JP2000252789A - 弾性表面波装置およびその製造方法 - Google Patents

弾性表面波装置およびその製造方法

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JP2000252789A
JP2000252789A JP4776199A JP4776199A JP2000252789A JP 2000252789 A JP2000252789 A JP 2000252789A JP 4776199 A JP4776199 A JP 4776199A JP 4776199 A JP4776199 A JP 4776199A JP 2000252789 A JP2000252789 A JP 2000252789A
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surface acoustic
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wave device
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Keiji Onishi
慶治 大西
Hiroteru Satou
浩輝 佐藤
Yoshihiro Tomita
佳宏 冨田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型の弾性表面波装置を精度高くしかも簡便
に作製できるようにする。 【解決手段】 櫛形電極103を有する圧電基板101
に補助基板102を設け、この補助基板102に、櫛形
電極103によって励振される弾性表面波を反射させる
反射境界面104を設けて弾性表面波装置を構成する。
また、弾性表面波装置の製造方法において、補助基板1
02が配置される圧電基板101の表面領域、および補
助基板102の接合面を親水化処理したのち、圧電基板
101の前記表面領域に、水酸基を有する液体を介して
補助基板102の接合面を重ね合わせて接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信機器等
に使用される弾性表面波装置およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】無線通信の発展に伴い、機器を構成する
キーデバイスの1つとして弾性表面波共振子等の弾性表
面波装置が広く用いられている。また、移動体通信機器
の分野では、特開平5−183380号の特許公開公報
に示されるように、弾性表面波共振子を梯子型に接続す
ることにより構成した弾性表面波装置が広く用いられて
いる。
【0003】以下に、従来の弾性表面波装置について1
ポート弾性表面波共振子を例にとって説明する。図10
は、従来の弾性表面波共振子の構成の概略を示す斜視図
である。図10において、201は圧電基板、202は
櫛形電極、203は反射器である。
【0004】従来の弾性表面波共振子では、水晶やタン
タル酸リチウムなどの圧電単結晶からなる圧電基板20
1上に、アルミニウム合金等からなる櫛形電極202お
よび反射器203が形成されている。櫛形電極202
は、弾性表面波波長をλとした場合、1/4λの線幅を
有する電極指が、同じく1/4λの間隔をもって複数互
いに平行に並列配置されている。そして、反射器203
は、櫛形電極202の両外側(弾性表面波の伝搬方向両
外側)に、櫛形電極202に対して所定の間隔を隔てて
配置されている。反射器203は、複数本の金属グレー
ティングから構成されている。
【0005】櫛形電極202で励振された弾性表面波は
圧電基板201上を櫛形電極202を挟んで双方向に進
行するが、櫛形電極202の両外側に配置された反射器
203により反射され、共振特性を得ることができる。
例えば、圧電基板201として水晶基板を用いた場合に
は、弾性表面波共振子は、百対余りの櫛形電極202
と、数百本の金属グレーティングからなる一対の反射器
203により構成されている。このように、反射器一本
当たりの反射係数が小さい場合には、反射器203の配
置位置、反射器203の電極指ピッチ等を最適化したう
えで、多数本の反射器203を形成することにより、ス
プリアスの少ない良好な共振特性を得ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の弾性表面波装置では、反射器203を構成する金属
グレーティング1本あたりの反射係数が小さいために、
反射器として多数本の金属グレーティングを配置する必
要があり、素子が大型化するという課題を有していた。
例えば、100対の電極指を有する櫛形電極202に対
して、300本の金属グレーティングを有する反射器2
03を両側に配置する場合には、弾性表面波装置全体と
して、櫛形電極202の約4倍の素子面積を必要として
いた。
【0007】本発明は、前記従来の課題を解決するもの
であり、多数本の金属グレーティングを必要とする反射
器を必要としない小型の弾性表面波装置を得ることを目
的としており、またその製造方法を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の弾性表面波装置は、櫛形電極を有する圧電
基板に補助基板を設け、この補助基板に、前記櫛形電極
によって励振される弾性表面波を反射させる反射境界面
を設けたことに特徴を有している。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、櫛形電極を有する圧電基板に補助基板を設け、この
補助基板に、前記櫛形電極によって励振される弾性表面
波を反射させる反射境界面を設けたことに特徴を有して
おり、これにより次のような作用を有する。すなわち、
補助基板に設けた反射境界面は十分大きな反射係数を有
するものとなるので、比較的小さな反射係数を有する金
属グレーティングを複数本配置して構成された従前の反
射器に比べて、平面的にみて小型化が可能となる。
【0010】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1に係る弾性表面波装置であって、前記補助基板を、前
記弾性表面波の伝搬方向に沿って前記櫛形電極より外側
に配置したことに特徴を有しており、これにより次のよ
うな作用を有する。すなわち、補助基板は反射器として
機能するのに適した位置に配置されることになる。
【0011】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
2に係る弾性表面波装置であって、前記反射境界面を、
前記櫛形電極の電極指と平行となるように配置したこと
に特徴を有しており、これにより次のような作用を有す
る。すなわち、反射境界面は弾性表面波を効率よく反射
するのに適した位置に配置されることになる。
【0012】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
1ないし3のいずれかに係る弾性表面波装置であって、
前記圧電基板と前記補助基板とを実質的に直接接合した
ことに特徴を有しており、これにより次のような作用を
有する。すなわち、直接接合により圧電基板と補助基板
とは強固に接合されることになる。しかも、直接接合に
より接合するために、圧電基板と補助基板との間に、接
着剤等の接合中間層が存在することがない。そのため、
弾性表面波が接合中間層で吸収されることなく反射され
ることになり、吸収により共振特性が影響を受けること
もなく、反射効率の高い弾性表面波装置が得られる。
【0013】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項
1ないし4のいずれかに係る弾性表面波装置であって、
前記圧電基板と、前記補助基板とを実質的に同じ材料か
ら構成したことに特徴を有しており、これにより次のよ
うな作用を有する。すなわち、圧電基板と補助基板とを
実質的に同じ材料から構成することにより両者の熱膨張
係数も実質的に同一となる。そのため、直接接合により
圧電基板と補助基板とを接合する際に施される熱処理温
度を高めても、両者の熱膨張係数が実質的に同一である
ために割れ欠け等の損傷が生じにくくなる。直接接合の
工程時に行う熱処理の処理温度を高めることは、圧電基
板と補助基板との間の接着強度を高めることにつながる
ため、本発明を実施することにより、弾性表面波装置の
信頼性を高めることが可能となる。
【0014】本発明の請求項6に記載の発明は、請求項
1ないし5のいずれかに係る弾性表面波装置であって、
前記補助基板の厚さを、弾性表面波の波長に比べて厚く
したことに特徴を有しており、これにより次のような作
用を有する。すなわち、補助基板の厚さを、弾性表面波
の波長に比べて厚くすることにより、弾性表面波の反射
効率を十分確保することが可能となる。しかも、厚さが
増すことにより補助基板の取り扱いが容易となる。
【0015】本発明の請求項7に記載の発明は、請求項
1ないし5のいずれかに係る弾性表面波装置であって、
前記補助基板の密度を、前記圧電基板の密度よりも大き
くしたことに特徴を有しており、これにより次のような
作用を有する。すなわち、補助基板の密度を、圧電基板
の密度よりも大きくことにより弾性表面波の反射効率を
十分確保することが可能となる。
【0016】本発明の請求項8に記載の発明は、弾性表
面波励起用の櫛形電極を有する圧電基板に補助基板を設
けるともに、この補助基板に、前記弾性表面波を反射さ
せる反射境界面を設けてなる弾性表面波装置の製造方法
であって、前記圧電基板の表面のうち、前記補助基板が
配置される領域を選択的に親水化処理する工程と、前記
補助基板の接合面を親水化処理する工程と、前記圧電基
板の前記領域に、水酸基を有する液体を介して前記補助
基板の前記接合面を重ね合わせて接合する工程と、を含
むことに特徴を有しており、これにより次のような作用
を有する。すなわち、補助基板が配置される圧電基板の
表面領域を選択的に親水化処理したうえで、圧電基板の
表面上に水酸基を有する液体を存在させると、この液体
はその表面張力により補助基板配置領域に選択的に付着
することになる。そのため、水酸基を有する液体を介し
て補助基板の接合面を圧電基板の補助基板配置領域に重
ね合わせると、補助基板は、前記液体の表面張力により
その配置領域上に精度高く位置合わせされることにな
る。しかも、このような位置合わせは液体の表面張力に
より行われるので、補助基板の接合面を、圧電基板上の
補助基板配置領域上に、大まかに配置するだけで自動的
に行われることになる。
【0017】本発明の請求項9に記載の発明は、請求項
8に係る弾性表面波装置の製造方法であって、水酸基を
有する液体を介して重ね合わせた前記圧電基板と前記補
助基板とを熱処理する工程を更に含むことに特徴を有し
ており、これにより次のような作用を有する。すなわ
ち、熱処理することで、圧電基板と補助基板とは強固に
直接接合されることになる。
【0018】本発明の請求項10に記載の発明は、請求
項8または9に係る弾性表面波装置の製造方法であっ
て、前記水酸基を含む液体として、水を主成分とする液
体を用いることに特徴を有しており、これにより次のよ
うな作用を有する。すなわち、水酸基を含む液体とし
て、水を含む液体という簡単に手に入り、しかも、取り
扱い上、安全性の高い液体を用いることで、製造コスト
の削減と、高い安全性を得ることができる。
【0019】本発明の請求項11に記載の発明は、請求
項8ないし10のいずれかに係る弾性表面波装置の製造
方法であって、前記補助基板に、前記反射端面を形成す
る工程を、レーザ加工、プラズマ加工、もしくは化学エ
ッチング加工を用いて行うことに特徴を有しており、こ
れにより次のような作用を有する。すなわち、これらの
加工により、補助基板の切断加工を実施すれば、切断端
面が鏡面状となるので、補助基板の切断と、研磨(反射
端面形成)とを同時に行うことができ、その分、工程の
簡略化が図れてコストダウンに繋がる。
【0020】以下、本発明の実施の形態について、図1
から図10を用いて詳細に説明する。
【0021】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の
形態1における弾性表面波装置の構成を示す斜視図であ
る。図1において、101Aは圧電基板、102Aは補
助基板、103Aは櫛形電極、104Aは反射境界であ
る。本実施の形態では、圧電基板101Aおよび補助基
板102Aとして、タンタル酸リチウム単結晶を用い
た。また、櫛形電極103Aの材料として、アルミニウ
ムを用いた。
【0022】圧電基板101A上には、通常のフォトリ
ソグラフィ手法を用いて、櫛形電極103Aを形成す
る。なお、図1において、櫛形電極103Aは模式的に
示したものであり、弾性表面波の波長に基づくものでは
ない。以下に、本実施の形態における弾性表面波装置の
構造について、そのプロセスを追って詳細に説明する。
【0023】図2は、本実施の形態における弾性表面波
装置の製造プロセスを示す概略図である。最初に、補助
基板102Aの加工方法について説明する。本実施の形
態では、圧電基板101Aの大きさ5mm×3mmに対
して、補助基板102Aの大きさを1mm×2mmに設
定した。
【0024】まず、少なくとも一方主面が鏡面加工され
た厚さ0.2mmのタンタル酸リチウム単結晶から、補
助基板102Aの原板102A’(図示省略)をダイシ
ング装置等を用いて切り出す。このとき、原板102
A’は、後工程の研磨後に設定した大きさとなるよう、
若干大きめに切り出しておく。そして、切り出した原板
102A’を、ワックス等により研磨基台(図示省略)
に載置固定する。この際、原板102A’の切断面(最
終的に弾性表面波装置の反射境界面104Aとなる)が
研磨面となるように、原板102A’を研磨基台に載置
する。研磨基台に載置固定した原板102A’の研磨面
を鏡面仕上げすることで、原板102A’を補助基板1
02Aとする。鏡面仕上げした研磨面が、弾性表面波装
置の反射境界面104Aを構成する補助基板102Aの
端面106Aとなる。鏡面研磨が終了した後、補助基板
102Aを研磨基台から個々に分離して洗浄する。(図
2(a)参照)本実施の形態では、補助基板102Aと
して厚さ0.2mmのタンタル酸リチウム単結晶基板を
使用したが、音響的不連続部を形成するためには、基板
の厚さを弾性表面波波長の1波長以上とすることが好ま
しい。さらには、取り扱いの容易さを考慮すれば、0.
1mm以上の厚さとすることが好ましい。
【0025】また、本実施の形態では、補助基板102
Aの切り出しをダイシング装置を用いて行ったが、この
切り出しをレーザ加工やプラズマ加工、化学エッチング
手法を用いて行えば、特に端面の研磨工程を行う必要が
なくなり、その分、工程の簡略化が図れる。また、ダイ
シング装置を使用する場合においても、ダイシングブレ
ードや切断条件を最適に選ぶことで、研磨工程を最小限
に抑えることができる。さらに、弾性表面波波長が切断
端面の荒さに比べて十分に大きければ、研磨工程を簡略
化することができる。ただし、弾性表面波の反射を高精
度に制御したい場合や、スプリアスの抑制が必要な場合
には、端面106Aの面精度が重要であるため、特に注
意して、鏡面仕上げを行う必要がある。
【0026】次に、このように形成した補助基板102
Aと圧電基板101Aとの直接接合工程について説明す
る。最初に、図2(b)に示すように、圧電基板101
A上に形成された櫛形電極103A上に保護膜105A
を形成する。保護膜105Aはフォトレジストを用い
る。なお、この段階では圧電基板101Aはウエハ状態
で扱うことが好ましい。
【0027】次に、図2(c)に示すように、櫛形電極
103Aが選択的に保護されるように、保護膜105A
をパターニングする。このとき、保護膜105Aの端縁
105Aa(弾性表面波の伝搬方向αに沿って櫛形電極
103Aを挟んで対向する位置にある保護膜105Aの
端縁)が、補助基板102Aの端面106Aの配置位置
(弾性表面波装置の反射境界面104Aとなる)に正確
に沿ったものとなるように、保護膜105Aを精度高く
パターニングする。このような保護膜105Aの形成精
度は、フォトリソグラフィ工程により保護膜105Aを
形成すれば容易に得られる。
【0028】本実施の形態では、保護膜105Aとして
フォトレジストを用いたが、保護膜105Aの材料に特
に制約はない。ただし、耐薬品性、除去性に優れた材料
を選ぶことが好ましい。
【0029】そして、保護膜105Aが形成された圧電
基板101Aを親水化処理する。すなわち、圧電基板1
01Aを親水化処理液に浸すことにより、保護膜105
Aで被覆されていない親水化処理領域107Aを水酸基
(−OH基)で終端して、親水性を示すようにする。補
助基板102Aについても、同様にして、基板全体を親
水化処理する。このような親水化処理に用いる親水化処
理液としては、例えば、過酸化水素水と水酸化アンモニ
ウム水溶液の混合水溶液を使用する。なお、補助基板1
02Aは必ずしも基板全体を親水化処理する必要はな
い。補助基板102Aは、少なくとも、圧電基板101
Aに対する接合面を親水化処理すればよい。
【0030】なお、過酸化水素水と水酸化アンモニウム
とからなる親水化処理液を用いる場合には、この親水化
処理液がアルカリ性を示すために、アルミニウム等から
なる櫛形電極103Aでは溶解が生じてしまう。そこ
で、本実施の形態では、櫛形電極103Aの溶解を防止
するために、櫛形電極103Aを覆う保護膜105Aと
して、耐アルカリ性に優れたフォトレジストを用いるこ
とで櫛形電極103Aの溶解を確実に防止している。し
かしながら、アルカリ性の親水化処理液を用いない場合
や、紫外線照射やプラズマ処理により親水化を行う場
合、あるいは櫛形電極103Aに金などの耐食性金属を
使用する場合には、必ずしも保護膜105Aとして、耐
アルカリ性に優れた保護膜を用いる必要はない。
【0031】なお、保護膜105Aとして、酸化珪素を
主成分とする薄膜を形成した場合などでは、その保護膜
105Aは、膜の特徴から、弾性表面波装置の特性に影
響を与えない。さらには、弾性表面波装置の出力特性の
設定具合によっては、保護膜105A自体が弾性表面波
装置の特性に対して所定の役割を果たすことも有り得
る。そのため、このような場合には、保護膜を必ずしも
除去する必要はなく、残存させておいてもよく、そうす
れば、保護膜105Aの除去工程を簡略化することがで
きる。
【0032】次に、圧電基板101Aと補助基板102
Aとの基材接合工程について説明する。保護膜105A
を形成したうえで親水化処理した圧電基板101Aと、
基板全体を親水化処理した補助基板102Aとを純水中
に浸漬する。すると、親水化処理された領域(補助基板
102Aの全面および圧電基板101Aの親水化処理領
域107A)にのみ水分子が付着する。そして、水分子
が付着した圧電基板101Aの親水化処理領域107A
と、補助基材102Aとを両者の位置が概ね合致するよ
うに重ね合わせる。そうすると、親水化処理領域107
Aの界面(保護膜端縁105Aa)および補助基板10
2Aの界面に介在する水分子の表面張力により、補助基
板102Aは自動的に親水化処理領域107A上の正確
な位置に位置修正される。ここでいう正確な位置とは、
補助基板102Aの端面106Aが櫛形電極103Aよ
り弾性表面波伝搬方向の外側にあって、かつ、櫛形電極
103Aの電極指と補助基板102Aの端縁106Aと
が平行になる位置をいう。このように、精密な位置合わ
せを行うことなく、圧電基板101A上の親水化処理領
域107Aに補助基板102Aを精度よく配置すること
が可能となるので、補助基板102Aを載置する時間を
大幅に短縮することができる。また、高度な位置決め精
度を必要としないため、製造装置を大幅に低廉化するこ
とができる。
【0033】このようにして補助基板102Aを圧電基
板101A上に配置することで、両基板102A、10
1Aは水素結合または分子間力により初期接合されるる
ことになる。(図2(d)、(e)参照) 両基板10
1A、102Aを初期接合したのち、保護膜105A
(フォトレジスト)を、酸素プラズマアッシングにより
除去する。(図2(f)参照)この状態でも、両基板1
01A、102Aは、ある程度の強度で接合されること
になる。しかしながら、さらに、両基板101A、10
2Aの接合強度を高めるためには、初期接合された両基
板101A、102Aをさらに熱処理をして、より強固
に接合することが好ましい。本実施の形態では、窒素
中、400℃、無加圧で熱処理を行った。これにより、
圧電基板101Aと補助基板102Aとの接合は、共有
結合による接合が主となり、バルク強度と同等の接合強
度を確保することができる。したがって、弾性表面波装
置として、十分な信頼性を保つことができるようにな
る。
【0034】本実施の形態では、圧電基板101Aおよ
び補助基板102Aとして、同種、同カット角のタンタ
ル酸リチウムを使用したため、熱応力の発生がなく熱処
理温度を十分に高くすることができる。なお、圧電基板
101Aのキュリー温度を越えないことと、櫛形電極1
03Aの劣化を考慮すれば、熱処理温度、雰囲気に特に
制限はない。
【0035】また、初期接合後に保護膜105Aの除去
を行ったが、熱処理時に櫛形電極103Aへの悪影響が
なければ、熱処理後に保護膜105Aを除去しても差し
支えない。さらに、保護膜105Aの除去方法について
も、特に制約はない。ただし、初期接合後に保護膜10
5Aを除去する場合には、接合強度が不十分であり、水
に対して接合が不安定であるため、乾式プロセスによる
除去方法が好ましい。
【0036】以上で、本発明による弾性表面波装置は作
製される。鏡面加工された補助基板102Aの端面10
6Aは、圧電基板101Aとの接合界面で反射境界面1
04Aを構成し、櫛形電極103Aで励振された弾性表
面波をこの反射境界面104Aで効率的に反射すること
ができるようになる。これは、補助基板102Aの接合
による質量付加効果による、音響的不連続部が構成され
たためであり、このような構成とすることで、従来の反
射器を配置することなく共振特性を得ることができる。
これにより、従来多数本の反射器を必要としていた弾性
表面波装置を大幅に小型化することができる。特に、共
振周波数の低い場合や水晶基板を用いた場合といった反
射係数の小さい圧電基板101Aを用いた場合には有効
である。本実施の形態の場合には、従来のおよそ1/2
の素子面積に縮小することができる。
【0037】また、本発明によれば、圧電基板101A
と補助基板102Aとを実質的に直接接合しているた
め、弾性表面波が接着剤等の接合中間層等で吸収される
ことなく反射されることになり、共振特性への影響を防
ぐことができる。また、補助基板102Aの配置位置を
制御することで、スプリアスを抑制することが可能とな
る。
【0038】また、精密な位置合わせを行うことなく、
圧電基板101A上の親水化処理領域107Aに補助基
板102Aを精度よく配置することが可能となるので、
補助基板102Aを載置する時間を大幅に短縮すること
ができる。また、高度な位置決め精度を必要としなくな
って製造装置を大幅に低廉化することができる。
【0039】また、補助基板102Aの厚さをより厚く
して反射境界面104Aにおける反射係数を大きくする
ことで、変換効率を高めることが可能となる。
【0040】なお、本実施の形態では、圧電基板101
Aおよび補助基板102Aとしてタンタル酸リチウムを
用いたが、基板材料に特に制約はなく、ニオブ酸リチウ
ムや水晶などの他の単結晶、ZnO膜等を圧電基板10
1Aとして用いても、PZT等の圧電セラミック基板等
を圧電基板101Aとして用いても同様の効果を得るこ
とができるのはいうまでもない。
【0041】以上のように、本実施の形態では、従来の
反射器を不要とし、弾性表面波装置の大幅な小型化を実
現することができる。
【0042】また、圧電基板101Aと、補助基板10
2Aとを同じ材料から構成することで、直接接合工程の
熱処理温度を十分高く設定することができ、信頼性の高
い弾性表面波装置を得ることができる。
【0043】また、補助基板101Aの厚さを、弾性表
面波波長に比べて厚くすることで、製造工程における補
助基板101Aの取り扱いを容易にすることができると
ともに、弾性表面波の反射効率を十分に確保することが
できる。
【0044】また、補助基板101Aに少なくとも一つ
以上の反射境界面104A(補助基板端面106A)を
形成する工程において、レーザ加工またはプラズマ加
工、化学エッチング加工等を用いれば、反射境界面10
4Aを形成するための研磨工程を省略ないし簡略化する
ことができる。
【0045】(実施の形態2)図3は、本発明の実施の
形態2における弾性表面波装置の構成を示す斜視図であ
る。図3において、101Bは圧電基板、102Bは補
助基板、103Bは櫛形電極、104Bは反射境界面で
あり、106Bは、反射境界面104Bを構成する補助
基板104の端面である。なお、図3においても、櫛形
電極103Bは模式化されものであって、本来の大き
さ、弾性表面波波長を示すものではないのはいうまでも
ない。以降の図においても同様である。
【0046】本実施の形態では、圧電基板101Bとし
てSTカット水晶(実施の形態1と異なる)を、補助基
板102Bとしてタンタル酸リチウム単結晶(実施の形
態1と同様)を用いた。また、櫛形電極103Bの材料
としてアルミニウム合金(実施の形態1と同様)を用い
た。
【0047】本実施の形態では、基本的には、実施の形
態1と同様の方法で弾性表面波装置を作製しているが、
次の点で異なっている。すなわち、初期接合された圧電
基板101Bと補助基板102Bとを熱処理することに
より、より強固な接合体を得ることができる。なお、本
実施の形態では窒素中、250℃、無加圧で熱処理を行
った。これにより、圧電基板101Bと補助基板102
Bとの接合は、共有結合による接合が主となり、バルク
強度と同等の接合強度を確保することができる。したが
って、弾性表面波装置として、十分な信頼性を保つこと
ができる。
【0048】本実施の形態では、圧電基板101Bとし
て水晶基板を、補助基板102Bとしてタンタル酸リチ
ウムを使用したため、両基板101B、102Bの熱膨
張係数差に起因する熱応力のため、熱処理温度を高くす
ると両基板101B、102Bに割れが発生する可能性
がある。したがって、使用する基板材料の熱膨張係数
差、直接接合面の形状、両基板101B、102Bの熱
処理時の大きさ等を考慮する必要があるが、特に熱処理
温度に制約はない。また、熱処理温度を十分に高く設定
できない場合には、加圧下で熱処理を行うことにより、
接合強度を強化することができる。なお、熱処理雰囲気
については、特に制約はない。
【0049】この実施の形態でも前述した実施の形態1
と同様の効果が得られるうえに、さらには次のような効
果が得られる。すなわち、本実施の形態のように、圧電
基板101Bと、補助基板102Bとを互いに異なる材
料から構成することで、反射境界面104Bにおける音
響不連続量(例えば、音響インピーダンスの変化)を大
きくすることができ、弾性表面波の反射係数を大きくす
ることができ、Q値の高い弾性表面波装置を得ることが
できる。
【0050】さらに、補助基板102Bの密度を、圧電
基板101Bの密度よりも大きくすることでも、反射係
数を大きくすることができ、弾性表面波を櫛形電極10
3Bに十分に閉じこめることができ、高性能の弾性表面
波装置を得ることができる。また、本実施の形態では、
図3に示すように、圧電基板101Bの幅(弾性表面波
伝搬方向αと直交する方向に沿った幅)方向の寸法hと
補助基板102Bの同幅寸法hとが同一となっている。
このような場合には、次のようにして弾性表面波装置を
作製することも可能である。すなわち、複数の圧電基板
101Bをその幅方向に沿って並列配置したうえで、こ
れら複数の圧電基板101B、…の幅方向寸法hの合計
と同じ長さを有する補助基板102B’を用意する。そ
して、用意した原板102B’を、並列配置した圧電基
板101B、…の上の所定位置に配置して直接接合によ
り両基板101B、102Bを接合する。そして、最後
に個々の弾性表面波装置に分割する。このような方法に
よれば、複数の補助基板102Bを一度に圧電基板10
1Bに直接接合することが可能となり、工程の簡略化が
促進できる。
【0051】ところで、実施の形態1,2を例にして説
明した本発明の構成は、弾性表面波装置の大きさに拘わ
らず、実施することができる。特に、圧電基板101
A、101Bの大きさが小さい場合には、図4に示すよ
うに、複数個の圧電基板101A(ないし101B)が
整列状態で実装された母基板110上に、複数の補助基
板102A(ないし102B)を連結してなる母基板1
11を直接接合により接合配置する(位置合わせおよび
直接接合については実施の形態1参照)。そして、母基
板111と一緒に母基板110を、各弾性表面波装置の
外周上に設けられた切断線112に沿って分割すること
で各弾性表面波装置を形成する。これにより、弾性表面
波装置の小型化が可能とになり、補助基板102A、1
02Bが小さくなってその取り扱いは煩雑になることを
回避できる。
【0052】(実施の形態3)図5は、本発明の実施の
形態3における弾性表面波装置の構成を示す分解斜視図
である。図5において、101Cは圧電基板、102C
は補助基板、103Cは櫛形電極、104Cは反射境界
面、106Cは補助基板102Cの端面である。本実施
の形態では、前述した第2の実施の形態と同様に、圧電
基板101CとしてSTカット水晶を、補助基板102
Cとしてタンタル酸リチウム単結晶を用いている。ま
た、櫛形電極103Cの材料としてアルミニウム合金を
用いており、基本的には、実施の形態2と同様の構成を
備えているが、次の点で異なっている。すなわち、圧電
基板101Cの大きさを3mm×2mmに、また、補助
基板102Cの大きさを3mm×1.5mmに設定して
おり、実施の形態2より若干サイズが小さくなってい
る。
【0053】また、櫛形電極103Cをその弾性表面波
伝搬方向αに沿って対向配置される補助基板102C、
102Cを、連結部102Caにより連結して一体化し
ている。そして、連結部102Caの底部にその幅i
(弾性表面波伝搬方向αと直交する方向に沿う幅)の端
から端まで連続してその両端が外部に開放された凹部1
02Cbを形成している。そして、この凹部102Cb
により連結部102Caを櫛形電極103Cから離間さ
せる。さらには、凹部102Cbの端縁を各補助基板1
02Cの端面106Cとし、この端面106Cによって
反射境界面104Cを構成する。
【0054】本実施の形態では、弾性表面波素子の素子
サイズ、言い換えれば圧電基板101Cのサイズが小さ
くなっており、実施の形態1あるいは実施の形態2と同
様の補助基板102A、102Bとした場合には、製造
工程、特に接合工程における補助基板102A、102
Bの取り扱いが非常に困難になる恐れがある。しかしな
がら、本実施の形態では、一対の補助基板102C、1
02Cを連結部102Caにより連結することで、補助
基板102C、102Cの取り扱いが容易になってい
る。さらには、連結部102Caにより櫛形電極103
Cの保護が可能となり、外部から導電性異物等が櫛形電
極103Cに飛来し、歩留まりが低下することを防ぐこ
とができる。
【0055】本実施の形態では、その幅iに連続した凹
部102Cbを有する連結部102Cbで両補助基板1
02C、102Cを連結した、断面視コの字状の補助基
板102C、102Cを用いたが、補助基板は形状に特
に制約はなく、弾性表面波の伝搬(共振)を阻害しない
ようにして、少なくとも一つ以上の端面が形成されてい
ればよい。
【0056】例えば、図6に示すように、圧電基板10
1Dの櫛形電極形成面101Daの全面を覆う大きさを
有する補助基板用平板113を用意し、さらに、この補
助基板用平板113の平面中央部に櫛形電極103Dを
覆う凹部102Daを形成する。これにより、凹部10
2Daの両端にある補助基板用平板113の端部(弾性
表面波伝搬方向αに沿った両端部)を補助基板102
D、102Dとして構成してもよい。このような構成の
補助基板102D、102D(補助基板用平板113)
では、凹部102Dの端縁全周が開放されることがない
ので櫛形電極103Dを気密保持することが可能とな
る。
【0057】なお、補助基板用平板113に凹部102
Daを形成するには、レーザ加工法を採用するので適当
であるが、ウェットエッチングや、ドライエッチングな
どの手法を用いてもよい。また、補助基板用平板113
が例えばシリコン等の基板からなる場合には、異方性エ
ッチングを利用することができ、この方法では、凹部1
02Daの端縁(補助基板102Dの端面106Dであ
って、反射境界面104Dを構成する)を高精度に形成
することが可能となる。
【0058】なお、圧電基板101C(101D)と補
助基板102C(102D)との直接接合工程は、実施
の形態1、2と同様であるので、説明は省略する。
【0059】また、本実施の形態では、圧電基板101
C(101D)として水晶基板を、補助基板101C
(101D)としてタンタル酸リチウムを使用したた
め、両基板101C(101D)、102C(102
D)の熱膨張係数差に起因する熱応力のため、熱処理温
度を高くすると基板101C(101D)、102C
(102D)に割れが発生する恐れがある。そのため、
使用する基板材料の熱膨張係数差、直接接合面の形状、
両基板101C(101D)、102C(102D)の
熱処理時の大きさ等を考慮する必要があるものの、特に
熱処理温度に制約はない。また、熱処理温度を十分に高
く設定できない場合には、加圧下で熱処理を行うことに
より、接合強度を強化することができる。なお、熱処理
雰囲気については、特に制約はない。
【0060】本実施の形態の弾性表面波装置では、実施
の形態1、2同様の作用効果が得られるほか、さらに次
のような効果が得られる。すなわち、対向配置される一
対の補助基板102C、102C(102D、102
D)を一体化することにより、圧電基板101C(10
1D)の大きさが小さい場合でも、補助基板102C
(102D)の大きさを十分に確保することができ、製
造工程において補助基板102C(102D)の取り扱
いを容易にすることができる。
【0061】(実施の形態4)図7は、本発明の実施の
形態4における弾性表面波装置の製造方法を示す図であ
る。図7において、101Eは圧電基板、102Eは補
助基板、103Eは櫛形電極、104Eは反射境界面、
105Eは保護膜、106Eは反射境界面104Eを構
成する補助基板102Eの端面、107Eは親水化処理
領域である。本実施の形態では、前述した実施の形態2
と同様に、圧電基板101EとしてSTカット水晶を、
補助基板102Eとしてタンタル酸リチウム単結晶を用
いている。また、櫛形電極103Eの材料としてアルミ
ニウム合金を用いている。また、圧電基板101上に
は、まえもって、通常のフォトリソグラフィ手法を用い
て、櫛形電極103を形成している。
【0062】本実施の形態の製造方法は、基本的には、
実施の形態1と同様の方法であるが、形成する親水化処
理領域107Eの形状に、実施の形態1とは異なる特徴
がある。以下、本実施の形態における弾性表面波装置の
製造方法について、図7を参照して詳細に説明する。
【0063】最初に、補助基板102Eの加工方法につ
いて説明する。本発明の第2の実施の形態と同様、圧電
基板101Eの大きさ5mm×3mmに対して、補助基
板102Eの大きさを1mm×2mmに設定した。
【0064】まず、少なくとも一方主面が鏡面加工され
た厚さ0.2mmのタンタル酸リチウム単結晶から、補
助基板102Eの原板102E’(図示省略)をダイシ
ング装置等を用いて切り出す。このとき、原板102
E’は、後工程の研磨後に設定した大きさとなるよう、
若干大きめに切り出しておく。そして、切り出した原板
102E’を、ワックス等により研磨基台(図示省略)
に載置固定する。この際、原板102E’の切断面(最
終的に弾性表面波装置の反射境界面104Eとなる)が
研磨面となるように、原板102E’を研磨基台に載置
する。研磨基台に載置固定した原板102E’の研磨面
を鏡面仕上げすることで、原板102E’を補助基板1
02Eとする。鏡面仕上げした研磨面が、弾性表面波装
置の反射境界面104Eを構成する補助基板102Eの
端面106Eとなる。鏡面研磨が終了した後、補助基板
102Eを研磨基台から個々に分離して洗浄する。(図
7(a)参照) 次に、このように形成した補助基板102Eと圧電基板
101Eとの直接接合工程について説明する。最初に、
図7(b)に示すように、圧電基板101E上に形成さ
れた櫛形電極103E上に保護膜105Eを形成する。
保護膜105Eはフォトレジストを用いる。なお、この
段階では圧電基板101Eはウエハ状態で扱うことが好
ましい。
【0065】次に、図2(c)に示すように、後述する
親水化処理領域107Eを除く領域が選択的に保護され
るように、保護膜105Eをパターニングする。このと
き、親水化処理領域107Eの周縁となる保護膜105
Eの端縁105Eaが、補助基板102Eの配置位置
(弾性表面波装置の反射境界面104Eとなる)に正確
に合致して、保護膜非形成領域(=親水化処理領域10
7E)が補助基板102Eの配置領域に正確に合致する
ように、保護膜105Eを精度高くパターニングする。
これにより親水化処理領域107Eを形成精度高く形成
する。このような保護膜105Eの形成精度は、フォト
リソグラフィ工程により保護膜105Eをエッチングす
れば容易に得られる。
【0066】本実施の形態では、保護膜105Eとして
フォトレジストを用いたが、保護膜105Eの材料に特
に制約はない。ただし、耐薬品性、除去性に優れた材料
を選ぶことが好ましい。
【0067】そして、親水化処理領域107Eを除いて
保護膜105Eが形成された圧電基板101Eを親水化
処理する。すなわち、圧電基板101Eを親水化処理液
に浸すことにより、保護膜105Eで被覆されていない
親水化処理領域107Eを水酸基(−OH基)で終端し
て、親水性を示すようにする。補助基板102Eについ
ても、同様にして、基板全体を親水化処理する。このよ
うな親水化処理に用いる親水化処理液としては、例え
ば、過酸化水素水と水酸化アンモニウム水溶液の混合水
溶液を使用する。なお、補助基板102Eは必ずしも基
板全体を親水化処理する必要はない。補助基板102A
Eの表面のうち、少なくとも、圧電基板101Aに対す
る接合面を親水化処理すればよい。
【0068】次に、圧電基板101Eと補助基板102
Eとの基材接合工程について説明する。保護膜105E
を形成したうえで親水化処理した圧電基板101Eと、
基板全体を親水化処理した補助基板102Eとを純水中
に浸漬する。すると、親水化処理された領域(補助基板
102Eの全面および圧電基板101Eの親水化処理領
域107E)にのみ水分子が付着する。そして、水分子
が付着した圧電基板101Eの親水化処理領域107E
と、補助基材102Eとを両者の位置が概ね合致するよ
うに重ね合わせる。すると、親水化処理領域107Eの
界面(保護膜端縁105Ea)および補助基板102E
の界面に介在する水分子の表面張力により、補助基板1
02Eは自動的に親水化処理領域107E上の正確な位
置に位置修正される。ここでいう正確な位置とは、補助
基板102Eの端面106Eが櫛形電極103Eから所
定の距離を保ち、かつ、櫛形電極103Eの電極指と補
助基板102Eの端縁106Eとが平行になる位置をい
う。このように、精密な位置合わせを行うことなく、圧
電基板101E上の親水化処理領域107Eに補助基板
102Eを精度よく配置することが可能となるので、補
助基板102Eを載置する時間を大幅に短縮することが
できる。また、高度な位置決め精度を必要としないた
め、製造装置を大幅に低廉化することができる。
【0069】このようにして補助基板102Eを圧電基
板101E上に配置することで、両基板102E、10
1Eは水素結合または分子間力により初期接合されるる
ことになる。(図7(d)、(e)参照) 両基板10
1E、102Eを初期接合したのち、保護膜105E
(フォトレジスト)を、酸素プラズマアッシングにより
除去する。(図2(f)参照) この状態でも、両基板101E、102Eは、ある程度
の強度で接合されることになる。しかしながら、さら
に、両基板101E、102Eの接合強度を高めるため
には、初期接合された両基板101E、102Eをさら
に熱処理して、より強固に接合することが好ましい。本
実施の形態では、窒素中、250℃、無加圧で熱処理を
行った。これにより、圧電基板101Eと補助基板10
2Eとの接合は、共有結合による接合が主となり、バル
ク強度と同等の接合強度を確保することができる。した
がって、弾性表面波装置として、十分な信頼性を保つこ
とができるようになる。
【0070】以上で、本発明による弾性表面波装置は作
製される。この実施の形態の弾性表面波装置は、実施の
形態1〜3と同様の作用効果を奏することができるが、
さらには、次のような作用効果を奏することができる。
すなわち、圧電基板101Eと補助基板Eとを位置合わ
せする工程において、補助基板102Eが配置される圧
電基板101E上の領域に正確に合致する親水化処理領
域107Eを予め形成することにより、圧電基板101
Eと補助基板102Eとの接合に際し、精密な位置合わ
せを必要とすることなく、補助基板102Eを所定の位
置に正確に配置することを、より精度高く行うことが可
能となった。これにより、製造設備を大幅に低廉化する
ことができ、弾性表面波装置の製造コストを抑制するこ
とができるとともに、製造時間の短縮を図ることができ
る。
【0071】以上説明した実施の形態では、圧電基板1
01A〜101E上に単一の櫛形電極103A〜103
Eを設けた弾性表面波装置において、本発明を実施して
いたが、本発明は、このようなものに限定されるもので
はなく、図8、図9に示すように、圧電基板101F、
101G上に複数の櫛形電極103F、103Gを設け
た弾性表面波装置においても、本発明を実施できるのは
いうまでもない。すなわち、図8に示す弾性表面波装置
では、圧電基板101F上に複数の櫛形電極部103
F、103F、…が形成されている。さらに、それぞれ
の櫛形電極103F、103F、…は、圧電基板101
F上で互いに電気的に接続されている。そして、各櫛形
電極103F、103Fの、弾性表面波の伝搬方向αに
沿って櫛形電極103F、1003Fより外側に補助電
極102F、102F、…が配設されている。また、弾
性表面波の伝搬方向αと直交する方向に沿って隣接する
補助電極102F、102F、…どうしは、一体化され
て連結している。
【0072】また、図9に示す弾性表面波装置では、圧
電基板101G上には複数の櫛形電極部103G、10
3G、…が形成されている。さらに、それぞれの櫛形電
極103G、103G、…は、圧電基板101G上で互
いに電気的に接続されている。そして、このような特徴
を備えた弾性表面波装置において、各櫛形電極103
F、103Fの、弾性表面波の伝搬方向αに沿って櫛形
電極103G、1003Gより外側に補助電極102
G、102G、…が配設されている。また、弾性表面波
の伝搬方向αと直交する方向に沿って隣接する補助電極
102F、102F、…どうしは、一体化されて連結し
ている。
【0073】以上説明した図9の弾性表面波装置の構成
は、基本的には、図8に示す弾性表面波装置と同様であ
る。この弾性表面波装置は、次の構成に特徴がある。す
なわち、櫛形電極103Gを挟んでその弾性表面波伝搬
方向αに沿って対向配置される補助基板102G、10
2Gを、連結部102Gaにより連結して一体化してい
る。そして、連結部102Gaの底部にその幅j(弾性
表面波の伝搬方向と直交する方向に沿った幅)の端から
端まで連続してその両端が外部に開放された凹部102
Gbを形成する。そして、この凹部102Gbにより連
結部102Gaを櫛形電極103Gから離間させる。さ
らには、凹部102Gbの弾性表面波の伝搬方向αに沿
った端縁を各補助基板102Gの端面106Gとし、こ
の端面106Gによって反射境界面104Gを構成して
いる。
【0074】なお、図8、図9に示した本発明の変形例
における補助基板102F、102Gの搭載方法(直接
接合を用いた位置合わせおよび接合)は、実施の形態1
〜4と同様であるのでは、その説明は省略する。
【0075】以上説明した図8、図9に示す弾性表面波
装置において、本発明を実施すれば、圧電基板101
F、101G上に複数配設された櫛形電極103F、1
03Gに対して、単一もしくはごく少数の補助基板10
1F、101G(図8、図9では単一)を設ければよい
ので、その分、補助基板101F、101Gの取り付け
作業の簡略化を図ることができるという利点がある。
【0076】また、図8、図9に示す弾性表面波装置で
は、複数の櫛形電極103F、103Gは、梯子型に接
続されており、装置全体としてフィルタ機能を持たせて
いる。この例から明らかなように、弾性表面波共振子単
体だけではなく、弾性表面波共振子を複数個接続してな
る弾性表面波装置においても、本発明を実施することが
でき、その場合でも同様の効果を得ることができる。例
えば、櫛形電極を隣り合わせに配置し、その両側に補助
基板を配置することにより2ポートの弾性表面波共振子
を得ることができる。また、櫛形電極を隣り合わせに3
つ配置した縦モードフィルタや、多数この櫛形電極を配
置した多電極型フィルタ、櫛形電極を伝搬方向と垂直方
向に配置した横モードフィルタなどにも適用できること
は明らかである。
【0077】なお、上述した各実施の形態では、選択的
に親水化処理領域107A、107Eを形成したうえ
で、水を介する直接接合により補助基板102A〜10
2Gを圧電基板101A〜101Gに接合することで、
補助基板102A〜102Gの高精度の位置決め操作の
簡便化を実現していたが、このような高精度の位置決め
操作の簡便化を望まないのであれば、補助基板102A
〜102Gの水を介さない直接接合により補助基板を接
合してもよいのはいうまでもない。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
櫛形電極で励振された弾性表面波を、反射境界面で効率
的に反射させることができ、従来必要であった多数本か
らなる反射器をなくすことが可能となり、弾性表面波装
置を大幅に小型化することが可能となった。
【0079】また、圧電基板と、補助基板とを同じ材料
から構成することにより、直接接合時の熱処理温度を十
分に高くすることができ、無加圧接合においても十分な
接合強度を得ることができる。これにより、信頼性に優
れた弾性表面波装置を得ることができた。
【0080】また、補助基板の厚さが、弾性表面波波長
に比べて厚くすることで、弾性表面波の反射効率を向上
させることができ、Q値の高い高性能の弾性表面波装置
を得ることができた。
【0081】また、圧電基板と、補助基板とを、異なる
材料で構成することにより、反射境界面における音響不
連続量を大きくすることができ、反射係数を向上させる
ことができた。これにより、共振特性に優れた弾性表面
波装置を得ることが可能となる。
【0082】また、補助基板の密度を、圧電基板の密度
よりも大きい構成とすることで、反射境界面における音
響不連続量を大きくすることができ、反射係数を向上さ
せることができた。これにより、共振特性に優れた弾性
表面波装置を得ることが可能となる。
【0083】また、圧電基板と補助基板とを位置合わせ
する工程において、補助基板が配置される圧電基板上の
領域にあらかじめ親水化処理領域を形成することによ
り、圧電基板と補助基板との機械的な位置合わせを精密
に行わずとも、所定の位置に正確に補助基板を配置する
ことができるようになった。これにより、特性ばらつき
が小さい弾性表面波装置を得るとともに、製造コストを
低減することが可能となる。
【0084】また、補助基板に少なくとも一つ以上の反
射端面を形成する工程において、レーザ加工またはプラ
ズマ加工を用いることにより、反射端面の加工精度を向
上させることができ、端面研磨の工程を割愛、または簡
略化することができ、製造コストを低減することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における弾性表面波装置
の構成を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1における弾性表面波装置の製造方
法を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態2における弾性表面波装置
の構成を示す斜視図である。
【図4】実施の形態1、2の変形例である弾性表面波装
置の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態3における弾性表面波装置
の構成を示す分解斜視図である。
【図6】実施の形態3の変形例である弾性表面波装置の
構成を示す分解斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態4における弾性表面波装置
の構成を示す分解図である。
【図8】実施の形態4の第1の変形例である弾性表面波
装置の構成を示す斜視図である。
【図9】実施の形態4第2の変形例である弾性表面波装
置の構成を示す分解斜視図である。
【図10】従来の弾性表面波装置の構成を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
101A〜101G 圧電基板 102A〜102G 補助基板 103A〜103G 櫛形電極 104A〜104G 反射境界面 105A、105E 保護膜 107A、107E 親水化処理領域
フロントページの続き (72)発明者 冨田 佳宏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5J097 AA24 AA28 AA29 AA32 EE02 EE08 FF04 HA03 HA07 HA08 HA09

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 櫛形電極を有する圧電基板に補助基板を
    設け、この補助基板に、前記櫛形電極によって励振され
    る弾性表面波を反射させる反射境界面を設けたことを特
    徴とする弾性表面波装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の弾性表面波装置であっ
    て、 前記補助基板を、前記弾性表面波の伝搬方向に沿って前
    記櫛形電極より外側に配置したことを特徴とする弾性表
    面波装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の弾性表面波装置であっ
    て、 前記反射境界面を、前記櫛形電極の電極指と平行となる
    ように配置したことを特徴とする弾性表面波装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか記載の弾性
    表面波装置であって、 前記圧電基板と前記補助基板とを、実質的に直接接合し
    たことを特徴とする弾性表面波装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか記載の弾性
    表面波装置であって、 前記圧電基板と、前記補助基板とを実質的に同じ材料か
    ら構成したことを特徴とする弾性表面波装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか記載の弾性
    表面波装置であって、 前記補助基板の厚さを、弾性表面波の波長に比べて厚く
    したことを特徴とする弾性表面波装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれか記載の弾性
    表面波装置であって、 前記補助基板の密度を、前記圧電基板の密度よりも大き
    くしたことを特徴とす弾性表面波装置。
  8. 【請求項8】 弾性表面波励起用の櫛形電極を有する圧
    電基板に、補助基板を設けるともに、この補助基板に、
    前記弾性表面波を反射させる反射境界面を設けてなる弾
    性表面波装置の製造方法であって、 前記圧電基板の表面のうち、前記補助基板が配置される
    領域を選択的に親水化処理する工程と、 前記補助基板の接合面を親水化処理する工程と、 前記圧電基板の前記領域に、水酸基を有する液体を介し
    て前記補助基板の前記接合面を重ね合わせて接合する工
    程と、 を含むことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の弾性表面波装置の製造方
    法であって、 水酸基を有する液体を介して重ね合わせた前記圧電基板
    と前記補助基板とを熱処理する工程を更に含むことを特
    徴とする弾性表面波装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8または9記載の弾性表面波装
    置の製造方法であって、 前記水酸基を含む液体として、水を主成分とする液体を
    用いることを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項8ないし10のいずれか記載の
    弾性表面波装置の製造方法であって、 前記補助基板に、前記反射端面を形成する工程を、レー
    ザ加工プラズマ加工、もしくは化学エッチング加工を用
    いて行うことを特徴とす弾性表面波装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008224601A (ja) * 2007-03-15 2008-09-25 Olympus Corp 攪拌装置及び自動分析装置

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