JP2000256574A - 親水性粒子の製造方法 - Google Patents

親水性粒子の製造方法

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JP2000256574A
JP2000256574A JP11059034A JP5903499A JP2000256574A JP 2000256574 A JP2000256574 A JP 2000256574A JP 11059034 A JP11059034 A JP 11059034A JP 5903499 A JP5903499 A JP 5903499A JP 2000256574 A JP2000256574 A JP 2000256574A
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hydrophilic
pigment
steam
liquid
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JP11059034A
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English (en)
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Takahiro Horiuchi
貴洋 堀内
Kiyobumi Morimoto
清文 森本
Kenjiro Wayaku
健二郎 和薬
Masahiro Yuhara
真博 湯原
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 疎水性物質に対し、安定的かつ再現性良く親
水化処理を行うことができる親水性粒子の製造方法、お
よび、親水化付与処理前後で変色を起こすことなく、顔
料より親水性粒子を製造する製造方法を提供する。 【解決手段】 親水性粒子の製造装置21は、疎水性物
質を酸性液(硫酸とクロロスルホン酸とを少なくとも含
み、両者の混合比率が体積比で20:1から1:20の
範囲内である溶液)に溶解してなる溶液14を液状粒子
にする噴霧装置10と、噴霧装置10で造粒された液状
粒子を過飽和水蒸気に曝して液状粒子表面に水を凝縮さ
せる混合部22bとを備える。疎水性物質は、酸性液に
溶解することにより親水性が付与される。過飽和水蒸気
は、液状粒子と接触すると該液状粒子を核として凝縮し
て溶液と混合し、該溶液を希釈する。このため、酸性液
(溶液)に溶解していた親水性物質が析出して親水性粒
子となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば顔料等の疎
水性物質に対し親水性を付与した、親水性粒子の製造方
法に関するものである。より詳しくは、特に、疎水性物
質に親水性を付与すべく疎水性物質を酸性溶液に溶解し
てなる溶液から親水化処理(親水性を付与する処理)を
施された粒子を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種粒子の性質を改質する方
法が種々提案されている。具体的には、例えば、疎水性
を有する粒子(疎水性物質)を改質剤で処理することに
よって粒子表面に改質剤の膜を形成して親水性を付与す
る改質方法、即ち、粒子表面を親水性を有する改質剤に
て被覆する改質方法が種々実施されている。上記改質方
法としては、乾式法、混練法、媒体を用いた撹拌法(液
相中にて表面改質を行う方法)、スプレードライ法等が
知られている。
【0003】例えば、「微粒子工学−分散の基礎と応用
−」(社団法人日本粉体工業技術協会編集;株式会社朝
倉書店発行;1994年6月25日初版第1刷)123頁〜1
36頁には、高速回転式衝撃粉砕機や摩砕式ミル、ジェ
ットミル等の乾式粉砕機を用いて、粉体状の粒子表面に
粉体状の異種成分(表面改質剤)を結合させることによ
り、該粒子表面の性質が改質された被覆型複合粒子を製
造する方法が述べられている。
【0004】しかしながら、上記従来の改質方法では、
下記に示す問題点を有している。
【0005】1)粒子を改質剤で処理する際に、撹拌翼
等の撹拌装置を用いて粒子を撹拌するので、該粒子が摩
擦等によって帯電し、得られる改質粒子(親水性粒子)
の取り扱いが困難となる。また、処理に非常に長時間を
要し、さらに、処理を行う際の操作が煩雑であり、か
つ、高価な装置を用いなければならない。
【0006】2)得られる改質粒子の粒子径が処理前の
粒子径に左右されると共に、粒子を改質剤で処理する際
に例えば粒子の凝集等が生じるために、得られる改質粒
子の粒子径が大きくかつ不揃いとなり易い。さらに、サ
ブミクロンオーダーの微小粒子の処理を行う際において
は、個々の粒子にそれぞれ処理を安定に行うことは困難
である。
【0007】3)撹拌装置を用いて粒子を撹拌すること
によって粒子を改質剤で処理するので、改質剤等の各種
薬品を、粒子の処理に必要な理論量よりも遥かに多量に
使用しなければならず、しかも、廃液処理等の後処理が
面倒である。それゆえ、表面改質粒子の製造コスト(処
理コスト)が高くなる。
【0008】上記問題を解決するために、本願発明人
は、例えば、常温・常圧で固体である疎水性物質に親水
性を付与すべく、前記疎水性物質を酸性液に溶解してな
る溶液を粒子状にした後、前記粒子を水蒸気を含む蒸気
と接触させるとともに、該蒸気の過飽和雰囲気を形成
し、粒子表面に水を凝縮させる親水性粒子の製造方法を
発明した。
【0009】また、上記製造方法が適用される好ましい
形態の製造装置は、常温・常圧で固体である疎水性物質
に親水性を付与すべく前記疎水性物質を酸性液に溶解し
てなる溶液を粒子状にする造粒装置と、前記造粒装置で
造粒された粒子を水蒸気を含む過飽和蒸気と接触させ
て、粒子表面に水を凝縮させる凝縮装置とを備えている
構成である。尚、上記疎水性物質は、特に限定されるも
のではないが、顔料であることが望ましく、色相が青・
赤・黄の顔料であることが、さらに望ましい。
【0010】上記の製造方法および製造装置によれば、
粒子を帯電させることなく、簡便な装置および操作によ
り短時間で、かつ安価に、粒子径が比較的小さくそろっ
た親水性粒子を製造することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
親水性粒子の製造方法によっても、親水性粒子を安定
に、再現性良く製造するためには充分でない場合がある
ことが判明した。また、場合によっては、疎水性物質と
しての顔料(特に、黄色系顔料)に酸性液を用いて親水
性付与処理を行うと、親水化処理は可能であるが、顔料
自体が変色するということが判明した。
【0012】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであって、その目的は、原料となる疎水性物
質から親水性粒子を安定に再現性良く製造することがで
きる親水性粒子の製造方法を提供することにある。さら
には、親水性付与処理前後で変色を起こすことなく、親
水性顔料粒子(特に、黄色系顔料粒子)を製造する製造
方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
親水性粒子の製造方法は、上記の課題を解決するため
に、疎水性物質に親水性を付与すべく、該疎水性物質を
酸性液に溶解してなる溶液を粒子状にした後、該粒子を
水蒸気を含む蒸気と接触させるとともに、該蒸気の過飽
和雰囲気を形成し、該粒子の表面に水を凝縮させる親水
性粒子の製造方法において、上記酸性液が硫酸とクロロ
スルホン酸とを含んでなり、さらに、前記酸性液におけ
る硫酸とクロロスルホン酸との体積比が20:1から
1:20の範囲内にあることを特徴としている。
【0014】上記の方法によれば、硫酸とクロロスルホ
ン酸とを上記の混合割合の範囲内で含んでなる酸性液に
溶解することによって疎水性物質に親水性が付与され、
該疎水性物質は親水化される。そして、粒子状にした溶
液(粒子)を、水蒸気を含む蒸気の過飽和雰囲気に曝す
ことによって該溶液を希釈する。そして、溶液に溶解し
ている親水性物質(つまり、親水化された疎水性物質)
は、溶液が希釈されることによって析出して親水性粒子
となる。
【0015】上記の混合割合の範囲内で硫酸とクロロス
ルホン酸とを含むように酸性液を調製すれば、該酸性液
が化学的に安定し、その結果、疎水性物質の親水化処理
の再現性、および、疎水性物質が顔料である場合には親
水化処理後の疎水性物質(親水性粒子)の色相の安定化
が可能となる。すなわち、親水性粒子の親水化の度合い
のばらつきや、原料となる疎水性物質(顔料)と比較し
た場合の色相の変化を抑制することが可能となる。
【0016】また、従来の方法とは異なり、撹拌翼等の
撹拌装置を用いて粒子を撹拌する工程を必要としないの
で、製造された親水性粒子が摩擦等によって帯電するお
それが無い。
【0017】さらに、水蒸気を含む蒸気を発生させるこ
とのできる装置を用いるので、簡便な装置および操作で
短時間で処理することができる。さらに、親水性粒子が
析出によって形成されるので、得られる親水性粒子の粒
子径が、用いた疎水性物質の粒子径に左右されず、ま
た、該親水性粒子の粒子径を比較的小さくかつ揃えるこ
とができる。
【0018】すなわち、上記の方法によれば、粒子を帯
電させることなく、しかも、簡便な装置および操作で短
時間でかつ安価に、粒子径が比較的小さくかつ揃った親
水性粒子を製造することができる。さらには、疎水性物
質から親水性粒子を安定に再現性良く製造することが可
能であり、かつ、親水性付与処理前後で変色を抑制し、
親水性顔料粒子を製造することができる。
【0019】本発明の請求項2記載の親水性粒子の製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の
方法において、上記過飽和雰囲気に占める水蒸気の体積
が、10%以上であることを特徴としている。
【0020】液状粒子は、水蒸気を含む蒸気の過飽和雰
囲気に曝されることにより、水が凝集される。過飽和雰
囲気に占める水蒸気の量が少なければ、場合によっては
水の凝縮にバラツキが生じて親水性粒子の析出が不安定
となることがある。しかしながら、上記の方法によれ
ば、すべての液状粒子表面に安定して水を凝縮させるこ
とができるので、親水性粒子を制御性よく安定して製造
することができる。
【0021】本発明の請求項3記載の親水性粒子の製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1または
2のいずれか一項に記載の方法において、上記疎水性物
質が顔料であることを特徴としている。
【0022】上記の方法によれば、親水性を備えた顔料
粒子を安定に、かつ、簡便に製造することができる。ま
た、顔料の色相が赤、青または黄であれば、親水性を備
え、かつ、色相が赤、青または黄である、液晶用フィル
ターや、記録液の記録材等に好適な顔料粒子を安定的か
つ簡便に製造することができる。該顔料粒子は、親水性
付与処理前後の色相の変化が少なく、さらに、顔料本来
の性質である疎水性をも保持しているため液体(疎水性
・親水性を問わない)に均一に分散することができる。
【0023】本発明の請求項4記載の親水性粒子の製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項3記載の
方法において、上記顔料がアゾ構造を有するものである
ことを特徴としている。
【0024】上記の方法によれば、化学的に安定で、親
水化処理前後の顔料の色相変化が少ない親水性粒子(顔
料粒子)を製造することができる。特に、顔料が黄色系
のもの(黄色系顔料)である場合には、親水化処理前後
の顔料の色相変化を抑制することが可能となる。
【0025】本発明の請求項5記載の親水性粒子の製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし
4のいずれか一項に記載の方法において、水蒸気を含む
蒸気を断熱膨張することにより、該蒸気の過飽和雰囲気
が形成されることを特徴としている。
【0026】上記の方法によれば、簡便な装置および操
作で水蒸気を含む蒸気の過飽和雰囲気を形成することが
できる。
【0027】本発明の請求項6記載の親水性粒子の製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし
4のいずれか一項に記載の方法において、水蒸気を含む
蒸気が冷却されることにより、該蒸気の過飽和雰囲気が
形成されることを特徴としている。
【0028】上記の方法によれば、簡便な装置および操
作で水蒸気を含む蒸気の過飽和雰囲気を形成することが
できる。
【0029】本発明の請求項7記載の親水性粒子の製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項6記載の
方法において、水蒸気を含む蒸気と、該蒸気より低い温
度を有する上記粒子とを接触させることにより、該蒸気
が冷却されることを特徴としている。
【0030】上記の方法によれば、水蒸気を含む蒸気
と、該蒸気より低い温度を有する上記粒子とを接触させ
る(混合する)ことにより、該蒸気が冷却されてその過
飽和雰囲気が形成される。すなわち、水蒸気を含む蒸気
を直接的に冷却することなく該蒸気の過飽和雰囲気を形
成することができる。尚、水蒸気を含む蒸気の温度と粒
子の温度との間に上記の温度差が無い場合には、温度差
を持たせるために、A)水蒸気を含む蒸気よりも低温と
なるように溶液を粒子状とする以前の段階で予め冷却し
ておく、または、B)粒子状としたのちに冷却すればよ
い。また、場合によっては、C)水蒸気を含む蒸気を加
熱して温度差を持たせるようにしてもよい。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明にかかる疎水性物質は、分
解や重合等の構造変化を生じることなく以下に述べる酸
性液に可溶であり、かつ、該酸性液によって、親水性の
付与が可能な、即ち、親水性基(スルホン酸基(スルホ
ォン酸基))の導入が可能な物質であればよく、特に限
定されるものではないが、顔料が最適である。本発明に
かかる製造方法によれば、親水性を備えた顔料粒子(親
水性粒子)を製造することができる。また、上記疎水性
物質は、以下に述べる親水化処理後に粒子形状に析出す
るものであれば、常温常圧での態は特に限定されない。
尚、本発明において「常温・常圧」とは、20℃・1気
圧を示すこととする。
【0032】本発明にかかる酸性液は、上記疎水性物質
を溶解することができ、かつ、該疎水性物質に対して親
水性の付与が可能な、即ち、親水性基を導入することが
可能に調製された、硫酸とクロロスルホン酸とを少なく
とも含む混合溶液であって、硫酸とクロロスルホン酸と
の混合比率が体積比で20:1から1:20の範囲内に
あるものであれば良い。上記の範囲内であれば、硫酸と
クロロスルホン酸との混合比率は特に限定されるもので
はないが、10:1から1:10の範囲であれば好まし
く、5:1から1:5の範囲であればさらに好ましい。
酸性液における硫酸とクロロスルホン酸との混合比率を
上記の範囲内に設定することにより、酸性液が化学的に
安定し、その結果、疎水性物質の親水化処理の再現性、
および、親水化処理後の疎水性物質(親水性粒子)の色
相の安定化が可能となる。
【0033】また、該酸性液に対する酸性物質(硫酸お
よびクロロスルホン酸)の含有率は、特に限定されるも
のではないが、より高い方が好ましい。本発明にかかる
製造方法によれば、スルホン酸基(親水性基)が導入さ
れることによって親水性が付与された親水性粒子を製造
することができる。
【0034】上記疎水性物質の一例としての顔料は、ク
ロロスルホン酸および硫酸との反応によってスルホン酸
基を導入することができる構造、つまり、スルホン化を
行うことができる構造を備えていればよく、特に限定さ
れるものではない。該顔料としては、例えば、アゾ顔料
〔アゾ構造を有する顔料の総称、具体的には、モノアゾ
構造、ビスアゾ構造、ポリアゾ構造(アゾ構造を3つ以
上有する構造)、縮合アゾ構造等を有する顔料を指
す〕、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔
料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジ
ゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等が
挙げられる。
【0035】アゾ顔料(縮合アゾ顔料を除く)として
は、具体的には、例えば、C. I. (カラーインデック
ス)Pigment Orange 1,5,13,14,24、C.
I. Pigment Yellow 1,2,3,5,6,10,1
2,13,14,15,16,65,81,83、Fast
Yellow F5G (商品名、山陽色素株式会社製)、 C. I.
Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,8,9,
10,12,18,22,30,32,38,144,
146,150,163,170、C. I. Pigment Viol
et 25等が挙げられ、アゾ顔料の中でも特に縮合アゾ
顔料としては、具体的には、例えば、C. I. Pigment Ye
llow 93,95、P. O. 31、P. R. 144、P. R.
166、 P. Brown 23等が挙げられる。
【0036】フタロシアニン顔料としては、具体的に
は、例えば、C. I. Pigment Blue 15,16等が挙げ
られる。ペリレン顔料およびペリノン顔料としては、具
体的には、例えば、 C. I. Pigment Red 149,17
8,179,190等が挙げられる。キナクリドン顔料
としては、具体的には、例えば、C. I. Pigment Violet
19、 C. I. Pigment Red 122,207等が挙げら
れる。
【0037】ジオキサジン顔料としては、具体的には、
例えば、C. I. Pigment Violet 23等が挙げられる。
チオインジゴ顔料としては、具体的には、例えば、 C.
I. Pigment Red 36,38,41,88等が挙げられ
る。イソインドリノン顔料としては、具体的には、例え
ば、C. I. Pigment Yellow 109,110、C. I.Pig
ment Orange 61等が挙げられる。キノフタロン顔料
としては、具体的には、例えば、C. I. Pigment Yellow
138等が挙げられる。
【0038】上記の顔料のうち、化学的に安定な構造で
あり、親水化処理前後の顔料の色相変化が少ない等の理
由によりアゾ構造を有するものが望ましく、さらには、
モノアゾ構造、ビスアゾ構造、縮合アゾ構造を有するも
のが望ましい。特に、顔料が黄色系のもの(黄色系顔
料)である場合、上記構造を有するものであれば、親水
化処理前後の顔料の色相変化を抑制することが可能とな
る。
【0039】本発明にかかる製造方法は、色相(色の属
性)が赤・青または黄である顔料に対して最適であり、
これにより、親水性を備え、かつ、色相が赤、青または
黄である顔料粒子を製造することができる。
【0040】上記の顔料をクロロスルホン酸および硫酸
を上記の含有比率で含む酸性液に例えば室温にて溶解さ
せることにより、顔料のスルホン化が進行し、スルホン
酸基が導入された顔料、即ち、親水性が付与された顔料
の溶液(以下、単に溶液と記す)が得られる。
【0041】また、顔料を酸性液に溶解させる際には、
必要に応じて、加熱および/または撹拌してもよい。加
熱温度が高いほど、撹拌強度が高い程、撹拌時間が長い
ほど、さらには上記酸性液の濃度が高い程、顔料のスル
ホン化は進行し易い。しかしながら、顔料の種類によっ
ては、高温に長時間曝すと変色するおそれがある。ま
た、場合によっては、顔料のスルホン化の度合いを調整
する必要もある。従って、加熱温度、撹拌強度、撹拌時
間および酸性液の濃度は、顔料の種類や、所望される顔
料分子の親水化の度合い等に応じて設定することが望ま
しい。尚、溶液の調製方法は、特に限定されるものでは
ない。
【0042】上記溶液を粒子状にする方法、つまり、液
状粒子を得る方法は、特に限定されるものではないが、
溶液を噴霧する方法が簡便である。該液状粒子の粒子径
は、所望する親水性粒子の粒子径に応じて設定すればよ
く、特に限定されるものではない。
【0043】本発明にかかる蒸気は、水蒸気を含むもの
であれば、その温度などは特に限定されるものではな
い。しかし、該蒸気の過飽和雰囲気を形成して液状粒子
の表面に水を凝縮させる工程(以下に述べる)までに、
液状粒子の温度以上の温度としておく必要がある。該蒸
気の過飽和雰囲気(過飽和蒸気)を形成する方法として
は、具体的には、例えば、水、または、水を含む共沸組
成物を、常圧下、減圧下または加圧下で加熱して蒸気、
より好ましくは飽和蒸気を形成した後、該蒸気を断熱
膨張させる方法、該蒸気を冷却状態とする方法等が挙
げられるが、特に限定されるものではない。上記の共沸
組成物は、水蒸気を主成分として含む蒸気を発生させる
ことができる組成物がより好ましい。また、蒸気として
は、水蒸気が特に好ましい。
【0044】過飽和雰囲気(過飽和蒸気)に占める水蒸
気の量(体積)は特に限定されるものではないが、10
%以上であれば、疎水性物質への親水性の付与を制御性
よく行うことができ、親水性粒子を安定して製造するこ
とができるので好ましい。
【0045】具体的には、液状粒子は後述するように、
水蒸気を含む蒸気の過飽和雰囲気に曝されることによ
り、その表面に水が凝集される。この時、過飽和雰囲気
に占める水蒸気の量が少なければ、場合によっては粒子
表面の水の凝集にバラツキが生じる(すなわち、水が充
分に凝縮した液状粒子と、不充分な液状粒子が共存す
る)ことがある。このような場合、親水性粒子の析出が
不安定となり好ましくない。しかしながら、過飽和雰囲
気に占める水蒸気の量が上記範囲内にあれば、他の条件
に左右されることなく、すべての液状粒子表面に安定し
て水を凝縮させることができる。
【0046】水蒸気を含む蒸気の過飽和雰囲気を形成
し、液状粒子表面に水を凝縮させる方法は、特に限定さ
れるものではないが、液状粒子を蒸気(または、該蒸気
の過飽和雰囲気)に曝すことによって液状粒子表面に水
を凝縮させる方法が好適である。
【0047】上記方法としては、具体的には、例えば、
蒸気、より好ましくは飽和蒸気を満たした装置内(凝縮
装置内)に液状粒子を導入した後、該蒸気を断熱膨張
させて過飽和雰囲気を形成し、液状粒子表面に水を凝縮
させる方法、該蒸気を冷却状態にして過飽和雰囲気を
形成し、液状粒子表面に水を凝縮させる方法、あるい
は、蒸気と、蒸気よりも低温の液状粒子とを混合する
ことにより、蒸気と液状粒子との温度差を利用して該蒸
気の過飽和雰囲気を形成し、液状粒子表面に水を凝縮さ
せる方法、等が挙げられるが、液状粒子同士の凝集、親
水性粒子(顔料粒子)同士の凝集や変質等を生じない条
件下であればよく、特に限定されるものではない。尚、
上記の方法を採用する場合には、必要に応じて、A)
液状粒子を形成する前に溶液を冷却してもよく、また、
B)液状粒子を形成した後に冷却してもよい。さらに場
合によっては、C)蒸気を加熱してもよい。
【0048】これにより、蒸気の過飽和雰囲気と液状粒
子とが接触して該液状粒子を核として水が凝縮し、該溶
液を希釈する。このため、溶液(酸性液)に溶解してい
る親水性物質(顔料)は、溶液が希釈されることによっ
て析出して親水性粒子(顔料粒子)となる。
【0049】液状粒子を過飽和蒸気と接触させる際に
は、過飽和蒸気が、液状粒子の温度よりも高い温度を有
していればよいが、水がより一層凝縮し易くなるよう
に、両者の温度差が大きければ大きいほど、より好まし
い。つまり、液状粒子は、過飽和蒸気の温度よりも低い
温度を有していればよいが、一層円滑に進行させるため
に、冷却されていることがより好ましい。
【0050】蒸気(より好ましくは飽和蒸気)を満たし
た装置内に液状粒子を導入する方法は、特に限定される
ものではないが、塵埃等の不純物を含まない不活性ガス
をキャリアとして用い、該不活性ガスと共に液状粒子を
吹き込む方法が簡便である。つまり、本発明にかかる製
造方法においては、液状粒子を蒸気と不活性ガスの存在
下で接触させることができる。
【0051】該不活性ガスとしては、具体的には、例え
ば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げら
れるが、特に限定されるものではなく、本発明にかかる
製造方法において用いる液状粒子および蒸気、並びに、
得られる親水性粒子に対して不活性なガスであればよ
い。不活性ガスを液状粒子のキャリアとして用いること
により、親水性粒子が析出によって形成される際におけ
る、キャリアを要因とする親水性粒子に対する好ましく
ない反応(例えば、粒子表面の酸化等)や作用等を排除
し、安定して親水性粒子を製造することができる。
【0052】液状粒子表面に凝縮する水の量は、液状粒
子の粒子径や密度、蒸気(過飽和蒸気)の密度、処理時
間、処理温度(液状粒子と蒸気との温度差)等の処理条
件を適宜選択することによって調節することができる。
つまり、液状粒子に含まれる酸性液が希釈される希釈速
度、並びに希釈倍率は、上記処理条件を適宜選択するこ
とによって調節することができる。
【0053】そして、溶液が希釈されることによって析
出する親水性粒子の粒子径は、溶液における親水性物質
の濃度、上記液状粒子の粒子径、希釈倍率等に左右され
るので、これら処理条件を適宜選択することによって、
任意に設定することができる。
【0054】例えば粒子径が0.3μmの液状粒子は、
その表面に水が凝縮することによって粒子径が凡そ3μ
mの液状粒子(水滴)となる。従って、溶液は凡そ10
00倍に希釈されることになるので、該溶液に溶解して
いる親水性物質は不溶化し、析出して親水性粒子とな
る。親水性粒子の粒子径は、任意に設定することができ
るが、0.01μm〜50μmの範囲内がより好まし
く、0.01μm〜5μmの範囲内が特に好ましい。本
発明にかかる製造方法においては、親水性粒子を析出に
よって形成するので、得られる親水性粒子の粒子径が、
最初に用いた疎水性物質の粒子径に左右されない。それ
ゆえ、粒子径が比較的小さくかつ揃った親水性粒子を得
ることができる。
【0055】上記方法によって得られた親水性粒子は、
捕集した後、必要に応じて、超純水等を用いて水洗され
ることが好ましい。これにより、不純物が除去された親
水性粒子を製造することができる。水洗された親水性粒
子は、必要に応じて、該親水性粒子同士が凝集しない程
度に乾燥させればよい。親水性粒子に含まれる不純物が
除去されたか否かは、例えば、洗浄液のpHを目安とし
て判断すればよい。親水性粒子の捕集方法、水洗方法お
よび乾燥方法は、特に限定されるものではない。
【0056】以上のように、本発明にかかる親水性粒子
の製造方法は、疎水性物質に親水性を付与すべく、該疎
水性物質を酸性液に溶解してなる溶液を粒子状にした
後、該粒子を水蒸気を含む蒸気の過飽和雰囲気中に曝す
ことにより、該粒子の表面に水を凝縮させる親水性粒子
の製造方法において、上記酸性液が硫酸とクロロスルホ
ン酸とを少なくとも含んでなり、さらに、前記酸性液に
おける硫酸とクロロスルホン酸との混合比率が20:1
から1:20の範囲内にある方法である。
【0057】上記の方法によれば、酸性液に溶解するこ
とによって疎水性物質に親水性が付与され、該疎水性物
質は親水化される。そして、水蒸気を含む蒸気の過飽和
雰囲気中に液状粒子が曝されると、該液状粒子を核とし
て水が凝縮することによって酸性溶液と混合し、該溶液
を希釈する。このため、溶液に溶解している親水性物質
は、該溶液が希釈されることによって析出して親水性粒
子となる。
【0058】上記の混合割合の範囲内で硫酸とクロロス
ルホン酸とを少なくとも含むように酸性液を調製すれ
ば、該酸性液が化学的に安定し、その結果、疎水性物質
の親水化処理の再現性、および、疎水性物質が顔料であ
る場合には親水化処理後の疎水性物質(親水性粒子)の
色相の安定化が可能となる。すなわち、親水性粒子の親
水化の度合いのばらつきや、原料となる疎水性物質(顔
料)と比較した場合の色相の変化を抑制することが可能
となる。
【0059】また、従来の方法とは異なり、撹拌翼等の
撹拌装置を用いて粒子を撹拌する工程を必要としないの
で、製造された親水性粒子が摩擦等によって帯電するお
それが無い。さらに、親水性粒子が析出によって形成さ
れるので、得られる親水性粒子の粒子径が、用いた疎水
性物質の粒子径に左右されず、また、該親水性粒子の粒
子径を比較的小さくかつ揃えることができる。
【0060】すなわち、上記の方法によれば、粒子を帯
電させることなく、しかも、簡便な装置および操作で短
時間でかつ安価に、粒子径が比較的小さくかつ揃った親
水性粒子を製造することができる。さらには、疎水性物
質から親水性粒子を安定に再現性良く製造することが可
能であり、かつ、親水性付与処理前後で変色を起こすこ
となく、親水性顔料粒子を製造することができる。
【0061】上記説明の製造方法によって得られる親水
性粒子は、少なくとも粒子表面に親水性基が導入される
ことによって親水性が付与されているので、親水性の液
体(水であってもよい)に対する濡れ性が向上されてい
る。また、原料となる疎水性物質本来の性質である疎水
性を有している。より具体的には、例えば、顔料粒子
は、少なくともその表面にスルホン酸基が導入され親水
性が付与されていると共に、顔料本来の性質である疎水
性を有している。よって、上記親水性の液体または疎水
性(親油性)の液体の双方に対する濡れ性が向上され
る。したがって、例えば、上記親水性粒子を記録液の記
録材として使用すれば、液体の親水性・疎水性を問わず
一様に分散させることが可能であり、使用範囲を拡大す
ることができる。また、紙などの記録媒体とのなじみ易
さも向上する。すなわち、記録媒体の表面が親水性材料
・疎水性材料のいずれによって構成されていても良好な
記録が可能となる。
【0062】また、疎水性物質の分子が複数のスルホン
酸基を導入可能な構造であれば、上記説明のように親水
化処理の度合いを調整することもできる。
【0063】次に、図1および図8に基づき、本発明の
親水性粒子の製造方法が好適に適用される製造装置およ
び該装置の動作の概略について説明する。尚、本発明の
製造方法が適用される製造装置は、特に以下に例示のも
のに限定されない。
【0064】〔製造装置1〕本発明の親水性粒子の製造
方法に好適に供される製造装置の一例について、図1に
基づいて説明すれば、以下の通りである。図1に示すよ
うに、製造装置21は、上記疎水性物質を溶かしてなる
溶液14を粒子状にする造粒装置としての噴霧装置1
0、蒸気発生部22aおよび管状の混合部22bからな
る凝縮装置としての改質塔22、光学測定装置3A・3
B等を備えており、親水性粒子を連続的に製造すること
ができるようになっている。
【0065】上記の光学測定装置3Aは、各筐体3j・
3h・3iの内部に、光源3a、レンズ3b、遮光板
(図示せず)、ガラス等からなる混合部22bとの仕切
り板である透光板3e・3f、光検出部3g等がそれぞ
れ配設されることによって構成されている。光学測定装
置3Aは、光源3aから出射された光を、レンズ3b、
遮光板の開口部、透光板3e、混合部22b内部、およ
び透光板3fを経て光検出部3gに入射させるようにな
っている。
【0066】光源3aから出射された光は、混合部22
b内部の親水性粒子によって散乱および減光することに
よって、その光量が変化する。これにより、光学測定装
置3Aは、入射された光量に応じて光検出部3gから出
力される信号に基づいて、親水性粒子の粒子径や、単位
体積に含まれる液状粒子の個数(液状粒子の密度)を測
定するようになっている。光学測定装置3Aを用いて親
水性粒子の粒子径を測定することにより、該粒子径を制
御することができる。
【0067】一方、光学測定装置3Bは、光学測定装置
3Aの構成と同様の構成を備えており、噴霧装置10か
ら供給される液状粒子の粒子径、並びに、単位体積に含
まれる液状粒子の個数(液状粒子の密度)を測定するよ
うになっている。
【0068】尚、上記の光学測定装置3A・3Bは、光
透析・散乱法を採用して粒子径を測定する構成となって
いるが、測定法は特に限定されるものではなく、例え
ば、X線透過法、沈降法、レーザ回折・散乱法、動的散
乱を利用した光子相関法等を採用することもできる。ま
た、光学的に測定する方法以外に、光学顕微鏡や電子顕
微鏡を使用する画像処理解析法等を採用することもでき
る。これらのような光学測定装置3A・3Bを設けるこ
とにより、光学測定装置3A・3Bからの測定結果に基
づき、親水性粒子の製造工程を制御することにより、小
粒子径で、かつ、粒子径のそろった親水性粒子を安定に
製造することが可能となる。
【0069】蒸気発生部22aは、水平方向に延びる細
長い円柱形状または角柱形状をなし、内壁部2aと外壁
部2bとで構成されており、内部が蒸気発生空間となっ
ている。内壁部2aの少なくとも一部は、水または水を
含む共沸組成物(以下、単に水と記す)といった水性溶
液に対して親和性を有して、上記水性溶液を保持できる
セラミックスや不織布等の多孔質材料で構成されてい
る。
【0070】上記内壁部2aには、水が予め付着または
含浸されており、これにより、内壁部2aは、蒸気発生
部22a内部の温度並びに圧力が、図示しないマイクロ
コンピュータ等の制御手段により調節されることによっ
て、蒸気、より好ましくは飽和蒸気を発生するようにな
っている。一方、外壁部2bは、ステンレス等で構成さ
れている。
【0071】蒸気発生部22aの外周部には、加熱装置
7が例えば螺旋状に巻回されて取り付けられている。ま
た、蒸気発生部22aの上方部には、蒸気発生空間の温
度を測定するための温度計8および湿度を測定する湿度
検知手段(図示せず)が取り付けられている。尚、蒸気
発生部22aの形状は、特に限定されるものではない
が、本製造装置を用いて親水性粒子を効率的に製造する
には、縦長形状よりも上記横長形状であることがより好
ましい。
【0072】蒸気発生部22aの長手方向に延びる上記
蒸気発生空間は、蒸気発生部22aの軸方向に対して上
下方向に傾斜した例えば円柱穴形に形成されている。ま
た、蒸気発生部22a内部における下方側端部には、水
20を貯留するための貯留部2cが形成されている。
【0073】そして、蒸気発生部22a内部が傾斜して
いるので、内壁部2aに予め付着または含浸されている
水20は、蒸気を発生すると共に、その一部が貯留部2
cに流れ込む。さらに、蒸気発生部22a内部における
下方側端部には、不活性ガス等の清浄ガスを改質塔22
内部に供給する清浄ガス供給管2dが接続されている。
清浄ガス供給管2dは、バルブ2eを介して図示しない
清浄ガス供給装置に接続されている。尚、内壁部2aに
水を予め付着または含浸させる代わりに、貯留部2cに
水を予め貯留することもできる。
【0074】蒸気発生部22aの上部には、上下方向に
延びる細長い円柱形状をなす混合部22bが、蒸気発生
部22aの内部となる蒸気発生空間における上方側端部
に連通するように接続されている。混合部22bは、ス
テンレス等からなる混合管29と、該混合管29の外周
部に設けられた冷却部30とで構成されており、内部が
処理空間となっている。このことから、処理空間は、蒸
気発生空間と連通している。混合部22bの上方部に
は、処理空間の温度を測定するための温度計8が取り付
けられている。
【0075】そして、蒸気発生部22aと混合部22b
との接続部近傍には、粒子供給管4がその開口部である
粒子導入口4aを上にした状態で混合管29に接続され
ている。一方、混合部22bの上方側端部は、改質塔2
2内部の親水性粒子の粒子径を光学的に測定する光学測
定装置3A、および粒子取出管5を介して図示しない粒
子回収装置に接続されている。従って、製造装置21
は、主に、上記の噴霧装置10、改質塔22、光学測定
装置3A・3B、図示しない粒子回収装置や制御手段等
で構成されている。
【0076】粒子供給管4は、改質塔22に供給される
液状粒子の粒子径を光学的に測定する光学測定装置3B
を介して粒子供給管18と連通している。該粒子供給管
18は、噴霧装置10に接続されている。粒子供給管4
には、該管内の温度を測定するための温度計8が取り付
けられている。そして、粒子供給管4は、不活性ガスと
共に液状粒子を混合管29内部に連続的に供給するよう
になっている。
【0077】噴霧装置10は、噴霧容器10a、ノズル
11、溶液供給管15、バッフル(粒子径調節部)1
6、粒子供給管18等を備えており、液状粒子を混合管
29内部に連続的に供給することができるようになって
いる。上記ノズル11の先端部11a、溶液供給管15
の上端部15a、バッフル16の先端部16a、およ
び、粒子供給管18の開口部は、ほぼ一直線上にかつ水
平となるように配置されている。
【0078】噴霧容器10aには、顔料等の疎水性物質
を酸性液に溶解してなる溶液14が所定量、仕込まれて
いる。尚、疎水性物質が顔料である場合における該顔料
の粒子径は、通常1nm〜5μm程度であるが、特に限
定されるものではない。
【0079】溶液供給管15は、支持部材17によって
ノズル11に固定されている。溶液供給管15は、その
下端部が溶液14に浸漬されており、上端部15aに不
活性ガスが水平に吹き付けられて内部が減圧状態となる
ことによって、溶液14を該上端部15aまで吸い上げ
るようになっている。
【0080】ノズル11は、噴霧容器10aにおける粒
子供給管18に対向する位置に接続されており、不活性
ガス(キャリア)を噴霧容器10a内部に供給する。ノ
ズル11は、エアーフィルタ(不純物除去装置)13お
よびミスト除去部(不純物除去装置)12を介して図示
しない不活性ガス供給装置に接続されている。そして、
ノズル11は、その先端部11aから溶液供給管15の
上端部15aに不活性ガスを水平に吹き付けて溶液14
を噴霧することによって、該溶液14を粒子状(霧状)
にするようになっている。上記のミスト除去部12およ
びエアーフィルタ13は、噴霧容器10aに清浄な不活
性ガスが供給されるように、不活性ガスに含まれる不純
物を除去するようになっている。
【0081】バッフル16は、溶液供給管15に固定さ
れており、球状の先端部16aを有している。バッフル
16は、その先端部16aに、溶液供給管15の上端部
15aにて造粒された液状粒子が不活性ガスと共に衝突
することにより、粒子径の比較的大きな液状粒子を除去
するようになっている。つまり、バッフル16によって
液状粒子の粒子径を調節することによって、噴霧装置1
0は、粒子径が比較的小さくかつ揃った液状粒子を混合
管29内部に供給するようになっている。
【0082】混合管29内部に供給すべき液状粒子の最
大粒子径は、バッフル16の先端部16aの大きさを適
宜調節することによって、任意に制御することができ
る。また、液状粒子の単位時間当たりの供給量は、溶液
供給管15の管径、不活性ガスの流量および流速等の噴
霧条件を調節することによって、任意に制御することが
できる。尚、バッフル16によって除去された液状粒子
は、バッフル16を伝って流れ落ち、溶液14として再
利用される。
【0083】粒子供給管18は、噴霧容器10aにおけ
るノズル11に対向する位置に接続されている。また、
粒子供給管18は、光学測定装置3Bを介して、混合部
22bに接続されている粒子供給管4と連通している。
粒子供給管18における光学測定装置3B側端部には、
液状粒子を必要に応じて冷却する冷却装置19が設けら
れている。
【0084】該冷却装置19は、ペルチェ素子を備えて
おり、ペルチェ効果によって粒子供給管18内部、つま
り、粒子供給管18内の液状粒子を冷却するようになっ
ている。冷却装置19は、所望する冷却温度に対応した
構成とすればよく、特に限定されるものではない。冷却
装置19は、例えば、液体窒素や水、ドライアイス等に
よって冷却された有機溶媒(冷媒)を用いて液状粒子を
冷却する構成を備えていてもよい。或いは、冷却装置1
9は、例えば、水や氷水等の冷媒が流通されるリービッ
ヒ冷却管であってもよい。
【0085】上記構成の製造装置21を用いて親水性粒
子を製造するには、先ず、改質塔22内に蒸気発生空間
を形成した後、加熱装置7を用いて内壁部2aに予め付
着または含浸された水(或いは、貯留部2cに貯留され
た水20)の蒸気、より好ましくは飽和蒸気を発生させ
る。蒸気発生部22aで発生した該蒸気は、蒸気発生空
間と連通している処理空間である混合管29内部に、清
浄ガス供給管2dから供給される清浄ガス(キャリア)
によって導入される。
【0086】次に、噴霧装置10にて液状粒子を発生さ
せ、該液状粒子を混合管29内部に連続的に供給する。
即ち、ノズル11の先端部11aから溶液供給管15の
上端部15aに不活性ガスを水平に吹き付けることによ
って溶液14を粒子状にすると共に、バッフル16によ
って液状粒子の粒子径を調節する。そして、得られた液
状粒子を、粒子供給管18、光学測定装置3B、および
粒子供給管4を介して、混合部22bにおける該混合管
29内部に供給(導入)する。このとき、粒子供給管1
8内を通過する液状粒子を、必要に応じて、冷却装置1
9を用いて冷却する。
【0087】混合管29内部に供給された液状粒子は、
蒸気発生部22aから供給された蒸気と混合される。さ
らに、冷却部30を用いて混合管29を冷却することに
より、蒸気を冷却状態にして、さらなる過飽和雰囲気を
形成し、液状粒子表面に水を凝縮させる。凝縮された水
により液状粒子をなす酸性液が希釈され、液状粒子に含
まれている親水性物質が析出して、親水性粒子となる。
そして、光学測定装置3Aを用いて親水性粒子の粒子径
を測定することによって、所望の粒子径の親水性粒子が
得られるように装置を制御すると共に、粒子取出管5を
介して混合管29から親水性粒子を取り出す。
【0088】親水性粒子の粒子径は、蒸気発生部22a
の加熱温度、不活性ガスおよび清浄ガス(キャリア)の
流速、液状粒子の温度、および、混合部22bの温度等
を適宜設定することによって、制御することができる。
また、混合部22bにおいて、液状粒子を蒸気(過飽和
蒸気)に曝す時間は、不活性ガスおよび清浄ガスの流
速、および、混合管29の長さ等を適宜設定することに
よって、容易に調節することができる。
【0089】これにより、所望の粒子径を有する親水性
粒子、即ち、本発明にかかる親水性粒子を簡単にかつ連
続的に製造することができる。上記の製造装置21は、
親水性粒子を連続的に製造するので、バッチ式の製造装
置と比較して、同一条件下での連続的な処理を実施し易
い。従って、一定の物性を有する親水性粒子を安定的に
大量生産することができる。上記の製造装置21を用い
て親水性粒子を製造する際には、装置内を、例えばキャ
リアとして用いる不活性ガス等の清浄ガスで予め置換し
ておくことが望ましい。
【0090】粒子取出管5を介して取り出された親水性
粒子は、図示しない粒子回収装置にて回収(捕集)され
る。回収された親水性粒子は、必要に応じて、図示しな
い洗浄装置にて超純水等を用いて水洗される。これによ
り、不純物が除去された親水性粒子が得られる。水洗さ
れた親水性粒子は、必要に応じて、該粒子同士が凝集し
ない程度に乾燥させる。
【0091】尚、上記構成の製造装置21を用いて親水
性粒子を製造するに当たっては、混合管29内部に液状
粒子を供給した後、冷却部30を用いて混合管29を冷
却する代わりに、液状粒子を冷却装置19を用いて冷却
して(蒸気よりも低温にして)混合管29内部に導入す
ることにより、蒸気と液状粒子との温度差を利用して該
蒸気の過飽和雰囲気を混合管29内にて形成し、液状粒
子表面に水を凝縮させることもできる。
【0092】以上のように、上記説明の親水性粒子の製
造装置21は、疎水性物質に親水性を付与すべく該疎水
性物質を酸性液に溶解してなる溶液14を粒子状にする
噴霧装置10と、該噴霧装置10で造粒された液状粒子
を、該液状粒子の温度よりも高い温度を有する蒸気と接
触させ該蒸気の過飽和雰囲気を形成し、液状粒子表面に
水を凝縮させる混合部22bとを備えている構成であ
る。
【0093】上記の構成によれば、粒子を帯電させるこ
となく、しかも、簡便な装置および操作で短時間でかつ
安価に、粒子径が比較的小さくかつ揃った親水性粒子を
製造することができる。
【0094】また、製造装置21は、造粒装置として噴
霧装置10を採用しているので、粒子径がより一層小さ
い親水性粒子を製造することができる。さらに、製造装
置21は、液状粒子を冷却する冷却装置19を備えてい
る構成である。これにより、液状粒子表面に水がより一
層凝縮し易くなるので、より一層短時間で親水性粒子を
製造することができる。その上、噴霧装置10がバッフ
ル16を備えているので、粒子径がより一層小さくかつ
揃った親水性粒子を製造することができる。
【0095】尚、上記の説明においては、親水性粒子を
連続的に製造することができる製造装置21を例に挙げ
て説明したが、製造装置の具体的な構成は、上記例示の
構造にのみ限定されるものではなく、例えば、バッチ式
で親水性粒子を製造することができる構成を備えていて
もよい。上記製造装置における各製造工程は、図示しな
いプログラム内蔵型のマイクロコンピュータ等の制御手
段により制御されている。
【0096】また、上記の説明においては、蒸気を冷却
状態にして過飽和雰囲気を形成する構成を備えた製造装
置21を例に挙げて説明したが、製造装置は、蒸気を断
熱膨張させて過飽和雰囲気(過飽和蒸気)を形成する構
成を備えていてもよい。さらに、上記の説明において
は、造粒装置として噴霧装置10を例に挙げて説明した
が、造粒装置の構成は、特に限定されるものではない。
造粒装置は、例えば、超音波による振動によって溶液を
飛散させることにより、該溶液を粒子状にする構成であ
ってもよい。
【0097】〔製造装置2〕図2に示す親水性粒子の製
造装置21aは、上記記載の製造装置21の一変形例で
ある。尚、製造装置21aにおける、上記記載の製造装
置21と同一の機能を有する部材については、図2にお
いて、同一の部材番号を付与して、その説明を省いた。
【0098】製造装置21aでは、不活性ガスと共に液
状粒子を供給する粒子供給管4の粒子導入口4aが、蒸
気発生部22aにおける内部処理空間における貯留部2
c側の端部における上方において、開口するように設け
られている。
【0099】蒸気発生部22a内における円柱穴状(直
管状)の蒸気発生空間の中心軸は、水平方向に対し、前
述したように上下方向に傾いており、その傾きの角度ψ
が、水平を超え、90度までの範囲内に設定されてい
る。
【0100】したがって、この製造装置21aの蒸気発
生部22aでは、不活性ガスと共に液状粒子を、粒子供
給管4から粒子導入口4aを介して蒸気発生部22a内
に連続的に供給できるようになっている。
【0101】また、製造装置21aでは、冷却管として
の混合管29が、混合管29の中心軸と蒸気発生部22
a内における管状の蒸気発生空間の中心軸との間の角度
θを、垂直方向である90度から1度までの範囲内とな
るように蒸気発生部22aに対し取り付けられている。
【0102】混合管29の外周部には、内部を冷却する
ための前述の冷却装置19が取り付けられており、か
つ、混合管29の内壁部の少なくとも一部は、水や、水
を含む水性溶液をはじく性質を有するフッ素樹脂などの
はっ水性材料より構成されている。また、混合管29は
蒸気発生部22aの上部から連通して上方に延びるよう
に設置されている。
【0103】これらにより、上記混合管29内の蒸気が
混合管29の内壁部に凝縮して水となっても、上記内壁
部を伝って蒸気発生部22a内に還流されるので、凝縮
剤としての水を効率よく使用できる。
【0104】蒸気発生部22aの外周に設けられた加熱
装置7、および混合管29の冷却装置19は、蒸気発生
部22aおよび混合部22bにそれぞれ設けられた各温
度計8の各測定結果をもとに、温度調整器により所定の
温度となるよう精確に制御する、プログラム式のマイク
ロコンピュータ等の調節手段(図示せず)が設けられて
いる。
【0105】このような製造装置21aにおいても、以
下に示す、前述の製造装置21と異なる動作の他は、同
様な動作および操作により、前述と同様な親水性粒子が
得られる。
【0106】この異なる動作について、以下に説明する
と、まず、噴霧装置10において調製された液状粒子
は、粒子供給管4によって、蒸気発生部22aにおける
内部処理空間における貯留部2c側の端部における右方
から蒸気発生部22a内に供給されるので、構成を簡素
化できる。
【0107】したがって、上記製造装置21aにおいて
は、前述の製造装置21と同様に、液状粒子の表面に水
を凝縮させることができると共に、液状粒子の表面での
水の凝縮を均一化できて、親水性粒子の製造をより安定
化できる。
【0108】なお、上記構成の製造装置21aを用いて
親水性粒子を製造するに当たっては、蒸気発生部22a
内部に液状粒子を供給した後、混合管29にて蒸気を冷
却する代わりに、液状粒子を、蒸気発生部22aに供給
する前に、粒子供給管18の外周部に設けた冷却装置1
9を用いて冷却して(蒸気発生部22a内の飽和蒸気よ
り低温となるように)蒸気発生部22a内に導入するこ
とにより、蒸気と液状粒子との温度差を利用して過飽和
雰囲気を形成し、液状粒子の表面に、蒸気に起因する水
を凝縮させてもよい。
【0109】あるいは、噴霧装置10の前段に冷却装置
19を配置し、噴霧装置10に供給する不活性ガス(キ
ャリア)を予め冷却しておくことによって、液状粒子を
冷却して(蒸気発生部22a内の飽和蒸気より低温とな
るように)蒸気発生部22a内に導入してもよい。ま
た、蒸気発生部22aに供給される液状粒子並びに不活
性ガス(キャリア)についても、同様に予め冷却してお
いてもよい。このように、予め不活性ガスを冷却する場
合、混合管29を含む混合部22bを省くことができ
て、製造装置21aをより簡素化できる。
【0110】また、上記製造装置21および製造装置2
1aでは、液状粒子を調製するために噴霧装置10を用
いた例を挙げたが、液状粒子の調製方法としては、上記
に限定されるものではなく、例えば、図3に示すよう
に、遠心力を用いて液膜を振り切り、液滴としての液状
粒子を形成するアトマイザー式の造粒装置10aを用い
てもよい。このようなアトマイザー式の造粒装置10a
は、溶液14が高濃度で粘度が大きい場合でも、小粒径
の液状粒子を製造することができる。
【0111】このような造粒装置10aでは、疎水性物
質が酸性液中に溶解している溶液14は、導入管150
により高速回転している円板状の回転部160上に供給
され、回転部160上にて液膜となった溶液14が遠心
力により回転部160の外縁部から外方に振り切られて
噴霧状(ミスト状)となる。噴霧状となった液状粒子
は、不活性ガス(キャリア)により、光学測定装置3B
を介して改質塔22に搬送される。また、例えば粒径が
小さすぎる、不要な液状粒子は、分別されて排出管17
0により排出される。
【0112】さらに、噴霧装置10に代えて、例えば図
4に示すように、オリフィスから吹き出る溶液14に対
し、超音波振動を与えることにより、上記溶液14から
液状粒子を調製する造粒装置10bを用いてもよい。こ
のような造粒装置10bでは、溶液14は導入管(図示
せず)によりオリフィス161に導入され、このオリフ
ィス161から外部に出る溶液14に対し、ピエゾ素子
などの振動部材170により超音波振動が付与される。
液状粒子の生成率は、振動部材170の振動周波数で制
御される。形成された液状粒子は、不活性ガス(キャリ
ア)により、光学測定装置3Bを介して改質塔22に搬
送される。
【0113】さらに、噴霧装置10に代えて、例えば図
5に示すように、振動により液状粒子を調製する他の方
法である造粒装置10cを用いてもよい。このような造
粒装置10cでは、溶液14は導入管(図示せず)によ
り槽状の供給部162に導入される。この供給部162
の下方には、ピエゾ素子などの振動部材170が配置さ
れており、供給部162と振動部材170との間に、振
動部材170からの振動を伝達する媒体180が充填さ
れている。
【0114】また、供給部162の底部は、下方に凸に
湾曲した形状となっていて、振動部材170より発生す
る振動を、上記底部を介して供給部162内の溶液14
の液面に対し、上記の下方に凸に湾曲した形状によって
集中させ、この液面部分において上記溶液14の粒子
化、すなわち液状粒子の生成を促進するようになってい
る。また、装置の上方からは不活性ガス(キャリア)が
供給されており、発生した液状粒子は不活性ガス(キャ
リア)により、光学測定装置3Bを介して改質塔22に
搬送されるようになっている。このような各造粒装置1
0a・10b・10cは、前述の製造装置21、後述す
る製造装置21b〜21dにおいても、用いることがで
きる。
【0115】〔製造装置3〕図6に示す親水性粒子の製
造装置21bは、上記記載の製造装置21の一変形例で
ある。尚、製造装置21・21aと同一の機能を有する
部材については、図6において、同一の部材番号を付与
して、その説明を省いた。
【0116】製造装置21bでは、前述の製造装置21
に記載の改質塔22に代えて、蒸気発生部111および
凝縮部112を有する改質塔を備えている。蒸気発生部
111については、蒸気発生部22aと同様な構成を備
え、蒸気を発生できるようになっている。
【0117】一方、凝縮部112は、ロータリー方式の
ガソリンエンジン式となっていて、断熱的に、圧縮・膨
張を順次行うようになっている。すなわち、凝縮部11
2は、略多角形柱状の、回転するロータ114と、ロー
タ114の各稜線端114aとそれぞれ当接する内壁部
113とを、ロータ114における隣り合う各稜線端1
14a間の各外面114cと、それら各外面114cと
対面する内壁部113との間に形成される各処理空間1
12bの容量がロータの回転に応じてそれぞれ、各処理
空間112b1 ・112b2 ・112b3 というように
変化するように有している。
【0118】内壁部113は、ロータ114の回転軸に
対し直交する方向の断面形状において、2つの円を、そ
れらの一部を重ね合わせた、ヒョウタン型となってお
り、また、ロータ114は、その内部に内歯の歯車11
4bを備え、その歯車114b内にて、歯車114bよ
り小径の外歯の駆動歯車115を、遊星的に内部にて歯
合させている。これにより、ロータ114は、それらの
各稜線端114aを、内壁部113との当接を維持しな
がら、内壁部113を回転できるようになっている。
【0119】このとき、ロータ114の各外面114c
の一つが、内壁部113の凸部に当接することがある
が、各外面114cの中央部に設けられた凹部により、
隣り合う各稜線端114a間に形成される、各処理空間
112b、例えば処理空間112b2 が、隣り合う各稜
線端114a間にて上記凸部により分断されることが回
避される。
【0120】次に、上記製造装置21bを用いた親水性
粒子の製造方法について、以下に説明すると、まず、ロ
ータ114を、図6に示す位置に設定し、処理空間11
2bに対し、蒸気発生部111にて発生させた蒸気を、
蒸気供給管73を介して、供給する。一方、その処理空
間112bに対し、噴霧装置10から粒子供給管4を介
して液状粒子を粒子導入口4aから導入する。この場
合、凝縮剤導入口72および粒子導入口4aの各開口1
17・116は、上記処理空間112b(処理空間11
2b1 の状態)に対し開放されている。
【0121】続いて、上記ロータ114が、図示しない
マイクロコンピュータ等の制御手段によって、図中矢印
(時計方向)に回転するにつれて、上記処理空間112
bを形成していた反時計方向となる一方の稜線端114
aが、各開口117・116を通過すると、上記処理空
間112bは蒸気供給管73および粒子導入口4aと遮
断される。よって、上記処理空間112bは、時計方向
に凝縮部112内を移動しながら密閉状態となる。
【0122】次に、上記凝縮部112内にて、凝縮剤の
飽和蒸気を得るため、上記処理空間112bを加圧する
と共に加熱する。加圧は、ロータ114を時計方向に回
転(図6の状態から180°)することによって行う。
この加圧においては、上記処理空間112b(処理空間
112b2 の状態)内を常圧(大気圧)より高い所定の
圧力に昇圧する。この処理空間112b(処理空間11
2b2 の状態)内の圧力は圧力計60により計測され、
その計測値に基づいて圧力調整器50により所定の圧力
に設定される。
【0123】加熱は加熱装置7により行う。加熱装置7
が作動すると、ヒータ7aから発生する熱が壁部112
c、内壁部113を介して、各処理空間112b内を加
熱する。各処理空間112b内の温度は温度計8により
測定され、その測定値に基づいて上記加熱装置7の作動
が制御される。
【0124】その後、ロータ114を適切な時間静置す
る。すなわち、凝縮部112に対して上記の状態を維持
する。飽和蒸気を得るためには、少なくとも上記の加圧
を行えばよく、加熱は必要に応じて補助的に行えばよ
い。これは、以下に示す他の各例においても同様であ
る。
【0125】以上の工程により、処理空間112b(処
理空間112b2 の状態)内には、凝縮剤の飽和蒸気が
得られる。この状態では、凝縮剤の蒸気が液状粒子の周
囲を取りまくように存在している。次に、ロータ114
をさらに回転して、処理空間112b内を断熱的に常圧
まで減圧することにより、凝縮剤の飽和蒸気を過飽和状
態にする。これにより、液状粒子を含む処理空間112
bにおいて、凝縮剤の飽和蒸気が過飽和状態となり、液
状粒子の表面にて凝縮剤蒸気の凝縮反応が生じる。この
結果、液状粒子の表面に液膜が生成され、前述したよう
に親水性粒子が析出する。
【0126】析出した親水性粒子は、ロータ114をさ
らに回転して処理空間112b(処理空間112b3
を、凝縮部112の粒子取出口95に対して開放するこ
とにより、光学測定装置3Aおよび粒子取出管5を介し
て回収され、前述と同様に洗浄され、乾燥されて用いら
れる。
【0127】なお、上記では、凝縮剤を蒸気として凝縮
剤導入口72から導入する例を挙げたが、処理空間11
2bに面する、ロータ114の各外面114cの中央部
に設けられた凹部内の少なくとも一部に多孔質材料を設
置し、その多孔質材料に対し予め凝縮剤を付着・含浸さ
せ、加熱装置7を用いて処理空間112bにおいて飽和
蒸気を発生させてもかまわない。
【0128】〔製造装置4〕図7に示す親水性粒子の製
造装置21cは、上記記載の製造装置21の一変形例で
ある。尚、製造装置21cにおける、上記記載の製造装
置21・21a・21bと同一の機能を有する部材につ
いては、図7において、同一の部材番号を付与して、そ
の説明を省いた。
【0129】製造装置21cの各構成については、製造
装置21cを用いた親水性粒子の製造方法を説明するこ
とにより、それらの説明とする。まず、上記製造方法で
は、水等の凝縮剤を、直立状態に基台9上に固定された
改質塔(凝縮箱)22内の内壁部2aに予め付着または
含浸させると共に、改質塔22の蒸気発生空間22c内
を核となりうる不純物が存在しない状態である、清浄空
気などの清浄気体と置換した状態とする。
【0130】その後、改質塔22内を密閉する。この場
合、液状粒子は、噴霧装置10から粒子供給管4を通じ
て、例えばエアロゾルとして粒子導入口4aから改質塔
22内に導入される。したがって、粒子供給管4および
粒子排出管41の各バルブ80・40は、液状粒子の導
入時に開いておき、改質塔22内の空気が、噴霧装置1
0からの液状粒子のエアロゾルに置換された後、各バル
ブ80・40を閉じて、改質塔22内を密閉状態とす
る。
【0131】次に、改質塔22内にて凝縮剤の飽和蒸気
を得るために、改質塔22内を加圧状態にするととも
に、加熱する。加圧は、バルブ70を開き、加圧減圧用
配管71および加圧減圧用口6を通じて改質塔22内に
清浄気体を送り込むことによって行う。この加圧におい
ては、改質塔22内を常圧より高い所定の圧力に昇圧す
る。改質塔22内の圧力は圧力計60により計測され、
所定の圧力に達すると、バルブ70は閉じられる。
【0132】加熱は、加熱装置7を用いて行う。加熱装
置7が作動すると、ヒータ7aから発生する熱が外壁部
2b、内壁部2aおよび蒸気発生空間22cに伝達さ
れ、それらが加熱される。蒸気発生空間22c内の温度
は温度計8により測定され、その測定値に基づいて上記
加熱装置7の作動が制御される。
【0133】その後、水などの凝縮剤の飽和蒸気が得ら
れるまで、改質塔22を適切な時間静置する。飽和蒸気
を得るためには、少なくとも上記の加圧を行えばよく、
加熱は必要に応じて補助的に行えばよい。これは、以下
に示す他の各例においても同様である。上述した各動作
については、図示しないが、マイクロコンピュータ等の
制御手段により、検出された各温度や粒子径、個数濃
度、圧力などの検出値に基づいて制御される。
【0134】以上の工程により、改質塔22内には、凝
縮剤の飽和蒸気が得られる。この状態では、凝縮剤の蒸
気が液状粒子の周囲を取りまくように存在している。次
に、改質塔22内を断熱的に常圧まで減圧して、凝縮剤
の飽和蒸気を過飽和状態にする。この際には、加圧減圧
用配管71のバルブ70を開いて改質塔22内を大気に
開放することにより、蒸気発生空間22c内における凝
縮剤の飽和蒸気を断熱膨張させる。
【0135】これにより、液状粒子を含む蒸気発生空間
22cにおいて、凝縮剤の飽和蒸気が過飽和状態とな
り、液状粒子の表面にて凝縮剤蒸気の凝縮反応が生じ
る。この結果、液状粒子の表面に液膜が生成され、前述
したように改質された親水性粒子が析出する。バルブ7
0は、断熱膨張後、直ちに閉じる。
【0136】析出した親水性粒子は、改質塔22から外
部に、光学測定装置3Aおよび粒子取出管5を介して回
収され、前述と同様に洗浄され、乾燥されて用いられ
る。このような回収の際には、粒子供給管4および粒子
排出管41の各バルブ80・40を開き、例えば、粒子
供給管4から改質塔22内に清浄気体を導入し、改質塔
22の蒸気発生空間22c内の親水性粒子を、粒子排出
管41から排出して、蒸気発生空間22c内を清浄気体
と置換することにより行う。
【0137】また、液状粒子を、粒子供給管4を介し
て、蒸気発生空間22c内に供給(導入)するとき、粒
子供給管18内を通過する液状粒子を、必要に応じて、
冷却装置19にて予め冷却してもよい。あるいは、噴霧
装置10の前段に冷却装置19を設け、不活性ガスを予
め冷却することにより、蒸気発生空間22c内に供給さ
れる液状粒子を予め冷却しておいてもよい。
【0138】〔製造装置5〕図8に示す親水性粒子の製
造装置21dは、上記記載の製造装置21の一変形例で
ある。尚、製造装置21dにおける、上記記載の製造装
置21・21a・21b・21cと同一の機能を有する
部材については、図8において、同一の部材番号を付与
して、その説明を省いた。
【0139】製造装置21dの各構成については、製造
装置21dを用いた親水性粒子の製造方法を説明するこ
とにより、それらの説明とする。まず、上記製造方法で
は、蒸気発生空間22cの処理空間容積を大きくするよ
うに、加圧減圧用ピストン75のピストン75aをクラ
ンク部75bによって下げ、改質塔22の蒸気発生空間
22c内に、噴霧装置10から粒子供給管4を介して搬
送された液状粒子を、例えばエアロゾルとして粒子導入
口4aから、また、水等の凝縮剤を、蒸気として凝縮剤
導入口72から、それぞれ導入する。
【0140】したがって、この場合、粒子導入口4aお
よび凝縮剤導入口72の各バルブ80・74は開けてお
き、粒子取出管5のバルブ40は閉じておく。また、蒸
気発生空間22cの下部においては、ピストン75aが
往復移動して、蒸気発生空間22c内を加圧・減圧でき
るようにシリンダー部の形状となっている。
【0141】続いて、ピストン75aが最下位置にまで
下がった後、各バルブ80・74を閉じて、蒸気発生空
間22cを密閉状態とする。次に、蒸気発生空間22c
にて凝縮剤蒸気の飽和蒸気を得るため、蒸気発生空間2
2cを加圧すると共に、加熱する。加圧は、ピストン7
5aを上げることにより行う。この加圧においては、改
質塔22の蒸気発生空間22c内を常圧より高い所定の
圧力に昇圧する。蒸気発生空間22c内の圧力は、圧力
計60により計測され、圧力調節器50によって所定の
圧力に設定される。
【0142】加熱は、加熱装置7を用いて行う。加熱装
置7が作動すると、ヒータ7aから発生する熱が外壁部
2b、内壁部2aおよび蒸気発生空間22cに加わり、
それらが加熱される。蒸気発生空間22c内の温度は温
度計8により測定され、その測定値に基づいて上記加熱
装置7の作動が制御される。
【0143】その後、水などの凝縮剤の飽和蒸気が得ら
れるまで、改質塔22を適切な時間静置する。飽和蒸気
を得るためには、少なくとも上記の加圧を行えばよく、
加熱は必要に応じて補助的に行えばよい。上述した各動
作については、図示しないが、マイクロコンピュータ等
の制御手段により、検出された各温度や粒子径、個数濃
度、圧力などの検出値に基づいて制御される。
【0144】以上の工程により、改質塔22内には、凝
縮剤の飽和蒸気が得られる。この状態では、凝縮剤の蒸
気が液状粒子の周囲を取りまくように存在している。次
に、改質塔22内を断熱的に常圧まで減圧して、凝縮剤
の飽和蒸気を過飽和状態にする。この際には、ピストン
75aを最下位置(初期位置)まで下げることによって
蒸気発生空間22c内における凝縮剤の飽和蒸気を断熱
膨張させる。
【0145】これにより、液状粒子を含む蒸気発生空間
22cにおいて、凝縮剤の飽和蒸気が過飽和状態とな
り、液状粒子の表面にて凝縮剤蒸気の凝縮反応が生じ
る。この結果、液状粒子の表面に液膜が生成されること
によって、前述したように改質された親水性粒子が析出
する。上記親水性粒子の粒径については、光学測定装置
3Aにて測定される。
【0146】析出した親水性粒子は、改質塔22から外
部に、粒子取出管5および粒子排出管41を介して回収
され、前述と同様に洗浄され、乾燥されて用いられる。
このような回収は、粒子導入口4aおよび凝縮剤導入口
72の各バルブ80・74を閉じる一方、粒子取出管5
のバルブ40を開けておき、ピストン75aを最下位置
から最上位置まで上げることにより行われる。
【0147】なお、上記では、凝縮剤を蒸気として凝縮
剤導入口72から導入する例を挙げたが、蒸気発生空間
(処理空間)22cに面する、改質塔22の内壁部2a
の少なくとも一部を多孔質材料で構成し、その多孔質材
料に予め凝縮剤を付着・含浸させ、加熱装置7を用い、
蒸気発生空間22cにて飽和蒸気を発生させてもかまわ
ない。
【0148】また、液状粒子を、粒子供給管4を介し
て、蒸気発生空間22c内に供給(導入)するとき、粒
子供給管18内を通過する液状粒子を、必要に応じて、
冷却装置19にて冷却してもよい。あるいは、噴霧装置
10の前段に冷却装置19を設け、不活性ガスを予め冷
却することにより、蒸気発生空間22c内に供給される
液状粒子を予め冷却しておいてもよい。
【0149】以上の説明より明らかなように、上記例示
の製造装置21〜21dによれば、従来のバッチ式によ
る製造装置等と比較して、使用する薬品の量を抑制し、
かつ、連続処理を行うことが出来る。また、上記液状粒
子ならびに親水性粒子を気体を用いて搬送できることに
より、装置構成および操作が簡素化され、より短時間で
親水性付与処理をおこなうことが可能となる。さらに、
製造された親水性粒子が帯電・集合することがないの
で、親水性粒子の分離工程を省略することができ、加え
て、小さな粒子径を有する親水性粒子や略均一の粒子径
を有する親水性粒子を安価に製造することができる。
【0150】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0151】〔実施例1〕始めに、図1に示す製造装置
21を用いて疎水性物質の親水化処理を行う方法を、具
体的に説明する。尚、他の製造装置21a〜21d(図
2、図6、図7、図8参照)を用いた場合でも同様の条
件で、疎水性物質の親水化処理を行うことができること
は言うまでもない。
【0152】疎水性物質としては、顔料 C. I. Pigment
Red 2を用い、該顔料1gを98%硫酸(濃硫酸)7
5mlと96%クロロスルホン酸15mlとの混合溶液
よりなる90mlの酸性液に溶解させ、2時間程度静置
して溶液14を調製した。続いて、溶液14を噴霧装置
10に投入した。
【0153】一方、蒸気発生部22aの貯留部2cに水
20を貯留した後、改質塔22を閉じ、加熱装置7を用
いて蒸気発生部22aを常圧で50℃に加熱することに
より、水蒸気を発生させた。
【0154】次に、噴霧装置10にて溶液14よりなる
液状粒子を形成した後に、該液状粒子を冷却装置19に
て冷却し、粒子供給管18・4を介して混合管29内部
に導入した。尚、混合管29内部に導入された液状粒子
の温度は、該混合管29内部に形成された水蒸気の温度
より低くなっている。
【0155】これにより、混合管29内部では、液状粒
子の表面に水が凝縮されて液状粒子に含まれている親水
性物質(スルホン化された顔料)が析出し、本発明にか
かる親水性粒子(親水化処理が施された顔料粒子、以
下、単に顔料粒子と称する)が生成した。得られた顔料
粒子は粒子取出管5を介して改質塔22内部から取り出
され、回収された。その後、顔料粒子を超純水にて充分
に洗浄した。
【0156】続いて、親水化処理前の顔料と処理後の顔
料粒子とを、別々に超純水に投入して撹拌し、水に対す
る濡れ性の評価を行った。親水化処理前の顔料は疎水性
であるので超純水に濡れることなく水面上に浮遊し。こ
れに対し、処理後の顔料粒子、すなわち、本発明にかか
る顔料粒子は、少なくともその表面に親水性が付与され
ている(スルホン酸基が導入されている)ため、水に対
する濡れ性に優れている。また同時に、顔料本来の性質
である疎水性をも有しているために、溶解することなく
超純水中に一様に分散した。
【0157】上述したプロセスを複数回行い、処理後の
顔料粒子の水に対する濡れ性を調べたところ、各回とも
同様の結果が得られた。また、処理後の顔料粒子の色相
を処理前の顔料と比較したところ、両者に差は見られ
ず、また処理後、日数(30日)が経過しても非常に安
定な色相を保つことが確認された。
【0158】〔実施例2〕上記実施例1において、水2
0に代えて水を含んでなる混合溶液を用い、過飽和蒸気
中に占める水蒸気の量(体積)を10%、15%、50
%となるよう調整した以外は、実施例1と同様の方法に
て疎水性物質の親水化処理を行い本発明にかかる親水性
粒子(親水化処理が施された顔料粒子、以下、単に顔料
粒子と称する)を製造した。
【0159】続いて、上記方法により得られた顔料粒子
と親水化処理前の顔料(原料となった顔料 C. I. Pigme
nt Red 2)とを、別々に超純水に投入して撹拌し、水
に対する濡れ性の評価を行った。親水化処理前の顔料は
疎水性であるので水に濡れることなく水面上に浮遊し
た。これに対し、処理後の顔料粒子はいずれも、少なく
ともその表面に親水性が付与されている(スルホン酸基
が導入されている)ため、水に対する濡れ性に優れてい
る。また同時に、顔料本来の性質である疎水性をも有し
ているために、溶解することなく水中に一様に分散し
た。
【0160】〔実施例3〕疎水性物質として、黄色系顔
料 Fast Yellow F5G(山陽色素株式会社製)を用いた以
外は、上記実施例1と同様の方法にて黄色系顔料の親水
化処理を行い本発明にかかる親水性粒子(親水化処理が
施された黄色系顔料粒子、以下、単に顔料粒子と称す
る)を製造した。尚、上記黄色系顔料は、モノアゾ構造
を有するものである。
【0161】続いて、上記方法により得られた顔料粒子
表面と処理前の黄色系顔料表面とについて赤外吸収スペ
クトルの測定を行った。この結果、図9(b)に矢印に
て示すように、処理前には存在しなかった(図9(a)
参照)スルホン酸基が確認された。
【0162】続いて、上記顔料粒子と親水化処理前の顔
料とを、別々に超純水に投入して撹拌し、水に対する濡
れ性の評価を行った。親水化処理前の顔料は疎水性であ
るので水に濡れることなく水面上に浮遊し、時間の経過
につれ、水面上で互いに凝集した。これに対し、処理後
の顔料粒子は、溶解することなく水中に一様に分散し
た。すなわち、上記顔料粒子は、少なくともその表面に
親水性が付与されている(スルホン酸基が導入されてい
る)ため、水に対する濡れ性が向上することが認められ
た。また、処理後の顔料粒子の色相を処理前の顔料と比
較したところ、両者に差は見られず、また処理後、日数
(30日)が経過しても非常に安定な色相を保つことが
確認された。
【0163】〔実施例4〕疎水性物質としての顔料 C.
I. Pigment Red 2を酸性液に溶解させて静置する時間
を0.5時間程度とした以外は、上記実施例1と同様の
方法にて本発明にかかる親水性粒子(親水化処理が施さ
れた顔料粒子、以下、単に顔料粒子と称する)を製造し
た。
【0164】続いて、上記方法により得られた顔料粒子
を、超純水に投入して撹拌し、水に対する濡れ性の評価
を行った。顔料粒子は、少なくともその表面に親水性が
付与されている(スルホン酸基が導入されている)た
め、水に対する濡れ性に優れている。また同時に、顔料
本来の性質である疎水性をも有しているために、溶解す
ることなく水中に一様に分散した。
【0165】〔実施例5〕酸性溶液として40%硫酸水
溶液75mlと40%クロロスルホン酸15mlとの混
合溶液を用いた以外は、上記実施例1と同様の方法にて
本発明にかかる親水性粒子(親水化処理が施された顔料
粒子、以下、単に顔料粒子と称する)を製造した。
【0166】続いて、上記方法により得られた顔料粒子
を、超純水に投入して撹拌し、水に対する濡れ性の評価
を行った。顔料粒子は、少なくともその表面に親水性が
付与されている(スルホン酸基が導入されている)た
め、水に対する濡れ性に優れている。また同時に、顔料
本来の性質である疎水性をも有しているために、溶解す
ることなく水中に一様に分散した。
【0167】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の親水性粒子の製
造方法は、以上のように、疎水性物質に親水性を付与す
べく、該疎水性物質を酸性液に溶解してなる溶液を粒子
状にした後、該粒子を水蒸気を含む蒸気と接触させると
ともに、該蒸気の過飽和雰囲気を形成し、該粒子の表面
に水を凝縮させる親水性粒子の製造方法において、上記
酸性液が硫酸とクロロスルホン酸とを含んでなり、さら
に、前記酸性液における硫酸とクロロスルホン酸との体
積比が20:1から1:20の範囲内にある方法であ
る。
【0168】上記の方法によれば、酸性液が化学的に安
定し、その結果、疎水性物質の親水化処理の再現性、お
よび、疎水性物質が顔料である場合には親水化処理後の
疎水性物質(親水性粒子)の色相の安定化が可能とな
る。すなわち、親水性粒子の親水化の度合いのばらつき
や、原料となる疎水性物質(顔料)と比較した場合の色
相の変化を抑制することが可能となる。
【0169】また、従来の方法とは異なり、撹拌翼等の
撹拌装置を用いて粒子を撹拌する工程を必要としないの
で、製造された親水性粒子が摩擦等によって帯電するお
それが無い。
【0170】さらに、水蒸気を含む蒸気を発生させるこ
とのできる装置を用いるので、簡便な装置および操作で
短時間で処理することができる。さらに、親水性粒子が
析出によって形成されるので、得られる親水性粒子の粒
子径が、用いた疎水性物質の粒子径に左右されず、ま
た、該親水性粒子の粒子径を比較的小さくかつ揃えるこ
とができる。
【0171】すなわち、上記の方法によれば、粒子を帯
電させることなく、しかも、簡便な装置および操作で短
時間でかつ安価に、粒子径が比較的小さくかつ揃った親
水性粒子を製造することができる。さらには、疎水性物
質から親水性粒子を安定に再現性良く製造することが可
能であり、かつ、親水性付与処理前後で変色を起こすこ
となく、親水性顔料粒子を製造することができるという
効果を奏する。
【0172】本発明の請求項2記載の親水性粒子の製造
方法は、以上のように、請求項1記載の方法において、
上記過飽和雰囲気に占める水蒸気の体積が、10%以上
である方法である。
【0173】上記の方法によれば、すべての液状粒子表
面に安定して水を凝縮させることができるので、親水性
粒子を制御性よく安定して製造することができるという
効果を、請求項1記載の方法による効果に加えて奏す
る。
【0174】本発明の請求項3記載の親水性粒子の製造
方法は、以上のように、請求項1または2のいずれか一
項に記載の方法において、上記疎水性物質が顔料である
方法である。
【0175】上記の方法によれば、親水性を備えた顔料
粒子を安定に、かつ、簡便に製造することができるとい
う効果を、請求項1または2のいずれか一項に記載の方
法による効果に加えて奏する。
【0176】本発明の請求項4記載の親水性粒子の製造
方法は、以上のように、請求項3記載の方法において、
上記顔料がアゾ構造を有するものである方法である。
【0177】上記の方法によれば、化学的に安定で、親
水化処理前後の顔料の色相変化が少ない親水性粒子(顔
料粒子)を製造することができる。特に、顔料が黄色系
のもの(黄色系顔料)である場合には、親水化処理前後
の顔料の色相変化を抑制することができるという効果
を、請求項3記載の方法による効果に加えて奏する。
【0178】本発明の請求項5記載の親水性粒子の製造
方法は、以上のように、請求項1ないし4のいずれか一
項に記載の方法において、水蒸気を含む蒸気を断熱膨張
することにより、該蒸気の過飽和雰囲気が形成される方
法である。
【0179】上記の方法によれば、簡便な装置および操
作で水蒸気を含む蒸気の過飽和雰囲気を形成することが
できるという効果を、請求項1ないし4のいずれか一項
に記載の方法による効果に加えて奏する。
【0180】本発明の請求項6記載の親水性粒子の製造
方法は、以上のように、請求項1ないし4のいずれか一
項に記載の方法において、水蒸気を含む蒸気が冷却され
ることにより、該蒸気の過飽和雰囲気が形成される方法
である。
【0181】上記の方法によれば、簡便な装置および操
作で水蒸気を含む蒸気の過飽和雰囲気を形成することが
できるという効果を、請求項1ないし4のいずれか一項
に記載の方法による効果に加えて奏する。
【0182】本発明の請求項7記載の親水性粒子の製造
方法は、以上のように、請求項6記載の方法において、
水蒸気を含む蒸気と、該蒸気より低い温度を有する上記
粒子とを接触させることにより、該蒸気が冷却される方
法である。
【0183】上記の方法によれば、水蒸気を含む蒸気
と、該蒸気より低い温度を有する上記粒子とを接触させ
る(混合する)ことにより、該蒸気が冷却されてその過
飽和雰囲気が形成される。すなわち、水蒸気を含む蒸気
を直接的に冷却することなく該蒸気の過飽和雰囲気を形
成することができるという効果を、請求項6記載の方法
による効果に加えて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の親水性粒子の製造方法に好適に供され
る製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の親水性粒子の製造方法に好適に供され
る製造装置の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明の親水性粒子の製造方法に好適に供され
る製造装置に用いる造粒装置の一変形例を示す概略断面
図である。
【図4】本発明の親水性粒子の製造方法に好適に供され
る製造装置に用いる造粒装置の他の変形例を示す概略断
面図である。
【図5】本発明の親水性粒子の製造方法に好適に供され
る製造装置に用いる造粒装置のさらに他の変形例を示す
概略断面図である。
【図6】本発明の親水性粒子の製造方法に好適に供され
る製造装置のさらに他の例を示す概略図である。
【図7】本発明の親水性粒子の製造方法に好適に供され
る製造装置のさらに他の例を示す概略図である。
【図8】本発明の親水性粒子の製造方法に好適に供され
る製造装置のさらに他の例を示す概略図である。
【図9】(a)は、親水性付与処理前(未処理)の黄色
系顔料の赤外吸収スペクトルを示すグラフであり、
(b)は、親水性付与処理後の黄色系顔料の赤外吸収ス
ペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
14 溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和薬 健二郎 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 湯原 真博 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】疎水性物質に親水性を付与すべく、該疎水
    性物質を酸性液に溶解してなる溶液を粒子状にした後、
    該粒子を水蒸気を含む蒸気と接触させるとともに、該蒸
    気の過飽和雰囲気を形成し、該粒子の表面に水を凝縮さ
    せる親水性粒子の製造方法において、 上記酸性液が硫酸とクロロスルホン酸とを含んでなり、 さらに、前記酸性液における硫酸とクロロスルホン酸と
    の体積比が20:1から1:20の範囲内にあることを
    特徴とする親水性粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】上記過飽和雰囲気に占める水蒸気の体積
    が、10%以上であることを特徴とする請求項1記載の
    親水性粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】上記疎水性物質が顔料であることを特徴と
    する請求項1または2のいずれか一項に記載の親水性粒
    子の製造方法。
  4. 【請求項4】上記顔料がアゾ構造を有するものであるこ
    とを特徴とする請求項3記載の親水性粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】水蒸気を含む蒸気を断熱膨張することによ
    り、該蒸気の過飽和雰囲気が形成されることを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれか一項に記載の親水性粒子
    の製造方法。
  6. 【請求項6】水蒸気を含む蒸気が冷却されることによ
    り、該蒸気の過飽和雰囲気が形成されることを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれか一項に記載の親水性粒子
    の製造方法。
  7. 【請求項7】水蒸気を含む蒸気と、該蒸気より低い温度
    を有する上記粒子とを接触させることにより、該蒸気が
    冷却されることを特徴とする請求項6記載の親水性粒子
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004104071A1 (ja) * 2003-05-22 2004-12-02 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 導電性高分子の製造方法と製造装置
GB2465508B (en) * 2007-09-04 2012-11-21 Fujifilm Imaging Colorants Ltd A process for purifying a pigment

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