JP2000256330A - チロシンホスファターゼ阻害剤 - Google Patents

チロシンホスファターゼ阻害剤

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JP2000256330A
JP2000256330A JP11068661A JP6866199A JP2000256330A JP 2000256330 A JP2000256330 A JP 2000256330A JP 11068661 A JP11068661 A JP 11068661A JP 6866199 A JP6866199 A JP 6866199A JP 2000256330 A JP2000256330 A JP 2000256330A
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tyrosine phosphatase
compound
general formula
diabetes
dihydroxyphenyl
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JP11068661A
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English (en)
Inventor
Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Kazuo Umezawa
一夫 梅澤
Tsutomu Sawa
力 沢
Takumi Watanabe
匠 渡辺
Takashi Yamashita
敬 山下
Mikiro Kitahara
幹郎 北原
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Microbial Chemistry Research Foundation
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】チロシンホスファターゼ阻害活性を有し、生理
的条件下での安定性に優れた化合物を提供すること。 【解決手段】一般式(1): 【化1】 (式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル
基またはアセチル基を示す)で表される化合物、前記一
般式(1)で表される化合物を有効成分とすることを特
徴とするチロシンホスファターゼ阻害剤、並びに前記一
般式(1)で表される化合物またはその薬理的に許容し
得る塩を有効成分とすることを特徴とする糖尿病治療
薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糖尿病治療に有用
な化合物およびかかる化合物を含有してなるチロシンホ
スファターゼ阻害剤に関する。さらに本発明は、糖尿病
治療薬に関する。
【0002】
【従来の技術】糖尿病は罹患人数の多い病気であり、そ
の数は年毎に増加している。また慢性合併症として網膜
症、腎不全、心筋梗塞等の重篤な症状に進行する可能性
があり、早期に診断、治療を行う必要がある。前記糖尿
病の治療薬としては、例えば、インスリン、合成血糖降
下薬等があげられる。
【0003】しかしながら、前記インスリンは胃等で分
泌されるペプシン等のタンパク質分解酵素により失活す
るため、該インスリンを経口投与することができないと
いう欠点がある。また前記インスリンおよび合成血糖降
下薬の過剰投与は、低血糖等の人体に有害な症状を引き
起こすという欠点がある。
【0004】また、わが国の糖尿病患者の95%以上を
しめるインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)の治療
薬としては、スルホニル尿素薬、ビグアナイド薬、α−
グルコシダーゼ阻害剤等の合成薬剤等があげられる。し
かしながら、前記合成薬剤には治療効果、安全性等の面
で満足できるものではないという欠点がある。
【0005】また、前記インスリン非依存型糖尿病に対
する新しい治療薬として、細胞表面にあるインスリン受
容体の活性化をおこない、インスリンの効果を増強する
ことを特徴とするインスリン作用の改善剤が近年開発さ
れており、チアゾリジン誘導体が有効成分として認めら
れているが、糖尿病治療薬として活性がより強くかつ安
全な物質の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来よ
りチロシンホスファターゼ阻害活性(基質拮抗型阻害)
を有する免疫調節剤、抗腫瘍剤等として知られるデフォ
スタチン(特開平6−256281号公報)が意外にも
糖尿病、特にインスリン非依存型糖尿病に対して優れた
糖尿病治療作用を呈するという全く新しい事実を見出し
た。しかしながら、デフォスタチンは生理的条件下、す
なわち37℃における緩衝液中での安定性が悪く、2時
間で分解を受けてその生理活性が消失するため、糖尿病
治療薬としての使用には必ずしも適しているとは言えな
いことが判明した。
【0007】そこで、生理的条件下での安定性が高く、
かつ糖尿病治療作用を有する化合物を検討したところ、
チロシンホスファターゼ阻害活性を有すると共に生理的
条件下での安定性に優れ、かつ糖尿病治療作用を有する
新規化合物を見出すに至った。
【0008】従って、本発明は、チロシンホスファター
ゼ阻害活性を有し、生理的条件下での安定性に優れた化
合物を提供することを目的とする。
【0009】さらに本発明は、前記化合物を有効成分と
するチロシンホスファターゼ阻害剤を提供することを目
的とする。
【0010】さらに本発明は、前記化合物を有効成分と
する糖尿病治療薬を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
〔1〕一般式(1):
【0012】
【化4】
【0013】(式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜1
0のアルキル基またはアセチル基を示す)で表される化
合物、〔2〕一般式(1)で表される化合物を有効成分
とすることを特徴とするチロシンホスファターゼ阻害
剤、および〔3〕一般式(1)で表される化合物または
その薬理的に許容し得る塩を有効成分とすることを特徴
とする糖尿病治療薬、に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】1.本発明の化合物 本発明の化合物は、一般式(1):
【0015】
【化5】
【0016】(式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜1
0のアルキル基またはアセチル基を示す)で表される。
【0017】一般式(1)において、Rとしては、合成
収率およびチロシンホスファターゼ阻害活性の観点か
ら、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基が好
ましく、水素原子または炭素原子数1〜2のアルキル基
がより好ましい。また、代謝的消長の点からみた場合、
アセチル基が好ましい。
【0018】具体的には、一般式(1)において、Rが
水素原子である3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)
テトラゾールが、チロシンホスファターゼ阻害活性、血
糖降下活性および生理的条件下での安定性の観点から、
好適な化合物として例示される。
【0019】一般式(1)で表される化合物は、例え
ば、J.Antibiot,.1995, 48, 12, 1460〜1466に記載のデ
フォスタチン(2,5−ジヒドロキシ−N−メチル−N
−ニトロソアニリン)誘導体の合成法に準じて製造する
ことができる。
【0020】2.本発明のチロシンホスファターゼ阻害
剤 本発明のチロシンホスファターゼ阻害剤は、一般式
(1)で表される化合物を有効成分として含有してなる
ものである。
【0021】一般式(1)で表される化合物の中で、例
えば、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)テトラゾ
ールの試験管内でのチロシンホスファターゼ阻害活性の
強さ(50%阻害濃度:IC50)は、一般的に強力なチ
ロシンホスファターゼ阻害剤として知られるバナジン酸
塩よりも強い。その阻害様式は基質拮抗型であり、リン
のアナログとして阻害活性をもつバナジン酸のような、
顕著な細胞障害性はない。また、3−(3,4−ジヒド
ロキシフェニル)テトラゾールは、知られている他のホ
スファターゼに対しての阻害活性は弱く(例えば、Se
r/Thrホスファターゼに対しては100μg/μl
でも阻害活性が認められない)、チロシンホスファター
ゼに対する特異性の高い阻害剤である。
【0022】上記のように、一般式(1)で表される化
合物はチロシンホスファターゼ阻害活性を有する特異性
の高い阻害剤である。かかる阻害剤は、チロシンホスフ
ァターゼを阻害することが治療に有効な疾患、例えば、
悪性腫瘍等に対する治療薬または予防薬剤等に用いるこ
とができる。
【0023】3.本発明の糖尿病治療薬 本発明の糖尿病治療薬は、一般式(1)で表される化合
物またはその薬理的に許容し得る塩を含有してなるもの
である。
【0024】従来、無機物であるバナジン酸やバナジン
酸塩がインスリン類似の活性を持ち、血糖降下作用があ
ることが知られていたが、近年この作用はバナジン酸の
チロシンホスファターゼ阻害活性がインスリン受容体を
活性化させ、インスリン効果を持続させることによるも
のであることがわかった。そこで本発明者らは、より特
異性の高いチロシンホスファターゼ阻害剤であるデフォ
スタチンおよびその誘導体について調査を行い、これら
デフォスタチンおよび一連の誘導体が、培養脂肪細胞か
らのエピネフリン刺激による遊離脂肪酸の放出に対して
細胞障害を伴わない顕著な抑制効果を示す等、哺乳動物
(ヒト、ウマ、イヌ、ネコ等)の糖尿病治療薬として有
用であることがわかったが、これら従来のデフォスタチ
ンおよびその誘導体群は、構造上N−ニトロソ基をもつ
ことからエームス試験の結果より、変異原性をもつ可能
性が指摘されていた。
【0025】本発明において、一般式(1)で表される
化合物は、前記のように特異性の高いチロシンホスファ
ターゼ阻害活性を有するだけでなく、N−ニトロソ基を
有しないため、副作用の点でも優れていることが見いだ
された。
【0026】具体的には、3−(3,4−ジヒドロキシ
フェニル)テトラゾールは、5000μg/プレートの
高濃度で、塩基対置換型(TA100)でもフレームシ
フト型(TA96)でも復帰変異は検出されなかった。
【0027】また、3−(3,4−ジヒドロキシフェニ
ル)テトラゾールは後述の実験例で示すように、生理的
条件下すなわち生体類似緩衝液中で37℃、24時間以
上安定であり、安定性の点で、デフォスタチンと比較し
て顕著に優れている。なお、この化合物のLD50(50
%致死量)は、ICRマウスへの血管投与で100mg
/kg以上である。また、その際に顕微鏡観察で細胞を
調べたところ細胞死は認められず、細胞障害性が示され
なかった。
【0028】従って、一般式(1)で表される化合物
は、特異性の高いチロシンホスファターゼ阻害活性およ
び、そこから導き出される糖尿病治療に代表される有用
な薬理作用を有し、かつ副作用となりうる要因を取り除
き、さらに安定性に優れた物質である。
【0029】一般式(1)で表される化合物の塩として
は、薬理的に許容し得る塩であれば特に限定されない。
例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のア
ルカリ金属塩等があげられる。生体適合性の観点から、
フェノール性水酸基のアルカリ金属塩が好ましく、特に
ナトリウム塩およびカリウム塩が好ましい。これらの塩
は、一般式(1)で表される化合物を合成後、常法によ
り調製することができる。
【0030】本発明の糖尿病治療薬の調製に際しては、
一般式(1)で表される化合物またはその薬理的に許容
し得る塩は、単独で用いても良く、2種以上を混合して
用いても良い。
【0031】一般式(1)で表される化合物またはその
薬理的に許容し得る塩の投与量は、患者の症状、体重、
年齢等により変わり得るが、通常、成人1日あたり0.
1〜1000mg/kg程度が好ましく、これを1回ま
たは数回に分けて投与することができる。
【0032】本発明の糖尿病治療薬の剤型は、通常、治
療薬として用いるものであれば特に限定がない。かかる
剤型としては、例えば、経口剤、注射剤、座剤、ハップ
剤等があげられるが、患者に対する身体的な負担の軽減
の点から、経口剤が望ましい。
【0033】また、本発明の糖尿病治療薬には、一般式
(1)で表される化合物またはその薬理的に許容し得る
塩以外にも、必要により、経口、経腸、その他非経口的
に投与するために適した有機または無機の固体または液
体の任意成分が含有されていても良い。
【0034】任意成分としては、たとえば結晶性セルロ
ース、ゼラチン、乳糖、しょ糖、澱粉、コーンスター
チ、デキストリン、マンニット、ステアリン酸マグネシ
ウム、タルク、植物性および動物性脂肪ならびに油、ガ
ム、ポリアルキレングリコール、アラビアゴム、ペクチ
ン等の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、
増量剤、着色剤、安定剤、等張剤、可溶化剤、分散剤、
溶解補助剤、乳化剤、着色剤、保湿剤、酸化防止剤等を
あげることができる。
【0035】一般式(1)で表される化合物またはその
薬理的に許容し得る塩の製剤中の含有量は、剤型や基剤
成分等によって異なるので一概には限定することができ
ないが、通常、製剤中0.01〜100重量%であるこ
とが好ましい。
【0036】本発明の糖尿病治療薬は、一般的に採用さ
れている薬剤の調製方法によって製造することができ
る。
【0037】以上説明したように本発明の糖尿病治療薬
は、患者のインスリン感受性を改善する効果を有してお
り、糖尿病の中でも、特にインスリン非依存性糖尿病に
顕著な治療効果を呈する。
【0038】
【実施例】以下、実施例および実験例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はかかる実施例のみに限
定されるものではない。
【0039】実施例1〔3−(3,4−ジヒドロキシフ
ェニル)テトラゾールの製造〕 (1)4−ニトロカテコール(1,2−ジヒドロキシ−
4−ニトロベンゼン)(東京化成(株)社製)5.00
g(32.2mmol)をピリジン(和光純薬工業
(株)社製)15mLに溶解し、氷冷下無水酢酸3.4
mL(35.4mmol)を加え室温で1時間攪拌し
た。TLCで反応の終了を確認後、酢酸エチルを加え1
規定塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、有機
層を無水硫酸ナトリウム(和光純薬工業(株)社製)で
乾燥後、減圧下で留去した。得られた白色粉体をエーテ
ルで洗浄後、真空ポンプで乾燥して、(2)1,2−ジ
アセトキシ−4−ニトロベンゼンを含む白色粉体を得
た。これは、さらに精製することなく次の反応に用い
た。
【0040】上記反応で得られた白色粉体の全量をメタ
ノール100mLに溶解し、10%パラジウム炭素触媒
(和光純薬工業(株)社製)1.2gを加え、水素雰囲
気下室温で21時間攪拌した。反応終了後、触媒をゼオ
ライトで濾去し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカ
ゲル(メルク社製、商品名:silica gel 60)を装着
したカラム(3cmφ×50cm、展開液:ヘキサン/
酢酸エチル=4/1(容量比:v/v))で精製し、
(3)3,4−ジアセトキシアニリン5.53g(2
6.4mmol)を白色粉体として得た(収率は2ステ
ップで82%)。
【0041】ギ酸(和光純薬工業(株)社製)1.44
mL(38.2mmol)を塩化メチレン(和光純薬工
業(株)社製)72mLに溶解し、氷冷下EDCl(1
−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボ
ジイミド塩酸)(アルドリッチ社製)3.28g(1
7.1mmol)を加え、その温度で30分間攪拌した
後、DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)(アル
ドリッチ社製)3.31mL(19.0mmol)と塩
化メチレン60mLに溶解した(3)3,4−ジアセト
キシアニリン2.00g(9.56mmol)を順次加
え、室温で6時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和
食塩水を加え、これをクロロホルムで3回抽出した。有
機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で留去
した。得られた残渣をシリカゲル(メルク社製、商品
名:silica gel 60)を装着したカラム(3cmφ×
50cm、展開液:ヘキサン/酢酸エチル=9/1(容
量比:v/v))で精製し、(4)3,4−ジアセトキ
シ−N−ホルミルアニリンを含む淡黄色油状物1.32
gを得た。これは分離不能な副生成物を含んでいたの
で、次の反応はその混合物のまま行った。
【0042】上記反応で得られた(4)3,4−ジアセ
トキシ−N−ホルミルアニリンの全量を塩化メチレン1
5mLに溶解し、氷冷下トリエチルアミン(東京化成
(株)社製)1.50mL(10.8mmol)と
(4)3,4−ジアセトキシ−N−ホルミルアニリンが
最大で5.56mmolであることを勘案し、トリフォ
スゲン(東京化成(株)社製)534.1mg (1.
80mmol)を順次加え、室温で3時間攪拌した。反
応の停止後、析出した白色の固体を濾去し、続いて酢酸
エチルで希釈し、これを飽和食塩水で洗浄した。有機層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮し
た。得られた残渣をシリカゲル(メルク社製、商品名:
silica gel 60)を装着したカラム(2cmφ×50
cm、展開液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1(容量
比:v/v))で精製し、(5)3,4−ジアセトキシ
ベンゾニトリル848mg(3.87mmol)を黄色
油状物として得た(収率は2ステップで40%)。
【0043】(5)3,4−ジアセトキシベンゾニトリ
ル486mg(2.21mmol)とアジ化ナトリウム
(東京化成(株)社製)1.44g(22.2mmo
l)と塩化アンモニウム(和光純薬工業(株)社製)
1.18g(22.1mmol)をジメチルホルムアミ
ド(東京化成(株)社製)15mLに溶解し、80℃で
3時間攪拌した。ゼオライトで不溶物を濾去した後、減
圧下で濃縮した。得られた残渣にエーテルを加えて結晶
化を行い、アセトンおよびクロロホルムで洗浄した後、
不溶物を濾去し、得られた溶媒を減圧下で留去して、純
粋な(6)3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)テト
ラゾール196mg(1.10mmol)を茶色粉体と
して得た(収率50%)。
【0044】得られた化合物が3−(3,4−ジヒドロ
キシフェニル)テトラゾールであることは、以下の物性
により確認した。
【0045】1 H−NMR(400MHz,CDC
3 ) δ9.53(1H,s),7.34 (1H,d,J=
2.4Hz),7.21(1H,dd,J=2.4,
8.8Hz),7.04 (1H,d,J=8.8H
z).
【0046】13C−NMR(100MHz,CDC
3 ) δ147.4,147.0,142.3,127.7,
116.7,113.9,111.0.
【0047】Rf値:0.32(ヘキサン/酢酸エチル
=1/3)
【0048】実験例2〔チロシンホスファターゼ阻害活
性の測定〕 CD45膜酵素阻害活性の測定 3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)テトラゾールの
試験管内でのチロシンホスファターゼ阻害活性の測定
は、J. Antibiot.,1993,46,9 ,1342- 1346に記載の
方法によった。
【0049】チロシンホスファターゼの酵素源として、
37℃、5%CO2 条件下に、10%牛血清を添加した
RPMI1640培地で培養継続したJurkat細胞
(大日本製薬社より入手)の膜画分より精製したCD4
5を用いた。膜画分精製のため、培養Jurkat細胞
を低張緩衝液(25mM Tris−HCl、25mM
スクロース、0.1mM EDTA、5mM MgCl
2 、5mMジチオスレイトール、1mM フェニルメタ
ンスルフォニルフルオライド、10μg/mLロイペプ
チン、1N HClによりpH7.5に調整)により破
砕し、500×gで5分間遠心分離した。上清をさらに
100,000×gで60分間遠心し、CD45を含む
沈殿画分を分析用緩衝液(100mM 酢酸ナトリウ
ム、1mM EDTA、pH6.0)に溶解した。
【0050】45μlの分析用緩衝液に溶解したリン酸
化−L−チロシンを基質として、2μg(タンパク量と
して)の膜画分とともに各濃度におけるサンプル(3−
(3,4−ジヒドロキシフェニル)テトラゾール)存在
下、あるいは非存在下(ブランク値)に37℃、15分
間インキュベートした。反応は5%のHClO4 15
0μlを添加して終了させた。酵素活性の結果により生
ずる無機リンの定量のため、50μlの色素(6N H
2 SO4 、1mg/mLのマラカイトグリーン、2.5
%モリブデンアンモニウム、0.2%のTween2
0)を反応混合物に添加し、620nmの吸光度をタイ
ターテック・マルチスキャンモニター(マルチスキャン
プラス MKII 日本フローラボラトリー社)で測定し
た。
【0051】各濃度におけるサンプル存在時の吸光度測
定結果を、サンプル非存在時の結果と比較し、下記式に
より阻害率を計算した(各測点のN数=5)。
【0052】阻害率(%)=(1−サンプル存在時の吸
光度/サンプル非存在時の吸光度(ブランク値))×1
00
【0053】サンプルの各濃度における阻害率をグラフ
にプロットし、グラフから50%阻害濃度(IC50値)
を算出したところ、3−(3,4−ジヒドロキシフェニ
ル)テトラゾールの50%阻害濃度(IC50値)は、3
2μg/mLであった。なお、同様に行った酸化硫酸バ
ナジウムのIC50値は、91μg/mLであった。
【0054】PTP1B酵素阻害活性の測定 PTP1Bは非レセプター型のチロシンホスファターゼ
であり、近年インスリン受容体を直接の基質として働く
ことが証明され、生体内でインスリンシグナルをオフに
する負の調節因子として機能していると考えられている
(蛋白質 核酸酵素、1998,48,8,1200−
1206)。このPTP1Bに対する3−(3,4−ジ
ヒドロキシフェニル)テトラゾールの阻害活性を調べ
た。
【0055】酵素源としてはグルタチオンアガロースを
含むリコンビナントのPTP1Bを用い、p−ニトロフ
ェニルホスフェートを基質としてアッセイした。最終容
量205μlとなるよう調製した反応液(50mM T
ris−HCl、0.1mMCaCl2 、40mM N
iCl2 、5mg/mL BSA、1.5mg/mL
p−ニトロフェニルホスフェート(シグマ社製)、1N
HClによりpH7.0に調整)に、0.6μg/m
Lの酵素とサンプルを添加し、37℃、10分間インキ
ュベートした。無機リンの定量および50%阻害濃度
(IC50値)の算出はのCD45膜酵素阻害活性測定
と同様にして行った。
【0056】その結果、3−(3,4−ジヒドロキシフ
ェニル)テトラゾールのPTP1Bに対する50%阻害
濃度(IC50値)は、47μg/mLであった。
【0057】実施例2のおよびの結果から、3−
(3,4−ジヒドロキシフェニル)テトラゾールは、高
いチロシンホスファターゼ阻害活性を有していることが
わかる。また、の結果から、3−(3,4−ジヒドロ
キシフェニル)テトラゾールは、インスリンレセプター
の活性を直接的に維持する働きをもち、なおかつバナジ
ン酸塩のような非特異的な作用をもたない物質であるた
め、高い血糖降下活性と安全性が期待される。
【0058】実験例3〔生理的条件下での安定性試験〕 3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)テトラゾール1
00mg/Lを、37℃のリン酸緩衝液(KCl 20
0mg/L、KH2 PO4 200mg/L、NaCl
8g/L、Na2 HPO4 1.15g/L、pH
7.0)中で24時間インキュベートを行った。インキ
ュベート前の試料と、24時間インキュベートを行った
試料とを高速液体クロマトグラフィーによって定量分析
を行った。その結果インキュベート後の分解は見られ
ず、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)テトラゾー
ルは生理的条件下で安定であることが分かった。これに
対し、同一条件下でデフォスタチンは2時間で完全に分
解した。
【0059】チロシンホスファターゼ阻害作用をもつ酸
化硫酸バナジウムが、インスリン受容体のチロシンキナ
ーゼ活性を維持することで血糖降下を行うことは知られ
るところであり、同様に3−(3,4−ジヒドロキシフ
ェニル)テトラゾールの血糖値に及ぼす効果が、細胞の
チロシンホスファターゼ阻害作用に基づくものであるこ
とが示唆される。
【0060】酸化硫酸バナジウムは、その酵素阻害様式
がリンに拮抗するため、広範な生体作用から強い毒性を
もたらし、薬剤として使用するには不適当であるのに比
べ、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)テトラゾー
ルの酵素阻害様式は基質拮抗型で特異性が強く、またす
でに発表されているデフォスタチン誘導体のような、変
異原性に結びつく作用がない。したがって3−(3,4
−ジヒドロキシフェニル)テトラゾールは糖尿病薬とし
て有用であり、糖尿病の高血糖改善効果が期待できる。
【0061】
【発明の効果】本発明の化合物は、チロシンホスファタ
ーゼ阻害活性を有し、しかも生理的条件下での安定性も
高いことから糖尿病治療薬としての利用を図ることがで
きる。また、チロシンホスファターゼ阻害が有効な疾患
の治療または予防にも用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢 力 神奈川県綾瀬市綾西4−6−7 (72)発明者 渡辺 匠 千葉県市川市平田3−7−22市川グリーン タウン第3みずほ302号 (72)発明者 山下 敬 兵庫県加古川市別府町別府899−1ルミエ ール・ベフ101号 (72)発明者 北原 幹郎 兵庫県神戸市北区鈴蘭台西町1−8−10 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 AA03 BC62 MA04 NA14 ZC20 ZC35

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1): 【化1】 (式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル
    基またはアセチル基を示す)で表される化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、Rが水素原子で
    ある、請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 一般式(1): 【化2】 (式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル
    基またはアセチル基を示す)で表される化合物を有効成
    分とすることを特徴とするチロシンホスファターゼ阻害
    剤。
  4. 【請求項4】 一般式(1)において、Rが水素原子で
    ある、請求項3記載のチロシンホスファターゼ阻害剤。
  5. 【請求項5】 一般式(1): 【化3】 (式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル
    基またはアセチル基を示す)で表される化合物またはそ
    の薬理的に許容し得る塩を有効成分とすることを特徴と
    する糖尿病治療薬。
  6. 【請求項6】 一般式(1)において、Rが水素原子で
    ある、請求項5記載の糖尿病治療薬。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006316001A (ja) * 2005-05-13 2006-11-24 Keio Gijuku ナフトキノン誘導体化合物

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