そして、電流の方向を変えることによ
ってヒータとしても冷却機として使用することができ
る。
【0090】該サーモ・モジュール41は、自身が発熱
する熱量と吸熱する熱量の和の熱量を放熱側から放熱す
ることによってその性能を発揮する。該放熱フィン43
及びファン44は該サーモ・モジュール41からの放熱
効果を高めるために使用されている。
【0091】又、図20において、523はアフォーカ
ル・レンズ系を構成する鏡筒、61は熱源導入光学系を
構成する熱源導入レンズ系、62は熱源導入光学系を構
成する反射ミラー、63は該反射ミラーを固定する反射
ミラー固定台である。
【0092】更に、631は該反射ミラー固定台63を
該鏡筒523に固定するねじ、632は該反射ミラー固
定台63を構成する第一のブロック、633は該反射ミ
ラー固定台63を構成する第二のブロック、634は該
反射ミラー固定台を構成する第三のブロック、635及
び636はねじである。
【0093】まず、該反射ミラー62は該反射ミラー固
定台63を介して該アフォーカル・レンズ系を構成する
鏡筒523にねじ止め固定されている。
【0094】そして、該反射ミラー62の温度変動によ
る寸法の変動と、該反射ミラー固定台の取り付け位置の
誤差を吸収するために、該第一のブロック632と該第
二のブロック633は図20(ロ)のgに示すあり溝で
嵌合しており、紙面に垂直な方向に位置調整ができるよ
うになっており、同様な目的で該第二のブロック633
と該第三のブロック634は図20(ハ)のhに示すあ
り溝で嵌合しており、紙面に平行な方向に位置調整がで
きるようになっている。尚、該ネジ635は熱源導入光
学系の光軸に平行な方向での位置調整後に該第二のブロ
ックと該第三のブロックを固定し、該ネジ636は熱源
導入光学系の光軸に垂直な方向での位置調整後に該第位
置ブロックと該第二のブロックを固定する。
【0095】
【発明が解決しようとする課題】従来の赤外線撮像装置
においては、無効走査領域を図15(ハ)に示す如く、
本来の有効走査領域に偶数領域の赤外線検知素子の大き
さNまでも加えた領域の外側に設定しており、更に温度
変動分を含んだ水平スキャナの走査角変動Zと温度変動
を含んだ反射ミラーの位置変動Sを考慮して反射ミラー
の設置位置としていた。
【0096】本来の有効走査領域の外側の偶数領域の赤
外線検知素子の位置は画像の走査が不要な領域である
(これについては後で詳述する。)にもかかわらずここ
まで走査するので、偶数領域の赤外線検知素子の大きさ
Nの分だけ水平スキャナの走査角が大きくなっていた。
【0097】又、従来の赤外線撮像装置においては赤外
線検知素子の投影像の温度変動による寸法変動が大き
い。これを考慮して水平スキャナの振角を安全サイドに
設定すると水平スキャナの振角を更に大きく設定する必
要があった。
【0098】更に、通常適用できる水平スキャナ制御用
角度検出器の検出角度は低いことを考慮して水平スキャ
ナの走査角を安全サイドに設定すると、水平スキャナの
振角は更に大きく設定する必要があった。
【0099】このように、水平スキャナの振角を大きく
設定するということは、水平スキャナの駆動力を大きく
しなければならないということであり、この結果水平ス
キャナの寸法と質量の増加を招いていた。
【0100】本発明は、上記問題点に鑑み、水平スキャ
ナの振角を小さく設定することが可能な赤外線撮像装置
を提供することを第一の目的とする。
【0101】又、従来は水平走査ミラーに装着された水
平スキャナ制御用角度検出器が出力するパルスによって
温度基準熱源のデータの取込み開始信号としていたが、
上記の如く水平スキャナ制御用角度検出器の検出確度は
決して高くない。
【0102】そこで、水平スキャナ制御用角度検出器に
検出確度が高い角度検出器を適用しようとすると、この
ような角度検出器は大型であるために水平スキャナの大
型化、ひいては赤外線撮像装置の大型化につながる。
【0103】又、温度基準熱源に放熱フィンとファンを
使用しているので、温度基準熱源を大型化させ、ひいて
は赤外線撮像装置を大型化させる原因になっている。
【0104】更に、反射ミラーの位置を正確に設定する
ために反射ミラー固定台を位置調整可能にしているた
め、反射ミラー周辺の機構を大型化させ、ひいては赤外
線撮像装置を大型化させる原因になっている上に、アフ
ォーカル・レンズ系の鏡筒の中で位置調整をしなければ
ならないために位置調整が困難であった。
【0105】本発明は、上記問題点に鑑み、赤外線撮像
装置を大型化させることなく放熱特性、位置調整及び振
角の検出角度を向上することができる赤外線撮像装置を
提供することを第二の目的とする。
【0106】更に、水平スャナ用角度検出器の検出確度
が高くないために、図19(イ)に示すように検出され
た水平スキャナの走査波形が温度によって大きく変動
し、最悪は、水明走査ミラーは無効走査領域まで走査さ
れていても、無効走査領域まで走査されていないかの如
く検出してしまい、温度基準熱源のデータの取込み開始
信号が出力されないということがあった。
【0107】本発明は、かかる問題点に鑑み、正確に走
査角を検出することが可能な角度検出器を提供し、動作
の確実性が高い赤外線撮像装置を提供することを第三の
目的とする。
【0108】
【課題を解決するための手段】第一の課題を解決するた
めの第一の手段は、水平走査ミラーの走査角を小さく設
定するために、無効走査領域を小さく設定する技術であ
る。
【0109】図15(ハ)において、有効走査領域の外
側の偶数番目の赤外線検知素子に該当する領域において
は偶数番目の赤外線検知素子は既に画像取り込みを終了
しているので、偶数番目の赤外線検知素子に該当する領
域は画像上の走査不要領域である。従って、従来設定さ
れていた無効走査領域を偶数番目の赤外線検知素子に該
当する領域分小さくしても無効走査領域と有効走査領域
が干渉することはない。
【0110】つまり、第一の課題を解決するための第一
の手段により、水平スキャナの走査角を小さくすること
ができるので、水平スキャナの寸法と質量を縮減するこ
とができる。
【0111】第一の課題を解決するための第二の手段
は、温度変動によるアフォーカル・レンズ系の焦点距離
の変動と、イメージ・レンズ系の焦点距離の変動を抑圧
するために、アフォーカル・レンズ系を構成する複数の
レンズ系のうち少なくとも1つのレンズ系の位置を調整
してアフォーカル系の第一の結像面における光束の断面
の大きさを一定に保ち、更に、イメージ・レンズ系を構
成する複数のレンズ系のうち少なくとも1つのレンズ系
の位置を調整して、アフォーカル系の第一の結像面への
赤外線検知素子の投影像の大きさを一定に保つ技術であ
る。
【0112】第一の課題を解決するための第二の手段に
よれば、アフォーカル系の第一の結像面への赤外線検知
素子の投影の大きさを一定に保つことができるので、図
15又は図16において説明した水平スキャナの走査角
においてアフォーカル系の第一の結像面への赤外線検知
素子の投影像の大きさの温度変動を考慮する必要がなく
なるので、水平走査ミラーを小さくすることができ、水
平スキャナの寸法と質量を縮減することができる。
【0113】第一の課題を解決するための第三の手段
は、水平スキャナの外部に、水平走査ミラーの走査角が
45°の時に画像データ取り込みパルスを出力し、45
°からの振角が所定の値になった時に温度基準熱源デー
タの取り込みパルスを出力する、3点型光学式角度検出
器を設置する技術である。
【0114】第一の課題を解決するための第三の手段に
よれば、水平走査ミラーの角度の検出確度が向上するの
で、従来の水平スキャナ制御用角度検出器の如く温度変
動を見込んで水平スキャナの振角を大きく設定する必要
がなくなり、水平スキャナの寸法と質量を縮減すること
ができる。
【0115】第二の課題を解決するための第一の手段
は、反射ミラーを温度基準熱源導入系の鏡筒と一体にす
る技術である。
【0116】第二の課題を解決するための第一の手段に
よれば、温度基準熱源導入系の光束と反射ミラーの相対
位置の調整が簡単な機構で可能になるために、赤外線撮
像装置を小型化することができる。
【0117】第二の課題を解決するための第二の手段
は、温度基準熱源を温度基準熱源導入系の鏡筒と一体に
する技術である。
【0118】第二の課題を解決するための第二の手段に
よれば、温度基準熱源を構成するサーモ・モジュールの
吸熱量と発熱量を直接温度基準熱源導入系の鏡筒にも逃
がしてやることができ、温度基準熱源から放熱フィンと
ファンを除去することができるので、温度基準熱源の寸
法を縮減することができる。これは、とりもなおさず赤
外線撮像装置の小型化である。
【0119】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の赤外線撮像装置
の構成(その1)で、赤外線撮像装置の構成を一部簡略
化しながら実体図的に示す図である。
【0120】又、図2は、本発明の赤外線撮像装置の光
学系の構成である。
【0121】更に、図3は、本発明の赤外線撮像装置の
構成(その2)で、本発明の赤外線撮像装置の機能を示
す目的で主要な構成要素を、機構的な物は模式的に、電
気的な物はブロック図で図示したものである。
【0122】まず、図1において、1は赤外線検知器、
2はイメージ・レンズ系、3は水平スキャナ、4及び4
aは温度基準熱源、5はアフォーカル・レンズ系であ
る。
【0123】該イメージ・レンズ系2については、イメ
ージ・レンズ系第一レンズ21、垂直走査ミラー23、
折り返しミラー25、イメージ・レンズ系第三レンズ2
6、該イメージ・レンズ系第一レンズ21の位置調整を
するモータ27及び該モータ27による該イメージ・レ
ンズ系第一レンズ21の移動量を計測するポテンショ・
メータ28を図示している。尚、イメージ・レンズ系第
一レンズの位置調整のための制御系は図示を省略してい
る。
【0124】該水平スキャナ3については、水平走査ミ
ラー31、水平走査駆動部33、3点型光学式角度検出
器34を図示している。
【0125】アフォーカル・レンズ系5は、対物レンズ
・ユニット51、リレー・レンズ・ユニット52に分け
られる。
【0126】該対物レンズ・ユニット51には、中視野
レンズ511、広視野レンズ512が設けられていて視
野切替ができるようになっており、更に、該対物レンズ
・ユニット51の位置を調整するためのモータ513及
び該対物レンズ・ユニット51の移動量を計測するポテ
ンショ・メータ514が設けられている。尚、該対物レ
ンズ・ユニットの位置調整のための制御系は図示を省略
している。
【0127】又、リレー・レンズ・ユニット52につい
ては、リレー・レンズ・ユニット第一レンズ521、リ
レー・レンズ・ユニット第二レンズ522、鏡筒523
を図示している。
【0128】そして、画像処理系も図示を省略してい
る。
【0129】本発明の赤外線撮像装置の光学系の構成を
示す図2において、1は赤外線検知器、2はイメージ・
レンズ系、3は水平スキャナ、4及び4aは温度基準熱
源、5はアフォーカル・レンズ系である。
【0130】該赤外線検知器1については赤外線検知素
子11のみを図示している。
【0131】該イメージ・レンズ系2については、イメ
ージ・レンズ系第一レンズ21、遮蔽板22、垂直走査
ミラー23、イメージ・レンズ系第二レンズ24、折り
返しミラー25、イメージ・レンズ系第三レンズ26を
図示している。
【0132】該水平スキャナ3については、水平走査ミ
ラー31、3点型光学式角度検出器34を図示してい
る。
【0133】アフォーカル・レンズ系5は、対物レンズ
・ユニット51、リレー・レンズ・ユニット52に分け
られる。
【0134】該対物レンズ・ユニット51には、511
は中視野レンズ、512は広視野レンズ512が備えら
れていて視野切替ができるようになっている。
【0135】又、リレー・レンズ・ユニット52につい
ては、リレー・レンズ・ユニット第一レンズ521、リ
レー・レンズ・ユニット第二レンズ522を図示してい
る。
【0136】そして、図1において図示しているモータ
513によって該対物レンズ・ユニット51は図2にA
で示した方向に位置調整をされる。又、図1において図
示しているモータ27によって該イメージ・レンズ系第
一レンズ21は図2にBで示した方向に位置調整され
る。尚、位置調整機構については後に詳述する。
【0137】又、図2のB方向の寸法に余裕があれば、
垂直走査ミラー23、折り返しミラー25は不要で、イ
メージ・レンズ系第三レンズ26と赤外線検知器をB方
向の延長線上に配置すればよい。又、図2のB方向と垂
直な下方向の寸法に余裕があれば、折り返しミラー25
は不要で、イメージ・レンズ系第三レンズ26と赤外線
検知器をB方向に垂直な、紙面の下側に配置すればよ
い。
【0138】即ち、図1又は図2に示す配置にしている
のは、光路長は同じでありながら光学系の構成をコンパ
クトにするためである。
【0139】本発明の赤外線撮像装置の機能を示す目的
で主要な構成要素を、機構的な物は模式的に、電気的な
物はブロック図で図示した図3において、1は赤外線検
知器、2はイメージ・レンズ系、3は水平スキャナ、4
及び4aは温度基準熱源、5はアフォーカル・レンズ
系、6は熱源導入光学系、7は画像処理系、8は熱源温
度制御系、9はレンズ位置制御系である。
【0140】該赤外線検知器1は、主として、水銀・カ
ドミウム・テルル(HgEdTe)によって代表される
赤外線検知素子11、循環冷却器やジュール・トムソン
冷却器などの冷却器12、真空容器13、該真空容器1
3に設けられたゲルマニウム(Ge)などによる赤外線
を透過する窓14によって構成される。尚、赤外線検知
素子を冷却器12を備えた真空容器13中に設置して8
0K程度の極低温で赤外線検知素子を動作させるが、こ
れは、暗電流を抑圧して、赤外線検知素子が生成する電
気信号の信号対雑音比を高めるためである。
【0141】該イメージ・レンズ系2については、イメ
ージ・レンズ系第三レンズ26のみを図示している。
【0142】該水平スキャナ3については、水平走査ミ
ラー31、及び3点式光学式角度検出器34を図示して
いる。
【0143】該温度基準熱源4及び4aについては、ペ
ルチエ素子によるサーモ・モジュール41、該サーモ・
モジュール41によって温度を制御される温度基準板4
2を図示している。
【0144】該アフォーカル・レンズ系5については、
対物レンズ・ユニット51とリレー・レンズ・ユニット
第二レンズ522を図示している。
【0145】該熱源導入光学系6については、熱源導入
レンズ系61と反射ミラー62を図示している。
【0146】該画像処理系7は、該赤外線検知器1が検
出した赤外線強度に応じて出力する電気信号を増幅する
増幅器71、該増幅器71の出力を受けて該光学式角度
検出器34の出力を参照して信号処理する信号処理回路
72、該信号処理回路が出力する画像信号に表示するた
めの処理を加える画像処理回路73及び画像を表示する
陰極線管や液晶ディスプレイなどによるモニタ74によ
って構成される。
【0147】該熱源温度制御系8は、該温度基準板の高
温側の温度を算出して対応する電圧を出力する高温側指
令電圧生成回路81、該温度基準板の低温側の温度を算
出して対応する電圧を出力する低温側指令電圧生成回路
81a、該信号処理回路72で検出した高温側温度基準
板の温度情報を対応する電圧に変換する高温側検出電圧
生成回路82、該信号処理回路72で検出した低温側温
度基準板の温度情報を対応する電圧に変換する低温側検
出電圧生成回路82a、該高温側指令電圧生成回路81
の出力から該高温側検出電圧生成回路82の出力を減算
する加算回路83、該低温側指令電圧生成回路81aの
出力から該低温側検出電圧生成回路82aの出力を減算
する加算回路83a、該加算回路83の出力を電力増幅
する電力増幅器84、該加算回路83aの出力を電力増
幅する電力増幅器84aによって構成される。
【0148】最後に、レンズ系位置制御系9は、温度セ
ンサ91及び制御回路92によって構成される。
【0149】図3の構成は、概ね下記のように動作して
赤外線画像を表示する。
【0150】まず、被測定物が放射する赤外線は対物レ
ンズ・ユニット51を経由してアフォーカル・レンズ系
5に導かれてアフォーカル第一結像面aに結像される。
この、被測定物が放射する赤外線がアフォーカル第一結
像面aに被測定物が放射する赤外線が結像される範囲が
有効走査領域bである。
【0151】アフォーカル第一結像面a上に結像された
赤外線は、リレー・レンズ・ユニット第二レンズ522
を経由して水平走査ミラー31に導かれて反射され、イ
メージ・レンズ系2を経由して赤外線検知器1に導か
れ、赤外線検知素子11上に結像される。
【0152】そして、赤外線検知素子11が赤外線強度
に対応して生成した電気信号は増幅器71を経由して信
号処理回路72に導かれ、赤外線検知素子毎のばらつき
を補正された後画像処理回路73において水平走査ミラ
ー31による走査方式からモニタ74に合致する走査方
式に変換され、最後にモニタ74において表示される。
【0153】一方、温度基準板42が放射する赤外線は
熱源導入光学系6を経由してアフォーカル第一結像面a
上の無効走査領域cからアフォーカル・レンズ系5に導
入され、水平走査ミラー31によって反射されてイメー
ジ・レンズ系2に導かれて、測定対象物体が放射する赤
外線を計測していない時に赤外線検知器1の赤外線検知
素子11に結像される。
【0154】そして、赤外線検知素子11によって生成
された電気信号は増幅器71に導かれて増幅され、信号
処理回路72において赤外線検知素子毎のばらつきを補
正される。
【0155】そして、信号処理回路72は測定対象物体
の温度であるシーン温度の平均値を算出し、該シーン温
度平均値の上下に設定する温度基準板の温度を算出す
る。
【0156】こうして算出された高温側の温度基準板の
温度情報と低温側の温度基準板の温度情報は、それぞ
れ、高温側指令電圧生成回路81と低温側指令電圧生成
回路81aに供給され、温度基準板に設定する温度に対
応した電圧が生成される。
【0157】又、該信号処理回路72は、測定対象物体
の温度を測定していない時に温度基準板が放射する赤外
線強度に対応する電気信号によって温度基準板の温度を
計測している。計測された高温側の温度基準板の温度情
報と低温側の温度基準板の温度情報は、それぞれ、高温
側検出電圧生成回路82と低温側検出電圧生成回路82
aに供給され、検出温度に対応した電圧が生成される。
【0158】該高温側指令電圧生成回路81の出力電圧
と該高温側検出電圧生成回路82の出力電圧の差を該加
算回路83によって求めて、該電力増幅器84を介して
高温側の温度基準板の温度を制御するサーモ・モジュー
ルに温度制御信号として供給する。同様に、該低温側指
令電圧生成回路81aの出力電圧と該低温側検出電圧生
成回路82aの出力電圧の差を該加算回路83aによっ
て求めて、該電力増幅器84aを介して低温側の温度基
準板の温度を制御するサーモ・モジュールに温度制御信
号として供給する。即ち、該熱源温度制御系8は負帰還
によってサーモ・モジュールの温度を制御することによ
って温度基準板の温度を制御している。
【0159】又、3点型光学式角度検出器33が水平走
査ミラーの走査角を検出して出力するパルスを信号処理
回路72に供給して、画像表示の基準信号とする。
【0160】最後に、レンズ系位置調整制御系9では、
温度センサ91が温度変動を検出して、検出した温度変
動量を該制御回路92に供給する。
【0161】該制御回路92は受信した温度変動量をア
ドレスとして読み出し専用メモリから読み出すという手
法で、該対物レンズ・ユニット51及び該イメージ・レ
ンズ系第一レンズ系21に必要となる位置調整量を求め
て該モータ27及び該モータ513を駆動する。そし
て、該ポテンショ・メータ28及び該ポテンショ・メー
タ514の出力を取り込んでサーボ系を構成して該対物
レンズ・ユニット51及び該イメージ・レンズ系第一レ
ンズ21の位置調整を正確に行なう。
【0162】ここまでにおいて、図1乃至図3に示した
本発明の赤外線撮像装置の構成と大まかな動作を説明し
た。以下においては、図1乃至図3に示した本発明の赤
外線撮像装置の主要構成要素について詳細に記載して、
本発明の赤外線撮像装置について説明する。
【0163】ただ、1次元赤外線検知素子の素子配列、
単位赤外線検知素子の間の感度特性のばらつき、単位赤
外線検知素子の間のオフセット、2点補正による感度と
オフセットの補正、及び、シーン平均温度の変化を含め
た2点補正の温度基準板の温度制御、高精度な赤外線撮
像装置においては温度測定中に機械的に均一な赤外線放
射面を有する異なる温度の2つの温度基準板から放射さ
れる赤外線を入射光路中に短時間挿入し、各々の赤外線
検知素子の電気出力を計測して赤外線検知素子毎の偏差
を温度変動の影響も含めて補正する無効走査領域方式が
採用されることが多いことについては、従来の赤外線撮
像装置の説明において詳細に記載したので、ここでは記
載を省略する。
【0164】さて、無効走査領域方式によって2点補正
が正確に行なわれるためには、無効走査領域において温
度基準板が放射する基準の赤外線を計測している時には
赤外線検知素子11は有効走査領域を通る測定対象の赤
外線を受けてはならない。
【0165】一方、有効走査領域において測定対象物体
が放射する赤外線を計測している時には有効走査領域を
通る測定対象が放射する赤外線を計測している時には赤
外線検知素子11は温度基準板が放射する赤外線を受け
てはならない。
【0166】即ち、無効走査領域と有効走査領域とが干
渉しないことが必要であるということは、本発明におい
ても同じことである。
【0167】ここでは、無効走査領域と有効走査領域が
干渉しないということ自体の説明は必要がないにして
も、従来の技術とは異なる無効走査領域の設定の考え方
について説明しておく。
【0168】図4は、従来の水平走査範囲と反射ミラー
の位置を示す図である。
【0169】図4(イ)は、赤外線検知素子の大きさを
無視できる場合の有効走査領域である。赤外線検知素子
の大きさを無視することができるとしているから、有効
走査領域は視野角の範囲に等しくなる。
【0170】しかし、実際の赤外線検知素子は有限の大
きさを持たないと受光する赤外線を、その強度に対応す
る電気信号に変換することはできない。従って、現実に
ある赤外線検知素子の大きさを考慮しないで有効走査領
域を設定することは無意味である。
【0171】図4(ロ)は、赤外線検知素子の大きさを
考慮した場合の有効走査領域である。尚、図4(ロ)以
降の、2つの長方形の一辺をずらして接触させた形状の
ものは図12に示した赤外線検知素子を表している。こ
こで、各々の長方形が図12に示した赤外線検知素子に
おける奇数領域の赤外線検知素子と偶数領域の赤外線検
知素子を表しており、上に出ている方が奇数領域の赤外
線検知素子、下に出ている方が偶数領域の赤外線検知素
子である。
【0172】まず、奇数領域の赤外線検知素子と偶数領
域の赤外線検知素子の境界が図4(イ)の視野角の範囲
まで走査された状態(正確に表現すると、赤外線検知素
子の投影像が図4(ロ)の破線で示された位置まで走査
された状態)を考えると、奇数領域の赤外線検知素子は
まだ視野角の全ての画像の取り込みを完了していないの
に対して、偶数領域の赤外線検知素子は既に視野角全て
の画像の取り込みを完了している。
【0173】従って、視野角から奇数領域の赤外線検知
素子の大きさNだけ外側まで走査して初めて視野角全て
の画像の取り込みが完了する。即ち、赤外線検知素子の
大きさを考慮した場合の有効走査領域は、図4(ロ)に
示す如く、視野角の範囲に奇数領域の赤外線検知素子の
大きさNを加えた領域になる。
【0174】図4(ハ)は、画像上の走査不要領域であ
る。
【0175】図4(ハ)に示す位置まで赤外線検知素子
の投影像を走査した時に初めて奇数番目の赤外線検知素
子は画像の取り込みを完了するが、この時には既に偶数
番目の赤外線検知素子はそれよりNだけ内側で画像の取
り込みを完了している。
【0176】従って、図4(ハ)における偶数番目の赤
外線検知素子の位置(図4(ハ)においてNという赤外
線検知素子の大きさを示している位置)は画像上は走査
しなくてもよい領域(これを走査不要領域と呼ぶことに
する。)である。
【0177】従って、上記走査不要領域を含んで有効走
査領域とし、その外側を無効走査領域とする必要性はな
い。この点が本発明における無効走査領域の設定の考え
方の特徴である。
【0178】図4(ニ)は、反射ミラーの設置位置であ
る。
【0179】本発明においては、上記有効走査領域の端
から温度変動も含んだ水平スキャナの走査角の誤差Zと
温度変動も含んだ反射ミラーの寸法誤差Sを見込んだ位
置を反射ミラーの設置位置とする。
【0180】図4(ホ)は、温度基準熱源データ取り込
み開始位置である。
【0181】図4(ホ)に示す如く、赤外線検知素子の
投影像が反射ミラーの領域内に、温度変動も含んだ反射
ミラーの寸法誤差Sだけ入ったところから温度基準熱源
のデータの取り込みを開始することは本発明においても
同じである。
【0182】図4(ヘ)は、温度基準熱源データ取り込
み終了位置である。
【0183】図4(ヘ)に示す如く、所要角度Hだけ走
査して所要サンプル数のデータを取得して温度基準熱源
データの取り込みを終了することは本発明においても同
じである。
【0184】従って、水平スキャナは有効走査領域に加
えて、Z+2S+SD+Hで決まる無効走査領域を走査
すればよいことになる。
【0185】図5は、本発明の水平走査ミラーの所要振
角で、上記のことを再度表現しなおしたものである。
【0186】即ち、本発明の水平走査ミラーの振角は有
効走査領域+Z+2S+SD+Hである。ただし、この
振角はアフォーカル・レンズ系の光軸から一方に走査し
た時の振角である。
【0187】上記の如く水平走査ミラーの振角を上記N
だけ小さくできることは、実際の赤外線撮像装置におい
て水平走査ミラーの振角の縮減率5%に対応する。これ
は、限界に近い設計をしている赤外線撮像装置において
は大きな効果である。
【0188】図6は、水平走査ミラーの振角と水平走査
ミラーの大きさの関係を示す図である。
【0189】図6(イ)は、振角0(振角は45°を原
点とする。)の場合である。この時には、光束の直径を
Gとすると、水平走査ミラー面上での光束の長径は√2
Gとなる。
【0190】図6(ロ)は、水平走査ミラーを所要の最
大振角α°まで振った場合である。この時には、光束の
直径をGとすると、水平走査ミラー面上での光束の長径
は G×Sin(45°+α°) となる。ここで、Sin は三角関数の正弦関数である。
【0191】今、現実の所要最大振角α°に対して上記
5%程度の振角増だけを考慮して水平走査ミラー面上で
の光束の長径の増加、即ち、水平走査ミラーの大きさの
増加を試算しても、約4%となる。これも、限界に近い
設計をしている赤外線撮像装置においては大きな値であ
る。即ち、水平走査ミラーの振角を縮減することによっ
て水平走査ミラー自体の大きさを縮減できる。
【0192】しかも、図17によって説明したように、
赤外線検知素子の投影像の大きさ自体も温度変動するの
で、図4及び図5における赤外線検知素子の大きさには
それも考慮する必要がある。つまり、実際には振角を大
きく設定しなければならない他の要因もあるので、振角
を縮減できることは更に大きな効果をもたらす。
【0193】この赤外線検知素子の投影像の大きさの変
化の主原因は、温度変動に伴うアフォーカル・レンズ系
とイメージ・レンズ系を構成するレンズの焦点距離の変
動及び温度変動に伴うアフォーカル・レンズ系とイメー
ジレンズ系の寸法の変動である。
【0194】従って、赤外線検知素子の投影像の大きさ
の変化を抑圧するには、温度変動に伴うアフォーカル・
レンズ系とイメージ・レンズ系を構成するレンズの焦点
距離の変動及び温度変動に伴うアフォーカル・レンズ系
とイメージレンズ系の寸法の変動を抑圧すればよい。
【0195】これには、図2に示したように、アフォー
カル・レンズ系のレンズの位置をAの方向に調整し、イ
メージ・レンズ系のレンズの位置をBの方向に調整すれ
ば、アフォーカル第一結像面aの前方の焦点距離の変動
とアフォーカル第一結像面aの後方の焦点距離の変動の
双方を補正することができる。
【0196】図7は、本発明のレンズ位置調整のための
構成を示す図で、構造は模式的に示し、制御系はブロッ
ク図で示したものである。
【0197】尚、図7では、一応図1におけるイメージ
・レンズ系第一レンズ21の位置調整を意識して図示し
ているが、図1における対物レンズ・ユニット51の位
置調整についても同様な構成で可能である。又、構造的
にはイメージ・レンズ系第一レンズ21と対物レンズ・
ユニット51の位置調整が最も簡単であるが、アフォー
カル・レンズ系とイメージ・レンズ系の他のレンズの位
置調整も技術的には不可能ではない。
【0198】又、図7は、イメージ・レンズ系の光軸中
心を含む水平な平面でイメージ・レンズ系を切った断面
図である。
【0199】図7において、21はイメージ・レンズ系
第一レンズ、29はイメージ・レンズ系の鏡筒である。
【0200】又、211は該イメージ・レンズ系第一レ
ンズを装着固定するレンズ鏡筒、212はレンズ鏡筒回
り止めピン、291は回転フレーム、292は該回転フ
レーム291と該鏡筒29の間に設けられるねじ機構、
293はボール・ベアリング、294及び294aは歯
車、295及び295aは該歯車294及び294aと
かみ合う歯車、513は該鏡筒29を移動させることで
該イメージ・レンズ系第一レンズ21を移動させるモー
タ、514は該イメージ・レンズ系第一レンズ21の移
動量を計測するポテンショ・メータである。
【0201】又、91は図3におけるレンズ位置制御系
9を構成する温度センサ、92は図3におけるレンズ位
置制御系9を構成する制御回路である。そして、該制御
回路92は、読み出し専用メモリ部921、加算回路9
22及び電力増幅器923を備えている。
【0202】まず、レンズ位置調整のための構造につい
て説明する。
【0203】イメージ・レンズ系第一レンズ21はレン
ズ鏡筒211に装着固定されている。該レンズ鏡筒21
1は鏡筒29とレンズ鏡筒回り止めピン212の部分で
嵌合しており、該レンズ鏡筒回り止めピン211によっ
てレンズ鏡筒211と鏡筒29は互いに回転しないよう
に固定されている。
【0204】又、該レンズ鏡筒211は該ボール・ベア
リング293の部分で該回転フレーム291と結合して
おり、該レンズ鏡筒211と該回転フレーム291は互
いに回転可能になっている。
【0205】該回転フレーム291のの周囲には歯車2
95が設けられており、該歯車295はモータ513に
結合された該歯車294及び該ポテンショ・メータ51
4に結合された歯車294aと噛み合っており、該歯車
294の回転を該回転フレームの前進、後退に変換し、
該回転フレーム291の前進、後退を該歯車294aの
回転に変換するようになっている。
【0206】次にレンズ位置制御系とレンズ位置調整の
ための構造とを総合して説明をする。
【0207】温度センサ91は環境温度の変動を検出
し、通常アナログ量としての電圧を出力する。
【0208】読み出し専用メモリ部921は、入力側に
アナログ・デジタル変換回路を備えており、該アナログ
・デジタル変換回路でデジタル変換された電圧値は読み
出し専用メモリ(通常ROMと標記されるものであ
る。)にアドレスとして供給され、該読み出し専用メモ
リからデジタル変換された電圧値に対応するレンズ位置
の移動量のデジタル値が読み出される。
【0209】読み出されたデジタル量の電圧値は、該読
み出し専用メモリ部921の出力側に備えられているデ
ジタル・アナログ変換回路によってアナログ量としての
電圧値に変換されて出力される。
【0210】該読み出し専用メモリ部921から出力さ
れた電圧はレンズ位置指令電圧として該加算回路922
の一方の端子に供給される。
【0211】一方、該回転フレーム291の前進、後退
は歯車295から歯車294aに伝えられて該ポテンシ
ョ・メータ514を回転させる。該ポテンショ・メータ
514は自身の回転角に対応した電圧を出力するが、こ
の電圧出力が該加算回路922のもう一方の入力端子に
帰還電圧として供給され、上記レンズ位置指令電圧との
差が求められる。
【0212】該加算回路922が出力する上記レンズ位
置指令電圧と上記帰還電圧との差の電圧が電力増幅器9
23に供給され、実際に該モータ513を駆動して該歯
車294を回転させ、該歯車294の回転が該歯車29
5に伝えられて該回転フレーム291の前進、後退に変
換される。
【0213】即ち、該温度センサ91、該制御回路9
2、該モータ513、該歯車294、該歯車295、該
歯車294a、該歯車295a、該ポテンショ・メータ
514によって構成される負帰還ループによって該イメ
ージ・レンズ系第一レンズ21の位置の調整が行なわれ
る。
【0214】図7の構成の利点は、負帰還ループによっ
てレンズ位置の調整を行なうために、レンズ位置の調整
確度が高いことである。
【0215】しかし、レンズ位置の調整機構は図7に示
したものだけではなく、モータ513、ポテンショ・メ
ータ514と制御回路92を取り除いて、モータの代わ
りに手動の回転機構を取り付け、ポテンショ・メータ5
14の代わりに該回転フレームの移動距離を示す目盛り
を付けておくという簡易な構造でもよい。特に、上記回
転機構にはマイクロメータに適用される如き微細ピッチ
のねじ機構を適用すれば、大きな回転角を小さな移動距
離に変換することができるので、移動距離を正確に制御
することが可能である。尚、この場合には、図7の読み
出し専用メモリ部921の代わりに環境温度の変動に対
する回転フレームの移動距離を算出した表を準備してお
く必要がある。
【0216】そして、上記の如きマニュアルでレンズの
位置を調整する機構の利点は、赤外線撮像装置の構造を
複雑化しないことと、赤外線撮像装置自体の寸法と重量
を軽減できることである。
【0217】上記自動制御又はマニュアルのいずれの手
段によっても、レンズの位置を調整することによってレ
ンズ系の焦点距離の温度変動を抑圧することができるの
で、赤外線検知素子の投影像の大きさの増加を抑圧する
ことが可能になり、水平走査ミラーの振角を縮減するこ
とができる。
【0218】これにより、水平スキャナの駆動力の増加
を抑圧することが可能になり、水平スキャナの大きさと
重量を縮減することができる。よって、赤外線撮像装置
自体の大きさと重量の縮減が可能になる。
【0219】図8は、本発明の3点型光学式角度検出器
で、水平走査ミラーも併せて図示している。尚、図8
は、該3点型光学式角度検出器の光軸中心を含む水平な
平面で該3点型光学式角度検出器を切った断面図であ
る。
【0220】図8において、31は水平走査ミラーであ
る。尚、後述する3点型光学式角度検出器によって、水
平走査ミラーが有効走査領域と無効走査領域の境界を走
査していることを検出してパルスを出力するので、本発
明においては水平スキャナ制御用角度検出器は不要にな
る。
【0221】又、340は図1又は図2における3点型
光学式角度検出器34の筐体、341は発光ダイオー
ド、342は該発光ダイオードの出力光を平行光にする
コリメータ・レンズ、343は該コリメータ・レンズ3
42の出力光を折り返すために反射させる反射ミラー、
344、344a、344bはフォト・ダイオード、3
45は該水平走査ミラー31の角度が該反射ミラー34
3の反射光に対して45°の時と、無効走査領域と有効
走査領域の境界における水平走査ミラーの振角をβ°と
して該水平走査ミラーの角度が該反射ミラー343の反
射光に対して45°±β°の時に反射光を該フォト・ダ
イオード344、344a及び344bのいずれかの受
光面に集光する集光レンズ、346は該発光ダイオード
341と該フォト・ダイオード344乃至344bにバ
イアスを供給すると共に、該フォト・ダイオード344
乃至344bが該水平走査ミラーの角度が45°の時
と、45°±β°の時に反射光を受けて該フォト・ダイ
オード344乃至344bが出力するパルスを図3の信
号処理回路72に供給する制御基板である。
【0222】ここで、上においては表現をまるめて、該
水平走査ミラー31の角度が45°に等しい時と、45
°±β°に等しい時に反射光を該フォト・ダイオード3
44、344a及び344bのいずれかの受光面に集光
すると記載しているが、図8に則して見れば、実際には
該水平走査ミラー31の角度が45°の時に該フォト・
ダイオード344が受光し、該水平走査ミラー31の角
度が45°+β°の時に該フォト・ダイオード344a
が受光し、該水平走査ミラー31の角度が45°−β°
の時に該フォト・ダイオード344bが受光することが
判る。
【0223】尚、筐体への発光ダイオード341、コリ
メータ・レンズ342、反射ミラー343、フォト・ダ
イオード344、集光レンズ345の固定手段及び制御
基板346の実装手段の説明は必要がないので省略す
る。又、水平走査ミラー31及び水平スキャナ制御用角
度検出器32についても、装着手段の説明は必要ないの
で省略する。
【0224】図9は、本発明の画像データ取り込み信号
と温度基準熱源データ取り込み信号を示す図である。
【0225】図9(イ)は、水平スキャナの走査波形で
ある。実際には鋸歯状波様の波形の最高及び最低付近で
は丸みを帯びた波形になる(図14参照)が、図示を簡
単にするために、丸みを取り除いて完全な鋸歯状波で図
示している。
【0226】図9(ロ)は、本発明の3点型光学式角度
検出器の出力で、図8におけるフォト・ダイオード34
4が水平走査ミラーの角度が45°であることを検出し
て出力するパルスである。これは、水平走査ミラーの角
度が走査範囲の中心である時の3点型光学式角度検出器
の出力であるので、3点型光学式角度検出器の中心出力
と呼ぶことにする。
【0227】図9(ハ)は、本発明の3点型光学式角度
検出器の出力で、図8におけるフォト・ダイオード34
4a及び344bが水平走査ミラーの角度が45°±β
°であることを検出して出力するパルスである。これ
は、水平走査ミラーが有効走査領域と無効走査領域の境
界を走査している時の3点型光学式角度検出器の出力で
あるので、境界出力と呼ぶことにする。
【0228】画像データの取り込みは、図9(ロ)の中
心出力を基準に行なう。即ち、中心出力のうち、走査角
度が増加中に出力されるパルスCを基準に、所定の時間
TCを経過した時刻に画像データの取り込みを開始す
る。この時刻は、水平スキャナが無効走査領域における
走査から有効走査領域における走査に入る時刻で、走査
速度は設計上判っているので時間TCの設定は可能であ
る。
【0229】尚、フライ・バック中にも水平走査ミラー
の角度が45°になる時刻があり、3点型光学式角度検
出器はこの時刻でもパルスDを出力するが、走査角が減
少していることを検出する比較器を設けておき、この比
較器の出力によって上記パルスDをマスクすることは容
易にできるので、画像データ取り込みタイミングを誤る
ことはない。
【0230】一方、図9(ハ)の境界出力を使って温度
基準熱源データの取り込みを制御する。温度基準熱源は
高温側と低温側の2個あるので、温度基準熱源データの
取り込みタイミングは2つ必要である。これは、有効走
査領域から無効走査領域に移行するタイミングで生成さ
れるパルスを第一の温度基準熱源のデータの取り込みパ
ルスとし(図9(ニ)に、符号Eを付している。)、有
効走査領域から無効走査領域に移行するタイミングで生
成されるパルスを第二の温度基準熱源のデータの取り込
みパルスとすれば(図9(ニ)に、符号Fを付してい
る。)よい。
【0231】尚、3点型光学式角度検出器は、図9
(ハ)に示す如く、上記E及びFのパルス以外にも有効
走査領域と無効走査領域間を移行するタイミングにパル
スを出力するが、上記と同様な原理で不要なパルスをマ
スクすることができるので、温度基準熱源データの取り
込みタイミングを誤ることはない。
【0232】尚、図8におけるフォト・ダイオード34
4乃至344bの受光面は有限の面積を持っているの
で、水平走査ミラーの角度が所定の角度になる前に反射
光を受光し始め、水平走査ミラーの角度が所定の角度を
過ぎても反射光を受光し続けるので、フォト・ダイオー
ドが直接出力するパルスは裾を引いた波形をしている上
にパルス幅も広いが、フォト・ダイオードが直接出力す
るパルスを比較器に入力し、所定の振幅以上の時に比較
器から出力させるように設定しておけば、中心出力も境
界出力もシャープでパルス幅が小さいパルスとすること
ができるので、画像データ取込みと温度基準熱源データ
の取り込みのタイミング・パルスとして問題なく使うこ
とができる。
【0233】本発明の3点型光学式角度検出器において
は、図8の水平走査ミラーからフォト・ダイオードまで
の光路長と集光レンズの焦点距離と水平走査ミラーの角
度によって反射光を集光させる位置を正確に決めること
ができる。即ち、上記中心出力と境界出力が出力される
タイミングは水平走査ミラーの角度と正確に対応してお
り、しかも、境界出力が出力されないという事態は決し
て起こらない。
【0234】このため、角度検出の誤差を見込んで水平
走査ミラーの振角を大きく設定する必要がないので、水
平スキャナの駆動力の増加を抑圧することができ、水平
スキャナの小型化と軽量化が可能になる。
【0235】その上、正確なタイミングで確実に画像デ
ータを取り込むパルスと温度基準熱源のデータを取り込
むパルスを生成することができるので、赤外線撮像装置
の画像表示の信頼度を高めることができる。
【0236】図10は、本発明の温度基準熱源と熱源導
入光学系の構成である。尚、図10は、熱源導入光学系
の光軸中心を含む水平な平面で温度基準熱源と熱源導入
光学系を切った断面図である。
【0237】図10において、4は温度基準熱源、6は
熱源導入光学系である。
【0238】該温度基準熱源4は、サーモ・モジュール
41、温度基準板42、放熱フレーム45、Oリング4
6、温度基準熱源固定ネジ47、シム48及び放熱フレ
ーム固定ねじ49を備えている。
【0239】又、該熱源導入光学系6は、熱源導入レン
ズ61、反射ミラー62及び熱源導入光学系鏡筒63を
備えている。
【0240】該温度基準熱源4において、該サーモ・モ
ジュール41は一方の表面において該放熱フレーム45
に接着固定されており、該サーモ・モジュール41のも
う一方の面は該温度基準板42と接着固定されている。
【0241】該熱源導入光学系6において、該熱源導入
レンズ61は該熱源導入光学系鏡筒63に装着固定され
ており、又、反射ミラー62も該熱源導入光学系 鏡筒
63に装着固定されている。
【0242】該温度基準熱源4を構成する該放熱フレー
ム43は、熱源導入光学系6を構成する該熱源導入光学
系鏡筒63に該放熱フレーム固定ねじ49によってねじ
止め固定されるが、該放熱フレーム45の該熱源導入光
学系鏡筒63との取り付け面には該放熱フレーム45中
を周回する溝が形成されており、この溝の中にはOリン
グが組み込まれている。これで、該熱源導入光学系鏡筒
63上の該放熱フレーム45の取り付け面での密閉性を
高く保つことができる。
【0243】一方、熱源導入レンズ61と熱源導入光学
系鏡筒63との間の密閉性も当然高い。
【0244】従って、該放熱フレーム45、該熱源導入
光学系鏡筒63及び該熱源導入レンズ61によって囲ま
れる空間を外部の空間から密閉された空間にすることが
できる。
【0245】このため、上記空間に化学的に不活性な窒
素などの乾燥気体を封入することによって、該サーモ・
モジュール41と該温度基準板42の表面が露点以下の
温度になっても、該サーモ・モジュール41と該温度基
準板42の表面に結露が生じないようにすることができ
る。
【0246】又、該シム48と該熱源導入光学系鏡筒6
3に設けた長径穴64によって、アフォーカル・レンズ
系とイメージ・レンズ系に対する該反射ミラー62の位
置の調整を行なうことができる。
【0247】まず、該シム48の厚さを調整することに
よって、イメージ・レンズ系に対する該反射ミラー62
の位置の調整、即ち、図2のBの方向での位置の調整を
行なうことができる。
【0248】次に、該温度基準熱源固定ねじ47を緩め
た状態で該熱源導入光学系鏡筒63に固定されている該
放熱フレーム45を該長径穴64の長径の方向にずらす
ことによってアフォーカル・レンズ系に対する該反射ミ
ラー62の位置の調整、即ち、図2のAの方向での位置
の調整を行なうことができる。
【0249】図10の構成の利点は下記の通りである。
【0250】即ち、温度基準熱源4においては、放熱フ
ィンとファンを適用しないで、サーモ・モジュールの発
熱エネルギーを直接放熱フレーム45に逃がす構成をと
っているので、温度基準熱源4自体の小型化と構成の簡
易化ができる。
【0251】又、熱源導入光学系6においては、反射ミ
ラー62を熱源導入光学系鏡筒63に直接取り付けるこ
とによって熱源導入光学系自体の構成の簡易化ができ、
シム48と長径穴64による位置調整によって該反射ミ
ラー62のアフォーカル・レンズ系とイメージ・レンズ
系に対する位置調整を正確且つ容易に行なうことができ
る。
【0252】更に、温度基準熱源4と熱源導入光学系6
の間の空間に乾燥気体を封入することによってサーモ・
モジュール41と温度基準板42表面での結露を防止す
ることができる。
【0253】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
以下に列挙する効果を奏する赤外線撮像装置を実現する
ことができる。
【0254】水平スキャナの走査角を小さくすることが
できるので、水平スキャナの大きさと質量を縮減するこ
とができる。
【0255】アフォーカル系の第一の結像面への赤外線
検知素子の投影の大きさを一定に保つことができるの
で、水平スキャナの走査角を小さくすることができ、水
平スキャナの大きさと質量を縮減することができる。
【0256】温度変動を見込んで水平スキャナの振角を
大きく設定する必要がなくなり、水平スキャナの大きさ
と質量を縮減することができる。
【0257】温度基準熱源導入系の光束と反射ミラーの
相対位置の調整機構が簡易になって、赤外線撮像装置を
小型化することができる。
【0258】温度基準熱源を構成するサーモ・モジュー
ルの吸熱量と発熱量を直接温度基準熱源導入系の鏡筒に
逃がしてやることができ、温度基準熱源から放熱フィン
とファンを除去することができるので、温度基準熱源の
大きさを縮減することができる。これは、とりもなおさ
ず赤外線撮像装置の小型化である。
【0259】水平スキャナの走査角から直接画像データ
と温度基準熱源データを取り込むパルスを生成するの
で、パルス生成の信頼度を高めることが可能になり、こ
れによって赤外線撮像装置の表示自体の信頼度も高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の赤外線撮像装置の構成(その1)。
【図2】 本発明の赤外線撮像装置の光学系の構成。
【図3】 本発明の赤外線撮像装置の構成(その2)。
【図4】 本発明の反射ミラーの位置と水平走査範囲。
【図5】 本発明の水平走査ミラーの所要振角。
【図6】 水平走査ミラーの振角と水平走査ミラーの大
きさの関係。
【図7】 本発明のレンズ位置調整のための構成。
【図8】 本発明の3点型光学式角度検出器。
【図9】 本発明の画像データ取り込み信号と温度基準
熱源データ取り込み信号。
【図10】 本発明の温度基準熱源と熱源導入光学系の
構成。
【図11】 従来の赤外線撮像装置の構成。
【図12】 1次元赤外線検知素子の代表的な素子配
列。
【図13】 赤外線検知素子の出力のばらつき。
【図14】 2次元画像を得るための水平スキャナの走
査波形。
【図15】 従来の水平走査範囲と反射ミラーの位置。
【図16】 従来の水平走査ミラーの所要振角。
【図17】 赤外線検知素子の投影像の大きさの変動。
【図18】 従来の光学式角度検出器の構成。
【図19】 従来の画像データ取り込み信号と温度基準
熱源データ取り込み信号。
【図20】 温度基準熱源と熱源導入光学系及び反射ミ
ラーの構成。
【符号の説明】
1 赤外線検知器 2 イメージ・レンズ系 2a イメージ・レンズ系 3 水平スキャナ 3a 水平スキャナ 4 温度基準熱源 4a 温度基準熱源 4b 温度基準熱源 4c 温度基準熱源 5 アフォーカル・レンズ系 5a アフォーカル・レンズ系 6 熱源導入光学系 6a 熱源導入光学系 7 画像処理系 7a 画像処理系 8 温度基準熱源制御系 9 レンズ系位置調整制御系 11 赤外線検知素子 12 冷却器 13 真空容器 14 窓 21 イメージ・レンズ系第一レンズ 22 遮蔽板 23 垂直走査ミラー 24 イメージ・レンズ系第二レンズ 25 折り返しミラー 26 イメージ・レンズ系第三レンズ 27 モータ 28 ポテンショ・メータ 29 鏡筒 31 水平走査ミラー 32 水平スキャナ制御用角度検出器 33 水平走査駆動部 34 3点型光学式角度検出器 34a 光学式角度検出器 41 サーモ・モジュール 42 温度基準板 43 放熱フィン 44 ファン 45 放熱フレーム 46 Oリング 47 温度基準熱源固定ねじ 48 シム 49 放熱フレーム固定ねじ 51 対物レンズ・ユニット 52 リレー・レンズ・ユニット 61 温度基準熱源導入レンズ系 62 反射ミラー 63 熱源導入光学系鏡筒 64 長径穴 71 増幅器 72 信号処理回路 72a 信号処理回路 73 画像処理回路 74 モニタ 81 高温側指令電圧生成回路 81a 低温側指令電圧生成回路 82 高温側検出電圧生成回路 82a 低温側検出電圧生成回路 83 加算回路 83a 加算回路 84 電力増幅器 84a 電力増幅器 91 温度センサ 92 制御回路 111 基板 112 単位赤外線検知素子 291 回転フレーム 292 ねじ機構 293 ボール・ベアリング 294 歯車 294a 歯車 295 歯車 295a 歯車 341 発光ダイオード(LED) 342 コリメータ・レンズ 343 反射鏡 344 フォト・ダイオード(PD) 344a フォト・ダイオード(PD) 344b フォト・ダイオード(PD) 345 集光レンズ 346 制御基板 346a 制御基板 511 中視野レンズ 512 広視野レンズ 513 モータ 514 ポテンショ・メータ 521 リレー・レンズ・ユニット第一レンズ 522 リレー・レンズ・ユニット第二レンズ 523 鏡筒 631 ねじ 632 第一のブロック 633 第二のブロック 634 第三のブロック 635 ねじ 921 読み出し専用メモリ部 922 加算回路 923 電力増幅器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樽川 昌 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 株式会社富士通システム統合研究所 内 Fターム(参考) 2G066 AA06 AC09 AC13 BA11 BA22 BA25 BA27 BA44 BA53 BB07 BB11 BC11 BC21 CA02 CA15 CB03 5C024 AA06 EA00 EA03 EA04 HA12 HA23 JA05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外線検知素子を使用し、測定対象物体
    が放射する赤外線像を結像するアフォーカル第一結像面
    上の有効走査領域の外側に設定される無効走査領域にお
    いて温度基準熱源が放射する赤外線をアフォーカル・レ
    ンズ系に取り込んで赤外線検知素子のばらつきを補正し
    て、有効走査領域に結像される赤外線画像を表示する赤
    外線撮像装置であって、 赤外線画像の視野の範囲に赤外線検知素子の幅を加えた
    領域を有効走査領域とし、該有効走査領域の外側を無効
    走査領域として、 該有効走査領域と該無効走査領域の境界に、該温度基準
    熱源が放射する赤外線を反射させる反射ミラーの有効走
    査領域に対して内側の縁を設置することを特徴とする赤
    外線撮像装置。
  2. 【請求項2】 赤外線検知素子を使用し、測定対象物体
    が放射する赤外線像を結像するアフォーカル第一結像面
    上の有効走査領域の外側に設定される無効走査領域にお
    いて温度基準熱源が放射する赤外線をアフォーカル・レ
    ンズ系に取り込んで赤外線検知素子のばらつきを補正し
    て、有効走査領域に結像される赤外線画像を表示する赤
    外線撮像装置であって、 アフォーカル第一結像面上で赤外線検知素子の投影像を
    走査する水平走査ミラーの角度を、該水平走査ミラーが
    走査範囲の中心を走査する時と、該水平走査ミラーが前
    記有効走査領域から無効走査領域に向けて走査する時
    と、該水平走査ミラーが前記無効走査領域から有効走査
    領域に向けて走査する時の3点において検出してパルス
    を出力する角度検出器を備えることを特徴とする赤外線
    撮像装置。
  3. 【請求項3】 赤外線検知素子を使用し、測定対象物体
    が放射する赤外線像を結像するアフォーカル第一結像面
    上の有効走査領域の外側に設定される無効走査領域にお
    いて温度基準熱源が放射する赤外線をアフォーカル・レ
    ンズ系に取り込んで赤外線検知素子のばらつきを補正し
    て、有効走査領域に結像される赤外線画像を表示する赤
    外線撮像装置であって、 アフォーカル第一結像面より前方に配置される少なくと
    も一のレンズと、アフォーカル第一結像面より後方に配
    置される少なくとも一のレンズの位置を、環境温度の変
    動に対応して調整する機構を備えることを特徴とする赤
    外線撮像装置。
  4. 【請求項4】 赤外線検知素子を使用し、測定対象物体
    が放射する赤外線像を結像するアフォーカル第一結像面
    上の有効走査領域の外側に設定される無効走査領域にお
    いて温度基準熱源が放射する赤外線をアフォーカル・レ
    ンズ系に取り込んで赤外線検知素子のばらつきを補正し
    て、有効走査領域に結像される赤外線画像を表示する赤
    外線撮像装置であって、 温度基準熱源を構成する温度基準板の温度を制御するサ
    ーモ・モジュールを放熱フレームに直接接着固定して、
    伝導放熱によって該サーモ・モジュールの発熱エネルギ
    ーを放熱する温度基準熱源を備えることを特徴とする赤
    外線撮像装置。
  5. 【請求項5】 赤外線検知素子を使用し、測定対象物体
    が放射する赤外線像を結像するアフォーカル第一結像面
    上の有効走査領域の外側に設定される無効走査領域にお
    いて温度基準熱源が放射する赤外線をアフォーカル・レ
    ンズ系に取り込んで赤外線検知素子のばらつきを補正し
    て、有効走査領域に結像される赤外線画像を表示する赤
    外線撮像装置であって、 請求項3に記載の温度基準熱源と、該温度基準熱源が放
    射する赤外線をアフォーカル・レンズ系に導入する熱源
    導入光学系を固定し、 該熱源導入光学系を構成する熱源導入光学系鏡筒に、温
    度基準熱源が放射する赤外線をアフォーカル・レンズ系
    に取り込む反射ミラーを固定し、 該熱源導入光学系鏡筒とアフォーカル・レンズ系の鏡筒
    との間にシムを挟み、該熱源導入光学系鏡筒に設けた長
    径穴を介して該熱源導入光学系鏡筒をアフォーカル・レ
    ンズ系の鏡筒にネジ止め固定する構造を備えることを特
    徴とする赤外線撮像装置。
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